「月刊労働運動」 2012年/06月/01日(No.267号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題

| ホーム | 月刊交流センター | 産別部会 | リンク | 連絡先 |

★PDF版はこちらです★

福島と沖縄を結び新自由主義と対決する「復帰」40 年5・12沖縄集会が400 人で大成功(5月12 日、那覇市民会館中ホ−ル)

・ ■5・12全国労組交流センター第24回臨時拡大全国運営委員会

・ ■物販闘争―支援する会の組織化こそ闘う労働組合再生の道 神奈川県労働組合交流センター

・ ■新自由主義と闘って勝てる!正規・非正規の分断を破った精研労組春闘スト

・■職場生産点のたたかいで新自由主義を粉砕する 全国労組交流センター・電通労働者部会

・■さらに団結を固め「呉市交通局民営化絶対反対」を貫く 植野 定雄 広島連帯ユニオン

・闘う合同・一般労組 ■JP新大阪支店で組合結成!

ひめじょおん−女性部から 自治体の徴収部門では…東京 自治体労働者 大谷 京子

■新連載 地平線 反戦共同行動委員会 北朝鮮ミサイル迎撃態勢で破綻を深めた野田政権

■新連載 Pick Up 2012年4月〜5月の労働運動関連情報

●マンガ /編集後記

月刊『労働運動』(K267号1-1)(2012/06/01)

■労働者の目 郵政民営化は完全に破産した

西田 貴広 常任運営委員 JP労組

 今や、郵政民営化は完全に破産しました。郵便事業は、赤字に転落し債務超過の危機にまで行き着きました。郵貯・かんぽ生命も、国債を買い支え、その利払いで利益を上げているだけです。民営化、規制緩和を推進すれば、国家の財政赤字も、郵政事業も安定するなんてウソもいいとこです。
 そもそも、新自由主義攻撃の実態をなす、民営化と規制緩和、労組解体攻撃は、その場しのぎの、無責任体制だということです。郵政資本とJP労組がやっていることは、「郵便事業の存続のために郵政労働者は犠牲になれ」だけです。赤字の経営責任などいっさい取らない郵政資本。それに協力してきたJP労組も同罪なのに誰も責任を取らない。責任を取らされているのは現場の労働者です。
 赤字体質からの脱却を掲げて、「郵便再生・バージョン1」でIT化と生産性向上・雇い止め攻撃、「郵便再生・バージョン2」で「成果主義賃金」と「班単位の収益責任制度」導入を始めとする大リストラ攻撃が強行されています。集配労働者は、携帯端末を持たされ、書留やバーコード付ゆうメールを入力し配達状況や配達時間がわかるように管理されてきました。その携帯端末の機能を利用して、それまで、内務の仕事だった書留の配達証を外務が作るようになり、人は減らされ仕事量はますます増える一方になりました。1日中仕事で手一杯になり、組合や世の中のことなど考えられない状況に追い込むものでもあります。そして、「成果主義賃金」と班単位の収益体制によって、個人の競争と班の競争が激化されようとしています。営業売り上げいくら、誤配1通マイナスいくらと収益化し、営業売り上げが悪い仲間や、誤配、交通事故を起こせば「お前のせいで」と労働者同士を分断し、団結などできないようにする攻撃です。
 今や、郵政の労働現場は労働監獄そのものです。この状況を変えられるのは、労働組合です。われわれは、新自由主義と対決する労働運動を掲げ、国鉄闘争全国運動を強力に進めてきました。今年こそ、労働組合を現場から、われわれ一人ひとりが一からつくり上げて、新自由主義攻撃を打ち砕きましょう。少数派から多数派になるために仲間を増やしましょう。
(写真 全逓労働者部会がJP労組組合員に訴え【JP労組第4回定期大会、昨年6月15日 川崎市】)

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-1)(2012/06/01)

■5・12全国労組交流センター第24回臨時拡大全国運営委員会

6・10国鉄集会から〈国鉄決戦×橋下打倒〉の闘いで階級的労働運動を社会変革の前面に登場させよう

----------------------------------------------------------------------------

 議案目次


「復帰」40年を新たな出発点に、沖縄―本土を貫き、新自由主義と闘う労働運動をつくりだそう―国鉄全国運動を推進軸に、交流センターの組織拡大を闘いとろう―

【1】はじめに
・階級的労働運動を社会変革の前面に登場させよう

【2】1〜4月闘争の核心
・国鉄×反原発闘争でつかんだ闘う労働組合復権の確信

【3】アメリカのイラク・アフガン侵略戦争の敗北と新軍事戦略
・新自由主義攻撃の破たんと絶望的凶暴化。「復帰」40年目の沖縄闘争を「基地撤去・安保粉砕」の新たな闘いの出発点に

【4】新自由主義と闘う沖縄労働運動
・「3・11」を転換点に、新自由主義と闘う沖縄労働運動の胎動が始まった

【5】方針―6・10国鉄全国集会から8・6広島を闘い、11月労働者集会へ
1)6・10集会で新自由主義と対決する階級的労働運動の新たな戦闘宣言を
2)国鉄を基軸に全産別における外注化阻止・非正規職撤廃を闘いとろう
3)橋下打倒! 民営化・解雇・非正規化・「公務員バッシング」と対決しよう
4)なくそう原発! 7・16反原発10万人集会へ
5)大増税と戦争・改憲に進む野田政権を打倒しよう
6)全人民の共同闘争で戦争・改憲への道を打ち砕こう、星野再審棄却弾劾! 全証拠開示・星野奪還の新たな闘いを開始しよう
7)『月刊労働運動』を武器に交流センターの組織強化・拡大を実現しよう

連帯挨拶
星野暁子さん、南部バス労組ほか

討論(発言順)
渡辺馨(福島・電通)/赤田由行(関西・自治体)/古賀るり子(大阪・教労)/石井真一(動労水戸)/松田元司(東京・自治体)/柿本博人(沖縄)/植野定雄(中国・電通)/高橋英行(常任運営委・電機)/辻川あつ子(女性部)/綿貫透(関東・自治体)/赤羽進彦(青年部)/山本美知子(兵庫準・自治体)
----------------------------------------------------------------------------

 5月12日、沖縄県那覇市において全国労働組合交流センター第24回臨時拡大全国運営委員会を開催しました。沖縄と福島の怒りがひとつになり、本土−沖縄を貫く新自由主義と対決する労働運動の胎動が始まっています。一方でJR東日本は、今秋10月1日実施に向かって検修全面外注化へと動きはじめました。今秋は〈国鉄決戦×橋下打倒〉の大闘争です。反原発の闘いも含め、闘う労働組合が時代を決する力として登場する大勝負です。6・10集会の成功をもって新自由主義攻撃を打ち破る階級的労働運動の奔流をつくりだそう。以下、本部発言と沖縄、被災地、大阪からの発言要旨を掲載します。

 ●代表挨拶 入江史郎 代表運営委員

 反安保闘争としての沖縄闘争をもう一度きちんと構築していくことが求められている。反安保闘争とは、要するに国家のありよう、社会のありようを規定する。資本主義体制にとって原発の再稼働とは体制を維持するために必須の要件だ。日本の原発54基すべて止まった状態になっているが、問題は、ここから本当にひとつも再稼働させないといったときにそれは何のためにやるのかを明確にしないままにやっていったら、必ずひとつの再稼働を突破口に運動がバラバラに崩されていく。文字通り全国の労働組合交流センターとして組織を飛躍させることが必須条件だ。そういう観点からいろいろな意見を出してほしい。

 ●沖縄からの提起 富田晋 沖縄北部合同労組執行委員長

 2月12日に組合を結成しました。私の職場は損害保険のコールセンターで、いわゆる外注職場です。非正規率は全体の9割です。残業、人員不足、低賃金、労働強化、能力給が当たり前。仕事のミスについても各個人の自己責任。ボロボロになるまで働かせた挙げ句にうつ状態。3年半いるだけで40人以上が退職してまた入ってくる。職場の分断も激しい。労働者たちのあいだでミスのなすりつけ合いをする。団結がまったくない。焼け野原みたいな状態です。どうやって団結を再生するのか悩んだ。だけど重要なことは、労働者が団結をあきらめていないということをこちらがあきらめないという姿勢でした。
 職場闘争とは日常不断の努力です。ひとりひとりと信頼関係をつくって、ひとりひとりと議論を組織して、命がけで向き合っていく。そういうことが日常的に行われることで青年労働者は立ち上がっていくんです。
 組合結成の経緯は、雇い止めが起こったことです。当該の女性は退職強要をずっとやられ続けてきた。沖縄労組交流センターの仲間たちと相談に乗って、一緒に闘い切りました。2月15日のビラまきは、ものすごいことを起こした。昼休みには労働者に取り囲まれて「労働組合をつくるってどうやるんだ」「残業をどうやったら拒否できるんだ」とかガンガン議論をした。その次の日には組合員になる人が出てきた。画然と職場の雰囲気を覆した。労働組合をつくるということはこういうことなんだと示せた。
 もうひとつは、辺野古闘争の経験です。辺野古闘争の指導部は、民主党に政権を持たせれば、辺野古基地建設を凍結できると言い、僕はそれに反対をした。そしたら排除が起こった。体制内指導部とは何なのかを考えました。彼らがやっていることは闘いの私物化です。まったく闘いを共有しようとしない。民主党政権を推そうというのも俺がいないところで決めていくということをやりました。根底的に闘うといったら「過激派だ」と分断を図って叩きつぶそうとしてくる。最終的には僕の洞爺湖サミット闘争での弾圧もふくめて、いわゆる民主党政権の樹立に向けて闘わない輩は出ていってくれと言い放った。これをのりこえるためにどういう闘いが必要なのかが僕の課題としてありました。また、これと一体で4・9和解も行われているわけで、本当に一体です。これをのりこえるためには沖縄労組交流センターの仲間たちとの団結が何よりも求められ、必死に討論しました。原則的な労働運動を甦らせるということがすべてである。その中身は動労千葉・動労水戸が示している。つまり解雇
撤回だということです。解雇撤回の闘いがなければ、青年労働者は闘えない。非正規職撤廃は絶対に掲げられない。その中身が核心だということを辺野古闘争から排除されてから悩みに悩みぬいて行き着いた。だからこそ労働者を組織するということを僕の中に置きました。
 今青年労働者は生まれてこのかた競争することしか教えられていない。非正規職や無権利の状態がまるで運命のようにされている。昨日も25歳の青年と話をしました。「自分が何をしたいのか見えない。転職も決断できない。仕事にやる気が起きない。現状維持でいいと思ってしまう。非正規職は当たり前なんじゃないかと思ってしまう」と。本当に絶望を組織されている。現状維持というのは絶望しかない。でもその方が楽だと思いこまされてしまう。夢がないというのはすべての団結が奪われてきた結果です。議案に動労千葉の闘いもあきらめないことが大事だと職場で討論し続けたことが外注化反対の闘いになったと書いてあって「やっぱそうか」と思いました。交流センターとして、全体の労働者が全体に責任を取っていく体制を常につくり続けなければいけない。
(写真 400人が「復帰」40年5・15沖縄闘争・那覇国際通りデモを貫徹【5月12日】)

 福島と沖縄の闘いは一体

 最後に、福島と沖縄の闘いが一体だという点についてふたつだけ訴えたい。一番目には安保政策の問題です。原発というのは基地製造工場であって、沖縄米軍というのは核を造る、核を使う核基地である。このふたつに対しての安保闘争だということです。PAC3の配備もふくめて今沖縄で行われているこの情勢は、この反原発の闘いと全基地撤去の闘いが一体とならないかぎり闘いきれるものではない。もうひとつは特区攻撃です。特区攻撃とは公務員を全部切り落とすということであり、道州制と一体の問題です。いわゆる国内の植民地化の問題です。それを沖縄をモデルケースとしてやってきた。それを全国化すると言っている。安保政策も特区攻撃も結局は体制内労組の屈服なしにはやり遂げられない。彼らは、今回の県民大会でも「県外移設・国外移設」や「思いやり予算を復興の財源に」と言い続けている。思いやり予算というのは基地労働者の賃金です。それを政府に他に使えというのは、国鉄で仲間を売り渡した連中と同じ考え方です。
 動労千葉物販を通して動労千葉のような質を持った労働運動を沖縄中につくる。すべてを6・10へ、5・15闘争を闘いきろう。

 ●代表からの提起 辻川慎一 代表運営委員

 今年の沖縄闘争は、沖縄の根源的な闘いを甦らせることが最大の核心です。「絶対反対」の青年たちの闘い、その象徴としての富田晋君をぶっ潰す攻撃をめぐって沖縄闘争の帰趨がかかっていた。彼が2009年に辺野古闘争の現地で民主党勢力から「過激派」だということで排除される。そのプロセスを見ると、2000年台に沖縄の104の非正規の労働者が労働組合をつくって立ちあがった。これも相当壮絶な攻防だった。そのなかから晋君が潰されないで、労働組合をつくって立ち上がったことは決定的です。
 数年前、沖縄は美(ちゅ)ら島だとか癒しの島だとか言われたが、実態は日本一失業率が高い、日本一所得が低いとか貧困と失業の島です。基地の強制と貧困が常にセットだ。このことを明確に捉えられるようになったのは3・11の福島の原発事故があったからだと思うんです。貧困を強制してとんでもないものを呑ませる。基地や原発を呑ませるために労働者とその子弟に従順であることを強制してきた。従順でないと直ちにありとあらゆる分断・差別がやられる。日本の支配者階級、資本家にとって最も都合のいい体制とは労働者大衆が従順なことです。軍隊のように命令に従わせることなんです。その根幹は職場にある。
 今まさに原発、基地をめぐる闘い、そこをめぐって職場で非正規をめぐる闘いをやるということは、それ自体が反戦の闘いです。それを抜きに戦争反対だと言ったって空論です。
 ペテン的「返還」―5・15体制に組み敷こうとしたことに対して沖縄の労働者階級は牧青の闘いを先頭に根底からぶっ飛ばす闘いをやった。支配階級はこの地平を封印しようとしてきた。今日のわれわれの闘いは、70年闘争への反動を突き破って不屈に闘われてきたものだ。非正規にたたき込まれて、人として生きられないこの現実を切り返す力は、今われわれが闘っている中にある。
 職場における攻防は本当に大変だ。ひとりひとりの青年たちが自分の選択をかけて資本や既成の労働組合の縛りを突破して決起してきている。だけど、僕らの闘いは今、ひとりが立ち上がることが一気に全体を獲得していくところに来ている。沖縄で全国で今までにない事態が起きている。
 あまり物事をわかったように思わないで、本当によく慎重に、起きていることをしっかり見ていく。いろいろな人が立ち上がってきている。これは今まで70年闘争以来、敵が抑えつけてきた回路が全部ぶっ壊れているということです。だからそのときに僕らが今までと同じような考え方で、自分たちは正しいんだ、あいつらは間違っているんだというようなレベルだと全然勝負にならない。どんどん入り込んでいって、遠慮会釈もなく討論をしていく。獲得していく。そういうところに来ていると思います。
 被曝労働、汚染列車の検査の拒否の闘争についても次の段階を考えてる。次はこれですまさない。絶対に大反撃を食らわせる。富田晋くんの労働組合の闘いも必ず次の巨大な階級的反撃のためのステップとしてある。立ち上がった以上、相当大変な過程が続くと思うけど、勝ちきるということと、敵が攻撃してきたら青年が立ち上がる。敵が攻撃をしてきたら今まで決断できなかった労働者がガンと立ち上がるという闘い。このことを突きつけ続ける。2012年、すごいチャンスが来ている。ある意味では苦しい過程だ。だけどひとりひとりの攻防に対して、全神経と全勢力を集中させて勝ちぬくことが2012年後半の巨大な前進の第一歩です。そういうプロセスとして、今日明日職場から来た新しい仲間をみんなの力で獲得する。交流センターの総力で勝ちとっていきたいと思います。

 ●討論より

 渡辺馨 福島県労組交流センター

 3・11―原発事故を通して思ったことは、帝国主義が沖縄県民に貧困と核武装を強制し、そのために一切合財を奪ってきた沖縄のありかたと、今福島で原発事故で県民から一切合財を奪って、さらに飽きたらず復興特区なるものをやってきていることは同じ問題だということです。
 沖縄の闘いに続こうと3・11を準備してきた。真っ先に参加拒否をしたのは連合で、あともうひとつは商工業者・農業団体です。拒否どころか、福島の東邦銀行の相談役をやっている商工会議所の会頭は、第2原発は早急に稼働すべきだとその回答に付けてきた。これと立ち向かわなかったらいかない。全体に問われた。実行委員会で2カ月近く「『安心して暮らせる福島を取り戻そう』ではダメだ。『原発いらない』をはっきり入れろ」という闘いをやりきって、「福島から怒りを発信する。そして全世界の原発をすべて止める、廃炉にする闘いとしてやろう」とやった。2〜3月、交流センターの闘いが3・11の1万6000人の結集と5月5日の原発ゼロという事態をつくりだした。いろんな勢力が右往左往するなかで、われわれが労働運動はもう終わりだという勢力と真っ向から闘い、討論を闘わせるなかで、われわれの路線が全大衆のものになり、そして3・11のような内容をつくりだすことができた。これが3・11で私がつかみとったひとつの確信です。あらためて福島の怒りをどう発信するのかというときに動労千葉の外注化と本気になって闘っているありかた、さらには動労水戸の闘いが、原発いらないの闘いをグレードアップしてくれた。援軍になった。
 われわれが新自由主義と闘って勝てるという確信と方向性をはっきり示す、そういう闘い方を具体的に一緒にやることが核心だし、それができる時代になった。それが3・11情勢です。
 もうひとつ全国の力を結集してほしいのは、福島の診療所建設の問題です。3・11集会のときに「放射能の高いところで集会なんかやるんじゃない」と言っていた商工会議所の人たちが開成山球場でラーメン大会やこども祭りや鼓笛パレードをやっている。子どもたちが動員されて、「安全」「復興」のキャンペーンに使われている。実際は激しい病気が出たり、さまざまな健康調査で異常が出たりしているにもかかわらず、「異常がありません」と切り捨てられる現状です。安全宣言、復興、除染のキャンペーンを打ち負かしていく、押し返す階級の力ある拠点をつくりたい。交流センターの全国の力で押し上げて団結の力で成功させたい。

 ●赤田由行 大阪労組交流センター

 大阪は今本当に楽しく闘っています。ついに労働者の時代が来たと日々実感しています。自治体労働者、教育労働者の決起をつくり出せれば、沖縄に続く「革命の火薬庫」に大阪がなる情勢が来ています。
 今絶対反対を貫くということが、現場にわかりやすくなってきています。例えば入れ墨問題です。昨日提出日で、僕が拒否をしたことに対して、課長が呼び出してきて、市長命令だから仕方ないんだと1時間ぐらい説教してくるわけです。業務命令だから従うしかないって。同じことを組合も言う。「組合としてはよくないと思うけど、職員としてはやるしかないんだよ」と言うわけです。でも職務命令は絶対に従わなければいけないなんて判例はない。そこをめぐって攻防になっているのに、当局と組合が覆い被さって真実を隠していることによって初めて職場の支配が成り立っている。だからこそ絶対反対で闘ったときに、「そうだったよね。ちょっと前までの組合だったらこんなものは拒否していたし、少なくとも役員は拒否していた」となる。僕らの闘いが現場の魂を揺さぶるようになってきている。
 絶対反対で闘ったときに新自由主義をグラグラにできる。アンケートは弁護士の野村自身が自分でシュレッダーにかけるという惨めな敗北を強制したし、不起立闘争を闘った教育労働者に対しても最初は解雇すると言っていたくせに突然式場外に出るという大人の知恵があると言い出したりとか。今入れ墨調査も職務命令と言い切れないわけです。攻撃として貫徹できていない。そういうところまで現場の怒りが追い込んでいます。
 それともうひとつ言いたいのは国鉄全国運動、特に関西で言えば関西生コン、港合同の存在と闘いが大阪市職・大阪市従・大阪教組に簡単には裏切ろうにも裏切れないという状況を強制しているわけです。
 われわれが橋下を引きずり出し、時代をつかんでいるんだと確信してほしいし、だからこそ2000名会員獲得が方針として出されている。これを労働組合の拠点においてつくったら2000ではすまない。拠点で勝負する。
 僕自身は橋下との攻防において最初はちょっと焦りました。でも八尾北労組の闘いがあった。西郡支部の闘いで鮮やかに勝てる。労働者が絶対反対で闘ったら勝てることをつかんだ。現場の人は「今はやめといた方がいいんじゃないの」とか言うわけです。それになかなか「一緒にやろう」と言い返せなかった。だけど八尾北労組の闘いがあった瞬間に、「いや、やれば勝てる。一緒にやろうよ」と言い切れた。労働者は、拠点をつくり出したときに必ずそこに結集して一緒に職場の足下から闘いをつくりだす存在です。だからこそ拠点建設にこだわって、だからこそ6・10なんだと。そこに焦点を絞って今日の沖縄から6・10に向けて突き進んでいきたい。
(写真 「労使関係調査」アンケートを、シュレッダーにかける野村修也弁護士【5月6日 大阪市役所】)

 ●柿本博人 沖縄労組交流センター

 全世界で緊縮財政、新自由主義、公務員労働者大首切りにNOが叫ばれている。このなかでの5・15闘争。私たちの闘いは、基地の「県外・国外移設」ではない。国際連帯の闘いは、安保を粉砕し、基地を撤去する闘いとイコールだ。
 沖縄における闘いの画期的前進は、3・11福島に沖縄から電通労働者が決起したことです。青年の決起は産別の決起へと結実した。正規労働者が非正規を組織していくという観点から沖縄の電通労働者の闘いとして104のパート労組の再建を5・15闘争過程で何としてもなしきる決意で闘ってきた。
 戦後、「復帰」40年の闘いは、大きくは体制内派が牛耳ってきた。その中心に全軍労闘争がある。今問題になっているのは、全軍労の指導部として君臨してきた上原幸助流の体制内労働運動としての「復帰」40年、戦後沖縄の労働運動ではなく、全軍労牧港支部青年部の闘いの歴史の復権です。牧青の闘いは動労千葉の闘いと一体だった。「死すべきは基地であり、労働者は死んではならない」、あるいは「解雇撤回・基地撤去」のスローガンは、階級的労働運動の路線の中から生み出されたが、戦後40年、一種塩漬けにされてきた。この歴史を今全面的に解放する地点として本日の「復帰」40年5・15闘争がある。
 いま基地労働者の現実は、公務員労働者の賃金カットというなかで現場の青年労働者の怒りが噴出し、全駐労本部に対して説明会を求める声として巻き起こっている。いったんは現実には押さえ込まれたとはいえ決してそれでは終わらない。全軍労牧青の闘いが現代に復活するということが求められている、5・15闘争から6・10へ闘う。

 ●討論のまとめ 田中康宏 代表運営委員

 今年後半戦、労組交流センターはどうするのかを述べてまとめに代えさせてもらいたい。
 6・10国鉄闘争全国運動の集会があり、7・16には反原発10万人集会があって、再稼働を止めるための大爆発をつくらないといけない。それと9月には橋下打倒の大行動をやりたい。6・10集会から11月集会の過程で職場の怒りの声と結びついてこれに具体的な形を与えて闘争の方向性を与えることのできる交流センターへ生まれ変わる。本当の意味で情勢と結びついて情勢を変えることのできる力をもった交流センターに飛躍する。そういうひとりひとりに飛躍する。そういう闘いが求められています。

 新自由主義を捉えきり暴き出す闘いを

 5月5日に動労千葉に世界中から「おめでとう」のメールがきました。つまり原発の最後の一基が止まったということです。だけど、複雑な思いでメールを見ざるをえない。だって日本で起きている現実は何なんですか。政府は再稼動するためにはどんな嘘でもつきぬいて物事を全部すり替えてやろうとしている。福島では日々殺されている。腹の底からの怒りをもっとすべての闘いの土台に置かなきゃいけない。福島では明確に子どもたちに甲状腺の異常が現れている。だけど政府は「何の異常もない」と言っている。これが国家だってことです。僕らは被災地、沖縄にもっとこだわらなきゃいけない。
 被災地の本当の意味での怒りの爆発はこれからです。生きるか死ぬかの闘いになってこれから全部爆発する。僕らが労働組合ということにこだわって声を大にここで勝負しようと言っているのは、こういう現実に労働組合がもうちょっとちゃんとしたら歴史が動き出すからです。闘う労働組合の復権の一点にかけてやろう。そこにかけたらすべての怒りとの連帯ができる。全部われわれの責任なんだということで物事を考えなきゃいけない。
 まだ本当の意味で新自由主義を捉えてきているとは思っていない。今度のバスの事故を見てそう思った。バスの事故の原因になった規制緩和は鉄道の安全の規制緩和とまったく同一にやられました。安全の事前規制をいっさいなくす。事後チェックでいいという考え方に根本的に転換した。事後チェックって人の命が奪われてからどうやってチェックするんですか。尼崎事故と同じです。ツアーバスと路線バスは適用される法律まで違う。ツアー
バスの方は旅行業法。路線バスだったらあんなことは起きない。運賃から何からを変更するときは認可が必要なの。だけどそういうこととまったく関係なくなったから、もう底が抜けたように低運賃争いになる。それが全部労働者に転嫁される。今度旅行を主催したハー
ヴェストという会社は、この規制緩和によって大手として突然立ち上がった会社です。中小のバス会社を100数十糾合した。ただトンネルするだけ、ピンハネするだけの会社で、全部下に投げていくんです。事故が起きて人が殺されるのは当たり前なんです。これが新自由主義です。
 自治体、医療、教育、鉄道の現場でいったいこの30年間何が起きたのか。本当の意味でまだ捉え切れていない。なんでそのことを言うかというと、これはまさに国家の本質の問題なんです。人の命だって何だって犠牲にして金を儲けるためにはすべてをドブに投げ捨てていく。一番象徴的に示したのが原発事故だった。
 これによって労働者の団結がバラバラにされてきた。30年間。みんな「仕方がない」現実だと思わざるをえないところまで突き落とされてきた。2000万が非正規職に突き落とされ、200万人の生活保護になり、毎年3万人が自殺に追い込まれている。団結を回復しなきゃいけない。労働組合を甦らせる。そのためには、この現実をすべて暴きだしてこれは変えれる。これは社会のありかたが根本から腐っているからだということを職場の仲間たちに示して生きるために立ち上がろうって。そういうものが必要だと思ってきました。
 そうした時に労組交流センターは今までの単純な延長線上であってはいけない。われわれが変われば変わる。交流センターを本当に変えなければならない。そうしたときに日本の労働運動は動き出す。
 今年前半戦は3・11福島の集会まで来た。あんなことを僕らは実現できるとは思わなかった。もちろんあれは僕らの力でやったわけではない。でも福島の怒りの声と僕らが結びついた。今年後半は何ができるのか。僕らが本当の意味で存在感をもって登場することができるかどうか。ひどい現実の中でで社会を変えるチャンスが来ています。
(写真 動労千葉は、佐倉運輸区に強制配転された全運転士がストライキに決起し、怒りの抗議行動を展開【5月19日 佐倉】)

 非正規職化と立ち向かい団結を取り戻す

 この2年間、中野顧問が亡くなってから鬼になったような気持ちで動労千葉の団結で何ができるのか。動労千葉自身にとっても日本の労働運動の現状に対して何ができるのかを真剣に考えました。1047名闘争がつぶれちゃう。顧問が亡くなった4月に全面外注化が始まる。世の中全体を見て、これを止めたら労働組合は変わると思った。これを止めれたら何か始まる。何が始まるかなんて簡単にはいえない。日本の労働組合の経験から学びたいと思ってみたらひとつもない。みんな非正規化を当たり前のように許してる。だって年金が65歳まで出ないから救済するかのように「60歳以降、退職して再雇用しましょう。これは関連会社になります」と。高齢者の雇用のための確保でいいことだといってやられる。それが始まったらそのうち全部外注化されるわけです。全部非正規に持っていかれる。これに抵抗できる労働組合がない。必死になって闘い続けた10年だった。でも止めれるということは、攻撃があまりにもめちゃくちゃすぎるからなんですよ。これに立ち向かえることを示せたら労働者は初めて団結を取り戻す。それを職場でやることが大事です。

 橋下打倒で公務員バッシングを打ち破ろう

 そういう現実が被災地を突破口に始まろうとしている。特区です。そして大阪を突破口に全国にローラーをかけるという形で始まろうとしている。橋下だよね。これは新自由主義攻撃の極限的形ですよ。だって3年間で大阪の労働者の半分を首切るというんですよ。新自由主義攻撃が一番貫徹できていないのは教育の民営化です。財界が何度も小中学校の民営化が必要だと報告書を出してきた問題です。日本はできてこなかった。なぜか。「日の丸・君が代」不起立闘争や教育基本法改悪反対闘争なんかがあったからです。橋下は小中学校の民営化をやろうとしている。一番競争原理に入れてはいけないのが教育です。これをやったときには社会すべてが競争原理になる。だからこれをぶっとばしたら全部が崩れ去る。僕は新自由主義についてそう思っていて、だから橋下を叩かなきゃいけない。
 そのときに核心問題は、公務員バッシングだと思います。公務員バッシングを本質的な攻撃として見る必要がある。日本の政府の最大の危機は国家財政危機です。国家財政危機はギリシャでもスペインでも全部公務員攻撃になる。公務員の首切りと民営化と非正規化。本質的な攻撃ということと、これは仕組まれた大陰謀です。国鉄分割・民営化をくぐってきているからよくわかります。あのとき始まったのは国鉄労働者=国賊という大キャンペーンです。これはどういう大陰謀かというと、公務員バッシングに打ち勝たなかったら今の39%の非正規労働者が今度は90%になるということなんです。公務員労働者を叩いて全部非正規に突き落とす。だから僕は橋下打倒の闘争をやるときに大阪市職と府職に「公務員労働者は胸を張ろう」「胸を張って闘いに立ち上がろう」というビラを何万枚でも入れて入れて入れぬくということだと思う。ここが立ち上がったら全部が崩れ落ちます。
 当面6・10集会への総結集をお願いをしたい。6・10集会は、新自由主義と闘う労働運動ということでやります。去年、一昨年と「国鉄闘争の火を消すな」ということでやりました。今年は「国鉄闘争の火をもっと大きくしよう」ということを掲げます。それでこの集会で日本の労働者の未来を奪った新自由主義攻撃の出発点が国鉄分割・民営化ですからこの30年間、こんな現実は絶対に認めないと宣言する。そして今の原発事故によって暴かれた現実。このふたつの問題を全力を尽くして訴えて、固く結合したい。ここから大衆的な怒りを爆発的につくりだす可能性が開かれると思います。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-2)(2012/06/01)

■物販闘争―支援する会の組織化こそ闘う労働組合再生の道

神奈川県労働組合交流センター

 6・10集会2000名結集へ神奈川300人結集を実現し、この300人を動労千葉を支援する会をはじめとする国鉄闘争全国運動会員へ組織する闘いと一体で6・10結集運動を闘っています。
 5月県交流センター常任運営委員会では、この闘いの大きな武器に物販(動労千葉・国労原告団)闘争を位置づけようと、12年夏季物販を交流センターの取り組みとして行うことを正式決定しました。そのために各地区物販担当者会議を開催することとしました。
 昨年1年間、私たちは、国鉄闘争全国運動を軸に全力で闘いぬいてきました。1月弾圧(庄山副代表他1名の逮捕)、5月弾圧(会員1名の逮捕)を粉砕し、資本・権力との攻防に勝利してきました。反原発・反失業の闘いを全力で闘い、「やればできる」ことを実感としてつかんできました。
 しかしながら組織拡大に結実していないのも現実です。全国運動、支援する会、交流センター会員拡大は微増です。「動労千葉の反合・運転保安闘争を自分の職場に適用することができているのか。職場に根ざしたものになっているのか。そのための運動や組織になっているのか。地区ブロックでの徹底した討論と一致が行われているのか」―これが鋭く問われた1年でもありました。
 神奈川では4・1JR総行動をJR東日本横浜支社や県内JR全駅など約80カ所への宣伝行動として行いましたが、JRをめぐって大再編、大激突情勢に入ったことを実感しました。JR東労組革マルの支配が歴史的に瓦解し、JR大再編と全面委託攻撃に勝ちぬく最大の主体的条件である青年労働者の怒りが満ちあふれています。
(写真 国鉄闘争全国運動・神奈川総会【昨年10月7日 横浜市】)

 神奈川における国鉄労働者の圧倒的反応

「国労の動員にはもう行かない。和解拒否の闘争団員とこの前飲んだよ。横浜支部が組織として、年金くらい積み立ててやればよかったのに何もしていない」「国労はだらしなくてもうダメだよ」「今の国労には疑問がある、自分はジレンマを感じている」「この駅は委託は決まったが団交などの地区本部の説明がない。労働条件がどうなるのか不安」「情報欲しい」。さらに「オレは、国労のように会社とゆ着するのが一番きらいだ」「このビラは掲示板に貼っておく。常磐線で線量計を持たされても、結果は何年かしないとわからない」と。
 同時に動労千葉への期待です。「動労千葉はよく闘っている」「外注化を止めているんですか」「このビラは分会の掲示板に貼っておく」「千葉の闘いに感服しております。今後もニュースを見せて下さい。メーデーで会いましょう」「何派、何派と言ってる暇などないと思う」。
 特に新自由主義の攻撃と職場で闘い、国労を甦らせたい≠ニ国鉄闘争全国運動の呼びかけ人に佐藤功一さんがなられたことは、衝撃をもって受け止められています。

 物販闘争と支援する会組織化の意義

 国鉄1047名解雇撤回闘争−解雇撤回を原則的に貫く闘う国労原告団の存在と、動労千葉の闘いが、決定的な位置と意義を持っていることがますます鮮明になっています。国鉄闘争支援100万陣形がなぜつくられてきたのか。動労千葉の闘いになぜ世界の闘う労働者が圧倒的な共感を寄せているのか。このことを前提化せずに捉え返すことが必要です。
 4・9政治和解との闘い、さらには3・11情勢のなかでの国鉄闘争全国運動の存在と大きさが決定的です。そしてこの全国運動の土台をつくり出してきたものこそ物販闘争だということです。
 神奈川では、職場・地域に7つの全国運動、支援する会組織を立ち上げてきました。職場・地域に全国運動、支援する会を結成する度合いに応じて運動と組織が前進しています。職場の怒りを束ね、ひとつの力にしていくためには結集軸がなければなりません。それが全国運動、支援する会だということです。この武器が物販なのです。物販闘争は重要な職場闘争です。そして誰にでもできる活動です。しかしそのなかに組合活動のすべてがあるのです。
 リアルに考えてみましょう。物販が取り組まれているところすべての職場・地域に交流センター会員がいるわけではありません。しかしそこでは中心的な活動家が物販の注文を取りまとめ、物品を配布し、代金を回収しています。これは立派な組合活動です。組合活動家がいるということなのです。そして何よりもこの活動そのものが体制内労働運動を打ち破っているわけです。これを無数につくり出すこと、そしてこの闘う仲間と結びつくことそのものが闘う労働組合を甦らせる最短の道であるということなのではないでしょうか。「闘っても勝てない」「闘えば分裂する」というこれまでの戦後労働運動の限界を完全に打ち破って勝利する展望は物販闘争を大胆に強力に推し進めることのなかにあるのです。

 橋下打倒を闘い、神奈川臨調粉砕へ

 神奈川県黒岩知事は1月に緊急財政対策本部を設置し、神奈川臨調(=国鉄分割・民営化を推進した土光臨調)を立ち上げ、徹底的な行財政改革を強行することを打ち出しました。道州制、公務員360万全員解雇、非正規職化攻撃であり、徹底的な公務員バッシング攻撃です。大阪橋下の攻撃と完全に一体です。だからこそ橋下打倒闘争が決定的です。
 横浜、川崎への生活保護課への警察OB導入攻撃、さらには民営化−外注化、非正規職化攻撃のなかでとりわけ自治体職場ではすさまじい労働強化が加えられています。労働者の誇りを奪い団結をとことんまでズタズタにする攻撃です。職場では今にも怒りがあふれ出そうとしています。

 従来の壁を打ち破る構想と戦略を

 一切は私たち主体の側の構えにかかっています。従来の壁を打ち破る構想と戦略、プランを持てるのかどうか。いまの時代と階級情勢、労働者の怒りをわしづかみにできるかどうか。問われているのは具体的で実践的です。日々の激烈な闘いを全力で闘いつつ、それに流されることなく闘えるのか。時代認識と路線を徹底的に鮮明にさせて、戦略的な構えと具体的な実践で、2012年前半戦の前進と勝利を勝ちとろう!

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-3)(2012/06/01)

■不屈に闘う争議組合へご支援を!

 動労千葉

 12夏季物販が始まりました。国鉄分割・民営化から始まった新自由主義攻撃に「今だけ、自分だけ」はと資本に媚びた労働組合の屈服が、今日の非正規労働者1700万人を生み、「福島の原発事故」を許してしまいました。だからこそ1047名闘争をあいまいに終わらせようとする「4・9和解」を許してはなりません。
 動労千葉は、外注化攻撃を組織拡大で迎え撃ち、物販オルグをもって6・10全国集会からさらに団結・連帯を拡大します。物販闘争は、闘う仲間と連帯するツールであり、その売り上げを基盤に動労千葉の解雇者を守り支え合う闘いです。12夏季物販へのご協力をお願いします。

国鉄千葉動力車労働組合協販部長 中村仁
 TEL 043-227-7833
 FAX 043-227-8125

 和解拒否の国労原告団

 国労本部は昨年の定期全国大会で、和解を拒否して闘う原告団の組合員資格を一方的に剥奪しました。また、契約社員の組合員が雇い止めになることに対し、国労本部は何もせず、非正規労働者の使い捨てを容認しています。
 「共に闘う国労の会」の原告団4名は東京地裁で国労本部を相手に地位確認の訴訟を争い、「解雇撤回・非正規職撤廃」を掲げ、組合員と一緒に「共に闘う国労の会」の会員獲得=闘う国労の再生に奮闘中です。原告団の闘争と生活を支える12年夏季物販のご協力をお願いします。

国労原告団互助会
東京都品川区大井1丁目34−5河野ビル3階
なんぶユニオン気付
 TEL 03-3329-8815
 FAX 03-3329-8821

 ス労自主

 今年でス労自主結成から30年、8名の不当解雇撤回闘争は36年になります。この節目の年に宿敵エクソンモービルが日本から撤退しようとしています。100年の長きにわたって日本で暴利を上げ、そのすべてをアメリカ本国に送金し、収奪し尽くして日本市場から総引き揚げしようというわけです。ス労自主は「エクソンモービルの日本市場撤退に絶対反対」で闘う決意です。
 8名の不当解雇撤回闘争はス労自主の基軸です。「ス労自主2012年夏季物販闘争」へのご支援をよろしくお願いします。

スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合
大阪府豊中市新千里東町1−2−8
モービル石油内

 沖縄バヤリース労組

 怒りの声は満ち満ちて、時代は大きく動こうとしています。辺野古基地建設を阻む闘いは、「基地の島」、「貧困と非正規職の島」の現実を打破する闘いに発展しています。私たちは沖縄労働運動を甦らせるため、12年夏季物販を通して、沖縄とフクシマの怒りを一つにし、青年労働者の決起を実現していきます。ご協力をお願いします。

沖縄バヤリース労働組合物販センター
沖縄県南城市玉城字百名509
 TEL 090-2710-2008
 FAX O98-948-1651

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-4)(2012/06/01)

■新自由主義のショック・ドクトリンと労働運動の焦点

荒木 淳 副代表運営委員

 ショック・ドクトリンの発動

 世界大恐慌と3・11大震災・原発事故で日帝は、帝国主義脱落の危機を深めている。経団連のシンクタンクは4月、「このままでは先進国としての地位から脱落し、極東の一小国に逆戻りする」という一文で始まるシュミレーションを発表、5月の提言『成長戦略の実行と財政再建の断行を求める』でも、増税に踏み切れなければ国債暴落だ∞法人税を引き下げなければ国内投資縮小で雇用喪失だ≠ニわめいている。破綻回避の改革シナリオの試算は、消費税19%、法人税25%、TPP締結、労働市場改革、道州制導入が前提だ。破滅以外ない支配階級失格宣言だ。
 鳩山政権から菅政権を経て、野田民主党政権は、財界のこの破滅的な延命戦略を忠実に実行する新自由主義推進政権へと完全に純化した。消費税大増税と社会保障解体の「社会保障・税一体改革」、農業、地場産業、公的医療制度を壊滅させるTPP推進、そして原発再稼働への突進である。だが、自公との政争を抱え、より本質的には階級的力関係に規定されてその実現の見通しは定かではない。
 唯一、与野党一致で着実に実行されているのは、「協約締結権付与」の空証文と引き替えに公務労協に呑ませた7.8%削減に人勧分を上乗せした国家公務員の賃下げだ。運営交付金の削減で独立行政法人に波及させ、地方波及も必至の情勢だ。退職金も400万円削減され職域加算は廃止される。
 中央の「決められない政治」の下で、新自由主義のショック・ドクトリンは地方から発動され、道州制攻撃が始まっている。ひとつは、農地集積・漁業権の民間開放でTPPの布石をうつ宮城県の復興プラン、福島県民をモルモット化する放射線医療特区など被災地の復興特区攻撃。陸前高田市にコールセンターを開設し時給645円、3カ月更新のパートで被災者を雇うワタミの「被災地支援」に象徴される9割非正規化攻撃である。

 民営化と全員解雇・選別採用

 いまひとつは、大阪の橋下改革である。交通、病院、水道、清掃、保育所・幼稚園など3万8千人の職員を民営化など経営形態の変更で1万9千人に削減する計画は、府・市統合本部で民営化の手法やタイムテーブルが具体化されてきている。地下鉄は賃金を引き下げたうえで特別法を整備して職員を新会社に転籍。ゴミ収集は、民間委託を拡大しつつ非公務員化のための受け皿組織をつくり、随意契約から競争入札に移行して完全民営化。下水道は、運転維持管理業務を移管する新組織を設立して職員を分限・派遣・転籍などなど。
 府で4月施行の職員基本条例は、大阪市でも5月25日の市議会で成立した。府の条例とは異なり、分限・懲戒事由、手続の詳細を基本条例に組みこんだままの形となっている。府の分限条例第8条第7項と同様、最大のポイントは、「民営化等による分限免職」と題する第39条の「任命権者は、事業の民営化により職制が廃止される場合、職員に民営化後に当該事業を行う法人に就職する機会が与えられているときは、職員を分限処分として免職することができる」という全員解雇・選別再雇用を合法化する規定だ。事業移管の際の労働条件の一段の引き下げも必至であり、嫌ならクビ、クビよりましと移管先に応募しても選考に落ちたらクビである。
 大阪市労連は、労使関係アンケート調査や組合事務所の撤去通告に対して、労働委員会への救済申立や損害賠償請求、不許可処分取消訴訟など、法的対抗措置をとるものの、現場からの拒否闘争を組織せず、組合事務所も自ら引き払っている。橋下のあからさまな不当労働行為は、過去の判例に照らしても違法性は明らかだが、こと事業廃止や民営化に伴う整理解雇(いわゆる4号分限免職)についていえば、そもそも事例が僅少で民間の整理解雇4要件のような判例法理が形成されていない。連合ダラ幹の制動をぶっ飛ばし、民営化絶対反対の団結と闘いを現場からつくりだすことに一切はかかっている。

 新自由主義司法の正体

 裁判所も新自由主義の階級機関としての本性をあらわにしている。JALの整理解雇容認判決は、整理解雇4要件を適用しつついずれの要件も極めて安易に容認し、事実上4要件を解体するものだ。旧経営陣の「御巣鷹山トラウマ」を嘲笑し「利益なくして安全なし」とうそぶく稲盛和夫の下で、JALは2年連続最高益。労働者の首切りと利益最優先をそそのかす許し難い判決だ。派遣切り裁判でも、松下プラズマディスプレイ(現パナソニックPDP)事件最高裁判決以来、期間制限違反や偽装請負など違法行為があろうが派遣先は一切雇用責任を負わないとする反動判決が相次いでいる。
 「日の丸・君が代」不起立処分の一連の最高裁判決の核心は、思想良心の自由の侵害の否定というよりむしろ、勤評・学テ闘争の獲得物として教育内容への権力的介入に一定の歯止めをかけた76年の旭川学テ最高裁大法廷判決の解体にある。
 最高裁の政治的立ち回りの極めつけは、運転士登用差別の不当労働行為事件で、動労水戸の勝利判決を確定させた同じ小法廷の同じ裁判長が、動労千葉に対しては控訴審の勝利判決を覆したことだ。
 橋下は、減給・停職処分を取り消した最高裁判決を歯牙にもかけず、「不起立3回で分限免職」の職員基本条例を成立させた。構造改革特区や地域主権改革が「法律による行政」自体を崩壊させている。規制緩和・民営化の張本人を免罪し、これと闘う労働者を弾圧する新自由主義司法の犯罪性は明らかだ。今こそ階級的実力闘争を復権すべき時だ。

 国鉄闘争全国運動の大発展を

 国鉄分割・民営化以来の新自由主義の帰結は、1千万人のワーキングプアと福島原発事故、尼崎事故、さらに関越自動車道事故だった。原発安全神話も規制緩和万能論もすべてがウソだった。デマと暴力で成り立つ新自由主義に引導を渡すときがきた。
 政治支配体制が崩壊し、橋下らがクーデター的に突出する時代、労働組合の拠点建設が巨大な統一戦線を可能にし、階級的団結の全国的拡大が労働者権力への道を切り開く。
 動労千葉は、外注化、非正規職化の資本攻勢に最前線で立ちはだかっている。国鉄闘争全国運動に合流し、全産別・全職場でこれに続く闘いを前進させよう。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-6)(2012/06/01)

■新自由主義と闘って勝てる!

正規・非正規の分断を破った精研労組春闘スト

東京北部労組交流センター

 東京武蔵野病院・精研労組は、12春闘を、「雇い止め撤回・栄養科の外注化阻止」、定昇凍結粉砕・大幅一律賃上げ要求を掲げて闘ってきました。春闘山場の4・28ストライキ(36人がスト参加)まで、実に21波・のべ150人が参加しています。資本との激闘から、さらに春闘・夏季一時金闘争に入っています。最大の特徴は、新自由主義攻撃と対決し、正規・非正規の分断をのりこえる労働者の闘いをつくり出そうとしていることです。
(写真 30人の春闘ストを打ち抜き、東京武蔵野病院内をデモ【4月11日】)

 正規・非正規分断の闘いにチャレンジ

 精研労組は2月の組合合宿で、正規・非正規の分断を本気でぶち破ろうと論議しました。昨年11月労働者集会の参加者が前年より減少したことを総括し、労働組合として徹底的に強化し、文字通りの拠点にしていく挑戦に2012年冒頭から踏み込んだのです。
 3年前に経営陣が交代して以降、非正規の固定化・拡大という現実(看護補助者ではこの3年来、正規職になったのは2名のみ)がありました。一般論として「正規も非正規も団結しよう」と確認するだけではとうてい通用しないというなかで、非正規の賃上げ−非正規職撤廃を徹底的に据えきったことが、まず決定的でした。

 団結強化・拡大のための指名スト戦術

 精研労組の春闘は、波状ストとして闘われてきましたが、数度のストを除くといずれも数名規模であり、それ自体は直接に経営に打撃を与えるものではありません。重要なことは、指名ストを、徹底的に団結の強化・拡大のために位置づけてきたことです。昼夜2交代勤務に追われる看護部の労働者や勤務形態がまったく違う栄養科の労働者は、団結どころか日常的に話し合うことさえ簡単なことではありません。いつどこで誰をストに入れるかを意識的に設定したのです。昼休み集会が営々と積み上げられ、資本の分断攻撃の本質が暴かれると同時に職場に怒りが還元され、資本を追いつめてきたのです。
 さらに人員削減による職場の安全問題に焦点を据え、反合理化・安全闘争として闘ったことが重要です。職場の人員は、この4年間で695人から649人へと46人も減り、事故の平均発生件数は171件から287件と実に116件も激増しています。
 こうして新自由主義との路線的対決を鮮明にさせ、その立場から地道堅実な扇動、組織化を積み上げたことで、現場にあふれる怒りが団結へと組織されていったと総括できます。

 結節環となった3・10春闘集会

 春闘の結節環となったのが、鈴コン闘争との連帯を掲げた3・10春闘集会でした。従来の地区春闘集会を今年は精研労組の拠点化政策として絞りきり、設定しました。昼休み集会は組合員と支援100人近くが結集し、大成功しました。同じ板橋区で闘っている西部ユニオン鈴コン分会との地域的連帯もものすごい力を発揮しました。このなかで2名の労働者が「動労千葉を支援する会」に加入しました。国鉄闘争全国運動の実践の一環として職場で闘う労働者が自覚的に一人、また一人と結集することは、職場の力関係を一変させます。こうして春闘全体を徹底した新自由主義との対決として団結を追求してきたことが、職場全体を変えてきたということです。

 闘いのなかで労働者は変わる!

 4月過程では3度にわたる大規模なストライキが闘われ、うち11日には外注化・雇い止め攻撃の焦点である栄養科で17人、看護部13人がストに入り、ついに職員食堂の業務が止まりました。数十年ぶりの事態です。激しい攻防にもかかわらず、参加者には動揺やためらいの色は微塵もなく、院内デモ最中にスト参加者が病棟の仲間に手を振り合う状況は、実に明るく解放的でした。スト解除の時間になってもスト参加者が帰ろうとせず、「額の問題じゃない。普段は勤務時間も違う労働者同士がこうやってみんなで論議できる場がほしい」「自分たちが職場を握っている。管理者も何も口出しできない。これが職場支配権か」と話が尽きないという状態でした。
 特筆すべきは、闘いのなかで組合員が20人近くも増えていることです。朝ビラをする組合員に「自分もストがやりたい」と組合に加入した労働者がいます。新自由主義経営を倒したい、そのために組合を拡大したい。これが大衆的欲求になっているのです。
 組合として団結することで労働者は変わる、労働者には自己解放と団結の力があるということです。まず正規労働者が体を張って正規・非正規の分断を破る闘いに打って出るならば、必ず職場の労働者は立ち上がる。新自由主義とは一見凶暴ですが実はもろい。闘えば勝てる。3・11情勢とは、そういう情勢です。
 世界大恐慌下、破たんした新自由主義の絶望的激化に、資本家階級の展望はありません。しかし、労働者階級は、資本家階級の不正義性をつかみ、現状の変革を望み、自発的行動を開始しています。むしろ立ち遅れかねないのは私たち交流センターの方です。現情勢を革命情勢とはっきりとつかみ、決定的チャンスとして打って出ましょう。

 すべての職場に国鉄闘争がある!

 総括の核心は、執行部が国鉄闘争と一体で職場闘争を闘ってきたことです。今春闘で資本は、看護師長などの役職者にのみ1万円の手当賃上げをし、一般職内の分断を策動してきました。さらに正規職希望者のうち、無資格者のみ試験制度を導入しようとしてきました。まさに分断を本質とする新自由主義攻撃そのものです。これに対して、組合が「これはJRの新人事賃金制度と同じだ」と喝破し、直ちに反撃に出られたのは、執行部を中心に「動労千葉を支援する会」が組織されていたことが大きかったのです。また、組合内交流センター会員がJRビラまきに取り組むことで、体を通して国鉄と職場を一体のものとしてつかんできていたのです。
 今やすべての職場に国鉄型の新自由主義攻撃がかけられています。しかし、新自由主義は闘ったら勝てる。そのことを精研労組の闘いは示しました。
 病院内行動への警告、業務上ミスを口実とした処分攻撃など資本の反動も強まっています。職場に活動家集団をつくり、地区の闘う拠点をつくる挑戦を、精研労組の仲間とともに成し遂げます。あらゆる職場に新自由主義と闘う拠点をつくり上げていきましょう!

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-7)(2012/06/01)

■職場生産点のたたかいで新自由主義を粉砕する

全国労組交流センター・電通労働者部会

 「3・11原発いらない! 福島県民大集会」は組合旗が林立する1万6千人の大結集で勝ちとられました。また、動労千葉は4・1検修・構内業務全面外注化阻止の歴史的勝利を闘いとり、さらに大阪・橋下の公務員全員解雇、総非正規職化、労組絶滅攻撃に対して現場労働者の反撃が始まっています。全国の闘いが「稼動原発ゼロ」という状況をつくりだし、「復帰」40年の沖縄で福島の怒りとひとつになって「基地も原発もなくす」新たな闘争宣言が発せられています。
 この闘いの核心は、階級的労働運動を闘う労働者・労働組合が「原発絶対反対」を掲げ、分断攻撃と党派闘争に勝ちぬいたことにあります。団結と情勢をつくりだし、「反原発闘争は労働組合が闘うべき課題」だとして反原発闘争の中心に労働組合が座り、勝ちぬいたのです。労働現場から「放射能・被曝労働をさせない」闘いを開始し、「20mSv」を撤回させる文科省交渉、人員削減と兼務発令との闘い、JRの外注化・非正規職化攻撃と組織破壊攻撃を阻止した闘いと被曝労働拒否の職場の闘いが一つになって、闘いとられたといえます。
(写真 3・11原発いらない! 福島県民大集会【郡山・開成山球場】)

 NTTの合理化こそ新自由主義攻撃の極地

 電通部会はこの一年、福島−広島−沖縄を先頭に全国で反失業・反原発の闘いを闘い抜いてきました。そして国鉄闘争全国運動と反原発の闘いで新自由主義に勝てるという確信をしっかりとつかみ取ったことは重要です。
 国鉄分割・民営化と一体で進められた電電公社の民営化から27年がたちました。その間、職場では激しい合理化に次ぐ合理化の嵐に見舞われてきました。NTTで進められて来た合理化をあらためて捉え返せば、新自由主義の最先端の攻撃としての外注化・分社化・非正規職化の攻撃だったと言えます。
 日帝は、97〜98年恐慌を経て経済的に近代史上最悪の危機に陥いり非正規職9割化の攻撃を開始しました。ここから2000年代に入り、郵政民営化と公務員労働者攻撃を切っ先とした小泉「構造改革」攻撃と、他方でのJR、NTTをはじめとした外注化、非正規職化の攻撃が全面的に展開されてきます。この攻撃に対して、外注化攻撃を粉砕する動労千葉を先頭にした国鉄闘争と、新自由主義の最先端をなす橋下との激突、全産別での非正規職撤廃闘争という形で階級的労働運動を甦らせる闘いが行われてきました。
 電電公社がNTTになる85年、それまで独禁法で禁止されていた持株会社を「日本電信電話会社法」でNTTは持株会社と定め、持株会社解禁の突破口としました。NTT発足と同時に最初の子会社であるNTTリースが設立されています。それ以降、分社化と子会社化が激しく進められ現在では500社を越えると言われています。「OS(アウトソーシング)」という非正規労働者をつくり出す新自由主義の手口でどんどんと合理化が進められたのです。

 2002年「構造改革」と爆発寸前の矛盾

 とりわけNTT東西で2002年から実施されている「構造改革」は、50才になった労働者に「辞表」を書かせ、子会社が再雇用し賃金を30%カットするという違法・無法な新自由主義の合理化攻撃の極地を行くものです。
 この「構造改革」を頂点とした合理化攻撃は、電通労働者の抵抗がないことを前提にしたものでした。しかし「50歳定年制度・大量の現場労働者の子会社化」である「構造改革」は、職場にあらゆる矛盾を引き起こしています。電通労働者の怒りを巨大につくり出し、NTT資本の矛盾点を形成するに至っています。ついに電通労働者の怒りの決起で吹き飛ばすことが可能な時代が来たのです。
 NTTの大合理化は、当局と一体となったNTT労組中央の協力と先兵化抜きにありえません。しかしこのNTT労組の支配は今や完全に空洞化し、NTT労組の支配力を頼りに合理化が進められない現実に突きあたっています。
(写真 職場の門前でビラをまく、渡辺馨電通労働者部会代表【福島】)

 国鉄闘争全国運動を推進し、NTT労組を闘う労働組合につくり変える

 こうしたなか、電通部会は職場全体の力関係を変える闘いを闘い抜いてきました。広島での14カ月にわたる週1回の門前ビラの貫徹。沖縄、福島での動労千葉物販闘争。
 沖縄では職場の半数の50人近い労働者(その内の半数が非正規労働者)が物販に協力しています。その力を背景にこの春、機関紙の拡大を実現しました。
 福島では非正規の労働者が動労千葉を支援する会の会員となり、物販の配布から代金の回収まで一緒に取り組んでいます。
 電通労働者の怒りと決起が直接会社資本とぶつかりあう過程に完全に入った中で、NTT労組支配をひっくり返し、NTT労組を闘う労働組合へと甦らせる具体的闘いとして端緒的ではありますが確実な前進を勝ちとっているのです。
 私たち電通部会の仲間は、帝国主義労働運動=連合と対決する労働運動を職場・地域で闘い、生き抜いてきました。NTTの合理化攻撃を破産した新自由主義の攻撃であるということをあらためてつかみとった現在、あふれ出んばかりの職場の怒りと真に結びつき勝利する展望をつかんだのです。NTTにおける反合・運転保安闘争路線を構築し、国鉄闘争全国運動をNTTでこそ推進し勝利しよう。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-8)(2012/06/01)

■さらに団結を固め「呉市交通局民営化絶対反対」を貫く

植野 定雄 広島連帯ユニオン

 「労働組合には力がある」

 「闘いは半年だったので期間が短かった、もっと早く始めていたら」「あの時ああすれば、この時こうすればと言うことは沢山ある」「一番感じたのは労働組合には力があるということだ」。結城広島連帯ユニオン交通局支部委員長は2・25の呉現地で開催された春闘集会でこう発言した。この発言に交通局民営化反対闘争の半年のすべてが集約されている。
 今年の4月1日にバス路線を広島電鉄に移譲し呉市交通局の民営化が強行された。呉市交通局の民営化は、新自由主義者であり呉市につくる会教科書を導入した小村呉市長と、運輸省時代小村の後輩だった越智広電社長が交通局の巨大利権を貪り、労働者の雇用も賃金も投げ捨てるために既存の公営交通労組の全面的な協力の下に強行されたものだ。そのためにマスコミを使って「赤字だ」「交通局の運転手はガラが悪い」「高給だ」「事故が多い」ということを大キャンペーンした。現在、政府・大資本が進めてようとしている公務員360万人首切り攻撃の先鞭となるような攻撃であった。
 民営化の攻撃に公営交通労組は闘わずしてあらかじめ全面屈服し労働者を売り渡した。まだ呉市長が民営化の方針を表明しているだけの段階で都市交、呉市労連、公営交通労組が名を連ねて“雇用については最大限努力すればよい”という犯罪的協定を交した。呉市と交通局はこの「協定書」を錦の御旗として最後の最後まで労働者の再雇用は「努力目標」とした。最終的に30名近い運転士が再就職未定となった。それに追い詰められた小村市長は「ひとりも露頭に迷わせない」と言い続け、再就職未定者について「再就職支援のために向う2年に限って呉市の嘱託職員として雇用する」という最後の施策を行った。小村市長は口先では「ひとりも露頭に迷わせない」と言いながら、判明しているだけで6人を不採用とした。小村市長が労働組合の闘いをいかに恐れているかということの現れである。民営化は労働組合が正面切って絶対反対で闘えば必ず阻止できる。交通局支部委員長が言っているように「労働組合には力がある」のだ。

 現場の「反乱」と支部結成の衝撃

 公営交通労組の屈服は、民営化の強行を許しただけではなく労働条件も投げ出した。運転士の最大の雇用先となった広電への再就職は経験年数を一切考慮しない純粋な「新規採用」であった。ベテラン運転手を「新規採用」するということは大幅な賃金カットであり、それ以上に労働者の誇りを傷つけるものでしかない。この攻撃に対して交通局の現場労働者の「ふざけるな! こんな条件では広電を受験しない」という「反乱」がユニオン交通局支部の結成以前に開始されていた。呉市と交通局はこのデタラメな民営化をあくまでも公営交通労組を使って闇から闇へと進めようとしていた。しかし現場の「反乱」と支部の結成が呉市と交通局の違法・無法を徹底的に暴露し闘い抜かれた。職業安定法違反、偽装請負、個人情報提供問題と次々と社会的にも明らかにすることを通して闇から闇へ葬ることは不可能になり、呉市と交通局を追い詰めていった。

 広電移譲後の事故の多発

 こうした闘いで、広電は路線を維持するだけの運転士を集めることができなかった。広電は運転士を集めるのに遠くは大阪から人材を引き抜くなど無理に無理を重ねて来た。しかも交通局で運行してきた路線は維持すると言いながら4月1日に大幅減便し広電ダイヤを組まなければならないところまで追い詰められた。その結果、現在広電が運行する呉市ではとんでもない事態になっている。公休を取り消し出勤を強制する。運転経路を誤って運転することが多発している。信号無視で検挙されるということまで起きている。何よりも事故が多発しているのだ。民営化を強行し、労働条件を切り下げ、労働強化して事故が起きないはずはない。今広電で起きている事態がそのことをはっきりと物語っている。民営化すれば事故は減ると豪語していた小村市長のウソがここでも完全に暴露されている。
(写真 春闘集会で発言する呉市交通局支部・結城俊哉委員長【2月25日  広島県呉市】)

 交通局の個人情報無断提供を提訴

 交通局は昨年3月、広島電鉄へ人事情報を含む個人情報を本人に無断で提供した。交通局が提供した人事情報を元にしたとしか考えられない不採用も出た。その後交通局を通した求職活動でも交通局は次々に個人情報を提供し不採用者が続出する事態となり、交通局を通して求職してはいけないということになった。呉市は「就職をお願いする立場であるから個人情報の提供は社会通念上許されることで、提供された人の暗黙の了解があった」と開き直っている。この問題で、支部委員長を始めとして3名の原告団を形成し、3月14日に提訴し裁判を開始している。

 現場での怒りの決起は不可避

 広島連帯ユニオン・呉市交通局支部の闘いは民営化阻止には手は届かなかったが、その背中が見えるところまで闘い抜かれた。この教訓は無限である。橋下大阪市長の大阪交通局に対する攻撃を頂点に、今後ますます交通局に限らず民営化が襲いかかってくであろう。移譲された広電で怒りの決起が巻き起こることは不可避である。広島連帯ユニオン交通局支部はあくまでも「交通局民営化絶対反対」の旗を掲げて団結をさらに固めて闘い抜く決意である。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号2-9)(2012/06/01)

闘う合同・一般労組 ■JP新大阪支店で組合結成!

非正規職撤廃へ闘いの火柱が上がる!

関西合同労組・郵政非正規部会 相川 文男

 この1〜4月決戦をとおして、私たちは動労千葉による4・1JR全面外注化阻止の空前の勝利を一切の土台に、国鉄決戦と反原発闘争で新自由主義を打ち破る勝利の確信を握りしめることができました。私たちの路線的闘いがすべての労働者の新自由主義への怒りと全面的に結びつく情勢をこじ開けたと思います。
 この決戦の中で、「関西合同労組・郵政非正規部会」を立ち上げ、郵政を先頭に本格的な非正規労働者の組織化に挑戦しました。「郵政非正規ユニオン」の立ち上げと本格的な郵政非正規労働者の獲得・組織化の闘いに学び、郵政をはじめすべての非正規職労働者の組織化に踏み出したということです。

 郵政職場の「奴隷労働」的状況

 昨年の8月から、JP新大阪支店(大阪市此花区)において早朝ビラ入れを行ってきました。この新大阪支店は関西一円の局のハブ局であり、労働者数2000人を超える巨大な集積基地です。ここに民営化攻撃−「9割非正規職化」の全矛盾が集中しています。
 最初は朝7時からビラをまいていましたが、深夜勤のシフトに合わせ4時45分からに変更。この3月の雇い止め攻撃をめぐって深夜勤の労働者が関合労に加入し、「自分だけの問題じゃない。組合として闘いたい」と当局の解雇攻撃との闘いを始めました。
 この闘いをとおして明らかになった職場の状況は、本当に「奴隷労働」そのものです。3月末の雇い止め通告は「対話票」なるものの累積でした。この「対話票」とは、始末書とは別に、深夜労働でフラフラになって働いている中で起こったほんのささいな事象をあげつらい、票に押印させるものです。例えば、ホワイトボードに貼っておく写真のマグネットが床に落ちただけで押印させられる。最悪なのは「対話票」への押印が薄かった、というだけでさらに「対話票」が累積する! この累積で「雇い止め」への押印を余儀なくされたのです。「対話票」が累積した労働者は「訓練道場」なる部屋に押し込められ、その場で「雇い止め」が通告される。JRの「日勤教育」と同じ、首切りのための「収容部屋」です。本当に許せん!
 そもそも職場で起こるいかなる「ミス」も労働者の責任じゃない! 週に5日もの深夜労働を、あまりの低賃金で働かせている資本のあり方こそ一切の問題です。
 JP労組がこの解雇攻撃の先兵となっていることによって、こんなとんでもない攻撃がまかりとおっています。JP労組の組合員である職制は、「対話票」をどれだけ非正規労働者からとったかをグラフにはり出して競わされています。これは非正規労働者だけでなく、本務の労働者の労働者性を奪い、階級性を解体する攻撃としてもあるということです。
 さらに恐るべき低賃金(新規採用は時給800円、深夜割増3割5分)、週に5日の深夜勤(21時〜4時45分や22時〜5時45分)という強労働、パワハラの常態化。さらにスキルダウンによる分断と賃下げ攻撃。「勤務誤認」で1ランクダウン、入る日を間違えたら「職場放棄」で2ランクダウン。そして「母の日ギフト」や「かもメール」などの「自爆営業」の強制。
 さらに深夜勤の労働者への待遇は劣悪化しています。仮眠室をなくし、フロも水シャワーにされ、食堂も20時には終了。トイレも「節電」と称して半分しか使えない。これは労働者をモノとしてしか見ていないことの現れです。職場を回しているのは私たち労働者だ!私たちは使い捨てのモノじゃない!
 これこそ民営化攻撃=新自由主義の極限的矛盾そのものです。こんな現実を全部ひっくり返そう! 「民営化絶対反対、非正規職撤廃」以外に生きることができない現実がここにある!
 「赤字で当たり前」の郵便事業に競争原理を持ち込み、利益最優先でやることに根本的な問題があります。国会に提出されている「郵政民営化見直し法案」も、私たち非正規労働者の現実をさらに劣悪化し、さらなる非正規職を増やすものでしかありません。

 継続雇用を認めさせる大勝利

 しかし2回にわたる団交をとおして解雇攻撃を打ち破り、4月からの継続雇用を認めさせる大勝利を手にしました! 解雇攻撃に対して絶対反対で闘う労働組合が登場したとき、
当局とJP労組の一体となった無法な労務支配がガラガラと音を立てて崩れ始めたのです。団交の場に近畿郵政支社から総務課が直接乗りだしてくるあり方のなかに、JP資本がどれだけ衝撃を受けているのかがわかります。
 これは闘いの始まりにすぎません。この職場の現実そのものをひっくり返す以外に労働者は生きられない!

 非正規労働者は革命の主人公

 鈴木コンクリート分会の闘いや郵政非正規ユニオンの闘いを始め、「非正規職撤廃」の闘いが日本階級闘争に大きな柱として立ちました。これは2000万の非正規労働者のすべてを獲得する巨大な闘いの始まりです。原発労働をはじめ、もはや労働者の9割を非正規化する以外に、社会そのものが成り立たないところに来ています。非正規労働者とは、この資本主義社会を、その部分的改良ではなく全部をひっくり返さずにはおかない革命の主人公です。私たちはその確信をこの1〜4月の闘いの中でつかむことができました。
 今回の闘いをとおしてつかんだ勝利の地平を踏まえ、職場の現実をすべてひっくり返すためにも、組織を拡大し、組合的団結をすべての労働者の中に拡大していこう。職場全体のなかにさらに巨大な分岐をつくりだし、拠点建設に打ってでます!

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号3-1)(2012/06/01)

■ひめじょおん――女性部から

自治体の徴収部門では…

東京 自治体労働者 大谷 京子

 自由主義政策が徴収部門の現場に何をもたらしたか

 2007年、小泉内閣の「三位一体の改革」により、所得税と住民税の税率が逆転して以降、それは顕著になった。所得税は、ほとんどの場合天引きされるが、住民税は翌年に課税され、天引きではなく普通徴収だと年4回で納める決まりになっている。年に6万円だった税が12万円になり、1度に納める額が1万5000円から3万円になったら、誰でも分割して払いたいと思うだろう。一気に分割納付の依頼が増え、滞納整理担当の対象者が広がった。
 そのうえ「雇用崩壊」で、派遣などの非正規雇用労働者が増えているので、特別徴収(給与天引き)ではない「給与所得者」が、どんどん対象になってきた。これは国民健康保険や国民年金にも言えることだが、正規職員なら当然加入していた社会保険や厚生年金から、非正規労働者は除かれているため、払えない、払わない労働者が増加してしまうことになる。
 このように、それまでも新自由主義政策による非正規労働者の増加は、自治体労働者の多忙化を促進していたが、そこにさらに税制改革が行われたのだ。一方では、景気後退による税収の落ち込みという事態に、どこの市町村でも「徴収部門の強化」が謳われている。「地方自治の確立は財政から」と、滞納を減らして税収をあげることが、一大目的化しているのだ。
 そんな中で、IT関連業者は「滞納システム」の開発に励み、あっという間に差し押さえの書類が作れてしまうソフトを売り込んでくる。コールセンター業者は「滞納者に電話するオペレーターを派遣しますよ」と営業に来る。それらの導入は、一見仕事の助けになるように見えるが、実際はどうか。
 前述したように、政策による滞納者の増加に、仕事をやってもやっても追いつかないのが現状だ。しかも新システムは、次々に仕事を作ることができる。対象者を一定の条件で抽出して、大量に文書を作成できるからだ。
 こうして仕事に追われ、数年前には残業している人は数人だった職場が、今ではほぼ全員が、終業のチャイムが鳴っても仕事を続けている職場になってしまった。やればやるほど成果は出るので、つい残ってしまう。まるでハムスターが輪っかを回し続けるように。
(写真 多忙化する自治体職場)

 「多忙化」に抵抗する職場からの闘いを

 この忙しさこそが「新自由主義攻撃」なのだ。自治体労奏者を多忙化させ、隙間の仕事を非正規労働者に担ってほしいと思わせる。税金を「取る側」と「取られる側」に分断し、敵対させる。分断は意識をも変え、いつの間にか、労働者ではなく「官吏」の意識になっていく。それこそが、支配する側の目的だろう。自治体労働者を99%の側においておけば、世の中がひっくり返るかもしれないのだから。攻撃に負けないためには、多忙化に抵抗する、職場からの闘いが必要だ。人員要求と、委託化反対をかかげて闘おう。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号4-1)(2012/06/01)

■動労千葉労働学校で学ぼう!

 4月21日に行われた第12期労働学校基礎講座第1回(テーマ「階級的団結論−労働者の生き方」 講師 森尾誠)の受講生の感想文を紹介します。

●合同労組組合員
 実際に闘っている人にしか分からない内容だ。愛読書としてつかう。(中略)大企業の破産、大失業、非正規労働が発生している今日においては、資本主義の限界にいる。しかし、生産諸力が生産関係を変えるとずっと思っていたので、われわれ労働者階級が変えられるとは思っていなかった。ブルジョア社会も封建制社会と同じ道をたどっていることを初めて学んだ。労働者階級が今の社会を変えるんだーとしか思っていなかったからだ。共産党は主体性がない。絶対言わない。労働者を見捨て続けてきたのだ。「闘ったら負ける」の論理と同じであるとしか思えない。

●反原発運動
 大勢の人がこの労働学校に集まったことに驚きました。社会を、今の環境をただ受け入れるのではなく、疑問を感じ行動を起こそうとする思いのある方々が、いろんな世代、場所から来て、主体的に動けて、自分の意思をもっていて、それだけで日本の将来は実は明るい(後略)

●合同労組組合員
 「ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」―マルクスが160年以上も前に予言したにも拘わらず、どうしていまだに資本主義社会が続いているのか?−講義後の質疑応答の中で出された質問だ。この疑問を本当に大事にしなければいけないなと感じた。それはこの労働学校で単なる「講義」を受けてお勉強するだけに留まるのか、あるいは新しい社会を模索していく主体として立っていくのかの分かれ道だと思うから。(中略)マルクスの言葉を学び、その後の闘いの歴史を学び、今の時代を研究し、みんなで激論を交わして戦略を立てていく。そういうものにつながる労働学校にしていきたい。

●反原発運動(金融関係労働者)
 人数においては圧倒的多数のはずの労働者が、なぜいつも少数で限られた存在のように語られてきていたのか、それが今回の講義でブルジョアジーの作った制度の一環として、労働者というものを社会の中で語らない、ということであったというように理解しました。(後略)

●合同労組組合員
 マルクス主義イコール階級的労働運動なのか? 労働者の数だけ闘い方があれば、労働者の数だけ答えがあると常日頃から感じていますが、最後的に不思議なことに答えが一つになるイコール団結力を感じています。(後略)

--------------------------------------------

●第12期労働学校日程
■基礎講座
 6月16日(土) 13:00〜
 ◆反原発と時代認識−どういう時代に生きているか
 ◆講師 島崎光晴(経済問題研究家)

■実践講座
 6月23日(土) 13:00〜
 ◆私が職場でやったこと
 ◆講師 布施宇一(動労千葉顧問)

■場所
 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号4-2)(2012/06/01)

■新連載 地平線 反戦共同行動委員会

北朝鮮ミサイル迎撃態勢で破綻を深めた野田政権

 今月号より反戦共同行動委員会の連載を始めます。

    ※ ※ ※ ※ ※
 2011 年版防衛白書は、「動的防衛力の実現」を目指し、「防衛力の実効性の向上のための構造改革」を明記した。そして5・1日米共同声明付属文書は、対中国戦争を念頭に自衛隊と米軍が共同訓練、警戒監視・偵察活動、施設の共同使用で「動的防衛協力」を進めることを盛り込んだ。そのための海外拠点として米自治領の北マリアナ諸島のテニアンに自衛隊を駐留させることでも戦後初めて合意した。
 北朝鮮のミサイル打ち上げ通告を契機に、米軍と自衛隊の一体化が加速している。空自は06 年5月の米軍再編計画に伴う航空総隊司令部の横田移転を昨年3月から開始していたが、ミサイル発射を前に司令部が米軍横田基地に移転し運用を開始した。日米弾道ミサイル防衛(MD)の拠点となる「共同運用調整所」を新設し、情報共有・連携運用の強化を加速させた。府中から司令部や作戦情報隊など約760 人も移転した。今回「衛星ミサイル」対処では、日米が情報を共有し、自衛隊のPAC3やイージス艦の配置などは、米第5空軍司令部下で、航空総隊司令官が指揮を執った。今回の北朝鮮ミサイル問題での日米弾道ミサイル防衛(MD)の一体的な運用開始は、米軍再編計画後初だが、そもそもMD計画の主眼は日本防衛ではなく米本土ミサイル防衛システムだ。今回の米軍と日帝軍事力(イージス艦、電子偵察機EP3など)の配置もそれを示す。

 国家総動員体制と沖縄圧殺

 野田政権がとった「ミサイル迎撃態勢」は、中国・北朝鮮有事を想定した周辺事態による国民保護計画という名目で、民間労働者をも動員した国家総動員体制の実働訓練と沖縄闘争の圧殺―自衛隊の南西配備布石への攻撃として発令された。沖縄県内へ配置された自衛隊員の正確な数は明らかにされていないが、1000名を超えている。「ミサイル落下の危険性」を煽り立て、兵士に実弾を込めた武器を携行させ、「PAC3配備は自衛権の発動ではなく警察権の発動」として、機動隊・海保をも総動員体制を敷いた。
 「沖縄県国民保護計画」には、「着上陸侵攻、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空攻撃」など「緊急対処事態」に、地方行政機関・公共機関・航空交通・放送・運送・電気通信・ガス・郵便・医療・銀行などを総動員して対処することが明記されている。ミサイルは一般的に高度約100`以上の宇宙空間に達する。打ち上げ直後に爆砕して落下した場合でも日本の領域に「破片が落ちてこないのはわかっている」(与那国に派遣された自衛官)にもかかわらず、日帝・野田政権は「国民保護計画」の全国的実働訓練を強行した。しかし日帝独自でのミサイル発射情報を感知できず、全国初のJアラート発動は破産し、県内基軸観光産業に打撃を与え、港湾労働者の怒りを引き出し、3・11 に続き脱落帝
国主義としての無力性をさらした。右翼ファシストの台頭と改憲攻撃は激化する。だが反原発・基地撤去、階級的労働運動はファシスト、体制内派、改憲勢力を踏みつぶしながら前進する労働者解放への普遍的闘いであり必ず勝利できる。共に闘いましょう!
 (労働者兵士行動委員会)

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号4-3)(2012/06/01)

■新連載 Pick Up 2012年4月〜5月の労働運動関連情報

 ■新聞記事、ネット配信記事

●ユニクロ 「離職率3年で5割、5年で8割超」の人材排出♀驪ニ【5/6マイニュースジャパン】 http://www.mynewsjapan.com/reports/1607
●日本郵政 12年3月期決算 コスト削減奏功し最終増益【5/16フジサンケイ】
●残業で不正手続き ワタミ過労死 労使協定形だけ 【5/17東京新聞】
●JR西の山崎元社長が技術顧問に 安全研究所【5/18共同通信】

 ■労働組合状況

●130万人産別労組誕生へ ゼンセン・JSD11月統合【4/19朝日】 UIゼンセン同盟が、「サービス・流通連合」(JSD)と11月に統合。組合員数は計約130万人に。
●5・14ゆうき緊急連帯行動に100人【全労連HP】 国会前で、MIC、全労協、全労連が労働契約法一部改正案(有期労働)の徹底審議、修正・見直しを求める行動。
●5・18「ブラック企業に立ち向かう仲間たちの集会」【レイバーネットHP】 MIC、ネットワークユニオン東京、首都圏青年ユニオン、新聞労連、全国一般東京南部による実行委員会主催の集会が東京で開催。
●全駐労、パート制導入撤回求め座り込み
【5/19沖縄タイムス】
●「産別主体」改め本部が前に――1千万人組織化≠ヨ連合・新方針【5/21労働新聞HP】 連合は、新組織化方針「1000万連合実現プラン」(仮称)を5月末の中央委員会で正式に決定。
●自治労、都市交との組織統合方針案を提起自治労(約85万人)は5月24〜25日、福島県で開かれた中央委員会で、都市交(約2.7万人)との組織統合方針案を決定した。

 ■政府・行政当局などの資料

●大阪府・職員基本条例、分限条例、処分条例など全文 【大阪府ホーム>画面右下の「大阪府広報」より検索】
●大阪市、「市政改革プラン(素案) −新しい住民自治の実現に向けて−」(5/11公表)【大阪市HP】
●行政改革に関する懇談会第1回議事次第(5/7) 【内閣府HP】
●日本経団連「成長戦略の実行と財政再建の断行を求める〜現下の危機からの脱却を目指して〜」(5/15公表)【日本経団連HP】

 ■書籍・雑誌・機関誌類資料

●「脅されても不起立貫く教師たち」村上恭介/「『戒告』しか出せなかった都教委」樫田秀樹 【『週刊金曜日』890 2012.4.6】
●「タクシー産業における規制緩和路線の破綻」川村雅則(北海道学園大学准教授) 【『労働旬報』2012.4.25号】 ネットにPDF
●「神話崩壊!公務員もクビになる」【『週刊東洋経済』2012.5.26】 社保、青森・東通村職員組合の分限免職
●「ルポ非正規公務員(上・下)」藤田和恵【『世界』2012年5、6月号】
●『郵政崩壊とTPP』 東谷暁/文春新書/2012年4月/819円
●『ルポ賃金差別』竹信三恵子/ちくま新書/2012年4月/798円
●『全軍労・沖縄闘争 比嘉豊光写真集』出版舎Mugen/2012年4月/4200円

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号4-4)(2012/06/01)

■A君弾圧に組織拡大で反撃

ちば合同労組

 ちば合同労組の青年労働者A組合員に対する不当逮捕を団結の力で完全に粉砕し大勝利しました。全国からの激励・カンパ、ありがとうございました。
 千葉県警は4月12日、A組合員を「住んでいない所に住民登録した」と勝手にでっち上げて不当逮捕しました。千葉県警はA君宅を家宅捜索し、家族をも千葉中央署に連行して4時間も事情聴取を行ったのです。絶対に許せない!
 A君不当逮捕は、非正規職撤廃・偽装請負弾劾を闘う2千万青年労働者に対する弾圧です。貧困と闘う労働者家族に対する襲撃です。
新自由主義は、こんな許しがたい弾圧を強行するほど、腐り切っているのです!
 A君に対しては、連日6時間以上の拷問的取り調べが行われ、仲間のことや労働運動のことを聞いてくるなど、A君に労働運動をやめさせるための転向強要が行われました。
 しかし、A君は警察や検察に怒りを爆発させ、完全黙秘・非転向を貫いて闘いぬきました。釈放されたA君の第一声は、「この借りは、
職場で返す!」。A君は、5月1日から元気に職場に復帰して闘いぬいています。
 しかも、A君が職場に復帰した時、常駐管理者がA君に対して言った言葉は、「これからもよろしくお願いします」だったのです! 15日間の獄中闘争を闘いぬいたA君に、資本は「敬意」をもって迎えたのでした。しかも、15日間分の給料は時給制なので支給されませんでしたが、なんと逮捕されても皆勤手当が支給! これは、資本すら不当逮捕だと認めたに等しいものです。すごい資本との力関係を強制しています。

 日常的実践―団結の地平

 A君は、3年前に雇い止め解雇通告を受けた時、偽装請負を摘発して解雇撤回を勝ちとり、3カ月間の雇用契約だったのを、「期間の定めのない雇用契約」を認めさせる勝利をちば合同労組の仲間とともに勝ちとりました。その後、職場に分会を結成し、団体交渉を繰り返して、賃上げなどを勝ちとってきました。
 A君が不当逮捕されている中で、2012年春闘団交を闘いました。そのなかで、@A君解雇はしない、A一律時給10円の賃上げ、B3カ月の試用期間を経たら全員を期間の定めのない雇用契約にする、C平台車3台を職場に入れる、ということを認めさせる大勝利を勝ちとりました。
 こうした勝利は、A君を先頭に合同労組の分会が職場で日常的に闘ってきたことが背景にあります。職場の仲間の声を聞き、アンケートを集め、分会ニュースを発行するといった労働運動の日常的な実践が切り開いた地平です。
 A君に対する不当弾圧を粉砕した力や、団体交渉で勝利を勝ちとった力は、職場に団結をつくってきた力そのものです。

 青年も家族も怒りの決起

 今回の許せない弾圧にちば合同労組だけでなく、千葉労組交流センターの仲間や合同・一般労組の仲間、弁護士さん、何よりも青年労働者が怒りをもってともに闘いました。連日朝、千葉地裁前で不当逮捕弾劾のビラをまき、千葉県警を社会的に包囲する闘いをやりぬきました。
 A君の勾留決定や勾留延長が決まったら、直ちに千葉中央署に抗議行動を叩きつけました。首都圏各地からかけつけてくれた仲間とともに怒りを叩きつけました。千葉中央署は、固く門を閉じて沈黙。怒りの弾劾にうなだれる警察官、涙目になって動揺する警察官。私たちは、いかに許しがたいのかを徹底的に突きつけました。
 A君の家族も怒りました。家族が団結して、必死に生きていることを犯罪とし、任意同行なのに、一方的に千葉中央署に連行して事情聴取を行った警察。家族は、勾留理由開示公判やA君奪還の日に行った「奪還勝利集会」にもかけつけてくれました。
 千葉県警は、A君をつぶすどころか、A君を不屈の労働運動活動家として鍛え、家族の団結を強化し、家族とちば合同労組の団結を生み出したのです。しかも、A君弾圧との闘いの中で、ちば合同労組に青年労働者が加盟する勝利も勝ちとりました。A君弾圧に、組織拡大で反撃! まさに千葉県警は墓穴を掘ったのです!
 この大勝利は、新自由主義に対して団結して闘えば勝てることを実感させるものでした。職場で階級的労働運動を実践し、仲間を組織することが、弾圧を粉砕し、資本との力関係を変える闘いそのものであり、新自由主義を粉砕する力なのだと実感しました。
 みなさん! 共に職場で団結を組織して闘いましょう! 新自由主義と闘う階級的労働運動を共につくりだそう!

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号4-5)(2012/06/01)

■スケジュール

●全証拠開示・再審開始を求める7・ 1東京高裁包囲デモ
日時 7月1日(日)午後2時集合 2時半デモ出発
場所 日比谷公園・霞門
(東京メトロ・霞ヶ関駅 B2 出口上)
主催 星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議

■編集後記
▼都労連傘下のある単組の物販オルグの話を聞いたら、まだまだ動労千葉の外注化阻止の闘いなど知られていないとのこと。始まった労働運動の分岐・流動・再編の荒波に切り込もう▼新連載開始。機関誌で論議し、組織拡大の武器に(う)

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(K267号5-1)(2012/06/01)

Photo Documennt 2012年4月〜2012年5月

 「闘うメーデー」一日行動を貫徹!

 

5・1東京
郵政非正規ユニオン、鈴コン分会、東京労組交流センターは全労協日比谷メーデーに合流して反原発・反失業を訴えぬくとともに、午後には郵政本社への弾劾行動、夕方からは反原発・反失業東京メーデー行動を貫徹し、「闘うメーデー」一日行動をやり抜いた。

 原発ゼロ! 「止めよう」から「無くそう!」へ!

5・5東京
「原発ゼロの日さようなら原発5・5集会」が東京の芝公園23号地で開催された。同日、ついに50基の原発すべてが止まった。5500人の人びとが、この勝利を謳歌した。これからが正念場だ。「止めよう!」から「無くそう!」の闘いが力強く開始された。

 フクシマ、橋下への怒りで闘う自治労再生へ!

5・24福島
自治労第144回中央委員会会場前に、自治体労働者部会、福島、宮城の労組交流センターが登場。国鉄闘争全国運動6・10全国集会への大結集、反原発、橋下打倒への総決起を全国から来た自治労組合員に熱烈に訴えた。反原発署名は1時間で90筆を超えた。

| HOME | 目次 |