2004年4月号(No.169) 目次
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労働者の目  もっともっと大きな組織に!

労働ニュース
  ●給与/合理化/春闘/賃金など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

「4・13」3千名の結集の力と1047名闘争の発展で、JRとの力関係を変えよう!

・特集 有事関連法案許すな!
  ●有事関連法案を阻止し、戦争協力拒否の団結をつくりだそう
  ●国民保護法(案)における医療労働者の動員
  ●3・20国際反戦共同行動デー

・動労千葉ストライキ報告

国際連帯メッセージ

悪化する労働者の現状シリーズ V

難問解決労働相談 再開連載第1回

許すな「4党合意」労働委員会闘争シリーズUI

労働者学習センター第W期労働学校への参加の呼びかけ

たたかいは進む

読者のページ


●もっともっと大きな組織に!

 全国労働組合交流センター常任運営委員 後藤 俊哉

  「今の世の中、ちょっとおかしい」「なんか戦争に関係するような法律がどんどん国会を通っているみたいだ」。朝、新聞を見ても、テレビのニュースを見ても、こんな感想をもってしまうのは私だけではないだろう。今の時代は、新聞、テレビ、ラジオなどのメディアよりも、インターネットの方がダイレクトにニュースを流すので、とても早い。動労千葉のホームページにも全世界からアクセスされてくる。ここで感じたことは、「こんな便利なものを今まで使わなかったのか!!」ということだ。資本家たちは、これを使ってG7、G8は世界を支配しようとしていたのだ。「11・9」集会のILWU、韓国民主労総との国際連帯は、まさに世界をググっと引き寄せている。それこそ、全世界の労働者は身近にいる。イラク反戦だけでもヨーロッパで、アジアで、そしてお膝元のアメリカでも大デモンストレーションが闘われた。やっぱり世の中の労働者は、まだまだあきらめていない。この時、日本の労働者は世界に向けて、共闘をアピールしなければならない。それを実現するためにも、3・20の全世界統一行動の大成功のうえにたって、世の中を労働者の世界にする道を指し示した。
  その先頭に起って、動労千葉は、04春闘の前段の2月14日から長期非協力闘争に突入した。25日までの16日間一糸乱れず24名の指名ストを貫徹した。この闘争は、JR東日本とJR総連との結託体制をガタガタと大きく揺るがした。17日間、あらゆる困難な状況に立ち向かい、そして団結をより強めて闘い続けた成果が、今春闘の闘いで勝利したのだ。
  強制配転者の17年の闘いは、今春闘をもって確実に一歩前進した。そしてこの闘いは、JRという会社がいかにして「世界一安全な鉄道」になっていくのか、この体制でいいのかを、突きつけた。
  われわれの闘いはこれからだ。動労千葉は、3月12〜14日とストライキでこの春闘を闘った。
  動労千葉と共に闘い、交流センターをもっともっと大きな組織にしよう。

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●労働ニュース(04年2月16日〜3月15日)

企業好調、家計は低調
  財務省は4日、昨年10〜12月期の法人企業統計調査を発表した。全産業の経常利益が前年同期に比べ16・9%増えるなど企業部門の回復は鮮明。半面、人件費は0・4%増どまりで、家計への好業績の還元は進んでいない。景気をけん引する設備投資も製造業中心の回復で、非製造業の出遅れが目立つ。

 1月現金給与2カ月連続減
  厚生労働省が1日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)によると、従業員5人以上の企業の月間平均の現金給与総額は29万1千574円と前年同月比0・8%減り2カ月連続で減少した。景気の持ち直しで所定外労働時間(残業)は19カ月連続で伸びたが、パートの増加で基本給に当たる所定内給与の伸びは抑えられた。賞与など特別に支給される給与が2割減り全体の給与が減少した。

 JAL、3年で4千500人削減
  日本航空システム(JAL)は05年3月期から07年3月期までの3年で、グループ従業員数を4千500人削減する。10日に発表する中期経営計画に盛り込む。今年4月に予定している傘下の日本航空と日本エアシステム(JAS)の完全統合を受け、地上職を中心に人員をしぼり、一段とコスト削減を進める。

 3年で職員300人削減
  東京都は9日、地下鉄やバスなど都営交通事業について04年度から3カ年の経営計画をまとめた。地下鉄の駅員業務外注化やバス営業所の管理委託など進め、職員数を現在の7千786人から300人減らす。

 希望退職1千500人以上に
  正社員の4分の1にあたる1千600人の規模の希望退職を募集していた大手スーパー、西友は17日、1千500人以上の応募があったことを明らかにした。応募者が募集枠に達しない場合、過去の人事評価などを基に退職勧告に踏み切る構えを見せていたが、枠をほぼ満たす応募があり、大手企業では異例の退職勧告は回避されそうだ。

 高島屋、分社の3店舗社員2割削減
  高島屋は20日、同日開いた取締役会で岡山店、岐阜店、高崎店、を4月1日付けで分社することを正式決議したと発表した。広告やビル管理の子会社を含むグループ社員数は、3店合計で528人と現在より22%少なくする。賃金水準も地域の実情にあわせて引き下げ、黒字転換を目指す。

 松下、昇格・登用で年功排除
  松下電器産業は今年4月から昇格や幹部登用で年功要素を排除した人事制度を導入する。主任や参事など一般社員より上の資格を6段階から3段階に簡素化し、有能な若手を役職者に抜てきしやすくする。経営幹部の登用は、国内外500ポストで年齢・国籍を問わない統一基準を設ける。4月から全社員の年功賃金を廃止するが、人材管理でも年功排除を徹底する。

 年間ボーナス、電機大手前年実績超え
  大手企業の04年春の賃金交渉は、17日の集中回答日に向け終盤を迎えた金属労協(IMF/JC)加盟企業の労使交渉で、日立など電機大手の年間一時金(ボーナス)が前年実績を上回るのが確実となった。労組がベースアップ要求を見送ったため、業績回復を一時金増額に反映させる。大手電機をはじめ、産業界では配偶者手当など諸手当を廃止・縮小し、その原資を一時金や給与に振り向ける企業が増えている。

 「成果主義」急ピッチ
  家族手当や住宅手当などの廃止・縮小は、勤続年数に応じて上がる定期昇給(定昇)の廃止と表裏の関係にある。仕事の成果に関係なく支給される手当もなくし給与・一時金の原資にすることで、成果主義型の賃金制度を徹底させる狙い。

 三菱自動車、3カ月で妥結へ
  三菱自動車の今春の年間一時金交渉が前年実績より1カ月少ない3・0カ月で妥結する見通しとなった。労組側は4・0カ月の要求を提出していたが、業績不振を理由に経営側が3・0カ月を提示。労組側も受け入れる方針を固めたもよう。

 マツダ春闘、満額で収拾
  マツダは5日、今春闘で労働組合が提示していた年間一時金5・3カ月分(前年実績5・0カ月分)の要求に対し、満額回答を行った。

 女性・育児・介護に軸足
  女性の社会進出や少子高齢化を反映し、今春闘では、女性社員の活用や育児、介護の支援充実に労働組合が力を入れている。厳しい賃金交渉に比べて成果が期待できるためだ。

 派遣、職種ごとの格差拡大
  企業の人員削減が進む裏側で02年度には派遣労働者が200万人を突破した。派遣期間の最長3年への延長などを盛り込んだ改正労働者派遣法が今月施行され、今後も増加が見込まれている。そのなかで低賃金の派遣労働者は、さらに労働条件を切り下げられる傾向が続いていおり、連合もようやく派遣の労働条件向上に本腰を入れ始めた。

 トヨタ、好業績でも要求減額
  今年もトヨタ自動車の労働組合が、春闘を揺さぶっている。好業績なのに一時金を減額要求し、02年のベアゼロ回答、03年のベア要求断念に次ぐ「第3のトヨタショック」の声もある。トヨタ以外の労働側からはこうしたトヨタ労組の姿勢が、経営側が打ち出している春闘の「脱賃金」の流れを促進させるのではないか、と懸念がでている。

 時給増に扶養控除の壁
  04春闘は、連合がパート労働者の処遇改善へ本格的に取り組んで4年目。パートの労組員は03年に初めて30万人を超え、推定組織率も、労組全体が20%を割って低迷が続くなかで、やっと3%に達した。だが、パートを取り巻く税制や社会保険制度が壁になり、一枚岩になれない現実に突き当たっている。

 日産、定昇廃止
  日産自動車は17日、4月から約3万人の一般社員に導入する新しい人事制度の概要を公表した。年齢や勤続年数に応じて毎年増える「定期昇給制度」を廃止するとともに、昇格のもとになる人事評価で従来の相対評価をやめ、絶対評価に転換する。「実力本位」の新たな賃金体系とすることで、社内の活性化につなげる。

 卒業式「不起立宣言」
  「日の丸・君が代」の実施をめぐり、都立大泉養護学校小学部(練馬区)の渡辺厚子教諭(53)が9日、都庁で記者会見し、都教委の強制に「不起立宣言」を発表した。

☆労働日誌(04年2月〜3月)

2月16日
  帝国データバンクの発表によると1月の全国企業倒産件数は1205件(前年同月比16・1%減)となった。内、不況型倒産は900件(構成比74・7%)で、依然高い比率が続いている。

2日18日
  トヨタ・日産・日立製作所など自動車・電機大手の労組が春闘要求を会社側に提出した。大手でベアを要求しているのは日産自動車、ヤマハ発動機のみ。電機連合大手は成果型賃金に移行した直後で、従来の定昇相当分を反映した水準確保を目指す。一時金についてもほとんどの企業が業績連動を採用しており、日立、三菱電機、シャープが「業績回復」を背景に上積みを目指す。

2月26日
  政府は、国が地方の取り組みを支援する「地域再生推進プログラム」を与党に提示した。141件の支援措置が盛り込まれている。うち、「パート地方公務員」は、勤務時間と任期を限定した公務員を採用し、役所の窓口業務や図書館司書などでの従事を想定するもので、正規職員の「雇用抑制効果」見込んでいる。

2日27日
  総務省は労働力調査を発表した。それによると1月の完全失業者数は323万人(前年同月比34万人減)となり、完全失業率(季節調整値)は5・0%(前月比1上昇)となった。うち、男性の完全失業率が5・2%(前月比0・2上昇)となり、その年齢別内訳では25歳未満が10・5%(前年同月比0・1増)、25歳以上35歳未満が5・8%(同0・6増)となり、若年男性の失業率上昇が続いている。

3月12日
  厚生労働・文部科学両省の調査によると、今春卒業予定の就職内定率は大学生で、82・1%(前年同月比1・4低下)、高校生の就職内定率は76・7%(同2・3上昇)となった。

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●団結権行使であり無罪―弁護側が陳述

 国労5・27臨大闘争弾圧の裁判闘争は、3月16日の公判で21回を数えました。この日は、国労本部側証人が自分の都合で出廷出来ないこともあり、被告・弁護側の冒頭陳述が全面的に行われました。弁護側が証拠申請した、2本のビデオ(00年8月続開大会と10月定期大会のドキュメント。ビデオ・プレス制作)が採用され、法廷で上映されました。
  最後に、弁護団が検察側冒頭陳述の動機部分(犯行に至る経過)の立証を放棄したままにしている問題を追求しました。検事は、これまでと同じくまともに答えず、被告がたまらず、「自分たちは、物資販売を中止して法廷に出るために上京している。苦しい生活の中で闘っているのに、検事の姿勢は問題だ」「有給休暇がない中で、休日を都合して裁判に出てきている」と突きつけました。検事の傲慢な態度と、被告が労働者として必死で闘っている姿勢の対比の中に、「国家的不当労働行為との闘い」の真の姿がかいま見られました。
  弁護団は、証人申請の予定として、国労東京地本の酒田充委員長(現国労本部委員長)や甘利明自民党副幹事長(4党合意責任者)などを挙げました。
  検察側立証の最中に、「犯行に至る経過」の立証を破綻させました。弁護側は攻勢的に国鉄闘争全体の正義性を明らかにするために、国労本部側の証人(敵性証人)に対しても証人申請し、認められました。そして、この冒頭陳述となったのです。労働運動を巡る裁判として、内容豊かに争う土俵を広げたということです。

  国鉄1047名闘争の正義性を全面展開

 被告の陳述は松崎さんと橘さんが行いました。松崎さんは解雇された1047名の一人として、「4党合意は1047名の13年間の人生を全否定するもの」と切り出し、以下のように弾劾しました。
  自民党は、中曾根元首相がいうように、「国労を解体し総評を解体する、もって戦後政治を総決算し、憲法を変える」ということで、国鉄分割民営化を強行した。そして連合が結成された。それにもかかわらず、国鉄闘争が1047名闘争として発展し、連合傘下の労働者・労働組合の支援を受けて力強く発展した。ここを政府・自民党は恐れ、自ら乗り出して国鉄闘争破壊攻撃に出てきたのです。
  「JRに法的責任なしの大会決定」を認めることは、闘争団の13年間(当時までの年数。現在では17年)の全てを否定し、これからの人生を敗残者として生きていくことを強制するものだ。
  続いて橘さんが、陳述しました。
重大なのは、4党合意によって破壊された国労の団結です。闘争団の誰もが言うのは、「4党合意さえなければ、組合員どうしがこんなにいがみ合うこともなかった」ということです。そしてその対立は、同じ組合員どうしが、一方で被告、他方では検察側証人となって法廷で対立するところまで行き着きました。労働者の団結権を守るには、4党合意を弾劾するとともに、自民党に屈伏して組合員を国家権力に売り渡すところまで転落した国労本部派を弾劾し、無罪を勝ち取るいがいにありません。
  政府といえども、検察官といえども、労働者の団結権を侵害し、国鉄1047名闘争を破壊することはできない。それは17年の歴史が示しています。労働者の誇りにかけて、この裁判に勝利する所存です。
  4党合意に反撃し、闘争団と組合員が必死で闘ってきた過程を述べました。その中で自らが申立てた労働委員会闘争で、自民党の甘利明氏の証人採用が決定され、出頭要請を行っている最中に逮捕・起訴が強行されたことを明らかにしました。
  4党合意は、政権政党である自民党らが直接に、国労の解雇撤回闘争の放棄・全面屈伏を強要した前代未聞の労働組合弾圧・団結権破壊です。団結権侵害の原点的攻撃ですが、ILO条約や憲法28条で明示に禁止されている違法行為です。被告たちは、この本質を鋭く突く闘いを労働委員会闘争として展開し、02年の4月には福岡と大阪の労働委員会では甘利氏の証人採用が決定されていました。甘利氏の都合に合わせて、証人尋問を行う準備も整って居ました。5・27臨大の当日も出頭と証言を求めて、自民党本部などに要請を行ったのです。この過程を橘さんは丁寧に述べ、この弾圧が4党合意を崩壊させたことに対する政治的報復であることを明らかにしました。
  弁護団は、団結権保障を縦軸に、分割民営化に始まる国鉄1047名闘争の正義を全面的に展開しました。特に、4党合意と3与党声明に屈伏した国労本部派の裏切りと組合民主主義の破壊、反対派排除、警察への売り渡しへと走り、今日も続けていることを明らかにしました。
  佐藤昭夫弁護団長は冒頭で、「被告人らの当日の行為は、正当な団結活動であり、憲法および『日本国が締結した条約および確立された法規』の保障する団結権の行使として罪とならないものである」と明確に「事件」を規定しました。続いて「憲法における団結権保障の歴史的意義」を述べ、最高裁判例などを引用し、「公訴棄却もしくは無罪」を要求しました。続いて弁護団の全員が、国鉄1047名闘争の正義を力強く展開しました。
  ほとんどの時間を弁護側が使い、全面展開したこの日の裁判を通し、検察側立証の過程から労働裁判としての内容を保障させる地平は大きく切り開かれました。次回(4月27日)から再び国労本部派の「被害者」証人への尋問となります。鈴木勉証人の尋問の成果に踏まえ、本部側証人の破綻が明らかになることは不可避です。
  国労本部は3月2日に、この裁判の「証人尋問などについては、関係する地方本部を中心に傍聴体制を取り組むこと」と指示しました。最も「関係する地方本部」とは、東京地方本部であり、「証人尋問」に出るべき人物は当時の酒田委員長です。弾圧の張本人たちは、進んで法廷に出るべきではないでしょうか。
  この裁判は、国鉄1047名闘争の先端を開く闘いです。動労千葉のストライキ闘争と共に、腐りきった国労本部派(本質は社民党と共産党の指導)を打ち破り、労働者の闘いを真に解き放つ闘いです。その核心は、労働者の団結権の限りない発展です。全世界の労働者の団結の要となる闘いとして、発展させましょう。

  運動の先頭で「コクロウ・エイト」が奮闘

 保釈された被告たちは、物資販売の再開と職場復帰を成功裏に勝ち取り、許さない会運動の発展に本格的な活動を開始しました。裁判闘争を柱に、お世話になった地元を精力的に回り、さらに東京の発起人や賛同団体を訪問しお礼をしています。いずれも、大歓迎で迎えられています。
  「コクロウ・エイトの声を聞こう」「現場ビデオを見てみよう」という声は、大きくなっています。会員を拡大し、傍聴に駆けつけ、交流を深め、労働運動を再生していく闘いの柱として強力な取組をお願いします。   (松田浩明)

 公判日程
  第22回 4月27日(火)  第23回 5月18日(火)  第24回 6月9日(水)  第25回 6月29日(火)  第26回 7月21日(水)  第27回 8月5日(木) 第28回 9月6日(月)
 (いずれも東京地裁104号法廷)

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●ついにJR体制に風穴開けた!

  動労千葉04反合春闘ストの教訓

 「4・13」三千名結集の力と1047名闘争の発展で、JRとの力関係を変えよう!

 国労新橋支部 吉野 元久

  JRとの力関係変える絶好期の到来

 昨年12月、国土交通省は鉄道事業法施行以来はじめてJR東日本に対する「業務改善命令」を交付した。直接の契機は、昨年9月に発生した中央線高架切り替え工事ミスによる輸送混乱などである。しかし、20年余の永きにわたった革マル松崎支配下のJR総連とのゆ着・結託体制下で繰り返された数々の効率化と無謀極まりないアウトソーシングの結果、とりわけてJR東日本で重大事故が続発しているからだ。
  JR体制最大の矛盾と弱点が、事故問題=安全問題となっていま火を吹いている。JR資本との重大な戦略的闘いに、反合理化・運転保安確立闘争が競り上がったということだ。そして動労千葉執行部と全組合員は、この決定的な戦略的チャンスを絶対に見逃さなかった。
  動労千葉は昨年12月、車両メンテナンス近代化第V期計画に基づく習志野電車区の廃止攻撃に対して2波のストライキを闘った。さらに今年2月には、「万人は一人のために」を貫き、一組合員の強制配転の阻止と懸案事項の全面解決を求めて、断固たる指名ストと長期全面非協力闘争に立ち上がった。そして3月には、13日からのダイヤ改訂=無謀なスピードアップと、JR貨物の「新人事・賃金制度導入」に反対して、1047名闘争勝利、イラク反戦と結合して04春闘=反合運転保安確立の72時間ストライキを叩き付けた。
  動労千葉は、この昨年末から連続した3波にわたる渾身の闘いによって、JR体制成立以来17年目にしてついに、誰からも「鉄壁」と思われたこの「壁」に大きな、鋭利な風穴を開けることに成功した。のみならず、日本労働運動の歴史を根底から塗り替える04春闘=反合運転保安確立の闘いを撃ち抜き、小泉=奥田路線と対決しながら、同時に3・20国際イラク反戦闘争の大爆発へと怒濤の進撃を開始した。
  この動労千葉の闘いが暴き出した「真実」と「教訓」は、あまりにも大きくかつ多岐にわたる。その核心点を無理矢理2点に絞れば以下となる。
  その一つは、JR総連の松崎支配が完全に破綻=崩壊したことであり、革マルとのゆ着・結託体制=JR体制が根底からグラグラになった。
  二つめは、17年間にわたって不屈に闘い抜かれてきた1047名闘争が、ついにこのJR体制に開いた「風穴」を突き抜けて、本格的にJR東日本とJR本隊との力関係を逆転し、「解雇撤回、JR復帰」の勝利をこじ開ける確かな展望を切り開いたということだ。

  瓦解するJR総連の松崎支配

 今やJR総連の松崎唯一支配は完全に破綻し、音を立てて崩壊しはじめた。革マルとのゆ着・結託体制=JR体制が根底からグラグラになったということだ。
  00年1月の革マル本隊との公然たる分裂から4年。JR九州労の「JR総連の革マル体質からの決別」をかかげたJR連合への潜り込み未遂事件と、その首謀者「JR労研」事務局長坂入の革マル本隊による拉致事件から3年。そして行着いた先が、松崎のJR東日本への人事介入と「順法闘争」発言に反発した中執8名の辞任劇と、「東労組に独裁者はいらない」「東労組を組合員の手に」「虚構からの訣別」と公然と松崎批判を展開する嶋田派の分裂であった。
  今年2月に開催されたJR東労組第27回定期中央委員会で松崎派は、「組織破壊行為、権力内通、反本部大会の撤回」「制裁決議の凍結・見直し」「総団結」などを口頭で提案し決定したという。だが「覆水盆に帰らず」。たとえファシストがどんなペテンを使っても、この分裂はさらに深まりこそすれ修復することは絶対に不可能である。
  なぜならば、このJR結託体制破綻の核心は、イラク参戦と資本攻勢に示される小泉=奥田路線の下で「外への侵略戦争と内への階級戦争」にこそあるからだ。
  松崎のような異端分子の力無しには一日として成り立たない民営会社=JR。1047名闘争が労働運動の再生の要となるであろう国鉄闘争。もはやこれらの存在を完全消滅させることなしに、小泉改憲も奥田資本攻勢もあり得ない。敵の狙いは、松崎支配の清算であり、国労、全動労、動労千葉=1047名闘争の解体であり、「国鉄分割民営化の総決算」にあるからだ。

  国労再生と1047名闘争の勝利へ! 4・13集会の成功を

 3月2日、国労本部は『中核派による5・27暴力事件公判に対する取り組みについて』と題する「指示第51号」を発した。酒田=芝崎コンビと革同らは、「組合員に暴力をふるった者が『国労組合員』の権利を主張し、『弾圧の被害者』であるかのような言動を為すなど破廉恥極まりない」(本部電送第195号)などと言いなして「公判への傍聴体制」を指示したのだ。
  また、「『東京地本は組合員を権力に売り渡した』などと虚偽の宣伝」(同)などとも述べている。「盗人猛々しい」とはまさにこのことだ。公判の度に真実が明らかとなった。酒田よ!「逮捕できないか」と権力に携帯電話をかけ、事前に持ち込んだビデオで盗撮したテープを荒川警察署に持ち込むことを世の中では「売り渡す」というのだ。今や「5・27臨大闘争弾圧」との闘いの前進は、酒田執行部をトコトン追い詰めている。
  国鉄闘争と国労の大義をかなぐり捨て、専従のイスや銀座での飲食に執着するSSコンビの俗物ども。「『JRに法的責任なし』は闘いの到達点」「チャレンジはグラグラ。いまや社会党員協に見る影もなし」と火事場泥棒しかりの前革同会議学校長上村。「団結を瞳のように大切に」しようとするならば、機動隊の導入も、闘争団員への「生活援助金凍結」「査問委員会」も絶対にあり得ないことだ。
  われわれは、4党合意という「国労解体攻撃」を破綻させた。そして動労千葉が、ついにこじ開けたJR体制の「風穴」を突き抜けて、本格的にJR東日本とJR本隊との力関係を逆転させ、「解雇撤回、JR復帰」の勝利をこじ開ける確かな展望をこの手に握っているのだ。
  3・20イラク反戦の国際闘争に結実した全ての力をもって、「4・13日比谷」集会への3000名結集を実現し、1047名闘争の本格的発展を実現しよう。国労の再生をかけて「許さない会」運動の巨大な発展を勝ち取ろう。

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・特集 有事関連法案許すな!

●有事関連法案を阻止し、戦争協力拒否の団結をつくりだそう

 武力攻撃事態法を具体化し、自治体・民間を総動員

 3月9日、小泉内閣は、有事関連7法案と3条約案を国会に上程した。昨年成立した武力攻撃事態法を具体化するものであり、これらが成立すれば、有事立法体系はひとまず完成し、発動準備が整うことになる。「完成させない、発動させない、従わない」闘いは、
正念場を迎えた。
  米軍行動円滑化法案は、武力攻撃予測事態の段階から自衛隊が米軍に物品・役務の提供ができるとし、自治体や事業者に「協力の責務」を課し、米軍の陣地構築などのために土地・家屋の強制使用を定める。
  物品役務提供協定(ACSA)改定は、適用範囲を共同演習、PKO、周辺事態だけでなく、武力攻撃事態、同予測事態に拡大し、弾薬の提供も可能とする。
  海上輸送規制法案は、武力攻撃事態において、武器・弾薬を運んでいる「疑いのある」船舶の臨検を行い、停止しない場合は武器使用を可能にする。周辺事態での船舶検査は、実施区域が後方地域に限定されていたが、今回の法案では事実上無制限である。
  特定公共施設等利用法案は、武力攻撃予測事態から発動され、港湾や民間空港を首相の強権発動で米軍・自衛隊の優先利用を保障する。「非核神戸方式」などをつぶすねらいだ。国の要請を拒否した場合は、自治体が管理する港湾・空港を有無を言わさず強制利用できる仕組みを定め、民間船舶・航空機を強制的に排除する規定も設けている。

 北朝鮮への先制攻撃に自衛隊が参戦

 国民保護法案は、自治体、民間企業・団体、国民を政府の統制下において戦争態勢に組み込み、動員する。凍結されていた武力攻撃事態法14条・15条の国の総合調整→指示→代執行という仕組みが、国民保護法の成立によって発動されることになる。都道府県知事の要請がなくても、首相が自衛隊を派遣でき、避難、誘導、救援にかかわる都道府県の措置を是正させ、土地の収用などを自ら行える。物資の保管命令違反、通行制限違反、立ち入り検査の拒否、退去命令違反などは罰せられる。
  自治体や指定公共機関は、政府の基本指針に沿った業務計画の作成を義務づけられ、自衛隊幹部を含む国民保護協会を設置して平時から訓練を行う。これらは、武力攻撃事態、予測事態だけでなく、大規模テロの「危険が切迫していると認められる事態」=「緊急対
処事態」にも発動される。
  武力攻撃事態法と今回の有事関連法案は、99年の周辺事態法と相まって、米軍の先制攻撃戦略と一体化した侵略戦争への参戦を可能とする。北朝鮮にミサイル発射の兆候があるとして、武力攻撃予測事態が発動され、日本の空港・港湾を出撃基地とした米軍の先制攻撃、無差別爆撃が開始される。「緊急対処事態」が発動され、「大規模テロ」の警報が放送機関で宣伝され、「国民をテロから守る」ものとして侵略戦争が正当化され、国民が動員されていく。周辺事態、武力攻撃予測事態法にもとづく自衛隊の後方支援が反撃を受けた場合には、武力攻撃事態が発動され、自衛隊が防衛出動し、武力攻撃を開始する。

 指定(地方)公共機関を受けさせない闘い

 労働組合は、武力攻撃事態法―有事関連法とどう闘えるのか。まず、私企業の労働者について、考えてみよう。
  指定公共機関、指定地方公共機関は、武力攻撃予測事態において「必要な措置を実施する責務」が課され、国から「指示」が出され、武力攻撃事態では自衛隊法103条にもとづく「業務従事命令」が医療、輸送、建設業者に出される。国民保護法では避難住民の運送の要請に関係者が正当な理由がない限り応じなければならないとされ、医療関係者には指示できるとされている。しかし、物資保管命令違反とは異なり、業務従事命令違反に対する罰則はない。
  重要なことは、武力攻撃予測事態における指定公共機関の責務とは、企業の責務であって、労働者に直接義務づけるものではないということだ。武力攻撃事態における業務従事命令についても、医師や看護師などを除けば、対象は、事業者であって従業員ではない。まず、企業に指定公共機関を受けさせない闘いが重要だ。
  防衛庁が陸上自衛隊先遣隊の輸送を日本航空、全日空に打診したが、両社とも安全確保の困難を理由に断ったと報道されている。戦争協力拒否を掲げ民間航空の軍事利用反対を申し入れてきた航空連の闘いの成果である。定期航空協会は、周辺事態法の成立の際、
  事業運営の大前提である航空の安全性の確保。
  協力内容が武力行使に当たらず、関係国から敵視されない。
などを対応の原則として明らかし、いまのところこれを崩していない。
  全港湾は、各地の港湾事業者に対して、以下の3点の申し入れをしている。
  政府は有事法制にもとづく指定公共機関の指定については「当該機関の意見を聴きつつ判断する」としているので指定公共機関とはならないようにすること。
  有事法制にもとづく協力要請、業務従事命令を拒否すること。
  仮に、有事法制にもとづく業務に従事せざるをえない場合にあっても、有事法制では「基本的人権を最大限尊重する」としているので、その業務を拒否した労働者に対して不利益な取扱いをしないこと。
  いまのところ、この3点に同意した企業はないが、「要請や命令を受けた場合は、返答する前に労組と事前協議をする」と多くの企業が回答しているという。

 軍事的危険を伴う業務命令は拒否できる

 国のために協力するのが当たり前という社会風潮が強まれば、企業が国の指示や業務従事命令を断ることは難しく、労組への風当たりも厳しいものとなろう。指定公共機関や業務従事命令を受けた場合は、就業規則にもとづく業務命令との闘いになる。有事3法案の
国会審議でも政府は「従業員が個人的な考え方や理由でその業務を拒否したら、法人の内規による対応となる」と答えている(03年5月、衆院外務委員会、安倍官房副長官)。
  一般的には、「依頼」には諾否の自由があり拒否できるが、業務命令という形で出されると、違反した場合は懲戒処分その他不利益を受けることもある。
  しかし、労働契約の範囲を超える業務命令は無効である。就業規則で出向・配転を包括的に認めているからといって、自衛隊の指揮命令下の労働や自衛艦の修理のための海外赴任が労働契約の範囲内とはいえない。
  軍事的な危険を伴う業務も、労働契約の範囲内とは言えず、労働者に従う義務はない。本誌03年4月号の書評でとりあげた千代田丸事件の最高裁判決(68年12月24日)は参考になる。56年に朝鮮海峡の日韓海底ケーブルの修理のため、米軍から電電公社に海底線敷設船・千代田丸の出動が要請された。当時、韓国政府は李ラインを設定し、越境する日本船に対する撃沈・だ捕を声明し、漁船に銃砲撃を加える状況にあった。危険手当をめぐる団体交渉が紛糾する中、当局は出航命令を出し、全電通本社支部は、出航停止を指示、これが公労法で禁止されている違法な争議行為の指令にあたるとして組合役員が解雇された事件だ。
  裁判では、解雇の効力の前提として、千代田丸の乗組員に作業に従事する義務があったかどうかが争点となったが、最高裁は、海底線修理作業に通常予想される危険と異なる軍事上の危険がなかったとはいえないとして、解雇を無効とした。「労使の万全の配慮を超
えるような危険性のある作業は、労働契約の内容に含まれない」という判断である。
  民間航空機が軍事利用されたら、国際民間航空条約の保護規定からはずされ、攻撃対象となり、「テロ」の標的となる。海上運送でもロンドン海戦法規で兵站活動に従事する民間船舶はだ捕・破壊の対象とされている。有事法制で予想される輸送業務の軍事的危険性は、千代田丸事件の比ではない。戦火に巻き込まれる危険を伴う業務命令は、当然無効である。

 戦争協力の職務命令と公務員の抗命義務

 自治体労働者・公務員労働者は、どう闘うか。「国の方針にもとづく措置を自治体が実施する」という武力攻撃事態法は、憲法上対等であるはずの国と自治体を上命下服の関係にかえ、自治体を戦争遂行の下請け機関とする。
  自治体の使命は、地方自治法1条に規定された地域住民の「福祉の増進」にあり、平和的生存権を不可欠の内容とする。自治体が米軍・自衛隊の後方支援に協力することは、住民を戦争にまきこむことになり、それを自治体労働者の職務ということはできない。
  公務員の憲法尊重擁護義務(99条)は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこることのないようにする」(前文)ために負わされているものである。憲法に反する国の措置を遂行せよという職務命令に対しては、公務員は抗命義務を負うというべきである。判例でも、「重大かつ明白な瑕疵のある」職務命令は、命令を受けた公務員が無効を判断できるとしている(東京高裁、74年5月8日)。
  こうした論理をも駆使して、自治体労働者もストライキによる戦争協力拒否を追求していくべきである。

 ストライキで戦争協力拒否を闘う労働組合を

 憲法19条思想・良心の自由も、戦争協力となる業務命令を拒否するタテとなる。良心的兵役拒否が認められるならば、兵站支援業務にあたる私企業の業務命令も公序良俗違反として無効とされる余地はある。また、懲戒処分など強制を伴う業務命令は、憲法18条「意に反する苦役」ということもできる。
  海員組合は、ペルシャ湾など危険海域への就航について「本人の意志により乗船することを希望しない者については、その意志を尊重して対処し、不利益な取扱いはしない」という労働協約をかわしている。戦争協力を拒否する組合員に対する不利益扱いに対して労働組合は断固闘わなければならない。
  なによりも、労働組合として、侵略戦争に反対する論理と行動が問われている。めざすべきは団結権をタテに戦争協力を拒否するストライキである。組合員の生命にかかわる問題である以上、政治ストとされる余地はないし、政治ストも憲法21条の保障を受けるというべきである。
  相模鉄道労組を含む11単産からなる神奈川交通運輸労働組合協議会は、昨年7月「万一、有事法が発動された場合、それにもとづく輸送業務を拒否する」と宣言した。横須賀市職労の有事3法案成立直後の声明で「どんな事態にあっても、いかなる戦争にも加担しない」と宣言している。多くの自治体職員労組が「非協力宣言」を発している。20労組の呼びかける「業務従事命令に反対する懇談会」運動を拡げ、戦争協力拒否のゼネストを展望して闘おう。そのためにも、有事関連法案を阻止する巨万の国会闘争を切り開こう。
  処分覚悟で戦争協力を拒否する団結をどうつくりだすか。排外主義と闘い、対テロ戦争の侵略戦争としての正体を見抜き、「外への侵略戦争、内への階級戦争」として首切り・賃下げ攻撃と一体の攻撃として闘う路線が重要だ。階級情勢を切り開くためにストライキで闘う、動労千葉のような労働組合をつくりだそう。 (岡田 優)

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・特集 有事関連法案許すな!

●国民保護法(案)における 医療労働者の動員

 関西 医療労働者

 昨年成立した武力攻撃事態法の中でも、医療労働者は戦時下の重要な動員対象として明示されていたが、ここでは今回の国民保護法(案)の中で、「国民保護」の名のもとに、戦時下医療がどのような体制になり、医療労働者の戦争動員がどのようにして行われることになるかを考えてみたい。
  まず、日本赤十字社(日赤)について、第一総則一通則の7で次のように規定している。「国及び地方公共団体は、日本赤十字社が実施する国民保護のための措置については、その特性にかんがみ、その自主性を尊重しなければならないこと」。
  日赤の戦時下での活動とは何か。その主な活動は、医療救護と救援物資の配分にある。戦時に、仮に攻撃を受けた場合、戦傷者の医療と被災者への物資の配給を日赤が行うことになる。しかも、その活動は、後段の第三の一救援の4において国の計画に沿って行われる知事の「救援計画」に従うことが義務づけられている。さらに、知事は、この「救援活動」を日赤に委託することになっている。
  これは、実質的には武力攻撃事態関連3法によって設置されることになった安全保障会議=「大本営」のもとで、その医療・衛生分野を日赤が一元的に管轄することを意味している。
  赤十字(赤新月)の存在は、ジュネーブ条約などの国際法によって、あたかも中立であるかのように見えるが、イラク戦争の中でも、占領軍の一機関として、イラク人民の攻撃対象となっている。その理由は、戦時下の医療が、傷病兵士の再生=戦列への復帰を主目的としていることへの怒りであり、それを担っているのが赤十字に他ならないからである。
  今日の日赤における医療の戦時体制への転換は、そのことを端的に示している。表向きは災害時医療の確立ということで、この間日赤が中心となって整備が進められているのが、地域ごとの日赤病院を中軸とした医療機関の緊急時連携体制である。さらにトリアージという、重傷者を見殺しにして回復の可能性の高い患者(軍隊に復帰できる兵士)から選別医療を行うことが日常的訓練として採用されている。さらに、銃創外科などの教育・訓練もすでに始まっている。また、日赤という組織の名誉総裁、副総裁は、天皇一族が名を連ねていることも見ておかなければならない。
  こうして、国民保護法制を先取りする形で、日赤を頂点とした医療体制の構築が進み、その中で、医療労働者は戦時医療に組み込まれようとしている。今回の法案は、現実に進行している戦時医療への転換に反対して、日々医療実践をしている、多くの医療労働者を抑え込むためのものである。絶対に成立させてはならない。
  何よりも、すでに20労組とともに起ちあがった日赤の医療労働者の闘いを、全ての医療労働者が支え、有事法制の完成を阻むために、ともに団結してたたかっていこう。

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・特集 有事関連法案許すな!

●3・20国際反戦共同行動写真報告と動労千葉3月12〜14日スト報告写真集

3・20に参加して

  あいにくの雨で冷たい日でしたね。すわっていればなおさら寒く、指先までもしびれていました。
  だけど私は、こんなことでは労働者はへこたれないし、こんな雨に6万人もの、いいえ世界中の人たちと心をひとつになった日を誇りに思う。戦争はこんなものではすまない。そのために反対集会に参加した。そのことこそが大切なことだと、この雨は感動の雨に変わった。そしてイラクの人たちが全世界の人たちに訴えている雨だと思った。
  私は楽しかった。みんなに会えたこともうれしかった。
  地域で1人で頑張れる力があらゆる集会(もちろん3・20にも)によって得られる。
  私の職場は小さいけれど、私がいるだけで何かが変わる。
  関西合同労組として資本を追いつめていっている事を信じ、頑張れる。それが大きな大切なことへの行動力になれば、私はこれからも頑張りたい。こんなにも大勢の仲間がいることを、労働者として生まれた誇りをもって明日もまた、明日も頑張りたい。

  関西合同労組  西川運輸倉庫分会  柴田 美

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●動労千葉ストライキ写真集

●3・20国際労働者行動日への共同声明 ―戦争・抑圧・民営化に反対しよう――

  イラク戦争は第2次大戦後の歴史を一変させました。侵略戦争が「正義」として主張され、憎悪と恐怖、むきだしの戦争政策が日々世界を覆う恐るべき光景が生み出されています。またイラク戦争の開始と共に、われわれの民主主義的諸権利への激しい攻撃が激化しています。
  イラク開戦1周年を迎える3月20日、私たち米・日・韓の労働者は、未だ続くイラクでの戦争と占領を直ちに中止させるために、日本や韓国からの新たな派兵を阻止するために、そしてシリア、イラン、北朝鮮へのアメリカ主導の戦争の拡大を阻止するために、この日に全世界の人々に国際的な反戦行動に立ち上がることを心から訴えたいと思います。
  われわれは、国際的に団結した労働者の行動こそが、戦争を止める力をもつことを確信しています。そして、自らの政府が人類の歴史に対する最大の犯罪であるこの戦争に手を染めているがゆえに、この闘いの責任は、アメリカ、日本、韓国の労働者にあると考えています。
  この戦争は一片の正義もない帝国主義的侵略戦争に他なりません。表向きの弁明としての「大量破壊兵器を保持している」は、この犯罪的な戦争の口実として利用されて来ました。また現在の占領政策の現実もイラクの解放どころか文字通りの植民地支配に他なりません。
  ブッシュを先頭とした世界の支配者たちは、自らの利益のために全世界を戦争の泥沼に引き込もうとしています。「反テロリズム」の名のもとに再び戦争の歴史が不気味に繰り返されようとしています。
  この戦争と世界中の労働者への攻撃は、全ての戦線における戦争として一つに結び合わされています。企業支配下にある政府の欲求や、民主的抵抗を押しつぶすために検閲されたメディアは、膨大な労働者が彼等の支配の本質を見抜き始めていることに対する恐怖を自ら映し出しています。
  韓国の労働者は、労働運動弾圧と非正規職差別政策と激しく闘い抜いています。この韓国労働者への攻撃は、軍事独裁時代をはるかに凌駕するものです。ストライキを理由とした逮捕攻撃、肉体的攻撃、損害賠償請求、財産の差し押え等、生きる手段のことごとくを強奪する攻撃が吹き荒れる状況のなかで、幾人もの労働者が抗議の自殺を図る深刻な事態に直面しています。
  日本でも、「戦争を永久放棄する」とうたった憲法が蹂躙され、数々の有事関連法が制定されようとしており、またイラクへの自衛隊派兵法が強行採決されました。「戦争のできる国」への急速な変貌が進む状況のなかで、膨大な労働者の首切りと非正規雇用化、賃下げ、団結権破壊の嵐が吹き荒れ、戦争や民営化に反対する労働者への逮捕−投獄攻撃が相次いでいます。
  またアメリカではパトリオット法や新たな抑圧法により、警察国家体制が整えられようとしています。この攻撃は、連邦関連労働者への85万人の大規模な民営化攻撃、西海岸ILWU労働者に対するタフトハートレイ法の発動やマイアミに集った反FTAAを闘う労働者への警察権力の激しい攻撃と一体のものです。
  全世界の幾千万の労働者がこの戦争に反対して起ちあがろうとしています。グローバル化した資本による利潤の追求がもたらしたのは、全世界で飢餓もしくは失業状態におかれた数10億もの民衆と戦争です。しかしそうした事態は、全世界で燎原を焼き尽くすような労働者、民衆の闘いを生み出しました。今世界中で、戦争への衝動とそれへの怒りの声が激しく衝突し、その渦中から新しい歴史が生まれでようとしています。
  2004年3月20日、戦争と抑圧と民営化に反対する国際反戦行動に立ち上がりましょう。ソウルで、東京で、サンフランシスコで、そして世界中のいたるところで、未来への希望を自らの手で築きあげるために共に闘いましょう。
  全世界の労働者・労働者団体に、この呼びかけへの賛同を訴えます。

  2004年2月21日

 共同提案団体
 全国民主労働組合総連盟ソウル地域本部
 タフト・ハートレイ、抑圧と民営化反対キャンペーン
 国鉄千葉動力車労働組合

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●労働相談

 今回の回答者 関西合同労組兵庫支部

闘いとった、7年前の解雇予告手当 「解雇予告手当には、時効がない」

 関西合同労組兵庫支部では、立ち上げた労働者供給事業の組合員の拡大を目指して、職安前で次のような労働相談ビラをまいてきました。
  未払い賃金、サービス残業代などを取り返しましょう!
  少しでも失業中の生活の手助けになればと、以前の職場での未払い賃金、残業代、退職金、解雇予告手当などを取り返すことをみなさんと一緒にやりたいと思っています。いずれもが労働基準法で定められた労働者の権利。ただ、それぞれの請求には請求期限の時効のがありますので注意してください。これらの権利は、パート、アルバイト、派遣労働者の区別なく勝ち取れます。ただし、雇用保険については制限があります。
▲2年……残業代、早朝・深夜出勤手当、休日出勤手当
▲5年……退職金
▲時効なし……解雇予告手当(1カ月前に予告されていればとれません)
▲雇用保険……やめて1年以内なら、かけていなくてもとれます

 失業労働者の生存権をかけた要求とビラの内容が、がっちりあい次々と相談が寄せられました。その中で今回は、「7年前にパチンコ屋で即日解雇にあい、雇用保険の手続きはしてくれたが、予告手当は払われなかった」という60歳の労働者の相談を報告したいと思います。
  まず、「解雇予告手当には時効がない」の情報は、労働基準監督署への問い合わせから出発し、労働基準法115条の(時効)の各規定は、賃金に関して定められたものであり、「解雇予告手当は、賃金に当てはまらない」との回答を、さらに労働基準監督署から聞きだし、さらに「労働基準法解釈総覧・・・労働省労働基準局編・発行労働基準調査会」(この本は、労働相談の必読書です)から、216ページの「労働基準法第20条に定める解雇予告手当は、解雇の意思表示に際して支払わなければ解雇の効力を生じないものと解されるから、一般には解雇予告手当については時効の問題は生じない」(昭27・5・17基収1906号)によって勝てるとの確信が深まりました。
  問題は、当該労働者の「即日解雇された」との体験にもとずく、怒りにとことん依拠し、それを裏付ける、証拠をそろえることです。資本に問い合わせても、「自己都合退職」の一点張りであり、同僚の証言の収集、あるいは動かすことのできない「即日解雇」をうらずけるる証拠が必要です。このケースの場合、当該の「職安で、即日解雇されたことを訴え、3カ月の待機期間なしに雇用保険が下りた」の情報が決定的な決め手のなりました。
  神戸職安の適用課長と交渉するも、「7年前の書類はない」と逃げを打つ始末。今度は厚生労働省に直にかけ合い、「復元する指導をおこなう」との回答を引き出すことができました。その結果、当該の主張するとおり、適用課での雇用保険手続き後、すぐに雇用保険が給付されていました。
  この事実を、会社のお抱え弁護士に通知するや、即、解雇予告手当ての支給に至りました。
  「はじめは、取れるとは思っていなかった。神戸職安に断られたときはアカンと思った。生活の足しになりました」との失業労働者の感想がすべてを物語っています。この労働者は、文字も読めず、書けない中で奪われてきた権利を初めて知り、その奪い返しのために必死で証人探し、職安への証拠固めと、立ち上がりました。
  この勝利で勝ち取った労働組合の団結の力、歴史的に積み重ねてきた労働組合の「戦う知識の蓄積」を今後さらに自らのものとしてもらうために、現在当該を含めた他の労働相談の労働者も含めての、月2回の「労働基準法学習会」を開始したところです。
  労働相談の中で培った信頼関係を、一過性のものとするのではなく、個別関係から組み合い団結に高めるため、イラク反戦闘争への動員とともに、労働者の生きんがため、「損をしない」ため、職場で組織するために、「武器」としての労働基準法の学習をねばり強く始めていきたいと思っています。参加労働者が、「解決した自らの労働相談に基づく基準法の学習」を基準として開始しています。

 相談
 68歳女性。ゲームセンターで62歳から働いていました。会社は雇用保険には入れてくれていません。有休休暇も認めてくれません。雇用契約は期限の定めのないものです。しかし、この度会社は、売り上げが落ちてきたからやめてくれと言われました。どうしたらいいですか。

 回答
 雇用保険は65歳までしか加入できません。雇用保険の場合2年前までしかさかのぼることができないので、68歳になってしまっている場合2年前にさかのぼっても66歳ですから雇用保険に加入できないということになってしまいそうです。
  しかしそうではありません。雇用保険に未加入でも65歳以前にその会社に雇われたなら、現在68歳であってもさかのぼって雇用保険に加入でき、高齢者雇用継続基本給付金が一度に支払われます。こういう場合でも高齢者雇用継続基本給付金が支給されることについて通達が出されています。
  有給休暇は、雇い入れられてから半年で10日となります。以後1年経過するごとに、1日もしくは2日加算されます。有給休暇の有効期間は2年ですから、この人の場合は、18日+20日となり、38日間の有給休暇の権利を行使することができます。有給休暇の権利を行使しながら、会社と粘り強く交渉していくことだと思います。

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●許すな!「4党合意」労働委員会闘争シリーズU−I

東京地裁、棄却判決を行う
  3月19日(金)13時10分、東京地裁民事19部山口裁判長は、東京、新潟、秋田、鳥取、千葉の国労組合員らが訴えた中労委棄却命令の取り消し裁判で棄却判決を行った。ほとんど反論らしい反論もしなかった中労委を擁護した極めて反動的政治判決である。直ちに東京高裁に控訴した原告国労組合員らの決断を断固指示し、全力で共に闘うものである。
  本裁判の最大の争点は4党合意が不当労働行為であるか否か、中労委が調査も審問も行わなかったことが違法か否かであった。これを判断するためには4党合意の事実調べを行う以外にあり得ない。ところが、東京地裁山口裁判長は原告らの再三の請求にもかかわらず、証人採用を拒否し、証人調べを行わなかったのである。これ自身が東京地裁が本裁判の核心に目を向けることなく、政治的訴訟指揮を行ったことは明白である。にもかかわらず裁判が12回にも及んだのは、ひとえに中労委がまともな反論もできず、原告からの追及からことごとく逃げ回ったからである。それどころか、本件申し立てには「訴えの利益がある」とまで答えたのである。
  被告中労委が積極的な反論をしなかった以上、原告ら国労組合員の勝利以外あり得なかったのである。
  東京地裁は司法の公正・中立すら放棄し、4党合意を容認したのである。絶対に容認できない。
  政府・自民党による司法制度改悪、労組法改悪の動きと連動した反動判決である。

 各地の闘いの経過(前号の続き)
 ◆東京地裁行訴 (東京・新潟・秋田・鳥取・千葉併合事件)
  棄却判決   3月19日(金)
 ◆大阪地労委
 再開に向け準備中。
 ◆福岡地労委
 最終陳述書提出の準備中

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●悪化する労働者の現状 シリーズV

 佐藤 陽

賃金破壊

 最近の労働相談で、せいぜい15万円の月収しか稼げない、これでは生活できないという悲鳴が続出している。15万円とは、別表のように、働けない人の生活保護費や、最低賃金制の平均値とどっこいどっこいの賃金だ。奥田のさまざまな発言が、このような形で現実化している。
  IT産業をはじめ産業界は空前の利益を上げているものの、株主重視で配当を厚くしている。労働者には一時金の若干増でお茶をにごしているが、中小零細企業の労働者や地方企業は危機が深まっている。
  国税庁の民間給与実態調査によると、民間労働者の平均賃金は97年の年収467万円をピークに、02年には前年比1・4%減の448万円となった。今後さらに低下すると考えられる。
  また02年の民間給与所得者の年収構成比は別表の通りだが、年収百万円以下から4百万円までの労働者が過半の52・8%となっている。女性の場合は、月収18万円未満が3分の1を占めている。
  標準労働者(男性・大学卒)の年齢別年収比を比べると、22歳の初任給から50歳との差は、80年で5・58倍であったものが、00年では4・05倍に低下した。高齢者の賃金が押さえられ、賃金カーブがフラット化していることが分かる。初任給が抑制されたうえでのことだ。
  50歳代を狙いうちにしたリストラの大波はやや低下したものの恒常化した。その一方でソニーのように対象を30歳代に年齢を下げたリストラが増えている。このリストラは単に人数を減らすだけの目的ではなく、会社に残して、今後長期雇用労働者とする、いわゆるエリート層と、そうでない労働者、退社してもらいたい、あるいは在社していても決して出世はしない労働者を振り分けるための究極のリストラといえる。
  リストラで解雇された労働者に正社員としての再就職の道は依然厳しい。フリーター、パート、契約、派遣などの不安定雇用しかない。こうした職の賃金は高い方で月収25万円程度といわれる。25万円を12倍すると300万円となる。森永卓郎氏は「年収300万円時代を生き抜く経済学」(光文社発行)で300万円時代がくることを述べているが、そうした気配は濃厚だ。

成果型賃金制

 95年頃から大手企業を中心に導入され始めた成果型賃金制度を、今年は導入する企業がどっと増え、その方法も全面化・徹底化することから、今年を「成果型元年」と呼ぶ人さえいる。
  これまでは、管理職だけ、賃金の一部だけに成果型を取り入れていたのが、今年からは社員全体に、定昇を廃止した上でまた、「職務や成果に関係ない」として扶養家族手当、住宅などの諸手当の支給を全廃したうえで年俸制を導入し、この基本賃金に成果型を適用する企業が相次いでいる。
  成果型とは簡単にいえば「労働者一人ひとりが資本(直接的には上司)と対面して業務の目標を定め、この目標がどの程度達成されたか、職務遂行の意欲などが考課査定され、その評価に応じて年俸額が決められる」というもの。
  成果型賃金導入の目的は、グローバル経済のもとで、賃金原資を削減し、かつ労働者の意欲と成果を高めようとするものだ。
  成果の上がった労働者には、びっくりするほどの高賃金を与え、目標達成できなかった労働者には前年並みか、賃下げとなる。オカネをアメとムチに徹底的に使う制度である。
  このため、高賃金を目指して労働者は猛然と働く、職場の同僚は競争相手だ。また上司におもねる。低い、遂行しやすい目標しか立てない、なども生じる。一度達成した目標は、並の水準となって、次はより高次の目標が要求され、際限のない強労働にかりたてられる。
  成果の達成度を計るために、透明性の高い客観的な基準をつくることが条件になっている。しかし一人ひとりの労働者の事業環境が異なり、個性も異なるなかで、どんな尺度がつくれるのか。会社の成果をあげるための方針は、そもそも経営側の責任だ。それが労働者個人に責任転嫁され、立ち止まることのできない重労働に心身ともすり減らして、やがて捨てられるのである。
  これで成果の出せる労働者はごく一部にすぎない。1人のために99人が犠牲となる。発光ダイオードを誰でも発明できるわけがない。
  高額の賃金は魅力的だ。しかし労働者はオカネだけで働くのか!
  成果型賃金は、労働者一人ひとりが資本と向き合う。職場の労働者との団結が奪われる。労働組合は、企業に対して賃上げを要求できない。要求しても労働者が働けば、いくらでも賃金がアップするよと合法的に拒否される。だから、労組自身から賃上げを要求しない。団交の対象となるのはシステムのあり方だけだ。徹底的に反労働組合的システムである。
  これまで、成果型賃金制度を導入したところで、修正するところが相次いでいる。やがて失敗するだろう。すでに廃止した企業もある。

日本の所得は不平等

 日本は「一億総中流」意識をもっているとよく言われる。しかし実態は、相当な不平等社会であることが分かる。平等、不平等を示す指標としてジニ係数という尺度がよく用いられる。この係数の算出方式は省略するがゼロから1までの間の値をとり、ゼロの時が完全平等、1の時が不完全平等とされる。数字は若干古いが、いわゆる先進国の国際比較について、直感的に理解しやすい所得分配についてみることにする。課税後の所得(再分配)についてみる。
  表でみると、0・3台でも99年になると0・381と世界各国の中でもぬきんでて高いことが分かる。日本の所得分配は平等ではなく最近では、一層不平等の度が高まっていると推定される。(この項は、岩波新書・橘木俊詔著、「日本の経済格差、家計からみる日本経済」によった)。

過労死・過労自殺

 年間3万人以上の自殺者が続いている。このうち厚生労働省のまとめによれば、02年度に、脳血管疾患および虚血性心疾患等(「過労死」等事案)の労災請求件数は819件で、前年度を129件上回った。このうち業務上と認定された件数は317件で前年より174件の大幅増となった。認定基準が変更されたことにもよるが、増加傾向はやまない。
  また、精神障害等での認定件数は100人(前年度比43%増、うち自殺(未遂も含む)での認定件数は43件とされた。前年度は31件であった。過労死との因果関係が認められるのは月間80時間を超える残業を行っている労働者は21・4%にものぼっており、5人に1人が過労死予備軍である。また成果型賃金、裁量労働制の対象業務が拡大されていること、リストラによる中高年労働者への労働・責任が重くなったことなどから、放置しておけば、過労死、過労自殺はさらに増えるだろう。また、請求件数、認定件数ともに実態よりはるかに少ないのが実情だ。

  《2002年民間給与所得者の年収構成》

         年間賃金            構成比
  1500万円超                1.2%
    1000万円〜1500万円    3.7%
   900万円〜1000万円    2.2%
     800万円〜  900万円    3.2%
     700万円〜  800万円    5.0%
     600万円〜  700万円    6.9%
     500万円〜  600万円   10.6%
     400万円〜  500万円   14.5%
     300万円〜  400万円   17.9%
     200万円〜  300万円   15.8%
     100万円〜  200万円   12.1%
     100万円以下 7.0%

  《最賃と生活保護費》

  地域別最賃 時間額平均 663円 1日8時間月22日とした月額 116,864円
  産業別最賃 時間額平均 756円 1日8時間平均月22日とした月額 133,056円
  生活保護 25歳男1人 137,820円

  《日本と先進資本主義国の所得配分の不平等度》

 (ジニ計数)再配分所得
   日本       1980  0.314
              83  0.343
              86  0.338
              89  0.364
              92  0.365
              93  0.365
              96  0.361
              98  0.381
   アメリカ      1979 89
   イギリス     1981  0.28
              88  0.35
   フランス     1979  0.364
              84  0.372
   オーストラリア  1981  0.31
                     85  0.32
   ノルウェー     1979  0.346
                      86  0.330
   フィンランド    1981  0.28
                      87  0.21
   カナダ        1981  0.395
                      88  0.404
   ニュージーランド1981  0.29
                      85  0.30
   イタリア            1986  0.310
   スイス              1982  0.323
   スウェーデン     1989  0.220
   アイルランド      1987  0.330

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●労働者学習センター第W期労働学校への参加の呼びかけ

 国鉄千葉動力車労働組合 千葉市中央区要町二―八 DC会館内 

 私たち動労千葉は、闘う労働運動の再生を目指して多くの志を同じくする労働組合、労組活動家、理論家の方たちの積極的な賛同、協力のもとに労働者学習センターを設立し、二〇〇一年四月から労働学校を開校しました。
  皆さんの賛同と協力により予想をこえる成功をおさめ、いま第V期労働学校が終わろうとしていますが、あらためて労働学校の重要性を痛感しています。第二期労働学校から多くの労働者とりわけ青年労働者に参加していただくことを期待して基礎講座・実践講座の二講座制にし、また講演内容をブックレットにして職場での学習活動に活用できるようにしました。とりわけ第U期労働学校での中野洋労働者学習センター代表の講演内容をまとめた『俺たちは鉄路に生きる2―動労千葉の歴史と教訓』(労働者学習センター発行)の活用を進めています。
  四月から新たな講師を迎え、二講座制(別紙要項)で第W期労働学校を開校します。全講座の受講が原則ですが、学習したい講座のみの受講を含めて積極的参加を心より訴えます。
  私たちは、時代の大きな転換点にあって、切実に求められている闘う労働運動の再生、強化を実現していくために、もっと広範な労働者、とりわけ青年労働者が労働者階級の理論を学ぶ場を創り、広げていく必要があるとの思いを強くし、労働学校を開校しました。もちろん私たちが求めているのは世の中の学校で教えているような知識一般、学問一般ではなく、労働者が自信と誇りを持って資本、社会に主張できる労働者階級の理論を学ぶということです。労働者の世界観、労働者の生き方から始まって、今日の資本主義とは、社会主義とは、労働組合とは、労働者の権利、社会保障制度、そして日本―世界の労働運動の歴史など労働組合運動を担っていくうえでの最も基本的な問題を学んでいく場としていきたいと考えています。
  総評が解散し連合になって以来、労働者が労働者階級の理論を学ぶ場がなくなっています。かつては労働組合運動の、それ自身かつ必須の領域をなしていました。労働者から理論を奪ってしまうこと、学ばせないこと自身が資本の労働者への攻撃だといわなければなりません。いうまでもなく労働組合運動は、労働者が階級理論を持たなければ成り立たない運動であり、労働者が自分自身の考え、行動に本当の自信と確信を持ったときに大きな力を発揮します。
  大失業と戦争の時代へ大きく歴史が転換するなかで、労働者階級の理論を学ぶ場が今日ほど切実に求められているときはないと考えます。
  私たちは、闘う労働運動の再生、発展に向けてこの「労働者学習センター運動」と私たちが呼びかけている「たたかう労働組合の全国ネットワーク運動」を車の両輪にして推し進めていきたいと考えています。階級的理論なくして階級的な実践はありません。
  労働者学習センターの第W期労働学校への積極的な参加を心よりお願いいたします。

        二〇〇四年一月

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●04春闘、動労千葉と共に闘う!

 ス労自主・84大弾圧解雇者 中西 敏勝

  ス労自主は今04春闘、動労千葉と共に闘う方針の下、運転保安確立のための動労千葉3・12〜14ストライキに連帯して闘いました。
3・12〜13動労千葉連帯反合ストライキ
  3月12日(金)、終業前30分のストライキを東京・竹芝本社/品川本社、名古屋油槽所、富山・伏木油槽所そして大阪支店で地域の労働組合・労働者の結集を得て闘いました。
  3月13日(土)、大阪・中京の組合員は名古屋油槽所で、「03・8・29タンク火災6人死亡事故」の社長プルーシングの責任を明らかにさせるストライキを闘い、千葉に駆け付けました。
動労千葉運転保安確立ストライキ
  3月13日(土)、京浜の組合員は動労千葉の10時からの決起集会に結集し、幕張支部、津田沼支部、千葉運転区支部の集会に参加しました。午後から、千葉運転区庁舎前張り付き闘争に参加し、3時間にわたり、助役に付き添われて出入りする乗務員に「ストライキ破りをやめよう」などと呼び掛けながらビラ入れを行い、道行く人々にも訴えました。千葉駅頭での街宣、ビラ入れも闘ってきました。
動労千葉ストライキに参加しよう
  具体的にストライキに参加し、共に闘ってわかることもあります。2月の畑木さんの配転問題などのストライキ、3・12〜14運転保安確立ストライキの、目的を明確にして闘ったストライキの成果は、なによりも「われわれは勝利した!」(日刊動労千葉2月26日号)との宣言に明らかであり、3月13日毎日新聞朝刊千葉版に大きく「レールに破損、今年もう4件」など取り上げられたことにも現れています。
ス労自主シュプレヒコール
  庁舎前闘争終了後、ス労自主は連帯と闘いの決意を込めて、シュプレヒコールを行いました。
  8君不当解雇撤回闘争を貫徹するぞ! 社長プルーシングの責任を明らかにさせるぞ!
  JRは抜本的安全対策を行え!04春闘勝利! 3・20世界反戦デーを闘うぞ!

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●たたかいは進む

 ☆東京と大阪で共謀罪阻止集会

 2月20日、大阪の全金田中機械のホールで共謀罪新設阻止・強制執行妨害罪厳罰化阻止の集会が全国金属機械・港合同と破防法・組対法に反対する全国ネットの共催で開催された。全日建関生支部の労働者も参加した。
  共謀罪については、東京からかけつけた小田原紀雄さんが発言し、戦時下で労働運動弾圧のためにつくられたもので絶対に阻止しようと述べた。また永嶋弁護士は共謀罪と一緒に 国会上程された強制執行妨害罪厳罰化は「争議を闘う労働組合・争議団を潰すためのもの」を明らかにした。
  他方東京では3月4日、日本キリスト教会館で開催された。冒頭折から自衛隊宿舎へのビラまきへかけられた刑事弾圧を糾弾した。破防法・組対法共同行動事務局から、共謀罪4月衆院可決阻止決戦を闘おうと提起された。
  新屋達之・立正大学教授から「共謀罪制定で警察はどう変わるか」とのテーマで提起された。

 ☆争議団全国統一行動

 3月7、8の両日、全国から闘う争議団および共に闘う労働者が結集して、第23回全国争議団交流会および、統一行動が行われた、7日午前11時から国分寺労政会館で交流会(分科会)が@争議経験交流、A争議非合法化の闘い、B争議を闘う合同労組運動の3つの分科が開かれ、活発な討論が行われた。
  続いて全国の争議団が総結集して交流集会(全体会)が行われ、闘う争議団から次々と報告した。
  翌8日、青梅市のケミカル・プリント、都心に戻って九州の網中東京支店、洋書センターの波多野ビル前、極東書店前での情宣を行った。

 ☆2・27三多摩春闘討論集会報告

 2月27日、東京・国分寺市において「これでいいのか04春闘! たたかう春闘を取り戻そう! 2・27三多摩春闘討論集会」が行われました。
  冒頭、主催者挨拶で三多摩労組交流センターの樋口代表が「04春闘ははっきり言って盛り上がっていない。現場に交流センターがいるんだということをどうやって表していくかということが問われている」と問題提起しました。
  全国労組交流センター事務局員の荒川硯哉さんが「春闘解体を叫ぶ日本経団連・奥田と対決し、04春闘勝利へ」と題する講演を行いました。荒川さんは、03年1月に出された「奥田ビジョン」を「日本の資本の総路線」と位置づけたうえで、この1年資本側は労働者の雇用の問題について賃下げを明確にし、「賃金をとおして労働者を支配する」攻撃を開始してきたと総括しました。
  そして、「今回出された『経労委報告』において、資本側は国家の政策決定にまで踏み込んだ『提言』を行ってきた」「資本が利益を上げるために、どういう賃金が好ましいか(どうやって賃下げを行うか)ということを決めるのが春季交渉(「春討」)だと、言い放ってきた。「資本家自身が、日本の戦後の資本主義のあり方が失敗に終わったと総括し、これからは大資本が他の中小の資本を吸い、労働者の血を吸う時代だと宣言している」と暴露しました。
  荒川さんは、「『経労委報告』は、日本の資本の目的として、中国市場の争奪戦に勝利するための東アジア経済圏の確立を主張している。戦争は帝国主義の最後の言葉だ。労働者の賃金闘争は、本質的に戦争に反対する闘いだ。04春闘は、イラク反戦と結合した反戦春闘として闘おう」と訴えました。
  「特別報告」として、動労千葉の後藤俊哉さんが登壇、「14名が指名ストに入ったことに対してJR当局は打撃を受けている。JRは安全無視の体制だ。運休が出るような闘いをして、04春闘に風穴をあけたい」と決意をのべました。
  討論のなかでは、JAM日本機械工業支部の組合員が、ベアゼロを容認し、賃上げ要求を放棄したトヨタ労組を弾劾し、「みんなで力を合わせて賃上げを実現しよう」と力強く発言しました。また都高教のK高校教諭のKさんは、「昨年の『10・23卒業式の実施方針』は、『日の丸』『君が代』と闘う教員に対する攻撃だ。これに対して都高教本部は昨年は『すわれ』と言っていたのが、今年は『立ちなさい』と180度方針を転換してきている。闘う教員を抑えこみにかかってきているのが都高教だ。予防訴訟の原告の一人として闘う」と決意表明しました。他に、医労連の医療労働者、私鉄の労働者も発言しました。
  最後に『04春闘勝利』の決意を込めて、力強く「がんばろう三唱」で集会を締めくくりました。

 ☆3・13春闘勝利広島集会

 3月13日、広島市西区民文化センターで春闘勝利広島集会が「闘う労働組合ネットワーク・広島」の主催で、80名の参加で開催されました。動労千葉の2月指名ストの偉大な勝利をひきつぐ3月スト(12〜14日)と固く連帯し、ネットワークに結集する動労西日本は13日、大阪吹田を拠点に早朝よりストライキに突入しました。労組ネットに結集する労働者は闘う春闘行動として集会前には、横川駅で街宣行動を展開し、集会に参加しました。
  まず、主催者として広島連帯ユニオン鈴木委員長が、「イラク派兵、有事関連法の閣議決定という戦時下の春闘だ、闘う労働組合を結集し、3・20行動を成功させよう」と訴えました。部落解放同盟全国連合会広島支部の連帯の挨拶に続き、ストライキに突入して闘う動労千葉のメッセージが読み上げられ、ともに連帯して闘う決意を固めました。
  特別報告の第一は、国労5・27臨大闘争弾圧被告・国労小倉地区闘争団日豊オルグ班の羽廣憲さんです。「闘争団は17年間闘ってきた。不当弾圧でつぶせるものではない。全国の支援に応えるためにも、国労の再生を目指して闘う。『暴力行為等処罰法』の適用は団結破壊が目的だ、負けるわけにはいかない。闘わないと生きて行けない時代だ、人として生きるために闘う」と熱烈に訴えられました。また、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会・広島」の代表は、「支援の輪を広げ完全無罪を勝ち取ろう」と訴えました。
  続いて、全造船三菱広機分会は、「分会は、栗東へ行っても、新たな組合員を獲得して生き生きと闘っている。連合の下で春闘が機能しなくなって来たが、自分たち自身の闘いで未来のあることを指し示して闘って行こう」と訴えました。
  基調報告は、広島連帯ユニオン書記長の今川澄男さんが行ないました。「イラク侵略戦争はドロ沼化し、小泉政権は国論二分状態の中で派兵を強行するという危機にある。小泉―奥田路線は、帝国主義が労働者を食わせて行けないことを示している。11・9で始まった労働者の国際連帯の地平を発展させ、動労千葉の闘いに学び、3・20全世界反戦行動の爆発で反転攻勢に転じよう」と提起しました。
  カンパアピールと3・20行動への特別アピールに続いて、闘う労働組合からの報告に移り、まず、動労西日本の代表は、JR西日本の不当介入を打ち破ってストライキを貫徹した報告を行い、3・20決起の熱い決意を訴えました。広島連帯ユニオンは、派遣・請負の労働者の奴隷的状況を打ち破る闘いに入った報告を行いました。医療労働者は、奥田ビジョンの下で進められる年金制度改悪と医療の戦時動員反対の闘いを訴えました。教育労働者、電通労働者、郵政労働者からは、職場攻防の具体的報告と反転攻勢への固い決意が述べられ、最後に、労働者の戦争動員を許さぬため3・20行動に総決起することを確認し、団結ガンバローで締めくくりました。
  こうして、広島の闘う労働者は戦時下の春闘を、3・20総決起と結合して闘う決意を打ち固め、決戦の1週間を闘い抜きました。
(投稿 M・K)

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●読者のページ

 ☆もう我慢の限界だ みやぎ 全逓 松下秀夫

  小泉構造改革路線の下、郵政公社の内部は大変なことになっています。郵便配達でいえば配達範囲が拡がり残業代はケチられ、こなしきれないほどの販売ノルマが課せられています。販売品目も多種多様で豚肉・菓子・ラーメン・鍋の具材など首を傾げたくなるものばかりです。労働者がこれらの品物を利用者に『買ってくれ』と勧め、郵便局の振り替えを利用し代金を回収し、その代わりに郵便小包として業者から発送してもらうというのが基本的な形です。郵便局側とすれば送料と振替代が入るということになりますが、実際は大幅値引きで経費の方がかかり、赤字になっているといわれています。小包の取り扱い個数という数字を上げたいがために労働者が自腹で買うことを見込んで業者と契約しているという話も聞きますし、品物代プラス送料・振替代が商品の値段になるので市場価格と比べても高いというものがほとんどです。
  販売品目と個数が次々と増え、ほとんどの労働者がこなしきれず自腹という買い取りになっているのが現実です。10個もの品物が自宅に送られてくることを考えれば、『食べきれないから品物いらない。10個分の輸送料を自分が払うから勘弁してくれ』という声が出てくるのも当然です。売り上げノルマ1人年間平均40万円をすべて自腹と考えれば、年間賃金の1割以上が郵便商品の購入に充てられることになります。青年労働者ならそれいじょうでしょう。
  残業代が抑制され、タダ働きになっていることを合わせればいったい年間どれほど郵便局に逆にお金を支払っていることになるのでしようか。賃上げもなく際限もなく下がり続ける賃金を考えればこの事態は多くの労働者家族の家計を直撃しています。実際に家族会議で問題になったり、一家総掛かりで親戚・近所に販売に歩くという話も聞きます。これらすべては『公社で赤字は許されない』の一言で労使から労働者に押しつけられているのです。
  労働者家族の生活が成り立たなくなる。言葉ではなく実際に私たちの目の前に出現しています。自分が我慢すれば、という限界を超えようとしているのです。そうなったときに私たち労働者はどうすればいいのか。そのまま我慢し続け、破綻してしまうのか。それとも起って闘うのか。その武器はやはり労働組合です。いまの労働組合がどんなにむごくても労働者にとって闘う武器は労働者の団結体である労働組合しかありません。むごければ良くして闘う武器に直せばいい。今そのことが最も大切です。

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