月刊労働運動-Home> 特集 >

安保国会粉砕・安倍打倒の歴史的決戦へ

月刊『労働運動』34頁(0303号02/03)(2015/06/01)


安保国会粉砕・安倍打倒の歴史的決戦へ

(写真 5・3改憲阻止集会に3万人結集!)

川添 順一(とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局)

 5月14日、安倍政権は、集団的自衛権行使の安保関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。安倍らは「夏までに通す」と言っています。戦争阻止をかけ、いよいよ安保国会粉砕・安倍打倒の歴史的決戦に突入します。闘う労働組合と労組交流センターの総決起を訴えます。

戦争法案を止める力は労働者の団結だ!

 「憲法記念日」の5月3日、横浜の臨港パークには、主催者の予想を超えて3万人が結集しました。主催者の一人、作家の大江健三郎さんは、怒りを込めて「安倍」と呼び捨てにし、「次の戦争は世界を滅ぼす核戦争になってしまう」と危機感を強く表明しました。
 しかし残念なことに、多くの労組の旗が集まっているにもかかわらず、労働組合の発言が一切ありませんでした。戦争法案・改憲を阻止する力は、ストライキで社会を止めることのできる労働者の団結にこそあります。その団結と行動を呼びかける労働運動のリーダーを今こそ登場させなければならないと痛感しました。

■日米新ガイドライン協定

 4月27日、戦争法案の閣議決定に先立って、日米新ガイドライン協定が締結されました。18年ぶりの改定で、米軍と自衛隊の協力を「まったく違うレベルに引き上げる」「日米同盟を一変するもの」(カーター米国防長官)と言われています。
 1978年や1997年のガイドラインは、米国主導という面が強かったのですが、今回の改定は、経過を見ても明らかに日本主導です。日本共産党など野党は「これぞ究極の対米従属」「国会無視」とわめきましたが、完全に間違っています。協定文には集団的自衛権行使の「3要件」を盛り込み、地理的制約を取り払い、血を流して戦う「血の同盟」であることを打ち出しています。これまでは「武力行使をしない日本」でしたが、この新ガイドラインで「(米軍と対等に)武力行使をする日本」になっています。それこそが日本の支配階級が欲求していることなのです。

■集団的自衛権の行使へ

 5月下旬から審議が始まる戦争法案は、昨年7月1日の閣議決定を具体化するためのものですが、法案づくりの過程でさらにエスカレーションしています。
 戦争法案の核心は、「存立危機事態」という概念を武力攻撃事態法と自衛隊法に盛り込み、集団的自衛権の行使を可能にし、自衛隊の「本来任務」にしたことです。
 第2に、派兵恒久法を新設し、周辺事態法を「重要影響事態法」に変えることで、自衛隊をいつでもどこへでも、政府の判断で派兵することができ、「戦闘地域」での他国軍支援(事実上の多国籍軍への参加)ができるようにしたことです。
 第3に、PKO法を改定して、武器の使用を大幅に拡大し、有志連合軍やNATO軍などの要請にも応えるようにし、治安維持のための駐留・検問や、軍隊・刑務所などの再建にも協力するとしたことです。この「国際社会の平和への貢献」領域は、法案作成過程で大きく広げられています。
 この戦争法案が通ったらどうなるのか。自衛隊員は戦場に派兵され、殺し合いになっていくでしょう。間違いなく戦死者が出ます。すでに国会で、防衛官僚が「もし戦死者が出たら、靖国神社に祀ることになる」と答弁しているそうです。
 また、自衛隊だけが戦争をするのではありません。周辺事態法―国民保護法―有事法制でつくられてきた自治体および労働者の戦争動員体制は強化されており、まさしく「切れ目なく」動員されます。

■改憲ロードマップも進行

 戦争法案と一体で、「改憲ロードマップ」も進行しています。安倍や葛西敬之(JR東海名誉会長)らは、この過程で9条明文改憲を達成しようと全力をあげています。つまり、今回の戦争法案によってかなりの戦争体制はできてしまうのだけれど、自衛隊が空爆をするとか、最初から武力行使を目的とした軍事参加はできない。また、軍法会議(軍事裁判所)を設置しなければ、上官の命令に従って戦場に行く軍隊にならない。こうしたことは、憲法そのものを変えなければできないので、彼らは改憲国民投票に挑むしかないわけです。
 その責任者である自民党の船田元は最近、「2017年に一回目の発議と国民投票を行いたい」と明言しています。2016年7月の参院選がメルクマールとなって、政治的再編と憲法闘争が激化していくことは間違いありません。

■労働組合こそ戦争阻止を

 私たちは、まさに歴史の分岐点に立っています。日本経済が株・国債暴落でいつクラッシュしてもおかしくない情勢です。2015~2017年がその過程だとすれば、この5~8月闘争は、その重大な前半戦だと言えます。
 私は、日本の労働運動が本来の姿と力を取り戻すためには、その運動の先頭に立って闘っている労働者、労組の若きリーダー達が、安倍の戦争政治に真っ向から怒り、そのことで労働者を組織するために猛然と活動することが極めて重要だと思っています。つまり、階級的な労働運動のリーダーとその労働組合が、政治的取り組みをガンガン推し進め、他の体制内的な労組もどんどん巻き込んでいくことです。戦争法案や改憲に反対する署名運動というのは、今後も有効な武器になるでしょう。
 改憲国民投票という点で言えば、自治労と日教組が焦点になります。一方で反対運動を禁止し、他方で国民投票推進の担い手にしていく。それも大規模に。自治体と教員の労組こそ、改憲国民投票粉砕の先頭に立たなければなりません。
 情勢は日々、激化・発展しています。5~8月、安保法案阻止の闘いに総決起し、沖縄の怒りの闘いをともにして、安倍を引きずり倒そう!