2005年4月号(No.181)目次
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労働者の目 全金本山のすばらしい勝利

労働ニュース
  ●公務員改革 ●サービス残業など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集  05春闘 戦時下の反撃
  ●戒厳体制下の卒業式・不起立闘争
  ●動労千葉、3日間のストライキを打ち抜く

05年3月16日職場復帰しました!

労働者学習シリーズ 帝国主義 第3回 過剰資本

闘う合同労組 第8回 北陸ユニオン

労働者医療を守れ

SPOT&CRITIC  米軍再編

たたかいは進む
  ●狭山第2次再審請求(特別抗告審)棄却決定を徹底糾弾する!
  ●イラク撤兵・改憲阻止へ 3・20写真報告

読者のページ

・PhotoDocument (2005年1月〜2月)


労働者の目

●全金本山のすばらしい勝利!

 全国労働組合交流センター常任運営委員 (国労新橋支部) 吉野 元久

 3月5日仙台、11日東京で「全金本山闘争勝利報告レセプション」が開催された。34年間にわたって団結を守り抜き、「一人の首切りも許さない!」闘いを貫いた全金本山労働組合が、ついにこの05年、歴史的な大勝利を資本権力からもぎりとった。この勝利のすばらしさは、何よりも、組合員と家族の「不屈の団結力」が勝ち取ったとてつもない大きな勝利であったということだ。
 全金本山の闘いの一日一日は、全ての労働者・労働組合にとって、学び尽くせない程の貴重な経験と教訓に満ちあふれている。そして何よりも、本山闘争は今日の国鉄1047名闘争の「育ての親」であることだ。
 私たちは、1047名が90年4月に二度目の解雇攻撃を受けた直後、本部の上京行動に参加した組合員と家族に対する「激励交流集会」を、長谷委員長をお招きして独自に文京区内で開催した。参加した解雇者(後の闘争団員)は、稚内、音威子府、旭川、北見、美幌、紋別、帯広、秋田、東京、八幡、小倉、筑豊、博多、佐賀、長崎、佐世保、熊本、鹿児島など50名近くにものぼった。そのときのこの人たちの、解雇に対する怒りと不安、そして一筋の光明を見いだした熱意にあふれる顔が、今でも鮮明に目に浮かぶ。
 ここで長谷委員長は、本山闘争の教訓を熱烈に訴えた。「職場に砦を、地域に共闘」を合い言葉に、一人の首切りも許さない! 団結を貫いてきたこと。これに対して、「一人の痛みは皆の痛み」をスローガンとしてきた全国金属のオルグは、「確かに鋼は強いが、曲がらないと折れる」といって「除名処分」にまでいきついたこと。ロックアウトには門前闘争を対置したこと。全国物販で闘いを広め、自主申告制を編み出して組合員の団結を固めたこと、などなど。
 例えどんな困難が立ちはだかっても、原則を貫いて団結を守り抜いた本山闘争は、ついに資本を追い詰め、「解雇撤回・原職復帰!」をものの見事に実現した。この偉大な闘いと歴史的勝利に国鉄1047名闘争も必ず勝利する。
 

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●労働ニュース(05年2月16日〜3月15日)

国家公務員、基本給5%下げ勧告へ
 人事院は今夏の「人事院勧告」に、国家公務員の基本給を一律5%程度引き下げ、東京など都市部で勤務する職員に対して「地域手当」を上乗せ支給するという給与制度の改革案を盛り込む。「地方で勤務する公務員の給与は、民間企業に比べて高い」との批判にこたえるための改革。

 自民「地方行革」に照準
 自民党が「地方の行政改革」に動き出した。地方公務員の給与引き下げや、選挙運動への罰則適用などが主な検討項目。市職員の「厚遇」が問題となっている大阪市に調査団を派遣したほか、給与引き下げなどに関する議員連盟を相次いで立ち上げる。4月の衆院統一補欠選挙や 今後の国会運営をにらみ、官公労の支持を受ける民主党を揺さぶる思惑がある。

 地方公務員の規制強化へ
 自民党は28日の役員会で、地方公務員や地方公営企業の職員による政治活動の規制強化を目的とした法改正を検討する方針を決めた。

 労組、35億円削減同意
 大阪市は16日、職員の福利厚生・手当を年間180億円分削減する案をめぐり、最大の職員団体である市労働組合連合会(市労連、約4万人)と5回目の労使交渉を行った。関淳一市長が初めて出席し、「(180億円を)新年度から削減する考えは今後も変わらない」と述べ、不退転の決意を表明した。

 成果主義 異変あり
 賃金制度の「成果主義」を見直す動きが相次いでいる。90年代半ば以降、日本的な年功型賃金への否定から広がった成果主義は、大企業では管理職だけでなく一般社員でも珍しくなくなった。その一方で問題も噴出。「社員の士気を低下させ、業績悪化を招いている」との指摘も根強い。労使双方が納得できる「日本型成果主義」を求め、模索が続いている。

 富士通成果主義手直し
 富士通は、幹部社員の成果の評価を従来の個人単位からチームワークなど組織単位の成果を重視する方法に転換した。給与は05年度から反映させる。個人がたてた目標の達成度で評価する目標管理制度による成果主義賃金で先駆けだった富士通だが、正当に評価されていないといった不満が社内で強く、社の業績低迷も続いた。バブル崩壊後、日本企業が導入を急いできた成果主義賃金が曲がり角に来たことを示している。

 美浜原発事故「関電、自覚たりぬ」
 昨夏に11人の死傷者を出した関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の蒸気噴出事故で、経済産業省原子力安全・保安院は14日午後、関電の事業者としての自覚不足や経営層の管理ミスを指摘した最終報告書案を、福井市で開く総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)・事故調査委員会に報告する。同社の合理化政策が事故の背景にあったと判断。定期検査期間を短縮するなど、安全を軽視して「工程優先と現場に誤解を与えない風土」の排除を求める方針も明らかにする。

 「時短促進法」の改正案閣議決定
 政府は4日、働き方の多様化に合わせ、労働時間の設定を事業所ごとに労使が定めることとする「時短促進法」の改正案などを閣議決定した。会期中の通常国会に提出する。同法は年間労働1800時間を労働者一律の目標として92年に施行された5年間の臨時措置法で2回延長され、06年3月に期限切れが迫っていた。改正法案は名称も「労働時間等設定改善法」に変える。

 「時短」の訴え影薄く
 「労働時間管理の徹底」連合が05春闘で掲げる労働時間短縮や不払い残業撲滅の要求だ。パートなど非正規雇用への置き換えと成果主義賃金の拡大で、正社員に仕事が集中し労働時間は増加が続く。だが、業績回復を受け各労組が最も重視するのは賃上げ。時短などの取り組みはなかなか盛り上がらない。

 05春闘、労使交渉始動
 05春闘は主要企業労組の要求がほぼ出そろい、労使間の交渉が本格的に始まった。足元の企業業績が総じて好調な一方、景気の先行きに不安も漂う。春闘の主役である自動車や電機の大手では一時金の交渉に焦点が絞られる半面、中堅・中小会社と化学や繊維、小売りではベアやベア相当分を要求して賃金底上げと格差の縮小を目指す動きが目立つ。

 平均賃上げ要求5千725円
 連合は8日、傘下組合の今春労使交渉の賃上げ要求状況をまとめた。ベースアップと定期昇給を合わせた平均賃上げ方式を採用する約1千600組合の平均要求額は5千725円(賃上げ率1・98%で、前年同期を73円(同0・17)上回った。

 派遣労働者236万人に
 03年度の全国の派遣労働者数は前年度より10・9%増え、延べ約236万人と過去最多を更新したことが18日、厚生労働省の労働者派遣事業報告でわかった。

 派遣先の面接禁止を
 派遣先企業が派遣スタッフを選別する違法な事前面接が常態化している。派遣労働者で組織している全国コミュニティ・ユニオン連合会は「年齢、容姿などによる雇用差別を助長する」として、面接禁止の順守を春闘の焦点に掲げて派遣業界に改善を求めている。

 民営化前に1万人削減
 日本郵政公社は今年4月から07年4月の民営化まで2年間の経営指針となる新たなアクションプラン(行動計画)に、職員を1万人削減するとの目標を盛り込む方針を決めた。定年退職などに伴って減少した人員の補充を抑え、経営の効率化を目指す。16日に開く理事会で新計画を正式決定する。

 郵政公社、32億円支払い
 日本郵政公社が昨年10月から12月までの3カ月間に、全国の職員約5万7千人に手当支給のない時間外勤務「サービス残業」をさせていたとして、総額約32億円の未払い賃金を支払っていたことが、23日までに分かった。

 スタッフサービスも30億円支払い
 人材派遣会社「スタッフサービス」(本部・東京)が、サービス残業させた全国の社員と退職者計約4千人に、過去2年間にさかのぼって総額約30億円の未払い残業代の支払いを始めたことが24日、分かった。

 横浜事件再審支持
 「確定」判決から60年、東京高裁が10日下した再審開始を支持する決定は、「拷問による自白ねつ造」の疑いを初めて認め、司法が犯した過ちの清算に向けた意志を明確にしめした。

 労働日誌(05年2月〜3月)

2月17日
 日本たばこ産業(JT)は、工場閉鎖や事業閉鎖に伴い募集していた希望退職者が、全社員の35%に当たる5796人になった、と発表。

2月22日
 自民党「公務員給与改革断行を求める若手議員の会」(会長・石田真敏)は、公務員賃金の年功制の見直し、民間との格差是正を求めて、4月をめどに報告をまとめることを確認した。

2月26日
 NHKは、受信料収入減少に対応するため、全職員の賃金を削減する方針を労働組合に提示した。

2月28日
 自民党は、役員会で、地方公務員法と地方公益企業法を見直し、職員の選挙活動に罰則規定を盛り込む方向を決めた。

3月1日
 総務省は労働力調査を発表。それによると1月の完全失業者数は296万人(前年同月比27万人減)となり完全失業率(季節調整費)は、4・5%(前月比同じ)となった。男性が4・8%(前月比0・2上昇)、女性が4・1%(前月比0・1低下)となった。

3月10日
 今春卒業予定の高校生の就職内定率は81・6%(1月末時点)となった。前年同期比で4・9上昇。大学生の就職内定率(2月1日時点)は82・6%で、前年を0・5上回っている。

3月10日
 日本航空(JAL)グループは、中期計画を見直し、人員削減を1400人上積みし、5900人減(07年度末)とする計画を発表した。

3月11日
 厚生労働省の発表によると20代〜30代前半の女性のうち、出産後も仕事を続ける意志があるパート・派遣社員の場合、4人に1人は離職を余儀なくされていることがわかった。

3月14日
 厚生労働省は、賃金構造基本統計を発表。それによると04年6月時点の一般労働者(=平均40・4歳)の平均賃金(=所定内給与)は30万1600円(=前年同月比0/2%減)となった。3年連続の減少。男女別では男性(平均41・3%)が33万3900円、女性(平均38・3歳)が22万5600円となっている。パート労働者の1時間あたりの賃金は男性が1012円、女性が904円となっている。

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●2カ月以上たって現場に行ってみたら、暴行を受けて痛かったことを思い出す

  国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

 2月23、3月16日東京地裁104号法廷において「国労5・27臨大闘争弾圧」事件の第36、37回が行われた。この公判では引き続き長野地本の平山芳夫が証人として出廷し、弁護側からの反対尋問が行われた。

 4党合意によって不採用問題が解決すると勝手に想像

 前回公判の補充として佐藤弁護人から「証人は4党合意で何らかの前進があると考えたのか」と質問に対して、「本人の希望で職場に帰る、あるいは解決一時金等が支給される、と考えていた」と答えた。そこで弁護人が「それでは4党合意でどうしてそのようにいえるのか」と質したところ、「そう思っていた」と勝手な想像であることを露呈した。すでに4党合意の責任者である甘利座長から、過大な幻想をえがいてはならないと再三申し上げている、と国労に対して再三にわたり僅かなものしか出ないとうことが言われている。このことをまったく無視して、あるいは正確な情報を得る努力をせず、地本の専従役員として組合員に誤った情報を出していたのである。そこで佐藤弁護人は「4党合意賛成も誤った情報の下での一票投票の結果ということにはならないのか」との質したが、「誤った情報かどうか分からない」、「いろいろ相談して一票投票が行われた」とひらきなおった。このように国労執行部は四党合意で解雇問題になんらかの解決の道が開かれるかのようなウソをついて組合員をだましてきたのである。酒田・吉田体制打倒の明確な根拠がここにあるといえるであろう。
 また平山は前回の公判で「3党声明での不当な干渉は拒否した」と証言した。そこで弁護側から、「どのあたりがあなたとして不当な介入と考えているのか」、「3党声明でいわれていることは全て受け入れているではないのか、拒否したものがあるのか」との問いに、「わからない」とか「示しずらい、具体的にはむずかしい」とまったく答えられなかった。また「国労もいっしょうけんめいやった」とか、「処分は国労できめた、4党合意を成功させるためには大会をひらかねばならなかった」とか、あたかも5・27の臨時大会は3党声明にしたがって開いたのではなく、自主的に開催したかのように強弁した。

 警察での事情聴取や調書作成の経過はまったく記憶から消える

 平山ははじめは久保田が受けた暴行に関連して6月上旬に長野中央署に出頭して、事情聴取をうけ、そこで自分も被害にあったとして6月25日に被害届けを出した、という経過であると証言した。また国労の中央本部の方から協力してくれという要請がきている、と吉田書記長から言われたことがきっかけであるとも証言をした。
 6月25日には長野駅前のホテルサンルートで東京からきた警察官に会ったという。「そのとき星警部、関警部はいたか」という弁護側の問いに、「わからない」とか、「よく覚えていない」と明確に答えないので、弁護人は「それでは警察の人は何人いたのか」と質問したが、「記憶にない」と言う。また被害届けのことについても、「この日に出したということを後から言われるが、そのときの流れをよく覚えていない」という。警察の人、しかも東京から来た人に会うということは組合活動の関連でもきわめて非日常的なことである、このような特別なことをすべて覚えていないというのはいかにも不自然である。その一方で「吉田書記長はいたのか」という質問にだけにははっきりと「居なかった」と言う。また弁護側からの「29回公判で同じ長野地本の池田証人が吉田書記長から、裁判になりそうなので、証人に出てくれ、と言われたと証言しているが、あなたにもそういう話はなかったのか」との質問にははっきりと「ありません、証人になるという認識はなかった」と否定した。
 またさらに9月3日に調書が作られていることを弁護側から指摘されても、「思い出せない」と言う。また当時の服装で撮られた写真についても、「背景をみるとたぶんホテルサンルートだと思うが、撮影の経過や、それが9月3日だったかどうか覚えていない」とまたしても記憶喪失になる。「このとき星警部はいたか」、「調書の記録者は警察官の遠山となっているが、他に誰かいたか」と言う質問にも「覚えていない」という。弁護側は「それでは写真を被害届けを出す前に撮ったという記憶はあるか」と質したのに対しても、「覚えていない、写真を撮った日は分からない」と言う。
 これまでの公判で池田は「書記長の吉田さんから、警察に行ってくれと言われたとき、平山さんに相談してからと言った」と証言している。また「被害届けを出すかどうか相談した」とも証言している。「あなたに池田からそのような話はなかったのか」との問いにも「記憶にない」という。37回公判は彼が証人として出ることになった3回目であり、それまで弁護側から被害届けを出した経過も含めて警察との係わり合いが何度となく質問されてきている。正しく証言しようとすれば、手帳などの記録を見てくるべきである。ことさら忘れたことにしていることは明らかである。

 暴行の痛みをずっと後になって思い出す

 6月25日の被害届けには彼自身の被害については、バスに乗ろうとしたのを手をつかまれて押し戻されたとしか書かれていない。それ以外は淺川さんや久保田さんを助けたとういことだけで、彼が腕をねじられたや痛かったということは一言も書かれていない。しかし8月20日の調書で突然に腕をねじられた、ということが出てくる。このとき痛かったということが何回も出てくる。これを弁護側に指摘され、「どうして後からそうなったのか」と聞かれたのに対して平山は、「8月7日の現場検証のとき記憶がよみがえった」と言う。最初の警察の事情聴取で自分の受けた被害が思い出せないのに何で後になって現場を見て痛かったことを突然思い出すのか極めて不可解である。
 出発のためホテルロビーに集まった時刻についても、9月20日の調書では、「6時55分ごろ」と書かれているのに、主尋問では6時50分とはっきり言っている。この点について弁護側からの「主尋問にあたっての打ち合わせのとき、自分のほうから50分と言ったのか、検察官が50分にしましょうと言ったのか」との質問に、「時間を変えたという意識はない」と言う。池田が膝けりの暴行を受けた時間について6時57分前後と言っている。平山は「外を見たらこの池田への暴行が見えた」と言っているので、ロビーに行った時間が55分では無理があるが、50分なら十分可能である。このことを考えてわざと50分としていると思われる。
 このように平山証言には「忘れた」、「記憶にない」、「何時だったか分からない」などが多い反面、妙にある所だけはっきりしている、意図的に使い分けていることがよみとれるのである。
 またこの日の公判の中で、羽廣被告から腕をねじられたという形について、そのときの姿勢の位置関係を弁護側からの要請で、羽廣さんと同じような体格の裁判所職員をモデルに写真撮影が行われ、今後公判で用いられることになる。
 次回もこの平山証人への尋問が続行される予定である。ぜひ多数の傍聴をお願いしたい。   (「許さない会」東京南部会員)

公判日程  第39回 4月20日(水)   第40回 5月11日(水)   第41回 6月1日(水)
         第42回 6月22日(水)   第43回 7月13日(水)

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特集  05春闘 戦時下の反撃

●戒厳体制下の卒業式・不起立闘争

 切り開かれた戦時下「日の丸・君が代」闘争の新地平

 ビラまき弾圧を大衆的反撃で粉砕

 05年の都立高校の卒業式闘争は、都教委・警視庁一体となった弾圧との真っ向からの激突となった。都教委は、校門でのビラまきに対して「建造物侵入」「道路交通法違反」として警察に通報し弾圧を要請するよう各校長に指示した。他方、所轄の警察署からも、校長への通報要請がなされた。副知事と治安対策担当参事に警察官僚をすえ、後者が青少年健全育成本部を統括する石原の警察政治は、学校の治安機関化を進めるものである。
 「日の丸・君が代」闘争への刑事弾圧は、昨年の板橋高校事件(来賓として参加した元教諭が「威力業務妨害」で起訴)で始まっていたが、いまや警察権力が闘争圧殺の前面に登場した。式当日は、私服刑事が校内を徘徊し、校門前に制服警官や公安刑事が陣取ってビラまきを妨害するという文字通りの戒厳体制が現出した。
 卒業式初盤の3月4日の野津田高校での2名不当逮捕は、まさに「『日の丸・君が代』に反対するものは、過激派、非国民」という見せしめ弾圧であり、教育労働者の抵抗闘争への威嚇効果をねらったものだった。これに対して、翌日、学校と警察署に対する即座の大衆的反撃が叩きつけられ、検事の勾留請求を却下する決定がかちとられた意義は大きい。その取り戻しをかけて警察が強行した8日の農産高校での不当逮捕は、検事が勾留請求もできずに仲間の奪還をかちとった。
 戦時型弾圧を粉砕した核心的な力は、教育労働者の不屈の抵抗闘争の存在である。そして、弾圧粉砕の勝利が、逆に教育労働者を鼓舞激励するものとなり、教育労働者自身の警察権力への反撃の合図となった。
 都高教本部は、校門ビラまきに対しては「管理職対応」、つまり警察への通報と弾圧要請を方針とする恐るべき腐敗を示していた。しかし、各職場では、通報への徹底追及や通報させない校長交渉、式当日は、校門前を制圧する警察を徹底弾劾し追い払う教育労働者も続出した。
 ビラまき逮捕と戒厳体制は、「特高警察の復活」「戦時下の言論・表現弾圧」という怒りと危機感を広範に呼び覚ました。強制反対のビラまきに警察をさしむけた暴挙は、都教委の墓穴に転化しているのである。

 戒厳体制下で不起立を貫徹

 なによりも決定的なことは、昨年の大量不起立闘争を引継ぎ、戒厳体制を突き破って不起立闘争が断固うちぬかれ、新たな不起立決起がかちとられていることである。
 すでに不起立2回で減給処分が出され、「複数回で分限免職」の恫喝が加えられていた。来年度からは、処分による昇給延伸に加えて業績評価による二重の不利益が加えられる。被処分者に対する見せしめ的な強制異動が強行され、さらに、都教委は、嘱託採用選考で被処分者全員を不合格とし、「一度でも座れば嘱託の道はない」という恫喝をもかけてきた。そして、念には念を入れて、被処分者の大半に式場外業務を命じ、不起立闘争の封殺に躍起となった。教職員の監視のための指導主事の派遣は、最大で10人に及んだ。
 なによりも、不起立闘争圧殺の最大の切り札が、ビラまき逮捕であり、校内を私服が徘徊し、校門前を警察権力が制圧し、教職員を威圧、監視する戒厳体制だった。
 だが、この異常な状況下で、都立高校だけで50名を超える不起立決起がかちとられ、2度目、3度目の不起立者も続出した。まさに、戦時下階級闘争としての新たな質をもった不屈の抵抗闘争がかちとられているのである。

 生徒も、保護者も、弁護士も闘った

 05年の卒入学式闘争は、全人民的共同闘争としても画期的な地平を切り開いた。地域の労組、住民、市民による学校への申し入れ行動が、教育労働者の職務命令阻止・撤回の職場闘争に連帯してかってない規模で取り組まれた。
 式当日のビラまきは一個の大衆運動として広がり、〈校門前〉は大衆闘争の現場となった。不起立を決意して登校する教育労働者や、強制に怒る保護者、生徒との感動的な交流の場となり、焦点校では各団体あわせて数十の大闘争となって権力の弾圧を完全に押し返した。弁護士戦線も、弾圧監視に決起し、人権侵害の監視と事情聴取への立ち会いを要求して闘った。
 都教委は、昨年から生徒の不起立を理由として教育労働者に注意、指導処分を加え、「先生を処分させたくないなら立ちなさい」と生徒に強制する卑劣な攻撃を始めていた。今年は職務命令書に「生徒への適正な指導」を盛り込み、懲戒処分の脅しで「内心の自由」の説明を禁止しようとしてきた。だが、「内心の自由」の説明こそ教員の責務だとして、大半の職場で授業、HR、予行の場で取り組まれた。
 生徒たちも自主的に討論し、決起した。答辞などで「先生をいじめるな」「強制はおかしい」などの都教委批判が続出し、「君が代」不起立だけでなく都教委、校長に対する抗議着席も行われた。学生たちによる同世代の生徒へのビラ入れは、大きなインパクトを与え、自らビラまきに決起する高校生も登場した。「日の丸・君が代」強制との闘いは、教育労働者の職場抵抗闘争を軸に、石原・都教委への総反乱の様相を示しつつある。

 全国に拡大した不起立・不服従闘争」

 「東京を孤立させるな」を合い言葉として、大阪をはじめとして「不起立宣言」運動が連帯闘争として取り組まれ、「斉唱時起立」を明記した通知が出された神奈川県立校では、3桁をこす不起立が闘われた。01年以来の不起立処分に抗して闘いを継続してきた広島でも、青年労働者を先頭に新たな不起立決起がかちとられ、創意工夫をこらした抵抗の意思表示が広がった。
 東京の10・23通達型の攻撃が全国に波及することへの危機感だけではない。8・6広島を出発点に、現場組合員による全国統一闘争として「日の丸・君が代」闘争を復活させようという意識的な闘いが生み出した地平である。闘う日教組運動を再生しようとする潮流が、はっきりとその姿を現しつつあるのだ。

 教育労働者の階級的路線と指導部の形成へ

 卒業式にいたる過程は、2・6都教委包囲ネット集会の不起立宣言集会としての圧倒的成功、2・8本部委員会での本部による「職務命令に従う」屈服方針の反動的護持、2・17三者の総決起集会と卒入学式対策本部の設置、警察権力の大弾圧体制の反動という息づまる動―反動の攻防の連続であった。
 なによりも、被処分者の会、被解雇者の会、予防訴訟を進める会の三者は、卒業式にむけて、「卒入学式対策本部」を設置し、全都の教職員に「強制への不服従」を呼びかけるアピールを発して闘ったことに、05年卒入学式闘争の到達地平が凝縮して示されている。
 被処分者の新たな団結体は、処分撤回のみならず不起立・不服従闘争を継続・発展させる運動体へと飛躍しつつある。他方、卒業式闘争を通じて、都高教本部の反動性はいよいよあらわとなり、組合員の怒りと不信は極点に達している。現場組合員の手に闘う都高教を取り戻す闘いは、まさにこれからだ。
 つくる会教科書や国民保護計画策定に伴う国防教育の動き、他方、日教組本部の論憲路線への転換など、教育労働者戦線は、いよいよ自らの存亡をかけた攻防に突入する。入学式闘争を断固闘いぬき、05年教育基本法決戦=日教組決戦にただちに突入しよう。

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特集   05春闘 戦時下の反撃

●動労千葉3日間のストライキを打ち抜く!

 本日、スト突入!
 定期昇給解体―賃金制度破壊を許さず、大幅賃上げ獲得へ、05春闘ストを貫徹しよう!

 本日、動労千葉は、05春闘勝利!大幅賃上げ獲得、反合―運転保安確立、強制配転粉砕、定年延長実現、1047名の解雇撤回、JR総連解体―組織強化・拡大を掲げて、本線運転士、検修等の地上勤務者、営業関係の全組合員が一丸となってストライキに突入した。
 全組合員の力でストライキを貫徹し、大幅賃上げ獲得に向けて闘いぬこう!
 05春闘ストライキは、歴史の分岐点をなす闘いとして、極めて重要な闘いになっている。
 日本経団連会長・奥田を先頭にして日本の支配階級は、「定期昇給廃止」を声高に叫びながら労働者への攻撃を強めている。この春闘過程ですでに定期昇給の廃止を提案し、組合側も唯々諾々と認めるという状況が発生している。
 こうした事態は、昨年までのベアゼロ攻撃から、本格的な定期昇給廃止、賃金制度破壊に、資本の側が打って出てきたことを意味している。
 こうした攻撃に対して労働組合が反対の声を挙げ、ストライキに起ち上がって反撃することが今本当に求められているのだ。
 こうした攻撃は、JRの中でもすでに始まっている。

 JR西日本―若手はほとんど昇給せず

 JR西日本で現在導入されている「新昇進・賃金制度」では、資格給が9ランクに分類され、しかも各ランクの中でもS、A、B、C、D成績に合わせて5段階に分けられ、細分化されている状況だ。
 しかしJR西日本は、昨年12月には、新たな「新昇進・賃金制度」導入に向けた提案を行っている。
 その内容は、試験による進級を重視し、その上で一定の年数(6年)以内に合格しなければほとんど昇給しないというとんでもない代物だ。
 18歳での採用給を14万1千770円とした場合、表1の基準で昇給した場合、6年目までで16万8千670円となるものの、その後は一切昇給しないというものだ。しかも昇進・昇給には会社側の査定が加えられ、評価がよければ一定昇給が増えるものの、悪ければ逆に賃下げになる制度でもある。

 労働者として胸を張ってともに闘おう

 こうした制度が導入される背景にあるものは、労働組合が一切の闘いを放棄しているからに他ならない。JR連合はもちろん、「1047名はイラクに行け」などという国労西日本本部の姿勢では、足元を見られて一気呵成に攻撃がかけられてしまう。
 JR東日本においてこうした攻撃を阻止するためには、JR東労組を解体する以外にない。労働組合が現場の労働者を信頼し、断固とした闘う方針を掲げて頑張りきれば絶対に導入することはできない。
 現在JR東日本も、新しい賃金制度を検討していることを公言してはばからない状況だ。昨年度最大の利益を上げながらベアゼロを強行した背景も、資本の側の意思を反映したものだ。日本経団連の姿勢やJR西日本の状況を見れば、導入するスキを狙っていることは間違いない。
 これを阻止する力は、われわれ労働者が持っているのだ。
 05春闘をともに闘おう! スト破りを拒否し、ともにスクラムを組み、胸を張って闘おう!
 05春闘スト貫徹!

 05春闘ストライキ貫徹! 3・17動労千葉総決起集会

 反合・運転保安確立! 強制配転粉砕第2ラウンドの闘い

 05春闘ストライキ貫徹! 3・17動労千葉総決起集会が、千葉市文化センター・5Fセミナー室において開催された。

 労働者の本質を示している闘い

 集会は、冒頭、田中委員長が05春闘全般情勢を含めあいさつし(要旨別掲)、続いて、連帯・激励あいさつとして、三里塚芝山連合空港反対同盟・北原事務局長より、「動労千葉の労働者がいるから、三里塚も闘える。他人まかせでなく自らが闘う。労働者の本質を証明している組合だ。労働者の国際連帯を作っていく。農民は全国の農民と共に連帯を作る。こういう時代がくれば戦争は出来ない」と訴え、次に、34年間の不屈の闘いによって職場復帰を勝ちとった、全金本山労働組合・青柳書記長より、「34年間の労働組合の原則を守る闘いにより2名の解雇撤回、年金資格の回復、年令を問わず就労希望者については就労を認める。30年間組合つぶしを行なってきたことに対する、関係各所に遺憾の意を表明する謝罪広告など、全面謝罪を勝ちとった」との解雇撤回闘争の勝利の報告が行なわれた。そして動労千葉を支援する会のあいさつ、婦人民主クラブより団結タマゴを受け、動労千葉家族会、三多摩労組交流センター、闘う学生より檄布を送られるなど、闘争の波及力を実感した。

 強制配転粉砕への第2ラウンド

スト決起! 熱気あふれる会場
 05春闘交渉報告に続いて、長田書記長より05春闘に起ちあがった動労千葉の闘いについて、安全運転闘争に起つ意義、イラク反戦の闘い、教育基本法―憲法改悪攻撃の実態、小泉―奥田による戦争と大民営化攻撃との対決、国鉄改革の総決算攻撃の中身について等々の基調報告があり、この間、営業職場から運転職場に復帰した12名全員が登壇し、代表して幕張支部・吉野さんが全員の気持ちを代弁した。

 勝利するまで闘いつづける!

 集会は、続いて鉄建公団訴訟に起った動労千葉争議団九名を代表して高石さんの、勝利するまで闘っていきたいとの力強い決意を受け、乗務員分科会、検修分科会、事務分科会そして各支部を代表して、千葉運転区支部・椿支部長、幕張支部・山田支部長、新小岩支部・佐藤支部長が、「力を合わせて05春闘勝利の闘い、新しい流れを現場労働者が作っていく」との決意を受け、千葉支社抗議行動、千葉駅頭街頭宣伝を行い、各拠点の闘いへと引き継がれていった。

 再び勝負の時がめぐってきた!(田中委員長あいさつ要旨)

 団結を守り抜いてすばらしい闘いに決起した組合員に感謝したい。労組が労組としての姿を失っている中で、動労千葉は一糸乱れず闘争に入っている。05春闘ストは労働者としての意志と決意を示す闘いだ。労働者の置かれている現実は、生活保護143万人、国民の100人にひとりが生計を立てられない。これが偽らざる現状だ。一体これでいいのか。戦争と大民営化攻撃が吹き荒れている。労組、教育、報道がつぶされたら戦争の道だ。JRにおける情勢も大きく動き出している。07年に向かって「国鉄改革の総決算攻撃」がはじまった。「JR体制」も18年間動かなかったが、ギシギシと動きだしている。12名の仲間が幕張に戻った。シニア制度は法改正に伴って、06年対象者から希望する全員が対象となりますと言わしめた。会社側は鉄道を動かす者として堕落の極みにある。線路の破断に対する危機感もなく、隠蔽しようとしている。闘いの原則を守って団結して闘っていけるのかどうか、分割・民営化に対して首をかけて2波のストに起ってから、ちょうど今年は20周年、この闘争の意義は改めて大きかった。あの当時何と言われていたか?国鉄改革の次は教育改革と言われていた。分・民反対の闘いがあったからこそ、教育基本法―改憲を遅らせてきた。あの闘いなくして1047名の解雇撤回闘争もなかった。そしていい勝負が出来る闘いを繰り広げてきた。外注化をストップさせ、意気軒高として立っている。また再び勝負の時がめぐってきた。
 大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう! (日刊動労千葉6042号、6044号より転載)

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●2005年3月16日職場復帰しました

  全金本山労働組合

 本山資本の、工場移転・首切り合理化・組合潰し、33年10カ月にわたる2名の不当解雇・暴力労政・ロックアウト攻撃を跳ね返し、私達は、解雇撤回・原職奪還を果たしました。

 3/5勝利報告集会盛大に開催

 3月5日、仙台での闘争報告集会は、連合宮城の事務所のある「ハーネル仙台(労働福祉会館)」の大広間に北海道から九州まで200名の労働者・学生がかけつけ、闘いの勝利を共に祝い、労をねぎらい、これからの新たな旅立ちと共闘を誓いました。
 長谷委員長から34年間の全国の仲間のご支援に対する御礼を述べると共に、様々な攻撃を跳ね返す闘いと団結の核心にはいつも「一人の首切りも許さない」スローガンがあった事、全国の労働運動の力で勝ち取ってきた勝利である事を自信と確信を持って報告しました。
 弁護団から「長期の争議組合が17名も職場復帰出来るというのは異例のこと。当該組合員が闘いの灯をともし続けてきた団結力、それを全国の支援の皆さんが支えてきた事が大きな成果を導いたことを喜びを持って皆さんと分かち合いたい」と挨拶をいただきました。
 東洋エンジニアリング(ユーザー)労組元書記長の山本氏は、「新幹線がまだ無い時代、夜行列車の3両?を占有するほどの人数で闘争に参加しました」とのエピソードが語られ、「本山闘争の完璧な勝利を祝って乾杯」と音頭をとっていただきました。
 この日のために取っておいたおろしたてのきれいなゼッケンをつけた組合員・家族が演壇前に整列し、自己紹介と一言の挨拶をしました。
 闘いの過程で上部団体の方針転換に対して抗議の自殺をした佐藤満男組合員、病に倒れた千田輝行組合員の遺影も組合員と共に並びました。職場復帰する人もしない人も34年間の悲喜こもごもの思いを込めて発言し、これからの旅立ちへの決意を語りました。
 群馬から駆けつけたニッショー・ニプロ労組の女性から花束が青柳書記長に贈られました。
 元宮城県労評議長・高橋氏は、
 「組合員の皆さんの挨拶は、34年の苦労や教訓に満ちた話で我々を激励してくれるような発言でした。ただただ、ご苦労さん、おめでとう、そして、ありがとうと言いたい。単に闘争勝利だけでなく、完全勝利と受け止めても良い。応援団が逆に激励されている。改憲、軍国主義化、右傾化という厳しい現実があるが、がっかりする必要はない事をこの勝利ではっきり分かった。労働者の権利、反戦平和のために老骨にむち打って共に頑張る」と大先輩から祝福されました。
 角石・仙台市職労委員長は「三井三池の闘いと同様の闘いにおける歴史的勝利」、中野・動労千葉前委員長は「連合結成以降後退する労働運動の中で反転攻勢の芽が出てきたこの時期に勝ったことがいい、長期闘争でも執念を持って闘えば必ず勝機は来ることを本山は示したという勝ち方がいい」、さらには、関・東京交通労組書記長は、「公務員バッシングの攻撃の中での本山闘争勝利は私達に大きな勇気を与えている」、西村・金属機械港合同事務局次長は「全金細川闘争における暴力ガードマン追放の闘いでの連帯共闘」の歴史的教訓を述べて勝利へのご祝辞をいただきました。
 参加者始め全国の支援団体・個人から多数のご祝儀・祝い酒をいただきました。また、自治労中央本部副委員長、同富山県本部、新潟県職労、元全金中央本部平澤書記長はじめ多くの檄電・メッセージが寄せられました。

 3/11東京報告集会200名

 反動石原都知事のいる東京都庁内のカフェテリアを会場にして報告集会を開催し、117団体200名の参加で盛大に行いました。
 東京・千葉・神奈川など首都圏から、都労連傘下の労組役員・組合員、数多くの争議団、地域の労組員がかけつけ、共に勝利を祝いました。小野東京分会長と仙台から赴いた7名の組合員が御礼と今後の決意を述べました。
 今後、新潟、神奈川での報告集会が予定されています。

 3/16就労激励行動に80名

 いよいよ、32年ぶりに本山製作所の門を職場復帰のためにくぐる日がやってきました。
 お天気は、組合員を祝福するように穏やかな春の日差しに恵まれ木々の上には小鳥のさえずる声が聞こえました。
 正門前には午前7時50分頃から支援の仲間が続々と結集しました。組合員は、各自通勤の自家用車を会社構内の所定の場所に置いてから正門前に集合しました。集まった組合員や支援の仲間の顔には明るく勝利感に満ちたはつらつとしたこれ以上ないくらいの『いい顔』が。「解雇もロックアウトも撤回された。3月16日、32年ぶりに職場に戻ります」と書いた横断幕を持って組合員が整列しました。支援の仲間は『闘争勝利おめでとう』「解雇撤回・原職奪還、おめでとう」『職場に砦、地域に共闘を』と大書きした横断幕で組合員を祝福・激励しました。
 「組合員の皆さんが32年ぶりに本山製作所の門をくぐります。この勝利を改めて確認をし、職場復帰を激励する門前での集いを始めます。」と、支援団体を代表して仙台市職労の神保副委員長の司会挨拶で激励行動が始められました。
 はじめに、青柳書記長から和解成立までの経過を簡潔に報告しました。
 「34年の労使紛争が企業経営に与えた影響、従業員に対する影響、また、34年間の労使関係の断絶は大きい事を会社は心して今後に臨んでほしい。3月7日に会社は社内にいる従業員に対して『トラブルを起こすな、起こしたら厳しく処分する』との通達を出して和解成立の意義を強調している。
 組合員17名はそうした会社側の姿勢を踏まえて本日から就労します。これまでのご支援ありがとうございました」と締めくくりました。
 八重樫前委員長もかけつけ、「外にも組合員がいるので何かあっても大丈夫」と職場復帰する組合員を激励しました。
 長谷委員長は、組合潰しを続けてきた本山一族、借入金をしこたま作っておきながら責任を取らない歴代経営陣を弾劾し、また、長期にわたる全国の支援者各位への御礼を述べました。
 その上で、「正常な労使関係の確立と言う言葉で和解調書には表現されているが、本来の労使関係というのは、労使間の対立関係が解消されていない資本主義社会であり、いつどこで対立点・矛盾点・激突点が発生するかも知れません。本来の労使関係に戻る、本来の労使の闘いの戦場に戻るんだという決意で『職場に砦、地域に共闘を』のスローガンを実践していく。全国の労働者の団結を大きく作っていく、そのために、ここを根城にしていく」と決意を明らかにしました。
 元被解雇者の熊谷春男組合員から「最高裁敗訴判決を跳ねのけて今日職場に戻ります。過去にはあまり例がないことと思うので非常に意義のある事と思います。仕事は頑張ってやりますが、会社が攻撃を仕掛けてきたらいつでも反撃をするんだという気持ちを持って牙を研いでいく。失った2名の組合員(遺影)と共に職場に戻ります。今後も頑張ります。」と熱い思いを語りました。
 支援の女性陣から花束を組合員各人に手渡されたあと、正門前に全員が並んで記念撮影を行いました。
 始業時間は8時30分、いよいよ門をくぐる時間だ、長谷委員長の音頭で会社構内に響けとばかりに「勝どきの声」として「団結がんばろう」を三唱して青柳書記長も一緒に構内に入り、17名は管理棟3階の会議室に向かいました。東京の支援の仲間は構内に用意された組合事務所に入りコーヒータイム。
 当日は、作業服や安全靴の支給があり、社内の配置や工場内の状況を見て回りました。また、会社会議室において、社長以下取締役と部長クラスとの顔合わせと社長挨拶が行われました。
 千葉社長「30数年という長い間大変な争議を続けてきました。しかし1月19日お互いの大英断によって和解調書にサインすることが出来ました。過去にいろいろありましたが、和解調書に従って会社としてはその履行に最善を尽くしていきます。皆さんと社員全員で付加価値を生んで皆さんとの約束を履行していきます。暫くぶりの職場ですので職場になれていただいて事業に職務に専念して頂きたい。事故を起こさないように安全に仕事をして頂きたいと思います。」と挨拶がありました。
 その後、講義と実習に入り、昼食は社員食堂で、昔なじみのJAM組合員や管理職と談笑する風景があちこちで。
 そして、初めての週休2日の19日(土曜日)、ピースアクションにみんなで参加し、仙台分室・これまでの組合事務所で祝杯を挙げた。
 こうして、全金本山労働組合は新たなスタートを切りました。

 労使確認の内容

1.被解雇者2名の解雇を、解雇日に遡って撤回する。
 1名は他の組合員と同じ条件で職場復帰。1名(現在63歳)は定年退職日において退職。※2名とも最高裁で上告棄却=反動判決が確定していた。
2.ロックアウト状態の組合員29名については、就労を希望する者(16名)は60歳に達している者も含めて職場復帰。
 就労を希望しない者は和解成立日をもって退職とする。
3.被解雇者を含め全員の社会保険被保険者資格回復の遡及手続きを行なう。
4.小野東京分会長について、賃金是正を行い、未払い賃金を支払う。
5.解決金及び未払い賃金の支払い。
6.職場復帰は05年3月16日とする。

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●労働者学習シリーズ  帝国主義  第3回 過剰資本

 島崎光晴(しまざきみつはる) 労働運動理論センター

 前回につづき、労働者学習センター主催の労働学校での講義、そこでの質問・感想、それに対する私の回答を中心に、帝国主義と現代帝国主義について考えていきます。

 工場設備の過剰で不況に

●講義 今回は資本の過剰の話です。資本が過剰になるというのはどういう意味か。投下資本に対する利潤の割合、これを利潤率と言いますけど、これが下がることなんです。投下する資本の量が増えるんだけれども利潤がそれほど増えなくなる、あるいは減っていく、つまり利潤率が下がってくる。これを資本の過剰と言います。「より大きな資本がより小さな利潤しか生み出さない」というとです。資本家がカネをつぎこんでも、儲からなくなる。
 なぜそんなになるのかといったら、今回の帝国主義論で言いますと、生産設備が多くなりすぎているからです。たとえば、日本ではこの間、デジタル家電(デジタルカメラ、薄型テレビ、DVDプレーヤー)の生産が増えてきました。しかし、昨夏から在庫が増加し、生産抑制に転じています。とくにコンパクトデジカメは各社の一斉増産で、昨年12月時点で600万台もの在庫を抱えています。単に生産物が多いだけでなくて、その物をつくっている設備、工場設備が多すぎる。設備のことを生産能力と言いますけれど、生産能力が過剰になり、生産物が過剰になって利潤率が低下する。これが資本の過剰ということなんです。
 設備が過剰になっても、設備自体が大きいから、機械をそう簡単に取り替えられない。では、たとえば過剰な半導体工場はどうするのか。よく質問されるんですけども、「壊しちゃえばいいじゃないか」と。だけど、壊したら会社が倒産するでしょう。資本をそういうふうに破壊したら資本家は破産してしまう。だからできない。
 不況とか恐慌とかという場合の原因は、この過剰資本です。資本が過剰になって、利潤率が下がって、資本家として儲けられなくなって、不況や恐慌になり、それで失業者が出るわけです。不況とか恐慌とかの根っこにあるのはこの生産能力の過剰、生産力の過剰です(ブックレット『現代の資本主義−帝国主義の7つのキーワード』23〜27n)。
 図をみて下さい。生産能力指数は、92年ごろにピークをつけていますが、その後2001年までは全然下がっていません。過剰生産能力がずっと持ちこされているわけです。このため、設備稼働率は91年にピークをつけた後は、上下しながらも低水準の状態が続いています。

●感想 生産物の過剰は単なる技術の向上というイメージが強かったが、工場=設備が多すぎるということ。設備=資本というのはわかっていたが、それと過剰資本というのがわかってきて、なぜ過剰なのに止められないのかやっとわかった。

●質問 過剰資本についてですが、昔などは自社の労働者の賃金を上げて自分の会社の自動車を買わせるというようなことがあったようです。供給過剰の時、賃金を上げて需要をつくり出すということだと思いますが、これは一般的には失敗するのでしょうか。どういう関係で過剰生産力状態に対応できないのでしょうか?

●回答 「賃金を上げて需要をつくり出す」という場合の「需要」というのは、主に自動車とか家電とかのいわゆる耐久消費財になると思います。かりに賃金を上げれば、耐久消費財が増加する資金的要因にはなります。ただし、かりに賃金を上げつづければ消費がどこまでも増えるかというと、そうはなりません。耐久消費財の普及が一巡してしまえば、かりに資金的余裕があっても消費財をさらに買うとはなりません。需要一巡で停滞→それに代わる別の耐久消費財の市場投入→その需要も一巡→また別の消費財の投入という経緯をたどって、どこかで頭打ちとなります。これは〈耐久消費財部門に特有な成熟性と停滞性〉と言われます。ですから一般的に言って、賃上げ→消費増→過剰資本の解消、とはならないのです。
 今は逆に、過剰資本状態であるからこそ賃下げが襲いかかっています。日本はとくに80年代以降、過剰資本状態を脱却しようとして、アジアなどへの直接投資(工場建設)と輸出を増やしてきました。しかし、90年代になって日本の国際競争力は相対的に低下してきました。それは、アメリカ企業が80年代以降、えんえんと賃下げをやり、非正規雇用を増やし、労働条件を大幅に切り下げてきたからです。アメリカ企業はそれによって収益性を向上させ、国際競争力を一定回復してきたわけです。
 これに対し日本企業も、賃下げなど搾取を強めることで、国内外市場での競争で巻き返そうとしているのです。それが過剰資本状態にある日本企業にとっての死活的な対応策なのです。過剰資本状態→国内外での競争にうちかつ必要性→そのための賃下げ、となっているわけです。

 資本主義としての大破産

●講義 資本の過剰というのは、おかしな話ですよ。人間は自分の生活を生産し、新しい欲求に応じてまた生産します。だから人類は当然、生産力を発達させるわけです。ところが、生産力が発達してどうなるのかといったら、生産能力が過剰になって、不況とか恐慌になって労働者は失業してしまう。帝国主義時代にはしかも大恐慌、大失業まで起きる。これは資本主義社会だからです。
 『共産党宣言』ではこう言っています。「ブルジョア的諸関係は、自分の生み出した富を手のなかに容れておくには狭くなりすぎた」と。資本主義社会だから自分でつくり出した富を抱えきれない。抱えきれないものだから大失業を生み出しちゃう。
 だったらどうすればいいのか。これも『共産党宣言』からの引用ですけれども、「資本が社会のすべての成員の共同の財産に転化する」以外にないんです。生産能力が過剰だと言った場合、これは資本ですよ。資本主義社会だからこそ過剰なんであって、だったら、「社会のすべての成員の共同の財産」にしちゃえばいい。資本主義的な利益がどうのこうの、ということから経済が運営されるから過剰になるんです。共有財産にしちゃえばいいじゃないか。そうすると過剰でも何でもない。かりに1日8時間労働しているんだったら、1日3時間労働にしたらいいわけでしょう。これが共産主義なんです(同27〜29n)。

●感想 過剰資本、過剰生産力の説明のところでは、資本主義の死と共産主義の明日が鮮明になるような気がします。

●回答 そうです。過剰資本の話は、単にそれが不況の原因だということだけではないのです。過剰資本状態には、資本主義のどうしようもなさが端的に現れているのです。しかも、それを解決するには共産主義しかないわけです。過剰資本から生じる大失業という現実に対し、労働者階級は資本主義の破産をみてとり、共産主義を希求して行動しなければなりません。

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●闘う合同労組 第8回

 苦闘と困難を承知で前進します

 北陸ユニオン

 北陸ユニオンは、昨年6月北陸労組交流センター第13回総会に結成しました。ここ数年来、非正規労働者が激増し1500万人を超えたという報道に接するたびに、何とかしなければという思いが絶えずありました。とりわけ他地区の交流センターもそうだと思いますが、北陸も活動家層の高齢化が進み、また思うように交流センターの会員が増えない現状を打ち破りたかったわけです。
 何度かの学習会をやりながら、では「誰が(猫に)鈴をつけるのか?」にいつも戸惑い踏み切れなかったというのが現実です。その重い背中を押してくれたのが、東京「西部ユニオン」のAさんでした。あれは04年2月の春闘討論交流会でした。はるばる富山まで来てくれたAさんは「本当にやらないんだったら富山に行かないぞ」「60過ぎたらユニオンやるのが一番いいのだ」という迷文句を残して帰られました。
 以来「西部ユニオン」の背中を見ながら、今まで労働相談を軸にしながらやってきました。Aさんの「3年は、何も成果がなくても心配するな! それで当たり前と思え、その間労働者は、本当に頼れるユニオンかどうかじっと見ているのだ」を信じたわけでもないのですが、本当に組織化に結びつくような成果はありませんでした。しかし、交流センター会員の中で意識が変わってきたように思えます。今まで自分の職場に目を向けず「他人事」のように活動してきた会員が、まず自らの拠って立つ足元を見始めたのです。ある女性会員は、「パートには有給休暇はない。うちは制度として認めていない」という店長・経営に対し、年次有給休暇を勝ち取りました。

 2・20春闘講演会の成功

 今年2月20日、05春闘講演集会を「日の丸・君が代」被処分者の会のBさんの講演を軸に行いました。春闘と「日の丸・君が代」強制反対をどう結びつけるのかを討論したうえで準備したつもりです。
 Bさんは講演の終わりにこう強調されました。「『日の丸・君が代』強制に反対し、日本の戦争国家づくりを粉砕する闘いは、日本の労働者全体の闘いです。なぜなら『日の丸・君が代』強制は、一人一人の教育労働者をもの言わぬ労働者にする攻撃です。労働者がもの言わなくなったら職場は変わらない。労働運動でも同じです。労働者が職場から声をあげなかったら資本の攻撃をはねのけていくことはできません。私たちは常に資本の攻撃に対して『ノー』と言う声を突きつけていく必要があります。私たち教育労働者の職場では、『日の丸・君が代』強制に『ノー』と言うのがその闘いです。…日本の国民が戦争に動員されたら賃上げなど言っていられない。そうならないようにする闘いです。
 私たち教師は、戦後一貫して『教え子を戦場に送らない』という不滅のスローガンを掲げて闘ってきました。私たちが教育現場で闘い続ける限り、戦争教育を貫徹することはできません。私は様々な攻撃にあっていますけど、確信を持ってこの闘いを進めていきたいと思っています。絶対に敵の攻撃に屈するわけにはいきません。ひざまずいて生きのびるよりは、立ち上がって闘って生きたいと思っています。」と。
 東京の教育労働者の闘いは、全国の労働運動の先頭でその重圧を担いながら、意気軒昂と闘っておられます。私達も、その気概で職場・地域で資本の攻撃に「ノー」と言い、戦争動員に対して「ノー」と言う闘いに立ちあがることを改めて決意させられました。北陸ユニオンは資本の横暴と戦争に反対する労働者を一人でも獲得するために結成したつもりです。今回の春闘講演集会は、その希望に燃えた第1歩です。

 青年・女性の組織化が重要(労働相談と労働学習会)

 3月上旬のNHKスペシャル「フリーター漂流」にあったように、今、若者が「モノ」のように使い捨てられている。400万を超えるといわれるフリーター、また60万人の「ニート」といわれる若者は、まさしく95年日経連の「これからの日本的経営のあり方」によって、意図的につくられているのです。彼らを団結させ「なぜ自分がこんなすさまじい労働環境なのか、なぜ使い捨てされねばならぬのか」という答を出せるのは、私達以外にありません。とりわけ1500万の非正規労働者の大多数は女性・青年労働者です。
 前号の新潟地域一般労働組合の報告にあったように、何か事あれば一番最初に解雇されるのは非正規労働者です。この労働者を犠牲にして生き延びるのが資本・経営です。04年12月、日本経団連が出した05春闘対策の指針は「攻めのリストラと工場法以前の状態に戻せ」ということです。「攻めのリストラ」とは今までを越える「首切りと労働強化」をするということです。「工場法以前」とは、労働者を100年前の「あゝ野麦峠」の時代に戻すということであり、無権利状態にするということです。私達は、このような戦時下の時こそ合同労組運動が必要だと確信します。
 現在、4大産別を先頭に労組破壊の攻撃がかけられています。一方で膨大な未組織労働者が存在しています。北陸ユニオンは戦争と民営化(労組破壊)攻撃に対して、まず未組織の労働者が労働組合のもとに団結する受け皿という側面があります。また北陸ユニオンは、民営化(労組破壊)攻撃の矢面に立たされている4大産別の闘う現場労働者と固く連帯し、支援する闘いを取り組んでいきます。
 今の北陸ユニオンの実情にめげず、大きな展望をいわせてもらえば、北陸ユニオンを富山・北陸の地で未組織労働者から信頼される労働組合としてつくりだします。そして地域の労働組合・労組活動家からも認められ、一目おかれる労働者の立場に立った、原則的で階級的な労働組合としてつくりだします。

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●国民皆保険制度の解体につながる公的病院つぶしと大量解雇を許さず、労働者医療を守ろう!

 署名などへのご支援・ご協力を

 健康保険病院労働組合 福島診療所支部

 大阪にある福島健康管理センターは、社会保険庁の外郭法人の全国社会保険協会連合会(全社連)が委託を受けている全国にある社会保険病院のひとつです。
 小泉政権は、「官」から「民」への方針で、公務員の削減や公的病院の民営化、廃止と大量の労働者の首切りを打ち出しています。国公立病院などは軒並み独立法人化され、健康保険制度や年金制度の中で運営されてきた医療機関も一斉に廃止・民営化され、公的病院そのものをなくそうとしています。
 政府は、今年の10月に「独立行政法人 年金・健康保険福祉施設整理機構」を設立し、国有財産の300を越える施設とともに福島健康管理センターや厚生年金病院なども売却・廃止しようと、3・4に、この清算法人の時限立法(最大5年)を閣議決定して国会に提出しました。これは国鉄改革の時に行なわれた、清算事業団と同じ攻撃です。国鉄の赤字路線廃止のように、不採算な救急医療・産婦人科・小児科などが閉鎖されたり、不採算な地域から病院が消えてしまい、必要な医療が受けられなくなります。
 社会保険(健康保険)病院は、健康保険法に基づいて設置された医療機関であり、国民皆保険制度を施設面からも保障していく目的で、すべての国民に必要な医療を提供するために国が整備費を出して、全国的に設置されていきました。そして今、小泉政権は国民皆保険制度を解体する目的で、国民の財産である税金や保険料で建てられた公的病院を民間の大企業に二束三文で、たたき売ったり、なくそうとしています。労働者の病気や命を金儲けの手段にしようとしているのです。絶対に許せません。
 政府が言う年金改革・医療改革とは、社会保障全体を解体することにあるのです。金を払えない労働者は健康も命も守れない。命は、かね次第の弱者切捨てをやろうとしています。
 全国の社会保険病院では、採算性のみを追及するリストラ方針により、看護師をはじめとする職員が大量に退職し、病棟を閉鎖した所や、2交代勤務で夜勤が月13回と無茶苦茶な状態で、労働者は疲弊し、いつ医療過誤が起こってもおかしくない状況になっています。その上、チーム医療を破壊し、労働者を分断する職能給を何が何でも4月から導入しようとしています。
 福診労組は、組合結成時より20年以上、労働者医療を守るために、暴力や仕事はずし、首切りなど、不当な組合潰しを撥ね返し闘ってきました。
 97年6月に社会保険庁から今回の統廃合・合理化の大リストラ案の大元となる「今後の政府管掌健康保険保健福祉事業のあり方について」が出されてからは、さらに、すさまじい不当労働行為が繰り返される中、03年3月から、社会保険庁・全社連・健康管理センターを相手に大阪府労働委員会に4件の不当労働行為救済申立てを次々に行い、現在も係争しており、統廃合をはじめとする大リストラ攻撃を阻止し続けています。
 政府は、国民・労働者への医療に対する国の責任を投げ捨て、労働者を生きていけない状態に追い込もうとしています。闘わなかったら、生活も雇用も命も守れません。私たちは、全ての労働者の命と健康を守るために、全力で闘います。
 首切りに反対し、国民皆保険制度を存続する為に、公的病院廃止反対の署名や、国会要請行動を行なっています。皆様の署名へのご協力お願いします。
 また、2・23 3・17 3・30に第3波のストで闘います。ともに闘いましょう。

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●SPOT & CRITIC−時評−  米軍再編(トランスフォーメーション)

 2月19日の「共同声明」とは何か

 「共通の戦力目標、自衛隊と米軍の役割、個別の米軍(再編案)の3段階がある」「(今回の2月19日の「共同声明」で)第1段階の戦略目標を共有した」(町村外相)。
 米軍基地再編で、その個別問題を詰めることを日米はもともとは追求してきた。昨年の米大統領選挙前にも決定したかったが、それが日米で一致できなかった。(「(個別の再編案を先行するのは)順序が違った。理念を先にすべきだった」アーミテージ米国務副長官)
 そこで今回の2月19日の会議は、まずこの会議の理念を明らかにすることとし、「共同声明」の発表を行った。そして具体的な問題については、個別の分科会で今後半年くらいかけて検討していくことにした。そして秋の首脳会談で決着させることを目標としている。
 本来結論を出すべき具体的な基地再編案などは先送りにし、日米同盟のめざす理念のみを明らかにしたというこの経過を見ても分かるように、具体的検討は最初から波乱と困難、ある意味では破産的要素さえもはらんで出発しているとさえいえる。
 しかし、こうした日米双方の思惑のぶつかりあい、今まで以上に激しい争闘戦を内部にはらみつつも、日米枢軸形成の動きが強力に進行しようとしているのであり、中国や北朝鮮をターゲットにした世界戦争過程が一挙に進みだしたものとして、今回の会議と今後の展開は重要である。発表された「共同声明」の中身は世界戦争宣言ともいうべきものなのである。
 分科会の討議は、3月15日にワシントンで第1回がもたれた。また4月に、もう一度2+2がもたれると言われている。そしてこれに合わせて、日米安保ガイドラインの再改定も8月をメドに進められようとしている。

 中国・北朝鮮が最大のターゲットに

 今回の日米協議は、東アジアが最大の焦点となった。台湾海峡、朝鮮半島などを念頭において、対太平洋・東アジアでの「不透明性、不確実性」を強調している。
 北朝鮮には、6カ国協議への早期・無条件復帰と、「検証の下、透明性のある形での」すべての核計画の完全廃棄を要求している。(この表現は、イラク戦争の過程を思い出させる)。また「拉致問題の解決」も盛り込まれ、戦争外交、排外主義が全面化している。
 そして中国に中台問題の解決を求め、「中国が国際社会における責任あるプレーヤーとして行動することが重要」とし、さらに「中国が軍事分野における透明性を高めるよう」に要求した。中国はただちに抗議声明を出している。
 中国、朝鮮半島、北朝鮮、台湾海峡、ロシア、東南アジアといった地域や国家を列挙し、「(日米が)事態に対処するための能力を維持する」としているが、日米の共同声明でこれだけの国や地域に言及しているものはかつてない。
 こうした課題に効果的に対応するために、自衛隊と米軍の役割分担を見直し、基地の日米の共同使用を推進し、米軍再編協議を加速する方針を打ち出した。ミサイル防衛構想を強調し、アメリカとともに日本が大陸間弾道弾を開発することを表明し、現在進めている共同技術研究を06年から開発に移行することまで合意したことだ。

 在日米軍基地の共同使用の促進

 何よりも、米陸軍第1軍団司令部の座間移転問題が最大の問題である。さらに航空自衛隊航空総隊司令部(東京都府中市)の米軍横田基地(東京福生市)への移転や、自衛隊那覇基地(那覇市)の航自を米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町)への移転などが浮上している。自衛隊と米軍が同じ場所で活動することで、情報や通信などの共有・共用化を進め、有事などの際の共同対処能力の向上につなげる狙いがある。
 そもそも有事法制で、自衛隊基地はもとより民間の港湾や空港、道路も「有事」には米軍が自由に使用できることが定められている。これと一体で、日本全国の沖縄化、有事出撃基地化が進み、日米の基地の共同使用が進もうとしているのである。

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●たたかいは進む

★狭山第2次再審請求(特別抗告審)棄却決定を徹底糾弾する!

 3月17日、最高裁・第1小法廷(島田仁郎裁判長)は、無実の部落のきょうだい石川一雄さんの狭山再審の訴え(特別抗告)をふみにじり、石川さんに棄却決定通知を送付してきた。
 全国連は、この特別抗告審にいっさいをかけてたたかってきた石川一雄さんのくやしさ、無念、怒りをわがものとし、最高裁を徹底糾弾する。
 石川さんは、同日、記者会見し、「冤罪が晴れるまで闘う」と不屈の闘志を明らかにした。全国連は石川一雄さんとどこまでも連帯して、狭山再審勝利までたたかう。
 この特別抗告審では、被害者宅に届けられた「脅迫状」の宛名が、警察が石川さんにおしつけた「自白」とはまったくちがう手順で書かれていることが新鑑定で明らかにされた。しかし、またしても裁判所は、ただの1度も事実調べをおこなうことなく、「弁護人が提出した脅迫文の筆跡などに関する新証拠は、いずれも証拠価値に乏しく、総合的に評価しても有罪認定を左右しない」(島田裁判長)といい放ち、棄却決定文をだしたのだ。石川一雄さんと部落大衆、労働者人民の「事実調べをおこなわない裁判は差別だ」「ただちに事実調べを行え」という訴えをふみにじったのだ。
(部落解放同盟全国連ホームページより転載)

★イラク撤兵・改憲阻止へ 3・20写真報告

★第24回全国争議団交流闘争開かる

 今年1月13日の全日建連帯労組関西生コン支部への組織解体を狙った大弾圧は、闘う労組への攻撃の激しさを示した。この戦争国家化攻撃の一環をなすが、これほどの規模ではないものの、この1年間、刑事・民事による闘う争議団に対する攻撃も激しくかけられた。
 しかしそうした中にあっても、全逓4・28の高裁逆転勝利。34年間の闘いのすえ、解雇撤回・原職復帰をかちとった全金本山の闘いをはじめ、いくつかの争議団で勝利し、あるいは勝利を目前にしている。
 こうした中で第24回全国争議団交流会・交流集会が開かれた。3月13日夕方に開かれた交流集会には、九州から仙台にいたる全国の争議団約100名が結集した。

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読者のページ

 ★全金本山闘争の勝利に学ぶ 動労千葉協販部 白井敏行

 春とは名ばかりの3月5日、白化粧の残る杜の都仙台において、本山闘争勝利報告集会が開催されました。集会・レセプションには、宮城県内の支援労組・学生を始め、34年におよぶ永き闘いを支えてきた200名をこえる仲間が全国から結集し、喜びと感動にあふれた一日となりました。
 動労千葉も兄弟組合として中野顧問が組合員からの最後のカンパを贈呈し、激励のあいさつを行いました。
 1971年に「一人の首切りも許さない」をスローガンに、本部の裏切り、仲間の死、暴力ガードマンの襲撃、逮捕、ロックアウトによる職場からの排除など、ありとあらゆる卑劣な攻撃を受けながら、労働者の筋を曲げず、アルバイトや物資販売で生活と組合を維持した不屈の団結でかちとった勝利です。
 1月19日の仙台高裁の和解協議は「2名の解雇撤回、全員の原職復帰」を基本内容とする全面勝利で、3月16日から17名が就労復帰します。
 裁判で負けても決してあきらめず、資本を追いつめた闘いの決着は、労働運動史に燦然と輝く勝利として特筆されることでしょう。これは、今日の逆風の中、全国で苦闘する労働者に限りない教訓と勝利の道をさし示すものとなりました。
 以前、私が千葉運転区で本線乗務をしていた頃、支部の職場集会に、物資販売のオルグに来た全金本山の若い組合員が参加してくれました。「労働現場を奪われて以降、物販で生活と組合を支えている」との報告を聞き、「大変だなー」と同情を禁じえなかったことが想いだされます。
 その後、国鉄分割・民営化攻撃で、私も同じような立場になり、初めて本山労組の組合員一人ことりの苦労と、それをのり越えた団結の強さに敬服の念を強くもちました。
 私も本山の組合員に学び〈義〉に生きる決意を新たにしました。
 動労千葉もこの道を進み、1047名闘争― 05春闘に勝利しよう!
 大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!(日刊動労千葉6041号より転載)

 ★最賃制の改悪に着手 東京 成田三夫

 厚生労働省は、最低賃金制度を抜本的に改めるとしている。労働政策審議会の議を経て来年の通常国会に提出する予定としている。労働法制の改悪は、最近でも、時短制度の廃止や労働組合法の改悪が実施されたばかりだが、今回もその一環である。
 厚労省は、就業形態や産業構造の変化に対応したものとしている。派遣労働の製造業への拡大、請負労働の増大、パート・アルバイトなど非正規労働者の増大に対応したもの。
 最賃制は、憲法25条に基づいて「健康で文化的な最低限の生活を営むため」として制定された。都道府県別と産業別の2本立からなり立っているが、産業別賃金の方が若干高めに設定されている。使用者側は産業別最賃制の廃止を求めている。最賃制そのものも不用という要求さえ出始めている。
 地域別最賃制は現在、都道府県別に設定されているが、1番高い東京でも1時間当たり710円、低い地域は600円そこそこ。生活保護費の水準にさえ達しないケースもある。
 厚労省は、都道府県別をもっと広域化したりとしている。また派遣労働者については、現在派遣元の地域の水準で最賃制を設定されているが、こらからは派遣先企業の水準に変更され、水準はバラバラにされる。
 厚生労働省は、規制緩和の流れにのって既成労働法制大破壊の勢いを強めている。連合支配下で、闘いもなく、あれよあれよという間に改悪されているのを座視するのか。

 ★最高裁は上告を一日も早く不受理せよ 神奈川 全逓 桜井隆夫

 昨年6月30日、4・28反処分闘争は大きな勝利を実現しました。しかしながら東京高裁判決は確定判決に未だなっていません。最高裁が郵政公社の上告を不受理決定すれば、7人全員が不当処分を取り消され、郵便局職場にもどることとなります。
 不当処分が出された4月28日を前に、4・28闘争勝利、郵政分割・民営化反対のたたかいを、東京を先頭に、中心にして前進させていくことこそが今求められています。
 最高裁が、郵政公社の上告を受理せず、不受理にすれば、高裁判決が確定判決となる。しかし時あたかも、小泉政権による郵政分割・民営化攻撃のまっただなかです。特に、最高裁は「政治判決」を出すと言われている。最高裁が受理し、判決を出さないで「塩づけ」にすることが想定されます。「塩づけ」にし、分割・民営化された「民間会社」に、そして、JPUと全郵政が「統一」し、労働者の団結がなくなった職場に、ただ競争だけがある職場に「復職」させられるかもしれない。
 郵政省という使用者下で全逓労働者が、78年末闘争をたたかい、郵政省(正しくは東京郵政局)によって首にされたのである。その郵政省が郵政事業庁になり、郵政公社になり、分割・民営化された「民間会社」に7人を復職させるわけにはいかない。
 4・28不当処分は、78年末反マル生闘争をたたかった全逓組合員に対して出された処分です。「全逓組合員」が首にされたのであるが、正しく言えば「全逓労組」という組織に出された処分です。
 表裏の関係である、4・28闘争と職場に団結を作り育て強化するたたかいを強化しようと。
 4月28日、全一日にたたかいに参加しよう。

 ★釣り紀行 東京 関西漁業

 今回は、毒魚のなかのハオコゼのお話です。この毒魚はほんとうにどこでも釣れます。私も地元、和歌山はもとより、瀬戸内海の小豆島や神奈川県逗子市でも釣りました。一見ガシラ(カサゴ)の子供のようにみえますが、よく見ると腹が異様に赤い、毒バリのある背ビレがガシラに比べて嫌みな形になっているのが特徴です。
 私も小さい頃2回も刺されました。1回目は外し方間違い、指に刺されました。しばらくしてズキズキと痛みだし3時間くらい痛かった。もう1回は干潮になった水たまりに1aくらいの黒い魚が泳いでいたので手ですくい上げようとしてちくり。こんなに小さくても立派に毒がありました。
 和歌山の和歌浦の波戸でガシラを釣っていた時です。私の竿にはハオコゼしか釣れません。ところが4bぐらい離れたところでつり出した3人組の人が突然大物のガシラを釣り上げたのです。こちらはおもしろくありません。次にまた釣り上げたのですが「ガシラの子供」と言う声が聞こえたのです。間違いなくハオコゼに違いないと思ったのですが、まーいいかと思っていたら、「あー、痛い」という声がしました。近づいていって軍手の上から刺された人に「これはハオコゼという毒魚です。死ぬことはないですが、2〜3時間痛みますよ」と「親切」に教えてあげました。罰があたったか1匹もガシラは釣れませんでした。


■編集後記

 05年3月は激動的です。戦時下の闘いとして「日の丸・君が代」闘争が新たな地平を切りひらいています。サンデー毎日が「『戒厳令下』の卒業式」と書いたようにまさに凄まじい弾圧体制下で闘われました。一方で動労千葉は度重なるレール破断に怒りの運転保安闘争にストライキで今春闘を闘いぬきました。また全金本山は33年10カ月ぶりに職場復帰を果たしました。どんな弾圧もやはり労働者は打ち破ることができます。これからです本番は。(し)

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