「月刊労働運動」 2012年/10月/01日(No.271号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題)

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◎労働者の目 11・4労働者集会へ――階級的労働運動の力で時代を切り拓こう!
 特集 11・4全国労働者総決起集会へ!へ
呼びかけ3労組の闘い、10 ・1外注化阻止決戦の地平をわがものとし、11・4全国労働者総決起集会を成功させよう!  飯田 英貴 事務局長

●国鉄1047 名解雇撤回!
『動労千葉・鉄建公団訴訟、解雇撤回・JR復帰の高裁判決を求める署名運動』を全力で推進しよう
動労千葉・鉄建機構訴訟6・29 東京地裁判決の持つ意味と〈解雇撤回・JR復帰〉の新たな運動の展望について 葉山岳夫弁護士(動労千葉顧問弁護団長)

●外注化阻止・非正規職撤廃!
被曝労働反対! 外注化阻止! 国鉄分割・民営化体制を根底からぶっとばす青年労働者の反乱が始まった!――動労水戸7〜9月闘争の報告 石井真一 動労水戸委員長
ナショナルセンターの枠を越えて支援の輪が拡大 外注化阻止・解雇撤回・非正規職撤廃で、闘う労働組合を奪い返そう! 吉本伸幸 合同・一般労働組合全国協議会 東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会 書記長
勝った!!! 解雇撤回しました!!!! アメリカンアパレル分会結成! 東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会
新連載 元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風
◎沖縄県民大会10 万人決起と10・1 外注化決戦の地平をわがものとし、11 月集会1万人結集の先頭に立つ! 柿本博人 沖縄労働組合交流センター代表運営委員
◎国労組合員資格確認訴訟の意義について(中) 星野 文男 国労新潟県支部執行委員、国労新潟・駅連合分会4

ひめじょおん−女性部から ―女性部から 人事評価制度は、処分・解雇のための制度だ!

読者のページ

◎読者のページ ◎マンガ
※「動労千葉労働学校で学ぼう」「地平線」「Pick Up」は休載しました。

月刊『労働運動』(271号1-1)(2012/10/01)

11・4労働者集会へ――階級的労働運動の力で時代を切り拓こう!

神保 美彦 副代表

仙台市職労副委員長

「領土」をめぐる排外主義の登場は、新自由主義の行きつく先が侵略戦争であることをはっきりさせた。2012年秋の闘い―11月労働者集会は、階級的労働運動の力で資本主義社会の根底的変革を実現する歴史的な挑戦となる。それは、アメリカ、韓国、中国、中東など世界中で闘いに立ち上がっている労働者階級の闘いとひとつである。
 動労千葉、動労水戸、動労総連合、国労共闘の仲間を先頭に、10・1外注化阻止の闘いが全国に火の手をあげている。青年労働者の怒りの決起が始まっている。追いつめられているのは敵階級である。3・11反原発・郡山集会、4・1JR検修構内外注化阻止の勝利、国鉄闘争全国運動6・10全国集会、7・16反原発・代々木公園17万決起、そして全産別での外注化阻止の闘いへの突入。外注化阻止・非正規職撤廃、全原発廃炉の闘いを貫き、11月労働者集会の勝利のために、全労働者、とりわけ青年労働者と共に闘おう。
 仙台市職労で闘う会員は、この夏、役員選挙・定期大会の過程で新たな闘いに挑戦している。
 「職員の9割 ストレス自覚、5割超に抑うつの疑い」(河北新報・4月5日付)の現実こそ、復興特区攻撃であり、市職労と労働者の団結破壊がその核心だ。会員同士で自らの職場の現実を徹底的に討論した。私たち自身が復興特区攻撃のど真ん中にいることをつかみ、この現実と真っ向から闘う決意を固め、全力で訴えた。今、10月税務業務の一元化に反撃する闘いに立ちあがっている。11・4労働者集会に向け、職場・労働組合での闘いを反合理化・運転保安闘争の路線を貫いて実践することが核心だ。
 9月16日、大阪市役所前は橋下打倒の怒りのるつぼとなった。そして、外注化阻止のJR職場の激しい反撃と怒りとひとつになった。階級的労働運動の力で橋下を打倒する挑戦が始まった。その先頭に青年労働者が立っている。青年の怒りと決起に真正面から向き合い、11・4労働者集会の勝利に向け、挑戦しよう。
 全国で解雇撤回・JR復帰の大運動をまきおこそう。
(写真 大阪市役所前で橋下打倒を訴える神保美彦・仙台市職労副委員長【9月16日】)

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月刊『労働運動』(271号2-1)(2012/10/01)

特集 11・4全国労働者総決起集会へ! 呼びかけ3労組の闘い、

10・1外注化阻止決戦の地平をわがものとし、11・4全国労働者総決起集会を成功させよう!

飯田 英貴 全国労働組合交流センター事務局長

第25回拡大全国運営委員会を開催 港合同の闘いから学ぶ

 私たち全国労働組合交流センターは、9月15〜16日に第25回拡大全国運営委員会を大阪、港合同田中機械ホールにて行いました。
 9月14日にはJR東日本で10・1外注化の出向事前通知が出されようとして、それに対して動労千葉、動労水戸、動労総連合が総力を挙げて拒否や弾劾を闘い抜きました。なにより平成採が自らの闘いとしてスト破り拒否や通知受け取り拒否を開始し、JR当局を大混乱に叩き込み、外注化を止められる情勢になっています。今次委員会は、このJR平成採を先頭とした青年労働者の根底からの怒りと決起に感動し、共に闘うものとして開催されました。さらに16日午後から大阪市庁舎前で行われた橋下打倒集会とも一体で勝ちとられました。
 会議は、「『10・1外注化阻止・非正規職撤廃』『国鉄1047名解雇撤回』で階級的労働運動の新たな高揚をつくり出し、11・4労働者集会に巨万の労働者隊列を登場させよう!」と題した基調報告の後、11・4全国労働者総決起集会に向かって階級的労働運動を組織していく具体的方針を議論する場となりました。
 重要なことは、職場・地域で闘う中で労働者の団結、労働組合の団結を広げることです。その団結こそが新自由主義を打ち破れるのだということです。
 11月集会呼びかけ3労組のひとつ全国金属機械労働組合港合同も、独自の組織論・運動論をつくり、新自由主義に勝ちぬいてきた労働組合です。
 港合同の組織論・運動論の中にも、11月集会や交流センターの発展にとって重要なヒントがあります。そこには大和田事務局長が徹底的にこだわった「労働者の団結をいかにつくり出していくのか」があります。

  企業の塀を越えた運動を

 港合同は、活動目標の第一に「企業の塀を越えた運動を」と掲げています。企業内少数組合の闘いを地域全体が支援し、勝利させてきた闘いのなかで「自分のところだけで闘うのは大変だが、地域と一緒だったらやれる」という連帯感、確信が生まれ、地域闘争が大きく前進していきました。

  幹部闘争を排し、労働者同士の交流のなかで連帯を深める

 また、幹部だけが闘うのではなく、現場組合員の連帯、交流の場を日常不断につくってきました。そのためにも争議を闘う支部に集まることに力点を置き「寝泊まりして交流することで本当の労働者としての交流が始まり、組合員一人ひとりが労働者としての自発的な行動をとるようになった」といいます。組合員一人ひとりが集会や行動に「集まらなければ」と自覚したときには、人数もさることながら、それ以上に自立的な行動になるというのです。重要なことは「こうして労働者は変わっていく」と言っていることです。

 職場活動が基本

 そしてやはり闘いの原点は職場活動にあるということです。「職場で日常的な闘いや団結をつくっていれば倒産や組合破壊攻撃が激化したときにも動転するようなことはない」のだと言っています。職場での資本との日常的な闘いを通してつくり出される団結がすべての土台にあります。

 労働者の「自覚的団結」をつくりだす

 さらに大和田事務局長は労働者の「自覚的団結」の形成に心血を注ぎました。「『やられたらやり返せ』という資本の支配下におかれている労働者の思想性のままでいくのか、『社会の主人公は俺たちや』という主体的な思想を確立するのか、そこのところが一番大事だと考えた」と言います。大和田さんは「労働者が社会の主人公になるためには、労働者としての自覚と責任が必要や。人にムチ打たれたり支配されんと動かないというのではいつまでたっても社会の主人公にはなれん。労働者が自ら自覚を持って、生産なり、職場の秩序なりをきちんとやっていくこと、自分でものの是非をわきまえて判断して動くことをやっていこうやないか」と組合員に訴え、そのことによって「自分たちの人格を高めよう」と言ってきました。そのためにも困ったことがあったら会社に解決してもらうのではなく、労働者の手で解決しようという作風を常につくりだしてきたのです。
 港合同が目指すものは「労働者が団結するならばその力によって生きていけると確信できる労働運動の基盤をつくることだ」と言います。「労働者こそ社会の主人公だ」と言えるものを労働組合運動を通じて一人ひとりが確信していくこと、ここに新自由主義攻撃を打ち破る労働運動の最深の力があります。

 青年労働者と共に情勢を切り開こう

 最後に、会員のみなさんに訴えます。組織拡大、11月1万結集へ自分たちの意識を変えようということです。拡大運営委員会の討論のまとめで、辻川慎一代表は職場の平成採の主体的決起の素晴らしさを紹介し、「自分たちの現状から発想するのではなく青年と共に切りひらいていったものが情勢の最先端だという認識で今までの支配構造、自分たちのあり方もぶっ壊していかなければならない」と檄を発しました。
 どんな困難に直面しても、すべて闘いの中で展望を切り開いてきたのが動労千葉、動労水戸の労働運動です。「労働者の団結に徹底的に依拠する」―このことを職場のみんなに見えるものにし、形にすることです。
 10・1外注化阻止の地平から、11・4全国労働者総決起集会の巨万の大結集に向け、共に闘いましょう。
(写真 辻川代表が討論のまとめを提起【9月16日 大阪・田中機械ホール】)

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月刊『労働運動』(271号3-1)(2012/10/01)

特集 11・4全国労働者総決起集会へ! --国鉄1047名解雇撤回!

国鉄1047名解雇撤回闘争を貫き、闘う労働組合を甦らせよう!

『動労千葉・鉄建公団訴訟、解雇撤回・JR復帰の高裁判決を求める署名運動』を全力で推進しよう


以下呼びかけ文を掲載します。

 動労千葉・鉄建公団訴訟、解雇撤回・JR復帰の判決を求めるための東京高等裁判所あて署名のお願い

 

全国の闘う労働組合・労働者のみなさん。
日々のご奮闘に心より敬意を表しますとともに、国鉄1047名解雇撤回の闘いへの長年にわたる多大なご支援にあらためて御礼を申し上げます。
動労千葉の鉄建公団(現・鉄運機構)訴訟で6月29日、東京地裁民事第11部(白石哲裁判長)において、「国鉄分割・民営化に反対する組合員を不当に差別する目的で選定基準が策定され、採用候補者名簿に載せなかったのは不法行為」「名簿不記載基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、その結果、JR東日本に採用されたはず」とする判決が出ました。
6・29判決は、1047名解雇について、不採用基準(名簿不記載基準)そのものが不法行為であり不当労働行為である ことを認める画期的判決でした。「一旦全員解雇−選別新規採用」という枠組みによって「JRの法的責任なし」とした国鉄改革法を打ち破る展望を開きました。しかし、「解雇は正当」という断じて許せない反動判決でした。
裁判所をして、このような矛盾した判決を出さざるをえないところまで追い込みました。あらためて、国鉄分割・民営化に決着をつけるために高裁12民事部で解雇撤回・JR復帰の判決をかちとるために奮闘する時だと思います。
そもそも1047名の不採用が不当労働行為であり、不法行為であることは当初から明らかです。ついに25年の闘いでそれを裁判所に認めさせました。この四半世紀、国鉄分割・民営化方式の解雇や非正規雇用化の嵐が吹き荒れ、千数百万人の労 働者が非正規雇用に突き落とされました。労働者の権利は奪われ、労働組合運動は後退してきました。いま公務員労働者360万人の首切りも、この国鉄方式のエスカレーションとして強行されています。
他方で、判決は大きな地平をかちとっています。これまでの裁判では、北海道・九州の被解雇者については、採用されていたかもしれないという期待権は示されていましたが、不採用基準自体については合理的であるとの判断が維持されてきました。動労千葉の鉄建公団訴訟では、これを覆しました。採用差別の全体が不当労働行為であったことを認めさせたのです。
6・29判決は、国鉄分割・民営化反対―解雇撤回・JR復帰の旗を降ろさず闘い抜いてきたことの大きな意義と可能性を示しています。すべてはこれからです。あらためて国鉄1047名解雇撤回闘争に心を寄せ、ともに闘ってきた全国の仲間に、高裁で解雇撤回を明確に求める新しい運動を呼びかけたいと思います。動労千葉は、JRによる鉄道業務の全面外注化阻止の闘いと結合して、1047名解雇撤回まで闘い抜く決意です。
つきましては、「不当労働行為の認定」「解雇撤回」「復帰」へ向け、高裁12民事部への取り組みとして団体署名・個人署名を下記の通り取り組むこととしました。各団体・労働組合におかれまして、多数の署名を集めていただきますよう要請します。
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1.第1次締め切り 2012年12月末

2.署名の送付先および問い合わせ先
国鉄分割・民営化に反対し、1047名の解 雇撤回闘争を支援する全国運動

〒260-0017 千葉市中央区要町2−8 DC会館 国鉄千葉動力車労働組合
電話043(222)7207 FAX043(224)7197
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(呼びかけ)

足立 実(東京東部労働組合元委員長)
伊藤 晃(日本近代史研究者)
入江史郎(スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合委員長)
李東碩(広島大学大学院総合科学研究科准教授)
宇都宮理(愛媛県職員労働組合委員長)
大野義文(元安芸労働基準監督署長)
大口昭彦(弁護士)
荻野富士夫(小樽商科大学教授)
鎌倉孝夫(経済学者・埼玉大学名誉教授)
北原鉱治(三里塚芝山連合空港反対同盟事務局長)
鬼頭宏一(島根大学名誉教授)
金 元重(韓国労働運動史研究家)
清井礼司(弁護士)
高 英男(全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部副委員長)
斉藤貴男(ジャーナリスト)
崎浜秀俊(元沖縄県高教組副委員長)
佐藤幸子(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人)
椎名千恵子(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人)
下山房雄(九州大学名誉教授・JR東日本株主会前会長)
白井佳夫(映画評論家)
鈴木達夫(弁護士・法政大学弾圧裁判弁護団長)
清野和彦(元福島県教職員組合委員長)
手嶋浩一(元国労九州本部書記長)
高山克己(元国労新潟地方本部副委員長・元新潟県労働組合評議会政治局長)
高山俊吉(弁護士・憲法と人権の日弁連をめざす会代表)
富崎正人(弁護士)
中江昌夫(元国鉄動力車労組副委員長)
中西五洲(元全日自労委員長)
中村吉政(全国金属機械労働組合港合同副委員長)
西田 節(元総評オルグ・東部一般統一労働組合委員長)
西村正治(弁護士)
根津公子(東京「君が代」不起立被処分者)
葉山岳夫(弁護士・動労千葉顧問弁護団長)
花輪不二男(世田谷地区労働組合協議会顧問)
藤田正人(弁護士)
前嶋 登(富士地区労働組合会議議長・元全日建中央副執行委員長)
宮城盛光(沖縄県北中城村議・元全軍労牧港支部)
安田浩一(ジャーナリスト)
山村ふさ(元日教組書記次長)
山本弘行(動労千葉を支援する会事務局長)
矢山有作(元衆議院議員)
全金本山労働組合
全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部

(賛同)

川村 理(弁護士)
黒田節子
小関傳六(弁護士)
嶋田久夫(弁護士)
清水雅彦(日本体育大学准教授・憲法学)
高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)
内藤 隆(弁護士)
永島靖久(弁護士)
山崎吉男(弁護士)
横田 厚(元国労釧路闘争団員)

(2012年9月25日現在)

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 国鉄改革法と真正面から闘おう 呼びかけ人 入江史郎

スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合委員長、全国労働組合交流センター代表運営委員

 僕は国鉄改革法そのもの、特に23条との真正面からの闘いを全体的に作れないと国鉄闘争はダメだとずっと思っていた。98年5・28判決で国労の腰が折れ、そこをどう争うかをほとんどやれないできた。4党合意をとにかくつぶさなきゃいけないとかで、ここ10年七転八倒してきていたから。ようやくそのチャンスが6・29判決でできた。
 裁判闘争は、司法・国家権力に何を問うのかを明確にさせることが大事だ。反動的な論理を明らかにさせて判決とか裁判とか国家権力の権威をズリ下げていく。最終的にはイデオロギー闘争になる。国鉄分割・民営化は、まさに国家的不当労働行為という国家権力による詐欺的な倒産攻撃だ。国民、労働者に20何年も詐欺を働き続けてきたんだ。国鉄問題はすべての労働運動、社会生活、社会のありように影響を与えてきた。それを徹底的に弾劾する。まさにそこを認識してもらうために、もっと広範な、もっと普遍的な運動をつくりだしていかないといけない。国鉄改革法を俎上に乗せきろう。
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 動労千葉発行の討議資料を読もう


 ■目次
 ●高裁で解雇撤回・JR復帰判決を 葉山岳夫(動労千葉顧問弁護団長)
 ●動労千葉争議団座談会 解雇撤回まで闘い続ける
 ●1047名の解雇撤回・JR復帰へもう一歩壁を突き破りたい 田中康宏(動労千葉委員長)
 ●解雇撤回・JR復帰をかけて国鉄改革法と闘ってきた25年他
 ・A4カラー16頁

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月刊『労働運動』(271号4-1)(2012/10/01)

特集 11・4全国労働者総決起集会へ! --国鉄1047名解雇撤回!

動労千葉・鉄建機構訴訟6・29東京地裁判決の持つ意味と〈解雇撤回・JR復帰〉の新たな運動の展望について

葉山岳夫弁護士(動労千葉顧問弁護団長)

 外注化阻止と6・29判決を足がかりにして国鉄闘争全国運動を発展させ11月集会への大結集をめざしたい。そのために、今回の動労千葉・鉄建機構訴訟6・29判決について、担当した弁護団の弁護士として報告したいと思います。なお、本件被告の正式名称は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設支援機構ですが、省略して鉄建機構といいます。鉄運機構とも言われてますが鉄建公団の後身であることから鉄建機構と略称します。
 解雇について有効だと、撤回を認めないという反動判決であったわけです。また国鉄分割・民営化がレーガン、サッチャーと並ぶ中曽根の新自由主義政策の戦略的目標だという点については、裁判所は、証人調べを一切行わないという、そういう意味でも反動的な判決であることは間違いない。その反面で、動労千葉・田中康宏委員長などが言われているように「画期的な反動判決」ということがあります。

  不採用基準が不当労働行為であると認定


 3点あります。第一に、JR東海の、当時国鉄職員局次長であった葛西敬之が87年2月2日頃に、「動労千葉等、分割・民営化に反対する労働組合に所属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、本件名簿不記載を策定したと推認するのが相当である」と認定しました。この不採用基準を策定して採用候補者名簿に一旦記載されていたものを削り落とした。このことについて不当労働行為であると明確に認定したということであります。
 第二は、これに関連してその不採用基準について、改革労協、現JR総連、動労本部革マル派、松崎らによるところの猛烈な攻撃に触発されて、策定されたものだということを認定したということです。つまり、不採用基準の策定が国鉄当局と改革労協側との結託による不当労働行為であることを、判決は、明
らかにせざるを得なかった。
 基本的な採用基準は設立委員会が1986年に作って国鉄当局が具体化しました。その基準はそもそもは「……にふさわしい職員」とか一般的なもので、すべて全職員が該当して、87年1月にまで至ったわけです。しかも、あまりに職場の現状がひどく現場の労働者はみな絶望して希望退職が増え、本州では定員割れを起こす状況に陥った。杉浦総裁もこのままの状態では全員を採用しないことには問題がありそうだ≠ニ言っていた。それに対して動労革マル松崎を中心に「とんでもない」という猛反発を起こして特別決議まで上げた。
われわれが汗を流し涙を流して、それで故郷を離れてやれ派遣だ、やれ公営企業だとやった。そういう職員と不良職員を同じにして採用することは絶対に認めない≠ニ決議したのです。労働組合が他の労働組合員の首を切れとか入れるなという決議をするという猛烈な反動性があるんだけれども、それにしたがって不採用基準が決まってくるということですからね。だからそういう意味での不当労働行為性そのものについて明確にした。
 比較的いい判決だと当時言われた東京高裁南判決(2009年3月25日)の中でも、採用基準は基準としては明確性がある、適正に運用されれば合理性もある、明確性、合理性とべた褒めしているのが、この87年2月2日頃に策定された不採用基準なわけですからね。これが不当労働行為だということを認めたということについては、画期的なものです。
 この葛西らが策定した基準が明確だとか合理的だとかというのではまったくないわけです。なぜかというと、停職6カ月以上の処分を受けたものと、それから停職2回以上ということで、これを一応基準にしているんですが、問題はそれにとどまらないんです。

 「新会社の職員としてふさわしいものにな るか否かについては停職6カ月以上の処分 を受けた者、または停職処分を2回以上受 けた者が一応の基準となりうるが、この基 準に該当する職員であっても、処分後の勤 務の状況によっては著しい向上が見られ、 その者を採用することが企業運営にとって もプラスになると判断される場合には処分 にかかわらず採用することとした。」

 そしてその「企業運営にとってもプラスになる場合」というのは、

 「企業運営に積極的に参画を行った勤務実 績を有する場合とし、具体的には派遣、広 域異動、直営店舗への取り組み、多能化教 育、他職転換、資格試験合格、行賞の受賞、 研究発表、提案活動及び小集団活動におけ る指導的役割という客観的な事象によって 判断することとした。」

 要するに、動労本部、改革労協側についてこれが全部当たるわけですよ。しかも、もっとひどいのは、国労を脱退すれば職員としてふさわしくなっちゃうという、これは非常に差別性、違法性をもった、とんでもない話なんですよ。これを、国立国会図書館で、当時の設立委員会に提出した資料の中から伊藤証言の直前に見つけ出して、突きつけたわけです。
 だから停職2回以上、または6カ月以上というだけの基準ではまったくない。要するに国鉄分割・民営化に賛成するなど企業運営にプラスになる場合についてはともかく採用するんだと。そういう考え方なんで、明確でも合理的でもまったくない。これが暴露されたという状況があります。
(写真 「4党合意」強行採決を実力阻止した2000年7・1国労臨時大会【東京・社会文化会館】)

 JRに法的責任があることを認定

 第三には、本件名簿不記載基準がJR東日本への採用妨害だというべきであって、その不採用基準がなければ、JR東日本に採用されたはずだから本来定年までの賃金と全額を支払うべきだと観念する余地があることをいったん認めたうえで、しかしながら本件は損害賠償請求で、バックペイとは違うんだという不可解な理由で、3年間に限って、JRに採用、在職していたであろう賃金を払えと。しかし、一方で清算事業団にも勤務していたのだからその差額について払えと。そのなかで3年間に限って払えという形での差額の損害を認めた。なおこれとは別に慰謝料を認めたということなわけです。これは賃金のうえで動労千葉争議団の高石正博さん、中村仁さんなど9名についてJR職員として扱ったということを意味するわけであります。この点は実質的に採用手続きについて「JRに法的責任がある」ことを認めたことを意味するものだと思います。
 4党合意、3与党声明もそうですが、冒頭第一に、JRに法的責任はないことを認めろ≠ニあります。それを大会(臨時)において確認しろ≠ニ。これが最大の眼目であったわけです。「JRに法的責任はない」ということについて、国家権力側、資本側がいかにそれに腐心したか。どれだけ大変なエネルギーを割いて強引に認めさせようとしたか。それを国労本部側が飲んだ。飲んだけども、2000年の7・1国労臨時大会で大反撃を食らって吹っ飛んでしまった。何回やっても難しい。ついに警察権力を導入して翌年1月に社会文化会館で強引に認めさせるということをやったわけです。そこでの焦点はJRに法的責任がないんだということです。そこをめぐって大論争があったわけです。だから藤保美年子さん(当時、国労音威子府闘争団家族)が“JRに法的責任はないことを認めたら何もかもできないじゃないか、そんなことは誰でもわかることじゃないか”と熱烈に訴えたわけですからね。そうした「JRに法的責任がない」ということについて、白石判決は覆したということです。
 さらには2010年の4・9政治和解。ここでもJRには一切責任がないと認めた形になっています。だから不当労働行為を問題にするとか、損害賠償を求めることは二度としないなんて失礼極まる、無礼な言葉を使って、政治和解を強制した。それに4者4団体は屈服したわけであります。いずれもそれはJRに法的責任がないことを根本的な根拠にして、何をやっても責任はないんだからこの程度でと和解解決を図ってきたということだったわけです。
 白石判決はそれをも司法の場で覆さざるを得なかったということなんです。この点は国鉄闘争全国運動と裁判闘争が結合して一定の勝利を勝ちとったということだと思うわけです。司法の場で、4者4団体もふくめて、自民党はもちろん、民主党、社民党、こういう大政党そのものが強引に全部押しつけたもの
が覆ったことの持つ意味は非常に大きいものがあると思います。

 白石判決は、不当労働行為を認めた

 核心は、不当労働行為そのものについて白石判決が認めたことです。こういうことを言っています。

 「原告らが承継法人の採用候補者名簿の原 案に一旦記載されていたところ設立委員会への名簿提出期限(87年2月7日)が 迫っ た段階(87年1月末〜2月初め)になっ て急遽、名簿不記載基準が策定されている こと、策定時期が概ね改革労協側の国鉄当 局に対する抗議の姿勢が最高潮に達した時 期と概ね一致していること、名簿不記載基 準の具体的な策定時期、国鉄内部での意思 形成過程等の主要な策定経緯について、被 告が何ら説得力のある主張、立証をしてい ないこと、国鉄の職制が分割民営化に反対 する労働組合を嫌悪し差別する発言をして いること等を総合勘案すれば、国鉄当局と しては、一旦は原告を含む動労千葉組合員 をも基本的には採用候補者名簿に記載する 方向で動いていた(少なくとも、これは排 除する明確な方針をとっていたものではな かった)にもかかわらず、改革労協側の姿 勢に触発されるなどして、動労千葉等、分 割・民営化に反対する労働組合に属する職 員を不当に差別する目的、動機の下に、名 簿不記載基準を策定したと推認するのが相 当である。」

 国鉄当局が改革労協側と結託をして策定したことや国鉄の管理者の差別的な言辞を認定しました。葛西が「私は不当労働行為をやらないということで、つまり、やらないということは、うまくやるということでありまして」と1986年5月21日に動労新幹線各支部三役会議で公言していたことが暴露され、白石判決もそのことについて認めざるを得なかったわけです。
 判決直後に田中委員長は裁判所の前で「不当労働行為を認めたと言うんだったらそれは原職に復帰するということじゃないのか。現状復帰が大原則ではないのか。それを認めなかったのは許せない」と言ったわけですが、まさにそういうことなんであります。
 不当労働行為は不法行為であり、不当労働行為をやった行為が無効だというのが大原則です。だから原状回復だと。1949年(昭和24年)の「改正」で刑事罰から民事の原状回復に移行したわけです。そういう意味でも無効で原状回復が大大原則です。白石判決は、それをズラした。ズラしたというのは、承継法人と鉄建機構は別だという最高裁の論理があるからです。だから責任を鉄建機構の方にズラして、不法行為の責任は鉄建機構が負えと。ただしかし、その場合に、単なる慰謝料ではなくてJR職員であるということを認めたうえでJR職員としての賃金を払えと言っている。ものすごい矛盾ですよね。
 裁判所は不当労働行為だということを言ったうえで、「前記認定事実からすれば、本件名簿不記載基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、その結果、JR東日本に採用されたはずであるといいうるから、上記不法行為に基づく損害として、原告らがJRに採用されていたであろうことを前提にして経済的利益(逸失利益)を観念する余地があるということはできる」と言ったわけです。
 こちらは「不当労働行為だから原告らは承継法人(JR)における定年までの賃金・退職手当・年金等もふくめて全部払え」と主張してきた。ひとり1億円を上回ります。2000万がどうのというレベルとはまるで違う。
 裁判所は、一応そういうことを認める余地があると言ったうえで、ただしかし、「不法行為に基づく損害賠償請求権と、雇用契約関係の存続を前提としたいわゆるバックペイの請求権とは、もとよりその性質が異なるもの」だからと言って論点を損害賠償問題にズラして、相当因果関係のあるところについて、損害賠償を認めるということにするんだと。それはその就職準備期間等もふくめて3年だと。3年というのは意味がまったくわからない。そういうことでJRに勤務したであろう賃金を本来払うんだけれども、払っちゃうと払いすぎになる。なぜかと言うと清算事業団で給料をもらっているからそれについてはさっ引きをすべきだと。それは、バックペイと違い損害賠償については、当たり前といえば当たり前。両方もらうわけにはいかないから。だからJR職員として勤務した賃金、これは3年間。そこから清算事業団のときには給料をもらってるから差額について払えという判決を出したということです。
 そういった意味でJRに対して法的責任があることは明白になってきた。不当労働行為もふくめて明確になったということなんです。採用手続きは、国鉄の名簿作成、それから設立委員会におけるところのそれを承認して新法人に移行させるという二段に分かれている。この手続きそのものが違憲ではないかということです。江見弘武という裁判所から出向した国鉄職員がこれを策定して葛西は「目からウロコが落ち」たと言っている。こういうトリックを使った。その手続きそのものに不当労働行為が発生した。ならば、それはこういう不採用基準、名簿不記載行為がなければ、元に戻ったところの本来の地位が確認されるべきだということが大前提なんです。それを認めないということは白石判決も2003年12月の最高裁第一小法廷の判決に縛られているがゆえに、そういうことが出てきたと言わざるをえない。

 2003年12月最高裁判決・少数意見について

 この2003年(平成15年)12月22日の最高裁第一小法廷の判決は、裁判官5人が3対2で分かれて激論の結果、3人の多数決で結局判決が出てきたということですが、深澤武久、島田仁郎という裁判官が反対しました。反対したのみならず、反対意見を書いているわけです。その中では、承継法人JRと清算事業団を二つに分けて、当時の国鉄が行った不当労働行為が承継法人JR東日本に及ばないすることについては間違いだと強硬に主張したわけです。少数意見ではありますが、最高裁での少数意見なんで決して軽視できないわけです。
 4月の採用と6月の採用と、北海道の関係で、特に問題は4月の採用で本件と関連する採用ですが、この点について少し長いですが、紹介します。
 4月の採用等については、
 
 「改革法23条で@ 設立委員が国鉄を通じ、 その職員に対し、労働条件及び採用の基準 を提示して職員の募集をし、A 国鉄が、 その職員の意思を確認し、設立委員が採用 基準に従って、採用候補者の選定をしたう えで、採用候補者名簿の作成して設立委員 に提出し、B 設立委員が、その判断と責 任によって国鉄から提出された採用候補者 名簿に記載された者の中から職員として採 用すべきものを決定するものとされている。 改革法は、採用手続きの各段階について、 国鉄と設立委員の行う事務手続きを定めて いるが、これは承継法人の設立に際して 27万人を超える国鉄職員の中から改革法 成立の約4カ月間に21万5千人という多 数の職員を採用しなければならないために 職員についての資料を有し、その事情を把 握している国鉄が候補者名簿の作成等を行 うのが適切であるとされたからにすぎない。
 そのために国鉄は、承継法人の職員の採用 のために設立委員の提示した採用の基準に したがって採用候補者名簿の作成等の作業 をすることとされ、国鉄総裁が設立委員に 加わり」

 だから全然別じゃないですね。総裁も加わっている。設立委員というのはまったく別物だというんだけど、その設立委員会に杉浦総裁は入っちゃってるわけですよ。だから別物だなんて理屈がまったくペテンなんですよね。白石判決もそこは一言は言っているんだけど、徹底はしていない。
 国鉄の名簿作成について、設立委員会による委任だという説があります。これは法律行為、事実行為の委任で、準委任というんですが、国会答弁で準委任だと言っているわけですよ。だから設立委員から頼まれて国鉄が名簿を作成したということなんです。頼まれた人間、国鉄が不当労働行為をすればそれは頼んだ人間が責任を負わなきゃいけないということなんだけれども、そこを強引に切断して委任でもなければ準委任でもない。国会答弁はデタラメだと言って国会答弁をみんなふっとばしたわけですよ。それを最高裁の2人の判事はいくら何でもそれはおかしいんじゃないのかと言ったという話なんですよね。だからまったく別物だというのがペテンです。やれ基準は明確だ、合理的だと言って、そいつを押し通すことを今までやってきた。

 「設立委員会における実際の作業も国鉄職 員によって構成された設立委員会事務局に よって行われたものと考えられる。このよ うな採用手続きの各段階における作業では 各々独立の意味を持つものではなく、すべ て設立委員の提示する採用の基準に従った 承継法人の職員採用に向けられた一連の一 体的なものであって、同条において国鉄と 設立委員の権限が定められていることを理 由に、その効果も分断されたものと解する のは、あまりにも形式論にすぎるものとい わざるを得ない。」
 「(2)改革法の国会審議において、法案を所 管する運輸大臣は、国鉄と設立委員の関係 について、国鉄は設立委員の採用事務を補 助する者で、民法上の準委任に近いもので ある旨を繰り返し答弁し、さらに、国鉄は 設立委員の補助者であるから、国鉄の組合 と団体交渉する立場にはないと説明してい るのである。国会の法案審議における大臣 の答弁は、立法者意思として法解釈に際し て重く評価しなければならない。特に、改 革法は、国鉄の抜本的改革を目的として、 昭和61年11月28日に成立し、同年12月 4日に公布、施行されたものであるところ、 同62年4月1日に国鉄改革を実施するこ ととされ(同法5条)、極めて短期間のう ちにその内容を実現して、役割を果たした
 のであって、この経緯を考慮すれば、合理 的な理由もなく立法者意思に反した法解釈 をするのは避けるべきである。」
 「(3)上記のとおり、改革法は、承継法人の 職員採用について国鉄に設立委員の補助的 なものとして権限を付与したものと解すべ きであるから」「採用手続き過程において 国鉄に不当労働行為があったときは、設立 委員ひいては承継法人が労働組合法七条の 『使用者』として不当労働行為責任を負う ことは免れないのである。」
 「三……上記のとおり、承継法人は国鉄の 事業を引き継ぎ、上記実施計画の定めに従っ て権利及び義務を承継し、職員は国鉄職員 のうちからのみ採用することとして、国鉄 職員の約80%の職員を採用」。

 したがって承継法人が同条の使用者に当たらないとした「原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」ということです。
 その4月採用の場合については「新規の採用であることを理由として」採用を拒否することについては7条の不利益な取り扱いに当たるんだというような形で、この承継法人JR東日本がこの不当労働行為について直接に責任を負うべきだというかっこうで、それを国会の立法意思等に従って提起している。かなり手堅い判断をしているわけです。
 もちろん国鉄改革法そのものを前提にしている点は、全面的に違うことは違うんだけれども、こうした形で、最高裁の少数判決でさえも、ダイレクトにJRは責任を負うべきだとしているわけです。
 そういう点から見るならば、この不当労働行為があったとするならば、たんに損害賠償として賃金を支払えではなくて、JRに対して直接に職員である地位を求めるというところまで行かなきゃならない。それが本来の筋だと思うわけです。

 解雇撤回とJR復帰の関係

 問題は、前段でも言いましたが、この訴訟の前段で闘われたJR訴訟の関連では千葉地労委は、JRの職員である地位を認めたわけです。しかし、中労委はそれを否定して、塩崎、多田さんら二人だけしかJR復帰を認めない。さらに東京地裁でそれもひっくり返した。高裁でも、東京地裁がひっくり返したこ
とを認めて最高裁でも2004年の10月8日に上告を棄却しました。そうした状況のなか、やむなく国鉄を引き継いだとされるところの清算事業団に対する損害賠償請求をし、その地位を認めろ、そして90年の4月の解雇を撤回せよという形で訴えを起こしたのが2004年12月提訴の本件訴訟です。
 だからそういう制約上やむなく、鉄建機構に対して、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する主位的請求として掲げているということです。だからたんにストレートにこの訴訟で完全に勝つということになると、鉄建機構に対して地位を認めろという形になる。その矛盾をどう解消するべきかという問題になります。解雇を有効だと認めていること自体がけしからんことなんですが、採用手続きには不当労働行為があるとするならば、ダイレクトにJR職員としての地位を認めるべきだと。にもかかわらずそれを清算事業団に追いやり、そのうえで90年4月に解雇をすること自体が不当なんだから解雇撤回が当然のことなんだ。それに付け加わってJR職員の地位を認めるべきだ。そういうものを新たに請求のなかに付け加える。それが成り立つかどうかは、二審で付け加えるわけですから難しい点もあります。
 もう少し言いますと、問題はどこに重点を置くべきかということです。ふたつの解雇とよく言われるわけです。ひとつは87年3月の清算事業団送りです。それから90年4月に第2の解雇。1047名の発生です。それでは清算事業団送りとは何だったかというと、名簿に登載されないからそうなったとはっきりしたわけです。名簿から削り落とした結果、こういうことになってしまった。ということになれば、結論としては、行為そのものが不当労働行為そのものなんだから、清算事業団送り、さらには清算事業団からの解雇そのものも、それは元々無効じゃないかと。そういう地位であるにもかかわらず、無理やりそれを追いやって清算事業団に送って解雇させたということですから、それで解雇したのはけしからんという形で解雇撤回はありうる。それでは解雇撤回して鉄建機構職員となることで解決するのかといえば、それに止まらないと思います。
 本件は、採用手続き過程における解雇、不当労働行為がある。これが完全に組合差別の不当労働行為であるならば、これは全国各地の労働委員会ですべて認めたようにJRに対して職員としての地位を認める、JRに対して採用したものとして扱えということが俄然生きてくるわけです。
 したがって、90年4月1日の解雇撤回とJRに採用したものとして扱えということとは別に矛盾はしないことだと思うんです。だから解雇撤回の意味は、解雇撤回、JR復帰なんです。そういう二つのチャンネルで攻めるべきだと思うわけです。

 あくまでJR復帰を貫き、新たな運動を

 しかし、いかんせん裁判そのものは鉄建機構を相手に裁判をしたわけですから、今述べたようにたんに解雇撤回だけを言っているんだったら鉄建機構職員になる。今でも鉄建機構は存在するわけだから、撤回されればそれはそれでひとつの意味はあるんですが、しかしJRと全然違うところで鉄建機構の仕事をするということで果たして勝利といえるか。それはそうはいかないだろう。だから解雇撤回、JRに対する地位を認めろという、その二つになってくるんだろうと思うんです。さっき読みました最高裁の第1法廷の判決は、JRと鉄建機構のふたつは別だという。採用手続きに違法があってもそのことは採用手続きの不当労働行為をおかした国鉄に責任があると。その責任はストレートに清算事業団から鉄建公団、鉄建機構に引き継がれていくんで、承継法人には行かないんだという、その論理そのものをぶち破らないとできない。少なくとも採用手続における不当労働行為の責任は、承継法人JRが負うべきだということです。白石判決は賃金についてはJR職員としての賃金を支払えというところまで来た。JR職員としての地位を認めさせなければならない。
 運動的には明らかに鉄建機構への採用を認めろ、横浜本社で働かせろと言ったんじゃどうしようもない話です。あくまで敵はJRだ。そこのところで運動として展開しなければ、国鉄闘争全国運動の意味はないと思うわけです。それを補うのは運動の力で、それとあいまって裁判闘争の展開をしないと、なかなか押せないと思います。こちらはこちらで論理を築き上げながら、運動的にバックアップしてもらうという関係だと思います。
 したがって単純に解雇撤回ではない。解雇撤回およびJR復帰という、この二つが加わらないと運動にならない。そういう方向で訴訟上も展開していく必要があると思うし、それに沿う形での運動が必要です。
 共に頑張りましょう。
(8月29日に行われた国鉄闘争全国運動呼びかけ人会議における提起を編集部の責任でまとめ、加筆修正していただいたものです。)
(写真 東京地裁前でこぶしをあげる動労千葉組合員と支援【6月29日】)

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月刊『労働運動』(271号5-1)(2012/10/01)

特集 11・4全国労働者総決起集会へ! --外注化阻止・非正規職撤廃!

被曝労働反対! 外注化阻止! 国鉄分割・民営化体制を根底からぶっとばす青年労働者の反乱が始まった!

動労水戸7〜9月闘争の報告 石井真一 動労水戸委員長

 被曝労働阻止の闘いと羽部君の加入

 まず水郡線営業所の被曝労働阻止の闘いの報告をしたい。水郡線は気動車(ディーゼルカー)なので、夏場のオーバーヒート対策としてエンジンのラジエーターを通常は夏前に清掃するのだが、ここで問題が起きた。原発事故以降、放射線量の高い福島県郡山市まで乗り入れている車両のラジエーターに放射性物質が付着しているのは明らかで、安易に従来通り高圧のエアで汚れを吹き飛ばす清掃作業をしたらまちがいなく内部被曝する。会社は、エアの代わりに高圧蒸気と水で洗い流す方法に変更してきたが、安全の保証はない。放射能との闘いは、会社が少し譲歩したからといって安易な妥協はできない。仲間を被曝から守るためには絶対反対で闘うしかない。われわれは、7月30日から「この作業が終わるまで」の長期ストライキ闘争を決断した。
 われわれは、その日の仕事がラジエーター清掃と指示されたら、指示された組合員だけ、その作業の時間だけストライキに入るという、動労水戸としてもやったことがない戦術でのぞんだ。一斉ストと違って1人でストに入るときもある。「これを長期に貫徹するのは簡単ではないぞ」という組合員と討論を重ねながら団結して、全国の支援のみなさんの力も得て、ストライキを貫徹しぬくことができた。
 一方、東労組が作業協力を表明したせいでラジエーター清掃は強行されたが、最初は助役が雨ガッパにゴーグル、マスクの完全武装でやってみせた。ところが実際に作業員にやらせる段階になったら、気温37℃のなか、カッパもマスクもしていられない。結局はふだんと同じ半袖で、スチームでジャージャーやって、水もバーバーかかる。そして、流した水は排水溝に溜まり、放射線量の数値がどんどん上がった。すると、運輸科長をはじめ管理者連中がドブさらいを始めた。バケツ2杯とゴミ袋ひとつぐらいの泥を誰も来ないようなところに置いておく悪質な隠蔽工作だ。
 こうしたなかで、東労組の青年労働者が反対の声を上げた。「自分には2人の小さい子どもがいるし、やりたくない」と。東労組の政策フォーラムでも「ラジエーター清掃作業はやりたくない」と訴えた。実は、この青年の相談に乗っていたのが、当時東労組の大子支部青年部長で、今回8月28日に動労水戸に加入した羽部君だ。しかし、東労組大子支部大会では、当事者の青年が「やりたくない」と発言したことに対して、支部長は大子支部として協力すると宣言した。動労水戸がラジエーター清掃反対で闘い、東労組組合員からも「やりたくない」という声があるにもかかわらず、それを東労組は踏みつぶした。
 羽部君は、ずっと東労組の組合運動を真面目にやってきた青年だ。青年部の役員もやって、ずっと運転士の「ライフサイクル」に反対してきた。なぜ運転士が駅に行かなきゃいけないのか、運転士の青年部全員が嫌だと言っているのに、なぜ組合は反対できないのか、とずっと思ってきた。そこに今回の検修・構内外注化の攻撃。本部−本社間で妥結。ライフサイクルのときも同じ。本部−本社間で妥結して決まったから「おまえら行け」。今度は外注化が本部−本社間で決まったから「出向に行け」。こんな組合はおかしいと。
 8月下旬の東労組の青年部の大会に羽部君は代議員で参加した。ところがそこでは、ライフサイクル、検修・構内外注化や、被曝労働問題がまったく問題にならない。やっぱりこの組合はダメだと、彼は動労水戸に加入する最後の決意をした。大子支部の青年部に彼を批判する人など誰もいない。「当たり前だ。気持ちわかる。それはそれでいいと思う」というのが正直な声だ。

 東労組の青年たちがスト破り拒否の決起

 そうした闘いを経て、動労水戸は、9月14日の検修・構内外注化反対のストライキを構えた。9月14日という日は、10月1日実施に向けた出向命令の事前通知(事実上の発令)があるとされた日だ。外注化や出向について会社の主張がすべてウソであることが動労水戸の団交で明らかになった。ただただ、外注会社にJR社員を放り出し、職場の団結を破壊し、出向から二度と帰れない転籍に向けた攻撃であると共に、外注会社が独自に雇用する安い労働力、非正規化に向けた攻撃であることは明白だ。加えて、10・1実施予定なのに現場では何の準備もされていない。大混乱は必至だ。団交の場でも数日前から現場で行われた「説明会」でも、あまりのデタラメさに会社側もろくな説明ができないありさまだ。こんなふざけた出向命令など黙って受け取れるか! 現場では、動労水戸組合員のみならず、全体が怒りの頂点に達していた。
 一方、東労組は、動労水戸が14日にストを構え団交も継続し、何よりも東労組の青年を中心に反対の声が高まる中で、本社―本部間で妥結済みの外注化事案について水戸支社だけ14日前日になっても妥結できない。東労組の勝田車両センター分会は「事前通知の受取拒否だ。実は東労組も分会も反対だったんだ」というようなことを言い出し始めた。こうしたなか、われわれは、出向対象となる組合員だけ前日13日夕方からストに入る戦術をとった。勝田車両センターでは構内運転士1名、車両職1名がストに入ることになった。そこで、この代番(スト破り)をめぐって画期的な事態が起こった。
 なんと、東労組の青年労働者が、動労水戸のスト破りを拒否するために「今度のストは外注化反対のストだ。オレたちのためのストなんだから代番に入っちゃダメだ。休みのやつは出てくるな」と互いに連絡を取り合ったのだ。その結果、車両センターの管理者は代番を次々に断られ、年配の労働者も「若いやつががんばっているのにオレがやるわけいかないだろ」と断り、ついには管理者自らが代番をやるハメに追い込まれた。もう一人の代番については、勤務休みでこうした職場の雰囲気を知らない東労組の年配者が、安易に引き受けてしまった。のこのこ出勤してきたところを青年たちが取り囲み「どうして出てきたんだ。ふざけるんじゃねえ。付き合い変えるしかない」と糾弾した。「スト破り」という言葉も知らない東労組の青年労働者が、われわれ動労水戸に言われてやったのではなく、自分たちで考え、自分たちで行動したのだ。われわれは、こうした事態を生み出そうとはしてきたけれど、まさに劇的に、われわれの思惑をも超えて、ものすごい怒りの決起が始まったのだ。
 この闘いで支社のスト対策本部はガタガタになり、東労組もここで妥結すると全員が動労水戸に加入しかねないと恐怖して、事前通知を出す予定だった14日も会社に泣きついて時間稼ぎの団交を入れることになった。14日は、動労水戸組合員全員がストに入り、職場の門前で闘いに起ち上がろうと訴えた。一方で、スト破り拒否を闘った青年たちは、勤務明けの職場集会で東労組の役員を「発令出たらどうするんだ、屈服を許さないぞ」とずっと追及していた。こうして14日は、JR東日本管内で水戸支社だけ事前通知が出ない状況になった。動労水戸のストライキと結びついた青年労働者の決起が事態を動かしたのだ。
 10月1日まで現場を納得も屈服もさせられないままに強行したら何が起こるのか。スト破り拒否で闘った青年らの怒りに応えられるのは動労水戸しかない。いや動労水戸がある。そしてこの決起は、大子に、土浦に、郡山に、何よりも千葉に、東京に伝播する。現場の青年労働者の決起がすべてを動かす情勢が急速につくられつつある。この力を信頼し、結びつくことに勝利の鍵がある。

 JR体制の根底的転換へ!

 この間の団交での会社の答えは全部デタラメだ。業務はエルダー社員とプロパーを採用してやると言っているが、プロパーの採用計画は勝田車両センターでさえ2〜3年後から、水戸と土浦と大子に至っては5〜6年先だと回答している。ならば外注化なんて必要ない。ただ労働力を異動して、同じ仕事を同じ人が同じ場所でやる。机のこっちはJRで、あっちは鉄道サービス、仕切りさえない。トイレも洗面所も駐車場も給湯室も寝る所も全部同じ。それで別会社というのだ。
 会社は、出向の発令時、本人の同意を取らない違法行為を強行した。雇用主も替わり、労働条件も不利益変更の問題だし、5日も休みは減るし、要員も減らされる状況だから休みも取れない。説明会もなおざりで労働条件なんていっさい言わない。何も答えられない。そして、二度と戻る職場さえないのだ。
 現場は根底から怒っている。だから、この怒りと結びついて断固闘う。外注化になっても面白くなる。輸送混乱が起きたら今まで現場に丸投げだったのに、作業責任者から指示があると言っている。「作業責任者は絶対に指示ができない」「そんな管理者はどこの職場にもいない」と現場の組合員はみんな確信持っている。ゴチャゴチャになる、やるならやってみろ、おもしろいじゃねえかと。
 鉄道サービスで働く清掃の労働者に今度は動労水戸に入ってもらって、ばんばんストライキをやろうと話している。ゴミの山にしてやる。ゴミ列車を走らせてやると。外注会社の労働条件をJR本体と同じにすれば、外注化の意味はない。
 10月1日を山に、今まで国鉄分割・民営化から闘ってきた動労水戸運動が花咲くときが来た。動労革マルが支配してきた職場を、根底から転換できる展望が出てきたということだ。共に闘おう!
(写真 9・14動労水戸ストライキ(勝田車両センター前抗議行動)

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月刊『労働運動』(271号6-1)(2012/10/01)

特集 11・4全国労働者総決起集会へ! --外注化阻止・非正規職撤廃!

ナショナルセンターの枠を越えて支援の輪が拡大

外注化阻止・解雇撤回・非正規職撤廃で、闘う労働組合を奪い返そう!

吉本伸幸 合同・一般労働組合全国協議会 東京西部ユニオン 鈴木コンクリート工業分会 書記長

 合同労組に労働相談に来て結集してくる労働者は、多種多様の職種、職場の仲間たちです。パワハラ、セクハラ、退職勧奨、自宅待機強制、首切り、賃下げ等々、すべて労働者の権利侵害から解雇攻撃、団結破壊・分断攻撃をかけられています。国鉄分割・民営化攻撃から25年、労働組合が、労働組合破壊攻撃により屈服を深め、闘いを放棄し、逆に資本の先兵となって労働者への解雇、賃下げを強行してくる。こんなふざけた労働組合が、新自由主義を延命させてきました。
そして現在、合理化・外注化・非正規職化は、労働者の首切り、貧困、健康破壊、団結破壊をもたらし、労働者階級の未来を奪っています。16年間連続で年間自殺者は3万人を超え、20代で自殺を考えた若者の割合は約29%。10代と20代では4年で2.5倍に増加。資本による公然たる殺人攻撃です!
 ところが経団連は、「若者は非正規雇用を自ら積極的に選んでいる」と労働者の「自己責任」に転嫁し、政府・マスコミも、生きる術を奪われて生活保護を受けるしかない労働者家族を犯罪者扱いしています。資本と国家は労働者階級に対し、人間的共同性を徹底的に破壊する階級戦争をしかけているのです。
 「労働者をなめんじゃない!」「労働者は奴隷じゃねぇ!」 外注化・非正規職化との闘いは、新自由主義を打倒し、社会を労働者階級の手に取り戻す闘いそのものなのです。
(写真 鈴木コンクリート分会の組合員【右端が筆者】)

 解雇攻撃に団結と支援・連帯の拡大で対決

 鈴木コンクリート工業の生コン会社には、もうひとつの会社が存在します。それが、有限会社東豊商事です。実体は鈴木コンクリート工業と同じで、経営者も親子で同じです。しかし、東豊商事は労働者へすさまじい団結破壊と分断攻撃を行い、雇用形態は、3カ月雇用契約で社会保障も労働者の権利も認めない。社長は、言うことを聞かない労働者に対しては、平気で「嫌だったらやめればいいじゃない」「うちで食べていこうなどと思わないで」と言い切ります。募集広告に鈴木コンクリート工業生コン運転手募集と出し、応じて来た労働者をすべて東豊商事にぶち込み「奴隷化」して、会社に忠実を誓う労働者だけを選別し「正社員」にしていく独裁会社です。
 われわれ鈴コン分会は、こんな独裁社長、管理職に対して断固「間違っている」「おかしい」と言い切り、職場で職場支配権と団結拡大をかけて日々闘い続けています。
 今、鈴コン分会は、会社によるデタラメな組合破壊、団結破壊の解雇攻撃に対して職場、労働委員会、裁判、地域で支援・連帯・共闘を呼びかけ、ナショナルセンターの枠を越えて、団結拡大の取り組みを行っています。各地域でさまざまな労働組合の支部・分会に飛び込み、「こんな解雇を絶対許さない」「労働組合で闘いましょう」と訴え続けて回っています。闘いを放棄した既成労組中央に激震が走り、全国に波紋が拡大しています。

 東京キャラバンの開始

 われわれ解雇当該は、まず東京から労働組合の復権を取り戻すための東京キャラバンを開始しました。鈴コン闘争支援・連帯共闘会議への団結・共闘を呼びかける行動です。解雇当該が一人一人担当地域を持ち、地元のユニオンの仲間と共に鈴コン分会街宣と鈴コン闘争で地域の労働組合に対しオルグに入る。この取り組みは、地元ユニオンの組合員拡大と活発化を促進することも兼ねています。
 解雇当該一人一人が闘いの最前線に身を置き、汗をかき本音で愚直に突っ込んでいく、労働組合として団結の拡大に全精力・全人生をかけきり闘い抜く。ここから必ず道は切り開けると確信を持っています。
 2011年12月の解雇から9カ月。水道、清掃や連合、全労連、全労協と労働組合の枠を越えて、各本部、各支部、各分会から支援・連帯共闘会議へ個人・団体署名、賛同会員団体も増え始めました。ハッキリしたことは、職場や各労働組合の労働者は、本当に怒り、闘う団結を求めているということです。こちらがいかに明確に、労働組合で闘うことが本当に楽しく開放的なことであるかを訴えられるかどうかにかかっています。時代は闘う労働組合を求めています。それに応えようではありませんか!

 11・4全国労働者集会に労働者の大群を!

 合同・一般労働組合全国協議会の目標である1000名組織拡大の闘いも、まず自分自身がハッキリと「労働組合で闘うことこそが職場を変えることができるし、その力で社会を変えられる」と確信を持って仲間に訴えることができるかどうかにかかっています。
 11・4労働者集会に巨万の労働者大群の決起を実現しよう。鈴コン分会と支援・連帯共闘会議はまず東京から労働組合を甦らせる闘いを起こしていきます。そして、膨大な労働者の怒りをひとつに組織し、外注化阻止・解雇撤回・非正規職撤廃を掲げ、日本の階級的労働運動を根本から闘う武闘派の労働組合運動に甦らせていきます! 闘い前進しましょう! われわれは負けない! 勝利の日まで!!

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 鈴コン闘争支援・連帯共闘会議呼びかけ人(7月15日現在 敬称略)

花輪不二男(代表 世田谷地区労働組合協議会顧問)
高英男(全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部副委員長)
中塚大介(全日建運輸連帯労働組合関東支部委員長)
諸永政廣(精神医学研究所附属東京武蔵野病院労働組合委員長)
山川博康(スタンダードヴァキューム石油自主労働組合副委員長)
高橋浩(東京一般労働組合東京音楽大学分会)
前嶋登(富士地区労働組合会議議長 元全日建副執行委員長)
鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)
織田信夫(弁護士 元宮城県労働委員会公益委員)
伊藤晃(日本近代史研究者)

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月刊『労働運動』(271号7-1)(2012/10/01)

特集 11・4全国労働者総決起集会へ! --外注化阻止・非正規職撤廃!

勝った!!! 解雇撤回しました!!!! アメリカンアパレル分会結成!

東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会

 須賀 分会長

 私はそれまで、まさか自分の身に、解雇という攻撃が降りかかってくるなんて思ってもみませんでした。今までたくさんの労働者が、解雇という、命を奪われるような攻撃と闘ってきた話をさまざまな場所で聞いてきましたが、どこか私の中ではそれが遠くで響いてるような、そんな激しい闘いと自分の生活が結びつくなんてことはないように思っていました。しかし実際、「本当に簡単に解雇になってしまった。まさか自分が!?」という気持ちと、ついに来たかっていう感じを同時に味わいました。そして解雇の身になって初めて、今まで自分が闘ってきた原発のこと、今の社会のありかたとかそういうことが、頭では理解しているっていうレベルから、はっきりとすべてつながったんだと実感してます。

 闘ってるんだという生の実感

 解雇をうけた翌日(8月21日)に、私たちは会社に団交を通告しました。そして一回の団交(8月28日)で先日、解雇の撤回を勝ちとったわけです(8月31日)。団交には職場の仲間も来てくれて、最初はどうなることかと思いましたが、会社への不信感、怒りを爆発させることができました。ほんとに今、自分は闘ってるんだという生の実感があり、生まれてはじめて、労働者と資本の力関係を逆転させてる、その瞬間に立っている、という感動がありました。
 簡単に解雇されたのもそうですが、随分簡単に撤回されたもんだというのが正直な気持ちでしたが、私の生き方はすでに一変しました。職場で闘うことの難しさ。この闘いは私だけの問題じゃないということ。今までたくさんの人が入ってはやめて、それの繰り返しが続くばかりだったけど、完全非正規のこの場所だからできる闘いがある。簡単なことではありません。

 勇気をつくるものは団結しかない

 それを始めるには勇気が必要だったけど、勇気をつくるものは団結しかない。ほんとにそれしかないと思います。職場の大学一年生や、福島出身の仲間。闘っていなかったら、同じバイトですれ違うだけだったかもしれない。でも今この瞬間、偶然にも一緒に働くことになった彼らとの関係が、使い捨てであるだけのバイト仲間、という関係をとうに超えている、私たちがアメリカンアパレルという会社を動かしてる。その実感を湧かせてくれる。闘う過程で得るそういった力、それこそが労働運動の最大のパワーなんだと思います。

 闘いはこれから

 解雇撤回勝利! しかし闘いはこれからです。もっともっと辛いこと、悔しいことがあるかもしれない。しかし立ち上がった私たちは止まりません。少なくとも、あいつらをとっちめるまでは! VIVA アメリカンアパレル分会! 世界を変える一歩! もっとタイトな団結目指して頑張ります!

 富田翔子 分会書記長

 はじめての団交やりきりましたーっ

 8月28日に初団交。2時間フルに使って、とても戦闘的にやりました! 当該・華呼はめちゃくちゃ緊張してたのに、相手の細かくて中身のない論拠にしっかり反撃してました!
 私も開始前、震えがとまんなくてずっと指屈伸してましたが(´Д`)、相手を目の前にしたらどんどん怒りの言葉が湧いてきて、カナコの気持ちをぶっ潰すくらいはできたかと。
 でも何より、現役アメアパ自由が丘店スタッフとして参加してくれた二人、C君とリナちゃんの一言ずつの発言には、相手の誰一人、ぐうの音もでなかった、それが感動的だった。

りな いつも私たちが現場で会社に感じている不満があります。そういう自分たちの失態や不十分さを棚にあげて、華呼さんに責任を押し付けて、こんなおかしい理由で解雇しようとしていることに、まったく納得がいきません。

C君 ぼくはアメアパが好きでこの仕事を選びました。その会社がこんななのはがっかりです。華呼さんの解雇はおかしいし、その他の経営のあり方もちゃんと改善していってほしいと思います。

 直後の感想としては、一回目は完全にこっちのペースでやりきった! 華呼の言葉では「第一関門突破!」。団交後の報告飲み会にはのべ23名が参加! おおいに盛り上がり。

 第2回団交で「説明会開催」勝ちとる!

 9月20日、米本社からアジア担当として派遣されている実質的な最高責任者キャサリン・ジョンソン氏が登場! 団交に遅刻するわ、携帯はマナーモードにしてないわ、通訳も連れてこないという「不誠実団交」を開始早々弾劾! 閉店については、組合としては「ゼッタイ反対」なんだという立場を明らかにした上で、最終的にはこちらの要望通りの説明会開催、「あくまで全員そもそもの第一希望は自由が丘での継続勤務。だから第二希望の異動先や待遇をすべて聞き入れること」を承諾させました!
 「ほんとにキャサリン来たんだ! そのうえ説明会やらせるなんて、すげぇ!」と、現場の仲間たちが団交で勝ちとった「説明会」「責任追及」「希望どおりの異動・待遇」などに、かなり喜んでくれています。
 キャサリン(経営)の常識は、現場の非常識。モノ言っていいんだ、きっちりあいつらに責任とらせるんだ、店を閉めるのも、開けるのもうごかしてるのは自分たちだ。そういう空気が生まれ始めています。説明会そのものも、経営側の論理でやらせるのではなく、あくまでこっちの土俵で徹底糾弾できるかが勝負。闘いの中で自分たちが労働者として、ほんとうに主権者であることを仲間と一緒にガンガンつかみたい。(分会メールより構成・抜粋)

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月刊『労働運動』(271号8-1)(2012/10/01)

(写真 オスプレイ断固反対! 沖縄県民大会に10万人超える大結集【9月9日 沖縄・宜野湾海浜公園】)

沖縄県民大会10万人決起と10・1外注化決戦の地平をわがものとし、11月集会一万人結集の先頭に立つ!

柿本博人 沖縄労働組合交流センター代表運営委員

 〈オスプレイ配備反対! 9・9沖縄県民大会〉の最大の特徴点

 9・9県民大会は「命を守り、生きる」ための文字通り島ぐるみの決起だ。10万3千人という参加者数は140万の沖縄全人口の1割が結集したことになる。また、「国外・県外移設」論の主張は完全に影をひそめた。参加者の半数近くが30代の小さな子ども連れの家族だったこともかつてないものだ。この世代は95年10・21県民大会のころ、高校生だった層だ。それ以降、何回も県民大会が開かれた。基地包囲も闘われた。辺野古新基地建設も何度も何度も阻止されてきた。これらすべてをリアルタイムで体験してきた世代が県民大会の主軸に登場した。そして、この10万人が最も求めているものは、オスプレイ配備を阻止し、基地をなくすために「次に何ができるか」「次に何をするか」という方針だ。

 何が問題となっているのか

 「10万人決起とどう結びつくか」がわれわれの課題だ。それは「職場の怒りと本当に結びつく」ことでもある。ここから「次に何をするか」という回答が自ずと出てくる。
 全駐労に結集する基地労働者は、7月13日、職場の非正規職化に反対し、米軍当局の弾圧をはねのけて第1波24時間ストを闘った。そして、世界一危険な普天間基地の中か
ら、世界一危険なオスプレイと自らの職場で向き合い、職場の安全を守るために9・9県民大会に機関決定で結集した。今起こっていることは、基地労働者が動き出したということだ。そして、これと一体となって沖縄労働運動全体が動き出すのだ。
 沖縄労組交流センターは、この2年の間、月一回の基地ビラ入れを愚直に貫徹してきた。基地内の職場では「動労千葉を支援する・基地労働者の会」が動労千葉物販を武器に地道な組織づくりを展開してきた。こうした積み重ねの上で、7月13日、全駐労ズケラン支部を軸とするスト現場に激励に行っても、われわれは、基地労働者から親しみを込めて「動労千葉さん」と呼ばれている。
 「動労千葉、動労水戸っていう、何かものすごい闘いをやっている組合があるらしい」と基地労働者は、10・1外注化決戦の行方を固唾をのんで見ている。そして、勝利するために共に闘いたいと思っている。その大合流の場が11・4全国労働者総決起集会1万人結集なのだ。闘う労働組合を甦らせる闘いとは、こういう具体的な一つ一つの取り組みだ。

 動労千葉派、NTT労組沖縄総支部代議員選で70票

 県民大会に至る7月、沖縄の動労千葉派は、NTT労組沖縄総支部第11回定期大会代議員選挙に那覇分会から立候補し、70票を獲得した。問題は「次に何をするか」、70票の反乱を組織するためにどうするかだ。
 この70票は、「国鉄闘争全国運動・沖縄電通の会」の存在を基礎に、職場において動労千葉物販に協力してくれた仲間たちの一票の反乱として結実したものだ。
 NTT労組は「採用から65歳まで、安心して働き続けられる制度だ」とのペテンを弄して、2013年から「50歳定年、3割カット・再雇用制度」を見直し、地元受け皿会社を全廃することを受け入れると見られる。「104番」電話番号案内業務廃止を含む組織大再編、大阪・京阪神などへの広域配転など、かつて離島事業所を廃止したとき以上の凄まじい大合理化を全組合員にのませようとしている。組合的にも沖縄総支部はなくなり、九州ブロックに再編される。だがしかし、果てしなき外注化・非正規職化の泥沼のような職場の中でも労働者の怒りは消えることはない。団結を求める声は絶えることがない。まさに、外注化攻撃は例外なくすべての労働者を決起させるものとなったということだ。

 職場での外注化決戦が「革命の火薬庫」=沖縄の怒りに火をつける

 9・9県民大会の反省会の場で檄が飛んだ。『月刊交流センター』1998年11月号以来、現在の『月刊労働運動』にずっと4コママンガを連載している「パープルヒロ坊」さんから「外注化の重要性はじゅうぶんわかるが、沖縄は『革命の火薬庫』というぐらいだから、沖縄のことをもっとやるべきじゃないか」という意見をうかがった。 
 彼のいう「沖縄のことをもっとやれ」とは、「職場で勝負せよ! そして10万人決起と結びつけ!」ということだ。「沖縄労組交流センターの存亡をかけ、鬼のような動労千葉派となって、10・1外注化決戦のような職場闘争をやれ! 必ず職場の仲間たちは人生をかけて決起する。それが10万人決起と結びつくということだ」という待ったなしの檄だ。これに応えられないようなら、われわれは義理と人情を欠くことになる。
 沖縄労組交流センターは、「外注化阻止・非正規職撤廃せよ!9・30沖縄労働者集会」の成功をもって、残す1カ月、11・4全国労働者総決起集会1万人結集実現へ組織化の鬼となって闘うことを宣言する。

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月刊『労働運動』(271号9-1)(2012/10/01)

国労組合員資格確認訴訟の意義について(中)

星野 文男 国労新潟県支部執行委員、国労新潟・駅連合分会

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目次
・解雇組合員の組合員資格剥奪は、戦後労働運動の歴史すべてを投げ捨てるもの!
・階級の良心がスト禁止法をのりこえてきた
 (9月号)
・敗戦……資本・権力は絶対的延命だけを策動
・支配体制を支える公務員のスト禁圧―スト権めぐる根底的闘い(前半)
 (本号)
・同上(後半)
・国鉄分割・民営化反対闘争―新自由主義との闘い
・公労法の枠を越えて! 改革法の枠を超えて!
 (11月号予定)
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 先月号では、訴訟の原点「解雇者を組合員として守り抜く」が労働者階級の良心に深く根ざした、戦後労働運動の闘いの精華であることを訴えてきました。今号では、戦後労働運動の闘いすべてを、「共に闘う国労の会」と動労総連合の闘いが継承・発展させるものになることを訴えます。
 「全国至るところに鉄道は走っており、動脈をなしている。しかも、数十万の労働者が集まっている。もし、この労働者が『革命化』したら、その政治的影響は?」「誰が彼らを制するか」。……これは、労農記者として生涯を民衆の側に立つと決意して国鉄労働運動とともに歩んだ元・朝日新聞記者・村上寛治氏(元国労顧問)の記述です。核心は「誰が国鉄労働運動を制するか」です。

 敗戦……資本・権力は絶対的延命だけを策動

 45〜46年の労働法制をめぐる攻防を見ると、ブルジョワジーは一貫して資本主義体制の存続に必死で、労働者の階級的団結と闘いの解体に総力を傾注してきました。敗戦の荒廃を生きんがために団結とストライキを実力でもぎ取ってきた労働者に対して、45年秋には労働組合法公布、翌46年秋には労働関係調整法(「……労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もって経済の興隆に寄与することを目的とする」)を公布して実力行使抑制の法制的網をかけました。
 その頂点が48年マッカーサー書簡と政令201号、国公法改悪・公労法公布=政令201号体制によるストライキ禁止でした。これを突破口に、レッドパージやフレームアップなど徹底した弾圧で戦後革命の危機をしのいで今日に至っているのです。公務員の労働基本権禁圧は、駐留軍支配―政令201号体制の今日的継続です。それにあらかじめ屈服してきたのが日本共産党の解放軍規定です。中国革命成立と日本の戦後革命の鎮圧・朝鮮戦争(南北分断固定化)は、戦後世界体制の根幹を形成して55年体制の形成に至りました。

 支配体制を支える公務員のスト禁圧―スト権めぐる根底的闘い

戦後革命敗北後、1980年代の新自由主義の民営化攻撃に至るまで、戦後労働運動の最大の課題は公務員の労働基本権禁圧=駐留軍支配―政令201号体制との闘いでした。支配体制を支えている公務労働者からスト権を剥奪することは、戦後革命期をのりきるための反革命だったのであり、同時に、その後も資本主義社会の延命のために公務労働者を支配することは不可欠だったのです。4大産別決戦の路線的勝利性もここにあります。
 49年、50年の大弾圧を受けた国鉄労働運動が、電産・炭労などが苦闘するなかで、51年新潟大会で平和4原則を確立して職場実力闘争に入ったことは労働運動を牽引する事態でした。
 公務員・3公社(国鉄・電電・専売)5現業(郵政・林野・印刷・造幣・アル専)の労働者は労働基本権禁圧の困難にもかかわらず、賜暇闘争や職場大会・遵法闘争を駆使して「実力闘争―処分」を繰り返しながら団結と闘いの前進を図り始めました。
 戦後労働運動前半期30年のこの期間は、民間における英雄的闘いが数多く闘われながらも1960年を境に大きくは制圧されてきました。そうしたなかで政令201号体制と闘ってきた公務員労働者、とりわけ国鉄労働者の「実力闘争―処分」を繰り返しながら闘ってきた歴史は、国鉄労働者の怒りの根源性と労働者階級の不屈性をあらわしています。

 57年国鉄新潟闘争

 50〜80年の30年の闘いの前史の頂点をなすのが57年国鉄新潟闘争でした。スト権剥奪の代償措置としての公労委の調停仲裁制度の裁定未実施は、49、50、52、53、57年と続き、総額227億円(当時で!)にのぼっていました。相次ぐ裁定未実施に対して、52年年末には賜暇闘争戦術を配置して解雇者を出しながら57年春闘に上り詰めました。57年3月春闘では、解雇―国労19名、機関車労働組合4名、さらに処分撤回闘争で新潟2名解雇など大量処分が出されました。
 7月9日から始まった国鉄新潟闘争について、相田一男氏は(革新同志会―新潟闘争当時の地本委員長、53年年末闘争解雇者)「職場闘争というのは職場での職制からの奪権闘争!」「シベリヤ抑留時代の反軍闘争と同じだ」と言い、「指令のもとに遵法闘争的な合法的なもの」「不正摘発と運転法規遵守をめぐって現場長と交渉することで元気が出た」と、遵法闘争と職場集会が労働者の主体的・自己解放的闘争として闘われたことを証言しています。「スターマイン(連射連発花火)闘争」と呼ばれた闘いは、全職場がさみだれ的に職場大会(職場篭城や移動職場大会など)に入って列車運行の全面マヒ状態を生み出し、支援・共闘は全国に広がりました。追い詰められた岸政権は治安問題として国鉄当局をバックアップ、交渉は決裂。新潟日報は、連日大見出しで「深夜から暁への職場大会」「徹夜交渉、遂に決裂―力の対決へ」「国鉄闘争、全国規模に拡がる」「スト権奪回が目標」「国鉄闘争・新潟で決戦」などと報じています。7月16日、突然、国労本部の中止指令がラジオ放送で流され、直後19名が追い討ち的解雇処分。相田氏は「労働者を信頼し闘いを横に広げていく指導方針が大事だ」「中止指令は突然出たものではなく、指導方針じたいに労働者への不信があるからだ」と断じています。
(以下次号)

※訂正とお詫び 前号で「1953年年末闘争の18名解雇が、初の公労法解雇」と記述しましたが、1952年の年末闘争(大井工場2700名などの一斉休暇闘争)での本部三役の解雇の誤りでした。お詫びして訂正します。(星野)

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月刊『労働運動』(271号A-1)(2012/10/01)

ひめじょおん--女性部から

人事評価制度は、処分・解雇のための制度だ!

東京 自治体労働者 大西雅美

 自己申告シート提出拒否

 私は東京・江戸川区の保育園で働く現業労働者です。江戸川区では人事評価制度が2007年度より導入されました。この制度は、仲間の中に分断をもたらし、仕事場の中に競争を持ち込み、協力しながらやっていく信頼関係を壊すものと考え、江戸川区の制度の自己申告シートを出し、上司(園長)との面接を行うことを拒否してきました。

 闘争で制度の正体を暴き出す

 この間自己申告シートを出さず、面接を行わないからとして、区は総合評価「D」を出して来ていました。しかし、出さないからを理由にマイナスの「D」評価とは到底納得いきません。江戸川区の人事評価制度にある苦情対応制度にのっとり不服申し立てを行ってきました。しかしこの不服申し立てに対しても第三段階の苦情対応委員会をまったく開かないため、開くように要請書を出したところ、なんとこの度の当局の回答文章には、自己申告シートを出さない者は、職務専心義務にかかわり、地方公務員法違反の対象にもなるなどと、処分をちらつかせてきたのです。これはまったく大阪と同じです。許せません。
 「制度の目的は、人材育成と職場の活性化である。組織目標や自己目標を認識し、職務貢献と能力開発を促進して職場の活性化につなげることである」などとは真っ赤なウソです。おかしいことをおかしいということを封じ込めていき、一切の反論を認めず、上司の命令に従わない者は処分するという攻撃に他なりません。だからこの制度は絶対廃止しかありません。
(写真 3月に区の労働者にまかれたビラ)

 大阪の闘いと連帯し

 大阪府でこの春決まった「職員基本条例」は、人事評価は相対的な評価で、毎年5%の人に「D」評価をつける。連続して「D」評価の時は免職の処分を行える。管理職の恣意的な評価で毎年分限免職を出すことができるというものです。人事評価はまさに処分し解雇するための制度、労働者を分断し団結を破壊するものであることが明らかです。
 そしてこのような情勢の中、大阪市では橋下による「入れ墨調査」に対して赤田さんを先頭に6名が拒否し、「君が代」の起立、斉唱の職務命令を拒否した教職員の沼田さんが処分の撤回を求め闘っています。
 今回の江戸川区の回答もまた、区のやり方に逆らうことは、一つも許さないという、まさにもの言う労働者に対する見せしめの攻撃です。
 新自由主義のもと、自治体労働者にも民営化、非正規化がどんどん進められています。子ども子育て新システム導入は、一旦全員解雇、選別再雇用への道です。
 しかし、団結して闘えば必ず勝てるという展望を、25年間、新自由主義と闘い抜いている動労千葉と反原発の怒が切り開き、大阪の闘いが一体となって大きな闘いの波が沸き起こっています。一人への処分・解雇は全員への解雇攻撃の道です。職場から団結して闘う労働組合を今こそつくりだしていきましょう。

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月刊『労働運動』(271号B-1)(2012/10/01)

新連載

元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風

 連載を始めるにあたって

 はじめに

 30年間、労働基準監督官生活を送る中、痛切に感じたことは、労働者は、つつましく真っ当に生きたいだけなのに、何故、仕事がなく、あっても生活できる賃金がもらえず、不安定雇用といわれる非正規労働に就き、あるいは、正規労働者でも、長時間・過密労働から、過労死、過労自殺、精神疾患に追い込まれなければならないのか、ということだ。この不条理に異議申し立てをしたい。そのために、どうするか、ともに考えていきたい、と思う。

 論を書くに当たっての心構え

 仕事で、高校へ「労働基準法の話」を授業しに出向き、語りかけた時、痛切に感じたことは、話の内容のレベルを落とさず、いかに、分かりやすく話すことができるかどうか、その難しさである。講演は、<わかりやすく ワクワクして聞けて 元気が出る>話でなくてはならないと思うが、文章も同じであろう。果たして、どのような内容となるであろうか。

 僕の立ち位置の確認

 労働法を学び、労働基準監督官行政の中で考えたことは、労使関係に中立は存在しない、ということだ。労働行政は、通達に縛られており、中立を装うが、それでも、立ち位置によっては指導のあり方も微妙に異なる。
 <おれたち:労働者・働き人>と<やつら:資本・当局・使用者>その基本をしっかり押さえておきたい。そして、根底にある考え方は、<反差別・人権保障の視点>である。この考え方は、これからの中でおいおい述べられていくであろうが、階級意識を、市民法レベルに解消することではない。<おれたち>労働者の文化、仁義等の視点で検討することでもある。

 おわりに

 

とまれ、これから三面記事や運動のこと、労働法の諸問題、あらゆる問題を素材にしながら、生き方を探っていきたいと考えている。「犯罪行為の背後に潜む原因」や、過労死・過労自殺・精神疾患等の裁判事例に見る企業犯罪の重大性など、ともに考えたい。時には、30年間の監督官生活の中でのエピソードを語ろう。当時、そうした経験をどう受け止めたか定かではないが、興味ある体験であったことは確かだ。
原発については、被曝労働を前提してしか成り立たない原発は即時廃炉しかないということだけ述べておこう。
では、次回まで。
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大野義文:
950年1月生まれ/1973.4〜1980.3 労働法を学ぶ/1980.4〜2010.3 退職まで、広島、山口、徳島、高知の監督署・局で勤務
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一回きりの人生 輝いて生きよう

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月刊『労働運動』(271号C-1)(2012/10/01)

読者のページ

 ●動労水戸の団結と被曝労働拒否のストライキに学ぶ 東京 西村豊行 

『序局』第2号(アール企画)掲載の「原発事故にストライキで対決した! 動労水戸座談会」は、労働組合を不抜の団結拠点として命がけで守り、被曝労働の強制にストライキで闘った現場労働者9人の生々しい語りである。資本や革マルと烈しく斬り合って守つた団結と魂の世界は、実に豊かである。構内の売店や立ち食いそば屋、飲料水販売など疎外労働を強制した資本への怒りは深く、国鉄分割・民営化に対する壮絶な反撃となり、きわめてリアルで、迫力がある。感動的な話を一つ紹介しておきたい。今年24歳の青年労働者は、入社して6年になりいったん東労組に所属したが、昨年の10月に動労水戸へ加盟しなおす。その動機は読者の胸に響くが「震災がなければ、こんなに早い段階で動労水戸に来なかった」と誇らしく告白する。「原発の問題があったからこそ」と被曝労働の問題を大切に考えていた。そのことが、被曝労働を強制する資本や体制内組合の弾劾に向かわせ、闘う動労水戸の選択になったというのだ。人生を賭けることになった彼の内的な階級移行と自己変革は、時代の変化だけでなく、現場労働者と正対する周囲へのあり方を教えてくれている。
全国的に閉山に追い込まれ、残る炭鉱を移動しなが
ら働いた先輩坑夫の苦闘は、階級的に継承され、「絶対反対論」や「階級的団結論」を鍛える叡智ではないだろうか。一方でこの路線の高さは、永く強いられた冷や飯≠ゥら生まれ、節を曲げない誇りに転化しており、心を打つのである。「平事務所を作って…」と語る内容は、史上未曽有の高放射能汚染と震災被害から逃れ、福島県内の被災地の自治体や多くの避難者を受け入れたいわき市に闘いの拠点を作り、「核心の問題は、ぶっ壊された絆を、労働組合の闘いをとおして、奪還していくことなんだ」と労働組合の任務と責任を明らかにするのである。しかし、一方で、「労働運動って妙にストイックで堅いことばっかりじゃなくて」という側面を強調することも忘れていない。
「一人一人をすごく大事にしているんだけど、目的は全体だよな」と言い、「現場の全体をとるために労働者一人一人を大事にすることだ」と繰り返す。「職場全員
がこんなの粉砕したいと思っているから、闘える」と語り、被曝労働がそうだし、外注化も反対だから、「楽観的かも知れないが、絶対勝てると思っている」と確信を述べるのだ。
「反原発の闘いというのは」動労水戸が労働組合の旗を立てて取り組むべきだという。被曝労働の問題がそうだし、本当に生きていくための闘いを、労働組合こそがやるべきだと、動労水戸への愛のような感情を吐露するのである。 
いよいよ国鉄分割・民営化攻撃と25年かけて闘い、歴史的決着をつけるときがきたのである。両者をして双璧をなす動労千葉と動労水戸が中心になり、階級総体が決起する壮大な陣形を如何に形成して勝利するか。JR資本や政府、連合の体制内組合の外注化攻撃に敢然とストライキを開始した。資本に対する労働者が最も輝き、おおらかであり、開放感に満たされる実力闘争である。階級的団結は、労働者一人一人が個性的で、一筋縄ではいかない団結だから強いのだ、と力説して楽しんでいるのではないだろうか。青年労働者を中心として人民が一個の軍勢となり、反乱を起こす方へ10万、20万と動き始め、労働者が資本の奴隷であることから解放されるのは時間の問題だと、全員が独特の形容で自分を豊かに表現しているように思われてならない。
「3・11情勢」後の最末期帝国主義が危機に陥り、世界大恐慌下の破滅が確実に開始され、資本や政府の分断攻撃や非正規職化・貧困の増大を廃絶するために、労働者階級の要求は、今や国境をこえ、社会を根底から変え、最終的に原発を廃炉にする類的人間の〈一つの階級〉を創るチャンス、99%の時代だ、と座談会は語っているように理解し、深く学んだのである。(8月22日)

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 『月刊労働運動』定期購読のご案内

定期購読料は、1年間12冊3,600円(税込)+郵送料800
円、半年1,800円(税込)+郵送料400円です。何月号からご希望かを、住所、氏名(フリガナ)を明記の上、現金書留または郵便振替(00150-9-408647・全国労働組合交流センター)にてお申し込み下さい。住所、電話、FAXは裏表紙に記載しています。

 バックナンバーのご案内

※12年7月号以降は残部僅少、5月号のみ品切れ
12年9月号 11月労働者集会第1回実行委員会が開催
12年8月号 鉄建公団訴訟6・29判決と外注化阻止決戦の地平をつかみ、反転攻勢―組織拡大へ!

 ホームページ、Twitter

HP http://www.k-center.org
Twitterアカウント @KoryuCenter
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お知らせ
来月号(11月号)は、〈11・4全国労働者総決起集会特集号〉第2弾として、通常より発行を早めます。10月22日頃発行の予定です。

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Photo Documennt

階級的労働運動の再生を目指す11月労働者集会

▼全日建運輸連帯労組関西生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組共闘

▼産業ゼネストを闘う関生支部

▼外注化阻止へ闘う動労千葉  ▼非正規職撤廃へ闘うユニオン

▼米韓独の労働者が来日し国際連帯集会  ▼韓国・民主労総の11月労働者大会に参加

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