2010年08月号(No.245)目次
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(写真 180 人が結集した動労千葉を支援する会の2010 年度定期総会。全国各地の支援する会の代表も参加し、全国運動の発展を誓った(7月25 日 千葉市DC 会館)

労働者の目  参院選結果を見据え、全国運動3千人会員実現へ

◎労働者の目 参院選結果を見据え、全国運動3千人会員実現へ
座談会 国鉄全国大運動で青年労働者とともに職場権力を取ろう 神奈川労組交流センターの決意
国鉄大運動の最先頭で「共に闘う国労の会」300名会員を実現し、国労の主流派へ   国労上野支部 吉野元久
「しっかり仕事をするということが実力闘争」反合・運転保安闘争の職場実践のために(上)
◎「団結速報」グループの電子カルテ闘争 柳沢裕子
◎自治体1000人会員実現へ! 佐藤賢一
◎闘う合同・一般労組 東京西部ユニオン鈴木コンクリート分会第2回定期大会が成功

ひめじょおん−女性部から 女性部は国鉄大運動を闘う

労働ニュース ●民主大敗44 与党過半数割れ

読者のページ  

・●マンガ /編集後記
 

 労働者の目

(写真 動労千葉が鉄運機構本社に怒りの申し入れ行動【 7月14 日 横浜】)

参院選結果を見据え、全国運動3千会員実現へ

清水 匠 常任運営委員 動労千葉執行委員

 7月11日の参院選は、菅民主党の大敗北という結果に終わり、政治危機は底なしの激化の様相を示しています。国政選挙において、労働者を代表する、労働者の怒りを体現する政党が皆無だというところに、今日の労働運動の危機的現状があります。公務員労働者への300万人首切りの大攻撃と大増税を狙う民主党・菅政権との攻防は、労働組合・労働運動を主戦場にして闘われることは、一層鮮明となりました。
 6月13日の1047名解雇撤回全国大運動の集会は、新たな労働運動への挑戦という今日的に最も切実な課題を掲げて成功しました。その後全国各地で、動労千葉を支援する会が次々と結成され、「国鉄闘争の火を消すな」という呼びかけに応える闘いが始まっています。
 動労千葉は、7月14日、鉄道運輸機構に対し1047名解雇撤回の申し入れ行動を行い、7月28日には鉄建公団訴訟と東京地裁包囲デモが闘われます。こうした闘いのひとつひとつを重視するとともに、物販活動の組織化、支援する会の組織化、全国運動の組織化・全国3千会員の結集にむけて全力で立ち上がることを訴えます。
 8月といえば反戦闘争です。8・6広島、8・9長崎、そして8・15靖国と重要な闘いが続きます。戦争と大失業の時代であればこそ労働運動の第一級の課題として反戦闘争を爆発させなければなりません。
 大恐慌情勢の本格化のなかで、11月労働者集会こそが情勢を決する重大な闘いになりました。
 ブラジル訪問は、国際連帯の拡大とともに、動労千葉の闘いが世界の労働者の共通の闘いであることが鮮明となりました。国鉄闘争は、世界の労働者の闘いの中軸となる闘いです。
 全国運動の組織化は、職場に地域に支援する会を組織することをもって、労働組合を取り戻すことです。
 11月労働者集会へ、職場から地域から全国運動の組織化へ直ちに全力で立ち上がろう。

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座談会 神奈川労組交流センターの決意

(写真 神奈川労組交流センター主催6・18 国鉄集会に103 人が結集)

《座談会参加者》
※年号は交流センター入会年
二本柳 実 全国労組交流センター副代表、神奈川労組交流センター共同代表、三浦半島地区教組、1989年結成時から会員
西田 貴広 神奈川労組交流センター共同代表 JP労組
      1989年結成時から会員
天野 佳子 自治労横浜 2008年入会
鹿島 洋志 川崎市職労 2007年入会
甲斐 祐樹 民間労働者 2008年入会
八木 昭三 民間労働者 1993年入会

■国鉄全国大運動で青年労働者とともに職場権力を取ろう

天野 今日議論したいことは、6・13集会と、6・18神奈川集会でつかんだ全国運動の意義と職場闘争の教訓です。
 『月刊交流センター』7月号で田中委員長が提起しているけれども、6・13は歴史的な集会だった。新しい、今までにない階級的労働運動を打ち立てて、労働者の解放を勝ち取って労働者の社会を作るための闘いのスタートラインに立った。6・13と6・18で私は背中がぞくぞくしたんだけれど、ここで私たちは全力を尽くして人生をかけようというものとして始まった。
 自分も今まで職場で体制内指導部を日々ぶつかり合う中で批判してきた。そこを彼らに成り代わって私たちが職場の権力を取ることを本気になって始めないといけない。突破するための武器が国鉄全国運動です。1047名と動労千葉の闘いを単に支援するだけじゃなくて今までの支援運動とどこが違うのかをあらためてはっきりさせる。動労千葉のように闘おう、なんです。会員として募るとは、もうひとり活動家を動労千葉派の活動家を会員として組織するということだと思うんですよね。

参院選の大激動情勢と全国大運動

西田 まず情勢ですが、参議院選挙はすさまじい事態ですよ。民主党・連合政権で連合を取り込んだわけだけど、連合下の4大産別の労働者は全然離反しちゃってる。民主党なんかに票を入れない事態でしょ。教労なんか投票数が半分、自治労なんかは4分の1まで落ち込んじゃってる。体制内労働組合運動が求心力を持たなくなっている。まともな労働運動をやってないから。彼らは資本と一体で現場の労働者に襲いかかってるでしょ。だから現場の労働者が離反しちゃっているという状況ですよ。
二本柳 江崎の票を見たときには笑ったね。ざまあみろというさ。4分の1というのは明確に「不信任」だということでしょ。だって前回相原に入れた自治体労働者の4分の3が入れていないんだから。
鹿島 うちでも投票を呼びかけるビラを1日置きぐらいに回してきたりしてましたけど、少なくともうちの職場は「民主党を支持したところで何がいいことあるのか。組織の中から議員を出して、その人に何かしてもらおうみたいな感覚がもうダメだ」という話しになりましたね。
西田 だからこそ今、誰が現場の労働者を獲得するのかにかかってる。連合では取れないというのはもうはっきりしているわけ。つまりファシストに行くのか、われわれ交流センターに行くのかしかない。われわれが現場の労働者をわしづかみできるチャンス、決定的なところに来ている。
二本柳 この今の大激動情勢に間に合ったものとして、国鉄大運動の方針が提起されたということをあらためて確認する必要がある。 6・18神奈川集会の行動提起で大きく2つ話しました。ひとつは職場を基盤に全国運動の組織化をやろうということと、もうひとつは国鉄全国運動とは4大産別決戦なんだとはっきりさせてやろうと。もうひとつ言えば青年の組織化。国鉄全国運動の核心軸は青年労働者の獲得であり、青年指導部をつくり出すことだという提起です。
西田 今までは俺もそうなんだけど、体制内的な思考で組合に言って組合に何とかしてもらおうという発想があるわけ。職場で何か問題が起こったら交渉窓口は組合が持っているんだから組合を通してやろうと。圧力をかけるという意味では重要だよ。でもそれは代行主義なんだよな。つまり現場の闘いとして何か要求を出して、つまり自分が主人公だという思いにならないような闘い方ではダメなわけで、ひとり一人の現場労働者が自分が当局に突きつけて強制するような闘いを現場で起こさない限り自分は主人公だという感覚を持たない。そういう闘いをつくる、つくれるチャンスが来ている。
甲斐 ギリシャも公務員の闘いやそのスローガンを見ると、改良主義とかではなくて資本家の支配、資本主義自体がおかしいじゃないかというところに来ている。逆にそういうスローガンじゃないと求心力がない状況です。結局、党派の親分、指導部は取引条件みたいな感じで使うけれども、現場は圧倒的に実力でストライキに立ち上がっている。社会を変える闘いを自分でやっている実感がある。
 主流派になるためには正しいこと言っていればいいってことじゃないとはよく言われるけど、それぞれの職場なり産別なりの一番その職場の労働者が空気はいるようなスローガンをつくる。つくるのだって今日の座談会のように、みんなで頭を突き合わせてやる。そういうことをやれば、組織拡大、仲間をどんどん作れるという状況にあると思います。
二本柳 全党派が唯一一致している政策が公務員バッシング、公務員制度改革ですよ。参院選で見なければいけないのは、帝国主義が唯一生き延びる政策として、新自由主義の核心として公務員労働運動の全面解体攻撃に、全党派が打って出てくることです。ここに俺らは6・13大運動をもって対抗していく。新自由主義とどこで渡り合うのかといえば国鉄と沖縄で渡り合う。もっといえば組織化で渡り合う。拠点的な職場・地域、産別で徹底的に青年労働者を獲得するためにどういう政策を打つのか、特化した運動をやって展望を切り開くということでしょう。

 組合権力奪取は青年労働者の待ったなしの声だ

八木 僕の職場では賃金をめぐって怒りがあって、「なんかしてくれ」と言われる。だから『月刊交流センター』7月号で田中委員長が職場で10人の会員をつくったらその会員がまた職場を組織していくとありますけれども、実際にそれが求められていると感じます。単に動労千葉がいいことやっているから応援に行きましょうではなくて、職場の労働者自身が闘ってくれと言ってます。
 物販に休みを取って回る時に、そのことを職場の仲間に「国鉄闘争のためにオルグに行くんだ」と話しをしたら喜んでたらしくて、2週間後に「何もやってないじゃないか。この職場で何かするんじゃないのか」と言われまして、全くその通りだなと思いました。他の人にも声をかけてみようと思っているんですよ。賃金だけではなく、その人なりの怒りがあるはずだからそれを引き出せるようにやっていきたい。さっき代行主義とありましたけれども、僕になんかやってくれという声ばっかりで一緒にやろうとなかなかならない。まだ情勢をちゃんと論じ切れていない。「時代認識と路線」と言われるけど、そこの話しがまだまだ弱いことを感じます。

三教組の青年の闘い

二本柳 全国大運動は、三教組の交流センター派にとっては、権力をひっくり返して取っていくという目的意識的な闘いの追求です。それは待ったなしの青年労働者の声なんですよ。
 この2月、権力闘争に入るのに三浦で集会をやりました。その時に青年労働者が登壇し、その彼が定期大会でも決起した。大会では他の分会の青年分会長が、人事評価と査定給問題で同じ年代の仲間が差別査定を受け、苦情処理を申し立てたことによって校長にも執行部にもとがめ立てされ、傷ついて、それにふざけるなと決起した。三教組は、人事評価と査定給は反対という修正案が毎年通っているわけ。反対の方針を持っていながらその制度に基づいて苦情処理を申し立てるということは、制度の中身の矛盾を何とか突こうという思いと怒りで決起しているにもかかわらず、決起したことが自分を傷つけているだけだぞみたいなことを教育委員会にも体制内執行部にも言われて、ふざけるんじゃないとなった。
 7月頭の中央委員会でも査定給問題で紛糾して、最後に書記長が分会に対して「闘うと傷つくんだ」みたいな発言をした。これで青年たちは頭にきて書記長に謝罪を申し入れた。帰りに彼らはみんなで「もうこんな執行部じゃダメだよね」と話していたらしい。
 みんな、今の組合指導部や民主党なんかじゃダメだと気付き始めている。ところが自分たちの労働者の党がない。この問題は階級的労働運動、俺たちがつくることでしか解決しない。自分の組合に戻ってこんな執行部じゃダメだと言った時に、俺たちが登場しているのかということですよ。全国運動の中で、自分が権力を取ることを射程に入れた闘いをやるという立場に立ち切るところからしか、主流派とか責任勢力というのは登場させることができない。
 本当にそれが迫られてると思ったのは実は7・1の郵政職場の大混乱です。他人事だとは思えなかった。この渦中にいたら問われるのはわれわれだと感じた。
 求められているのは青年労働者の獲得です。うちの職場の青年に、職員会議では僕が校長にかみつくぐらいなので「何かおかしいと思うことないのか」と言ったら「いっぱいありますよ」と言うんだよ。「言えばいいじゃねえかよ」と言ったら、「これって人事評価にはね返るんでしょ」と聞くんだよ。人事評価の開示にも行かないわけ。「なんで行かないの」と聞いたら、「開示に行くこと自体が校長に逆らっていると思われかねない。これから先を考えると、そんなこともできない」と。俺は反省してる。この先20年、30年勤めなきゃいけない青年には、校長にどう思われるかでヤバくなるという意識がある。そこを俺たちがすっぽり落としてはダメだ。青年労働者と一緒に苦闘する。昨日の職場会では少なくともみんなで開示に行くことをもう一回確認してきた。青年一人が行けるためにはみんなが行けば俺も行けるって。これ、労働組合の原則でしょ。
 こうした闘いの中からひとつひとつの展開をこじ開け、会員の組織化と結合していく。この転換がわれわれ自身に問われている。
西田 われわれが主流派になっていくチャンスが到来しているわけだから目的意識的に職場闘争を作らないといけないということですよ。なんか漠然と団結をつくる運動ではない。職場権力をどうやってとっていくのかという観点から職場闘争を位置づける。職場闘争を闘う。そういう発想の転換をやらないと行かないよなと思う。
写真 二本柳実・神奈川労組交流センター共同代表  三教組)

7・1宅配統合大混乱をめぐって

二本柳 あえてこの場で言わせてもらうと、全逓の拠点でいえば西田君の所だ。7・1大混乱の中で、何が起きてそこにどういうものをこっちが出すのかであなた自身も問われてきたわけじゃない。そこの中身を言ってほしい。
西田 3日も4日も遅れて苦情殺到、荷物山積みというほどではなかったけれど、半日遅れで混乱していた。
 具体的な問題でみながそれに怒ってることにキャッチアップできるかどうかだった。俺と怒りが結びついた時に初めて職場闘争が爆発するわけで、そうならない限り爆発しない。だからそれを目的意識的に俺がどうやってつくるかが問われた。それがそうならなかったということは結局結びつかなかったということなんだよ。
 これと一体のものなんだけど別の所で結びついた。あまりの当局のデタラメ加減さの中から起きているんだけど、風呂とかトイレが壊れているのに当局が直さないんだよ。それに対して「当局に『直してくれ』と西田さんから言って下さい」と言われて、3人ぐらいでばっと押しかけて管理職に直せと言ったら、びびって早速「水出るようにしました」とか「明日入札するようにしましたから」と返答してきた。一定の闘いはこの過程で起きたんだけど、この大混乱との結びつきはつくれなかった。
二本柳 そういう温度差にどう対応するのかだよな。ひとつの労働組合、労働者としてその問題にどう集中的に闘いをつくっていくのかが問われる。他人事で言っているんじゃなくて教労もそうなわけですよ。全国の青年労働者が人事評価の攻防で窒息する状況になっている。この問題に挑戦しないでは交流センターとしては立ちいかない。人事評価の問題は間違いなく、川崎市職労なんかもそういう段階に入ってるでしょ。

 正しい「孤立」から「獲得」の飛躍へ ――人事評価をめぐって

鹿島 確かに「反対派」でよければ自分が納得すること言ってそれを回りに見せれば「やった」みたいに思っていられる部分はあったですけど、獲得するとなると、それで自分が満足してたらいつまでたっても獲得はできない。
 人事評価が入った直後は、僕らの職場も誰か一人が減点、評価を低くされたら「それはどうしてだ」と職場みんなで上司に抗議した。具体的には作業中にケガをして何日か休んだ仲間が迷惑をかけたから減点だとされた。それに対して、「ケガをした原因そのものが支給されている道具とかに問題があったんじゃないか」とか、「本人だってケガをしたくてしたわけじゃない」と追及して撤回させた。そしてちゃんとした作業に適した靴を支給させた。当時はまだそういうことをみんなでできた。
 でも、一応今の段階では川崎では減点はついても給与には反映しない。頑張ってやったらその評価だけは給与に反映するという過渡的期間です。それを市職の本部は、プラスになるのは誰かの分を横取りしているわけじゃないからいいだろみたいなことを言う。
 そういう状況で上司から普段とは違う仕事をやってくれないかと言われたときに、今までは「これは俺らがそんな我慢してやるべき仕事じゃないだろ」という意見がまず主流だったんですけど、「あ、じゃ、俺やります」みたいな一人だけ抜け駆けする労働者が出て来始めた。「仕事なんだから誰かがやればいいんだろ。俺がやると言って何が悪い」という意見に対して、「そういうことを言えば、こいつらは受けるんだ」という形を認めてしまうことが、自分たちのみならず、市職全体の同じような仕事をしている人たちもそうだし、もっといえば公務員だってこうやって無理してやっているんだから民間の人だってやるのは当たり前だ、みたいに、だんだんなっていくことになる。そこをみんなに気付いてもらわないと、結局は労働者全体として利益を持っていかれていくことになる。人事評価が入ってお金に置き換えられると今まで普通に通じていたものが通じにくくなった。そこで今までは、「俺はやらない。やったとしても手当に反映するからやったと思われるのはイヤだ。どうしても2人じゃなきゃできない作業は手伝うかもしれないけど、俺がやります、みたいなことはやらない」と突っ張ねていつもやってきたんです。でも、結局はそれでは、僕は僕として正しいこと言っているということで終わっているわけです。だから獲得するためには、自分と同じように思ってもらえるようにするにはどうしたらいいかなということで考えてます。もちろん正しいことやってなきゃ人はついてこないわけですけれど。
西田 それがうまくいったらバチンと職場の団結が固まるんだけど、みんな、そこで苦闘している。自分は正しいと確信を持っている。でも自分の確信が相手の確信じゃないんだよ。そこをどう突破するかなんだよな。
二本柳 難しいさ。相手の主体が鹿島君の主体とイコールになった時に共に闘う仲間だということなわけで、今の怒りに立脚したときに相手が怒りで立ち上がるってことが起きる。だから職場で鹿島君が当面、孤立してても「こんなもんで、いいや」というところを転換しない限りは、周りから見てて、どうもああやって逆らうと職制にはいじめられ、回りには過激派扱いされ、俺はヤダな、となる。うちの青年もそこで揺れている。おじさんと一緒にやると、そういうことになりかねないって。だから党派選択なんだよ。
八木 僕の職場でもそうです。でも職場の現実に対する怒りもあるからそれを引き出して行けるような討論をやりたい。みんな金がないということもあってダブルジョブやってたりするんですけど、そういう金も時間もない人をどう獲得するかということと、あとさしあたってやれそうな人から獲得していきたい。僕の職場では組合がないんで、まず組合員にするところから始めていきたい。
甲斐 田中委員長の提起の『労働者こそ社会の主人公だという誇りを取り戻そう』の章に、中野顧問の取り組みが書いてある。ここが一番大事かなと思った。これからわれわれが頭をしぼって考えなきゃいけないところじゃないかな。一般論ですまさないで考え抜いて具体論として提示したとか。この間の法大の署名運動のように、大衆的で、なおかつ路線的な闘いを考える。自分一人で考えてもダメで仲間と相談する。一番重要なのは組織したい相手と職場でちゃんと話しをすることかな。そこからしか始まらない。労働者一人一人が主役だし、闘う中で「成果が出た。それは俺が闘ったからなんだ」と実感できる、展望が持てることをやっていく。
 合同労組でいうと、青年労働者の約半分が非正規です。そして未組織です。労働組合の組織率は20%を切っているわけだから8割の人が勤める所は組合がない。自分の職場でどれだけつくっていけるか。動労千葉とどれだけ接点を持っていくか。動労千葉労働運動とどれだけ自分の闘いを結びつけていけるかということです。それは自分の職場の闘いとどう結びつくのか。それも労働者自身が実感する、つかむというものを初めの一人である自分がつくっていかなきゃいけないということだと思います。
(写真 西田貴広・神奈川労組交流センター共同代表  JP労組)

 

私たちが労働組合だ!

天野 鹿島さんの職場の討論とか聞いていて苦闘しているということがすごい大事だなと思った。大運動で求められていることは職場の労働者を獲得することだ、反対しているだけではそれはできないんだという、これまでのあり方を変える。それをつかんでいることが今すごい大事だなと思った。労働者との壁を取り払うためにどうしたらいいかはどの職場も共通している。今私が言えるのは、正面から腹を固めて向き合うということじゃないかと思うんです。労働組合運動で革命をやるんだということを正面から訴える。すぐに団結という形にならないけれども本気でぶつかっていく。
 私の職場では去年、いろいろな問題があった。組合は当局の顔色ばっかりうかがって、動こうとするとすぐに止めにかかる。交渉しても結局はね返せませんでした、の繰り返し。組合に言ってもしようがないという気分、雰囲気がある。だったら職場で自分が問題あった時に、組合に入ってるとか入ってないとか正規だとか非正規だとか関係なく訴えかけて集まって話しましょうと呼びかけた。すると短い時間だけれども関心ある人とか集まってくる。昼休み、お弁当食べながら聞いている。それを見ていた体制内の執行部は黙っていられないからそこに顔を出してくるわけ。でも顔を出して来たら同じフロアの人たちが執行部に対して「それはおかしいんじゃないか」という意見を言うとか、どんどん窮地に追いやるような状況になった。そして例えば職務室のレイアウトの問題で、どこまで広げるかとか、ささやかなことなんだけれども、そういう問題ひとつとっても組合と当局だけで勝手に決めないでと。私たちの意見を通してという意見をまとめて言ったときに当局の提案を変えて職員の希望を受け入れるとかがあったりする。
 だから要は、自分たちが組合をやっているという意識や、責任を持っていくということだと思います。そこを一人で抱えるのではなくて率直に職場の話せる人に相談し討論することで自分の中身も決まっていく。交流センター的にもみんなに投げかけて一緒に答えを出してもらう、というようなあり方を目的意識的につくっていくことが必要です。そこに転換していけたら、すごいものを切り開く力になる。だから労働者を信ずるということだと思ったんですね。職場でやるのは難しいですが、今求められているのは本気さですよ。
西田 本気さという場合に、われわれが組合権力を握るということが本気さなんじゃないかなと思う。相当の転換を求められていると常々感じている。今までの延長線上じゃ職場や地域の労働者に責任を取りきれない。こんな大情勢の中で大転換をした時、初めて主流派になれると思う。苦闘のない所に飛躍も転換もない。本当に考え抜く時、光は見えてくるんじゃないかなと思う。
(写真 2・21「道州制粉砕! 国鉄1047 名闘争勝利! 『生きさせろ!』ゼネスト神奈川集会)

 職場から国鉄闘争の力で民営化攻撃を打ち砕こう

二本柳 そう、交流センター全体の転換も、指導部の転換からしか始まらない。
 今の菅政権が本気でやろうとしているのは全面的な公務員労働運動の解体ですよ。交流センター運動と階級の分断だし、動労千葉労働運動と階級の分断でしょ。敵は民営化問題で攻撃してくる。国鉄分割・民営化の時に最初に苦労したのは、国鉄の赤字は労働者の責任ではないというのを職場の労働者にわかってもらうために半年間論議し続けたことです。俺たち自身がわからない。当局の垂れ流す情報しかないんだ。だからこの財政危機の中での民営化攻撃は激しい攻防になる。例えば保育士の平均給与が500万円だとして民間にすれば200万円で雇えるから保育料は半分で済むと。こういう構造で必ずやってくる。これを突っ込まれた時にどう対抗するのか。
 言いたいことは、ここに勝ち抜けば絶対に職場の団結を拡大し、交流センターを組織化して全国運動を前進させるという具体的な闘争課題が、それぞれの産別と職場の中には必ずあるということです。
 今、三浦で、青年が人事評価と査定給で立ち上がっている。それを本当に自分の問題にしきるか。その職場の闘いを軸に国鉄闘争を勝ち抜くことが日本の階級の力関係を変える。それを苦闘して編み出す中で隣の労働者を獲得できる。もしかしたらこいつと一緒なら勝てるかもしれないと展望が生まれた時に一気に動くわけでしょ。そこまでは俺らは少数派だよ。主流派とは言いながら。だけど少数派根性になったら終わり。
 神奈川労組交流センターは09年の闘いの中で国鉄を基軸に打ち立てた。旭川闘争団の成田さんとの団結、「一人ひとりが闘争団になってほしい」という訴えを、会員自らがまずは実践してきた。県内の全駅ビラ入れをやって、その中で国鉄1047名解雇撤回闘争、動労千葉の反合・運転保安闘争のでかさをつかんできた。
 いよいよ大勝負の時が来た。われわれが先頭になって転換して入っていく。われわれが先頭でやるということだとあらためて決意しています。
(7月17日横浜市にて)

 

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■国鉄大運動の最先頭で「共に闘う国労の会」300名会員を実現し、国労の主流派へ

国労上野支部 吉野 元久

 1047名闘争解体を狙った「4・9最終解決案」の大攻撃に対して、われわれは、6・13文京シビックホールに1635名を結集し、新たな国鉄運動の開始を宣言した。戦後労働運動の歴史を塗り替える壮大な挑戦のスタートだ。 6・4ブラジル・コンルータス第2回大会は、動労千葉提出の「日本政府による国鉄分割民営化攻撃を弾劾し、1047名国鉄労働者の解雇撤回を求める決議」案を採択した。国際階級闘争の最前線に国鉄闘争の旗が翻った。
 資本家階級は全世界で支配・統治能力を失っている。すでに破産した新自由主義政策以外に打つべき方策を何一つ持っていない。全世界で「労働組合」の存在と闘いを誰が握るのかを巡って、階級間の大激突が始まった。
 〈民営化・労組破壊〉〈改憲・世界戦争〉との闘いが、国際プロレタリアート共同の闘うスローガンとなった。
8月反戦闘争を爆発させ、11月労働者集会1万結集へ
 歴代社長4人全員が刑事訴追にさらされるJR西日本、4・1検修外注化を阻止され、カクマルとの癒着体制の最後的清算を迫られるJR東日本、そして今年度末で税制優遇措置(法人税などの減免措置)が切れ、全面的なリストラ体制突入を策すJR貨物会社をはじめとして、JR体制はグラグラとなり、「国鉄改革の完遂」を掲げて「第2の分割民営化」攻撃に絶望的にのめり込んでいる。
 菅政権が掲げた「国鉄改革の完遂」とは、消費増税と360万公務員首切り=4大産別決戦に密集する新自由主義攻撃のスローガンだ。だが、体制危機突破をかけて「国難救済」をわめき、7・11参議院選挙に突入した民主党は惨敗し、議会制民主主義という戦後統治形態は破綻し、支配階級は立ち往生寸前だ。国鉄闘争と沖縄闘争、そして8・6ヒロシマ、8・9ナガサキ、8・15靖国闘争を一体として闘い抜き、その力で〈オバマ来日粉砕! APEC粉砕! 日米首脳会談粉砕!〉の大決戦を叩きつけ、〈沖縄奪還! 安保粉砕! 菅連合政権打倒!〉に突き進もう。
 私たちは、国鉄全国運動と全国大会代議員選挙の教訓を打ち固め、直ちに7・28国労大会闘争に突入する。11月1万結集へ、動労千葉物販の先頭に立ち、大運動推進の最基軸の闘いとして「共に闘う国労の会」全国300名会員組織化を実現する。それこそが、国労本部を引きずり降ろし主導・責任勢力となる唯一の道だ。

国鉄闘争の火は、われわれが消させない!

 「4・9最終解決案」に対して、4名の絶対反対派と横浜人活原告2名を含む6名の闘争団員が「承諾書提出」を拒否し、1047名解雇撤回闘争の継続を宣言した。4者4団体派に大動揺が走った。だが彼らは「6・28」訴訟取り下げをもって、まず「4者」は完全消滅した。一方「連帯する会」の「休会宣言」(6月10日付け)に続いて、6月8日には国鉄闘争支援中央共闘会議(中里忠仁議長)が第3回常任幹事会を開催し、「和解調印後の活動休止」を確認した。そして7月22日の「不採用問題解決報告レセプション」をもって、名実ともに「4者4団体」は休止・消滅する。

国労本部が労働運動根絶を「声明」
 6月28日、国労本部ら4者4団体は、「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わない」「JRによる採用は保証できない」とする「最終解決」を受諾しながら、一方で「322人(JR希望183名)の年度内雇用確保に全力を挙げる」として、「国労声明」「4者4団体声明」を発した。ひたすら100万国鉄闘争支援陣形と60
00万労働者階級がわれわれに合流することを阻止するためだ。
 同時に国労本部は、「闘争指示第54号」(本部伝送bR18)をもって、「6名が解決案を不服とし、裁判を継続する意思を表明しているが、政府解決案受諾を臨時全国大会で決定し、最高裁において一括和解が成立した以上、国労としてこれらの訴訟と関係する運動には一切関与しない。よってその旨を全機関に徹底すること」を通達した。5・27弾圧と共に1047名闘争を押し止め、新自由主義攻撃のさらなる先兵となって襲いかかろうとしているのだ。
 さらに7月23日付け『国鉄新聞』で、「全国大会追加方針案」を発表した。「闘争団員の扱いをはじめ、懸案事項についての検討をおこなうと共に、本年度中に関係するエリア本部と連携のもと機関整備をおこなうこととする」と明記している。これらは、年度内に闘争団解体を誓約する「国鉄闘争破壊宣言」「労働運動根絶宣言」そのものだ。徹底粉砕あるのみだ。

7月国労大会闘争の勝利をバネに主流派への飛躍を

 われわれは6月1日、「国鉄分割民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会」(略称「共に闘う国労の会」)結成を全国に呼びかけ、「4・9最終解決案」に絶対反対を貫いて全国大会代議員選挙闘争に突入した。その最大の戦場は東京地本であった。
全国大会代議員選挙闘争では、新橋支部47票、上野9票、八王子14票、新潟25票、千葉26票、仙台34票、東日本エリアで合計155票。西日本エリアも含めて200票弱。全国の組合員が、異様なまでの「党派闘争のるつぼ」の中で投じた一票だ。確かに「数」としては微々たるものだ。だが、石にかじりついても「300名獲得」を実現する。そのためには、この一人一人を絶対に獲得することから一切が始まる。「独自の指導系列」形成、国鉄労働者の大結集のために、あらゆる実践をやりぬく。
 1047名解雇撤回を貫く新たな全国運動と、それを呼びかけた動労千葉、そして何よりも原則的闘いを欲する全ての労働者に対して、機関権力を振りかざして襲いかかってきた。これが今大会方針の基調なのだ。だからこそ、5・27臨大闘争弾圧を打ち破った闘いと同様に、この反動に真っ向から立ち向かい、これを打ち破った時、われわれは労働運動の主流派に躍り出ることができる。〈「企業内組合」路線粉砕! 第2の分割民営化阻止! 1047名解雇撤回闘争勝利!〉を貫き、全国大会闘争=7・28国鉄闘争勝利総決起集会を闘い抜く。

「共に闘う国労の会」300名獲得に突き進もう

 そもそも菅政権とは、国鉄分割・民営化攻撃の完遂を狙い、360万公務員首切り、改憲・労組破壊をもって戦争と大失業に全人民を叩き込む極反動政権である。
 国鉄分割・民営化以来、あらゆる産別で外注化攻撃が吹き荒れ、1500万人もの労働者が非正規雇用に突き落とされた。外注化は「偽装請負」を不可避とする。しかし体制内労組指導部は、これを労使合意という形で積極的に承認・推進してきた。これとまともに対決する労働運動は存在しなかった。検修外注化を阻んだ反合理化・運転保安闘争路線と動労千葉の闘いは、ここに風穴を開けた。外注化絶対反対で闘いを構えた瞬間に、資本の攻撃は大破綻を余儀なくされた。ここにこそ、1047名闘争勝利の展望がある。
 国労本部や4者4団体は、これまでJRとまともに闘ったことがない。設備部門の全面外注化を認め、包括和解で現場労働者の闘いをとことん抑圧してきた。この現実を覆す闘いが、新たな全国運動だ。国労内1047解雇撤回陣形を拡大させる主流派への飛躍が死活的な課題となった。
 8月には、4名の原告団と弁護団による最高裁、控訴審に向かっての裁判準備が本格化する。すでに小玉忠憲さんの鉄運機構控訴審は、9・28東京高裁大法廷が確定した。全国署名運動の準備も完了した。これは簡単ではないが絶好の構図だ。正義・不正義がこれほど明瞭な闘いはない。一方は労働者の誇りと人生をかけて闘っており、他方は労働者をとことん辱め、「奴隷になれ」と強要している。
 われわれはすべての国鉄労働者、とりわけ平成採に闘いの路線を大胆に訴え、決起を呼びかけ、疑問には誠実に答え、躊躇には叱咤激励し、身をもって勝利の道を示す。とりわけ青年の獲得が鍵だ。そのために英知を結集して闘い抜こう。

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■第2の動労千葉をめざして 『団結速報グループ』の電子カルテ闘争

常任運営委員 千葉勤医労 柳沢 裕子

 私の勤務する病院は、約300床の急性期を中心とした総合病院で、組合は全労連傘下ですが、経営ともども「全日本民主医療機関連合(民医連)」にも所属しており、日本共産党の大きな支持勢力です。医療費削減が国是という情勢下、病院間競争で生き残るためにといって、現在、電子カルテ(電カル)を段階的に導入している途上です。この過程で、私自身が、この3月末より開始された「注射の指示を電カルで入力する」という管理会の指示に従わずに、従来どおり、紙の指示簿で注射指示を続けていることに対して、管理会が、「管理会命令に従わないなら、6月より病棟業務から外す」と命令してきたことで、職場闘争が激化しています。日本共産党スターリン主義の牙城で動労千葉型の労働運動をつくりだそうという職場の闘いを報告します。

病棟外し攻撃との闘いの開始

 闘いは、6月1日の朝礼で勃発した。
 院長が、朝礼の最後に「柳沢先生は、管理会の命令に従わず、電カルによる注射指示入力を行なわないため、病棟業務より外します。当面、今日から、新入院患者を担当させません」と発言。
 確かに、5月中旬、書面で通知してきたが、実際には、管理事務が「電カルで入力しないのか」と聞いてきただけで、それに対しては、「『新しい命令をするならば、その前に、36協定を結んで、(これまでずっと締結されてない!)、きちんと残業代を払ってからにして欲しい(医師には残業代が払われてない!)』と私は要求してきたのだから、その問題が変わらないのなら、こちらも変わりようがない」と口頭で答え、それに対しては、何らの回答もないどころか、今までこの件で一度たりとも管理会と面談したこともなく、だから、よもや人手不足のおり、医師を実際に病棟から追い出すなんてできないだろうとみていたので、正直驚いた。
 その場で、「電カルで入力しろというなら、その前に36協定を結んで、違法な残業をなくし、残業代払ってください」と言い返したら、院長はなんと「訴えるなら訴えてみろ!」と逆切れ。経営側こそ、私たちの『団結速報!』のビラの一文に、言いがかりとしかいえないことで、でっちあげの「名誉毀損」で訴え、この1月に控訴もできないで完全敗訴したばかりなのに、労働者に違法な残業をさせていることを堂々と居直ってきた。
 ここから、まず、職場支配権をめぐっての闘いがはじまった。私が、管理会命令に従わずに今まで通りの仕事を今まで通りに行うことが、管理会の命令を無力化する。私の夏休みによる不在を利用して、管理会は、私の担当している患者を他の医師にふりわけようとしていることが判明したので、夏休みの予定をキャンセルし、管理会の目論見を粉砕した。
 病棟の朝礼に総師長らがやってきて、病棟の看護師に説明と称し「他の病院からの医師の異動もふくめて、患者に迷惑にならないようにする。民医連全体で、柳沢の病棟外しをやりきる」と豪語したが、医師不足の中、医師は来ない。これで私を病棟から追い出したら、患者をきちんと見る医師がおらず、患者の安全が脅かされることは誰にもわかることで、この管理会命令の不当性・不正義性は明白だ。この病棟外し攻撃は、病棟の青年労働者の組織化の大チャンスだ。「闘う労働者を守ろう! 今まで通りに柳沢先生を主治医として一緒に仕事をしよう!」。たったこれだけのことが、管理会命令に対してみんなで一緒に反対する行動に繋がる。これで、病棟内に管理会に団結して対抗する力、つまり本来の労働組合がもつ力をつくっていこうと、私だけでなく、仲間何人かが一緒になって、病棟の、特に若い看護師と話をしていくことにした。

なぜ電カル入力拒否なのか――「医師の残業代を払え」の要求めぐり、話して、話して、話す

 しかし、話をすることは実は容易ではない。3交代勤務である上、電カル導入で半端じゃない残業が発生している。それでも、何人かと話をしてみると、「最初は、先生が電カルで入力すればいいのにと思っていたけれど、残業代も払われてないなんて。先生が病棟からいなくなったら困るし、今まで通りに働くということならできる」となる。
 私のいる病棟は、『団結速報グループ』と経営が命名し、一緒に闘っている看護師が3名いる拠点職場だが、闘いが始まった、まさにその日に最先頭で闘っている1人が産休に入った。そうすると、残りの2名が敢然と組織者となる。組織者となれば言葉が必要となり、会議や学習会にも熱が入る。この拠点職場で、青年の組織化ができるかどうかが勝負の分かれ目だ。また、医師をめぐっても、闘いは展開している。
 本来医師は一人一人独立して仕事をしていて、仕事の裁量権も大きい。しかし、この間経営は、医師に対して能力給を導入し、さらに第3者による病院評価を利用して、管理会―科長―医長―医員という指揮命令系統を確立し、医師の独立性を奪い経営の管理下におくことに成功してきた。その結果、話し合いも一切なく、病棟業務を外すという異常な命令にも、このことに対する怒りよりも、「病院の指示に従わないのはおかしい」という声が、公然と出てくる。
 一方、なんとか仲裁しようという医師も、団結速報グループ外から出てくる。しかし、仲裁の立場は「いかにしたら私に電カル入力してもらえるのか」という話を経営と一緒にすることであり、「私に電カル入力させたいならば、36協定未締結の違法な残業をなくし、医師の残業代を払えということだから、管理会との話し合いは団交でやるべきだ」ということを理解してもらうのは、そう簡単ではない。「一度くらい仲裁者のいう設定で話してもいいかな」という気にもなる。しかし、あくまでもこちらの立場で話し合いを設定することを譲ってはいけないと、団結速報グループの医師も一緒になって組合員会議で話して、話して、話して、ついに、「他の医師組合員に、残業代を払えという団交開催を一緒に呼びかけるように提起していく」という行動方針を打ち出せた。これは小さな一歩だが、『民医連』という労使一体の組織の中で隠蔽されている資本との非和解性をはっきりさせていく一歩だ。そして、医師が自らの労働条件で団結して闘うことで、診療報酬の切り下げを阻止し、社会保障制度解体を粉砕する一歩だ。
 * * *
 こうして闘いは始まりました。この中で、「電カル」が、実は医療界全体にかけられている大合理化であることがはっきりと見えてきました。「電カルは便利な面もある」という労働者の意識を打ち破って、医療の市場化と医療費削減という社会保障解体のための道具であると位置づけた闘いにしていけるかどうかは、これからです。青年をはじめとした労働者獲得の闘いの中で、これを反合理化闘争として闘う状況が切り開ければ、第2の動労千葉ももうすぐなのだと思います。それをめざして、熱い夏を仲間とともに闘っています。

(1)『団結速報!』は、千葉勤医労執行部が夜勤協定違反や看護師不足を放置して闘わないでいる中、06年7月の組合の定期大会に向けて、現場組合員が「看護師問題についての団交開催」を求めて配ったビラが始まり。連絡先に名前を出した者に「厳重注意」処分の弾圧があり、10名前後の労働者が連絡先に名を連ねるようになり、経営側が『団結速報グループ』と命名した。
(2)『団結速報!』のビラの一文に対して、病院経営者が団結速報グループのうち2名だけを「名誉毀損」で訴えた。裁判の過程で、職場における労使一体の日本共産党による労働者支配の実態が暴かれ、被告(労働者側)の「裁判は、名誉毀損を騙った労働弾圧、政治弾圧である」という主張が全面的に認められ、今年の1月に千葉地裁で請求棄却、さらに原告は控訴できず、労働者側が完全な勝利を収めた。詳細は、団結速報グループ10名が書いた『陳述集』参照。

 

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現場の怒りを「新たな国鉄全国運動」自治体1000人会員実現へ!

自治体労働者部会代表 佐藤 賢一(江戸川区職労)

はじめに

 「国鉄分割・民営化反対! 1047名解雇撤回! 新たな全国運動スタート! 6・13大集会」は文京シビックセンターを埋めつくし、呼びかけ人各氏、動労千葉・国労当該組合員の発言内容を含め感動的なスタートとなった。
 4・9「政府解決案」は、4者4団体が最低線として主張してきた「雇用・年金・解決金」の柱でもある「雇用・年金」もないのに今後一切争うなということである。
 「7・2全国運動東部の会」集会に、解雇撤回を勝ち取った組合員を率いて参加した民間労働者は「ここにきている皆さんの中にお金のある人はいないと思います。あるのは誇りだけだと思います。他にわれわれに何がありますか。謝罪もない解決など絶対許せない」と発言し、新たな運動を創造する決意と闘いの根底性を明らかにした。2200万円の現実は軽くはない。だが、ここで敗北することが全国の労働運動にどういう事態を招くのかということだ。労働者の誇りをかけて闘ってきた国鉄労働者が国労本部の裏切り方針において解体され生活基盤さえはぎ取られようとしている。それどころか、その闘いの魂まで奪われようとしているのだ。
 この時に全国交流センターとしての新たな全国運動方針は決定的だ。自らがその階級の指導部として登場する飛躍が求められているのである。全国の自治体労働者部会会員こそその最先頭で闘おう!

全国に自治体1千名の〈支援する会〉の建設を

 かつての「国鉄分割・民営化反対全国署名運動」は全国3千万人の労働者の署名を集め切った。この意味するところは国労本部の思惑をのりこえ、「中曽根政府の独裁的な・改憲のための全くデタラメな『国鉄分割・民営化』など絶対に許さない」という労働者の意志の表れである。昨年の8・30を超え、今回の参院選を見てもこの労働者の気持ちはこの大恐慌という時代認識の中でさらに高まっている。しかし連合・自治労、自治労連、都労連や4者4団体の本質が動労千葉への無視・敵対行為として表面化し、真実が真実として労働者に中々伝わらないのが現実だ。その現実を打破していくためには、全国で〈支援する会〉を結成し、その運動の中で労働者に何が真実かを徹底的にかつ丁寧に知らせていくことだ。
 国鉄全国運動は極めて政治的なものとしてあり、「国鉄分割・民営化」「解雇撤回」という言葉を軸にして誰とどのように闘っていくのか徹底的に問う闘いである。「動労千葉のように闘おう」ということを言ってきたわれわれこそが、全国に〈支援する会〉を立ち上げる中心勢力として登場することが求められているのだ。全国に点在する〈地区労〉をのりこえ、闘う交流センター自治体労働者部会として登場することこそ重要だ。今や国鉄労働運動を闘うのは動労千葉を先頭とする11月集会派とわれわれ交流センターしかいない。未来をつくりだす労働運動の主流派として登場しよう。

職場に〈支援する会〉をつくろう

 地域に出るのと同時に必要なことは、自分の職場で闘いを開始することだ。闘っている職場をさらに拡大し、職場の多くの組合員に〈支援する会〉結成・参加を提起し、ともに闘う会議を行い、集会に参加していくことだ。
 菅内閣は、日米安保強化・辺野古新基地建設、公務員の大量首切り、消費大増税の攻撃に突き進んでいる。公務員360万首切りが今や完全に現実化している。そのことを暴き、道州制粉砕を掲げるのは今やわれわれだけだ。菅内閣打倒の必死の訴えこそ必要だ。それを開始しなければ、ギリシャのような情勢はつくれないし、逆に公務員労働運動は叩きつぶされてしまうのである。この課題こそ急務の課題だ。全国の部会会員が全力で組織化に向け闘おう。

自治労本部の「新しい公共」 に向けた「グランドデザイン」運動を粉砕しよう

 自治労本部は、民主党・連合政権を支えるために自ら政策・法案を作り提案する立場に転換し、自治体労働運動を産業報国運動に変質させようとしてきた。国家財政破綻を自らの存亡にかかわる問題とし、その突破をかけて「地域主権改革」推進と「持続可能な日本社会のグランドデザイン」構想を打ち出し、そのもとで「公共サービス基本条例制定」「公契約条例制定」「指定管理者制度の抜本的見直し」に取り組む方針を掲げた。そして自治体の事務・事業=「公共サービス」にNPO(非営利活動団体)や民間事業者(=資本)を全面的に引き入れる「新しい公共」の推進を提案してきた。
 「新しい公共」概念は、90年代後半から御用学者が提唱し始め、05年総務省文書『分権型社会における自治体経営の刷新戦略――新しい公共空間の形成を目指して』において明示に打ち出されたものだ。自治労本部はこれをあたかも市場原理主義、新自由主義と一線を画す概念であるかのように使い、「質の高い公共サービス」運動と一体で、21世紀宣言路線での転向を現場レベルで貫徹していくための路線としていくのだ。そのもとで07年岩手大会における現業闘争における「直営堅持」放棄への踏み込みと「職の確立」への特化が強行された。彼らは結局、「新しい公共」に向けて、自治労運動全体をも現業・非現業あげた「グランドデザイン」運動に引きずりこもうとしているのだ。

参院選 江崎に不信任の断! 今こそ本部打倒の嵐を!

 しかし、参院選に示された連合傘下の現場組合員の怒りと不信はすさまじい。連合をとおした日帝の階級支配の根幹が揺らぐ事態だ。今回、参院選の自治労組織内候補・江崎孝は13万3千票で過去最低水準となった。前回参院選で相原久美子に投票した50万7千票のうち4分の3の現場が江崎を選択せず、不信任を突きつけたのだ。われわれが、江崎こそ自治労本部労働局長として「公務員賃金2割削減」標準賃金表提案の脹本人だと暴露してきたことも決定的だった。
 03年横浜大会における「21世紀宣言」否決、07年岩手大会における「直営堅持」放棄への怒り爆発に続く大激震に転化し、今こそ自治労本部打倒のランク&ファイルの嵐を巻き起こそう。
 全国には、まだ闘える、戦争は絶対いけない、本部方針をのりこえて動労千葉のように闘おうという闘う労働者がたくさんいることを示している。一切の展望がここにある。勝てるのだ。
 日本において百万の労働者の組織化がランク&ファイル運動としてできるかどうかの分水嶺にある。世界の労働者の闘いはそれが可能だということを告げている。アメリカ、民主労総、ブラジルのコンルータスなど11月集会派の国際連帯は陣形を深化・拡大している。8・6広島、8・26〜27自治労第82回定期全国大会(徳島)闘争に向けて〈支援する会〉組織化に全力を挙げよう。その全過程と徳島大会会場でも結集を呼びかけ、全国1千人会員を実現しよう!

全国に拠点建設を!

 その陣地としての拠点建設が重要な課題だ。どこに動労千葉派の旗があるのか。全国の闘う労働者は必死に誰が自分と最後まで闘うのか眼を皿のようにして探し求めている。全国1千人会員、拠点の建設、自分の職場から〈支援する会〉の結成が今求められている。全国の部会の皆さん、その先頭にわが自治体労働者部会が起とうではありませんか。

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■闘う合同・一般労組

東京西部ユニオン鈴木コンクリート分会第2回定期大会が大成功

東京西部ユニオン

6人の新たな団結を闘い取る

 昨年7月5日の結成からちょうど1年目の7月4日、一般合同労働組合西部ユニオン鈴木コンクリート分会の第2回定期大会が、都内で開催されました。西部ユニオンの組合員を中心に、来賓の方を含めて30人が結集しました。
 佐藤重夫副分会長が司会を務め、鈴木善弘・田口守両分会組合員が議長に選出されました。
 冒頭あいさつで、内尾稔分会長は、1年間の激闘に継ぐ激闘の中で、組合分裂を経て、6人の新たな団結を闘いとり、そしてこの団結をもとに闘って来て、今や鈴コン分会の闘いが動労千葉の闘いと同じなんだと自信を持ってくる中、この日の第2回大会を迎えていることを確信をこめて宣言しました。
 来賓あいさつで、動労千葉の川崎執行委員は、大失業時代の典型的な資本の攻撃と日々闘い、団結を守りぬく鈴コン分会を讃え、6月13日にスタートした国鉄大運動を共に担ってくれるよう、熱いエールを送って下さいました。
 西部ユニオンの大西書記長からは、「とうとうわがユニオンに拠点ができた。ユニオンの宝でもある。全員が鈴コンの闘いに学び、自らの職場で闘い抜こう。大会の成功を共に勝ち取ろう」とあいさつがありました。
 佐野執行委員からは、「国鉄分割・民営化以降、労働運動がつぶされてきた歴史の中で、鈴コンの闘いは新しい闘いとしてつくられてきた闘いだと思う。大恐慌の時代、労働者は仲間をつくり、団結した組合をつくっていくしか生きられない。嵐のような1年だったが本当に腹を据えてやればできることをはっきりさせた。西部ユニオンが8年経ってたどり着いた地平だ。胸を張って人間としての筋を通せば仲間が増えることを証明した。どんどん仲間を増やせ!」と激励がありました。

鈴木経営への積年の怒りの 決起としての分会結成

 議長から大会に寄せられたメッセージが紹介された後、いよいよ議案提起に入り、総括を内尾分会長が、情勢を佐藤副分会長が、方針を吉本分会書記長がそれぞれ提起しました。
 総括においては、分会結成以前の鈴木一族の独裁的経営の中、正社員が声もあげられなくなり、とうとう大幅賃金カットに至ったこと、自分たち3カ月雇用のアルバイト契約社員に対する差別待遇への積年の怒りと、更なる賃下げや日給立ての中での週休2日制導入・定年導入の策動への「このままでは殺される」という怒りを胸に仲間が集まり、10名で分会が結成されたと、やむにやまれぬ怒りの決起が総括されました。
 10名の怒りの団結の前には無法は通用しないこと、しかし資本は無法を認めつつも、労働者には決して謝罪などしないこと、これに対する怒りがさらに団結を強めること、も明らかにされました。2回目の団交に向かって組合員が増え、順法闘争が全員腕章を着用して毎日続けられる所まで団結は強まったのでした。この順法闘争が現在もなお闘い続けられていることが、総括のベースに座って語られています。
 鈴木経営は、60歳定年策動を撤回したにもかかわらず、組合破壊のためだけに10月8日に、田口組合員を見せしめ解雇しました。しかも資本による明確な組合破壊策動の一環だったのです。

第2組合結成の裏切りとの闘い

 実は、当時の分会長と副分会長の一人に対する取り込みと裏切りが、同時に行われていたのです。解雇に対してストライキで闘おうと話し合われていた裏で、「このまま行ったら、みすみす首になるようなものだ」「会社とは絶対非和解では闘えない」などと分会書記長までも巻き込み、11・1全国労働者総決起集会登壇直後の11月4日の分会会議には、「第2組合を作って会社と折り合いながら交渉して行こう」と言い、あらかじめ用意されていた脱退署名が回されるという許しがたい裏切りと組合破壊攻撃が行われたのです。
 本部の事情聴取に2人は開き直り、社長と連絡を取っていたことを認めました。直ちに本部ビラで暴露し徹底的に弾劾しました。
 11月10日、いよいよ田口さんの解雇当日を前にして、2組を作って会社と交渉すると言っていた連中は、解雇について一切口にすることなく当日を迎え、田口さんに「お疲れさま」の一言もかけませんでした。見せしめ解雇を強行した資本に対して、尻尾を巻いて屈服するのか否かが問われました。
 「2009年11月10日、われわれ分会員はこの日を二度と忘れない」「労働者は必ず決起するということが2度起こりました。目の前で田口さんが解雇される日に何故みんなは田口さんと共に闘えないのか、と組合の腕章を付け仲間が立ち上がりました。それが、今の鈴コン分会の仲間6人です」「これはまさに国鉄1047名解雇撤回と同じ闘いです」
 ここにおいて新たな団結を築き直した6人は、自分たちの闘いが、まさに動労千葉と同じ闘いであることをつかみ、その後の闘いを通じ、より強く確信を深め、今まさに揺るぎない団結で闘っています。

「全員が分会長だ」――新たな団結で切り開かれた展望

 徹底的な討論を繰り返し、満を持して、12月22日、労働委員会に申し立てを行い、組合破壊に対する怒りと勝利感を持ってパンフレット『俺たちは奴隷じゃない』を発行しました。
 新たな団結で結ばれた6人は、田口さんの解雇を通して、資本と非和解であることをはっきりとつかみ、心から動労千葉の闘いと同じだ、世界中の労働者の怒りはひとつだ、団結すれば勝てるんだ、とつかみきりました。
 会社は、団結さえ破壊できればいいとばかりに、不当労働行為を繰り返していますが、組合の強固な団結と全従業員から信頼を勝ち取っていることへの恐怖の表れです。3月の36協定をめぐる闘いは全従業員を巻きこむ闘いになり、会社の卑劣な不正義が全従業員の怒りに新たに火をつけました。元組合員の再獲得と新たな組合員獲得の展望が切り開かれています。
 情勢の提起では、大恐慌下、世界は革命情勢という時代認識に基づき、世界情勢から鈴コンをとりまく状況まで展開されました。
 方針提起は、〈@田口組合員解雇撤回、現職復帰。国鉄1047名解雇撤回 A反合・安全闘争。順法闘争、労働委員会闘争 B非正規職撤廃、派遣法撤廃 C組織拡大・組織強化・労働組合運動の復権〉の4本の柱が提起され、職場の闘いを基礎に据え、国鉄大運動の先頭に立ち、11月1万人集会に向けて全力で闘い抜く方針が圧倒的に確認されました。
 議案討議の全員発言では、ひとり一人が、鈴コン分会の闘いと団結の中で、自己変革し、指導者として目覚めていったことを自己解放的に語り、労働者は本気になれば変わることのできる存在なんだと口々に訴えました。職場での労働者を毎日、変わったことはないかと丁寧に見て、団結に結び付けようとしている様子も語られました。
 分会規約の決定、決算・予算、スト権の確立、役員選挙まで6人の分会員が強固な団結力を発揮して見事にすべてを取り仕切りました。内尾分会長が「全員が分会長だ」と言った通りです。
 大会は大成功に終わり、新たな職場闘争が開始されています。
 参加者全員が新たな闘いの決意を打ち固めました。共に闘いましょう。

 

 

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ひめじょおん−女性部から

●女性部は国鉄大運動を闘う 自治体労働者 大畠信子

 「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」の先頭に女性労働者はたとう! 7月11日に開催した東京女性部第16回総会では、大恐慌情勢下の今、この運動こそが労働者解放の道であると総括し、方針化しました。
 私も「動労千葉を支援する会・三多摩」の共同代表の一人として絶対この運動を職場に広めたいと決意しています。
 4月9日に出された「国鉄1047名解雇撤回闘争」政府解決案は、動労千葉と鉄建公団訴訟に加わらなかった労働者を除く910名に対して、@JRと争っている全訴訟の取り下げと解決案の機関決定 A不当労働行為や解雇撤回を二度と争わないこと BJRに雇用努力の要請はするがその保証はしないという3点を条件として幾ばくかの和解金を支払われて6月に和解しました。23年間解雇撤回で闘ってきた労働者が屈服させられる、こんな労働者への攻撃を許すわけにはいきません。
 6・13に開催された「国鉄闘争の火を消すな」の新たな全国運動は、あくまでも1047名解雇撤回を掲げ、動労千葉と国労の4名の決起を支援する運動としてスタートしました。
 世界大恐慌情勢下で、日本帝国主義は4年間に首相が毎年代わり、議会政治すら維持できなくなっています。自民党でも民主党でもだめ、膨れ上がった国家予算の借金は1千兆円を超え、GDP比率ではギリシャ以上の危機に直面しています。この危機を突破し、資本主義体制を打倒する闘いは、労働者階級の団結以外にはありません。
(写真  動労千葉を支援する会・三多摩結成集会【6月27日 東京・八王子市】)

中野顧問の遺志を引き継ぐ闘い

 中野顧問が『甦る労働組合』で次のように言っています。
 「マルクス主義というのは、労働者階級を獲得し解放する思想だ。だから労働者の持っているエネルギー、力の素晴らしさや、一人の人間が本気になったときにどれだけ強い力を発揮するか。こうしたことが、いわばマルクス主義の根底にある。……民主党に一票でも投じればなんとか世の中、良くなるんじゃないかと思っている人もいる。共産党に投票すればいいという人たちもいるかも分からない。みんな、党派にやってもらうというようなことだ。……そこには世の中を変えていく主体が存在していない。マルクスの思想はそれとは根本的に違うわけだ。世の中を変えていく主体は、やはり労働者階級の団結だということをマルクスは言っている。労働者が団結すること、それで闘うこと。このことが世の中を変えることだ、労働者にはそういう力があるんだということを、強力に言っているわけだ」
 全くそのとおりだと思います。今の社会の根本的危機を解決することができるのは、「神」でもなく、一人の「英雄」でもなく、議会の政治家でもなく、労働者の団結と闘いに歴史を変える力があるということを確信して取り組みたいと思います。
 また、戦前の「産業報国会運動」に転落した労働運動をどうのりこえるかということが、戦後労働運動の課題としてありました。そういう意味でも動労千葉をはじめとした1047名解雇撤回闘争は、戦前の侵略戦争を担わされた労働運動(具体的には自治体労働者は赤紙配り、教育労働者は教え子を戦場に送る)を歴史的にのりこえる闘いです。
 道州制=公務員360万人の首切りは、民営化攻撃や人事評価導入で労働者を分断、団結破壊するものです。国鉄大運動で職場の団結を作り、職場闘争を組織していきたいと思います。

 

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■動労千葉労働学校で学ぼう!

 6月26日に行われた第10期労働学校実践講座(テーマ「反合・運転保安確立のたたかい」 講師 布施宇一動労千葉顧問)の受講生の感想文を紹介します。

●電機労働者

 楽しくて、しかも中身の濃い講義でした。現場の労働者と面と向かって様々苦闘した経験にもとづいた組合活動のあるべき姿は、実に活き活きとしていて迫力のあるものでした。講師自身が緻密な、愚直な運動の重要性をくり返し言及されたとおり、楽しい話の展開の裏には、十分な準備がなされていると思いました。
 何よりも自分の周りの仲間の労働者を信じること、相手と対話することの中から運動をつくっていくこと、まさに愚直な活動のくり返しこそが組合団結の源泉であることを教えていただきました。ありがとうございました。(後略)

●医療労働者

・超感動しましたあー!! 医療の民営化による労働強化でヘトヘトですが、今日は俺鉄本などでファンだった布施さんの講義だから行かなきゃと思って来て大正解でした!!
・「どこの現場でも日常的に資本への怒りが地下のマグマみたいにある!! みんな腹の中では事故の原因は当局だ!って思ってる」−その通りだ!!
・私がやるべきことは、今、現場で事故が続発している構造(民営化―利益優先のため患者さんの回転を速くしたり、IT産業が儲けるための電子カルテ導入で業務量が増えている。それを労働強化でこなさせようとするから事故が増えている)(そしてその背景には資本主義が成り立たなくなった経済背景があり、この先にはなんの見通しもない。資本家のつけを労働者が払う必要はない。ふざけるな)を鋭く提起することだと思った。(後略)

●郵政労働者

 中曽根が民営化にしてから、いかに安全が軽視されたのを理解できた。それは資本にとっては、安全のために使う金をもったいなく、それを自分の利益にしたい。ただそれだけのことである。それなのにミスをしたら、本人の責任として片付けてしまう。とんでもないミスが起きるのは民営化を強く押し進めて労働者の賃金をうばう資本家そのものであり、JRがそのようなことをやっているということを学べた。
 それなのに働いている職場と同じように見せかけの労使安全委員会があり、いかにも安全に対しては考えているというところは、残念ながら同じである。(中略)
 また、質疑応答で組合が弱いと小さなミスでも処分が乱発されるということが分かり、資本家、管理者に強く物が言えることがどれだけ大切であり、そのことが労働者の地位の向上と生活の向上になるということも考えさせられた。

●合同労組組合員

 合同一般労組の職場においては、組合づくり、分会づくり、仲間づくりを1人〜2、3人の組合員のところからはじめなければなりませんが、その武器になるのが、やはり反合運転保安闘争だと思います。人間、労働者がミスをするのは当たり前であり、職場に大小の事故は常にあります。常にミスは当たり前という雰囲気を労働者の職場の中につくっておくのも必要。利潤追求のみが資本の使命であることを明らかにしておくこと。儲けのためには金を使いたがらない本質。(中略)
 事故を起こさせないですむ余裕のある仕事を組めという要求は、完全に資本の論理とぶつかります。このことを常に仲間に明らかにしておくことも必要。ひとつふたつのミスがあっても事故につながらないように対策、しくみ、装置を設置させる、等が必要など、布施さんがおっしゃったことを常に明らかにしておく。分析し、暴露し、仲間と共有しておくことが事故が起きた時、仲間づくりに生かせると思いました。
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第10期労働学校日程

■基礎講座
 8月21日(土) 13:00〜
 ◆資本主義とはどういう社会か
 ◆講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)

■実践講座
 8月28日(土) 13:00〜
 ◆改憲阻止闘争について
 ◆講師 山俊吉(弁護士)

■場所
 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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OVER REV 青年労働者は団結してたたかおう!

郵政「疎外された労働」現場でささやかな反逆開始

JP労組組合員 薬丸 敏和

 全国の闘う仲間のみなさん。私は、いま『ゆうパック大破綻』の渦中で、首都圏N郵便局の集配課で働いています。日頃は赤バイクですが今は猛暑の中で自転車で配達しています。
 民営化以来、N郵便局は『N支店』が正式名称だといいますが、とても認めがたい実態です。 私は『総務主任』という役職です。決してなりたくてなったわけではありません。(現場はまだまだ健全で、現在、ほとんどと言っていいほど、総務主任への昇進を勧められても現場は断っているのが実態です。)4年前に慣れ親しんだT局で、強迫まがいに昇進させられ、現N局に転勤させられました。それ以降、やっぱりおかしいと、繰り返し「降格願」を出し続けていますが、いまだに受理されずに今日に至っています。
 さて、なぜ猛暑の中で自転車での配達か。それはゆうパック破綻、民営化破綻の結果です。ペリカン便吸収統合の大混乱が続く7月初め、私は連日13時間位の労働の中で、仕事中に自転車と接触する事故を起こしました。怪我はなかったのが幸いでした。
 問題はそこからです。『始末書』です。郵便事業会社社長の鍋倉は、「ゆうパック破綻は現場職員の不慣れが原因」との発言で、全国10数万の郵便労働者から総スカンです。そういう真っ只中で、私の事故についても、わが課長は『始末書』の提出を求めてきました。少し緊張しつつも腹を決めて、「書けません」と断りました。意外とスラッと出ました。
 課長は、「では『始末書』を出せない理由を書いて出せ」と言ってきました。では、とばかりに、私は翌朝『始末書提出拒否』の文書を出しました。「民営化以来の業務破綻に加えお中元、選挙関連さらにペリカン便統合失敗のパニックの中で、事故が起きたら労働者の責任というやり方は認めがたい」などを書きつらねました。この際ですので、総務主任にさせられたいきさつまで弾劾して。なおせっかくだからと、提出とともにコピーして、班のミーティングで皆に配りました。
 それからは予想を少し超えることが起きました。今度は課長が文書の配布を問題にし、「書いてある事が非常に組合的(!)だ、しかも配布したそうじゃないか。勤務時間中の組合活動の意図はあったのか?」などと言ってきました。よくよく考えると「アンタが理由を書けと言ったんだろ?」と言ってやっても良かったんですが。
 しかし現実はキツイ。「事故の当該は、(懲罰的に)自転車で仕事をして貰います」と言うのです。思わず「能率を下げるのは管理者の仕事?」と聞いてしまいましたが、何と「安全はどの業務より最優先」だと! もっとも「(懲罰的措置は)皆一律で、君だけ特別には出来ない」が本音のようです。それから毎日この炎天下を自転車配達の日々です。課長の言う「安全が最優先」を「ウソつくな!」と呪いつつ。
 ともあれ「事故は労働者の責任じゃない」闘争の諸先輩に続くことになりました。そして国鉄闘争の人材活用センターのことを少し(肉体的にはかなり)肌身で実感する機会だとも思ってます。そんな中、筋肉痛に負けず、誇りを奪われないためにはやはり団結の拡大しかないかと。
 実は、私の始末書拒否への職場の様々な反応の中に、これまで見えなかった一人一人の労働者の息づかいがあります。まあ、この現場の苦闘は、かのJP労組推薦国会議員のなんば君には到底わかんねえだろなあ!

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●労働ニュース(2010年6月16日〜7月15日)

民主大敗44 与党過半数割れ

 第22回参院選は11日投票、即日開票された。民主党は44議席にとどまる敗北を喫し、国民新党と合わせた与党で過半数を大きく割り込んだ。
国・地方の負債1000兆円
 日本銀行が17日発表した1〜3月期の資金循環統計によると、国と地方自治体など行政機関が抱える09年度末の金融負債は、前年度末より4・8%多い1001兆円だった。
一括交付金 国が関与
 政府は21日、地域主権戦略会議を開き、改革の基本方針となる「地域主権戦略大綱」をまとめた。一括交付金は、自治体の自由度が後退し、国の関与の余地を大幅に残す記述となった。
JR不採用 最高裁で和解
 JR不採用問題で、組合員側が旧国鉄清算事業団の業務を引き継いだ「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に損害賠償などを求めた訴訟は28日、最高裁第3小法廷で和解が成立した。
失業率5・2%に悪化
 総務省が29日発表した5月の完全失業率は5・2%と前月に比べ0・1ポイント上昇した。
米軍再編 司令部の一部 沖縄残留
 日米両政府が米軍再編実施に向けて06年5月に合意した「再編実施のための日米ロードマップ」のうち、沖縄に駐留する米海兵隊約8000人のグアム移転について、米側が移転部隊の構成を見直す、と日本政府に伝えていたことが1日、わかった。
旧社保庁 離職者の再就職95人
 09年12月末で廃止された社会保険庁の離職者1159人のうち、政府の官民人材交流センターを通じて再就職した人が3月末時点で95人だったことがわかった。
65〜69歳男性 52%が働く
 独立行政法人労働政策研究・研修機構は5日、65〜69歳の男性のうち、52・0%が仕事に就いて収入を得ているとの調査結果をまとめた。
就職留年7万9000人
 6日の報道によると、卒業年限を迎えながら留年する学生が全国の大学で7万9千人はいると推計されることが、読売新聞の「大学の実力」調査で明らかになった。
「スト発生、今年は爆発的」
 中国の王岐山副首相は10日、北京で日本国際貿易促進協会の訪中団と会談し、日系企業で相次いでいるストライキなどの労働争議について「以前から累積している問題だが、今年に入って爆発的に起こっている」と中国全体で多発していることを強調した。
日航、大幅賃下げ提案
 日本航空は13日、大幅な賃下げとなる給与制度の見直し案を6つの労働組合に提示した。パイロットは一定の勤務時間分の賃金を保障する制度などを廃止して2〜3割程度、社員全体では平均で1割強の賃下げとなる見通し。日航は9月までに労組と合意し、年度内に賃下げする考えだ。
民主が憲法調査会を復活
 14日の報道によると、昨年の政権交代を機に廃止された憲法調査会が、改憲に前向きとされる枝野幹事長や玄葉政調会長ら現執行部の意向で復活することになった。
日米欧 長期失業1600万人超
 14日の報道によると、日米欧で失業の長期化が深刻化してきた。日米とユーロ圏の長期失業者は昨年10〜12月期平均で1624万人と、前年の1・7倍に増えた。
郵政 正社員化、3万4千人応募
 日本郵政グループは14日、現在の非正規社員を正社員に登用する計画について、3万4098人の応募があったと発表した。対象者の半分以上が応募したことになる。
IMF「日本、消費増税を」
 国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する年次審査報告を発表し、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「11年度から段階的に消費増税を引き上げ、財政再建を始めるべき」と提言した。
求職者支援を増額へ
 15日の報道によると、厚生労働省は職業訓練中の失業者に生活費の一部を支給する「求職者支援制度」を来年度から恒久措置にするとともに、生活給付費を現行の基金事業より5000円多い月10万
5000円とする方針だ。

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■「しっかり仕事をするということが実力闘争」

反合・運転保安闘争の職場実践のために(上)

動労千葉を支援する会 樫見 一哉

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 目次

シニア制度との闘い
「しっかり仕事をするということが実力闘争」
職場丸ごとの闘い
幕張構内事故闘争
(以上本号)

動労千葉の職場闘争と国労協会派の現場協議制
生産過程を労働組合が支配する――職場支配権
の真の意味
(9月号)
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(写真 動労千葉10 春闘第2波スト・幕張車両センターを揺るがす抗議行動【3月1日】)

 今月号と来月号の2回にわたって、6月27日に行われた東京西部労働学校(東京西部労組交流センター、東京西部ユニオン呼びかけ)における講演録を加筆修正して掲載します。(編集部)

 反合・運転保安闘争を動労千葉の組合員たちが、職場闘争として具体的にどう闘ってきたのか? 外注化阻止闘争の最大の攻防点である幕張支部の闘いに焦点をあて、そこのところを見ていきたいと思います。そこでの特に中心的な闘いが、シニア協定攻防と幕張事故闘争の2つの闘いです。

シニア制度との闘い

 2000年から始まったシニア制度というのは、定年後の再雇用を人質に取って、業務の全面的な外注化を労働組合に認めさせようという攻撃です。それで動労千葉はシニア協定を拒否するんですが、実際には3年目までは組合から脱退者が出るという大攻撃でした。
 このシニア制度において最大の戦場が、幕張支部のある幕張車両センターでした。幕張支部は、このシニア攻撃に対して徹底的に職場闘争を闘い抜きます。
 具体的には「新保全体系」合理化の02年4月実施をめぐる攻防です。「新保全体系」というのは車両検査体制の抜本的な改悪で、まず検査周期を3カ月に1回の交番検査を年1回に延伸ですることで要員を削減するというものでした。それと同時に16時までかかっていた仕事を15時までに終わりにする仕事ダイヤをつくって、15時以降を別な仕事に回すとか、5人でやっていた仕事を午後から2人にするといった徹底的な労働強化を強いる攻撃でした。
 これに対して幕張支部は、02年2月下旬から時間外労働・休日出勤を拒否する「非協力闘争」に突入します。この「非協力闘争」の核心は、絶対に仕事の手を抜かないというところにあります。合理化とは結局は労働強化であり、「手を抜いた仕事をしろ」ということです。だから職場に監視が来ても毎日「この人数では仕事は終わらない」と言って仕事を遅らしていく。「15時までに終わらせろ」という仕事を17時までかかってやる。順法闘争と同じです。
 検査の仕事には検査と消耗品の交換の仕事があるんですが、実は当局は検査と消耗品の交換を別にして、消耗品の交換を外注化してシニアにやらせようと考えていました。つまりシニア制度も、外注化も、新保全体系も、全部つながっているわけです。
 ところが決まった時間に仕事が終わらないと、外注会社に仕事を回すことができない。職場でしっかり仕事をやって遅らせたから、外注化も進めることができないわけです。結局「検査の要員を3・5人に削減する」と言っていたのを、動労千葉は闘争して、逆に7人に増やさせるというところまで力関係を押し返しました。

「しっかり仕事をするということが実力闘争」

 「しっかり仕事をするということが実力闘争」。これは『俺鉄3』のなかに出てくる言葉ですけれど、動労千葉の闘いの核心を見事に現場の言葉で言い表しています。仕事は絶対に手を抜かない。手を抜かなければ遅れる。要員を削減できなくなる。
 問題は「しっかり」ということの意味ですが、「自分の仕事に誇りを持てる」ということだと思います。
 別の組合員はこうも言っています。「仕事はきっちりやる。これが組合運動の基本。幕張でやっている検修は、間違いなく東日本で一番いい仕事をしていると自信がある。そうだからこそ当局に対してもばんばん言えるんだよ」と。
 資本は労働者が「しっかり仕事をする」ことを許しません。なぜなら、労働者に「しっかり」仕事をされたら、資本は儲からないからです。だから闘わなければ「しっかり」「誇りを持てる」仕事はできないということです。
 中野顧問はよく「自分の仕事に誇りを持てない労働者は、団結もできない」と言っていました。また中野顧問は『甦る労働組合』で一番言いたかったことは「労働者の誇り」だとも言っています。合理化攻撃は、実はこの「労働者の誇り」を破壊する攻撃であり、だから最悪の団結破壊攻撃なのです。
 よく「資本とは非和解だ」と言います。ところで、資本と具体的に何が非和解なのでしょうか? それは労働それ自体をめぐって非和解だということです。ネジ一本の締め方それ自体をめぐって、宅配の仕分方それ自体をめぐって、医療カルテの書き方それ自体をめぐって非和解なのです。
 この労働のあり方それ自体をめぐって闘われるのが、労働組合運動です。だから資本はマル生や働こう運動といった形で、資本の利害に沿う形で労働を組織しようとするわけです。だからマル生闘争で示された通り、労働組合がここで勝たなければ、団結も守れないのです。
 とりわけ国鉄分割・民営化と総評解散以降、労働者の団結がすでに激しく破壊され、労働が過労死するレベルまで強化されている今日においては、「しっかり仕事をする」ということは、具体的な労働を通して「奪われた労働条件を奪い返す」闘いでもあります。もっと言えば、労働それ自体が資本に対する最大最強の武器だということです。
 ここで国労協会派との実践や考え方における違いについて明らかにすることが重要です。『俺鉄3』のなかでは次のように言っています。
 「国労は今でも仕事を早く終わらせてさっさと帰るけど、そうしたら要員を削減できるから当局は喜ぶんだよ。だけどうちの組合員はきっちり仕事をやって、遅らせる。そうすると若い平成採用が『すごいですね』と感心して首を突っ込んでくる」
 協会派スターリン主義の特徴として「仕事をやらないことが実力闘争」というのがあります。なぜなら「資本の下での労働は、奴隷労働だから」と。これに対して動労千葉は「しっかり仕事をすることが実力闘争」。なぜなら「全ての価値は、労働者がつくりだしているから」と。
 動労千葉というのは、搾取されていても、疎外労働でも、やっぱり「社会を動かしているのは労働者なんだ」という考え方を強烈にもっています。ここに動労千葉と協会派スターリン主義との思想的実践的な分岐点が決定的に存在しているのではないかと思います。
 そして「全ての価値は、労働者がつくりだしている」という思想を、現場労働者を主語にして語ると「しっかり仕事をすることが実力闘争」という実践になる。ここにマルクス主義を労働者の手に取り戻すということの核心問題がはらまれていると思います。

職場丸ごとの闘い

 よく「動労千葉は国労みたいなバッジ闘争はやらない」と言います。何人かの活動家がずっと処分を食うだけでは、会社は痛くもかゆくもない。みんなで外したり着けたりしてこそ、会社はダメージを受けるんだと。
 国労協会派のバッジ闘争に対して、動労千葉にはワッペン闘争というのがあります。動労千葉の職場闘争に対する考え方を理解する上で非常に重要です。
 安全週間に付けるワッペンなんですが、組合員には「こんなもの、着けられるか」と言う人もいる。逆に「これを外したからといって、何になるのか」と言う人もいる。だけど、ひとりひとりが勝手に着けたり外したりしていたら、会社は痛くもかゆくもない。処分すればいいだけですから。だからそうではなくて、全員で「今日は着ける」「今日は着けない」と。一斉に着けたり外したりする。
 このように動労千葉の職場闘争というのは、どんな些細な闘いでも全組合員が見事に足並みを揃えて、資本に対峙していく。そしてこれが資本にとっては一番痛いわけです。
 よく「絶対反対」だと言います。ではなぜ「絶対反対」なのか? それは条件闘争になると現場が分裂するからです。だから「無条件で反対する」ということなんです。現場が団結して闘うには「絶対反対」しかない。だから戦後の労働運動の歴史でも、ネコもシャクシも取りあえずは「絶対反対」だと。
 ところが実際に「絶対反対」を本当に貫けた労働組合は、動労千葉以外はほとんど存在しない。なぜなら、職場丸ごとの団結がなければ「絶対反対」は貫けないからです。活動家だけが闘い、活動家だけが処分される。これが今日の労働運動の現実であり、この壁を突破することが動労千葉労働運動の核心のひとつであると思います。
 『俺鉄3』では、動労千葉の組合員はこう言っています。
 「当局や他労組を相手にしているより、自分の組合員を相手にする方がしんどいね」「そこが一番大事なところだよ。他の労働組合はそこで負けるから、腐っちゃう。組合員をまとめられないから、当局にも負ける」「立派な方針だけつくっても、支部全体の闘いにならなければ逆に足下を見透かされてしまう。組合の団結とはそういうものだから」と。
 つまり組合と組合員に責任を取りきるということです。そのためには、路線だけではなく、やはり人間関係、「義理・人情」ということも強烈に問われてきます。
 むかし国鉄というのは、シベリアや中国で抑留されて帰ってきた労働者が多かった。しかも戦後革命の2・1ゼネストで日共にまた裏切られる。それで言った言葉が「『日の丸』も赤旗も、旗を振るやつはみんな同じだ」と。うまいこと言うものです。
 ある日、滝口誠さんが仕事が終わって職場で古参の組合員と風呂に入っているときの話です。いきなり「お前はソ連がどんな国かわかってんのか」と木の桶で頭をぶん殴られる。それで「違うんだ。反スタなんだ」と言ったら「そんなのわからねえ」ともう一発頭を桶でぶん殴られたと。
 で、どうやって獲得していったのかと言うと、結局は「党派を信じるんじゃない。お前とお前の闘いを信じるんだ」と。これは殺し文句ですよ。だってこう言われたら「今回はチョット党派の事情で裏切らせてください」なんて話は通用しないわけですから。
 こういう義理・人情も含めた、組合と組合員に責任を取りきる苦労を通して、動労千葉の団結はつくられてきたわけです。
 それで結論として、幕張支部が外注化を阻止した力とは何だったのか? ハッキリ言えば「しっかり仕事をする」闘いを、職場丸ごとの闘いとしてやりぬいた。これが外注化を阻止した根底的力だと言えると思います。こう言うと、反合・運転保安闘争の教訓がそんなので良いのかと思うかもしれません。しかし反合・運転保安闘争というのは技術や戦術ではない。もっと根底的なところに核心があるのです。だから戦後労働運動の限界を突破する力もそこにあるのだと思います。
 ところでこのシニア制度の顛末です。動労千葉が検修・構内業務の外注化を阻んだ結果、検修職場の要員が足りなくなります。その結果05年12月には、強制配転者14人の運転職場への復帰を勝ち取ります。
 さらに06年には、シニア制度そのものを粉砕します。実は、あまりの低賃金と労働条件の酷さに希望者が激減してしまうわけです。そこに高齢者雇用安定法の改定が重なります。高齢者雇用安定法の改定というのは、「何らかの雇用延長制度を労働協約で定めなさい。労使の合意が得られない場合は就業規則化しなさい」というものです。それでJR東では、動労千葉がシニア協定を拒否したため、就業規則化せざるを得なくなる。就業規則には「労資で外注化を推進する」とは書けない。だから純粋な再雇用手続きになってしまった。結局、動労千葉がシニア協定の妥結を拒否したことが、JR東全体のシニア制度を粉砕してしまったのです。

幕張構内事故闘争

 06年4月6日に、車両の検査・修繕を行う幕張車両センターの構内で脱線事故が発生します。入換信号機を冒進して、あわててバックさせたために脱線して、洗浄機を壊して、入区してきた列車にもぶつかった。
 そもそも、昔から「事故が一番多いのは構内だ」と言われてきました。保安装置はない、業務量が非常に多い、入換作業は複雑、要員はいない。入換信号機の冒進でポイントを割り出すことも何度も繰り返されていた。特に事故の起きた箇所は、洗浄機の動作ランプの手前に入換信号機があり、つり込まれる危険性を指摘し、以前から改善を組合側が求めてい箇所なのです。
 ですから「組合が問題にしてきたにもかかわらず、入換信号機冒進に対する安全対策を放置し続けた会社の責任だ」と、当該運転士への処分に対する処分粉砕闘争に動労千葉は立ち上がっていきます。
 実を言うと、すぐには「事故の責任は会社にある」とは言えなかった。しかし本部が「断固として闘う方針を決定した」と職場に伝えた途端、雰囲気が一変するわけです。支部代表者会議では、「こんな事故を起こしただけで解雇されることになったら、もう運転士なんてやっていられなくなる」「全組合員でストに入ろう」と、全組合あげて処分粉砕闘争に入ろうということになります。
 合理化の反労働者性は事故に集約されます。ですから「事故の責任は会社にある」と組合が労働者の怒りを集約するとき、事故に対する鬱屈した怒りが公然たる怒りに組織され、当該の労働者を守るための闘争が労働者の誇りとなるのです。
 そして現場が本気になったら、どんどん知恵が出てくる。当局の問題点もどんどん暴かれていきます。何より、安全衛生委員会で3年前から動労千葉が「南引き上げ線にATSを設置してほしい」という要求を出していたのに、それを当局が握りつぶし、安全衛生委員会の議事録のその箇所だけが一行空白にされていた事実が明らかにされます。これで主導権が完全に逆転しました。
 ピンチに立たされた当局は、事故を「職場規律問題」にすりかえて巻き返しを図ります。6月10日から、連日25人もの管理職を幕張に張り付けてきます。
 これに対して幕張支部は、組合の側から「1通告・1作業」を実践し、当局の弱点を攻め立てて闘い抜きます。
 当局は「1通告・1作業」できっちり仕事をしたら要員が減らせなくなるから、基本どおりにやっていないことを承知で放置してきました。何より、今の助役はろくに現場にも来ません。だから、どういう仕事をやっているか全然わかっていないわけです。だから当局には「1通告・1作業」という作業ダイヤを具体的に指示することもできなかった。
 結局は、組合が会社に代わって「1通告・1作業」という作業ダイヤを管理運営することになります。この過程は、幕張車両センターの生産過程を労働組合が完全に支配するという事態になります。資本にとって震撼すべき事態です。
 この闘いの結果、最終的に「問題は管理体制の側にありました」と千葉支社に言わせ、闘いは勝利します。8月末には、当局がATS―Pを設置することなどを回答してきます。そして当該運転士には、9月29日に出勤停止15日の処分が出されます。 (次号に続く)

 

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●読者のページ

●朝鮮侵略戦争切迫情勢と対決する8・ 集会へ!

 8・15集会実行委員会 事務局 N
 
 戦後65年目の8月15日を私たちは未曽有の大流動のまっただ中で迎えます。
 こういう時代だからこそ、団結した労働者の力が歴史を動かす、そのまたとない情勢を迎えました。労働者が、職場での闘いを徹底的に土台としながら、反戦政治闘争に打って出ること、職場闘争と反戦政治闘争を一体のものとして闘うことが今ほど求められている時はありません。
 今年の8・15集会は「朝鮮戦争反対! 菅政権打倒! 民権201
0」─国益と排外に憲法は屈するのか─と題して行われます。「6・2政変」による菅政権の成立の意味、戦争と改憲の攻撃の切迫性を明らかにし、菅政権を打倒し民権を実現する、すなわち「労働者に権力をよこせ」という闘いに本格的に挑戦するということです。
 したがって、職場で反合・運転保安闘争路線を実践し、国鉄闘争全国運動を闘う仲間を拡大し、そのことと一体で、職場から8・15の集会に仲間を参加させることに挑戦しよう。とりわけ交流センター会員は青年労働者をこの集会に結集させることに全力をあげよう。
7・11で菅政権に大敗北を強制
 07年8月のパリバショックから3年。破綻した新自由主義。しかしそれを貫く以外にない帝国主義が、より大きな破綻を激成しています。世界中で失業と貧困が拡大し、労働者のスト、ゼネストがまき起こっています。各国の国家財政の破綻は市場と資源をめぐる帝国主義間の対立を激化させ、G8でもG20でもなんら統一的な方針が出せないほどの事態になっています。
 日本では改憲国民投票法成立から3年、昨年自民党打倒の「8・30」を経て民主党政権が誕生。小沢―鳩山政権は「いつでも改憲ができるように」と、国民投票法を5月18日施行しました。自民党であろうと、民主党であろうと、日本帝国主義としての生き残りは「改憲と戦争」の道以外にないということです。
 その鳩山・小沢の対米対抗路線も行き詰まり、労働者人民の怒りにさらされ、結局「6・2政変」で打倒されるというめまぐるしい情勢です。「6・2政変」の本質は、危機に立つ日帝ブルジョアジーが、こうした「小クーデター」の連続をもって日帝支配体制を戦時臨戦態勢に変えていこうとする攻撃です。菅政権はブルジョアジーにすりより癒着することにより成立しましたが、労働者人民は直ちに見抜いて7・11で菅政権に大敗北を強制しました。
戦争と改憲の菅政権を倒そう
 日帝の政治支配はまさに崩壊しています。危機に立つブルジョアジーと菅政権は、新自由主義路線(公務員360万首切り・民営化・労組破壊)を凶暴に貫くことをとおして、日帝の戦争と改憲の攻撃を激化させていく政権です。
 私たち8・15実行委が今年の8・15集会の骨子を決めた5月末は、韓国イ・ミョンバク政権が哨戒艦沈没の原因は北朝鮮の魚雷によるものと公式に認定し、米帝がそれを支持、鳩山政権が沖縄辺野古への基地移設を決定し日米共同声明を発表した直後でした。
 私たちはそのことを、1994年のとき以上の朝鮮侵略戦争の切迫情勢ととらえ、真っ向から「朝鮮侵略戦争阻止!」を掲げた集会としてもつことにしました。
 ほぼ2カ月経った今もこの情勢の根本は変わりがありません。7月25〜28日、韓国哨戒艦沈没事件を口実に、米韓両軍が日本海で8千人を動員する大規模合同軍事演習を実施しました。これには米海軍原子力空母ジョージ・ワシントンも参加し、「北朝鮮とイランは核攻撃の対象」(ゲーツ米国防長官)と言って、北朝鮮・中国 への威嚇と戦争挑発を繰り広げました。
 オバマの核独占強化や日帝の核武装が浮上してきているのは、まさに戦争が切迫しているということであり、このこと自身改憲攻撃そのものです。今年の8・15は、労働者人民は断じてそれを許さないと宣言する集会です。多くの皆さんの賛同と参加をお願いします。
《要綱》
◆会場:牛込箪笥区民ホール(都営大江戸線「牛込神楽坂」駅A1出口より徒歩0分)◆森川文人さん(弁護士)「居直り菅政権を打倒し民権を実現しよう」◆西川重則さん(平和遺族会全国連絡会代表)「戦争と改憲に絶対反対」◆コント 松元ヒロさん「NO WE 菅(CAN)」◆特別報告 韓国・民主労総「日韓労働者のストで戦争を止める」◆動労千葉・田中康宏委員長◆「ブラジル・コンルータス第2回大会に参加して」動労千葉ブラジル訪問団◆発言「裁判員制度はいらない!大運動」/沖縄/青年労働者/学生/国鉄闘争全国運動◆会場費:前売り800円/当日1000円

●動労千葉夏季物販の取り組み

 中四国 市役所勤務 淵田 理

 市役所関係では介護保険課において、協力的な嘱託の方にまず個別に物販の話をした。そうすると「物販は楽しみにしている」ということだったので、物販カタログを渡すと、こちらは思ってもみなかったが「それでは(嘱託職員に)回しとくから」ということだった。
 しばらくすると、私の机の上に、嘱託職員6人のうち5人の名前が記入してあるカタログが置いてあった。前回は、昼休みに個別にカタログをみせて注文をとったのに比べ随分と楽になり、また余裕ができた。正規職員及び派遣職員については、いまのところ個別に注文をとっている。また、嘱託の方が物販はぜひ動労千葉から直接市役所に送るようにしてくれ、ということだったので、「市役所介護保険課有志」として注文した。
 佐川急便がきたのが、3時ぐらいであり嘱託職員も席についていたので、あたかも仕事の一環のように堂々と各自の分を袋に分けて、各席にもって行き現金をその場で回収した。さらに内線で別の部署の方に、「そうめんが届いたから仕事が終わり次第、帰りによるから、現金を用意しといてね」と伝えた。
 以上は、いわゆる勤務時間内ではあるが、誰も何もいわなかったし(北教組弾圧でいえば勤務時間中の組合活動にあたるのか?)、そんなことを言ったら、かえって言った人が変に思われるという状況になっていた。これが力関係というものだろうと思った。要は、物販を呼びかける私が堂々としておればいいだけの話である。この点は、私の世代はずっと少数派根性で孤立しながら半公然あるいは非公然でやってきたということが、理屈ぬきで身にしみついており、なかなか大変ではあるが少し発想の転換ができるようになりつつあるかなというところである。
 また、自宅のある団地ではじめて家族も物販を取り組んだ。これは今までになかったことであり、私としてはびっくりした。地元の中学校で仕事を一緒にした人という関係が生きたのだと思う。
 私があたった何人かから「和解」について聞かれた。タブロイド版や職場討議資料をわたして説明した。物販に積極的に協力してくれた人ほど、そうしたマスコミ報道に関心をもっているのがわかった。そのさい例えば「人材活用センター」について前提化しないこと。こちらの一方的な説明にならないことなど。相手と生きた交通をしないといけない。なにしろブル新すらとらない人が実際にいるのである。自分がわかっているということと相手にきちんと理解してもらうということには格段の違いがあるのである。この点、私の課題である。

 

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  読者の皆さん! 投稿をお願いします。強制するページではなく自主的に決起するところです。

編集後記

 最近ほおっと思ったこと。関西生コンのストライキ、参院選での自治労候補江崎の票のガタ減りぶり、加藤寛が78年段階でスト権ストと三里塚闘争を憎悪し、なくす決意を記していること(敵の国鉄分割・民営化の原点!)、公安手法による大相撲解体再編劇(う)

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Photo Document

6・28千葉 団結街道封鎖の暴挙を許すな!

成田空港会社(NAA)は人びとの寝静まった午前3時に、ついに団結街道の封鎖を強行した。ただちに天神峰の市東孝雄さんを先頭に反対同盟と現地支援の労働者・学生が結集し、この暴挙を徹底弾劾した。

7・2 東京 職場から全国大運動を!

東京・亀戸で「国鉄闘争全国運動・東京東部の会」の結成集会が開かれ、70人を超える結集で感動的な成功が勝ち取られた。動労千葉争議団の中村仁さんと国労秋田闘争団の小玉忠憲さんが熱く決意を語った。

7・4大阪 住民と労働者の団結で、新たな関空闘争を!

泉佐野市末広公園で「関空の米軍基地化阻止! 財政健全化計画絶対反対!」関西空港反対全国集会が185人の結集で大成功した。泉州住民の会と関西労組交流センターの2団体が共催し、新たな関空闘争を開始した。

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