「月刊労働運動」 2013年/06月/01日(No.279号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題)

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(写真 5月1日、動労千葉・動労総連合の呼びかけでJR貨物本社抗議行動と新宿メーデーが闘い抜かれた。メーデー集会には515 名が結集【新宿中央公園】)

◎労働者の目 賃下げ反対ストで安倍改憲内閣打倒へ
6・9国鉄集会から鉄建公団訴訟9・25 判決までの4カ月、階級的労働運動の登場をかけて全力で闘い抜こう 田中康宏 動労千葉委員長
地方公務員給与削減絶対阻止! 4〜5月闘争に続き、自治労6月ストライキを全国で闘い抜き、階級的労働運動の新しい時代を切り拓こう! 神保美彦 自治体労働者部会全国運営委員、仙台市職労副委員長
労働運動を語る 東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会に聞く(下)波瀾万丈、アメアパ分会4〜5月の闘い  富田翔子 アメリカンアパレル分会書記長
◎職場の仲間を信じる挑戦――国鉄署名、猪瀬打倒、都営交通24 時間運行絶対反対で支部執行委員選挙に勝利 大木勇次 東京交通労働組合六号乗務支部執行委員
◎国際連帯闘争の新地平を切り拓く――5・15 沖縄闘争の総括と教訓 沖縄労働組合交流センター
◎ユニオン自立として思うこと―新自由主義に抗して 魚谷貞雄 自立労働組合京都執行委員長

ひめじょおん−女性部から 復帰41 年5・15 沖縄闘争に行ってきました!

◎地平線―反戦共同行動委員会― 橋下暴言を許すな! 北島邦彦 反戦共同行動委員会事務局長
◎元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風=@第9回 三つの〈間〉を創ろう
◎不屈に闘う争議組合へご支援を! 動労千葉、和解拒否の国労原告団、ス労自主、沖縄バヤリース労組

読者のページ   MOVIE 天使の分け前
◎動労千葉労働学校 第13期労働学校日程 ◎マンガ

月刊『労働運動』(279号1-1)(2013/06/01)

■労働者の目

賃下げ反対ストで安倍改憲内閣打倒へ

佐藤 賢一 常任運営委員 自治体労働者部会代表

 自民党・安倍政権がわれわれの賃金の決定権を持っているのか。憲法が、人事院が、労使交渉が踏みにじられています。安倍政権が暴力をむき出しに襲いかかっているときに、反撃しなければ際限のない屈服が毎年強要されます。生き残るためには絶対反対の方針しかありません。自治体労働者部会は、政府・自民党による戦後始まって以来の暴力的公務員賃下げの攻撃に対して、賃下げ絶対反対、ストライキ貫徹を掲げて全国で闘っています。そして、ついにストライキを青年労働者がけん引し始める情勢が生まれています。
 2009年3・6大阪の「道州制反対!橋下打倒!」集会を転換点にした闘いの前進と、動労千葉−国鉄1047名闘争の地平の上に、われわれが自治労全国スト情勢の火中に飛び込んだことが、階級的労働運動の大きな転換をつくりだしていることを実感しています。
 5月23〜24日の自治労中央委員会でも、賃下げ絶対反対の闘争報告が全体をリードしています。さらに橋下大阪市長による現業丸ごと民営化による分限免職攻撃に対して、「自治労の総力で闘うべき」とする意見が多数出ています。わが交流センターの闘いと現場の怒りの結合が、体制内労組幹部の敗北主義によってつくりだされてきた抑圧、支配の構造を揺るがしつつあるのです。
 公務員攻撃を突破口とする賃金破壊・雇用破壊、労働時間規制撤廃、「アベノミクス戦略特区」の攻撃は、改憲、原発再稼働、TPP、沖縄新基地建設、侵略戦争準備と一体です。安倍はここに絶望的危機にある日帝の延命をかけています。
 しかし、2011年3・11が労働者の死生観を変えました。経済を優先させて命が成り立つのかと。その答えは明確です。経済優先のあり方を打倒しなければ労働者は生きていけない時代になったのです。
 こうした階級戦争の決戦期の到来に勝ちぬける交流センターへの飛躍をかけて、6月自治労ストを闘い抜き、6・9国鉄集会を大成功させよう。6月都議選、7月参院選と続く激動情勢の渦中で、安倍政権打倒の展望を切り拓く階級的労働運動の力をつくりだそう。
(写真 自治労第145回中央委員会参加者に「公務員賃下げ絶対反対、スト貫徹」を訴える【5月23日 東京・有明】)

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月刊『労働運動』(279号2-1)(2013/06/01)

6・9国鉄集会から鉄建公団訴訟9・25判決までの4カ月、階級的労働運動の登場をかけて全力で闘い抜こう

田中康宏 動労千葉委員長

 5月16日に都内で行われた6・9集会第2回実行委員会における「動労千葉からの報告」(要旨)を掲載します。

 東京高裁・難波裁判長による1047名解雇撤回訴訟5・8結審強行を弾劾する!

 4月18日の第1回実行委員会以降、1カ月間、各地で全力をあげた奮闘が行われてきたと感じています。
 5月8日、東京高裁・難波裁判長が動労千葉の1047名の解雇撤回の裁判で結審を強行するという大反動攻撃が起きました。9月25日14時から判決を下ろすということです。高裁で3回目の裁判です。2回目に次で結審と予告して3回目で結審。だから事実上いっさいの審議、調べることそのものを拒否したということです。1回目の公判のときに難波が何を言ったと思います? 「まだやっていたんですか」って。許せなかったよね。
 その具体的報告に入る前に、当日10万人署名運動について1万6千958筆を提出をすることができました。全国各地での全力をあげた取り組みに感謝します。今日時点で1万7千881筆です。10万筆をめざして全力を尽くしたいと思っています。

 「白石事件」―結審に至る異常な事態

 さてそのうえで5・8難波裁判長の結審強行について突っ込んで話をしたいと思います。
 実はこの結審の前に3月の時点で鈴木達夫弁護士が「これは事件ですね。『白石事件』と言った方がいいんじゃないか」と言っていました。白石というのは6・29判決を下ろした東京地裁民事11部の裁判長です。それが突如、前例がない形で更迭されました。こういう形で難波にプレッシャーをかけて結審させたということです。
 具体的には、裁判長が交代しないまま突然裁判長がいなくなった。法廷の外の裁判長の名前を書いた掲示は替わってないのに、法廷に入ってみたら裁判長が替わってた。訴訟記録を取り寄せて調べてみても、裁判長が替わったという記載はまったくない。書記官に問い合わせてみても返答できない。新たに替わった団藤という裁判長に問い合わせたら「うちの部では記録に残さないことにしました」と。これは違法行為だそうなんです。白石裁判長はいるんです。4月になってみたら民事執行センターに異動になってた。民事執行センターというのは裁判なんかやらずにいろいろな民事の取り立てなどをやる。明らかに左遷です。場所も東京地裁から離れた目黒にあるそうです。つまり国鉄分割・民営化の本質に触れたことに対する見せしめです。こうした異様な事態の中で結審が行われたということをまず知っておいてほしいと思うんです。

 焦りにかられた結審強行が意味するもの

 それでこの結審をどう捉えているかということなんですが、焦りに駆られた結審の強行です。われわれが4・9の政治解決をのりこえて闘いを継続したなかで、もう一回国鉄分割・民営化の本質は何なのかを洗いざらい徹底して追及し突きつけた。これによって、国鉄方式と言われた雇用破壊攻撃の核心だった〈国鉄とJRは法律上まったく別なものだ〉という虚構が崩れようとしている。つまり僕らの闘いが26年間突き破れなかった虚構を崩そうとしているということです。国鉄改革の真実がついに明らかになろうとしている。
 これが崩れたら、国鉄分割・民営化以降まかりとおってきた国鉄方式と呼ばれた形での雇用のめちゃくちゃな破壊、今の非正規化のひどい現実に行き着いたすべてが間違っていたことが暴かれるということです。僕らの闘いがここまで来た。それに対する反動としての結審。こういうことだと考えています。

 何が争点になっていたのか

 具体的にいったい何が争点になっていたのか、3点述べます。
 第1に、あらためて葛西敬之国鉄職員局次長(現JR東海会長)がやったことを暴いたことの大きさを結審強行で再認識しました。暴き出したことは不採用基準、僕らの仲間たちが首を切られた基準です。不採用基準について6・29白石判決において「動労千葉等、分割・民営化に反対する労働組合に所属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、(当時の葛西職員局次長が)策定した」「動労千葉9名は当初採用候補者名簿に登載されていたが、1987年2月冒頭頃に急遽外されていた」ことを明らかにさせたことが決定的に大きかったわけです。これでもう一回いろいろなことを調べ直してみたんです。
 第2に、それで僕らがあらためて注目し直してみたのが『国鉄改革前後の労務政策の内幕』(※1)と題された2000年9月に行われたという座談会記録です。
 この文書は実は国労は手に入れていました。ちょうど政治解決路線にのめりこんでいく過程です。だけどこの中身があまりにも重大すぎて、これを徹底的に追及したら政治解決はなくなるわけです。だから実際上はお蔵入りさせた。1000いくつ出した証拠書類のひとつとしては出してたわけです。だけど国労の組合員もふくめて誰も知らない。どういう文書かというと、当時国鉄分割・民営化の最先兵で、JR西日本の会長になった井出正敬という尼崎事故の張本人が、JR連合の会長とか事務局長とか顧問らと軽井沢でやった座談会の録音テープをおこしたものです。
 僕らも葛西の問題が出てこなかったら洗い直さなかったと思う。洗い直したら事の重大性は本当に大きかった。
 つまり簡単に言うと、これまでこの首切りが「正当」とされてきた理由は何なのかと言うと、JRは職員の選別解雇にいっさい関与してません≠ニいうことなんです。採用候補者の名簿を作ったのは国鉄であってJRの側は(この時点ではまだ会社ができてませんから設立委員会というんですが)、国鉄が出した名簿をそのままそっくり採用しただけだからJRにはいっさい責任がありません≠ニいうのがこの首切りの根底にあったものなんです。さらにそれに輪をかけてJRは国鉄とはまったく別に作られた全然別な会社だから新規採用しただけなんだ。採用の自由があるじゃないか≠チてね。この二重の煙幕をかけて10万人首切ろうが20万人首切ろうがJRにはいっさい責任がないという話にしたわけです。だからそういう最高裁判決の下で鉄建公団と争わざるをえないというさ。JRにいっさい責任がなくて不当労働行為がもし行われていたとしたら旧国鉄だというんだから。それが今の裁判なんですよ。
 だけどこれに書かれていることは動労千葉、国労の組合員もふくめて誰をどう選別する基準を作るかということを、JRの設立委員会、これは斉藤英四郎という経団連の会長がやっていたんですが、そこに井出や葛西が行って、こういう基準を作りたいと。自分が作ったら不当労働行為になるからJR側からこういう基準を作れと言ってくれないか≠チて相談をしていた。これによると不当労働行為にならないギリギリの線で作った≠ニ言っている。だけど葛西が「私は不当労働行為をやらないということで、つまり、やらないということは、うまくやるということでありまして」(1986年5月、動労の新幹線支部三役会議)なんて言っているように、彼らはそういう連中なんだよ。これで国鉄改革法の根幹が崩れることが明らかになってきた。
 「過去に何回も処分を受けたものは、やっぱりこの際、排除したいという気持ちは強かった」と井出が言っています。でもそれをあまりに強く当局から言うと、不当労働行為になりかねない。そこでJR設立委員会の委員長をやっていた斉藤英四郎のところへ葛西と出かけて、「きちんとした選考基準を出してもらわないと困るんだと言いに行った」と。結果的には斉藤にあんた方が作れと言われたんで、不当労働行為と言われないギリギリの線で葛西が案を作り、それを斉藤が委員長案として出して了承されたんだと。これは運輸省のシナリオにもまったくなかったことなんだと誇っているわけですよ。
 さらにJR総連本部革マルとの関係についても言っていて自分は知らないと半分逃げながら「恐らく職員局あたりがやったんでしょうね」って言っている。処分の基準も3年よりさかのぼっちゃうとまだ分割・民営化に賛成に回る前だから動労の方が処分は圧倒的に多い。過去にさかのぼるのは3年間で切るとしたのもふくめて恐らく職員局がやったんでしょって平然と述べている。
 第3に、もうひとつ、江見弘武を調べろということを争点にしました。江見というのは当時最高裁から国鉄に出向に来ていて最高裁の裁判官として国鉄改革法を作った人間です。彼が2010年になってJR不採用問題は大誤算だった≠ネんて言っているわけです。(※2)だからこれを調べたら国鉄分割・民営化の真実は間違いなく明らかになる。すべてが違法行為だったことが明らかになる。
 つまり、葛西の件は現実に不当労働行為、不当差別がどういう形で行われたのかということであり、井出の件は国鉄とJRがいかに相通じて首切りと組合つぶしを一体で企てていたのかということであり、江見の件は国鉄改革法という法律を作ることそのものがどういうことだったのかということなわけです。僕ら自身、今回の攻撃を見てみて、非常によく理解できた。われわれの闘いはもうギリギリまで敵を追い詰めてたということ。これを一歩進めれば国鉄分割・民営化の過程はぜんぶ崩れる。そこまで僕らの闘いは来ている。私は5・8の結審強行からそういう事態を見ました。26年を経て今まさに勝負のところに立ったということなんです。今の全面的な賃下げ攻撃とか雇用破壊、解雇自由とか橋下の全面的な民営化とかの情勢を考えたときに、この勝負に勝ち抜けたら全体の情勢が動き出すところにいると考えています。
(写真 鉄建公団訴訟 東京高裁・難波裁判長の結審強行に怒り【5月8日 東京】)

 外注化・強制出向差し止め訴訟について

 さて同じ日にもうひとつ、外注化・強制出向差し止めの裁判が行われました。法廷が怒りの声で包まれました。俺たちは強制出向させられて下請け会社で働かされているわけです。だけどどういう委託契約の下に働かされているのかまったくわからない。団交やろうが何やろうが明らかにされないままです。だから裁判の中でどういう委託契約なのか、出せって要求したんです。そしたらJR側の弁護士は出す必要なんかないと言い、裁判所まで出せと命令しない。それでもう法廷の中は「ふざけるな、この野郎!」ってなった。ここに本質がある。ここに弱点がある。公明正大なことをやっているんだったら出せるんですよ。こっちが闘ったら矛盾があらわになる。だから5月8日の闘争は攻撃の本質の意味もふくめて本当に明らかになった。
 実はその翌日、中労委の闘いもありました。これは外注化強制出向に至る過程で幕張支部の三役や執行部がぜんぶ配転されたわけです。その配転の不当をめぐる中央労働委員会だったんですが、当局の構えが異様でした。つまり外注化の問題は向こうはヤバいんですよ。つまりこれはどういう配転かというと、もちろん幕張支部を弱体化するための配転。しかもその後で外注化する職場にぜんぶ配転した。検査派出にぜんぶ配転した。だから幕張の中では強制出向になった60何名のうち6割が動労千葉の組合員です。ここが不当労働行為だと明らかになったら強制出向と外注化そのものが不当労働行為じゃないかって話になる。これは偽装請負以前の問題です。そしたら異様な構え。使用者側の弁護士もテンパっちゃって彼らの方が怒鳴り散らす感じ。この回で証人調べもぜんぶ1日でやって結審すると宣告されてたの。そしたら弁護士が結審なんて認めてないなんて大騒ぎしている。
 1047名闘争や外注化をめぐって今具体的に言ったことは僕らの闘いが核心を突いているってことだと思っています。こういう情勢のなかで6・9集会が開かれるので本当に大事な集会になります。

 4・26自治労ストと5・1メーデー・貨物本社抗議闘争が切り開いた地平

 それともう一点、この1カ月間の間に本当に大きな闘いだったのは、7.8%地方公務員労働者に対する賃下げ攻撃と4・26自治労のストライキに対して、僕らがこれに現場から怒りの声と具体的な闘いを作るために全国で総決起をしたという画期的な闘いがやれたということです。これは本当に大きかった。初めての経験ですよね。自治労のストライキそのものは大したことないんですよ。実行されたってもう本当に体制内的な怒りをごまかすためだけのものです。何が画期的かと言うと、ここから時代の転換点を作り上げるんだと捉えて全国の現場に必死になって訴えてそこから労働組合をもう一回僕らの手に取りもどす闘いにわれわれが突っ込んでいったことです。そこが大事なんです。そういうことができる情勢になった。つまり体制内的な連中もふくめて二進も三進も行かなくていろいろな連中が引きずり出されてそこに僕らがいるってことが大事なんです。こういう闘いができたことは大きな地平です。
 この闘いで問われたことは、こういう賃下げそのものが今までだってさんざんあった。だけど今回の攻撃、1000万人を対象にした賃下げ攻撃の中に時代をどう見るのかという主体的な立場、時代認識のなかで僕らが事態を捉えて総決起をしようと決断をしたということなんです。今回の全国の決起は、「全体を獲得する存在への飛躍を賭けた決断」だった。これはこれからも続きます。全国運動でもタブロイド判のニュースを7万枚作成して全国の仲間たちに配って大きな役回りを果たすことができたと思っています。
 もうひとつ言いますと、これからの課題だとも思うんで総括的に述べますが、敵の攻撃の戦略の重心がどこにあるのかを見るってことがこれからも絶対に大事だと思います。今は公務員労働者を攻撃することで全労働者を攻撃する。ここに攻撃の重心があってここから逃げずに真っ向から闘おうという方針、これがこの間の取り組みだったと考えます。
 さてそのうえで闘いは、〈情勢の巨大な流動化〉が始まったばかりです。千葉県でも全国各地でも県知事や市長が賃下げを表明し始めています。今までは前哨戦です。いよいよ現場の労働者が大変なことが起きると身をもって感じざるを得ない状況が始まり、具体的に攻撃が動き出すのはこれからです。6・9集会もその渦中で開かれるんです。
 それと5月8日に自治労県本部代表者会議が開かれました。ここでも自治労は改めてストライキの方針をもう一回下ろさざるをえませんでした。引くに引けないんですよ。だって攻撃は止まらないんだもん。止まらないどころか4・26の後に具体化している。各県ごとに1時間の範囲のなかでストライキを打てという指令が下りてます。現場からの激論を起こさないといけない。なんでこんな時代になったのか。自分たちへの攻撃はいったい何を意味するのか。この攻撃を許したら自分たちの生活はもちろん破壊される、だけどそれがどれだけの労働者に影響を与えるのか。社会がめちゃくちゃに壊れる。だったらここで自分たちが立ち向かおう。誰にでもわかる形で攻撃が来ていることが大事です。ちゃんと伝えれば、確かに言うとおりだ、ではどうしたらいいのかという議論が始まる。そうしたらこのストライキの意味は何か。ストライキは1時間でいいのか。このストライキで攻撃が止まるのか。止まらなくても立ち上がったら必ず矛盾が表れてくる。現場の実感として、ここで立ち上がることが大事だってことをひとりひとりが自覚できる。これを自覚できたら、ああそうか、僕ら自身がストライキに立ち上がったり抗議行動に立ち上がることが時代を動かすのかと誇りが取り戻せる。そういう過程が始まる。というか作れるかどうかの勝負です。これができなくて労働運動の復権なんてありえないんです。それは自治労だけじゃない。どんなに小さな職場だって同じ課題が問われています。労働者は今までぼくらが言ったって理屈では通用しなかった。そんな怖いこと言われたって、あんた俺に首になれっていうことかとみんな思う。組合なんか作ったら首になるじゃないかって。だけどそういうレベルじゃなくて、全部が生きることができない、ここで許したら攻撃はもう止まらない。7.8%じゃ終わらない。それは誰でもわかる。そういうところまで来たんです。大きな可能性とチャンスの端緒をこの4月の闘いでつかんだんだと思ってます。
 僕自身実感しているんだけど、JR貨物への抗議行動もこんなにヒットするとは思わなかった。だって日貨労の青年部が僕らがやったのと同じ5月1日に幻の抗議行動をやってるんだよ。僕らがガンガン、ビラ入れに入るわけじゃん。自分たちの組織がやばいと思ったんですよ。現場とか誰も知らない抗議行動を5月1日にやっている。ビラの写真に青年部長が頭を下げて申入書を渡しているのが映っている。何がこうさせたと思う? 現場の労働者の怒りの声ですよ。
 体制内組合がガタガタになるということを通さなかったら労働運動は復権しない。みんな御用組合に支配されて、その下で声なんかあげられなかったわけです。それが始まろうとしている。そしたら御用組合同士でみにくいケンカが始まっている。日貨労が国労に「会社の手先=国労幹部」なんてさ(笑)だからいったん貨物の賃下げはいったん止まっちゃった。
 矛盾を抱えているのは敵の側です。労働組合が弱いから敵の矛盾が労働者への攻撃になる。ここをひっくり返す。この感覚をつかむことができたのがこの間の闘いでした。

 とりまく情勢―いよいよ始まった安倍政権崩壊の過程

 

さてそのうえで6・9集会がどんな状況のなかで開かれるのかを話したいと思います。
僕はいよいよ安倍政権の崩壊が始まった、と見てるんです。安倍政権の崩壊ということは支配そのものの崩壊が始まっている。6・9集会の位置について4点話したい。
第1点目は、国鉄闘争を最終的になきものにしようとする階級意思との激突の渦中で開かれるということです。これは5・8結審強行をめぐってつかみとったことです。これをなきものにしなかったら先に進めないんだ、やつらは。橋下の民営化だって行かない。こっちはギリギリの線まで明るみに出すところまで来た。だから敵の階級意思としてこうやって攻撃が来ている。
第2点目に、労働者階級の未来を左右する攻防の渦中と焦点で開催される集会だということです。6月、いよいよ賃下げ攻撃の焦点になる。解雇自由とか限定正社員制度とか成長戦略といわれる階級攻撃も6月に公式発表されるんです。
第3点目。7月参議院選挙を前にして改憲攻撃をめぐって労働者の意識と政治情勢の歴史的な流動化が始まる渦中で開かれる。改憲問題は、間違いなく労働者の意識の巨大な流動化をもたらします。
第4点目に、原発、沖縄、三里塚などすべての戦線でこれまでの次元を超えて怒りの声が噴出する。すべての問題で支配が崩壊する。原発をめぐる状況なんて支配階級内部の分裂だと思う。安倍はとにかく原発再稼働と原発輸出をゴリゴリしたい。財界にもケツを叩かれて動いている。だけど、もんじゅがダメとか敦賀原発がダメだとか。支配階級の内部がボロボロになって分裂している。
情勢的にいうとアベノミクスが早くも崩壊。この2〜3日報道されている国債の長期金利の上昇。ありていに言ったら日本の国債が暴落しようとしているってことでしょ。そしたら国家財政の破綻が一気に爆発する。アベノミクスがもたらした最大の効果は世界中から日本が最大のリスク国家だということを認定させたってことなんですよ。
あと思うのは、安倍のやっている外交政策とか安保・沖縄政策は、国家主義丸出しのやり方はじめ絶望的です。日本帝国主義の最大の弱点である過去の侵略戦争の歴史を完全に開き直っているから、この問題が常に噴き出す。日米関係、日中関係、日韓関係がまともに結べないで、なんで飯島を北朝鮮に送ったの? めちゃくちゃな結果になりますよ。ロシアの外交だってそう思う。防衛関係の実務者とやる2プラス2という会議がある。それをロシアとやっちゃう。アメリカが激甚に反応するに決まっている。でも帝国主義として生き残るためにはそれしかない。そうしたひとつひとつ全部が間違いなく破綻する。国家主義と排外主義とえげつないばかりの歴史認識の大宣伝。日本帝国主義としてどうやって生きていくのか。軍備増強で生きていくんだと言い切れない。修正しちゃう。すべてがいずれにしても破綻します。
支配階級全部がそうです。維新の会・橋下の「従軍慰安婦」めぐる発言も中身もひどいが、反動にしたってなんでこんなときにああいうことを言うのか。俺がもし仮に橋下なんだったら大阪でやっている丸ごと民営化こそ正しい道なんだってゴリゴリ言ってこれで突っ走る。本人自身がグラグラになってる。誰一人確信を持っていない。自分がやっていることに誰一人責任を持てると思っていない。ただひたすら目の前の危機をのりきるためだけにやっている。それでその結果すら考えていない。それがやつらの体たらくですよ。だから支配階級としての崩壊が始まっている。
そういう背景のなか、6・9集会の持つ位置は大きいと考えています。

  (6・9国鉄闘争全国運動6・9全国集会に向けたパンフレット)

 9・25判決までの4カ月を全力で闘おう

 最後に、5月10日の呼びかけ人会議で次のようなことを概略確認をしました。
 第1に、6・9集会の組織化の今の過程から9・25判決まで4カ月間は、30年にわたる国鉄闘争の最大の正念場であり、それはイコール、階級的労働運動をこの時代に登場させることができるかどうかをかけたわれわれの飛躍をかけた過程となると位置付けて全力で闘い抜こうと確認しました。この4カ月に賭けよう、そこまで全部が煮詰まっているという感じです。
 第2に、そのためについに暴き出した国鉄分割・民営化攻撃の真実を徹底的に労働者の中に明らかにすること。そのために国鉄分割・民営化とは何だったのかを明らかにするパンフレットを発行します。6・9集会の成功を勝ちとったらその何十万部かのパンフレットを持って、労働者の中に入っていく。そういう闘いを9・25判決までやろうと確認しました。そのために10万人署名運動と夏の物販の取り組みを強化しようと確認をしました。
 第3に、あらためて外注化阻止闘争を新自由主義攻撃との闘い、あるいは階級的労働運動復権に向けた核心的課題としてもう一回位置付けて断固として闘いを継続しなきゃいけないと確認しました。そしてどんなに困難でも外注化阻止闘争の中で本格的な組織拡大を実現をする、これに全力を尽くすことを動労千葉側からも決意表明をしました。これは簡単な課題ではありません。だけどこれができたら時代は動き出すと固く決意をしました。
 そして第4に、国鉄闘争と結合して、この間開始した公務員労働者賃下げ攻撃に対する現場からの闘いの組織化を断固として継続しようと確認しました。
 そのために6・9集会をわれわれが一皮むけた存在として登場する場として爆発的な成功を絶対に実現しようという決意を固めました。そういうものとして6・9集会を勝ちとりたいと思います。各職場・各地域での奮闘をあらためてお願いをします。
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 ※1 『国鉄改革前後の労務政策の内幕』より
井出 「我々は、このチャンスに、管理体制の立て直し」をしたいと考え、「過去に何回も処分を受けたものは、やっぱりこの際、排除したいという気持ちは強かった。でも、それをあまりに強く当局から言うと、不当労働行為になり兼ねません」「そこで当時、斉藤英四郎さんが委員長をしておられたんだけど、この人のところに葛西君とでかけ、話に行って、そこで、委員長としてきちんとした選考基準を出してもらわないと困るんだと言いに行った。いろいろ話をして、それで、結果的にはまず、選考基準に合致しなかった者は駄目なんだということにししよう。そして、選考基準は、斉藤さんが作れと言うので、不当労働行為と言われないギリギリの線で葛西君が案を作り、それを斉藤さんに委員会の席上、委員長案として出してもらい、それは了承された。もっともこの辺は、運輸省のシナリオには全くないことであったので、運輸省では、誰が斉藤委員長に鈴をつけたのかが、大騒動となった」「斉藤さんに、新しい会社でそういう組織を破壊するようなことばかりやっていた連中に大手を振って歩かせるということは、おかしくなるし、そういう過去の処分歴みたいなものが、当然選考基準に入ることはいいじゃないかと言って説得した。」
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 ※2 JR不採用「大きな誤算だった」 改革法関与の江見氏(2010年4月30日、共同通信)
 1986年の国鉄改革法の作成にかかわり、高松高裁長官も務めたJR東海監査役の江見弘武氏(66)が30日までに共同通信の取材に応じ、解決までに23年を要したJR不採用問題を「大きな誤算だった」と語った。雇用面で分割民営化の仕組みづくりに関与した人物が、初めて口を開いた。
 改革法23条は「国鉄がJRに採用される候補者の名簿を作成、これに基づきJR設立委員が採用を通知する」と規定。JRと国鉄の採用をめぐる権限を書き分け、責任の所在があいまいになったことが法的救済を困難にしたと指摘されている。
 江見氏によると、最高裁から国鉄に出向していた85年7月、国鉄再建監理委員会が出した分割民営化に関する意見書への解説を求められたことが、JRへの採用方法に関与するきっかけ。
 会社分割に伴うほかの訴訟にかかわった経験から、会社側と労働者の双方の意思に基づいて雇用契約を締結する形を取ることなどを助言し、これに基づき旧運輸省が23条を書いたとしている。

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月刊『労働運動』(279号3-1)(2013/06/01)

地方公務員給与削減絶対阻止! 4〜5月闘争に続き、自治労6月ストライキを全国で闘い抜き、階級的労働運動の新しい時代を切り拓こう!

神保美彦 自治体労働者部会全国運営委員、仙台市職労副委員長

 はじめに

 4・26自治労全国ストライキ闘争は、80万自治労1600単組の約半数、817の労働組合が29分ストライキ、早朝職場集会・行動に決起した。数十万人が賃下げ絶対反対の怒りを爆発させ、行動に立ちあがった。28年ぶりの全国闘争は、安倍政権の賃金・雇用破壊、労働組合解体を絶対に許さない全労働者の総決起の始まりだ。ストライキ決起で安倍政権を打ち倒す階級的労働運動が職場の団結をつくりだし、前進する時代が始まった。世界の労働者階級が、首切り・賃下げ・非正規職化反対で立ちあがっている。ストライキと国際連帯で新自由主義を打倒する闘いがついに始まった。4・26ストライキ闘争は、安倍政権を打ち倒す新たな闘いの号砲だ。日本の全労働者が民営化・外注化・非正規職化と一体の賃金破壊攻撃に反撃を開始したのだ。
 今こそ労働組合があらゆる闘いの先頭に立とう。人間を人間とも思わない、働くこと・生きることを奪いつくす新自由主義の攻撃をこれ以上許すわけにはいかない。社会を動かしているのは俺たちだ。職場の主人公は私たちだ。命脈つきた資本主義社会を根底から変える闘いに、青年労働者を先頭に、すべての労働者の怒りを総結集しよう。
 6・9国鉄集会こそ、日本の労働者階級の底力を根底から結集し、断固たる闘争宣言をたたきつける集会だ。賃下げ阻止・外注化阻止・首切り絶対反対・非正規職撤廃、階級的労働運動の新しい時代を切り拓こう。

 4・26ストライキ闘争は階級的労働運動の新時代を切り拓いている

 その核心の一つ目は、動労千葉を先頭とする国鉄闘争が、4・9政治和解をのりこえて、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを貫き、10・1外注化攻撃をはねかえして、3月ストライキを打ち抜き前進していることだ。
 動労千葉の解雇撤回裁判での5・8結審攻撃こそ、国鉄分割民営化絶対反対・解雇撤回の闘いが敵を追い詰めている証だ。自治体労働者は、国鉄1047名解雇撤回を勝ちとる勝利を支える100万の労働者部隊だ。4・9政治和解以降も、愛媛県職をはじめ、国鉄闘争全国運動を全国の自治体労働者に訴え組織し、闘う労働組合の再生にむけ全力で奮闘してきた。7.8%賃下げは、自治体労働運動の解体、民営化・外注化・非正規職の攻撃だ。4・26ストライキ闘争は、国鉄闘争の勝利とひとつの闘いだ。
 核心の二つ目は、労働者の激しい怒りが全国闘争として爆発したことだ。アベノミクスとは何か。資本の生き残りのために、全労働者を非正規化し、賃金を極限的に引き下げ、
労働時間や解雇などのあらゆる規制をなくし、資本・当局の思うがままに労働者をこき使い、労働者の団結を壊す攻撃だ。4・26ストライキは、労働者が生きること、働くことを奪いつくす攻撃に対する積り積もった怒りがついに闘いとなって爆発した。
 自治体職場の現実を見よ。特例カットで賃金を減らし、極限的な人員削減を行い、民営化・外注化で仕事を丸投げし、安全と住民の暮らしを投げ出し、過重労働で多くの仲間が倒れている。とりわけ、被災地では「復興のため」と言って、極限的な労働強化を強いている。地方交付税の暴力的削減の口実に「復興予算の確保」などと言っているのだ。
 核心の三つ目は、労働組合の賃金闘争を一から再生する闘いが始まったことだ。労働者の賃金は労働組合が団結して闘いとる。賃金は労働者の生きる糧だ。それを一片の要請で強奪することなど絶対許せない。全国の公務員労働者は、度重なる賃下げ、退職金削減に続く国家権力の発動にNOを突きつけている。さらに、今回の攻撃は、全労働者の賃金を奪う攻撃だ。自治体職場で働くすべての非正規労働者、青年労働者の思い、怒りと分断を打ち破り団結する闘いが、賃下げ阻止の闘いとして始まった。
 四つ目は、3・11東日本大震災からのこの2年余の現実に対する怒りだ。福島の子どもたちをはじめ高放射線量の下での生活を強い、仕事、住まい、家族、故郷……すべてを奪い、真実を隠し、原発再稼働と輸出を強行する。特区と言って、漁民から漁場と生業を力づくで奪う。地下鉄やバスを終日運行し、労働者を24時間働かせる。復興とは、大企業の再生のことなのか。2年経っても、仕事も住まいもなく先の見通しも持てない被災地の現実。自治体労働者は、被災者の悲しみ、思いと現実に日々向き合い、生き抜く住民とともに連日連夜働いている。福島の子どもたち、被災地のすべての人々とともに生き、闘うことこそ自治体労働者の任務であり誇りだ。賃下げ攻撃は、私たちの仕事、誇りを壊す攻撃だ。
(写真 4月26日、仙台市役所本庁舎の早朝集会に150人が決起)

 労働組合を甦らせる本格的闘いの開始

 

最後に、労働組合とは何かが真正面から問われていることだ。全国の職場・労働組合で、ストライキの経験のない組合員、非正規労働者、みなで討論が始まった。「ストライキって何!?」「賃下げを阻止できるのか」……4・26に向かう討論の中で「仲間が団結し力を合わせて闘うのが労働組合だ」。この原点を多くの仲間が、そして私たち自身も実感をもってつかんできている。「地方自治への介入を阻止するためには当局と力を合わせて取り組む」方針では、安倍の賃下げを阻止することはできない。職場の団結をつくり、全国の労働者の力を一つにして闘うことが勝利の道だ。始まった闘いは、労働組合を仲間同士の生きた団結を基礎に甦らせる闘いだ。
5月連休明けから、全国の自治体当局が、賃下げ提案を始めている。自治労は5月8日の県本部代表者会議で1時間ストライキ方針のもとで、県本部ごとの統一行動を決めた。すでに全国でストライキ闘争に向けた激しい議論が始まっている。4・26で始まった闘いを自治体労働者の団結で切り拓こう。自治体労働者部会の仲間は、その先頭で闘おう。

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 仙台市職労でも、本部・支部や活動家の討論からたたかいは始まった

  仙台市職労青葉支部ニュース「あおば」 NO.288(4月23日付)より転載

 4月26日の朝8時 本庁1階に集まろう!

 

 「これ以上賃金を下げられたら暮らしていけない!」今回の賃金削減案を聞いた職場のなかまの声です。安倍政権は地方交付税のカットという前代未聞の「脱法行為」で私たちの賃金を削減しようとしています。退職金400万円の削減に加えて一気に年間1カ月分もの賃下げです。もしこれを許したら一般行政職の高卒初任給は10万円そこそこ、大卒は13〜14万円台になりますし、生涯賃金では1千数百万円から2千万円になる大削減です。
これに対して自治労本部は実に28年ぶりに1時間を上限とするストライキ指令を出しました。しかし仙台市労連は「当局が削減すると明確に言っていない」との理由でストライキ方針を出していません。仙台市職労も4月26日の統一ストライキ予定日は本庁エレベーター前での早朝集会を開催するにとどまっています。
しかし安倍政権の姿勢は強硬で、仙台市にとって選択の余地はありません。今は検討中でも地方交付税の削減分を5年間もどこからひねり出すのでしょうか。早晩賃金削減を言ってくるのは明らかです。このままでは今年の新採は入職してたった数カ月で賃下げです。募集内容と異なる条件で働かせる仙台市は「ブラック企業」でなくて何でしょうか。
この事に対して私たちが何もしなかったら、安倍政権は一気呵成に攻撃をかけてきます。今でさえ深夜に及ぶ残業で心身をすり減らしているのに、仙台市はますます「ブラック企業」化し、外郭団体職員を含むすべての労働者が有無を言わせぬ賃金カット攻撃にさらされるようになります。
4月26日朝8時に本庁1階に集まろう!机は1日ふかなくても大丈夫だし出勤簿にハンコを押してから来れば賃金カットにはなりません。正規はもちろんみんなで参加して、賃下げ絶対反対の意思を示そう!
すでに全国各地でストライキや超過勤務拒否、出張拒否、29分の時間内食い込み集会、職場集会などが闘われ始めています。職場の主人公は我々であることを示しましょう!
(写真 昨年11・4全国労働者集会で発言に立った引地真理子・仙台市職労青葉支部支部長)

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みやぎ労組交流センター自治体労働者部会のビラ

  (表面)

 (裏面)

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月刊『労働運動』(279号4-1)(2013/06/01)

職場の仲間を信じる挑戦――国鉄署名、猪瀬打倒、都営交通24時間運行絶対反対で支部執行委員選挙に勝利

大木勇次 東京交通労働組合 六号乗務支部執行委員

 

(写真 東交労働者先頭に、200人が辺野古新基地建設阻止のデモ【5月20日 沖縄県名護市】)

5月19日に沖縄で行われた青年労働者交流集会における発言(要旨)を掲載します。

  東京は重大な決戦局面に入っています。安倍政権と猪瀬東京都知事は、都営交通24時間運行を打ち出してきました。アベノミクス戦略特区で世界一ビジネスのしやすい事業環境を作ると言っていますが、これは資本が労働者を自由にこき使って搾取する、そのために労働法の規制の撤廃、とりわけ8時間労働制を解体する攻撃です。猪瀬は地下鉄について始発と終電の運行時間の延長とか週末限定の24時間運行などと言っていますが、これをやったら必ず事故につながります。今、地下鉄のトンネルは老朽化と東日本大震災の影響でボロボロです。当局は改修に20年かかると言っています。深夜の点検時間は2時間しかない。これを削ったらどうなるか。24時間運行などとんでもない殺人行為です。資本の延命のためだったら労働者は何人死んだってかまわないというのがやつらの本音です。事実、笹子トンネルの天井板落下の大惨事を引き起こしたのは猪瀬です。道路公団民営化、その後のコスト削減、外注化があの惨事を引き起こしました。また同じ犯罪を繰り返そうとしている。絶対に許せません。

 「解雇撤回・JR復帰」署名に100人

 しかし、東交本部は「都民がいいと言うんだったら反対しない」と。ふざけるな! 私はこんな組合を変えたいと思い、これまでも支部長選挙に出たり本部批判のビラをまいてきましたが、今年は何としても執行部に入るんだという決意で支部執行委員に立候補しました。24時間運行絶対反対、都市交と組織統合した自治労の4・26ストに連帯して闘おう、と訴えました。これに対して支部長側は、ビラに「無責任な闘いでは多くの組合員を不幸にする」と書いて、私以外の候補者に入れるように言って回りました。
 でも現場は腐っていません。その反感票が私に入ったと思います。執行委員定数3名を4名で争う競争選挙でしたけれども、当選を勝ちとり、執行部入りを勝ちとりました。この選挙戦と一体で「解雇撤回・JR復帰」の要求の署名を取り組みました。運転士約140人中100筆の署名が集まりました。この署名活動は、職場の仲間を信じるという挑戦でした。親しくない人とか苦手としていた人にもていねいに話をしてお願いをするということをやってきました。ある先輩は「ベンディング職場に回された友だちがいる。何年か前にやっと現場の駅に戻ってきたが心筋梗塞で亡くなった。動労千葉に対しては過激という人もいるけれども、俺はそういう組合も必要だと思う」と話してくれました。みんな表面に出さなくても怒りを持っている。ここに闘う労働組合を甦らせる可能性があるんだという確信をつかみました。
 職場の闘いから6・9国鉄集会への大結集、そして安倍―猪瀬を串刺しにして打倒する東京決戦の勝利へ闘っていきたいと思います。

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月刊『労働運動』(279号5-1)(2013/06/01)

国際連帯闘争の新地平を切り拓く

――5・15沖縄闘争の総括と教訓

沖縄労働組合交流センター

(写真 「復帰」41年5・18沖縄集会に全国から300人【那覇市・琉球新報ホール】)

 巨大な挑戦―国際連帯闘争で戦後沖縄の労働運動の新地平を拓いた

 沖縄の怒りはかつてない規模と深さで広がっています。なぜなら、大恐慌と帝国主義間の争闘戦、米帝の対中国・対北朝鮮への侵略戦争衝動と安倍政権の対米対抗性をはらんだ日米安保強化路線がぶつかり合う危機と矛盾の焦点が沖縄だからです。
 沖縄の動労千葉派は、「復帰」41年5・15沖縄闘争において、昨年の「新自由主義と闘う沖縄闘争」を進め、「国際連帯闘争として沖縄闘争を闘う」と呼びかけて闘いました。

  なぜ国際連帯闘争は切り拓かれたか?――比類なき戦闘性・階級性示す国鉄闘争

 「国際連帯闘争として沖縄闘争を闘う」とは、戦後沖縄の労働運動の全く新たな地平への踏み込みです。そのために戦後沖縄史を改めて現在的にひっくり返し、今までの概念を覆す中身をもって歴史的総括を確立しました。そして、いわゆる「独立論」や「構造的沖縄差別論」をスターリン主義の問題として明確にし、沖縄労働運動を真に甦らせる第一歩を踏み出しました。問題はこんな奇跡のようなことが何ゆえ可能になるかです。それは単純明快、徹底的に国鉄闘争を闘うという実践的立場に立っているからです。「国際連帯闘争として沖縄闘争を闘う」とは、国鉄闘争を共に闘う日本の労働者階級自身が切り拓いた地平なのです。

 同時代を生きる青年・学生が直面するもの――新自由主義が生み出す現実との闘い

 5・18沖縄集会に初参加した青年労働者は、「学生の話には目からウロコだった。今まで僕は『学歴のあるやつは頑張っていて上司になる。僕はそうでないからなれない』と思っていた。僕の変なコンプレックスがなくなった。学歴なんか関係ない」との感想です。
 「学歴があれば」という彼の考えをひっくり返す現実が今の大学です。その現実と闘っている学生の闘いが、ストレートに青年労働者を獲得するという全く新しい時代と情勢を切り拓いたものが「国際連帯闘争としての沖縄闘争」です。

 世界革命の指導部はもうここにいる」

 「復帰」41年5・15沖縄闘争へ向かう全過程は、時代認識と路線をめぐって繰り返し論議し磨き上げてきたことが沖縄の動労千葉派の力を引き出してきました。「世界革命の指導部はもうここにいる」とは国鉄闘争全国運動呼びかけ人の方々のありがたい感想と評価でした。
 いよいよ、基地労働者をめぐる決戦の幕は切って落とされました。5月22日、全駐労は「格差給カット」に抗議する全国一斉座り込みに突入し、自治労「7.8%賃下げ」反対スト情勢と並びました。国鉄闘争全国運動6・9全国集会の爆発的大結集で6月スト情勢を切り拓こう!

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月刊『労働運動』(279号6-1)(2013/06/01)

労働運動を語る

東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会に聞く(下)

聞き手・構成 編集部 (5月号から続く)

(写真 解雇撤回! 3・31春闘・渋谷アクション)

 反原発と職場からの闘いとの関係

――二人とも反原発から始まってますよね。反原発であれだけ動いている人、若い人たちとどうやって労働組合、労働運動が結合していくのかというテーマの回答のヒントが、アメアパの二人の闘いにあるのかななんて思いながら今日来たんだけど。
富田 3・11が起きてからは主体的にNAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)にかかわり…というのをまずは須賀さんといっしょにやってたんです。
 3・11直後のデモとか階級的なものがあったし、あらゆる若い人たちがこれでなら闘えるみたいなものが見えたから、これならやれるというのがあった。
 最初に栗原さんを誘ったきっかけも彼女は福島出身なので、2012年の3・11郡山に行かないかと言ったら来てくれた。それ以降も3人が反原発デモに行っているらしいみたいなのが職場的に普通になってきて、7・16代々木公園なんかでは帰り全員声ガラガラ、顔真っ黒。「デモ行ったでしょ!?」ってみんなにバレるみたいな(笑)。そういう中で国とか権力に対して声をあげることができる、自分たちで動かすことができるかもしれないというものをつかんでいくじゃないですか。
 一方で、デモの後にNAZENのデモが元気だから入ってくる若い人たちと知り合うわけでしょ。名刺交換して次のデモまで会えない、だけじゃなくて、具体的に〈明日からどうすんの会議〉っていうのを主催したりもしたんですけど、難しいのは、いくら同じ思いを持ってても自分たちの日常があるなかでずっとメールだけでつながっていくのもきびしいし、毎週、反原発で集まる時間を作るのも簡単じゃない。みんなバラバラの中で。そう悩んでたところに、職場で仲間ができたことで毎日会えるわけですよ。毎日話もできる。仕事の合間に「これって資本主義が破綻している証拠かなあ」「だよね」みたいなことになっていく。なんでこの会社の人はこんななんだろう。この会社そのものがダメだからなのか、いや、でも反原発で闘っているものと同じルーツでこいつら腐っているんじゃないかって思えるようになったし、それがだんだん確信になってきた。
 今まで聞いたことがある労働組合っぽい労働組合をそのままアメアパにあてはめるのは無理だろうって思っていた。労働組合って言ったとたんにドン引きされるんじゃないかぐらいに思っていたし。
 みんな、会社に対して怖いというか、言うことを聞かなきゃいけないんだっていう固定観念をどうやって突破したらいいのか、まずわからない。みんな口を開けば、会社に対するグチなんかあふれてくるわけですよ。だけどグチ大会になっちゃって、そこをどう逆転させていくのかがわからない。
 資本に対して、「ヨコ」の対抗軸を作るのはけっこううまくできるんですよ。分断されてきたからこそ横につながろう、共同体みたいなものをまた作ろうみたいな動きは、若者の中にもいろいろな形であった。アナキズムだったり、音楽とか、アーティストとか地域だったりとか。私もずっとそういうことをやってきた。仲間はいっぱい集まる。でも、それを持っていく方向がわからないわけです。だけど反原発運動を本気でやろうと思ったら方向はひとつしかない。あいつらをやっつけないかぎりは私たちは自分たちの命すら守れない。だから「タテ」の対抗軸をつくらなきゃいけない。その「タテ」の相手、まずは目の前の自分の現場のあいつらをコテンパにしないで、「国家を倒す」だけ言っていたって私の運動なんてウソじゃないかと思ったんですよ。
 自分も職場の闘いをやってみるまでは資本がどういうごまかしをやっているのかとか、どのくらい弱っちいのかというのも見えてこないわけですよ。だけどやればやるほど、ダサいし弱いしボロボロで、それをみんなにばらしていくだけでも、「はあっ?!」ってあきれるのと同時にみんなが元気になる。一緒に闘うってなる。これだなって思って。

 団交をやって具体的に見えてきた

富田 ただそれが具体的になったのは、あのキャサリンと直接、しかも合法的にケンカできるんだぞ、同じ会議室でって。
 ふだん職場で会ったらえらそうに入ってきて、なんか平社員とは口も聞かない彼女に対等にモノが言えるんだっていうだけで、うちら自身もみんなも「マジで」みたいな。
須賀 向こうも普通に団交に来るし。こりゃすげえって。
富田 本当のケンカ、おもしろいじゃんみたいな感覚が新鮮だった。最初はこういう法律があって、会社がそれを守ってないからそれをぶつければ何とかなるとか、いろいろ戦略的なことを組合の人に教わって、「おお!?」みたいになるんだけど、結局はそれだけじゃ闘えないから、本当に真正面から団交をやらせるまで実力でやってきた。キャサリンを引っ張り出すまでが大変だったんだけど、それをやってきたから、先日もキャサリンに直接会いに行って、団交を開けよって言ったら、「オッケイ〜」みたいな。そういう力関係を作ってきた。ただ申し入れても延ばしに延ばされるんだけど、直接会って、「何のつもり!」みたいなことをやると、「オッケー、オッケー」になる。
 そうすると世代が一緒だから、外で遊んでいて会っちゃっても…。
須賀 このまえふらっと入ったタイ料理屋で出くわした。うちらが堂々とドスンと座ったら、料理、テーブルに超てんこ盛りのままなのに真っ青な顔してて、速攻出て行った(笑)。
 うちらは悪いことしてない。向こうの方が完全に悪いから、なんでうちらが出て行かなきゃいけないの。堂々としてようぜみたいな

 鈴コン分会から学んだこと

――鈴コン分会から学んだこととか刺激を受けたことってあります?
富田 鈴コンの善さん(東京西部ユニオン鈴コン分会・鈴木善弘さん)が、解雇された後の第5回の団交に参加してくれた。すごく面白かった。あんまり向こうがへたくそな理由しか、ねつ造してこないもんだから、善さんが「何を言うてるんですか?」とあのやわらかい口調で言った。
 一番私たちが怒ったことは、キャサリンが須賀さんを解雇にする一番の理由は彼女が会社の信用をなくしたから、現場の信用もなくしたから≠チて言ったことだったんですよ。代表選挙の前だけどね。3年も働いている人は現場には他にはいないわけですよ。それでスキル的にも、人格的にも信用されているということをこっちは言ったんですけど、キャサリンが「私はそうは思わないわ」って言ったことに対して、善さんが「そっくりそのままお返ししますよ」って言った。ああなるほど、そっちの方がぐさっとくる。私たちなんて興奮してギャアーって言っちゃうから。
 あと、団交の後のカラオケボックスでやった総括会議で、善さんがみんなの話を聞きながらアドバイスしてくれたことが印象的だった。会社側につこうとしている反動的な人、「あなただけよ」手当とかにやられて裏切っちゃう人と、同じ立場で労働者として団結して組合側についてくれる子たちにだんだんとくっきりしてきちゃってることについて、善さんが「どこの職場にもワンセットいるんですよ」って言った。分会会議なんかではみんな怒りをぶちまけて解放的になってるから、こいつは裏切ったとか、こいつはダメだとか、ボンボン出てくるけど、個別の人格への攻撃になっちゃう。確かに怒りも出さなきゃいけないけど、なんか職場の個人個人に対して自分の気持ちがぎゅうぎゅう辛くなっていたものが、「最終的にはこの人たちをぜんぶこっちに取るつもりでやらないとバラバラになりますよ。そこだけは気を付けようね」って言われて、洗われるような気持ちだった。あと、それが、「他の職場に逃げてもおんなじ」ということでもあると。難しい表現を使うわけじゃなく、すごくやわらかいことを仰るんだけど、鈴コンとアメアパって見た目もこんなに違うし(笑)、闘争の中身も全く同じというわけでもないんだけど、職場の人間模様という風景は一緒だって言われると絶大な安心感があった。鈴コンのように闘うんだと言うのは、形をならって闘うということだけではなくてその中身の深さをならって闘うというのが一緒だと思うと、なんて心強いんだろうみたいなところがあった。
 吉本伸幸さん(鈴コン分会書記長)は最初の頃は女の子に囲まれてデレっとしそうになってたんだけど、一緒に闘ううち、俺は浮間舟渡系なんて言ってびしっとなって(笑)。彼は自分の実践からの具体的なアドバイスしかしないんですよ。「俺んときはこうやった、富田、お前にできないはずはねえ」って。それが一番刺さる。私たちを絶対におだてない。私たちをちゃんと労働者として対等に見てくれているだなと思って。

 生き方の問題としての労働組合

――最後に何かありますか。
富田 労働組合の運動のイメージや間口をもっと豊かにしていくことで、若い仲間に通用していくんじゃないかと思ってます。必ずしも、資本へのストレートな怒りから労働運動にテンション上がるとも限らないと思うんです。私たち自身がそうであったように、反原発から入る子もいる。
須賀 ある女の子は元々反原発、山本太郎さんの運動に興味があって、一番最初には原発と太郎さん選挙の話をしたんですけど、「なんで労働組合にこだわってるのか」と言われたときに、反原発だから労働組合だし、労働組合をやっているということ自体が反原発なんだみたいな話をしたときに「よくわかった」って。
富田 資本と闘うということまでやらないと原発は止まらないんだっていうのはけっこう説得力があるということ。
須賀 うちらがやっているのって100円の賃上げのためだけに組合をやっているんじゃないし、会社にお願いもしてない。原発に対するスタンスがそのまま組合になってる。もう絶対非和解というか。絶対に向こう側とは和解できないから闘っている。それは原発に対しても同じ。政府にお願いして止めてもらうんじゃなくてうちらが立ち上がって止める。そうじゃないと変えられない。それが彼女に伝わったのが嬉しかったですね。
富田 福島の問題は、命の根源的なお話じゃないですか。その話に向き合うときに労働者として立ち上がればいいんだっていう話だけじゃまったく通用しない。
命について考えるから、仕事をするってことも生きていくため、ご飯を食べて、暮らしていくために働くってことと、でも働くってことそのものが人間の欲求としてあるじゃないですか。生まれた以上、なんかしたい。なんかするっていうことは、人間が手を動かすっていうことが価値を生むってことなんだ。そのたまらない喜びを感じたいから働きたいんだっていう。そういうことまで掘り下げて考えないと、その全部を奪われている状態からスタートしている20代、30代、非正規というのは、その現実に立ち向かえないわけですよ。
モノを生み出した価値が大事にされないっていうことにみんな憤っているっていうところを一番具体的に一番表現していっているのが労働運動なんだっていう実感はあるんです。いわゆる労働運動だけじゃ集約できないぐらいのものに立ち向かうためのひとつの最大に有効な手段が労働運動だっていう感覚ですね。
本人たちとしては一生アメアパに捧げてたまるか、会社ごと潰れろぐらい思ってる。でも、解雇には反対だし、非正規を正社員にしろっていうことは言っている。だから矛盾してるんだけど矛盾してないというか。
その前に革命起こさないと、ほんとうちら多分本当に死ぬとかって感覚。本当の本当に金がない。本当に生きていけない。歯医者にかかれないから歯がマジで痛いみたいな。世の中の仕組みを根本的にひっくり返さないと、やばいという感覚はある。誰でも。それがおもしろいところだなと思ってますね。
須賀 解雇されても人脈があるから死なない自信がある。毎週職場の人が来てくれていて、一緒にご飯食べてっていうなかで、生活と仲間は資本は奪えてないなって。今から仕事は奪い返してやるんだっていう感じ。だから失ったっていう感覚はあんまりなくて、むちゃ得てるしっていう。銀行の残高だけは減っててやべえなあ、これ怖ええなあ、みたいなのはあるけど。なんで解雇された人が一番余裕なのか、むかつくとか言われた(笑)。
でもそういうようにしていられるのも、一人じゃないからですよね。仲間がいるから、こういう団結があるからだってことをもっと伝えたい。解雇されちゃった人や、これから解雇される人に。解雇された日に飛び降りて死ぬ人がいるじゃないですか。一緒にご飯食べる人がいるだけで死なない。一人でも自殺者を減らしたい。それにはもっと闘いを広げていく。こういう生き方があれば、死なないですむんだっていう。知ってほしい。本当にこのことを。
富田 3月31日の渋谷の街宣でたまたま通りかかって署名してくれた「植木屋やってます」っていう、見た目はシブヤ系のお兄さんが、アメアパのことは知っていて、「労働組合というと引いちゃうけど、派手なおしゃれな女子がいるというだけですごいですね」って。「僕もいろんなこと納得いかないから、そういうことをやりたい、声上げたい。労働組合っていうのも生き方ですよね」とその人が言った。そういう生き方を求めているんだなと思って。だから街頭にうちらが登場するだけで何人が気持ちだけでも救われるのかなと思ったらもっと出ていかないと、と思っています。
――ありがとうございました。
(4月13日、東京西部ユニオン・組合事務所にて収録)
(写真 解雇撤回! 3・31春闘・渋谷アクション)

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 波瀾万丈、アメアパ分会4〜5月の闘い

 富田翔子 東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会書記長

 

(写真 ある日の分会会議!)

3月31日に分会長が雇い止め解雇になり、しかし分会と仲間たちはストライキやって、デモやって、すっかり盛り上がっており。「一番身近な職場で、目に見えて革命が起きてる実感!」「1日でも早く現職復帰!」と、解雇後は毎週、職場では会えない分会長の自宅でご飯つき分会会議を開催。皆で分会パンフレットづくりや、労働委員会闘争について議論したり。

 4・19第6回団交で会社側を追いつめる!
 間髪入れずに4月19日第6回団交を開かせ、会社側が出してきた「雇い止め理由書」の中身を徹底的に検証してひっくり返しました。会社は分会長のミスを挙げて業務上不適格であることを理由としていますが、それらのミスひとつひとつを具体的に検証すればするほど、それは「ミス=不注意」などではないこと、須賀分会長が誠実にお客様や業務に向き合おうとした結果であることを立証。会社側は反論の余地もありませんでした。
 5・1メーデー!!!
 

5・1メーデーには、「解雇撤回」と「FAIR  
WAGES(まともな賃金を)!」を掲げてアキカ組合員(24)が指名スト! 朝は鈴コン社前闘争に参戦し、昼は渋谷で街宣・署名活動をやりました。アメアパのお客さんの若い女性たちが続々署名をしてくれ、「今日は解雇された友達のためのストライキなんです」と話すと、「え〜...優しい…!」と瑞々しい反応…☆

(写真 5・1新宿メーデー!)

 アキカ組合員のこと
 メーデー終日ストに立ったアキカがはじめてアメアパ分会に共鳴してくれたのは、オフィス前抗議行動の動画を見せたときでした。「めっちゃ支持です、私も一緒にやりたい!」と、少しずつ思いを語ってくれるようになった。反抗的な態度がキャサリンに疎まれ、職種・店舗をたらい回しにされ、陰湿な退職勧奨を受け、心を患いそうになるほど屈辱的な思いをしてきた、と。
 実家が福島で、帰省した際にテレビを見ていたら、天気予報のついでに「本日の放射能」とまるで花粉情報みたいに報道されているのを、家族は当たり前のように見ていたことにショックを受けた、悔しかったと。
 あるいは、出会った頃は昼休憩にカップラーメンばかり食べていた彼女が、ある日、自炊してお弁当を作って持ってくるようになったこと。私が三里塚野菜で大根葉のふりかけを作って職場の冷蔵庫に常備するようにしたことなんかをきっかけに、「ちゃんと食べることすらも奪われてる、カップ麺やコンビニ弁当ばかりじゃ、元気が出ないどころかイライラしちゃわない?!」等、食べ物の話で噛み合ったり、みなで鍋したりする中で、彼女が取り返していったもの。
 くやしい、ずっと悔しいばっかりだった、「でもあの頃の私の悔しさが、間違ってなかったんだって、翔子さんたちに出会って思うことができました。東京にでてきて、はじめて居場所ができた気がした」。初めて団交に参加したその日にアキカは組合に入った。
 CEOダヴ・チャーニー来日し、ストック閉鎖の攻撃!
 たった数名の非正規組合の、たった2波のストにビビったのか?! 5月14日にロサンゼルス本社からCEOダヴ・チャーニーが来日。要件は「代官山店バックストック(倉庫)の閉鎖」! 代官山店ストックは私自身の現配属先です。ストックを潰して売り場面積を増やし、在庫を減らして「JUST ON TIME」のトヨタやユニクロ方式で売上げ向上を目指すと。破綻必至の合理化政策と、労働者の徹底した分断、そして露骨な組合潰し攻撃です。
 せまい職場で共に働き、弁当を食べ、せまい自宅で呑んで語り、人生や痛みに向き合い、本音をぶつけ合える信頼関係を築きつつある。それをぶち壊すことが本質的に「合理的」なわけがない。そう確信してる仲間たちは、社長を目の前に堂々と敵意を剥き出しにしていた。
 ストやって、デモで叫び、街宣で会社のブラックさを暴露して、社前で仲間に訴えて、団交でバトル。毎日、資本とのチカラ関係をひっくり返していってる、その実感で楽しく、逞しくなる、生命力が溢れてくる。
 ケンカってこうやるんだ、おもしれえ! 今まで逃げてた自分の弱さと向き合うんだ、もうゴマかさなくていいんだ、本当に大切なものを信じていいんだ、あらゆる悔しさに、もう屈しなくていいんだ。
 だからこそ、もっと仲間を増やすしかない、もっともっと深く団結するほかない。そのチカラで絶対に解雇撤回! ストック閉鎖絶対阻止! 闘いはこれから。

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月刊『労働運動』(279号7-1)(2013/06/01)

ユニオン自立として思うこと―新自由主義に抗して

魚谷貞雄 自立労働組合京都 執行委員長

 結成以来の闘い

 自立労働組合京都(略称ユニオン自立)は、「一人の首切りも許さない!」を合言葉に、一人でも誰でも入れる労働組合として、20年ほど前に結成された地域合同労組です。
 解雇撤回と女性差別賃金を許さない闘いとして始まりました。争議団的あり方から当たり前の労働組合として、職場に団結を、地域に連帯を求め15年ほど前に再出発しました。
 職場での団体交渉や春闘に力を入れ、賃上げや労働条件の改善など少しずつでも前進を勝ちとってきました。パート労働者が決起して職場でパートの支部ができ会社との交渉もやりました。団交の場ではいつも「パート契約だから嫌なら辞めたら」という言葉です。また当たり前の権利すら守ってなかった会社に対し、残業代や有給休暇や社会保険等、当然の義務だけは守らせました。非正規労働者の低賃金での使い捨ての現実は今日ますます激しくなっています。
 また、組合で初めて400人以上の労働者が働いている給食会社が倒産し、その日のうちに全員解雇で職場から叩き出されたという相談がありました。職場占拠、自主再建は間に合いませんでしたが、数日のうちに200人近い労働者が決起し支部が結成され、ユニオン自立も総力を挙げて労働債権を守り抜き、全員の退職金と未払い賃金、年金を確保して明日の糧だけは何とか確保したという闘いをやりました。
 その後、旅館の仲居さんら8人ほどで5年間残業代が一銭も支払われていないという相談があり、団交や旅館での門前闘争や街頭宣伝、労働委員会闘争等をやり、1年以上の闘いで全員の残業代を支払わせることができました。
 また、解雇通告を受けても、「くそったれとその場で返事せず相談してくれ」と呼びかける中で、何回か翌日に組合通告して撤回させたこともありました。
 これらの闘いでユニオン自立も労働組合として闘う力を付け、労働者が団結して闘えば勝つことができるという確信を持ちました。また労働者は泣き寝入りしたり、あきらめたりしないで、必ず団結を求め起ちあがり闘う力を持っていることにも確信を持つことができました。
(写真 府立高校分会による京都府庁への朝ビラ行動【5月2日】)

 〈労働相談解決型〉からの転換をかけて

 しかし、組合として総括する時、これらの闘いはやはり〈労働相談解決型〉で、駆け込み寺の救済運動に終わっているのではないか。団結の拡大がどこまでできたのか。組織拡大に結び付いたのかを総括軸に考えていく必要があると思います。一個一個の解決は重要だし必要なものだけれど明日また同じ問題が全国に起こっています。これを労働者階級全体の問題として、この社会を変えていく闘いの重要な一環としてとらえようと、討論しました。
 労働組合がこの資本主義体制をよしとしてとらえ、その中で生活と権利を守る運動でよしと考えるのか。賃労働と資本の関係を止揚していく闘い、すなわちこの資本主義体制を打倒し、革命を実現していく闘いを作り出していくのか。だから、あらゆる課題を労働組合が労働者の団結を作り出し、その力を結集して闘う労働組合を甦らせていかないといけないのではないか。階級的労働運動を作っていくためにユニオン自立も闘っていこうと。3年ほど前から執行委員会で討議し、定期大会で討議し、もう一度生まれ変わろうと決意して今日を闘っています。
 星野さんを取り戻す闘いを組合として取り組むことを決め、反原発闘争として、学生と共同の呼びかけでNAZEN京都を立ち上げました。
(写真 野外労働相談と宣伝ビラまき署名活動【5月3日 京都円山公園】)

 日本女子プロ野球分会、非常勤講師の闘い

 この間の日本女子プロ野球分会の闘いは、この立場から見た時、すごい地平を切り開いていると思います。公式記録員は委託契約であり雇用関係にないので団体交渉事項になじまないと言って、団交を拒否した機構側に対して、団交拒否の不当労働行為として、労働者性を争う労働委員会闘争をやりました。球場でのビラまきや街宣、労働組合への署名要請などをやりぬいて、労働者性を認めさせました。
 これは今日、労働者を分断し、団結させないためにあらゆる雇用形態を作り、低賃金と解雇自由をさらに推し進める攻撃に対して、労働者が団結を取り戻し、労働組合が資本と闘っていく大きな道筋をつけたと思います。そして今、機構側との団交を勝ちとり、日本女子プロ野球機構として労働者として直接雇い入れる方向で考えますという回答を引き出すところまで来ています。
 また、非常勤講師の解雇撤回(退職強要を打ち破る)闘争が始まっています。教育現場でも非正規職教員や職員が膨大に増えています。非常勤講師部会などの立ち上げを視野に入れながら、団結拡大に向かって闘いを進めたいと思っています。

 新自由主義と闘える労働組合を

 今、非正規職労働者は3人に1人です。青年労働者では2人に1人の割合です。全てを自己責任にし、自死に追いやり、泣き寝入りとあきらめを強いて金もうけをする。「命より金」「1%対99%」の新自由主義攻撃に対して闘える労働組合を作っていきましょう。新自由主義攻撃の核心的軸は、民営化・外注化と非正規職化の攻撃です。
 「アベノミクス」はさらにそれを推し進め、改憲―戦争に向かうものです。絶対反対の立場で、労働者の階級的団結を作り出していきましょう。

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月刊『労働運動』(279号8-1)(2013/06/01)

■ひめじょおん―女性部から

復帰41年5・15沖縄闘争に行ってきました!

湘北合同労組 中西美代子

 5月18日――国際通りデモ、集会

 1日目は今年も国際通りデモから始まった。街頭と熱い思いを共有したコールだ。「労働者は死んではならない! 死すべきは基地だ!」「原発反対、原発とめろ」 福島と沖縄の怒りはひとつ。
 夜の集会で印象的だったのは、〈反合理化・運転保安闘争〉の労働運動復権と拠点職場建設の提起。動労千葉の闘いから徹底的に学びきり、職場で起こっている事故やミスを労働者に転嫁している資本に労働組合をつくって団結を対置し、隣の仲間を見捨てず向き合い、怒りを解放して闘う姿に感動した。
 広島大学準教授の訴えも沖縄とのかかわり、国際連帯から始まった。内容的には難しかったが、非正規の闘いはグローバル搾取の連鎖を断ち切る闘いであることを認識した。多くの労働者が生産現場から排除されている。生きることそのものが闘いである現実。

 5月19日――基地めぐり、県民大会、青年集会

 2日目は嘉手納と普天間基地めぐり。オスプレイを見ただけで怒りが。わがふるさとは基地中心で特に嘉手納・普天間は基地周辺にへばりついた生活を余儀なくされている。住民の怒りと苦悩を共有してほしい。毎日毎日、軍用機と騒音の中で生きているのだ(沖縄の怒り)。
 午後は県民大会へ合流。雨が次第に土砂降りになり、傘やカッパがあっても濡れるほど。そういう時季だから仕方ない。集会は橋下発言に対する怒りから始まった。元「従軍慰安婦」とされた金福童さんの証言は帝国軍隊の非道さと戦争は人間をここまでおとしめるのか、怒りとやるせない気持ちの中でやはり戦争は絶対ダメと意思を固める。
 夜は青年労働者の報告に感動。特に動労西日本に加盟し外注先から元の職場に戻った青年の闘いに感動! 数は少なくても正しい路線で闘い勝利した。その力で組織拡大を!
 もうひとつは沖縄の青年。組合の書記長となりミスを理由に賃下げされた。「反合運転保安闘争」として闘い、賃下げ分を取り戻した。仲間の力、労働組合の力は素晴らしい。さらに団結した力で労働条件を改善している。労働組合をつくる前と今の自分は違うと自信と確信に満ちた報告がカッコよかった。

 5月20日――辺野古

 

3日目は辺野古だ。富田晋君の説明を聞く。他の団体もたくさん来ていたのでいつもより熱かった。車の免許より「舟の免許が先」と海上での闘いを命を賭けてやりぬいて1本の杭も打たせずに勝利してきたこと。漁師たちと体を張って辺野古の海を守ったこと。オジー・オバーにかわいがられ、慕っている姿。そして何よりも名護にしがみつき、ついには労働者として労働組合をつくり登場している彼。
名護市内デモも元気に貫徹。町の人の反応も好意的でした。3日間を勝利的に闘いぬき、帰途に着く。

(写真 うるまユニオン・富田晋さんが辺野古の浜で報告【5月20日】)

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月刊『労働運動』(279号9-1)(2013/06/01)

■地平線 ―反戦共同行動委員会―

橋下暴言を許すな!

北島邦彦 反戦共同行動委員会事務局長
 橋下徹・日本維新の会共同代表(大阪市長)による5・13「従軍慰安婦」発言。撤回どころか謝罪もしない姿勢に、内外の怒りの声はますます大きくなっています。24日には、橋下との面会を予定していた「従軍慰安婦」とされた2人の韓国人女性が、抗議・弾劾の意志を示すため面会を拒否しました。

 歴史の歪曲・抹殺

 橋下暴言にある核心の第1は、歴史の抹殺・歪曲です。「従軍慰安婦」制度の創設にあたって国・軍の関与・強制を示す証拠はない、戦時にはどの国にもあったことなのに日本だけ非難されるのは侮辱……と。何と盗人猛々しいことか。世界に類例のない暴挙である「従軍慰安婦」制度だからこそ、政府・軍は組織的に証拠となる公文書類の焼却をはじめ、ありとあらゆる証拠隠滅を図ったのであり、だから証拠が乏しいのです。「このまま忘れ去らせてはいけない」と、身体と心を切り刻まれる思いで痛苦の証言を始めた「従軍慰安婦」とされた朝鮮半島の女性たち、針の穴からのぞき込むような努力で史料を探索した歴史研究者たち、そうした人々によって掘り起こされたのが「従軍慰安婦」制度の真実です。橋下暴言は、これら一切を抹殺しようという意図に貫かれたものです。まったく許せません!

 女性への性暴力の扇動

 橋下暴言にある核心の第2は、女性に対する性暴力の全面的容認、さらには扇動にあります。現場で行なわれていたことは何か? 女性が物理的・精神的に縛りつけられて、「性奴隷」と言われるようなおびただしい性暴力を、長期間にわたって受け続けたのです。戦時・平時、強制の有無に関わりなく、この許しがたい事実は動かすことはできません。橋下という人物は、この事実に向き合って1ミリの怒りも感じない人間なのです。また沖縄の米海兵隊司令官に、「兵士が風俗業を活用するよう進言した」と自認しています。戦争や軍隊それ自体によって兵士の人間性が破壊される現実のなかで、女性の人権を踏みにじり人間性を否定する性暴力を扇動しています。橋下の人間観が如実に表現されていると言えます。このような人間が自治体行政のトップであり、国会に多数の議席を占めようかという政党のトップであるというのですから、怒りに堪えません。

 新たな侵略戦争の動き

 橋下暴言にある核心の第3は、これはたんなる歴史認識の問題だけでは決してないということです。戦争・軍隊には性暴力がつきものとすることで、「侵略」の正当化を図ろうとしています。安倍政権閣僚の靖国参拝ともあいまって、これからの戦争≠けしかけているのではないでしょうか? 憲法96条改正の主張に表されている真の意図も、実際の戦争に向けた改憲攻撃の突破口にするということでしょう。橋下暴言との闘い、安倍−橋下・石原(日本維新の会)との闘いは、すぐれて現在的な反戦闘争です。
 このような橋下反動との闘いは、大阪の自治体労働者の橋下打倒闘争と一体となって闘われる時、具体的な力を持つことができます。国鉄闘争全国運動を大阪の自治体労働者とともに進めていくことが、反戦共同行動委員会にも求められています。闘おう!

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月刊『労働運動』(279号A-1)(2013/06/01)

元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風

第9回

 三つの〈間〉を創ろう

 

  釘立て (HP「ふるさと阿品よもやま」より)

若者に尋ねてみたい。小学校時代に「群れて遊んだ」ことがあるのか、と。
僕の記憶では、学年の異なるいろんな子どもたちが、空き地や路上で遊ぶ。空き地で、釘立て、バイ(ベーゴマ)、どんま(馬飛び遊び)、駒鬼さん、三角ベース等、自分たちでルールを作り、群れて遊んだ。遊ぶ、〈時間〉〈空間〉〈仲間〉。三つの〈間〉が十分あった。そうした「群れて遊ぶ」中で、今で言うコミュニケーション能力も培われたのであろう。
職場には、労働組合がなく(推定組織率17.9%。[2012年『労働組合基礎調査』の結果、2012年12月18日厚生労働省]、少数の正規労働者のほかに、契約社員・パート・派遣等非正規の様々な雇用形態の労働者が混在し、労働者は孤立させられている。個々バラバラだ。だからこそ、この〈三つの間〉を考えたいのだ。

  

どんま(馬飛び遊び) (HP「南丹市総合ガイド 『南丹生活』」より)

 〈仲間〉がいるか

 

職場内外に、語り合える仲間がいるか。仲間の中で、居場所を見いだせる、人と人とのネットワーク。お互い批判を言うが、それは、丸ごとお互いの人間を尊重した上での批判だ。人格を否定するような非難をすることではない。そうした≪仲間≫がいるか。
〈空間〉があるか
集いあえる空間=場所はあるか。避難所・駆け込み寺としての場所はあるか。そういう場所が、職場・地域に、あるか。労働組合がそのような存在となっているか。

 〈時間〉が創れるか

仲間と集える空間への参加の時間が創れるか。
職場の問題点を持ち寄って、語り合うこと、労働の在り方を議論することができる仲間との空間と時間を創ること。団結の歴史を学び、過去の闘いの歴史から、現在の知恵を探り出す。団結の中でしか、労働者は尊厳と自由を回復できない。
労働組合の存在意義はここにある。おかしいことにおかしいと言える労働組合を創ろう。当たり前の労働組合とは、そういうものだ。

大野義文: 1950年1月生まれ。1980.4〜2010.3退職まで、広島、山口、徳島、高知の監督署・局で勤務

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月刊『労働運動』(279号B-1)(2013/06/01)

不屈に闘う争議組合へご支援を!

 動労千葉の'13年夏季物販にご協力を!

 

動労千葉13夏(27期)物資販売が始まりました。
さる5月8日、東京高裁での第3回鉄建公団訴訟で、原告代理人は「選考基準」は、葛西が作り、JR設立委員会の案とさせた。すなわち、国鉄とJRは一体であるとする証拠を裁判所に叩き付け、これを立証するには葛西証人の証言が必要だと迫りました。しかし、裁判長は結審を強行し、9月25日を判決日とし、法廷から逃走しました。すべての労働者の団結の力で「解雇撤回・JR復帰」の判決を出させる情勢を作りだしましょう。第1次署名では、16958筆を提出できました。ありがとうございます。第2次、第3次で10万筆提出を勝ち取りましょう。
6・9国鉄集会を成功させ、闘う労働者の連帯を呼びかけ、「生きさせろ」の叫びを上げよう。動労千葉物販と署名を全職場に持ち込んでください。
動労千葉執行委員・協販部 中村仁
TEL 043-227-7833 FAX 043-227-8125

 1047名解雇撤回!国鉄闘争の火をさらに大きく! 和解拒否の国労原告団2013年夏季物販にご協力を

 

今季物販は、ついに切りひらいた国鉄分割・民営化反対闘争の最大の決戦と一体です。国労組合員に全力で持ち込んで闘います。青年の未来と闘う労働組合の復権をかけて、秋田闘争団・小玉忠憲さんの最高裁での解雇撤回闘争と和解を拒否して闘う4名の原告団の組合員資格回復訴訟を闘います。13年夏季物販へのご協力をお願いします。

国労原告団互助会
東京都品川区大井1-34-5河野ビル3階
なんぶユニオン気付
TEL 03-3329-8815 FAX 03-3329-8821

 8名の解雇撤回を闘うス労自主の夏季物販にご協力を

 

ス労自主結成から31年、8名の不当解雇撤回闘争は38年になります。宿敵エクソンモービルが事実上日本市場から撤退するなか、社名変更したEMGマーケティング合同会社=エクソンモービルとの闘いを一層強化し、ス労自主全員ますます元気です。1世紀にわたり日本で暴利を上げ、その全てを米本国に送金し、収奪し尽くして日本市場から総引き揚げしたエクソンモービルを容認・放置するわけにはいきません。ス労自主は「エクソンモービルの日本市場撤退に絶対反対」で闘い、8名の不当解雇撤回闘争を基軸に闘います。「2013年夏季物販闘争」へのご支援をよろしくお願いします。
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合
東日本地区 180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町4-15-23中西様方 ス労自主京浜分局 0422-57-4417(TEL&FAX)/西日本地区 560-0082大阪府豊中市新千里東町1-2-8 EMGマーケテイング合同会社内ス労自主本部 06-6832-7516(FAX)

 沖縄バヤリース労組13' 夏 物販

 

労働運動の壊滅か、動労千葉派の本格的登場か。基地労働者を先頭とする沖縄労働運動の帰趨は動労千葉派の闘いにかかっています。「復帰」41年5・15沖縄闘争は改憲・TPPと辺野古新基地建設を阻み、新自由主義を打ち破る怒りの労働者国際連帯闘争として発展しました。
焦りにかられているのは安倍政権であり、橋下維新の会です。国鉄分割民営化から30年、「解雇自由・賃下げ自由」や改憲に踏み込めないのは国鉄闘争を軸に労働組合が闘ってきた結果です。2013年夏物販は沖縄労働運動復権の水路です。一層のご協力をお願いします。
沖縄バヤリース労働組合物販センター
沖縄県南城市玉城字百名509
TEL 090-2710-2008 FAX 098-948-1651

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月刊『労働運動』(279号C-1)(2013/06/01)

■読者のページ

 新自由主義と対決する狭山闘争をつくりだそう

東京西部労組交流センター松田元司

 帝国主義の最末期=新自由主義が労働者に強制するものは何か。それは、階級的団結を奪い、労働者を分断し支配することだ。このことなくして外注化・非正規化の完成はない。だからこそ、私たちは労働者本来の階級性を取り戻し、職場の団結を基礎に闘う労働組合を拡大することで勝利できる。体制内労組を覆し、支配階級を打倒し、労働者の社会を建設するのが私たちの揺るぎない路線なのだ。
 新自由主義がもたらす攻撃のすべてが全世界の労働者の資本への怒りと団結への希求を高めつつある。革命への攻防の真っ只中だという情勢認識が、私たちの運動のすべてを決定づける。
 1963年以来の狭山闘争は、無実の部落労働者・石川一雄さんの絶対非和解の戦闘性ゆえに新自由主義との最先端攻防のひとつとなっている。体制内運動がさまざまに関わるなかで労働者階級への差別と分断攻撃を許さず、階級的団結を奪い返す闘いとして、私たちこそ権力犯罪を粉砕する責任を取りきろう。解放共闘に結集し、狭山学習会、狭山現地調査に職場の青年労働者を組織していこう。

 6・16第6回大間原発反対現地集会へ!

中道雅史 NAZEN・青森共同代表

故・熊谷あさ子さんの闘いがなければ、すでに稼働していたであろう大間原発。その遺志を引き継ぎ、建設阻止の闘いに全力を注ごう。
大間原発は、稼働されれば全炉心にMOX燃料を使用する世界初でとても危険な発電所。発電自体は期待されておらず、六ヶ所で作られたプルトニウムを消費することが目的です。炉心予定地から300bにあさこはうすがあり、民家もすぐ近くに。何より大間原発は核燃料サイクルに正当性を与える存在であり、その一環です。核燃サイクル=日本のマンハッタン計画=核武装化の重要施設だということです。絶対阻止しなければなりません。
実行委員会が1000人の集会、デモを呼びかけています。全力で結集を!
○日時 6月16日(日)11:30〜(集会後デモ、14:
00終了予定)○場所 青森県下北半島・大間町 大間原発に反対する地主の会・所有地 (「大間原発敷地」隣接・一坪共有地)○15日(土)夜にもイベントあり
場所同上○主催 大間原発反対現地集会実行委員会(HPあり)○連絡先 大間原発反対集会実行委員会事務局(080-6041-5089)
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●動労千葉労働学校 第13期労働学校日程

■基礎講座
◆どういう時代に生きているか−反原発と時代認識
6月15日(土)13:00〜
講師 島崎 光晴(経済問題研究家)

■実践講座
◆反合・運転保安闘争で外注化を阻止しよう
6月22日(土)13:00〜
講師 田中 康宏(動労千葉委員長)

■場所 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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■MOVIE

天使の分け前

監督 ケン・ローチ

イギリス・フランス・ベルギー・イタリア 2012年

 「天使の分け前」とは、ウイスキーがオーク樽で熟成される時に1年で2%蒸発することをいいます。「なんだ、ウイスキーうんちく映画か…」などという声が聞こえてきそうですが、いやいや監督はあのケン・ローチです。今作もイギリス労働者階級へ力強いエールを送っています。
主人公ロビーは、スコットランドのグラスゴーの青年労働者。下層労働者階級に育つロビーは、教育も満足に受けられず、貧困と暴力、失業のなかで希望を見いだせない状態です。そんな中、子どもの出生をきっかけに立ち直ろうとします。社会奉仕活動の指導者ハリーからスコットランドの名物スコッチウイスキーのテイスティングの才能を見出されます。
ある日、幻のウイスキーのオークションが開かれることを知ったロビーは「天使の分け前」を受け取り、それを元手に職と人生をとり戻そうとします。どうするかはネタバレになるので書けません。
この映画、問題意識もなくなんとなく観てしまえば、確かにウイスキー映画にしか見えないでしょう。しかし、そこは交流センター会員諸氏。イギリス青年労働者のどうしようもない現実と、ケン・ローチの青年労働者への深い連帯と応援を見て取るでしょう。
そこで、われわれ中高年交流センター会員こそ、社会奉仕家ハリーの青年たちに対す
る姿勢を学ばなければなりません。青年労働者をいわば自立した労働者階級にどうやって促すのかを。というわけでこの映画の注目は主人公ロビーではなくハリーの方です。主人公ロビーは人生を再出発しハッピーエンドですが、ハリーもちゃんとロビーから感謝を受けるのです。われわれ中高年活動家も青年たちから感謝されるようにならねば…‥。
(東京 町支健一)

東京・新宿武蔵野館他で6月から引き続き公開続行。その他の地域でも順次公開予定。

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月刊『労働運動』(279号E-1)(2013/06/01)

Photo document 2013年4月〜2013年5月

 星野再審へ全証拠を開示せよ!

4・22東京
星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議が呼びかけた本年第2波の東京高裁包囲デモに130名が結集。星野暁子さんが検察官の証拠開示拒否を徹底弾劾。「星野さんは無実だ」「検察は全ての証拠を開示せよ」「労働者民衆の力で星野さんを取り戻すぞ」のシュプレヒコールが霞ヶ関一帯に轟いた。

 解雇4カ年弾劾!ショーワ・ジェコー闘争勝利!

4・26埼玉
さいたまユニオンとJAM神奈川ジェコー労組を軸とする実行委員会が呼びかけた「非正規では生きられない!派遣切りから4年/ショーワ・ジェコー弾劾行動」が全国から延べ150人の結集で闘われた。ショーワ本社工場包囲からジェコー本社工場にデモをかけ、団結して解雇撤回まで闘い抜く決意を叩きつけた。

 外国人研修制度廃止せよ!

5・1広島
広島連帯ユニオンは、去る3月14日の江田島カキ養殖加工「川口水産」での事件で衝撃的に明らかにされた外国人研修生への奴隷的労働実態に怒りを燃やし、国際研修協力機構(JITCO=ジッコ)広島駐在事務所へ「外国人研修(技能実習)制度絶対反対!即時廃止!」の抗議の申し入れ行動を行った。

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