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11月労働者集会・改憲阻止1万人行動の報告 全国運動事務局

月刊『労働運動』34頁(0333号02/04)(2017/12/01)


11月労働者集会・改憲阻止1万人行動の報告 全国運動事務局

★ 11月労働者集会の総括 国鉄闘争全国運動事務局

民主労総の闘いに学び、職場・地域で実体を持った運動を作り出そう

 11月労働者集会は、関西生コン支部・港合同・動労千葉の3労組の呼びかけで20年目の集会となりました。国鉄分割・民営化以降の労働運動の後退を打ち破って前進してきた3労組を先頭に、「闘う労働組合のネットワークをつくろう」の努力がついえることなく継続してきたことは本当に素晴らしいことです。
 数年前から国鉄闘争全国運動も呼びかけに加わった本年の11・5集会には、全国から4800人が集まり、韓米に加えドイツから機関士労組6人が参加するなど、国際連帯もパワーアップしました。昨年に引き続き、「東京―ソウル国際共同行動」として、さらには「改憲阻止!1万人大行進」として11月集会の新たな出発点ができました。
 全国の多くの人びとの努力によって労働運動の再生をめざす挑戦が維持され、20年の節目にあたって改憲阻止闘争の決戦を宣言する、新たな出発点をつくりだすことができました。全国の皆さんと新たな決意を共にしたいと思います。

●総括の核心

 韓国民主労総の闘いは、新自由主義は打倒できると示した!
 総括ポイントは様々あると思いますが、何よりも韓国におけるロウソク革命の歴史的意義です。
 昨年の11月集会の翌週、訪韓団200人余は、民主労総ソウル地域本部と共に200万人のロウソク行進に参加しました。パククネ退陣行動は、延べ1千数百万人が参加する十数波の街頭行動として継続し、まずサムソングループのトップが拘束され、ついにはパククネ大統領を監獄に送る地平に至りました。
 今年の11月集会や訪韓闘争を前後する一連の過程で、韓国の仲間との様々な交流を通して、昨年来のロウソク革命を追体験しました。日韓理念交流の報告によれば、ロウソク革命には、韓国国民の5人に1人が参加し、大衆的に〝革命〟として明確に認知される闘いでした。それは、政権の不正や腐敗の弾劾にとどまらず、韓国資本主義とブルジョアジーに対する根底的な怒りの爆発として、そして闘いの持続性・大衆性・政治性・意識性など諸点において、ナショナルセンターである民主労総が中心部隊となった、労働者階級による革命でした。
 世界的にみても、1980年代から本格化した新自由主義の歴史において、労働者階級が中軸となって、大衆的規模ではっきりと「革命」と認識される事態が生じたのは初めてのことです。もちろん「本当の革命はこれからだ」の過渡的状態です。しかし、単なる政権交代にとどまるものではありません。
 韓国労働者の闘いは、労働者階級の力で新自由主義を打倒できることを実証しました。これは新自由主義の歴史を以前と以後に分かつ大事件です。例えるならロシアの1905年革命です。19世紀末、資本主義は帝国主義段階へと推転し、ベルンシュタインらの修正主義が登場して革命が否定される中で、1905年革命はツァーリ権力にとって代わる労働者権力の樹立を現実的課題として歴史上につきだしました。レーニンやローザはその歴史的意義をとらえ、新たな努力を開始したのです。
 民主労総のような階級的労働運動、階級的ナショナルセンターをつくりだすならば、労働者階級は新自由主義を打倒できることが示されました。民主労総は新自由主義に対抗しうる労働運動は現実に可能であることを証明したのです。
 今年は1987年の労働者大闘争から30年です。戦後世界体制の根底的動揺のなかで1970年代、韓国における朴正煕(パクチョンヒ)政権の軍事独裁政権(維新体制)と、北朝鮮の金日成(キムイルソン)・スターリン主義の独裁体制はコインの表裏のように強化されました。
 韓国では、1979年のYH事件をきっかけに朴正煕が射殺され、維新体制は終焉(しゅうえん)。全斗煥(チョンドファン)政権の登場と光州(クァンジュ)事件(1980年)、そして1987年の労働者大闘争として歴史は進みました。
 1990年代半ばに民主労総が結成され、新自由主義との激烈な対抗関係として韓国階級闘争は発展しました。南北分断体制の一方である韓国において歴史は、新自由主義と労働者階級(民主労総)との激突として展開し、他方では北朝鮮スターリン主義の危機と戦争情勢として進みました。
 南北朝鮮における階級闘争と戦争情勢は完全に一体です。その韓国においてパククネを打倒するロウソク革命として歴史の針が進んだことの意義は重大です。
 さらには、この数年における鉄道労組を先頭とした民営化に対する非妥協の闘争と世論の獲得、あるいは非正規職撤廃のゼネストなど、あらゆる努力などを通して、民主労総は、職場において階級的団結を組織し、維持し続けてきました。これこそがロウソク革命の最大・最深の原動力です。民主労総は新自由主義に対抗して労働者の階級的団結を組織しぬいたのです。民衆総決起を組織し、支えたパワーでもあります。
 私たちは、ロウソク革命の世界史的意義をとらえると同時に、何よりも民主労総に学び尽くさなければなりません。11月集会の総括を何よりもここに置きたいと思います。

●職場、地域で実体を持った運動を作り出そう!

 主体的にとらえ返すと、韓国の労働者との国際連帯を発展させてきたのが11月労働者集会です。呼びかけ4団体は、日本における新自由主義の出発点であった国鉄分割・民営化と30年間にわたって闘い抜き、外注化をはじめとする新自由主義のあらゆる反動(労組解体攻撃)を打ち破って闘いを継続してきてきました。この30年間の格闘こそが国際連帯の原動力です。それは言葉ではなく実体(実態)を持った闘いです。
 あらためて韓国の闘いに学び、連帯するために何をなすべきか。職場や産別、地域、様々な運動すべてが知恵と努力を尽くして実体(実態)をもった運動をつくりだすことです。労働者を獲得できる普遍性をもった闘いを職場や地域からつくりだすことです。これこそが国際連帯を前進させる道です。新自由主義のあらゆる矛盾が社会と職場、労働者の生活や権利を破壊し、覆い尽くしているのは韓国と同じです。これに対抗し労働運動をつくることは可能なはずです。
 11・5集会は、改憲発議と国民投票に向かう2020年までの決戦を宣言しました。いま私たちは大きな歴史的分岐点に立っています。情勢の転換に対応する主体的な飛躍と変革を成し遂げうるかどうかです。改憲阻止!1万人大行進は、4団体の呼びかけに16団体が協賛し、例年とは多少なりとも違う集会を実現しました。もう一度、原点に帰って、情勢に立ち向かい、あらゆる怒りを組織し直す出発点をつくることができました。
 課題は、職場・産別・地域から普遍性を持った闘いをつくりだすことです。労働者が団結して闘うことに展望があることを示すことです。ロウソク革命から学ぶことはできるはずです。何より改憲と朝鮮半島での戦争を止め労働者階級の反戦闘争をつくりださなければなりません。11・5集会はその出発点をつくりだしました。