組合の基礎知識の最近のブログ記事

2018年4月 1日発行 第0337号

 前回に続いて労働時間の問題についてです。今回は労働時間の範囲について考えてみます。 重要な基準として、労働時間とは使用者の管理・監督の下にある時間です。労働基準法はこの「実労働時間」がどこからどこまでかについては明確に規定していないので、労働組合があるかないか、職場慣行、労使の力関係で決まることが多く、簡単ではありません。 動労東京の八潮支部の仮眠時間をめぐって書いたことがありますが、仮眠時間が休憩時間か実労働時間かはそういう例の一つです。 ビル管理業務労働者の泊まり勤務で
月刊『労働運動』34頁(0337号11/01)(2018/04/01)


労働組合運動の基礎知識 第42回
何処からどこまでが労働時間か?

2018年2月 1日発行 第0335号

 日赤医療センター(東京都渋谷区)が医師の残業時間を「過労死ライン」の2倍に当たる月200時間まで容認する労使協定(36協定)を結んでいることが1月13日に分かったと東京新聞朝刊(14日)が報じた。 安倍は1月22日からはじまった通常国会に、残業時間を罰則付きで規制する法案を提出する方針だ。それは100時間未満という過労死基準(80時間)を優に上回るものである。更に医師への適用は5年間猶予される。自動車運転の業務も同様だ。5年前にも医師や自動車運転業務の時間外労働規制が問題に
月刊『労働運動』34頁(0335号10/01)(2018/02/01)


労働組合運動の基礎知識 第40回
36協定ー時間外労働の上限規制

2018年1月 1日発行 第0334号

 都庁議事堂レストラン解雇撤回闘争の事件で、被申立人「はなまる」の弁護団が書いた準備書面(1)の主張で、前代未聞の文言が「労基法上保護される労働組合活動とはいえない」である。こんな学説も主張も今までに見聞きしたことが無い。労基法上保護される労働組合活動などないからだ。どのような意味でこういう主張をしているのか解説してもらいたい。合法的労働組合活動という意味で述べているのかもしれないが、そういうことであればなおさらおかしい。 労働組合は「第一条 この法律は、労働者が使用者との交
月刊『労働運動』34頁(0334号08/01)(2018/01/01)

労働組合運動の基礎知識 第39回
はなまる弁護団の「労基法上保護される労働組合活動」とは?

2017年11月 1日発行 第0332号

労働組合運動の基礎知識 第37回 「黄犬契約」について  「黄犬契約」というのは、労働者が労働組合に加入しないことを雇用条件とすること。労働者が労働組合から脱退することを雇用条件とすること。労働者が労働組合に入ったとしても、積極的な組合活動をしないことを雇用条件とするもので、使用者が上の事実を行えば、黄犬契約として不当労働行為(労働組合法第7条1項1号)が成立する。 この言葉の語源は、アメリカで、英語では、『yellow dog contract』と黄犬契約を表現する。英語で
月刊『労働運動』34頁(0332号13/01)(2017/11/01)

労働組合運動の基礎知識 第37回 「黄犬契約」について

2017年10月 1日発行 第0331号

 東京都庁議事堂レストランの解雇撤回闘争における労働委員会の「答弁書」(はなまる)は「雇用契約は不要式契約であること」をしきりに強調している。「不要式契約」というのは、会社が労働者を雇用する場合に、必ず雇用契約書を書面で締結しなくてはならないという法はないということだ。労働基準法第15条は、労働条件を書面で提示する義務を課しており、書面で提示しなければならない項目と口頭で良い項目がある。しかし労働条件を書面で提示すれば、雇用契約書は必要ない。 何故そのことを強調してくるのかと
月刊『労働運動』34頁(0331号12/01)(2017/10/01)


労働組合運動の基礎知識 第36回
雇用契約についてー不要式契約とは何か!

2017年8月 1日発行 第0329号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)日本の最低賃金は世界最低水準 6月30日、民主労総は、「最低賃金1万ウォン」などを掲げて初の「非正規職ゼネスト」を打ち抜き、公共部門の非正規職労働者を中心に5万7千人がストに立った。 2016年10月に改訂された最低賃金は全国加重平均額で823円であり、一番高い東京で時給932円。一番低いのが沖縄と宮崎で714円である。時給823円は、1日8時間、週40時間働いたとしても、月収約14万3000円、年収約171万円にしかならない。この
月刊『労働運動』34頁(0329号13/01)(2017/08/01)


労働組合運動の基礎知識 第34回 日本の最低賃金は世界最低水準

2017年7月 1日発行 第0328号

雇用契約書についての諸問題  雇用契約書の作成は義務ではない。雇用契約書を作成・締結しなければいけないといった法律は存在しないからだ。その代わり、労働基準法第15条に「労働条件の明示」ということが定められている。多くの場合、雇用契約書を結ぶのはこの労働条件の明示手段のためである。法的に義務はないが、多くの企業では労働条件を明示するために雇用契約書を用いている。 労働契約法第4条(労働契約の内容の理解の促進)は「1. 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について
月刊『労働運動』34頁(0328号11/01)(2017/07/01)

労働組合運動の基礎知識 第33回

2017年6月 1日発行 第0327号

 みなし残業代、固定残業代については以前にも書いたことがあるが、労働相談等での違法な事例として多すぎるので、より具体的に書いておきたい。 一般に、「みなし残業」とは、給与の中に一定の残業代を含んでいる給与体系を言う。みなし残業は通称で、「定額残業代」や「固定残業代」などが普通の言い方だ。 重要なことは定額残業代でも、基準を超えたら追加支払いが必要だということである。 定額残業代の典型例としては、月〇時間分、または〇万円分の残業代を〇〇手当として毎月支払うというもの。手当の名称
月刊『労働運動』34頁(0327号11/01)(2017/06/01)


労働組合運動の基礎知識 第32回
みなし残業代、固定残業代について

2017年5月 1日発行 第0326号

 群馬合同労組においてバスの待合時間をめぐる判例を調べて合同・一般労働組合全国協議会傘下の労組で情報を共有化している。群馬合同労組の清水委員長が図書館で調べて送ってくれたバスの待ち時間をめぐる訴訟の判例を参考にして、「労働基準法における労働時間とは?」をテーマに考えてみたい。これは動労東京交通機械サービス八潮支部の仮眠時間をめぐる団交の争点にも関連する。 福岡地裁の平成27年5月20日の「未払い賃金請求事件」の判決をめぐる核心は以下である。 「労基法上の労働時間とは、労働者が
月刊『労働運動』34頁(0326号14/01)(2017/05/01)

労働組合運動の基礎知識 第31回
労働基準法における労働時間とは?

2017年4月 1日発行 第0325号

 裁判で「解雇無効」などとされた労働者に対し、企業が一定の金額を支払うことで解雇できるようにする「解雇の金銭解決制度」について、厚生労働省は3月3日、四つの案を有識者検討会に示した。これは「第13回 透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」(3月3日開催)で提出された「資料NO・1 検討事項の補足資料」のことを指す。 この資料には「第12回検討会における各委員の御意見を踏まえ、議論の素材として作成したもの(制度の導入を前提としたものではない)」という但し書
月刊『労働運動』34頁(0325号09/01)(2017/04/01)


労働組合運動の基礎知識 第30回
 解雇の金銭解決制度を許すな!

2017年3月 1日発行 第0324号

 (株)交通機械サービスの職場において就業規則の一方的不利益変更がなされ、従来は労働時間としてカウントされていた時間帯が、労働時間ではなく休憩時間とされて、深夜割増手当を含め大幅に賃金が下げられた問題である。 ここには二重の違法がある。一つは、労働契約法8、9条違反であること。二つ目は、従来夜勤の仮眠時間が労働時間としてカウントされていたものを、就業規則を変更して休憩時間扱いにして、その時間帯の賃金をカットしたことである。深夜割増分の手当もなくなるので大幅な賃金カットになる。
月刊『労働運動』34頁(0324号06/01)(2017/03/01)

労働組合運動の基礎知識 第29回
 夜勤の仮眠時間が労働時間としてカウントされるか否かの問題

2017年2月 1日発行 第0323号

 昨年12月2日の国家戦略特区第14回区域会議において、小池百合子都知事は「公務員の勤務時間について、1年単位の変形労働時間制導入、フレックスタイムを『週』単位で運用など、より柔軟な働き方を実現する制度を整備」することを提案した。このような重大な問題は、都の職員の労働組合の連合体である都労連との交渉事項である。それにもかかわらず小池は、都労連に提案することなく頭ごしに特区の会議に提案した。 一般職の地方公務員、地方公営企業の職員(地方公共団体が経営する交通、電気、ガス、水道な
月刊『労働運動』34頁(0323号11/01)(2017/02/01)

労働組合運動の基礎知識 第28回
国家戦略特区を使った都の労働者に対する1年の変形労働時間制攻撃

2017年1月 1日発行 第0322号

 労働相談の中で、よくあるのが「罰金」や損害賠償の事についてである。 例1として、電気設備の小さな会社で、運転中に起こした車の事故の修理代を請求された件である。事故を起こした時は、「損害賠償金を支払え」などと言われたことがなかったのに、後日会社を辞めると言った時に、「あの時の事故の修理代に10万かかっているので支払え」というものだった。 例2は、同じく観光バスの運転手が、バスを柱にぶつけてしまったケースで、その時は何も言われなかったが、やはり会社を辞めると言った時に、その修理
月刊『労働運動』34頁(0322号07/01)(2017/01/01)

労働組合運動の基礎知識 第27回
「罰金」や損害賠償について

2016年9月 1日発行 第0318号

 来月分から賃金規定を変えて賃金を一方的に引き下げる、退職金制度を無くす、という労働者に不利益な「就業規則と賃金規定」を会社が勝手に作成し、これを労働者に通告・周知したことをもってこの新たな就業規則と賃金規定で労働者を拘束することができるかというテーマである。 合同・一般労働組合全国協議会小竹運輸グループ労働組合が直面している新たな不当労働行為との闘いである。 就業規則の改定時は必ず過半数で組織されている労組か、従業員代表選挙で選ばれた労働者代表の意見書を添付し労基署に届け出
月刊『労働運動』34頁(0318号10/01)(2016/09/01)

労働組合運動の基礎知識 第23回
就業規則の不利益変更・賃金切り下げとの闘い(再び)

2016年8月 1日発行 第0317号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長) 破産・解雇攻撃との闘い  東京都内で5店舗を展開していたインドカレー店「シャンティ」が破産手続きを申立て、5店舗で雇われていたインド人とバングラデシュ人の16人を6月20日付で解雇した。1名を除く15人は5店舗で泊まり込み体制をとって自主営業を続けている。15人の労働者に2年間も賃金が支払われておらず、未払い賃金は残業代を含めて6千万円になるという(6月29日付東京新聞 朝刊24面)。 破産手続きは申立てによって開始される。破産手
月刊『労働運動』34頁(0317号07/01)(2016/08/01)

労働組合運動の基礎知識 第22回

2016年1月 1日発行 第0310号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長) ニムのための行進曲(韓国の歌)  11月16日、韓国での理念交流の冒頭に「ニムのための行進曲」を合唱した。初めての経験だ。私は音符と訳詩を所持して臨んだが、メロディにのせて歌うことはできなかった。民主労総の集会のビデオを観ると、必ずこの歌が出てくる。今後の国際連帯闘争の中で合唱することもあるだろう。ネットで検索するといろいろな解説や訳が出てくるが、以下の訳詩と解説が一番良いと思うので掲載する。以下は『季刊 在日文芸 民涛』(198
月刊『労働運動』34頁(0310号06/01)(2016/01/01)

労働組合運動の基礎知識 第15回

2015年12月 1日発行 第0309号

10月から年金が一本化 これまで公的年金の2階部分(被用者年金)は、会社員が加入する厚生年金と、公務員や私立学校の教職員が加入する共済年金とに分かれていた。これが2015年10月から、共済年金と厚生年金が一本化された。優遇されていた共済年金の格差是正というが、ペテンだ。 そもそも年金の額は働いていた時の収入によって決まる。多くの掛け金を支払った労働者がより多くの年金を受け取ることができる。現在、非正規の青年労働者は年金を支払うことも、将来受け取る可能性もない状態だ。その意味で
月刊『労働運動』34頁(0309号11/01)(2015/12/01)


労働組合運動の基礎知識 第14回
小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)
共済年金と厚生年金が一元化

2015年11月 1日発行 第0308号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長) マイナンバー制度導入の諸問題 マイナンバー制度が2016年1月から開始される。それに先立ち本年10月中旬から順次、全国5600万世帯に「通知カード」が配られている。戦後最大の「改革」と言われる前代未聞の膨大な作業が、郵政労働者と自治体労働者にのしかかる。 転送不可の簡易書留で送付されるため、郵政労働者が何回もトライしても不達の場合は、各市町村へ戻る。その数は、世帯数の1~2割と言われる。年賀状の営業・販売のピークと重なるので、過重
月刊『労働運動』34頁(0308号07/01)(2015/11/01)

労働組合運動の基礎知識 第13回

2015年8月 1日発行 第0305号

小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)「生活困窮者自立支援法」の改悪攻撃戦争法と労働法制全面改悪は一体の攻撃 7月11日13時より動労千葉の第15期労働学校・「公開講座」があり、動労千葉の田中委員長の講演の後、相模女子大講師の奥貫妃文先生(労働法)が「労働法『危機』の時代~いま、労働組合は何をすべきか~」というテーマで講演を行った。 「労働者・労働法の弾圧は、戦前に直結するということ」と戦争法案と労働法制の全面改悪は一体であるという点が最初に提起され、そのあと「労働法解
月刊『労働運動』34頁(0305号10/01)(2015/08/01)


労働組合運動の基礎知識 第10回

2015年3月 1日発行 第0300号

労働組合運動の基礎知識 第5回小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)偽りの求人票は違法―使用者には労働条件明示義務がある(小竹運輸・ダイエー八王子店をめぐる闘いに引き付けて)「正社員募集・雇用期限の定めなし」が実は「1年の有期雇用の非正規」 インターネットの求人広告では「正社員募集」「雇用期間に定めなし」と書いてあるのに、現実の労働契約書は1年の有期雇用。末尾には「会社と本人の間で、本契約を更新する旨の書面による合意をしないときは、本契約は、期間の満了によって当然に終了
月刊『労働運動』48頁(0300号10/01)(2015/03/01)


労働組合運動の基礎知識 第5回

2015年2月 1日発行 第0299号

労働組合運動の基礎知識 第4回 会社解散をめぐる不当労働行為について (親子会社における子会社の解散と親会社の使用者性の問題―吉崎製作所分会の闘いに引き付けて) 小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長) 会社解散=組合つぶし攻撃との闘い  2012年の暮れに山下ゴム(ホンダの1次下請け)は吉崎製作所を買収し、吉崎製作所の株式を100%所有してその傘下に収めた。その時から社長、副社長、工場長は山下ゴムからの出向である。吉崎製作所の製品は山下ゴムの発注に基づいて生産され(約7
月刊『労働運動』34頁(0299号12/01)(2015/02/01)

組合運動の基礎 第4回 会社解散をめぐる不当労働行為

2015年1月 1日発行 第0298号

労働組合運動の基礎知識 第3回試用期間満了後の解雇問題について 小泉義秀(東京労働組合交流センター事務局長)★試用期間とは 試用期間とは、採用後における、従業員の適格性判断のための調査期間とされています。法律用語で言うと試用期間中の労働契約は、「留保解約権」=「使用者の解約権が留保されている労働契約」と解されています。 採用決定の時には資質、性格、能力その他の適格性の有無に関する事項について、必要な調査を行い適切な判定資料を十分に集めることができないため、後日における調査や観
月刊『労働運動』34頁(0298号04/01)(2015/01/01)


労働組合運動の基礎知識 第3回 試用期間満了後の解雇問題について