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戦争法案と一体の労働法制改悪を許すな!

月刊『労働運動』34頁(0305号06/01)(2015/08/01)


戦争法案と一体の労働法制改悪を許すな!

(写真 東京新聞【7月24日付】より)

 今国会で、安保関連法制と一体で、労働法制の改悪が強行されようとしている。労働者・労働法の弾圧は、戦争に直結する。事実、1926年労働争議調停法の制定があり、産業報国会化が進み、労働組合が根絶されて侵略戦争に突入していった。
 現在の大きな労働法制改悪攻撃は、①労働者派遣法改悪、②残業代ゼロ法、③解雇の金銭解決制度だ。安倍政権は戦争法案を成立させ、さらに派遣法改悪と労働基準法改悪案=「残業代ゼロ法」案を成立させる構えだ。

3年でクビ、一生派遣

 労働者派遣法改悪案が、6月19日に衆議院で強行採決され、参議院に送付された。
 派遣法改悪の最大の変更は、どの業務で働く人も最長3年までしか在籍できなくなる一方、受け入れ企業は人を替えれば同じ職場で派遣を雇い続けられることだ。現行法では一般業務の場合、企業は同じ職場で3年を迎えた派遣労働者を、直接雇用しなければならない。
 派遣法の改悪で、派遣労働の原則である「例外的・一時的な雇用で常用雇用の代替にしてはならない」という建前が投げ捨てられ、完全に歯止めがなくなる。派遣社員の年収は約200万~300万円で、正社員の平均年収の半分程度。企業にとっては派遣社員の方が圧倒的に安上がりで、派遣への置き換えが一気に進み派遣労働者の激増は不可避、総非正規職化攻撃だ。
 労働者側から見れば3年ごとに数百万人の労働者が解雇されるということだ。通訳や秘書などの期間制限がない「専門26業務」の派遣労働者40万人も、3年後に仕事を失うことになる。
 「派遣は使い捨てなのか!」と女性労働者の怒りの声があがっている。

残業代ゼロ、過労死招く

 「残業代ゼロ」制度創設などを盛り込んだ労働基準法改悪案が4月3日に閣議決定、国会に提出された。正式名は「高度プロフェッショナル制度」で、高度専門職を対象に時間外、深夜・休日の残業代を一切払わなくてよいとする制度だ。年収1075万円以上の研究開発職等が対象と言っているが、該当業種の拡大や年収要件の引き下げなどは不可避だ。過労死の蔓延にもつながる。「8時間労働制」を完全に否定し、労働者を奴隷の地位に突き落とすものだ。夫を過労自殺で亡くした遺族は「残業代ゼロではなく過労死ゼロにしてほしい」と訴えている。

金さえ払えば首切り自由

 6月16日、規制改革会議が、解雇問題を金で 解決する「解決金制度」(金銭解雇)の導入に向け有識者会議を設置して検討すべきと 安倍首相に答申した。安倍は「規制改革は成長戦略の中核。提言をしっかりと実現していくことが使命だ」とコメントした。裁判で解雇無効の判決が出ても、職場復帰させず金銭を払えば退職させられる。首切り自由の社会になるのだ。

 戦争を阻止し、労働者の生活と権利を守るのは闘う労働運動の復権以外にない。戦争法案と労働法制改悪を強行する安倍政権を打倒しよう。  (編集部)