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■座談会 動労千葉定期大会と10・1ストライキを闘って

月刊『労働運動』34頁(0296号02/03)(2014/11/01)

■座談会 動労千葉定期大会と10・1ストライキを闘って


■座談会 動労千葉定期大会と10・1ストライキを闘って

国鉄分割・民営化体制の全面崩壊が始まった!

労働組合破壊に外注化粉砕で反撃し、組織を拡大する


参加者

田中 康宏さん(動労千葉委員長)

山本 弘行さん(動労千葉を支援する会事務局長)

◎7・1情勢に全組合員で立ち向かうと決断

○司会 動労千葉は、9月28〜29日に定期大会を開催し、10月1日にはストライキに立ち上がりました。飛躍をかけて新たな一歩を踏み出そうとしているように感じました。問われていた課題は何だったのでしょうか。
○田中 JRをめぐる情勢が激変し、日本、世界の情勢が激変しようとしています。とくにJRでは、この夏の過程で開かれた各労組の大会を見ていると、国労もJR総連もJR連合も、全てが組織の体すらなさないようなものになっている。国鉄-JR労働運動に係わっている全ての勢力、党派が崩れ落ちてしまっている。国労は全国組織を解散してしまおうと突然提起して大混乱のうちに終わっているし、一時は栄華を誇っていた東労組・革マルも当局に一掃されようとしていて、奴隷のような惨めな姿を晒している。旧東日本鉄産労と革マル・嶋田派は組織消滅・崩壊の危機の中で組織統合したものの、その途端に内部対立によって脱退者が相次ぐ状況です。
 これを見ていて、JRをめぐって一体何が起きているのか、われわれは何に立ち向かえばいいのかを徹底的にはっきりさせなくてはいけないと思いました。われわれも絶対に無縁じゃない。大会では、この現実に真正面から立ち向かう方針を確立しなければいけないと。一方、執行部が目の色を変えて臨めば、動労千葉が築きあげてきた団結、蓄積はそんな簡単には揺らがないぞと確信しています。全組合員をまとめて、起きている事態に真正面から立ち向かおうという決意と確信。その両方をもって臨んだ大会でした。
 この事態は、ついに国鉄分割・民営化体制が全面的に崩壊しようとしていることを背景として起きていることです。もっと大きく見れば、集団的自衛権行使容認を閣議決定し、戦争に突進する以外に延命の道がない支配の危機が生み出している。ウクライナや中東をめぐって現実に戦争が始まり、世界中で労働者が闘いに立ち上がっている。確かに日本では未だ労働運動の崩れ方がひどい。でもこうした時代にはある意味必然的に起きることです。すべてが煮詰まり、沸騰点に向かっている。むしろこうした情勢の中にこそ大きな可能性がある。そう見て思い切って僕ら自身がこれまでのあり方を断ち切って飛躍できるか否か。それがこの時代に求められている立場だと感じます。
 労働者の怒りの声を結集し、団結をつくり、この時代に立ち向かえば必ず展望が開けると示す必要があります。
○司会 それで大会とストライキを一体で取り組み、組織破壊攻撃、外注化攻撃と闘う方針を鮮明に出したんですね。国労などは、大会で名称変更や全国単一体の解体まで提案しながら、それも貫徹できないで執行部が辞任してしまった。
○田中 国労の連合派は「組合員が激減しこの1年のうちに本部機能も停止する。その前に国労を各JR会社毎に割って連合に流れこむ」という文書まで作って自分の手で国労の幕を降ろそうとしている。
○司会 7・1情勢とは何なのかをよく示していますね。ところで、分割・民営化体制の崩壊はどのように進んでいるのですか。
〇田中 何よりも安全の崩壊が手の打ちようもない形で深刻化しています。これはJR北海道の現実を見れば明らかですが、より深刻なのは、実は莫大な利益を出しているJR東日本でも事態は全く同じだという点です。それを示したのが川崎駅の脱線転覆事故でした。全部外注化し放り投げてしまっているから手の打ちようがない。例えばあの事故の時、列車がぶつかった軌陸車は10台載線しているんですが、それを下請けの労働者1人で誘導していた。事故後、JRは1台に1人の誘導が必要だという文書を出した。だけどそんなのは単なる紙っぺらです。だって、下請け会社にそんな要員を配置できる体制などあるはずがない。
 さらに、貨物の経営破綻だけでなく、民営化の枠組み自体が崩壊しようとしている。2年後には経営安定基金の自主運用が始まる。今は政策的に高い金利をつけているが、自主運用になったら、このゼロ金利時代に運用益など出るはずもない。株も暴落しているし、逆に損益が出る。そうなれば、単にJR北海道、九州、四国が破綻するというだけでなく、民営化体制が崩壊します。
 さらに、安倍政権の成長戦略の中心にすえられた鉄道パッケージ輸出が全部破産しようとしている。中国やヨーロッパの鉄道会社との競争に勝つのは「夢のまた夢」だと言われていのが現状です。しかし、これが日本資本主義の最後の延命の手段になっている。鉄道輸出、原発輸出で突き進む以外にない。そして破綻する。新幹線のパッケージ輸出どころの話ではない。新津車両製作所を分社化して、鉄道車両とメンテナンスを輸出すると言っているが、車両輸出でも完全に後れをとっています。
 それと、もっと深刻な問題がある。10年以内のうちにJRで働く40%以上の労働者が退職するという大量退職問題です。これも分割・民営化が生み出したゆがみに他ならない。JRは、それを逆手にとって、国鉄的なものを一掃する労組破壊攻撃を仕掛けている。冒頭に述べた各労組の惨状の直接的背景はこの問題です 要するにすべてが破綻しようとしている。国鉄分割・民営化は間違っていたと、労働運動の側から決着をつけなくてはいけない。もっと大きく言えば、この30年余り猛威を奮ってきた新自由主義的政策の全面崩壊が始まっている。JRで起きていることはJRだけの問題ではありません。
○司会 それで大会では大量退職問題に立ち向かうことが方針の柱になり、結成35周年を祝う会もやったわけですね。
〇田中 そうです。「大量退職問題」と言われている事態の本質は何かをはっきりさせた。本質が見えたから大会に臨むに当たって、来年度退職者が出始める職場に入って、この現実と正面から立ち向かう先頭に立ってほしいと議論し、「わかった」という話になった。
 すべては現場が団結し困難に立ち向かう気になるかどうかです。さらには大量退職を利用した組織破壊攻撃との闘いの焦点は、やはり外注化との闘いだということもあらためてはっきりさせ、外注化粉砕闘争で突破していくために幕張支部にも事前にオルグに入った。丁度、外注化によってどれほど安全が崩 壊するのかが突き付けられるような事故が起きていて、それをどう闘争に持ち込むのかという議論をしていたこともあって、大会の前に、10月1日にストライキを構えようという方針も決まった。車輪転削業務で指を落としたのは国労の組合員。銚子検査派出でひき殺されそうになったのはうちの組合員です。この事態に対する一番有効な闘い方を考えていたんです。組合員が本気になって立ち上がること、それを通してJRとCTSの労働者の気持ちにかみ込むことができる闘争にできるかどうかです。そこに新たな問題が起きた。JRとCTSは、指を落とす労災事故が起きた状況の中で、真逆の形でベテランの労働者を職場から放逐するということをやってきた。これは許せないと気持ちが一つになった。「殺す気か」という感じでたちまち方針が決まってくる状況の中で、大会と一体でストライキがかちとられたのです。外注化問題と、国鉄時代から40年も働いてきた労働者がボロ雑巾のごとく使い捨てられていく現実が一つになったことも事態を鮮明にしました。これが敵の攻撃の本質なんだと誰でもわかる形で照らし出された。あらゆることを鮮明にして大会に臨んだのはよかったですね。 そして、全組合員が一致団結して、今後数年間にわたる新たな決戦に打ってでるために結成35年を祝う会も大会と一体でやろうということも決定しました。この時代に求められている構えは、恐らくすべての職場で問われていることではないかと思っています。

◎大量退職問題とは組織破壊攻撃だ!

 外注化粉砕闘争で 反撃すると決断した!
○山本:かつて伊藤晃さんが「日本の労働運動の受動性を動労千葉が克服している」という話をされたのですが、現在の労働運動の総崩れの状態は、受動性と無為性の行き着いた先のような気がする。大会を傍聴して私が感じたのは、動労千葉は攻勢的に展望を開こうとしているということです。それは階級的労働運動という場合、普遍性のある問題を提起していると思う。
 大量退職・組織破壊攻撃との対決というとらえ方も、JRだけでなくどこの職場でも普遍性をもつように感じる。列車を動かせなくなってしまいかねない大問題をJR資本が逆手にとって、組合破壊を外注化とセットにしてくる狡猾さを、5・2と10・1ストライキを通して初めて認識した。分断を具体的にCTS組織化で乗り越えようとしている。
○田中:大量退職問題とは、分割・民営化以来の重大な労組破壊攻撃だととらえています。単なる大量退職ではない。そしてそれが職場にもたらすのは「去るも地獄、残るも地獄」の現実です。より具体的には、際限のない外注化と安全の全面的な崩壊をもたらす。だから外注化粉砕闘争をもって立ち向かう腹を固めたわけです。
 分割・民営化が強行されて以来30年、資本の最大の核心的攻撃は業務外注化だった。それは、労働者を分断し、労働組合を破壊し、膨大な非正規職を生み出す攻撃でした。日本の労働組合は、あらゆる産業で吹き荒れたこの攻撃に全く対抗できなかった。小さな経験ながら、15年間非妥協に闘い続けて、民営化・外注化攻撃と真正面から闘い続けることなしに労働者の団結は守れないし、労働運動は復権できないという気持ちを強くしている。そして、安全を破壊することこそ外注化攻撃のアキレス腱だということが見えてきた。
 10・1ストは、7月、9月にCTSの仲間が動労千葉に加入してくれたことを踏まえて、外注化粉砕闘争を、大量退職問題・組織破壊攻撃との闘いと一体のものとしてもうひとつ高い次元に押し上げる闘いだった。だからストライキだけで完結するわけではなくて、この闘いを組織拡大闘争として継続しなければならない。それが実現した時に初めて胸を張れる。そう思っています。
〇山本 昨年や一昨年には、動労千葉がCTSの労働者を組織するようになるとは想像できなかったが、そこに手がついたことは本当に大きいと思う。だから外注化が逆に敵の最大の弱点になるという展望が今度の大会とストライキで開けた。そこに挑むという状況が作り出されたのではないかと思っている。

◎日本の資本主義はJRが支えている

○山本 話は変わるけれど、鉄道のパッケージ輸出の問題で、JICAのラオス計画投資の顧問が「たとえゼロ円でも落札しなければならない。その後の売り上げで回収できる」と言い出している。アジア全体で中国とのバトルになっている。中国の建設費は日本の半額以下だから、日本は劣勢にあるらしい。
○田中 全額円借款ということでしょう。葛西が安倍政権の中枢に座ったわけですが、日本の資本主義はJRが支えていると言っても過言じゃないと思う。東京駅、新宿駅、渋谷駅、品川駅などの巨大工事が延々と続き、地方の主要駅でも何十という大規模工事をやっている。ゼネコンをいくつ食わせているのか。どう考えても尋常じゃない。そうでなければ葛西が政権に食い込むことはなかった。アベノミクスと言っているが、JRが経済的にも政治的にも支配機構の一角を形成して体制を延命させている。加えてリニアを含めたパッケージ輸出です。逆にこれが破綻したとき何が起きるのか。恐らく支配階級にとって事態は深刻なのではないかと思います。
〇司会 国鉄闘争のもつ位置が本当に大きくなっていますね。
○田中 国鉄分割・民営化から28年経って、動労千葉、動労水戸、国労闘争団員がまだ闘争を継続している。資本の側が現場を制圧できていない。国鉄分割・民営化に決着がついていない。こんなことは前例がありません。国家をあげて戦後最大の労働運動解体攻撃を
強行したが、動労千葉や動労水戸のような存在が今も闘い続けている。さらに、国労郡山工場支部が国労本部がなんと言おうと外注化反対で声をあげている。こうした闘いに共感する声が全国の職場に存在している。水戸の闘いなどは被災地の怒りの声を全部団結させる力を持とうとしている。そうであるがゆえに、国鉄的なものを一掃する。大量退職問題を使って第二の分割・民営化攻撃として、もう一度新たな労働運動解体攻撃をかけざるを得ないんです。
○山本さん 当時と同じことが問われている。

◎下請け労働者の組織化に踏み出した!

(写真 CTS労働者を守れを掲げた5・2動労千葉ストライキ)

○司会 CTS組織について聞かせて下さい。
○田中 本工と下請け、正規と非正規の団結が必要だということは誰もが言ってきた。だけど本当に実現されたことは一度もなかった。われわれだってすべてはこれからです。この間の闘いで3名の仲間が動労千葉に加入してくれたり、理屈ではなく生きた現実として、JR本体の労働者とCTSの非正規の労働者が一つに団結して実践的にやっていくことができる感触をつかむことができたんですね。
○司会 そういうことをやってきた指導部の高さを感じるんですが。
○田中 外注化反対闘争をやり続けてきたことが間違っていなかったと確信をもつことができました。彼らは、動労千葉が15年間執拗に外注化と闘ってきたことを信頼してきてくれた。偶然入ってくれたのではないんですね。われわれの闘いは、非正規化された結果に対してではなく、非正規化される過程に闘いを挑んだ数少ない経験だと思います。さらには、外注化が強行された後は、CTSの労働者が今一番怒っている問題は何なのかを絶対つかみとろうと考えて、この2年間近く、CTS所長の行方追放闘争や清掃の不正受託問題の追及、金子さんの労災問題などを闘い続けてきた。それが何を生み出すかはあらかじめわからなかったけど、外注化を粉砕するためには、JRとCTSの双方から闘いを起こすしかないことだけははっきりしていた。現実に行方は追放したし、その過程でCTS清掃部門の労働者の圧倒的な支持を受けるようになった。
○司会 新しい地平ですね。
○田中 3人というレベルではまだそうは言えない。だけど、もっと本当に拡大することができれば、労働運動の新しい地平になる可能性があります。
○司会 大会では青年部を先頭に意見が出され議論になりましたが、本気になって外注化を止めると回答したことで全員が納得した。
○山本 職場の怒りを大衆的論議で煮詰めて、自分たちが一体どういうところに置かれているのか、何をしたらいいのかをつくりだす運動が動労千葉では日常的に行われている。本来、労働組合というのはそうあるべきなんだけれど、今の既成の組合はそれを全部放棄している。外注化阻止の15年間はその積み上げで、集団的に新たな闘いの方向性を生みだしてきた。
○田中 当初は外注化阻止でシニア協定を締結せず、60歳でクビになっていく現実に立ち向かうところから始まって、CTSの労働者の組織化を始めるところまで前進してきました。振り返ってみれば、よくぞ闘いぬいてきたと思いますね。
○山本:大会でも議論になったけど、外注化は年配者と青年、本体と外注先の労働者などの分断を生み出す。それを乗り越えるのは言葉じゃない。動労千葉は外注化反対闘争で、積み上げられてきた地平がある。職場でも激しく論議を尽くしているのがわかりました。

◎今こそ階級的労働運動を復権させよう!

○田中:もう少し話を進めると、国鉄分割・民営化が、労働者の団結や権利にとって決定的な一撃だったことは言ってきた通りですが、民営化は、現実問題として外注化・非正規職化という形で貫徹された。われわれの闘いは、その過程で国鉄1047名解雇撤回闘争を生み出し、2010年4・9政治決着を乗り越えて不採用基準そのものが不当労働行為意思に基づいて作られたと認めさせるとともに、民営化反対闘争の継続として外注化反対闘争を闘ってきたわけです。そして事態はそれにとどまらず、ついに改憲・戦争が現実化するところまできた。
 さらに、896の自治体が破綻・消滅していく現実にまで行き着きました。まさに、新自由主義政策が生み出したのは社会丸ごとの崩壊だった。世界経済の底が割れ、イラクで、シリアで、ウクライナで戦争が始まっている。
 国鉄分割・民営化から始まった新自由主義攻撃との闘いが、これまでとは全く新しい次元に入ろうとしている。もはや引き下がるところのない状況の中から、階級的労働運動復権の展望が必ず生まれてくる。そういう情勢です。すべてはわれわれ自身がこれまでのあり方を変えて闘いの組織者、団結の組織者になれるかです。
○司会 「地方創生」と「女性の輝く社会」とは表裏一体で、社会丸ごとの民営化、低賃金でも夫婦共働きで子どもを産み育てろという攻撃だと思うのですが。
○田中 民営化や競争原理で行けば全部豊かになるというのは全部ウソ・ペテンだった。生み出したのは社会の全面的な崩壊でしかなかった。それが究極の形で明らかになった。貧困・格差というレベルではない。少子化の最大の原因は非正規化にあることは明らかだし、各地方に行ってみたら単なる少子化ではない。何よりも財政が破綻している。新自由主義の全面的崩壊です。でも安倍政権に残されている道は、さらなる崩壊を招くことを承知しながら社会丸ごと民営化に突進するしかない。どん詰まりの絶望的な危機です。だから集団的自衛権が出てきている。
 そういう渦中で、われわれが何をなすべきなのかが問われている。時代への危機感や怒りの声は膨大に積みあがっている。だけどそれはバラパラな形で存在していて、ひとつの形・力になっていない。危機感や怒りは団結して労働組合や政党という形で結集しなければ具体的な姿を現さないわけです。放置されれば絶望にも転化してしまう。これは危機の時代、歴史が動きはじめる時に必ず起きることです。この30年余り労働組合や社会的連帯が徹底的に攻撃されてきた結果です。
 問題は 今こそそれを回復することです。この巨大な溝を埋めていく努力がわれわれにできるかどうかです。人々は動き始めています。何かあれば国会前に結集する。だけど動き始めた怒りの声が力を持った存在になるには、労働組合が力を取り戻すことが絶対的に必要だ。渦巻く怒りの声とそれに見合った団結が存在しないこと、この巨大な隙間を埋める力を僕らが持つことです。
○司会 やはり国鉄をはじめとした4大産別の闘いの持つ位置は大きいですね。
○田中 例えば、原発事故後の現実の中で動労水戸の闘いがこれほど大きな位置を持つのかというのは、当初からわかっていたことではなかった。被災地に放置された車両の検修や常磐線・竜田延伸という問題が突きつけられたとき、ストライキで立ち上がることができたのは、国鉄分割・民営化と闘い続けてきた強さと地平があったからです。そして、闘いに立ち上がったら、最大の情勢決定要因となり、分断された福島の怒りの声を団結させる力になった。すごいことです。
○司会 楢葉町長は帰町宣言ができず、動労水戸の闘いは仮設住民からも支持を得た。館山運転区廃止反対闘争の時もそうでしたね。
○田中 地方自治体の破綻・消滅という問題が出されて、館山運転区廃止反対闘争の時に起きたことが何だったのかが改めてわかった気がする。その中に労働運動再生の展望を見出すことができる。われわれが訴えた途端に、内房線沿線の市長や町長はじめ観光協会や旅館組合、商工会議所に至るまで地方崩壊への怒りの声がたちまち総結集した。ある保守系の市長は「民営化ということが社会に何をもたらすのかについて、僕らは考えが間違っていた。申し訳なかった」とまで言った。われわれ鉄道労働者が職場でストライキを構え、地域に出ただけでもこうした状況が生まれた。こうした現実の中で、自治体労働者、教育労働者、医療労働者が本気になったら間違いなく情勢は動く。労働運動の復権が始まります。例えば、千葉では2017年に銚子市が破綻する。誘致した大学、市長をリコールまでして残した市立病院などが同時に破綻します。つまり生きていく術が全部破壊される。でも、そこには労働者が存在しているわけです。896の自治体から大反乱が起きる。つまりスコットランドのような情勢が、日本の至る所に存在している。新自由主義政策の全面的崩壊が始まった情勢の中で、階級的労働運動がどういう形で息を吹き返すのかはもっと考えなくてはいけない課題です。
 戦争だけは二度と許してはいけないと思っている膨大な人々がいる。職場で力を取り戻さなくてはいけない。職場には膨大な非正規の労働者があふれかえっている。とくに若者の7割が非正規です。彼らは未来どころか現在を奪われている。団結を取り戻すことに全力を尽くさなくてはいけない。戦争危機、原発問題、自治体崩壊、国家そのものの崩壊。
 国家戦略特区諮問会議が「特区規制緩和策」を発表しました。公立学校の民営化などが全部入っている。病院の理事長も医者じゃなく
ていいと。新聞では外国人の登用だけが強調されていますが、恐らく解雇制限の緩和も出ているはずです。秘密保護法の運用基準も出された。派遣法改悪も重大です。臨時国会から来年の通常国会の過程は、われわれ自身が目の色を変えなくてはいけない。
○司会 地方創生問題を社会丸ごとの民営化だと批判し、国鉄闘争が軸になって闘いをつくっていくことが大事だと思うんです。
○山本 国鉄分割・民営化が始まりだったということ、そこに屈せず闘い続けてきて、国鉄(JR)も新自由主義も全部崩壊が始まっている。すべてはこれからなんです。自分の職場から闘いを始めて実践を通して展望を作り出す、それを自らの確信としてつかまなくてはいけないと思う。鈴コンだって、組合つくった途端に激しい組合つぶし攻撃にあって、ここから本当の勝負が始まったんです。そこから放っておいたら全体を獲得してしまいかねないと思わせるところまで闘いを前進させた。だから東京高裁はビビったんです。
〇田中 動労千葉も、絶対に組織拡大を実現するという固い決意をもって、その一点にかけてこの時代に挑み続ける決意です。
○司会 みんなが組織拡大しなくてはいけないと思っていることがすごいですよね。今日はどうもありがとうございました。