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労働組合運動の基礎知識 第35回 熱中症測定器を各職場に

月刊『労働運動』34頁(0330号07/01)(2017/09/01)

労働組合運動の基礎知識 第35回
日本WBGT-Monitor(熱中症測定器)を各職場に常備させよう!


 暑さ指数の事をWBGTという。熱中症チェッカーとアマゾンで検索すると、数千円台の安い測定器が出てくるが、これは正確な数値が出ないので使い物にはならない。WBGT-Monitorと検索すると3万円くらいの測定器が出てくる。私の職場で使っているのはWBGT-Monitor AD-5695という機種で、このレベルだとWBGTだけでなく、乾球温度や相対湿度、絶対湿度が別々に表示されるので暑さ指数の全体像をつかむことができる。
 暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)とは、人間の熱バランスに影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた温度の指標である。熱中症の危険度を判断する数値として、環境省では2006年から情報提供している。暑さ指数(WBGT)は乾球温度計、湿球温度計、黒球温度計を使って計算される。輻射熱とは、地面や建物・体から出る熱で、温度が高い物からはたくさん出る。これら3つに加え、風(気流)も指標に影響するのでこれら全部の関数が暑さ指数であり、WBGT-Monitor はこの数値をすべて計測することができる。
 WBGTが25℃未満は注意。25~28℃は警戒。28~31℃は厳重警戒。31℃以上は危険である。簡単な目安は気温と湿度である。気温が30℃で湿度が70%ならばWBGTは28℃となり厳重警戒である。気温30℃で湿度が90%だとWBGTは32℃であり危険となる。
 WBGTが32℃以上では、皮膚温より気温の方が高くなるので危険である。特別の場合以外は運動は中止である。WBGTが28~31℃は厳重警戒であり、激しい運動や持久走など熱負担の大きい運動は避けなければならない。
 私の職場は炎天下で古紙を積み下ろしするアスファルト上の現場なので10時、11時、14時、15時、16時と毎日5回WBGT-Monitorで計測して記録して提出することが義務付けられている。過去に熱中症で倒れた人がいて、会社全体で講習会や熱中症対策を行っている。熱中症は死に至る危険があるので甘く見ることはできない。数年前に一人熱中症になってから現場のすぐそばにプレハブであるがクーラー・冷蔵庫のある休憩室を設置することとなった。遠くの休憩室ではなく、すぐそばに休憩室をつくることが必要ということで対策を行った。それ以来スポーツドリンクはペットボトルで会社が購入して自由に飲むことができるようになった。
 2020年の東京オリンピックの女子マラソンは8月2日7時半スタートだ。男子マラソンは8月9日で同じく7時半スタート。オリンピックは7月24日開会式、8月9日閉会の酷暑の中で開催される予定だ。パラリンピックは8月25~9月6日。今年の8月9日の9時のWBGTは32℃を超えていた。マラソンレースの後半の時間帯だ。気温は40℃。あくまで私の職場のヤードでの計測であるが超危険ラインである。1964年の東京オリンピックは10月10日開幕式であり、涼しい時期であった。今この時期に五輪を開催するのは米国のテレビの放映権の都合である。選手を死に追いやるオリンピックを直ちに返上しろ!
小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)