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動労千葉新書記長にインタビュー

月刊『労働運動』34頁(0308号02/03)(2015/11/01)


解雇撤回、外注化阻止でもうひと勝負する!
動労千葉新書記長の川崎昌浩さんに、大会とストについてインタビュー

―大会の課題と論議について話して下さい。
川崎 大きくは三つの課題を掲げてやりました。一つは、分割・民営化から30年、解雇者9人の6・30最高裁決定があり、9月9日にJR東日本に採用手続きやり直せと申し入れた。闘いを継続するということです。二つは、9・19戦争法の強行採決下で労働組合の産業報国会化を許さない闘いが問われている。国鉄闘争が重大な意味を持つ時代が来ました。三つは、第二の分割・民営化である外注化・非正規職化攻撃との闘いです。外注化3年目で新たな外注化阻止闘争をつくる課題です。
 そのために当面、動労千葉が闘う課題と方針を鮮明に打ち出しました。
 分割・民営化反対ストを闘ってから30年間、組合員が職場で必死になって闘ってきたからこそ、今回の方針も方向性も出すことができました。方針があるから闘ったわけではなく、現場で歯を食いしばって闘ってきた労働者の誇りがあって、それを若い世代につなげていく大会にできたと思います。
 大会では、俺たちの次の世代がどうなるのか、特に外注化、労働強化をめぐって真剣な論議になりました。国鉄採の中で、乗務中に倒れる組合員が出るなど深刻な状況になっています。国鉄採がいなくなった後、平成採がどうなるのか、みんな真剣に考えているのです。
 それを具体的に方針にするのは本部の責任です。書記長という大任を預かったのは大変だと思っています。でも組合員と一緒だったらできると思います。
 今の60歳は、以前と比べると倍の仕事をしています。必死になって事故も起こさず頑張っています。事故を起こすと当局に弱みを握られるからでもあり、鉄道労働者の安全に対する誇りでもあります。明けで8時間乗務する行路もあり、第二の尼崎事故が起きてもおかしくない状態です。それが切迫した意見として大会でも出ました。しかし、大会でそういう意見を言うこと自体は活性化の証であり、一歩前に出ようということです。
 もう一つは、外注化問題です。外注化されて丸3年で、外注先に行かされた組合員もJRに残った組合員も苦闘を味わってきました。同じ職場でありながら、制服も違う悔しさもあり、さらに出向延長の通知が出されました。他方、渡辺剛史君には「出向解除」が出されましたが、JRに戻っても仕事がないんです。JRがやっていることのひどさは許せません。そのことへの怒りはものすごいものがありました。こうした中で、10・1~2ストライキの方針が決まりました。本当にいい大会でした。
 さらに今年の大会は、人事大会でもありました。一番の象徴的な人事は、三役に幕張支部の関道利君が入り、青年部の木科雄作君が執行委員になり、渡辺靖正君も共闘部長になり、なにより幕張の山田護支部長が外注化対策特別執行委員になり、外注化阻止決戦の展望を開く人事体制をつくったことです。10月5日の第一回執行委員会では「万全の体制でやれば勝てる展望はある」と田中委員長から提起されました。外注化阻止決戦に勝利するためにも書記長として頑張ろうと思っています。

―組織拡大を組合員のみんなが頑張っていますね。
川崎 本部と現場が一体で集中して組織拡大にいけば闘いは大きく進むと思います。「日刊動労千葉」に行路延長を載せたらホームページのアクセスが急増しました。東日本の運転士が見ているということです。
 また、幕張のCTS組織化もエルダーの組合員の決起があったからです。普通はエルダーになるとお役ご免ですが、動労千葉のエルダー組合員は本気で闘ってくれます。動労千葉は、職場を基点にした運動を進めていますが、社会全体を考えた運動をしているからです。組織拡大は、人生をかけて闘って仲間を獲得する運動です。そのためにも厳しい意見を言うこともあります。自分たちと同じ思いをさせたくないから仲間を増やして会社とやり合う。職場で仲間と話し合い、おかしいことはおかしいと言える。組合員は、青年のことをみんな考えています。そのことを平成採は見ている。だから仕事も真剣にやるのです。現場が厳しくなっている時こそ、本部が問われます。「対応が遅い」と言われたりもします。現場の声をもとにして団交をやりますが、会社の言う一言ひと言に意味があります。外注化についても会社は「10年スパンで考えている」と回答していますが、これはJRに戻さないという、ものすごい大きな意味のある発言で、退職か転籍かを迫られることになります。
 この3年間で十数人の組織拡大をしました。外注化されて初めて、非正規労働者の現実がわかってきました。会社の攻撃の中に矛盾があることを見極めたのです。そして正規の組合員がCTS労働者と共に闘おうとなった。最初は、CTS当局との団交で窓口からつくりました。労働条件もJRとは考え方が違うし、標準数の考え方も変わります。低賃金で労働条件も劣悪だから、すぐ辞めていくし、人が集まらない状況です。構内運転をやっているプロパーもJRと同じ仕事をしているのに低賃金で、しかも責任を問われる。結局、CTSはJRの委託料でやっているので問題はJRです。CTS労働者に響く闘いをやっていきたいと思います。
―解雇撤回闘争についての論議をお願いします。
川崎 物資販売については事前に、各支部の職場集会を開いて論議しました。大会では争議団支援基金の継続も決まりました。銭金ではなく労働者の誇りの問題だとみんなが思っているからです。国労などは2010年「4・9和解」で「二度と不当労働行為は争わない」と誓約書まで書かされていますが、これは全面屈服です。動労千葉は不当労働行為を認めさせたので、解雇撤回とJRの謝罪を求めていきます。9月9日にJR東日本が申し入れを受け取ったので、団交を求めていきます。

―戦争法との闘いについて話して下さい。
川崎 国鉄分割・民営化で労働運動をつぶして改憲する攻撃と闘ってきたので、引くことはできません。戦争問題は労働者にとっては生命にかかわる最大の問題です。労働者の権利を守ること、外注化問題と戦争問題は一体です。8・30国会闘争に50人で行きましたが、組合員からは「国会に行かないのか」との声があがっている状況でした。

―10・1ストを話して下さい。
川崎 外注化から丸3年目で、8月中旬に団交し、55歳以下だけの面接ではなく全員の面接をやると確認したのに、会社は9月8日から「出向延長」を出しました。怒りも激しく、ストに込められたものは大きいです。来春闘でCTS組織拡大をめざします。スト突入時には線路を挟んで職場の中と外でシュプレヒコールの交歓を行いましたが会社は手出しできず、みんな明るく闘っているのが本当にうれしかったです。総決起集会も大成功でした。集会をパンフレットにしようという職場からの声も出ています。本当にいい闘いだったと思います。
 (敬称略)