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2・14~15国鉄集会への結集をよびかけます

月刊『労働運動』34頁(0311号02/01)(2016/02/01)


2・14~15国鉄集会への結集をよびかけます

(写真 2015年2月東京国鉄集会)

白井徹哉(国鉄闘争全国運動事務局長)

★国鉄闘争の新たな闘いの開始

 国鉄分割・民営化で7628人の国鉄労働者にJRへの不採用通知が出された1987年2月16日から間もなく29年を迎えます。全国9カ所で国鉄集会が開催されます。多くの方の参加を訴えます。
 国鉄闘争全国運動は昨年末、呼びかけ人会議を開催し、国鉄1047名解雇撤回に向けた新たな署名運動を開始することを確認しました。JRに対してストレートに解雇撤回と採用を要求する署名運動です。
 昨年6月の最高裁決定に基づく東京高裁の確定判決は、採用候補者名簿が不当労働行為意思のもとに作成されたことをハッキリと認定しました。また裁判過程で弁護団が提出した新たな証拠(『JR西日本井手正敬会長と語る国鉄改革前後の労務政策の内幕』)は、不採用基準の作成を指示したのがJR設立委員長・斎藤英四郎だったことも明らかにしています。裁判所はこれについては否定も肯定もできず沈黙しました。
 国鉄改革法23条第5項は「職員の採用について、当該承継法人の設立委員がした行為は、当該承継法人がした行為とする」と規定しています。つまり最高裁認定と井手議事録によって、JRが採用差別について明確に法的責任を負うことが明らかになったのです。
 私たちは、「解雇を撤回し1987年に遡って採用せよ」を要求する新たな闘いを開始します。

★JRに解雇撤回を求める闘い

 30年に及ぶ国鉄分割・民営化反対闘争が、新たな生命力を獲得して新たな闘いを始めることは本当に決定的なことです。
 国鉄分割・民営化攻撃は、戦後革命期以来、脈々と闘われてきた日本労働者階級の闘いと団結、その階級性を核心部分で破壊するブルジョアジーの戦後最大の攻撃でした。同時にそれが新自由主義の出発点をなす攻撃でした。
 この中曽根の〈戦後政治の総決算攻撃〉によって日本労働者階級―労働運動は、決定的なダメージを受け、後退しました。
 しかし、動労千葉は2波のストライキを貫徹して団結を守り抜き、その闘いは動労総連合へと拡大し、また国鉄1047名解雇撤回闘争を生み出しました。国鉄闘争は、新自由主義の環とも言える連合労働運動との対抗関係を形成し、ブルジョアジーの攻撃を核心部分において打ち破ったと言えます。
 分割・民営化反対闘争を引き継ぐ国鉄1047名解雇撤回闘争や動労千葉の闘いを破壊するために、ブルジョアジー・国家権力はあらゆる手を尽くしてきました。
 4者4団体によって受諾された2010年「4・9政治解決」は、謝罪も解雇撤回もなく、金銭によって国家的不当労働行為を正当化し、人生をかけて闘いぬいてきた1047名の国鉄労働者の思いを踏みにじるものでした。
 動労千葉と4人の国労闘争団は政治和解を拒否しました。「国鉄闘争の火を消すな!」の声で国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな全国運動(国鉄闘争全国運動)が2010年6月に出発しました。
 動労千葉の裁判闘争は、一審の伊藤証言により動労千葉や国労の組合員が当初は採用候補者名簿に記載されており、名簿から排除した張本人が葛西であったことを明らかにしました。
 一審白石判決は、採用候補者名簿に記載されていればJR東日本に採用されたはずとしてJR職員としての給与支払いを命じる判決を出さざるを得ませんでした(白石裁判長は直ちに左遷となった)。
 高裁段階で国鉄闘争全国運動は署名運動を呼びかけ、計4万4千筆の署名を高裁に突き付けました。難波裁判長は、白石判決に続いて「採用名簿への不記載は不当労働行為」と認定しましたが、JRの採用の自由をタテに「採用されたとは限らない」という理由で慰謝料の支払いのみを命じました。
 難波裁判長による反動判決を打ち破る闘いとして、最高裁段階では10万筆署名が提起されました。当初は困難とも思えた目標でしたが、全国津々浦々で国鉄闘争支援陣形との再結合が追求され、8回に及ぶ提出行動を経て10万筆が達成されました。
 さらに弁護団は前述のように決定的な新証拠を裁判所につきつけ、JR設立委員長の斎藤が葛西や井手と選別再雇用を謀議し、斎藤の指示によって葛西が不採用基準を作成したことが明らかになったのです。
 難波裁判長のいう「JRの採用の自由」論は文字通り崩れ落ちたのです。
 動労千葉は2015年9月9日、JR東日本本社に対して「高裁判決に基づいて動労千葉組合員を採用せよ」と団体交渉を申し入れました。署名運動と裁判闘争を見事に結合させ、さらには動労千葉―動労総連合の外注化阻止闘争などJR現場の闘争との団結をも背景に、国鉄1047名解雇撤回闘争は30年を超えて闘い続ける展望と具体的な運動方針をつかみ取ったのです。
 最高裁の地平と新たな闘いの開始は、1047名全体の地平であり闘いです。文字通り新たな国鉄1047名解雇撤回闘争の開始です。

★労働法改悪阻止と一体の闘い

 新たな国鉄1047名解雇撤回闘争は、安倍政権による派遣全面解禁や残業代ゼロ・金銭解雇制度などの労働法大改悪、改憲・戦争――国鉄分割・民営化以来の大転換攻撃に対して、もう一勝負する闘いのスタートでもあります。
 昨年9月に強行された派遣法改悪はマスコミでさえ「1985年以来の大転換」と報じています。派遣法制定は、1987年の国鉄分割・民営化と一体でした。
 安倍政権は「成長戦略」の名で社会を丸ごと民営化し、「地方創生」の名で地方を切り捨て、労働者を貧困と非正規雇用に突き落としています。
 すべてが限界に来ています。国鉄1047名解雇撤回闘争の新しい闘いをこうした怒りの声と闘いの意欲を結集し、労働運動再生の展望を示す運動としたいと考えています。
 2・14国鉄集会を新署名運動の出発とします。今後、署名運動の呼びかけ・賛同なども拡大し、国鉄闘争全国運動の第2期の運動としていきたいと思います。国鉄闘争全国運動と動労総連合を先頭に労働組合運動再生の展望を切り開く2016年としたいと考えています。