2005年8月号(No.185)目次
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労働者の目 11月労働者集会へ!

労働ニュース
  ●連合/労災 ●石綿など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集  連合の改憲勢力化を許すな!
  ●9条改憲に踏み込んだ「連合見解」
  ●ビラまき弾圧を要請した日教組本部
  ●自治労中央の「改憲方針」を阻止しよう!
  ●沖縄を「利用」し、反戦・平和を叫びながら、改憲を準備するNTT中央本部を許すな!
  ●闘う現場労働者の大統一戦線で郵政民営化絶対阻止へ!
  ●国労第73回定期全国大会に向けた私たちの決意

労働者学習シリーズ 帝国主義 第7回 工場法も否定

やってられないぜ!  第2回 イラク戦争を支える日本の個人貯蓄

たたかいは進む

読者のページ

・PhotoDocument

労働者の目

●11月労働者集会へ!

 全国労働組合交流センター事務局長 辻川 慎一

 11月集会に向けいよいよ残り3カ月となった。私たちは、この過程をどう闘っていくのか。その場合、国際階級闘争・民族解放闘争と結合し教育労働者の不起立闘争や都議選の結果を総括することが重要だと思う。帝国主義の危機と延命を動因とする戦争と搾取と収奪の攻撃の深まりは人間的な解放をかけた階級闘争・民族解放闘争の怒りの爆発をもたらしている。これと無関係な「平和」は階級として人間としては死んだ状態である。これに断を下すのは労働者階級である。不起立闘争であれ都議選であれ全ての階級決戦において既成労働運動指導部と政治勢力は労働者階級を「城内平和」の幻想に留めておくために国家権力と呼吸しつつ私たちを攻撃した。しかし、私たちが依拠するのはあくまで階級大衆の怒りであり、自己解放に目覚めた人間的力以外にはない。これが、総括と方針の基軸である。そしてこれに踏まえ11月に向けた人的運動的戦略的前進がいかに形成されているのかが重要だ。この過程で階級自身の動向に決定的に影響力を行使する存在として私たちは決定的に飛躍しなければならない。私たちは労働者階級大衆の核心的人格・運動からの信頼を獲得しつつあるが、決定的な組織力・影響力が未形成であると言う現状が容赦なく突き出されている。私たちは「城内平和」を拒絶し階級大衆の怒りを体現し火の玉となって跳躍しなければならない。しかし、この前半決戦の最中にも、この跳躍のための一致から身を引いた組織内議論もあった。深く一致するための意見の違いは重要だ。それは必ず止揚され組織的力を強化する。しかし、自己や組織の現状を固定化する議論は最早情勢に通用しないのだ。私たちが破壊すべきは全ての勢力が屈服しているブルジョア的に固定化された現状である。これをうち破るのはプロレタリア自身の行動である。まず、我々が怒らなければならない。11月集会の爆発の原動力はここにある。まずもって組織内の「城内平和」をうち破り8月闘争を皮切りに11月へ激しく進撃しよう。

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●労働ニュース(05年6月16日〜7月15日)

連合が9条「改正」に言及
  連合(笹森清会長、約670万人)は憲法や安全保障問題について、国民的合意を前提に、憲法9条改正も選択肢することなどを盛り込んだ見解を14日までにまとめた。加盟する産業別労組で議論し、10月の定期大会で承認を得て正式な見解とする方針。国民的合意を条件に@憲法9条を改正し、詳細な法律として「安全保障基本法」を制定するA改正はしないが国民的合意を盛り込む安全保障基本法を制定という2つの筋道を示した。

不起立で研修命令取り消し求め提訴
  今春の東京都立高・養護学校での卒・入学式で「君が代」斉唱の際に起立せず、都教委から処分され、今月21日に予定されている「服務事故再発防止研修」を受けるよう命じられた教職員計25人が7日、研修命令の取り消しなどを求める訴訟を東京地裁に起こした。

不起立処分、反対61%
  朝日新聞が25、26日に実施した世論調査の中で、都教育委員会が都立学校の卒業式などで「君が代」斉唱時に起立しない教職員を処分していることへの賛否を聞いたところ、反対が61%で、賛成28%の2倍以上にのぼった。若い世代ほど反対と答える傾向が強く、20代では7割を超えた。

14県で請願採択
  来年4月から中学校で使う教科書について、6月下旬段階で47都道府県議会のうち14県議会が住民からの請願を採択していることが朝日新聞の調査で分かった。大半が社会科の教科書をめぐるもので、「我が国の歴史に対する愛情を深める」教科書を採択するよう求めている。採択したのは宮城、山形、茨城、栃木、千葉、神奈川、富山、石川、奈良、和歌山、鳥取、徳島、香川、熊本の各県議会。

サラリーマン増税提示
  政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は21日、個人所得課税の見直しに関する報告書(論点整理)を公表した。税負担を軽くする各種控除について軒並み縮小・廃止の方針を打ち出し、サラリーマンにとって増税色が濃い内容。消費税増税をにらみ増税への地ならしが始まった。

労災認定最多の130人
  過労や仕事上のストレスで、うつ病などの精神障害を発病して労災補償の認定を受けた人が04年度は130人に上り、統計を取り始めた83年以降最多になったことが17日、厚生労働省のまとめで分かった。30代、40代が3分の2を占め、「リストラで、この世代に業務や責任が集中しているためでは」とみている。自殺(未遂も含む)に至った「過労自殺」も45人で最多となった。

労組頼らず、裁判なしに紛争解決
  従業員と会社間の民事トラブルを裁判に訴えずに解決できる「個別労働紛争解決制度」を利用した件数が、04年度は前年度に比べて13・7%増の16万166件に上ったことが、厚生労働省の調査で分かった。

65歳以上の徴収を検討
  厚生労働省は医療制度改革の一環として65〜74歳の高齢者のうち、現在は健康保険料を負担していない会社員の配偶者や親などの扶養家族から保険料を徴収する案を検討する。74歳以下にも応分の負担を求める。

自己負担の増額検討
  厚生労働省は年内にまとめる医療制度改革案に、70歳以上の高齢者の窓口負担引き上げを盛り込む方針を固めた。現在は2割負担となっている一定所得以上の人を、現役世代と同じ3割負担とする方向。

年金・労働時間規制緩和を
  厚生労働省の雇用政策研究会は13日、07年以降に予想される人口減社会で労働力の急減を避けるには、働く意欲をそがないよう年金制度や労働時間規制の緩和を検討すべきとの提言をまとめた。

高齢者世帯数、最多787万
  65歳以上の高齢者だけか、高齢者と18歳未満の子供だけの「高齢者世帯」が、過去最多の787万世帯(全世帯の17%)に上ることが6日、厚生労働省の04年の国民生活基礎調査でわかった。一世帯あたりの人数は過去最小の2・72人となり、少子高齢化と核家族化の進展を裏づけている。

高齢者雇用に冷たい企業
  高齢社会が来て会社に欠員は出るが、高齢者を積極的に雇おうとは思わない。内閣府が7日付で発表した「高齢者の社会参画に関する政策研究報告書」は高齢者に厳しい企業の姿勢を浮き彫りにした。

石綿、深刻な健康被害
  大手機械メーカー「クボタ」(大阪市)で従業員らに石綿による死者79人が出ていたのに続いて、日本の石綿業界のパイオニアともいえるニチアスでも、従業員86人が死亡していたことが5日、明らかになった。石綿に関係する労働者の健康被害の深刻さをいっそう浮き彫りにした。

「石綿」死者00年以降急増
  アスベスト(石綿)の大量使用から30年前後の00年に入って、中皮腫などの死者数が多様な業種で急増していることが明らかになった。複数の死者が報告された主な企業14社では、04年の死者だけでも41人に上り、70年代以降の累計死者数(371人)の1割超となった。企業が公表した死者数も計460人を超えた。

賃金「職種別」広がる
  同じ社内でも職種によって賃金制度が異なる「職種別賃金」を採用する企業が増えている。サントリーは全社一律を見直し、7月から製造部門だけの新賃金体系を導入する。キャノン販売は4月、一般社員を対象に営業職や事務職などで3つの異なる制度を設けた。将来の人材不足をにらみ、柔軟な仕組みで必要な人材確保をめざしている。

キャリア女性の「いい職場」
  長期間働きやすく、仕事に応じて賃金が決まる職場に、女性管理職や大卒女性の割合が多いことが経済産業省の研究でわかった。職種に応じて賃金を個別に管理することで、性別による役割分担が少なくなり、女性にも活躍の場が多いためだとみられる。

介護労働者離職2割に
  財団法人・介護労働安定センター(東京都)が03年末から1年間、ホームヘルパーなど介護労働者の就業実態を調べたところ、この期間に5人に1人、約21%が勤務先を辞めていたことが分かった。離職者を上回る新採用があるものの、労働者の定着率は低く、入れ替わりの激しさが浮き彫りになった。

 労働日誌(05年6月〜7月)

6月17日
  日本労働組合総連合会(連合)の笹森清会長(64)が、10月に迎える2期4年の任期満了に伴って退任する。後任は副会長の古賀伸明氏(53、電機連合委員長)と事務局長の草野忠義氏(61、自動車総連出身)を軸に調整される。

6月22日
  道路関係4公団の職員の給与水準が国家公務員よりも20〜30%程度高いことが分かった。各公団が同日開かれた民営化推進委員会で明らかにした。

6月23日
  政府は独立行政法人に移行した研究機関などの職員身分の非公務員化を進めるため、各機関の設置法改正などの関連法案を今秋の臨時国会に提出する。来年4月の実現をめざす。対象は大学入試センターなど40法人(職員数合計約1万人)が固まった。

6月24日
  東京都民銀行はアルバイトやパート、派遣社員など非正社員を対象に、会社に代わって給与を前払いするサービスを7月から始める。携帯電話などで前払いを申し込むと、早ければ翌営業日に銀行口座に給与が振り込まれる仕組み。ローソンなど複数の大手企業が導入を検討。

6月30日
  国家公務員に夏のボーナスが支給された。総務省によると、管理職を除く行政職職員(平均年齢34・5歳)の平均支給額は61万7千円。前年同期に比べ約1万3千円(約2・1%)下回った。

7月1日
  総務省が発表した5月の完全失業率は前月と同じ4・4%で、厚生労働省が同日発表した5月の有効求人倍率も前月と同率の0・94%だった。

7月1日
  総務省が発表した勤労者(サラリーマン)世帯の家計調査によると、5月の一世帯あたりの消費支出は31万7千10円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2・0%減と、2カ月連続のマイナスだった。

7月1日
  三洋電機は経営再建に向け、国内外でグループ従業員の約1割に当たる1万人強の人員を削減する。

7月3日
  松下電器産業は半導体部門の国内従業員の6%に当たる約1千人を削減する。

7月4日
  厚生労働省が発表した毎月勤労統計によると、従業員5人以上の企業の5月の現金給与総額は27万6千402円と、前年同月に比べ0・4%増えた。

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●吉田書記長らに「中核派の暴力」と言われ警察に協力した ―仕組まれた弾圧の真相が明らかに

 国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

 6月22日、東京地裁104号法廷で国労5・27臨大闘争弾圧の第42回公判がが行われた。この日の公判から証人が交代し、国労長野地本・松本総合車両所分会の会計(当時)である浅川初幸が証言台に立った。前回まで証人であった長野地本副委員長の平山は、傍聴動員を倍増させて10人程の組合員と共に傍聴した。傍聴動員の倍増は、長野地本と国労本部(酒田・吉田―革同体制)の、のど元にこの裁判闘争が突き刺さっていることを示している。国労本部と、検察側証人として証言する組合員の国家権力との癒着は果てしなくすすんでいる。検事3は、裁判の流れを根本からひっくり返そうとしている。そのような緊張の中で開廷した。
  浅川への尋問は、はじめに検察側の主尋問が行われ、つづいて弁護側からの反対尋問が行われた。

 検事の筋書き通りに証言し、あたかも暴行されたかのように実演

 浅川証人は検事の尋問に答え5・27当日の「体験」を証言した。自らは、本部派の本隊が3列縦隊で出てくる以前にホテルを出て、ビラを受け取り、ジュースを買い、出てくるのを待っていた。そこで池田への「暴行」なるものと、石井への「暴行」を目撃した。自らも富田被告から「暴行」されたと証言し、検事に指示され法廷で実演してみせた。
  池田は、目撃した暴行について、池田に対するものは「右胸のあたりに手をやって3、4回膝けりした」、また石井に対するものは「ネクタイをつかまれ、ゆすられた」と証言したが、客観的にこれらを証明するものは何もない。また彼自身が受けた「暴行」は、「胸ぐらをつかまれゆさぶられながら、右あごから首筋のあたりを肘うちされた」と言い、法廷で実演したが、肝心の肘がどこに当たったは特定しなかった。
  主尋問の最後で浅川は、「意見の違いがあっても暴力はよくない、法に従って処罰を求める」と述べ締めくくった。

 「4党合意は国労の牙を抜くもの」と言いつつ、大会強行強行には頬かむり

 反対尋問はまず佐藤弁護人が、4党合意受け入れの経過について質問した。「この大会が自民党らの3党声明を受けて開催されたものであり、鉄建公団訴訟をした闘争団員を査問委員会に送るためのものだったことをどう思うか」との質問に、「闘争団員の気持ちもわかるし、組織としての動きもわかる、気持ちが揺れた」と答えた。4党合意については、「国労の牙を抜く面がある」、「4党合意による解決は破綻した」と、自らの認識を明らかにした。これまでのどの証人よりも、4党合意に確信を持てなかったことが明らかとなった。
  そこで弁護人は「暴力があったというなら何で組合内部で事実を調べようとしなかったのか」、「また大会の妨害という行為があったというならば、組合の規約に従って処置しなかったのか」、「いきなり警察に出すというのではなく、なぜ組合内で処理する方向をとらなかったのか」と質した。これに対し「手を出すのは良くない、いたしかたない」という証言に終始した。
  一連の浅川証言は、被害届け提出(6月23日)が、自ら進んでやったのではなく、だれかに促され、誘導された結果であることを感じさせるものであった。
  4党合意にの経過については詳しい内容は答えることが出来なかった。しかし、包括的には、「国労の牙を抜くもの」「闘争団にとって厳しいもの」と認識していたことは、証言の随所に出てきた。
  浅川は一声大きく「国労を愛している」と言いながら、分割民営化と、その後においても各職場であれほどまでに他労組と差別されてきた国労組合員としての怒りはないのだろうか。闘いの放棄という運動の方向転換、その責任の重大性について彼ら本部派はどう考えているのか。前回の平山といい今回の浅川といい組合役員としての見識をまったくもって疑わせるものだ。4党合意がその当初から国労に対して一方的に譲歩を突きつけていたにもかかわらず、それをひたすら隠し、組合員に期待感を持たせ騙してきた本部派のごまかしに彼も乗せられてきた実態が明らかになった。

 本部さえ否定する「演壇占拠は中核派がやった」を強調

 浅川は警察の取り調べ調書の中で「大会で暴力行為があり、これには中核派が介入している、正しい労働運動ではない」と言っている。法廷でもそれを強調した。そこで弁護人は「何時の大会のことか」と質したのに対して、「7月1日の大会」と答えた。
  しかしこの7・1大会については彼ら長野地本が支援してきた紋別、美幌をはじめ大半の闘争団・家族が大会の中止を求めて本部へ申し入れをしたこと、討論が不十分であったこと、彼らが言う「混乱」は大会での鈴木議運委員長の書記長集約を拍手で承認という強引な議事運営にあること、これらを高橋委員長自ら直後の大会で「混乱の原因は本部にある」と認めたことなど、これまでの公判の中ですでに明らかにされている。
  にもかかわらず浅川は「中核派が国鉄闘争に介入したのが7・1大会の混乱の原因、陰で操っている」と強調した。そこで大口弁護人は「何を根拠にそう言えるのか」と質したのに対して、「国労の仲間から聞いた」とか、「成田闘争が終わったから」などと言う。そこで弁護人の「それをいったのは誰か」という問に、「特定できない、色々の人」と言う。「それには吉田も入るのか」と問われると、「そういう場合もあった」と答えた。
  長野地本の書記長(当時、現本部書記長)の吉田が、公安刑事と一体となって「外部勢力と仕業」と浅川にと吹き込み、被害届を出させたことは想像に難くない。問題は、ひとたび警察・検察に協力した以上、闘争団であろうが、組合員であろうが、「処罰を求める」となり、法廷ではその姿勢をより剥き出しにすることである。浅川は証言がよどんだり、自信のない答えの場合、すぐに検事の方を向き、お伺いする仕草をくりかえしたが、これが国労本部の姿勢である。これは「裏切り者の末路」であるが、労働者の弾劾にさらされ、惨めな姿をさらす時はそう遠くない。
  なぜなら、国鉄1047名闘争は「国家的不当労働行為」との闘いであり、全世界の労働者の血と汗と屍の上に勝ち取られた労働基本権確立・発展の道と同じだからである。かつてはどの国でも、労働者は団結すること自体が犯罪であった(共謀罪)。刑事弾圧と民事弾圧を打ち破って、全ての権利は勝ち取られた。鉄建公団訴訟と本件は、改めて労働者の敵は誰かを身をもって明らかにした。敵が明確になった以上、労働者の進むべき道は明らかである。
  次回も引き続き浅川証人への反対尋問が行われる。ぜひ多数の傍聴をお願いしたい。 (「許さない会」東京南部会員)

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特集  連合の改憲勢力化を許すな!

●「自衛」の名による侵略戦争、海外での武力行使を容認

 9条改憲に踏み込んだ連合「国の基本政策に関する見解」

 連合は、7月14日の第24回中央委員会で「国の基本政策に関する連合の見解」案(以下、『見解』)を発表した。9条明文改正か安全保障基本法制定による解釈改憲の2つの選択肢を示して9条解体をうちだした内容である。現段階では三役決定であり、8月、9月の中執で討議し、各構成組織で論議した上で10月の定期大会で承認を得るとしている。
  『見解』は、「1 基本的認識」「2 今後の日本の防衛・安全保障・国際協力のあり方」「3 憲法を始めとする法体系と外交・防衛・安全保障との関係について」の3つの部分からなる。それぞれの内容を見ていこう。

 自衛隊と日米安保をまるごと容認

 「基本的認識」では、日米安保体制について「他国からの侵略的行為を未然に防止してきたこと、またそのもとでこそ戦後の経済的発展がなされてきたことを確認する」としている。「連合の政治方針」(99年第6回大会、03年第8回大会で改訂)でも、日米安保条約の「評価・維持」は確認されているが、「他国の侵略的行為の未然防止」などと抑止力に踏み込んだ軍事同盟としての評価をうちだしたのは始めてである。
  自衛隊について『見解』は、「独立国家の固有の権利としての自衛権を日本は保有し、その意味で、自衛隊が設けられていることに対する異論はない」としている。「政治方針」では、「自衛隊は、専守防衛、シビリアンコントロール、非核三原則を前提としてこれを認め、今後のあり方として、縮小の方向を検討する」としていたが、『見解』では、「非核三原則」「縮小の方向」を抹殺している。逆に、「憲法9条の条文と、イラク戦争・復興支援活動への対応などこの間の自衛隊の実際の行動展開との間に乖離がある」として、海外派兵・敵地攻撃能力を持つ自衛隊の現状を追認し、改憲を導き出しているのである。
  また、「東北アジアの情勢について」として、「北朝鮮の行動」「中―台関係」と名ざしして「不安定と緊張が存在しており…安全保障の確立が急務である」としている。

 「自衛権の発動」による侵略戦争を容認

 「日本の防衛・自衛権のあり方」が、『見解』の核心部分である。「日本の領土・領空・領海において攻撃が行われ、日本国内に在住する市民や財産・施設等の安全が脅かされている場合、日本は自衛権を発動する」と、「自衛権の発動」=戦争に言及している。しかも「その発動にあたっては、…日米安保条約に基づき、米軍とともに行動する」というのである。
  古今東西、「自衛」の名で行われなかった侵略戦争など存在しない。アジア・太平洋戦争も「自存自衛を全うするため」(「帝国国策遂行要領」)であり、米帝の先制攻撃戦略さえ「敵が攻撃できるようになる前に敵の機先を制するための自衛行動」(05・3「米国の国家軍事戦略」)として正当化されている。
  いま、実際に準備されている侵略戦争のシナリオは、「周辺事態」が「武力攻撃事態」に波及していく中での「自衛権の発動」としての侵略戦争である。「周辺事態法」によって米軍の後方支援に出動した自衛隊に反撃が加えられ、「武力攻撃事態」が発動される。あるいは、「北朝鮮のミサイル発射の兆候」などを理由に「武力攻撃予測事態」が発動され、米軍のミサイル基地の爆撃への反撃として米軍基地や原発がゲリラ攻撃され、「武力攻撃事態」「緊急対処事態」が発動されるといった展開である。
  『見解』は、「日本の領域外においてアメリカに対して攻撃が行われている状況について、日本が直接攻撃されていないのであれば、日本はアメリカとの同盟関係を理由に共同した武力行使は行わない」としている。裏を返せば、日本の領域内の米軍に対して、あるいは領域外に展開する自衛隊に対して攻撃が加えられた場合は「共同した武力行使を行う」ということである。集団自衛権は認めないような言い方をしているが、これが米軍の先制的侵略参戦への参戦となることは明らかである。
  『見解』は、こうした形で開始される侵略戦争に「自衛権の発動」の名において参戦することを支持することを公式に表明したのである。
  連合は、02年5・16見解で「有事法整備は必要」とし、03年5月の武力攻撃事態法の成立にあたっては、これを評価する事務局長談話を出してきた。『見解』は、はっきりと戦争支持の態度をうちだし、傘下組合員を戦争協力に駆り出すことを政府・財界に誓約しようとするものである。

 「国際協力部隊」による海外の武力行使も容認

 『見解』は、日本の安保・防衛政策について「『平和実現への努力』を基本に置く」とし、「世界平和の構築」への積極的参画をうちだしている。「国連による集団安全保障活動への参画については、憲法で禁止された『国権の発動たる戦争』には抵触しない」とし、「PKO・PKFに参加する」としている。国連軍参加は「現段階では認められない」とし、イラク戦争は「国連決議を根拠とすることができないような形の戦争行為」としつつも、国連決議にもとづく多国籍軍参加は否定せず、「自衛隊の改編による国際協力部隊の新設」を検討するとしている。民主党が近くまとめる「集団安全保障基本法案」で、自衛隊と別組織の「国際平和協力部隊」を創設し「国連安保理決議があれば多国籍軍の一員として武力行使を伴う活動に参加する」しているのと同じである。
  連合は、日本の領土・領海だけでなく、海外での日本の軍隊の武力行使をも容認することも明確にうちだしたのである。

 侵略戦争参戦、海外武力行使解禁のための2つの改憲論

 かくして『見解』は、「自衛隊の現状」および以上紹介した「今後の日本の防衛・安全保障、国際協力のあり方と、憲法を始めとする法体系との関係について整合性を確保するために」、冒頭に述べた2つの方策による9条解体を提案することになる。明文改憲、解釈改憲いずれの方策も、「上記2の内容の全体を包含できる」内容とするとしている。侵略戦争に参戦し、海外での武力行使を解禁するために、憲法9条そのものを、もしくはその解釈を変えるとする『見解』の論理構造は、財界や自民党の9条改憲論となんら変わるところはない。
  海外での武力行使、集団自衛権、国連軍参加は許されないという政府見解は、自衛隊は9条2項の禁じる「戦力」ではなく「自衛のための必要最小限の実力組織」といいくるめなければならないところから派生している。自衛権や軍隊保持を明記する9条2項の改正、や安全保障基本法の制定は、この制約を全面的に取り払うものである。
  「際限なき解釈改憲に歯止めをかける」「個別自衛権、自衛隊を認めて発動要件を制限する」といった自治労などの「平和基本法制定による自衛権容認」論の正体がここに暴露されている。

 自治労先頭に「最終報告」「見解」粉砕を

 連合の改憲勢力化との闘いは、重要な段階を迎えた。すでに大会が終了した単産も含めて、現場からの突き上げで『見解』絶対反対の態度を確立しなければならない。
  なによりも、最大の焦点は、自治労大会である。自治労が5月中央委員会で決定した「国の基本政策検討委員会報告」は、平和基本法による9条解体論であるが、これは『見解』が示す「自衛隊と安保防衛政策と憲法の整合性を確保するための二つの方策」のうちの一つとして位置づけられている。審議機関の名称を見ても、自治労こそ連合の改憲勢力化の張本人であり牽引役であることは明らかだ。同時に、自治労のいう平和基本法、『見解』のいう安全保障基本法、笹森がいう9条2項改正論、いずれもめざすところは同一であり、《侵略戦争支持》を意味するものであることが暴露されている。自治労大会で最終報告もろともに『見解』を粉砕しよう。

「国の基本政策に関する 連合見解」(案)抜粋

1.基本的認識

 (2)日米安保体制について

  日米安保体制が、他国からの侵略的行為を未然に防止してきたこと、またそのもとでこそ戦後の経済的発展がなされてきたたことを確認する。

(3)憲法と自衛隊の現状について

  独立国家の固有の権利としての自衛権を日本は保有し、その意味で、自衛隊が設けられていることに対する異論はない。

(4)冷戦後の国際協調と世界平和の構築について

  東西冷戦終結以降の国際協調と世界平和の構築にむけた国際社会全体の努力が引き続き重要であり、そこにおいてはアメリカの役割が重要であると認識する。

(5)東北アジアの情勢について

  北朝鮮の行動、中―台関係など、東北アジアは今日においても不安定と緊張が存在しており、地域全体の信頼醸成と安全保障の確立が急務であると認識する。

2.今後の日本の防衛・安全保障・国際協力のあり方

(1)日本の防衛・自衛権のあり方

@日本の領土・領域・領海において攻撃が行われ、日本国内に在住する市民や財産・施設等の安全が脅かされている場合、日本は自衛権を発動する。
A上記@にあたっては、日米安保条約に基づき、米軍とともに行動する。

(2)国際社会との協調と世界平和の構築

@国連による集団安全保障活動への参画については、憲法において明確に禁止された「国権の発動たる戦争」には、基本的に抵触しないことを確認する。
Aその上にたって、日本は、国民的合意を要件とし、紛争当事国の同意の存在する国連平和維持活動(PKO・PKF)に参加することを基本的な考え方とする。
D上記(1)「自衛のための行動」と、この「国際社会の協調と世界平和の構築のための行動」とを明確に区分するための措置として、「自衛隊の改編による国際協力部隊の新設」という方策も十分に検討されるべきである。

3.憲法を始めとする法体系と外交・防衛・安全保障との関係について

(3)日本の防衛・安全保障・国際協力のあり方と憲法との関係

  連合は、自衛隊の現状および上記2で示した今後の日本の防衛・安全保障・国際協力のあり方と、憲法を始めとする法体系との関係について整合性を確保するために、次のとおりの方策があり得ると考える。
@上記2の内容の基本部分を包含できるよう憲法9条を改正し、その上でさらに詳細を規定するために「安全保障基本法(仮称)」のような法律を制定すること
A憲法9条の改正は敢えて行わないが、同じく、上記2の内容の全体を包含できる「安全保障基本法」のような法律を制定すること

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特集   連合の改憲勢力化を許すな!

●被処分者、現場組合員のビラまきを警察権力に要請して排除!

 「日の丸・君が代」―教科書闘争の爆発で、日教組本部の論憲路線を粉砕しよう

 7月18日〜20日に社会文化会館で開催された日教組第93回定期大会は、日教組の改憲勢力化を阻止する重要な地平を切り開いた。
  日教組本部は、当初、自治労本部と歩調を合わせ、本大会で「論憲=改憲」路線への転換を決定することを画策していた。3月中央委員会の森越委員長挨拶は、「改憲賛成派が必ずしも9条改憲賛成ではない、9条改憲派でも集団自衛権明記では意見が分かれる」などと述べ、連合・笹森の9条改憲論にすり寄る意向を露骨に表明していた。が、こうした本部の動きに組合員の危機感と怒りがまき起こる中で、5月に発表した憲法論議対策委員会の「中間報告その1」では、「国民の多数派形成にむけた取り組み」「憲法論議をリードしていく」としつつ、「9条と前文は遵守」というにとどめ、自治労本部のように「平和基本法制定による自衛権承認」まではうち出せていない。大会の運動方針案でも、「護憲運動の組織的強化」「違憲の自衛隊の海外派兵を許さず」と、「論憲」路線の正体をペテン的におし隠そうとしていた。

 「『君が代』は平和な歌」という森越委員長

 だが、憲法問題での転換を先送りする一方で、「日の丸・君が代」問題をめぐって「卒業式・入学式などでの国旗・国歌の取り扱いについて、99年『国旗・国歌』法制定時の政府見解をもとに取り組む」「国旗・国旗のもつ意義や今日的課題を正しく指導する」とする侵略教育推進方針をうちだした。森越委員長は、『論座』6月号で「『君が代』というのは、非常に平和な内容の歌」「日本というのは『八百万の神』」「『歌うな』とか『掲げるな』と言うのはその人たちの思想信条を害することになる」などと放言している。「政府見解をもとに取り組む」とは、「日の丸・君が代」を容認し、「天皇中心の日本の万歳」を日教組自身の立場にするというとんでもない転向路線なのだ。日教組本部は、改憲路線に踏み込むためにも、不起立闘争の圧殺にのりだしのだ。

 ビラまき弾圧にさらに被処分者の怒りが爆発

 これに対して、大会当日、東京の被処分者の会などが、森越発言を弾劾し、処分撤回闘争への全国的支援を訴えるビラまきに決起した。東京や広島の被処分者が森越発言の撤回・謝罪を要求する共同声明も出された。教労部会に結集する現場組合員は、「『日の丸・君が代』闘争、教科書闘争を水路に闘う日教組を再生しよう」と訴えた。
  あろうことか、日教組本部は、警察権力に要請してこれらのビラまきを会場のはるか遠方まで排除する暴挙を強行したのだ。まさに5・27国労臨大闘争弾圧を彷彿させる事態である。大会では、上記方針への批判が噴出し、本部は「『君が代』はその歌詞が憲法・教育基本法を否定するものであり強く反対する」という「日教組75年見解を変えるものではない」と答弁せざるをえなかった。
  被処分者は、21日の再発防止研修抗議闘争を都教委徹底追及の場と化して闘いぬき、22日の都高教大会では、予防訴訟や処分撤回闘争支援など闘う修正案30本を可決、意気軒昂と闘いぬいている。ビラまき弾圧に対しては、都高教本部に真相究明と日教組本部への抗議を要求する被処分者らの連名の抗議声明が出されている。
  被処分者の切り捨てか不起立闘争の全国的拡大かをめぐって、現場組合員と日教組本部との大激突が始まった。この攻防こそ日教組の改憲勢力化との闘いの最大の焦点である。  (教育労働者部会)

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特集   連合の改憲勢力化を許すな!

●憲法9条を葬る「平和基本法」、自治労中央の「改憲方針」を阻止しよう!

 自治体労働者部会

 8月自治労大会は、自治労が改憲勢力=戦争推進勢力へと転落するのか、否かをかけた、正念場になろうとしている。自治労中央は、5月の中央委員会において、「国の基本政策検討委員会」の最終報告を行い、この内容にそって大会運動方針に盛り込むことを表明した。この「検討委員会」最終報告の結論は、@個別的自衛権を承認する、Aそれを前提とした「最小限防御力」=戦力を定義する、B自衛隊の再編と国際貢献部隊の活用、C国連主導の「国際平和協力活動」への積極的参加、Dアジアにおける「集団的安全保障体制」の推進、E「平和基本法」を制定し、その中で、前記の「最小限防御力」の定義、および自衛隊の再編成の道筋を明記するというものである。この方針・考え方は、自治労が労働組合として「自衛権」を承認し、戦力としての自衛隊を肯定し、「平和基本法」制定を通して改憲を推進するというとてつもない代物である。100%改憲を後押しする方針である。歴史を画する自治労中央の屈服、裏切り、転向を絶対に許すことはできない。
  全国の力で、この問題を一大焦点に押し上げ、自治労内に巨大な分岐・流動をつくり出し、自治労定期全国大会へ攻め上らなければならない。

 自衛権の承認は、自国政府の行う戦争の承認である

 この報告の最大の核心は、「自衛権」承認だ。自治労中央は、「憲法前文および第9条を堅持する」と言いながら、それとは正反対の立場である「自衛権」承認の立場に踏み切った。自衛権の承認とは、厳密に言えば、国家による自衛権(戦争を行う権限・権利)の承認であり、自国政府の行う戦争に反対しない(承認する)ということである。労働組合として、国家の発動する自衛権、首相や政府による戦争の発動権を認めるということである。まさに、憲法9条を完全に否定する立場ではないか。労働組合が、自衛権を承認することは、戦争の発動の承認であり、そして戦争に協力するという以外の論理的帰結はありえない。労働組合の自己否定であり、完全な死である。

 自衛権を明記し、戦力を認める『平和基本法』   「最小限防御力」定義で戦力を明記

 自治労中央は、上記の前提の上に、「平和基本法」を制定し、「国際法上明記されている主権国家の個別的自衛権」を前提とした「最小限防御力」を定義するとしている。ある解説者は、これは「日本型モデル」「新しい概念」などと呼んで持ち上げているが、どのように装いをこらそうとも、概念としては100%戦力そのものである。
  自治労中央は、「最小限防御力とは、領土・領海・領空を越えて戦闘する能力をもたない国土警備に限定した組織によって担われる」としている。逆に読めば、「領土・領海・領空」をこえることのない(?)戦力、およびその発動としての戦争を認めるということである。労働組合として公然と「戦闘する能力」とその発動としての戦争を認めているのだ。しかも重要な点は、「最小限防御力」はまったく無内容で相対的な概念であり、戦力の拡大、軍拡を促進するテコになりえても、縮小のためにもちいられることなど100%ありえない。

 自衛隊の再編・改組、国際貢献軍の創設を提起

 さらに自治労中央は「平和基本法」のなかで、自衛隊「段階的に縮小」し、前記の@「国土警備を主要とする組織」としての自衛隊、A自衛隊とは別組織の国際貢献部隊、B災害救援・復旧部隊の3つに再編・改組する方向を定めるとしている。どこが縮小なのか? 自衛隊の軍隊としての「衣替え」であり、そして公然たる海外派兵部隊の創設を提案するものである。国連待機部隊による国際貢献を主張する横路、小沢合意に通じる論理であり、完全に一体のものとみるべきである。「平和基本法」は、以上みてきたように、憲法9条(とりわけ2項)の禁じる〈自衛権〉、〈戦力〉を「定義」として明記する100%憲法違反の「基本法」である。自治労という労働組合が、憲法9条を否定する「基本法」制定運動を方針化するという事態を、絶対に阻止しなければならない。

 国連中心主義とアジア集団安保を提唱  奥田ビジョンと一体の〈アジア重視〉論

 以上、述べた論点のほかに、「検討委員会」最終報告には、国連憲章と国連による集団安全保障システム確立を強調し、「日本の参加・協力」と「積極的イニシアティブの発揮」が提起され、「アジアの集団安全保障体制」構築が大きく打ち出されている。日本経団連・奥田ビジョンによる「東アジア自由経済圏」構想と完全に表裏一体である。同最終報告は、日本が「日米二国間路線」から「国連・アジア重視」へと外交路線を転換せよと述べている。労働組合として、日本の帝国主義・支配階級に対して、「アメリカに対抗してアジア重視の道、アジアにおける盟主への道を目指せ」と述べている。最終報告は、労働者・労働組合の立場ではなく、中国・アジアへの進出を狙う日本経団連・資本の側に立って書かれているのである。

 4大産別決戦こそ、改憲―戦争を阻止する最大の闘い

 自治労「検討委員会」最終報告は、まぎれもない改憲方針であり、「平和基本法」をもって憲法9条を解体する方針である。「憲法9条を堅持する」立場という自治労中央の言い方はまったくのペテンだ。もしそうであれば「平和基本法」など不要であり、あえて言えば「国の基本政策検討委員会」なるもの自体が不要だ。今求められているものは、〈自衛隊のイラクからの撤退〉の大運動であり、自民党や経団連の改憲提言・改憲案に対する激しい弾劾・抗議の闘いであり、自治労自身の腹をくくった全国闘争の設置である。
  今、日本帝国主義・小泉・奥田は、アメリカ・ブッシュ政権の主導する世界戦争へのすう勢に対して、戦争のできる国家・社会体制の構築へ向けて、国家改造の攻撃を激化させている。その要をなす攻撃が、「つくる会」教科書であり、4・19経団連の「行革推進―公務員制度改革」提言である。両者は「国家・民族の存亡のためには戦争が必要」という点に置いて完全に同一である。(すでに経団連が1月18日に改憲を提言している)。
  戦争へ向け、さらに民営化攻撃をエスカレートさせ、公務員制度改革を発動し、4大産別労働運動、公務員労働運動を根絶・一掃することに攻撃の核心がある。戦争と民営化、労組解体の大攻撃なのである。この攻撃は05〜06年をメドにしている。05〜07年は最大の階級決戦なのだ。
  自治労中央は、このような敵の攻撃の軍門にくだり、戦後労働運動の最後の衣をうち捨てて、改憲勢力=戦争推進勢力への転換・転向を開始しようとしているのだ。逆に言えば、自治労中央の改憲派への舵切りという事態のなかにこそ、今日の小泉・奥田路線による政治・経済攻勢の激しさが凝縮されているのだ。戦争国家化=改憲への最大の障壁が、なお残っている4大産別労働運動(とりわけ自治労と日教組)だからである。
  自治労の改憲路線をめぐる攻防こそ、4大産別労働運動の、公務員労働運動の帰趨を決する。自治労大会決戦に絶対勝利し、小泉・奥田の戦争と民営化、労組根絶の大攻撃と対決する自治体労働運動の全国潮流を形成しよう。

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特集   連合の改憲勢力化を許すな!

●沖縄を「利用」し、反戦・平和を叫びながら、改憲を準備するNTT中央本部を許すな!

 電通労働者部会  

 連合路線を忠実に実行するNTT中央本部

 NTT労組の第8回定期全国大会が7月12日沖縄で開催された。
  中央本部の森嶋委員長は機関紙や本部の発行する雑誌『あけぼの』で次のように述べていた。
  沖縄開催の意義と目的について・・・・・・今年が戦後60年という大きな節目であり、平和運動について組織全体で再確認し、「あの悲惨な戦争体験を肌身に感じ合い、風化させない取り組みを誓い合い強化しよう」との意志を、組織内外に明らかにする観点から沖縄開催を決断したものである。・・・・・・以上、『あけぼの』巻頭言より。
  そして中央本部は繰り返し、「戦争の悲劇」「平和」「反戦」などの言葉をちりばめ、「平和運動」を取り組むNTT労組をあらわそうとしている。
  だが日本帝国主義者、小泉が大きく戦争への道を歩きはじめ、改憲への道をふみだそうという時に全国大会の議案書では憲法改正論議の動向を6行述べただけで、「組織的にも論議を積み重ねる取り組みが重要であります」と述べられているにすぎない。

 〈反戦〉〈平和〉を叫びながら改憲を準備

 あれほど〈インタビュー〉や機関誌で〈平和〉〈反戦〉を乱発した中央本部の森嶋委員長が全国大会冒頭の委員長あいさつで述べたことは「憲法の問題に対する基本的な考え方をあえて強調するとすれば、現憲法に未来永劫一切ふれてはいけないなどと言うつもりはないということです」「防衛問題を考えるためには第1に過去の歴史の総括と反省をしっかり行い、近隣諸国の理解を得る必要があること。自国の防衛についてシビリアンコントロールが確保されているか。一方的な情報で米国に追随したイラクへの自衛隊派遣などを見る限り、そのような条件が整っているとは全く言いがたい状況にあると・・・・・・組合員が社会人として、国民の一人として、しっかりした意見を持つことが重要であり、決して無関心であってはなりません」以下略。
  全国大会沖縄開催にあたって、〈反戦〉〈平和〉を乱発した中央本部は結局、「改憲に反対」「9条改憲に反対」とは一言も言わなかった。それどころか、近隣諸国の理解を得(恫喝でか)、シビリアンコントロール(国会の承認か)ができれば防衛力を強化し靖国参拝やイラクへの自衛隊派遣などやってもいいと言っているのである。・・・・・・これが中央本部の本音であろう。
  敗戦60年を迎え、戦争と民営化=労働組合破壊の攻撃が小泉政権の下、これまでにない激しさで私たちに襲いかかってきています。イラクへの自衛隊の派兵、教育労働者への「日の丸・君が代」の強制と処分の強行。「侵略」を賛美した「つくる会」教科書の全面採択の動き。全逓労働者への「民営化」攻撃。沖縄における辺野古海上基地の建設。全国大会当日、金武住民の反対を押し切って強行されたキャンプ・ハンセン内における都市型戦闘訓練施設での実弾射撃演習などまさしく、侵略情勢下の大会であったにもかかわらず、「改憲反対」の態度表明はされなかったのである。

 日経連・連合と連携するNTT中央本部

 思えば奇妙な大会であった。戦後60年節目の大会というわりには地元、沖縄の組合員には大会傍聴の呼びかけすらなかった。(会社側の傍聴は確保されていた)また沖縄総支部の役員ですら、大会傍聴の途中、交替でしか傍聴できなかった。
  こうしてNTT中央は憲法問題にふれず「構造改革」の大合理化を推進してきたのである。
  「働き方・処遇の見直し」と称して成果賃金の受け入れ、結果的に賃下げ容認を提案してきたのである。
  こうして見ると大会の本質が見えてくる。沖縄を「利用」し、反戦平和を叫びながら、その実改憲を準備するという構図が。
  NTT労組中央本部は5月24日に開かれた「2005年政策セミナー」で改憲派の自民党の保岡興治衆議院議員と民主党の枝野幸男衆議院議員を講師として招き、「憲法問題についての考え方」という講演をおこなった。
  NTT労組中央本部は「現憲法を一字一句変えないというわけではない」とも発言し、職場オルグで憲法問題について、どういう見解かと質問されると「論議することから始めよう」とも言っています。(何たるペテン師か)
  また連合は憲法や安全保障問題について、国民的合意を前提に、9条改正も選択肢にすることなとを盛り込んだ見解を7月14日までにまとめました。(10月の定期全国大会で承認を得て正式な見解とする方針。)
  見解は、防衛、安全保障、国際協力について国民的合意が必要・日米安保を評価・イラク戦争での米国の「単独行動主義」に懸念・領土、領海などで攻撃され安全が脅かされる時は米軍と行動をともにする。・・・・・・以下略。
  この連合の見解はほぼ森嶋中央本部委員長の大会あいさつと一致する。そして連合の見解は1月18日に日本経団連『国の基本問題検討委員会』の『わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して〜』いわゆる改憲を基本とした日本経団連の国家改造案とも見事に符合する。

 代議員に改憲阻止を訴える

 まさしく連合・NTT労組中央本部はこの日経連の改憲の提言を受け、「労組」の立場から実践しようとしているのである。
  私たち交流センター電通部会に結集する労働者はいち早くこの攻撃を見抜き、7月12日に開催された第8回全国大会会場に出向き、全国から総結集で「働き方・処遇の見直し」絶対反対・戦争反対・改憲阻止のビラをまき、大会参加者に共に立ち上がろうとマイクで訴えました。
  「中間経営戦略」、「働き方・処遇の見直し」反対、改憲反対の闘いはまだ始まったばかりにすぎません。
  帝国主義の必死の攻撃は瀕死の前の最後のあがきです。全国の仲間、すべての労働者と共にこの攻撃に打ち勝とうではありませんか。

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特集   連合の改憲勢力化を許すな!

●闘う現場労働者の大統一戦線で郵政民営化絶対阻止へ!

 全逓労働者部会

 郵政民営化関連法案が7月5日の衆院本会議で、賛成233票、反対228票のわずか5票差で可決された。野党の反対に加え、与党の自民党から反対(37人)、欠席・棄権(14人)の計51人という大量の造反者が出たが、小泉政権は、あえて採決を強行したのだ。
  ここには、07年郵政分割・民営化を強行しようという小泉政権の激しい国家意志がある。郵政民営化を突破口に、公務員制度改悪を強行し、憲法改悪を強行しようということだ。だが同時に、大量の「造反者」が出たことは、小泉政権の危機が一挙に激化していることをも示している。
  法案は参院に送られ、既に審議が始まっている。小泉政権は、会期末の8月13日までに成立させようとしているが、与党から18人が反対に回れば法案は否決されるという危機に小泉は立たされている。小泉は、参院で否決された場合、衆院の解散・総選挙を行う意志を明らかにした。
  仮に参院で否決されれば、自民党だけでなく民主党をも巻き込んだ大政治流動過程が生み出されることは必死だ。

 今こそ全逓労働者の総決起を

 しかしながら、このことは我々にとって手放しでよろこべる事態ではない。なぜならば、全逓労働者・郵政労働者の力によって粉砕されたのでなく、支配階級の矛盾で廃案にされたということだからだ。日本帝国主義の延命のためには支配階級内の旧来の利権をも許さないという小泉・奥田路線と、何が何でも自分たちのこれまで利権を維持したいという自民党の一部を先頭にした分裂でしかないからだ。
  そのことによって小泉は葬り去られるかもしれない、しかし攻撃は今まで以上に激しくなることははっきりしている。行政機構の中に、労働運動、それも戦争に反対する労働運動が存在することなど絶対に許せない、そのために郵政民営化を突破口に、公務員制度改悪を軸とする大攻撃に突進するという路線は、支配階級にとってこれしかない道なのだ。
  しかしこのことは、全逓労働者が郵政分割・民営化絶対阻止を鮮明に掲げて郵政民営化阻止闘争の先頭に立てば、郵政民営化法案もろとも小泉政権を打倒し、労働者が総反撃に起つ好機が到来しているということだ。今こそ闘う全逓労働者が総決起すべき時だ。

 最大の狙いは首切り

 郵政民営化法案の最大の狙いは、郵政に働く40万労働者(短時間、非常勤労働者を含む)の国家公務員資格を剥奪し、いつでも首が切れる状態にするということだ。
  郵便局の全国設置義務、3事業の一体性の強化、全国ネットワークの維持などに関する衆議院での修正はそれ自体重要なことだが、自民党郵政族に「妥協」したものであり、いずれは、郵便局の統廃合も貯金、保険の縮小も不可避なのだ。
  しかしながら、国会での議論では、労働者の雇用については、まったく問題にもなっていないのだ。職員の非公務員化は当然のこととされている。

 全員解雇・選別再採用

 公社職員の雇用は継続されるかのように言われているが、それはウソだ。07年の民営化に伴い、「いったん全員解雇・選別再採用」が強行され、「公社の解散の際現に公社の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、承継会社のいずれかの職員となるものとする」(郵政民営化法案第165条)となっている。「別に辞令」があれば、雇用を継続しなくてもよいことになっている。どこに飛ばそうが、解雇しようが自由であり、国鉄分割・民営化の際の清算事業団送りのような活動家パージもあり得るということだ。事実、民営化前に職員の希望調査を行い、郵政公社を希望する職員については「清算法人」に配置し、就職斡旋を行うとされているのだ。
  さらに、現行労働協約はすべて破棄され、新たに協約を締結することになる。労働条件の継続も一切保証されていないのだ。
  いまこそ、われわれ全逓労働者がこれらのことを声を大にして訴えなければならないのだ。
  労働者が、郵政分割・民営化阻止の闘いの最前列に立たなくて誰が立つというのだ。

 JPU(全逓)中央の裏切りを許すな

 JPU(全逓)中央の「アクションプラン・フェーズ2」丸飲み方針を第60回定期大会が決定したことにより、今後2年間で少なくとも1万人の人員削減、郵便内務の10時間2交代制の導入など、民営化を前提にした攻撃がさらに激しくかけられてきている。
  大量減員による過労のため、外務労働者の交通事故の増加、内務労働者の過労死の増大多発している。そして、JPSによって、効率化優先のなかで、郵便規則や取扱規程はすべてないがしろにされ、郵便事故は多発の一方だ。公社当局は、「CS(顧客満足度)向上」施策のもとで、それらをすべて一人ひとりの労働者の責任とし、処分を乱発している。これらは、民営化攻撃によるのは、はっきりしている。
  しかしながら、JPU(全逓)は、これと闘うどころか、当局と一緒になって、個人の責任にしようとしている。
  職場では、一方では、極限的悪労働条件と組合に対する失望から、早期退職の希望者が増えている。もう一方では、自分のことは自分で守るという労働者も増えている。民営化攻撃による労働者の団結破壊の攻撃がここまですすんでいる。

 今こそ現場労働者の実力闘争で闘おう

 しかし、現場労働者の中には、怒りがたまりに溜まっているのだ。全国に闘う活動家が数多く存在し、職場の仲間と団結をつくり、処分をはね返して闘っている。それらは組合の分会であったり、自主的な組織であったりしているが、中央本部や地方本部は腐っても自分たちが闘わなければという労働者が数多く存在しているのだ。4・28処分、そして民営化を前にした敵の団結破壊攻撃は、中央本部を屈服転向させることに成功したが、全逓労働運動を担う現場労働者を屈服させることに成功していないのだ。
  われわれは、中央本部の4・28闘争清算攻撃の中で、「16万全逓労働者の指導部への飛躍をかけて!」という全逓改革路線を打ち出してから15年目、そして、郵政民営化攻撃の決戦を迎えた今こそ、闘う現場全逓(郵政)労働者の大統一戦線を実現し、郵政民営化絶対阻止にむかって攻め上っていく絶好の機会なのだ。
  今こそ、国鉄分割・民営化攻撃の教訓を自分たちのものにしよう。唯一2度のストライキを打ち抜き、いま、尼崎事故1カ月後の5月から「安全運転行動」を開始し、処分をはね返して今なお闘い続けている動労千葉の闘いにつづこう。
  34年間闘い続け勝利を勝ちとった全金本山闘争に続き、4・28反処分闘争勝利・職場復帰を実現しよう。

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特集   連合の改憲勢力化を許すな!

●国労第73回定期全国大会に向けた私たちの決意

 国労新橋支部 吉野元久

 国労第73回定期全国大会は、8月30日〜31日熱海ニューフジヤホテルにて開催されます。大会は2年に1度の人事大会であり、かつ9月15日に予定される鉄建公団訴訟判決直前の大会として、〈戦争と民営化〉と対決する05年国鉄決戦、とりわけ05年〜07年改憲阻止決戦の帰趨を決する重要な大会となります。国労第73回定期全国大会に向けた私たちの決意を、以下明らかにしたいと思います。

 尼崎大事故と動労千葉反合運転保安闘争

 4・25宝塚線(福知山線)快速電車転覆脱線事故は、107名の死者と549名の負傷者を出すという、JR発足以来最大の大惨事となりました。国鉄時代の常磐線三河島事故(1962年5月)、横須賀線鶴見駅事故(1963年11月9日)にも匹敵する空前のものです。まさに、民営化がもたらした労働者人民の「大量殺戮」であり、〈戦争と民営化〉攻撃そのものであると言わなければなりません。
  だが4月28日、JR西日本の4労組(JR連合西鉄労、国労西日本本部、建交労西鉄道本部、JR総連西労)は、「鉄道・JRの信頼回復」を呼びかける、実に許しがたい『共同声明』を発しました。われわれは、「この尼崎事故を絶対に繰り返させてはならない!」という怒りに燃えて、直ちに事故弾劾と徹底した反撃のたたかいにたちあがりました。私たちは、大阪の仲間たちが現場から作り上げた2つの『尼崎パンフ』を武器として、「4・15」大阪集会を成功させ、「6・26」尼崎集会を牽引し、このたたかいの先頭にたちました。
  05春闘を反合・運転保安確立闘争と結合してストライキで闘い抜いた動労千葉は、さらに5月25日から全乗務員を対象とする「回復運転はしない」「制限速度は絶対遵守」「無線通告は停車して受ける」などの『安全運転行動』に総決起し、いまだ闘いの渦中にあります。尼崎事故徹底弾劾! JR体制打倒! 国鉄1047名闘争勝利!の05年国鉄決戦の火ぶたが切って落とされたのです。
  「運行管理権を侵害する違法争議だ」などというデタラメ極まる不当処分(7・19支部執行委員全員に『厳重注意』)攻撃を撃ち破って、JR体制の足下から闘い抜かれた動労千葉のこの『安全運転行動』への決起は、ついに日本労働運動に「闘いなくして安全なし」のスローガンを呼び戻しました。それは同時に、4党合意を丸呑みした革同と本部派の奴隷の道をきっぱりと拒否し、鉄建公団訴訟をもう一つの武器とした国鉄闘争、1047名解雇撤回闘争の勝利の道筋を赤々と照らし出す切っ先となりました。

 「7・15」国鉄集会成功の歴史的地平

 「7・15」日比谷集会は、この激動の国鉄情勢の只中で全労連・国労本部と対決する決定的な集会として大成功を勝ち取りました。5800の大結集を実現したこの集会は、都労連が全面支援を決定(東水労1割動員、清掃2割動員を指令)するなど、4大産別を巡る〈戦争と民営化〉とのたたかいそのものでした。
  また集会は、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の呼びかけ発起人の人士の並々ならない努力と奮闘に支えられ、牽引されました。国労本部は悪辣な妨害を重ね、また全労連本部は「黙殺!」の非礼を繰り返しました。だが、昨年「4・13」「9・4」「12・1」を引き継ぐ1047名国鉄闘争は、この反動を撃ち破って鉄建公団訴訟を団結の武器に替え、9・15東京地裁判決に向かってあらたな進撃を開始しました。甦生する陸海空港湾20労組、『つくる会』教科書採択阻止や「日の丸・君が代」とたたかう教育労働者、そして全国に広がる1047国鉄闘争陣形、まさに改憲阻止と労働運動再生の道筋がここにあるのです。
  「7・15」日比谷に国労本隊500名の決起を実現し、1000名の動労千葉派の隊列が登場しました。尼崎事故弾劾! 鉄建公団訴訟勝利! そして動労千葉の運転保安闘争のただ中で実現された大結集でした。その全てのたたかいは、間違いなく11月労働者集会の組織化と路線的獲得そのものでもあります。
  われわれは、組合員の団結と闘いの力に依拠して解雇撤回と反合理化運転保安闘争を結合した動労千葉の決起に学び、たたかいに応えます。全国大会では、JRの首切り責任と尼崎大虐殺の〈事故責任〉を必ず取らせるために、国労組合員の総決起を強く働きかけていきます。尼崎事故をもたらしたのは、民営化と規制緩和(小泉政権)そして4党合意です。これを弾劾する闘いの核心に、この〈帝国主義批判〉を貫き、国労の再生と07年改憲阻止にむけた05年国鉄決戦に全力で立ち上がることを、改めて決意します。

 国労再生をかけた「5・27」臨大闘争弾圧との闘い

 02年10月、2波にわたる10名の不当逮捕、内8名の起訴、そして1年3カ月にわたる長期投獄の大弾圧を撃ち破って、コクロウエイトは完黙非転向を貫きました。02年11月労働者集会は、集会の名を持ってこの不当弾圧を撃ち破る決議を上げました。佐藤昭夫弁護団長を先頭に21人士が「呼びかけ人発起人」となり、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」結成が全国に呼びかけられました。
  公判闘争は東京地裁大法廷を実現し、労働運動に対する希にみる刑事弾圧事件として、今年7月すでに43回の公判闘争が闘い抜かれてきました。この闘いは、@4党合意を破綻に叩き込んだこと、A鉄建公団訴訟を新たな団結の武器として、国鉄闘争が1047名闘争として本格的に発展させたこと、B「許さない会」呼びかけ発起人がその中心軸に座ることを通じて、共産党中央委員会と全労連本部などの「動労千葉排除」の大反動を根底から撃ち破ったこと、
Cこの統一戦線の不屈の前進が、「許さない会」運動を水路として酒田=革同執行部を追いつめ、国労再生の道を照らし出す重要な契機になることなど、重大な意義を持っています。
  わたしたちの最大の課題は、国労組合員の中に「許さない会」の会員を獲得することです。

 11月労働者集会1万結集の力で改憲阻止へ!

 7月14日、連合は第24回中央執行委員会で「国の基本政策に関する連合の見解」案を発表し、ついに憲法9条「改正」に踏み込みました。8月自治労大会を前にして、本格的な05年〜07年改憲に翼賛勢力となって突き進むことを宣言したのです。700万連合が改憲勢力化することは、激震に値する重大決戦情勢です。なんとしても10月連合大会での『見解』採択を許してはなりません。これを阻止する闘いが、11・6労働者集会1万人結集を実現するわれわれの闘いです。4大産別決戦、〈戦争と民営化〉と〈労組破壊〉に立ち向かう労働運動の再生を実現しよう!

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●労働者学習シリーズ  帝国主義  第7回 工場法も否定

 島崎光晴( しまざき みつはる)  労働運動理論センター

 前回につづき、労働者学習センター主催の労働学校での講義、そこでの質問・感想、それに対する私の回答を中心に、帝国主義と現代帝国主義について考えていきます。

 3人に1人が非正社員に

●講義 今の日本は本当に大失業時代に入っています。失業率が一番高いのは実は若年層です。04年平均の完全失業率は4・7%ですが、15〜24歳では9・5%にものぼっており、全年齢層の中でもっとも高い。今年3月時点で、職探しをしているにもかかわらず職につけない若年求職者が129万人もいます。
  不安定雇用も激増しています。04年の非正社員は1564万人で、うち15〜34歳が417万人にものぼっています。非正社員の割合は90年に5人に1人だったのが、04年には3人に1人になりました。とくに15〜34歳のパート・アルバイトなどのフリーターは03年推計で450万人。団塊の世代のサラリーマンが約500万人ですから、ほぼこれと同じ規模の膨大な数です。派遣社員は94年の58万人が03年には236万人に膨れ上がっています。企業は社員を人事部で扱いますが、派遣社員は購買部扱いです。モノと同じに扱われているわけです。
  95年に日経連は「新時代の日本的経営」で、〈常用雇用は1割、あとは非正規雇用〉との構想を出しました。それから10年、日本の労働市場は大激変してきているのです。米欧企業との争闘戦で優位にたつために、労働者を非正規雇用に追いこんで収益性を高める、それが日本企業の狙いです。実際、05年3月期決算で経常利益が1000億円を超えた企業は61社と、過去最多になりました。61社の利益合計は16兆7000億円を越え、上場企業の利益の半分強を稼ぎだしています。労働者にひたすら犠牲を押しつけて、日本の大独占は争闘戦下で必死で生き残ろうとしているわけです。
  資本主義はもはや労働者を食わせていくこと、生活させていくことができなくなった。たえず、この点を再確認して闘う必要があります。
●感想 きょうの講義で一番びっくりしたのは、失業しているのが50代の人たちだと思っていたのに、本当は10代〜20代半ばの人たちだという事実です。私は高校を卒業してすぐに就職し、運良く正社員として働いていますが、非正社員の方たちや派遣社員の人たちの大変さに正直驚きました。この世の中を変えるためには、今の資本主義社会を共産主義社会に変える必要があるんですよね。

 「工場法以前に戻せ」

●講義 経団連の05年版の「経営労働政策委員会報告」では、「工場法の時代の遺制を引きずる労働基準法などの関係法令を、今日の環境にふさわしいものに抜本的に改革する」と言っています。例として、厚生労働省の通達を批判しています。この通達は「労働時間の把握・確認については、使用者が自ら現認することやタイムカード、ICカードなどの客観的な記録を基礎として確認することを原則とし、自己申告制はあくまで例外的措置である」というもの。経団連は、〈自己申告制を認めて、サービス残業などすべてごまかせるようにしろ〉と言っているわけです。
  それにしても、労基法などを「工場法の時代の遺制」と罵倒するなどというのは、とんでもないことです。〈工場法以前に戻せ〉と言っているに等しい。
  では、工場法以前に何が起きていたのか。これは『資本論』の第1巻に出てきます。1860年のイギリスのレース工場の例。「朝の2時、3時、4時ごろから9歳から10歳の子どもたちが彼らのきたないベッドから引き離されて、ただ露命をつなぐだけのために夜の10時、11時、12時まで労働を強制され、その間に彼らの手足はやせ衰え、身体はしなび、顔つきは鈍くなり、彼らの人間性はまったく石のような無感覚状態に硬化して、見るも無残なありさまである。……無制限な奴隷状態の制度、社会的にも肉体的にも道徳的にも知的にもどの点でも奴隷状態の制度である」
  1863年のロンドン。「鍛冶工は毎年1000人につき31人の割合で、またはイギリスの成年男子の平均死亡率よりも11人多い割合で死んでいる。……彼は毎日、何度かハンマーを打ちおろし、どれだけか歩行し、どれだけか呼吸し、どれだけか仕事をして、平均してたとえば50年生きることができる。誰かが彼を強制して、より多く打たせ、より多く歩かせ、1日により多く呼吸させ、全部を合計して彼の生命支出を毎年4分の1ずつ増加させようとする。結果は、彼が限られた期間に4分の1たくさんの仕事をして、50歳ではなく37歳で死ぬということである」
  これが19世紀イギリスの現状でした。資本というのは、どこまでも搾取しようとする。「労働を1日24時間の全体にわたって占取することこそ、資本制的生産の内在的衝動である」(『資本論』)。だから労働日(1日の労働時間)は極限的に延長される。「精神的最大限度ばかりでなく、その純肉体的最大限度も踏みこえる。それは、労働力そのもののあまりにも早い疲弊と死滅を生じさせる」(同)。このため19世紀イギリスでは実際に寿命が短くなったほどなのです。
  そこで、1833年から1864年にかけて工場法が設けられ、労働時間などに一定の制限が加えられました。国家が法をもって介入しないと、労働力を維持することさえできなくなってしまったわけです。「資本は、労働者の健康と寿命に対しては、それを考慮することを社会によって強制されるのでなければ、なんら考慮しない」(同)ということです。その後、労働者の血を流した長い闘争をへて、8時間労働制が実現されてきました。
  経団連の考えていることは、労働者が勝ち取ってきた8時間労働制を解体し、工場法以前のむきだしの搾取ができるようにしたいということなのです。日本の資本家階級は今や、19世紀のような搾取を強行する以外になくなった、それほどまでに行きづまった、もはや命運はつきた、と言わなければなりません。
●感想 ひとことで言って、日本の資本主義はもはや腐敗の極致で、生命力そのものが終わっているなと感じます。経団連報告の中で「工場法以前に戻せ」というのは、それをとっても象徴するような話です。
●感想 1888年の少女たちのストライキにはびっくりしました。今の私より若い子たちががんばってくれたおかげで、今の労働時間が8時間になった。とても感謝します。これらの子どもたち、自分の子どもたちのためにも、工場法以前の世の中に戻させないために、がんばりたいと思います。
●感想 1863年のロンドンの鍛冶屋の工員は、彼の生命支出を資本家の儲けのためにしぼり出しささげさせられました。私は、私の生命支出をこの世界を変えるためにしぼり出したいです。

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●やってられないぜ! ―悪化する労働者の現状

  第2回 イラク戦争を支える日本の個人貯蓄

 10月に東京三菱銀行とUFJ銀行が経営統合され、三菱東京UFJ銀行という巨大銀行が誕生する。これをもって3大メガバンク体制になり、金融再編はひとまず区切りがつくことになるが、店舗減少のために不便になるなど身近にも影響はある。
  預かり資産が100万円以上など一定の条件をクリアすると、現金引出しの手数料が無料になる銀行もあるが、あからさまな「金持ち優遇」が腹立たしい。いや、その前に、労働者の多くは、銀行に出向いても引き出す預金なんてろくにありゃしなんだから、やってられないぜ!

 激減する銀行の店鋪数

 昨今では労働者の賃金も多くの場合、金融機関の普通預金口座に振り込まれるので、労働者は口座から現金を引き出してから生活せざるを得ない。電気代などの公共料金やクレジットカードでの買い物代金は現金を介さないことも多い。いずれにせよ、金融機関は労働者の生活に欠かせない、ライフラインの一つになっている。
  都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協・漁協、郵便局と、日本には実にさまざまな業態の、数多くの金融機関があるが、この7〜8年間に、業態の種別を問わず、どの金融機関も激変に見舞われた。
  96年11月の橋本内閣の指示「我が国金融システムの改革」をメルクマールとし、「フリー、フェア、グローバル」の掛け声とともに「日本版金融ビッグバン」と称して金融再編が劇的に進行したからである。
  〈表〉は94年、99年、04年の都市銀行の店鋪数と従業員数の推移である。かつて11行あった都市銀行は04年までに、経営破綻や合併などで、4大メガバンクに統合された。この10年で店鋪数は1000店鋪以上減り、従業員数はほぼ半減し、非正規雇用化が進んだ。
  店鋪数が減った影響で、都市銀行の店鋪は窓口が混雑し、月末などにはATMも長蛇の列ができるようになった。
  ATMの稼動時間は延長され深夜早朝や休日も稼動するようになったが、深夜早朝の割増手数料をとる銀行も出ている。土曜日午前中のように以前は無料だった時間帯にも時間外手数料がかかるようになり、全体としては有料の時間帯が増え、サービスは明らかに低下したのである。

 銀行が客を選別する時代に

 「銀行が客を選別する時代になった」といわれている。
  預かり資産が大きい、あるいは住宅ローンを借りているといった銀行にとって「優良」な顧客には様々なサービスを提供するが、賃金の受け取りや公共料金の支払いしか利用しない顧客からは手数料を徴収するという金持ち優遇戦略がはっきりしてきた。
  キャッシュカード偽造やインターネット銀行の口座に不正に侵入し預金を本人になりすまして引き出すなど、金融犯罪が多発しているが、こうした金融犯罪へ対策として、暗証番号などの個人情報を磁気テープに記憶させる従来のキャッシュカードではなく、よりセキュリティレベルを高めたICチップつきのキャッシュカードを発行し、なかには手の静脈など生体認証方式を採用したキャッシュカードも扱うようになっている。一部の大手銀行では一定残高以上の資産を持つ顧客には、こうしたIC方式のキャッシュカードを実質無料で発行するようになっている。IC式キャッシュカードはクレジットカード機能もついているのが、収入が不安定なフリーター層などは、クレジットカード会社の収入基準を満たせないために審査が通らず所有できない。条件を満たせない顧客はセキュリティレベルの低い、従来のキャッシュカードを使うことになる。
  また、こうした低所得者層は、銀行が新たに進出し始めた消費者金融のターゲットになり、油断しているとサラ金なみの高金利で借金をさせられることにもなる。
  一定残高をクリアできない低所得層からはATM利用手数料や時間外手数料だけでなく、口座を持つだけで手数料(口座維持手数料)を徴収する銀行も出てきている。事実上、低所得者層を利便性から排除するような体系ができつつあるのだ。

 米ドルを買いささえる日本マネー

 かつて銀行で扱う金融商品といえば定期預金が中心だったが、いまは各銀行とも外貨預金と投資信託というリスクのある投資型金融商品の販売に力を入れている。銀行だけではない。この10月からは全国600程度の郵便局でも投資信託の販売が開始される予定だ。
  外貨預金は外貨交換時の為替手数料が、投資信託は販売手数料や信託報酬が入り、銀行にとって重要な収益源になっている。米ドルの預金は2%前後の金利をつけているし、銀行によっては米ドル投資を促進するために破格の5%とか短期に限り10%の金利を提供するところもあり、外貨預金は急増している。
  投資信託は株式で運用するもの、債券で運用するものに大別できるが、主として海外の高利回りの債券で運用し、毎月、分配金が支払われるタイプに人気が集まっている。こうした投資信託では1万円の投資に対し、毎月40円から50円が分配されるものがあり、年利換算では5〜6%になり、日本の定期預金の数百倍になる。もちろん投資信託は預金と違って元本保証はなく、リスクは購入者に転化されるものだ。
  こうした高利回り債券は欧米など世界各国の国債、社債を含むが、投資先としては米国債の比率が高い。ブッシュ政権は史上最大の財政赤字を積み上げながら、泥沼化するイラク戦争をおしすすめているが、イラク戦争の戦費はこうした外債型の投資信託を通じて、あるいは米国債を直接購入する形で日本の投資家からも調達されている。暴落必至の米ドルを買い支えているのが日本の個人金融資産なのだ。

 戦費調達に使われる預貯金

 アメリカではクリントン政権末期に財政赤字が一時的に解消され、00年財政年度には2369ドルもの財政黒字を生み出した。しかし、01年に発足したブッシュ政権はこの黒字を「原資」に11年間に1兆3500億ドルに及ぶ富裕層を対象にした大型減税を成立させた。9・11以後は国防予算(軍事費)を大幅に増額、02年度は14・1%増、03年度は17・1%増と急増させた。さらに、イラク戦争の戦費調達のために、03年度は792ドル、04年は870億ドルという巨額な補正予算を組むこととなった。もともとアメリカの国家財政における軍事費の割合は突出し、03年度実績では歳出総額2兆1576億ドルに対し、軍事費は4049億ドル、実に20%近くに達している。いまやアメリカの軍事費は福祉や国債利払い費などの義務的支出を除いた裁量的支出の50%近くを占める。イラク戦争が泥沼化し、軍事予算が大幅増になる中で、財政赤字は03年度3753億ドル、04年度は5207億ドルという空前の規模になり、05年度は6000億ドルを突破するといわれている。
  天文学的な財政赤字と経常収支赤字を背景に03年年初からドル安が鮮明になっているが、このドル安に歯止めをかけるべく日本の財務省は史上空前の規模で市場介入によって米ドルを買い支えた。その規模は03年1年間に20兆円超という巨額なもので、1ドルが80円を切った95年の「超円高」時の95年を挟んだ3年間の介入総額約11兆円よりもはるかに大きい。
  この20兆円は、まるごとイラク戦争の戦費調達の米国債に化けた。この巨額な資金は日本の財務省が政府短期証券を発行して金融市場から調達したものだが、金融市場の資金は郵便貯金や銀行預金を原資とする。外債型投資信託や米国債への直接投資だけでなく、邦貨の定期預金や郵便貯金の資金さえも、イラク戦争の戦費につぎ込まれているのである。
  イラク戦争へのあからさまな加担に無関心であってはならない。  (雷太)

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●たたかいは進む

 

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読者のページ

★5800結集をかちとった7・15集会の成果は大きい 東京・南部 石田 薫

 7月15日、日比谷野音で午後6時半より「1047名の国鉄闘争勝利」をかちとるべく集会が開催された。約20人の国鉄闘争に心を寄せてきた知識人・文化人の呼びかけで、3闘争団を軸に、思想・信条の違いを越えて昨年の3500人を大きく上回る5800人を結集で、大成功した。昨年の集会では全労連の呼びかけや結集があり、日比谷公会堂を埋めた結集だった。今回は、全労連本部が共産党による圧力のためか動かず、その動員の主力部隊である「土建」労組の旗がほとんど見られなかった事に明らかです。しかい、全労連に頼らずとも今回の5800人の結集が勝ちとられたことは、昨年以上に決定的に重要です。国労もそうだが、本部の呼びかけがなくとも下から闘う国労の組合員や全労連・連合傘下の組合が結集してきているからだ。
  昨年よりも今年の集会の重要性を感じたのは、国労・全動労・動労千葉の闘争団(争議団)の発言のあと、会場内の3闘争団組合の紹介があったときである。いままで「1047名集会」ではマスコミがそう呼ぶためか、〈動労千葉〉を〈千葉動労〉と紹介し、闘争団・家族だけが闘う部隊として扱われてきた。今回はじめて闘争団員だけでなく、闘争団の組合員を会場全体に紹介したことが重要なのだ。「〈動労千葉〉の皆さん立ち上がってください」という司会の呼びかけを手始めに、100名ほどの動労千葉組合員が立ち上がり、国労・全動労が立ち上がって会場全体に確認された。「1047名国鉄闘争」はひとり闘争団・家族の闘いだけでなく、当該組合の闘いでなければならないこと。このことが国労に見られる本部の裏切りや、全労連に見られる内部での不一致など、この間流動化情勢が続いてきたといえる。そうした状況を切り開く場として、「7・15集会」は大きな展望を切り開いたのである。
  「5・27許さない会」が旗を上げて登場し、集会にデモに登場したことも今後の情勢を切り開くものとなったといえる。「許さない会」運動3年目にはいっている現在、大衆的広がりが内的にも外へも壁にぶつかりつつある現在の状況がある。南部では14日に、「南部許さない会2周年集会」をかちとったが、7・15集会の結集を見るまで今一歩壁を感じていた。考えてみれば当たり前のことなのだが、権力の「5・27弾圧」の目的が「1047名国鉄闘争」の分断にあったのだから、「1047名国鉄闘争」とむすびつくところに勝利のカギがあるということである。国労本部や革同の妨害で「5・27弾圧」の真実が国労や1047名国鉄闘争支援勢内部にねじまげられて伝えられている。ここを打ち破るところに展望が切り開けれると、7・15集会は強く感じさせてくれた。
  尼崎事故以降、動労千葉の運転安全闘争の意義はますます鮮明である。1047名国鉄闘争についても、所属組合の組合員と闘争団・家族が一体となった闘いの構築に展望が切り開かれることを、動労千葉の闘いは示している。国労・全労働の中にこうしたあり方をビルトインしていく突破口が、7・15集会で切り開かれたと私は思う。

★合同労組で闘って 佐藤 浩一

  A地方で合同労組に所属してたたかう労働者です。今年は、組合員の所属する会社と団交を重ね、「アルバイト」労働者の不払い賃金を支払わせるなどの成果を上げています。
  「たたかう合同労組」第10回、7月号の岩沢さんの総括に共感しました。「基幹労組か、合同労組か」ではなく、基幹労組も、合同労組も、失業者のたたかいも一体的に推進していくことが大切と考えます。現在の労働運動の危機は、膨大な労働者が未組織、不安定雇用の状態に置かれていることに根ざしていると思います。基幹労組での取り組みの重要性は言うまでもありませんが、既存労組の路線転換だけでは、今日の労働運動の危機は解決できない性格のものと考えています。
  団交等で浮かび上がってきたことですが、不安定雇用といった場合、「有期雇用契約」が大きな問題であると感じています。「正社員」=「期間の定めのない契約」なら、解雇には、「整理解雇4原則」など、戦後労働運動の成果としての法律上大きな制約があります。しかし、「有期雇用契約」の場合、資本は労働力が必要な時は雇用契約を更新しながら、「雇い止め」による解雇はほぼフリーハンドでおこなわれ、そのことが、労働者のたたかいを強く規制するものとなってます。「正社員」でも労働者の方から仕事をやめる時は、民法上は2週間前に通告すればよいのですから、「有期雇用契約」が労働者にとって一方的に不利なものであることは明白と思います。
  フランスでは、不安定雇用自身が厳しく法律で規制されているらしいです。日本でも特別な場合を除き、「有期雇用契約ではなく、正社員で雇え」ということを労働運動全体の世論にしていく必要があると思います。
  岩沢さんの「今後は活動家数人、事務所なしの状況から始めて、いかに運動と組織を広げていくかについて積極的に経験を集めたい」という提起に意を強くしました。なぜなら、私の所属している合同労組がまさにそのような状況だからです。
  岩沢さんは「初期の準備が大変過ぎるようでは大都市以外では合同労組は不可能ということになりかねない」と指摘しています。付け加えると、多くの交流センター活動家は、自分の職場以外に、いくつもの運動の課題を抱えている人が多いのではないかと思います。そうすると、職場に組合のない活動家は、自分の職場闘争に多大なエネルギーをさくのが難しく、一定の力で具体的な職場闘争をたたかえる形態が必要となってくると考えます。
  私自身も、自らの職場で、自分自身を資本の攻撃から防衛するために、既存の合同労組に加盟しました。そして、実際、昨年職場で、就業規則の不利益改定とたたかうことになった時は、労組法5条の要件を満たす組合の組合員であることが、大きな威力を発揮しました。
  私の合同労組の特徴は、活動家の半数が交流センターとは違う運動のスタンスをとっている人たちだ、ということです。それでも闘争の中では労働者として共有するものがあります。交流センターはもっと大胆に統一戦線を拡大してよいと思います。そのためには、唯我独尊的なスタイルは改められなければならないと考えます。
  11月労働者集会のコンセプトは、「たたかう労組の全国ネットワークの形成」であり、そのために、交流センターの外部との統一戦線を築いたのではないでしょうか。統一戦線の発展を願うなら、相手のたたかいと存在をみとめていくことが必要と思います。
  交流センターは、反動の十字砲火の中でたたかう路線を守りぬいてきています。そうであっても、もう少し、運動上の意見の違いをオープンに論じあい、違いを包摂しつつ進むあり方を模索してもいいと思います。「いかに運動と組織を広げるか」といった場合に、これは避けて通れないテーマと思うのですが。

★共謀罪に関する2冊の新刊書発行さる 東京 山田 孝

  共謀罪新設阻止決戦が始まったまさにその時に、共謀罪の恐ろしさを全面的に明らかにする2冊の本が発行された。まさに絶妙のタイミングである。約5年間、共謀罪について研究し、そして闘ってきた成果だ。
  最近、衆議院法務委員会で共謀罪新設の論議が開始されるや、それまで治安法に沈黙を守っていた新聞、雑誌などが一斉に共謀罪を批判する記事を載せ始めた。このとき共謀罪とはどのようなものか、きちんと学習できる好書であり、唯一のものだ。
  盗聴法を含む組対法3法に反対する闘争が盛り上がった時、自民党のある有力議員が、全国のマスメディアを行脚し、「盗聴法」と言うなとおどした。その時以来、マスメディアは治安法に対し沈黙し始めた。
  共謀罪が国会に上程されるまでは、法律雑誌や学会誌で共謀罪に関する議論が盛んであったが、その後ぷっつりと途絶えている。また、共謀罪に反対して国の政策に反対するなとの圧力が刑法学者にかかったこともあった。
  2冊のうち、今年4月30日に発行されたのは、「共謀罪と治安管理社会」(社会評論社発行)で、共謀罪反対闘争に最初から関わった足立昌勝・関東学院大法学部教授監修によるもの。
  本書は、共謀罪新設反対闘争に関わった労働者、市民、学者、弁護士などが執筆した実際体験を踏まえた記録である。
  2冊目の「『治安国会』拒否宣言―『共謀罪』がやってくる」(晶文社発行)はフリージャーナリストの斉藤貴男さんと沢田竜夫さん編集によるもの。
  本書は、気鋭のフリージャーナリストの文章を中心に、労働者、刑法学者、弁護士など多彩な執筆人が書いたもので、気楽読めて、しっかりと共謀罪とは何んであるかがわかる好書である。
  共謀罪阻止決戦にかちぬくために一読することをお勧めする。

★郵政民営化反対! 120名で河原町デモ 兵庫 全逓 相川 文男

  7月8日(金)、京都で郵政民営化反対のデモをやりました。「郵政民営化に異議あり! 行動京都実行委員会」の主催です。6時半、市役所前に仕事を終えた労働者が続々と集まってきます。その数120。郵政労働者は、その半数を超えました。久しぶりに顔を合わせる前任局の仲間に声をかけると、「○○さんに行ってくれ言われたんや」という答え。「やった!しっかり動員がかかってる」と感じました。
  集会は、郵政ユニオンの酒井さんの司会で進められました。主催者挨拶として、実行委員会の園田さん。続いて、解雇撤回・地元JR復帰を闘う国労闘争団を支援する京都の会の野坂さん、ユニオンネットワーク京都の田村さん、アタック京都の小森さんが、次々と発言しました。集会アピールは、JPU(全逓)の則友さんが読み上げました。
  7時、さあ、デモに出発。宣伝カーを先頭に、横断幕・メッセージボード・小旗などを掲げ、宣伝カーのウグイスとシュプレヒコール、そして沿道ビラで、郵政民営化反対を道行く人々に思いっきり訴えました。市民の関心は非常に高く、ビラの受け取りも良く、手を振って声援してくれる人も居ました。超勤を終えて、途中デモに合流してくる郵政の仲間も数人居ました。円山公園まで約1時間、元気いっぱいのデモでした。
  7月5日、自民党内ドタバタ劇の末、5票差で、郵政民営化関連6法案は、衆議院を通過しましたが、更に波乱含みの参議院審議に入っていこうとするこの時期に、京都でデモを打ち抜いた意義は実にデカいと思います。郵政民営化によって、何よりも公務員身分を剥奪され、首切り自由・労組破壊の攻撃にさらされる、当の全逓労働者・郵政労働者をさしおいて、郵政の利権をめぐる争いだけが大写しにされる世の中の議論に対して、「おいおい、待てよ! 俺たちはどうなるんや?!」と労働者が声を上げた。持株会社がどこの株をどれだけ持とうが、郵政労働者には、アクションプランUの地獄が待っている。特定局長の身分だけが保証されれば、特定局の労働者はどうなってもいいんでしょうか?
  かつて、中曽根が、「国鉄分割民営化で、総評を解体し、床の間をきれいにした上で、新憲法を安置する」と公言したとおり、国鉄からはじまって、全逓・日教組・自治労へと労組破壊・労働運動解体の攻撃は、激しさを増しています。この国を戦争のできる国にするためにかけてくる最もきつい攻撃の矢面に、私たち郵政労働者が立っているということではないでしょうか。
  JPUでは、この山場に、26〜29日支部オルグ、参議院民主党郵政特別委員会への要請はがき、ラストサンデーとして、31日、街頭宣伝・ビラ撒き・団扇配りが企画されています。勿論、全逓労働者は、これらの行動に全力で参加しましょう! 郵政ユニオン・郵産労も、国会前座り込みを頑張っていると聞きます。
  京都実行委員会は、8月8日、第2波のデモを決定しました。今度の集会は、うんと目立つ三条河原です。デモも、四条河原町で、左折しないで右折して、烏丸まで行きます。その方がずっと人が多いからです。また、8・8へ向けて、街頭宣伝をやります。7月19日(火)、5時半〜6時半、三条河原町、8月4日、5時半〜6時半、場所未定です。8・8、たくさんの仲間を連れて、デモに参加してください。郵政民営化を阻止するために、考え得る全ての行動をやり切りましょう。

★仲間との〈つきあい〉を大事に 神奈川 全逓 桜井隆夫

  たしか昨年の今頃も、これと同じことを書いたようなきがします。
  JPU全国大会が、6月22日から2日間にわたって開催された。そしてあっという間に支部大会が開催されます。
  南関東地本大会が、7月7日から2日間、神奈川連協総会が、7月23日に開催。
  全国大会から支部大会終了まで1カ月しかありません。いかに大会が形式化しているかが、これだけでも分かります。
  大会ですから、大会議案を組合員に周知し、職場討論を行い、集約して望むことになりますが、こんなスケジュールではそんなことは時間的にムリな話です。議案を提案する執行部の側でもそんなことは考えていないと思われます。
  でも、だからといって「代議員にならなくてもいい、参加しなくてもいい」ということにはなりません。「支部大会なんか出てもつまんないから出ない」という人もいるようですが、それこそ相手の「思うツボ」ではないでしようか。
  気力、体力、知力、そしてもうひとつ〈つきあい〉を大事にして職場に団結をつくろう。
  来年の全国大会は横浜開催だ。前回の時は会場係だった。今回はどうなるかな。


■編集後記

 05年3月は激動的です。戦時下の闘いとして「日の丸・君が代」闘争が新たな地平を切りひらいています。サンデー毎日が「『戒厳令下』の卒業式」と書いたようにまさに凄まじい弾圧体制下で闘われました。一方で動労千葉は度重なるレール破断に怒りの運転保安闘争にストライキで今春闘を闘いぬきました。また全金本山は33年10カ月ぶりに職場復帰を果たしました。どんな弾圧もやはり労働者は打ち破ることができます。これからです本番は。(し)

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