2006年 5月号(No.194)目次
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労働者の目 ピケットラインを越えてはならない!

「闘いなくして安全なし」 4・24労働者集会で闘う労働組合が職場の安全闘争を交流
  ●尼崎、羽越線事故と反合・運転保安闘争
 ●規制緩和と航空機事故、有事法制と空の安全
 ●コンクリート建造物・生コンの安全性と大弾圧粉砕の闘い
 ●アスベスト災禍と闘う

指定管理者制度といかに闘うか

共謀罪審議入りを弾劾する!

やってられないぜ!  第10回 株式投資ブームを斬る

交流センター女性部第13回定期大会開催される

ひめじょおん−女性部から

労働者学習センターブックレットのご案内(下)

労働ニュース
  ●労働政策、公務員、春闘など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧裁判を傍聴して

読者のページ

労働者の目

●ピケットラインを越えてはならない!

       全国労働組合交流センター常任運営員  吉野 元久

 4月19日、東京地裁104号法廷で国労5・27臨大闘争弾圧事件第56回公判が開かれ、裁判官(右陪席)の交代に伴なう『更新手続き』が行われた。「裁かれるべきは国家権力と国労本部である」とする3被告(松崎、橘、富田)の堂々たる更新意見の後に、弁護団8弁護士から、およそ100ページを越える鋭くかつ力強い「更新意見書」が朗読された。
 冒頭、弁護団長である佐藤昭夫弁護士は、『本件起訴は団結自治に対する介入であり、許されない団結権侵害である』として、検察・警察による自主的組合運動つぶしの暴挙を全面的に弾劾した。「本件は政府・与党が国労執行部を取り込み、国家的不当労働行為に対する責任追及の闘いを阻止しようとした。そして警察・検察もそれと一体となって、反対する組合員の団結活動を妨害・抑圧した事件」であると断じた。
 団結行為は、最初どこの国でも「共謀罪」で処罰された。しかし労働運動の歴史は、この弾圧に対して激しい闘いと犠牲を重ねる実践の中から、ついに刑事罰からの解放を勝ち取り、労働者の連帯と自覚とそして「ピケットラインを越えない」という労働者のモラルを育てて行った。
 この労働者階級の育んだ「労働者モラル」を体現したのがコクロウ8だ。それ故に、国労本部が4党合意に屈し、3与党声明に膝を折って5・27臨大を開催し、鉄建公団訴訟に立ち上がった闘争団員らを除名処分しようとする裏切り行為に対して行った団結行動は、「団結権保障(憲法28条)と公平の観点から、当然にも容認されなければならない」と断じた。
 4月初めに、『奴隷の道を拒否せよ! 5・27事件と国鉄闘争』と題した『国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会』が編集した書籍が出版された。8被告の無実無罪を勝ち取り、何よりも国労の再生を願う『許さない会』発起人などの多彩な人士が、それぞれ思いの丈を綴っている。国労組合員の中に、この本をどれだけ広められたかが、公判闘争の勝負を決める。闘うぞ!

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●「闘いなくして安全なし」 4・24労働者集会で闘う労働組合が職場の安全闘争を交流

動労千葉の呼びかけた「民営化・規制緩和と闘う4・24労働者総決起集会」は、千葉市民会館地下ホールで380名を結集してかちとられた。
 3月の安全運転闘争に対する4月12日の不当処分の発令、4月6日には幕張車両センター構内で重大事故が発生、また集会当日、高田馬場駅付近で路盤が隆起して山手線が全線ストップする事故が発生するという緊迫した情勢下の集会となった。
 集会は、長田書記長の「尼崎事故を二度と起こさないという誓いを込めた闘いを展開する決意で集会を開催していきたい」という力強い開会挨拶で始まり、小倉執行委員が司会を担当した。
 来賓あいさつとして、千葉高教組「日の丸・君が代」対策委員会の教育労働者からは、処分を受け担任をはずされながらも不屈に闘う決意が表明された。動労千葉を支援する会の山本事務局長は、処分抗議のビラまき行動に6−7人の職制をさしむけるJR東の異常な対応を弾劾し、翌日の警笛闘争に呼応したビラまきやJR東本社にむけて新宿駅南口大街宣を行うと表明した。
 尼崎事故で3両目の列車にのっていて重傷を負った方、運輸労働者国際連帯委員会のS・ゼルツァー氏からのメッセージも紹介された。
 田中委員長の基調提起、続いて航空労組連・元副議長の村中哲也氏、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部執行委員の城野正浩氏、日本板硝子共闘労働組合・本部書記長の小貫幸男氏、ジャーナリストの安田浩一氏から特別報告をうけた。
 集会は、最後に動労千葉争議団、千葉運転区支部、幕張支部、乗務員分科会から決意表明をうけ、繁沢副委員長の閉会挨拶・団結ガンバローで締めくくられた。
 以下、田中委員長、村中氏、城野氏、小貫氏の報告の要旨を紹介する。

  ★「尼崎・羽越線事故と反合・運転保安闘争」 田中康宏(動労千葉委員長)

 4月12日、当局は、安全運転闘争に対して不当処分を強行した。戒告処分だから、ボーナス10%、昇給1号カットだ。明日の9時18分、尼崎事故が起きた時刻に、ささやかな行為だが、全乗務員による長緩汽笛をやる。これは、107名に対する追悼の汽笛ではなく、僕らの抗議の汽笛であり、闘いをこれからも継続する決意の汽笛だ。この方針を決めたとたんに、職場に警告書がだされ、明日、出勤点呼で「厳重に処分する」と警告し、職制を膨大に動員して運転士の監視のために添乗しよとしている。
 国労の保線区の仲間が処分されようとしている。週刊誌のインタビューに応じて「今の線路がボロボロだ」と現実をありのままに語ったことが、「勤務時間外に雑誌のインタビューに応じて会社の信用を傷つけた」と厳重注意だ。支援する会のビラまきに対しても「乗客に不安を与えるからただち中止せよ」と動労千葉に申し入れ書がきた。これがJRという僕らが働いている職場の現実だ。

 幕張構内事故―裁かれるべきはJR当局だ!

 4月6日に幕張の構内で大きな事故があった。入換信号機が開通していなかったが、洗車機のランプがついたのを見てつれ込まれたという私たちの組合員の運転士のミスだ。脱線して列車が傾き、洗車機を壊し、入庫してきた隣の車両にもぶっかって、会社は損害4億円と言っている。世間の非難は集中する。組合員の中からだって「なんでミスしたんだよ」と声があがる。会社は重処分を食らわそうとしている。こういうときこそ、労働組合に何ができるのかが、問われている。
 構内にはATSすらついていない。ATSがついたのは62年の三河島事故、構内は62年以前の、運転士の注意力だけで安全を保っている状況に置かれ続けてきた。昔は、入れ替え標識があって、列車を入替えするときには必ずもう一人誘導係がつき、旗を振り合図をして二人で入替えをやった。それが分割民営化でなくなった。これが、今回の事故を招いたのだ。
 動労千葉は、声を大にして、「裁かれるべきはJR当局だ」と訴える。本人には責任はない。重処分を絶対に許してはいけない。尼崎事故一周年、今回幕張で事故を起こした仲間を守りぬけるかどうかが問われている。
 船橋事故も、0号信号機という違法な信号機をつけていたという事故原因はあるが、運転士はミスはしている。だが、ここで団結を固めて闘えなければ、組合の団結は崩れる。今の国労、東労組、鉄産労の現状がそれを示してはいないか。動労千葉が、首をかけて分割・民営化を闘って、今も団結を保てている原点は、反合・運転保安闘争だ。

 業務の丸投げ外注化が事故の原因

 線路が隆起したという今日の事故についても一言したい。表には出されてないが、2月20日に新橋・浜松町間で線路下を工事していたときに線路が陥没する事故があった。本当は線路が隆起していて、初電までにつき固めをがんがんやってレベルにしたところ、走り始めたら線路が陥没した。まだ詳しく調べてないが、2月の事故とまったく同じだ。技術力が崩壊しているということだ。
 理由ははっきりしている。第二の分割・民営化で、業務のまる投げ的な外注化をした。外注化とは、熟練した労働者と技術力を放り捨てることだ。これは延々と続く。外注化された会社は、コストが合わないからさらに孫会社を作る。どんどん丸投げされて、労働条件、権利はなきに等しくなる。こんなことが20年間続けば、尼崎事故にいきつかないはずはない。尼崎事故と同じ危険は365日ずっとはらまれていて、運転士、検修、保線、みんな俺たちの必死の努力でぎりぎりのところで安全が保たれている。
 尼崎事故、羽越線事故、伯備線事故、続発するレール破断…これは個別の問題ではない。個別の問題とみると、それぞれ原因はちがう、こういう対策をすればいいというだけに終わってしまう。国鉄分割民営化という犯罪的な政策、規制緩和という犯罪的な政策の結果と見て、闘わなければいけない。
 僕らの闘いは、敵の一番痛いところをついた。この闘いが波紋を広げ、もっと広がることを敵は恐れている。処分が出されたが、運転保安確立むけた闘いをやめることはできない。

 反合・運転保安闘争路線の核心

 国鉄分割民営化が原因だと100回言っても何もはじまらない。根本的な問題は、分割民営化によって労働者の団結、労働組合がガタガタにされて、安全問題で労働組合がまったく闘わなくなったことだ。安全は労働組合の団結と闘いの問題だ。きょうあらためて、安全運転闘争をJR体制を突き崩すまで闘う決意を新たにしたい。
 安全問題では、みんなきれいごとをいう。「責任追及よりも原因究明」というのは、当局の責任は絶対追及しないということだ。国労が今度の中央委員会で掲げた「究極の安全をめざして、安全重視の企業文化をつくる」というスローガンは、実は、JR東が「ニューフロンティア2008」という大合理化計画で掲げたのと一字一句違わない。
 資本は、所詮利潤の追求が目的、莫大な金と人員を要し直接利潤を生まない安全を犠牲にするのは当たり前だ。「正常な労使関係なくして安全なし」という奴もいるが、そんなことで安全が守れた試しがあるのか。安全は資本に強制するものだということをはっきりさせたことが、僕らの反合・運転保安闘争の核心だ。
 もうひとつは、鉄道で働くものにとって事故とはなにかということだ。どの職場でもそうだが、高卒で就職して定年まで仕事をする中で、絶対に事故という問題に遭遇する。事故を起こせば、鉄道員は逮捕される。命を落し、乗客の命を奪うかもしれない。そうでなくても重処分。マスコミからは徹底的に実名入りで叩かれて、住んでるところに住めなくなる。
 僕らが72年船橋闘争で闘いを始めるまで、事故は労働組合の課題にならないというのが鉄道の常識だった。せいぜい共済で処分者を救済するだけ。だが、鉄道労働者にとって一番切実な問題は事故だ。労働組合がこの問題と真っ正面からむきあって闘えなくてなぜ団結が保てるのか。そういう問題だとみすえて闘いを始めた。
 毎日のように明け、休みで運転士が船橋署に駆け付けて、逮捕された運転士を3日間で奪い返した。何度も激しい遵法闘争を闘って職場にもどした。マスコミの「タルミ運転士」のオンパレードの中で、僕らは「裁かれるべきは国鉄当局だ、運転士への事故責任転嫁を許すな、合理化こそが原因だ」と言い切って闘った。

 新たな決断で、安全運転闘争の断固たる継続へ

 反合運転保安闘争の核心は、反合理化闘争だ。01年の完全民営化、第二の分割民営化からJR会社のあり方はガラッと変わった。「株主価値重視経営」と言い出して、鉄道会社としてのあり方を放棄した。東日本の筆頭株主は、海外の投資ファンド、JR東の株を買って金儲けをすればいいという奴が経営者なのだ。
 会社は、三つの経営戦略目標を掲げた。第一が「ステーションルネッサンス」。駅をショッピングモールにして、駅で金儲けする。第二が「ITを活用した新たなビシネスモデル」。スイカを電子マネーにして800万人に持たせる。第三が鉄道事業。この5年間で1万人の要員削減、人件費は850兆円へった。保線、電力、信号通信、土木、車両検修、駅車掌にいたるまで丸投げ的外注化が始まった。保線は01年12月にまる投げ外注化、3500名の労働者が一瞬に仕事を失って、強制出向で下請け会社に行った。
 東日本管内で、検修外注化を阻止しているのは千葉支社だけだ。年金支給年齢引上げで年金が満額出ないから再雇用されないと生活できない。雇用延長制度をつくり、その協約と業務の外注化を積極的に推進しますという条項をワンセットで飲めと迫った。東労組、国労、鉄産労は全部のんだ。動労千葉も悩んだ。毎年20人から30人の退職者が、この協約を結ばなければ、動労千葉の組合員というだけで60歳で再雇用先を奪われて首になる。だけど、こんなことを認めたら尼崎事故にいきつくと当時から深刻に感じていた。議論の末、この協約締結は拒否する決断をした。
 それから3年間、職場に行っては、退職される方とけんけんがくがくの議論をした。1年目2年目3年目、退職間際にして涙を流しながら脱退する人がいた。4年目から脱退者が出なくなった。検修職場が中心だから再雇用先に労働者を確保できなくなって、千葉だけ外注化が止まった。この闘いがあったから安全運転闘争も闘えた。
 労働組合は決断が大事だ。今回もまた新しい決断が問われている。こういう状況下でさらに闘いを継続する決断だ。

 反合・運転保安闘争と1047名闘争で労働運動の再生を

 労働組合の幹部はみんな腐ってる。労働運動を現場から立て直さなければいけない。安全問題はそれにつながる闘いだ。動労千葉の歴史自身がそうだ。船橋事故が起きた72年当時は、まだ御用派執行部だった。船橋闘争は、現場からつきあげて、つきあげて、地本の指令をおろさせて、現場がつくった闘争だ。この闘争に、組合員の圧倒的多数が「これこそが自分達のやりたかった闘いだ」といって結集したことが翌年執行部をひっくり返し、闘う執行部になった。労働組合の再生と反合・運転保安闘争は一体だった。
 小泉・奥田の民営化・規制緩和、弱肉強食の政策で労働者は同じ状況に置かれている。年収200万所帯が5所帯に2所帯、飯を食うこともできなくなっている。現象は違うが、JRの安全崩壊と同じ。だからこそ、何百通もメールがよせられた。「こういう労働組合があったことをうれしく思う」という内容だ。ものすごい支援の輪が広がっている。こういう闘いをやることが労働組合をもう一度再生する大きな意味をもっている。反合運転保安闘争と1047名の解雇撤回闘争を中心軸に闘う労働運動をつくっていこう。

 

  ★「規制緩和と航空機事故、有事法制と空の安全」  村中哲也

 JRの安全に社会の耳目がこれほど集まっている時期に、労働組合がどういう社会的役割を果たすべきなのか。50年の闘いの歴史的な実感として事故と労使関係にしぼってお話をしたい。
 1966年に私の勤めている全日空が3件の航空事故を起こした。2月4日、ジェット機が東京湾に墜落して133人の乗客・乗員全員が亡くなった。11月13日に松山の伊予灘にYS11が墜落して50人の乗客・乗員全員が亡くなった。その3日後に、その事故現場を捜索していた全日空のヘリコプターが大阪府警のヘリコプターと空中で接触して4人の従業員が亡くなった。3件の事故の責任をとらされる形で岡崎社長が更迭された。
 60年代のなかば、全日空労働組合が労資協調路線からから闘う路線へ転換した。このことを憎んだ労働組合の活動に日夜弾圧をかけた。そういう中で65年4月27日、全日空労組は昼休み、たった1時間だが初めてのストライキを打ち、翌日3役が解雇された。
 職場は荒れに荒れていた。事故が連続して、社長が更迭され、社内が大混乱する中で日本航空から派遣された新任の社長が68年に解雇を撤回する。それ以来、分裂をかけるとか組合つぶしの工作を繰り返すということはしなかった。だから事故は起こらなくなった。
 行政の責任も大きい。65年は、全日空三役解雇の前日、日本航空三役と情宣部長の4人の首を切るという事件が起きた。航空経営者の後ろで政府と財界が、航空における争議多発を抑えこむ方針で行われた弾圧だった。
 先輩たちは、航空局長と面会して企業に行政指導を要請したが、「君達は明日にでも事故が起こるというのかね」と席をたって聞いてもらえなかった。その3日後に事故は起きた。私たちは、こういう連中に安全をまかせられないという思いから、66年3月19日、労働組合の共闘組織として航空安全推進連絡会議を結成した。それ以来、航空の労働運動は安全闘争一色。それが私たちの闘いの誇りだ。だから私たちは、空の安全を脅かす軍事輸送や軍事利用に絶対反対することを曲げる訳にはいかない。
 もう一例紹介したい。82年2月9日に、日本航空のDC8が機長の逆噴射によって羽田沖滑走路までもう少しという所で墜落して24人の乗客が亡くなった。
 この機長は、訓練生時代から、弱い立場を悪用されて、乗員組合の方針を内通することを強要され続けていた。まじめな機長は、悩んで悩みすぎて、段々精神に障害をきたした。
 家族も友人たちもそのことに気が付いていたので会社に何度も乗務から下ろして療養させるべきだと進言した。事故前日にも、機長の異常な操作に驚いた航空機関士が、福岡のホテルから会社に電話を入れて機長を替えろと言った。会社はとりあげなかった。スパイさせていたことが露見することを恐れた。
 もうけ優先のためには、人の命や精神を蝕んでも平気というのが企業の実態だということを強く感じた。
 田中委員長の報告と決意を聞いて、まったく同じという思いを強くした。私たちも長年、空の動労と言われていた。JRでも航空でも、共通していることは、労働組合が闘っているときは、事故は起こしていないということだ。
 航空労働者の50年余りの労働運動の経験から言えることは、経営者にまかせて、行政の良心を信じて、安全を確立することはできない。労働者と労働組合が闘わなければ安全は確立できない。会社の合理化のお先棒をかつぐ御用路線は、人殺しの手伝いをするに等しい。この思いでこれからも闘い続けたい。同じ交通運輸労働者として、国民に対する責務を体を張って果たそうではありませんか。

 

  ★「コンクリート建造物・生コンの安全性と大弾圧粉砕の闘い」  城野正浩

 生コン業界において、われわれ連帯労働組合は、41年の歴史がある。構造的には一つも変わっていない。セメントメーカーが支配する生コン業界、大手建設業者による生コンの買いたたき、この狭間の産業であることは今も変わっていない。今でも「練り屋」とか「生コン屋」と呼ばれている。連帯労組としては、生コン産業として、きちっとした市民権を得るためにいろんな活動を展開している。
 JRの山陽新幹線のトンネル崩落事故は、すごく関連がある。なぜ事故がおきたかというと生コンの品質が著しく悪かったので、走行中の新幹線にコンクリートが落ちた。
 阪神淡路大震災でも、山陽新幹線の橋脚部分の崩壊など、コンクリート建造物の品質、建設会社の手抜き工事が判明している。コンクリートの中には木材とか発泡スチロール、空き缶、も品質に多大な影響があった。
中から空き缶、煙草の吸い殻が出てきた。私たち労働組合としては、こういうことは決して許せない。
 生コン業界は、価格競争に陥りやすい。中小零細企業がほとんどだから、一つの企業が価格を下げれば別の企業がなお下げる。当然品質は低下する。中には、セメントも抜いたり砂も抜いたり骨材も抜いたりしてやっていかなければならない。当然、労働コストも低下させられる。こういうこと自体が許せない。
 91年から94年まで、大阪府下の生コン業者40数社が倒産した。われわれの仲間がいる職場が倒産した。失業した仲間に対する救済措置として、組織内で日々雇用として働ける制度を以前から確立し、それで生活する形をとっている。こういう業界を正常化させるのは、やはりわれわれの労働組合しかない。
 その一つが産業政策で、関西地区生コン支部では、武委員長筆頭に産業政策を連日展開している。価格競争によるつぶしあいではなく、大企業と対等な取引ができる協同組合をつくることによって価格競争を抑止し、大資本との対等な取引を構築できるようになっている。
 05年は、業界再編が実現の年だった。協同組合に入っていないところが協同組合に加盟し、業界安定にむけて一丸でやっていくことを確認していた。これを気に入らない権力が、競争を抑止するようなことは認められないと弾圧してきた。
 忘れもしない05年1月13日、武委員長筆頭に4名の仲間が早朝不当逮捕された。1月13日に計30か所以上の家宅捜索を受けた。3月9日に武委員長ともう一人の役員が再逮捕、私ともう一人の執行委員が逮捕された。罪状は「強要未遂」「威力業務妨害」。「背任」といういかにもものすごい罪を犯しているように報道されたが、今は「背任」はどこかに消えている。
 第三弾の弾圧として、12月8日、近畿地本の戸田委員長(門真市議会議員)逮捕、武委員長が再々逮捕、会計さんと3人がまた不当逮捕された。05年において8名が不当逮捕され、7名が起訴勾留された。
 弾圧の目的は検事がきちっと報告してくれている。役員の一人は「1年間ぐらい中におってくれたらいいんや。武委員長は引退してもらう」と言われた。私に関しては事件のことは一切聞いてくれない。はじめに起訴ありきだったことが見えた。
 4月25日の事故は、拘置所でラジオで聞いて、すごく歯がゆい思いをした。規制緩和の犠牲者が出た。マスコミは一様に運転士の責任、JR西日本の責任をあげていたが、やはり効率優先の競争社会が原因だ。効率優先では安全・安心がなくなる。利用者は命を預けている。企業体質は、金儲け優先が前面に出ている。労働組合が監視役割を果たさなければならない。それには闘う労働組合が必要になってくる。資本側のいうことを聞くような労働組合は役割を果たせない。
 生コン業界に働く労働者の組織化、組織拡大に全力をあげて取り組んでいる。組織拡大が最大のテーマということも共通している。今後とも不当弾圧にともに闘っていくことを決意したい。

 

  ★「アスベスト災禍と闘う」  日本板硝子共闘労組

 昨年7月にアスベスト問題で会社と協定書を結んだ。アスベスト問題を闘うにあたって、組合員の方が何人もなくなっていく現実があった。アスベスト問題は「静かなる時限爆弾」。30〜40年後に発症するやっかいな病気で、アスベスト特有の病気が中皮腫だ。
 アスベストを板ガラスではどのように使っていたのか。ガラス工場は、1400〜1700度の窯の熱さで、周辺温度は80度の作業場で私たちの先輩は働いていた。アスベストでできた耐熱服、ズボン、頭巾、手袋を着け、アスベストのタオルで全面顔を覆う。これが78年頃までは会社のいう安全保護具だった。そういうふうに指導されて作業していた。
 01年の夏、川崎支部のOB組合員の高橋さんが、退職後65歳で医者から中皮腫といわれた。高橋さんは、組合に手紙をよこされ、こんな苦しみは二度と在籍者に味わせたくない、組合として取り組んでほしいという要請があった。労災認定にむけた取り組みの3か月後に亡くなられた。板硝子では、在籍社員が1名、退職者3名がアスベスト関連による中皮腫、肺がんで亡くなった。
 私たちは、04年の春闘で会社に@健康被害該当者への謝罪、A全事業所の過去30年間の使用実態の調査、B健康診断の実施、C企企業内補償のルールの確立を要求した。私たちは、社員だけでなく、退職者、パートさん、業者さん、板硝子で働くすべての労働者の問題だととらえてストライキ権を確立して会社と交渉してきた。
 アスベスト塵肺を見分けられる医者は、数少ない。
 千葉支社の組合員30数名、OBの方含めて、会社のとった塵肺のレントゲンを借りて神奈川の医者に見てもらった。会社ではなんも異常はないよと言われた組合員6名が、いやおかしいよと言われた。私たちは会社に、誤診する医者もたくさんいるということで、医者の選択の自由ということで交渉してきた。
 裁判に訴えてでもこの問題を徹底的に闘うと会社に表明して、2年近く闘争してきた結果として会社と協定書を結んだ。協定書の中身は、会社と労働組合の自主交渉において企業内補償を確立する、補償内容も全国でやっているいろんな裁判以上の内容で会社が回答してきた。医者の選択の自由も認めるし、医者にいくときは、会社の便宜供与でいってもらって結構です。退職者、パート、事業所の中で働いている業者の方立ちの健康診断も会社が負担して実施しますという協定書を結んだ。
 協定書ができたからといって運動がは終わったとは思っていない。板硝子の中では、30年以上前からアスベストを使って仕事をしていた多くの先輩たちが、これから中皮腫、肺がん等で亡くなる恐れが予想される。企業内補償ルールの中でかちとった補償金でアスベスト基金をつくった。この基金を元にして、アスベスト労災、塵肺の労災認定を勝ち取る運動を進めていきたい。
 声を大して訴えたいことは、企業で働いていた労働者を安全配慮義務違反ということで置き去りにしてきた会社の姿勢に対して、なんで労働組合が立ち上がらないのかということだ。
 私たち日本板硝子共闘労働組合は、非常に少数だ。私たちの組合は、79年に総評合化労連に加盟していた。当時、合化労連は、右翼的な労働運動の先兵だったが、会社は合化労連に加盟しているということだけに恐怖して、79年に労働組合を分裂させた。会社は、10年、20年すぎれば、この組合だってなくなるだろうと思ってたと思う。しかし、私たちは、闘いを通じて職場の仲間をふやした。パートさんも私たちの組合に入っている。OBで定年延長された組合員の方もいる。
 ここ数年、各事業所の支部では、20代30代の若い人達が突然組合事務所にきて「組合に入れて下さい」という現象もある。私たちが定年退職すればなくなるだろうとたかをくくっていた思うが、若い人達が共闘労働組合を継承して運動を発展させていく明るい芽が出てきた。動労の組合員のみなさんも、自信をもって今後とも頑張っていただきたい。今後とも一緒に頑張っていきたいと思います。

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●指定管理者制度といかに闘うか

 事業団職場の1年半にわたる攻防の報告

 事業団職場 木村直子

 小泉政権は、行革関連法案を衆院通過させた。公務員制度改革との闘いはいよいよ正念場を迎えようとしている。これに対して自治体労働者として、いかに闘っていくのか。民営化・規制緩和との闘いは、現場ではすでに激しい攻防に入っている。事業団職場では、指定管理者制度導入と、それに伴う賃金カットや非正規職員化を阻止する闘いを1年半に渡ってくりひろげて、攻撃を押し返してきた。そこでの闘いは非常に多くの教訓に満ち満ちている。執行委員会で先頭で闘っている木村直子さんにお話をうかがった。(聞き手・編集部)

 私たちの組合は、県の外郭団体の医療福祉関係の事業団の労働組合です。運営は社会福祉法人ですが、理事長をはじめ幹部職員、医師は県の派遣職員です。事業団の人事も財政も運営方針も、全部県の意向で決まります。
 職員の構成としては、事業団の職員と、県からの派遣職員と、それから現業部門ついては、さらに事業団がべつの民間会社に委託しているという二重委託の関係なんです。ですから、清掃部門、給食部門、電話の交換、ビル管理・職場保育所などは委託会社の職員です。職員の身分としてはいろいろな人がいるということです。

 当局が給与・退職金の大幅カットを1年前倒しで提案

 2年前に提案されてきた指定管理者制度というのは、これまで県が運営していた公的な施設を、公募によって民間を含めた指定管理者に移行する形の民営化方針です。
 私の県の場合は、外郭団体すべてに指定管理者制度を導入するということが2004年11月に県の方針として決められました。
 指定管理者制度導入は2006年4月からですが、1年前倒しにして2005年4月から、給与の20%の削減、退職金15%のカット、支出削減と収入増加を強めるような改革案が出されてきました。
 指定管理者制度で指定管理者に指定してもらうには実績をつくらなくてはいけない、今までは20億円くらい県からお金を出してもらっていたんだから、その半分の10億円でやれる実績を示して、確実に指定管理者になろうという方針が決まるわけです。
 しかし、ここは公的な機関であって、民間と違って不採算部門をやらなくてはなりませんから、黒字は無理で、当初から県が財政的に保障する形でオープンしました。
 県は大型の開発事業をやって、それで赤字財政になっているわけです。その責任をとらずに、外郭団体を県の直接運営からはずすという形で責任を押し付けようとしてきたわけです。

 説明会で当局提案に対する職員の批判が噴出した

 説明会では、賃金カットの提案に対して、職員からいろいろな批判が出ました。
 「民間と比較すると大変高い、民間はもっと安いと言うが、私たちは民間ができない仕事をやっている。だから、民間並の賃金ということは納得できない」
 「交通事故等による脳障害で社会復帰が困難な方に対する支援事業や森を散策してすごす森林療法のモデル事業をやってきた。公のところでないと、人や予算を配置してできない。だから全部、公的なところがモデル事業をやってきているではないか」。
 「利用者さんは、子どもから大人まで長い期間、利用するので、非正規職員が増えていったら、利用者さんの症状などの情報について知らない人が増えて、継続したかかわりができなくなってしまう」。
 「職員の処遇が県準拠という安心感があるから、こういう所で仕事をしてきたのに、民間と同じになってしまったら、何もメリットがないからやめてしまう人も増えるんではないか」。
 このように説明会で、いろいろな意見が出て、結局当局は最初の提案を下げてきました。
 賃金カットを20%から12%に下げて、退職金カットについては撤回する。それと能力給導入ということを言ってきたわけです。

 団結署名・団結集会・大衆団交で当局を追い詰める

 組合としては、説明会の後、指定管理者制度の学習会をやり、事業団と県とあわせて30回近く交渉を重ねました。
 交渉と同時に、利用者や家族とか地域の人に訴えようということで署名運動も始めます。
 職員の中でも相当危機感がありまして、団結署名を実施したところ、職員の過半数を超えました。
 実は、組合組織率が段々下がって5割を割っているんです。当局は、「あんたたちの意見は全職員の意見じゃないんだ」と言い始めていました。そういうことだったら、組合員だけではなくて全職員に署名を求めようということで、団結署名を集めたわけです。
 それと、職場の懇談会、職員アンケート、学習会をやって、2005年の1月中旬に団結集会を、100名くらいでやりました。県職労からも動員がありましたけれども、利用者のご家族の方がメッセージ寄せてくれました。
 それと、事業団交渉というのは事業団職員が傍聴するのです。
 県の担当課との交渉は、仕事が終ると同時に行くので大変です。県の方から事業団の方に来て下さいと交渉場所を変えて、県と事業団と交互に交渉するので、事業団職員も県担当課の言い分を聞く機会があり、傍聴も結構多く、傍聴者も会場から発言するんです。組合員全体、職員全体の運動と利用者さんの運動も加わって、なんとか押し返すことができたんです。
 こうして2005年4月からの賃金カットは、運動で阻止して、実施させませんでした。これはかなり大きかったです。

 民間コンサルタント会社に賃下げ案作成を依頼!?

 2005年4月を迎えて、事業団は、あらためて「指定管理者になるにはこれまでの賃金制度のままでは民間に勝てない。民間並みの賃金制度にするんだ」と言ってきました。民間の病院の賃金調査をして、示してきました。
 そこで組合から、民間の病院の事業内容がどうなのか、業務項目を各所属で上げさせて、「全然違うじゃないか」と追及しました。それで事業団側も困ってしまって、事業団独自に給与制度をつくれなくて、民間のコンサルタント会社に依頼するんですよ。800万円の予算で依頼するんです。
 組合から、再三、「提案しなさい」と言っても全然できない。結局、提案してきたのは年を越して今年の2月28日なんです。
 一カ月で組合と交渉して実施しようとしてきたわけです。
 無理ですよ。それは当然。
 結局、実施は再度困難になったわけです。ですから2006年4月からも、県準拠のままです。

 どこの民間業者も指定管理者の名乗りをあげなかった

 その間に、指定管理者を公募したんですけど、手を上げたところがどこもなかった。うちの事業団しか応じなかったわけです。
 組合は「何で公募にする必要があった。民間との競争なんか必要ない。このまま県準拠の給与でいけ」と交渉の際に主張しました。
 県は公募しても集まらないということを知っていたわけです。しかし、とにかく総人件費の抑制と非正規職員を増やすことが狙いですから、お金がないないと言いながら、民間のコンサルタント会社に800万円の予算をつけるのを県は容認したわけなんです。

 職員の間の分断をねらった8職種の新給料表案

 今回の賃金表で出てきているのは、成績給の導入と管理職を増やすことです。管理職とそうでない職員の分断をはかっていくことと、管理職になった場合、時間外手当は含まれませんから。時間外は全部管理職がやることになるんじゃないかってみんな言ってます。
 それから、今まで行政職、医療職、福祉職、現業職の4種類だった給料表に対して、8職種の給料表を導入するんです。
 職種によって賃金が違うというのはおかしいです。必要なお金は職種が違っても同じです。生活に必要な賃金は平等だと思う。
 職種ごとに給料表が違うと、職種ごとに分断される。福祉職を安い給料に置いて、医療職は資格があるから高く置く。看護師は経営に直接、積極的に参加させるから高く置く。看護師だって特別加算というのがある。本当に職員が分断されるような給料表になる。分断を絶対に許さない運動が大切。
 もうひとつ退職金制度の問題があります。退職金については県準拠から、退職金が激減する。特に40代の人たちが、今の退職金制度に比べたら5割ぐらいになってしまう制度になります。生活設計が崩されてしまうので、職員の反対がすごく多かった。それについては継続交渉になっています。
 さらに非正規職員を増やすという問題があります。
 前は3交代を全部看護師でやっていました。正規の看護師がやめて不足した分を非正規の保育士や介護員で埋めようとしています。
 5人夜勤は、今まで5人の看護士師でやっていたのを、4人の看護師と保育士です。しかも新卒の専門学校出てすぐの、肢体不自由児施設の経験のない保育士を夜勤で使うわけです。無茶ですよ。それを交渉で何度も言ったら、事業団は「研修はした」と言うんですが、実際は大変です。
 非正規職員は最長3年の雇用期間。3年で職員が変わってしまうんです。もう一方で指定管理期間は5年で、5年立ったらまたどこかが運営することになる。こんな不安定な職場でとても安心して仕事につくわけにいかなくて、それが医療ミスにつながることにもなります。
 そういうこともあって、非正規職員を増やすことに反対して、正規職員化を進め、安定した雇用を訴えています。

 利用者の命を守る民営化―人員削減との闘いの理念

 組合を最初作るときの理念というのは、私たちの労働条件を確保することと、それだけではなく、利用者がよりよい施設利用ができる人員配置や施設の設備を要求しようという2本立てです。
 動労千葉は乗務員が乗客の命を守るわけです。私たちは利用者の命を守らなくてはならない。人工呼吸器を着けたり、てんかん発作がある子どもさんとかいるわけですよ。そういうお子さんがいつ発作を起こすか分からない。24時間管理されているわけですから、十分な人がいて、安全でなければ死んでしまうわけですよ。実際、死亡事故が起きますから。
 昨年、尼崎事故が起きたでしょう。利用者さんは、鉄道だけの問題じゃない、民営化はみんなそうなるんだと思っています。今回の指定管理者制度導入に反対して、利用者さんは「人が削られたら、働く人が大変になって尼崎事故みたいなことが起きる。自分たちの子どもたちだって危ないんです」と駅前で宣伝しました。
 だから、民営化反対というのは、あくまで公的な責任で県民の医療・福祉をやるべきだという立場と公的な責任でやるんだったら、公的な責任でやるにふさわしい公務員に準じた、賃金と人員配置をしなさいというのが基本的な要求です。
 私たちの所にくる患者さんというのは、専門職員が多い、ベテラン職員が多い、そして、利用料金が安いから来るんです。県がやっているから安いんです。差額ベットはありませんし。何かあった時に、安心して、お金の心配なく受けられるところというのが公的な医療なわけです。
 それが、民間に任せたらできなくなります。民間はどこで黒字にしているかといったら、差額ベッドで一日八千円とか一万円とか取るとか、基本的な給食にプラスしてお金取るとか、そういうことをやるわけです。

 前哨戦の病院統廃合や日々雇用職員解雇攻撃との闘い

 私の県では、県立病院は県立でなくしていく方向です。私たちの事業団の指定管理者制度導入の3年前には、県立病院の統廃合の問題が起きています。
 「子ども病院」が廃止の対象になりましたが、組合支部がなかったので、私たちの組合が事務局になって、「子ども病院」を守ろうという運動を利用者と一緒にやりました。
 その前段では、98年に、私たちの事業団の日々雇用職員を全員、その年の3月末で解雇にするという話が出ました。
 日々雇用職員の人たちは長く勤めていて、正規職員と仲がすごくよくって、この人たちがやめたら業務ができないということで、解雇撤回闘争をやりました。
 今は日々雇用職員への問題だけど、これは非正規職員だけの問題ではなくて、正規職員にも波及してくる。ここでやらなかったら当局は組合の足元を見る。絶対に譲れないと闘いました。
 そのころ嘱託職員は組合に入っていなかったんですけど、組合に入ってもらって、一緒にやろうということで、解雇撤回闘争をやって、勝っちゃうんですね。
 そういう一つひとつの積み重ねがあって、指定管理者導入でもひとまず押し返すことができたと思っています。一人の勝利のためにみんなが闘うんだという、そういう気持ちを労働者はみんな持っているんです。
 あと、県や事業団との交渉を、組合員や職員が傍聴するのが大切だったと思います。執行部何人かだけの交渉ではなかった。
 それと利用者と一緒に運動する。「自分のことをよく知っている職員がやめてしまったら困る」という思いが利用者にはがすごくある。自分のことを継続してい知っていてほしい、見てほしいという思いがあるんです。
 利用者と家族の方が、署名活動や、利用者・家族への説明会を実現させたり、議会への働きかけ、県の担当者との懇談会など、本当に主体的に積極的に活動して下さいました。
 そういうことで、私たちの組合は、ごく当たり前の組合が当たり前のことをやってきて、特別なことはないんです。何かあったら組合に全部言ってきてもらって、それを交渉していく。問題が出れば、業務上、上司に言ったけれども、ぜひ組合でやってほしいとかね。
 これからの課題としては、嘱託職員、非正規職員、委託職員の組織化の問題があります。
 委託職員も私たちの組合の動向をよく見ています。日々雇用職員解雇撤回闘争の時に毎日ビラを出すと、守衛さんなどが「先にビラ下さい」と、取りに来ました。
 事業団の委託費が下がれば業者の委託費も下がるので、委託職員の人員が削減される問題も起きてくるわけです。
 そうした視点ももって組合員を拡大し、職場の団結を固めて、民営化、総人件費の削減、非正規職員化と闘って行きたいと思います。

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●共謀罪審議入りを弾劾する!

 ついに決戦の時はきた。4月18日(火)の衆議院法務委員会理事会において自公与党は、野党議員の抵抗を押し切って採決を強行し、衆議院法務委員会での共謀罪法案の審議再開を4月21日(金)に行うことを決定した。徹底的に弾劾する。さらに与党は、連休前の4月28日(金)にも採決することを策動している。現代の治安維持法である共謀罪新設策動への危機感と怒りをいまこそ全社会的に拡大しよう! 絶対廃案を掲げ、決戦方針を全力で貫いていこう!

 治安弾圧体制の強化を許すな

 歴史を画する弾圧がつぎつぎと起きている。3月14日法政大学において立て看板の撤去に抗議した29名の学生が逮捕される大弾圧が起きた。前代未聞の暴挙に支援と抗議の声が一挙に広がり、3月25日、全員の早期釈放を勝ち取った。だが、この逮捕弾圧は、大学から表現・言論の自由を一掃しようとするものであり、戦時下治安弾圧そのものである。さらに大学当局は釈放された学生への退学処分を策動している。さらなる決起で処分策動を粉砕しよう。
 すでに日本社会は2004年12月の自衛隊のイラク派兵をもって「戦時下」に突入している。治安弾圧も「戦時下」にあわせて質的に転換している。昨年の8・8解散―9・11総選挙の結果、小選挙区制のマジックもあり、小泉政権が大勝した。ここを一つの結節環としつつ、教育基本法改悪、国民投票法の制定、改憲が画策されるなか、時代は戦争への流れを一段と強めている。改憲、共謀罪新設―新「治安維持法」体制ともいうべき反動体制の強化との対決、闘いは労働者の重要な課題となっている。
 小泉政権の「改革」強行は、今日、すべての人民の生活を悪化させ、年間3万人を越える自殺者と社会全体の二極化を産み出している。社会保障(弱者)の切り捨てと、新貧困層の大量の創出は、米国ブッシュ政権による、2001年9・11以降の地球規模の新グローバリズムともいうべき「反テロ」戦争政策と連動している。
 90年代中期から一挙にかけられてきた治安弾圧攻撃は警察法改悪と警察国家化、多数の治安法、司法改革攻撃、具体的治安弾圧等、さまざま方向性がある。戦前、内務省のもとに組織された国家警察は、治安維持法と特高警察を頂点とする治安弾圧体制をつくり、あらゆる運動と組織を圧殺した。戦後、「天皇の警察」=内務省警察は解体されたが、60年安保、70年安保・沖縄闘争をへて警察の存在と役割は次第に強化されてきた。この積み重ねの上に90年代、警察の増強と質的転換が一挙に進行した。Nシステムの大幅増加が行われ、生活安全条例が東京都をはじめ全国約1500の自治体で制定され、監視カメラは全国の人が通過したり立ち寄ったりする場所に設置されて300万台を越えると推定されている。
 この間、組織的犯罪対策三法、改悪住民基本台帳法、団体規制法(第二破防法)が制定された。その後、テロ資金提供等処罰法(カンパ禁止法)、個人情報保護法、心神喪失等医療観察法(保安処分新法)、刑法改悪が制定された。今国会では、入管法改悪、受刑者処遇法(代用監獄法)改悪案、少年法改悪案、そして共謀罪の新設が画策されている。指紋押捺制度復活と退去強制事由新設を柱とする入管法改悪案は3月30日衆議院で採決され、攻防は参議院に移っている。代用監獄を固定化せんとする受刑者処遇法(代用監獄法)改悪案も4月14日衆議院で採決された。参議院での成立阻止のために全力で闘おう。
 また、司法改悪攻撃も強まっている。司法改悪の攻撃は法科大学院法、裁判迅速化法、裁判員法、刑事訴訟法の改悪、総合法律支援法などの制定としてかけられてきた。現在、裁判迅速化法の施行によって、裁判の拙速化が進んでいる。公判前整理手続きがどしどし適用されている。戦前、特高警察は人民の日常を監視し、戦争反対の声を上げる人民を治安維持法で投獄した。そして戦時司法は「簡易・迅速・重罰」を貫き国体維持・戦争遂行のために積極的な役割を果たした。一連の「簡易・迅速・重罰」を目指す司法改悪攻撃はこの道をふたたび歩もうとするものである。

 共謀罪5月決戦に決起しよう」

 こうした攻撃の今日的な焦点こそ、現代の治安維持法・共謀罪新設攻撃である。共謀罪は会話することを「犯罪」扱いし、人民の団結そのものを解体する「団結禁止法」「結社禁止法」であり、戦後の刑法体系そのものを覆すものであり、絶対に廃案にしなければならない。共謀罪は、昨年の通常国会で廃案、特別国会では継続審議となり、攻防は今通常国会に持ち越されていた。3月17日にも審議入り、といわれていたが、入管法改悪案、受刑者処遇法(代用監獄法)改悪案の審議が先に入った。政府・与党は修正案を民主党に提示し、必死になって切り崩しを行っていた。だが、政府・与党が民主党に示した修正案は、修正とは名ばかりのペテンである。対象を「組織犯罪集団に限定した」というが、政治団体、労働団体、市民団体、学生団体などへの適用を否定するものではない。「犯罪に実行に資する行為が行われた場合において」処罰するとしているが、共謀罪の危険性を減じるものではない。共謀罪の適用過程は、スパイ・盗聴・デッチ上げを不可避に伴うものであり、警察社会・管理社会をさらに進めるものとなる。
 小泉政権は、「戦争のできる国」への転換を急ピッチで進めている。国民投票法は改憲が前提であり、異議を唱える言論・活動を圧殺し改憲を短時間でなし遂げんとする法案である。これに4年以上の罪である619の罪が問える共謀罪が重なると労働団体、市民団体、報道機関の企画・相談の段階での弾圧が可能となる。排外主義、「反テロ」包括法制、有事法体制、報道管制の攻撃は、人民の団結の解体、翼賛化を軸に進められている。現代の治安維持法たる共謀罪は「戦時下の治安法」の要であり、治安弾圧の手法を極限的に拡大することを可能とするのである。
 共謀罪が衆院で審議入りするなか4月決戦が連続的に闘われた。4・21国会前ビラ撒き情宣、4・23銀座デモ、25〜27国会前座り込み・ハンスト、25日改憲と共謀罪に反対する集い、26日共謀罪に反対する大集会と連日の決起がはじまっている。
 5月過程は決戦中の決戦。ここでの攻防が一切を決する。共謀罪新設反対の動きは弁護士会、法律団体、表現者、市民団体、労働団体など、さらに広がっている。全国の単位弁護士の反対声明は9割を越えている。共謀罪新設反対国際共同署名運動は3万筆になろとしている。一つの労働組合が約1万5千筆集めたという報告もある。他の団体の署名もあわせると共謀罪反対の署名は23万筆を超える。さらに署名運動を拡大していこう。
 表現者は共謀罪ドラマを制作し、インターネットで配信している。国際共同署名運動が作成した「心に手錠はかけられない」パンフも広く浸透しはじめた。また、NGO・NPO団体も「共謀罪法案」に反対する共同声明を発し、広く賛同を求めている。「共謀罪を廃案へ!」の声を労働者のなかにさらに広げよう。

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●やってられないぜ! ―悪化する労働者の現状

 第10回 株式投資ブームを斬る

 株式投資ブームである。大型書店には株式情報満載のビジネス誌が何種類も並び、株式投資のハウツー本や投資で成功したサクセスストーリーが所狭しと平積みになっている。03年の夏以降、日本株は上昇に転じ、日経平均株価をみても大企業は空前の利益を出している。小泉自民党や金融資本は労働者がなけなしの賃金を株式投資にまわすことをあおっているが、「株価上昇」は独占資本が世界中の労働者を徹底的に収奪した結果である。賃下げと雇用破壊の穴埋めを株式投資でしろなんて、まったくの転倒で、やってられないぜ!

 日帝小泉のイラク参戦と歴史的上昇相場

 4月7日、日経平均株価は2000年7月以来5年9カ月ぶりに1万7500円台を回復し、終値で1万7563円の直近1年間の高値を更新した。売買高も連日10億株を大きく超え、80年代末期のバブル期を上回る大商いが続いている。
 今回の日本株上昇相場はイラク戦争開戦2カ月後の03年5月22・23日、アメリカのテキサス州クロフォードで行われた小泉・ブッシュの日米首脳会談で日米同盟の一層の強化、軍事同盟の一体化が確約されたのと機を一にして開始された。
 03年4月28日、日経平均株価は7607円で底打ちし、年内に1万円台を回復。その後、イラク戦争泥沼化による原油高止まりなどを背景にして、1万2000円前後でのもみ合いが続くが、04年末から再び上昇基調が鮮明になり、05年4月から始まった新年度相場では05年度(05年4月から06年3月末まで)の上昇率が46%にも達する歴史的大幅上昇となった。

 お手軽な小口株式投資ブーム

 こうした歴史的大相場を背景として株式投資ブームが起きている。今回の株式投資ブームは、「貯蓄から投資へ」の掛け声とともに、株式の配当やキャピタルゲインなど投資収益に対する優遇税制など政府と金融資本が一体となって推進していることを特徴としている。投資単位の引き下げや、株式分割の規制緩和など、わずかな資金でも投資できる環境をつくってきたことも小口の個人投資家のすそ野を広げる役割を果たしてきた。おまけにゼロ金利政策で預貯金金利をゼロ同然に据え置き、労働者の家計で少しでも余裕のある資金を投資へと誘導している。
 携帯電話やパソコンで株式を売買できるネット証券の口座数も急速に増えている。株式売買手数料の大幅引き下げ、投資単位引き下げと相まって、女性労働者や非正規雇用の若者も手軽に取引できるようになっている。日本経済新聞社がネット証券大手5社(松井、イートレード、マネックス、カブドットコム、楽天)に行ったアンケート調査によると、5社合計の口座数は約270万口座(05年末)と05年1年間で2倍以上の伸び、とくに新規の口座開設者は20歳代、30歳代が過半数だという。
 過去3年は歴史的な上昇相場だったことから、儲けた投資家もいるには違いないが、今年初めのライブドア・ショックで損失を被った投資家も多い。証券会社の誤発注で大儲けした無職の若い個人投資家や、デイトレードで億単位の儲けを出したフリーターなどの体験が礼賛され、労働よりも投資で稼ぐといったペテン的な幻想まで振りまかれている。
 株価上昇や配当の原資である利益は、資本が労働者を搾取して得た剰余価値を源泉としている。株式投資は労働者の搾取に根拠を置いているうえ、ギャンブルでもあって全投資家が平等に儲けることができるようなものではない。したがって労働者にとっては、目先の利益に夢中にさせ、自らが置かれている本質を見失わせ、個別な利害で分断し、団結を破壊させられるものだ。株価が上昇すれば労働者はむしろ収奪されるというのが資本主義社会であることを忘れてはならない。

 業績急回復を牽引した首切りと非正規雇用化」

 05年3月期決算は企業の業績回復が鮮明になった。株式を上場している大企業では、利益が前年比よりも大幅上昇する企業が続出した。この業績回復は景気回復による売上の増加などではない。
 表は05年、06年の上場企業の売り上げと純利益(税引き後利益)の例だが、たとえば05年3月期の場合、全産業の売上は前年比(04年3月期)5・8%に止まるのに対し、純益は43・6%もの大幅上昇になっている。06年3月期も売上が7・0%増なのに対し、純益は33・6%もの上昇になっている。
 売上の増加は日本の景気回復で増加しているわけではなく、中国、アメリカへの輸出増によるもので、日本の大多数の労働者の消費が回復したわけではない。売上の伸びが一桁台に留まっているのに対し、純益が激増しているのは、企業が大幅な人員削減と、非正規雇用化による人件費削減を極限的に推し進め、労働者の福祉や安全確保のためのコストを削った結果である。
 企業業績の回復に比例して、労働者の非正規雇用化が進む傍らで、正規雇用の労働者の間にも裁量労働制が拡大し、残業代削減で更に低賃金化が進行した。その結果、民間労働者の給与総額は10年前に比べて約10%減少している。
 周知のように製造業の多くは中国や東南アジア、北米に生産拠点を移し、日本の労働者よりもはるかに安い賃金で働かせている。日帝の独占資本は日本だけでなく、アジアや北米などの労働者からも収奪しつつ、巨大な利益を稼ぎだしているのである。

 戦争と労働者の生活破壊

 04年末に新防衛計画大綱が策定されて以降、米軍再編と相まって、軍需株が急上昇(三菱重工、三井造船、石川島播磨など)している。東証外国部上場の米軍需株、ボーイング株も大幅上昇していることや、NY市場でイラク戦争前後からの米軍需株の上昇を見れば軍需が株高をリードしていることが浮かび上がる。ボーイング社は95年に軍用機メーカー「マクドネル・ダグラス社」を大型M&Aで買収。空母艦載機や諜報監視システムで売り上げを伸ばしている。ヤフーファイナンス・アメリカ版でジェネラルダイナミクス(トマホークミサイル製造)、レイセオン(パトリオット製造)などの軍需株の株価の動きを見れば歴然としている。鉄鋼株の中でも住友金属工業は石油パイプライン需要で03年の安値37円(額面割れ)から500円台と十数倍に急騰。まさしく戦争相場とすら言いたくなる。
 株価の堅調によって日米経済がうまくいっていると見るのは、全くの誤りである。イラク人民の虐殺と、世界中の労働者の生活破壊のうえで、日米の帝国主義はかろうじて延命しているのであって、いずれ、崩壊的な破綻は不可避である。労働者は株式投資ではなく、団結と闘争で自らの生命と生活を守らなくてはならない! (雷太)

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■交流センター女性部第13回定期大会開催される

 交流センター女性部第13回定期大会が4月15日〜16日、千葉市内において開催されました。2日間の活発な討論によって、女性部の課題が明らかとなりました。女性労働者の組織化の具体的なたたかいが報告され、実践にむけた議論も深められました。

〈第1日〉
 長谷川女性部長、本部辻川事務局長からの挨拶を受けて、議案提起などの議事に入りました。
 「戦争国家化・改憲攻撃の中、女性労働者に対して一部エリート女性とその他という分断が進められています。こういう時代だからこそ、交流センター女性部は存在感のある運動を展開し、女性労働者の組織化に向かってがんばりましょう」(長谷川女性部長)
 「本日は、労働学校も開催されており、多数の若い労働者が参加しています。若者を労働組合に組織していこうとする時、何が大切か。組合活動歴が長くなってくると、ひとり一人の個別問題に対応するのが面倒になったり、感性が鈍くなってしまいがちです。若い労働者が職場のどこに不満を持っているのか、管理者のどういうところに怒りを感じているのか、どんな小さなことでも自分がきちんと向き合って、労働組合に対する信頼、そして一緒にたたかうという気持ちを持ってもらう。それが大事だと思う」(辻川事務局長)
 議案の提起に続いて、西村あやこさん(相模原市議会議員)に「改憲と米軍再編」をテーマに講演していただきました。
 いつもたたかいの場にいて、西村さんが反戦をたたかうのが当たり前のように思ってきましたが、たった一人で議員活動を婦人民主クラブ全国協の会員と共に反戦の運動を不屈に続けてきたことを話していただきました。現在の米軍再編問題の中、地元住民や周辺の市民すべてを巻き込むような基地強化反対のたたかいを作っています。たった一人でも信念を貫いて、議会での存在感を揺るぎないものにしていく様子は圧巻でした。西村さんの「ほんとうに戦争が準備されている今こそ、私たちが度胸をすえて自分たちの社会にしよう、世界を変えようという運動を本気になってやって行きましょう」という締めくくりの言葉がたたかう決意として発せられました。
 1日目の討議では、1日しか参加できない会員から発言をしてもらいました。

●非常勤の人たちの看護休暇を常勤と同じ5日間、有給で勝ち取った。他の区では合法的な手段で権利化したから無給であるのに対し、自分たちが有給で取れたのは、女性部のたたかいを日常的にたたかってきたから出来たこと。現在、産後6カ月で復帰した女性労働者の母乳を保存する冷蔵庫を要求している。小さいことかもしれないが、日常的な問題の解決も組合員と一緒にたたかうというスタンスで、仲間つくりを広げたい。(自治体労働者)
 冒頭の事務局長の提起にあった、労働者の小さな事でも一緒にたたかうということを実践している内容の発言であり、こういうところから11月集会の参加へとつながったのだと実感しました。今回の発言ではなかったのですが、ある市職の会員から、職場の暖房温度を下げる様に通達があったが、女性たちは皆、足元が寒いと訴えており、組合として足元の温度測定を行い、設定温度を決めさせたという報告を聞いたことがあります。女性はやることが徹底しています。

●地域の各「障害者」団体の人たちが、公務員ヘルパーを残す運動してくれている。自分はこの「障害者」運動の人たちとの行動を組合に申し入れしているが、自治労連は取り組まない。利用者と共同のたたかいを作りたい。(公務員ヘルパー)

●母親が要介護となっている。介護保険の改悪でヘルパーさんが家事の助言は出来るが手を出してはいけない、老人に筋力トレーニングの強制など、現場は大混乱となっている。良心的なケアーマネジャー、ヘルパーは仕事を続けられない。誰も喜ばないこの介護保険の改悪、この怒りをどうしたよいのか。医療・福祉部会でたたかいを組んで貰えないか。(親を介護している労働者)

●医療制度の改悪で4月からリハビリが6カ月超えると保険が適用されなくなった。脳卒中などリハビリを続けることで身体の維持が出来ているのに、患者を無視した医療政策である。また、診療報酬改悪で小規模病院は成り立たない状況に来ている。療養病棟は儲からないため(慢性の疾患などは、病名によって診療費が固定)、中小の医療施設では、療養病棟の閉鎖や縮小が行われている。私の働く病院も療養病棟の閉鎖計画があり、看護師長や労働者、利用者が委員会を作って計画を止めるたたかいを行った。「働く人が大変な病院では患者も良い医療を受けられない」と患者が言っている。(医療労働者)
 この他にも医療・福祉の労働者から次々と現場の状況が怒りと共に報告された。
 質問・提案として、女性部として憲法24条・男女共同参画の問題について強調すべきでは、非正規労働者の組織化が今一つうまくいかない、どういう方法がよいのか、などが出されました。
 夕食・交流会では、関西の非正規労働者の会員から職場の仲間と組合を立ち上げた奮闘を語ってもらいました。大変な盛り上がりとなりました。
 正規労働者の組合に非正規労働者を組織する場合、格差の是正に正規労働者が熱心でないこと、正規への登用を望まない非正規職がいること、雇用の確保を保障することが前提であればまずよしとする傾向など、組織する上での問題点も話され、関西トランスポート分会のたたかい、韓国民主労総の非正規労働者組織化から学んでいくことが大切ということが出されました。宿舎に帰ってからの交流会も自己紹介で2時間以上かかるという盛況でした。

〈第2日〉
 大会初参加の会員からの発言で2日目の討論ははじまりました。1日目に参加できなかった福祉労働者から、介護保険に対する利用者の怒りが報告され、医療の労働者からは、「医療・福祉部会の例会を充実したり、たたかいを組織しなくては。労働者全体の問題なのだから、大きなたたかいとなるし、しなくては。」との意見が出ました。
 東京の教育労働者から、「日の丸・君が代」不起立闘争、杉並の「つくる会」採択不正を暴くたたかいがこれからという報告がありました。関西の教育労働者からは、卒業式の保護者や子供たちの様子が話されました。また、3・8国際婦人デー行動の取り組みや、学習会など地区での女性部活動の報告がありました。さらに指定管理者制度導入とたたかう自治体労働者、電機連合傘下の労働者、法人の労働者など発言が続き、時間がなくて話し足りない会員が出てしまいました。
 交流センター中野代表が、「昨日の労働学校にJR、全逓、教労をはじめ青年労働者がこれまでを超えて参加してきている。嬉しい悲鳴だ。これまではこうした運動はジリ貧になっていく。経験的にもそうだ。しかし、今回は違う。世の中が変化し始めたということだ。たたかいの胎動だ」と、06年から07年の情勢、4大産別のたたかいををかたり、「交流センター運動はランク・ファイル運動である。若い女性労働者がどんどん入ってくる魅力ある女性部を!」と締めくくりました。
 最後に、大野事務局長が、2日間を通して延べ31人の発言があり、討論を通してみえてきた課題や提案については、「女性部通信」『うでまくり』で女性部会員に知らせると共に、常任運営委員会などで具体化を計ることをまとめとし、役員体制を全体で選出し大会は終了しました。

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ひめじょおん−女性部から

 少子化は誰が生み出しているのか―資本のいいなりにはならない女性労働者の登場こそ

 女性部事務局長 大野 由美子

 今春闘では、電機、鉄鋼、造船などの大手企業で、育児・介護支援策に応じた。いま、政府、自治体、労働組合などが、一斉に少子化・育児支援対策を打ち出している。背景には、少子化による人口純減と急速な高齢化、加えて、07年から始まる団塊の世代の大量定年退職問題がある。
 出生率(一人の女性が生涯に子どもを生む数)は、74年に2・1人を割って以降下がり続け、90年の「1・57ショック」で、さまざまな施策がとられたものの効果はなく、05年には1・26人と過去最低となった。昨年11月には、生まれてくる子どもの数が亡くなった人の数を下回るという人口減少がついに始まった。これまで政府は、育児休業法やエンゼルプラン、児童手当の拡大などさまざまな少子化対策を打ち出したが、一向に歯止めはかからない。
 また、晩婚化・晩産化・非婚化も増えている。25〜29歳の女性の未婚率は00年には全体の半数を超える(54%)。平均初婚年齢は27・8歳(04年)だ。自然、最初の子どもを出産する年齢も上がってくる。非婚の割合も90年代から上がり始め、00年には6%近くとなっている。
 この出生率の低下は、「女性の無言の逆襲だ」という説もあるほど、怒りの声は社会の奥底に渦巻いている。周りにいる女性労働者の声は率直だ。「少子化対策とかいってるけど、わかってないよね。だってこれじゃやってけるわけないじゃない」。

 見えてくるのは「格差」「二極化」―小泉・奥田路線の結果だ

 「新時代の日本的経営」が出されてから10年、非正規雇用の労働者は倍に増え、賃金も半減している。将来の収入や仕事に不安を抱える人が増えた。すさまじい勢いで生活破壊、賃金破壊が押しすすめられ、「格差社会」という言葉が聞かれるようになった。その影響を一番受けているのが女性労働者だ。一方で社会保障は薄くなり、税金や健康保険料、年金などの徴収は上がるばかり。また、労働者を保護する法律も改悪され続けている。今や自分一人が生活していくこと自身が不安定であり、ましてや結婚など、となっている。「男女共同参画」、「育児支援」といいながら、現実には、出産する7割の女性労働者が職場を去っている。ひところ話題となった「パラサイト」と呼ばれる、親の家に住み続けて働く未婚の労働者が増えているのは、家賃や食費を払ってやっていけるだけの賃金も労働条件もないからだ。「フリーター」「ニート」、言葉は変われど、同じ背景がある。
 かつてエンゲルスが『イギリスにおける労働者階級の状態』という著作のなかで、自己と家族を再生産することもできない劣悪な状態におかれた労働者の実態を暴いたが、いまや日本の労働者の状態も急速にそこに向かっているといわなければならない。雇用破壊を狙う新たな雇用法(CPE)を実力で撤回させたフランスの労働者・学生たちは、「これが通れば日本のようになってしまう」と叫んだ。
 「第2次男女共同参画基本計画」案では、「ワーク・ライフ・バランスの実現」を打ち出し、連合もその推進を叫んでいるが、元々これは日本経団連が「柔軟な働き方」として提唱したものだ。狙いは、女性の企業への、そして戦時体制への総力動員であり、安価な労働力としての活用だ。
 この現状を変えていくには、まず職場の現状を変えていくことからしか始まらない。育休制度があっても、実際は取得すること自身、そもそも年休をとること自身が闘いであったりする。それには職場の仲間の力を束ね、職場の雰囲気を変え、声を上げていくことから始まる。そうした力をもって初めて資本に対抗し、強制していくことができる。資本のいいなりにはならない女性労働者たちの登場こそ、こうした状況への回答だ。

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●労働者学習センターブックレットのご案内(下)

■「ILWU物語」  ¥600
 ILWU(国際港湾倉庫労働組合)の運動史。ランク&ファイル(現場労働者)の生の声が労働者魂を揺さぶる。
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■「俺たちは鉄路に生きる2」 中野 洋  2003年9月発行  ¥1500(英語版 ¥1200)
 動労千葉は、反合理化闘争と運転保安闘争を結合し70年代から闘い続けてきた。動労千葉の階級的労働運動の原点を、闘う労働運動の実践を志す全ての人々に伝える必読の書。
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■「教育労働者の戦争協力拒否宣言―闘う日教組の再生のために」 鈴木一久・二本柳実・松田勲共著 2004年8月発行 ¥1500
 闘う教育労働者が、「日の丸・君が代」不起立―教育基本法改悪阻止闘争への決起を呼びかける。日教組運動史の記述も圧巻。
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■「郵政民営化を撃つ!」 岩本正治・中野洋共著  2005年5月発行  ¥1000
 郵政民営化論議には労働者という主語が欠落している! 全逓労働者が郵政民営化絶対反対を呼びかける。全逓運動史年表や法案など巻末資料も豊富。
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■「戦争と労働運動」 伊藤 晃  2005年9月発行  ¥1500
 労働運動が戦争への対抗勢力になる条件がどこにあったか、それを現実に転化する努力がどう展開されたか、されなかったかを考える。当時の貴重な写真も労働者の闘いの歴史を生き生きと伝える。

  ★動労千葉出版物

■『動労千葉』 23(03年)〜26(06年) ¥600
 毎年はじめに出される動労千葉の機関誌。現下の情勢の核心と、労働者の闘う方針を鮮明に打ち出す。
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■「戦後労働運動の軌跡と国鉄労働運動」 中野 洋 2000年発行 ¥1800
 戦後労働運動総体の総括を、国鉄闘争を軸に論じた一冊。
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■「鉄路に生きる!―動労千葉20年の軌跡」 1999年発行 ¥1400
 組合員の言葉と豊富な写真が動労千葉の闘いを今に伝える。

※各冊子は10冊以上まとめると

 ¥500→¥400
 ¥400→¥350
 ¥300→¥250
 ¥600→¥500
 ¥1000→¥800
 ¥1500→¥1200

ご注文は労働者学習センターまで 

労働者学習センター
  〒260-0017  千葉市中央区要町2-8   DC会館 動労千葉内
               Tel. 043(222)7207   Fax. 043(224)7197
               E-MAIL: doro-chiba@doro-chiba.org

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●労働ニュース(06年3月16日〜4月15日)

「我が国と郷土を愛する」
 自民・公明両党の教育基本法改正に関する与党検討委員会は12日、最大のハードルとなっていた「愛国心」の表現について「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」とすることで合意した。これを受け、政府・与党は今国会への提案にむけた調整を急ぐ。

「労働契約法」制定と労働時間見直し議論開始
 労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働条件分科会は11日、労使間で労働条件を決める際の基本ルールとなる「労働契約法」の制定と現行の労働時間制度の見直しに向けて、本格的な議論を始めた。企業の社員が自らの労働時間を自分の都合に合わせてほぼ自由に設定できる新制度などを検討する。労働組合側は労働時間制度の見直しに「働き過ぎをあおる」と反発しており、議論が難航する恐れもある。

労働審判制4月スタート
 解雇や賃金未払いなど会社と労働者個人の間で生じたトラブルを全国の地方裁判所で迅速な解決を図る労働審判制度が4月1日からスタートする。労働審判制度のカギを握る労働審判員は最高裁が2月、全国で997人を(女性48人)を任命(任期2年)した。平均年齢は59・6歳。

国の借金813兆円
 財務省は24日、国債や借入金など国の借金の残高が05年末に初めて800兆円を突破したと発表した。社会保障や公共事業など政策経費の不足分を埋める普通国債と、政府系金融機関などに資金を供給するための財投債が増え続けている。

官の労働基本権巡り5月始動
 政府と連合の代表が20日、都内で協議し、国家公務員に労働基本権を付与する場合の範囲を検討する協議会を5月に発足させることで合意した。

地方公務員5・3%純減へ
 総務省は10日、都道府県と政令指定都市が策定した職員削減目標の集計結果を公表した。全体で2010年までに5・3%(05年4月比)純減する見込みで、政府が今国会に提出した行政改革推進法で示した4・6%の目標を上回った。

地域の民間並みに
 総務省の「地方公務員の給与のあり方に 関する研究会」(座長・塩野宏東大名誉教授)は27日、地方公務員の給与について、国家公務員に対する人事院勧告に準じて決める現在の考え方を見直し、各地域の民間企業の給与実態に合わせるよう提案する報告書をまとめた。

人件費5%削減徹底
 政府は独立行政法人と国立大学法人に対し、06年度からの5年間で「5%以上の職員数または人件費の削減」を達成するよう義務づける。未達の場合には運営交付金の削減などペナルティーを与える。

職員数1割強削減
 東京都江戸川区は10年度にかけて取り組む行財政改革推進プランをまとめた。10年度の職員数を3790人と、05年度に比べて12%(520人)削減する。

賃上げ率1・55%に上昇
 日本経済新聞社は4日、06年の賃金動向について主要企業の速報結果をまとめた。賃上げ率(月例給与の上昇率)は回答を得た55社の平均で1・55%と前年を0・14p上回った。

中小賃上げ前年実績を325円上回る
 連合は24日、共通賃上げ目標と集中回答日を設定した中小企業の賃上げ交渉結果を公表した。平均賃上げ額は5067円、賃上げ率は1・96%で前年実績を金額で325円、率で0・12p上回った。

パート賃上げ消えない不安
 連合は31日、今回から初めて統一の賃上げ要求を実施したパート社員の労使交渉の結果を公表した。30日時点で経営側から回答を受けた97組合の平均で、時間給の賃上げ額は12・8円だった。

賃金交渉も「職種別」
 企業の業績差を反映し、今春闘では横並びの賃上げ要求の難しさが浮き彫りになった。これを受けて、電機連合が職種別賃金での春闘に動き出す。春闘での苦戦が引き金だが、成果主義の浸透で職種ごとに賃金体系を変える企業は増えており、春闘の賃上げ交渉の新たな潮流になる可能性もある。

教員の挙手、採決禁止
 東京都教育庁は13日、職員会議で教職員による「挙手」や「採決」を行ってはならないとする通知を都立高校など263校の都立学校長に出した。校長の意思を貫徹させた学校運営が狙い。

教科書売り込み規制緩和
 公正取引委員会は16日、教科書の採択に絡んで出版社が教育委員関係者らに行う営業活動を強く規制した「特殊指定」を廃止する方針発表した。商習慣の範囲での贈答や接待、出版社が採択関係者に説明会を開いたりすることが大幅に自由化され、大手出版社が競争で有利になる。

社会は政府見解を重視05年度検定
 社会科では、イラクへの自衛隊派遣や小泉首相の靖国神社参拝をめぐる判決などに、政府見解に沿う記述を求める意見が目立った。

非常勤先生が急増
 非常勤の先生が各地の小中学校で増えている。文部科学省の調査によると、2年間で少なくとも1・4倍に増えた。財政難の下、少人数や習熟度別指導を広げるために、都道府県や市町村が雇っている。

「奉仕」体験活動が柱
 東京都立高校生のボランティア活動を07年度から「奉仕」として必修教科とする都は、教科の内容をほぼ固めた。履修は最低でも35時間とし、うち半分は高齢者や障害者の施設などでの体験活動に充てるのが柱。

介護保険料 4000円超、27都府県に
 65歳以上が納める介護保険料(月額基準額平均)が4月から、東京、大阪など27都府県で4千円を超えたことが日本経済新聞の調査でわかった。前回改訂時(03年度)の3県から急増した。

治療代未払い急増
 都道府県と政令指定都市が運営する全国248の公立病院で、患者から支払われていない治療代(未収金)が昨年3月末で1病院あたり、約3300万円上っていることが分かった。

改革のひずみくっきり
 デフレにあえいでいた次期に誕生した小泉政権は、景気が回復軌道に乗るまでさまざまな事態に直面したが各種データを分析すると随所に「格差」が生じている。

 労働日誌(06年 3月〜4月)

3月24日
 任期付きで国立研究施設に採用され13回の更新をくり返した非常勤職員が14回目に再任を拒否されたのは不当だとして、国(現在は民間法人)を相手に職員としての地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟で、東京地裁の山口均裁判官は、職員側の主張を全面的に認める判決を言い渡した。
3月24日
 トヨタ自動車の奥田碩会長は名古屋市内で講演し、社会的な格差について「社会の活性化につながる限り否定されるべきでない」と述べた。
3月25日
 正社員と非正社員の月給の差が、男性12・7万円、女性は7万円にのぼったことが、厚生労働省の05年賃金構造基本統計で分かった。
3月29日
 国際労働機関(ILO)は理事会で、日本の公務員に争議権(スト権)や団体交渉権など労働基本権を与えるべきだとする日本政府への勧告を採択した。
3月31日
 総務省が発表した2月の完全失業率は、前月より0・4p改善し、4・1%となった。7年7カ月ぶりの水準で、0・4pの改善幅は53年に統計を取り始めてから最も大きかった。厚生労働省が発表した2月の有効求人倍率も、前月より0・01p高い1・04倍となり3カ月連続で1倍台。
3月31日
 日本航空は、経営再建策の一環として4月からの基本賃金の減額を各労働組合に通告した。一般職は8%削減する。
3月31日
 都教育委員会は、今春の卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったなどとして、公立学校の教員33人を懲戒処分したと発表した。停職2人、減給10人、戒告21人。
4月4日
 15歳以上の女性人口のうち仕事をしている人と職探しをしている人の数を合わせた労働力人口の割合(労働力率)が05年は48・4%(前年比0・1p増)となり、8年ぶりに上昇に転じたことが厚生労働省の「働く女性の実情」(女性労働白書)で分かった。

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●「ビラの受け取り拒否が原因」が「厳罰を求める」に吉田書記長と菊池検事が「被害者」を作り出した

  国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

 相次ぐJR大事故の原因を抹殺する検事

 国労5・27臨大闘争弾圧の第55回裁判が、3月29日に東京地裁104号法廷で開かれた。裁判の冒頭で富田被告が伯備線事故について意見を述べようとすると、検事は「事故問題は何度もやった。必要ない」と反対した。これまでも富田被告は、「尼崎、羽越線、伯備線と連続する大事故の原因は国労解体・現場の団結破壊にある、この弾圧も事故の一因だ」と弾劾してきた。検事の「また事故か」という反論は、現場労働者の叫びを足蹴にする暴論だ。弾劾されたのは検事だという自覚もない。権力・資本の言う「事故撲滅」がウソであることの証拠だ。検事の反対は今回も徒労となり、富田被告が陳述した。一部を紹介する。

 闘わなければ命まで奪われる現実

 「1月24日の伯備線事故で死亡した3名のうちの1名は国労組合員で、彼は進来して来る列車の逆方向の見張りをしていて、後ろからきた特急「やくも9号」の先頭車両の下に挟まれ死亡しました。上下両方向に各1名ずつ最低2名の列車見張員を配置していれば、十分退避できていたはずです。
 JR西日本は、地方ローカル線切り捨てのために「鉄道部」と称して、列車見張員さえ満足に配置できない徹底した要員合理化を強行してきたからです。また国労は、1969年2月13日の(今回と同じ)伯備線の6名触車死亡事故以来、「単線区間における上下両方向見張体制」を一貫して要求し、当時の国鉄当局に強制してきました。しかし、国鉄分割・民営化以降、その協定も破棄され、「列車進来方向のみの一人体制」にされてしまったからです。
 JR東日本でも分割民営化以降、保線や電力の労働者が、「触車・感電・墜落」などの事故で既に300名以上が死亡していっています。JR資本は一体何人の保線労働者を、車輪とレールに切り刻ませ、「線路のサビ」として生け贄にすれば済むのでしょうか。組合員はJR西日本によって殺された、という他ありません」。
 なお、伯備線事故の後の2月4日23時30分後に、列車指令が最終列車通過を現場に伝達し作業を開始しようとした時、回送列車が通過する事故が起きたが、JR西日本が隠蔽していた事が報道された。死亡事故寸前であり、線路内作業の指示を列車指令が行っている構造的欠陥は明らかだ。動労千葉と連帯した安全輸送確保の闘いは急務である。
 今回は弁護側の3回目の反対尋問だが、黒執証人は結論で「被告が組合員であろうと厳罰を」と言うが、他方「4党合意にはには反対した」(53回)、「7・1が闘争団の決起だと知っていたら、(被告に対する)認識は変わっていた」、(54回)「(被害届けの相手が)国労組合員だということを、『なぜ、教えてくれなかったのか』と抗議した」(54回)」と証言している。

 池田のビラ受け取り拒否は一致した証言

 今回は「池田事件」(3列縦隊で出てくる前に池田とのいざこざがあったとするに検事の作り話)も、「池田さんがチラシを受けとらなかった事が原因」「受け取っていたらこういう行為にはならなかった」と明確に証言した。
 黒執証人の「池田事件」を目撃したとの証言は、松崎被告が座っていた事実などを証明しているビデオ映像との矛盾、暴行の場所、対応など、矛盾に満ちている。そもそも「池田事件」は、検事が支援者を含めて全員を共謀でくくるため、被害者でもない池田を(起訴状に無い)冒頭陳述段階で持ち出してきたものである。作り話ゆえに、池田とその目撃者(浅川と黒執証人)の証言は大きく食い違っている。一例を上げれば、池田、浅川が「ホテルの通路で起きた」と証言したのに、黒執は「歩道で」と言い歩道の真ん中あたりを図示した。食い違いははなはだしい。
 だが、3人ともピタリと一致している証言がある。それは、浅川、黒執がホテルを出て行く際、ビラを受け取り何事も無く出て行った事、池田はビラを受け取らず橘被告を押しさらにかき分けようとして押し返され、ホテルの方に帰っていった事実である。これは、見事に一致している。
 この日のビラまきは、駅前でのビラまきとは違う。国労の臨時大会の当日に組合員が配るビラである。ましてやこの日の臨大は国労の生死がかかっていた。「大会らしい雰囲気」(被害者の警察調書)である。浅川も黒執も当然にも受け取り、そのまま歩道で喫煙などしていた。それを池田は明確に拒否したのだ。この行為が事の始まりである。
 その後本体は酒田委員長、笹原事務長、鈴木執行委員らの指示で3列縦隊を組み、ビラを跳ね上げ(笹原)、「そこをどきなよ」と叫びながら(江田東京地本執行委員)突破していったのはすでに明らかになっている。

 「後戻り出来なく」した吉田書記長と菊池検事の罠

 黒執証言には上記の様な国労組合員の「におい」を残す証言もあるが、結論は「被告を厳罰に」である。彼はその「間」をどう埋めたのか。すでに「自分を納得させた」と感情を述べていたが、今回、具体的に証言した。(以下、55回証言)
 黒執証人にとって、一番「心が痛んだ」のは「仲間を警察に売ったと悪く言われる」(55回)事だったようだ。彼は「逮捕前に菊池検事に『まさか組合員はいないだろう』と聞いたが、答えは無かった」と、また逮捕後に「吉田書記長に『組合員がいると知っていたのか』と電話で抗議した(が吉田は)断言しなかった。お茶を濁された」と弁解的な証言をした後、要約以下を述べた。
 「暴行はあった、謝罪は無い、被害届けは出した、(組合員だと知らなかったとはいえ)逮捕もされた」、だから「後戻りは出来ない。孤独感はあったが覚悟した」
 この証言は、組合員が菊池検事と吉田書記長の罠に陥り、もがいても突き落とされ、ついに「厳罰を求める」と言い切る過程(地獄に落とされる)が手に取る様に分かる。勿論本人は許せない。しかし同時に、罠をかけた吉田と「長野詣でし、動揺する証人を立て直した」と被告の取り調べでうそぶいた検事の犯罪的役割が見過ごせるだろうか。
 国家権力(警視庁公安部と東京地検)と、国労本部派が癒着・一体化して「被害」(被害意識と被害者)を作り出した政治的弾圧事件――この事件の核心はますます実証されている。黒執証人の口から「菊池検事」の名が出た時の公判検事の顔は引きつっていた。
 国鉄1047名闘争は鉄建公団訴訟と本件の闘いを推進軸に、国労本部を打倒し国家犯罪(不当労働行為と刑事弾圧)を暴く事で勝利に進む。その現実的な最大の近道は国労本部打倒である。

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読者のページ

★自治体労働運動破壊を許さない! 大阪市職・市労連の労働者は反撃を開始した   大阪市職 赤井友昭

違法行為をして組合つぶしを狙う当局に負けてたまるか

○組合費の使途に不明な点があると聞いたことがあるか
○組合や管理職からの依頼で、特定団体への寄付やイベントへの参加を職員に要請したことがあるか
○組合の依頼で職員が選挙運動を手伝った事実が職場にあるか

 これは、昨年11月29日に配布された大阪市福利厚生制度等改革委員会(委員長 黒田昌志・大阪ガス取締役)が労働組合の活動内容・組合自治など組合の内部問題について組合関係者と当局の労使交渉担当者など約350人を対象に始めようとしたアンケート(37項目)の一部です。これは余りにも露骨な不当労働行為です。大阪市という公的機関がやろうとしたことは由々しき問題であり、決して容認できません。
 大阪市労連は、即刻、「一切応じることはできない」と表明し、職制側の調査も即時中止を求めました。
 12月7日、21人の弁護士による「大阪市労働問題法対策会議」が結成されます。そして、12月14日、当局は総務局長名でアンケートの中止を決定しますが、不当労働行為については今に至るも何の回答もありません。04年11月から1年余り、ずーと守勢に立たされていた大阪市職・市労連は徐々に力をつけ、現在、關市長―NPM諭者の上山信一(慶応大学教授)との対決段階に入りつつあります。
 この攻撃の発端― 04年11月23日、毎日放送テレビの報道番組「VOICE」は、「闇の正体 張り込み取材で暴くカラ残業」を放送し、翌25日、各紙はいっせいに「カラ残業手当を支給」なる見出しで、「労働組合は悪」「労働組合は腐敗の温床」という市職・市労連バッシングを始めました。それから一気に連日のごとく關市長は、マスコミと「市民団体」を使って大々的はキャンペーンを行いました。
 自民党議員は、組合つぶしにうごめき、マスコミは許可なく勝手に区役所に入り込んで意図的に職員のいないところを撮影し(カラ残業の現場をあたかも押さえたと錯覚させ)、組合役員の自宅前で待ち伏せ、24時間つけ回して隠し撮りし、組合事務所の前に張りつき、組合役員に強引にマイクをつきつけるといった許しがたいことが続いていました。
 そして、当局は各支部の組合事務所の明け渡しを強引に行い、自民党の市会議員は組合事務所が撤去されているかどうかを確認するため各所属を見て回り、なかには「VOICE」のカメラが同行して後日特集を組んで放映されています。
 05年4月1日、關市長を本部長、大平助役を代行とし、関係局長と有識者で構成する「市政改革本部」なる組織が、大阪市労連の全面的解体を狙って設置されました。
 關は9月27日には「市政改革マニュフェスト(案)」、06年1月12日には「行財政改革(案)」と各局長・区長の「マニュフェスト(案)」が発表されました。
 このような当局の攻撃に対して、1月20日、大阪労働者弁護団は「公務員も労働者であり、憲法上労働基本権が保障されていることを無視するものである。憲法上保障されている労働組合の活動そのものを否定することがあってはならない」という内容の声明を発表しました。
 大阪市職・市労連は「参加・提言型運動」の典型的な労使協調路線を歩み、自治労内では右派に位置しています。
 しかし、高い組織率を堅持し、大阪港軍港化を許さない闘い、ヒロシマ・ナガサキ、沖縄、アジア人民との連帯、反原発、平和憲法と人権を守る運動において大きな力を発揮してきました。
 今、小泉政権が戦争と民営化(労働組合破壊)の攻撃をかけてくる中で、自治体労働運動破壊のやり玉にあげられたのが、市職・市労連です。
 市民生活の破壊を伴いながら労働運動をを破壊しようとするこの攻撃は、組合の団結と闘う力があれば必ず打ち砕くことはできます。対決から総反撃へ団結して闘います。

《出版案内》

 水戸市のダンボール工場で起こった知的障害者への差別・虐待事件の被害者たちが、差別糾弾の実力的闘いを通して自己解放性を取り戻し、民事裁判でのあざやかな勝利を闘いとっていく過程を、ともに闘った「水戸事件のたたかいを支える会全国事務局」が、闘いの記録としてまとめた。

全国労組交流センター事務局長 辻川慎一

 水戸事件の凄まじい障害者差別と暴力に対し、幾多の困難を乗り越え、闘いぬいてきた当事者、支援者、弁護団の根源的人間性を賭けた奮闘に深く胸を打たれます。口先でも私欲でもない人間の連帯の在り方を衿を正して学びました。同時に、読者の大半が感じるであろうある種の苛立ちは、この様な巨石が投じられながら、社会そのものが何も変わっていないこと。それどころか、逆流していることを感じているからに外ならないと思います。従って、この書は、読者がこの現代社会への根底的批判者として立ち上がって行くことによって完結していくのだと思います。

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