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地平線帰還の強制と対決し、核も原発もない社会へ!

月刊『労働運動』34頁(0329号15/01)(2017/08/01)

地平線
帰還の強制と対決し、核も原発もない社会へ!


 -NAZEN東京集会の報告ー

織田 翔子(NAZEN事務局)

 テーマは一つ、「怒り~フクシマに蓋(ふた)をするな!~」。「参加者全員が発言者」で2時間自由討論という企画。討論の材料となる短編映像は福島の被曝と帰還強制の現実と、その反対署名を職場でとったら解雇の都庁議事堂レストランの闘いをテンポ良く表現したもの。続いて、孫の甲状腺がんは原発事故の責任だと、福島で訴え続けるNさんに、絵本「希望の牧場」の朗読をして頂きました。
 新スタッフの青年労働者Aさんが討論の口火を切りました。「3・1には勇気を振り絞って参加した。それをきっかけに初めて『仲間』ができたので、今までは影をひそめて働いていた職場で、政治の話もするようになった。自分のできることから少しずつだけれど行動している」。
2011年3・11当時は中学生だったが、原発事故に全ての社会の矛盾がつながっていると感じてデモや署名集めをするようになったM君は、「当時より今の方が運動に立ち上がる難しさを感じている」と葛藤しながらも、一人で街頭署名をやった経験から「署名は新しい出会いも作るし、学校でも討論を生み出せた」と展望も。
 何より衝撃だったのは、街宣で出会った初参加の元除染労働者Gさんの発言。現地では「犯罪者扱い」、作業場を移る度に暴力団関係者ではないという書類にサインさせられる。朝礼で上司から「居酒屋で給料が安いと文句を言った作業員がいる」とか言われる。個人宅の敷地内に入る作業も多いからその対策に女性が雇われている。除染作業も、線量が高くても深めに掘って砂かけて埋めるだけで、本当に意味があるのかどうか疑問。作業員の健康診断はごく普通で「こんなもんで大丈夫なのか」と不安。これに対して医師のYさんが「急性被曝症状しか調べられないアリバイ的な健康診断」と暴露、小児甲状腺がん191人の問題の本質と同じであることが明らかになりました。非正規、低賃金、健康も保障されない、誇りも奪われ、文句ひとつ言わせない。この除染労働者の生々しい現実への憤りから、やはり闘う労働組合しかないという意見が多く出されました。
 「江戸川区職での署名運動に刺激されて、目黒でも決起」「辺野古基地建設への協力拒否を決議した全港湾労組の闘い」「自らの職場に闘う組合を作る!」決意などふくしま署名を契機に職場での闘いが具体的に前進していること、さらに、除染労働者や原発労働者との連帯で被曝労働拒否の闘いを深めていくことが確認されました。
 最後に、ふくしま共同診療所の椎名千恵子さんの「あきらめたらそれだけの結果しか出ない、そんな余裕はないはず」との訴えに、参加者が涙する場面もあり、運動の精神の核心部分の提起となりました。全国の闘いで帰還の強制と対決し、署名運動と職場闘争で仲間を増やして、核も原発もない社会を奪い返していきましょう。