2005年2月号(No.179)目次
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労働者の目 「日の丸・君が代」闘争へ

労働ニュース
  ●NHK/春闘 ●派遣/給与など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集  05春闘を闘う
  ●「工場法以前の時代に戻せ!」と叫ぶ経団連を許すな!
  ●民営化=規制改革攻撃を許すな
  ●大民営化の指針 新行革大綱との対決を 

不起立闘争の爆発で、小泉・奥田路線、教基法・改憲攻撃を粉砕しよう

労働者学習シリーズ 第1回 帝国主義

闘う合同労組 第6回 茨城県地域連帯労働組合

SPOT&CRITIC  プライバタイゼーション

山田さんの意志を引き継いで

たたかいは進む   ●全金本山勝利報告   ●関生弾圧など

読者のページ

・編集後記

・PhotoDocument (2004年10月〜11月)


労働者の目

●「日の丸・君が代」闘争へ

 全国労働組合交流センター常任運営委員 二本柳 実

 戦後60年を迎えた今年、勤評闘争をはるかに上回る教育労働運動の歴史的決戦が目前に迫っている。この3〜4月の卒・入学式闘争を爆発させることができるか否かに、05年階級決戦全体の帰すうがかかっているのだ。
  年明け早々、小泉政権が通常国会へ提出する教育基本法「改正」原案が明らかになった。内容は、教育を目標に「国を愛する態度の涵養」を明記し、現行教基法第10条の「教育は、不当な支配に屈することなく」規定を削除し、教育施策の実施主体を「国(家)」とする、まさに戦後憲法・教基法体制を根底から転覆し、教育基本法を「教育の国家支配」の根拠法とする凄まじい転換である。
  問題は闘う側であり、労働組合である。日本帝国主義の戦争攻撃の最大の核心は、労働組合の解体である。その攻防がいま、4大産別決戦の突破口を切り開くものとして、教育現場の「日の丸・君が代」闘争=卒・入学式決戦として闘われているのだ。
  交流センターに結集するすべての仲間は、とりわけ国鉄・全逓・自治労の闘う労働者が、この決戦を自らの課題として教育労働者と連帯して立ち上がることが必要だ。05春闘は、教育労働者の「日の丸・君が代」決戦を突破口として、4大産別すべてが激突情勢に突入する。この激突に勝利するなかでこそ、教基法改悪・改憲阻止をかちとり、闘う労働運動の新たな潮流を形成する内乱的な情勢をつくり出すことができる。
  交流センターはいま〈歴史的試練〉の前に立っている。組織的にいえば、交流センターが帝国主義の「戦争と民営化」攻撃と対決し、労働者階級の自己解放的決起を支援、組織し既成労働運動指導部を乗り越える勢力たりうるかどうかが、闘う労働者の前に問われているということなのだ。
  労働者階級は、労働者を消耗品としか考えない国家権力と資本の攻撃に、必ず怒りを持って立ち上がる。すべての闘う労働者は労組交流センターに結集してともに闘おう! 会員一人ひとりが職場で組織者となって切りひらこう。

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●労働ニュース(04年12月16日〜1月15日)

NHK番組改変を内部告発
  NHK番組の放送前に、自民党の有力政治家がNHK幹部と面談し、番組内容がその後、大幅に改変された問題で、内部告発していたNHKの幹部職員が13日午前、東京都内のホテルで記者会見した。内部告発者が実名をあかして会見するのはきわめて異例。この幹部は「放送現場への政治介入を許した海老沢勝二会長らの責任は重大。退陣すべきだ」と訴えた。

労使交渉、心の豊かさ実現を
  日本経団連は13日、企業経営者や労務担当者らを集め、今春の労使交渉の課題などを議論する労使フォーラムを都内で開いた。奥田碩会長は講演で「賃上げに代表されるような経済的な豊かさを中心とした労使交渉から、心の豊かさ実現するよう、労使がともに考える時代に移っている」と指摘。「心の豊かさの実現のためには、政策的な取り組みが重要だ」として、夏季に時刻を早めるサマータイム制度の導入などを改めて求めた。

「社会保障に重点」
  連合の笹森清会長は5日の年頭会見で、05年の最重要課題として、社会保障制度の抜本改革と労働運動の再生・活性化を挙げた。また05春闘への対応では「企業業績の回復は働く側の大きな犠牲と貢献で成り立った」と強調。

トヨタ労組、ベア要求見送り
  トヨタ自動車労働組合(東正元委員長・約5万8千人)は今年の春闘の賃上げ交渉で、ベースアップ(ベア)要求を03、04年春闘に続いて3年連続で見送る方針を固めた。トヨタは04年度も過去最高益を更新する公算が大きいが、経営側は国内でデフレが続いており、将来の固定費負担の増加につながるベアは、国際競争力の低下につながるとして、「ベア困難」の姿勢を崩していないためだ。

ベア統一要求3年連続見送り
  自動車メーカーなどの労働組合でつくる自動車総連(加藤裕治会長、1219組合、約70万人)は13日、大阪市で中央委員会を開き、05年春闘でベースアップ(ベア)を統一要求しないことを決めた。ベア統一要求の見送りは3年連続。

日産労連ベア1千円を要求決定
  日産自動車グループの労働組合などで構成する日産労連(西原浩一郎会長、組合員16万人)は、14日、今春闘で1千円のベースアップを要求することを決めた。

8年ぶりに前年上回る
  厚生労働省は13日、定期昇給やベースアップなどの賃金改定で04年従業員1人当たりの平均賃金(月給)は3千751円増え、改定額が8年ぶりに前年を上回ったとの調査結果を発表した。

「つくる会」元副会長、埼玉教育委員に決定
  埼玉県の教育委員に「新しい歴史教科書をつくる会」の元副会長で高橋史朗・明星大学教授(54)を選任する人事案が20日、県議会で自民党の賛成などで同意され、正式就任が決まった。公明、民主、共産は反対した。「つくる会」によると、同会の幹部経験者が都道府県教育委員になるのは初めて。

経団連の改憲案概要が明らかに
  憲法改正問題を検討している日本経団連(会長・奥田碩トヨタ自動車会長)の「国の基本問題検討委員会」(委員長・三木繁光・東京三菱銀行会長)の報告書の概要が12日明らかになった。憲法9条を改正して、自衛権確保のための自衛隊保持、集団的自衛権を明確にすることを求める。憲法改正手続きを定めた96条については手続きを容易にし、改正のための国民投票法を早期に成立させることが必要としている。

裁量労働制 企画業務型3倍
  東京労働局は24日、裁量労働制の導入状況に関する調査結果を発表した。ホワイトカラーを対象とする「企画業務型」と呼ばれる裁量労働制を9月末時点で導入した事業所は、前年同月比で倍増し、対象となる労働者数は3倍に増えた。適用の要件を緩和した改正労働基準法が1月施行した後に増加した。

中小建設業の「派遣」を解禁
  厚生労働省は労働者派遣法で対象外となっている建設労働者の派遣を一部解禁する方針だ。地域の事業主団体などを通じ同業者に派遣する場合に限って認める。同一地域内で一時的に労働力を融通することで、安易な解雇や新規採用による過剰雇用を防ぎ、穏やかな雇用の流動化を後押しする。

振るわぬ幹部、年俸5%カット
  日本IBMは来年度から、業績の振るわなかった管理職の年俸を最大5%削り、有能な若手に振り分ける新たな給与制度を導入する方針を明らかにした。業績連動部分だけでなく、全給与の5%の削減に踏み切るのは日本企業では極めて異例。

地方公務員 給与、国下回る
  総務省は24日、04年4月1日現在の地方公務員(一般行政職)の全国平均給与が国家公務員の給与水準を初めて下回ったと発表した。国家公務員の水準を100とした場合の指数は97・9で、過去最低。74年から低下傾向が続いていたが、同指数が100を切るのは調査を始めた63年以来、初めて。

介護職員 7割が「不安や不満」
  7割が仕事への不安や不満を抱え、4人に1人は「ほかにやりたい仕事が見つかるまで」と考えている。全国の介護施設に勤める職員のこんな「本音」が、厚生労働省所感の公益法人「介護労働安全センター」の調査で明らかになった。調査は03年末に実施。介護施設の職員約3千人から回答を得て、昨年末にまとめた。内容では「賃金が安い」が54・7%でトップ。「介護の仕事に対する社会的評価が低い」(29・9%)など。

残業月100時間超で疲労訴えれば医師面談に
  厚生労働省の労働政策審議会は27日、月100時間を超える残業で従業員が疲労を訴えた場合、事業者に医師の面接指導を義務づける制度の導入を求めた。これを受けて厚生労働省は過労死を防止するため、05年の通常国会に労働安全衛生法改正案を提出し、06年4月から実施する方針だ。

労災の保険料率54業種に細分化
  厚生労働省は11日、災害の発生率に応じて業種ごとに決められている労災保険の保険料率について、現行51業種の区分を見直し、54業種とすることを決めた。産業構造の変化で肥大化したサービス業を細分化し、保険料率設定をより実態に即した形にするのが目的。

育休パートにも雇用保険給付
  厚生労働省は14日、パート労働者や契約社員など有期雇用の人が育児や介護休業を取る際、職場復帰後も同じ事業所で一定期間働けることを条件に、雇用保険の休業給付対象にすることを決めた。

 労働日誌(04年12月〜1月)

12月18日
  佐川急便は17日、奈良県や熊本市で約3千通のメール便が見配達と発表。同社では11月にも北九州市で3万通を超える見配達が発覚していた。ヤマト運輸も同日、新潟県などで計約4千800通が未配達だったと発表。国土交通省は行政指導を検討。

12月22日
  来年度から5年間の少子化対策の政府目標である「新新エンゼルプラン」の内容が固まった。長時間労働者の割合を10%減らすことや、試し雇用から常用雇用に移る若者を80%に引き上げるなど、働き方の見直しや若者の自立、地域子育て支援にまで数値目標を設定したのが特徴。

12月24日
  政府は、「今後の行政改革の方針」(新行革大綱)を閣議決定した。主な項目は次の通り。@国家公務員の定員の10%以上を再配置し、治安や徴税などの分野に回す(省庁間の転籍を含めて推進する)。A能力評価制度を試験的に実施する。B市場化テスト法の整備を検討する。

12月28日
  金融機関のリストラで銀行員の減少が続き、30万人の大台を割り込んだ。ピーク時の3分の2となった。

12月28日
  総務省は、労働力調査結果を発表。それによると04年11月の完全失業者数は290万人(前年同月比40万人減)となり、完全失業率は、4・5%(前月比0・2低下)となった。

1月7日
  政府は首相官邸で、全閣僚で構成する郵政民営化推進本部(本部長・小泉純一郎首相)を開き、「内閣一丸となって通常国会期間内に必ず法案を成立させる」と会期内成立を期すよう指示した。

1月8日
  政府は05年度から、インターネットを活用した若年層の就職事業を始める。若者が気軽に利用できるようネット上に専用サイトを立ち上げる。

1月12日
  野村證券は、最短で30歳代前半に部長へ昇進できるようにする人事制度改革を発表、10月から実施する。能力主義を徹底するのが狙い。

1月14日
  04年の企業倒産の件数が過去10年で最小になったもようだ。帝国データバンクによると、年間の企業倒産件数(負債1千万円以上)は前年と比べ約15%減の1万4千件弱になる見込み。ピークは02年の1万9千458件。

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●江田証人の言う暴行はすべて作りごと、デッチ上げであった

  国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

  昨年の12月21日および今年の1月13日に東京地裁104号法廷において「国労5・27臨大闘争弾圧」事件の第33回、第34回公判が行われた。
  この公判では5月27日当日の暴力行為そのものが争点としてとりあげられた。

 江田が見たと言う、人がけられたのはまったくの幻だったのか

 第33回公判において、証人江田が5月27日の当日、御茶の水グリーンホテルの玄関を出てビラまきの人から暴行を受けたというという以前に、ホテルのなかから外を見たとき、そこでだれかが膝蹴りをされているのが見えた、と主尋問で証言していることに対して、弁護団からの反対尋問が行われた。
  このところは杉並ビデオの撮影が開始される以前のことであり、映像による事実確認ができないところであるが、30回公判において検事の主尋問に答えて、江田証人は「足を上げ、その足をまわして膝のあたりを」ときわめて具体的にそのときの状況を証言している。そこで反対尋問に立った河村弁護人が「あなたは記憶は良いほうか」というと、江田は「1回覚えたものは忘れない」という。しかしその場面のことは、「1人が足をあげて1人をけっているところは覚えているが、その人物の特徴やその後の状況は記憶にない」という。さらに弁護人の「警察や検察と会って調書を作った3回のうち、このことを話したのはいつか」との質問に、「覚えていない」と答えた。また「膝けりの他に何か見たか」との問いには、「その瞬間しか見ていない」「前後の状況ははっきり覚えていない」という。そこで弁護人は「ということは外を見たら偶然に見たということか」と質したのに対し、「そういうことになる」と、たまたまその光景がその瞬間だけ見え、そこだけはっきりと記憶に残っている、というような証言をした。彼が被害届けを出したのは事件当日から5カ月もたっての後のことであり、冒頭陳述はさらに何カ月も後のとである。ここだけ記憶が鮮明であとはなにも覚えていないというのはまったく不自然なことといえる。
  一瀬弁護人のほうからの「長野地本の人がけられたというのは大会当日に聞いたのか」との質問にも、「思い出せない」という。「警察の人から長野の人と言われたのではないのか」との問いには、「私の方から言った」という。そこで「足を上げとか、足をまわしてとかは捜査段階の調書には書かれていてないが」との指摘されると、「言ってますよ、警察官が書かなかっただけ」と開きなおった。
  これほど重要な検察側にとって格好な暴行のことを調書に記載しないはずがない、江田は取り調べのときには言ってないことは明らかである。後に公判になって付け加え、暴行を大げさにふくらますためになされたものであることは明らかである。

 ビデオが映し出す現場映像に暴行の事実はまったくない

 34回公判では、江田自身が受けたという暴行についての尋問が行なわれた。これまで検察側は30回公判での冒頭陳述において、彼が受けた暴行の具体的な状況をことこまかに証言させた。進路を妨害されたので一、二歩しか前進できなかったとか。左肩をおされ、左手をつかんで引っ張られたとか。襟首をつかまれ、引っ張られたので両手がねじれた状態になった(これは30回公判のとき検事は江田にジェスチャーつきで説明させた)などである。
  しかしながら、公判で写し出されるビデオの映像、およびこれから連続写真として作るられた900枚の写真のどこをみても、この検察官尋問にある江田が受けたという暴行を裏づけるものはみあたらない。進路を妨害され、といっているところの映像では、明らかに背景の物体との関係で彼は前進しつづけているし、さらに橘さんに対して、腰のあたりを手で押しのけるような動作も映し出されている。これについても江田は「さがって道を開ければよかった」などと言い、自分の方から突っ込んだことを正当化しようとしている。またさらに手をつかまれ、とういう部分でもつかんだという人はすでに手にビラの束を握っていて、そのうえで江田の手首をつかむことなどできないことも映像ははっきりと示している。10月21日の調書にある「首根っこをつかんで引きずるように」というところも映像にはない。またその後「走りながら振りはらった」という動作もどこにも映っていない。襟首をつかまれ両手がねじれた、というジェスチャーつきのところも、そのような姿勢になった映像などどこにもない。弁護人から連続写真をみせられ、「これの何処を指してあの暴行を受けたというのか」と追及されたのに対して、「写真では分からない、ビデオのほうがはっきりする」とまったくメチャクチャのことを言い出す。コマ撮り写真で確認できないものがどうしてビデオで見えることになるのか、先の足げり、膝げりと同様にまったくの作り事としか思えない。しかもこんどは見たという膝げりと違って彼自身がそのような暴行を受けたというのだからさらにたちが悪い。
  結局のところ、ビデオの映像ではっきりしていることは、笹原一人が先頭でその直ぐ後に江田が続き、その後ろは3列縦隊の一団がやってくる。笹原の後ろにいた江田は「そこどけ」という声とともにビラまきの人に向かって突っ込んだ。
  押された人はのけぞって、倒れないようにするため手を出して支えた、それが彼の手をつかんだとか、腰のあたりを突いたとかの暴行として被害届けや調書が作られた、ということである。
  まさに事実とは逆なことを大げさにふくらまして暴行がデッチアられたということである。

 国労幹部への暴力は小さい暴力でも大会の破壊行為

 検察側の再主尋問での「あなたは国労幹部ですか」との問いに、江田は「そうです」という。それに続けて溝内検事は「国労幹部に暴力をふるうことは、それが小さい暴力でも大会を破壊するもの、と思ったから被害届けを出したのではないのか」と言う。あたかも江田が国労幹部で、大会破壊という極端な表現を用いて暴力による大会阻止というイメージを作り出そうとした。これにのって江田は「中核派の影響を受けた者の暴力は、国労の一人一人への暴力だ」などと勝手なことを言い、「小さい暴力でも許せない、という気持で被害届を出した」という。
  そこで弁護団から「大会を開くか、開かないかは組合の意志決定によるもよるものではないのか、中止を求めることも組合員として当然やってよいことではないか」と質したのに対し、江田はふてくされて「発言は自由だと思う」という。そこで原田被告が「あなたが国労幹部という根拠は何かの」と質すと、江田は「東京地本の執行委員だ」という、そこでさらに「警察に被害届を出だして、調書に印をおすことはどうゆうことになるかわかるはずではないのか」と追及したしのに対して、「これまで警察に被害届を出したことがないのでよくわからないとい」とまったく無責任なことを言う。江田はこれまで「過去の大会で暴力がくりかえされ、けが人も出たので、止めさせるために被害届を出した」という証言をしていたはずである。はじめから逮捕させることが目的で知ってやったことではないのか。
  この公判で5回にわたる江田証人への審問は全て終了した。裁判長の「証人は退席してください」という声で、証人席から立ち上った江田は、傍聴席一同の「労働者をうらぎった罪は重いぞ、おまえの人生はこれで終わりだ」とうい厳しい視線を受けながら法廷から退出した。
  次回は長野地本の平山芳夫が証人として出廷する予定である。
  ぜひ多数の傍聴をお願いしたい。       (「許さない会」南部会員)

  公判日程   第35回 2月8日(火)  第36回 2月23日(水)  第37回 3月16日(水)
                    第38回 3月29日(火)
 ★集合時間12時30分  東京地裁

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特集 05春闘を闘う

●「工場法以前の時代に戻せ!」と叫ぶ経団連を許すな!

 国鉄千葉動力車労働組合執行委員長 田中 康宏   

 《「攻めのリストラ」へと軸足をシフトせよ」》《改革の手を緩めてはならない》《労基法など工場法時代の遺物だ》・・昨年末にだされた05年版経労委報告はこう叫びたてている。
  経労委報告が言う「工場法」とは、1911年(明治44年)に制定された法律だ。ちょうど「女工哀史」の時代のことである。奴隷のような苦役が強いられ、労災が激発する苛酷な条件のなかで、当時、工場労働者の圧倒的な比重を占めていた女性や子供の深夜労働禁止、労災扶助を定めたのが工場法であった。
  経団連はついに、一切の規制を撤廃し、労基法など潰して、工場法以前の時代に戻せ、と言い始めたのだ。経労委報告は労働分野における規制の徹底した撤廃を強烈に主張している点で、これまでのレベルを大きく超えている。企業に一切の自由を与えよ、労働者を食い殺す自由を与えよというのだ。
  ブッシュや小泉は、危機に突き動かされてイラク侵略戦争にどろ沼的にのめり込んでいるが、経労委報告は内なる階級戦争の布告に他ならない。ここには、一切のベールをはぎとって資本主義の野蛮な本質がむき出されている。だがこれは危機にあえぐ帝国主義の末期症状に他ならない。

05春闘の位置と性格

 動労千葉は、11・7労働者集会の画期的な成功や強制配転者の職場復帰など、04年の闘いが切り開いた確かな手応えに確信をもって、全力で05春闘に起ちあがる。
  しかしわれわれは、05春闘に向けた闘いを準備するにあたって、単にこれまでの延長線上に考えることのできない歴史の分岐点での春闘であるという認識から出発しなければならないと考えている。
  すでに2年に及ぶ帝国主義的侵略戦争が遂行されており、ぬきさしならない危機に突き動かされて、その戦争が中東全域〜東アジア・北朝鮮に拡大されようとしている。
  「米国経済が大破局を避けられる可能性はもはや10%以下だ」(米新聞報道)という危機の深さ、戦争の継続という現実そのものが、これまでは社会の底に潜んでいたありとあらゆる反動的なものに力を与え、地上にひき出している。
  世界は真っ二つに分裂し、帝国主義同士が公然と利害を衝突させる恐るべき時代が到来している。
  だがそれは同時に、労働者階級と資本家階級の対立の非和解性が著しく激化し、大反乱が開始される時代でもある。
  05春闘は何よりも第1に、これまでは画然と異なる新たな情勢下での闘いだということをはっきりさせなければいけない。
  第2に、「教育基本法―憲法改悪攻撃下の春闘」である。
  今年は戦後60年という節目の年だが、05年〜07年が文字通り歴史の巨大な分岐点となるだろう。多くを述べるまでもなく、戦争への歯止めが外れ、憲法改悪が具体的な政治日程にのぼろうとしている現在の情勢は、労働運動にとってまさに正念場だ。
  第3の性格は、骨太方針Wによる大民営化・非正規雇用化攻撃下での春闘だということだ。
  郵政民営化、公務員制度改革、三位一体改革を柱とした小泉の骨太方針は、労働運動を全面的に破壊・変質させ、「9割の労働者を非正規雇用化する」「賃金を発展途上国並みにする」という、奥田ビジョンを貫徹しようとする攻撃だ。
  これと一体で社会保障制度の解体攻撃が一層エスカレートし、労働者には、食っていくこともできない現実が強制されようとしている。経労委報告を見ても明らかなとおり、資本の側はこれまでの構えを根本的に変えたのだ。
  そして第4に、職場をめぐっても、JR体制の矛盾がいよいよ爆発的に噴出しようとしている、重要な正念場の闘いとなる。

 3つの攻防の焦点

 その上で、05春闘の3つの攻防の焦点について確認したい。
  ひとつは3月卒業式をめぐる「日の丸・君が代」闘争だ。
  昨年、石原の激しい攻撃に抗して闘われた2百数十名の止むに止まれぬ決起は、労働運動全体の変革の可能性を秘めて、瞬くまに全国に波及し、教基法―憲法改悪阻止に向けた具体的に展望をわれわれに示した。だが、事は改憲、あるいは天皇制という、最大の階級的攻防点をめぐる闘いだ。本質的に潰すか潰されるかの関係にある。革マルもそのことを最も敏感に感じとって、「日の丸・君が代」闘争を圧殺しようとしている。
  こうした関係のなかで、3月卒業式をめぐる闘いは、05年の労働運動・階級闘争全体の帰趨を決するような位置をもっている。東京の教育労働者を孤立させてはならない。全労働者の課題としてこの闘いを守りぬかなければならない。
  第2に、3・20イラク開戦2周年闘争を、あらゆる分裂策動、セクト主義を打破して、昨年を上回る階級的力関係を変えるような大統一行動として実現することだ。
  日本でも、アメリカで開始されたミリオン・ワーカー・マーチのような、ランク・アンド・ファイルからの労働運動再生の闘いが求められている。今ほど闘う労働者階級の巨大な統一行動が要請されているときはない。
  第3に、この間の1047名闘争破壊―終結策動を打ち破って、何としても勝利の展望をつかみとることである。
  この1年間の攻防戦は、3争議団・闘争団=1047名の団結実現に向けた気運の高まりと、国労本部酒田執行部と日共・革同が一体となった闘争終結策動との攻防戦であった。これは、直接的には1047名の団結破壊―動労千葉排除策動となってあらわれたが、昨年12・1集会の成功と、動労千葉・全動労争議団の鉄建公団訴訟提訴によって、新たな闘いの土台が築かれた。1047名の真の団結を実現し、勝利への展望をこじあけることができるか否かがこの春闘過程の闘いにかかっている。

 JRにおける大再編の始まり

 JRにおける労働運動の大再編的事態が始まろうとしている。
  昨年、配属差別事件の一括和解が、JR東日本と国労東日本本部との間で成立し、現在、昇進差別事件等の和解交渉が進んでいると言われている。これは、国労本部が「労使関係の正常化」路線に全面的にのめり込むなかで起きていることだが、一方、国鉄分割・民営化から18年、革マルとの結託体制を労務政策の中心にすえ続けてきた東日本会社は、これまで、例えどのような内容であろうと「和解」などには応じないという姿勢をとり続けてきたのも事実であった。
  これは、安全問題、革マル問題、そして要員問題という3つの矛盾が噴出するなかで、「JR体制」も、もはや今のままではたち行かなくなっていることを示すものだ。
  この動きは1047名闘争にとっても、重大な正念場が到来しようとしていることを示している。1047名闘争に終止符を打たない限り、国鉄分割・民営化攻撃は完結しない。その意味でこの動きは、1047名闘争破壊―切り捨て策動がより一層激化することを意味している。動と反動が激しくぶつかり合い、時代全体が加速をつけて動く状況のなかで、国鉄分割・民営化反対闘争も新たな決戦に突入しようとしているのだ。

 05春闘の課題

 動労千葉は、以上の認識にふまえ、組織の総力をあげて05春闘にたちあがる決意である。具体的な闘いの課題は鮮明だ。
  第1に、05春闘は昨年と同様、反合・運転保安春闘になる。レール破断の続発等、「安全の崩壊」は危機的状況だ。そればかりでなく、昨年10月ダイ改以降、限度をこえた労働強化がのしかかり、列車をまともに動かすこともできないほど業務遂行能力が崩壊している。こうした現実に断固として闘わなければならない。
  第2に、貨物会社では賃金制度改悪攻撃が画策されており、05春闘はこれと対決する春闘になる。すでにJR西日本では、年令給的要素、定期昇給的要素を基本的に一切無くした賃金制度の再改悪提案が行なわれている。05春闘は、JRの職場でも、奥田ビジョンと真正面から対決する闘いとなる。
  第3に05春闘は、昨年の通常国会での高齢者雇用安定法の改訂という新たな状況のなかで、第二の分割・民営化攻撃との攻防戦の焦点をなしてきたシニア制度撤廃―定年延長実現にむけた重要な節目の闘いとなる。
  4年間にわたって阻止し続けてきた業務外注化攻撃との闘いも、幕張電車区の大幅縮小が提案されているなかで正念場だ。
  第4に、05春闘は、昨年2月闘争でかちとった強制配転粉砕闘争の第2ステップを切り開く闘いとなる。こじ開けた風穴を塞ぐわけにはいかない。われわれは、JR体制を堤防決壊させるまで断固として前進する。
  そして第5に、何よりも最大の課題は、05春闘と組織拡大闘争を結合して、全組合員の総決起をかちとることにある。
  われわれは、11・7集会で実現した国際連帯闘争を何としても発展させること、たちはだかる厚い壁をこえて、絶対に組織拡大を実現すること、この2つの課題が実現できたときに、日本の労働運動の歴史をぬり変えるような力をもつことができると確信している。
  05春闘にともに起ちあがろう。

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特集 05春闘を闘う

●民営化=規制改革攻撃を許すな

 常任運営委員  小泉 義秀

 04年12月14日に発行された『2005年版 経営労働政策委員会報告』(以下「05経労委報告」)は「6.労働法・労働行政への対応」の項で「(1)労働分野における規制改革の推進(2)労働条件決定は労使自治が基本」を打ち出した。先に経団連は、11月16日「04年度日本経団連規制改革要望」(以下「04改革要望」)を政府に提出し、2月に決定する規制改革・民間開放推進本部の対応方針に盛り込もうとしている。他方、厚労省は04年4月に「今後の労働法制の在り方に関する研究会」を発足させ、07年を目途に労基法の改正や新法の制定をめざす方針を明らかにしている。これらは全面的な規制改革=民営化と労組破壊の攻撃である。
  本稿は一連の規制改革=民営化と労組破壊の攻撃の本質を明らかにしようとするものである。しかし、この攻撃は戦後日本の労働運動が勝ち取ってきた一切のものを剥奪・解体する攻撃であり、「04改革要望」はPDF版で288頁にもわたって展開されているため、『月刊』の数ページで全面的に暴露・批判することはできない。そのため、ポイントを絞って展開したい。特に「04年改革要望」は「餅は餅屋」の故事にあるようにそれぞれの労働現場の実態を良く知る労働者でなければ細部にわたるまでの批判はできない。本稿を契機にそれぞれの労働現場から規制改革批判の投稿をお願いしたい。

 8時間労働制を解体しようとしている

 「仕事の成果が必ずしも労働時間に比例しない働き方が増大している現在では、労働時間法制の抜本的改正が望まれる。すなわち、現行の裁量労働制は規制緩和の方向で大幅に見直すべき」「一定の限られた労働者以外については原則として労働時間の適用除外とする制度(ホワイトカラー・エグゼンプション制)を導入すべきである」(「05経労委報告」49頁)としている。ここの部分は「04改革要望」では規制の現状が「@時間外労働時間について、1年において延長することができる限度時間が360時間とされている。A36(サブロク)協定の特別条項の適用についての制限が強化され、限度時間を越える期間が『1年の半分以下』となるように定めている」から「個別企業の労使合意によって時間外労働の上限時間を任意に決定できる制度とすべきである」としている。さらに「過重労働による健康障害防止措置の見直し」の項では規制の現状が「時間外労働時間が月45時間を超えたときは、産業医による保健指導や助言指導を受けることが義務付けられている」が「45時間という水準についての科学的根拠に疑問がある」から、これは「目処」程度のものにとどめるべきで、あとは個別企業の自主的判断にまかせるよう緩和しろと述べている。「ホワイトカラーイグゼブション制度」の導入の項では労働時間等に関する規定の適用が除外されているのは労基法41条に定める監督・管理者に限られているが、他の労働者についても労働時間の規制を取っ払えというのだ。これを「ホワイトカラーイグゼブション制度」という。米国ではすでに導入されているから日本でもこれに習えと。その他、「労働時間に関する規定の適用除外者の範囲の拡大」「労働時間に関する規定の適用除外者の割増賃金支払い義務の見直し」の項では、労働時間の規制の除外者である管理監督者の範囲を拡大し、割増賃金を払わなくて良いようにしようというのだ。
  これらは、労働基準法の8時間労働制の全面的解体である。労働基準法による罰則規定や規制を取っ払い労使の自主的判断にまかせろというのだ。
  イギリス工場法は労働日の強制的制限、つまり労働時間の法律による制限を規制した。これは国家による法的強制によって制限しなければ、資本家の略奪欲は「国民の生命力の根源を侵す」ほどに無制限なものであるということの表現であった。略奪しすぎて疲弊した土地に肥料をそそぎこまなければならないのと同じ意味をもっていたのが工場法である。しかし、労働基準法はこの工場法の遺物であり、一切の制限さえも取っ払えというのが今回の攻撃である。

 派遣労働の無制限な適用を志向

 さらに、「労働者派遣法についても、派遣期間の延長にともない派遣先に派遣労働者の雇用契約の申し込み義務を課しているが、派遣契約期間や直接雇用への切り替えなどは、本来当事者間の契約自由に委ねるべきで、このような不自然な規制は撤廃すべきである。また、いわゆる自由化業務の派遣期間制限(3年)、製造業の派遣期間制限(1年)についても、早急に期間延長すべきである」(「05経労委報告」)と述べている。
  これは04年3月に施行された改正労働者派遣法が新たに、期間制限(原則1年、製造業務以外は上限が3年)を越えて派遣労働者を活用した派遣先に対して「派遣労働者への直接雇用申し込み義務」を課したことに噛み付いているのである。この改正は正社員の代替として派遣労働者を活用してきた資本に対する規制としてあった。1986年の派遣法施行以来資本の側は派遣労働者を「よりやすい労働力」「より首切りやすい労働力」と位置付けて拡大し、派遣労働者は200万人にまで拡大してきた。他方、派遣労働者の賃金水準は下降しつづけ、雇用契約期間は短縮し、1〜3カ月の短い契約期間を何度も延長し、更新しながら働かせる「細切れ契約」が蔓延してきた。人件費削減のために正社員をリストラし、その穴埋めに派遣や業務請負などの「外部労働力」を導入するケースも増えてきている。派遣法そのものが派遣労働を認めている点で認めがたいものである。本来なら直接雇用すべき労働者を派遣という形で活用することそのものに問題がある。労働安全衛生、その他労働条件全般に至るまで派遣労働は本工・正社員の首切り・リストラや労働条件の切り下げにも直結する種々の問題をはらんでいる。「改正派遣法」はその無茶苦茶な歯止めのない派遣労働の活用に対する規制としてあったわけであり、派遣労働そのものの問題を解決しているわけではない。その改正派遣法が「本来当事者間の契約自由に委ねるべきで、このような不自然な規制は撤廃すべきである」として、野放図に拡大しより悪質になっている違法な派遣労働を追認し、派遣労働者と全ての労働者を劣悪な労働条件のもとに叩き込もうとするのが「規制緩和」攻撃なのだ。
  労働者派遣法では、派遣先に対し派遣労働者を特定することを目的とする行為を禁止している(第27条第7項)。若い女性に限るとか事前面接を行ったり、履歴書を送付させたりする行為は禁止されているということである。労働者派遣契約に性別や年齢を記載することも禁止している。労働者派遣では誰を派遣するかの決定権はあくまでも派遣会社にある。事前面接や特定の行為は雇用主が行う「採用」行為にあたるから禁止されているのである。

 解雇の金銭解決制度の導入

 「労働契約法制は、労使の自主的な決定と契約自由の原則を最大限に尊重しつつ、工場法の時代の遺制を引きずる労働基準法などの関係法令を、今日の環境にふさわしいものに抜本的に改革する実りの多いものになることを強く期待したい」(「05経労委報告」51〜52頁)と述べている。これと対応する「04改革要望」では「解雇の金銭的解決制度の導入」という項があり、「労働契約を終了させたいという当事者間の意思を尊重する観点から、解雇の金銭的解決制度の早期導入を図るべきである」「@企業と労働者間のトラブルが回避されやすくなり、さらに雇用が流動化することで産業構造の転換が促され、経済が活性化する。A解雇が困難であることが、新規雇用を抑制させ、期間雇用者の増大、若年者の失業増加を生み出すひとつの要因となっていることから、その解消に資する」とある。
  厚労省は、03年6月の労基法改悪の際の国会付帯決議に基づいて、04年4月「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会」を発足させた。05年秋を目途に報告書をとりまとめ、07年を目途に、労基法の改正や新法の制定をめざす方針といわれている。研究会の配布資料の「総論的な視点」「各論的な論点」の中に書かれているのは採用から契約終了にいたる労働生活の全問題にわたる改悪であり、労基法の全面解体を目論むものである。最大の焦点が金銭解決制度の導入であり、これは02年の労働政策審議会建議で打ち出されたものの、反対運動の前に見送られた労基法改悪案を再び出してきた。どんどん首を切ることが経済の活性化に役立つから、資本の側が解雇したら、最良の場合でも金銭解決以外の道は無いようにするという攻撃である。

 『官製市場の民間開放』?

 「04改革要望」では「『民間でできることは民間に委ねる』という原則の徹底と、官民の役割分担の不断の見直しを図る観点から、積極的に民間開放を進めていく必要がある」「規制改革・民間開放推進会議は当面の重点検討事項を『官製市場の民間開放』に絞り、市場化テスト、官業の民営化、主要官製市場の改革、の3本柱について集中的に検討を進めている」と述べている。
  市場化テストというのは「公共サービスの提供について、官民競争入札を実施し、価格と質の面でより優れた主体が落札し、当該サービスを提供していく制度」であり、官から民への事業移管を加速化するための手法として導入されようとしている。これは05年度からハローワーク、社会保険庁などを各省のモデル事業として開始し、「市場化テスト法(仮称)」を成立させ、06年度から数値目標を含めた競争入札制度の全面的導入が始まる。例えば、昨年11月に行われた民間モデル事業案の募集では、社会保険事務所の運営について東京リーガルマインドという民間企業が3割の人件費削減と土日夜間の窓口オープンなどのサービス向上を提案した。民間委託・民間譲渡・民営化はそこで働く労働者にとっては職種転換・配転、希望退職、解雇・賃下げ・首切り攻撃であり、労働組合潰しである。
  さらに主要官製市場の市場改革については3本柱として「『混合診療』の解禁等、医療、介護、教育の3分野から14の重点事項が選定された」として、特に「患者の選択に基づく医療機関との自由な契約により、患者本位の医療を実現するため、特定療養費用制度の拡充に留まらず、いわゆる『混合診療』を解禁すべきである」と述べている。
  混合診療」と言うのは健康保険の範囲内の分は健康保険で賄い、範囲外の部分を患者自身が費用を払うことで費用が混合することをいう。健康保険の範囲内の診療と範囲を越えた診療が行われた場合でも、平等な医療を提供するため、範囲外の診療に関する費用を患者から徴収することを禁止してきた。例外としては差額ベッドや新しい高度な医療技術などのごく一部だけが認められてきた。が、混合診療が解禁されれば金のあるなしで必要な医療が受けられなくなることになる。政府は財政難を理由に混合診療を認めることで、現在、健康保険でみている療養までも「保険外」とする可能性がある。金のあるものと無いもので不公平が生じるのは必然である。日本医師会もホームページ等で混合診療に反対している。
  以上の攻撃は、全経済政策・制度を資本家階級の直接の利害にそってストレートに再編成し、一切の犠牲と矛盾を労働者人民に押しつけて乗り切ろうとするものである。民営化攻撃は、戦後的な官業体制、公務員制度、公共的事業の全面的再編としてあり、民営化によって民間に放出される市場・資金・「サービス」・利権を、大銀行・大独占企業が奪い取ろうとしているということだ。そして何よりも、官公労系の公務員労働運動の徹底破壊、それによる全階級関係の全面的な改編としてある。民間で先行してきた資本家のやりたい放題の力関係=階級的関係を、官公労系労働者にも強制し、それによって戦後的な階級関係を転覆し、階級支配を一変させようとするものにほかならない。官公労系労働運動が破壊されれば、民間での賃金・労働条件が悪化するのみならず、労働運動総体が破壊されてゆく。さらに民営化は社会保障制度の解体である。すでに公立病院の民営化や公立保育園の民営など社会保障制度の解体を狙った民営化が強行されている。この攻撃を通して日帝が狙っているものは、戦後的な労働者支配のあり方の転覆であり、階級関係の一変に他ならない。剥き出しの搾取・収奪・抑圧の社会に大転換させ、戦争国家につくりかえようとする攻撃だ。したがって、これとの闘いは全労働者階級の死活をかけた闘いである。

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特集 05春闘を闘う

●大民営化の指針 新行革大綱との対決を

 自治体労働者部会

 04年12月24日、政府は『新行革大綱』(「今後の行政改革に関する方針について」)を閣議決定した。『新行革大綱』は、00年12月1日に閣議決定した『行政改革大綱』に基づき、この5年間に実施に移されてきた特殊法人改革、行政委託型公益法人改革、政策評価制度などの導入などの総括をするとともに、経済財政諮問会議(『骨太方針W』)にそって、「民間にできるものは民間に」「地方にできるものは地方に」という小泉・奥田の大民営化路線を公務員への全面的に適応しようとする内容である。
  また『新行革大綱』は、同日、「規制改革・民間開放推進会議(議長:宮内義彦オリックス会長04年4月内閣府に設置)から内閣総理大臣に提出された、「規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申」と不即不離の関係にある。政府は同答申のうち「具体的施策」部分を、04年28日に閣議決定している。

 大民営化路線

 第1に、新自由主義的な市場万能主義一色に彩られた民間開放路線をさきどりする形で「小さな政府」を激しくアジっている。
  部局や地方部局の統廃合、電子政府や独立行政法人などの整理などで、5年間で国家公務員の一律10%削減する。ただし、例外として警察官と税務署職員は増員するということである。戦後社会の解体と、あらたな戦争国家へむけての急速な再編による社会不安への危機意識は激しく、また大増税に突入することが必至であり、消費税など大衆からの搾取を前提としているためにも、治安と徴税体制を国家的に整えようとしているのである。さらにその上で、公共事業を5年間で一律15%削減する。
  民営化をすすめるにあたって問題となるのは、「その業務を公務員の身分を有しない者が担う場合に生ずる問題点」が発生する。国家の権力行使を民間が行うためには法改正か必要で、これに対しては「いわゆる『公権力行使』の民間開放について」検討が本格的に開始するとしている。先の膨大化する税務など公金の徴収事業等の「公権力の行使」についても、公務員の削減とは絶対矛盾する、そこで徴税部門なども民間開放可能と主張するに至っている。もちろん医療・介護・保育・教育などの公的関与が不可欠な分野も、市場万能主義を優先する内容となっている。

 規制緩和の推進

 第2に、規制改革の推進をあげる。
  特に「官から民への事業移管を加速化するための横断的な手法」として、「市場化テスト」(官民競合入札制度)の実施の必要性を強調している。そして「市場化テスト」のモデル事業として、公共職業安定所関連の4事業、社会保険庁関連の3事業等を特定し、この実施に必要な関連法改定をこの通常国会に提出するとしている。
  さらに地方自治体に関しては、「市場化テスト」の導入の期待と関心を表明した。これは膨大な「官制市場」を創出するとともに、民間資本の参入によって利潤追求の餌食にしようということである。
  ここでもさまざまな法改定が必要となり、これらを一括化して「市場化テスト法(仮称)」として通常国会に提出する。民間になった場合の職員の処遇とともに、「仮に、民が落札した場合の公務員の処遇」が重大問題となる。「市場化テスト」で民間に事業を移行する場合、「官の職員」の処遇と身分上の問題をどうするのかということである。具体的には整理解雇を検討しているということだ。
  市場化テストについては、すでに先行しているイギリスの強制入札制度が、公共事業の破滅的低下が社会問題となり、制度の抜本的見直しを迫られている実態を隠蔽している。民間資本の官制市場への参入の動機は、あくまで利潤である。利潤をむさぼるとともに利潤のあがらない部門はきりすてていく。しかもいったん民間資本が導入されて、職場と事業を荒廃させて、再起不能にして放置していくのである。
  政府や民間開放推進会議などの諮問会議は、こうした実態を検討しないばかりか、公共サービスの質や公正労働基準など検討すべく前提条件をまったく提示することなく、「民間開放ありき」の乱暴な議論を展開している。

 公務員制度改革の推進

 第3に、公務員制度改革の推進をあげる。
  01年12月25日に閣議決定した『公務員制度改革大綱』の趣旨に踏まえ、04年6月9日自民党の提示した『今後の公務員制度改革の取組みについて』を受けて、法案化を急いでいる。が、ここに来て公務員制度改革関連一括化法案の通常国会提出は困難との憶測が流れている。
  村上行政改革大臣は、04年12月20日、公務労協との交渉後、「与党内には組合との合意がなくとも法案を提出すべきとの強行意見もあったが、組合の理解を得てからと判断し、臨時国会への提出を見送った政労協議については、お互いに建設的に話し合うことが大事なことで、関係者と相談の上、継続していきたいと考えている」との談話を発表した。労働基本権をそのままにして能力等級制度の導入するなど、組合の協力なくして実現できない。公務労協(=連合)をとりこむことに照準をあわせいることを浮き彫りにした。逆に組合が団結して頑張れば粉砕できるということなのだ。
  しかし法案化と平行して関連法の内実は進捗している。
  04年8月の人事院「勧告および報告」の地域給の導入は、政府の「骨太方針W」を受け、戦後の公務員賃金体系を抜本的に変えることなる。人事院は11月2日に「給与構造の基本的見直し(素案)」を公務員連絡会に提示し、総務省の「地方公務員の給与のあり方に関する研究会」は、この3月に報告を出す。全国の俸給水準を一律20%カットして、そのうえに地域別に給与体系を組み直す、平行して年功的要素の排除と業績・職責・職務などに応じた能力等級制度を導入する。現在、試行的に導入されている人事評価制度は、単独では機能せず、賃金体系の一体的再編とリンクすること抜きには実効性をもたない。試行期間は2年。着実に事態は進捗している。

 地方分権の推進

 第4に、地方分権の推進である。
  行政の効率化として市町村合併を推進する。三位一体改革として地方財政、地方自治を解体しようとする。新行革大綱はとりあえず政府の管掌する国家公務員が対象となるが、3月の年度末までに、94年、97年にひきつづく地方公務員に対して、あらたな行革指針が通知される。定員削減と賃下げが目的である。

 4大産別決戦を闘おう

 12月14日に、日本経団連の「05年経営労働政策委員会報告」は「攻めのリストラ」を標榜して、初めて公務員の身分問題に切り込んでいる。終身雇用制度を解体し、雇用の流動化と不安定化、ひいては公務員の解雇の自由を確保したいとの強烈な意図に貫かれている。
  「日の丸・君が代」が戦争協力強制との闘いであり、国民保護法制による自治体職員の戦争協力拒否と一体の闘いである。さらに公務員制度改革とのたたかいは現に進行している郵政民営化が最大の攻防となる。新行革大綱は「骨太方針W」にある小泉の民営化路線と表裏にあり、奥田の経労委報告は総資本として、公務員「身分」の剥奪による民営化を主張している。4大産別がおしなべて最大の階級攻防の火点となり、産別を越えてこの攻撃と対決して闘うことが今ほど求められているときはない。

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●不起立闘争の爆発で、小泉・奥田路線、教基法・改憲攻撃を粉砕しよう

 教育労働者部会

 問われる国鉄分割民営化阻止闘争の教訓

 05年の2〜3月過程に位置する教労の卒入学式闘争は、4大産別決戦とそれを階級的土台とする05年の教基法・改憲阻止闘争の突破口としての位置におしあげられている。
  4大産別決戦は、個々の産別の闘いの総和ではなく、小泉・奥田の構造改革・民営化攻撃、労働運動解体・絶滅攻撃に対する一個の階級決戦である。郵政民営化攻撃、自治体の大民営化攻撃、教基法改悪・教育改革攻撃、いずれも国鉄分割民営化型の首きり攻撃であり、国鉄分割民営化阻止闘争の総括と教訓が問われる決戦である。国労解体攻撃の激しさの前に、合理化の先兵となるパートナー路線へと転換していった民同との路線的決着をかけた闘いであり、連合指導部から組合権力を奪いとる党派闘争である。
  教労の「日の丸・君が代」闘争も然りである。日教組指導部のパートナー路線の原点も、臨教審攻撃への闘わざる屈服と、85年指導徹底通知以降の各個撃破攻撃への全国統一闘争の放棄にあるからだ。
  国鉄1047名闘争として分割民営化反対闘争が今日にいたるまで継続され、動労千葉が意気軒昂と闘いぬいていることは、決定的な意味を持っており、ここにこそ、交流センター派の路線的優位性・勝利性がある。動労千葉・総連合の「平成採」獲得の闘い、国労本部打倒・国労再生の闘いを通じて、国鉄分割民営化攻撃と決着をつけるのもこれからなのであり、その時、真の勝者が誰かは万人の前に明らかとなる。
  4大産別決戦は、全労働者を動労千葉の労働運動で獲得する闘いであり、交流センターが労働運動の主座に躍り出ることをかけた闘いなのである。

 経団連が改憲提言と一体で日教組攻撃を号令

 三位一体改革―義務教育費国庫負担廃止に対抗するために、文科省が経団連の主張を受け入れうちだした教員免許更新制が、教労に対する〈一旦解雇・選別再雇用〉の攻撃である。05年中に中教審答申― 06年制度化― 07年実施がめざされている。改悪教基法の下では、国家忠誠こそが「教員に求められる最大の資質」となり、「日の丸・君が代」がその踏み絵となる。国庫負担問題の結論が秋に出される前に、いわば「国家戦略としての教育」を推進する担保として教基法改悪を強行せよというのが、支配階級の要求である。
  日本経団連は、1月18日に改憲提言とあわせて「これからの教育の方向性に関する提言」と題する教基法改悪提言を出した。そこでは、「わが国の伝統・文化・歴史に関する教育」こそ今後最も重視すべき教育内容であり、「国旗・国歌に対する理解を深めることは、国際的に活動する上でも最低限必要な知識」だとして、教育理念の中に「国への誇りを育てる」を盛り込めとしている。教基法10条の「『不当な支配に服することなく』の表現が、一部教員による教科書や学習指導要領の無視や、校長など管理職の管理を阻む根拠となったことに鑑み、国が教育内容の方向を示すことについての正当性を明らかにすることが必要」と、10条解体を要求している。
  さらに、教員の「一部には自らの政治的思想や信条を教えこもうとする事例が見られ、これらが長年、教育現場を混乱させ、教育内容を歪めてきた」として「教職員による組合は、一定の範囲で職場環境、待遇の改善に取り組むという本来のあり方に徹すべきである」といい、教基法8条2項の「『政治教育そのほか政治活動をしてはならない』という趣旨を徹底させるために、必要な措置をと」れと叫んでいる。まさに、文科省のパートナー路線をも踏み越えた、支配階級による日教組解体、新たな教員レッドパージ宣言である。

 2年目の不起立が切り開くもの

 侵略戦争の先兵となることを拒否する教育労働者の自己解放的決起が、労働運動としても最も強力な闘いを切り開く局面があることは、公務員ストライキの先駆となった勤評闘争においても示されたことである。昨年、東京で爆発した処分覚悟の不起立闘争は、執行部の屈服方針を突き破った現場組合員の決起であり、闘う労働組合を取り戻していくランクアンドファイル運動だった。職場生産点から爆発した戦争協力拒否闘争の先駆だった。
  処分覚悟、「複数回で分限免職」というクビの恫喝もはねのけた決起は、極めて突出した闘いであった。この闘いが本質的に動労千葉の分割民営化反対闘争にあい通ずる質を持つが故に、退路を立った被処分者たちは、国際連帯が開示した体制打倒の展望を自らの闘いの最大の糧としてとらえ、11・7に大挙合流してきたのである。
  05年の卒入学式闘争は、解雇9、減給4含む248名の大量報復処分に対して、昨年を超える不起立闘争をたたきつけるかどうかの勝負となる。2年目の不起立闘争は、10・23通達撤回、教基法改悪攻撃粉砕のたたかいであると同時に、大量不当処分に対する抗議・撤回闘争でもある。その爆発は、「労働者の闘いは処分や弾圧ではつぶせない」ことを行動で示すものとして、まさに〈スト権実力奪還〉の思想を今日的に復権させるものとなる。東京のたたかいを包む全国での不起立闘争の爆発は、ランクアンドファイルによる産別全国統一闘争の復権をさし示すものとなる。その労働運動、とりわけ全逓や自治労に与えるインパクトは計りしれないものがある。
  この闘いは、有事法制によって自治体・指定公共機関の労働者の戦争動員が具体化していく中で、戦争協力拒否闘争の爆発の導火線となる闘いでもある。有事法制との闘いも、具体的には、職務命令・業務命令との闘いであり、不起立闘争は、憲法・教育基本法をタテに職務命令を拒否する闘いである。戦争協力拒否の闘いは、職場生産点からの9条改憲阻止の闘いとして、改憲闘争の爆発を切り開く闘いともなる。3・20イラク開戦2周年闘争と05年の反戦闘争の展望も、この闘いの爆発如何にかかっている。
  逆に、不起立闘争の収束と孤立化は、都教委による被処分者に対する重処分、分限免職免状剥奪など残酷な仕打ちを結果することになる。それは、民営化攻撃や戦争動員の攻撃と立ち上がろうとする他産別の労働者にとってのみせしめ攻撃となる。11・7で登壇、アピールし、全国ネットワーク運動に合流してきた新たな仲間たちとの信義にかけても、交流センターの総力をあげて不起立闘争を勝利させなければならない。
  教労部会は、東京の不起立闘争の貫徹と全国への拡大を切り開くために総決起する。全産別の会員が、民営化と戦争協力に対する闘いを職場からつくりだす決意と実践をもって、激励・連帯に取り組んでほしい。

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●労働者学習シリーズ  帝国主義  第1回

 島崎光晴(しまざきみつはる) 労働運動理論センター

 労働学校 Q&A  帝国主義―現代帝国主義について

 労働者学習センター主催の労働学校で、「現代の資本主義」と「現代の帝国主義」の二つのテーマを講義してきました。前者はブックレット『現代の資本主義―帝国主義論の7つのキーワード』にまとめられています(発行・労働者学習センター)。ここでは、この講義のさいに出された質問・感想と、それに対する私の回答を中心に、帝国主義と現代帝国主義を考えてみたいと思います。

 職場で帝国主義という言葉を使おう

●講義 世界中の人々は帝国主義という言葉を当たり前のように使うんですけども、日本では社会的にあまり使われていない。しかし、今も含めて帝国主義なんだ、日本も帝国主義なんだということを、考え方として復活させていかないといけないんです(ブックレット2n〜)。ここに毎日新聞の記事(03年4月)がありますが、日本からイラクに派兵された米軍艦の兵士の話が載っています。アフリカ系で、大学の学費のために海軍に入っている人です。この人は、「大量破壊兵器が見つからなければ、これは帝国主義戦争だ」と言っています。帝国主義戦争は英語ではもろ、「インペリアリズム・ウォー」です。

●質問 米軍内では「帝国主義」という言葉が当たり前のように使われているという話でした。日本でこれが「死語」に近いのは、いったいなぜなのでしょうか。

●回答 二つあると思います。一つは、第2次大戦後に日本の資本家・自民党が意図的に「帝国主義」という言葉を抹殺してきたからです。とくに教育やマスコミを操作してきたわけです。その狙いは〈もはや帝国主義時代ではない〉という宣伝をして、帝国主義に反対するような労働者の運動を起こさせないようにすることです。ただし、これは米欧でも基本的には日本と同じでしょう。
  もう一つ、日本では「左翼」の側の問題があります。米欧では、資本家階級が「帝国主義」という言葉を抹殺しようとするのに対し、左翼の側がいわば常識的に、しかも広範に「帝国主義」という言葉を使ってきました。ところが日本では、日本共産党が「アメリカに従属した日本資本主義」という言い方をして「帝国主義」という言葉を抹殺してきたことが大きな影響を与えてきました。日本共産党は日本を帝国主義ととらえることに反対しているのです。
  ですから、現在、私たちが「帝国主義」という観点から世界を考え、時代を語るのは大きな意味があります。これ自体が、資本家階級および日本共産党=スターリン主義と対決するものとなるからです。

 マルクス主義・レーニン主義を魂でつかもう

●講義 レーニンは、帝国主義を「資本主義の最高の発展段階」という考え方をしました。そのことによって、世界の労働者の解放の道筋がはっきりしたんです。帝国主義時代には「万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ」しかない。帝国主義とは何なのかという問題は、帝国主義時代の労働者の解放はどうやればできるのかという問題です。労働者が自分たちを解放するためにはどうしなければならないのかという場合、19世紀とは構造が違うんです。19世紀は「万国の労働者、団結せよ」で良かったわけ。ところが帝国主義時代になったら、「万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ」と言わないかぎり闘えない。労働運動にとって、そういう問題が出てきた。
  つまり帝国主義の問題というのは、なんか自分とか労働運動とか関係のない、世の中の見方一般みたいな話じゃないんです。労働者はどうすれば解放されるのか、そのために世界全体の仕組みが19世紀とは変わっているんだということを明らかにしたのが、レーニンの『帝国主義論』なわけです。つまりレーニン主義は〈帝国主義段階におけるマルクス主義〉なんです。マルクス主義は帝国主義時代にレーニン主義として発展させられたわけです。だからよくマルクス主義・レーニン主義というような使われ方をしますけれども(ブックレット68n〜)。

●感想 レーニンとかマルクスとか、今までこの労働学校で学んだ古典は、どうしても頭の中で「うーん、そうは言ってもピンと来ないのよ」と思ってしまうことが多少(けっこう?)ありましたが、今回の話は現在に当てはめて……、というか、いま現在起こっている事実なんですよね。私は本当に学習が苦手ですが、資本主義―帝国主義というものが、単なる言葉としての知識ではなく(もっとも知識自体あやしいけれど)、身体全体で理解できたように感じます。

●回答 そうです、身体で感じ、魂でつかんで下さい。マルクス主義・レーニン主義というのは、小難しい知識ではありません。たしかにマルクスやレーニンの本は、実際に書かれたのはかなり前です。ですから、その当時の話がずいぶん出てきたりもします。しかし、その本に書かれているのは労働者の解放の思想なのです。それは時代を超えて、今も生きています。マルクスやレーニンの本、いわゆる古典を読んで「なんか古いなー」と感じるとしたら、それはマルクス主義・レーニン主義を何か特別の知識であるかのように勘違いしているからです。それでは、自分の思想にはなりません。
  しかも、今の時代は、古典で書かれていることがそっくりそのまま現実になっているほどです。先日、とある青年労働者から「『共産党宣言』の学習会をやっているんですけど、『共産党宣言』で書かれているのは、本当に今の話そのものですよね」と言われました。その通りです。私なんか、80年代後半のバブル時代にこんな質問されたことがあります。「日本に資本家階級はいるんですか?」と。当時はそんな質問すら出た。しかし今、どうなっていますか。実に弱肉強食社会、むきだしの資本主義社会ではないですか。第2次大戦後、〈搾取〉という言葉がこれほどわかる時代はありません。今の社会はどうなっているのか。それを説明するのに、〈搾取〉という言葉を使うのが一番すっきりします。本当にマルクス主義・レーニン主義が大量の労働者に受け入れられる時代がやってきているのです。ですから、まず自分がマルクス主義・レーニン主義を魂で受け取り、そうやって育んだ魂を他の人にも伝える、そういうのが必要なのではないでしょうか。
  自分はどうすれば解放できるのか。労働者はどうすれば解放されるのか。このがまんならない搾取と抑圧に対して、どうすればいいのか。どういう考え方をとればいいのか、そしてどう闘えばいいのか。これらすべての回答はマルクス主義・レーニン主義にあります。そもそもマルクス主義にしろ、レーニン主義にしろ、労働運動の発展の中で生まれた労働者の自己解放の思想です。ですから、労働者の解放にかんするさまざまな点について、基本的な回答はすべてあります。
  もちろん、時代が進んでいるということから、新しく考えなければならない点もあることはあります。それはマルクス主義・レーニン主義の〈発展〉ということですが、そのためにもまずマルクス主義・レーニン主義の〈復権〉、あるいは〈継承〉が前提にならないといけません。
  よく「継続は力なり」と言われます。その通りです。私の経験でもそうです。めげずに、マルクス主義・レーニン主義の学習を継続していきましょう。

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●闘う合同労組 第6回

 茨城で階級的労働運動をめざして

 茨城県地域連帯労働組合 

 連帯労組発足以前の活動=茨城県労組交流センター労働相談

 茨城県地域連帯労働組合(以下、連帯労組と略)の結成は、1997年6月ですので、まずその前身である、茨城県労組交流センターの労働相談が大変重要です。実は、茨城県労組交流センターでは最初から独自の合同労組をつくるという方針ではありませんでした。しかし、茨城県には当時、連合全国一般、全労協全国一般はなく、全労連全国一般についても組織討議のうえ会員の加入を見送ることにし、まずは労働法の学習会と無料の労働相談を会員が始めることにしました。当時の様子は、連帯労組ホームページでは以下のように書かれています。
  「1988年から、茨城県の水戸市とつくば市の公民館などで、労働法に関心のある様々な業種の労働者が集まって、労働法の学習会をおこなっていました。
  それらに集まっていた労働者が、労働法の知識と実践経験をもとに、翌年から年に数回、ボランティアで無料の電話労働相談を実施してきたのが、はじまりです。
  無料労働相談をやってみると、なんとこの世には、法律を無視した労働条件が多いことか! しかも、ひとりでは解決できないで泣き寝入りしている人が、たくさんおり、地域社会の勤労者に開かれた労働組合の必要性を痛感したわけです。そしてついに、1997年6月、正式に「茨城県地域連帯労働組合」の結成にいたったものです。
  特に連帯労組結成にいたる足かけ10年にわたる労働相談を国鉄と自治労のセンター会員が中心になって担ったことは銘記すべきことと思います。

 悪質争議案件への取り組みと連帯労組発足

 しかし、このセンターの労働相談も、やり方もあったのでしょうが、最初はなかなかうまくいきませんでした。電話の労働相談は有給取得などの法律知識を知りたいというものが主でした。また水戸駅で労働相談のビラをまくのですが、バブル崩壊の前などはビラを受け取って「私が失業者にみえるのか!」と怒り出す通行人もいたくらいです。
  状況がかわって本格的な労働相談に踏み込むのは1996年以降になります。このころになると、「即日解雇」などの問題が持ち込まれるようになり、相手になる経営者も「センターは労働組合ではない」などと言って団体交渉を拒むようになってきました。
  そこで、やはり合同労組をつくるしかないという話になったのですが、なにせ県センターも小さい組織なので「人がない、金がない」という状況でした。専従オルグを置くなど絶対無理ななかで「本当に合同労組をつくって組織維持・拡大ができるのか」というセンター会員間の討論の末、発足を決断したのです。それには特に関西合同労組の被災地での取り組みから勇気をいただいたことを、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。

 個別労働相談から労組結成相談へ

 組織結成直後、最初は新聞の案内欄で労働相談の宣伝をしました。そうした中、何件か個別の案件に勝ちぬくなかで、「やはり活動家を増やさなくては展望がない。相談相手を救済の対象ではなく、労働運動の主体としてたてていくためにはどうすれば良いのか。」と悩むなかで、「個別労働相談から労組結成相談へ」の方針を確立し、「すべての職場にたたかう労働組合をつくろう」の基本スローガンをうち立てました。このスローガンは、いままでも、これからも、連帯労組の旗印として未組織の組織化をたたかう労働者によって守られていくに違いありません。
  その後、労働相談をきっかけに単組結成から県労組交流センターへの組織加盟、あるいは連帯労組支部結成などたたかいが進められています。そうしたなか、県センター運動を開始してから、県センター会員と加盟組織組合員は大幅に増え、はじめは公務員・準公務員中心だったセンター会員構成も民間の労働者が確実に増えました。また、基幹産別の労働者と民間中小の労働者の交流と団結が地域に広がり始めています。

 階級的労働運動を担う合同労組として

 これまでの教訓としては、合同労組や労働相談などの形式にあまりとらわれないで、「相談に来た労働者を救済の対象ではなく、労働運動の階級的主体としてたてていくためにはどうすればよいのか」ということを真剣に追求し、実践することが大事だと思います。合同労組は未組織労働者の決起をかちとる重要な水路ですが、その組織がどういう指導路線をとるかによって、たとえば民主党や共産党の後押し組織として反動的役割を担わせられることもあれば、あるいは今攻撃が集中している教労をはじめとした4大産別と民間労働者を分断する悪質な道具に成り下がる危険も含んでいます。けっして他人ごとではありません。
  地域での労働相談をきっかけとして、自分の職場で仲間を集めて労組づくりに取り組み、そこからさらに国際労働者集会にむかってそれまで未組織だった労働者が団結していくとき、私たちは限りない展望を感じることができます。
  「われわれは無力な個人ではなく、力ある労働者階級の一員だ!」組合員一人一人がそうした実感を持てるように、これからも取り組みを進めていきたいと考えています。 

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SPOT & CRITIC−時評−  プライバタイゼーション (民営化)

 資本家に労働者の陣地を明け渡すな  「民営化」は全ての労働者への攻撃

 周囲の人びとに「民営化と闘おう」と訴えると、少なからぬ人が「民営化? いいんじゃない」「なんでも民間に任せたほうがいいよ」という答えが返ってきます。公務員労働者の首切りと組合つぶしが最大の狙いなんだと訴えても、「自分は公務員じゃないから」「厳しい時代だから公務員も我慢しないと」と。
  われわれは今、「戦争と民営化に立ち向かおう」ということを大きなスローガンとして掲げています。「民営化」を、戦争とならんで全ての労働者にかけられている攻撃ととらえているからです。そしてこのことは日本だけでなく、アメリカや韓国の労働運動においても同じです。
  ではなぜ今「民営化」が全ての労働者にとって重大な問題になっているのでしょう。
  「民営化」は、日本語では「たみがいとなむ」という意味で、本質がぼやかされていますが、アメリカでは「プライバタイゼーション」、すなわち「プライベート化」、つまり「私有化」という意味です。要するに資本家による私物化、ブルジョアジーが労働者の領域に土足で踏み込んでくるということです。
  もとより今の社会は資本主義社会であり、資本家が世の中を支配しています。けれどもわれわれ労働者階級は、長い長い闘いの中で、自らの生きる権利を勝ち取り、職場や地域の支配権を確立してきました。しかしそれが今、生活の全領域にわたって、民営化という形で踏みにじられ、奪われようとしているのです。これが民営化の本質です。
  教育の例で見てみましょう。最近、「楽天」の元副社長が横浜市の公立中学校の校長になることが決まったそうです。また、日本経団連の奥田碩会長は、自らが塾長となって「日本の次世代リーダー養成塾」に高校生を集めて露骨なブルジョア思想で染め上げようとしています。われわれの子供たちが、われわれ労働者を支配するための教育にさらされているのです。
  民営化攻撃は今、郵政、自治体をはじめ社会の全領域にかけられています。民営化攻撃は、民営化されようとしている事業体で働く人だけの問題ではありません。そこで行われている全ての社会的事業、労働・生活扶助・教育・医療・年金・交通・コミュニティー活動など、労働者が生きていく上で必要なもの、労働者の闘いで国や自治体に強制してきた社会的共同事業が、ことごとく資本の側に奪われてしまうということなんです。したがって、だからこそ、そこで働く労働者の闘いが決定的です。だからこそわれわれは「民営化攻撃の核心は労働組合・労働運動つぶしなんだ」と訴えているんです。
  今、日本帝国主義をはじめ世界の帝国主義は、もはや戦争をしなければ一日たりとも生き延びられないところまで体制的矛盾を深めています。この体制を牛耳っている資本家どもに社会の全領域を明け渡すということは、社会の全領域が戦争に直結するということです。
  すべての労働者とその家族のみなさん、戦争と民営化攻撃を、全労働者の闘いで、全世界の労働者階級の団結で打ち砕きましょう。  (動労千葉を支援する会  広沢こう志)

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●山田さんの意志を引き継いで

  愛媛労組交流センター

 昨年末12月17日、11・7をともに闘った仲間、山田源嗣さんが交通事故で急逝した。享年54歳。あまりにも悔しい。なによりも山田さん自身が、どんなにか悔しい思いをしているにちがいない。県公営企業病院労組委員長として、04年11・7を県職労、国保労とともに、組合賛同し、組合の仲間とともに参加した。アメリカMWMを闘った労組員、韓国民主労総の組合員と階級のきょうだいの熱い握手をかわした。その手のぬくもりを職場のすべての仲間たちに伝えたいと取り組みを開始した矢先の事故死だった。私たちも、この彼の挑戦を引き継ぎ、05年日本のMWMを勝ち取ることを決意したい。3月教労決戦をなんとしても爆発させ、4大産別決戦で奥田―小泉戦時体制を打倒しよう。

 04年「11・7」への挑戦

 「ランクアンドファイル」運動は、既成労働運動の転向の中で奪われてきた現場労働者の決定権について、我々自身が「今はまだ奪い返すのは無理だ」と間違いをおかしていることを気づかせてくれた。私たちは、ぎりぎり「11・7」を前にして、「11・7」賛同を分会で提起し分会決定を勝ち取ることが、@歴史を決定するのは資本でもないし、小泉でもないし、民主党でも組合の裏切り幹部でもなく、自分たち自身の団結した力だと決意し、A「11・7」に決起していくとき、分会権力を奪い返していく一歩が姶まる。

 山田さんと共に、勝利までたたかう

 山田さんは、動労千葉・中野顧間の「俺たちは鉄路に生きる2」を片手に、この闘いの最前線で闘い抜いた。彼の「オレ鉄2」本は、黄色のマーカーで塗りつぶされている。動労千葉との出会いが彼の人生を変えたという。物販には年休をとって動労千葉の組合員と一緒に地域の労組に入っていった。
  かって正義感の強かった少年は、レントゲン技師として自治体労働者となった。ここで、自らの職場実態と社会の矛盾を体で受けとめるなか、いきなり分会長として、組合活動に踏み出すこととなった。分民攻撃の中で、果敢に闘う動労千葉を知り、動労千葉のように闘いたいと奮闘し続けた。
  労組活動家として、変質していく労働運動の中での苦悩。動労千葉との出会いと新たな闘い。そして交流センター創成から10余年の闘いをともにしてきた。
  苦悩も飛躍もともにしてきた仲間を失った打撃はあまりにも大きい。しかし、彼は勝利の日まで私たちを叱咤激励し、ともに悩み、ともに涙し、歓び、私たち家族や組合の仲間たちの中で生き続けている。

「愛媛県公営企業病院労働組合・山田源嗣執行委員長」追悼

  12月17日、愛媛県公営企業病院労働組合(県公病労)山田源嗣委員長が交通事故により急逝されました。(享年54歳)
  山田さんは、25年前に県立伊予三島病院の分会長となり組合活動を開始し、87年からは執行委員長として常に労働者の権利拡大と患者が安心して医療を受けられる病院作りを願い続け、身体を張って実現してきました。
  90年の伊予三島病院闘争は、当時の劣悪な勤務実態を背景に山田さんのもとに結集した看護師の怒りが爆発し、大衆団交によって県当局の絶対的な方針であった少数精鋭主義を打破し、大幅な人員増を勝ち取り医療体制の充実を実現しました。こうした病院闘争の成果が、県職労の超勤満額支給や人員増に繋がったことは間違いありません。
  99年からは赤字を理由に県立病院の機能縮小を図ろうとする当局に対し、山田さんを先頭に県公病労は一歩も引かず闘い続けてきました。
  先日、12月12日には、県公病労の定期大会において、北宇和病院「廃止」攻撃を跳ね返そうと現場の仲間と確認し合った矢先の訃報であり本当に残念でなりません。
  私たちは山田さんの話をいっぱい聞いてきました。頭の中に溢れるほど言葉が残っています。山田さんの遺志を受け継ぎ、当面する諸課題に全力で当たって参りますので、これからも組合に対する皆様の支援を宜しくお願い致します。

愛媛県職員労働組合
愛媛県公営企業病院労働組合
 

愛媛県職労機関紙より転載

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●たたかいは進む

★全国の仲間に支えられて激闘34年余、「一人の首切りも許さない」 団結をこれからも・・・

 本山闘争勝利の報告と御礼

 全金本山労働組合 執行委員長 長谷 武志

 2005年1月19日、34年10ヶ月にわたる本山闘争は、仙台高裁・和解協議において、全金本山労働組合と本山製作所との間で概略左記の和解条項で合意し、和解が成立しました。
一、被解雇者「青柳充、熊谷春男」に対する解雇(最高裁上告棄却)を解雇日に遡って撤回。青柳充は定年退職日において退職。熊谷春男は他の労組員と同じ条件で職場復帰。
一、ロックアウト(別棟就労)状態の組合員29名のうち就労を希望する16名の職場復帰(60歳到達者含め)、希望しない者は和解成立日をもって退職。
一、被解雇者も含め全員の社会保険被保険者資格回復の遡及手続きを行う。
一、小野万東京分会長の賃金是正と未払い賃金の支払い。
一、解決金及び未払い賃金の支払い。
一、職場復帰は、05年3月16日とする。

 ここに、全国の皆さんへ、長期にわたる物心両面のご支援に心からの感謝の意をこめて、ご報告申し上げます。

 本山闘争は、71年3月の青柳組合員不当解雇から年余、不当ロックアウト〜別棟就労攻撃で職場を追い出されてから25年余の闘いになります。また、80年2月の全金本山労働組合結成から32周年になります。
  私たちは、会社側の「会社が潰れるか、組合が潰れるかまでやる」と豪語した攻撃に屈せず、痛い思いや悔しい思いをしながらも歯を食いしばり闘い、時には爽快な闘いもしてきました。体を張った闘いと団結で、重軽傷者1500人に及ぶ暴力弾圧、投入された警察官の数は10万人を越え、不当逮捕者140名に及ぶ刑事弾圧、32年に及ぶ兵糧攻めをはね返してきました。
  また、総評労働運動の右翼再編の流れの中でさまざまな試練と直面しながらも、全国で奮闘している労働組合・労働者・学生・市民の皆さんの闘いに触れるなかで自らを励まし、共闘する中から年の激闘を乗り越えてきました。「一人の首切りも許さない」「小指の痛みは全身の痛み(全国金属)」「厳しいときには原点にかえれ」と。
  3月16日をもって私たちは職場復帰します。私たちは、32年ぶりに本山製作所の門をくぐり、「職場に砦、地域に共闘を」のスローガンを掲げて新たな旅立ちをします。尚、退職する者も引き続き組合員として地域でスクラムを組んでまいります。
  債務超過状態の本山製作所は、再建策などの面でこれからも波乱含みの局面が待ち受けているといえますので、34年越しの闘争支援陣形の力で会社側に睨みを利かせ、いつでも闘争体制に入れるように、今後も全国の皆様の注目とご支援・ご指導をお願いし、争議解決の報告とさせていただきます。
    2005年1月吉日

 ★阪神淡路大震災10周年・第22回総行動が闘われる

 阪神淡路大震災10周年・第22回総行動が1月16日の集会を皮切りに18日までの3日間行動として闘われた。
  16日の集会には、兵庫県中央労働センターに185名が結集、講談やビデオで被災地10年間の闘いをふりかえり、失業対策をはじめ被災者対策打ち切りと闘う被災者宣言が発せられた。
  翌17日は、神戸市役所前で神戸の被災者団体が震災対策打ち切り抗議の統一集会を開き、被災地雇用と生活要求者組合の長谷川代表が、すべての被災者が力を合わせて闘って生きぬこうと檄をとばした。
  さらに18日は、「震災10年で復興完了」として、一切の被災者対策打ち切りのために兵庫県・神戸市が招致した国連世界防災会議に抗議する行動を、長谷川代表先頭に天皇警備の厳戒態勢の中で闘った。

 ★関西地区生コン支部にかけられた業種別運動つぶしを目的とした不当弾圧に対する緊急抗議総決起集会

05年1月23日 16時〜 エル大阪(エルシアター)
主 催 不当弾圧粉砕緊急抗議決起集会実行委員会(生コン産業政策協議会=交通労連生コン産業労働組合・全港湾大阪支部・関西地区生コン支部)
  会場は関西生コン支部の労働者を先頭に、近畿各地から1000名を超える労働者が集まり、通路も埋まった。

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読者のページ

 ★共謀罪新設阻止を! 東京 中山 連

 今年の通常国会は、共謀罪新設阻止の闘いの、決戦中の決戦といわれている。過去2年間にわたって、国会でまったく審議されてこなかったので、このままでは廃案になってしまうと法務省の役人や、自民・公明党の与党がメンツにかけても、今国会で成立させようとしているといわれている。
  東京新聞によると、自民党と民主党との間で修正協議が行われている。どんな修正について協議しているかは予測できる。共謀罪とは、「話し合った」だけで犯罪となるというのが特徴だから、ここに何かをつけ加えようとしているのであろう。
  今の国会の勢力分やをみれば勢力のある野党は民主党だ。しかし民主党は、小沢一郎がいる民主党である。審議になれば一気呵成にで国会を通ってしまう。
  もともと圧倒的な少数野党だから国会の攻防で決着がつくというものだはない。
  したがって大衆運動を圧倒的に強化し、その力で、与党に断念させるしかないのだ! 一人でも多くの労働者がこの共謀罪反対闘争に参加して欲しい。
  共謀罪は、犯罪行為があって罪となるという現代の刑法思想を根底から覆す悪法だ。労働運動や反戦闘争をつぶすために希代な力を発揮するだろう。
  しかし共謀罪が共謀罪として機能するためには盗聴法の用意、使用法の拡大、おとり捜査、スパイの大量養成などが必要となる、それだけでさえ暗黒社会をつくりだす。
  「共謀罪」という名称の悪さもあって、いまひとつ反対運動が高まらないようだ。しかし共謀罪は戦争国家化の中ですべての反対運動をつぶすための権力の有力な手段となるものだ。改憲阻止も重要な闘いだが、その改憲阻止を闘う権力の手段となる治安弾圧立法だ。だから、交流センターの指標は共謀罪新設阻止の闘いだ。こぞって決起しよう。

 ★一筆献上 王子 忠太郎

 君は、今の世、安定していると思う?
  私は決して安定しているとは思いませんが。
  小泉が首相になってからは特にそう思うが。
  日々報じられるいわゆる「犯罪」といわれるものの悪質さ、数の多さは、小泉政治の悪質さの指標だろう。
  「経済」とは、乱れた世を整えることと申します。
  「済民」とは、苦しんでいる民を救うこととか申します。
  ということは、経済の立て直しとは、単なる銭金勘定だけではないことを示しているんじゃなかろうか?
  国の政治は、民を愛することが貫かれていなければならないことを表しているんじゃろうと思う。
  小泉は、大増税を行おうとしている。社会保障制度を根本から悪くしようとしている。警察官ばかり増やし、警察化国家にしようとしている。自衛隊を軍隊にしようとしている。そして憲法を改悪しようとしている。
  つきつめれば、国民を不安のどん底へ突き落とそうとしているんじゃ。
  こんな小泉政権なんか真っ平御免じゃ。
  私は、この小泉政権をぶっ倒したいと思う。
  みなさんは、いかがですか?
  今年の春闘は、賃金引き上げのためにも、社会保障制度を改善するためにも、小泉政権を打倒することが目標じゃないかね?
  そのために、春闘を闘いたいと思う。

 ★やり続けることが大事だよ 神奈川 全逓 桜井隆夫

 JR川崎駅前で毎週月曜日、マイク情宣とビラ情宣活動が行われています。
  行っているのは、「社会民主党・市民連合かわさき」です。
  マイク情宣を行っているのは、現在は、神奈川県会議員や川崎市会議員ですが、当初は国会議員のいわたれすきおさんでした。でしたというのは亡くなられたからです。いわたれさんは国会議員に当選した時から、「国民に自分の活動報告をしよう」と考え、そして毎週月曜日に行うことを決めて実践したのです。1月17日に配布されたビラ「月曜の声」は1635号です。すごいでしょう。元旦であろうと祝日であろうと月曜日ならやるということで、続けてきた成果です。いわたれさんの得票の内、数万票はこの活動で得たといわれています。私もそう思います。
  毎週月曜日ですから、1635号ということは、もう30日以上実践されていることになります。
  選挙だけでなく、政治活動だけでなく、このようにやり続けることは大事なことです。特に、労働組合活動にとって大事なことだと思います。やり続けてきたのかどうかが、「11月労働者集会」の参加者となり、選挙の得票数に現れてくるのだろうと思います。
  社民党にできることがわれわれにできないとしたら、どうなるかはあきらかではないでしょうか。
  年に数回しか職場ビラ情宣をやってなくて、「5千人結集を」と言ったって、無理である。

§読者のページに投稿を§

 1月号のこの欄について意見が寄せられたので掲載します。

 月刊交流センター05年1月号25ページのこの言い草には怒り心頭です。そもそも、読者のページは趣味・嗜好の領域を含めて、大きくマルクス主義と戦闘的労働運動の基本姿勢さえ踏み外していなければ、誰でも投稿でき、その掲載については編集者の度量の広さに任されているものだと考えます。載せておいてこんな斬り方はないと思います。是非ともこの意見を掲載し、広く読者の感想を求めてください。

ご返事

  ご指摘の点についてですが、読者のページへの投稿があまりに少ないため、その穴を埋めるため「関西漁業」といういう形で「投稿」を載せざるをえなかったという、編集部員である「関西漁業」氏の叫びでありました。
  あのような文章を載せれば、あなたのご指摘のような意見が出るのは当然です。深く反省します。
ぜひこれからも、月刊をよりよいものにしていくため、積極的にご意見、ご指摘をいただきたいと思います。
  あわせて、読者のページへの投稿をお願いします。

月刊交流センター編集長
井上 長治

関西漁業から

  私は、高校卒業して、10年間郵便局に勤務していました。この10年間で文章を書いたのは1度あります。それは簡単な始末書でした。それ以外は、数字以外書いていないのです。書くということは非常にある意味では困難です。政治的なものは無理ですが、でも真実の体験、本当に思ったことがあれば書けると思って必死で書いています。
  みなさんどうか読者のページに投稿をお願いします。

編集後記 ■

 昔、企業利益がないから賃上げできないといっていた。今、企業利益が1兆を超えても賃上げできないという。赤字でも民営化、黒字でも民営化、どっちに転んでも民営化。赤字も黒字でも賃下げ。危機を迎えた資本主義体制の結論ではないのか。こんな社会を一刻もはやく転覆しようではないか。05年は職場からの総反乱の年、04年石原の「日の丸・君が代」の強制に良心をもって立ち上がった教育労働者を守り、そのためにも昨年以上の決起をつくりだそう。
(し)

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