「月刊労働運動」 2013年/07月/01日(No.280号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題)

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(写真 国鉄闘争の火をもっと大きく! 9・25解雇撤回判決獲得へ! 国鉄闘争全国運動6・9全国集会に1800人が大結集【東京・文京シビックホール】)

◎労働者の目 団結した組織力で情勢を切り開こう
国鉄闘争を基軸に日本階級闘争の根底的歴史に立脚する階級的労働運動の新時代へ!   辻川慎一 代表運営委員、動労水戸副委員長
被爆68 周年の8・6ヒロシマ大行動の成功から今秋決戦の勝利へ 広島県労働組合交流センター
福島の怒りとともに被爆68 周年8・9長崎闘争へ結集しよう  橋里耕悟 NAZENナガサキ事務局長
国鉄闘争の火をもっと大きく 解雇撤回・JR復帰10 万署名を集めよう―国鉄闘争全国運動6・9全国集会の発言より
新連載 戦後労働運動史の中から  伊藤 晃 日本近代史研究者
◎階級決戦情勢を迎えたILWU(米港湾労組)との国際連帯を強めよう 動労千葉国際連帯委員会  11
◎動労千葉労働者国際連帯委員会への投稿 鉄の女サッチャーは死んだ。そして、彼女の死はイギリスを諸陣営に分裂させた マーク・レッドウッド(英ジャーナリスト)
◎公務員大幅賃下げにストライキを訴えて闘った4−5月闘争 福岡県労働組合交流センター会員・N
◎全国労組交流センター女性部第20 回定期全国大会報告 今こそ国鉄闘争を基軸に 女性労働者を階級闘争の主体として組織しよう 辻川あつ子 女性部事務局長
◎合同・一般労働組合全国協議会6・8全国代表者会議を開催  小泉義秀 合同・一般労働組合全国協議会事務局長
ひめじょおん−女性部から――女性部から 女性部大会決議 橋下大阪市長の「日本軍慰安婦は必要だった」とする発言を徹底弾劾する!
◎地平線―反戦共同行動委員会― 三里塚・市東さんの農地取り上げを絶対阻止しよう 三角 忠 反戦共同行動委員会代表
◎元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風=@第10 回 辞めたいけれど、辞められない?
◎・読者のページ ◎動労千葉労働学校 第13 期労働学校日程   ◎マンガ

月刊『労働運動』(280号1-1)(2013/07/01)

■労働者の目

団結した組織力で情勢を切り開こう

西田 貴広 常任運営委員全逓

6・9国鉄集会で、「9・25判決までの4カ月間は、国鉄闘争の最大の正念場であり、階級的労働運動が登場できるかどうかのかかった闘いである。目の色を変えて、闘いと組織化に総力で取り組もう」という確認がなされたと思います。
 この確認を実現するために、交流センターに結集する仲間は、今までの活動スタイルを一変させ、自分の全存在をかけて職場、地域で残り3カ月の決戦を闘い抜こう。
 今や資本主義を打倒して、労働者階級の未来を切り開けるのかどうかのかかった決戦として、国鉄闘争は激突局面を迎えています。この間の攻防は、87年の国鉄分割・民営化以上に常識を逸脱しています。動労千葉の1047名解雇撤回裁判と昨年の10・1外注化攻撃は常識も論理もない、外注化ありき、不当判決ありきの攻撃です。こんなことを許したら、どんなひどい攻撃も許される世の中になってしまいます。絶対に許してはなりません。怒りに燃えて闘いに立ち上がろう。
 安倍政権は、今夏の参院選で憲法改悪、辺野古新基地建設、原発再稼働を選挙公約に掲げました。攻撃は国鉄攻撃を突破口に全面的です。
 わが郵政職場でも、「郵政ビジョン2021」と、今夏のJP労組全国大会での新人事賃金制度の導入で、賃金破壊と雇用破壊、8時間労働制破壊が全面化されようとしています。国鉄闘争の勝利で、安倍政権と反動攻撃を粉砕して、階級的労働運動の登場をわれわれの力で切り開こう。
 残り3カ月の決戦の勝利に必要なことは何よりも、交流センター会員の団結です。団結の強化が決定的に求められています。各県の交流センター、各地域の交流センターの団結した組織力で情勢を切り開くということだと思います。
 今や曖昧なものは許されない時代に入りました。曖昧な勢力や部分は、反動に組織され闘いを内部から破壊することを画策し、反革命に転落するか、闘いの戦列から離脱するかのどちらかです。組織の団結は、敵の攻撃では破壊されません。「組織は内部から腐って行く、組織は頭から腐る」とよく言われますが、徹底的な討論で路線の一致を勝ちとり、団結を圧倒的に強化し勝利を勝ちとろう。
(写真 国鉄闘争全国運動6・9全国集会に1800人【東京・文京シビックホール】)

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月刊『労働運動』(280号2-1)(2013/07/01)

国鉄闘争を基軸に日本階級闘争の根底的歴史に立脚する階級的労働運動の新時代へ!

辻川慎一 代表運営委員 動労水戸副委員長

 国鉄闘争全国運動6・9全国集会で到達した2013年前半の闘いの地平

 大恐慌に突入し、戦後世界体制が崩壊過程に入るなかで2011年3・11を転機に、労働者大衆を欺瞞的に支配してきた政治や政党、労組既成指導部の虚飾が急速にあぶり出されています。私たちは、昨年12月の安倍政権発足に対して、労働者大衆が安倍自民党を支持しているのではなく、ブルジョア国家と体制内勢力からの離反こそ起きている事態の本質だと言ってきました。さらに、安倍政権の
「三本の矢」がより巨大な金融と財政の破産を生み出すものでしかなく、労働者大衆への収奪の強化だけが極限的に進むことも明確にしてきました。この情勢に対して「解雇撤回」「反合理化・運転保安」「外注化阻止・非正規職撤廃」に加え、「被曝労働拒否」を反原発闘争を階級的に貫く路線として確立してきました。それは、原発廃絶や基地廃止、戦争阻止が階級的にのみ実現できることを改めて明確にした画期的地平です。こうして昨年10・1検修外注化阻止闘争を全階級と民衆の利益をかけて猛然と貫き、その第2ラウンドを2013年春に据えて闘いました。
 「原発再稼働、戦争と改憲、非正規職化の安倍政権を3〜4月闘争で打倒する!」という私たちのスローガンは、誤りではありませんでした。第2次安倍政権は、発足から半年でボロボロです。同時にまた、ブルジョア支配を前提とする共産党は元より、全ての体制内政党・勢力も求心力を急速に失っています。
 6・9国鉄集会の大勝利は、私たちが動労千葉を基軸とする国鉄闘争を不動の柱に、どんな困難にも引くことなく労働組合をめぐる死闘を貫き、日帝国家権力や体制内勢力の必死の妨害にも関わらずジワジワと求心力を高め、一歩一歩前進していることを示しました。わが勢力は依然として少数であるのに、労働者大衆の怒りの決起を恐れる敵どもが悲鳴を上げ、過剰とも言える反応をしています。私たち自らが仲間と共に、労働者人民と共に切り開いてきた情勢をしっかり見据えよう。

 帝国主義と体制内左翼勢力の凋落は、日本労働者階級大衆の真の歴史と闘いを解放する

 日帝が戦後革命期を、米帝さらには日本共産党・体制内勢力との取引によって乗り切って以降、既成指導部は、労働者大衆の怒りを代表する振りをしながらそれを取引材料にすることで体制内に収める役割を果たしてきました。日共に至っては共産主義の権威で党を絶対化し、労働者や大衆がその制動を超えて立ち上がることを襲撃的に破壊することさえやってきました。ですから、ただの日和見主義ではありません。実際3・11以降、とりわけ福島で日共が果たしている役割は、原発事故と被曝への怒りが反原発闘争として非和解的対立に発展することの阻止に貫かれています。「ふくしま共同診療所」、あるいは「動労水戸平支部」をめぐる、ありとあらゆる誹謗中傷は、福島の労働者大衆が労働組合の闘いを軸に絶対反対の闘いに立ち上がることで自らが打倒される恐怖に他なりません。
 こうしたことが教えているのは、私たちが立脚すべきは狭い党派政治や自己保身的対応ではなく、労働者大衆の戦争や戦後の歴史で積み重ねられてきた深い悲しみや怒りであると同時に、ブルジョアジーとスターリン主義、体制内勢力によって封印されてきた豊かで不屈の闘いの歴史にあるということです。
 国鉄闘争において、既成指導部とりわけ「革命的マルクス主義」を名乗って国鉄労働者の歴史を売り渡した動労本部と決別する中で「国鉄分割・民営化絶対反対」を貫いてきた動労千葉自身が、日本労働者階級の根底的戦闘性を示しています。それだけではありません。三里塚農民をはじめ、取引をもって怒りと闘いを売り渡す既成指導部の凋落と共に、70年代以降、新たな原発立地を許してこなかった事実は何を示しているのでしょうか。あるいは、辺野古の新基地建設を阻止し続けてきた構造とそれを破壊する構造は何を意味しているのでしょうか。今や戦争と戦後の欺瞞とそのとんでもない結末に対して、日本労働者階級大衆の深い人間的怒りと躍動が吹き上がっているのです。私たちが立脚するところは、断固としてここにあります。また、そこにしかありません。この豊かな階級闘争の大地を枯れさせ死滅させるのか、それとも豊かに解放的に統一していくのか。その豊かさが見えなくなったとき、私たち自身も枯れさせる側に立ってしまうのです。

 「国鉄闘争」が日本階級闘争の基軸的攻防であり続けたことが明確に

 私たちは戦後の階級闘争史、80年代以降の新自由主義攻撃の柱としての国鉄分割・民営化、95年日経連プロジェクト報告による9割非正規化、そして世界大恐慌下での2011年3・11を通して、一貫して国鉄闘争が日本階級闘争の基軸であることを強調してきました。しかし、それが特殊な主張としてしか受け入れられない時代が続きました。交流センター自身、動労千葉と一体で闘う全国組織として生み出されたのですが、それに異を唱える人たちが離反する歴史もありました。
 日帝ブルジョアジーは、世界的な過剰資本が露呈した1970年代後半から労働組合運動の変質解体をたくらみ、80年代に国鉄分割・民営化によって総評・社会党まで解体に追い込み、国鉄労働運動の終息で日本労働者階級の運動的支柱を叩き折ることで、搾取と収奪を自由にする新自由主義を展開しようとしてきました。しかし国鉄闘争は、「1047名解雇撤回」を軸に継続されました。動労千葉が、国鉄労働者だけでなく全国の労働者を階級的に捉えながら頑強に闘い抜いてきたことが、体制内派の全面潰走を許さなかったのです。そのことが、どれほどブルジョア権力を締め上げて来たのか。今年前半の闘いは、その事実を歴然と示しました。
これは、田中康宏代表が本誌6月号で強調されているように、極めて重要なことです。ブルジョア権力は、国家的犯罪を通してしか国鉄労働運動を解体し、新自由主義攻撃を貫徹できなかった。だから、それと非和解の闘いが継続して、正当性が根本から崩壊することを阻止するため、革マル、日共、社民等々あらゆる勢力を動員したのです。国鉄こそあらゆる党派のルツボであり、国鉄分割・民営化こそ今日の階級支配構造の一切を規定しています。その根幹を巡る攻防が、動労千葉を基軸とする国鉄闘争なのです。
 87年4月の国鉄分割・民営化12万人首切りを越え、さらに90年の清算事業団による2度目の解雇を越えて登場した1047名解雇撤回闘争は、それを行使した側の権力争いとJR総連の分裂を生み出しながら2000年を越えます。東労組と国労の屈服によって始められた2000年からの設備部門外注化攻撃は、動労千葉の頑強な闘いによって検修部門だけ頓挫させられました。こうした国鉄闘争の継続・発展の破壊として打ち下ろされたのが、02年5・27国労臨時大会闘争弾圧でした。この暴処法弾圧に対し、被告全員が完黙非転向を貫き1年3カ月の獄中闘争に勝ち抜きます。そしてその地平をめぐっても解体攻撃がかけられ、原告団が分裂するのです。しかし、それもまた動労千葉と共に闘い抜く被告団が、国鉄労働者の誇りと分割・民営化への怒りをたぎらせ、法廷における完全黙秘を貫き勝利し抜きました。
 こうした歴史的攻防全体が、国鉄分割・民営化をめぐる国鉄闘争こそブルジョア国家権力にとって第一級の課題であり続け、弱点であることを示しているのです。そして、こうした弾圧や分裂攻撃を根底から打ち破ってきたのも、国鉄労働者と日本労働者階級の歴史的根底的戦闘性と誇りであったことを決して忘れてはなりません。
 こうした攻防の勝利が、10年4・9政治和解の絶望的強行に追い詰めたのです。それは追い詰められた結果ゆえに、本質的に破綻的です。実際、08年末に、動労水戸運転士登用差別裁判での最高裁勝利判決も勝ち取っています。労働者階級と資本の人間的共同性と正当性をかけたバトルが展開され、ブルジョア的正当性が危機に瀕しているのです。
 そして4・9和解を越えて国労闘争団4名と動労千葉争議団が解雇撤回を貫きました。こうして11年3・11をはさみ、動労千葉に対し、昨年9月28日に東京地裁判決が出されたのです。4・9和解を越えたところで「不当労働行為による解雇」であることを認めざるを得なくなりました。その背景には、ブルジョア側の分裂もあります。そして、「解雇撤回」を認めなかったにも関わらず、この判決を出した裁判長が突然左遷される「白石事件」が起きます。判決文を書いた陪席裁判官も津軽に飛ばされるという異様な事態も起きています。
 この事態に震え上がった東京高裁・難波裁判長は、審理を行うこともなく3回目で結審を強行、逃げるように9・25判決日を言い渡しました。田中代表は、来春にも最高裁判決を強行する動きだと言っています。3・11で、日帝ブルジョアジーにおけるJR資本の位置がかつてなく大きくなったという、私たちの分析通りの事態が展開しています。

 「9・25判決」「10・1外注化」までの3カ月決戦を10万人署名と労働組合を巡る闘争を貫き11月労働者集会へ!

 この決戦は、JRの経営構想Xに明確なように第2の分割・民営化決戦であり、新自由主義、原発再稼働との闘いを柱とする非和解的階級決戦です。その場合、重要なことは、国鉄分割・民営化決戦で果たせなかったことを果たすということです。故・中野洋動労千葉顧問は、国鉄分割・民営化決戦での動労千葉の2波の大ストライキで日本労働運動を取ろうとしていました。壮大な夢と野望を秘めて、全組合員と共に立ち上ったのです。その夢と野望を、「中野チルドレン」を中核とする交流センターが果たす時が来たのです。
 今度こそ、動労千葉組合員と全国が真に一体になり、日本労働者階級の怒りの炎で9・25判決を焼き尽くすということです。
 すでに2万3千を越えた「解雇撤回・JR復帰」10万人署名は、韓国・民主労総をはじめ、党派を超え、組合を越え集まってきています。ひときわ多いのが自治労をはじめとする公務員労働者です。署名を軽視してはなりません。それは、階級の意志であり、動労千葉と国鉄闘争に対する支持であり、日本労働運動の再編運動です。数十万のパンフを手に、交流センターの会員、組織は、署名を通じて職場や地域に入り、徹底して支持を広げよう! 単なる宣伝ではなく、署名を通じた全国的討論と再組織化の闘いです。
(写真 動労水戸第1波ストで訴える辻川慎一副委員長【3月6日 茨城・勝田車両センター】)

 労働組合運動の飛躍が問われている

 

反原発闘争をめぐる核心的攻防点は福島にあります。そして、外注化・民営化・非正規化をめぐる現在的階級的焦点は動労千葉にあり、その両面を貫く階級的決戦場が動労水戸と国労郡山工場です。動労千葉と水戸の外注化阻止決戦は、「分割・民営化絶対反対」を土台に「反合理化・運転保安」闘争路線を徹底的に貫き、JR資本の違法性と矛盾を突き徹底的に追い詰めています。また、動労水戸の被曝労働拒否の闘いも原発を推し進め、被曝を強制するブルジョア国家体制と資本と労働者階級の非和解性をはっきりさせながら、政治的な危機アジリでなく日本労働者階級と人民の営々たる反戦・反核・反原発闘争の地平に立ちきって貫かれて来ました。こうした闘いは、国や資本に対する階級的核心問題として「折り合い」ではなく、「団結」を総括軸とする私たちだからこそ貫けています。
JR資本や国家権力は、こうした動労千葉や水戸の闘いが広がることに心底恐怖しています。郡山工場で国労組合員が、「絶対反対」を表明したら出向の発令ができなくなりました。JR西日本では、出向先のレールテックで2波の時限ストに立ち上がったところ新組合員が即座に本体に戻されています。こうしたことは、動労千葉や水戸の闘いが、階級的力関係を形成していることの実証です。攻防の核心は、動労千葉と共に立ち上がる労働者決起の拡大か、それとも封じ込め鎮圧されるかにあるのです。そこが、凄まじい攻防になっています。CTS(千葉鉄道サービス)もMTS(水戸鉄道サービス)も労働条件を変えたり、今までやったこともない「懐柔政策」を繰り出しています。外注化で外注労働者の労働条件を一定改善せざるを得ないという矛盾も強制しています。現場労働者が動労千葉や水戸と結びつき、立ち上がることを必死で押さえようとしているからです。とりわけ出向に出された青年たちにに対しては、「3年後」をエサにした籠絡が図られています。青年たちの中に「君は戻す」から「動労千葉や水戸に近づくな。大人しくしろ。うまくやれ」と分断をつくる。そうして表面的には、怒りが沈静化させられる。会社との関係を頼みにする他労組もまた、とにかく動労千葉や水戸に対して囲い込みをはかるのに必死です。それは、資本に「役立たず」の印籠を渡されることへの恐怖です。こうした攻防局面は、一見、重包囲で展望が無いかのように見えます。そういう面では、動労千葉や水戸に結集して立ち上がった青年労働者には厳しい局面が続いています。しかし、こうした厳しい局面は、階級的労働運動を貫こうとした場合に普遍的に起こる問題です。一つ越えたところに反動が集中する。そこに階級的団結の力を集中し突破することでさらなるステージに入っていく。ですから、今問われていることは、階級的団結の力を集中できる労働組合運動としての飛躍という点にあると考えています。
その場合、やはり資本主義的な支配構造を根本から打ち破るのではなく、それを共産主義の権威で対抗的に共存するスターリン主義的組織的あり方が最後の阻害要因であることをはっきりさせるべきです。人間は、種族的集団的に生き抜いてきたことからヒエラルヒーの中で自分が位置付くことの安定を求めます。ナチスをはじめ帝国主義軍隊でも、スターリン主義官僚でも「まじめで」「忠実な」人ほど残忍なことを平然とできることが示されてきました。権力は、無謀に行使されるならばとんでもない結果を生むのです。スターリン主義はプロレタリア革命を、資本主義国家権力支配の裏返しにしてしまいました。日共は「非転向」や「科学的社会主義」の大嘘で、無謬の党の前に労働者大衆を組み伏せ、自己解放的に決起する人々に対立させてきました。
こうしたスターリン主義的影響を深々と受け、帝国主義ブルジョアジーの序列に対して、それを前提としながら自分たちの序列を対置すること、これでは資本主義の根底的批判にはならないのです。労働組合運動は、新たな序列に労働者大衆を組み敷くために展開されるのではありません。そのように展開されるとき、すでに帝国主義に対する根本的敗北があり、スターリン主義的になるのです。外側の権威から与えられる「序列」ではなく、労働者大衆の人間的自己解放の魂の叫びを階級的団結・共同性の中に位置付け一つにしていく力量が、労働者階級大衆に認知されることによって権威となり、指導者として認められる。労働者階級大衆を押さえ込み、従属させる「権威」に対して、その根底的人間的力を引き出すことで生み出される権威、それこそ労働者階級の権威なのです。それが、階級的労働運動の組織論の核心であると考えます。

人間的階級的信頼を土台に、一時的に「軋む」ことを恐れない強さを

弁証法は、運動の発展の原理についての考え方です。それは運動の発展が直線的には行かないこと。運動が、矛盾と緊張を孕みながらそれを止揚する形で発展するという考え方です。しかし、相手の否定も、あるいは自分の否定もそのまま全否定で終わってしまうならば、その関係性の発展の否定になってしまう。批判は、人間の関係性の発展につながらないならば批判たりえないことも教えています。対象の批判や否定は、発展性や創造性を孕まないならば破壊にしかならないのです。実際、党や官僚的指導部を絶対化するスターリン主義は、その批判者を「組織破壊者」として排除し、その発展を拒否することで成立します。自分の絶対化による対象の否定は、関係性の発展の拒絶なのです。運動は、自己の絶対化ではなく、対象と主体の関係性の飛躍と発展にこそ生命があります。こうしたことは、例えば党と労働組合の関係、あるいは職場での人間関係においても、運動の発展に向けた緊張や軋みが生まれるのは当たり前のことであることを示しています。
ですから緊張や矛盾が生まれるのが悪いのではなく、そこでの自己と対象の関係性や方向性が問題になっているのだということです。飛躍の道が直線的でないことは、人に胆力や強靱性という強さやしなやかさを求めます。資本主義社会の中で意識形成してきた労働者大衆は、さし当たりブルジョア支配の序列の中に自己を位置付けようとします。しかも、ブルジョア社会における序列は、職場における指揮系統(権力)と賃金の序列として強力な精神的物質的支配基盤に裏打ちされています。それに対して「仲間」という人間的共同性で、資本の関係性と序列を根本から否定する運動を展開しようと言うのですから簡単に受け入れられるわけがないのです。ですから、
緊張関係は本質的には資本との関係でありながら、まずもって労働者大衆との間において発生するのです。中野顧問が「最大の党派闘争は、資本との闘いなんだ」と言っていたのは、労働者大衆の意識を支配し、再生産する資本主義との闘いの困難さを見据えることと、私たちが労働者を根底から信頼し切る困難さは同じだということだと思います。しかし、私たちはゼロから出発して運動を始めているのではありません。日本労働者階級の歴史的根底的系譜の上に、さらには国鉄労働運動と動労千葉の階級的闘いの蓄積の上に、また動労千葉と共に闘ってきた交流センター24年の蓄積の上に立っています。その歴史的継承性において新たな発展段階を切り開き始めています。資本主義的価値観において支配されている自己の弱さがあるからこそ、日本階級闘争の真の歴史を我がものとする強靱な意識的闘争過程が重要なのだと思います。

 新時代の交流センター建設へ!

この間の『月刊労働運動』で伝えられているように、動労千葉と交流センターの到達地平の上に立ちきった「首都圏広域労働組合連絡会(首広連)」が瞬く間に団結を拡大し、東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会の青年労働者たちとも生き生きと団結する姿や、いわきユニオンをはじめとした合同一般労組全国協の経験を見ても、明らかに労働組合が希求されています。そして、個別の職場闘争と団結を階級闘争の決定的一環として位置付け、総括軸とするわれわれの労働組合運動の有効性が実証され、労働者大衆を深く捉え始めたことも実証され始めているのです。かつて交流センターの中でも、「未組織の組織化」をめぐる「血債主義」や「救済主義」的な考え方との論争があり、決別がありました。その蓄積の上に花開いているのです。
この歴史的地平の上に、5月沖縄集会の基調報告で打ち出された階級的国際主義的反戦・反基地闘争路線の打ち立てを土台に、8月広島・長崎における反核・反原発闘争、さらに改憲阻止闘争の階級的路線の打ち立てへと発展させることが極めて重要です。日本労働者階級大衆の悲しみと怒り、連綿とした不屈の闘いの歴史に断固として立脚し、新時代の交流センターを建設しましょう!
(写真 闘う労働組合復権へ! 2013年11月集会の大成功へ【2012年11月4日 東京・日比谷野音】)

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月刊『労働運動』(280号3-1)(2013/07/01)

(写真 昨年の原爆ドーム前ヒロシマ・アピール集会【8月6日】)

被爆68周年の8・6ヒロシマ大行動の成功から今秋決戦の勝利へ

広島県労働組合交流センター

 全国の仲間の皆さん。被爆68周年の8・6ヒロシマ大行動は、6・9国鉄集会から開始された、4カ月決戦の真っ只中で闘われます。私たちは、1〜3月を動労千葉、動労水戸、動労総連合のストライキを切先にして激しく闘い抜きました。そして4月の自治労のストライキ方針を文字通り我が闘いとして全力で闘い、ストライキ情勢を切り開いてきました。こうした私たちの闘いの前進は支配階級を追い詰め、改めて解雇撤回、民営化・外注化阻止の国鉄闘争の勝利が日本労働運動の未来を決するということが明らかになりました。
 8・6に全国から総結集し、被爆者の怒り、フクシマの怒りとひとつになり、今秋決戦へと進んで行こうではありませんか。

 再稼動阻止・全原発を廃炉に

 福島原発事故から2年以上経過しました。しかし福島原発事故は収束するどころか、ネズミ一匹で電源が止まり、汚染水はどんどん漏れ出しています。すでに福島の子どもたちのうち12人から甲状腺ガンが発生したと言われています。事態は深刻化する一方です。こうした状況の下、安倍政権は、まるで福島の原発事故がなかったかのように、原発の輸出と再稼動へと突っ走っています。「命より金」。本当に許せません。
 安倍政権の原発輸出と再稼動は、改憲と核武装と一体です。労働者に、子どもたちに被曝を強制し、命を奪っている者たちが、ふたたびヒロシマ・ナガサキをくり返そうとしているのです。
 しかし、原発と被曝への怒りはますます深く、広がっています。今こそ、被爆者と福島の怒りをひとつにし、「再稼動阻止、全原発廃炉、核廃絶」を貫く8・6ヒロシマ世界大会を実現しようではありませんか。

 被曝労働絶対阻止の闘いを

 新自由主義のエネルギー源である原子力発電所は被曝労働なしには一日たりとも動かすことはできません。原発は、直接労働者の命を奪っているのです。しかもその被曝労働は、二重にも三重にも重層化された下請け構造の下で、非正規労働者に強制されています。
 こうした現実は労働組合が新自由主義と全く闘うことができなかったことが作り出したものです。だからこそ、労働組合を甦らせ、労働者の団結を取り戻し、被曝労働とそれを強制する外注化・非正規職化、新自由主義と闘うことこそ、すべての原発を止め廃炉にしていく道です。
 動労水戸は被曝列車の運行を実力阻止しています。また国労郡山工場支部の仲間が外注化と被曝労働に対する闘いを開始
しています。全国の仲間が反合理化・
運転保安闘争路線で闘い、組織を拡大し、全原発廃炉の道を切り開こうではありませんか。
(写真 1300人が結集して成功した昨年の8・6ヒロシマ大行動大集会【8月6日 広島県立総合体育館】)

 国際連帯・改憲阻止

 大恐慌のますますの進展は、市場・資源・領土の支配をめぐる資本家・国家間の争いを激化させ、世界を新たな戦争・核戦争へ引きずり込もうとしています。民営化・外注化・非正規化、首切りも、被曝労働の強制も、戦争と核戦争も、すべて資本家が生き延びようとする攻撃です。まさしく全世界で同じ攻撃がかけられています。今こそ労働者は国境を越えて団結する時です。労働運動の力と国際連帯で、安倍政権の再稼働と改憲と戦争・核武装を打ち砕こうではありませんか。
ヒロシマ・ナガサキ・ビキニを、そしてフクシマを繰り返えさないために、8・6ヒロシマの地に集り、「全原発廃炉・核廃絶の世界大会」を共に実現しよう。
(写真 昨年の首相の式典出席反対のデモ【8月6日】)

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被爆者とフクシマの怒りをともにし実現しよう
全原発廃炉・核廃絶 8・6ヒロシマ世界大会

8月5日(月)●12時開場 各産別集会 アステールプラザ各会場(広島市中区加古町)※例年と会場が異なりますので注意 ●15〜18時 再稼働阻止!全原発廃炉!ヒロシマ世界大会 アステルプラザ中ホール
8月6日(火)●7時 原爆ドーム前 ヒロシマ・アピール集会 ●8時15分 黙とう後、首相式典出席抗議のデモ ●12時30分〜14時 8・6ヒロシマ大行動大集会 広島県立総合体育館小アリーナ ●14時30分 市内デモ行進(16時 平和資料館前解散)
統一主催 被爆68周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会
TEL・FAX 082-221-7631/メール hiro-100@cronos.ocn.ne.jp

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月刊『労働運動』(280号4-1)(2013/07/01)

福島の怒りとともに被爆68周年8・9長崎闘争へ結集しよう

橋里耕悟 NAZENナガサキ事務局長

 3・11は、原発に安全はないことを示しました。福島原発事故現場とフクシマ現地は、人間の手に負えない現実が進行中です。いつまた大規模な放射能汚染が来るのか緊張の中にあります。まき散らされた放射能は決して消えることなく、私たちの生命と未来を脅かし続けます。もはや人間によっては制御できないのです。核も原発も今すぐ直ちになくさなくてはなりません。
 この1年間大飯原発2基だけが動いただけで、「原発が必要」などウソであることが明らかになっているにもかかわらず、安倍政権は、原発を全面再稼働させ、永続させようとしています。「原子力規制委員会」が新しい規制基準を決定し、それを機に泊、高浜、大飯、伊方、玄海、川内の原発の再稼働申請が出されようとしています。しかし新基準は原発の安全を証明するものでは全くありません。原発に安全など絶対にないのです。ところが安倍は「安全が確認された」とウソを言って動かそうとしています。絶対に許してはなりません。さらに安倍は世界中に原発を建設しようとセールスして回っています。まるで「死の商人」ではないですか。
 さらに許せないことには、そのためにフクシマの現実を抹殺し、ナカッタコトニしようとしていることです。福島の人々が放射能と必死で闘い、原発は絶対にいらないと闘っていることを圧殺しようとしています。その中で子どもたちが犠牲にされようとしています。

 「核なくせ!原発なくせ!」の声を世界に

 私たちは今年「3・11を忘れない」闘いを福島でやり抜きました。ヒロシマ、ナガサキとともにフクシマを絶対にくり返させない闘いに踏み出しました。この闘いは世界に広がっています。世界とつながって原発を、核をなくそう。
 NAZENナガサキでは、ふくしま共同診療所と一体となって、長崎市高島でフクシマの子どもたちの保養を実現しようと奮闘しています。大量の放射性物質がもたらす内部被曝との闘いです。新しい闘いへの挑戦です。
 NAZENナガサキでは、「自民党改憲草案」批判の学習会もしました。戦争への道を開くものであり、社会を新自由主義体制にひっくり返す「新自由主義憲法」であることがはっきりしました。原発推進こそ「命より金」、競争と戦争を煽って1%のために99%を犠牲にする新自由主義ではありませんか。原発は被曝労働なくしてありえません。全労働者人民は団結し、原発推進を粉砕しよう。
 8月9日の長崎集会では福島現地から椎名千恵子さん、被曝労働と闘う動労水戸から辻川慎一さんがアピールを発します。被爆者から城臺美弥子さんが発言します。全国から長崎に結集してください。共に闘おう。

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月刊『労働運動』(280号5-1)(2013/07/01)

階級決戦情勢を迎えたILWU(米港湾労組)との国際連帯を強めよう

動労千葉国際連帯委員会

 歴史的決戦の開始

 米港湾労組ILWUに対する米日巨大資本による攻撃が、激しい勢いで仕掛けられている。2011年の米ブンゲ社、日本の伊藤忠、韓国のSTXパンオーシャン社の合弁企業EGT社によるローカル21(ワシントン州ロングビュー)に対する組合破壊とILWUが30年代以来勝ちとってきた労働者自身による仕事の配分権や既得の諸権利の剥奪から始まったILWU解体攻撃は、ますますエスカレートしている。
 ローカル21の労働者の30年代を思わせる激しい実力抵抗闘争(穀物運搬列車の運行阻止闘争や穀物積み出し施設の実力占拠闘争など)を州警察、連邦軍沿岸警備隊、民間のスト破り専門会社によって暴力的に弾圧させた米日の巨大穀物輸出資本は、ILWUの中央指導部を恫喝し、屈服させて労働者に多くの譲歩を強いる新協定を締結させた。
 そして米北西部の巨大穀物輸出資本の団体である北西部穀物取り扱い業者協会は、2012年9月に期限が来たこれまでの北西部穀物協定の改訂にあたって、この新協定と同様の内容の協定をワシントン州とオレゴン州の全港湾労働者に強いる攻撃に直ちに取りかかった。資本側の最終提案は昨年12月に提示されたが、北西部の港湾労働者たちの94%が、投票でこの最終提案の受け入れを拒否した。この段階で、資本側と労働者の対立は非和解的なものとなり、労働者側は、ストライキ闘争によって闘う以外に勝利する道はなかった。
(写真 動労千葉先頭に、ILWUローカル8に対するロックアウトを行った丸紅本社に抗議【6月13日 東京・竹橋・丸紅本社前】)

 中央執行部の屈服

 だが、ILWU中央執行部は、州警察や国家権力による暴力的弾圧と、ローカル21の労働者にかけられた逮捕・投獄、巨額の罰金におそれをなし、労働者にストライキに突入方針を出さず、屈服の道を選んだ。すなわち、当面新協定の下で働きながら、全国労働関係局に対し、資本側の不当労働行為を提訴し、資本に再び交渉のテーブルに着くことを強制するという方針を打ち出したのだ。これは職場闘争の強化とストライキによって資本と実力対決しつつ、ILWUが30年代以来築きあげてきた各国の港湾労組との国際連帯の力を最大限生かして闘うのではなく、労働法と法律次元の闘いに限定するという日和見主義的方針でしかなかった。このようなILWU中央執行部の弱腰の態度を見抜いた資本側は、次々と新たな攻撃を仕掛けてきた。

 新たな攻勢にでた資本

 2013年2月27日、三井物産の子会社であるバンクーバーのユナイテッド・グレイン社は、ILWUの組合員の1人が港湾の設備・機械を意図的に破壊したとでっち上げて突然バンクーバー港の穀物積み出し施設で働くローカル4の労働者44人をロックアウトした。このロックアウトは4カ月後の現在も続いている。さらに、5月4日には、丸紅の子会社であるポートランドのコロンビア・グレインが、労働者が職場の安全維持のために、穀物積み出し施設の諸装置や機械の安全点検を要求し、労働者の安全と健康を守るために仕事を法的に定められたスピードで行ったことをもって、「不当な要求で仕事をスローダウンさせた」として突然、ローカル8の労働者75人をロックアウトした。
 いずれの場合も昨年秋から雇っていたスト破りや警備会社を動員して仕事をさせたり、ILWUの労働者のピケットに対処する活動を行わせた。また地元の警察が総動員され、連邦軍である沿岸警備隊も海上でのピケットや抗議行動などを阻止する活動に入った。

 ランク・アンド・ファイルの決起の開始

 こうした中で、中央指導部の屈服的姿勢に怒りを燃やした労働者たちは、全国のランク・アンド・ファイルの団結を固めつつ、独自に実力行動を組織する闘いを開始した。
 ILWUの労働者たちは、資本の一連の攻撃が、単に穀物部門のみを対象にして、1934年の歴史的なサンフランシスコゼネストによって勝ちとったハイアリングホール制度(労働者自身が仕事の分配の責任をもつ制度)や、スト破りの雇用を認めない権利を解体し、労働条件も著しく悪化させるものにとどまらないと見抜いている。それは穀物協定の改訂過程でILWUの抵抗力を破壊し、その勢いで2014年に予定されている西海岸全体の穀物以外のものも含めた全港湾・倉庫業務の労働協約(基本協約)を、現在の全面的な譲歩を要求する穀物協定と同様の内容にするたくらみであることを見抜いた。つまり現在の攻撃は、ILWUの全面的解体の攻撃であると労働者たちは確信したのだ。
 さらにそれは、最も戦闘的な労働組合であるILWUを解体することで、アメリカの戦闘的労働運動の伝統を根本的に解体しようとする歴史的攻撃であることを把握したのだ。
 だからこそILWUの労働者たちは、中央指導部に依存することなく、自分たち自身の力でこの危機的状況を打開しなければならないと決意し、組合間の横の連絡を強化し、ランク・アンド・ファイルの実力闘争を組織し始めたのだ。この間のローカル8の6月1日のポートランドでの各支部の代表を結集した抗議集会の組織化や、ポートランドの倉庫部門の支部・ローカル5によるローカル8の闘い支援の決議をあげることを全支部に要請する活動などが開始されたことはきわめて注目に値する。また、ローカル5が起草したローカル8支援決議案に見られるように、動労千葉の3月15日の三井抗議闘争を模範例にあげた国際連帯の呼びかけは、彼らが労働者同士の国際連帯で新たな闘いの突破口を切り開こうとしていることを示している。
 日米の労働者の国際連帯の強化こそ、TPPを阻止し、戦争を阻止する唯一の道だ。今こそILWUの労働者との国際連帯を強化しよう。

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月刊『労働運動』(280号6-1)(2013/07/01)

動労千葉労働者国際連帯委員会への投稿

鉄の女サッチャーは死んだ。そして、彼女の死はイギリスを諸陣営に分裂させた

マーク・レッドウッド(英ジャーナリスト)

 イギリス人で左翼なら、誰でもマーガレット・サッチャーが嫌いなはずだ。サッチャーがやったことといえば、石炭産業を始め、ほとんどすべてを民営化したこと(とはいえ鉄道の民営化には手をふれられなかった。鉄道の民営化はサッチャー後に行われ、鉄道の大事故が次々と起った)、フォークランド紛争の際にアルゼンチン軍の軽巡洋艦ベルグラーノを撃沈しておおいに論議を呼んだこと、1981年のIRA(アイルランド共和国軍)の政治犯のハンガーストライキに対して非人道的態度をとったことなどである。
 われわれは彼女の影のなかで育ってきた。70年代末と80年代に生まれた世代にとってはマーガレット・サッチャーと彼女が統治したイギリスは、次の重要な二点で破産国家であった。それは民営化と個人主義だ。彼女が権力の座から去った後でさえも、彼女の遺産はジョン・メージャーと「新しい労働党」の政策に引き継がれている。彼女は本質的に不滅の存在となり、彼女が肉体的に死んだとしても、それ自体はほとんど意味がないことだ。
 現在の連立政権が密かに進めているのは、これまでのイギリスの政策のなかで、最も切実で、希望を与えた制度、すなわち第2次大戦直後に労働党政権によって作られた福祉国家を解体しようとする巨大な課題を、引き続き実行していくということである。
 ところで、サッチャーこそが規制を緩和し、1986年のいわゆる「ビッグ・バン」によってシティー(ロンドンの金融中心街)に対し、利益を増やすさらに大きな自由を与え、公然と財界のご機嫌をうかがうイギリス政府の前例を作った人物であった。われわれは今やそれが、すべての人々にとってどんな結果をもたらしたかを知っている。
 彼女の死去は、巨額の公費を使った「準国葬」によって追悼された。ほとんどの人に緊縮政策が強制される時代であるにもかかわらず、このようなことが行われたのだ。そしてそれは当然にも非難されたのである。
 若者たちはといえば、自分たち自身は彼女が作り出した失業とその他の諸問題を直接には体験していないにもかかわらず、誰もがサッチャー
を嫌悪することが流行であると感じている。同様に、80年代に生まれた世代は、サッチャーを嫌悪すべきだと感じているが、彼らは彼女の政策によって作りあげられた現実が「正常」なものとされた時代の中で育ってきたのだ。彼らはそれを違ったふうには認識できない。われわれは、当時のドライな(男性中心の)イギリスの政治世界において、サッチャーがどれほど創造力に富み新鮮に見えたかを忘れてはならない。
 サッチャーは死んだ。とはいえサッチャーリズムは依然として健在である。しかしながら、いくらか気が楽になるのは、もともとはリベラルなサッチャーの哲学、すなわち個性的であること、そして最も困難なことに挑戦することがすべてであるという哲学が、古い型の保守主義(エリート私立学校のイートンの卒業生がデービッド・キャメロンの政府で権勢を振るっている)の再登場によって駆逐されており、イギリスにおける社会的不平等が最近、深刻化していることである。別の言い方をすれば、イギリスは昔の時代に逆戻りしつつあるということだ。われわれは、これに対応して古い型の左翼の揺り戻し的復活が期待できるだろうということである。

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月刊『労働運動』(280号7-1)(2013/07/01)

国鉄闘争の火をもっと大きく

解雇撤回・JR復帰10万署名を集めよう―国鉄闘争全国運動6・9全国集会の発言より

 呼びかけ団体

 西山直洋 全日建連帯労組関西地区生コン支部執行委員

 国家的な不当労働行為、これをどう見るか。そのまま容認してれば、民間に当然波及します。これを私たちは一切認めることなく最後まで闘っていくという決意で頑張っていきたいと思います。
 もう一つは、日本の労働運動が本当に衰退してきていると思います。みなさんとともに組織を大きくして闘う必要性が求められていると思います。
 関西においては今、業種関係なしにして組織を拡大して、生コンのみならず業種別に闘争をやっていこうと。今回第1弾として医療介護労働者の組合を大阪で立ち上げました。同じ業種で働く労働者、労働組合が共同して闘い、要求し、ストをする闘い方でなければ、私たちの要求は前進しない。そのように考えてます。最後まで共に頑張っていきましょう。勝利しましょう。そしてストライキで闘いましょう。

 高石正博 動労千葉争議団長

 難波裁判長に「まだこんな裁判をやっていたのか」と第1回の裁判で言われた。これで彼がどういう判決を出すのかということが身にしみてわかった気がします。これを何としてもひっくり返していきたい。私はこの1カ月間、広島、新潟、長野、そして沖縄と回って昨日帰ってきました。
 私は、この裁判の中身を訴え、こんなことがあってはいけないと訴えてきました。9月25日までに10万筆の署名をとって前進していこう。いろんなところでみなさんの協力を得ながら話してきました。各地方からどんどん署名が集まっています。僕たちにもこれだけのバックがいるんだと心に誓いまして、これから闘っていく。
 どんな判決が出ようとも最後の最後まで貫徹して、初心を忘れずに闘っていきたいと思いますので、今後もよろしくお願いします。

 中村仁 動労千葉争議団

 われわれは何で闘っているのか。不当に解雇されたからです。解雇は絶対許さない、この一点で労働者がひとつになることが求められています。国鉄の分割・民営化に反対するとき、当時の動労千葉委員長の中野さんは、大同団結を労働者に求めて闘いに決起しました。労働者がひとつになることが大同団結するってことです。それを私たちは物販でみなさんに訴えてきました。まだまだ少数かもしれないけど、ここに集まっている過程が重要です。労働者がひとつになっていたら原発を54基なんて造らせなかった。国鉄分割・民営化なんてなかった。われわれはこのことに踏まえて次に進むんです。
 9月25日の高裁判決まで突き進むこと、みなさんにお願いする物販と署名で闘うことがすごく重要です。みなさんも一人一人職場で闘っていらっしゃると思います。労働者だからひとつになって資本を倒しましょう。われわれが勝つ。そういう時代に今情勢は来ています。これからも闘いますので、よろしくお願いします。

 小玉忠憲 国労秋田闘争団

 国鉄分割・民営化から26年が経ちました。しかし私たちは断じて負けてはいません。昨日、マルクスの書いた『共産党宣言』を読み返してみました。あらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史であること、労働者階級は失うものはもうこれ以上何もない階級であること、そして国境・民族を超えて一つであること、団結すれば絶対勝てるんだということが熱烈に書かれてありました。そしてその最後の締めくくりの言葉は「万国の労働者、団結せよ!」です。私たち国労闘争団は全人生をかける決意で闘っております。今後ともよろしくお願いします。

 

 羽廣憲 国労小倉闘争団

 私たちの怒りは一度も消えることなく、この26年間、いやもっと長い期間怒り続けています。この怒りは、どうやったらおさまるのか。日本帝国主義を打倒する以外におさまりません。私たちの目的はそこに一本に絞りたいと思っています。本当のガチンコ勝負というのは、そこまで行きつくものだろうと思いますし、これを変えるにはもう終わっているアベノミクス、もがいているアベノミクス、これを呆然とみるんじゃなくて、われわれの団結した力で、力づくで押し倒す、もぎりとる、これ以外に解決の方法はありません。まだまだ私たちは少数です。しかし、絶対反対の大多数をつかむことができる位置にいることを確認したい。まだまだ闘いはこれからです。私は勝つまでやめません。ともに闘いましょう。

 解雇撤回署名呼びかけ人

 杉本一郎 自交総連北海道地連書記長

 4・9反動で多くの人が闘いの旗を降ろすという困難がありましたが、「国鉄闘争の火を消すな」を合い言葉に国鉄闘争全国運動が立ち上げられました。その中で昨年、動労千葉鉄建公団訴訟6・29判決が勝ちとられました。不採用基準そのものが違法行為である、採用基準・不採用基準を設けて国鉄分割・民営化に反対した労働者を選別差別して放り出したことが明らかとなりました。不当労働行為であるという判断が出された以上、解雇撤回・原職復帰の原則を掲げて、高裁宛の署名運動をお願いしてきました。さらに、国鉄とJRは別だと闇に隠されていた事実、JRと国鉄が一体となって選別基準を作っていた事実が暴かれています。その中で難波裁判長による5・8結審強行がありました。これをはね返す闘いとして9月25日判決に向けて、10万署名を集めようと各地で奮闘が続いています。現在、署名数で2万1694、個人団体338、韓国より1398。署名を集める活動の日々が、団結活動の一つひとつが労働組合を甦らせる、闘う階級的労働運動を再建していく成果につながっていくでしょう。国鉄闘争の火をもっと大きくと掲げられています。1%が99%を支配している、99%が分断されている。闘う労働運動という形で大きく敵を打倒する情勢まで正直言ってまだ至っていない。99%が分断されている状態を、労働組合を甦らせることで、一人ひとりが職場闘争を闘うことでひっくり返し、団結を大きく、豊かにしていく署名運動にしていくことを訴えます。
 全労連あるいは連合から国鉄闘争全国運動に結集する芽をつくって、大きな陣形、思いを、具体的な事実として明らかにしていく大きな希望をもって、9月25日まで署名を行っていきましょう。1047名の解雇撤回・JR復帰までこの思いを忘れずに、敵を打倒して権力をとって、私たちの世の中を実現することをこの国鉄闘争のなかで実現しましょう。

 山田護 動労千葉幕張支部長

 10月1日に職場が外注化され、くやしい思いでいっぱいです。
 この間、CTS(千葉鉄道サービス)は幕張事業所においてエルダー社員(60歳以上の社員)を、6月1日から仕業・構内業務の見習いに付け、スト破りと10月1日からの計画業務に就けようとしていることがわかりました。幕張支部は緊急の執行委員会を開き、これは許しちゃいけないってことで、本人へのオルグや朝のビラ配りを行って、その攻撃を止めました。
 しかしながら、JRは計画業務の10月実施を公言しています。JRで今年新採が4人、CTSの方で12人入っています。去年JRは1人しか新採を入れていません。外注化を始めたのになんでこんなに新採を入れるか。自分たちの攻撃が失敗することがわかっているからこんなに両方とも入れているわけです。そこに奴らの弱みがあると思いますので、何としても粉砕していきたい。
 外注化を止めるには組織拡大しかありません。CTSで12名入っているんですが、その人たちに対して、われわれが外注化反対をなぜやってきたのかを話して、CTSでも動労千葉といっしょに闘おうじゃないかと幕張支部はオルグを始めています。
 裁判闘争もやっていただいているんですけど、JR本体でも組織を拡大して外注化を止めていきたいと思います。
 昨日、民主労総ソウル本部長だったコジョンファン氏と会ってきました。「みなさん、本当に勝つまで闘ってください」と言われました。よろしくお願いします。

 佐藤正和 動労千葉貨物協議会議長

 5・1新宿メーデーが大成功しました。JR貨物の賃下げ攻撃への本社抗議行動と大デモでメーデーかくありという闘いを貫徹しました。沿道からの声援、一体感をものすごい感じた闘争でした。怒りをストレートに表現し行動にすることの大切さを実感しました。
 なぜ賃下げか。JR貨物社長が、“鉄道事業はトラックや船舶という競合輸送機関との競争が激化し、厳しい環境下にある。原資を確保し、借金を返済するには、平成25年の事業計画を作成するに当たり賃金の減額に踏み切ることに致しました”と平然と言い放ったことが始まりです。一番許せないのは、業界紙や幹部社員の前では勝手なことをほざきやがっているくせに、鉄道一筋、機関車一筋でそれこそ何十年も現場でハンドルを握り、ハンマーを持ち、旗を振り、日夜冬の寒さと夏の暑さに耐え、汗と埃にまみれて働く、実際に貨物列車を動かしている現場の俺たちにはいっさいそんな話は今になってもないことです。俺たちには面と向かって言えない。資本家・支配階級はそれだけ現場の怒りと決起を恐れているということです。JR貨物の経営破綻はわかっていたことで今になって始まったことじゃない。鉄道運輸整備支援機構から毎年100億円以上の無利子貸し付けがなければ設備更新ができない。国鉄分割・民営化の破綻、失敗の象徴が貨物会社です。貨物列車を走らせるのに、各旅客鉄道会社に電力費や線路使用量を払わなければなりません。それが倍近くになり、いくら働いてもみんな持っていかれる。国鉄分割・民営化の破綻のツケを、民営化の失敗を隠すために大幅な利益を無理矢理出すために貨物労働者の賃金を下げるなんて絶対に許せない。何も知らされていない全国の仲間に真実を伝えようと、『日刊動労千葉』とWEBサイトでガンガン宣伝し、5・1新宿メーデー方針を打ち出しました。貨物の千葉機関区支部が先頭に立たずして6・9集会も、11月集会の成功もないと、支部の三役がみんなオルグしました。39名の組合員のうち勤務外のほとんど17名の組合員がメーデーに参加し、デモの先頭に立ちました。当日は400名を超える仲間が集まり、組合員みんな元気をもらいました。
 JR貨物は当初、御用組合であり第一組合の日本貨物鉄道労働組合(日貨労)と2月の春闘段階で賃金削減に関する秘密交渉を行っていましたが、大宣伝で4月提案・5月賃下げ実施をぶっとばし、5・1メーデーでトドメを差しちゃいました。会長が更迭、あれだけぶちあげたくせにいまだにまったく動きなし、ざまあみろです。夏のボーナス交渉も始まり、闘いはこれから本格化します。日貨労は事態が明るみに出て隠しきれなくなって国労幹部と悪あがきをしています。
確かに国労幹部は今会社の手先かもしれないけど、そもそも当時の動労、今の日貨労が国鉄分割・民営化に率先協力したのがことの根源です。日貨労は平成25年度はJR貨物にとっても存続を左右する分水嶺の年です。全社一丸となって賛同しなければならない=Bなんじゃそりゃってことです。経営陣が骨身に削り、汗をかくことを求めて交渉を強化します、そうすれば賃下げを認めます≠チてことなんです。全国の仲間に、俺たちを苦しめている根本の原因は貨物の経営体質とか行動矛盾にあるんじゃない、国鉄分割・民営化とそれに協力した労働組合にあるんだと訴え、職場から怒りをもって、こんな賃下げ攻撃に屈することはない、正々堂々胸を張って闘おうと、組織強化・拡大へ絶好のチャンス到来として闘い抜かなければなりません。
 JR貨物は戦争の際に軍事輸送を担うために、またトヨタやキヤノン、東芝などの大資本の輸送コスト削減のための輸送機関として、全国一社制として、政府の特殊会社として、分割・民営化ができなかった。これが敵の弱点です。物流を担う貨物労働者の闘いで戦争を止め、資本主義的生産を止めることができる。労働者こそが社会の主人公であり、歴史を動かす存在です。動労千葉は外注化と非正規職撤廃の第2ラウンドの闘いの真っ最中です。貨物もいよいよ俺たちの出番がきた、やればできると闘います。1047名解雇撤回闘争の最先頭に立ちます。ともに闘いましょう。
(写真 解雇撤回を訴える動労千葉争議団、闘う国労闘争団。発言する動労千葉争議団長 高石正博さん)

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月刊『労働運動』(280号8-1)(2013/07/01)

公務員大幅賃下げにストライキを訴えて闘った4−5月闘争

福岡県労働組合交流センター会員・N

 

私は福岡県のある市職労組の組合員です。これは、私の組合での「公務員給与7.8%削減絶対反対4―5月闘争」の報告です。

(写真 早朝集会【5月22日】)

 「4・26にストライキを」とビラまき

 4月上旬、自治労本部徳永委員長名で、政府の公務員給与7.8%削減案に、上限2時間のストライキ指令が発出された。これについて市職労執行部は、「県本部からスト指令の発出の事実については聞いたが、文書は見ていない」と答えた。私は、直ちに「4・26にストライキを」と呼びかけるビラを職場にまいた。
 4月中旬、県本部執行部の市職労学習会。県本部執行部は「ストをやるような状況になれば負けだ」と発言。私は、ふざけるなと思い、「ストライキは労働者の権利であり最大の武器だ。安倍の攻撃そのものが憲法違反であり、われわれ労働組合が、ストライキをもって、これを迎え撃つのは当然だ」と反論した。本部執行部は「おっしゃる通りだ」と前言を撤回せざるをえなかった。
 徳永委員長名で再び「4月26日の上限1時間のストライキ」指令が出た。執行部は、「県本部の知らせは受けたが、県本部としては、4・26スト準備の期間が足りない。しかし、全国統一行動日として何も行わないというわけにはいかない。何らかの形で行う。少なくとも始業前の早朝集会を行う」というものだった。
 私は、再び「断固4・26ストライキを貫徹しよう」と呼びかけのビラを職場にまいた。だが、当日は、15分間の始業前早朝集会だけ。参加者も60〜70名程度で盛り上がりに欠けた。
(写真 全員待機後の報告集会【5月23日深夜】)

 5・31ストライキやるべしの気運高まる

 私は、危機感を抱き、5月の代議員会で「処分を恐れずストライキを」「代議員会は、大会に次ぐ議決機関。われわれ代議員も執行部と共に処分を辞さず覚悟を持ってやろう」「組合員一人一人が自分自身の問題として考え、労組の団結を作り出すものとして5・31ストライキを闘おう」と訴えた。
 また私の所属するブロックの職場討議でも「5・23のヤマ場と5・31スト決起」を訴えた。職場担当執行委員も、「ほとんど言いたいことは言ってくれた。今回は、これまでの闘争とは違う。条件闘争はあり得ない。当局が国の要請通り7.8%やるという回答ならばスト決行するしかない。5%ならば回避するなどということはあり得ない」と強調した。私以外にも「約30年ぶりだがストをやるべし」との発言が出るなど、連続したビラまき、さらに学習会や代議員会の絶対反対の発言が組合員を捉えつつあると手応えを感じた。

 組合員の団結が打ち固められた!

前を向こう!
 5・23ヤマ場前日の代議員会。執行部から「23日が交渉ヤマ場。国の提案通りの当局回答なら5・31ストを含む統一行動を行う」との提起がなされた。当日、3度目の早朝集会。私は、昼休み、「組合員全員待機に決起し団交の後押しを!」の檄ビラをまき、労組は、決起集会を開いて当局交渉に入った。「交渉の結果次第では5・31ストライキに突入する」と組合員全員が職場で待機した。
 23時30分の報告集会。「当局の姿勢は変わらない」との報告。「団体交渉は継続するが、組合員については一旦、待機を解く」との指令が出て、団交は翌日2時まで続行された。だが、決着つかず継続協議となった。
 翌朝、私のブロックの執行委員は、「国の顔色を伺うばかりで、職員に目を向けない当局に失望した」「風穴を開けられなかったことは申し訳ない」と悔しさをにじませて語った。私は「全員結集で交渉団の後押しをするから頑張ろう」と励ました。
 5月30日の最終回答日。早朝集会で執行部は、「本日中の決着を目指す」と。夕刻に決起集会を開いて再び全員待機に入る。10時30分の報告集会には120〜130名が結集した。
 「一時金については10%の削減をしない」「本給7.8%のみ行う」「組合員320名のうち180名余りに影響がある級において、主として1〜3%(平均で1.8%程度)の緩和措置を行う」「ストは力量不足、早朝抗議集会とさせていただきたい」との説明があった。国通りの提案に怒りが燃えたが、県本部はスト貫徹できないとの判断から全員待機を解いた。
 ある代議員は、「当局は大衆団交を拒否すると言っている。ストライキは出来ないものだろうか?」と話しかけてきた。組合事務所前では、4〜5人の執行委員から「力量不足。申し訳ない」と異口同音に話しかけられた。力量不足は執行部だけの問題ではない。闘いはこれからも続く。「今回の闘いは、組合員の団結が打ち固められたことが大きな収穫。前を向こう」と激励した。翌日は、90名の組合員が早朝集会で抗議の声をあげた。まさに全組合員が熱く燃えた闘いだった。今後も、公務員大幅賃下げ絶対反対を貫いて闘う。

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月刊『労働運動』(280号9-1)(2013/07/01)

全国労組交流センター女性部第20回定期全国大会報告

今こそ国鉄闘争を基軸に女性労働者を階級闘争の主体として組織しよう

辻川あつ子 女性部事務局長

5月25〜26日、全国労組交流センター女性部は、定期全国大会を開催しました。前19回大会は、八尾北医療センター明け渡し裁判全面勝利の歓声で幕開けしたのですが、今大会も「4・26自治労全国ストライキ指令」情勢を精一杯、各地で闘った息吹で開始されました。

 女性部結成の原点

 長谷川部長から、1994年9月の女性部の結成宣言が紹介され、全ての労働団体が男女雇用機会均等法に賛成する中、その狙いを女性労働者の分断と捉え、その視点からの闘いを開始してきたこと、20年という節目の大会を向かえ、女性部としても、全国労組交流センターと共に組織の飛躍を求められる正念場になっているとの提起がありました。今大会で、女性部結成当初から闘って来られた長谷川さんは、女性部長を退任されます。初代女性部長の兼杉さんも参加され、「東交婦人部で闘った仲間とは強い絆で結ばれ、今でも付き合っている。大阪の橋下を絶対許さない、抗議の葉書行動などすぐできることはやりましょう」と発言、長谷川さんの労をねぎらわれました。

 福島からの特別報告

 特別報告として市川潤子さん(ふくしま合同労組委員長)から「3・11反原発福島行動’13を闘って」を報告して貰い、あらためて、3・11福島現地での反原発行動の切り開いた地平と、福島の仲間が感じた勝利感を共有することができました。各地で現地闘争を呼びかける講演を重ね、体制内の「診療所派」つぶしと対決しての大結集でした。あくまで職場での闘いに依拠し「敵をあいまいにしない」、実行委員の一人一人が、自分の職場の労働者に賛同や参加を訴え、労働組合を軸に闘ったこと。診療所に対する誹謗中傷に対して、闘いに立ち上がった労働者の存在があったこと。国労郡山工場支部の仲間が、正面から労働者に集会の意義を訴えたこと。実際に開催を担った実行委員のメンバーみなが、当日の大成功を喜び、団結を強化できたことなど、福島労組交流センター会員が先頭になって奮闘した結果の勝利だったことがよくわかりました。

 自治労4・26ストライキ情勢

 自治体部会の仲間から、「自治労本部は、なぜ4・26ストライキ指令を出さざるを得なかったのか」について解説があり、全員納得。昨年の自治労全国大会(北海道)で、機動隊に阻止され、敷地を追い出されながらも断固ビラ撒き情宣活動を貫徹、自治体部会のビラは、阻止線を越えて参加した労働者に渡った。今回の賃下げ、一時金カット攻撃に対して何もしなかったら、交流センターに獲得されてしまう、その危機感だけで「スト指令」を出してしまったということです。その他の自治体の仲間、地区で共に「4・26自治労スト」を闘った仲間から、次々と解放的な闘いが報告され、「区役所前に赤旗が翻って、まるでストライキ決行中のようだった」「公務員バッシングに負けないで。皆さんの闘いで民間労働者も守られます、って激励した」等々。女性部の会員が先頭で「4・26自治労スト」を闘ったことがわかりました。橋下の登場で、昨年は関西の仲間への反動攻撃を心配する声がありましたが、斎場やバス運転の労働者の闘いなど、確実に橋下打倒の情勢が私たちの仲間の運動で前進していると報告がありました。(9月29日に関西で橋下打倒集会が予定されています。「それまでに打倒されてしまうかもしれんけど…」と関西の仲間が言ってました。)

 女性部の根本的位置付け直しと国鉄闘争

 新自由主義の攻撃に対して、女性労働者が認可保育所の設置要求など、実力行動に決起しています。3月の全国労組交流センターの全国総会において、女性部の根本的位置づけ直しも提起されました。内向きな議論は終了し、「女性力の活用」を掲げ、一層の搾取と収奪を進める帝国主義ブルジョアジーに対して、女性部は、女性活動家の闘いと経験をつないで、女性労働者を階級闘争の主体として組織しなくてはなりません。帝国主義ブルジョアジーと体制内指導部は、女性労働者が階級として組織されることに心底恐怖しています。「このままでは生きられない」と女性労働者が広範に決起する時代に、私たちの闘ってきた国鉄闘争が本当に重要な位置を持っています。6・9国鉄集会の成功は、全ての仲間が自分の職場で闘って、確信をつかんで参加していること、この国鉄闘争で民営化の破綻を暴き、奪われた全てを取りもどすという労働者の決意は本当に強固です。生まれた時から、JRしか知らない青年労働者が、非正規職や低賃金・過重労働がなぜこうも増加したのか、自分たちの現状の始まりが国鉄分割・民営化だったことを理解しています。国鉄闘争を負けないで闘い続けてきたからこそ、国家的不当労働行為に断を下し、階級的労働運動を発展させることが可能な現在に立っています。反原発や星野絵画展などを水路に結集した青年・女性労働者が、自らの選択で労働組合に加入しています。討論の中で、組織化は組織化のために何かするのではなく、職場で資本と闘争すれば、組織の拡大は必ずついてくる、「4・26スト」はもういったんストライキという打ち出しが出てしまった以上、現場での後退はあり得ない、と。いずれも重要な確認だと思います。女性部大会の高揚、6・9国鉄集会の大成功を受けて、外注化阻止と全原発廃炉・改憲阻止の先頭で女性部は闘いましょう。
(写真 団結ガンバロー! 女性部第20回大会【5月26日】)

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月刊『労働運動』(280号A-1)(2013/07/01)

■闘う合同・一般労組

合同・一般労働組合全国協議会6・8全国代表者会議を開催

小泉義秀 合同・一般労働組合全国協議会事務局長

 国鉄闘争全国運動6・9全国集会の前日、合同・一般労働組合全国協議会の全国代表者会議が開催された。加盟労組から21労組41名、未加盟労組から3名参加の計44名。昨年の大会から300名の組織拡大を実現しようという方針のもと闘いぬき、全国で121名の組合員が拡大していることが確認された。10月に開催される第5回大会に向かって、さらなる組織拡大を実現し、1000名を超える全国協議会の全国組織をめざしたい。
 青年労働者を組織することのできる全国協議会に変革するためには、「もっと踏み込んだ議案と討論が必要」との意見が出された。動労千葉・動労水戸・動労総連合の外注化を許さない闘いと一体となって全国協は「解雇撤回・JR復帰」10万人署名運動の先頭に立ち、CTS(千葉鉄道サービス)や環境アクセス等のJRの外注化先の非正規労働者を猛然と組織する闘いに踏み込みたい。
 全国代表者会議は大会に準ずる機関会議として初めて開催された。国鉄闘争全国運動の最先頭に立ち、国鉄闘争そのものを全国協が担い、非正規職化攻撃の根本と闘うことと同時に、非正規職労働者を組織化して動労千葉のように、あるいは動労千葉と共に闘う合同・一般労働組合全国協議会を結成して闘いぬくことが全国協結成の原点であることが確認された。したがって、総括の視点は、@国鉄闘争全国運動を全国協のそれぞれの労組が担い組織拡大を成功させたか。A動労千葉の反合・運転保安闘争を自らの職場・組合でどのように貫いて組織拡大を実現したか、という路線の貫徹が組織拡大といかに結びついたかという2点に絞り込んだ。
 全国協は国鉄闘争全国運動を基軸に据えて闘ってきた。国鉄分割・民営化攻撃と1047名の解雇撤回闘争を第一の軸に据える闘いが全国協の路線だ。連合や多くの既成合同労組は国鉄闘争―1047名闘争は終わったとして、非正規化攻撃の根本と闘おうとしていない。しかし外注化・非正規化、分社化攻撃などはぜんぶ国鉄分割・民営化攻撃と同じ手法で現在も行われている。この非正規化攻撃の根本と闘い、さらなる非正規化を許さない闘いと一体で非正規化された労働者を組織化していくことが非正規職撤廃の闘いである。

 安倍政権の成長戦略の破産性

 安倍政権は6月14日に「日本再興戦略―JAPAN is BACK」を閣議決定した。「規制改革会議」や「産業競争力会議」で議論されてきた内容をまとめたものであり、目新しいものは何もない。「行き過ぎた雇用維持」から「失業なき労働移動」と称する、民営化・非正規化推進が国家戦略の唯一の成長戦略の環であるところに破産性があるのだ。動労千葉の外注化阻止・非正規職撤廃の闘い、合同・一般労働組合の組織化の闘いが安倍政権の成長戦略を粉砕する道である。

 鈴コン闘争―首都圏広域労組連絡会の闘いの意義

 東京西部ユニオン鈴コン分会の裁判闘争支援署名の賛同拡大の闘いは東京の労働運動の勢力分布図を変える闘いだった。重要な点はこの闘いが動労千葉の物販オルグと10万人署名の闘いと一体で推進されてきたことだ。動労千葉の署名は実現できず、鈴コン署名だけという場合もある。しかしこの一体的推進が鈴コンの署名の拡大と6・9署名の闘いの両方の拡大と結びついている。清掃や水道、都庁職、区職、自治労に至るいわゆる4・9政治和解に賛成して国鉄闘争は終わったとしていた労組が鈴コン署名と、動労千葉の6・9署名の団体賛同や個人署名に応じている。
 動労千葉労働運動を実践している3カ月雇用の労働組合の闘いが、非正規労働者は救済の対象ではなく、自ら労働組合を組織して全国の賛同を集められる象徴的存在として登場した。仮払い決定を2年にわたり勝ち取り、全国協の路線を貫く労働組合としての鈴コンの存在意義は大きい。「白石事件」(本誌6月号参照)は1047名闘争問題が軸であるが、鈴コンの仮払いを認めた白石裁判長が左遷されたわけで、少なからぬ因縁がある。5・8結審と6・9集会を経て10万人署名と鈴コン署名はさらに拡大していかねばならないし、その可能性は十分にある。9・25までの3カ月決戦は国鉄分割・民営化26年の闘いの全てをかけた決戦なのである。
 昨年12・1の鈴コン集会を受けて首都圏労組広域連絡会(略称=首広連)が発足した。この意義を確認し、全国の闘いの教訓として発展させたい。
 首広連は、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会を軸に、4労組の交流会のようなものから出発した。その交流会が『甦る労働組合』(中野洋)の学習会、動労千葉や動労水戸の外注化阻止の闘い、被曝労働阻止のストライキを学ぶ会議に発展し、そこには精研労組や青年集会実行員会の仲間も参加し、産別・地域を超えた労働組合の大交流会が実現した。3カ月契約の非正規労働者の組合である鈴コンを軸とした合同・一般労組と動労千葉・動労水戸が相互に学び刺激し合う形の労働組合の集合体が形成されつつある。
 首広連参加労組の職場で作業中に死亡した仲間の過労死問題をどのように捉えるのかが議論となった。既成労組幹部はこれは過労死ではない、こういうことは労働組合の闘いにはできないと言って最初から会社と同じような立場で放置しようとした。首広連では、これを運輸労働者の反合・運転保安闘争として位置付けて過労死であると断じ、闘争課題にして、労基署から過労死認定をとった。過労死した労働者のその月の残業時間は286時間だった。その月だけでなくそういう残業がずっと続いていたのだ。これを会社も既成労組も放置していた。
 この運輸会社においては過労死認定と重なり合う形で出向・転籍=非正規化攻撃が開始されている。国鉄分割・民営化と全く同じ手法で非正規化がなされているのだ。組合つぶしのための出向・転籍の非正規化攻撃がかけられているということである。こうした非正規化攻撃粉砕の闘いと国鉄闘争全国運動の闘い、1047名解雇撤回の闘いはまさに一体だ。
 合同・一般労働組合全国協議会傘下の全国の労組が、それぞれの職場でわれわれ自身の「反合・運転保安闘争」を開始して、組織拡大を実現している。この路線を貫いて10月には必ずや1000名建設を実現する。

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月刊『労働運動』(280号B-1)(2013/07/01)

新連載

戦後労働運動史の中から

伊藤 晃 日本近代史研究者

1941年北海道生まれ。『無産政党と労働運動』(社会評論社)『転向と天皇制』(勁草書房)『日本労働組合評議会の歴史』(社会評論社)など著書多数。国鉄闘争全国運動呼びかけ人

 本誌の1ページを明けるから、そこに戦後労働運動史のあれこれを書いてみないか、と編集部から提案がありました。私はもともと、もっと昔の運動史を研究してきたのですが、このところ戦後のことを勉強しています。たしかにそこにはいまの運動に示唆を与えること、読者の皆さんと語りあってみたいことがいくつもみつかります。そんなことをボツボツ書いてみようか、という気になりました。しばらくつきあってみて下さい。

 生きるために創建された敗戦直後の労働運動

 

1945年の敗戦後、労働運動出発の一大要因はアメリカ占領軍の労働運動保護奨励策でした。この民主化政策が、やがて冷戦の深化のなかで反共政策、労働運動への干渉・抑圧に変わったとされます。
ところがこの変化はよく見るとそう単純ではなかった。占領軍の態度ははじめから労働運動に干渉的であり、また最後まで保護育成的でした。そこには一貫したものがある。それは当時のストライキの大波に対して批判的で、労働組合は労使対立に当たってまず労働協約の締結、そのもとでの交渉を重視すべきだというのです。労働者団結権はそのために与えたのだ。ことがこじれたら第三者の調停・仲裁を準備してあげたじゃないか。ストライキもいいけれど、民主化された社会の法・制度を信頼しなさい。この指導からはずれがちな当時の左派組合に対して、その背後に共産主義を見、占領軍はある段階から抑圧的になったのです。この指導は1930年代のアメリカに成立した労働政策がモデルです。その民主主義の懐のなかでどんな社会対立でも解決できるはずだという「信念」があります。
ところが敗戦後の日本はといえば、支配集団は破壊された経済の復興に当たって、資本主義体制下の国家と企業の再建以外頭になく、労働者の生死など知ったことではなかった。労働者は自力で切り抜けなければならない。首切り反対、食えるだけの賃金をよこせ、が期せずして統一スローガンになりました。
いくら占領軍が自分の理想を持ちこんでも、それが生活の事実にならなかった。このなかでは、生きるためには自分が権利と感ずるところを自ら立って取るというストライキ行動は、日本社会にはじめて労働者の生活に根ざした民主主義を創建する重要な道筋だったのです。だいたい資本を相手にして「力」を形にあらわせなければ交渉が交渉にならなかった。それは時として粗野で未熟であり、労働運動は自分の行動の歴史的意義に無自覚だったとはいえ、労資対立の現実から出発する民主主義の意義は否定できません。
このことはこんにち思い出してみる価値があります。いま労働者を守る法・制度は形式上整っている。しかしそれらが残らず空洞化し、あるいはしつつあることも事実です。大概の企業は不当労働行為など当たり前と思っているのじゃないか。このとき労働者は生きるためにどうすればよいのか。職場から出発して、団結と共同の行動の形を創造・再建し、その自前の運動をもって社会に問いかけなければならないでしょう。私たちの死活の問題にかかわりのない民主主義とはいったい何なのかと。
そしてこの問いをもって私たちは戦後労働運動史を見直します。そこでは労働運動が作られる環境はいまとはまったく違っています。しかし、労働者が生きるためには出来合いの制度が与えられるのを待ってはいられない、みなで知恵と勇気をしぼり出そうという先輩労働者たちの精神が、いまの私たちに直接語りかけてくると感じられます。
(写真 国会開会の日、首相官邸前で賃上げと食糧増配の要求を掲げて結集した約2000人の鉄道労働者【1946年5月16日】)

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 国鉄闘争全国運動6・9全国集会における発言(要旨)

 いかに階級的労働運動を復権するか。私の解答はこうです。
 40年ぐらい前、労働組合が職場にあるのは当たり前でした。しかし、自分のところの賃金が上がればよいという労働運動が非常に多かった。それを階級的労働運動ということはできない。
 ただ、ひとつ言えることは、当時、不当労働行為はダメだという建前はあった。しかし実際には、労働組合なしで働いていた労働者は無数におりました。不当労働行為と闘わずに労働組合を作れたなんてことはほとんど無かった。今日、不当労働行為は一般的に存在しております。40年前とどこが違うのか。資本の側の声が大きくなっている。「不当労働行為なんてものはない」「あんなものはわからないようにやればいいんだ」、どこでも企業はそう思っている。建前の影が非常に薄くなった。その分岐点はどこにあったか。20数年前の国鉄分割・民営化にありました。それから20数年、不当労働行為の正当性という主張が社会の常識になろうとしております。この意味で、全国の労働者は同じ条件にされてきた。だが、このことをもって階級的労働運動があると言えるだろうか。やはり言えない。資本によって集められて、同じ状況にさせられた労働者集団、これはまだ労働者階級とは言えません。問題は、その状況とどう闘うかです。4月に自治労傘下の自治体労働者がストライキを再建するために非常な努力をいたしました。私たちは、それを固唾をのんで見守りました。そのとき自治体労働者は、賃金7.8%賃下げは自分たちだけの問題ではない、全国の労働者の問題である、その問題に対して自分たちはストライキをやるんだ、と。そういうつもりで闘争に立ち上がったに違いない。私はそれが階級的労働運動だという答えを出しました。
 今全国で、そういう志を持って闘っている運動は、労働運動衰えたりとはいえ無数にあります。問題はこれがひとつの力にまとまっていない。このことを大きな課題として見据えなければなりません。自治体労働者の闘争は、全国の労働者にその意味が一般化されておりません。今存在しているそういう運動をひとつにつなげる。ここに階級的労働運動の課題があります。その場が国鉄闘争全国運動です。それは、国家的不当労働行為を認めない、全国の労働者の問題である、これを曖昧にすることは許さないと作られました。全国の労働者に、この運動の存在を知らしめていかなければならない。そういう形で階級的労働運動を復権したい。そのような運動をつくるために一緒に頑張りましょう。

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月刊『労働運動』(280号C-1)(2013/07/01)

■ひめじょおん――女性部から

女性部大会決議 橋下大阪市長の「日本軍慰安婦は必要だった」とする発言を徹底弾劾する! 戦争賛美の橋下・安倍を労働者人民の力で打倒しよう!

 日本維新の会共同代表であり、大阪市長の橋下は、5月13日、記者会見という公式の場で、「(旧)日本軍の『慰安婦』制度は必要だった」「在沖海兵隊司令官にもっと風俗業を活用するように言った」と言い放った。私たち女性部は、橋下発言を腹の底からの怒りをもって徹底弾劾する。
 日本軍軍隊慰安婦とされた女性たちの尊厳、人として生きる誇り、「二度と戦争を許さない」という根源的訴えを蹂躙したのだ。基地に依存して生きるしかなかった沖縄の現実を省みることもなく、米海兵隊の婦女暴行事件を弾劾もせず、「軍と売春は付きもの」(石原発言)ということは絶対に許すことは出来ない。
 橋下は、「銃弾が飛び交う中では、『慰安婦制度』が必要だったというのは誰にでも分かる」と、日本の中国侵略戦争と慰安婦制度を居直った。大恐慌下、戦争の危機が切迫している今、「慰安婦制度」が必要であり、国家政策にしようと主張しているのだ。断じて許せない! 沖縄をはじめ全国、アジア諸国・世界から批判・弾劾、抗議がわき起こるのは当然だ。戦争の時代こそ女性の尊厳・誇り、人権が踏みにじられるのだ。
 今、80歳を超えた「慰安婦」とされた生き証人である女性たちが、「歴史の過ちを認め謝罪を!」と来日している。軍隊慰安婦とされた金さんは沖縄での講演で「自分の娘を(慰安婦として)として送ることができるのか」と、橋下を激しく糾弾された。自国の侵略戦争のために他国の労働者を殺し尽くし、焼き尽くし、日本の労働者・労働者家族を犠牲にして突っ込んだ侵略戦争の歴史を絶対にくり返してはならない。オモニたちの血叫びに応える道は、資本と闘う労働者・労働組合にある。戦争を現場で止めることが出来る労働組合をつくることだ。労働者には国境はない。韓国民主労総はじめ国際連帯をさらに進め、世界の労働者階級の団結で戦争を止めることだ。
 橋下発言は、安倍政権の
戦争と改憲攻撃が激化している中で起こっている。橋下と安倍は同罪だ。安倍は「国防軍」創設をぶち上げ、憲法96条改正・改憲を掲げ、「領土」問題を声高に煽り、731の自衛隊機に乗り込んで悦に入っている。しかし、橋下発言こそ橋下の追いつめられた姿なのだ。「大阪都構想」−労組破壊・自治体丸ごと民営化はガタガタだ。八尾北医療労組と西郡地区の住民の団結で更地化・民営化攻撃を打ち破った。私たちは昨年9・16、今年2・24と橋下打倒集会・御堂筋デモを闘った。現場では入れ墨調査拒否、市バス民営化絶対反対、不払い残業、人事評価制度との闘い等々、組合本部を乗り越えて労働者の反撃は拡大している。動労千葉・動労水戸・動労西日本、沖縄全駐労、4・26自治労ストライキ貫徹の闘い、そして非正規青年労働者の決起……。ストライキで、労働者階級の団結の力で、橋下・安倍政権打倒をする時だ。ギリシャのように日本でもゼネストの時代がいよいよやって来た。
 私たちは職場で新自由主義攻撃と闘う。女性労働者は資本主義社会を転覆する先頭に立ち、労働組合の階級的団結の力で橋下・安倍を打倒することを宣言する。
※5月26日、女性部第20回定期全国大会において採択

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月刊『労働運動』(280号D-1)(2013/07/01)

■地平線―反戦共同行動委員会―

三里塚・市東さんの農地取り上げを絶対阻止しよう

三角 忠 反戦共同行動委員会代表

 耕す者に権利あり」

 今、千葉地裁多見谷裁判長は47年間にわたって完成を阻んでいる三里塚反対同盟の「成田空港反対闘争」を押しつぶすために、同盟の市東孝雄さんの農地と作業場を奪おうとしています。
 そもそも、日本の農民は戦前大多数が小作農で地主制度の下で収奪に苦しんできた長い歴史がありました。戦後農地改革が断行され、ほとんどの小作農が自分の農地を取得できたのです。
 しかし、父親の市東東市さんが戦地から帰還が遅れ、小作からは解放されませんでした。ここに侵略戦争に動員された日本の農民の姿を見ることができます。
 この畑は市東さんの祖父以来100年近く耕し続けている農地です。形の上では小作ですが、自分の畑として土づくりに励み、孝雄さんの代からは有機・無農薬の畑として立派な野菜を直接消費者に届けているのです。
(写真 3・24三里塚集会には1370人【成田市天神峰】)

 農地法を逆用して畑を奪おうとする空港会社

 ところが空港会社は、1988年この畑の底地を市東さんに内緒で地主から買収したのです。明らかに耕作者である市東さんに隠したこの農地買収自体が農地法違反なのです。
 さらに、許せないのは、こうした農地法を悪用した空港会社が、市東さんが15年間も旧地主に地代を払い続けて来たことを知りながら、2003年になって突然「小作権を解約するから引き渡せ」と、明け渡しを求めてきたのです。2006年空港会社の出した明け渡し申請に千葉県は許可決定を下しました。

 農地取り上げに加担しようとする多見谷裁判長

 多見谷裁判長は、こうした空港会社の違法・不当な提訴自体を問題にせずに、空港会社が明け渡せという畑の場所を間違えても、旧地主の契約書の署名の偽造が判明しても、これを無視し、空港会社の利益(国策である)に沿った訴訟進行を繰り返し、ついに本年3月27日結審。
 判決は7月29日(月)千葉地裁(多見谷裁判長)601号法廷、午後1時30分開廷。全国の労働者は裁判所を包囲する闘争に立ちあがろう。

 7・14全国総決起集会へ 緊急3万人署名集めを!

 この第2の強制収用決戦に、反戦共同行動委員会は、全国に呼びかけます。
 第一に7月14日(日)「市東さんの農地強奪判決阻止」全国総決起集会、千葉市中央公園午後1時集会、終了後千葉地裁包囲デモへ。
 弟二に「千葉県成田市の専業農家市東孝雄さんの農地取り上げに反対します」という緊急署名への取り組み。

 「200万円緊急カンパ」にご協力を!

 この7・14集会・デモ、緊急3万人署名と合わせ、「市東さんの農地取り上げに反対する会」が今緊急に「200万円カンパ」を呼び掛けています。反戦共同行動委員会としてもこれに全力で応えていこう。

郵便口座 00120-9-261685
名義 市東さんの農地取り上げに反対する会

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月刊『労働運動』(280号E-1)(2013/07/01)

元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風

第10回

 辞めたいけれど、辞められない?

 「辞めたいけれど、会社から『後任の人を自分で連れてきてから辞めてくれ』とか、『今まで、あなたにかけた諸経費を返還してくれ』、あるいは『求人票を出す必要があり、その経費を負担せよ』などと言って引き止められるが、自由に辞められないのか」という相談を受けた。
 教科書的には「労働者の任意退職(辞職)の自由は、労働法の最も重要な原則のひとつである。奴隷的拘束と意に反する苦役の禁止を宣言する憲法18条は、労働関係においては任意退職の自由の保障を要求する。」「労働者の退職の自由は、それ自体として法的に保障されるほか、それを直接的・間接的に制約する使用者の行為を禁止することによって、事実上も保障されなければならない。」(『労働法』西谷敏、日本評論社)
 その理解の上で、「期間の定めのない労働契約について解約の自由を定めている民法627条が、労働者からする解約(任意退職)については強行規定と解される……、雇用は解約申入れの日から2週間経過することによって終了する(627条1項)。もっとも、完全月給制の場合には、解約の申し入れは、翌月以降に対して、しかも当月の前半に行わなければならない(627条2項)」(前掲西谷408頁)。この説によれば、就業規則で1カ月前に退職の意思表示を求めていても、民法が優先され、就業規則を無視することができる。ただ、「円満」に辞めるため、就業規則の規定に従うことが多いのも現実であるが。
 期間の定めがある場合(有期契約)は、契約期間中、「やむを得ない」事由がなければ解約できない(民法628条)とされており、労働者の退職の自由が制限されている。「やむを得ない」事由がない限り、債務不履行となり、損害賠償請求の理由となりうる。しかし、多くの場合には、事由はあるであろう。長時間労働により過労に追い込まれている、セクハラ・パワハラがある、賃金不払い(残業代をも含む)等々。
 辞めるにあたって、後任の人を連れてくる、あるいは、新たな求人票の費用の負担などの義務は、労働者側にない。単なる嫌がらせ的に言っている場合がほとんどである。あまりに理不尽なことを言うのであれば、労働組合に相談、あるいは会社の違反を監督署に申告しよう。労働基準法等違反のない会社はないのであるから。
 会社の意に反して辞めた時、会社は嫌がらせ的に賃金の支払を遅らせる、あるいは、離職票を発行しない、などするが、監督署、安定所の指導を求め、きちんとさせたい。また、在職中に請求しづらかった不払い残業代も、監督署に申告してきちんと過去2年間遡及して支払わせたい。退職を引き伸ばして、体を壊すことのないようにしたいものだ。

大野義文:1950年1月生まれ。1980.4〜2010.3退職まで、広島、山口、徳島、高知の監督署・局で勤務

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月刊『労働運動』(280号F-1)(2013/07/01)

■読者のページ

 「なにがなんでも!全原発廃炉」7・11東京集会に集まろう!

 NAZEN事務局

○7月11日(木)18時開場、18時30分開会 ○座・高円寺2(杉並区高円寺北2-1-2 JR高円寺駅北口徒歩5分)○ふくしま共同診療所からの報告、動労水戸からの報告 石井真一動労水戸委員長 ○参加費500円

 ●内部被曝と安全保障を追及する7・21反戦反核東京集会に集まろう

 事務局
○7月21日(日)13時開場、13時半開会 ○東京・文京区民センター2-A ○資料代 当日700円、前売り500円 ○パネル討論「ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、フクシマ――ヒバクシャの怒りの根源を問う 大石又七(第五福竜丸元乗組員)ほか/特別報告「青森から核を撃つ――大間原発・むつ中間貯蔵施設反対」中道雅史(大間原発反対現地集会実行委員会事務局長)
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■編集後記
不慮の事故で亡くなった同志を思い▼骸は堅く冷えても/染めなした血の旗は、俺達が握っている!/行こう!/勝利する日までは、/さあ、また新らしい戦だ!(井上義雄、1930年)(う)
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 動労千葉労働学校 第13期労働学校日程

■基礎講座
◆どういう時代に生きているか−反原発と時代認識
7月20日(土)13:00〜
講師 島崎 光晴(経済問題研究家)
 大恐慌と3・11情勢のなかでの新自由主義攻撃を打ち破る時代認識を明らかにする。
■場所
 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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月刊『労働運動』(280号G-1)(2013/07/01)

Photo Document 2013年5月〜2013年6月

 組合員資格剥奪を許すな!

5・22東京
国労組合員資格確認訴訟の第8回口頭弁論が、東京地裁民事第11部(団藤丈士裁判長)で開かれた。4・9政治和解を拒否して闘う4人の闘争団員は、組合員資格剥奪を居直る国労本部を徹底的に弾劾。裁判に先立ち、国労本部を弾劾し、6・9国鉄集会への大結集を訴える宣伝行動が裁判所前で行われた。

 6万人が国会包囲! 原発再稼働と輸出を許すな!

6・2東京
昼から芝公園と明治公園において、安倍政権の原発推進、再稼働と輸出を許さない集会が合計2万5千人を超える参加で行われた。集会終了後、都心をデモ行進。その後、延べ約6万人が午後4時から国会を包囲し、5時から7時までは国会前、首相官邸周辺で大集会と抗議行動を展開した。

 大間原発建設を中止せよ!

6・16青森
第6回大間原発反対現地集会が開催され、500人の結集で大成功した。集会実行委事務局長の中道雅史さんが、むつ中間貯蔵施設に対する今秋闘争と、大間原発建設中止を勝ちとる闘いを強めることを訴えた。NAZEN50人の部隊は第2挺団でデモ。動労水戸、全金本山、ス労自主、各地の合同労組などの旗が翻った。

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