2006年 1月号(No.199)目次
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労働者の目 11・6勝利の下に団結せよ!

労働ニュース
  ●弾圧/春闘 ●増税など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集  06年をいかに闘うか
  ●〈動労千葉の労働運動〉を全国の職場・地域で実践し、戦争と民営化、生存権剥奪攻撃への総反撃を切り開こう

(続)新憲法制定は、クーデターだ!

労働者学習シリーズ 帝国主義 最終回 戦争と革命

闘う合同労組 第14回 「闘う合同労組全国交流会」を成功させよう

やってられないぜ!  第6回 耐震強度偽装事件

たたかいは進む   ●共謀罪を永久に葬りさろう 

読者のページ 編集後記

・PhotoDocument

労働者の目

●11・6勝利の下に団結せよ!

 全国労働組合交流センター代表運営委員(ス労自主中央執行委員長)    入 江 史 郎

 関西生コン支部への弾圧が続いている。その矛先は、間違いなく日韓米の国際連帯を実現した4600の団結に向かっている。
  敗戦後、労働組合法、教育基本法、そして新日本国憲法の制定とともに、日本の労働者は労働基本権の権利主体となった。今や日本の、世界の労働者の置かれた現状は、未だに続く資本主義支配体制の下で、自らの団結権はおろか、人間としての生存権、存在そのものが脅かされている。
  われわれは、既に、1945年8月15日に至る時代を再び歩み出しているのかもしれない。01年9月11日〜03年3月20日から続くアフガン・イラク中東侵略戦争を、われわれ労働者の力でとめなければいけない。労働者を欺き、虐げ、労働者を黙らせることに血道をあげるだけの政府など、お払い箱にする以外にない。小泉自公政権の郵政解散クーデター選挙の結果を嘆き、恐れて、立ち止まっている時ではない。
  05年、われわれは勝利した。われらが動労千葉が反合運転保安闘争に勝利し、全金本山労組が34年の闘いの末に、不当解雇撤回・職場復帰を実現し、国労5・27臨大反弾圧刑事裁判闘争が闘い続けられている。何よりも11・6全日建関生支部・全金港合同・動労千葉3労組を中軸として、日韓米労働者の国際連帯を確固たるものにした。
  そして、わがエクソン・モービルは、05年7〜9月のわずか3カ月で1兆3千億円もの暴利をあげながら、なお日本全国の支店の事務職労働者全員を早期退職に追い込もうとしている。暴利に暴利を重ねながら、なお、イラクの戦況に息をこらし、巨大石油独占資本としての行く先を定めることもできずに、右往左往しているメジャー・エクソンモービルに対して、私たちス労自主は現職組合員わずか6名、総勢33名ながらも、8君不当解雇撤回を掲げて、真正面から立ち向かい闘っている。
  06年を労働者階級勝利の年に、労組交流センター飛躍の年に。11・6勝利の下に団結せよ! 組織せよ!

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●労働ニュース(05年11月16日〜12月15日)

立川ビラまき、逆転有罪
 東京都立川市の防衛庁宿舎で、自衛隊のイラク派遣に反対するビラをまいて住居侵入罪に問われ、一審で無罪となった市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー3人の控訴審判決が9日、東京高裁であった。中川武隆裁判長は、行為は住居侵入罪にあたるとし、「ビラによる政治的意見の表明が保障されるとしても、宿舎管理者の意志に反して立ち入ってよいことにはならない」と述べて一審判決を破棄。3人を罰金20万円また同10万円とする逆転有罪判決を言い渡した。3人は即日、最高裁に上告した。

防衛庁「省」格上げ
 政府は5日、防衛庁を省に昇格させるための防衛省設置法案など関連法案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。自民、公明両党が同日、幹事長、政調会長会談を開き、昇格で大筋合意したことから、法案提出の環境が整ったと判断。

イラク派遣延長決定
 政府は8日の臨時閣議で、14日期限が切れるイラクへの自衛隊派遣を1年間再延長する基本計画の変更を決定した。新計画は、陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワで治安維持にあたる英豪軍の動向を見極める方針を明記。

「賃上げ春闘」復活
 電機、鉄鋼などの国内の主要産業の労働組合が06年春闘で久々に賃上げをもとめるのは、企業業績が回復する一方で、定率減税廃止などの働き手の負担増に直結する動きが強まっているためだ。

好業績企業 賃上げ促す
 日本経団連は06年の春季労使交渉で好業績企業に賃上げなど労働条件の改定を促す労使交渉指針を固めた。デフレ脱却が視野に入り、企業業績が上向く中で、バブル崩壊後の93年以来続けてきた一律的な賃金抑制姿勢を転換する。

トヨタ労組、ベア要求へ
 トヨタ自動車労働組合(東正元・委員長、約5万8千人)は、来年の春闘の賃上げ交渉で、ベアを4年ぶりに要求する見通しになった。

電機も賃上げ要求
 電機連合(組合員数約61万人)は7日、06年の春闘で標準労働者ベースで月額2千円の賃上げを要求する方針を決めた。賃上げ要求は5年ぶり。

鉄鋼6年ぶり賃上げ要求
 鉄鋼や造船重機などで構成する基幹労連は来年の春季労使交渉に向け、一人当たり3千〜5千円の「賃金改善」を要求することで調整に入る。造船重機は4年ぶり。

労働審判 来春スタート
 解雇や賃金未払いなど働く人の日々の生活に直結する紛争を、専門的な知識を持つ民間人が裁判官と一緒に短期間で柔軟に解決する「労働審判制度」が、06年4月から全国の地裁で始まることが決まった。最高裁は、審判に参加する民間人を「労働審判員」として計1千人任命する方針を固めた。連合と日本経団連から推薦名簿を最高裁に提出。来年2月にも正式に任命。

教員免許の更新制提言
 中央教育審議会(文部科学省の諮問機関)は5日、教員養成をめぐって今後の教員免許のあり方に関する中間報告をまとめた。大きな柱として、教員免許の更新制の導入と、教員養成のための専門職大学院「教職大学院」の創設を提言した。

「君が代」斉唱の指導強化
 卒業式、入学式での「君が代」斉唱を巡り、都教育委員会は、教員が生徒に不起立を促したりしないよう、学校指導を強化する。斉唱時に多くの生徒が起立しないなどの「不適切な事態」があった場合、適切な生徒指導を指示する通達を即時、出すことになった。

郵便局の27%赤字
 日本郵政公社は28日、全国の郵便局の約27%にあたる5千370局が04年度に赤字だったとの試算を発表した。赤字局の割合は03年度の14%(2千870局)に比べてほぼ倍増した。

行革推進法3月提案
 政府は、公務員総人件費の削減目標や政府系金融機関統廃合の達成時期などを盛り込んだ「行政改革推進法案」(仮称)を本年の通常国会に提出する方針を固めた。

2・6兆円の増税答申
 政府税制調査会(会長・石弘光中央大特任教授)は25日、06年度税制改正の答申を小泉首相に提出した。所得税と個人住民税の定率減税、企業のIT(情報技術)投資を促す法人税減税など、景気対策で導入した減税策について軒並み廃止を提言。増税規模は総額2・6兆円規模となる。

高齢者負担2段階で上げ
 政府・与党は30日、06年から医療費の患者窓口負担を2段階で引き上げる医療制度改革大綱を決定した。まず10月に70歳以上の高所得者の負担割合を現行2割から3割に上げる。08年度以降は70〜74歳の中低所得者現行1割を原則2割とし、75歳以上が対象の新保険を創設して全加入者から保険料を徴収する。

公営住宅 家賃引き上げ
 政府は29日、地方自治体が賃貸している公営住宅の入居者のうち入居基準の月収20万円を超える世帯の家賃を段階的に引き上げ、民間住宅の家賃並みにする公営住宅法施行令の改正案を閣議決定した。

冬ボーナス3・5%増
 日本経済新聞社が12日まとめた05年冬のボーナス調査最終集計(2日現在、有効回答838社)によると、全産業の一人当たり税込み支給額(加重平均)は前年冬実績比3・54%増の80万4千458円だった。

大卒初任給2年連続減
 05年の大卒者初任給(6月確定分)の平均額は19万3千900円で、昨年より0・6%減少したことが25日、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で分かった。

労災並み補償は遠く 石綿新法
 29日決まった「石綿(アスベスト)による健康被害の救済に関する法律案」(仮称)の大綱は、周辺住民の被害救済にようやく道を開いた。しかし、260万〜280万円で調整が続く一時金(特別遺族弔慰金)など、遺族や患者の生活救済には極めて不十分だ。

セクハラで病気は労災
 厚生労働省は12月、職場での性的嫌がらせ(セクシュアル・ハラスメント)によってうつ病などの心の病が起きた場合、労災に認定しうる、との見解をまとめ、全国の労働局に通知した。

基本給カット受け入れへ
 三洋電機が経営再建の一環で打ち出した一般社員の基本給5%カットを労働組合が受け入れた。

 労働日誌(05年11月〜12月)

11月18日
 厚生労働省は、06年の通常国会に提出を目指す男女雇用機会均等法改正案の原案を、労働政策審議会の分科会に示した。「間接差別」の禁止、妊娠・出産を理由とした本人の不利益になるような配置転換の禁止などを盛り込んだ。

11月23日
 自民党の武部幹事長はTBS番組で国民投票法案について「多数決でやるべきでない。野党の協力を得たい」と述べ、民主党の協力を得て成立させたいとの考えを示した。

11月24日
 小泉首相の私的諮問機関「皇室反転に関する有識者会議(吉川弘之座長)は、「女性天皇」や、母方だけに天皇の血筋を引く「女系天皇」を認め、皇位継承順位は男女を問わない「第1子優先」の報告書を首相に提出。」

11月25日
 総務省が発表した10月の全国の消費者物価指数(2000年=100)は98・2で前年同月比で横ばいとなった。5カ月ぶりにマイナスを脱した。

11月29日
 総務省が発表した10月の完全失業率は、前月より0・3高い4・5%と、3カ月ぶりに悪化した。男女別の完全失業率は男女とも4・5%で、男性が前月比0・2、女性は同0・3上昇。15〜24歳の男性の完全失業率が9・4%で依然として高止まりしている。

11月30日
 横浜市は、来年4月から職員の特殊勤務手当を原則全廃すると発表した。手当廃止により06年度は約10億5千万円の人件費削減となるという。

12月1日
 高校用「現代社会」の教科書で違法な検定を受けたなどとして、高嶋伸欣・琉球大学教授(63)が国に100万円の損害賠償を求めた「横浜教科書訴訟」の上告審判決が、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)であった。同小法廷は、検定を適法として請求を棄却した2審判決を支持、教授側の上告を棄却した。

12月2日
 米海軍は、神奈川県の横須賀基地を事実上母港とする通常型空母キティホークの後継艦に原子力空母ジョージ・ワシントンをあて、08年に配備すると発表した。

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●動揺する証人を長野地本が激励―検察がデッチ上げ起訴に必死の時に

 第49回 久保田清一 衝撃の証言

  国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

 検察側証人から飛び出した衝撃の証言

 国労5・27臨大闘争裁判の第49回公判が、12月13日に東京地裁104号法廷で開かれた。検察側証人として、国労本部のチャレンジ派の吉田書記長の影響下にあると自認した長野地本の久保田に対し、2回目の弁護側の尋問が行われた。久保田証人は、前号でも紹介した通り国労本部の公式見解からもズレた証人だが、その口から隠されていた決定的な真実の一端が語られ、大きな衝撃が走った。
 まず、その証言を紹介する。
 葉山弁護人の、「吉田書記長が証人らを一同に集めた事はあるか」との質問に、久保田証人は以下の様に答えた。
逮捕された中に組合員がこんなに大勢いる事は知らず、証人になることに躊躇があった。その頃、被害届けを出した組合員のほぼ全員を集め、「大変だけど頑張ってくれ」と激励する集会が長野地本の古畑委員長も出席し開かれた。場所は塩尻の社民党事務所。私は激励に応えて発言したが内容は覚えていない。
 この内容を、労働組合の決起集会で闘う当該が決意表明をしたかのように、平然と証言した。法廷は静まりかえって、証言に聞き耳を立てた。
 吉田書記長が証人になる覚悟を固めさせた会議があった事は、すでに他の証人が述べている。これとは別に激励会も開かれたことになる。

 検察は証人固めで長野詣で、地本は激励会

 逮捕された大半が組合員である事を知り、長野地本の「被害者」が証人になることを嫌がり大変だ。連日、検事が長野に行っている。取り調べ期間(23日)の最後の頃、検事自らこの事を盛んにしゃべっていた。検察官が逮捕後に作成した「被害者」調書も多数ある。また、東京地本の阿部書記長(当時)は被害届を「撤回」し、暴行したとされた支援者は不起訴となった。
 組合員を起訴できるかどうかは、「被害者証人の決意」にかかっていた。その時、検察と国労本部派はまさに一体で起訴に向け突っ走ったのである。
 検察は国労本部派の全面協力を得、利用して起訴を強行した。この点は、検察の弱点として裁判でも起訴状と冒頭陳述の食い違いや、検察立証の破綻として明らかになっていた。それが、被害者証人の口から、それもすらすらと述べられた点に今回の証言の衝撃性がある。検察の弱点は大きく開いた。
 この原点は、吉田書記長が嫌がる組合員に被害届を出させ、検察がそれをテコに8名の起訴を強行したという事実にある。事実だから隠しようもなく、証人の口から次々と明らかになるるのだ。この検察の構造的弱点はますます拡大するであろう。

 闘争団の追放と、組合員売り渡し

 長野地本では吉田書記長の影響力が強い。久保田証人は、被害届を出す時もためらいはあったが、「言われたら、やるしかない」ので出したと証言した。吉田書記長に「言われたら、やるしかない」ということだ。その影響力を使って、吉田書記長は何をやってきたのか。01年には、4党合意に反対した美幌と紋別の闘争団を長野から追放した。
 解雇されて物資販売で生活を立てている闘争団に対し、方針が違うことを理由に兵糧責めを平然と行う。しかも何度も北海道に行き、夜を徹して語り合った仲だと言うのに。
 権力・自民党に屈服し、「政治解決」をもてあそび、破綻すればするほど組合の地位にしがみつく。その典型が吉田書記長だが、02年には組合員を警察に売り渡し、それをテコに本部書記長の座を手にした。

 国労本部の打倒へ総力を

 今国労本部は八方ふさがりで、「この間のいきさつをリセットする」と言い出している。リセットと言うなら、4党合意受け入れとその後の労働組合にあるまじき犯罪行為の全てを謝罪し、辞任する以外にない。8名を犯罪人にする裁判は続き、鉄建公団訴訟への敵対を続ける本部のリセットなど許せるはずもない。
 4党合意を受け入れた国労本部は、自民党に屈服し警察・検察権力の手先となり、組合員を逮捕・起訴させるために「激励会」まで開いた。この関係は今も続いている。長野地本の組合員が検察側に守られ「被告に処罰を」と証言し、それを動員された組合員が傍聴していることが何よりの証拠である。国労本部は警察労働運動に落ちているのだ。
 国労本部は4党合意の総括さえ出来ない。攻守は完全に入れ替わった。今こそ本部を打倒し、国労の再生を勝ち取ろう。

 刑事弾圧を逆手に取り国家的不当労働行為を断罪しよう

 国労本部の悪辣な手口を総動員したのが、02年5・27臨大であった。この大会の目的は、鉄建公団訴訟原告への統制処分、不屈に闘う部分への権力への売り渡しであった。以後2年半、闘い続けた原告団・被告団は自らの力で勝利の地平を築いてきた。7・15日比谷集会で示された国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の連携は、06年にはますます発展する。11・6で実現した国際連帯の力は、労働運動全体に大きな力を与えている。労働者の下からの力がわき上がろうとしている。
 国鉄1047名闘争は、国鉄分割民営化・国家的不当労働行為との闘いである。国家権力が追いつめられれば刑事弾圧に訴えることは、全金本山を始めとして幾多の争議の教えるところだ。国鉄闘争の勝利をこの裁判闘争と鉄建公団訴訟を水路に切り開こう。06年1月13日の第50回裁判(久保田証人の続き)の傍聴に集まろう。

 06年度公判日程 第52回 1月11日(水)  第53回 2月1日(水)  第54回 2月22日(水)
            第55回 3月15日(水)  第56回 3月29日(水)  第57回 4月19日(水)
            第58回 5月10日(水)  第59回 5月31日(水)  第60回 6月21日(水)
            第61回 7月12日(水)

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特集  06年をいかに闘うか

●〈動労千葉の労働運動〉を全国の職場・地域で実践し、戦争と民営化、生存権剥奪攻撃への総反撃を切り開こう

  事務局長 辻川 慎一

 教労の不起立闘争と動労千葉の安全運転闘争が情勢を切り開いた

 11・6労働者集会から11・13民主労総大会への参加、18日のAPEC反対闘争までやりきったところで、05年の闘いに振り返ってみたい。
 11・6は日比谷野音を埋める4600を結集し、参加した人たちは非常に勝利感をもっています。06年通常国会に国民投票法案や教育基本法改悪案が提出されるという情勢のなかで、共産党や社民党系の労組指導部は、帝国主義の危機が見えないし、展望がみえない。そのなかで交流センターが11・6を勝ち取った勝利感をもって06年を迎えたことはすごく決定的なことです。
 3〜4月に、教育労働者が不起立闘争を戒厳令体制下で貫いたことは、実に大きかった。交流センターは、自分達も逮捕覚悟で、弾圧にひるまないで教育労働者と共に闘った。「つくる会」が4年越しで準備してきた教科書攻撃に対しても、不起立闘争の質を引き継いで闘えた。都議選も杉並の教科書闘争の全国最大の焦点に押し上げる闘いとしてやりきれた。
 この教育労働者の闘いと連帯する形で、動労千葉の3月春闘ストライキが打ち抜かれた。動労千葉は、教育労働者と連帯する春闘ストライキとして位置づけて組合の全活動者研修会でも大内裕和さんを呼んで教育基本法改悪攻撃について武装して、極めて階級的なストライキとして闘ったと思います。
 4月25日にJR尼崎事故が発生して民営化の破綻が激しく鋭く突き出された。小泉政権の戦争と民営化、郵政民営化や公務員攻撃が全面化するなかで、国鉄分割・民営化と真っ向から闘い抜いた動労千葉しかこの攻撃と闘えないことがはっきりした。動労千葉の安全運転闘争は、かつてない反響と支持を巻き起こし、処分攻撃にもひるまないで4カ月間にわたって闘った。JR東会社は追いつめられて全面謝罪、組合の要求は全部通るということで完勝しました。
 交流センターの軸である動労千葉が、帝国主義の全面的な攻撃に対してこうすれば勝てるんだということを典型的に示した。
 被処分者の闘いが原動力となって7月の日教組大会では改憲方針が出せず、8月の自治労大会でも、平和基本法を承認するという形で改憲に踏み込むことに対して沖縄県本部を先頭に代議員が激しく対決しぬいた。
 05年の闘いの一番大事な核心は、労働組合を水路にした労働者階級自身の闘いが情勢をつくっていくし、最後の決定要因なんだということが典型的に実証されたことだと思います。それを動労千葉を先頭に交流センターが全国的展開で切り開いた。
 帝国主義の攻撃に対して労働者階級の闘いだけが情勢を切り開くのだという1年間の実践と闘いの総括点として11・6があった。だから11・6で労働者階級を中心に1万人の結集を実現するということが掛け値なしに06年、07年を決めていくう核心的勝負だった。
 1万人に届かず4600人に止まったことの総括は、後にふれますが、労働者階級が主体であり、労働組合が決定的であり、自分たちが主体となって労働組合を変え、自分たちが労働組合をつくっていくんだということを改めて11・6で確認できた。

 日米韓国際連帯は、動労千葉の闘いへのエール

 11・6には、アメリカの戦闘的労働組合が昨年の陣形をさらに広げて参加したし、民主労総も20名もの人たちが青年を含めて結集した。権力の弾圧や資本の攻撃に対して戦闘的闘いを守り発展させているアメリカと韓国の労働組合が、日本で連帯する対象は動労千葉を中心とする戦闘的勢力だと最大級のエールを送ってくれた。とりわけ民主労総には、JR総連と共闘している労組もあり、内部で激しい議論があった。でも結局、JR総連が分割・民営化について賛成したという事実について何の総括も反省もしていないという一点で、民主労総として共闘する相手ではないということで決着したという経過があった。動労千葉が分割・民営化で2波のストライキを闘い抜いて、まさに血を流し首を切られながら闘い抜いて来たという一点で、ソウル本部は、日本で民主労総が共闘すべき相手は動労千葉なんだ、動労千葉と共に闘う労働者なんだと確信を深めたのだと思う。
 国内的では動労千葉に対する評価は低いけれども、国際的には動労千葉の闘いはすごい、素晴らしいということが認められた。11・6に参加した人たちも、組合内では多数派ではないし、さしたる役員もいないけど、自分たちこそが日本の労働者階級の未来を切り開く中心なんだ、自分たちはさしあたって少数であってもアメリカや韓国の労働者とも完全につながっているんだということを本当に確信できたと思います。
 初めて参加した人の感想を聞いても、長い集会ですけど、よく聞いていますし、よかったという声が多い。34年間闘って勝利した全金本山の発言や、首になっても不起立を貫くことが子ども達に対する労働者としての責任なんだという被処分者の発言には、民主労総の青年も感激したみたいです。

 民主労総の階級的質の高さに感動

 さらに決定的だったのは、11月13日の民主労総の労働者大会です。ソウル本部が動労千葉を正式に招いて、動労千葉を中心とする訪韓団が参加し、私も参加しました。JR総連や新社会党も来てましたが、前夜祭で日本の闘う労働者の代表として紹介されたのは動労千葉でした。「熱烈歓迎 動労千葉」というプラカードを用意して、メインステージの最前列に案内されるなど、ソウル本部の動労千葉への歓迎ぶりはすごかったと思います。
 前夜祭とか本大会では、スケールの大きさとともに内容の階級的高さを感じました。「障害者」代表の方が熱烈なアジテーションをやっていたり、移住労働者組合の方たちも発言していました。「障害者」であれ農民であれ外国人労働者であれ意識的に組織化をして階級が中心になって全ての人の解放を実現する。そして、「非正規雇用の正規雇用化、権利の確保」を最大のスローガンに掲げている。内部では正規雇用労働者から反発もあるという話も聞きましたけど、非正規雇用の問題を韓国の全労働者階級の中心課題に押し上げている。外国人移住労働者の問題もきっちり取り上げている。移住労働者組合の副委員長と話してきましたが、民主労総を通じて移住労働者の権利を法制化して権利を確保するんだと言ってました。マルクス主義的というか本当に階級性が高い。
 一言でいうと、私自身が日本の労働運動の中で自分が目標とし実現したい基本的なものがほとんどここにあると思いました。
 APEC闘争をみても原型は完全に日本の70年闘争にある。実際、彼等は、70年闘争に影響されて、パク・チョンヒやチョン・ドファン政権に対して学生が先頭になって民主化闘争を命がけでやった。その人たちが、労働者の中に入って独裁政権のもとで労働組合を戦闘的に組織化する血を吐くような闘いをやりつつ民主労総をつくってきた。

 70年闘争の継承・発展をかけた35年間の攻防

 民主労総の闘いは、私らが日本の階級闘争の中で実現しようとしていた闘いでもあった。革マル派の敵対や国家権力の弾圧は、70年闘争を闘った労働者階級・学生がその質で労働運動を発展させることへの恐怖にかられた反動だったと思います。
 動労千葉の闘いは、総評最強部隊といわれた国鉄労働運動、その中で最も戦闘的闘いを展開した動労の中で、核心的には70年闘争の地平の発展か後退かをかけた闘いだったし、日帝と真っ向から対決して闘うのかどうかという労働運動の路線をめぐる争いだった。松崎は、75年のスト権ストで総評労働運動は終わったと総括し、中野さん率いる動労千葉はそうじゃないっていうことで激突したわけです。
 動労本部・松崎は、78年に貨物輸送安定宣言を出して、もう闘ってもムダなんだと反合闘争を投げ捨て合理化に協力をする。それに対して動労千葉は、船橋事故闘争を通じて反合・運転保安闘争路線を確立し、反合闘争を動労・革マルと激突しながら貫徹し、79年に分離・独立してジェット燃料輸送阻止闘争を闘いました。
 松崎の正体と動労千葉の正しさが完全にはっきりするのは、87年の国鉄分割・民営化です。分割・民営化の先兵となって延命しようとする動労・革マルに対して、動労千葉は2波のストライキをうちぬき、40名にのぼる解雇者を抱えながら分割・民営化の攻撃と真っ向から闘いぬいてきた。
 70年闘争に学んで血まみれのほふく前進をしてきた民主労総と動労千葉を先頭に階級的労働運動をめざしてきた交流センター派が、結成15年目にして合流した。70年闘争を闘って、革マルの敵対や国家権力の弾圧にもひるます、歯を食いしばって闘ってきた交流センターの中心的活動家にとって、こうした観点で11・6の地平をとらえ返すことは重要だと思う。
 民主労総は、「日本の労働運動の展望は動労千葉にある、おまえらは絶対正しいんだから絶対頑張れ」と渾身のエールを送ってくれている。前夜祭の田中委員長の発言が終わったあと、コ・ジョンファン氏は「田中委員長は分割・民営化のときにストライキで闘って首になったということを言ってくれたか」と確認したらしいですよね。組合員が「言いました」って返事すると「よし、それでいい」と。首をかけて民営化と闘った事実が一番説得力があるということを示すエピソードです。

 11・5『赤旗』声明の本質

 11・5「赤旗」声明は、06年決戦がどういう決戦なのかということを本質的に突き出している。動労千葉と交流センターが労働者階級と結合することをものすごく恐れている。もうひとつは、改憲決戦が帝国主義打倒の闘いとして爆発していくことへの恐怖があると思います。
 共産党は、戦後革命期をのぞいて労働運動の主流派になったことがない。日本の労働者階級から信頼されたことがない。スターリン主義というのは、ロシア革命を裏切って一国社会主義路線をとって、帝国主義の世界支配を容認し、国内においても生産力主義によって労働者を抑圧する。国際的にも労働者を資本と闘わせるのではなくて、ソ連防衛のために従属をさせていく。スターリン主義は、労働者階級の自己解放的闘いに敵対する本質的に反労働者的存在です。2・1ゼネストでも4・17ストでも、労働者階級の闘いが戦闘的に爆発するときには、必ず抑圧者・弾圧者として登場するということを歴史的に繰り返しています。
 11・5声明は、「革マルと中核派はテロリズムを容認している。暴力集団なんだ。こいつらとは改憲闘争を一緒にやっちゃいけないんだ」という論理です。革マルについては、内ゲバ論のダシにしているだけで、端的には、動労千葉と交流センターが階級と結合することへの敵対です。
 単にわれわれを中傷し統一戦線を妨害しているというだけではなくて、労働者階級の自己解放の思想、労働運動の戦闘的な爆発に対する攻撃だということが核心です。11・6集会の妨害ということにとどまらず、本質的には、共産党や連合の制動を踏み破って、労働者が自分たちの存在と力に目覚めて団結して立ち上がるということに対する、「共産主義」をかたった最後の反動として襲いかかってきていると見るべきだと思う。
 共産党は、戦前の天皇制国家権力に基本的に屈しています。戦後も「解放軍」規定や対米従属論に明らかなように、帝国主義国家権力と闘わない。闘ったら終わりなんだという敗北主義にとりつかれ、党として骨が折れている。日本の共産主義者は、関東大震災のときの甘粕事件にたじろいで党を解散したり、30年代に天皇制国家暴力の前に屈服して指導部が転向してしまった。それが日本の労働者階級の意識に、国家権力と闘ってもダメだというトラウマを植え付ける犯罪的役割を果たした。
 もうひとつは、11・5声明は、改憲闘争が帝国主義国家権力と対決する闘いへと発展していことへの恐怖と敵対を示している。

 改憲闘争をどう闘うか

 改憲攻撃とは、憲法9条を変えて日本を戦争をできる国にする、自衛隊を軍隊としては集団的自衛権を発動できるようにすることがもちろん核心です。しかし、さらに根底的に考えると、改憲闘争とは革命の問題です。戦後革命期の激動情勢の中で、戦後の憲法は、天皇制護持と引き換えに、二度と戦争はやらないと労働者階級に誓約するものとして作られたという構造がある。そうすると、天皇制を最後の支柱とする日本帝国主義との激突を核心におかない改憲闘争というのはごまかしだし、根本的に勝てない。
 改憲攻撃は、国家権力との激突だということを腹にすえない改憲闘争というのは無力です。労働者階級の行動、闘いの中に展望があるし、そこにしか展望がない。このことは、日帝国家権力を打倒できるんだという確信と裏表なんですよ。労働者階級の自己解放性への確信なしに、改憲を阻止すると言っても空論だと思う。
 労働者階級の力を信頼せず、国家権力との激突に恐怖する共産党が、改憲阻止を闘えるわけがない。改憲阻止闘争についても、共産党は、労働者階級を敗北に導く最後の支柱になると思う。そういう意味で、改憲闘争は、共産党の制動を打ち破ることが日本労働者階級の自己解放的な力をバーンと解放するような、そういう構造になっていると思う。
 11・5声明に対しては、直対応的に共産党が許せないというレベルではなくて、それへの根本的な批判をしなきゃいけないと思う。そういう反動を引き出したのもわれわれの去年1年間の闘いの前進だと思う。

 1万人結集の課題は、経済闘争指導の根本的強化

 06年決戦に向かうときに、11・6集会が1万人になぜ届かなかったのかという問題の総括は避けて通れない。4600は昨年を大きく上回る数だけど、なぜ爆発的にいかなかったのかという問題もきちんと総括しなきゃいけない。
 たとえば茨城でも、労働組合で動員が伸びたところと伸びないところがある。組合動員に成功しているのはやはり経済闘争を徹底的に労働者とともに闘い抜いているところ。そこで信頼されている会員がちゃんと動員に成功している。闘い抜いているところは、自分たちが展望を開くためには、他の労働者と連帯しなければ絶対勝てないということをちゃんと提起した場合に必然的に結びつく。それができないで、一般的に郵政民営化反対、公務員制度改革反対といっても、あまり労働者に通用しない。本当に過酷な状況に置かれている労働者のテーマ、課題、悩みを組合として組織して闘い抜くことが必要だ。
 自分たちの職場における闘い、組合としての経済闘争と別個ところで11・6の動員を組織するような傾向が交流センターにはまだまだあると思う。経済闘争をやるよりは、2〜3人で政治闘争に参加する方が簡単だから。経済闘争がものすごく軽視されているのではないか。
 4大産別決戦も、もちろん宣伝・扇動の領域で真っ向からこれに反対することがまずは決定的だが、職場における矛盾や課題と向き合って闘い抜くことが大いに足りないのではないか。日頃、そういう闘いをやっていない者が、信頼されるはずがないし、年間を通してろくに職場のこともやってなくて、さあ11月へといったってそうはいかない。
 郵政民営化反対といっても、やはり労働者を追いつめている現状に対して一つの団結として真っ向から激突する、その結果をふまえ、さらに団結を拡大していくという過程と無縁なところで郵政民営化阻止もない。火種は全国至る所にある。「物ダメ闘争」のスローガンも、労働者の怒りや問題意識とかみ合ってこそリアルなものとなります。
 4大産別は、改憲問題や平和問題でも激突になっているが、多くの公務員労働者、自治体労働者の主要なテーマは、労働強化であり、賃下げであり、それへの怒りであり、そのことに対してなんの闘いも提起しないことに連合指導部への怒りがベースにある。この闘いを捨象したところで平和問題といったってうまくいかない。
 労働者は、人間らしく生きる権利を奪われながら戦争に動員されていくのだから、労働条件の問題と戦争の問題は労働者にとって分離された問題ではないし、一体的に論じる必要がある。経済闘争と政治闘争は別の闘いではない。そういう点の強化が、2月総会の課題だと思っています。

 改憲決戦の成否をかけた4大産別決戦

 06年決戦を考えると、国民投票法案、教育基本法改悪案、国防省設置法案、米軍再編推進法という通常国会に提出されるといわれている法案をみただけでも、改憲の勝敗を分かつ闘いになる。首きりと賃下げの公務員総人件費削減のレールを敷く行革推進法や業務民託化のツールである市場化テスト法も出てくる。小泉や奥田は、これで改憲の抵抗勢力である自治労、日教組をがたがたにすれば、改憲も米軍再編もいけると踏んでいることは間違いない。
 4大産別決戦をどう闘うか。小泉は「官から民へ」を掲げて、「公務員は甘やかされているんだ、優遇されているんだ」と扇動している。事実、労働者階級は、低賃金の非正規雇用に追いやられ、全世帯の20%が年間収入が200万円をきり、生活保護は10年前の倍という過酷な状況に追い込まれている。そういう中で、公務員が優遇されているみたいな扇動をされて、労働者階級の中に分断・対立が持ち込まれている。
 そうした状況の出発点が、87年の国鉄分割民営化だった。89年に総評が解散し、連合が発足し、そのことを土台に95年日経連プロジェクト報告がでる。その中で、日本帝国主義の意思として、終身雇用・年功賃金の解体と労働者の総不安定雇用化がうちだされていますし、社会保障の解体も出されている。
 国鉄労働運動が解体され、分割民営化から15年の間に、労働者階級が生きていけないような状況に落とし込められまで帝国主義の攻撃が進んできた。

 公務員攻撃は、全労働者人民の生存権剥奪攻撃

 なぜ郵政民営化なのか、なぜ公務部門を民営化せねばならないのか。核心的には、労働者階級の階級的団結、闘いが解体された時、労働者階級総体が生きられないという状況が進む。生存権が剥奪される状況と同時に戦争への動員が進められる。戦争と改憲の道は、労働者階級として生きていくことの破壊として進むことをしっかりと見なければいけない。
 4大産別、特に全逓、自治労、教労に対する攻撃とは、まさに全労働者階級の生存権そのものを破壊していく攻撃としてあるということをはっきりさせなければいけない。4大産別の労働者は、自分たちへの攻撃は自分たちだけの問題ではなく全労働者階級の存亡をかけた闘い、全労働者階級の生存がかかった闘いとして正しく認識すべきだ。
 郵政労働者は世間からもバッシングされ、同じ労働者階級から責められ、孤立無援の意識にされている。この状況をぶち破るのは、ひとつは郵政民営化や公務員制度改革そのものと激突をする闘いをやっていく。同時に、他産別の労働者を組織するという闘い。自分たちは郵政民営化や公務員制度改革、あるいは、「日の丸・君が代」攻撃と真っ向から闘いながら、同時に地域を通じて全労働者階級をこの闘いに獲得すること。そのために他産別の課題も、自らの階級的課題として引き受ける中軸になっていくことが必要だ。
 郵政民営化攻撃も、公務員制度改革攻撃も、具体的な攻撃として職場に襲いかかっている。郵政だとサービスバッチでサービス向上運動とか、年末・年始の繁忙手当が剥奪されるとか、過労死がまん延するとか、夜の9時、10時まで長時間残業をやらされている状況がある。そのことに対する職場の怒りが絶対あるはずで、我慢して働いてもその先に展望がある訳でもない。そうした個別的問題について、他の労働者と共有してしっかりと闘っていくことは難しいことではないと思っている。
 小さいことでも普遍的なことであって、そのことをめぐって大きな闘いに組織していくというごくごく基本的なことがすごく大事だと思う。経済闘争を闘えない労働組合、活動家が、政治闘争だけを提起したってうまくいかない。経済闘争を闘うということは、経済闘争をとことん闘い切って、その単なる延長線上に解放がないことを自覚するという意味で大事なのだと思う。

 労働組合思想の根本的転換が問われている

 このことは、労働組合というものをどう位置付けるのかという問題でもある。
 労働組合は、連合になってから物も勝ち取れないし、会社の言いなりだ。総評労働運動の限界は、「物取り主義」だったということ。「物取り主義」は、賃金奴隷制を問題にしない。賃金が上がっているうちはいいが、資本主義が危機になって、おこぼれもなくなったら、結局、組合運動自体もできなくなる。労働者の雇用も権利も守れない。かといって労働者の怒りに依拠して闘うこともやらない。連合が発足して15年で、労働組合は、労働者階級の意識としても、頼りにするものでもないし、なんのあてにもならない存在になってしまった。
 それに対して、私たちは、そうじゃないんだ、労働組合というのは労働者が自分たちの身を守り、生きていくための武器なんだ。その労働組合を労働者自身の闘う組織に転換することによってしか、賃金奴隷としての生存権さえ死守していくこともできない。
 総評労働運動も、連合労働運動も、全労連の運動も、結局、労働者を今の体制に留め置くための労働組合運動です。そのことに対して、私たちは、労働組合はそういうものではない、そういうところに留め置いているからこそダメになっているという考え方を確立しなくてはいけない。
 だけど、労働組合運動はあくまで体制内運動だという意識が、特に古い人は絶対ある。労働組合で一定の役職に就いている会員にも、既成の労働組合の考え方にしばられて、下手をすると片足を支えている構造になっている面があると思う。労働組合というのは、労働者階級が今の資本主義社会、帝国主義社会を根本から転覆していく武器なんだ。自己解放の機関なんだと決定的に位置づけ直して、すべてのものを見直さなくてはならない。労働組合観、労働組合の思想を頭から根本的に転換しなくていけないと思う。組合の機関会議も、動労千葉のあり方に学んで、方針を提起して徹底的に大衆討議する、それで一致する。一致する過程で、いろんな意見がでて、方針を豊富化していく。執行部の決めた方針がそのまま貫徹しなかったら、執行部の敗北と考えるようなことが、共産党だけでなく、私たちにもある。
 そうではない。執行部は考え抜いた上で方針を出すことは当然だが、それは組合員の積極的に議論によって強化され、豊かになり、真に貫徹される。何か反対意見がでたら終わりという会議のあり方は、スターリン主義的だと思うし、官僚的だと思う。主体は労働者自身であり、徹底討論を通じて、組合の方針は、団結した行動として貫徹される。何よりも討議を通じて組合員の団結力、求心力が間違いなく高まる。これはまず、交流センターにおいて実現されなければならない。
 組合権力の奪還や新しい組合の結成も、組合の方針を組合員と一緒になって作っていく、組合員と一緒に実践し、組合員と一緒に貫徹していくという、ごくごく当たり前のことの再構成、転換が必要ではないか。そうでないと連合執行部を組合員の力で、労働者の力で粉砕していくということにはならない。

 地区労運動をのりこえる地域労働運動を

 総評が解散して連合が真っ先にやったことは地区労の解体です。総評時代の地区労には、地域的な問題を主要産別の課題にするというスタンスはあった。ただ、大産別が闘って春闘相場を決めて民間中小に波及していくといった、中小・未組織を助けるために大産別があるという経済主義的あり方でした。中小労働者や未組織の労働者を階級的な主体として位置づけるものではなかった。階級は一つであって、その階級的団結をどう作るのかという観点からの運動ではなかった。いま、この限界をのりこえなければならない。
 4大産別と民間産別を分断し、未組織とさらに分断する小泉政権の攻撃をどう突き破るのか。まず、4大産別の活動家が、民間の労働者も含めた労働者階級の総反撃の突破口として自らの闘いを位置づけるべきなのだ。
 ところが自治労は考えがせまい。組合間の形式的つきあいはやるけれど、地域の労働者が闘っている課題を自分たち自身の課題として、一緒に闘うということはない。そのあり方を思想的に突き抜けなければいけない。そうすれば、自治労は公務員攻撃、人員削減・民営化攻撃と自ら激突しながら、同時に地域の運動の軸になっていくことが絶対にできる。自治労が立てば、教労も立てる。教労や自治労が地域の労働運動の軸になった場合、必ず、大きな組織的な反撃が展望できる。
 交流センターの内部にも「なんで4大産別なんだ。民間がない」という変な対立がでるのは、交流センターの中にも産別主義があるからだ。表面上は共闘しているが、労働者階級の総反撃を準備する立場からそれぞれの闘いの位置づけがなされているのかというと、そうなっていない。4大産別決戦は改憲闘争の決定的水路でもあり、日本の労働運動全体をひっくり返していく水路でもあると自ら位置づけるべきだと思う。

 スクールバス競争入札との闘い

 民営化攻撃に対する地域共闘の具体的な例として、常南交通労働組合の闘いを紹介したい。ここは養護学校のスクールバスを県からの委託でやっているが、規制緩和で、競争入札が導入され、安ければどこでもいいということで、破格の値段で仕事が取られている。当然、仕事がなくなり、雇用問題も発生している。
 落札した企業の労働者はむちゃくちゃ低賃金で、言うことをきかない子供を殴ったりして、登校拒否が続出している。親が抗議しても、会社は自転車操業でクレームを受ける人もいない。親が県の特殊教育課に抗議すると、「お前たちはタダで乗せてもらっているのだから、文句を言う資格がない」と言われる。「金も払っていないのに文句を言うな。イヤなら乗るな」という訳です。それで親も激怒した。
 養護学校の先生方は、組織率は低いが高教組です。安ければいいという競争入札の結果は、親にとっても大変な負担になり、先生も苦情の矢面に立たなくてはいけない。結局、常南労働組合の労働者が中心になり、高教組の先生と親たちと一緒になって、競争入札=規制緩和・民営化に対する反対運動を組織している。
 こうした闘いは、民営化攻撃をかけられている自治労・自治体労働者にとって最大の援軍であると思う。しかし、規制緩和・競争入札攻撃に対して自分たちにかけられている攻撃と一体の問題として位置づいていない。連帯労組に入っているタクシーの労働組合もこの闘いを一緒に取り組んでいますが、その人たちの年収は200万円以下です。それでも地をはうように団結を維持している。それなのに、自治労が規制緩和というという共通の攻撃に対して階級的中心となって反撃するという発想にならない。自分たちは自治労であって、自治労のことさえやってればいいみたいなになっている。それでは勝てない。繰り返しになるが、労働組合に対する考え方を根本的に変えなくてはいけない。産別主義的、本工主義的な狭い発想を根本的に変え、自分たちのあり方を変えなくてはいけない。労働者階級として一つなのだ。
 政治闘争と経済闘争は一体であり、経済闘争を闘わないで政治闘争なんか闘えない。レーニンも、経済闘争が重要だということを譲っていないし、経済闘争を経済闘争の枠に留めておくからダメなんだと強烈に批判している。経済闘争を決定的に発展させた場合、政治課題が必ず問題になる。経済闘争をトコトン闘うことが政治闘争の決定的重要性に結びつく。

 青年活動家の育成に全精力を傾けよう

 最後ですが、民主労総大会に参加してすごく強烈に感じたのは、どの集会に行っても、ものすごいアジテーターばかりという活動家の圧倒的な層の厚さと組織的貫徹力です。労働者教育もしっかりしていると思うが、そもそも民主労総は、学生活動家が労働運動の世界に入って、労働組合を一から組織し、70万民主労総の基礎を築き上げてきた。民主化闘争を闘った学生が必死になってマルクスを学び、マルクスの本がないときは、岩波などを読みながら、必死になって勉強してやったきた。そうするとやはり、交流センターも70年代以来の決定的前進を切り開くためには、青年活動家をどれだけ育てるのかに展望がかかっていると思う。5年ぐらいのスパンが必要と思うが、青年労働者、学生を必死になって獲得して、組合活動家に形成していくことに組織のウエイトをかけなければいけない。あえていえば、いろんな闘いも、青年労働者を獲得するために、活動家を形成するためにあるんだと言うくらいに位置づけなくてはいけない。
 動労千葉の労働学校が非常に成功している。青年労働者があそこに集まって、終わってから交流会をやる中で、〈動労千葉の労働運動〉を実践する活動家が形成されてきている。全国の主要な地域でこうした労働学校を建設していくことで、青年労働者の獲得を全国的、組織的に進めなければならない。日本労働運動の大転換をつくりだす最深部の闘いは、青年労働者の獲得・育成ではないかと思います。

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●新憲法制定は、クーデターだ!

(前月号より続く)

  ペテン的、あるいは反動的な新しい人権

 「草案」は、知的財産権だけでなく、いわゆる環境権なども、ペテン的に新しい人権として加えようとしている(前文、及び第25条の第2項)。だが環境権などの人権は、現憲法の生存権や財産権などを背景にした人民の闘いによって、実際にはすでに勝ち取られ、人権として認められてきているものである。わざわざ憲法に盛り込む問題ではない。人権は、いずれにしても闘う中でしか勝ち取られないし、守ることもできないのだ。これをわざわざ盛り込んだのは、人びとを騙して新憲法に賛成させるためのアメとするために盛り込んだのだ。
 だが問題は、それだけではない。実に反動的な人権なるものが盛り込まれようとさえしている。第19条の第2項として「個人情報の保護等」が盛り込まれている。
 「何人も、自己に関する情報を不当に取得され、保有され、又は利用されない」これは一見、個人のプライバシー権を謳っているように見えるが、自民党の制定の本音は「個人情報保護法案」の中身にほかならない。つまりマスコミや闘う労働者や住民たちが政治家や企業、軍などの取材をすることを規制し、弾圧を加えることにあるのだ。
 戦後は判例で、政治家などの公人のプライバシーについては、表現の自由の立場から、規制が加えられてきた。それが多くの政治腐敗も暴いてきた。この条項を設けることで、この関係は逆転し、政治家や社長などの情報は絶対的秘密となり、マスコミなどは情報が入らず報道できなくなる。労働争議を闘う労働者や反基地闘争を闘う住民団体も情報を得ることができなくなるのだ。
 さらにこの一環として、「通信の秘密」は、第19条第2項の2に格下げされている。
 さらに問題なのは、「草案」第25条の3で、生存権の一環として「犯罪被害者の権利」が制定されようとしていることだ。
 「犯罪被害者は、その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有する」今、司法制度改革の一環として進んでいるのは、被害者感情の尊重であり、この条項は、明らかにこの動きを背景に盛り込まれている。
 犯罪被害者については、誰しも同情するだろう。しかしそのことと、人の有罪・無罪を決する裁判で、犯罪被害者を証人とすることはまったく別の問題である。犯罪被害者が、犯人の特定と量刑に大きな影響を及ぼすようになれば、これは敵討ちの思想である。
 近代刑法は、敵討ちが公の秩序維持を乱すということから、近代的な裁判制度を生み出した。この被害者感情の尊重なるものは、歴史を300年以上昔に戻すことにほかならない。それは多くの政治的なものを含めた冤罪を生み出すことは必至である。そして実はこの(政治的な)冤罪を慫慂することにこそ、この被害者感情の採用の真の目的があるのだ。
 なお、以上の点に加え、この条項には拉致問題なども反映している。政府は拉致被害者の被害者感情を徹底的に利用して、今、北朝鮮排外主義などに利用している。今後、日本の侵略派兵が進む中で、政府は反日行動なども外国での日本人への「犯罪行為」と称してあおり、排外主義として利用していくだろう。この条項は、こうした意味も持っている。

  被告人の権利の否定

 なお人権に関連して、第34条にも一言。
 現憲法では「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない(以下略)」となっている。
 これが「草案」では、「何人も、正当な理由がなく、若しくは理由を直ちに告げられることなく、又は直ちに弁護人に依頼する権利を与えられることなく、抑留され、又は拘禁されない」となっている。
 「且つ」が「又は」になっているが、これでは全然意味が違ってくる。「理由を直ちに告げられる」か、あるいは「直ちに弁護人に依頼する権利を与えられ」れば、どちらか一方があれば、拘禁できるということになる。弁護人に依頼する権利はどうでも良いということだ。

  地方自治の否定

 地方自治は、戦後民主主義の柱である。しかし「草案」は、それを完全に否定するものとなっている。
 一つは、現憲法の第95条の全面削除である。
 「一の地方公共団体にのみ適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会はこれを制定することができない」
 沖縄県の土地収用委員会や知事の権限を奪った軍用地特措法は、97年、99年と改悪・再改悪された。それに対して、実際には沖縄県にしか適用されない法律なのに沖縄県で住民投票が行われないのは不当だとする批判がでた。国はこれを押しきって、2度にわたる改悪を強行した。
 今回、辺野古沿岸での基地建設に対しても、特措法を制定するとしているが、同じ問題が出てくるのは必至である。
 いくら踏みにじられてもこの95条は、国の暴政に対して、地方が自らを守っていく闘いに立っていく根拠となる重要な意義を、この条文はもっていた。
 それを知っているがために「草案」は、この条文を全文削除し、地方に優先する国の立場をはっきりさせたのだ。
 そして「草案」では、新設された第92条で、次のように書いている。
 「国及び地方自治体は、地方自治の本旨に基づき、適切な役割分担を踏まえて、相互に協力しなければならない」
 現憲法の95条を削った上で、この条項を設けることはどういう意味を持つか。
 地方は自治などといわず、国と協力しろということだ。
 これは、戦時体制を考えた時、決定的になる。全土が米軍再編・新安保体制に組み込まれることが「国との協力」で強制されていく。さらに実際に戦争が始まれば、「国との協力」によって、地方は反対もできず、その土地から道路から、さらに人から物資の提供まで事実上義務づけられることになる。
 要するに地方自治が、この「草案」では完全に否定されているのだ。
 さらに「草案」で新設された第94条第2項は、次のように書いている。
 「地方自治の経費はその分担する役割および責任に応じ、条例の定めるところにより課する地方税のほか、当該地方自治体が自主的に使途を定めることができる財産をもってその財源に充てることを基本とする」
 要するに、地方財政は、基本的に地方で賄えということだ。
 そして同じく新設された「草案」第91条第2項の2では、「住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を構成に分任する義務を負う」としている。
 この地方財政は、住民で分任する義務があるということだ。「分任」という耳慣れない言葉だが、地方財政を分担するのは住民の任務で義務だということなのだ。
 その上で「草案」は、やはり新設された第94条第2項の2で、「国は…必要な財政上の阻止を講ずる」としている。
 要するに、地方財政は、基本的に地方でやりくりしろ、その地方の住民が負担しろ、ということだ。
 これは完全に、政府の進める自治体改革そのものであり、自治体は政治的だけでなく、財政的にも追いつめられていくことになる。
(続く)

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労働者学習シリーズ 帝国主義 最終回  帝国主義と戦争

               島崎光晴   しまざきみつはる   労働運動理論センター

 前回につづき、労働者学習センター主催の労働学校での講義、そこでの質問・感想、それに対する私の回答を中心に、帝国主義と現代帝国主義について考えていきます。


 戦争は労働者解放の好機

講義 帝国主義の戦争に対して労働者はどうすればいいのか。これは今の私達が初めて経験することではない。先例があるんです。だから、その歴史の教訓からちゃんと学ばないといけない。何よりも第1次大戦です。これはロシア革命とドイツ革命で終わりました。ロシアで革命が起きてもドイツはロシアを攻撃しつづけた。ドイツの兵士は、同じ労働者として「こんなのやってられないよ」とドイツでも革命を起こしました。ただドイツ革命は負けてしまいますけども。だけど、帝国主義自身は戦争を止められなかった。労働者の革命が一国だけでなく、交戦国の両側で起きて初めて戦争にストップがかかった。人類初の世界戦争を止められたのは、労働者の革命だけだったんです。
 だけど、第2次大戦は革命で終わっていない。1945年のヤルタ会談でアメリカ帝国主義とソ連が協定を結んで、世界を分割する形で終わっているんです。戦争は革命を不可避的に伴うというのが真理です。大国の協定で世界戦争が終結する、なんてのは実に歪んでいるんです。これはスターリン主義の問題です。スターリン主義は「一国社会主義」によって、各国の階級闘争、労働運動をソ連外交の手段にしてしまいました。ソ連外交の都合のいいように、各国の労働運動が利用されたわけです。ですから、「万国の労働者団結せよ」「労働者に国境はない」というマルクス主義の真髄が破壊されてしまいました。その結果、戦争が米ソの取引で終わることになったんです。
 この影響は今も、日本と世界の労働者の戦争観に根強く残っています。つまり「戦争というのは恐ろしいものだぞ」という感じです。いや、たしかに残虐このうえない殺戮と破壊という意味で、帝国主義戦争は恐ろしいですよ。だけど、帝国主義戦争は帝国主義の矛盾の噴出なんです。帝国主義が破産し、行きづまりきったから起こっている。だったら、労働者の解放の好機じゃないですか。社会の主人公である労働者が、自分の力で解放をかちとるチャンスじゃないですか。
 実際、第1次大戦の時は、戦争が必ず労働者の革命を伴ったんです。ところが、第2次大戦の方がどうも印象として強くなっていて、戦争はただ残虐で恐ろしい感じにだけなっているんじゃないか。これ自体、帝国主義やスターリン主義の影響を受けたものです。労働者の本来の構想は、「戦争をやらないといけないほど資本家階級がボロクソになっているんだったら、もう革命やって倒しちゃえ」ということでしょ。
 こういう話をすると、よく質問されます。「戦争が起きてから革命なんですか。戦争の前には革命が起こせないんですか」と。いや、戦争の前に革命的情勢がやってくることはあります。特に現代帝国主義ではそうだと言っていい。1930年代がそうでした。現代帝国主義は、29年型大恐慌の爆発の中で世界戦争に向かうという、というのが基本です。29年型大恐慌の爆発の中で大失業が発生し、革命的情勢が到来することになるわけです。

感想 最近、知り合いから「本気で戦争を止めたい。どうしたらいいんだろう」という疑問をぶつけられた。その人にこのような話をしたい。戦争は帝国主義の破産の現れであって、敵=帝国主義が巨大な力を持っているように見えても、恐れることはないんだということ。戦争を終わらせることができるのは、戦争を止めることができるのは労働者の革命なんだという話は勇気の出るものです。
感想 国家の危機はわれわれのチャンス。どうチャンスに変えるのか。世界のすべての仲間と連帯して帝国主義に抵抗し、反撃し、ついには倒すしかない。すべの仲間というのは、侵略される側の人々と、侵略の手先として使われる私達労働者。このすべての仲間から“仲間外れ”を絶対に許さない思考がマルクス主義。スターリン主義はだから戦争へ……。

感想 一国社会主義などありえないということがよくわかった。やはり世界革命というのがキーワードだ。大きな目標を掲げても身近な問題や資本の攻撃などで、その目標を見失いがちだ。本当の敵はなんなのか、誰なのか。結果はすぐに出なくても、目標は絶対に見失うことなく運動を続けていこうと思った。帝国主義間の競争と戦争を、階級間の戦争、階級闘争にしていかなくてはならない。

 なぜスターリン主義が?

質問 やっぱり分からないのは、なんで「一国社会主義」という考えが出現し、それが権力を握ってしまったのか、というところです。どういう権力闘争があったのか分かりませんが、スターリン一人でできることではないと思います。だから、一定数の「一国社会主義」派がいた、という点が問題なのだと思います。なんでそうなっていったのでしょうか……。

回答 スターリン主義の本質は、一国社会主義にあります。それ以前のマルクス主義では、世界革命が“常識”です。ところが、ロシア革命後、一方では世界革命の完遂へさらに闘っていくということが問われました。他方では、革命ロシアで社会主義に向かって国内建設を闘いとっていくことも求められました。いわば一個二重の課題に直面したわけです。もちろん大変な課題です。これに対しスターリン主義は、この大変さに屈し、世界革命を放棄し、さらには圧殺して行ったのです。しかも、世界革命と切り離されたところで社会主義建設ができるわけがなく、国内建設もスターリン主義官僚がはびこるものに変質していきました。
 もちろん、最初からスターリン主義がロシア共産党を制圧していたわけではありません。レーニンの「遺書」というものがありますけども、そこではスターリンを党書記長から解任し、トロッキーに党と国家の指導を担うように訴えています。トロッキーは一国社会主義を正しくも批判しました。これに対しスターリンは書記長職を利用して、自分の勢力基盤を拡大し強めていきました。トロッキーは何度も抵抗しています。だけどもトロッキーは、党の指導権をスターリンから奪い取るという点では実に不十分でした。人類の未来がかかったものとして、スターリン派と徹底的に闘わなかった。これは注意しておいてほしいんですが、トロッキーをはじめとする左翼反対派が勝てる条件はあったんですよ。しかし、ギリギリのところでスターリン派に敗北してしまった。
 ロシア革命によって世界革命への突破口が開かれた、にもかかかわらずスターリン主義によってそれが歪められた、これこそが20世紀なんです。言い換えると、ロシア革命後の世界史は労働者階級の主体の側次第、その闘いいかんによって動くようになったとも言えます。
 もう一つ、世界革命を裏切ったスターリン主義とは結局、労働者は必ず自己を解放できるんだという思想を信じなかったということです。一国社会主義とはそうじゃないですか。マルクス主義の核心であるプロレタリア自己解放の思想・理論・実践への敵対、それがスターリン主義なんです。

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●闘う合同労組 第14回  「闘う合同労組 全国交流会」を成功させよう

                            岩 澤 仁 志 (茨城県地域連帯労働組合)

 全国のたたかう仲間のみなさん、あけましておめでとうございます。
 いつもご苦労様です。
 すでにご存じの方も多いと思いますが、関係者の努力によりこの2月に「たたかう合同労組全国交流会」が開催できることになりました。改めて御礼申し上げます。
 折しも、連合全国一般(浦俊治委員長、組合員約3万5000人)が今年1月に自治労と統合し、50年の産別労組としての歴史に幕を閉じます。1月19日に東京都内で最後の臨時大会が開かれるとのことです。そのような状況において開催されるこの全国交流会の意義は決して小さくありません。

  この間の経緯

 1989年労組交流センター結成以来、国鉄闘争基軸方針と合同労組運動、あるいは4大産別(教労、自治労、全逓、国鉄)基軸方針と合同労組運動をどのように結合させ進めていくかについて、センター内で議論があったところです。そのうえで全国センターとしては日本の労働運動総体に責任をとる立場から、国鉄闘争を基軸に、さらには小泉首相(および石原都知事)体制が登場してからは4大産別闘争を基軸に取り組みを進めてきました。その方向性の正しさは、05年11月労働者集会―動労千葉訪韓における民主労総と動労千葉との合流という事実が証明していると思われます。
 しかし、一方では合同労組運動への実体的取り組みは各地の地区センターそれぞれの実情にまかせられることになり、全国統一方針としては1995年の阪神被災地における関西合同労組からということになりました。未組織・合同労組に関しては全国センター第7回総会付帯議案書として路線的には確定しましたが、それに踏まえた実践は関西合同労組を先頭とした先進的会員のみなさんにゆだねられることになりました。全国常任運営委員会に担当者が据えられたのが2004年総会でした。
 その後、2004年人事をもきっかけに「月刊交流センター闘う合同労組」への組織的投稿がはじまり、04年11月労働者集会から合同労組各団体の交流が加速し、05年8・6広島交流会を決定的飛躍点として、11・6交流会― 11・7厚生労働省抗議行動まで運動を進めることができました。
 また、関西合同労組トランスポート分会、広島連帯ユニオンにおける非正規雇用問題への取り組みなど、各団体の取り組みも確実に前進しています。
 2月全国交流会は、会員のみなさんのこうした長年にわたる苦闘の上にかちとられようとしています。

  06年交流会のテーマ

 06年交流会のテーマは「交流」そのものです。11・6の夜に行われた交流会もそうでしたが、長年の実践をやってきた者同士の交流はなにものにも代え難いものがあります。また、そうした交流の輪の中に入ることで、新しく合同労組運動に加わる仲間も飛躍のきっかけをつかむことができると思います。今後の合同労組運動の方向性や「労働契約法制」など、重要なテーマはたくさんありますが、まずは、この間お互いがやってきたことを共有し、討論することが大切です。団結をかちとるために、全国のみなさんのご参加を心からお願いします。
 お互い元気な顔で、全国交流会でお会いしましょう。

  「労働契約法」制定の阻止にむけ第一波行動

 11・6全国労働者集会の翌11月7日午前10時、全国集会に結集した私たち関西合同労組をはじめ地域合同労組6組合は、厚生労働省にたいして「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会」の最終報告書に対する抗議の申し入れを行い、「最終報告」の内容について問いただしました。
 労働契約法制反対の申入書を読み上げて渡した後、「最終報告」の内容について、とくに「常設的な労使委員会制度」について、団結権を破壊するものだと抗議しました。
 「労使委員会制度は、労働組合を無視し労働者の団結権を侵害するものではないのか」との質問に、担当官は「労組の権利を侵害しないようにと最終報告でも書いてあります」「労働委員会の決定に異議があれば争うこともできるのですから少数意見を無視してはいないと思います」と返答。これで参加者の怒りがさらに高まりました。「異議があれば争うというのは裁判をするということだろう。これまでは解雇の裁判では、使用者が解雇の正当性を立証する責任があったが、労使委員会が決議した場合、労働者が解雇の不合理性を証明するようになる。全然話しが逆になるではないか」「われわれは年収200万円で有給休暇をとるのもままならないパート労働者も組合員にかかえている。こういう低賃金労働者に弁護士を雇って裁判をしろというのか」「労使委員会などつくらずに組合作りを奨励すべきじゃないか」
 担当官は、労働三権がなぜ憲法で保障されているのかという質問に、まともに答えることもできません。このことだけでも労働契約法制が、労働者の権利などまったく意に介さずつくられようとしていることが明らかです。結局、この問題だけて予定の1時間が過ぎ、担当官は「今後も必要なら話をします」と答えざるをえず、すごすごと引き上げていきました。
 申し入れの終了後、厚生労働省の前でビラまきを行い、霞ヶ関を歩く昼休みの労働者にも労働契約法制反対を訴えました。
(関西合同労組)

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●やってられないぜ! ―悪化する労働者の現状
                     第6回 耐震強度偽装事件

 耐震強度偽装事件で住まいの安全への信頼が揺らいでいる。今回の事件の背景には、1998年の建築基準法改正で建築確認業務が民営化(民間委託)されたことがある。建築の安全に対して行政が責任を放棄した結果でもある。労働者にとって分譲マンションは30年、35年という長期の住宅ローンの重圧との引き換えでやっと手に入る超高額商品である。せっかく買ったマンションが危険な欠陥マンションだったら、やってられないぜ!

  大量供給が続く分譲マンション

 1999年以来、首都圏では年間8万〜9万戸の新築分譲マンションが建造され、大量供給時代が続いている。本格的な分譲マンション時代が始まった77年から80年代にかけての供給戸数は4万〜5万戸で推移し、88年〜93年まではバブル期をはさんで地価高騰による価格上昇により2万〜3万戸と低迷するが、94年を境に大マンションブームが到来する。不況の深化や円安による資材高騰で97年、98年に6万〜7万戸に落ち込むが、それ以外は年間8万〜9万戸の供給で推移している。
 この分譲マンションの大量供給の背景には、バブル崩壊で破滅的危機に瀕した日本帝国主義が延命を図る過程で、分譲マンションの大量供給に活路を見いだしたことがあるのだが、その大量供給を可能にしたのが検査業務の民間開放だ。

  不良債権処理と恐慌回避としてのマンションブーム

 金融資本にとって、マンション建設は低リスクで収益を獲得する手段であり、バブル後の不良債権処理過程でジリ貧状態に陥った金融機関が収益を回復させる上で欠かせないものとなった。
 マンション建設にあたりマンション開発業者(デベッロッパー=売主)は金融資本から資金調達してマンション用地を購入する。建設の過程でも建設資金を調達しながら、販売によって資金を回収するまで金融資本に利息を払い続ける。売主が設計から竣工まで工期の短縮を望むのは、工期が伸びるほど金利負担が増え、建設コストに跳ね返るからだ。
 コストは最終的に消費者に転化することになるので、供給過剰による激しい価格競争の中にあって、工期短縮は至上命題にならざるをえない。資金力の乏しい中小デベロッパーほど、金利負担は相対的に重くなるのでよりきびしいコスト削減が要求される。
 金融資本は、売主や建設会社に貸し付けた資金を回収したあとには各住戸の購入者に住宅ローンを貸しつけ、長期にわたって金利を得ることができる。住宅ローンの貸付の際は、抵当権を設定するのでローンが破綻しても担保物件を売却できれば貸し倒れリスクはなくなる。
 マンションブームは、バブル崩壊で下落した土地の受け皿になり、地価暴落を下支えし、深化する金融恐慌を一時的に食い止める働きもした。90年代半ば以降の円高によって製造業の生産拠点を海外に移転する動きが加速したが、首都圏郊外や湾岸には広大な工場跡地が出現した。さらに、銀行の不良債権処理の過程で大企業や銀行が保有していた都心部の土地も放出された。大量供給されたマンションの多くはこうした土地に建設されている。

 機能しなかった「品確法」

 1990年代半ば以降のマンション建設ラッシュにはこうした背景があるが、99年以降、大量供給は加速され、8万戸台後半から9万戸台が続いている。
 団塊ジュニアがマンション購入年齢に到達し需要が見込まれること、その後の少子化で住宅市場の先細りが予測されること、非正規雇用者の激増で住宅ローンを組める中間所得層の減少が予測されること、住宅ローン控除などの持ち家優遇税制が縮小されることで、住宅業界が「ラストチャンス」と認識しているのである。
 こうした売り急ぎが競争を激化させ、異常なコスト削減に走らせ、耐震強度偽装事件をも引き起したのである。そこには労働者のための安全な住宅の生産という、生産者のモラルは微塵もない。JR西日本の尼崎事故と同根の安全無視の利潤追求だけがある。
 建築確認検査業務の民間開放や続発する欠陥住宅の被害を睨んで、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が施行されたのは、2000年4月。この法律の内容は@10年間の瑕疵担保責任(住宅の建築や購入で基本構造部分に欠陥があったときには10年間、補修や賠償請求、契約解除ができる)、A住宅性能表示制度、B紛争処理機関の整備の3つである。
 今回の事件では建て替えや契約解除が必要な大規模な欠陥の場合、責任を負うべき売主や建設業者が倒産して機能しないことが露呈した。建築確認業務がザル状態で、危険な違法建築を見抜けない実態も明らかになった。強度偽装マンションに優良な住宅の目安となる住宅性能表示が与えられた例もあり、制度そのものの破綻を示す結果となっている。

 安全な住まいも闘いとるもの

 公的資金の投入や、新たな法律を作ることで決着が図られているが、この問題を労働者階級の問題として捉えることが必要なのではないだろうか。今回の事件では、「持ち家」政策の矛盾が一挙に吹き出した形だが、住宅問題はそれだけに止まらない。
 そもそも、劣悪な住環境から脱出する手段が「持ち家」でしかないというのが問題なのだ。民間賃貸住宅は「利回り」ばかりが注目される投資対象にされ、労働者は食い物にされている。民間賃貸住宅の安全性は問題ないのだろうか? 都営住宅、県営住宅などの公共住宅は減り続ける一方だ。
 住宅問題は日本では労働運動の大きなテーマになってこなかったが、労働運動の歴史を眺めると、賃金と並んで、労働者階級のもっとも切実な獲得目標のテーマであり続けてきたことがわかる。
 たとえば、アメリカ労働運動の中で「人権住宅闘争」はレーガン政権以後の新自由主義政策に対抗する大きな闘争テーマになった。1989年10月、首都ワシントンに「ハウジング・ナウ!」のスローガンのもと、全米から25万人の労働者が結集し、「爆弾よりも住宅を!」のシュプレヒコールをあげながら大デモ行進がくり広げられた。レーガン政権のもとで急増した低所得者やホームレスの住宅など居住環境の改善を求めるもので、その規模はベトナム反戦デモ以来と報道された。
 古くは第一次大戦下でイギリスの労働者によって打ち抜かれた「家賃ストライキ」がある。1914年、イギリス工場地帯の一つ、グラスゴウでは戦争景気に便乗した家主による家賃高騰が労働者を苦しめた。グラスゴウ労働評議会と労働組合会議は住宅問題の解決を訴え、値上げ分家賃の支払い拒否でストライキに突入。家主は強制追い出しの挙に出たが、労働者は団結して抵抗した。家賃不払い労働者の市内の至る所にデモ行進がくり広げられ、1年近い闘いを経て反戦運動とも結びつき、最後は家賃引き下げを勝ち取った。
 フランスでも19世紀以来の社会主義運動、労働運動が「HMB(低家賃住宅)制度」を生みだしている(これらのエピソードは「欧米住宅物語?人は住むためにいかに闘っているか」早川和男著・新潮選書より)。
 確認しなければならないのは、良質で適正な価格・家賃の住宅はまさに長年の労働者階級の苦闘によって闘いとられるものであり、いまも労働運動のテーマになりうるということだ。
 住宅もまさしく「闘いなくして安全なし」なのである。(雷太)

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●たたかいは進む

★共謀罪を永久に葬り去るために国際署名を集めきろう

 年の瀬も押し迫った05年12月17日(土)、破防法・組対法に反対する共同行動は、都内の渋谷勤労福祉会館で、「共謀罪を永久に葬り去る12・17総決起集会」を開催した。
 昨秋の特別国会で政府与党は、衆議院法務委員会で共謀罪の採決を強行できなかった。しかし、今年の通常国会では、何がなんでも成立を狙ってくるであろうことは明らかだ。
 逆に共同行動は、この国会で共謀罪の成立を阻止し廃案に追い込むための大闘争を展開する決意だ。年初から闘争をラッシュするその弾みをつけるために12月17日集会を開いた。会場に入りきれない約210名が全国からの代表を含めて結集し、14時〜18時までの大集会を勝ちとった。
 集会は第1部と2部にわかれて行われた。第1部では、関東学院大学学生が、共謀罪裁判劇を演じた。ストーリーは、小田原にゴミ処理設備を建設する計画が強行されようとしているときに、その計画によって死活的打撃を受ける市民グループが、工事現場で、工事を阻止する計画をたてた。その阻止行動の協議が、共謀罪にあたるのか…、この劇は昨年10月2日の同大学の学園祭で演じられ、好評であったので、共謀罪阻止のために、特に主催者がお願いしたものだ。舞台装置が何もないなかで、被告、検事、弁護士などに成り切って学生たちは迫真の演技を演じた。判決は有罪となり、共謀罪が市民運動弾圧に使われる可能性を明らかにした。
 続いて、西川重則さんが法務委員会でどのような議論が行われ、与党議員がいかに不真面目な態度であったかを明らかにした。また、前田朗造形大学教授が「いまなぜ共謀罪か!」と題して、資本と情報と軍のグローバリゼーションと指摘した。
 第2部では基調報告が共同行動から提起された。国会情勢は、いつでも採決できる議員を与党はもっているが、共謀罪は、〈現代版治安維持法〉だとの批判があらゆるマスコミや弁護士団体、労働団体からも発せられるなかで、強行することができなかったことと、民主党を修正協議に巻き込むためにも強行採決しなかった。しかし、共謀罪は、警察にオールマイティを与えるものだ。修正は不可能である。また、06年の通常国会にもたくさん治安法を政府与党は提出する準備をしている。共謀罪を葬り去るために大衆運動の高揚がすべてのカギだ。改憲阻止・教育基本法改悪阻止、闘う仲間と共に闘おう、と提起した。国会闘争は前半が山となる。
 続いて全国から代表して参加した九州、仙台の仲間、共謀罪に反対する表現者の会、その他闘う多くの団体から決意が表明された。
 最後に、国際共同声明運動について、呼びかけ人の1人である宮本弘典さんから取り組みが要請された。「共謀罪の新設に反対する」国会請願の署名運動を共謀罪阻止の大きな武器として盛り上げていこう。当面1万人を集めようと提案された。署名用紙は大量に用意されている。いますぐに取り組もう。

★関生支部への第3次弾圧弾劾!  武委員長を再々逮捕

 許し難い関生支部への弾圧が続いている。12月8日の弾圧に続き、13日には武委員長を再々逮捕するという攻撃だ。こんな弾圧を許してはならない。抗議声明を紹介する。

第3次権力弾圧に抗議する声明

2005年12月9日

                                                  全日本建設運輸連帯労働組合 中央執行委員長 長谷川武久 
                                                  全日本建設運輸連帯労働組合 近畿地方本部 執行委員長 戸田ひさよし
                                                  全日本建設運輸連帯労働組合 関西地区生コン支部 執行委員長 武  建一 

 12月8日夕方、大阪府警警備部は、大阪府門真市議会議員で連帯労組近畿地本の戸田ひさよし委員長を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。また、大阪府警は連帯労組関西地区生コン支部の会計事務を担当する女性職員も逮捕した。
 さらに週明けの12日以降には、現在勾留中の武建一関西地区生コン支部委員長も再逮捕する予定だと新聞は報じている。
 この逮捕劇は、今年1月にはじまる権力弾圧の延長線上で仕組まれた、第3の弾圧事件といわざるをえない。それは警察のやり方をみれば明らかである。
 警察が容疑としているのは、政治家個人に対する団体献金を禁止した同法に違反して関西地区生コン支部が戸田市議に政治資金を寄付したというもののようである。
 しかし、関西地区生コン支部が違法な寄付をした事実は存在しない。かりに同法違反の疑いがあるならば、まず戸田議員や連帯労組関係者に任意出頭を求め事情を聴取すればよいはずである。
 実際、この件ではすでに11月9日に大阪府警は戸田議員の事務所や自宅、連帯労組関西地区生コン支部の事務所など20カ所以上を強制捜索しており、任意出頭を求めるつもりであれば、この間いくらでもできたはずである。戸田議員は市議会選挙でトップ当選し、地域では知らぬ者などいないほどの著名人であるうえ労働組合の委員長を務めている。もうひとりの女性職員の場合も、1月以降の事件に関連して任意出頭を求められた際には、これを拒否することなく、すすんでこれに応じてきた。
 逃げも隠れもするはずがないことを百も承知のうえで、警察はあえて両人を逮捕するやり方をとった。しかも戸田議員に対しては、さらし者にすることを目的としてわざわざ市議会の議場という場所を選び、女性職員の場合にはわざわざ組合事務所から帰宅途中の駅頭で逮捕したのである。
 奇しくも昨日、橋本元首相や小泉首相の最側近である山崎拓・元自民党副総裁ら政治家7人に対する巨額のヤミ献金が発覚した日歯連事件で、検察審査会が起訴すべしと議決にもかかわらず、東京地方検察庁は再び不起訴の方針を決めた。
 自民党の大物政治家ならば、政治資金規正法に違反して1億円単位のヤミ献金を受け取っても、逮捕もせず、起訴もしない。これに対して、正当な労働組合活動をする者たちについては、事情も聞かずに指名手配の凶悪犯扱いで連行するというのである。
 この卑劣極まりない警察のやり方に、私たちは腹の底からこみあげる怒りを抑えることができない。
 しかも、週明けには武委員長を再逮捕するという。
 「週明け」というタイミングには重大な意味がある。
 武委員長らはすでに1月以降、11カ月を越す長期勾留を強いられてきたが、警察・検察・裁判所が保釈申請を却下する唯一の理由としてきたのは、武委員長ら組合役員の被告人質問が終わっていないからというものであった。しかし、週明けの12日に予定されている公判では、いよいよその被告人質問も終了することになっており、武委員長らをこれ以上勾留する口実がなくるのが「週明け」なのである。
 今回の事案がさも大事件であるかのように演出して、引き続き武委員長らを不当に勾留することこそ警察や検察の真の目的なのである。
 警察・検察・裁判所は、私たちの正当な労働運動に壊滅的な打撃を与えるためには、手段を選ばず次々に弾圧をしかけるつもりなのであろう。
 しかし、かれら権力者がいかなる卑劣な手法で攻撃をしかけてこようと私たちは屈することはない。私たちのすすめる労働運動は、小泉政権がすすめる戦争への道に反対すると同時に、大企業や銀行、一握りの金持ち階層を優遇する構造改革政策に反対し、中小企業や労働者、社会的弱者の生きる権利を守ることをめざす正当な運動である。
 少なくともセメント・生コン産業では、過去10年間、阪神大震災を教訓にして私たち労使が心血を注いでとりくんできた産業政策運動をすすめる以外に、中小企業と労働者が共存共栄する新たな産業基盤をつくり、消費者に安全と安心を約束する生コンを供給することはできない。
 私たちは今後、仲間を早期に取り返す活動に全力をあげると同時に、この政策運動をこれまで以上に確信をもって前進させ、かれら権力者の卑劣な意図を打ち砕く決意である。

            以  上
 

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読者のページ

★CSR(企業の社会的責任)   東京南部労働者 品川三郎

 だいぶん前から、CSRとかコンプライアンス(不正確と思うが、ここでは、「企業の法令倫理遵守」ということにする)とかについて、盛んに社会的に議論されている。
 これらに関する何冊かの著書も読んでみた。そこで感想を書いてみたいと思う。
 私の勤務する会社では、コンプライアンス委員会を立ち上げ、労働組合の委員長も参加し、現在議論中であり、私にも意見を求められることもある。
 実務に携わっていない気楽さから、言いたい放題のことを言っている。
 社会的責任とか、法令倫理遵守とか言われるが、その根源は、資本主義社会が腐れきっている証左以外の何者でもないことを示しているように思う。
 これらを論議する場合、人類と地球との持続可能性を望むのであれば、人類と地球を最大規模で破壊しつくしている現在の帝国主義者が行っている「帝国主義戦争」に対する態度をハッキリさせる必要があると思う。
 このことについて、立場を鮮明にした書籍は見あたらない。いずれにしても、今の資本主義社会をいかにして守るのか、という視点と立場からのものばかりである。
 人類と地球の持続的可能性を追求するならば、現在の資本主義体制そのものの根本的な変革なくしては不可能であると思う。
 それを成し得る主体は、資本主義社会の矛盾が最も集中している労働者に他ならないと思う。
 労働者は、言い古されたことであるが、資本主義社会の救済者に絶対なってはならないと思う。
 そのために、交流センター運動の益々の発展と理論的進化を望みたい。

★現在進行形・『告発! 逮捕劇の深層』      佐藤 浩一

 11・6集会場で購入したこの本を読んでいると、連帯労組近畿地本委員長戸田ひさよし議員逮捕と、関生・武建一委員長の再々逮捕のニュースが飛び込んできた。まさに、この本は現在進行形である。
 『逮捕劇の深層』は、関生労組と武委員長の歩みをわかりやすく紹介するものとなっている。
 武氏は、かつて薩摩藩に支配された奄美諸島の徳之島から19歳で大阪に来て、生コン労働者となる。生コン産業は、セメントメーカーとゼネコンという大資本の狭間で、タコ部屋暮らしの過酷な労働条件に置かれていた。そこらか現場でももっとも差別された労働者となっていた。
 次第に、労組の先頭に立つようになっていった武氏たちは、企業別労組の限界を感じ、生コン産業の企業横断的労組、関西生コン支部を結成する。「使用者概念の拡大」をもって、セメントメーカーやゼネコンと闘う中で、中小零細企業との協同組合の必要性を痛感し、これを組織、かつて同盟傘下の二組だった生コン産労との共闘も実現して、大きな成果を上げていく。中小零細のオヤジたちや旧二組との共闘が、原則を曲げた妥協でなかったことは、そこに、資本、ヤクザ、権力の弾圧が繰り返し集中していることにも明白だと思う。
 武氏と関生の闘い方で勉強になったのは、連帯を求めて団結を拡大していく、そのあり方だ。自らの原則を守りつつ、しかし、他者の存在を故あるものとして認め、自己中心の同心円的な拡大にとどまらず、立体的な共闘の陣形を築きあげてきたことだ。そうやってかれらは、三労組共闘にもやって来たのだと思う。
 自戒的に言えば、われわれは主義主張に潔癖なあまり、小異をもって必要以上に先鋭な対立をつくりだしてきたキライがある。武委員長と関生のあり方には多いに学ぶべきと思った。仲間にかけられた弾圧をともに打ち破ろう!

 ★「去るも地獄、残るも地獄」なら残ろう     神奈川 全逓 桜井隆夫

 「ゆうパックなど自腹で月十数万円…そして自殺」、「迫る民営化・増すノルマ」、「自爆営業やむなく」以上のようなショッキングな見出しの記事が、10月14日付けの北海道新聞に載った。
 「ノルマは事実上、職員と職場の双方に割り当てられている。大平さん(仮名)は部下の肩代わりをすることもあり、毎月十数万円も身銭を切った」「ノルマは公社化後、増えた。函館のある郵便局では、一人当たりのゆうパックなどの獲得目標が03年度の約400個から、05年度は、約750個に倍増した」「大平さんは昨春、1人の部下に退職を勧めた。その夜、部下が自殺を図ったとの知らせが届いたという。リストラ宣告の労を上司が酒席でねぎらっていたときだった」。
 「岩見沢の郵便局員は、『配達が遅い』との理由で、毎日、仕事を与えられず、課長の横の丸椅子に座らされた」。
 「渡島管内の30歳代の特定郵便局職員は、うつ病が癒えて復職した今年4月、上司から『辞めるのも一つの選択肢だ』と言われた」。
 このような現在の状況について、「職員の自己申告による自主目標があるが、強制ではない。ノルマという言葉は公社の中では死語」などと、「日本郵政公社広報部」は話している。
 「自主目標」を「自主的」に提出しなければ、「やる気ながない」「努力が足りない」と上司に「評価」されてしまい、「評価」が下がり、賃金も下がってしまうのである。
 福岡県の柳川郵便局では、職員が1万枚という年賀ハガキのノルマの中で、とうとう「割引セールス」をやるまでに追いつめられている。
 このようなことは、北海道と九州だけのことではない。対立することではない「配達」と「営業」を、「営業第1、配達二の次」と労働者が「理解」してしまうようなやり方に問題があるのだ。
 北海道新聞は「全国の職員の自殺者は、03年度23人から04年度は41人に増えた」と報じている。
 このような中、JPU労組は2月9日〜10日の二日間、東京で臨時全国大会を開催する。いったいなんのために、である。


読者のページに投稿を
 昨年は読者のページに投稿していただきありがとうございました。本当に感謝しています。
 毎月欠かさず投稿していただいている桜井さんには原稿料をださなければと思うくらいです。でも出ないんです。ごめんなさい。
 読者のページは、読者が思ったこと、感じたことを載せる場です。労働運動に関係なくどんなことでも結構です。ただしつい最近の投稿で「加筆訂正をお願いします」という投稿がありました。残念ながら「加筆」はしません。明らかな誤り以外「訂正」もしません。どんなにつたなくても、訴えたい気持ちがあれば十分と考えています。
 さて投稿ですが、ワープロをしている方は必ずフロッピーで、パソコンの方はメールでお願いします。FAXで送られてきても、はっきり言って打ち直すスタッフはいません。
 締め切りは月の15日までにお願いします。

 編集後記

 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
 05年は11・6労働者集会の成功で、なんとか小泉・奥田路線の大反動の嵐をくいとめる展望をみいだしました。本年こそさらなる飛躍の年にしましょう。
 私の好きであり、きらいな言葉に〈勝利に向かっての試練〉というのがあります。理不尽なとき、とんでもないと思った時、ストレス一杯で爆発しそうな時、「勝利に向かっての試練」と叫んで自分を納得させています。共にがんばりましょう。(し)

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