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『国鉄分割・民営化と闘って30年 労働運動の変革をめざして』を読んで

月刊『労働運動』34頁(0331号10/01)(2017/10/01)


『国鉄分割・民営化と闘って30年 労働運動の変革をめざして』を読んで

安倍の改憲攻撃と真っ向から立ち向かうものとして本書が存在している

小泉 義秀(合同・一般労働組合全国協議会事務局長)
 「国鉄分割・民営化から始まった新自由主攻撃は、右翼・安倍首相が改憲を日程化するところまできている。労働運動の無力化がその推進力になっていることも明白である。外注化・転籍・低賃金化という新自由主義攻撃と真正面から闘いぬいてきた動労千葉の50年を明らかにした本書が、反動化が進む情勢に立ち向かう闘いの指針として、永く読み継がれることを祈念して筆を置く」(「あとがき」布施宇一動労千葉顧問)とあるように、本著は「闘いの指針」として永く読み続けることが必要な書である。第1~7章までそれぞれ研究会を開催し、討論しながら完成した本である。後追い的になるが、読む側もそれぞれの章ごとに「研究会」を開いて討論しながら読み進めるのも良いと思う。それぞれの章が一冊ずつ単行本にしても良い深い中身を持っている。
 安倍が9月28日召集の臨時国会冒頭にも衆院を解散する意思を固め自民党、公明党幹部に伝達したと報道された(東京新聞9月18日朝刊)。安倍は「批判承知『今なら勝てる』」と述べているが、追い込まれているのは安倍だ。安倍の追い込まれ解散であることをはっきりさせて闘おう!
 安倍は解散・総選挙で勝利し、改憲攻撃に撃って出ることを宣言しようとしている。改憲か革命かをめぐる戦後階級闘争の最大の決戦が開始された。
 改憲攻撃の基本政策は労働組合に改憲賛成の旗を振らせることにある。安倍の改憲とは日帝の核武装である。しかしそうはいかない。UA ゼンセン―連合崩壊情勢の中で動労総連合と合同・一般労働組合全国協議会、全国労働組合交流センターが憲法改悪絶対反対、労働法制改悪絶対反対の旗印を鮮明にして全労働者を組織するときが来たのだ。「11・5全国労働者集会・改憲阻止1万人大行進」に向かって総力決起しよう!
 国鉄分割・民営化と連合結成がもたらしたものは、戦後労働法制解体と非正規職の激増であった。改憲攻撃は、連合の崩壊とともに、膨大な非正規職労働者、女性労働者の決起と団結をひきよせている。それは連合を先兵とする全労働者支配の存立基盤の崩壊である。遂に到来した労働運動・労働組合の歴史的な革命的な大再編情勢である。
 本書の発刊は、国鉄闘争30年の闘いが連合崩壊情勢を引き寄せ、改憲粉砕の闘いの先頭に国鉄闘争がぶったっていることを示すものだ。
 「その中にはこの激動の時代に労働運動の変革をめざして進むにあたって普遍的な価値がきっと含まれている。そう信じている。一番訴えたいことは、闘いは何一つ終わっていない、闘いはこれからだということだ。本書が全国の仲間たちによって労働運動の前進のために活用されることを願っている」(「まえがき」田中康宏委員長)とあるように、安倍の改憲攻撃と真っ向から立ち向かうものとして本書が存在している。そう思いながら読んだ。