2004年1月号(No.166)   目次
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労働者の目 04年を交流センター運動の大躍進の年に

労働ニュース
  ●年金/合理化/賃金など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

8被告ついに奪還!

最高裁反動判決を弾劾し、国鉄1047名闘争の前進を不退転の決意でかちとろう

・特集 イラク派兵をとめよう!
  ●1〜2月自衛隊派兵を阻止しよう!
  ●反戦自衛官 小田基実夫氏に聞く

「しごと開発事業」打ち切り弾劾!

動労千葉ストライキに決起!

許すな!「4党合意」労働委員会闘争シリーズUF

今、なぜ、教育基本法改悪か

SPOT&CRITIC 労働委員会制度

たたかいは進む   ●動労千葉   ●国労5・27闘争弾圧8被告奪還

・読者のページ


●04年を交流センター運動の大躍進の年にしよう

 全国労働組合交流センター代表運営委員 中野  洋

 03年、帝国主義が労働者を食わせていけなくなったこと、戦争をする以外に延命できなくなったこと、つまり人類にとって桎梏と化した体制となったことが鮮明となった。その象徴がイラク侵略戦争であり、全世界で吹き荒れる大資本攻勢の嵐である。むき出しの「内なる階級戦争、外への侵略戦争」攻撃に、労働者の反乱が燎原の火のように広がっている。
  日本でも有事3法─イラク参戦法が成立し、「構造改革」が強行される中、闘う労働運動の新たな胎動が始まった。「3ない」運動を掲げ有事法制反対を貫く陸海空港湾労組20団体の闘い。国鉄1047名闘争陣形の堅持。何よりもILWU、韓国民主労総と連帯し、「11・9労働者集会」で歴史的地平を切り開いた関生支部・港合同・動労千葉の「3組合共闘」は、多くの労働者に勇気と感動、確信を与えた。「国際連帯」は階級的労働運動の再生をめざす新潮流運動の共通のキーワードとなった。
  03年12月、小泉─奥田体制は、12・9イラク自衛隊派兵基本計画閣議決定、12・16日本経団連「04年版経労委報告」、12・22国鉄採用差別事件最高裁判決という超反動攻撃にうって出てきた。
  04年は、年初から壮絶な階級攻防戦となる。第一に、イラク派兵阻止闘争。自衛隊基地を包囲し、隊員の決起をかちとろう。「3・20イラク反戦国際共同闘争」で東京に10万人デモを登場させよう。
  第二に、最高裁反動判決と対決し、国労本部の屈服を粉砕し、1047名闘争の前進と国労再生をかちとる闘い。これは労働委員会制度解体─団結権破壊との闘いであり、04春闘の重要課題である。
  第三に、「04年版経労委報告」の核心である「春討」路線を粉砕し、春闘再生をかちとる闘い。
  第四に、通常国会決戦。国民保護法、労組法改悪、年金制度改悪、教基法改悪、共謀罪新設など目白押しの反動立法成立を阻む闘い。
  04年前半の6カ月決戦は交流センターの変革、飛躍、前進ぬきには成り立たない。11・9の歴史的意義に確信を深め、04年を交流センター大躍進の年にしよう。

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●労働ニュース(03年11月16日〜12月15日)

年金改革案 厚労省発表
  厚生労働省は17日、04年の年金改革案を発表した。厚生年金の保険料率を04年度から段階的に引き上げて22年度に年収の20%(労使折半、現行13・58%)で固定し、給付を保険料収入の範囲内で自動的に下げる方式を採用する。現在、現役世代の手取り年収の59%ある年金給付水準は13年度に54・7%まで下がり、その後安定するとしている。今後のとりまとめは難航しそうだ。

 年金給付下げ求める
  財政制度等審議会(財務省の諮問機関)は26日午前、04年度予算編成の指針となる意見書をまとめ谷垣財務大臣に提出した。社会保障費抑制のため、年金受給者に対する給付引き下げや65歳まで段階的に引き上げている支給開始年齢のいちだんの引き上げを求めた。国と地方の税財政改革(三位一体改革)では地方公務員の給与減額などで地方財政計画を圧縮し、地方交付税を抑制するよう提言している。

 生活保護費削減
  厚生労働省は27日、国と地方の税財政改革(三位一体改革)を巡り、生活保護費の国庫負担金割合を引き下げ、約1千500億円をカットする方針を固めた。介護保険の認定費用を補助する交付金約305億円も廃止する。

 住民税増額の方針
  自民党税制調査会は4日の幹部会で、納税者一人あたり年間3〜4千円を負担している住民税(地方税)の「均等割」を増額する方針を固めた。一人当たり年間数千円の増額になる見通しだ。

 民間機関の関与拡大
  政府の司法制度改革推進本部は17日、裁判以外の紛争解決(ADR)を強化するための改革素案を示した。素案は仲裁センターなど民間の専門機関が手がける紛争範囲の拡大を盛り込んだ。一方で、機関の示す解決策に法的拘束力を持たせることについては、当初「改革の柱」と目されていたが、導入が見送られる公算が大きくなった。

 育児休業1年半に
  厚生労働省は2日、法律で保障する育児休業の取得期間を現在の最長1年から最長1年半に延ばす方針を固めた。子供が保育所に入れない場合など「特別の事情」がある場合に限り、6カ月まで延長を認める。「最長2年程度」とする案もあったが、休業期間の大幅拡大に企業側が強く反発していることに配慮した。

 プロミス、500人削減
  プロミスは8日、全従業員の12%に相当する約500人の希望退職を募集する、と発表した。貸し倒れの急増が収益を圧迫しているのに対応し、80年代に大量採用した中高年層を中心に人件費を圧縮する。同社には早期退職優遇制度はあるが、希望退職者を募集するのは初めて。

 松下も年功賃金廃止
  松下電器産業は04年4月から、年齢とともに一律に上昇する年功型賃金を撤廃する。国内の全社員が対象で、仕事の成果や能力で給与が決まる成果主義賃金に全面移行する。日立製作所も年功賃金の廃止を決めている。今後産業界で同様の動きが広がり、企業の賃金決定の構造が大きく変わる可能性がある。

 全社員年俸制
  経営再建中の東急百貨店は05年1月から全社員1千600人を対象に導入する年俸制の内容を決めた。仕事の成果などを基に基礎額を決め、管理職には基礎額13カ月分、その他の一般社員は13・5カ月分を賞与を含む賃金とする。総人件費を抑制しながら成果主義を拡大。社員のやる気を引き出し、再建を急ぐ。

 職種区分を全廃
  住友特殊金属は人事制度を全面改定した。ブルーカラーとホワイトカラーの職員の人事体系を一本化し、製造現場のやる気を引き出すとともに、入社時の採用区分にとらわれずに人材を配置できるようにした。成果主義を徹底するため年功に応じた昇進を廃止したほか、評価の低い従業員の社内等級を降級する制度も盛り込んだ。

 トヨタ、年齢給廃止
  トヨタ自動車は04年4月から工場で働く技能職社員を対象に「年齢給」を廃止し、技術習得などの経験に応じた新たな賃金体系を導入する。年功序列の要素を弱めて経験や成果を重視した賃金体系に軸足を移す。

 公務員に裁量労働制
  政府は公務員に対し、働いた時間に関係なく仕事の成果や実績で評価する裁量労働制を導入する方針を固めた。まず国家公務員の一般職(約80万人)の適用を検討し、順次地方公務員に拡大する。04年夏に原案を策定し、05年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

 国家公務員の定員削減
  政府は04年4月に国立大学や国立病院などが独立行政法人に移行して約17万人の国家公務員が定員の枠外になる際、定員の上限の削減幅を17万人にとどめず、さらに2万人超引き下げる。現在の国家公務員の定員の上限は53万4千822人。04年度の通常国会に提出する定員法改正案では約34万人とする方向で検討中だ。

 上場企業、経常益最高に
  上場企業の04年3月期の業績は2期連続で増収増益となり、過去最高益となる見通しだ。日本経済新聞社が21日集計した今3月期の予想連結経常利益は前期比20%増え、情報技術(IT)需要で最高益を上げた01年3月期を上回る。

 冬のボーナス2年ぶりに増
  日本経済新聞社が19日まとめた今年冬のボーナス調査中間集計(11日時点、245社)によると、全産業の一人当たりの支給額は前年冬の実績に比べ1・51%増の71万4千197円(加重平均)と2年ぶりのプラスとなった。企業業績の回復を映し、今冬の支給額を秋以降に決めた企業や、業績連動の仕組みを持つ企業の伸びが目立った。

 公務員ボーナス、5年連続減
  全国の公務員の大半に10日、冬のボーナスが支給された。総務省によると、一般職の国家公務員の平均支給額は61万4千円(平均年齢36・2歳)で、前年同期より4万8千円減った。地方公務員の平均支給額は57万3千円(平均年齢35・5歳)。年間総額は5万1千円減の121万円で、国家公務員と同様、5年連続減となった。

 経団連指針 賃下げ強い姿勢
  04年春闘の経営側の指針となる日本経団連の「経営労働政策委員会報告」の最終原案が11日、明らかになった。従来の「年功型」から「成果主義型」の賃金制度への全面的な転換に初めて踏み込み、定期昇給制度の廃止、ベースダウンも視野に労使交渉に臨む強い姿勢を打ち出している。

 ☆労働日誌(03年11月〜12月)

11月22日
  日本労働弁護団と過労死弁護団が全国9カ所で22日に実施した無料の電話相談「残業・過労死110番」に304件の相談が寄せられた。21件は過労死が疑われるものだった。
11月29日
  ソニーは、04年4月から、一般社員の諸手当を廃止し、全面的な成果主義に移行すると発表。

11月29日
  厚生労働省がまとめた外国雇用状況報告によると、日本で働く外国人労働者は03年6月1日現在で、のべ27万4千人(前年比20・2%増)となったことがわかった。産業別では、製造業・サービス業・飲食業の順となっている。

11月28日
  総務省は、03年10月の労働力調査を発表。それによると、03年10月の完全失業者数は343万人(前年同月比19万人減)となり、完全失業率は、5・2%(前月比0・1上昇)となった。男女別では、男性の完全失業率が5・4%(前月比0・1低下)、女性の完全失業率が、4・9%(前月比0・2上昇)となっている。一方、就業者数は、6千337万人(前年同月比18万人減)うち、会社員など雇用者は5千332万人(前年同月比4万人減)となった。

12月1日
厚生労働省が1日発表した10月の毎月勤労統計調査によると、従業員5人以上の企業月間平均の現金給与総額は28万4千469円と前年同月比0・1%減り、2カ月ぶりに減少した。

12月10日
  日本労働弁護団(宮里邦雄会長)は10日、政府の総合規制改革会議が最終答申案に盛り込んだ労災保険の民営化方針に反対する意見書を発表した。

12月12日
  日本経団連が発表した03年1〜6月実施分の昇給、ベースアップ調査(有効回答379社)によると、昇給とベアの区別のある企業(160社)のうち、ベア実施しなかった企業が全体の95%(前年比4・1増加)に達した。

12月12日
  帝国データバンクの発表によると、03年11月の企業倒産件数は、1千136件となり、前年同月比20・7%減となった。一方、負債総額は、前年同月比75・2%増しとなっている。

12月13日
  日本IBMは正社員のまま勤務時間の短縮(日数もしくは短時間勤務)を選択できる「短時間勤務制度」を04年1月から導入する。

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●年内の保釈実現へ総力の闘い始まる―共感を呼ぶ1047名闘争の正義性

 国労5・27臨大闘争弾圧との闘いは、8被告の年内保釈の実現へ総力を挙げた闘いに入っています。弁護団は4度目の保釈請求11月25日に出し、家族を先頭とした裁判所への要請行動は12月16日で14回となりました。署名は4万5千筆にのぼります。16日の第17回裁判を挟んで、15日から裁判所前での座り込み・宣伝行動が連日闘われています。
  座り込み3日目の18日、ついに東京地裁刑事10部・青柳裁判長が保釈を許可しました。検事が坑告したため、判断は高裁に移りました。連日の裁判所前行動は、労組や各地の「許さない会」から意欲的に集まり連日15〜30人が奮闘しています。何としても保釈を勝ち取る激しい闘いが続いています。また、様々な労働組合、争議団、市民訴訟団体などの注目を集め、友好関係を深めながら宣伝活動が続いています。

 国鉄闘争の正義と勝利を掲げ圧倒的共感を得る

 この弾圧の本質をストレートに訴える宣伝は、多くの労働者の心をとらえています。この弾圧は、17年間闘ってきた国鉄1047名闘争の方針決定をめぐる国労内の議論に、国家権力が不当介入した労働基本権・団結権侵害事件です。弾圧の手口は、国家権力に屈伏し一体となった国労本部派が、意図的・主導的に「暴力事件」を仕立て上げ、それをビデオで撮影し、警視庁公安部に売り渡して、逮捕・起訴したものです。国労組合員を国労幹部が警察に売り渡し、法廷でも「厳重な処罰」を要求した、前代未聞の弾圧です。国労本部派は労働組合幹部にあるまじき反労働者的行為に手を染め、居直りました。腐敗の極致です。
  16回の裁判を通して、弾圧の目的と手口は誰の目にも明らかになりました。対立はあくまで、「国家的不当労働行為」である国鉄分割民営化攻撃に反対し闘うのか否かです。裁判所の保釈の拒否・長期勾留は、1047名闘争を投げ捨てることを要求している自民党ら与党と国土交通省、JR資本、そして国労本部派に加勢し擁護する政治弾圧です。また反動化を深める「司法改革」攻撃の核心である「人質司法」の典型です。
  被告とされた国労組合員ら8名は、国鉄闘争を最も献身的に闘い抜いてきた仲間です。00年5月の「4党合意」と、02年4月の「3与党声明」という「国家的不当労働行為の総仕上げ攻撃」に対して、全力で対決してきました。起訴された大半の国労組合員は、「4党合意」を不当労働行為として、個人申立で、労働委員会闘争も起こし、02年4月には自民党副幹事長の甘利明を証人採用させました。同2月には300人に及ぶ国労闘争団員が、鉄建公団訴訟(政府を被告とし、JR復帰まで行き着く闘い)を開始しました。
  「4党合意」を巡る激烈な闘いの中で、国労・全動労・動労千葉が共に闘う1047名闘争の陣形が始めて整い、本格的な発展の道が切り開かれつつありました。この戦略的前進に対する大反動として、支配階級中枢の決断で、この弾圧は強行されました。闘う部分を壊滅させ、それに続く圧倒的多数と分断するのが、この弾圧の狙いです。
  しかし、8被告と家族、支援者は刑事弾圧と1年を越える長期勾留を跳ね返し、「裁かれるべきは国家権力と国労本部派」として闘い抜いています。
  それゆえ、全世界の労働者の共感をよび、アメリカの労働者は「コクロウ・エイト」と名付け保釈を要求しています。
  動労千葉のストライキと共に、8被告の闘いに込められた国鉄闘争の歴史と苦闘は、裁判闘争などを闘う組合や市民大衆の圧倒的共感を得ています。これらの力を合わせて、裁判所を包囲し、保釈を勝ち取ろう。

 どこに「暴力」があるのか―ビデオを見た傍聴者が感想

 12月16日の第17回裁判では、不当にも現場を撮影した2本のビデオが証拠採用され、法廷で上映されました。証拠採用は全く不当です。
  鈴木勉・国労東京地本が警察に提出したビデオは、「事件」を仕立て上げるために意図的に撮影されたものであり、客観的証拠とは言えません。また警察官は、目録を渡さないとか、容疑罪名を後日に書き込んだとか、手続きにも明らかな違法がります。
  また支援者が撮影したビデオは、国鉄闘争の発展を広く知らせるために撮影されたものです。こともあろうに、それを刑事事件の立証の材料とすることは、団結権の侵害であり、報道の自由を足蹴にするものです。全く許せません。弁護団は激しく批判しました。
  裁判長は、この弾圧は憲法28条の団結権保証や労働基本権と関連する問題であるとの認識を示しながらも、ビデオを証拠として採用し、全ての判断は判決で行う旨を述べ証拠採用しました。
  しかし、上映されたビデオを見た傍聴者は、「労働組合の普通のビラまきだ」「どこが暴力というのか」「お父さんは、暴力をふるっていない」「本部派の方がつっかかって来ている」「冤罪であることを確信した」など、率直な感想を述べています。
  また、現場で被告たちが訴えた「闘争団を除名するな」「機動隊を導入するな」「生涯くやむことになる」といった訴えは、まさに説得力ある訴えでした。本部派は一切答えず、やみくもにバスに乗り込み、最後は警察の力を借りて発車させました。バス内での警察に弾圧を要請した声もはっきりと聞き取れました。
  ビデオの上映により、当日の様子はくまなく明らかになりました。当たり前の労働組合活動であることがはっきりとしました。
  保釈を勝ち取り、正義の労働組合活動であることを明らかにし、必ずや無罪を勝ち取ろう。国鉄1047人闘争の勝利の帰すうがかかった闘いです。 (松田浩明)

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●8被告ついに奪還!

 12月22日、1年2カ月の長期勾留を打ち破って、国労5・27臨大闘争弾圧の8被告が保釈奪還された。
  当日、8被告を迎えて、保釈奪還歓迎会が、東京都内で開かれた。「許さない会」など多くの出席のなか、被告、家族はこれからが闘いと決意を表明した。

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●最高裁反動判決を弾劾し、国鉄1047名闘争の前進を不退転の決意でかちとろう

  11・9労働者集会は、イラク反戦・資本攻勢に対し日米韓の労働者の国際的団結を打ち固めました。そしてたたかう労働運動の新しい潮流運動にとってあらたな歴史的出発点となりました。
  12月9日、小泉内閣は、自衛隊イラク派兵の「基本計画」を閣議決定しました。それと同時に04春闘をめぐり大資本攻勢が吹き荒れようとしています。「外に向かっての侵略戦争。内に向かっての階級戦争」の激化の中で、日本労働運動の命運をかけて国鉄闘争は、国鉄分割・民営化以来最大の決戦に突入しています。

  国労解体の大攻撃に全力で反撃を

 小泉=奥田路線による「侵略戦争と階級戦争」に対して、動労千葉、全国金属機械港合同、全日建運輸連帯関西地区生コン支部の地をはうような闘いとそれを通じた闘いが、11・9労働者集会としてかちとられました。
  それは同時に日本労働運動の中軸である国鉄1047名闘争の発展でもありました。日本の労働運動の再生に向けて大きく前進したからです。
  11月29日、イラクで日本人外交官2名にイラク人民の怒りの鉄槌を下されました。日帝は、こうした危機の中でも帝国主義としての延命をかけて、自衛隊のイラク派兵を強行しようとしています。
  その一方で、日本経団連は04春闘に向け、経営労働政策委員会報告で、「春闘終焉」を宣言し、定昇廃止・賃下げ強行を絶叫しています。
  奥田ビジョンは、国を森にたとえて森の崩壊におびえて「枝打ちや下草刈りなどの手入れ」と述べ、改革とは切り捨てるものは徹底的に切り捨てることと叫んでいます。
  没落する米帝以上に危機にある日帝が、「労働者を食わせていけない」なって断末魔の叫びを発しているのです。
  こうした危機の中で労働者階級は11・9の国際連帯集会をもって新たな闘いに踏み出しました。だから日帝は、国鉄闘争が存在していることに悲鳴をあげ、国鉄1047名闘争解体、国労・動労千葉解体に向け、最後的とも言える攻撃に乗り出してきました。
  権力は、昨年12月22日にJR採用差別事件の最高裁判決を下すことを決定しました。本部の酒田・吉田やチャレンジ、革同一派を恫喝し、その一方でJR職場の全面外注化をはじめとする大リストラ攻撃と一体の攻撃です。
  9月の定期全国大会で闘争団への統制処分を強行した酒田執行部は、書記職員の配転・首切りという労働組合としての死ともいうべき暴挙を行いました。
  さらには、最高裁反動判決を受けて、「政治解決のための総団結」と称して、闘う闘争団への統制処分をエスカレートさせ、1月31日の中央委員会で「闘争・組織体制の見直し」の名による国鉄1047名闘争解体方針を決定し、あわよくば国労を丸ごと連合に合流させようとしているのです。
  この事態は、反対派も含めて国労全体の総崩壊にも直結しかねない、まさに主体の危機としてあります。このことを警鐘乱打せずにはいられません。逆に、この主体の危機が真に総括され克服されるならば、国鉄闘争は最大の危機から最大のチャンスに転化することが絶対にできるとおもいます。

  勝利の指針を示した動労千葉のスト決起

 動労千葉は、習志野電車区廃止阻止、反合・運転保安確立を掲げて12・15のストに決起しました。「第2の分割・民営化」ともいうべきJR東日本の「メンテナンス近代化(第V期)計画」は、基地統廃合や工場機能廃止、鉄道事業のほとんどを外注化するものです。
  すでに続出している事故などの安全問題をはじめ国鉄分割・民営化は破綻していますが、さらにそれを外注化によって下請け労働者に犠牲を押しつけていこうとしてるのです。
  これが民営化の現実そのものです。民営化されたイギリス国鉄はそのいい例です。全世界で吹き荒れる資本攻勢は民営化攻撃としてあります。
  労働組合は団結して資本とたたかう以外に生きることができないことは明白です。
  敵は全社会的に民営化、構造改革をおしすすめるために、その先駆けとなった国鉄分割・民営化の破綻を押し隠すのに必死です。だからこそ国鉄闘争の解体に乗り出してきているのです。
  4党合意を崩壊させた国鉄闘争は1047名闘争として本来的な闘いが開始されました。国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団は団結を固めて、「解雇撤回・JR復帰」を掲げていよいよ闘いを強化してきています。
  これに恐怖した権力は国労5・27臨大闘争弾圧を強行しました。その先兵となったのが、東京地本の酒田、芝崎の「SSコンビ」です。国労本部に入った「SSコンビ」は国家権力・警視庁公安と完全に癒着することで国労解体の先兵になりさがっているのです。
  国労の再生は、この弾圧の張本人である酒田執行部を打倒することなしにはありえません。1047名闘争の力で国労5・27臨大闘争弾圧をうち砕き、資本にも権力にもたじろがない国鉄闘争の力強い真の発展が切り開くことができます。
  国鉄改革の破産として、JR総連の分裂・崩壊の危機があります。すでに革マル中央派と分裂したJR総連の中で、今度は松崎派と嶋田派とに分裂が拡大しています。
  分割・民営化の不正義性が明らかになってくる中で、ファシスト労働運動の化けの皮がはがされ、行き詰まり、破産と崩壊を開始したのです。「走狗煮らる」に脅えたJR総連の革マルどもが利権にむさぼりつくために醜い骨肉の争いを開始したのです。
  JR総連傘下の心ある組合員は、組合員の利益とは無関係な抗争に明け暮れるJR総連から今こそ離反すべきです。

  「和解路線」をのりこえ、国労の真の再生を

 国労の解体的危機を突破するためには、闘う執行部をつくり資本や政府を揺るがすような闘いをやりぬくための路線を確立することです。
  そのためには、89年の臨時大会で決定された「全面一括解決要求」路線、その根っこにある「政治解決・和解路線」から脱却しなければなりません。
  労働組合である以上、闘った結果として和解になることもありますが、路線として和解をはじめから追求することは、相手を攻めないということです。それでは足元を見透かされるだけです。鉄建公団訴訟もそのの本来の意義は、JR資本との闘いを貫徹することにあります。
  国労が反戦闘争の先頭にたち、動労千葉のようにたたかうことで国労の再生はかちとることができると思います。   (南 義行)

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特集 イラク派兵をとめよう!

●1〜2月自衛隊派兵を阻止しよう!

 小泉政権は、12月に空自先遣隊を派兵し、1月中旬に陸自の先遣隊、そして2月に陸自本隊を派兵しようとしている。自衛隊が虐殺の軍隊となり、日本が再び侵略戦争に参戦しようとしている。
  この帝国主義の歴史的大転換を許さず、全国の闘いで自衛隊の派兵を阻止しよう! とりわけ2月の本隊派兵を、労働者人民の怒りで粉砕しよう!

  小牧・北海道闘争が高揚

 12月13日、小牧基地を多くの労働者、学生が包囲した。12月中にも、この小牧基地から空自の先遣隊30人が派兵されようとしている。これを絶対許さないと、小牧基地を多くの人々がデモで包囲し、怒りをたたきつけたのだ。派兵を中止するように、申し入れを行った。
  同じ13日、北海道ではほぼ同じ時刻に、さっぽろピースアクション実行委員会によるイラク派兵反対のデモが行われていた。北海道札幌市を中心とする労働者や市民団体、学生が一堂に会して闘われたこのデモは、旭川からの派兵を阻止するための訴えだ。反戦共同行動委員会は、小牧での闘いと一体で、このデモに参加し闘った。
  北海道では、さらに14日、15日と闘いが続いた。

  平和フォーラムの集会・デモに2500人が参加―基地前に、たたずむ女性が

 翌日14日、旭川で平和フォーラムの集会・デモが開催された。参加者は2500人。多くの労働者が小泉政権によるイラク派兵に怒り、何としても阻止したいと集まってきたのだ。会場のホテルのホールは超満員で、会場の外まで人があふれている。
  デモは旭川駐屯地へのデモ。旭川市内に「派兵反対」のシュプレヒコールが響き渡る。
  基地のゲート前で立ちどまり、何度もシュプレヒコールをあげる。見ると、2人の子どもをつれた女性がゲート前にたたずんでいる。自衛隊員の妻だ。彼女は、デモが来るのを待っていたのだ。
  「派遣隊員に選ばれたら、断ることはできないらしい。隊員は軍人ではなく、民主主義国家の一員。意見を自由に言えるようにしてほしい」
  自衛隊の家族の必死の決起が始まっている。自衛隊員の多くが動揺し、苦しんでいる。家族が悩んでいる。

  「彼をイラクに行かせないで!」

 それを象徴する話が、若い女性の決起だ。「彼をイラクに行かせないで」と、一人の女性が百万人署名を札幌市内でとり始めた。一日で130の署名を集めたという。真冬の札幌での署名集めとして、驚くべき数だ。決起し、訴える女性がいる。それに応えて署名し、自らも意志を固める人々がいる。
  15日、百万人署名運動は、この女性の署名を含めた約5万筆の署名を、自衛隊北部方面総監部に提出し、申入を行った。
  総監部から、責任者がなかなか出てこない。アポイントメントは事前にとっていた。何度も催促の電話をかけて、やっと出てくるが、まともに話を聞こうとしない。あげくの果てに、申入書を受け取ると、署名を路上に放置したままソソクサと中に入ってします。思わず弾劾の声が飛ぶ。
  「どこへ行くんだ! まだ終わっていないぞ! 署名を放置するな!」
  しかし出てこない。署名は路上に放置されたままだ。また電話をかける。
  「あなた方やマスコミが帰ったら、署名を中に入れます。そのまま、署名を置いていってください」
  とんでもない話だ! 署名はゴミではない。路上に放置して帰れとは、何だ!
  参加者の怒りが次々と総監部にたたきつけられる。しかし、向こうは出てこない。西川重則百万人署名運動事務局長が電話をかけ、路上ではなく、敷地内に署名を入れ、しかも必ず中に入れることを確約させて、参加者は納得したわけではないが、帰った。札幌市内に戻ると、この対応への怒りも込めて、街頭宣伝をさらに力強く行った。

  外交官2人の死は、日本の侵略戦争とその協力の結果だ

 11月29日に、日本人外交官2人がイラク人民の反撃で死亡する事件があった。小泉政権は、この事件を奇貨として自衛隊派兵に拍車をかけた。「邦人が殺された! テロに屈するな!」というのだ。
  しかし重要なのは、彼らが何をしていたのかということだ。要するに、日本の自衛隊派兵の準備をし、一種の斥候として現地情勢を日本政府に報告していたのだ。侵略の尖兵そのものだったのだ。侵略者である以上、被侵略者の怒りを買い、その反撃にあっても文句は言えない。侵略に手を貸すのが問題なのだ。アメリカが侵略し、日本が協力・参戦しようとしていることに、最大の問題があるのだ。

  自衛隊員をあえて殺し、教育基本法改悪から一挙に憲法改悪に進もうとする小泉政権

 その事実に蓋をして、小泉政権は、ますますイラク侵略戦争にのめりこもうとしている。そして本音では、自衛隊員が死ぬのをもっとも望んでいるのが小泉なのだ。自衛隊員が死ねば、「自衛隊員が殺された。もっと派兵を!」と叫んで、排外主義をさらにあおろうとしている。一層侵略戦争を進め、イラクから石油を略奪しようとしているのだ。
  そして一挙に憲法改悪まで進もうとしている。今年で教育基本法を改悪し、05年の改憲を強行しようとしている。
  イラク人民の命を奪い、自衛隊員の命を奪おうとしている小泉政権を絶対に許すことはできない!

  1月空自先遣隊、2月陸自本隊派兵を阻止しよう!

 だからこそ私たちは、1月の陸自の先遣隊の派兵と2月の本隊派兵を阻止しなければならない。陸・海・空・港湾労組20団体は、「有事法制を完成させない、発動させない、従わない」というスローガンを掲げ、協力阻止の姿勢を貫いて闘っている。労働者の職場での闘いは、やはり派兵阻止闘争の最大の柱なのだ。
  この労働者の闘い、また始まった自衛隊員とその家族の闘いと固く連帯して、1〜2月闘争に立とう!
  イラク派兵を阻止し、小泉戦争政権を打ち倒そう! (田 慶太)

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特集 イラク派兵をとめよう!

●反戦自衛官 小多基実夫に聞く

 ☆「戦争する軍隊」への変貌と自衛官

 イラク派兵そしてその前のアフガン戦争、去年のアフガン戦争参戦から自衛隊が大きく変質している。それは自衛隊の195年警察予備隊発足以来の半世紀の歴史を覆す決定的な事態なんです。同時に日本の国家の戦後のあり方が大転換しているということだと思います。帝国主義大国として、世界に向かって戦争をするという段階に入ったということです。
  湾岸戦争、カンボジアPKO派兵以来のPKO派兵の繰り返しの中で、自衛隊が海外軍事力として展開し始めたことを決定的な転機として、自衛隊の編成、装備もそれにあわせて変化してきた。それまでの専守防衛を掲げた、日本列島を拠点にして軍事力を展開するというあり方から日本列島を離れて軍事力を展開するという方向にこの10年あまりのなかで大きく動き始めたということです。それがアフガン戦争の過程からは明確に戦争という段階に入った。
  僕らはPKO派兵や湾岸戦争の掃海艇派兵自身がそういう踏み込みだと批判してきたのですけども、自衛隊の中ではまだあれは戦争じゃないというふうな認識をしている人が非常に多かった。国際貢献と戦争というのは別物、PKOは戦争じゃない、平和になった所を平和的任務としてやるんであって戦争じゃないという考えで隊員はいたわけです。それが去年の段階で、どう言ったってこれは戦争への参加だということは自衛官にとって非常に鮮明になった。編成とか装備だけじゃなくて自衛官という人間自身も大きな転換過程に入った。それが去年今年の変化なんです。
  これが自衛官の動揺として現れてきている。アフガン戦争の参戦という場合、実際は海上自衛隊の補給艦で米軍を中心にした多国籍軍に重油等々の物資を補給する。同時に補給を自衛艦が守るという形で護衛艦およびイージス艦を同伴させた。補給艦だけを守るということは現実的に作戦としては成立しないもので、海面を共同作戦として軍事制圧する、制海するということです。米軍との共同作戦としてインド洋を制圧することに踏み込んだのです。補給任務を含めて海面の制圧という戦争行動に入ったということです。
  佐世保、呉、それから横須賀、舞鶴から限定された艦隊が出た。補給艦は、3隻しかないもんだからローテーションが早い。半年交代で行っている。3隻で1ヶ月ぐらいかけて行って8ヶ月。3隻で順番でやっているから帰ってきたらすぐに整備して出る準備というような感じでほとんど休んでいるひまがない、ものすごい激務ですね。「はまな」「とわだ」それから「ときわ」は艦番号が違うだけでほとんど同じ大きさなんですが、乗組員が各140人なんですよね。全部で420人になります。
  どういうことが起こったかというと、防衛庁が認めているのだけでこの1年あまりで60人が転職・転属の願いを出した。420人中60人、7人に1人が転属願いを出した。そのうちの21人、約3分の1を転属させた。その中から39人は徹底的に説き伏せて断念させたけれど、21人は転職を認めざるを得なかった。これ以上無理させたら危ないということで、21人については船から下ろしたということです。
  この軍艦で人間関係が悪い、ウマが合わないということなら別の艦に移すことができる。同じ職種だったら同じように仕事できますから。だから他の艦に移すのじゃなくて降ろしたということは、人間関係が悪いということじゃなくて、そもそもこの任務がイヤだということです。あんまり降ろしちゃったら船が動かなくなりますから、ギリギリの数だと思うんですよね。
  船から降ろすと言うことは全く新隊員みたいに一から全く別の教育するしかない。年齢がいっている人だったら今更教育しても遅いです。だから定年まで遊ばせといて定年まで待つしかない。若い人なら教育しなおすということもある。いずれにしてもそういう大変なことをしたわけです。
  上下関係があって同じところに生活して、転職願いなど出しにくい世界で、460人中60人が転属願いを出した。これは、ほとんどみんな辟易してる、もうイヤだというのが蔓延しているからだと思うんです。補給艦というのは激務、戦場の緊張感のなかで参っているということですね。
  新聞でも問題になってますけども、補給艦でトップの艦長を始めとして酔っ払って処分されている。上から下までそういう状態で、今まで平常心でどんなに訓練積んできた隊員であってもやれないというところまできているということです。横須賀では駆逐艦の放火事件がありました。将校も含む水兵が逮捕されている。追いつめられると自分の艦に放火するということは、兵士の反乱のひとつの形態です。
  他にも佐世保の陸上自衛隊の駐屯地に編成したレンジャーをかき集めた精鋭部隊で下士官が3名立て続けに自殺するということが起きている。訓練が非常に厳しかったと言われているけれども、厳しい訓練に耐えてレンジャーのライセンスをとって、そのことを誇りにしているような下士官が訓練がキツいだけで自殺するとは考えられない。家族から引き裂かれて単身赴任で離島に集められて、釣魚台、いわゆる尖閣列島、それから竹島という領土問題で紛争になっているところの切り込み隊でグチャグチャにしごかれている中で起こっていることです。これらはすべて戦争態勢に入った中で起こっていることです。

  ☆殺し殺される恐怖と被ばくの危険

 これはこれで続いているわけですけども、さらにイラク戦争で今度は地上軍として行くということになってさらに衝撃が走っている。いざという時に人を殺す、あるいは真っ先に殺されるという恐怖ですね。今まで自衛隊で何年やってきた人でも、まさか自分が殺されるとか、自分が人を殺すということはほとんど想定していないわけです。それがバーンと戦場に放り込まれようとしている。ROE(武器使用基準/交戦規則)で武器使用の権限や手順が問題になっていますが、自分が殺されるとか、自分が人を殺すというのは、法律以前の問題です。そんなことはやったことがない、考えたことがないという人間に、急にそれが仕事だ、それが避けられないとなった時には大変です。
  インド洋でも海上自衛隊は小さなボートや飛行機が自爆テロで突っ込んでくるのかもわかんないと非常に怯えていたわけです。海では1日に200ぐらい飛行機や船が何キロかの範囲で通りかかるということで緊張したと言っているんだけど、地上では、何キロどころか何十メートルのところに、場所によっては何百人も通るわけですね。しかもゲリラは旗立ててヘルメットかぶってくるわけじゃないし、スキがなかったらそのまま通り過ぎるだろうし、スキがあればどっかでやられる。本人からしたらまさかと思ったときにやられるわけですね。そこにいる間、寝てる間含めて一瞬たりとも気を抜けない。気持ちを張りつめていてもやられるわけです。これは本当にたまらんわけですよね。
  米軍も、保育園を襲撃したとかイラク警察を銃撃で撃ち殺したとか味方を撃っちゃったというのがよくありますね。米軍も非常に恐怖感がありますから、ちょっと音がしたら片っ端から撃つ、それはそういう作戦でやっているという以上に恐怖心からそうなってる。軍人である以上、占領軍である以上、たえず自分が標的であると自覚せざるをえないわけです。ほとんどパニックに陥って無差別的に人を殺しちゃうというのは大いにありえます。海上自衛隊の補給艦の甲板で見張りをしていた人の恐怖感とは比べ物にならない、何百倍、何千倍のプレッシャーになると思うんですよ。
  劣化ウラン弾の問題も非常に大きい。湾岸戦争、あるいはその後、半年とか1年とかイラクに派兵された米軍の兵士たちが被ばくしてその後癌に侵されたりいろんな症状に苦しめられています。半減期が45億年と言われているから、10年前のも全然減ってない。そこに今回の戦争でさらにイラク全土を大量に汚染させた。
  米軍の司令官も劣化ウラン弾を使ったというふうに言っているのに、川口外相は劣化ウラン弾は使っていないとウソをついている。放射能が出ていて、あれだけ障害が起こって、無関係の証明ができなければ、それは被ばくと言わざるをえない。自衛隊員にとって、凄まじい劣化ウランの汚染地域に入る恐怖も大きいと思います。
  PKOのように部隊が危険を避けて逃げ回って身の安全を守るというやり方をとったとしても、一回の交戦がなかったとして、内張りでこもってレトルト食品だけ食ってほとんど外に出なかったとしても、被ばくはするわけです。

  ☆海外派兵は、雇用契約違反

 米軍も韓国軍も自衛隊も、イラクの人々とともに被ばく者として、ブッシュ、ブレア、小泉の侵略戦争の被害者になるわけです。
  自衛隊の場合は、憲法上もそうだし、自衛隊法も、編成からも、海外で戦争をしないというのが前提になっていたわけです。戦争をしない軍隊から戦争をする軍隊への転換が、法律ができたとしても人間においてそう簡単にできるもんじゃない。小泉は、自衛官はみな志願して入ってきたんだ、入隊するときに身の危険を省みず任務を行うと宣誓しているんだと国会で言ってましたね。自衛官は十分覚悟ができているんだという。たしかに、日本が攻められたら守るんだ、防衛戦争をするんだということは言われてました。治安出動も任務になっていた。しかしそれ以外はないと。海外にいって、安保条約さえも関係ない、イラクを民主化するために、アメリカの指示に従って戦争をするということは全く言われていなかったわけで、雇用契約でいうとまるっきり違う話になっているわけです。

  ☆「非戦闘地域」のペテン

 今問題になっている「非戦闘地域」か「戦闘地域」かの話だって非常にごまかしがありますよね。イラク特措法ができたときは、安全なところ戦闘がないところでやるんだと、もし万一そこで戦闘が起こったら、近くでも戦闘が起こったら引き揚げるということを言ってます。今の状態なら行った日に帰ってこないといけないわけです。
  それが今では、部隊の周辺でテロ攻撃があった場合も戦闘とは認めない、支援活動を継続するんだと。米軍がゲリラと戦闘しても「戦闘」とは認めない。ゲリラは「国または国に準じる者」ではないから「戦闘」と認めない。ゲリラといくら戦闘があっても「戦闘」じゃないということにすると。なぜかというと「戦闘行為」と認めたら引き揚げないといけないからね。「戦闘行為」と認めなかったら「非戦闘地域」だということになる。したがって退かない、防衛するんだと言っている。ゲリラとの戦争をやり続けるために行くんだということをはっきり言っているわけですね。
  石破防衛庁長官などは、自衛隊の行くところは全部「非戦闘地域」になるんだという滅茶苦茶な論理で、自分は安全なところに行くと言った覚えはないと言っている。半年前の法律を作ったときの答弁もすでに反古にしている。自衛官としては、入隊のときの雇用契約と全く話が違う。イラクへでも行くかもわかんないよと言う話で入隊したんなら話は別だけどそうじゃないんだから。そして派兵の根拠とされている法律自体、今は全く嘘になっている。ダブルで話が違ってきているから、全く行く必要がないということだよね。
  はっきりとそう言わないが、ここを飛躍点として、自衛隊を本当に侵略戦争をできる軍隊にしたいということがあるんだと思いますよ。今問われているのは、殺し殺される戦争を本当に担える、侵略戦争で使い物になる軍隊にしたいということですよね。日本にとって一番大きな課題にしている朝鮮侵略戦争を考えると、イラク派兵で問題になっている程度のことをできなかったら話にならんわけですよね。だからまずこれを、クリアしたいという思いはあるはず。自衛隊は、戦争の経験者が誰もいない。指揮官も一兵卒も含めて、全部初体験なんです。ここが、アメリカ、ロシア、イギリス、中国などとの決定的な違いです。非常にもろい。だから政府としては実戦に踏みこんで、その課題を突破したいと思っている。

  ☆自衛官と家族の思い

 自衛官にしてみれば、「そういうはずではなかった」ということと、自衛官にとっても家族にとっても、これは大変なことだ。戦前は、職業軍人と結婚するときは戦場に行けばお別れかなとかと思って結婚した。いまでも米軍の兵隊と結婚する、相手の女性、男性はどこかでそう思っている。自衛官はそうではない。田舎に行けば、地元の女性は、農家で日曜日は田んぼを手伝ってくれる、現金収入がある、公務員だという条件で結婚を考える。
  戦争に行って、死んじゃうかもしれないとか、被ばくするというようなことは、まったく想定外なんです。寝耳に水というのが25万自衛官と100万の家族の本音です。これを1億2千万の1%にも満たないと切り捨てるのかどうか。危険なことでも誰かがやらんといけないのだから、自衛官がやるのは当然でしょうという人はいるでしょう。しかし、自分の命を差し出せと言われて文句もいえないという形で生贄にされようとしている1%の人達を、労働運動の課題として、労働者の仲間として守れるかどうかが重要だと思う。
  8月に第二師団6千人を対象に記名式で希望調査をしている。4つの選択があって、約半数が「宿望する」、3割が「希望」する、2割が「命令があれば行く」と書いた。ごく少数が「家族の事情があって行けない」という回答だった。施設部隊以外の、戦車やミサイルとか絶対にいかないことがはっきりしている部隊の人達が記名で書かされたら、必ず「宿望する」と書きますよ。「宿望する」と書いて、自分にあたらないように祈っている人が殆んどなわけで、こういうやり方で大半が志望しているという形にして指名する。
  小泉は、志願で入隊してきて、さらに宿望して手をあげた人だという。しかし、入隊するときに腹をきめていて当然という任務なら、なぜ1億円もの金を出さないといけないのか。日常の訓練で怪我をしたら、解雇されて、官舎からも放りだされる。1億円の金は、政府から見てもこの任務が正当だとは思っていない、後ろめたさがあることの証拠です。

  ☆反戦運動に合流しはじめた家族と元自衛官

 もう地元の議員に頼んでも何の力にもならないということはみんな知っている。自衛官とその家族が支持していた自民党がやらせているわけだから。自衛官の家族も、いまは藁にすがる思いで、とにかく反戦運動がもりあがったら派兵がとまるのではないかと、署名を集めたり、必死の思いで運動に参加してきている。名乗らないとわからないが、あちこちの集会で自衛官の家族がたくさん参加してきている。それと、元自衛官にも、自衛隊の中でいかに声が出しにくいかと自分の体験を踏まえて、反対運動の先頭にたっている人が大勢います。ここに運動の新しい可能性があると思うのです。
  有事立法もできたし、イラク特措法もできたし、実施計画が閣議決定され、派兵準備が着々と進んでいる。2年後には改憲という話も出ている。もうダメなんじゃないかと思っている人もいるかも知れないが、決してそうではない。
  反戦運動というのは戦争をやらせない、戦争を止めるという運動ですよね。これがいくらに盛り上がっても、軍隊の中で兵士たちがやるやるといえばもうとまらない。ところが、その反戦運動が軍隊の中に広がって、たとえ法律ができても、仮に世論が行ってこいとなったとしても、兵隊たちが嫌だと踏ん張れば、戦争は止まるわけです。その決定的な最後の担保、軍隊の中に反戦運動が広がる可能性がかってなく、というより大衆的な意味で初めて広がりつつある。ここに注目して、元自衛官、家族という自衛官のいちばん近くにとりまく民衆、労働者を反戦運動に組織していくことにこだわってやっていくことが重要だと思います。
  「月刊交流センター」の読者の方の知人や同級生にも、自衛官とその家族がいると思う。一人一人が、思いめぐらせてピックアップして、お正月にでも会いにいってほしい。自衛官とその家族にとって顔のみえる運動になったとき、反戦運動も底力が出ると思う。

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●「しごと開発事業」打ち切り弾劾! 地労委の攻防戦に勝ち抜こう

 関西合同労組

 「しごと開発事業」の打ち切りは、兵庫県による不当労働行為であるとする、労働委員会闘争の若干のアピール、支援のお願いです。この地労委は、兵庫県が被災失業者を対象に行ってきた事実上の失業対策事業である「しごと開発事業」が昨年3月に打ち切られ、1400名の就労者が井戸知事の名において解雇された事件です。失業労働者の労働権をかかげて、県行政に公的就労を保障させていく闘いのうえで、相当重要な攻防戦となっています。しかし、全国の仲間への訴えが、決定的に遅れています。

 中西五洲さんの証人採用を

 兵庫地労委で「しごと開発事業」の打ち切りを、兵庫県の不当労働行為であるとして、申し立てた「しごと開発就労者組合」の労働委員会闘争が大きな山場を迎えています。
  1月28日は、結審の強行か、重要証人中西五洲さんの採用かをめぐる最大の攻防点です。多くのご支援をお願いします。1月28日午後10時、兵庫県庁第三庁舎8階審問室です。
  中西五洲さんは、全日本自由労働組合の委員長として、「仕事わく拡大」「越年手当獲得」めぐる松阪職安占拠党争(282名逮捕)など激しい闘いを指導し、失業対策事業打ち切り反対闘争を先頭で闘い、国・行政の失業労働者の団結権破壊と全力で闘ってこられました。国・行政がいかに反失業闘争に対して、不当労働行為意志を形成してきたかの生き証人です。
  特に中西五洲さんが証人採用されたら、ぜひ多くの支援傍聴をお願いします。
  1月28日は、今後の証人採用を決めるためだけですが、重要な局面です。
  12月11日の審問は、長谷川正夫雇用と生活要求者組合代表の前回証言につづき、宮武関西合同労組書記長の証言で、震災後の労働相談、そして「8月反動」による組合の職安からの排除、さらに「中高年齢者等求職手帳」発給闘争での「組合の同行」を理由にした全面却下の経過、さらに「長田の街を焼いたのは行政の責任だ」と弾劾、厳しい失業情勢と「政府の企業への助成金方式は破産した。もはや公的就労事業しかない」としごと開発事業の打ち切りの不当性を明らかにしました。満杯の傍聴席から大きな拍手がおこりました。

 結審策動を許すな

 審問後、中西五洲さんの証人採用の件で、相当もめました。審査委員は、結審の構えできており、「全日自労への不当労働行為は、他の組合のことで関係ないこと」というとんでもないことを主張して、却下の姿勢を示してきました。
  組合は全日自労の仕事よこせ運動〜失対打ち切り反対闘争のなかで、失対労働者の団結を嫌悪する不当労働行為意志が形成され、それ(不当労働行為意志)によって失対事業は二度とやらないとの政策意志が形成され、しごと開発事業の打ち切りが強行されたということである、と主張。単なる背景事情ではないことを立証することが不可欠です。
  地労委はとにかく結審したいということで、宮武書記長が「組合嫌悪は立証できているということか」と聞くと、審査委員が「関西合同労組への組合嫌悪はあったと思いますよ」(就労者組合と言わなかったが)と言う一幕もあって、兵庫県の悪質な弁護士(大阪の寺内則雄弁護士が県の代理人)が、「いったい何をやってるのか。審査委員が心証をいうのは問題だ」と不当な抗議。組合は、「ここは裁判所ではない」「あなたの言動そのものが組合嫌悪そのものだ」と弾劾、傍聴人席からも抗議の声があがりました。
  その後参与委員の意見を聞くと休憩。休憩後、「参与委員ももう必要な証言はされた」ということだが、「独断にならないよう公益委員会議で公益委員の皆さんの意見を聞いて決定する」と言い、それで押し切られました。年末に証人採用の準備書面提出、1月6日公益委員会議で検討、1月28日が決戦日となります。

 ねばり強く闘いぬいた地労委

 02年3月申立、審問なしで申立却下という局面から、安藤審査委員弾劾運動、 02年1月から@就労事業と兵庫県の支配の実態(池内、組合員3人)、A使用者性の立証(米村)、B県交渉の経過と打ち切りの不当性(三輪)、Cケミカル産業と失業労働者の実態・打ち切りの不当性(長谷川)、D震災の行政責任と公的就労事業の必要性、雇用保険申請、中高手帳申請における兵庫県の組合嫌悪・敵対的対応(宮武)と展開してきました。Bでもう打ち切りという対応があったのですが、Dまで押してきました。
  そして、E全日自労の闘いと労働省・行政の対応、失対打ち切り過程と、「失対における団結を嫌悪し、失対は二度とやらないという不当労働行為の形成されたこと」(中西五洲さん)F戦後雇用政策の展開と失対打ち切りの経過、国・労働省の不当労働行為意志の形成(労働権保障の研究をしている学者に要請中)。
  @しごと開発の打ち切りと、就労者のその後の実態(組合員3人ぐらいを予定)を予定しています。全国の皆さんのご支援よろしくお願いします。

 しごと開発とは

 「被災地しごと開発事業」は、被災失業者のたたかいがかちとった、非常に不十分ではあるが失業対策事業。全壊(全焼)か仮設住宅居住者で、45歳〜59歳の失業者を対象に、チラシまき・ゴミ分別収集など、月最高で10日間・5万円の収入になる。震災2年後の97年4月から5年間、予算53億円の事業で、財源は復興基金。「就労を通じて被災者の自立を図る」ことを事業の目的としてはじめられたが、02年3月兵庫県は「就労意欲を持ってもらうこと」とすり替えた「目的」が達成されたとして強引に打ち切った。
  しごと開発就労者組合は、00年10月結成、事業の打ち切り反対闘争を激しくたたかい、事業打ち切りを労働権否定、組合嫌悪の不当労働行為として地労委に救済を申し立てて争っています。
  当初地労委は「争点は使用者性」と言いなして、審問(証人尋問)なしの結審まで言及しました。しごと開発事業は、かつての失業対策事業で全日自労が行政や職安を使用者として激しく裁判闘争をたたかった歴史を「教訓化」して、県と就労者の間に、勤労福祉協会、復興基金、受注企業と3段階も機関を設け、その上で受注企業と就労者が形式上の「請負契約」をおこなう形にするという、いわば使用者性をのがれるための脱法行為ともいえるシステムで行われてきた。この県の意図の下に、兵庫県地労委は申立を門前払いしようとしたのです。しかし、組合は、勤労福祉協会も、復興基金も県が支配する機関であり、兵庫県はまぎれもなくしごと開発就労者の使用者であることを立証しました。

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●怒! 怒! 怒! 怒りのスト決起!

 検修大再編攻撃との対決に起つ! 習電廃止反対! 運転保安確立!

 検修大再編攻撃粉砕! スト貫徹! 12・15総決起集会!

 スト貫徹動労千葉総決起集会が、12月15日、千葉県労働者福祉センターにおいて開催され、ストライキに決起した組合員49名を先頭に、全支部から190名が結集、集会後の千葉支社抗議行動を貴徹して、第二の分割・民営化攻撃の中心軸をなす検修大再編攻撃との本格決戦への決意を示し抜いた。
  冒頭、田中委員長より今次闘いの課題と展望が示され(要旨別掲)、続いて、連帯あいさつとして、動労千葉を支援する会・山本事務局長より、「職場の確保と安全の確保は闘いによってしか確保できない。全力で続いていきたい。12・6アメリカ西海岸での集会では、動労千葉、韓国民主労総との国際連帯の決議を満場一致であげてくれた。民営化反対と職場防衛そして国際連帯の闘いが行なわれている」と訴え、三多摩、千葉の各労組交流センターより檄布が田中委員長に渡された。

  習電廃止強行―検修再編攻撃に怒りの決意

 続いて、川崎企画部長より今回の習電廃止攻撃との対決としての交渉報告がなされ、スト突入支部からの決意表明に入った。
■習志野電車区廃止に、両手をもがれるような気がしてならない。12月6日大会を行い新たな闘争体制を築いた。小さな支部となったが気持ちは同じだ!(津田沼)
■本日33名がストに決起した。集会に結集する前に、ピラ配り、スト破り糾弾行動を行い本集会に結集した。今回の闘争を含めて組織を守ってきた。懸案要求の解決に向けて闘いを飛躍させたい!(幕張)
■京葉電車区の組合員3名の仲間が本日のストに決起している。習志野廃止強行―職場を奪われる怒りを叩きつけたい!(京葉)
■習電廃止強行を絶対許さない。職場を奪った怒りを忘れない。鉄道の安全を守ってきたのは技術者だ。外注化―大再編攻撃の粉砕へ団結を強化して闘う!(木更津)
■規模は小さいが検修大再編攻撃との対決に向けた、闘いの第一歩を築いた。来春へ向けて新たな闘いを続けていかなければならない。検修関係でのメンテナンス合理化、外注化、転籍との闘いが開始されたことを全体で確認しよう!(本部・繁沢)
  最後に、本部・中村書記長より、04春闘に向けた闘争方針が示され、@、懸案要求の解決に向けて闘いを強化していく。A、新たな反合・運転保安闘争を築きあげ闘い抜く。B、現場段階では、恒常的スト体制を堅持強化し、ストライキを対置して要求の解決をめざしていく。C、貨物ニューチャレンジ21との闘いに備え、構築し、D、04春聞に向けて組織をあげた闘いに邁進したいと、04年に向けた闘いの方針が提起された。

  検修大再編攻撃に宣戦布告その出発点の闘い(本部―田中委員長あいさつ要旨)

 本日、49名の組合員がストライキに決起した。今日をもって習志野電車区の廃止が強行された。決意を固める日だ。津田沼ではこの間多くの組合員が強制配転された。200名いた職場が今では8名となっている。基地統廃合合理化への怒りの決起だ。習志野廃止ほただの出発点だ。メンテナンス近代化第V期の中身はわずか2年間での統廃合攻撃だ。今日の闘いは、検修大再編との宣戦布告の場であり意思表示だ。単に検修職場だけの問題ではない。JRで働く労働者のすぺてを弱肉強食の世界へとたたき込もうとしている。全面外注化攻撃は安全の崩壊へと続く問題だ。そしてこの闘いは、労働条件や権利を守るものであり、その間いの先頭に起つ決意を込めたものだ。検修大再編攻撃との攻防は、とりわけ幕張の縮小攻撃との闘いだ。チェック機能さえ失っている安全の崩壊に対する運転保安闘争だ。強制配転者の原職復帰、予科生の士職登用などの懸案要求解決に向けた取り組みを強化する。来春のダイ改では総武緩行線・快速線のスピードアップが提案されようとしている。闘いで徹底的に打開していかなければならない。JR総連解体―組織防衛・強化・拡大の闘いに進撃しよう!その意味でも今日の闘いが出発点だ。
  大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!(日刊動労千葉5793号より転載)

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●許すな!「4党合意」労働委員会闘争シリーズU−F

 東京地裁行訴で原告から甘利ら8名の証人申請を行う
  12月17日(水)東京地裁で吉野さんらが原告となっている行政裁判が行われた。弁護団は事前に準備書面と同を提出して、中労委の主張に対する反論と原告側主張の追加主張を行った。
  準備書面は、中労委が「『4党合意』は、その実現が客観的に不能となったので『4党合意』の撤回を求める救済利益は消滅したと考えられる」としながらも、一方で「『謝罪文の交付・掲示』を求めている点については、救済の利益が存する」と相矛盾する主張を行っていることに対して、中労委の主張は要するに「4党合意が不当労働行為を構成する場合には救済の利益が存在することを認めたものに他ならない」と述べ、中労委がそうでないと言うのであれば、その主張を具体的に明らかにするよう求めた。
  また、準備書面は4党合意形成過程におけるJR西日本とJR貨物の関与について、その事実を明らかにしたものであった。
  これに対して、中労委は一片の紙切れでしかない準備書面を当日になって出してきて、原告が前回提出した準備書面に対して、「纏め方及び解釈については、強く争う」と述べ、どのように争うのかの主張は一切述べていないものであった。
  裁判所は、中労委に対して、原告の準備書面とに対して次回までに反論するように求めた。

 各地の闘いの経過(前号の続き)
  ◆東京地裁行訴(東京・新潟・秋田・鳥取・千葉併合事件)
     第5回弁論   12月17日(水)
     次回弁論期日 1月23日(金)
  ◆東京高裁行訴控訴審(動労千葉事件)
     第6回弁論  11月6日(木)
     判決       12月25日(木)
  ◆大阪地労委
     申立人らが勾留中のため中断
  ◆福岡地労委
     結審宣言   9月29日(月)

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●「国民総動員体制」構築のための教育基本法の改悪

 今、なぜ、教育基本法改悪か

 反戦共同行動委員会として、イラク反戦と有事立法の問題とひとつの問題として、教育基本法の問題を本格的に取り組んでいく一助として提起させていただきます。
  教育基本法改悪は、今、現実に進行している自衛隊イラク派兵や朝鮮侵略戦争の危機との関係でとらえていく、戦争と教育という観点でみていくことが重要です。国家総動員体制構築のために、国民精神の総動員法として、教育基本法の改悪が日程に登ってきたのです。
  街宣で署名を集めていると、イラクのティクリートのゲリラ事件が討論になると思うんです。外交官は帝国主義外交の先兵です。彼らは、イラク人民に自衛隊を受入れさせるために、日本帝国主義の影響を広げるために活動していた連中です。小泉はこの外交官の襲撃事件を政治的に利用して、自衛隊出兵のテコにしようとしている。マスコミあげて日本国家のために死んだ外交官を英雄に仕立てあげようとしているが、自衛隊はとなると、自衛官自身の意識も、国民の意識も、まだそこまでいっていない。対テロ戦争に自衛隊を国をあげて送り出す状況にはとうていなっていない。
  教育基本法改悪とは、核心はナショナリズムの問題、お国のために死んでいくことを賛美する価値観の問題です。教育基本法の中身をめぐって、全国民を対象としたイデオロギー攻防が具体的にすでに始まっているのです。

  帝国主義の危機、戦争と大失業の時代の国民教育

 資本主義が労働者人民を食わしていけない時代であり、戦争をしなければ帝国主義が生き延びていけない時代となってきたと思います。戦争をする国づくりは、着実に進んでいる。ハードウエアについては、自衛隊の増員、増強含めて、相当金をつぎ込んでやってきている。ミサイル防衛にも踏み込もうとしている。システムとしても有事立法が完成はしていないが基本的な骨格は武力攻撃事態法でできた。04年の通常国会では国民保護法制の名の下に国民を戦争に動員する法律がつくられようとしている。翼賛国会の状況を考えた場合、法律はいくらでもつくれる。
  ところがいくら法律とか軍備とか持っていたとしても、結局はそれを担うのは生身の人間ですね。ソフトウエアとして考えた場合、無理矢理に戦争に動員しても躊躇なく敵を殺せない。自衛隊を「殺し殺される」戦場に送りだすことを国民が支持する関係をつくりだせていない。戦後の平和主義的意識は、根強くあり、世論調査でもイラクへの出兵についても反対意見は相当多い。いくら法律が出来ても、現実的に生死、血が流れる戦争という問題にかかわって言えば、人の問題について日本帝国主義は戦後、ほとんど無準備できたのが実態だと思う。
  人をつくりだすのは、やはり「教育」ですね。戦争と教育という関係、帝国主義戦争が総力戦として戦われる以上、国家総力戦と教育の問題、国民の戦時動員体制の問題として具体的に考えていく必要があると思います。「人間の命は地球より重い」ではなく、個人を超えた価値、国家への忠誠・献身の思想がないと成り立たない。そういう風潮をかもしだす社会状況をつくり出すということを含めて、国民精神総動員体制の問題として教育基本法改悪問題があるのです。

  教育基本法とはなにか

 教育基本法は、短い法律ですから、ぜひ、全文を読んで下さい。
  教育基本法が、戦前の教育勅語体制を全面的に否定するものとしてだされているということは、前文を読んだだけで分かると思います。憲法以外の法律で前文があるのは教育基本法以外に多くありません。国民主権、平和主義、人権主義、地方自治が憲法4原則と呼ばれていますが、その憲法の理想の実現は、根本には教育の力によるしかない、だから教育基本法をつくったんだよという位置づけが示されているということです。いざという時には、天皇のために命を投げ出す臣民の育成を教育の目的に掲げていた教育勅語にかえて、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」が教育の目的として掲げられたということです。
  教育基本法の前文と第1条と第10条は、教育基本法の核心部分です。第1条は、「教育の目的は、人格の完成にある」というのがポイントです。第10条は、教育基本法における「憲法9条」というべき重要な部分です。1項が「教育は」が主語で、2項では「教育行政は」と書いていることに注目して下さい。軍部や官僚の「不当な支配」が、教育を戦争の道具にしたことへの総括と反省から、教育行政は、教育活動の中身に介入してはならず、教育条件の整備にその役割を限定しているのです。

  教育基本法の形骸化から明文改正へ

 教育基本法改悪の流れを簡単にみていきたい。改悪は、今、突然出てきたものではなくて、自民党・保守層にとっては教育基本法改悪は、戦後一貫した宿願であったと思います。50年代には、公選制の教育委員会が廃止され任命制の教育委員会制度に変えられ、文科省−県教委−市町村教委にいたる国家統制の仕組みがつくられた。この時、教育基本法そのものを変える動きがあったのですが、勤評闘争と60年安保闘争の高揚の中で、以降は、形骸化路線に転換します。60年代には、「期待される人間像」がだされ、能力主義が進んでいきます。80年代には、中曽根が「戦後政治の総決算」の一環としての臨時教育審議会(臨教審)の教育改革があった。
  中曽根は、臨調行革で国労をつぶして総評を解体し、臨教審で日教組をつぶして「お座敷に立派な憲法を安置」しようとしたのです。臨教審で大きく打ち出されたのは「個性重視の原則」、もうひとつは「国際社会にいきる日本人」でした。「個性重視」とは新自由主義に基づく市場原理の導入です。もうひとつは、新国家主義で「国際社会に生きる日本人」を21世紀の教育目標に掲げました。これが今日の教育基本法の見直し論の基調になっている。中曽根はここで改憲の下地をつくろうと思っていたのでしょうが、臨教審設置法では「教育基本法の精神にのっとり」という一文が入っていたため、明文改悪にはいたらず、教育基本法の解釈改定にとどまったのです。この段階では、総評も社会党も残っていたし、ここまでしかいけなかった。
  これを突破する「教育改革」攻撃が90年代に始まる。教育基本法の明文改悪ができなかったために、教育改革という名前で教育基本法を空洞化する攻撃がでそろう。戦後教育の平等主義が画一性をもたらした元凶として攻撃され、飛び級や中高一貫校など複線化が出てくる。それは企業の多国籍化、経済のグローバル化の中での帝国主義間の激しい経済戦争を背景としています。今までは均質な労働力が高度成長の原動力になってきたけれど、これからはそうじゃない。画一的な教育制度による均質な労働力の養成は、賃金の高コスト構造を生みだす。これからは、科学技術創造立国を担うエリートの養成に集中的に金をかけて、「できないものはできんままで結構」、一般労働者むけの公教育は思い切ってスリム化するという構造に入っていきます。
  99年に出された「21世紀日本の構想」懇談会報告では、教育を「統治行為としての教育」と「サービスとしての教育」の二つに分けている。「教育は納税、遵法とならぶ国民の国家に対する義務だ」といって「権利としての教育」というう考え方は一掃されている。義務教育は週3日でいい。あとは、クーポン券をわたすからカルチャー産業でも塾でも好きなところにいってくれというような形まで考え始める。
  95年にだされた日経連の労問研報告「新時代の日本的経営」には、今進んでいる不安定雇用化戦略が出てきます。労働者を長期蓄積能力活用型グループ、高度専門能力活用型グループ、雇用柔軟型グループに分け、それぞれを効率的に養成する教育制度が求められたのです。いま、東京でも神奈川でも、「特色ある学校づくり」の名のもとに高校が無数に多様化されてきているのは、このためです。

  戦時型教育への原理的転換

 他方、グローバル化の裏返しとして90年代には、さまざまな国家主義の台頭があらわれてくる。軍隊慰安婦問題をとりあげた教科書への攻撃から「新しい歴史教科書をつくろう」というつくる会の運動が始まる。いじめ・不登校の激増に対応して「心の教育」の名のもとに道徳教育や奉仕活動が強化されてきます。99年には、周辺事態法と一体で国旗・国歌法が制定され、「日の丸・君が代」の強制が飛躍的に強化されてきます。00年1月に憲法調査会が発足し、12月に教育改革国民会議が最終報告で教育基本法見直しを報告し、01年11月に文科省が中教審に諮問、03年3月答申という流れを見ると、教育基本法改悪と改憲が同時に進んできていることがお分かりいただけると思います。
  新たな世界戦争の時代に、激化する帝国主義争闘戦にかちぬくためには、科学技術創造立国を進め、同時に戦争できる国に飛躍しなければならない。日本帝国主義にとって、教育が個人の「人格の完成」をめざすものであってはどうにもならない段階にいってしまったのです。中教審答申には、各国が進める「国家戦略としての教育改革」への激しい危機感が表明されています。
  教育基本法が、国家権力を拘束する規範から、個々人を「国民」「日本人」として拘束するものにその性格を変えようとしているのです。国民のための、国民による教育というタテマエを一掃して、国家が教育の主体者となり、国家の戦争の手段、国家に役立つ人材育成のための教育に転換していくのが教育基本法改悪の本質だろうと思います。(続く)
  本稿は、12月7日の反戦学習会での現場の教育労働者の講演を要約したものです。

☆教育基本法(抜粋)

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
  われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならない。
  ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
第一条(教育の目的)
  教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。
第十条(教育行政)
1 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

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●SPOT&CRITIC  労働委員会制度

 厚生労働省の労働政策審査会は、昨年12月16日、労働委員会の不当労働行為審査の在り方を「抜本的に」改革する労働組合法改訂の建議をまとめ、坂口厚生労働大臣に提出した。今年の通常国会に法案を提出する予定。
  「審査の迅速化及び的確化の推進が緊急の課題であり、これらが実現されなければ労働委員会制度の存在意義が問われかねない状況」とし、「審査期間の長期化」「労働委員会の命令に対する司法審査の取消率は高い水準」にあると指摘している。
  また司法制度改革推進本部の設置期(04年11月30日)までに所要の措置を論ずべきとされている。

  労働委員会の裁判所化を促進

 建議の内容は次の通り。
第一、審査手続き
  審問を行う前に@争点及び証拠、A審問を行う期間、B審問を行う予定期間、回数、証人の人数、命令書交付の予定表をあらかじめ設定すること。
  事実認定に必要な証拠の確保のために証拠の提出命令を出すことができ、正当な理由なく命令に従わない所持者に過料を科す。
  また、証人に宣誓義務を設け、当事者についても宣誓させることができる。宣誓拒否又は当事者の虚偽供述について過料を科す。救済命令違反に対する罰金及び過料の上限額を引き上げる。
  和解を促進する。現行の労組法の和解について何ら規定が設けられていないが、大多数が和解により解決されているという。和解を試みることを規定で明記する。
  第二に、取消訴訟における新証拠の提出制限
  労働委員会段階で証拠提出命令を受けたにもかかわらず当該命令に係る対象物件を提出しなかった者は、正当な理由がある場合を除き、取消訴訟で、その証拠提出の申し出をすることができないものとする。
  第三、審査体制
  中央労働委員会に常勤の公益委員を配置する。公益委員により小委員会を複数設置する。
  地方労働委員会でも常勤の公益委員を配置でき、小委員会も設置できる。

 和解に力を入れる

 建議では、中労委の命令が裁判で取り消される率が高くなっているといっている。この第1の原因は、裁判所が労働法制を無視し、準司法的機能をもつ独立行政法人である労働委員会の命令を尊重するのではなくて、切り捨て、民法をふりかざす裁判官が増えたことによる。国鉄分割・民営化は国是だとする裁判官もいる。さらに、こうした裁判所の動向を気にして腰のすわった命令を出さなくなった労働委員会が助長している。
  審査の計画化は現在でも行われている。迅速化一般に反対する人はいない。しかし過度の迅速化は労働者の権利の無視となる。
  証人、当事者の宣誓義務化、新たな過料の設定は、罰をもって従わせるものである。迅速化と合わせて労働委員会の裁判所化を促進するものとなる。
  和解の促進は、不当労働行為の認定を意識的に行わせず、ということは不当労働行為を弾劾せずに、金銭和解で解決ならぬ解決に持ち込もうとする労働委員会の存在そのものを否定するものである。
  常勤公益委員の設置は、現在、すでに元裁判官が公益委員に入ってきており、労働委員会の裁判所化をさらに進める。
  労働委員会では公益委員の権限は絶大である。しかし、最近、公益らしからぬほとんど資本の代弁者にすぎない人物が公益委員になるケースが多く、労働委員会の3者構成が実態的に破壊されつつある。その上に、公益委員の権限を強化するのか、東京都労働委員会の会長藤田耕三は元裁判官、現公安審査会委員会長である。
  今回の労組法改定は、司法審による労働審判制度との関係でみていく必要がある。 (さ)

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●たたかいは進む

 ☆動労千葉スト貫徹総決起集会

 12月2日、動労千葉は千葉市文化センターにおいて「習志野電車区廃止反対・運転保安確立!貨物年末手当超低額回答弾劾!12・2動労千葉総決起集会」を開催した。会場は組合員、支援など200人を結集して熱気あふれる集会となった。
  集会では田中康宏委員長があいさつし、三つの課題を提起した。
  ひとつは12月15日に迫った習志野電車区廃止攻撃粉砕へ総決起体制を築くこと。とくにこれは検修基地の大再編攻撃の始まりであり、組織を破壊する攻撃だ。また、車掌や人事部門まで外注化しようとしていること。
  二つめに、04春闘に向けて、動労千葉の原点である反合・運転保安闘争を新たに再構築することだ。その第1波闘争が12月闘争だ。この間の重大事故は、保線、電力、信通の全面外注化により起きている。「闘いなくして安全なし」「安全に関する一切の問題は労働組合の闘いの課題だ」という立場で闘うこと。
  三つ目に貨物の年末手当1・72カ月という超低額回答に怒りの声を上げ、04年4月以降の年功制賃金解体攻撃に対する闘いを開始すること。これは基本給を解体し、賃金差別によって団結の基盤を崩す攻撃だ。と三つの課題を述べた後、動労千葉の勝利の展望を明らかにした。「今年は予想もしなかった国際連帯がつくりだされた。世界から動労千葉の闘いが正当に評価された。動労千葉が千葉の職場の主導権を握り、日本労働運動の中心になる状況が始まる。労働者の生きる権利を奪う賃下げ、社会保障解体攻撃、そしてイラク自衛隊派兵が強行されようとしている。戦争する以外に生きられない国はつぶれればいいという立場で闘おう。一切の闘いは12月ストから始まる」と結んだ。
  その後、車両技術分科、乗務員分科、貨物協の代表が決意表明した。
  中村栄一書記長が基調報告を行い、スト方針提起した。習志野電車区廃止に伴う配転などの事前通知があった場合、検修職場の半日ストに突入し、非協力闘争に入る。習電廃止を強行した場合は、15日に検修職場を対象に全日ストに突入する。
  そして、当該支部である津田沼支部をはじめとした全支部の決意表明が行われた。
  動労千葉は04年春闘へむけた闘いに突入した。動労千葉と連帯し、動労千葉のように闘おう。

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●読者のページ

 ☆こりゃひどすぎる! 宮城 春野 和歌

  12月17日の地方紙の夕刊に杉並区で公園トイレにスプレーで反戦落書きして現行犯逮捕されて、建造物損壊罪で起訴さた書店店員男性(25才)の東京地裁の論告求刑で、1年6月求刑というニュースがあった。検察側は「自己中心的理由から落書きという他者の権利を侵害する手段を安易にとった。落書きは社会問題化し、厳罰を求める声が上がっていた」。弁護側は「政治的な起訴だ」と主張。この日の最終弁論で「落書きで便所の使用が困難になるわけがなく、建造物の損壊には当たらない。表現の自由が尊重されるべきだ」と述べた。
  被告が落書きしたのはイラク戦争さなかの4月17日午後8時半ごろ。「戦争反対の思いを伝えたくて、街を使った表現手段をとろうと思った。法に触れるとは思ったけれど、落書きも一種のメディアではないかと考えた」というのが動機。書いた直後近所の人に見つかり、警視庁荻窪署員に突き出された事件だそうだ。
  弁護人の西村正治弁護士は「軽犯罪法違反(拘留または科料)か、杉並区条例の落書き処分規定(2万円以下の過料)ならまだしも、懲役5年以下を規定する重罰の建造物損壊罪を適用するのは不当だ」と検察側を批判している。
  さて、みなさんはどう思いますか。そりゃ落書きは良くないよ。地域で消すのに苦労している。でも、懲役かよっ、警視庁かよ、近所の人の見回りかよっとびっくりだし。夜のトイレにこっそりだけれど反戦を意思表示した気の小さい?、いや勇気ある表現に拍手となるか。それにしてもこりゃひどすぎると思います。

 ☆『俺たちは鉄路に生きる2』を読んで 宮城 教員 かつまさよし

  もう7年前に亡くなった私の父は、生きていれば74歳である。鳥取県立米子東高校を卒業して、国鉄に入った。その後11年して、辞めた。また、私の同級生たちも高校卒業後、国鉄に入社し、鉄道管理局のある米子駅に立っていたことを思い出す。あの友人たちは今どうしているだろうか。
  そういうことを想起しながら、この本を読んだ。
1 まず、本の題名がいい
  「俺たちは、鉄路に生きる」。誰がこのカッコイイコピーをつくったんだろう。会ってみたいものだ。また、「仕事を楽にするのが労働組合運動ではない。仕事をちゃんとやるということは、搾取されることだが、同時に労働者の誇り。仕事をちゃんとやらないやつに、本当の怒りは沸いてこない」という言葉には、鉄道マンの気概とプライドを感じる。「魚は、頭から腐る」通り、腐った頭をもった労働組合のダラ幹たちに送りたいメッセージでもある。
2 連帯の教訓として
  @「すべての職場闘争は、さしあたり少数からはじまる」の言葉は、とても励みになる。
  A「職場闘争は現場の労働者に受けなきゃ」ユーモアがないと、長期的な闘争に疲れてしまう。
  B「労働者は、仲間を裏切っちゃいけない。組合が闘わないかぎり、結局仲間を裏切らざるをえなくなる。闘ってこそ強い団結が生まれ、展望は開かれる。それは本来、労働者が持っている力を全面的に信頼し、それに依拠して闘うということ」。この言葉には、なにか、労働組合の指導者というよりお寺の和尚さんの説教のようなものを感じてしまう。
3 最後に
  @国鉄の分割民営化における国側の宣伝で、「すべての責任は、国鉄の労働組合と労働者にある」と述べられているが、これを「今の教育が混乱したすべての責任は日本教職員組合と教員にある」というふうに置き換えたら、どうだろう。とすれば、日教組つぶしも、結局、国鉄の分割民営化がスタートだったということがわかる。
  あの頃、俺は、何をしていたんだろうと、つい想起してしまう。
  A次に「農民は土地に、動労は、鉄路を武器に」ということが述べられている。とすれば、教員は何を武器に生きればいいのだろう。…授業、子供、保護者…というふうに、その時代を生きてきた私には、この本を読むとき、その頃、自分が何をしていたのだろうか?ということに記憶を呼び起こせながら読んでいくうちに、なにかしら、この本に哲学的な匂いを感じた。

 

 ☆「たまに考えると…こんな気持ち」 宮城 医療 飯島 ゆかり

  学歴、資格、特技がないと、パートか準社員。月10万〜11万円。もーお金がない毎日。パート仲間からお誘いで「家政婦をいっしょにやろう」というので、すぐ病院住み込みの付添婦になった。
  患者と患者のベッドの間に布団を敷き、5時起床。電気はつけられないので、暗い中、自分の身じたくをすませる。6時からは患者の着替え、そして身体をふいたり、食事介助をする。2時間おきに身体の向きを変えたり、オムツの交換や洗濯などをすませ就寝になる。だけど、夜中に2回ほど起きてオムツを交換するのをうっかり寝過ごすと、患者のパジャマからシーツまで尿でびっしょり。30分から40分かけて後始末をすると、もう懲りて、だいたい次からは寝過ごすことはなくなる。
  24時間を病室の一室で過ごす。私物がないので、窓からのネコの餌づけや、各病棟のロビーの本を借りてくるのが娯楽になる。患者3人を受け持つと、1日1万5千円ほどの賃金になる。1カ月で50万円近くの計算になるので、「夢のようだ」と思ったのだ。ところが、当時の厚生省によって、病院内付添婦はすぐに廃止される。私の「家賃0円、月生活費2万円」の生活はあっけなく終わった。
  この時、同僚の中に、もうすぐ亡くなるという患者さんが「淋しい」というので、少し添い寝をしてあげた人がいて、なんとなく「いいな」と思った。
  私も付き添いはやめたが、その後、病院のスタッフになった。仕事の中で、死後の処置がある。「ああ、この人のみとりに立ち会えてよかった」と思うことがある。人格的に尊敬できる人だったとか、仲が良かったということもあるだだろうけど、なんとなくこの人が、という理由もある。でも、今の仕事の中では、身体を拭いてあげることしかできない。「職員も患者さんとの最後の時間を、静に、ゆっくりと過ごす時間があればなー」と、こんなことを考えることは、めったにあることではないのですが、私が世の中を良くしていきたいと思って、交流センターに入っている理由の100ぐらいの中のひとつの理由を書いてみました。
(かつさんと飯島さんの投稿はみやぎ労組交流センター機関誌「スクラム」11月号に掲載されたものです)

 

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