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現場労働者の闘いで橋下を打倒した!大阪都構想を粉砕したぞ!

月刊『労働運動』34頁(0304号03/01)(2015/07/01)


現場労働者の闘いで橋下を打倒した!
大阪都構想を粉砕したぞ!


赤田 由行(大阪市職員労働組合)

 大恐慌が深まり、安倍が戦争に突き進もうというその瞬間に、資本家階級総体の攻撃であった道州制攻撃が粉砕されたのです。職場では大阪都構想を打ち破ったことへの喜びがあふれています。
 他方、「結局総合区では何も変わらない」という怒りの声が上がり始めています。橋下のやろうとした民営化・外注化攻撃は、労働組合の協力によって何一つ撤回されていないのです。いよいよ労働組合が問われている。だからこそ橋下打倒の総括がとても重要です。

8年間の労組めぐる攻防

 8年前に橋下徹が大阪府知事に就任したとき、私たちは橋下に対する圧倒的な支持率の中で、豊中市職労女性部が軸となって「道州制絶対反対」「橋下打倒」の声をあげました。これに対する反動として「保育事故処分」攻撃や、組合本部が女性部そのものをつぶすという許しがたい攻撃が相次ぎました。
 さらに橋下が大阪市役所に乗り込んできたときには、橋下打倒集会実行委員会を立ち上げ、職場・産別を超えた共闘で、市役所前集会を何度も打ち抜いてきました。大阪市の職場では「橋下を批判したら処分・解雇」と脅しが行われ、「政治活動規制条例」「労使関係条例」が制定され、市労連執行部が最初からそれに屈服する中で、それまで当たり前だった職場ビラや庁舎前街宣が「悪」であるかのようにされ、孤立感も感じました。

橋下の狙いは大阪の民営化

 橋下が市長として大阪市役所に乗り込んできた狙いは明白です。大阪都構想について上山信一(維新ブレーン)は「国鉄改革と同じことを日本国でもやろう」「国鉄、郵政に次いで20政令指定都市を分割・民営化し、道州制を導入しよう」と言っています。
 しかし肝心の「国鉄改革」は完成していなかった。「労働組合の解体」が動労千葉をはじめとした労働組合の闘いによって阻まれてきたからです。だから橋下は真正面から「労働組合解体」に突っ込むために、自治労の最大拠点である大阪市役所に乗り込まざるを得なかったのです。しかし、これは労働組合が声をあげた瞬間に崩壊し、不当労働行為を次々認定される極めてもろい攻撃だったのです。

組合幹部を乗り越えて決起

 市労連の幹部は「90度のお辞儀」をして、即座に橋下に屈服しました。
 私たちは、現場労働者がこの事態の中で組合幹部を乗り越えて決起することを確信し、橋下との対決を「労働組合をめぐる攻防」として闘い抜くことを決断しました。現場では職員アンケート粉砕闘争の先頭に立ち、入れ墨調査拒否、君が代強制拒否を孤立を辞さず闘い抜き、政治活動規制条例による弾圧を引き出しながら、これらを労働組合の課題として具体的に提起しました。その一つひとつが労働組合の方針をめぐる分岐を生み出してきました。
 それは現場の民営化絶対反対の怒りと結びつき、保育士大幅賃下げや臨時主事大量解雇攻撃に対する怒りと結びつき、新たな仲間を獲得しながら進んできました。組合選挙で共に勝負し、大量得票を勝ち取りました。
 さらに安倍政権の「公務員一斉賃下げ」攻撃に対しては自治労が20数年ぶりに「4・26スト」という方針を出し、歴史的なストライキの復権が闘われました。労組つぶしが、現場の闘いによって全く逆のものに転化してきたのです。
 橋下は、大阪市労連の「JR総連化」、つまり民営化推進勢力への転向をねらいました。しかし、現場からの闘いにより市労連執行部が「都構想推進」に回れない力関係をつくりだしてきました。労働者の絶対反対の闘いがつぶされず、むしろ拡大する中で、自民と維新が都構想をめぐって分裂したのです。都構想を廃案に追い込んだのは、自民党ではなく、8年間にわたる現場労働者の闘いなのです。

一人でも労組を体現し闘う

 重要だったのは、一人でも労働組合を体現して闘うことです。民営化・外注化攻撃は全てが不当労働行為です。だから団結すれば勝てるのです。それは橋下に相次いで叩きつけられた不当労働行為認定にとどまりません。政治活動規制条例を盾にした尋問に対しては「労働組合への不当介入だから答える必要はない」と弾劾する中で、処分を粉砕しました。また、民営化は自主退職強要という団結破壊によってしか成り立たず、逆に現場労働者が団結することで交通局の民営化や下水道の経営形態変更のスケジュールを遅らせてきました。
 だからこそ資本・当局は「たった一人」の絶対反対の決起に本当に恐怖している。よく見ているということです。この間、共に闘う仲間に対して、職場委員を外したり、「代議員発言をするな」などの信じられないような弾圧が組合内で行われています。また、仕事のミスをあげつらって「仕事もできないのに偉そうに言うな」などと毎日やられることもありました。しかし、それも当局と民営化推進に回った組合幹部が、「絶対反対」の一人の存在に恐怖しているからなのです。そういうふうに日々起きていることを見られるかどうかは本当に重要です。

都構想をめぐる大流動情勢

 都構想をめぐって維新と自民が分裂する中で、住民全体が「この社会をどうするのか」という真剣な激突に入り、大流動情勢となりました。市役所前でビラをまけば「職員さん? 頑張って!」という声援が相次ぎました。闘いの中で公務員バッシングが粉砕されたのです。闘う労働組合があれば、住民全体の闘いの軸となり、ゼネスト情勢が生み出され、改憲国民投票を粉砕できることが示されました。

階級的労働運動の拡大始まる

 新たに出てきた「総合区」とは、都構想の二番煎じです。これを全既成政党と体制内労組幹部が一体となって推進しようとしています。
 しかし都構想が粉砕された中で、これまで通りの攻撃が通用するわけがないのです。こんな無様な事態に資本家階級を追い込んでいるのは、闘う労働組合の拠点をもって「戦争か革命か」の時代に乗り込んだからです。
 橋下打倒闘争ではっきりしたのは、一人でも労働組合を体現して闘えば、必ず仲間ができるし勝てる。そしてこの時代にいよいよ階級的労働運動の爆発的拡大が始まるのです。「動労総連合の全国化」とはそういうことだと思います。体制内労働運動の裏切りをはっきりさせ、「ゼネストをやろう!」と真正面から訴えて、自分の職場に階級的労働運動の拠点を組織するために全力で踏み出しましょう。