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■闘う合同・一般労組労働組合の団結で解雇撤回かちとる

月刊『労働運動』34頁(0291号12/01)(2014/06/01)


 

■闘う合同・一般労組

労働組合の団結で解雇撤回かちとる
 

 

(写真 サンナビの2月26日抗議行動)

広島連帯ユニオン書記長 壹貫田康博
 2人の青年労働者が解雇撤回を勝ち取りました。サンナビというアパレル関連の会社に続いて、山陽測器でも団体交渉で解雇を撤回させました。昨年来、広島連帯ユニオンにおいても解雇についての労働相談が相次いでいました。採用されたばかりの青年労働者が、「あなたはうちの会社に向いていない」などと、理由にもならない理由で退職強要され、解雇されています。郵政における八王子西局の解雇攻撃と同じようなことが、全国で無数に起こっています。労働組合の団結で闘い、ついに勝ち取った勝利は、9・25判決を闘い取った国鉄闘争、鈴コン分会の解雇撤回と一体の勝利です。

サンナビでの退職強要を断固拒否で闘う

 サンナビのF組合員は、2008年に解雇を示唆されたことでユニオンに加入し、そのことをきっかけにした不当な異動や賃下げに対して労働委員会闘争を闘ってきました。春闘要求をはじめ、休日制度の変更や変形労働時間制の導入に対して、職場へのビラ入れも含めて原則的な労働組合活動を闘ってきました。また、地域支部の会議を積み重ね、青年部として街頭署名なども担ってきました。昨年末から会社側は、再び様々な難癖をつけ退職を迫ってきましたが、背景にはF組合員の組合活動を嫌ってなんとか職場から排除したいという思惑があったのです。
 1月20日に、社長の退職強要に対して、F組合員はキッパリと「お断りします」と通告し敢然と対決してきました。さらに会社側は、再び退職強要のための面談を社労士立ち会いのもとに強行しようとしてきましたが、「ユニオンを通せ」と追及し、面談を中止させました。2月26日には、地域の仲間とともに総勢12名で抗議闘争に立ち、社長と社労士に断固たる抗議をたたきつけました。F組合員が資本と非和解に立ちきりユニオンで団結して闘うことを鮮明にしたことで、追いつめられた会社側は「断固拒否なら解雇しかない」と2月28日付で「3月31日をもって解雇する」という解雇予告通知を行ってきたのです。F組合員は断固受け取りを拒否しました。

地域の労働者と団結し団交で解雇撤回

 ユニオンはただちに団体交渉を要求し、この解雇攻撃は安倍政権の解雇自由の先取りであること、F組合員が組合活動を原則的に闘っていることを敵視するものであることを会社側につきつけ、総力をあげてこの攻撃に立ち向かいました。3月12日の団体交渉では、組合から(1)組合員の生活破壊、命と人生を奪うもの、(2)解雇の内容が労働法無視かつ組合無視の不当労働行為、(3)解雇予告の手続きの不備の3点を述べ、解雇撤回を要求しました。F組合員本人からは「解雇は殺人と同じであり、これは命と健康に対するテロだ」と弾劾が叩き付けられました。F組合員の決起が決定打となり、会社側は団交後に解雇予告通知の撤回を表明してきたのです。
 しかし、会社側は解雇撤回の条件として、「他の従業員の手前もあるので本人が反省するよう組合にも協力してほしい」と求めてきました。遅刻等には体調不良などの理由があることを承知の上で、他の労働者と分断し屈服を狙ってきたのです。背景には様々な勤務体制によって分断されている現場労働者の怒りがあります。休日問題で闘うF組合員を排除することで、会社の職場支配を強めようとしていることが、ますます鮮明になりました。4月24日の団体交渉では、団結破壊を許さず労働者の健康を守る立場に立ちきって、ついに解雇の全面撤回を確定させたのです。F組合員は、メーデー集会で「一度ひっくり返した会社との力関係をひっくり返されないよう、これからも闘っていきたい」と勝利を報告しました。

(写真 サンナビの3月12日団交後)

山陽測器でも解雇撤回をかちとる

 山陽測器では、M組合員に「解雇を決めた。だから辞める日時を決めろ」「会社都合にしてあげるから」と迫ってきました。しかしM組合員はこれをキッパリと断わり、ユニオンに加入して闘うことを決めました。労働組合として反撃を開始したことが勝利の最大の要因です。会社は、反撃されることなど全く考えていませんでした。だから代理人の弁護士までもが不当労働行為を行うなど、違法行為を繰り返し完全に墓穴を掘ったのです。
 団交では「社長よりM組合員が早く出社しない」という全く不当な理由が解雇の最大の理由であること、M組合員にパワハラが繰り返されていることを、会社は「黙認」してきたことを徹底追及しました。組合の追及にまともに回答することさえ出来なくなった会社は、ついに解雇の撤回を表明せざるを得なかったのです。
 解雇撤回させた2人の仲間は、社長と顔を突き合わせるような職場環境の中で、団結の拡大を求めながら日々がんばっています。

国鉄決戦で団結し「解雇自由」攻撃と闘おう

 安倍政権はいま、民営化・外注化=10割非正規化、超長時間労働・過労死、賃下げと解雇の全面的な攻撃をしかけています。行き詰まるアベノミクスの成長戦略を推し進めるために、国家戦略特区で雇用においても「岩盤規制」を崩すと、労働者に対する攻撃を全面化させようとしています。今回の解雇攻撃は、安倍政権と資本家階級全体がやろうとしている「解雇自由化」の攻撃の先取りです。このような解雇を既成事実として許してしまうなら、労働者は資本家の思うがままに解雇され使い捨てにされてしまいます。
 今回の勝利は、労働者が団結し、労働組合として闘うことで勝利することは可能なのだということを示しました。行き詰まった新自由主義のもとで、解雇や過労死にいたるような長時間労働に、青年労働者の怒りが満ちあふれています。労働現場でパワハラを受け、追い詰められている多くの労働者に、勇気と展望を与える勝利です。新自由主義は労働組合が闘わないことが前提で成り立っており、労働者が労働組合に団結して立ち上がれば本当にもろいということです。
 勝利の根底には、国鉄闘争を取り組み、資本に対する怒りを絶対非和解の闘いとして貫き、団結を拡大してきたことがあります。6・8国鉄闘争全国集会を、最高裁10万筆署名を集めきって大成功させましょう。