2006年2月号(No.191)目次
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労働者の目 今こそ動労千葉労働運動を実践しよう

労働ニュース   ●春闘/公務員 ●医療など

日誌国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・ 戦争と民営化に対決する06春闘を
  ●闘いなくして安全なし! 06反合・運転保安春闘へ
  ●通常国会は、改憲阻止の正念場
  ●教労の新潮流の飛躍をかけ、東京―全国を貫く

今春決戦で共謀罪を葬り去ろう

関西生コン支部への不当弾圧を許すな!

やってられないぜ!  第7回 サラ金には手を出すな!

闘う合同労組 第15回

読者のページ 編集後記


労働者の目

●今こそ動労千葉労働運動を実践しよう

 全国労働組合交流センター常任運営員  小泉 義秀

  2月4〜5日にかけて開催される全国労働組合交流センター第13回定期全国総会は、06年階級決戦を切り開く歴史的な総会となった。動労千葉が体現する階級的労働運動路線を全国・全産別に拡大する交流センター運動の原点に立ち返り、労働組合観の転換も含めた動労千葉労働運動の本格的実践に着手しなければならない。この闘いを切り開く突破口が、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立闘争の爆発と動労千葉の反合・運転保安春闘である。
  今春卒・入学式において、全国の教育労働者が退路を断ち、不退転の「日の丸・君が代」不起立闘争を闘いぬき、その力で日教組と連合の改憲勢力化を阻み、教育基本法改悪と9条改憲を阻もう。1〜3月に4大産別のすべてで臨大と中央委が開催されようとしているのは、日教組・自治労の現場労働者の闘いをたたきつぶし、この2つの労組を改憲勢力に大転落させることが、小泉と奥田にとって死活のかかったテーマであるからだ。不起立の闘いの爆発が06年闘いの一切を決する。
  「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争は、教育労働者による職場生産点からの戦争協力拒否の実力闘争であり、天皇制攻撃、教基法改悪・改憲攻撃を真正面から打ち破っていく闘いだ。都高教を先頭に、全都・全国の職場で「不起立宣言」を発して続々と闘いに立とう。東京の闘う教育労働者が呼びかける2・5集会に総結集して闘おう。
  帝国主義の絶望的危機の時代に、「帝国主義と対決する労働運動」の前進だけが展望を切り開くことができる。これこそが動労千葉の労働運動の核心である。
  「日の丸・君が代・天皇制」を拒否する教育労働者の闘いと教育労働運動が存在する限り、日本帝国主義は侵略戦争に踏み切ることはできない。交流センターは教育労働者部会の仲間を先頭に不起立の闘いを貫くと共に、全会員がこの闘いを全力で支援し、4大産別を先頭に自らの職場、全産別で動労千葉労働運動を実践し、闘い抜こう。

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●労働ニュース(05年12月16日〜1月15日)

06春闘スタート
  日本経団連(奥田碩会長)と連合(高木剛会長)の首脳会談が11日午前、東京都内であった。両団体の幹部ら30人が出席、06春闘について本格的議論がスタートした。

 賃上げムードけん制
  日本自動車工業会の小枝至会長は12月15日の記者会見で、賃上げ論議が再燃する来春の労使交渉について「自動車会社の多くは従来も成果報酬の形で実質的に従業員の年収を引き上げてきた。景気回復したから今までの我慢に報いようという意識はない」と指摘。「我々が競争しているのは海外であり、国際社会の中で日本の賃金を考えるべき」と賃上げムードをけん制した。

 賃上げ「経営者は覚悟を」
  日本経団連の奥田碩会長は12月19日の定例記者会見で、「1つのイシューとして賃上げ問題が出てくるということを経営者側は覚悟しておかなければならない」と述べた。経団連は93年以来続けてきた賃上げ抑制を転換する基本方針を発表したが、ベースアップを含めた賃上げが大きな焦点になるとの見方を示した。

 自動車総連も上積み要求へ
  自動車メーカーなどの労働組合でつくる自動車総連(約70万人)は20日の中央執行委員会で、「賃金改善」により賃上げを求める06年春闘の方針を了承した。定期昇給分より上積みを要求する方針を明確に打ち出すのは4年ぶり。来年1月12日に開く中央委員会で正式に決定する。

 電機連合 不妊治療目的の休暇・休職を春闘の統一目標に
  電機連合(約62万人)は、不妊治療を受けるための休暇・休職を06年春闘の統一目標に盛り込むことを決めた。少子化対策につなげる考え。

 新日鉄労連3000円要求
  新日鉄労連は06年の春季労使交渉で、職務の遂行能力で決まる職能給の財源拡大を主目的に、一人当たり3千円(2年分)の賃金改善を求める方針を固めた。従来のベアのように年齢などによる基本給引き上げは求めない。

 行革重要方針を決定
  公務員総人件費削減や政府系金融改革などを柱とする「行政改革の重要方針」が24日の臨時閣議で決まった。

 国家公務員1455人削減
  総務省は22日、日本郵政公社や自衛隊員などを除く一般行政機関の公務員(33万2千人)を、06年度に1455人純減させることを決めた。11月に政府の経済財政諮問会議が決めた「5年間で5%以上の国家公務員の純減を達成する」との基本指針の土台となる。

 特定独立行政法人1万1951人非公務員化
  総務省は22日、36の特定独立行政法人の役職員計1万1951人を06年度から非公務員化すると発表した。国家公務員全体に対して、1・7%の純減を達成することになる。

 地方公務員4万人純減
  総務省は27日、05年4月1日現在の地方公務員の総数304万2122人で、前年と比べ4万1475人(1・3%純減になった、と発表した。純減は11年連続で、75年の定員管理調査以来、過去最大幅となった。

 教員2万3000人減に
  国と地方の公務員の総人件費改革で、政府の経済財政諮問会議が示した原案通りに削減を実行した場合、教職員が5年間で約2万3千人減らされるとの試算を15日、文部科学省がまとめた。

 優遇手当廃止相次ぐ 自治体
  全国の地方自治体で、職員への優遇手当を06年度から廃止する動きが相次いでいる。127もある各種手当てのうち88の廃止と24の減額を決めた神戸市は合計16億円の経費削減を狙う。

 地方の公営企業民間売却59件に
  交通やガスなど地方自治体が運営する地方公営企業の民間売却が加速していることが、総務省が27日まとめた調査でわかった。05年度中の売却件数は59件と過去最高。

 北海道、職員3割削減
  北海道は13日、今年度からの10年間で一般の行政職員を30%減らす職員削減計画を労働組合に提示した。削減数は都道府県で最大。

 公務員労働基本権協議へ
  公務員制度改革をめぐり、政府と連合(高木剛会長)は、スト権など労働基本問題をテーマに協議に入ることで合意した。

 教員給与優遇見直しへ
  政府は、公立小中学校の教員給与を一般の地方公務員より優遇することを定めた「人材確保法」について、廃止を含めて見直す方針を固めた。

 公立校教員 「心の病」で休職最多
  精神性疾患で昨年度に休職した全国の公立小中高校などのきょういんは3559人で、79年の集計開始以来最多となったことが14日、文部科学省のまとめで分かった。

 学校授業広がる外注
  小中高校で、授業や補習、進路指導などを予備校や進学塾に任せる「外注化」が首都圏を中心に広がっている。区立の小中では塾の先生が教えたり、高校の場合は大手予備校が大学進学向けの授業に講師を派遣し、受験用のカリキュラムづくりも請け負う。

 学習障害児らに指導教室
  学校教育法改正案の骨格が分かった。存廃が論議になってきた小中学校の特殊学級は、07年度をめどに「特別支援学級」と名称を変えて残す。盲・ろう・養護学校は「特別支援学校」として一本化する。

 介護療養病床12年度全廃
  厚生労働省は21日、介護保険から費用が支払われる介護型療養病床(全国14万病床)を12年度に全廃する方針を決めた。有料老人ホームやケアハウスなどの居住系施設への転換を促す。

 都内労組組合員200万人割る
  都は19日、05年労働組合基礎調査の都内分の結果をまとめた。組合員数は12年連続で減少し、200万人を割り込んだ。労組の推定組織率も26・2%で、47年の調査開始以来、最低の水準となった。

 総人口1万9000人減
  竹中総務相は27日の閣議で、今年10月1日に実施した国税調査の速報値を報告した。日本の総人口は1億2千777万6千人で04年10月時点の推計より1万9千人減った。総人口が前年を下回ったのは終戦の年の45年を除いて初めて。

 「時間外」未払い賃金21億円
  福岡銀行は12日、昨年9月までの2年間に時間外労働賃金21億円を支払っていなかったと発表。

 労働日誌(05年12月〜1月)

12月15日
  マツダは、職種を問わず定年退職者を再雇用する制度を06年に導入する発表。

12月17日
  来春卒業予定で就職を希望する高校生の内定率は10月末現在で59・0%と前年同期を5・9上回ったことが文部科学省の調査で分かった。

12月19日
  国土交通省は、アスベスト(石綿)が露出している大規模な民間のビルやマンションが1万3099棟(15日現在)に上ったとする報告を発表した。

12月19日
  地方公務員を中心とする国内最大の産業別労働組合「自治労」(岡部謙治委員長、98万人)と、個人加盟を原則として中小企業労働者が中心の産別労組「全国一般」(浦俊治委員長、3万6千人)が、06年1月1人組織統合することを発表した。

12月22日
  富士重工業は、人員削減の一環として実施した希望退職の募集を完了したと発表。応募期間1日目で上限の700人を超えたため初日で締め切った。

12月26日
  厚生労働省は労働者に支払う賃金の下限を定めた最低賃金法を一部業種にだけ高めに最低額を決めている「産業別」を廃止し、都道府県ごとに一律の「地域別」に一本化する。

12月27日
  総務省が発表した11月の全国の消費者物価は、値動きの激しい生鮮食料品を除く総合指数(00年=100)が98・0となり、前年同月比0・1%上昇した。このまま前年同月比プラスの基調が定着すれば、金融危機に陥っていた98年以来のデフレ局面を終えることになる。

12月27日
  総務省が発表した11月の完全失業率は、前月より0・1高い4・6%と2カ月連続で悪化した。完全失業者数は292万人で、前年同月比2万人増と31カ月ぶりに増加した。

12月27日
  住生活グループの建材大手、トステムは、希望退職募集に応じた社員が会社側の600人予想を大幅に上回る1573人に達したと発表。

1月13日
  今春の大学生の就職内定率は77・4%と前年同期を3・1改善した。

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●「突き倒された」との証言は全くのデマ  皮肉にも鈴木ビデオが証明

 長野地本・久保田証人の第4回法廷

国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

 昨年12月21日と今年1月11日に、国労5・27臨大闘争裁判の第50、51回公判が東京地裁104号法廷で行われた。2回とも長野地本のチャレンジ派の久保田精一(「被害者」証人)に対して弁護側からの鋭い反対尋問が行われ、「羽廣さんに突き倒された」との核心の証言は、全くの作り話しだったことが明らかになった。

  追いつめられた検察官が被告の陳述を妨害

 51回公判の冒頭、被告の富田さんが12月25日に起きた羽越線脱線転覆事故に関して意見陳述しようとした。JR体制の安全保安軽視と、4党合意以降の国労執行部の資本への屈服が尼崎に続き羽越線事故を引き起こしたことは、この弾圧と切り離すことはできない。しかも尼崎事故の際に被告が警告したことが、半年後に実際におきたのだ。
  労働組合が闘いを放棄すると、資本の利益第一、組合破壊の攻撃に歯止めをかけ、現場で働く者の労働環境を守ることができなくなる。その結果として要員の削減、保守施設維持管理の解体、安全無視の無理な労働強化などが起こり、現場労働者の事故となり、ついには脱線転覆など乗客を巻き込んだ事故になる。これを事実に即して、尼崎や羽越線の事故を例に意見陳述しようとしたのだ。
  検察側は、「本件と関係ない」と述べ被告の陳述をつぶそうとした。富田さんは「5人目の死者は検察事務官だぞ。追悼する気もないのか」と怒り、弁護団は「尼崎事故のことを言ったとき、風で列車が転覆した余部鉄橋事故にも触れた。それなのになぜ今回はいけないのか」、「労働組合のありかたと事故という課題で意見表明することを認めたのに、その中身についてまで裁判所が介入するのは越権行為である」と激しく抗議した。しかし裁判長は、「羽越線事故には触れるな、事故に至る合理化は認める」と奇妙な断定をした。富田さんは受けて立ち、余部の「あ」はいいが、羽越の「う」を言おうものなら「発言禁止」が飛んでくるなかで、「う」を外しながらも、堂々と陳述した。
  陳述の後、一瀬主任弁護人が「裁判所の判断は漫画的」と批判したが、的を得た判断と言える。いくら被告の口を塞いでも、現実に事故が起これば、その責任は弾圧した資本・権力に向かわざるを得ない。

 大会会場以外の場所でのことだから警察にまかせた

 弁護団からの「組合大会開催を阻止するような暴力行為があったというならば、なぜ内部で事実関係を調査し、もしも事実ならば組合の規定に従って処罰すればよいことである。それなのになぜ警察に処罰を求めたのか」との質問に対して、証人久保田は「大会会場内のことなら、警察に被害届けを出すことはしなかったが、公道でのことだから」と答えた。そこで佐藤弁護人は「鉄建公団訴訟を行った闘争団員を組合規約で査問委員会にかけ、統制違反として処罰したではないか。大会会場以外というなら、裁判所も公道も同じではないのか、明らかに矛盾ではないのか」と質したが、これに対して「矛盾していない」と答えた。ようするに執行部に逆らう者には何をしてもいいというとんでもない暴論である。
  久保田をふくめて長野地本から4人の「被害者」証人が続いているが、これまでの公判でも明らかなように、国労本部と警察・検察はこの弾圧のために何とかして被害者を作り出しそうとした作為が見えてくる。久保田証人は、診断書を自分の判断で取りに行かなかったと証言し、「被害届け」も「怪我の程度からみて、はじめはためらいもあった」と言っている。しかし、何かのはずみで尻餅をついた、手に擦り傷があったなどが合体して、「羽廣がすべてやった」に行き着いている。
  さらに加害者を特定するために予め用意され、バスの中から撮影された鈴木ビデオが利用されている。久保田が突かれて倒されたところに至るまえの映像には、波多腰という人物とこの久保田がと羽廣さんと対面している場面が写っている。しかしながらこの三人の動きはコマ送りされたビデオの画面では、彼らはバスに乗ろうとして前進し、羽廣被告のほうは後ろにさがりながらなにか言っている。どうみても進行を阻止するため暴力をふるうというような状況ではない。むしろ強引に進んでくる2人に対して後退しながなにか訴えているように見える。この少しあとに突いて倒したということになっているのであるが、どうみてもありえないことに思われる。

 突いて倒されたという暴力行為はどこにもない

 ころんで倒れたときの状況について久保田は、「行くてを阻まれ、バスに乗るためかわして行こうと思った」「わきを回りこもとしたができなかった」とあたかも動けなかったときに突き倒されたように説明していた。しかしビデオの映像では背景のビルの階段の手すりとの関係から明らかに羽廣さんの位置は移動していて、当然、彼もこれにつれて動いている。弁護団の追及で彼も2メートルくらい動いていることは認めざるを得なかった。明らかに移動中の転倒であり、自分から足がもつれたか、なにかにつまずいて転んだ可能性はきわめて大きい。
  現場検証のときの位置関係とこの公判で彼の記憶による位置関係には明らかな違いがある。弁護団が「現場検証のときまでにビデオは見たか」との問いに、「ビデオは見てない、分解写真は見たと思う」、「検事には少し違うのではと言った」と答えた。
  ビデオの中には直接彼が倒れているところの映像はなく、鉢植えの木の枝がゆれたところがある。これが「倒れたことで起き上がろうとしたとき、後ろの木の枝がゆれた、そのすこし前が突かれたとき」と証言した。この間映像に映っている肩から肘のあたりまでの羽廣さんの腕はずっと下にさがったままで、だれかを突いたような動作はまったく見られない。久保田は「肘から下は見えていない」と言い逃れたが、腕が肩から下にさがったままで人を突き倒すことができないことは明らかである。この手の動きから、羽廣被告が突き倒したという暴行は実際にはまったく存在しなかったのである。
  次回も引き続き久保田証人への反対尋問が行われる予定である。ぜひ多数の傍聴をお願いしたい。
(「許さない会」東京南部会員)

 ■次回公判    第53回 2月1日(水)    第54回 2月22日(水)

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●闘いなくして安全なし! 06反合・運転保安春闘へ

 国鉄千葉動力車労働組合書記長  長田 敏之

 レール破断の告発から安全運転闘争へ

 昨年の闘いで、なによりも大きな勝利を切り開いたのは、尼崎事故1カ月を期して開始した安全運転闘争でした。
  一昨年から、国鉄時代には考えられないレール破断が多発していました。レール破断をきっかけに、反合・運転保安闘争をここでもう1回組織し直していかなきゃいけないということで闘いを始めました。昨年の春闘を前にしてまたもレール破断が起こり、安全運転闘争という形で05春闘に決起することになりました。動労千葉の歴史は、反合・運転保安確立が組織の中心軸となる闘いとしてあったけれど、いろんな過程のなかでなかなかそういう闘いができてこなかった現実があった。しかし、安全問題が崩壊している現状の中でここで闘いをつくっていかなければ、動労千葉が動労千葉として組合を守っている意味がなくなるんじゃないかという立場から、反合・運転保安闘争を05春闘以降あらためてつくりなおしてきたんです。
  最初はこちらも手探りな面があるから、春闘段階では、ストライキを構えてその前段にちょっと安全運転行動を入れた。4月に尼崎事故が起きて、ああいう現実を目の当たりにして、それに対して俺たちが闘いできなかったんじゃ動労千葉の看板を捨てたほうがいいと尼崎事故を総括する中で、安全運転行動に踏み切りました。
  ご承知のとおり、尼崎事故は、分割民営化とJR体制の矛盾がすべて集約されて爆発したものです。しかし、事故に対する報道は、JR体制そのものを問うのではなく、本質を避けた形で運転士の責任が問題にされていた。本質は何だということをはっきりさせるという意味も含めて安全運転行動に踏み切ったのです。JR体制がすぐ変わるわけじゃないのもわかっているけれど、基本的には2度とああいう事故を起こさせたくないっていう気持ちでああいう行動に出たわけです。
  闘い方は、レール破断・レール損傷多発箇所の速度制限、もっとも焦点になったのは東浪見駅の120キロから急に構内45キロになるポイントの減速進入です。複線工事をやった弊害で当初から問題にしていた箇所です。尼崎事故でも120キロ運転から70キロのカーブという速度差が問題になりました。120キロから急に45キロのポイントに来る東浪見駅の問題は、開通以来9年越しでずっと問題にしてきたけれども、会社はいっこうに安全対策をとってきませんでした。この問題とレール破断の多発を焦点にしたわけです。

 安全問題は勝負になる闘いと確信

 さほど大きな闘争とは考えてなかったし、もともとは闘争じゃなくて安全運転行動という形で組合員には提起してやったわけですが、それに対して会社が激甚に反応してきました。それというのも、東日本という会社は、尼崎事故に対して「西はちょっとひどいけど東は安全問題は問題はないんだ」と一貫して言ってきた。JR西日本の問題を東に絶対持ち込ませないという姿勢に対して、われわれが「西だけの問題じゃないんだ。JR体制の問題なんだ」ということを突き付けていったことに激甚に反応して、闘争をつぶすためにいろいろ仕掛けてくるわけです。
  例として、会社の「運行管理権」を奪う「違法行為」という言い方です。闘争に入る前日に支社の連中が来て、そういうことを逆に申し入れてくる。それに対して「会社がそんなこというんならうちも闘争にするぞ」って争議に急遽切り替えたわけです。
  争議に切り替えたら、今度は「団交を経てない」とかいろいろな理由をつけて「違法争議」だと言う。会社自身が安全を守るといいながら全ての問題を労働者の一人一人の責任に転嫁して会社の問題を覆い隠そうという姿勢に対して、やっぱり処分をかけられても貫徹するしかないっていう腹を固めて闘争に突入しました。
  会社は、千葉支社だけでは足らずに本社からもかきあつめてきて、速度制限を課した箇所は全て管理職が添乗して監視・現認体制を敷きました。「あなたがたのやろうとしていることは違法行為である。やめなさい」と点呼時に恫喝し、それでも乗務すれば添乗される、現認されるという攻撃を闘争をつぶすためにずっとやってきました。組合員一人一人にとって、毎日毎日乗るたびに監視されるというのは大変なことです。でも、これで引いちゃったら、動労千葉の看板を捨てるしかない。処分されても闘うんだ、貫徹するんだっていうことを全組合員に徹底させて継続しました。
  5月25日に闘争を始めて、7月19日に処分を出してきたわけですが、その処分にビビらずにそれをはねのけて継続したことが相当な力になりました。われわれだけの闘いではなくて、「動労千葉を支援する会」は、連日のように駅頭に出てビラまきをやって、尼崎事故を弾劾し、JRという会社の安全が危機的で崩壊しているんだってことを沿線住民に訴えてくれました。乗客の方も当然あれだけの事故を見ちゃえば相当関心事になります。それが相当な反響を呼んで、国土交通省やJRにいろんな抗議がいく。そういう力があいまって、会社も耐え切れなくなって頭を下げてくるという状況が生まれてきたんです。
  あそこでもし引いていたら、われわれも二度とまともな闘争なんかできなくなるし、今の現状をきちんと組合員に訴えてとことん闘ったことが勝利を切り開いたと思います。
  そのなかで22キロ、数百箇所のレール交換を実現させました。東浪見駅には、ATS−SNSという新しい速度規制装置を付け直す約束をさせました。
  われわれ自身もここまで勝てるなんてとても最初から思ってなかった。毎年のように闘争をやって今まで勝った試しはほとんどないじゃないですか。JRという大きな会社のなかで動労千葉なんて公称500、現職は400割っているわけですよね。そんな小さな組合がそうやって勝つとは、安全問題は勝負になる闘いだなとあらためて実感しました。これほど安全が危機的なところに追いつめられた中で、今後もこの問題で勝負をかけるしかないなと思いました。

 船橋事故闘争が反合・運転保安闘争の原点

 急にふってわいて成果が勝ち取れたというふうにも思ってないんです。ニューフロンティア21という政策を会社が01年に出してきて、俺たちは、これは第二の分割・民営化攻撃だととらえて、これに対する闘いを展開してきたわけですけど、最初の攻防が外注化攻撃でした。保線だけでなく運転職場の中でも検修業務まで外注化攻撃がかけられる中で、この問題と闘ってきたたことが大きかったと思います。
  外注化攻撃は、年金の満額支給年齢が延長されるなかで定年を迎えた人の再就職という形をとるシニア制度とワンセットになってかけられてきました。組合員にとって定年後に年金が出ない状況の中で、収入の途を断たれる深刻な問題でしたが、外注化されることで今の職場がなくなるわけです。定年を間近に控えた組合員にこれをのんだら大変なことになると訴えて、年配者の方には負担をかけた闘いだったけども、やっぱ腹を固めてやろうと闘ってきました。
  われわれは、シニア協定を拒否したわけだから、うちの組合員は採用されない。採用されなければ、当然要員も集まらないから外注化もできず、いまだに外注化を阻止しているわけです。駅に強制配転されている組合員を幕張の検修職場に復帰させるという成果も、外注化を阻止する中で要員不足が生まれてそこに持ってこざるをえなかったということがあります。全部つながってひとつの成果としてあるというふうに私たちも総括していますし、こういう闘いをとおして安全運転闘争の勝利が勝ち取られたんだなと思います。
  私自身も含め、動労千葉の組合員も半数以上は船橋事故闘争を経験していないんですが、基礎となっているのはあの闘いです。当時は、事故を起こせば起こした人間が悪いとされ、組合でも事故は闘争にならないと言われていました。それはおかしいと、事故に対して会社の責任を問う闘いを現場からつくって、高石さんを職場復帰させた船橋事故闘争の教訓は非常に大きくて、われわれの反合・運転保安闘争の原点になっています。乗務分科会をはじめとしてあらためて昔の教訓を勉強しなおして、反合・運転保安闘争を作り直していこうと思っています。

 動労千葉の闘いに認められた!が世界

 去年のもう一つの大きな前進は、国際連帯です。11月労働者集会も、一昨年から国際連帯集会になりました。われわれが積極的に国際連帯に動いたというわけではなく、ひょんな形で交流をもったことがきっかけになって、あっという間にあれだけ大きな陣形に発展したというのが実際のところで、私自身もびっくりしています。これも、時代の要請なんですね。
  日本もアメリカも韓国も、グローバリゼーションと資本の攻撃の中で労働者は非常に厳しいところに追い込められている。各国で階級闘争を作り直すことが重要だけども、資本が国を越えた形で展開している搾取と収奪に対して、労働者の側でそれに対抗する運動ができていないのは非常に危機的なことなんですね。アメリカにしろ韓国の労働者にしろ、やっぱり国際連帯への期待が大きかったわけです。
  当初、日本の労働運動はなくなってるんだと思われてたのが、実は違うんだ、国鉄の分割・民営化に反対してストライキをやって、大量に解雇されて、それでもまだ今でも頑張って闘っている労働組合があるんだと、われわれの闘いに期待してくれた。組合の大きい、小さいは関係ないんだ、どういう闘いをやっているか、それが重要なんだと、われわれの闘いを評価してくれた。その意味では、動労千葉自身にとっても、この国際連帯の発展は大きな励ましになりました。
  私たち自身は、大して変わったことをやってるとは思ってなかったんですが、周りからはいつも動労千葉というのは特別な目で見られてたわけです。われわれのやっていることを正当に評価されたことなんかないし、「過激派」という一言だけで日本の労働運動から排除されている面があったわけです。ところが、外国から日本の労働運動の未来を背負うのは動労千葉なんだと評価された。これはやっぱり大きかったですね。
  私も去年訪韓しましたが、行ってびっくりしたのは、JR総連がいたわけですよ。JR総連は、何年も前から行っているという話は向こうで初めて知りました。初めて行ったわれわれを民主労総がちゃんと評価してくれて、日本の代表は動労千葉だという形で前夜集会で訪韓団を舞台にあげて委員長が発言しました。JR総連は100名ぐらいで参加していて「なんで動労千葉なんだ」と抗議したら、民主労総に「日本で闘ってるのは動労千葉じゃないか」と一蹴されてすごすごと何も言えずに引き下がったそうです。
  動労千葉を正当に評価してくれ、国際連帯を通じてわれわれの存在感が一挙に増大して、うれしいことですけども、逆にこれからが大変になるなという思いもあります。まだまだわれわれの組織は小さいわけですし、11月集会も一昨年から1千人増えたもののまだ4600です。所帯は小さいわれわれに課せられる課題はどんどん大きくなってると実感してます。
  韓国とアメリカからあれだけの規模できちゃうとそれに対応するだけで四苦八苦というのが実際のところで、これがもっと発展するのはうれしいけど、これ以上発展したら動労千葉だけでどうやってこれを切り盛りできるのかという不安も率直にいってあります。
  民主労総から各産別の交流会を開きたいという要請があり、こっちもできるところできないところがあるから、鉄道部門とか公務員部門の2つの部会で去年は開いたわけです。結局それを企画するのもすべて動労千葉で、われわれが仕切っている以上、座長も動労千葉ということになる。私が両方の部会の座長を務めたわけです。公務員労組も、韓国の方は真剣です。いろいろな質問項目を書いた資料を用意していて、それを日本語に訳して配布する。だから、最後に私から訴えたわけです。こういうことをやれるのは非常にいいことだ、かといってこれをさらに発展させていったらとても動労千葉だけじゃ手に負えないと。各産別が自分たちで担えるような体制を自らつくってくれと。
  動労千葉はそれなりの組織があるからまだいいですけど、自治労にしろ教組にしろ全逓にしろ、11月集会に来るグループというのは、まだ1つの職場に1人いる、2人いるというレベルじゃないですか。本気になって組織化をやっていかないと、それこそ大変なことになっちゃう。まして、小泉体制がむこう2年間で郵政を民営化し、次は公務員改革、集中的にやられるのは昔の公労協です。四大産別で職場段階でちゃんと組織して闘う体制をつくっていかなければとても勝負にならないと思いましたね。

 羽越線列車転覆事故も民営化と規制緩和が原因

 羽越線事故の最初の一報を聞いたときは本当にびっくりしましたね。尼崎事故は軽量化された車両で、吹っ飛んでぺちゃんこになりましたが、羽越線の事故車両は、今の新系列車両ではなく、旧車両の中でも重量的には一番重たいタイプです。それがあれほど簡単に飛ばされて転覆するなんてちょっと理解できなかった。なんでこんなことになったんだというのが第一印象でした。
  よく考えてみると、あの線区はローカル線でありながら最高速度120キロと設定されている。国鉄時代は最高速度90キロだったのが120キロにスピードアップされている。外房線でも120キロになっちゃってる。非常に恐ろしいところまで現実が来ちゃってるんだと思いました。
  羽越線事故も人災です。山形県内に「暴風雪警報」という最大級の警報が出されていながら、なんの運転規制もしていなかったわけです。「風速計が秒速25メートルを感知すると速度規制、30メートルで運転中止」というマニュアルはあるが、風速計自身は20メートルちょっとの風しか感知してなかったから何の規制もかけていなかったという現実です。JR東日本の広大な管内で設置されている風速計はわずか222個、強風常習地帯であった事故現場に最も近い風速計も約1キロ離れていました。
  最高速度120キロの区間で、風速が25メートル以下だったら規制なしで、25メートルを越えた途端に速度規制が25キロになる。気象条件というのは刻一刻と変わっていくものです。24メートルなら120キロで、25メートルなら25キロに抑えるなんて、何なんだっていうことです。02年の国土交通省の規制緩和に伴って、目測で風速20メートルになった場合の報告を義務づけ運転規制の判断権が現場に与えられていたそれまでの規程が抜本的に改悪されたことも大きな原因です。現場労働者の経験にもとづく判断力や技術力が無視され、システムとマニュアルだけが横行している実態があります。
  事故当時、暴風雪警報だけでなく相当発達した雷雲が山形地方を覆っていた状況がありました。雷雲は竜巻とか突風を時としてもたらすし、ダウンバーストのような現象を引き起こす。それほど気象条件が厳しい中で、風速計1つに頼っている今のJRのやり方は非常に危機的なことだと実感しました。
  千葉にも京葉線とか鹿島線とか日常的に風が強いところがあるわけですが、京葉線でも昨年、強風時の運転規制の緩和が行われています。安全よりともかく列車を走らせろというJRの姿勢が示されています。
  1月7日には、総武緩行線・稲毛〜西千葉間でまたもレールが破断しました。昨年の闘いを引き継いで、反合・運転保安闘争を一段と強化しなくちゃいけないと思っています。

 動労千葉への新たな組織破壊攻撃を許さない

 昨年12月に、JR千葉支社は、幕張車両センターからの業務移管・要員削減の提案をおこなってきました。幕張という職場は、ニューフロンティア21政策のもとで、検修・構内業務の外注化を阻止してきたわれわれの闘いの拠点です。動労千葉はもともと運転士が多数を占める組合で、検修基地が闘争の拠点になることはなかったんですが、検修部門の外注化攻撃に対しては幕張が拠点になりました。
  幕張電車区という職場は、昔から元々検修のプロとしていた人間とわれわれみたいな運転士から強制配転された人間が中で入り混じっています。私も一時幕張電車区にいたわけですけど、運転士から強制配転されて駅に出されて売店なんかやらされて、それが合理化による要員不足でできなくなって、それで当時は無理やり検修部門に強制配転されたんです。こっちはたらい回しにされているわけだから怒りがあるわけじゃないですか。そういうわれわれが幕張支部の中で執行部に上がり、幕張の執行体制もガラッと変わって、外注化阻止闘争がつくりだされてきたわけです。
  幕張で闘いが爆発したことに対して、会社側は相当危機感をもったわけです。東日本の中で検修部門を外注化できないのは千葉支社だけですから、支社長が吹っ飛んだっておかしくないくらいの問題です。
  今回の提案は、快速電車の217系という車両の検修業務を幕張から鎌倉に移管するというものですが、これもめちゃくちゃな話なんです。基地の規模からいえば幕張の方が大きいし、車庫があるのは幕張と鎌倉なので、当然こっちにも入ってこなければ列車が回らない。移管したってそれは何の変わりもないのに、検修業務を全部向こうに持っていっちゃう。こういう矛盾したことを無理やりやってくるのは、動労千葉の拠点にまで押しあがってきた幕張支部をここでなんとかつぶさなければ、会社としても大変なことになるという危機のあらわれです。
  拠点といわれた支部を職場ごとつぶすことで動労千葉の弱体化を狙うという攻撃は、今始まったことじゃなくて、昔からずっとやってきたわけです。われわれは、職場をつぶされても新たに支部を組織し直すという形で闘いをやってきました。今回も会社が仕掛けてきた攻撃に負けずに、闘いを展開して、攻撃に負けない力をもう一度幕張に築き直すという構えでたたかっていきたい。
  京葉運輸区廃止・蘇我運輸区新設も、組織破壊攻撃というねらいは同じです。地理的には蘇我という場所は内房線・外房線の起点ですが、それを利用して新たな基地をつくるということはそこに要員が配転されるわけですし、千葉運転区の要員を削減して蘇我にもってくるという提案が出されています。千葉転からも持ってくるというのは、動労千葉の拠点である千葉運転区からの業務移管で動労千葉の影響力を排除するというねらいが読み取れるわけです。
  内房・外房線は、動労千葉がストライキに入ればほとんど止まっちゃうところです。そこに新たな基地をつくることによって動労千葉の力を削ぐ、動労千葉がストライキをやっても止まらないという形を考えている。やっぱり組織破壊を目的に配転がやられるんじゃないかと予想できます。幕張の業務移管と蘇我運輸区の問題は、この春闘過程の最大の闘いとして、ここで勝負かけなきゃいけないなと思っています。

 JR総連支配の崩壊と組織拡大の展望

 今年は、JRの労働組合の大再編の年になると思います。JR総連、その中心である東労組への警視庁公安部の家宅捜査は、権力側が仕掛けたものですが、革マル支配がこれをきっかけにどーんと崩れていく過程に入ったと思います。
  総評の中で最大の力を持っていた国鉄労働運動を潰すという政策が分割民営化だったわけですが、それを成し遂げるために、革マルが先兵として利用された。本来なら分割民営化が終われば切り捨てられる運命にあったのが、会社内部にまで入りこみ結託体制を生んで、会社も切るに切れない関係がつくられていて、それが今まできてるわけです。以前から革マル問題は国会でも追及されていますし、JRという日本を代表する企業に革マルみたいなのが潜り込んでいることがずっと問題にされてきた。この問題の決着に、権力の方が踏み切ってきたということです。
  われわれ自身も指をくわえて、革マルがやられるのを待つのではなくて、JR東と革マルの結託体制を打破するために闘うつもりです。JRに闘う労働運動を再生する決定的チャンスを迎えたと思っています。
  昨年、幕張電車区で、平成採を1人獲得しましたが、こういう有利な情勢を組織拡大にどう生かしきるのかが問われています。組織拡大は、組合の中心をなす課題ですし、動労千葉といえども、これから団塊の世代が大量退職期を迎える中で、組織実体が毎年尻すぼみしてしまうのか、若い労働者を結集して、われわれがJRの中で本当に中心になれるのかの瀬戸際にきている。06年は、権力側が動き出したなかで、われわれの仲間を増やすことが非常に重要な勝負になると思っています。
  平成採は、全部が営業に採用され、私たち動労千葉は営業には組織実体はないわけで、ほとんど東労組に入るという前提で就職してくるわけです。会社のブルジョア教育を受ける中で、労働組合の必要性や意義というものが職場のなかで植え付けられることなく、駅から車掌になり、運転士になるというルートを歩んできています。
  職場では動労千葉は一目置かれていますから、平成採に声をかけて、学習会を開いているのですが、なんで労働組合が必要なんだ、労働組合とはどういうものかという基礎的なところから平成採に話をしています。われわれが声をかけて来るという人たちは、今の職場のあり方がおかしいとそれなりに思っているので、話をよく聞いてくれる。学習会のような地道な取り組みと同時に、今年はもっと踏み込んでいかなければと思っています。
  今の平成採は、ある程度、会社に守られています。国鉄採がいるなかで平成採はちやほやされていて、試験を受けて、ある程度受かってという形で昇進していく。今は差別の対象があって優遇されているが、お前たちの世代が中心となったとき、お前たち自身のなかで差別されるんだよ、そこのところをちゃんと理解しないと大変なことになるんだということを訴えています。
  平成採だって東労組をいい組合だと思っているのはほとんどいません。ただ単に入っているだけで組合意識はほとんどない。松崎のハワイの別荘や醜い利権争いなど、東労組の実態はわかりやすくなっているので、そういうことを含めて訴えていきたい。
  昨年、千葉転で携帯電話を使用したというだけで平成採が懲戒解雇されています。今まで、東労組の平成採は多少の事故やっても問題にされずにきたわけだけれど、携帯電話一発で即解雇という現実を目の当たりにしていますので、東労組は自分たちを守ってくれる存在ではないということは身にしみて感じています。そういうことを通して労働者は団結して闘わなければ、生きていけないんだということを訴えかけていきたい。
  幕張では職場の日常闘争がありますので、われわれに共感する部分がたくさんいます。その上で、千葉転というわれわれの中心となる拠点支部、運転士の職場で組織拡大できるかどうかが勝負だと思ってます。
  東労組が音をたてて崩壊するという過程が現実となった今、平成採の連中がそのまま御用組合に逃げるのか、ちゃんと労働運動ということを捉えてわれわれの下に来るのかという岐路にきています。そこに踏み込んでいけるのかが問われています。
  現実の組織拡大は、役員が課題を持つだけではなかなか進まない。人間というのは人となりがあって日常的に職場にいる先輩が普段からどういう行動をとり、どういうことをやっているかということを一人ひとり見ているわけです。この人の言うことだったらついていけるという関係ができないと組織拡大はできないし、1人拡大したというのも山田支部長という人がいたからで、やはり人なんですね。いかに現場で一人ひとりの組合員が平成採に信頼されうる存在になって、その人が本当に組織拡大に向けて踏み込んでいけるかで動労千葉の将来展望が決まってくる。そこのところを組合員一人ひとりが自覚して、組織拡大の活動を日常的に現場で進める体制を作っていくことを目指しています。
  組織拡大対策委員会を発足させ、今の東労組の情勢を含めて、本腰を入れて組織拡大するんだということを組合員、担当者一人ひとりに、その気にさせるようにやっていかなければと思っています。一人ひとりが組織拡大に目の色を変えてやっていけば、不可能なことではない。動労千葉は今まで、不可能だ、不可能だと言われてきたことをずっと可能にしてきました。06年は、組織拡大を最大の課題としてすべての闘争の中心にしていきたいし、今年は複数名の組織拡大を実現する年にしていきたいと思っています。

 1047名闘争を民営化阻止の結集軸に

 1047名闘争も、去年4・17、7・15集会を通じて、3争議団、闘争団が一同に会するという陣形が18年を経過する中でやっとできました。「1047名」という名前だけでなくて、本当の意味で国家によって仕掛けられた犯罪的行為に対して1047名が立ち向かっていく団結ができあがってきた。それに対する反動として9・15判決があると思う。不当労働行為があったというなら、解雇撤回しかない。あの判決は、1047名闘争をもう一回分断させるような意識的な反動判決だと思います。あの判決を「折衷判決」という言い方で評価することは、国家権力の揺さぶりの前に、腰がすわっていないことを露呈するものだと思う。1047名闘争の本質を、もう一回見つめ直して、新たな動揺と分断を許さない3闘争団・争議団の陣形を築き上げなくてはならないと思っています。2月16日には、動労千葉争議団、国労鉄建公団訴訟原告団・鉄道運輸機構訴訟原告団、全動労争議団、国労闘争団全国連絡会議が共催する集会がもたれ、4・4にも大集会が予定されています。
  今、小泉が行っている公務員や教職員に対する攻撃も、1047名闘争を残したまま強行すれば、たいへんなことになる。分割民営化から今年19年目を迎えて、そのなかで3闘争団・争議団が団結していることは、郵政民営化にとっても、公務員制度改革にとっても大変な脅威ですし、権力の方が絶対つぶそうと動いてくるのは間違いない。それに対し全国的な支援陣形を支えに、この闘いを民営化反対闘争の中心に押し上げていけば、その高揚が郵政や公務員の闘いに波及すると思っています。
  06年は、憲法改悪が現実の政治スケジュールにのる段階を迎え、通常国会には国民投票法案が上程され、教育基本法が改悪されるという矢継ぎ早な攻撃が出てきます。民主党も改憲勢力だし、国会ではどんな法案も通過し、改憲をなしとげられる情勢ができているので、それを阻止できる力は労働者の団結という力しかない。そこを見すえた闘いをしたいと思っています。
  動労千葉の闘いの課題はいろいろありますが、全体情勢と別個にわれわれの闘いはない。政治情勢が一挙に反動化に向かって動き出している中で、06春闘を迎えます。3年連続のレール破断という「安全崩壊」の中で、昨年の尼崎事故、羽越線事故をふまえて、動労千葉は、反合・運転保安闘争を06春闘の中心にすえて闘いたい。労働者の団結以外にああいう事故をくり返さない道はないということを問う闘いとしてやっていきたい。
  動労千葉の組織破壊を狙った幕張の縮小、蘇我運輸区の新設攻撃に対して、組合員に対して、ここが勝負だ、ここが勝機だと組合員一人ひとりに訴えていきたい。闘いの意義を組合員一人ひとりが自覚して、本部の方針が出たからやるというのではなくて、一人ひとりの問題として職場から怒りをもった闘いとして作り上げていくことがなによりも大事かなと思っています。
(この文章は長田書記長へのインタビューを編集部の責任でまとめたものです)

 ◆長田敏之   動労千葉書記長
  千葉県立大多喜高校77年卒
  77年 国鉄入社。新小岩機関区蘇我支区配属
  81年 機関士
  85年 電車運転士
  04年 現職

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●通常国会は、改憲阻止の正念場

  1月20日から始まった164回通常国会での小泉の施政方針演説は、敵の側からする4大産別決戦だ。小泉は、郵政民営化法の成立を称えた上で、行政改革推進法案の成立を期するとした。他の問題については、努力目標とする中で、行革推進法だけは「成立を期します」と明言したのだ。
  そして、「憲法改正のための国民投票の手続を定める法案については、憲法の定めに沿って整備されるべき」とし、「志士は溝壑に在るを忘れず」と締めくくった。
  小泉施政演説は、郵政民営化を推進し、公務員労働者・教育労働者への攻撃に全力をあげることを宣言したのだ。自治労、日教組を改憲勢力に変質させることを突破口に、連合総体を改憲勢力化することを狙っているのだ。
  1月自治労、2月JPU(全逓)、3月日教組と相次いで開催される臨時大会は、各産別連合指導部が、小泉=奥田の改憲・民営化攻撃に屈服し、闘わずして転向しようとする狙いを持ったものだ。とりわけ、昨年の大会で改憲路線への変質を打ち破った自治労、日教組臨大は非常に重大な位置を持っている。
  今通常国会には、行政改革推進法案、教育基本法改正案、米軍再編推進法案、防衛省設置法案、国民投票法案などが予定されている。それに、継続審議となった「共謀罪」だ。どれも、極悪の反動法案だ。
  何よりも、小泉が成立を期すとする「行政改革推進法案」だ。昨年12月24日に閣議決定された「行政改革の重要方針」の「着実な実施のため、基本的な改革の方針、推進方策等を盛り込んだ」包括法案として提出される。その内容は、●政策金融改革●独立行政法人、公営競技関係法人、その他政府関係法人の見直し●特別会計改革●総人件費改革の実行計画等●政府資産・債務改革●社会保険庁改革●規制改革・民間開放の推進●政策評価の改善・充実●公益法人制度改革の9項目を盛り込み、全閣僚から構成される「推進本部」を、そのもとに「行政減量・効率化有識者会議」設置するというものだ。
  この法案は、個々の法案ではなく、基本方針・推進方策を包括的に認めさせるということにある。あとはそのもとでフリーハンドにやりたいことをやろうということなのだ。基本方針には、国家政策のすべてが盛り込まれている。「推進法」は、これを楯にあらゆる攻撃が可能となる「授権法」と言うべきものだ。
  この法案の最大の狙いが、「公務員改革」にあることは明らかだ。5年間で5%削減の国家・地方公務員を削減する、このことでとりわけ自治体労働運動を解体しようとしているのだ。そしてこれを具体的にしようとするのが「公共サービス効率化法(市場化テスト法)案」だ。「小さい政府」の名の下に一切の公共部門を民間に売り渡し、政府は戦争遂行だけに専念しようという攻撃だ。
  この攻撃は、ひとり公務員にかけられた攻撃ではない。福祉切り捨て、増税、首切り攻撃を一層加速するものになるのだ。
  通常国会に提案されようとしている重要法案すべてが、改憲と戦争に向けた法案だ。小泉=奥田は、この攻撃で労働組合総体を改憲・戦争遂行勢力に取り込もうと必死の攻撃をかけてきているのだ。労働組合の転向・解体なしに自らの生きる道はない、支配階級・ブルジョアジーは、その階級的本能で全面攻撃にうって出てきたのだ。
  「文藝春秋」での中曽根と森の対談にこそ敵の狙いがはっきりと現れている。「郵政民営化には全逓があった。後は、日教組と自治労」とはっきりその攻撃の狙いを明け透けに出している。絶対に許してはいけない攻撃だ。断固反撃しよう。
  1〜3月決戦の重大性は、労働組合をめぐる闘いだ。労働組合を労働者の手に取り戻すのか、それとも敵の手に明け渡すのかということだ。
  06年決戦こそが、労働者階級の未来を決する天王山だ。労組交流センター会員、そして11月労働者集会に結集した4600名労働者の全力で、1〜3月決戦を切り開こう。

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●「10・23通達」下、3度目の卒入学式闘争

 教労の新潮流の飛躍をかけ、東京―全国を貫く不起立闘争の爆発へ

 教育労働者部会

 ゼッケン処分―再発防止研修を許すな

 石原・都教委の「10・23通達」が出されてから3度目の卒入学式闘争が目前に迫った。05年の卒入学式闘争は、警察の戒厳令体制下の東京の不起立闘争の貫徹と全国の「不起立宣言」運動によって、「日の丸・君が代」をいまひとつ新たな地平へとおしあげてきた。刑事弾圧の恫喝と「過激派」攻撃、減給から停職へと加重されていく処分も、もはや闘いを押しとどめることはできない。被処分者の闘いは、森越発言を徹底弾劾し改憲路線への転換を阻止した日教組大会、昨年を超える会場内外の抗議闘争となった7・21再発防止研修闘争、32本の闘う修正案を可決した7月都高教大会へと発展していった。とりわけ、被処分者に転向を迫る再発防止研修をこなごなにうち砕いた闘いは、実力闘争の復権を画した闘いだった。
  大打撃を受けた都教委は12月、会場でゼッケンを着用して抗議した被処分者10名に「職務専念義務違反」を理由に戒告・減給処分を発令、1月19日にはこの件でまたしても再発防止研修を強行した。一昨年以来、被処分者は最高で6回にわたる再発防止研修・専門研修を受けさせられる。違法な職務命令・命令研修には服従できないとの信念から不起立し抗議する教員に対して、まさに転向か免職かの選択を迫る許しがたい攻撃だ。
  だが、被処分者は意気軒昂と闘っている。1月19日の再発防止研修では都教委・法務監察課長の「公務員の服務と関係法令」の講義に対して、「課長は7月の研修の際、目の前のゼッケン着用者に対してなぜ注意しなかったのか」という質問が浴びせられた。「あの時『職務専念義務違反』という認識があったのか」という質問に、課長は「いいえ」と言ってしまったという。グラグラになっているのは都教委の側なのだ。

 戦争協力拒否闘争を拡大し、組合権力奪取へ

 06年の卒入学式闘争は、この2年間の闘いが切り開いてきた新たな地平の下で闘われる。第一に、被処分者が組合権力に挑戦し、「日の丸・君が代」強制反対闘争を闘う執行部の樹立をかけた闘いと一体で取り組まれていることだ。04年、05年の都高教大会で、闘う修正案を可決し、事実上の執行部不信任をつきつけた地平に踏まえ、2月の都高教役員選挙には、数多くの被処分者が立候補し、被処分者の運動として選挙戦が取り組まれている。全国的にも「不起立宣言」運動を主導した交流センター派と連合執行部との党派闘争が一挙に激化し、交流センター派は拠点単組で組合権力への本格的勝負にうってでる。
  連合執行部の屈服方針を突き破る現場組合員の自主的決起として始まった不起立闘争は、被処分者が組合権力を握り、組織的抵抗闘争を再構築し闘う日教組再生の拠点をうちたてていく段階へと発展しつつあるのだ。
  第二に、「日の丸・君が代」不起立闘争の質が、杉並教科書闘争に継承・発展され、教組運動全体の戦闘的再生を切り開きつつあることだ。杉並の闘いは、学校の調査報告書の書き換えを告発した教員に対する「守秘義務違反」の名による処分攻撃、組合役員と組合員の社会科教員への強制異動など、組織破壊攻撃との攻防となっている。
  この攻撃に対して、杉並教組は処分のための事情聴取に対する抗議行動を展開して徹底対決の姿勢を強め、社会科教員の強制異動に対しては、数十人の保護者が校長や区教委への要請行動にたちあがっている。いよいよ4月につくる会教科書が子どもたちに手渡され、この教科書を使った授業が強制されることに対して、通年的な拒否・抵抗闘争が始まろうとしている。
  戦争協力拒否闘争の戦線が教科書闘争に拡大する中で、「日の丸・君が代」闘争の意味があらためて明らかとなってきた。双方の闘いが強めあいながら、全国の教育労働者の侵略教育を拒否する不退転の決意を呼び覚ましつつある。連合派が忌み嫌い根絶しようとしてきた職場抵抗闘争、「対決・粉砕・阻止」の闘いを、教員評価制度や新たな管理職設置攻撃、差別分断賃金との闘いにおいても創造し、新たな勤評闘争・主任制闘争をつくりだしていかなければならない。

 帝国主義と対決する教育労働運動を

 このように、06年卒入学式闘争は、教育労働運動の階級的潮流にとってさらなる飛躍と次の地平の奪取をかけた闘いとなっている。04年・05年の11月労働者集会への被処分者の合流は、階級的労働運動の一翼として自らを自覚的に位置付ける教育労働運動の潮流を生み出してきた。
  根本的に問題となっていることは、階級的労働運動か帝国主義労働運動かという路線問題であり、労働運動の普遍的テーマなのだ。教育を再び戦争の道具としようとする政府・支配階級と「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを堅持してきた教育労働者との対立は非和解的階級対立である。教育行政との交渉関係の仮象を取り繕うことだけに汲々としている既成指導部にとってかわって、「すべては力関係で決まる」という階級闘争の原点に立ち返り、職場の団結と保護者・市民、被差別大衆との共同闘争に依拠して原則的に闘いぬいていくことだ。侵略戦争によってしか生き延びられない帝国主義と対決する教育労働運動を創造しよう。
  500の動労千葉の闘いが、安全運転闘争で資本を降参させ、巨大な国際連帯を切り開いている。300の被処分者の闘いが、都高教運動の再生の展望を切り開き、教基法・改憲阻止の全人民的闘いをつくりだしている。小なりといえども、小泉・奥田・石原と互角に渡り合い、連合の改憲勢力化を阻止し、労働者階級の総反撃を切り開いているのだ。
  動労千葉の闘い、とりわけその真骨頂をなす「反合・運転保安」に学び、戦時下の教育闘争をつくりだそう。

 教基法改悪案の通常国会上程を阻止しよう

 06年の卒入学式闘争は、国民投票法案、改悪教基法案の通常国会上程という情勢下で、教基法改悪・改憲攻撃粉砕の正念場だ。「行革国会」での総人件費削減、公務員制度改革攻撃をむかえうち、四大産別決戦の爆発を切り開く闘いだ。3・21日教組臨時大会での教基法・改憲容認路線への転換を阻止し、闘う日教組再生の展望を拓く闘いだ。
  小泉・武部執行部は、与党教基法改正検討会の座長に大島元文相をすえ、郵政民営化反対で離党した保利元文相を相談役として復帰させて与党協議を再開、なみなみならぬ決意で通常国会への法案提出にのりだしてきている。「愛国心」の文言がどう決着しようと、教育行政の不当支配禁止を解体し、新・教基法を日教組と平和教育解体の武器に変えようとする改悪の本質は変わらない。職務命令体制を打ち破る不起立・不服従闘争こそ、教育労働者の回答だ。
  動労千葉、全動労争議団、闘う闘争団、闘争団全国連絡会が共同で解雇撤回・勝利解決を呼びかけ、国鉄1047名闘争が民営化反対闘争の結集軸に押し上げられてきている。動労千葉は、「反合・運転保安」闘争で06春闘を闘おうとしている。教育労働者は、東京−全国を貫く不起立闘争の大爆発をかちとって、3・31教基法改悪阻止の国会デモの先頭にたち、4・4国鉄集会に合流しよう。

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●今春決戦で共謀罪を葬り去ろう

 1月20日、第164回通常国会が6月18日まで150日の会期で開会した。今国会では行革推進法案、医療制度改悪法案、教育基本法改悪法案、国民投票法案、米軍再編推進関連法案、防衛庁設置法案、皇室典範改悪案など憲法改悪に直結する反動法案が目白押しである。法務委員会には新たな治安弾圧法として、共謀罪法案、組対法改悪法案(没収・追徴)、少年法改悪法案、刑法一部改悪法案(詐欺着手罪新設)、難民認定・入管法改悪法案(入国時の指紋採取)、代用監獄法案、また、内閣委員会には警察官職務執行法改悪法案などの提出が策動されている。
  共謀罪法案は治安維持法、破壊活動防止法を上回る治安法であるが、同時にそれを駆使するのは肥大化し腐敗する警察権力だということを注視せねばならない。共謀罪法案は法務省・警察庁が目指す戦争国家化・治安管理国家化の決定的な武器なのだ。元警察官僚の平沢勝栄自民党法務部会長は「共謀罪は捜査当局の新たな武器となる」(「毎日新聞」05年10月7日)とあけすけに語っている。
  共謀罪新設策動は治安立法・治安弾圧・戦争立法と一体のものとしてある。治安弾圧・管理強化に向けた支配確立の動きは90年代中期以降の生活安全キャンペーン、組織犯罪対策強化、世界的な「テロ」対策の流れに、戦争立法がかさなるかたちで体系化されてきた。その中で警察権力は、国際化・軍事化・ハイテク化・地域化を軸に強大化されてきた。国際化は国際的組織犯罪条約や日米捜査共助条約締結、軍事化は自衛隊との治安出動体制構築、ハイテク化は監視カメラ網の全国的展開、地域化は生活安全ネットワーク、学校や企業との連携、NPO活用などして進展している。治安法との闘いが現在的には戦争・改憲攻撃との闘いであることに踏まえ、強大な反治安法戦線を創り出していこう。
  共謀罪反対闘争をいまこそ労働運動の重要課題におしあげねばならない。共謀罪は労働者の団結を破壊する弾圧法である。団交要求の組合討議は逮捕・監禁、解決金支払いの相談は恐喝の共謀罪となる。国民投票法が規制しようとする反対運動も共謀罪の対象となりうる。矛先は闘う労働組合や戦闘的大衆闘争にむけられているのである。
  生コン業者に共同組合への加入を要請したことを「威力業務妨害・強要未遂」とする全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部への第1次・2次弾圧に続いて、昨年12月には「政治資金規正法」違反をデッチあげた第3次弾圧が強行され、大阪門真市議の戸田ひさよし連帯労組近畿地本委員長が逮捕された。同時に関生支部・武委員長も再逮捕された。関生支部の進める産業政策運動と三労組共闘陣形の解体を狙った大弾圧である。
  労働争議への刑事弾圧とともに反戦・反政府の言論・表現活動への逮捕弾圧が続いている。立川テント村の自衛隊官舎反戦ビラ入れ弾圧以降も、相次ぐビラ入れ弾圧、日の丸・君が代弾圧、靖国闘争への弾圧、基地監視活動弾圧、沖縄・辺野古での日本山妙法寺僧侶への公妨弾圧、詐欺罪や私文書偽造罪弾圧、組合加入活動への強要未遂弾圧、警察への抗議行動への傷害共謀弾圧、早稲田大学ビラ入まき建造物侵入罪弾圧、山谷デモへの公妨弾圧などが起きている。また、国公法違反での相次ぐ逮捕・起訴や反基地闘争に参加する公務員をねらい打ちにする弾圧が繰り返されている。戦時下での治安弾圧との闘いを労働運動の正面課題として、大衆的反撃をつくりだしていこう。

 大衆的反撃で共謀罪を廃案へ

 164通常国会は共謀罪の廃案か制定かをかけた正念場となった。政府・与党は昨年の特別国会・法務委員会で実質審議を終了したとして、いつでも採決できる局面に入っている。共謀罪は傷害・強要など619の罪について、行為がなくても「合意した」とみなせば罰することができる団結・結社禁止法である。労働組合の労働権(団結権、団体交渉権、争議権)を完全に踏みにじるものであり、絶対に廃案に追い込もう。
  03年の通常国会上程から特別国会を含めれば8回、3年にわたって共謀罪の成立を阻止してきた。昨年も通常国会、特別国会とギリギリのところで阻止してきた。法務省は密室での制定を狙っていたが、通常国会・特別国会では与党内部からも慎重意見・批判が吹き出し、継続審議となった。決定的なことは、国会審議を通じて法案の矛盾が露呈し、多方面から批判の声が噴出したことである。新聞・テレビ・雑誌などマスコミの相次ぐ批判は99年の組対法・盗聴法闘争を内容的に凌駕する水準であった。共謀罪を永久に葬り去る可能性はようやく切り開かれてきたといえる。
  問題は反対の声の広がりが労働運動・大衆運動の高揚へとなっていないことである。この点では交流センターの取り組みもまだまだ不十分であった。164通常国会では遅くとも予算審議が終了するであろう3月から審議が開始される。改憲阻止の闘いと一体のものとして闘い抜こう。
@国会前攻防と持続的街宣行動を軸に闘いの拠点を築こう
  1月20日の国会開会以降、街頭宣伝を恒常化する必要がある。拠点としての国会前の闘いを維持しつつ、更に議員・表現者・市民などを巻き込んだ恒常的な署名・情宣の拠点として銀座マリオン前での情宣・署名活動を定例化していこう。また、国会前座り込み体制を強化し、決戦時のハンスト・山手線全駅情宣など創意工夫をこらして闘おう。
A2月17日の日弁連集会を成功させ、3月上旬大集会を勝ち取ろう
  すでに日弁連は2月17日に東京・霞ヶ関の日弁連会館2階講堂クレオで共謀罪反対集会の開催を決定している。表現者は緊急声明を発表しミニライブなどを計画している。全国で学習会・集会を積み重ね、闘う弁護士・学者・表現者と共同で反対運動の高揚を勝ち取ろう。
B国際共同署名運動を通じ広範な反対の声を創り出そう
  第一次国際共同声明を受けての国際共同署名運動は126人の呼びかけ人で開始されている。署名の呼びかけには全日本建設運輸連帯労組委員長、全国金属機械港合同、動労千葉、全金本山などが名を連ねている。3月国会審議開始時の提出をめざし、当面1万署名を集めよう。また、岡山・高梁市議会などが共謀罪反対決議をあげている。こうした動きを更に拡大していこう。
C翼賛国会への切り込みを勝ち取ろう
  衆院法務委員会で共謀罪の審議時の大衆的傍聴・監視体制は重要である。さらに刑法学者、弁護士など法律家と共同し、法務省を論破し追いつめる闘いを強化しよう。
  ポイントは審議時の座り込み、ハンスト、議員対策などの国会闘争と、すでに開始されている共謀罪新設反対国際共同署名運動の強力な推進である。連合、全労連、全労協など労働組合に積極的に署名を持ち込もう。街頭での署名活動を通じて反対運動の高揚をかちとり、労働者・弁護士・学者・表現者などの共同の力で共謀罪を永久に葬り去ろう。

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●関西生コン支部への不当弾圧許すな!

 大弾圧体制を粉砕し階級的労働運動を発展させよう

  関西労組交流センター

 関西生コン支部への連続的大弾圧

 昨年1月13日(大谷生コン事件)、3月9日(旭光生コン事件)と連続して加えられた全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部への不当弾圧から10カ月、11・6労働者集会の成功の興奮もさめやらぬ11月9日、大阪府警は、戸田ひさよし門真市議(全日本建設運輸連帯労働組合近畿地本委員長)に対して「政治資金規正法」違反なる罪状をデッチあげ、戸田事務所、関生会館ほか20数カ所への家宅捜索を行った。そして、戸田議員、関西生コン支部の女性会計担当者を逮捕、さらに翌週には獄中の関西地区生コン支部・武委員長も逮捕した。
  そして大阪地検は、12月28日には、武委員長と、戸田市議を政治資金規正法違反容疑で不当起訴した。この関西生コン支部への不当弾圧に対して怒りを込めて徹底弾劾する。今回の弾圧は、1月、3月の弾圧による不当な長期勾留がついに打ち破られ、保釈が決定されることに対して、あくまで武委員長を獄中に閉じこめておくことを狙った不当きわまりないものである。すでに、武委員長は3度の不当逮捕・起訴で1年間以上も勾留され続けているのである。
  第1次、第2次弾圧で逮捕・勾留されていた6名の組合員のうち、武委員長を除く5名は、12月15日ついに大阪拘置所を釈放され、多くの組合員・家族に迎えられた。第1次弾圧から337日、第2次弾圧から281日の長期勾留であった。
  連続する大弾圧は産業政策運動を一貫して闘ってきた関西地区生コン支部に対する組合破壊攻撃であり、また、昨年の11月労働者集会の中軸を担った3労組共闘の団結を解体しようとするものである。両氏の即時奪還、不当弾圧粉砕のために連帯して闘おう。

 正当な組合活動への不当弾圧

 すでに大阪地裁における大谷生コン事件、旭光コンクリート事件公判は、1月16日で13回の公判を重ねている。
  関西生コン弾圧とは、関西生コン支部の広域協同組合への生コン企業の加入を求める正当な組合活動を、「強要未遂」、あるいは「威力業務妨害」としてデッチ上げ不当逮捕・起訴したものである。16回にわたる公判によって、関西生コン弾圧の不当性、労働運動への不当な破壊攻撃の実相は完全に明らかになってきている。
  公判のなかで検察側は、大谷生コンや旭光コンクリートと関西生コン支部が、「直接的な労使関係がない」として、正当な組合活動ではないとの主張を行っている。しかしながら、これは企業の枠をこえた産業別労働運動の運動形態を認めないまったく不当な主張に他ならない。弱小の零細業者が多数存在する生コン業界において、ダンピング競争によって疲弊し倒産することを防ぎ、ゼネコン、セメントメーカーの独占資本に対抗して対等・平等な取引関係をつくるために、生コン企業の共同化運動を推進することは、生コン労働者の雇用と労働条件を確保していくための必須の正当な組合活動である。このような産業別労働運動の展開に対して、あくまで企業内的な直接的労使関係のみに正当な組合活動を制限しようとする検察側の主張は、産業別労働運動を破壊し、関西生コン支部を破壊せんとする断じて許すことのできないものである。
  また、事実としても、関西生コン支部は、大阪・兵庫生コン工業組合との集団交渉、労働協約の締結を行っており、集団的労使関係を形成しているのであって、「労使関係がない」とは事実に反するのである。
  また、関西生コン支部が企業に対して、広域協同組合への加入を「強要」したとの検察側の主張は、完全なデッチ上げであることが明らかにされたのである。公判のなかで、加入を「強要」されたという2社は実は、「広域協組に加入する」との誓約書を交わしていたのであって、関西生コン支部はその誓約書に基づく義務の履行を求めたに過ぎない。したがって、「人に義務のないことを行わせようとした」との強要罪そのものが成立しないことが明きらかになったのである。
  しかも、この広域協組への加入を求める交渉の当事者でなく、別の場所にいた役員をデッチ上げで逮捕したという完全なえん罪の事実も明らかになっているのである。

 3労組共闘の破壊

 このように関西生コン支部への弾圧は、関西生コン支部の展開するゼネコンやセメント独占資本に対抗する産業別労働運動に対して、「関生型の運動は資本主義の根幹に触れる運動である」として大弾圧を加えたものに他ならない。
  それと同時に、この弾圧が昨年の11・7労働者集会の成功から、新たな潮流運動が連合や全労連指導部の制動を打ち破って、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別を中心とした「戦争と民営化」攻撃との激突へと進もうとすることへの大弾圧に他ならなかった。この弾圧は、国労5・27臨大闘争弾圧以来の一連の階級的労働運動破壊の弾圧であり、国家権力は、11月労働者集会の3労組共闘と11・7陣形の中心部分をぶっつぶせば、4大産別決戦を始めとした労働者の決起を反革命的に粉砕できると踏んで、関西地区生コン支部弾圧に踏み込んできたのである。
  しかし、この弾圧を関西生コン支部は全力ではね返し、意気軒昂と「敵の攻撃を反面教師として成長する」揺るぎない階級的労働運動(武委員長の関西生コン支部大会へのメッセージ)の道を進んできたのである。そして、この地平に立って、小泉の9・11大反革命による「戦争と民営化」攻撃に真っ向から対決し、11・6労働者集会に全力で立ち上がろうとしている。
  すべての労働者の皆さん。この関西生コン支部の決起にこたえて、11・6労働者集会の3労組共闘の地平をいっそう発展させ、関西生コン支部への不当弾圧を粉砕し、「戦争と民営化」攻撃、改憲の中で強まる労働運動への治安弾圧攻撃に対して真っ向から闘う労働運動をつくりだそう。

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●やってられないぜ! ―悪化する労働者の現状
                     第7回 サラ金には手を出すな!

 1月13日、最高裁は消費者金融(サラ金)大手「アイフル」グループの事業者ローン会社に対し、利息制限法の上限を超える超過利息の支払いを借り手から受け取ることはできないという判決を下した。個人向けの消費者金融でも、利息制限法を超える金利が事実上否定されたことから、一見利用者に有利なようにも見える。しかし、そもそも預貯金金利がほぼゼロという歴史的超低金利が続くなか、利息制限法の年利15〜20%だって異常な高金利だ。賃下げや雇用破壊を背景に利用者は増え続け、消費者金融各社はボロ儲けしている。生活が苦しくなった労働者が金策に困ったあげく、さらに徹底的に収奪されるなんて、やってられないぜ!

 「灰色金利」を許すデタラメ規制

 日帝はバブル崩壊後の90年代半ば以降、ゼロ金利政策をとってきた。現在の預貯金金利は定期預金1年もので年利0・03%という歴史的低金利にある。100万円を定期預金1年ものに預けても利息は(税引き後)240円にしかならない。ATM時間外手数料の1〜2回分で吹き飛ぶ微々たる利息だ。普通預金にいたっては0・001%、100万円を1年間預けて(税引き後)8円という、ふざけた利息だ。
  そのいっぽうで、消費者金融やクレジット会社のカードローン金利は15〜29・2%という異常な高金利が設定されている。どれだけメチャ高い金利かは預貯金金利と比較してみると一目瞭然だが、100万円を年利29・2%で1年間借りると利息は約30万円、定期預金1年もの利息の1250倍、普通預金利息の3万7500倍にも達する。
  消費者金融各社の平均貸出金利は年利25%前後。信託銀行など金融資本から年利1・6〜2%で調達しているので、20%以上もの利ざやを稼いでいることになる。05年3月期には大手4社(アイフル、アコム、プロミス、武富士)だけで合計5000億円以上もの巨利を得ている。
  消費者金融がどうしてこのような高金利で荒稼ぎができるのかというと、金融資本の利権確保のために、金利を規制する法律がデタラメなのだ。そもそも貸出金利は利息制限法で15〜20%になっている。この利息制限法の制限金利が定められたのは1954年であり、それ以降、激しい金利変動があったのにもかかわらず変更されていない。当時の銀行の平均貸出金利は年利約9%。仮に制限金利が銀行の平均貸出金利の2〜3倍程度が妥当だとすると、消費者金融の金利は5〜10%程度に抑えられねばならない。現にドイツやフランスの消費者ローンの金利はこのレベルである。
  いっぽう貸出金利を規制する法律はもう一つ出資法があり、こちらは29・2%を超えると刑事罰(懲役5年以下若しくは罰金1000万円以下)が課せられることになっている。利息制限法には罰則規定がないことから、利息制限法を超え出資法の上限金利までの間は「グレーゾーン金利=灰色金利」と呼ばれ、消費者金融はこの金利の範囲で貸し付けているのが実態だ。消費者金融だけではない、一見優良なイメージがあるクレジットカード会社のカードローンの多くも灰色金利である。
  このほか出資法を超えた金利で貸しだすヤミ金融があり、「トイチ」(10日で1割=10%、年利365%)などの超高金利で貸し出している。当然、これは非合法でそれ自体が犯罪だが、警察の取り締まりは甘く被害が後を絶たない。

 金利で労働者を分断、差別する金融資本

 消費者金融の利用者の大部分は、低所得者層である。そもそも借金はお金に困った人がするものだから、お金に困ることのない高額所得者に縁はない。
  レジャーや高額商品の購入で一時的にお金が必要ということもあるが、安定した収入がある人ほど、低金利で借りられるようになっているのが実態だ。多くの銀行でカードローンを扱っているが、銀行本体のカードローンの金利は8〜12%。預貯金金利に比べるとメチャ高いが、消費者金融よりは格安だ。最近の大手銀行では高額の預け入れ資産がある顧客に、さらにローン金利を優遇するサービスも普及している。
  だが、銀行の比較的金利の低いカードローンは、安定した収入が見込める勤続年数の長い正社員や多額の預金をしている人などしか、借りられない。借りられたとしても10万円以下など融資額が制限される。
  そうでない人は消費者金融を利用することになるが、ここ数年、大手銀行でも消費者金融専業各社と提携し、消費者金融子会社をつくっている。一例をあげれば三井住友銀行系のアットローン、三菱東京UFJ銀行系のキャッシュワンやモビットなどの銀行系消費者金融だ。ここでは利息制限法の範囲、15〜20%の金利を設定していることが多い。転職間もない正社員や定収入があっても非正規雇用者は、こうした消費者金融を使うことになる。そこでも借りられない人や、少ししか借りられない人はより高い金利の消費者金融で借りることになる。収入が不安定で、よりきびしい労働条件の労働者ほど、メチャ高い金利の消費者金融を利用せざるを得ない仕組みになっているのだ。労働者を選別し、分断する資本の攻撃性がここにも貫徹されている。

 「構造改革」=労働者虐殺政策と闘おう

 90年代半ば以降、個人自己破産件数が激増しているが、小泉「構造改革」のもとで加速し、03年は過去最高に達している。04年は少し改善されたが依然高水準であることに変わりはない。
  言うまでもなく自己破産は消費者金融を自転車操業的に利用して多重債務者に陥るケースが多い。日本弁護士連合会消費者問題対策委員会による過去の破産申立事件確定記録調査(00年7月)によると破産者の月収は5万円未満が31・89%、5万以上10万円未満が14・36%と、月収10万円未満の所得層が半数近く、20万円未満の人が約80%を占める。自己破産の理由は「生活苦・低所得」「失業・転職」「負債の返済」などで、不況型の破産が多くを占めていることがわかる。
  雇用が破壊され労働者の生活がズタズタにされる中で、自殺者もまた急増した。年間の自殺者数は98年に3万人の大台に乗り、03年は過去最高の3万4000人を記録した。かつて5〜6%にすぎなかった「経済問題・生活苦」を理由とする自殺はここ数年20〜25%を占めるようになり、まさに労働者の生命が維持できないほどの生活破壊が進行していることがわかる。自殺者のなかには消費者金融の返済が行き詰まり、厳しい取り立てを受けるケースが多い。「経済問題・生活苦」による自殺者の内訳では「多額の負債」が最多で、消費者金融の借り手が多く含まれていることは想像に難くない。自殺原因は「健康問題」も上位を占め、長時間労働など過酷な労働条件で健康を害するケースが多いこともうかがえる。この10年間の自殺者数は30万人を超えるが、小泉「構造改革」とはまさに労働者虐殺政策にほかならないのである。
  消費者金融の問題は、利息制限法の厳格な適用や規制の強化では根本的な解決にはならない。労働者が消費者金融に頼らずとも生活できる賃金と雇用の獲得がまず重要である。首切りや賃下げ攻撃には、ひとりの首切りも許さない闘いを貫徹し、労働組合と仲間が支え合い、階級的に生活を守りきることが原則だ。労働者の生活は、団結して闘うことによってしか守れないのである。06春闘勝利! (雷太)

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●闘う合同労組 第15回

  06年年頭の取り組み 各地で進む東西春闘集会を成功させよう

 岩澤仁志(茨城県地域連帯労働組合)

 06年冒頭から各地の合同労組で取り組みが進んでいます。

 全国で郵政元旦ビラまき行動に参加

 1月1日には関西合同労組・関西トランスポート分会が加古川郵便局に元日行動を行い、地域の労働者と共にたたかい抜きました。(別項目参照)その他各地でも全国センター全逓部会が呼びかける元日ビラまきに民間労働者が合流しました。

 各地で旗開きが開催

 合同労組の旗開きも各地で開催されています。東京西部ユニオン、東京なんぶユニオン、関西合同労組、京都自立、広島連帯ユニオンで旗開きが開催されたとのお便りをいただいています。
  このうち、東京西部ユニオンは事務所近くの会議室で旗開きを行いました。冒頭、山本委員長から挨拶があり、05年の組織拡大の成果に踏まえ、06年のさらなる組織拡大、特に青年労働者の組織化に重点をおくこと、杉並の「つくる会教科書」反対運動を前進させ、改憲問題に取り組んでいくこと、などが確認されました。またスタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合など地域の労働組合、都政を革新する会・新城節子区議会議員からも挨拶があり、協力して地域合同労組を進めていくことが確認されました。各組合員からの事項紹介のあと、ビデオ上映・歌となごやかな雰囲気の中で旗開きは成功しました。
  東京なんぶユニオンは大井町駅近くの組合事務所で旗開きを行いました。(写真参照)針田委員長の断固たる新年の決意を受け、組合員参加者一同06年をたたかいぬく決意を新たにしました。また、この旗開きには他の合同労組からも来賓としての参加がありました。

 1・22 11月労働者集会総括会議

 1月22日東京において動労千葉、港合同、関西生コン支部の主催により、11月労働者集会総括会議がもたれました。参加した合同労組からは関西合同労組と茨城県地域連帯労組が発言し、11月集会の成功と06春闘にむけた決意が明らかにされました。

 合同労組メーリングリストへの参加をお願いします

 現在センター系合同労組ではメーリングリストをつくり、各団体間での情報の共有化を進めています。
  05年は各種交流会にむけた連絡だけではなく、争議、11月集会組織化の報告から阪神タイガースの優勝祝賀メールまで、原則として公開可能なメールについてはすべて配信させていただいています。これまでのところ運用状態はおおむね良好です。(携帯メールに関しては添付書類が閲覧できないなど操作に一部制限があります)
  このメーリングリストは、全国「つくる会」教科書採択阻止闘争、8・6広島行動、11月集会にむけて微力ではありますが、全国の動きの一端を伝えることができたとおもっています。また、いまのところ合同労組の準備段階、あるいは結成したけれど手探り状態という会員の方にとっても全国の仲間とつながっているということで励ましになっています。
  これまではホームページを設置している団体の公式メールアドレスに送るのが基本でしたが、まだ合同労組準備段階の地区センターにも送れるように東京・関東圏から改善を進めています。特に京都自立労組が先駆けて行っているように、電子版の組合機関誌がお互いに行き渡るようになると、私たちの運動を質的に強化する重要なきっかけになると思われます。
  ご希望の方は、全国センター事務所まで封書またはファクスにて申し込み願います。こちらから本人であることを確認させていただいた上で、メールを送らせていただきます。
  またこれまで通例、1団体1メール送信でしたが、今後は伝達スピードを上げるため、団体代表メールアドレスたけではなく登録された個人へ直通でメールを送ることもできますのでご利用願います。
  以上にふまえた上で、メーリングリストはあくまでも、便宜的手段だと考えています。全国発送に伴う経費と作業時間が確保できない現状のなかでやむおえず行っていることとご理解願います。センター総会議案書にあるように、センター系合同労組の全国事務局体制はいまのところ大変弱い状況にあります。まずはメールでできるところまで連絡を強化し、本格的連絡網となる礎を積み上げていきましょう。

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読者のページ

★06春闘に何が求められているか 三多摩労組交流センター・ 山口弘宣

  日米軍事同盟を強化し、米帝と一緒になって戦争国家にのし上がろうとする日本帝国主義。戦後の政治体制や経済体制を右から破壊し、再編を試みる日本帝国主義の姿は、アジア諸国から見ればまさに「大日本帝国」の復活である。
  戦後60年にして改憲策動が具体化し、今通常国会では「国民投票法案」の上程や教育基本法の改悪案、共謀罪の新設など反動化が一気に進もうとしている。そして郵政民営化法を成立させた小泉政権は、いよいよ「公務員制度改革」に乗り出し、公務員労働運動の破壊を通じての「小さな政府」=民営化路線を貫徹しようとしている。日本経団連もさらなる「民営化・規制緩和」を叫び、労働者への攻撃を強めている。「景気回復」が宣伝されていたが、ライブドア・ショックで株価が下落し、「景気回復」の実態がまさに「バブル」であったことが明らかとなり、東証のシステム限界もあわせて日本経済が脆弱であることが証明された。
  最近は新聞でも報道されだしたが、小泉―奥田が進める弱肉強食の新自由主義経済が、貧富の差を拡大させている現実を直視しなければならない。生活保護世帯が100万件に増加し、給食費も払えないで就学補助を受けている子どもも133万人になっている現実を。一方では史上最高の利益を出す企業があり、一方では年収200万円に満たない世帯が急増し、非正規雇用が増大している現実を。
  高止まりする失業率や1万人に達する自殺者、無差別な幼児殺害など、日本の社会が破綻していることを多くの労働者たちは感じている。これが労働者階級の現実=賃労働と資本だ。この現実をわれわれは、階級的に暴露、宣伝していく必要がある。
  連合労働運動は資本への屈服を繰り返すなか、組織率が低迷している。労務政策のお先棒を担ぐ役割の連合は、労働者支配に失敗しその影響力が問われている。「パート春闘」だとかを叫んでいるが、そのパートを作り出している企業や政府に協力しておきながらのスローガンである。
  経団連が「ベア容認」を打ち出すとそれに飛びつき「ベア要求だ」と急に動き出している。しかし、それはあくまでも資本の許す範囲内でしか過ぎない。中小から「ベア要求」の声が高まり、あわてたのはJC加盟の大手加盟であった。資本にベア要求のお伺いを立てていたのか大手組合ほど「ベア要求」に慎重であったのが事実である。
  06春闘は「ベア要求」が掲げられ見せかけだが、「攻めの春闘」となっている。この情勢をわれわれは無視してよいのか。「連合幹部のお手並み拝見」でよいのか。労働者の現状に対する不満を無視してよいのか。06春闘をただの経済闘争の場にしてはならない。(経済闘争としては闘いぬくという前提の上で)06春闘を階級的な攻防点にまで高めなければならないのだ。
  われわれは06春闘に影響を与える組織を持っていない。唯一あるのが動労千葉である。動労千葉の今春の闘いを防衛し、職場で実践するのだ。職場の労働者を信じ、闘いを組織するのだ。あの民主労総も最初は小さな組織だったではないか。職場では少数派だったではないか。必ず真理は少数から生まれ、多数化するのだ。
  職場で如何に闘うかは、動労千葉の05年の安全保安闘争や、今までの闘争の歴史から教訓化することが山ほどある。動労千葉労働運動こそあらゆる産別、職場で適応されるものであるのだ。いかに職場で闘うのか、いかに階級的な攻防点を勝ち抜くのかを交流センター派は独自に考えよう。交流センター派は胸を張って職場に登場しよう。
  昨年は連合の産業報国会化の中で、教育現場に置いて「日の丸・君が代」不起立闘争が焦点化し、都立高校への2年連続の闘争が開始された。日本が戦争国家へと進む中、教育現場をめぐる攻防が起きているのだ。教育現場を国家権力に渡すのか、労働者が守るのかが問われる職場闘争として不起立闘争があった。この攻防は都高教指導部の屈服という中から、現場労働者が自己の存在をかけて闘いに立ち上がったのだ。つまり不起立闘争が階級的な攻防点になっているのだ。
  この階級的攻防点を労働運動的な闘争に転化する素地は十分あり、06年はまさにそこが問われている。不起立闘争の組織化と教育現場での交流センター建設が、06年の課題とも言える。
  不起立闘争を闘う教労における実践はまさに階級的な攻防点としてあるが、郵政職場の闘いも重要だ。「首をかけて闘う」交流センターの仲間がそこには存在しているのだ。全逓決戦を闘う仲間を支援・防衛しよう。また公務員へのリストラ攻撃は今後焦点化するだろう。総務省が「ながら条例」の実態調査を行い「162の自治体で不適切なものがあった」と公表しているのは当然理由があるのだ。つまり、どの産別も労働組合破壊を通じての攻撃となっていることを我々は強烈に自覚しなければならない。戦場は職場にあるのだ。
  われわれは組織の現実に踏まえしかし、大胆に撃ってでなければならない。時代は激動期であり「組織温存=保守化」したら吹き飛ばされてしまう。労働者階級はそんな組織を求めてもいない。この戦争と民営化の時代に立ち向かえる闘いと組織の建設が求められている。この革命の時代にわれわれは生きているのだ。帝国主義の腐敗と堕落が蔓延し、帝国主義戦争へと進もうとしている時代にわれわれはいるのだ。この時代に立ち向かえるのは交流センター派しかいない。
  以上の課題を全力で取り組むと同時に青年労働者の組織化が重要である。逆に言うと青年労働者を組織化しなければ闘い抜けないとも言える。もちろん、既存の組織を活性化させまた、課題を乗り越えて、組織が一丸となって闘いぬくことが基本である。組織対象を明確化し、闘争と組織化を一体のものにしよう。06春闘を交流センターが牽引しよう。

★辻川事務局長の提起を読んで  民間 佐藤浩一

  月刊交流センター新年号の提起は、辻川さんらしい、力強い立派なものです。
  特に、「経済闘争がたたかわれていない」「4大産別と民間を対立させる産別主義が交流センターにもある」等、具体的な課題に触れているところが重要と思いました。
  4大産別決戦を、民間・未組織・不安定雇用労働者を包摂する形では提起してこなかった問題がまず、あると思います。また、交流センター単独では、今、あらゆるところから職場闘争をはじめる力量と体制がないというのは現実だと思います。例えば、組合のない職場の経済闘争は孤立を余儀なくされるケースも多く、経済闘争から動員増へ、というには道のりがあります。
  現実に踏まえ、交流センターの在り方から問い直さなければ大きく変われないのではないでしょうか。
  様々な勢力との相手を認めた友誼ある共闘を目指すあり方に転換しなければ、経済闘争は本格的には再興されないと思います。「反対意見がでたら終わりという会議のあり方はスターリン主義的だ」というなら、その思想的根拠を抉らなければならないはずです。また、「討論による一致」というが、政策論争など一致しないこともあって当たり前です。不一致を留保し、共同実践の中で克服するという考え方が必要と思います。

★80兆円、自分たちのために使うぞ  全逓 神奈川 桜井隆夫

  「でも出ないんです。ごめんなさい」と言われても、そんなことは気にせずに今年も投稿します。
  「巨大マネーを生かそう」という朝日新聞の社説には、ちょっとカチンときた。
  「80兆円――……07年から11年までの5年間に退職する団塊の世代の人たちが受け取る退職金や年金総額をこうはじき出している」
  「自分の老後だけを心配して巨額の資金をため込むようだと、経済全体を冷え込ませかねない」
  冗談ではない、フザケルナ、ひっこんでいろといいたい。
  「自分の老後だけを心配して」なにが悪いというのだ。
  では国家が、企業が、県や市が、自分の老後を心配してくれるというのか。心配だけではなく助けてくれるというのか?
  小泉自公政権による「規制緩和」「官から民へ」「小さな政府」「公務員削減」「中央集権から地方分権」「増税」等の労働者に対する攻撃激化の中で、なによりも連合が発足してから20年になろうというのに、労働者にとって「屁のつっぱり」にもならない状況に労働組合がある中で、労働者が身一つで自分を守ってなにが悪いというのか。
  朝日社説は「80兆円を社会全体に回せ」と言う。回した80兆円が返ってくるというのか。「投資」はギャンブルである。
  80兆円をどう使うのか。労働者全体を助け合うために使おうではないか。なによりもここまで労働者を苦しめている相手を打ち倒すために、せめて1%を使おうではないか。私はあと4年で60です。
  最後に、原稿料ではなく、ボールペンを1本もらったことがあります。

 

編集後記

 今月号はトラブル続きで、発刊が遅れたことをおわびします。▼動労千葉・長田書記長にインタビューに行きました。誠実に、あたりまえの労働運動を闘っているという姿勢に感動しました。こちらは羽越線事故をハエツ線といって正体を暴露してしまいました。なんとしても第2、第3の動労千葉をつくりだしていきましょう。 (し)

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