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10万筆署名を達成し、6・8国鉄集会の大成功へ!田中康宏

月刊『労働運動』34頁(0290号02/01)(2014/05/01)



10万筆署名を達成し、6・8国鉄集会の大成功へ!

田中康宏(動労千葉委員長)
 

 

 問答無用の解雇がふきあれています。もう一方で安倍政権は国家主義や領土問題をふりかざし、憲法の解釈を変えて集団的自衛権の行使に踏み切ろうとするなど、あらゆる反動を噴出させています。安倍は岩盤規制をぶち壊すために特区が必要だと6カ所を指定し、全面的な規制緩和をしています。労働規制のことを考えて下さい。岩盤規制なんてどこにありますか。煮えたぎる競争原理の中に叩きこまれて毎日クビを切られているんです。敵の側から見たらこの現状がまだ岩盤規制で、それを全部ぶち壊すと言っているんです。
 こうした全体を真正面から見て、5・1メーデーから6・8国鉄集会まで何をしたらいいのか徹底的に明確にすることが必要です。
 まず、自分たちの進む方向を鮮明にすることです。われわれは、都知事選に全力を尽くしてとてつもないものに挑戦してきた。もう一方では大震災から3年間、福島の大変な苦闘の中で新たな出発点として3・11集会をかちとりました。3年間に起きたことは、大反動との闘いでした。特にふくしま共同診療所をめぐっての反動をはね返して全体を獲得できるところまできました。
 この地平の上に、5・1メーデーから6・8にかけて進むべき方針、路線をつくっていきたい。画期的な飛躍をなしとげてきたからこそ、5・1メーデーから6・8国鉄集会でかちとらなければならない方向をこの過程で全体の力を結集してつくりあげることです。

9・25判決はつかみ切れない大きな地平

 ここまでやってきた地平の中で本当に悔しいと思うのは何かというと、僕ら自身にまだ力がないことです。労働運動の拠点をもっともっていれば、本当にガリレオじゃないけど、こんな社会を動かしてみせます。矛盾と崩壊の兆しだらけです。なんでひっくり返せないのかって悔しくないですか。労働運動の復権にむけたとっかかりは、国鉄闘争の中でつかんでいるんです。それを全産別に押し広げるために、本当に5・1とか6・8に結集する一人ひとりが目の色を変えてやる気になるかどうか。苦しくても大変でも、自分の職場から闘う労働運動をつくりだしてやるぜという気になる、実践的な指針となる路線と方針をこの過程でつくりあげたいと思います。
 やはり国鉄分割・民営化から始まったことに対してわれわれが何を実現してきたのかという総括ぬきには前にいかないと思います。
 僕らが、動労千葉だけではなく、みんなの力が結集して勝ちとってきたものは、われわれがつかみきれないほど大きいものだと思っています。身の丈に余るぐらいのものをつくってきた。2010年4・9に1047名闘争の、それは一言で言えば屈服ですが、和解、旗を降ろしたということがありました。戦後の労働運動を担ってきたあらゆる勢力が力を結集し、彼らなりに全力を尽くした結果でもあります。つまり、あそこで戦後的労働運動が最後的に終わったのです。
 それに対して僕らは小さな力ですが、これに立ち向かえなかったら、労働者の権利や解雇撤回を言えなくなってしまうという思いの中で立ち上がり、それを超えたわけです。それが9・25判決でかちとってきたことです。
 われわれの力で超えたものは、本当に大きい。だけど問題はここからです。国鉄分割・民営化から始まったすべてを揺るがすところに手がかかった。だけど手を掛けても、これを本当にやりきれなかったら切り開いたものが大きければ大きいほど失うものも大きいということです。労働運動の復権なんて無理なんだと、全体に思わせてしまう面がある。もちろんこれは敵がいることだから、敵との関係でどうなるか、そんな簡単ではない。しかし、つかんだものは中途半端にやったら諸刃の剣になります。僕らは新自由主義30年余りをひっくり返すところにきた。他は誰もできなかった。だからそれに徹底的にこだわってやらなければならない。それを労働者に約束してやりぬくんだということです。誰よりも私に責任がある。多くの仲間たちが再び国鉄闘争のもとに結集してくれています。それを絶対に大事にしたい。10万筆署名をはじめ、目をつりあげてでも最高裁決戦でやれることは全部やりつくす。敵がどんなに大きかろうが勝ちぬく。なぜ勝ちぬくのか。労働者がこの20年、30年、どれだけ悔しい思いをさせられてクビを切られてきたのか。それを悔しいと思わない労働者に自らを解放する力はないです。連合も全労連も労働運動の幹部たちは、全部あのざまです。その結果、戦争しようというところまできてしまっている。
 5・1メーデーに来た仲間たち、6・8に来た仲間たちにもう一回自分は訴えたい。もう一回、本気になってこの社会の腐り果てたあり方をひっくり返したい。そのために全部の力を結集しよう。これが5・1メーデーから6・8に向けての核心だと思います。

6・8は階級的労働運動の新たな出発点

 それはリアルに突きつけられています。1047名闘争は今、最高裁で闘われていますが、判決はいずれ出ます。通常なら今年中。明らかに敵を追い詰めています。でも、本当の意味の勝負はここからなんです。どんな判決が出ようが、闘いはそこからです。国鉄分割・民営化から始まった労働者をこれほどまでに痛めつける現実は、僕らが力を取り戻さなかったら解決はつかない。社会を根本的に変革する力を得なかったらいかないんです。
 だから6・8全国集会は、これまでの国鉄闘争の集会とは違う新たな飛躍をかけたものにしたいと思っています。全国の仲間たちにこれから進むべき道を路線的に明確に提起できるものにしたい。三労組や全国運動の呼びかけ人会議、さらには民営化反対で画期的な闘いに立ち上がっている韓国民主労総とも突っ込んだ議論をして、内容をつくりあげようと考えています。6・8集会をこの社会を根本から変革する新しい階級的労働運動の出発点になるようなものとしてかちとった時に、どんな判決が出ようが、本当の意味でそこから前に進む。こういうふうに自分なりには考えているわけです。
 だから、5・1メーデーと6・8を一つのものに考えてほしい。僕ら自身が本当の飛躍をかけた議論を始める必要があります。闘わなければ生きていくことができない現実が労働者に襲いかかっていることは誰も否定できない情勢です。本気になって力を結集して職場に拠点をつくり、それをつなげて闘う労働運動をつくろうということが、5・1メーデーから6・8集会の課題です。

戦争の現実性は途方もない支配の危機

 さて若干情勢についてですが、ウクライナで起きていることも安倍がやっていることも、いろいろな利害の衝突が、領土をめぐってたちまちぶつかるところまできています。
あらゆる問題が戦争の危機、戦争の現実性をはらんで進行する情勢の新たな段階が始まっている。領土をめぐる衝突は、支配階級の側、帝国主義の側も恐ろしくて今までは簡単に手がつかなかった。根底にあるのは途方もない支配の危機です。政治的な話だけではなく、資本主義経済のすべてが崩壊する過程に入っている。安倍政権の下で、戦争・改憲、集団的自衛権、武器輸出、あらゆる反動が吹き出している。根底にあるのはアベノミクスに示される支配の危機です。それがどれほど破滅的政策なのかは、彼らが一番よく知っている。安倍主導のベアという話も、千円だろうと賃金上げて好循環にもっていく形をとらなかったら、明日崩壊してもおかしくないと思っているからです。支配の崩壊、これをちゃんととらえなければならない。

組織的運動的な4つの課題

 だからチャンスだと思っています。今、力を取り戻したら動く。挑戦しなければならない組織的運動的課題は4つあると思います。
 一つは、国鉄分割・民営化、新自由主義が崩壊して以降の問題に徹底的にこだわって、生み出してきたものを粉砕するということ。
 二つ目は、メーデーでの大きなテーマでもある社会全体を総非正規化と解雇自由の地獄につきおとそうとしている攻撃の本質と、労働者が置かれているひどい現実、これから安倍の総非正規職化攻撃がやられた時に、何を労働者が襲うのか。その結果、社会が崩壊過程に入っていくことを、具体的実践的に暴き出す。それは破滅的政策で、労働者が団結すれば勝利できる大きなチャンスが到来しているということを、具体的展望として運動的展望として明らかにし、闘いに組織する。そういう存在になって僕らが登場することです。
 三つ目は、やっぱり3・11以降の問題です。大きな意味では国鉄分割・民営化と同じぐらいの衝撃を社会に与えたわけです。すべての人々の価値観がゆらいだ。労働者から支配階級まで全部です。この先、どうしたらいいのか、誰もが真剣に考え、この社会の本質やウソを見ぬき始めた。支配階級の中だって衝突している。だけど本当の意味でこの流動化した情勢を労働者の側が獲得できていない。労働運動がここまで弱められてきたからです。だから3・11以降おきた命にかかわる価値観の大きな崩壊と衝突、これに労働者が団結してこの社会の腐り果てたあり方を変える展望として示すこと。
 四つ目は、これから始まる改憲と戦争に向けた社会の渦巻く危機感を、労働運動の復権の闘いの展望としてちゃんと自分たちが先頭に立って組織し、団結させること。
 もう一度大事なことを確認すると、国鉄分割・民営化をあいまいにしないこと、労働者が置かれた総非正規化とこれから始まることに対して、その先頭に立ちきること。原発事故以降の社会観の衝突の先頭に立ちきること。そしてこれから始まる戦争・改憲の危機感を組織すること。これをやりきれる存在になるということが階級的労働運動の復権ということだと思います。こうした展望に立って全力を尽くして闘い抜くこと。このことも路線的にもう一回、5・1メーデーから6・8の過程で鮮明にさせたいと思います。

(写真 4・16最高裁に署名提出行動)

国鉄闘争で新自由主義を打倒しよう!

 さて、国鉄の問題に戻りたいと思います。国鉄分割・民営化が文字通り全面崩壊し始めました。これは単に国鉄、JRの崩壊ではない。新自由主義が国鉄から始まったから、もっとも象徴的にJRで崩壊が始ったということです。医療、教育、自治体、民間の現場でも社会のすべてが雪崩をうって崩壊しようとしています。時は満ちた。本当に時は満ちた。
 国鉄分割・民営化の崩壊については具体的に話し始めると長くなるので言いません。だけど北海道の現実をみてほしい。手のつけようがない。安全の全面崩壊で、何が変わったのかというと、JR北海道をJR東日本の「属国」にしたのです。二進も三進もいかないということで官邸主導でJR北海道の人事を替えた。会長はJR東日本の元常務取締役。副社長は現JR東日本の取締役、仙台支社長。それは鉄道本部長まで兼ねる。施設部長も現JR東日本の幹部15人が送り込まれている。これはまさに民営化の崩壊です。
 官邸主導ということは、葛西敬之(安倍政権のブレーンで、JR東海名誉会長)がやっているということです。彼の目論見は、分割・民営化の手先として使ったJR総連・革マルも使い捨て、完全な御用組合化する労務政策です。だから、再び労働組合の再編が焦点になっています。だけど民営化そのものが崩壊した現実は、絶対に解決がつかない。
 そうしたことが京浜東北線の事故でも現れている。民営化と全面的な外注化と規制緩和、一連のものとしてみなければならない。尼崎事故、関越自動車道の事故、北海道の問題、ボーイング。こんなことは無数に起きている。教育は崩壊、医療は崩壊……すべては崩壊した。本当に時は満ちたと思います。
 僕らはここにすべての力を結集して闘いたいと考えています。ですから、動労千葉は動労千葉なりに大きな決断をして新しい闘いに踏み出したい。それは本当にこの時代に労働運動復権をめざした闘いだと考えています。この間、提起をしてきたとおり、外注化粉砕闘争を十数年間貫いてきて、一昨年10月に外注化を強行されて、1年半あまり職場で苦闘し、ストライキしたり議論したりを繰り返して、結局これを粉砕するには何をなさなければいけないのかと。本気になってJRだけじゃなくて、下請けのCTSも貫く闘いを組織する以外にないと、現場も含めて腹を決めた。そこまでに1年半かかった。民営化され外注化され、本当に悔しい思いを、この現実を粉砕するには何をしたらいいのかと。それ以外にないといきついた。
 私は、5・1メーデーから6・8国鉄闘争全国運動集会の過程で、自分たちがもう一皮むけてこの時代に新しい闘いにふみだすことにかけてみたい。歴史というのは、敵だって必死なんです。でも敵は足下が崩れている。われわれも必死だよね。労働者はどんな時代になろうと労働者であり続けて歴史を動かす存在であり続けるんです。すべては国鉄分割・民営化から始まったんです。憲法改悪もそうです。新しい実践的・路線的方針を明確にし5・1メーデーから6・8集会へ決起しよう。