2004年3月号(No.168)  目次
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労働者の目  3・20 10万人集会へ

労働ニュース
  ●春闘/合理化・雇用/うつ病など   ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集 小泉・奥田路線と闘う
 ●04春闘に起つ動労千葉の闘争方針
 ●小泉・奥田路線と対決する戦時下の04春闘
 ●安全要求をかかげ、04春闘を闘う  ス労自主

許すな「4党合意」労働委員会闘争シリーズU―H

悪化する労働者の現状 シリーズU

イラク派兵をめぐる北海道からの報告

「俺たちは鉄路に生きる2」を読んで

・たたかいは進む   ●厚生労働省交渉   ●3・20 10万人集会へ向けて

読者のページ


●3・20 10万人集会へ

 全国労働組合交流センター常任運営委員 二本柳  実

 「日の丸」の旗が打ち振られる中、旭川の陸上自衛隊本隊第1陣が戦場のイラクへ出兵した。日本帝国主義は引き返すことのできない泥沼の侵略戦争へ突入したのだ。この〈新たな戦前〉に、私たちは身震いし身構えなくてはならない。
  この戦後の大転換点に国論は二分されたままである。日本帝国主義は〈挙国一致なき侵略戦争〉への突入を余儀なくされる危機に直面している。
  12・23教育基本法改悪反対全国集会は、既成の市民運動と労働運動の枠組みを大きく打ち破り4千名を超える労働者市民を結集し、画期的な成功を勝ちとった。連合結成以来はじめて、おなじデモの隊列に日教組と全教の旗が立った。
  この流れは1・25ワールドピースナウ集会に引き継がれ、昨年は分裂開催だった市民運動と労働運動の大合流が勝ちとられた。主力を担ったのは陸海空港湾労組20団体など労働組合であり、その最大勢力は日教組と自治労の仲間である。
  いま動き出したこの流れを小泉打倒の闘いへと集中する決定的な転換点が、《イラク開戦1周年3・20世界同時行動》への10万人結集である。3・20は世界の労働者が一斉に立ち上がる日だ。
  決戦の渦中で勝ちとられた交流センター第11回定期全国総会は、〈帝国主義と資本攻勢に立ち向かう〉04年闘争の跳躍台として、交流センターの党派性として、3・20に10万人結集方針を確立した。闘う労働運動の新たな潮流が、文字通り時代を切り拓く時が来たのである。
  教育労働者にとっても、今年の卒業・入学式における「日の丸・君が代」闘争は過去の侵略戦争の問題ではなく、今日の侵略戦争の問題=戦時下の「日の丸・君が代」決戦となった。
  日本階級闘争史上最大のチャンスが到来している。このチャンスをものにできるか否かに、労働者階級の未来がかかっている。交流センターに団結せよ! 3・20に10万人結集をもぎとるために全知全能を働かせよう。

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●労働ニュース(04年1月16日〜2月15日)

春闘開始宣言を採択
  連合は16日、中央闘争委員会を開き「暮らしの安心・安定の実現に総力をあげて闘い、成果をあげる」との春闘開始宣言を採択した。賃上げについては定期昇給(定昇)相当分の維持を最低限の要求とする方針を確認。定昇制度を持たない中小企業向けに5千200円の要求指標を初めて設定した。重点課題として年金改革への働きかけやサービス残業の撲滅、パート労働者の待遇改善などを列挙。昨年に続き賃金中心から労働条件全般に広げる姿勢を明確にした。

 モデル郵便局カイゼン空回り
  日本郵政公社が誕生する直前、郵政事業庁が民間の経営手法を導入し、第1号のモデル局に指定した埼玉県越谷郵便局で、年賀状など郵便物の放置や誤送が相次いでいる。同郵便局には昨年1月からトヨタ自動車の社員7人が常駐し、在庫管理の徹底など経営効率化の代名詞となっている「カンバン方式」を指導。しかし、相次ぐミスに、同郵便局内からは早くも、「経営改善は失敗」との声も。

 郵政民営化へ特命委を新設
  自民党は20日、郵政民営化論議を進めるため党内に「郵政民営化特命委員会」(仮称)を設置することを決め、委員長に村井仁元国家公安委員長を充てる方針を固めた。

 足利銀行リストラ計画案
  経営が破綻し、昨年11月に一時国有化された足利銀行のリストラ計画案が、明らかになった。03年末時点で約3千人いた従業員を06年末までに16%減らし、2千500人にする。従業員の給与は3割削減し、賞与の廃止も検討する。これにより、行員の平均年収は398万円とピーク時に比べほぼ半減する。

 松下、賞与格差最大2倍
  松下電器産業は05年度から一般社員の賞与(ボーナス)に個人業績を大きく反映させる制度を導入する。主任以上の社員では同じ役職の最低と最高では最大2倍の格差がつく見通し。松下は4月から本給で年功型賃金を廃止するが、賞与も横並びの支給を改め成果反映を徹底する。

 三菱電機、30歳超の定昇廃止
  三菱電機は4月から成果主義を取り入れた賃金体系に移行し、30歳を超えた社員の定期昇給(定昇)を廃止する。管理職を除く約2万人の一般社員が対象。電機業界では日立製作所や松下電器産業などが年功型賃金の廃止を決めている。三菱電機が追随することで、定昇見直しの流れが加速しそうだ。

 生産拠点4〜5カ所閉鎖
  日本ビクターは28日、06年度に売上高営業利益率5・0%を目指す中期経営計画を発表し、4〜5カ所の生産拠点の閉鎖や単独ベースでの人員の12%削減を打ち出した。

 西友、社員25%削減
  大手スーパーの西友は16日、正社員の25%にあたる1千600人の希望退職者の募集を始めたと発表した。希望者が募集人員に満たなければ、退職勧告に踏み切る方針で、大手企業としては異例の強硬措置だ。昨年6月に成立した改正労働基準法では、解雇ルールの明確化を巡り、労使双方が激しく対立した。春闘を前に、日本では難しいとされてきた「解雇」が、現実の問題として浮上しようとしている。

 高卒の内定率68%
  文部科学省は13日、昨年12月現在での高校生の就職内定率を発表した。今春、卒業見込みの約124万1千人のうち、就職を希望する約23万1千人の内定率は68・0%だった。過去最低だった前年同期を1・7上回って、全体に回復傾向がみられる。

 ヨーカ堂、高卒採用10倍に
  イトーヨーカ堂は05年度の新卒採用数を、04年度の3倍強の500人に増やす。流通業界では最大規模となり、とりわけ高卒採用は04年度のほぼ10倍に当たる300人に引き上げる。

 イオン、来春500人採用
  イオンは05年春、4年ぶりに新卒採用を再開する。即戦力となる人材の中途採用を合わせ、募集人員は本体500人、グループ合計で1千人。

 派遣労働者22%増
  02年度の全国の派遣労働者数が前年度より22%増えて延べ213万人となったことが、厚生労働省のまとめた労働者派遣事業の運営状況で13日、明らかになった。派遣先件数も5%増の36万件、売上高の合計もm15%増の2兆2千472億円となり、いずれも過去最高。長期不況のよる企業のリストラが、派遣業界の伸びの一因。

 医師ら派遣へ体制強化
  人材サービス会社が医師や看護師など医療専門職の派遣が3月から条件付きで解禁になることをにらみ、体制強化に乗り出した。医療を専門とする人材紹介会社が拠点拡大やスタッフの増員を進める一方、一般事務職などを主力とする中堅派遣会社も医療の参入を目指している。

 横浜市、早期退職40歳から
  横浜市は3日、早期退職の優遇制度の対象年齢を従来の50歳以上から、40歳以上に引き下げると発表した。04年度から2年間の限定措置。利用すれば退職金が最大で3割り増しになる。

 65歳雇用06年度から
  厚生労働省は65歳までの継続雇用の義務付けについて、企業経営に配慮した激変緩和策を固めた。法施行を06度からとし、大企業で施行後3年間、中小企業で5年間は継続雇用の対象者の基準を経営者側が独自に決めることを認める。施行から3年後に法律そのものを見直す規定も盛る。次期通常国会での法改正を目指す。

 鉄鋼連盟会長が義務付けに反対
  三村明夫・日本鉄鋼連盟会長は21日に記者会見し、企業に65歳までの雇用延長を義務付ける制度導入が固まったことについて「一段の人員合理化が必要な鉄鋼業界にとり大きな問題」と、導入に反対する考えを示した。

 うつ病 周りで気づいて
  15人に一人がうつ病を経験する中、厚生労働省は26日、都道府県や保健所職員向けの「うつ対応マニュアル」を作成した。

☆労働日誌(04年1月〜2月)

1月16日
 日全トヨタ労働組合連合会は、ベア統一要求を見送ると発表した。春闘要求については、「賃金カーブ維持分」以上の平均賃上げを要求している。

1月16日
 NTT労働組合は、今春闘でのベア要求を4年連続で見送る方針を固めた。

1月19日
 帝国データバンクの発表によると、03年の企業倒産件数は、1万6千624件(負債額1千万円以上)となり前年比14・6%減となった。倒産原因では、「不況型」倒産が1万2千846件(全体の77%)となり、全体に占める割合は戦後最高となった。

1月21日
 電機連合や自動車総連などで構成される金属労協(IMF・JC)は、中央闘争委員会で、今春闘の集中回答日を3月17日に設定することを決めた。

1月23日
 全労連(134万人)は、評議員会を開き、「誰でも賃上げ1万円」などの春闘方針を決めた。賃上げ要求では、パート・派遣労働者など非正規社員への取り組みとして「時給50円以上引上げ」を打ち出した。

1月24日
 ヤマハ発動機労働組合は、2年ぶりに1000円のベアを要求する方針を固めた。

1月29日
 日本経団連・奥田会長と連合・笹森会長がトップ会談。日本経団連は、ベースダウンや「家計の見直し」を強く主張。

1月29日
 電機連合は中央委員会でベア要求を出さず、賃金体系維持を統一の要求とする方針を決めた。

1月29日
 トヨタ自動車労働組合は今春闘でベア要求しない方針を発表。日産自動車労働組合は実質的なベア相当分(1000円)を含む7000円の賃上げを求める執行部原案を決めた。

1月30日
 総務省は労働力調査結果を発表した。それによると03年12月の完全失業者数は300万人(前年同比31万人減)となり、完全失業率(季節調整値)は、4・9%(前同比0・3減)となった。失業率が5%未満となったのは2年半ぶり。男性の失業率は5・0%(前月比0・4減)、女性の失業率は4・7%(前月比0・3減)となった。25歳未満の男性の失業率は10・0%(前年同月比0・7上昇)となり若年層の失業率が高くなっている。なお03年1年間を平均した完全失業率は5・3%となり(02年の平均=5・4%となり前年をわずかに下回った。

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●「コクロウ・エイト」迎え攻勢に転じる号砲

  「国労再生」へ交流会・上映会を企画しよう

被告が国労本部に申し入れ―1・31中央委員会
  国労5・27臨大闘争弾圧との闘いは、1月31日の国労中央委員会への被告の申し入れ、2月10日の第19回公判とその夜の全国集会を通して、勝利の道筋を切り開かれました。
  昨年末に保釈され、職場の大歓迎の中で仕事に復帰した7被告は、1・31国労中央委員会に際して、本部執行部への申し入れ行動を行いました。この行動には佐藤昭夫弁護団長と一瀬敬一郎主任弁護士が付添いました。中央委員会で酒田執行部は、最高裁判決を契機に「新たな段階」と称して、「1047名の解雇撤回・JR復帰」を最後的に投げ捨てようとしていました。さらに闘争団の切り捨て、全国での分裂・脱落など組織解体の推進・野放し、イラク反戦闘争からの逃亡など、およそ労働組合とは言えない状態となっていました。その推進者が警察に被告の逮捕を要請した酒田委員長です。
  被告の組合員らは、02年11月に国労本部が「刑事弾圧は国労とは関係ない」「署名に協力するな」と指令した指示55号の撤回を求めて、国労本部を訪ねました。酒田委員長は「忙しい」と別室にこもり、芝崎執行委員は「業務妨害。○時×分確認」などとわめき、不誠実極まる対応でした。申し入れの後、国労の再生と1047名闘争の勝利を目指す仲間(闘争団や国労に人権と民主主義を取り戻す会など)と合流し、佐藤弁護団長が闘いを報告しました。コクロウ・エイトが勝利者として、分断攻撃を跳ね返して国鉄闘争に合流したのです。

検察が4党合意の正当性立証を放棄
  2月10日には、東京地裁刑事11部(青柳裁判長)で、第19回公判が開かれました。今回から「被害者」と称し検事側証人となった本部派の組合員の証人尋問です。傍聴席は満員になりましたが、本部派の傍聴希望者は鈴木勉東京地本執行委員ただ一人で、しかも傍聴もしませんでした。
  裁判では冒頭に、佐藤弁護団長と富田さんが国労中央委員会などに示された本部派の裏切りを明らかにしました。続いて、弁護側が申請した「7・1臨時大会ドキュメント」(ビデオ・プレス作成)が証拠採用され上映されました。法廷で7・1臨時大会での闘争団と家族の闘いが再現され、4党合意が国労組合員の大半の意思表明で拒否されていた実態が明らかにありました。また弁護側は、被害証人への十分な尋問を確保するため、弁護側の証人としても採用するよう求めました。裁判官は、決定を保留したまま証人尋問に進みました。
  すると検事が、「この証人では経過立証は行わない」と突然言いだしました。傍聴席はあっけにとられました。検事は、「犯行に至る経緯」として「中核派は、4党合意以降、闘争団の一部を取り込み、演壇を占拠するなどの議事妨害を行い……本件犯行に至った」と冒頭陳述書に明記しています。これは一般的には「犯行の動機」で、事件に直結する事項で、検事側立証には欠かせないものです。
  弁護団はすかさず、「検事は昨日も経過立証をすると言っていた。それゆえに弁護側はビデオを証拠申請した。事件の核心部分であり大問題」「検事はこの部分を書き連ねて、保釈に反対し続けた」など次々に批判し、冒頭陳述からの削除を求めました。裁判官は検事に、「立証予定を出せ」と指示しましたが、検事は「証人の予定はない」と返答しました。(なお、検事は「国労50年史などで立証する」と苦し紛れに言ったが、「50年史」は99年発刊で4党合意の記載は何もない。)
  検事がいう「犯行に至る経緯」は、国労組合員の側から言うと、4党合意が国労解体を目的とした不当労働行為であり、それ故に反対闘争が続いているという事実です。この「事件」も、その中の一つです。
  4党合意は、国鉄1047名闘争の解体を狙い、自民党・国土交通省とJR各社が一体で強行した「国家的不当労働行為の総仕上げ」です。自民党の甘利明が軸となった、団結権侵害の不当労働行為です。国労本部派はこれに屈伏しましたが、国労闘争団・家族の多くと現場組合員、そして動労千葉は反対し闘い続けました。この中から02年春以降、国労、全動労、動労千葉の新たな団結が形成され、4党合意の破産は明確になりました。この趨勢を押しつぶし、分断すために、本件刑事弾圧が強行されたのです。4党合意を粉砕した闘いに対する報復攻撃です。闘う闘争団への国労本部による統制処分も同じ根から出た攻撃です。
  検事の目論見は、裁判から4党合意という最大の焦点を消し去り、単なる暴力事件にしてしまうことです。しかし、この事件から4党合意問題を消し去ることはできません。今後の検事側証人がすべて国労組合員という一点を取っても、「無理だ」と断言できます。検察側立証の崩壊と言うべき事態です。
  この問題も持ち越したまま、「暴行を受けた」と言い張る石井勝幸証人(国労本部会計監査。元近畿地本書記長。革同といわれる)の検察側の尋問が行われました。
  石井証人は検察側に立ち、「被害を受けた」「暴力はあってはならない」「国労方針への外部からの介入はあってはならない」などと証言しました。
  次回は持ち越した問題を整理し、石井証人への弁護側の対尋問が行われます。検事の反対尋問制限を打ち破り、全面的な反対尋問となるでしょう。

コクロウ・エイトの熱意を共有―2・10全国集会
  この夜、文京区民センターで「保釈から無罪、国労再生へ」を掲げ、許さない会の全国集会が開かれました。保釈と職場復帰を勝ち取った8名全員を迎える初の全国集会です。九州、関西、東北など全国から300人あまりが結集し、勝利感に溢れた感動的集会となりました。
  最初に、事件現場を支援者が報道用に撮影し、不当にも証拠採用されたビデオ(杉並ビデオ)が上映されました。被告らのビラまき説得活動が写し出され、通常の組合活動への国家権力の不当弾圧であることが明らかになりました。
  許さない会の発起人である佐藤昭夫、宮島尚史、手島浩一の各氏の挨拶を受け、コクロウ・エイトと家族が壇上に勢ぞろいしました。大きな拍手の中で、松崎団長をはじめ8被告と3名の家族が壇上に並び、万感の思いと決意のこもった発言を行いました。
  「許さない会が大きな力になった。家族の闘いに学び、国労再生へたたかう」「これからが勝負」「職場では組合を問わず大歓迎」「息子も頑張った」「勝利して帰っていた」「病気とも闘いながら仲間と共に」「原則を曲げず闘うことが重要はつくづく思った」……と、苦闘を乗り越えた勝利感あふれる発言でした。
  弁護団を代表して一瀬主任弁護人が、確信に満ちて「絶対に無罪を勝ち取る」と言い切りました。裁判闘争の勝利の地平を物語っています。
  さらに、獄中の仲間と一心同体で闘った国労新橋支部の仲間、すでにストライキに入っている動労千葉、デッチ上げ刑事弾圧を跳ね返した全金本山、関西から駆けつけた全日建運輸連体労組関西生コン支部の仲間から連帯の発言を受けました。
  許さない会の山川事務局長(ス労自主)が、勝利の総括を行いました。闘いは「無罪と国労再生」に向けてコクロウ・エイトを先頭に新たな段階に入りました。杉並ビデオを活用した上映会、コクロウ・エイトとの交流会、会員拡大を提起し、最大の闘いとして3・20日比谷公園への結集を呼びかけました。保釈を勝ち取り、戦列を整え、全面的な闘いの力強い一歩が記された集会となりました。    (松田 浩明)

 =「コクロウ・エイト」とは=
  昨年7月、動労千葉がアメリカで開かれたレイバーフェスタに招かれ、ILWUやサンフランシスコ労働者評議会の仲間と交流を深めた中で、国労組合員ら8名が分割・民営化反対を貫き闘っているがが故に、逮捕・勾留されていることが注目され、「解雇された日本の鉄道労働者への支援と、逮捕された鉄道労働者を守る決議」をサンフランシスコ労働者評議会が挙げた。この頃から8名の仲間は「コクロウ・エイト」と名付けられ、支援活動が取り組まれた。

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特集 小泉・奥田路線と闘う

●04春闘に起つ動労千葉の闘争方針

 JR労働運動の大転換点! 04春闘方針

3・13ダイ改を焦点とした
04春闘への総決起体制を確立しよう。

04春闘の課題
@賃下げ、定昇解体、賃金制度改悪攻撃との対決
A反合・運転保安確立―第2の分割・民営化攻撃粉砕
B労働法改悪―団結権破壊攻撃、年金制度改悪との対決
C1047名闘争勝利、国鉄労働運動再生春闘
Dイラク自衛隊派兵阻止、有事立法粉砕、小泉超反動内閣打倒
E組織防衛・強化・拡大

  組織の総力をあげてげて04春闘に起ちあがろう!

 04春闘が目前の課題として切迫している。われわれの04春闘の課題はいまや明確なものがある。それは何よりも反合・運転保安春闘であり、団結権・年金・生活防衛春闘であり、1047名闘争勝利、国鉄労働運動再生春闘であり、反戦・国際連帯春闘であり、組織拡大春闘だ。課題は3月ダイ改を焦点として煮詰まってきている。それは第1の課題として提起した、運転保安春闘としての闘いだ。JRの安全はいまや崩壊に直面している。民営化とこの間の外注化によって、さらには限度を越えた規制緩和の嵐によって、重大な事故が多発している。99年―山手貨物線で5名の触車死亡事故、01年―鶴見駅構内列車脱線事故、03年―中央線の高架切り替え事故、京浜東北線では置き忘れたショベルと列車の衝突事故、成田線でのレールスターの迷走、そして本年に入っても千葉支社管内において、レールの折損等々が発生している。これはこの間の作業省略と外注化が招いたものだ。現在、JR東日本の社員数は分・民時の7万1千800人から03年では4万8千人にまで削減されている。まさしく合理化と外注化の一体となった攻撃の中で、保守部門は消失してしまっているような状態なのだ。添付資料として英国鉄民営化の教訓と、JR各社の死亡事故者数の表を添付しておいたが、いつ何どき英国で起こったような悲惨な事故に直結しかねないというのが実態ではなかろうか。そして死亡者数は東日本でダントツとなっている。ここに規制緩和により、「市場原理に委ねられるものは市場原理に委ね・・」、「鉄道事業者の自主判断を尊重し…」などという安全の解体的改悪が覆いかぶさった。「進行の指示運転」や検査基準、検査周期の延伸・緩和・廃止は止めどもないものだ。さらに汽笛故障時の取扱に見られるごとく、指令の無線万能主義とデタラメな指令の横行など、異常な労務支配と安全感覚さえもが崩壊の危機に直面している。

総武快速・緩行線の時間短縮を断固許すな!

 3月ダイ改では、総武快速・緩行線の時間短縮攻撃が提案されている。緩行線の千葉〜御茶ノ水間では最大6分30秒の短縮だ。われわれは89年の千葉〜三鷹間での3分40秒の時間短縮が、東中野事故の要因となったことを今こそ教訓とし、この大変な総武緩行線の時間短縮攻撃を粉砕しなけばならない。全力でダイ改阻止闘争に、組織の総力をあげて、04春闘を運転保安春闘として位置づけて闘い抜こうではないか!
  われわれの立場は明白だ。運転保安確立の聞いこそが、われわれ動労千葉の運動の基本中の基本の闘いだ。そして安全問題こそ、国鉄分割・民営化の最大のアキレス腱なのだ。反合・運転保安闘争をもって、第二の分割・民営化攻撃に反撃し、JRをめぐる新たな情勢に対するわれわれの反転攻勢の闘いを組織しよう。実力闘争をもって、安全崩壊の危機を社会的に暴露し訴えきろうではないか。この闘いこそがJRの中で苦闘する労働者を、そして現在の全社会的な規制緩和と対決し、外注化攻撃の矢面に立たされている労働者に光と展望を与えるものとなる。いざ運転保安春闘に起とうではないか。

車両第V期メンテ合理化阻止!

 運転保安闘争のもう一方の機軸はなんと言っても、検修関係の大再編攻撃との闘いだ。車両メンテナンス第V期合理化との闘いは、昨年の習志野電車区廃止闘争から本格的に開始された。いよいよ幕張の縮小攻撃との決戦の場にわれわれは臨まなければならない。外注化攻撃を阻止してきた全成果を結集しよう。

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!

不当配転粉砕、不当労政打倒に向けた総力戦!

本日! 指名スト、非協力闘争に突入

長期闘争を辞さぬ万全の闘争体制を

 本部は、千葉支社による予科生の運転士登用の拒否、畑木さんへの強制配転の強行に対して、10日からの指名ストライキ、非協力闘争に関して、次のとおり闘争指令を発出した。
  各支部は、要求の貫徹に向けて、長期闘争を辞さぬ万全の闘争体制を構築すること。

闘争指令
1 関係支部は、2004年2月10日、午前零時を期して、下記の者を対象とする指名ストライキ及び、非協力闘争に突入すること。
(1)対象者及び期間
  千葉運転区・畑木武君を対象として、当分の間。
(2)全本線運転士及び、幕張電車区木更津支区、館山運転区、銚子運転区の交番担当、指導員を対象として、休日及び時間外労働、勤務変更、所定以外の作業については、一切行わない。
2 なお、次の場合は、直ちに前項(1)及び(2)の対象者を拡大するので各支部は、いついかなる時でもストライキに突入できる準備体制を強化すること。
(1)新たな不当労働行為が行われた場合。
(2)早急に運転士資格保有者の士職登用が行われない場合。
(3)勤務変更や所定以外の業務に関する業務命令が行われた場合。
(4)職場からの排除、警察権力の導入、組織破壊行為、不当労働行為及びストライキ破壊行為が行われたと判断した場合。
3 各支部は、当局による一切の争議行為への支配介入、不当労働行為を許さない監視体制を強化すること。
4 各支部は、指令6号に基づく第50回定期委員会への傍聴体制の強化を図ること。
(日刊動労千葉5812号、5817号より転載しました)

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特集 小泉・奥田路線と闘う

●小泉・奥田路線と対決する戦時下の04春闘

   3月20日 10万人決起で労働運動の反転攻勢を切り開こう

 「奥田ビジョン」から04年経労委報告へ

 第2次小泉内閣は、「戦争遂行・改憲内閣」です。この小泉内閣を支えているのは資本家階級の存在です。何はともあれ日本の社会は資本主義社会であり、資本家階級が支配している社会であり、日本経団連は、その司令部です。
  奥田は、経団連が斡旋する形の政治献金を復活させ、政党評価を始めました。それで自民党、民主党を競い合わせて、金で政治を壟断しようとしている。
  日本経団連が出している路線、経団連が何を考え、何をやろうとしているのかきちんと把握して、「内なる階級戦争と、外への侵略戦争」に対する闘いを一体のものとして闘っていく体制をとらなくてはいけない。そこで少し「奥田ビジョン」について見ていきたいと思います。
  奥田ビジョンは、昨年1月1日に日本経団連会長である奥田碩が出したもので、『活力と魅力溢れる日本をめざして』という小冊子になっています。
  それから1年たって、今年の『文芸春秋』1月号に、奥田が寄せた文章があります。表題が『少子高齢化ニッポンの未来―死に物狂い(ママ)で成長を実現せよ』という「緊急提言」です。「奥田ビジョン」は言っていることは激しいけれど、表現はまだ軟らかく書いてある。それが、今回の経労委報告や『文芸春秋』は、もっとむき出しで先鋭な表現になっています。この1年間で資本家の側の危機意識がガラっと激変しています。

  「東アジア経済圏」に帝国主義の命運をかける

 この1年間の様変わりは何なのか。世界経済が恐慌状態に突入し、経済のブロック化・分裂化が進行している。WTOやサミット、G7に表現されたような国際協調が破壊されている。その象徴がイラク戦争です。イラク戦争の開戦をめぐっては、米・英と独・仏などが対立し、EUは独自の介入軍を持とうとしている。
  もう一つは、ドル安に象徴される基軸帝国主義・アメリカの没落です。今、世界のエコノミストたちは、ユーロをドルに替わる世界通貨と見ています。ドル暴落につながる危険が高いにもかかわらず、アメリカは、海外への輸出をしやすくなるからドル安を放置している。日本だけが円を維持するためにドル買い介入し、アメリカの国債を大量購入する異常な状況になっています。
  そういう中で、日本は唯一、ブロック化の政策が出来ていない国です。ヨーロッパはEU(欧州連合)、アメリカはNAFTA(北米自由貿易協定)がありますが、日本はそういう経済圏がありません。宮沢内閣の時に、マレーシアのマハティール首相と一緒になってEAEC(東アジア経済協議体)構想というのを打ち出して、日本の独自の勢力圏づくりを狙ったことがありました。しかしこれは、アメリカに吹っ飛ばされました。それ以来一貫して、日本は独自の勢力圏を持つことができないまま、今にいたっています。
  特に、中国市場をめぐって米日欧が激しい競争を展開している中で、日本帝国主義は、もうにっちもさっちもいかない状況に来ている。90年代はなぜ「失われた10年」だったのか。バブルの崩壊と言われているけれど、奥田ビジョンは、「国際制度間競争に負けた」と総括している。アメリカに吹っ飛ばされ、中国をめぐる争闘戦に負けたことが大きい。その問題を解決しないかぎり、日本帝国主義に未来はないわけです。だから経労委報告でも、「アジアのなかで日本にとって大きな存在となっているのは中国」「10億人以上の人口を抱えた巨大な消費市場」とか、中国市場をめぐる問題を非常に強調しています。
  ブッシュが「ユニラテラリズム」(単独行動主義)で、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んで、3・20でイラク戦争を始めました。そのただ中で、奥田・経団連が「東アジア自由経済圏」構想を掲げたわけです。政治的・軍事的にはアメリカと一緒になっている構図ですが、経済的にはアメリカと激しく激突している。
  奥田のいう「東アジア自由経済圏」構想というのは、2国間のFTAの集大成で、アジアでは韓国やタイとの交渉を進めています。経労委報告でも「FTA締結の流れに遅れをとることは、国の存亡にかかわる」「『東アジア自由経済圏』の確立に向けての一段の努力が必要である」と言っている。日本帝国主義の存亡をかけた問題であるということが、奥田の激しい危機感に表れています。

  「枝打ちや下草刈り」―余分なものは切り捨てる

 「奥田ビジョン」「04年版経営労働政策委員会報告」と『文芸春秋』の奥田の主張を重ねると、凄まじいことを言っています。経労委報告では「『貿易立国』から『交易立国』への転換」とうちだしています。「奥田ビジョン」で「MADE BY JAPAN」戦略と言っていたものです。
  これまでの日本は「輸出立国」で、日本で製造したモノを海外に輸出して儲けていたわけです。それを「交易立国」にすると言い出した。その中身は、海外で生産したモノも全部日本の利益として儲けちゃおうということです。これは、「東アジア自由経済圏」をつくろうということと一体です。
  「奥田ビジョン」の前書きでは、「国をひとつの大きな森にたとえるならば、国民や企業は木々にあたる。いきいきと根を張り枝葉を繁らせるためには、枝打ちや下草刈りなどの手入れが欠かせない」と言っています。大資本が生き残るためには、余分なものを全部切り捨てるということです。
  これはもちろん、労働者を徹底的にやっつけ、締めつけるということが基本です。「総額人件費を減らす」と言っているんですから。だから、労働3法や労働者を保護しているさまざまな規制は撤廃しろ、つまり「首切りを自由にしろ。賃下げも自由にしろ」と言っているわけです。
  しかし労働者だけではありません。農業も切り捨てられます。メキシコとのFTA交渉がうまくいってない最大の原因は農業です。日本の要求は「自動車や電機製品の関税をもっと下げろ」ということですが、メキシコは「日本に農産物をもっと輸入してほしい」と要求している。そうすると日本の農業は壊滅します。
  企業も、一部の企業を除いては切り捨ててもいいと言っている。日本はあまりにも企業が多すぎる、「護送船団方式」ではもうダメだと言っている。鉄鋼や自動車ではすでに始まっています。経労委報告には、「企業が市場から円滑に退出できる仕組みをつくるべき」と書いています。政府が産業再生法などの法律を使って、企業をなんとか延命させるやり方を、経団連は批判しているわけです。

  消費税増税に反対する者は「異星人」

 「奥田ビジョン」には、「経済や社会が危機的な状況に陥っているにもかかわらず、一方で既得権益に守られた、安定した小さな幸せが今も厳然と存在し、それがあたかも未来永劫続くように誤解している人々がいる」なんて言葉まであります。
  では労働者をどうしてくれるのか。われわれ労働者は、小さな幸せを求めて、しこしこ働いているわけです。安い賃金で一生懸命働いて、60歳になれば定年退職して、後は年金をもらって、孫でもかわいがって暮らしていこうと考えている労働者に、奥田は、「そんなことを考えているやつはおかしい。そんな世の中はもう終わった」と平然と言っているのです。
  奥田は、『文芸春秋』の「緊急提言」では、「消費税増税反対」や「医療費患者負担の軽減」などを主張するのは、「我々から見ると異星人のようである」とまで言っている。消費税増税と合わせて、改憲を先送りするのもけしからんといっている。奥田のいう「死にもの狂い(ママ)の成長」とは、武器輸出三原則の撤廃による軍需による成長ということが念頭にあるでしょう。

  労働組合は産業報国会になれ

 労働組合に対しては、「既得権擁護をやめ、国益を考え、国際競争力強化に奉仕しろ」と言っています。
  今度の経労委報告は、春闘ではなく「春討」、春に闘うではなくて、「春に討論しよう」と言っている。企業と一体となって、日本の国益を討論するのが労働組合の役割であって、ベースアップを要求したり人員削減に反対したりする労働組合は認められないと言っています。
  「奥田ビジョン」ではさらに、「組合員の組合活動への参画意識が低下しており、労働組合運動が内部から自壊する危機に瀕している」と言っています。ここまで言われるほど、連合はなめられているんです。労働組合という体裁はあるし、組合員はみなチェックオフで組合費を納めています。しかし実際は、労働組合の名に値しない存在だということを、資本家のトップに言われているのです。
  02年12月の経労委報告を出す前には、事前に政労使の交渉がありました。それで「雇用問題に関する政労使合意」というのを12月冒頭に出した後で、「03年版経営労働政策委員会報告」を発表したのです。ところが今年は、連合とは事前に根回しもしないで、12月16日に04年版経労委報告を発表した。連合もなめられたものです。
  だからこれはおもしろい話なのですが、1月5日の年頭記者会見で、連合会長の笹森は、「(奥田の主張は)日本の戦後の従業員主義を否定している」といきり立って、「調子にのりやがって、という気持ちだ」と発言したんです。同じ1月5日に行われた連合の「賀詞交歓会」では、日本経団連の西室副会長や坂口力厚労相を前にして、笹森が「年金問題の推移によっては、逮捕者が出るというぐらいの運動を覚悟しなければならない」なんてことまで言ったんです。笹森もいら立って、バランス感覚を失っているのでしょう。

  賃下げ・定昇解体、年金改悪と大増税

 今年の春闘で経営側がやろうとしていることは、ベア・定期昇給制度は全部解体しようということです。これは終身雇用制の解体に直結します。そして成果主義賃金、能力給の導入です。狙いは「総額人件費の削減」、つまり労働者全体の賃金水準を切り下げる。
  さらに重大な問題は、社会保障制度の解体です。小泉政権は、「年金の保険料率を毎年アップして、2017年には年収の18・30%にする」と言っています。資本家たちの本音は、「事業主は健康保険や年金を払いたくない」ということです。だから、「保険料率を上げるのには反対する。その代わりに消費税を18%に上げればいい」と主張しているわけです。
  その挙げ句、「そういうことをすれば世の中の治安が乱れるから、警察力をもっと増強しろ」と言っています。だから増えているのは警官だけです。今年の予算案でも3千人増やす予定です。他の公務員は全部リストラです。石原は、都の職員を交番に勤務させようとまでしている。経労委報告は、「企業や従業員が安心して経済活動に従事するためには、社会の安定、すなわち国内の治安の確保が不可欠」だと言っています。要するに労働運動の弾圧です。
  われわれの労働の現場と生活の現場に襲いかかってきている攻撃と、自衛隊の派兵や戦争の問題が一体であることを認識しなければいけない。戦争をやる時には最大の資本攻勢がかけられる。戦争には金がかかるんですから。防衛費の突出はこれから進みます。そのために、社会保障費はどんどん削り、消費税の税率を上げようとしているわけです。

  通常国会は「有事・治安弾圧国会」

 159通常国会では、有事法制を完成させようとしています。昨年の国会で有事3法が通りました。しかしこれだけでは不十分で、残りの法律を通す必要があります。米軍が日本中を好き勝手に動ける「米軍支援法」、空港・港湾、通信の軍事利用のための「特定公共施設等利用法」など、いろんな法案が出てきます。「国民保護法制」というけど、軍隊というのは、国民を守るためではなく、敵と戦って勝つために存在するものです。沖縄戦がいい例です。国民も盾にするし、平気で犠牲にするのが軍隊です。
  北朝鮮に対する経済制裁法案が通り、万景峰(マンボンギョン)号を新潟港に入れないようにしようとしている。こんなことを日本が勝手に決めてやれるというなら、他の国にだってやる権利がある。日本だってやられるということです。
  さらに今国会では治安弾圧立法を次々とつくろうとしています。いったんは廃案になった共謀罪を他の法律と一緒にした新たな法案にして、2月にも国会に再提出しました。他にも司法改革関連法とか、警察法の改悪とか、目白押しです。結局、戦争というのは、労働組合運動や民衆のさまざまな抵抗を封じ込めることを抜きにしてなりたたない。だから有事関連法案と治安弾圧法案が一緒に出てくる。この「有事・治安弾圧国会」と本気で対決して闘う必要があると思います。

  3・20 10万人決起で階級的力関係を変えよう

 04春闘を決する最大の問題は、3月20日のイラク開戦1カ年の闘争です。国際反戦闘争が爆発するかどうかということです。「東京の日比谷公園に総結集せよ」とわれわれも訴えていますが、日比谷公園を満杯にする可能性は生まれてきています。実現できたとしたら、30年ぶりぐらいのことになります。それ以来そういうことが実現できずにきたわけです。だから、労働者はやりたい放題やられてきたんです。
  ここで10万、20万人の単位の集会とデモを実現したら、階級情勢の地殻変動が起こり始める可能性があります。今年の最大の勝負は3・20です。
  もうすでに世界中で動き出しています。ロンドンは、昨年は50万人を予定していたら100万人が集まりました。この中心勢力は労働組合でした。「今年は200万人をめざす」と言っています。
  こういう時に、東京一点に集中して、10万人のデモを実現すれば、大きな転換点になる。3・20に勝負をかけるべきです。
  陸・海・空・港湾労組20団体は、その方向で全力で動いています。連合傘下の労働組合も、日教組と自治労は全国動員を決定しています。全労連傘下の労働組合も参加します。もう「お前は連合だ」「おれは全労連だ」「だから一緒にやらない」などと言う時代は終わりました。労働者はみんな痛めつけられていますから、3・20は思いがけないほどの規模の大闘争になる可能性を持っています。
  動労千葉は、こうした闘いの中心軸を担わなければならないと考えています。もちろん3・13はダイヤ改正反対、反合運転保安闘争ですから、それ自体のテーマを掲げてとことん闘います。しかし、動労千葉のストライキは、なによりもこの3・20闘争を大きく広げていく役割を担う闘いなのです。(この文章は動労千葉第12回全支部活動者研修会における中野常任顧問・労組交流センター代表の「戦時下の労働運動」の講演の一部を編集部でまとめたものです)

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特集 小泉・奥田路線と闘う

●エクソンモービル名古屋油槽所タンク火災事故を教訓に

  動労千葉とともに安全要求をかかげ、04春闘を闘う

  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合

 昨年8月29日、エクソンモービルの日本における最大の出荷基地であるエッソ名古屋油槽所でタンク火災事故が発生し、6名の工事労働者が死亡し、1名が重傷を負った。
  エッソ名古屋油槽所は名古屋市港区潮見町の石油元売り各社の出荷基地が密集する一角にある。
  事故が起きたその日、エクソンモービルはエッソ名古屋油槽所の通常業務を行いながら、隣接するモービル名古屋油槽所閉鎖を強行し、エッソ名古屋油槽所に統合するための工事を短期間で完了するために突貫で行っていた。
  その結果として6名もの工事労働者を犠牲にしたことを、労働組合としてこのまま放置するわけには行きません。社長プルーシングは今もって自らの責任を明らかにしていない。ス労自主は、動労千葉が3月13日に労働強化を強いたダイヤ改正に反対し、安全・保安確保を求めてストライキに決起する闘いに連帯し、名古屋油槽所の火災事故を教訓とし、安全要求をかかげ04春闘を闘う。

  事故の概要

 会社が発表した当日の事故の概要は次の通りである。
■2番タンクにインナーフロート(石油ガスを封じるための移動する内ぶた)を設置するために、8月25日から30日にまでの日程で、タンク内のガソリンを別のタンク(14番タンク)に配管により移送していた。
■2番タンクに隣接(タンク間距離は約20メートル)する24番タンクではインナーフロートの設置工事が電動工具等を使用して行われており、ほぼ完了状態にあった。24番タンクは、約1カ月ほど前にガソリンが抜かれたため、内部に気化ガスがなく、安全であるとして作業が進められていた。
■2番タンクについては、8月29日に液面がマンホール以下となったため、同日10時頃からマンホールを開放し、空気駆動式ポンプとホースにより、残油を14番タンクに移送した。
■2番タンクのタンクがほぼ空になったため、内部を水洗し、14時30分から廃油(ガソリン混じりの水)をバキュームカーで回収する作業を実施していた。
■出火直前に、タンクの屋根に設けられていた作業口等が開放されたため、タンクの中に充満していた高濃度の気化ガソリンが下部マンホールから噴き出していた。また、2番タンクと24番タンクの間に設置されていたガス漏れ警報器の警報が鳴動したとされている。
■15時40分頃、何らかの原因により、2番タンク付近から出火し、火災となった。

 エクソンモービル買収合併による相次ぐ人減らしが事故の原因

 96年特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)の廃止により、石油全面自由化の時代を迎え、石油元売り各社は際限のない人減らし競争を開始した。
  その先鞭をつけたのはエッソ(エクソン)であった。エッソは96年4月1日から9月30日までの6カ月間にわたり、「早期退職/セカンドキャリアー支援制度」と銘打った定年制度の切り下げ、すなわち50歳以上の首切り制度の導入を強行し、エクソン化学を含めて160名の管理職を中心とした労働者の首切りを強行した。
  モービルも機を一にして、97年7月に「シェーピング・スタディー」と称して「組織外」通告(国鉄の人活センター送りと同じ)を行い、実質的な指名解雇ともいうべき300名の労働者の首切りを2年間かけて強行実施した。
  翌98年12月1日、エクソンモービル買収合併を発表し、99年1月26日にはエッソ石油はゼネラル石油と「サービス相互提供契約」を締結し、650名の早期退職を募集し、結果としてエッソ、ゼネラルの全従業員700名の首切りが強行された。
  さらに、01年6月1日付けでエッソとモービルが合併してエクソンモービルとなったのに際して、730名の労働者の首切り、02年には北米を除く全世界のコンピューターシステムの統合「ストライプス」全面実施による310名の労働者の首切りが強行された。
  96年以降の相次ぐ首切り強行でエクソンモービル・グループの全従業員の30%以上、2500名以上が人減らしされ、3分の2の労働者が早期退職、事実上の首切りを強制された。
  今回の火災事故はこのようなエクソンモービル買収合併による効率のみを優先させる人減らし合理化が強行され、専門的な経験を持つ労働者が職場からいなくなるという現実の中で起こった事故である。

 安全要求をかかげ04春闘を闘う

 6名もの死者と1名の重傷者を出した名古屋油槽所の火災事故の原因と責任が未だに明らかにされていない。社長プルーシングも口を拭って責任を明らかにしていない。組合はこの事故を教訓化し、火災事故を風化させず、名古屋油槽所の所在する9号地の全ての労働者を対象とした労働者の組織化に取り組んで行くとともに、安全要求をかかげて04春闘を闘い抜いて行く。

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●許すな!「4党合意」労働委員会闘争シリーズU−H

 東京地裁が証人調べを拒否し、結審を強行

  東京・新潟・秋田・鳥取・千葉併合事件の弁論が1月23日(金)東京地裁で行われた。この日は、前回の弁論で吉野さんら原告側の準備書面(被告中労委が本件の「訴えの利益がないとは言えない」と述べていることに対する求釈明)に対して釈明するよう、裁判所から求められていた中労委がどのような釈明をするかどうか、および同原告側の準備書面(JR西とJR貨物の4党合意への関与について)に対して、中労委がどのような反論を行うか、この二点が焦点となっていた。
  しかし、中労委が提出してきた書面は木で鼻をくくったような空疎な内容であった。
  裁判長は、それでも双方の主張が出揃ったと判断し、法律判断で足りるとして、証人調べを行わず、結審を宣言した。
  原告代理人の鈴木弁護士は「本件は国労組合員だけでなく、6500万労働者の団結権にかかわる事件だ。司法としてちゃんと判断して下さい」と述べ、裁判所に注文を付けた。
  続いて、原告の飯島さん、吉野さん、小玉さんがそれぞれ意見陳述を行った。飯島さんは、千葉地労委がいったんは甘利証人の採用を決定しておきながら、甘利の出頭拒否に唯々諾々と従って、採用決定を取り消した経過について、吉野さんは、JRが救済命令を一切履行していない事実について、小玉さんは「団結権は法律の言葉の問題ではない。労働者にとって命である。その侵害は死ねと同じこと」と、それぞれ裁判所の姿勢を問う陳述を行った。

 各地の闘いの経過(前号の続き)
  ◆東京地裁行訴 (東京・新潟・秋田・鳥取・千葉併合事件)
     第6回弁論(結審)  1月23日(金)
     判決           3月19日(金)
  ◆東京高裁行訴控訴審 (動労千葉事件)
     上告断念したので、確定。

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●悪化する労働者の現状 シリーズU

 佐藤 陽

重大労災事故、戦後最高

 厚生労働省が2月12日に発表した03年1月から12月まで1年間の死傷災害発生状況(死亡災害及び休業4日以上の死傷災害)の速報値は、全産業で9万9千95人(前年比260人減)であった。
  しかし重大災害(一度に3人以上が死傷する)の発生件数は238件(前年216件)、死傷者数1千515人(前年1千49人)、死亡者数95人(前年89人)であった。この数値は今年2月17日現在までにまとめたもので、例年の通り4月にまとめる確定数値は、これより増えて、過去25年間で最悪のものとなるのは確実となった。
  労働現場は、過労死と合わせて死と直接向き合う、実に危険なものであり、一向に減らないどころか危険が増えている。
  重大労災の発生数が多い産業は建設業(事件数84件・死亡数30人)、陸上貨物運送事業(事件数22件・死亡数15人)、製造業(事件数39件・死者数14人)など。
  主な重大事件として、鹿児島の花火工場爆発事故で10人死亡(4月)、東燃ゼネラル堺工場で転落死亡事故(5月)、新日鉄八幡製鉄所でひっくり返った転炉から精錬した湯(溶けた鉄)を浴びて3人が死傷(7月)、エクソンモービル名古屋油槽所火災事故で6人死亡・1名重傷(8月)、新日鉄名古屋製鉄所の爆発事故で15人負傷・1人重傷(9月)、神奈川県のショッピングセンター生ゴミ処理施設の爆発事故で消防士を含む11人が負傷(11月)その他、さまざまな労働現場で発生している。また、死傷者が直接出なかったもののブリジストン栃木工場火災事故、出光興産北海道精油所タンク火災事故、JR中央線高架工事にともなう事故などもあった。
  このような重大事故の原因は、リストラ・合理化による極端な人減らし、熟練者の排除・無人化、設備の旧式化にもかかわらず、公害・安全投資が後ろ向き投資としてサボタージュされたこと、アウトソーシングとして現場労働が下請け、孫請けされた。そこに丸投げし、企業自体が責任をとらなくなったことなどが指摘されている。
  昨年1月から4月までの死亡事故を多数出した鉄鋼連盟に5月、厚生労働省は異例の要請を出した。その中で「機械設備については、はさまれ、巻き込まれ等の防止装置をなされていることを確認すること」とあった。
  JRについては、そのうえに分割・民営化の際の会社とJR総連東労組との異常な結託体制にあることはマスコミは書かないが事実である。
  ここに発表された労災は、実態のごく一部にしかすぎない。事業主の無事故記録ノルマ、労災事故で公共事業への入札資格への影響がでることもあって労災隠しが後をたたない。外国人であったりすると事業主は頭から認めないこともある。労働基準監督署は労災隠しを摘発しており、摘発された数は91年の29件から00年には91件、02年には126件と激増している。厚生労働省の労働行政は後退の一途でこれも全体の一角にすぎない。労災認定を請求できる人がほんの一部にすぎないのが実態だ。

減税と増税

 税金と社会保障は所得の再配分機能をもっていた。しかし、それは過去のこととなった。近年、富裕層・大企業には減税が、労働者・中小企業・一般大衆には増税が相次ぎ、富める者と貧しい者の格差が拡大した。デフレ下のこうした政策により「富める者は一層豊かになり、貧しい者は一層貧しく」なり、その両極の分化がきわだった。
【減税】
●所得税が逆進性緩和策で最高税率は、86年の70%から87年に60%、89年に50%、99年に37%、へと引き下げられ、04年度には30%に引き下げられる。しかも税率は86年には15段階であったものが、年を追うごとに簡素化され、現在は4段階となっている。財務省はさらに、最近の賃金形態・就労形態に合わせて抜本的に改定するといっている。
●相続税は典型的な金持ち税であるが、03年に生前贈与税と相続税が一本化され、最大2千500万円(住宅取得の場合は3千500万円)が無税で親から子に移転できることになった。相続税率が70%から50%に引き下げられた。相続税を納入している人は、全体の5%しかいない。
●企業に対する法人税の税率も引き下げ続けている。89年に42%であったものが40%、90年に37・5%、98年に34・5%、99年に30%に引き下げられた。
●「欠損金の繰越控除制度」という企業にとって実にありがたい制度がある。「企業の決算で欠損金が生じた場合、翌年以降に持ち越して利益と相殺できる制度」だ。例えば、ある年に100億円の欠損金が生じ、翌年に20億円の利益が出た場合、欠損金と相殺して課税所得をゼロとし、残り80億円翌々年以降の利益と相殺できるというものであり、欠損金が出た翌々年から5年間利用できるが、この期間を7年間に延長することが決まっている。この制度により02年に企業全体で法人所得税の2割にあたる7兆7千億円が非課税になった。固定資産税の低率など、この種の企業優遇税制は他にもたくさんある。
【増税】
  労働者・大衆に打撃を与える、例えば発泡酒・たばこ税の値上げ、雇用保険料引き上げ、失業給付額の期間の短縮、老人医療費・医療費窓口負担の増額、健康保険料引き上げ、介護保険料の引き上げと相次いだ。
  04年度だけでも、所得税からの配偶者特別控除の廃止、消費税の中小企業免税点引き下げ、公的年金控除額の縮小、年金給付額削減、住民税値上げ、生活保護給付額の引き下げなど大衆収奪策が山のように襲いかかっている。
  財務省の計算によると、04年度の個人負担増は5千億円に達し、法人税は200億円の減収になる。
  消費税の税率アップが既定の事実の事実のように語られている。日本生協連によると、消費税が16%に引き上げられると4人家族で年間126万円の負担増になる。
  金融広報中央委員会の調査によると、貯蓄保有世代は98年に9割の大台を割って以降、年々低下し、03年には21・8%の世帯が貯蓄を一切持たなくなった。貯蓄が減った理由の第1は定期的収入減であった。また50歳台の年齢の高い層での貯蓄の取り崩しの多いことが分かった。これにより02年の貯蓄率は世界的にも低い過去最低の6・2%となった。
  自己破産者が激増している。他方で、1億円を超えるマンションが飛ぶように売れ、ブランド物の衣類やバッグ、超高級車がよく売
れるという、貧富の差が拡大したいびつな社会になった。

サービス残業

 最近、高額な未払い残業代を支払うケースが増えている。闘いの成果であるが、厚生労働省も指導を行い、01年4月から02年9月まで613の事業所が総額81億円を支払っている。しかし、これは氷山の一角にすぎない。民間企業だけでなく官公庁にいたる、また企業規模に関係なくサービス残業が横行している。残業代まで不払いでは二重の搾取である。労働組合のない職場で残業代不払いが多い。
  サービス残業は昔からあったが、最近増えているのは、成果主義賃金の導入により、残業代を要求すると査定されると自制するケースや、上司から制限されたり、一定時間を過ぎるとカードが取り去られたりするケースがある。
  またリストラによる労働者減により、減らされた労働者の分の仕事をかぶり、残業代を請求できなくなったり、年俸制導入により年俸の中に残業代も折り込み済みという嘘の場合もある。
  さらに、最近裁量労働制の適用範囲が広がり、偽裁量性が導入されたりで、労働時間の管理がずさんか、まったく問題にされずに、過重な労働をこなしているケースも多い。裁量労働制は過労死の温床といわれているが、さらにホワイトカラー全体に適用して労働基準法の労働時間制を適用させない方向がたくらまれている。
  また、02年に全国の労働基準監督署に新たに寄せられた賃金未払いの申告件数が2万3千356件(対前年比8・8%増)、対象者数は7万2千361人(同8・2%増)、申し立て金額は276億5千5万7千円(同8・5%増)であった。いずれも資料のある83年以降で過去最多で一人あたり平均金額は38万2千円であった。
  企業の倒産で、賃金の支払いを受けられなかった労働者に国が賃金の一部(賃金の8割が上限)を立て替える「未払い賃金立て替え払い制度」による02年度の立て替え払い額は、476億4千189万2千円(対前年比86・4%増)であった。企業件数は4千784社(同21・4%増)、対象者数は7万2千823人(同28・0%増)であった。制度発足以来最多。

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●イラク派兵をめぐる北海道からの報告

 北海道労組交流センター

 深まる人民の分岐

 2月初めの共同通信社の全国世論調査でイラク派兵の賛否が逆転した。しかしその1週間前の北海道新聞社の全道世論調査では、派遣反対59%、賛成37%であった。1月末現在、北海道内の50以上の市町村議会が、派遣反対を唱える意見書や、政府に慎重な対応を求める意見書を可決している。これを自衛隊は覆そうとしている。
  番匠・イラク支援群群長は「約百年前、日本が義和団事件で初めて多国籍軍に参加し、規律正しく立派に任務を果たして世界の注目を集めた。百年前の先輩を見習い…」と述べた。中国侵略戦争や「武士道」に学んで志気を高めよ、というのだ。
  「人道支援」「復興支援」も底が割れている。志方俊之・元北部方面総監は「最大の目的は日本の旗を見せること。600人程度が出向いても、警備要員らを差し引けば、給水活動などを行なうのは一部で(人道支援で)できることは知れている」と明言した。第2師団は「国際緊急援助隊」の待機部隊だったが、年末のイラン大地震への派遣は結局見送られた。イラク派遣を控えていたためだ。イラク派兵こそが「国益」なのだ。その「国益」とは財界の利益に過ぎない。派兵賛成では地元経済界は異様に活発だ。
  新聞への投書では「戦地のイラクに民間人を送ることの方が問題」「日々の訓練は何のため。給料も、いざという時に命を懸けなければならないからこその待遇」などがある一方、「『税金で養われている自衛隊は国のための死ぬのは当然だ』という市民や『自分が行くわけじゃない』という無関心な若者には、徴兵制こそ自分のこととして真剣に考えるきっかけ」(隊員の父親)との憤激もある。

 「黄色いハンカチ」

 この運動の提唱者は、元自衛官で予備自衛官の若い旭川市職員。
  旭川市内の大手ホテルや自民党事務所に黄色い旗が掲げられ、経済人らの「有志の会」は第2師団にハンカチ百枚を寄贈し、駐屯地内に掲げられた。河野師団長は「市民の支えで部隊の志気も高まります」と感謝した。
  同会は商工会議所前の常盤ロータリータワーに約2百枚のハンカチを掲げた。市自衛隊協力会と第2師団主催の「市民と自衛隊を結ぶ新年交礼会」では参加者に黄色いハンカチが配られた。上富良野町でもラベンダー商店会は加盟店約30店で黄色い布を店先に掲げる運動を始めた。
  賛成派は「なぜ日の丸ではないのか」、反対派は「現代の千人針だ」と批判する。ハンカチ推進派は「派遣が決まった以上隊員の無事を祈ってなぜ悪い」と反論。旭川駐屯地に隣接するタクシー会社のように黄色いハンカチと日の丸を交互に掲げた企業もある。「運動に賛成する企業が社員にハンカチやリボンの着用を強制している」という告発もある。

 自治体の巻き込み

 命令への服従を強いられ、発言を封じられた隊員に代わって家族が声を上げ始めている。自衛隊は心配する留守家族への「支援」が任務成功の鍵とみる。名寄駐屯地は各留守家庭に隊員各1名を張り付けた。第2師団では、現地と衛星テレビ電話で話ができる留守地域支援業務センターを旭川など10数カ所に設けた。これに自治体が呑み込まれている。
  1月6日、旭川市の菅原市長は「賛否は別にして市民である隊員が行くなら当然」と「イラク派遣自衛隊員留守家族支援チーム」設置を表明した。生活交流部内に開設し、6人体制で留守家族の児童・生徒の入学、介護保険など行政手続きの支援、留守家族からの様々な相談への対応、イラク派遣についての市民への情報提供を行なうという。
  同様なものが富良野市、名寄市、留萌市などにも設置された。名寄市では事務局が自衛隊協力会事務局でもある名寄商工会議所に置かれ、留萌市では市と自衛隊協力会留萌地区連合会、市自衛隊協力会の3者で構成されている。旭川市の留守家族支援チームでは、担当職員の一部が黄色いリボンを着けている。
  「おおすみ」などによる物資輸送に関して、2月10日、新宮室蘭市長は国会が派遣を承認した、派遣はイラクの市民生活の復興・支援が目的、港の安全や荷役に影響がない、として港の使用容認を表明した。室蘭市議会は派遣反対を決議していた。

 雪まつりを「人質」に

 昨年「イラク派遣反対」を表明した上田・札幌市長を、自衛隊は雪まつりへの協力を盾に揺さぶった。「君が代」斉唱なしの市の新年互礼会に北部方面総監部の幹部が欠席。第11師団の雪まつり協力団の編成完結式で、竹田師団長は「度が過ぎたデモや街宣活動があったら撤収する」と訓示。札幌市は、メイン会場の大通公園での無届け集会には公園管理者として退去指導に乗り出す方針を打ち出すとともに、会場に初めて監視カメラを設置し、真駒内駐屯地の会場では手荷物検査を再開するなど厳重な警戒体制で臨んだ。
  札幌市も旭川市も、雪まつりは「経済効果」が大きい。だが、雪輸送を全て民間委託にすると2、3億円が必要となる。動員される自衛隊員は延べ2万3千人。ボランティアの参加は千人程度に過ぎないから、自衛隊への全面依存だ。防衛庁は協力を「自衛隊への関心を高め、親近感を醸成する広報活動の一環」と位置づけ、真駒内会場では戦車の砲撃シーンもあるビデオを放映した。まつりにそぐわないという声が出た。

 高校生の入隊希望者

 自衛隊採用試験の面接では「イラクへ行くか」という質問が出た。就職指導担当者は「『行く』と即答しないと合格しない」と言う。
  高校生の就職内定率が未だ52%でも自衛隊への入隊希望者は減少した。自衛隊旭川地連管内の今春卒業予定の入隊希望者は571人で前年度比マイナス17・5%。毎年数人の入隊者があった旭川商業高校は、今春卒業予定ではゼロ。市内の高校では半減したところが多い。隊内では「近い将来、徴兵制導入だ」と言われている。
  自衛隊旭川地連は「さほど減っていない。イラク派遣の影響は特にない」というが、「PKOなら行きたいけど、死んだら僕の人生は終わり」(入隊予定の高校生)だ。

 今、何が必要か

 自治体から労働者による派兵への協力が始っている。教育労働者も、クラスに派兵隊員の子どもがいるかどうか、生徒に質問されたらどう答えるか、自衛隊への就職指導をどうするか、苦悩している。地域社会でも「派遣」を話題にしないとか、隊員は「外」で飲まないとか、重苦しい空気が立ち込めている。住民7人に1人が自衛隊関係者という名寄市では、反対派は他の市に行ってデモをするとさえ言われている。
  だが、全港湾の組合員は「戦争のための荷役拒否」で、「おおすみ」寄港時に全国から室蘭市に結集しようとしている。派兵阻止のために札幌―旭川に常駐している学生たちは「侵略戦争を阻止できるなら雪まつりがなくなってもいいではないか」と雪像製作中の大通公園での反対署名に繰り返し決起し、自衛隊員に出兵命令拒否を訴えた。
  求められているのは、私たち労働者人民が職場で地域で自衛隊イラク派兵阻止のために敢然と決起することだ。日本帝国主義によるイラク侵略戦争阻止! 隊員は出兵命令を拒否しよう! と訴えることによって、この暗雲を払いのけて反戦闘争の巨大な爆発を実現することができると確信する。

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●「第2第3の動労千葉」を生みだす書

 中野洋著「俺たちは鉄路に生きる2―動労千葉の歴史と教訓」(労働者学習センター)を読んで

 村越 一郎

 かならず「第2第3の動労千葉」をつくりださなければならない。いやかならずつくり出せる。「俺たちは鉄路に生きる2」を何回か読み直していてこの確信をあらためて強めました。
  一冊の本を読んで「第2第3の動労千葉」がつくれるのであればとっくにできている、と言っておこられるかもしれない。たしかに「第2第3の動労千葉」を自分の手で、自分の闘いを通してなにがなんでもつくってやろうという気がない人がこの本をいくら読んでも「第2第3の動労千葉」はどこからもでてはこないだろう。
  しかし、ここに書かれている「動労千葉の歴史と教訓」をむさぼり読み、必ず何年後かにそれを実現する、そのような無数の読者、青年労働者(に限らないが)を、この本自身がつくりだす、つかんでしまう、そのような圧倒的な力をもった本である。

●「動労千葉は特別」という「壁」をわれわれの中から取り除こう

  「動労千葉の歴史と教訓から学ぶ」とは
  何万、何十万の労働者を組織しているという連合、全労連参加の大労働組合、JRにおいてはJR総連などが、闘ってもとうてい勝ち目がないとか、いまは闘うときではないとかいろいろ言って闘うことを投げ出して、先を争って資本の前に屈服して言っている。このようななかで、わずか数百の、数から言えば問題にもならないほど小さな動労千葉が、いまも労働組合、労働運動の原則を貫いて、毎年、数百本もの列車を止めるストライキを闘いぬいている。闘いぬけている。見わたしても全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同など数少ない例外を除いて、このような労働組合は他に見あたらない。なぜなのだろうか。
  この簡単な疑問を、本当に真剣に、自分自身の問題として考え抜いたことがあるだろうか?
  交流センターのほとんどの仲間は、「動労千葉はすごい」とはいう。と同時に、だけど「動労千葉は特別」「自分のところは動労千葉とは違う」と言う。自分の職場には労働組合さえない民間の、それも中小、零細だ、動労千葉はなんと言っても元官公労の一角を占めていた組合だ、または労働組合はあっても組合幹部は会社とべったりでどうしようもない、あるいはごりごりの共産党で、要するに労働組合とも言えないどうしようもない組合だなどなど。
  たしかに動労千葉はすごい。どこでも「動労千葉のように」といってもそうはいかないということもある。だけどそのようにあらかじめ「動労千葉は特別」といって自分の方から壁をつくってしまったら、絶対に動労千葉から学べない。したがっていつまでたっても「第2の動労千葉」はつくれない。
  動労千葉だって、当然と言えば当然だけど始めからいまのような動労千葉ではなかったのだ。著者中野さんが当時の動労千葉地本の青年部で活動をはじめたころの千葉は、「国労も動労も親組合をだいたい労使協調派の右派が仕切っていました」と書かれている(47頁)。そこから今日の動労千葉がどのようにしてつくられてきたのかが、生き生きと語られている。
  「すべての運動はさしあたり少数から始まる、一人から始まる…あらかじめ多数から始まる運動なんて聞いたことがない。一人で始める。その一人がだんだんと増えていくということですよ。だから最初からうまくいくはずがない。まして世の中、職場にいる同僚は他人さまでしょ。他人さまがそう簡単に言うことを聞いてくれるわけがない。それをやるためには、自分がそれなりに努力して、人一倍いろんなことをやらなかったら、まわりの労働者は認めないですよ」(57頁)。
  「動労千葉は特別」ではないのだ。そういってしまったら、自分の方から階級的労働組合、階級的労働運動をつくりだそうという闘いに背を向けてしまうことになってしまうのだ。

●「ちょっとしたこと」に見えることが実はすごい

 この本を読み返していて改めて強く感じたことは、動労千葉が、闘う労働運動の新しい潮流の形成に、言い方をかえると階級的な労働運動の再生に、もっと言い方をかえると「第2第3の動労千葉」をつくりだすことに、本当に動労千葉の生き方、未来、運命をかけているということです。このことを強く感じました。
  この本を読んで改めて学んだ動労千葉の本当にすごいところは、当たり前のことを、階級的原則と言ってもいいのですが、大言壮語ではなく、本当に黙々と貫く、貫いてきているということです。変な言い方になってしまいますが、これはすごいことです。
  中野さんはこの本の中で「僕は書記長の時から『民同労働運動を乗り越えるというのはどういうことか』と考えていました」(164頁)とたんたんと書いています。ここを読んでいて僕ははっとしました。
  「民同労働運動を乗り越える」などということは、これまでに、そういう言い方をすれば、ちょっと気の利いた人であれば、掃いて捨てるほど多くの人が言ってきたことです。しかし、にもかかわらず本当に「民同を乗り越えた」、といえる労働運動というのは、ぼくの知る限り動労千葉の労働運動などを除くとほとんどないのです。ところが中野さんはこの一見当たり前のことを「書記長の時から」ずっと考え続けつつ、動労千葉を指導してきているのです。そして今日の動労千葉の闘いとその存在が、その(まだこれからがある、と言う意味で)今日的な回答なのだと思います。
  さきの言葉に続いて、次のように言っています。
「それは根底的には、動労千葉に結集している労働者の階級性、本来労働者が持っている力を掛け値なしに全面的に信頼し、それに依拠して闘うということです。それいがいに労働者は生きようがないからだ。
  口だけじゃなくて、掛け値なしにそうしてきました」(164頁)
  これもたんに「口先だけではなくて、掛け値なしにそうしてきた」というところに核心があると思います。
  別に労働運動に限ったことではありませんが、労働運動では特に「言ったことを実行する」「当たり前のことを本当に貫徹する」ということが命なのだということを知らされました。
  「俺たちは鉄路に生きる2」の、と言うことは動労千葉の本当のすごさとは、実はこう言うところにあるのではないかと思います。
  当たり前のことを実践する、ということでは、もうひとつ組合費の徴収のことがあります。
  「動労千葉では、組合費の徴収がとても重要な闘いです。動労千葉はいまでも、賃金からのチェックオフではなく、各支部の執行委員が毎月、全組合員から組合費を直接徴収しています。動労千葉の組合費は他組合よりもずっと高いけど、それを組合員が自分の財布から直接払う。あえて言えば支部の活動の半分は組合費徴収にあると言ってもいい。そのことを通して役員は、組合員全員と接点を持って、みんなの意見を聞いたり、組合の方針を話したりする。
  支部が組合費を徴収できる強さを持っているという組合は、いまではほとんどなくなってしまいました。ある組合の幹部から『組合費のチェックオフが打ち切られたら組合が持たないから、当局とけんかができない』と言われたことがありますが、当たり前です。組合の財源を資本に握られていて、けんかができるわけがない。動労千葉はここがしっかりしているから、いざという時はいくらでも当局と闘うことができるんです」(169頁)
  「あえて言えば支部活動の半分は組合費徴収にある」とあるのを読んでなるほどと思いました。いうまでもないことですが、支部活動の半分を組合費の徴収にあてたからすごいと言うことではないと思います。このように組合費(それも高い!)を直接徴収できる関係を不断に維持し続けている、すなわち闘う階級的団結を維持し続けているということがすごいのだと思います。いまの連合の組合でそんなことをしたら、組合員がどんどんやめていって組合が解体してしまうでしょう。

●いま改めて「動労千葉の歴史と教訓」を「学ぶ」ことの意義

 「資本主義が労働者に飯を食わせていけない時代に入った。同時に戦争しなければ延命できない時代に入った」(206頁)いまの情勢をわれわれ労働者階級にとってのチャンスととらえる、ということも口で言うことは簡単ですが、そのことをいいきれる主体ぬきには空語になってしまいます。連合も全労連も、そしてJR総連も、この情勢の到来におびえ、内部の危機を激化させ、なりふりかまわず資本への屈服に走っています。
  「俺たちは鉄路に生きる2」は、動労千葉の闘いと現実をふまえて「全世界で、怒っている労働者の反乱が起きています。数千万という規模でヨーロッパでもアメリカでも、アジアでも中東でも始まっている。この闘いと日本も無縁ではありません。日本でもそういう闘いを実現することはまったく可能です」(206頁)と言いきって、動労千葉と闘う労働運動の展望を語っています。
  この動労千葉の確信を支えているものはなんなのだろうか。この点については次のように書かれています。
  「動労千葉は七〇年代にも、ジェット燃料闘争や運転保安闘争など、それ自体としては金にならない闘争ばかり闘い、その中で解雇者も出してきた。だから僕は良く、『物取り闘争になったらダメだ』と言ってきました。改良主義的闘争はやらない。『だけど、物は取るよ』と、革命的改良闘争はやる、そういうふうに闘ったからこそ、労働条件の面でも、国鉄のなかでは最高の労働条件を千葉がかちとったんです」(166頁)
  「(体制内労働運動とは違って)マルクス主義的なものの見方をすることができたということが、動労千葉が唯一闘いぬくことができた核心だといえると思います。それを動労千葉は、具体的な闘いの実践の中で貫いてきた」(166頁)のだ、と。これが「全国労働組合交流センター」がめざしてきた労働運動、労働組合なのだと思う。

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●たたかいは進む

 ☆厚生労働省交渉報告

 2月10日に、関西合同労組と被災地雇用と生活要求者組合そしてユニオン自立の3者で厚労省交渉に行ってきました。これは、昨年11月10日に厚労省に要求書を出した回答交渉ということでおこないました。時間は1時間半ということでしたが15分ほど延び質疑応答になりました。要求内容は、被災者対策、失業対策、パート労働問題、労働法制改悪問題などです。厚労省は各内容の担当部署の官僚15名(皆若いキャリア組)が出てきて型どおりの回答でお茶を濁そうとしましたが、被災地の実態や被災者の現状、深刻な失業状況やパート労働の劣悪条件、労働者の権利を奪う労働法の改悪など的を絞り厳しく追及しましたが、弁解に終始する中で時間切れで終わりました。予想していたことですが、人が人としてあたり前に生きる、それを守るのが国であるというたてまえ上の立場すら持たない官僚というのを強く感じました。だからこそ、声を挙げ闘い続ける中でしか生活と権利は守れないという基本的立場を持って今後もやっていきたいと思います。
  パート問題をユニオン自立が担当しましたので、その辺のことを少し報告したいと思います。
  要求した内容は大きく分けて二つあり、一つは、現行パート労働法の努力義務規定を強制力あるものに改正する。二つは、ILO175号条約(パートタイム労働に関する条約)を批准することです。どちらも求めている内容は同じようなものですが、パート労働者と通常労働者(正社員)との処遇の格差が大きすぎ、パートというだけで、低賃金で雇用不安定というのを是正しろということです。
  実際賃金を見ても、時間給換算して正社員の48%という統計を厚労省が出しています。パートのほとんどは時給で、700円から1千円ほどで月収にして12万から15万円ほどです。これで生活できるのかということです。また、ほとんどが有期雇用で、常に雇い止め(解雇)の不安を持っています。パート労働法3条には「事業主は、短時間労働者について、適正な労働条件の確保・・・に努めるもの」とし、8条で厚労大臣は、事業主が講ずべき措置を指針として定めるとなっています。出来て10年になりますが、なんら改善されるどころかさらに格差は拡大しています。そしてまた「改正指針」を出して、同じことをさらに10年続けるのかということです。その辺のところを追及しましたが、官僚の答弁では、パート労働法はあくまで努力義務規定であり、変えるつもりはない。「改正指針」をさらに周知することで改善できると考えているというのみでした。
  また、ILO175号条約は、すべての短時間労働者に対して、@パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきもの、A労働者の権利と労働条件は、比較しうるフルタイム労働者と均等にすべきである、との原則を確認している条約です。ヨーロッパでは多くの国が批准しています。なぜ日本は批准しないのかと追及すると、我が国のパート労働法は特別な権利義務関係を規定したものでなく、労基法とか、安全衛生法とか、社会保障関係の法規などについて厳密な検討が必要と国の見解を述べ、比較しうるフルタイム労働者をどこで定めるかの法整備が難しいという枝葉の回答でした。
  それぞれの答弁が同じような調子で、出席したみんなはだんだん腹が立ちだし、現状をわかっているのか、苦しいものの立場を理解しているのか、国の責任は何なんだと声が大きくなりましたが、まとめとして、一つ一つ切実な問題です、被災者、労働者の立場をよく理解してやってください。ということで終わりました。
  昼からは、国労5・27臨大闘争弾圧公判の傍聴に参加しました。これまたえげつない裁判で、組合幹部が組合員を権力に売り渡すという前代未聞の攻撃です。ビラまき説得活動というあたり前の組合活動が、暴力事件としてでっち上げられたものが、裁判が進むにつれてそのウソが次々暴かれていっています。
  夜には被告を交えた集会があり、家族や被告の感動的な発言が続きました。
  闘う仲間の団結、すばらしさを感じる一日でした。 (ユニオン自立)

 ☆3・20 10万人集会へ向けて

 2月13日、首都・明治公園で「守ろう! 平和といのち2・13大集会」が1万2千名を結集して開かれた。集会では全世界の労働者・人民と連帯して3月20日、日比谷野音に結集しようとアピールが発せられた。また2月20日、21日とイラク派兵に反対する北海道現地闘争が闘われた。

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●読者のページ

 ☆「有事立法と教育基本法『見直し』の本当の狙い 1・24集会」に参加して 神奈川 天城 勇

  1月24日、「基地の街」である横須賀で「有事立法と教育基本法『見直し』の本当の狙い 1・24集会」が開催され、会場の横須賀三浦教育会館ホールを満席にする102名が参加した。
  講演では俵義文氏(子どもと教科書全国ネット21)より、自衛隊の海外派兵は単にブッシュの要請により派兵するわけではなく、日本の多国籍企業の海外資産を守るため、日本が「戦争のできる国」に飛躍するためである。教育基本法『見直し』の狙いはその戦争を支持する国民づくりにあり、子ども・国民のための教育から戦前のように国家のための教育に転換しようとするものであることが指摘された。
  シンポジュウムでは「戦争と教育/「基地のまち」から私たちが問われていること」をテーマに市民団体、自治体労働者、教職員組合、教育労働者からそれぞれ取り組んでいる課題が報告された。非核市民宣言運動・ヨコスカからは、「自衛官・家族アンケート」を実施し、その中で自衛官の75%が今回のイラク派兵に関わって「自衛官の気持ちが考慮されていない」などの回答を得られたことが紹介された。また川崎市職労港湾支部からは、有事関連3法の成立とともに港湾の「有事体制」づくりがすすめられている。陸海空港湾20団体とともに「有事法制を完成させない、発動させない、戦争協力を拒否する」運動に取り組んでいることが報告された。三浦半島地区教職員組合からは、議会における保守反動勢力による攻撃が強まっている。地域・保護者と連携しながら、教基法改悪に抗する具体的な実践を追求していく必要がある。また、学校現場の教育労働者からは、この間の教育政策のなかで子ども自身非常に困難を抱えている。「日の丸・君が代」強制をはじめ子どもを守るのは教師・大人の責任であることが訴えられた。
  会場からの発言として、葉山町議会議員、横須賀市議会議員から「イラク派兵反対」の意見書採択の取り組みが報告され、教育労働者からは「日の丸・君が代」にかかわって横須賀市教委は不起立を妨害行動として処分しようとしている。一人一人がそれぞれの場でどう闘うか、そして周りの人々とどう手をつなげられるかが重要であることが述べられた。横須賀市職労の労働者からは自治体労働者は戦時中国民を戦争に動員した歴史がある。有事に協力しない、有事にならないよう一人一人が、そして多くの労働者と連帯し闘いたいと決意が表明された。また、今年卒業式を迎える保護者から、自分にできる運動の第一歩として「君が代」には不起立で臨みたい。そして何故座るのかを息子とよく話し合いたい、との感想が述べられた。
  最後に集会のまとめとして、実行委員会では有事立法・イラク反戦と教育基本法改悪は一体のものとしてとらえ、それぞれの課題で闘っている人々がグループや団体の枠を超えて大同に付こうということで集会を呼びかけた。12・23教基法改悪反対集会では従来だったらありえない日教組と全教の旗が並び4千人が結集した。しかし、まだまだ足りない。3・20日比谷には10万人の結集をかちとることが提起された。
  1・24集会の呼びかけ団体には、有事法制に反対する三浦半島連絡会をはじめ百万人署名三浦半島連絡会の他、平和委員会や市民団体、さらに神奈川ネットなどかつてない幅広い陣形が形成され、同時に横須賀・三浦半島における最大の党派闘争の場となった。こうしたなか、集会において3・20日比谷10万人結集を方針として確認できたことは、3・20に向けての跳躍台として重大な成果をかちとったと言える。

 ☆有事体制化進む港湾現場から(続き) 神奈川 皆川利夫

  本紙2月号「私の職場から」で報告した港湾で働く自治体労働者です。イラクへの自衛隊派兵にともなう軍事物資の輸送のため、公共ふ頭である室蘭港に入港した輸送艦「おおすみ」に対して、「全国港湾」などの港湾労働者とともに私たちの仲間である北海道の港湾で働く自治体労働者もたたかっています。
  さて2月号では、「SOLAS条約」改定に基づく港湾の保安体制づくりを報告しました。もちろん、この間そのほかにも港湾の有事体制強化にむけ国からの攻撃が続いています。
  あの有事関連3法の成立によって、港湾使用の特例として「有事の際」に自衛隊がほぼ自由に港湾を利用できることになったわけですが(改定自衛隊法)、その以前、地方分権一括法によって、「港湾の管理者は自治体である」とする港湾法にも「国から命令できる」ようにもこっそり書き加えたという事実もあります。
  さらに今国会で、「特定公共施設等利用法」「特定船舶入港禁止法」「外国軍用品等海上輸送規制法」「交通通信総合調整法」など港湾関係の新法の提出と、先に言及した「改定SOLAS条約」に対応した国内法案の提案が4月にもくろまれています。このような状況では、平和憲法や地方自治法、そして港湾法が規定する「自治体が管理する港湾」は文字通りズタズタになってしまいます。
  今こそ港湾で働く自治体労働者の決起と全国においての「20労組」のようなたたかいの強化が必要な時はないと思います。

 ☆なんでもいいから仕事しろ 神奈川 全逓 桜井隆夫

  昨年12月に開催された「全逓第58回臨時全国大会速記録」を一読した。
  発言は、各地本代表で計12人。たった12人しか発言していないのだ。
  たった12人の発言ではあるが、その中にも「なんかおかしいんじゃないの、近頃の全逓は?」という発言がそこかしこにある。
  全逓信越は次のように発言しています。
  「労働組合の運動は決して効率的なものではないはずであると思っておりますし、もっと言わせてもらうなら、運動は効率的にやってはいけないと思っております。むだなおしゃべり、むだな足を運ぶというように、むだをいかに積み重ねるか、それが役員と組合員の信頼関係を築く、それが全逓の運動である」
  「全逓が企業内運動に埋没していきはしないかということであります。企業内運動は、時として会社あっての組合という意識が醸成されます」
  「支部長や書記長が現場を抜け出しても業務に支障のない職場は、もはやなくなっています」
  「反戦・平和を掲げる労働組合として、全逓としてタイムリーなこの大会で声明でも決議でも結構でございます。なんらかの意思表示を」、そして最後に「『過去に全逓という立派な組合があったよな』と言われないよう」との発言で終えた。しかし東北地本は次のような発言をしています。
  「民間企業サービス産業に再就職したと同様であるということ」
  「仕事の中で自分の価値観を見出だすことが必要であり、この職業観の確立を促すこと」
  「郵便局で働き続ける意欲と能力を高めるために事業セミナー、事業研究会を労働運動として実践をする」
  本部方針を全国最先頭で実践している東北地本ということですかね。
  もうすぐ公社発足から1年になる。この月日を上回る「攻撃」が職場労働者におそいかかってきている。賃金、労働時間、人減らしにとどまらず、「宿舎、食堂、売店、風呂等」にまで開始されている。このような時、「仕事に価値観を見出だす労働運動」論が出てきた。
  郵便局の福利厚生はコンビニ化するのかなあ〜と。

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