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闘う合同一般労組 介護職場は新自由主義の矛盾の固まり

月刊『労働運動』34頁(0327号12/01)(2017/06/01)


闘う合同一般労組
日常的な組合活動、職場闘争を通じて団結を固めていく!
介護職場は新自由主義の矛盾の固まり。

それを労働者の団結に転ずることは可能だ!

 関東地方の介護施設で働きはじめて数年になります。
 「組合をつくって安心して働ける職場に」と訴えて、組合を結成して闘ってきました。
 しかし、現状は悪くなるばかり。職員数が常に不足して仕事もきつくなり、夜勤も増えて疲労が極限に達しています。そこで職員増員と賃上げを柱に今年から春闘を取り組むことを決め、1~2月に入って職場アンケートを始めました。
 施設側は「求人の募集をしても応募がない」と言いますが、賃上げその他の待遇改善をすればそんなことはないはずです。そんな中で「がまんの限界を超えた」と、新たに組合に加入してくれる人も出てきました。

職場アンケートにたくさんの意見が寄せられました

 「長く働き続けるためには夜勤を減らすしかない」「夜勤回数制限に賛成」「夜勤を減らすなら基本給のアップが必要」「基本給を上げれば応募はあるはず」「基本給を上げてほしい。働く意欲のためにも昇給額をあげてほしい」「基本給があまりに低いので上げてほしい」「休憩をちゃんと取りたい」「夜勤用の仮眠ベッドを設置してほしい」「ベテランが退職しても補充されない。もう限界」
 どれも切実な声ばかりです。
 特に、長時間の夜勤明けでのお昼近くまで続く残業が本当に過酷であること、また職場の一部では夜勤職員が一人しかいないため休憩も十分に取れず緊急時対応の不安が大きいなどの意見が出されました。
 前日、夕方から20時間近くぶっ通しで働き、翌昼に帰宅するのです。勤務中の体調や事故はもちろん、帰宅途中の居眠り運転も心配です。
 過酷な労働条件のため退職者が増え、他方で新規採用が減っているため、以前とは比較にならない労働強化が生じています。少ない人数で以前と同じ業務をしなければなりません。「基本給を上げ、手当を増やして欲しい」という声もありました。介護労働の誇りや意欲、現場労働者の尊厳、そして安全に関わる問題です。
 とにかく現場労働者の切実な思いや職場の現状を施設側にぶつけなければならない。その一念で要求書を作成し、団体交渉を申し入れました。 団体交渉には職場から約10人が参加しました。組合からは長時間夜勤の問題や、職員が確保できないため入浴も実施できない日もある状況を指摘し、要員確保が急務だと訴えました。
 しかし「賃上げで赤字になって倒産したらあなたたち職員が困るのでは」「財源がないので難しい」。団体交渉はけっして容易ではありませんでした。しかし反論も含めてがんばりました。
 ついに団体交渉の最後の局面で、団交に参加した組合員や傍聴の職員から「休日出勤をしないと(業務が)維持できない。いつまでガマンすれば」「正社員が夜勤にまわり日勤はパートだけ」「休憩もないまま夜勤明け残業は本当に厳しい」「健康が気になる。このままでは大事故につながる」などの切実な訴えが次々となされました。
 現場の切実な声の迫力を前に施設側も「緊急事態であることは十分に認識できた」「職場環境を良くするために真面目に考えます」と答えざるをえませんでした。
 けっしてめざましい成果があったわけではありませんが、サービス残業はさせず、賃金を必ず払うことなどを確認させたりしました。何よりも現場の労働者が団結を守って、実際に働いているのは誰なのかをしっかり示し続けることができれば必ず職場は変えることができると確信できるものとなりました。
 公然と要求書を提出し、団体交渉を行うことは大変でした。未経験なこともあり失敗もありました。でも、職場における当たり前のオーソドックスな労働組合運動の展開ができたことは大きなプラスです。労働者の側が結束し、団結を維持し続けることが、必ず力関係を変えると確信しました。
 課題は、日常的な組合活動、職場闘争を通じて、労働者間の分断を打ち破って団結を固めていくことです。団結の要素を1%でも増やし、不団結の要素を1%でも減らす日常的な討論や闘いが必要です。
 労働者は闘うことを通して、それは一歩ずつ前に進んでいくはずです。

過半数組合をめざしたい

 今春闘を通して職場ニュースで「職場のすべてのみなさん、組合に入って下さい。過半数組合を目指したい」と訴えるところまできました。
 いま、どんな職場でも同じと思いますが、介護職場は典型的な現代社会の縮図であり、新自由主義の矛盾の固まりです。でもそれを労働者の団結に転ずることは可能なはずです。現場の労働者にこそ、この現状を変える力があることを闘いの中でみんなでつかんでいけるようにしたいと思います。
 (関東の介護職場労働者)