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主人公は労働者だ 動労高崎のストライキ

月刊『労働運動』34頁(0307号02/06)(2015/10/01)


社会の主人公は労働者だと実証した動労高崎のストライキ

(写真 スト通告し、駅前に登場した!)

木村 洋一(動労連帯高崎組合員)

 9月12日、「動労連帯の指令により、ただいまより業務終了時までストライキに入ります」。管理者4人は無表情で無言。「では失礼します」と背を向けて退出しようとすると、かすかに「...はい」の声。社会の主人公は労働者だ、と実証した瞬間だ。
 私の職場でストは1人だったが、会社は無力だった。圧力をかけることも、御用組合に妨害させることもできなかった。5人、10人がストに入ると業務は回らなくなる。かつかつの人員だからストの威力は絶大だ。
 私はJR高崎鉄道サービス(TTS)で働いている。JR東日本の100%子会社で、車両と駅舎の清掃を委託されていたが、3年前からは構内入換運転と車両検修、さらに駅業務の外注化の受け皿になってきた。所属は熊谷事業所。高崎支社管内、埼玉県内で大宮以北の高崎線の駅の清掃を担当している。
 ストの要求項目は明快で、①構内・検修のTTSへの出向者をJRに戻せ。②清掃現場の人員を増やせ。③清掃労働者の賃金はじめ労働条件を改善しろ。
 ①は、検修外注化でTTSに3年の約束で出向に出されたJR社員を期限の9月30日でJRに戻せ。人も構内・検修の仕事も同時にJRに戻せ、転籍など認めない、という意思表示だ。
 ②は、上野東京ライン運用開始で、車両基地のある籠原では折返しと車両分割・併合が激増、車両清掃が間に合わなくなっている。一方で人員は増えない。籠原事業所の切実な問題だ。
 ③は、パートの時給が870円でフルに働いても手取り月10万円前後。生活が成り立たない。契約社員になっても手取りは11万~12万円、新人が入っても定着できないし、そもそも入ってこない。なんとかしろ!
 そして、スト決行にあたって最も念頭にあったことはもちろん、「戦争法反対!安倍打倒!」。
 国会を12万人が包囲する、全国で100万人が反対を叫ぶ。人々が勇気を奮い起こして反政府行動に立ち上がる。一人ひとりが社会の主人公として歩み始める。すばらしいことだ。
 まだできていないことは、資本の活動を止め打撃を与えることだ。安倍政権を支える資本家は、自分の会社が平穏であれば、何万人のデモに国会が包囲されようが痛くもかゆくもない。
 職場で労働者が団結し、ストで資本の活動を止めることが、安倍政権打倒への大道であり、戦争法阻止の力だ。生産するのは労働者だが、生産を止められるのも労働者だ。戦争を担わされるのは労働者だが、戦争協力拒否で戦争を止められるのも労働者だ。動労総連合の先陣を切ってストを決行し、その第一歩を示せたと思う。資本に歯向かう労働者の輪を広げ、職場を支配していくことが戦争阻止のゼネストの組織化だ。
 「あんたみたいな人が出てきてよかった。あたしは会社にいろいろ文句を言ってきたけど何も変えられなかった。もう定年退職まぎわだけど、うれしいよ。応援するからね」と言ってくれた先輩の思いにこたえ、また動労千葉・動労水戸はじめ支援に駆けつけてくれた仲間にこたえるため一歩も二歩も前進することを誓いたい。