「月刊労働運動」 2013年/11月/01日(No.284号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題)

| ホーム | 月刊交流センター | 産別部会 | リンク | 連絡先 |

★PDF版はこちらです★

・労働者の目 闘う労働組合をつくり出し、社会を変えよう!
・特集 JR北海道の安全崩壊――国鉄分割・民営化に決着を
安全崩壊のJR北海道!
労働組合の再生よびかけ闘う 北海道労組交流センター
国労旭川闘争団・成田昭雄さんに聞く
JR北海道の安全崩壊は国鉄分割・民営化の帰結!いまこそ1047名解雇撤回・外注化阻止の闘いを輝かせよう
・ 郵政というブラック企業と闘い、「当たり前」が通用する社会に―東京・晴海郵便局における解雇撤回闘争
・ オンコール撤廃闘争と国鉄署名で職場が見えてきた! 東京北部ユニオン書記長 永野佳世子
・ ・ひめじょおん−女性部から ――八尾北医療センター労組第13 回定期大会を闘って
・ 元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風=@第14回 出会いを大切に
・ 戦後労働運動史の中から 第5回 2・1ゼネスト 伊藤 晃 日本近代史研究者
・ 地平線―反戦共同行動委員会―  労働運動の力で安倍政権を倒そう!
・ 闘う労働組合の物販にご支援を! 動労千葉、和解拒否の国労原告団、ス労自主、沖縄バヤリース労組
・ 読者のページ  動労千葉労働学校日程 マンガ

月刊『労働運動』(284号1-1)(2013/11/01)

闘う労働組合をつくり出し、社会を変えよう!

吉本 伸幸 常任運営委員 合同・一般労働組合全国協議会代表

 ついに新自由主義の破綻と崩壊が始まりました。全世界で労働者階級の生きるための決起が巻き起こっています。我々、全国労組交流センター傘下の労働組合、仲間は国鉄闘争を基軸とし、自らの職場で「やるか、やられるか」「生きるか、死ぬか」、人生をかけた大闘争をおこなっています。今まさに、激動の革命情勢で、戦後労働運動の歴史を塗り替える絶対非和解の「闘う労働組合」の主流派として、先陣を切って登場しています。
 9月25日、東京高裁民事第12部・難波裁判長は、解雇撤回を求めて闘い続けてきた動労千葉の鉄建公団訴訟控訴審において、不当労働行為を認定しながら、解雇撤回・JR復帰を拒否して500万円の「慰謝料」のみを命ずる反動判決を下しました。
 しかし、この判決が示しているのは、国鉄分割・民営化攻撃、国鉄改革法の破綻に他なりません。「国鉄とJRは別法人で不採用の責任はJRに及ばない」なる虚構は全部崩れ落ちました。ついに我々の絶対非和解の闘いが、ここまで敵を追い詰めたのです
 日本における新自由主義攻撃は国鉄分割・民営化から始まり、膨大な労働者が非正規職やワーキングプアに突き落とされ、社会そのものが壊されました。JR北海道の安全全面崩壊の現実、JR貨物の現実、国鉄分割・民営化は大失敗に終わりました。
 安倍自民党政権は、労働規制の更なる緩和をもって、社会全体を総非正規職化、民営化地獄に叩き込もうとしています。この国家が行う「労働者生き地獄」との全面対決を、我々が職場で怒濤の如く開始しました。闘いの主戦場は自らの「職場」です。膨大な怒りの声は充満し爆発を開始しています。
 「悔しい、生きさせろ、生き抜いてやる、絶対負けない」―労働者の爆発した怒りと一体となり結合し、闘う労働組合として最先頭で組織拡大を貫徹していきましょう。
 東京、首都圏の職場から闘う労働組合の決起が始まりました。闘うことは楽しいことです。闘いの中からこそ労働者同士の鉄の団結が生まれます。6000万労働者の団結の要となり社会の権力を取り返しましょう。
 この「月刊」が出る頃は、11・3労働者集会は大成功を勝ち取り、集会の景色を変えていると確信しています。労働者は必ず決起することに確信を持っているからです。
 さあ! 迷わず自信と確信を持ってこの道を驀進しよう! 勝利を我々の団結した力で勝ち取ろう!!

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号2-1)(2013/11/01)

特集 JR北海道の安全崩壊――国鉄分割・民営化に決着を

安全崩壊のJR北海道! 労働組合の再生よびかけ闘う

北海道労組交流センター

 1、依然として事故・トラブルが発生

 10月1日、札幌市内の函館線で特急列車が、陸橋工事のため時速45`以下の徐行運転と定められたカーブを約35`の速度超過で走行した。運転士は、乗務前に通知文書を確認せず、上司も点呼時に徐行に関する連絡を忘れた。徐行区間の手前約600bには「45」と書かれた注意を促す信号機が1カ所設置されているが気付かなかった。徐行運転の始まりと終わりを示す臨時信号機も確認できず、勤務を終えて運転所に戻ってから気が付き申告した。
 JR北海道工事課は「徐行運転は念のための安全策で、ただちに事故などにつながるものではない」と説明している。しかしある運転士は「大事故につながる信号違反や速度超過は運転士にとって最も怖いミス」と言う。現場と上層部で認識が食い違っている。
 5日には、7月に登別市の室蘭線鷲別駅構内で普通列車の運転士が、赤信号を見落としたことで作動した自動列車停止装置(ATS)の非常停止措置を無断で解除し、進入禁止の駅ホームまで列車を進めていたことが分かった。赤信号点灯時、駅から進行方向約200b先の線路を貨物列車が交差しながら通過していたのを運転士は視認していた。しかしJRは衝突の危険はなかったと言っている。
 7日の苗穂運転所の定期検査で、石北線の特急列車がATSなどの非常ブレーキが作動しない状態のまま最長3カ月も運行を続けていたことが分かった。別の二つの安全システムも同様に自動で非常ブレーキが利かない状態だった。JRは「列車が赤信号を通過しても自動で停車できず、最悪、脱線や列車衝突につながる重大なトラブル」と陳謝。
 運転席付近の機器室内にある非常ブレーキの作動につながる空気弁のレバーが「開」の設定であるべきところ「閉」の状態だった。7月12日の苗穂工場での大規模検査で検査員が誤った設定で出庫させたと本社は言うが、苗穂工場の担当者は「コックは閉めていない」と反論。空気圧コック(弁)の開閉操作を車両点検時に記録していなかったため、どっちが正しいのか分からない。
 運転士の判断ミスもあるが、そういうミスをカバーし、フォローする仕組みがない。線路も車両も安心できない。それらが運転士にストレスを与え、さらにミスを誘発する。
(写真 9月19 日の函館線・大沼駅構内での貨物列車脱線事故)

 2、深刻な体質的問題が表面化し始めた

 相次ぐ事故・トラブルが体質的な安全崩壊の結果だと明らかになっている。
 レール異常の放置問題では、異常約270カ所のうち放置されていた本線や副線でも、1985年以前の旧式レールで補修の必要がないと誤認されていた本線約170カ所でもほぼ9割で木製枕木が使われていた。だが、コンクリート製より耐用年数が短いのに「現場の要求通りの本数が届かない」(ある保線社員)という。
 しかも、脱線事故があった現場を担当する大沼保線管理室など少なくとも3カ所で、現場責任者が線路幅のデータを確認せず、検査後の補修の有無を確認していなかった。レールの広がりだけでなく、左右方向に湾曲する「ずれ」なども社内規定を超え、許容値の4倍近い地点(室蘭線幌別駅構内の退避用副線)もあった。JR北海道にはレールの補修状況を報告する社内規定がない。劣化しやすい木製枕木の管理について統一した社内基準もない。貨物列車が脱線した函館線など同じ路線内でも隣接する保線管理室同士で劣化判定の基準が違う。国交省内では、JR北海道の安全管理や社内体制が「普通では考えられないような」状態だったことに驚きの声が上がっているという。
 9月24日に根室線白糠駅構内で、普通列車のエンジンから燃料が漏れて白煙が上がったトラブルでは、この列車は出発前に別の燃料漏れが見つかり点検を受けたにもかかわらず、部品の異常が見逃されていた。検査社員は問題の燃料パイプも取り外していて接着面を確認していたが変形に気付かなかった。
 苗穂工場に比べ、道内10カ所にある車両所などでは通常、比較的簡易な点検や修理を行っているに過ぎず、「車両故障時に、車両所などで慣れない修理作業を行っているところに盲点があった。例えばエンジン主要部のノズル交換は苗穂工場で実施するか、同工場の社員を派遣するなど、車両修理の体制を改めたい」(同社)としている。
 これらは、「社内での確実な意思疎通の実施と日々の安全確認の徹底」(国交省の緊急の改善指示)などで解決できる問題ではない。国鉄分割・民営化と業務の外注化の結果、鉄道事業の根幹がボロボロになっているのだ。検修も保線もすでに外注化されている。「社員」がJR本体で、「保線社員」「検査社員」というのは外注先。苗穂工場では、エンジン内部などを除く検修は札幌市営地下鉄の検修も請け負う会社が担う。保線は外注化され、孫請け化され、実際の作業は専門的な知識も経験もない労働者が担っている(テレビの報道)。「世代の断絶による技術継承の断絶」も労組間の対立もあるが、外注化こそが最大の問題だ。
 10月9日から国交省が鉄道事業法に基づいて始めた追加の特別保安監査は、本社と3つの支社のほか、保線や車両整備などを委託されたグループ会社なども対象になった。2006年の省令改正で委託先も監査できるようになったが、実際に立ち入るのは異例。ATSのブレーキが機能しない状態で特急を運行した問題では、同社が電気工事を委託する札幌市東区の関連業者にも調査に入り、受注先に対するJRの安全指導の実態などを調べたというが、ノウハウの乏しい外注先に丸投げしていること自体が最大の問題だ。
(写真上 10 月8日付北海道新聞) (写真下 10月11日付北海道新聞)

 3、安全崩壊で「もう立ち直れない」と言われ始めたJR

 JR北海道は、国交省が過去10年間で指摘した法令違反や社内規定違反などが26件に上る。安全対策を10年以上放置していたケースもあり、ずさんな安全管理体制がレール異常放置など頻発した事故やトラブルにつながった。
 特急のエンジン関連部品「スライジングブロック」が破損し、エンジン出火などのトラブルが相次いだ問題では、原因は旧国鉄時代に開発されたエンジンの構造にあるとみられ、同部品に想定以上の荷重がかかった可能性があることが分かった。しかもこの部品は16年以上前にも複数回破損していたことが新たに判明し、JRが根本的な再発防止策を取らずに放置してきた可能性が高まった。
 ATSのトラブルが相次ぐ中、国交省がATSの設置を義務付けた道内682カ所のうち、JRが今年9月までに設置したのは約10%(道外5社の平均は約91%)の70カ所に過ぎない。そのうちカーブは37%で、他社は100%完了。同社は具体的な設置計画や予算を明らかにしていないが、期限まで残り2年8カ月で終えるのは難しい。
 「もはやJR任せでは、実効性のある改革は期待できない」「経営や安全管理体制について監視、助言する『第三者機関』の設置を検討すべきだ」(綱島均・日大生産工学部教授)とか「道や沿線自治体が線路などの維持管理に積極的に関わる仕組みを考える時期に来ている」(武田泉・道教育大札幌校准教授)という発言さえ出ている。
(写真 10 月9日付(夕刊)北海道新聞)

 4、国鉄分割・民営化の矛盾の噴出を示す問題が続出

 JR北海道の保線費を含む年間の施設・車両修繕費は、鉄道事業収入に対する割合ではJR旅客6社平均の2倍近い水準に上る。列車走行距離の合計で割った額は平均より3〜4割少ない。「発足時から輸送密度の低い鉄路を多く抱えるJR北海道にとって、修繕費不足は宿命だ。自力で全路線を維持できなくなる恐れもあり、公費投入も考える時期だ」(石井吉春・北大公共政策大学院教授)と分割・民営化の破産が言われ始めている。
 JR北海道の線路網約2500`のうち、国鉄時代なら廃止対象の輸送密度(1`当たりの1日平均利用者数)4千人未満の赤字路線が66%を占め、鉄道収入は12年度も309億円の営業赤字だった。施設や車両の修繕費は毎年160〜200億円程度だとはいえ、予算絡みの話に鉄道現場が口を出すなという雰囲気ができたという。これこそが安全崩壊の背景にある。
 JR北海道は国土交通省所管の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が100%出資する「特殊会社」で、通常の会社法に加えてJR会社法も適用されるため、普通の鉄道会社より国の影響力が及ぶ範囲が大きい。半面、JR会社法で規定された経営安定基金(6822億円)の運用益なしでは経営が成り立たない。その「運用益」の大半は、鉄建機構に高利で「貸し付けた」金利だ。国から預かった金を国に貸し、その金利で赤字を埋めている。
 「国交省が最も恐れているのは、それ(経営や安全管理の悪化)が1987年の国鉄分割民営化の失敗論に波及することだ」(北海道新聞)。そこで分割・民営化体制を護持する方図が模索され、JR北海道に対する鉄道建設・運輸施設整備支援機構の無利子貸付金や助成金計600億円の枠を活用し、レールや信号の補修など安全管理設備の投資を増やすよう、国交省が同社に指導する検討に入ったという。JR東が人材の派遣を始めたが、「もうJR東にはディーゼル機関車はないから……」と最初から役に立ちそうもない。
 国への責任追及に向かわないように労働組合に責任があるというキャンペーンも出始め、「組合間には国鉄分割民営化をめぐる方針の違いなどがあり、社員同士の意思疎通が滞ることもある」(道新)とか、「経営陣『謝罪』の陰で労組はゴルフ三昧」(道内財界誌『クォリティ』)といった論調も現れている。それは「(JR北海道の)組織の内部に非公式の権力構造があることで、本来は1本化すべき指揮命令系統や情報の流れが多重化し、組織が脆弱になっている」(道新)とJR総連・革マル問題にも波及し始めた。
 JR北海道の惨状が分割・民営化の矛盾の爆発であることは歴然としている。そして、JR資本と闘わない組合幹部という意味では確かに労働組合の問題だ。だからこそ動労千葉のように闘う労働組合を目指して闘おうというJR労働者への訴えが今こそ必要だ。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号2-2)(2013/11/01)

特集 JR北海道の安全崩壊――国鉄分割・民営化に決着を

国労旭川闘争団・成田昭雄さんに聞く

JR北海道の安全崩壊は国鉄分割・民営化の帰結!

いまこそ1047名解雇撤回・外注化阻止の闘いを輝かせよう

 9月19日の函館線・大沼駅構内での貨物列車脱線事故をきっかけに、JR北海道における安全崩壊の実態が明らかとなった。
 一連の事態について、国労旭川闘争団の成田昭雄さんにお話を伺った(聞き手:全国労組交流センター事務局長・飯田)

このかんのJR北海道における一連の事態について、成田さんの意見を聞かせて下さい―

 今回のJR北海道における事故のマスコミを通じた発表については、一言で言うならウソ八百ですね。社長の野島という方は現場を知らないですよ。いろんな肩書きの方がマスコミを通じていろんなことを言っていますが、その場しのぎの話ですよね。僕はまだテレビの画面でしか事故現場を見ていないけれども、それでもいろんなことが見えてくる。
 昔は、保線というシステムは、保線区があって、そこに助役がいて、助役の中には事務助役が頭で、線路を担当する線路助役、工事を担当する工事助役、防雪だとか防風林だとかを担当する営林助役、建物(駅舎、各職場)などを担当する建築助役だとかいろんな助役がおって、その下に技術係がいる。線路には線路の技術係、工事には工事の技術係など各部門の技術係がいます。そして本区の下に保線支区というのがあって、支区には支区長が1名、計画助役が1名、作業助役が1名いて、1年間を通して、どういう風な仕事をして線路を守るかということをやるわけですね。
 作業助役というのは現場でどういう風な取り扱いをして線路を補修していくか、どうすればお客さんを安全安心に輸送できるかということを考えるわけですね。例えば雪害などいろんな自然災害を防ぐためにレール、枕木、締結など、レールに対するトラブル解消に努力するわけですよ。そういう人たちがいて、われわれ現場を受け持っている労働者がいるんです。
 現場で線路を調査する検査班は、多いところは1班に5人いました。作業が厳しい現場は5人の体制でやっていたんです。通常の検査は3名態勢で、レール何キロ、何キロというかたちで受け持って線路を検査をするわけですね。検査の中で規則で決められている許容限度を逸脱しているところが見つかった場合には、それが作業班に、計画助役、作業助役を通じて報告がおりてきます。基準を逸脱した場合には1週間以内とか5日以内に修理しなければならないという規則がありますから、私のような作業班がその現場に行って補修し、安全な線路をつくるというのがひとつのパターンです。補修が終わった段階で作業班も確認しますけれども、できあがった箇所を検査班も確認するという二重のチェック体制があったんですね。しかも、そのなかで大事なのは、作業班も検査班も気動車の一番先頭に乗って検査もするわけですね。つまり目視でも確認しますが、車両に乗って車両の揺れや動向を見ながら保守・補修箇所の確認をするわけです。

 ■保線は列車の安全運行の要

 保線の基準というのは、「軌間(きかん)」、「高低」、「水準(水平)」、「通(とお)り」というのが原点なんです。軌間というのは左のレールと右のレールの間の幅です。レールが車輪によって押し出されたりすると今回の事故のように間隔が拡大してしまうから、基準値よりプラス何ミリということになる。確か僕が働いていた時代の基準は1063_だったかと思います。それがプラスというのは押し出されてレールの幅が開くことです。当時はプラス7_を超えたら危ないですよという、7_が許容限度の幅なんですね。マイナスのとき(幅が狭くなった場合)は、マイナス4_になった場合は、補修をしなさいということになっていました。
 また、軌間を補修したときに左のレールと右のレールが高低差が出来ます。これを平らにするための作業もあります。水準器を当てて、左のレールと右のレールが平らであるか確認します。
 「通り」というのは、軌間も出来た、高低も出来た、水準も出来た、しかし線路自体が蛇のように曲がっている場合は、これは通りと言って、曲がったレールをまっすぐにするということです。これが通常の直線のレールの補修の場合です。
 カーブのレールの場合は、これにプラスして「カント」「スラッグ」というものがつくわけですね。カーブだから遠心力を持ったときに列車がスムーズに曲がれるように、スラッグといって、右に曲がる場合は左側のレールを高くするんです。左に曲がる場合は右を高くする。こういった作業が保線の基本中の基本です。
 今回の調査で、レール幅が最大で37_広がっていたとか言ってますけど、僕にはちょっと理解できないんですよ。これまで言ったような補修がちゃんとやられていたら37_という数字が出ることは理解できないんです。僕も23年間現場におって、3年間清算事業団に入れられてましたが、37_も軌間を拡大していたということならとんでもない話になっていたと思います。JRになってから37_でもいいんだということになったのは理解できません。
 要員は増えているというのもウソ八百ですね。函館本線の現場のところの保線区を見たときに、先ほど言ったようにそれぞれかなりの人数が必要なのにもかかわらず、あんな小さい一つの部屋に全部入っているなんてことはあり得ない。適度の人間を配置しているというのもウソ八百ですね。あの人数じゃあできない。テレビなんかで聞くと、現場は「人数が足りない」と言っている。補修作業を後回ししなければならない現実がある。1カ所放っておくと拡大していくんですよ。人数があればパッとやっちゃうんだけれど、今回、あんな事故があって2日か3日で検査したでしょ、あれだっておかしい。あれは外注の労働者を使っています。外注会社には鉄道関係のOBの方もいるでしょうけれども、全然経験のない人が外注会社に就職しているから、現場の教育もなっていないと思います。すべて会社の責任です。
 現場から支社に情報が上がってこないというのもおかしな話です。現場の機械の管理はすべて上司に報告があがるんですよ。それが来ないというのはどこかで責任逃れが起こっているんです。
 また、マスコミは評論家をコメンテーターとして呼んで、「JR北海道は本州と違って競争する私鉄がないから今回のようなことが起こったんだ」と言っています。とんでもない話ですよね。飛行機、バス含めて競争心を煽ったじゃないですか。分割・民営化と同じようにマスコミが労働者を悪者扱いしているというのは今も変わらないですよね。
 地域に住む人にね、安心して鉄道に乗ってもらうことが僕らの誇りなんですよね。なんのために鉄道を守ってきたのか。鉄道は国民の財産ですよ。それを一部の政治家が利益を求めるために分割・民営化をやったんです。

-----------------------------------------------------------

 国鉄分割・民営化による1047 名の不当解雇こそ、安全崩壊をもたらした根本原因だ!

 1987 年にJR不採用とされ、1990 年に国鉄清算事業団から解雇された1047 名のうち、
453 人の国労闘争団員と64 人の全動労争議団員が、北海道で働いていた国鉄労働者だった。
現場を熟知し、誇りをもって鉄道業務を担ってきた国鉄労働者を問答無用に解雇した国鉄分
割・民営化こそが、技術の継承も断ち、安全崩壊の出発点になったのだ。
 JR北海道は1987 年、1万2720 人体制で発足した。だが、2013 年段階で同社の人員は
7116 人に減らされている。これは、安全投資の徹底した削減と極限的な外注化と一体で進
められた。
-----------------------------------------------------------

 ■政治家が好き勝手にやるために労働組合を攻撃して分割・民営化を強行した

成田さんの経歴を話していただけますか−

 僕は18歳の時に天北(てんぽく)線の曲淵(まがりょう)という駅に臨時雇用で入ったんです。「そのまま駅に残っていいですよ」と駅長から言われたんだけれども、僕は運転士になりたくて、まず最初は機関区に応募しました。次に、保線をやりたかったから第2希望を保線区にしたんですよ。そのとき機関区は一杯だったから保線にまわったんです。それで浜頓別(はまとんべつ)の保線区の山軽(やまがる)線路班に入って、そこで半年ぐらい線路工夫をやった。まだ古い時代ですからね。それから軌道掛と名前が変わって何カ月か働いて国鉄に正式採用になりました。浜頓別保線区がなくなって稚内保線区に合併されて稚内保線区浜頓別保線支区となってずっと分割・民営化まで来ました。
 山軽の時は一組合員だったんですけれども、保線支区に来てから青年部長になって、浜頓別保線支区分会の副委員長をやって、それから稚内支部の副委員長になった。5年ぐらいやりましたかね。それから戻ってきて浜頓別の分会委員長になって、1年間空欄があって、稚内支部の副委員長をやって、34歳ぐらいのときかな、旭川地本の執行委員になれということで1期2年つとめました。それから地元の職場に帰ってまた稚内支部の副委員長をつとめました。そこでローカル線廃止攻撃がかかって、浜頓別保線支区の興浜北(こうひんほく)線の枝線(浜頓別・北見枝幸間)30.4`がとられてしまった。それから稚内から浜頓別、音威子府の区間で天北線約150`のローカル線がとられてしまった。そのときには清算事業団に入れられていました。
 23年間の国鉄勤務で組合の仕事をしなかったのは1年くらいかな。職場のことをわからない上司がいろいろ指示するもんだから職場は矛盾だらけでした。それに意見すると「暴言だ」と言われた。僕の処分の3分の2はこうした「暴言」による訳の分からない処分です。こういう連中から職場を守るために手一杯でしたよね。
 分割・民営化の4〜5年くらい前からかな、線路補修の資材が来るんだけれども、それを資材助役がユンボで穴掘って埋めるんですよ。「いずれなくなる線路だからそこに資材を投入したら監査にひっかかるんだ」と言うんです。でも線路はがたがたですよ。脱線するかもしれないんですよ。だから僕らは現場に行って材料がないもんだから、鉄道用地の伐っていい木があるから、のこぎりを持って行って木を伐(き)って補強材をつくるんですよ。それで脱線を防いだことが何度もあります。普通なら国鉄総裁から表彰もんですよ(笑)。でも現場でそういうことをやって報告するでしょ、管理者は自分の手柄にするんですよ。僕は線路のプロとして当然やるべきことをやった。別に表彰状がほしい訳じゃないんですよ(笑)。だから僕は分割・民営化でクビになるはずはないんですよ。立派に保線労働者として仕事をしたんですからね。だからおかしいんです。
 うちの職場の連中はみんなこうやって仕事は頑張ったんです。分割・民営化でマスコミも含めたバッシングがあったときに労働組合がはね返す力を持つのが本当だと思いますよ。攻撃された側がちゃんと跳ね返す力を持たないとダメだね。
 だから僕は「(2010年)4・9政治和解」の時に闘いを決意したんじゃないんです。僕は国労でローカル線問題や統廃合問題でずっと闘ってきたんです。そのなかで決意してきたことであって「4・9」があって闘う決意をしたということは一言も言ってません。小玉くんも羽廣くんも石アくんも同じです。「4・9」で決意したんだったらJRに採用されていなかったらおかしいじゃないですか。その前から腹を決めていたからクビになったんです。そこは間違えないでほしいですね。

 ■町を守るためにストライキで闘った

国労でどういう闘いをやってきたんですか−

 僕は鉄道に入ったときに、偉くなろうと思っていませんから、落ち着いた場所に来たなという感じでした。労働組合って何かなと最初は思っていたんです。自分の主張をしようと、自分の生活を守ろうと、それは周りの人間も同じだと、みんな一緒の気持ちなんだよ、助け合いだよということで「ああ、いいこと言うな」と思っていました。
 職場ではいろんなおかしなことが言われます。例えば、要員に対して補修を受け持つ線路のキロ数は決まっているんですけれども、人が減らされれば、1人で10`受け持っていたのが、1人で12`、13`持たされるわけですよね。そうすると体に無理が来ますよね。だからちゃんと人を増やして下さいと。でも当局は馬車馬のように働けと言う。賃金も上がらない。それでおかしいなと思って労働組合に入ったんです。「どう生きるべきか」ということで。
 労働組合は何でもかんでも反対じゃないんです。当局が間違ったことを言うから「間違ったらいけませんよ」ということを言っているんであって、逆に言えば管理職が労働組合に感謝しなければいけない。自分たちが間違って労働者に無理をかけていることを労働者から教えられているということを気がつかないといけないんです。
 あとは、仲間とともに暮らすということかな。そこに住んでいる方も誰彼なくさ、自民党の支持者だろうが、働いている者同士仲良くやっていこうやという気持ちはありましたね。お互いいろいろわかってくると矛盾は矛盾としてぶつかるし、正しいことは正しいこととして一緒に歩けるなという感じはしますよね。

自分の給料明細を見せて住民を説得してまわったと聞いたことがありますが?−
 あれはね、例えば、僕らが組合でストライキをやるでしょ、そうすると周りの人は理解してくれないんですよ。自分のためにやっているんだと。僕らは自分の職場のためにやっているかもしれないけれども、町の鉄道を利用してくれる人のためにも僕らは体を張って、国鉄というどでかい敵のね、考えを直させるという闘いですよね。そのときに町の人たちが「おまえ達の給料を上げるためにストライキをやるんだろ」と言われたときに、これじゃいけないと思って、僕らは賃金袋を持って行って、「私はいま何歳で、国鉄に何年つとめました。給料を見て下さい」と。そしたら「え? こんなに安いのか」とこうなるわけです。例えば運賃値上げに対しても僕らは反対するわけです。「運賃が値上げされたらあんたらの賃金は上がるんだろう」と言われますが、上がりません。それでも信用しないわけです。しばらくたってもう一度賃金袋を見せて「僕らの給料上がりましたか?」と。そしたら「上がってないな」となるわけです。自分たちの身分と立場を明らかにして闘った。それが賃金袋の闘いでしたね。

ストライキは結構やったんですか?−

 やりましたね。自分たちの職場の統廃合だとか、要員削減に対してだけじゃないですよ、いま思い出してみると、分割・民営化の前のローカル線切り捨てに対しても闘いましたし、利用者だとか、町の人たちとか、地域の人たちの利益のためにやったストライキの方が多かったんじゃないですかね。

 ■分割・民営化を根本から問い直す時

最後に一言お願いします−

国鉄分割・民営化とは何だったかと考えてほしいんですが、僕たちは「国賊論」でやられましたよね。「親方日の丸」で、仕事中に入浴しているのはけしからんとか言われました。要するに「会社あっての労働者だ」ということを植え付けるためにやって、国民の信頼をとってごまかした。今度は「国鉄は赤字だ」と言い出した。赤字をつくったのは誰ですか? 国鉄は一社制ですよ。北は稚内から南は鹿児島まで線路は一本ですよ。黒字の線があったらローカル線に回せばいいことで、赤字じゃないんです。職場で汚れたら手を洗う、作業服を洗う、体を洗うということの何がいけないんですか? それを理由にして国労は働かないだの勝手につくっておいて、国民の同情を煽っておいて分割・民営化をやった。やったとたんにサービスが良くなったというのもウソ八百でしょ。全部隠して金儲けのためにやった。
北海道の線区を見て思ったけれども、レールの異常箇所が270カ所でおさまるはずがない。要員がいない、保守・補修する人がいない、検査する人がいないのにあの数ですよ。補修箇所はあんな数ではきかない。線路の仕組みをきちんと分かっていなかったら、砂利1個をどこに置くかで全然違ってくるんですよ。当時は現場でおかしいと思ったことを上司に言ったら「点呼妨害だ!」とか言って処分されました。それでも僕らは処分を受けてもやってきたから線路は無事だったんですよ。
分割・民営化で「何も文句言うな、黙って働け」となった。みんな矛盾を感じても何も言わないから全然線路は直らないです。どんどん事故が起こります。何でも上意下達ではなくて、現場の知っている人からちゃんと話を聞いて、助役だとか管理職というのは転勤、転勤で出世ばっかり狙っているから現場は分からないんです。僕ら労働者は、現場で今日は東から風が吹いて雨が降っているなとなれば、遙か何キロ先は嵐になっていると分かるんです。それぐらい熟練しているんですよ。
そうしたことを先輩からちゃんと習ってきて、風の吹き方、雨の降り方で分かるんです。それがプロなんですね。サボっているなんて冗談じゃない。朝昼夜関係なく、吹雪だろうがなんだろうが、皆さんが寝ているときに働いているんですよ。保線もそう、電気もそうですし、建築もそう、営林もそう、機関区もそう、運転区もそう、車掌もそう、検修の人もそう、みんなお客さんが安心して乗ってくれるために働いている。それが鉄道屋の喜びなんですよね。それを分割・民営化は壊しちゃったわけでしょ。
僕らは安全のために全力を尽くしてきました。これは国鉄の使命です。JRになったらそうならないんですよ。新入社員も、技術を教えてくれる先輩がいないから「こんなもんでいいだろう」となっちゃう。分割・民営化はいかにデタラメだったかがいまはっきりしたんじゃないですか? 今からでも遅くないから、動労千葉や国労共闘や動労水戸、動労西日本、動労連帯高崎のようにもっとしっかり線路を守る、鉄道を守る闘いをやらなければもっと大きな事故が起きると思います。

ありがとうございました−

--------------------------------------------

成田昭雄(なりたあきお)さん略歴

1945年、北海道稚内市の漁師の家で生まれる。1963年12月、臨時雇用員として曲淵駅に勤務。1964年、旭川鉄道管理局浜頓別保線区の社員として採用される。その後23年間、一貫して保線職場での仕事に携わってきた。
組合活動においては、1971年に国労浜頓別保線支区分会青年部長になり、同分会執行委員、同分会副委員長、同分会委員長を歴任。その後、稚内支部副委員長、旭川地本執行委員をつとめた。
1986年、「人材活用センター」に不当配転。1987年2月16日、「処分歴がある」との理由でJRの採用通知が渡されず、3年間の清算事業団での闘いを経て、1990年4月1日から1047名の一員(旭川闘争団)として闘いを始める。
分割・民営化を認め、今後一切JRとは争わないことを認める2010年4・9政治和解を拒否し、あくまで解雇撤回を貫いて闘う。同じく和解を拒否して闘う、小玉忠憲さん(秋田闘争団)、羽廣憲さん(小倉闘争団)、石ア善徳さん(鳥栖闘争団)とともに、国労本部を相手取り、闘争団員の組合員資格剥奪に対する裁判も現在係争中。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号3-1)(2013/11/01)

郵政というブラック企業と闘い、「当たり前」が通用する社会に

―東京・晴海郵便局における解雇撤回闘争

郵政非正規ユニオン・東京中部

 11・3全国労働者総決起集会の「今こそ闘う労働組合を全国の職場に、新自由主義と闘う労働組合の全国ネットワークを」のスローガンが今年ほど切迫し、私たちを突き動かす欲求となっている時はありません。
 以下、郵政非正規ユニオン奥野明子組合員の東京・晴海郵便局における雇い止め解雇撤回闘争について報告したいと思います。

 労災で休職中に雇い止めを強行

 奥野さんの雇い止め解雇との闘争が始まったのは2012年の8月からです。労災で休職中の奥野さんに対して、晴海郵便局が「(療養中の)あなたがいるから新しい人が雇えない」と自主退職を強要してきました。奥野さんを先頭にした団体交渉で退職強要を撤回させました。晴海郵便局の長田総務部長は「休業中の人を雇い止めにするような考えはありません」とこの時発言しています。
 ところが2013年2月末日になって、晴海郵便局の北澤郵便部長(奥野明子さんの上司)が突然「奥野さんの自宅で話し合いたい」なる常識外の電話をかけてきました。当然にも奥野さんが<自宅外>と<郵政非正規ユニオン組合員の同席>を要求すると、北澤郵便部長は「話し合い」提案をひるがえし、何の説明もなしに「雇い止め」解雇を一方的に通告し、電話を切ったのです。
 その後、「勤務成績不良」を理由にした「雇い止め予告通知」が郵送されてきました。労災で休業中の奥野さんに「勤務実績がない」のは当然なのに、「勤務実績がない=勤務成績不良」として雇い止めを強行したのです。
 3月中に2回、雇い止め解雇撤回を要求して団体交渉を行いましたが、晴海郵便局は「勤務成績不良」以外に、雇い止め解雇の理由も法律的根拠も全く明らかにすることが出来ませんでした。郵政非正規ユニオンという労働組合の組合員であるがゆえの不当労働行為であることは歴然としています。団体交渉の中で、「話し合い」をひるがえし、雇い止め予告を強行した理由について北澤郵便部長は、「奥野さんと話がしたかった」「組合員がいると話が伝わらないと思った」と平然と述べています。そして晴海郵便局は団体交渉が始まる前から用意していた「郵政非正規ユニオンの理解が得られない」なる「団体交渉打ち切り」通告を読みあげて、「脱兎のごとく」団体交渉から逃げ去ったのです。

 崩壊した職場の現実を変えよう

 以降3月から10月まで毎週毎週、ビラを撒き続けています。月1回の門前闘争も継続してきました。晴海郵便局に解雇撤回と原職復帰の団体交渉要求を7回突きつけてきました。晴海郵便局は理由も根拠も明らかに出来ない回答ならざる回答書を送ってきていましたが、5回目と6回目の回答書は文面が一字一句違わないというふざけきったものでした。回答書は、郵政職場に労働組合と闘う団結など絶対に許さない非和解的姿勢をあらわにしています。しかしこのことは、働く労働者の怒りが晴海郵便局の門前でも溢れ出し、奥野さんへの共感と交歓が実際につくられてきている中での、晴海郵便局の追い詰められた姿を示しています。
 回答書の中に民営郵政の破産しきった本質と現実があります。郵政職場は人減らしで、集配の班体制さえ崩壊寸前です。どこの職場でも共通です。現場を知らない本社が、上だけみている当局に、ノルマと仕事のやり方まで指示しています。JR北海道の安全崩壊の現実と全く同じです。当局に一体化したJP労組という労働組合の役割と構造も全く同じです。新人事給与制度と新一般職導入が、郵政現場の崩壊に向かうのは目に見えています。
 しかし私たちは、この間、郵政非正規ユニオン晴海分会として、マルクス主義の学習会を、ビラまき・門前闘争と一体で、着実に進めてきました。解雇撤回を闘い、職場の労働者を組織し、奥野組合員の原職復帰を勝ち取る所存です。ご支援よろしくお願いします。

----------------------------------

 奥野組合員の訴え―「労働委員会に提訴して闘います」(10月18日)


 「晴海局で働く皆さん、お早うございます。そして深夜勤の皆さん、お疲れ様です。3月末日から今日10月18日まで、毎月団体交渉を要求し足繁く通っていますが、一度たりとも晴海郵便局は郵政非正規ユニオンと私・奥野明子の雇い止め解雇撤回の団体交渉要求に対して、解雇理由と法的根拠が書いてある回答書を出してくることが出来ませんでした。晴海局は逃げの一手です。『回答拒否』を貫いています。そこで郵政非正規ユニオンと私は東京都労働委員会に提訴します。立会人を置いてどちらが正しいのか決めてもらう訳です。私としてはここまでこじれてしまった事態に悲しみと激しい怒りを感じざるを得ません。
 解雇とは何なのでしょう。解雇された人にとってどういうことなのか。ともに働くとはどういうことなのでしょうか。
 郵政というブラック企業にとっては、人を雇うのも簡単であるならば、いらなくなったら『戦力外だ』と言って即簡単にクビにする。要員不足なのにクビにする。班やチームが崩壊し仕事が回らなくなっているのにクビにする。(晴海郵便局の)長田・北澤・田中の首切り三人衆たちは『社会がそうなっているから』とか『会社規則だから』とか言いなし、『会社規則に従ったまでだ』と平然と居直っています。人の首を切って(=『殺人』だ!)おきながら何の罪悪感もないのです。不気味な達成感に酔いしれているのです(晴海局の玄関内には『めざせ管内一』という標語が掲げられています)。これが民営化されたブラック郵政の真の姿です。二回の団体交渉で今の郵政と社会の本質を思い知らされました。
 私が晴海郵便局・郵政本社と闘っているのは、解雇撤回・原職復帰はもちろんですが、何よりも当局に『解雇とは何か』『人を雇うとはどういうことか』、雇った責任を考えさせ謝罪させることです。雇い止め解雇を撤回させ、働きやすい職場にしていきましょう。『あたりまえ』が通用する社会にしてゆきましょう」

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号4-1)(2013/11/01)

 10・14 首都圏青年労働者集会が大成功!

 首都圏闘う労働組合「生きさせろ!」会議(通称:ストライキ会議)事務局

 10 月14 日、DC会館で首都圏青年労働者集会が開かれ、首都圏における世代を超えた11・3 集会への総決起態勢をうち固めました。9月に結成したストライキ会議が主催する初の集会です。各地区・職場で動労千葉に学び階級的労働運動を実践してきた仲間が、首都圏青年集会実行委員会と首広連(首都圏広域労働組合連絡会)を先頭に、東京労組交流センターとともに東京における労働学校の「実技編」として結成したのがストライキ会議です。
 集会は、新自由主義攻撃を絶望的に強行する安倍政権に怒りを爆発させ、階級的労働運動の拠点建設でぶっ飛ばす決意をうち固めました。国鉄分割・民営化以来の新自由主義政策がいま全て破綻・崩壊しようとしています。だからこそ、それがより極限的な民営化や解雇自由化といった攻撃になっています。憲法改悪と戦争、福島圧殺、原発の輸出や再稼働の攻撃も激しい。しかし、これらの攻撃は全てが破綻必至の破滅的政策でしかありません。
 一つひとつの攻撃をチャンスとしてとらえよう。「今こそ闘う労働組合を全国の職場に!」が圧倒的に可能な情勢をわれわれ自身が職場の闘いからつくりだしてきたのです
 集会におけるすべての発言は、その飽くなき実践にうち固められた確信と展望、そして決意にあふれたものでした。以下、集会での発言を抜粋し掲載します。

 ●主催者あいさつ 東京労組交流センター・ 日本機械労働組合 山口弘宣さん

 ストライキ会議は青年と首広連、東京労組交流センターが作った年代、正規と非正規などの壁を乗りこえた階級的な団結形態です。歴史上生まれたことのない組織なのでどういうものになるか全く分かりません。しかしあらゆることが挑戦です。ここにいる一人ひとりの階級性が、ストライキ会議の前進として花開いていくのです。

 ●基調提起 精研労組青年部書記長  赤羽進彦さん

 2013 年の闘いの大勝利を確信しよう。この大前進は、動労千葉の切り開いてきた反合理化・運転保安闘争路線の発展がもつ無限の可能性と展望を全国・全世界に示しています。4万5千筆の署名は難波裁判長を追いつめ、9・25 判決で不当労働行為を否定できず、国鉄改革法を自ら崩し始めた。解雇撤回まであと一歩です。JR北海道の事故の爆発もまた、国鉄分割・民営化の破綻です。解決するには1047 名を職場に戻し、反合・運転保安闘争でレールを交換させるしかありません。
 すべての怒りと闘いを11 月集会に結集させよう。職場、地域、産別を越えた1万人の結集をかちとろう。「生きさせろ!」の声をあげ、闘う労働組合を作り出し、正規も非正規もない「生きていける」社会をつくろう!

 動労千葉・動労水戸の仲間

 ●動労千葉青年部 滝厚弘さん

 ライフサイクルが終わって職場に復帰しましたが、人間関係が崩れています。東労組や北海道労組など、松崎グループの労組が強いところは、人間性が感じられません。動労千葉は人間的なつながりがあるから、嫌いでもわからなくてもとりあえず勉強はします。そういったところが大事だと思います。自分の仕事は取り戻した。やっぱり自分の仕事に自信をもって復帰へこだわることだと思います。

 ●動労千葉青年部 渡辺剛史さん

 幕張車両センターでも計画業務の外注化を強行しました。偽装請負だらけで、怒りだけしか出てきません。自分たちは絶対にJRに戻るようにがんばります。今日も武蔵野線で線路が陥没したというニュースを見ました。外注化がこのような事故の要因になっていることは間違いありません。日本の外注化を全部阻止して全世界に非正規職撤廃・生きさせろの声を拡大していくため、動労千葉青年部もがんばります。

 ●動労水戸 照沼靖功さん

 10 月1日に、業務をまわす根幹である誘導計画業務が外注化されました。起きているのは安全の軽視です。これはJR北海道で起きている脱線事故、車両火災と同じです。金をかけなければ安全を守れない。幹部の連中ではなく安全に金をかけろ! 車輪に基準の5倍以上の傷ができている。これを見過ごすわけがないが、見過ごさなければ電車は走らなくなる。現場の人は苦渋の選択で「見過ごした」のだと思うが、この一つひとつを認めたら、絶対に安全なんてありません。
 K 544 の闘争の時に交検らしい交検ができないところまで当局を追い込んだ。それは動労水戸だけではなく、職場で闘う青年たちの怒りがあったからです。安全を守るという誇り、鉄道人としてのプライドが、鉄道の安全を支える。動労千葉が闘ってきた反合・運転保安闘争をとらえ返し、それを軸に闘っていきたい。

 ●動労水戸執行委員 池田学さん

 私もいろいろな人との出会いがあって今日ここに立っています。(分割・民営化で)売店に23 年近く閉じ込められたんですけど、今年になって鈴コンのみなさんとかに出会い、もう一段、私自身意識を高めてやっていきたいなということを痛烈に感じています。
 職場支配権をめぐる闘いで、私たちの入社の頃は完全に辻川さんとか浮いていたんですよね。でもそれがあって今の動労水戸がある。闘って、闘って、動労本部に反対反対で、何がなんでも反対だったんです。ですからみなさんも、職場で浮いているみたいな話をちらっと聞きますけれども、もっと頑張って欲しいと思います。
 照沼君の存在に明らかですが、青年の1人の決起が職場を完全につくりかえていきます。だから、自信をもってやっていただきたいと思います。

 合同労組・民間で闘う仲間

 ●首都圏広域労働組合連絡会  吉本伸幸さん

 一言でいって、闘うことは楽しいことです。首広連が青年実行委員会と一緒になってストライキ会議を結成することができた。関西生コン支部、港合同、動労千葉の闘いを一つのものとする闘いとして、われわれは首広連を結成しました。職場・地域・産別を超える闘いを、われわれ首広連が職場で労働組合を甦らせ、俺らが中心で職場支配権をぶんどる。みなさん! 外注化阻止・非正規職撤廃、われわれが権力をとっていきましょう。

 ●郵政非正規ユニオン 齋藤裕介さん

 ここにいるのは巨大ブラック企業・郵政との闘いを決断した勇気ある仲間です。今の青年は非正規労働者として奴隷的扱いを受け、家庭を持つこともできない。こんな社会を許しておくことはできない。JP労組全国大会で現場の怒りが叩きつけられ、本部方針が事実上否決された。非正規はスキルダウンで時給が200 円、300 円下げられる。JP労組中央は絶対に闘いません。だから僕たちは原則的に闘う。解雇撤回の都労委闘争も年内結審を迎えます。正義は我らにあり。職場に戻って支配権を取り戻し、1千人の組織をつくる。

 ●民間交運労働者

 ダイヤ改正の度に所要時間が短縮され、定刻運行などできません。社長は「儲けを出さないと」と安全無視の姿勢を露呈しました。体制内労組は「法定速度で走れ」というのみです。絶対に重大事故が発生すると思っていた中、バスを降りた利用者を轢いてしまう死亡事故が発生しました。事故の原因は合理化にあります。死亡事故の教訓は生かされず労働者支配が強まっています。事故以降も危険なダイヤが続いているのです。
 私が執行委員をクーデター的に解任された直後、経営統合の話が進められました。会社は組合と結託してやりたい放題です。悔しさを糧に組合権力をとるまで闘います。

 ●東京東部ユニオン 宮本恵実さん

 障害者支援施設で雇い止め解雇されました。福祉に企業経営を持ち込む管理者と闘い、ニュースを職場の仲間に手渡そうと努めてきました。会社は退職・組合脱退を強要し、社労士面談が仕組まれ、解雇されました。労働委員会に申し立て、9月に審問がありました。私には労働組合があります。闘争は続きますが、勝利して団結を拡大して本当のお礼を伝えたい。

 ●ちば合同労組 古内麻美さん

 組合員を3割拡大しました。モリタメディック分会での闘いを青年部として取り組んできました。ストライキの現場、社前闘争を経験した青年がたくさんいます。自分の職場でも「人を増やせ」ということを11・3に向けた職場闘争としてやりたい。千葉県下の非正規職も組織化する。CTS(千葉鉄道サービス)の組織化とそれぞれの職場での闘いを同時に闘うことが最大の任務です。

 自治体で闘う仲間

 ●自治労越谷市職員組合 齋藤知春さん

 9月から賃金が4.62%カットとなりました。組合では8月に賃金の妥結がありました。それまで組合は「賃金削減反対」「集会や学習会をやろう」と言ってきた。しかし8月には「市長選に勝たないと大変なことになる」という理屈で賃下げへの怒りを圧殺、妥結したのです。青年部準備会が出した「賃下げはおかしい」というビラを本部が回収するということまでやった。労働組合が闘いを圧殺する役割を担うことに怒りを叩きつけたい。青年の怒りと結びついて執行部に取って代わることが最大の課題です。

 ●東京交通労働組合 大木勇次さん

 猪瀬知事は、オリンピックムードの中で東京を解雇特区にしようとしています。その中で都営交通の24 時間運行が打ち出されています。しかし東交本部は絶対反対の立場に立たない。そこには「会社あっての労働者」というイデオロギーがある。10 月の「サービス推進期間」にはワッペン着用を強要されますが、拒否しています。きっかけは2005 年の尼崎事故です。このような労務管理こそ事故の原因だからです。当局はこの闘いを理由に(人事評価で)D評価をつける。絶対に許せない。
 闘う労働組合をつくるための武器が国鉄10 万筆署名運動です。私の組合での役選勝利の原動力は10 万筆署名でした。労働者が主人公の労働組合に変えていきたい。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号5-1)(2013/11/01)

闘う合同・一般労組

オンコール撤廃闘争と国鉄署名で職場が見えてきた!

東京北部ユニオン書記長 永野佳世子

 私は社会福祉法人の特別養護老人ホーム(以下、特養)で看護師をしています。特養には夜勤看護師を配置する決まりがなく、多くの施設が夜勤は介護士のみで行っています。夜中に利用者の具合が悪くなれば、介護士が帰宅した看護師に電話で相談する「オンコール体制」をとっています。電話は深夜でもかかってくるため、遠出の外出や飲酒を控えたり浴室にまで携帯電話を持っていく看護師もいます。呼び出されれば真夜中に施設まで駆けつけ、病院に付き添わなくてはならず、極度の睡眠不足や疲労に陥ったとしても、翌日は朝から通常業務を行わなければなりません。
 オンコールは本来は夜勤業務です。しかし法人は「オンコールは勤務ではなくあくまで協力」だと、担当者には待機料など一切出ていません。仮に一定の手当が出たとしても、深夜に自宅と施設を行き来すること自体が危険極まりなく、あってはならないことです。夜勤看護師を配置するべきです。
 今年の4月に初めてオンコール担当の要請を受け、自分自身がこうした現実に直面しました。そして、組合で徹底的に議論し、オンコールは8時間労働制の解体であり、安全・健康を破壊する究極の合理化攻撃であることをはっきりさせました。2000年の介護保険導入(介護の民営化)以降、介護現場で組合が解体されている状況、さらには日本共産党・医労連などによる「聖職論」イデオロギーへの屈服のもとで、こうした現実が隠され、強制されてきたのです。だからこそ、反合理化安全闘争としてオンコール拒否闘争を闘おうという結論に達しました。組合として担当拒否を通告し、オンコール体制の撤廃と夜勤看護師の配置を求めて闘いを始めました。
 法人はオンコールを就業規則化する方向を打ち出していましたが、「協力」と言いながら業務化することの矛盾を追及し、団交で攻勢的に闘いました。そして8月から更にもう一人の看護師もオンコール担当を拒否し、オンコールに「協力」する看護師が主任一人になる状況が作り出される中で、就業規則化を阻止するという重要な勝利をつかみ取ることができました。

 アンケートを通して職場の仲間とつながった

 「今こそ夜勤看護師を配置させよう」と呼びかけるビラを作り、夜勤介護士を対象にアンケートを行いました。その日の勤務表を見ながらビラを渡す人を定めて(早番だったら6時過ぎ、遅番だったら20時すぎまで)対象者のほぼ全員に直接ビラを渡した所、6割の介護士から回答が寄せられました。そこには「毎回『今回は何もありませんように』と祈るような気持ちで夜勤に入っている」「施設の中に看護師がいたらどれほど安心して仕事ができるかと思う」などと書かれ、20名中12名が「夜勤中(18時間)全く休めないこともある」と回答していました。看護師不在の夜勤労働がどれほど介護士の負担となっているかがわかると同時に、「夜勤看護師を配置させよう」というスローガンは夜勤を行う介護士の要求でもあることがわかりました。そして、そのアンケートを通して介護士との具体的な結合が始まりました。
 また、ビラ配りの過程では夜勤をしていない介護士ともいろいろな話ができ、みなさん大変な思いをしながら勤務を支えていることがわかるとともに、「早番・遅番手当てを要求してはどうか?」と持ちかけたところ「手当があれば嬉しい」とか「自分達にも関係するからできることがあれば協力します」という声が寄せられました。オンコールを拒否した実力闘争を通して、職種や正規・非正規という分断を越えた全ての職種の労働者と一緒に闘える課題が見えてきました。
 さらに、オンコール撤廃闘争と一体で国鉄署名を呼びかけたところ、声をかけた職員のうちの半数以上(63人)が署名に協力してくれました。中には何度も断っていた方が「ビラを読んでやっぱり署名しようと思った」と言ってくれたり、動労千葉の闘いに共感して新たに物販を購入してくれる方と出逢えたり…。職場での具体的な合理化問題と一体で国鉄解雇撤回の署名を取り組んだことが決定的であり、これで労働組合に対する信頼が高まった証ではないかと考えています。

 反合理化安全闘争で職場に闘う労働組合を!

 この闘いの土台となっているのは、2010年7月に起こった訪問看護ステーションの看護師を当該にした闘いです。当時、同じ敷地内にあった訪問看護ステーションの非常勤看護師4名が現状を変えるために立ち上がりました。恐怖した法人は「要求書などで利用者の個人名を出したことが『個人情報保護法違反』」と団結権を否定し、ついには組合解体のために訪問看護ステーションの休業(のちに廃業)を強行し、4名の看護師を雇い止め解雇したのです。
 これは、組合解体のために職場を丸ごと潰し、全員を解雇するという国鉄型の攻撃でした。これに対し、私たちは全力で休業反対を闘い、さらに2年半にわたる労働委員会の末、ようやく11月29日の第1回審問決定までこぎつけました(当時、休業反対署名に協力して下さった全国の仲間のみなさん、ありがとうございました)。解雇攻撃によって職場から仲間をはぎ取られながらも、「たとえ少数でも闘う組合が職場にあることが決定的だ」と歯をくいしばり、ユニオンの仲間と論議しながら闘ってきたことが、今日の職場での新たな結合まできたのだと思います。
 今、安倍政権は、「成長戦略」の柱に医療介護をおき、この分野の徹底した市場化を進め、さらなる搾取・収奪と合理化、強労働を強制しようとしています。しかし、労働者が闘わないことを前提にして「当たり前」となっていることの中に、新自由主義の破綻があり、また労働者が団結して闘える火種があるのです。オンコール拒否闘争を通して、労働組合として闘えば新自由主義には勝てるということをつかみました。
 反合理化安全闘争こそ、職種も雇用形態も違う労働者が団結できる唯一の路線であると確信しています。オンコール撤廃闘争を安倍政権の8時間労働制解体・長時間労働強制との攻防として見据え団結を拡大していきたいです!

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号6-1)(2013/11/01)

ひめじょおん 女性部から

八尾北医療センター労組第13回定期大会を闘って

書記長 灰垣美佐子

 10月16日、仕事に出ていたヘルパーが次々と席に着き、第13回大会は始まりました。
 労組交流センターの仲間の心のこもった連帯あいさつ、動労千葉、全日建運輸連帯労組関西生コン支部、高槻医療福祉労組などのメッセージをしっかりと受け止め、議案提起に入りました。

 民営化と闘い、勝利した!

 総括の冒頭、「八尾北労組が13回目の定期大会をこの場で開催していること、奇跡のような勝利を私たちは勝ち取った。確かに八尾市はデタラメな倒産攻撃をかけてきているが、私たちには労組の団結、地域と全国の団結がある。私たちは勝ちにいこう!」と提起。組合員のものすごい集中の中、「民営化と闘い勝利してきた13年間」を振り返り、「ハッキリしたのは八尾市による一貫した労組つぶし攻撃に一つ一つ勝利して今ここに存在していること。民営化反対、一人の首切りも許さない、競争せずに助け合う、仲間を裏切らない、そういう労働者・労働組合の団結こそが奇跡のような勝利を勝ち取った力です。この誇りを土台に、新しい闘いに打って出る歴史的出発点として本日の大会を勝ち取っています」と勝利の確信を打ち固めました。
 情勢と方針提起は、私たちが全力で立ち向かってきた新自由主義が全面的崩壊を開始したこと、国鉄決戦が国鉄改革法体制=新自由主義についに風穴を開けたことを明らかにし、国鉄決戦で勝利を切り開こうと提起。9・25判決は、「国鉄とJRは別会社」という国鉄改革法の核心をふっとばした。国鉄を解雇された1047名を、すべての労働者をJRに戻せ! 国鉄分割・民営化以降の26年間で激しく進行した「解雇自由」「民営化・外注化・非正規化」の現実も全部ひっくり返せる。体制内指導部は完全に求心力を失っている。最高裁へ、第2次10万筆署名で攻め上ろうと、勝利の核心と展望を鮮明に提起。
 さらに新自由主義の破綻として、3・11福島原発事故を弾劾し、これと闘う力も労働組合にあること、来春のJR常磐線・竜田延伸絶対反対の闘い、3・11福島現地闘争を闘うことを提起。八尾北労組は、ふくしま共同診療所の協力医療機関として、被曝医療に取り組んでいく方針も決定しました。

 倒産攻撃との新たな闘いへ

 そして、「医療を全部金儲けにしてやろう」という攻撃は絶対に撃ち破れる、今こそ八尾北労組は500万医療・介護労働者の怒りを解き放つ先頭で闘おうと提起。八尾市の新たな倒産・廃院攻撃と対決し、「八尾市は家主責任をとれ!」「八尾市は建物の安全を守る責任がある! 修繕費を出せ!」と怒りに燃えて闘うこと、同時に「民営化、医療・介護破綻と絶対反対で闘う地域医療の拠点=八尾北医療センターを守る緊急2000万円カンパ」闘争に総決起していくことを全員の拍手で確認しました。
 労働組合が全てを切り開く。11・3へ共に闘いましょう。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号7-1)(2013/11/01)

元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風 第14回

 出会いを大切に

 還暦を過ぎたおっさんが、表題のように歯の浮くような言葉を講演の演題として何回か使用した。人であれ、本であれ、その他であれ、自分にショックをもたらす出会いってあるはずだ。そう確信しているが、この雑文を読んでくれている読者はどうだろうか。
 本の奥付に1973年11月15日第4刷発行とある本のタイトル【あたりまえの労働組合へ】(佐藤芳夫著:亜紀書房)を本棚から取り出して読み直している。40年ほど前の本だ。僕はこの本に出会って労働問題に関心を持つようになった。因みに僕は73年4月から労働法を学び始め、80年4月に監督官として仕事をし始めたのだ。
 <序章 本物の労働者とは何か>の箇所では、労働災害原因の分析を「すべて本人が『注意さえすれば』災害は起こらなかったという類いのもの」とする会社の見解を著者は批判し、「工程の無理な短縮や労働強化、長時間労働、低賃金、作業環境の不備などはトンと関係ないらしい」と災害の真の原因である背景を指摘している。僕は著者の前者の文言には赤鉛筆で波線を、後者には赤線を強く引いている。佐藤氏の現場を見る視点は、僕が30年間、監督官生活で実感したものだ。
 僕が講演などで語る言葉があちこちに見られる本だ。<序章>には、また「不注意が原因で怪我をするのではなく、労働強化などが原因で、その結果として注意力が低下するのだ」、まさにそのとおり! 仕事で労災事故現場を見てつくづくそう思う。
 <序章>で赤線を引いたもうひとつの箇所は、「残業をやらないでまともな生活ができたらなあ」という文言だ。8時間/日、40時間/週、の原則労働時間で生活できることが本来の姿であろう。ところが現実はどうか。全国最低額の最低賃金である高知県の最低賃金額は664円(10月26日発効)だ。法定労働時間では、31日の月は、177時間であるので、月額では、117,528円となる。公共交通機関の発達していない高知県で、生活必需品である携帯、車(バイク)を持って、そしてひとり立ちして賃貸住居を構えることができる収入といえるのだろうか。「健康で文化的な最低限度の生活」(日本国憲法25条)、あるいは「人たるに値する生活」(労働基準法1条1項)が可能だろうか。断じて否!
 佐藤氏のこの本は、労働現場を考える上でなくてはならないものとなっていた。
 自分の生き方に何らかの影響をもたらす
≪出会い≫というものは必ずあるだろう。労使関係に中立はないのだが、監督官になって、行政通達を軸として指導しなければならない間で、通達解釈に葛藤し、矛盾の中で監督・指導をしてきたが、根底には佐藤氏の「本物の労働者とは何か」を問い続けていた。これからの<出会いを大切に>したい。

 一回きりの人生 輝いて生きよう

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号8-1)(2013/11/01)

戦後労働運動史の中から 第5回

伊藤 晃 日本近代史研究者

 2・1ゼネスト

 1947年の2・1ストとその挫折は、戦後労働運動史のなかで、いまもよく論議されることです。スト直前までのぼりつめたものが占領軍の禁止命令で一転して中止になった。この指導は正しかったのか? ここで占領軍命令を蹴ってゼネストが決行されていたら歴史が変わっただろう等々。歴史を「もしも」で語ることに意味はないと言われますが、しかし、そういう問いから、ある教訓を導き出すことはできるでしょう。ただ、そのためには、私たちの関心を当時の共産党の指導の問題に止めず、広く労働者大衆に向ける必要があります。
 当時、労働者たちには、煽動への呼応だけでなく、「本気」の大衆的高揚がありました。2・1ストの主体、公務員・公営企業労働者たちは、前年秋の大闘争で多少の賃上げを実現した民間労働者から取り残され、生活の完全破綻が目前に迫っている。雇用者としての吉田茂内閣は不誠実、しかも傲慢だったから、内閣打倒の声もごく自然なものでした。
 ところが、敗戦後の労働運動の発展には、多分に米占領軍の後押しを力にしていたということがあります。その占領軍が、このときは占領秩序の混乱を恐れて、ゼネスト不許可の意向を示していました。だから問題は、占領軍に頼っている運動が、その権力に抗して大衆的な行動意志を作れるかということでした。労働者の窮乏への怒りが共通しているとしても、それがそのまま団結になるのではない。自分たちは何をすべきなのか、何が出来るのかを皆で確信する。団結はそこに生まれます。運動指導部が本当にゼネストが必要だと思ったなら、ただ煽るだけでなく、大衆的確信をつくるために本質的問題を示して本気で呼びかけ、討論を組織しなければならなかった。占領軍と労働運動との関係は何なのか。労働者たち自身がこれを議論することが必要でした。
 しかし、当時の運動指導部には、一方に占領軍を自分たちのバックに感ずる甘い期待があり、他方に労働者のあるがままの感情に頼ってこれを煽動し、急進化を期待するという傾向が強かった。だから労働運動が占領軍権力に直接向き合うことになる現実を想定しないし、ましてそれに準備するよう呼びかける必要も感じなかったのです。そこでいよいよ占領軍権力が目の前に立ちはだかったとき、指導部の頭の中だけで「巧みに」転換して弾圧をかわしたつもりだったのでしょう。この転換から労働者が学ぶことはあまりなかった。
 当時、労働者たちは、確かに自分たちの存在と権利を社会に刻みつけることで歴史を作っていたのです。その自覚、自分たちの行動の歴史的意味の自覚を生み出すことが必要でした。しかし、指導部は歴史を作る主体は自分たちだと思っていた。2・1ストで重要なのはこのことだと思います。労働者たちが自分で必死に考えるとき、占領軍に対抗する多様な行動形態が考え出されたかもしれません。ゼネストは本来そうした諸行動の頂点に立ってこそ構想されるべきだったのでしょう。

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号9-1)(2013/11/01)

地平線―反戦共同行動委員会―

労働運動の力で安倍政権を倒そう!

事務局長 北島邦彦

 10月15日から始まった臨時国会の冒頭、安倍晋三首相が所信表明演説を行った。最初の1字から最後の1字まで、労働者人民の闘いへの嫌悪と攻撃に満ちた演説である。しかし一方で、自らが述べていることにまったく自信をもつことができない、ウソの上にウソを塗り重ねた危機的な演説でもある。演説時間もきわめて短い。新自由主義の破綻の下で、「語るべき言葉」「誇るべき未来」を失った帝国主義者の末路を如実に表わしている。その内実を徹底的に暴露・批判し、安倍政権打倒への闘いを前進させよう!

 反原発の高揚こそアキレス腱

 まず第1に、福島第一原発事故と汚染水問題をはじめ事故の継続・拡大に、東京電力どころか政府そのものが対応不能に陥って追いつめられている。この核心を見すえられないがゆえに、故郷帰還運動推進のために、まったく成果が上がらない除染とインフラ復旧を空叫びするしかない。同様に「食品や水への影響は、基準値を大幅に下回っている。これが『真実』です」と、誰も信頼していない「基準値」なるもの(放射能汚染を受けて大幅に緩和した「基準値」ではないか!)を持ち出すしかなくなっている。福島の怒り、それと結びついた反原発闘争の高揚こそ、安倍政権の最弱のアキレス腱だ。

 労働者の闘いを恐れている

 第2に、「日本の隅々にまでこびりついた『デフレ』からの脱却は、いまだ道半ばです」と述べ、設備投資心理の萎縮を克服するための投資環境整備を実施するとしている。
もとより、なぜ「経済の好循環」が断ち切られたのかといった資本主義の根本矛盾(過剰資本・過剰生産力状態の泥沼化)への視点はなく、ただただ規制緩和を叫びたてるしかない。その要が「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりのための「国家戦略特区制度」でありながら、その具体的内容にはまったく触れることができなかった。「解雇特区」「ブラック特区」との批判が噴出していることに打ちのめされ、動揺している。団結した労働者階級の闘いを心底から恐怖しているのが、安倍晋三という日本帝国主義のトップなのだ。
 第3に、消費税率3%引き上げの言い訳に汲々としている。空手形でしかない「社会保障の財源確保のため」なる大ウソを繰り返しながら、結局は「強い経済」こそ社会保障の基盤であるという結論を導き出している。終始一貫、資本救済の論理である。まさしく「99%」の階級敵だ。

 戦争・改憲攻撃と闘おう

 第4に、外交・安全保障への言及で特徴的なことは、「日米同盟を基軸」と規定しながら、肝心のアメリカとの関係構築についての言辞がほとんどない。「世界の平和と安定に積極的な責任を果たすことなくして、もはや我が国の平和を守ることはできません」と言っているが、その「積極的平和主義」の担保であるべき日米同盟がギクシャクしているなかでは、暴走する軍事大国化とならざるをえない。労働者の国際連帯にもとづく階級闘争の餌食にしてやろうではないか!
 安倍政権の命運は、国鉄決戦を先頭にしたわが階級的労働運動と、それを軸とする反戦闘争が握っている。安倍政権を打倒しよう!

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号A-1)(2013/11/01)

闘う労働組合の物販にご支援を!

 動労千葉の'13冬季物販にご協力を

 

夏季物販へのご協力並びに、東京高裁への 「解雇撤回・JR復帰への要望書」への署名及び署名活動、本当にありがとうございました。
9月25日、東京高裁は判決で、私たち動労千葉争議団12名が当初「採用候補者名簿」に名前が載っていた事、そして改革労に触発されて、差別し不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の元に名簿不記載基準を策定し、12名をJR東日本の採用者名簿に記載しなかった行為を不当労働行為と認める判決を下しました。しかし不当労働行為を認めながら解雇撤回を認めず、慰謝料なるもので終わらせようとしています。
断じて許せません。不当労働行為には原職復帰=JR復帰しかありません。こんな事を認めたら金を出せば労働者の首は自由に切れる事になってしまいます。
今回の物販は最高裁への新たな「解雇撤回・JR復帰への要望書」署名を呼びかけて闘います。闘いは確実に敵を追い詰めています。
頂く団結の力で労働者としての誇りを持って闘い勝利します。皆様のご協力をお願いします。共に闘いましょう! 団結
国鉄千葉動力車労働組合協販部部長 中村仁
TEL 043-227-7833 FAX 043-227-8125

 解雇撤回・非正規職撤廃!安全破壊のJRと闘う! 和解拒否の国労原告団2013年冬季販売にご協力を

 国鉄分割・民営化の失敗は誰の目にも明らかとなり、解雇撤回まであと一歩です。
 9月10日、最高裁は解雇撤回を求めた秋田闘争団・小玉忠憲さんの鉄道運輸機構訴訟において上告棄却の決定を下しました。小玉さんは家族とともに不退転の決意で闘い抜くことを宣言しています。動労千葉と共に解雇撤回まで闘います。 
 また、JR北海道の安全崩壊はJR体制の破綻を象徴的にあらわす事態です。和解を拒否して闘う旭川闘争団・成田昭雄さんを先頭に国鉄分割・民営化の全てをひっくり返すべく闘います。国労物販への一層のご支援をお願いします。

国労原告団互助会
東京都品川区大井1丁目34−5河野ビル3階
なんぶユニオン気付 
 TEL 03-3329-8815 FAX 03-3329-8821

 ス労自主の年末物販にご協力を

 8名の不当解雇撤回闘争を基軸に闘うス労自主闘争物販へのご支援をよろしくお願いします。
 昨年6月、エクソンモービルが事実上日本市場から撤退し、子会社であった東燃ゼネラル石油に株式に相当する「持ち分」を買い取らせ、社名をEMGマーケティング合同会社に変更し、ス労自主闘争はいよいよ正念場を迎えています。親会社となった東燃ゼネラル石油との闘いも射程に入れて、団結を一層強化し闘っています。
 1世紀にわたり日本で暴利を上げ、その全てをアメリカ本国に送金し、収奪し尽くして日本市場から総引き揚げしたエクソンモービルを絶対に容認・放置するわけにはいきません。ス労自主は「エクソンモービルの日本市場撤退に絶対反対」で闘います。
 「ス労自主2013年年末物販闘争」へのご支援をよろしくお願いします。
<京浜地域とそれ以東の方のご注文>
東京都武蔵野市吉祥寺東町4-15-23中西方 
ス労自主京浜分局 TEL&FAX 0422-57-4417
<西日本地区からのご注文>
大阪府豊中市新千里東町1-2-8 EMGマーケティング合同会社内
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合
TEL 06-6873-3865 FAX 06-6832-7516

 沖縄バヤリース13'冬物販

 「民営化・外注化、非正規職化と闘う労働組合を私たちの手に」を掲げ、沖縄電通の動労千葉派は、10月1日を期してNTT決戦に突入しました。基地労働者は、被曝労働拒否の原発労働者と生きた連帯をかけて、新たな決起を開始しました。沖縄労働運動の情勢決定要因こそ、動労千葉派の存在と闘いです。
 こうした中で「復帰」42年の2014年5・15沖縄闘争は、NTT決戦と「教育の民営化」を打ち破る沖縄大学の自治会再建決戦を軸に、改憲・TPPと辺野古新基地建設を阻み、新自由主義を根底的に打ち破る労働者国際連帯闘争となります。
 2013年バヤリース労組冬季物販は、沖縄労働運動復権の水路です。一層のご協力をお願いします。

 沖縄バヤリース労働組合物販センター
 沖縄県南城市玉城字百名509
 TEL 090-2710-2008  FAX 098-948-1651

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号B-1)(2013/11/01)

読者のページ

 出来レースだったのか 今年のJP労組大会

東京・F郵便局 森内一郎
 今年のJP労組大会で「新人事・給与制度」というとんでもない制度が妥結承認されてしまった。「頑張ったものが報われる」などと宣伝しているが、これは労働者を競争させ分断して、団結を破壊していくものである。ゴマをすった人間が報われ、そしてそのような連中が管理者になって現場が大混乱するのである。
 私の職場のゆうパック部では、前の部長がゴマすり野郎で仕事はできない、そしてパワハラのやり放題。その結果、仕事が出来る人が20人以上辞めた。人が入ってきてもすぐ辞めてしまうので、私も正確には人数を把握していないが、そういう人も50人以上辞めていったのである。ともかくとんでもない奴のお陰で職場は大混乱なのである。このような現状をさらに悪くする制度を認めたのが今回のJP労組大会である。
 この議案は、他の議案と比べて3倍以上の反対票が出たのである。でも、この議案が通ってしまった。現場で働いていない中央執行委員が通してしまったのである。ナンセンスである。
 それから驚いたことには、このとんでもない議案が通って1ヵ月も経たないうちに、会社から「新人事・給与制度」のDVDを見せられた。もうあらかじめ会社が作っていたとしか考えられない。
 こういうとんでもない職場を変え、JP労組本部を倒して、労働者が主役の職場を作りたい。

---------------------------------------------

 動労千葉労働学校 第13期労働学校日程


■基礎講座
◆戦後労働運動史
 第2回 戦後労働運動史の中の動労千葉
11月16日(土) 13:00〜
講師 伊藤 晃(日本近代史研究家・国鉄闘争全国運動よびかけ人)
 戦後労働運動の中に動労千葉の闘いを位置づけた新たな提起。『無産政党と労働運動』(社会評論社)など著書多数。
■場所 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

| HOME | 目次 |

月刊『労働運動』(284号C-1)(2013/11/01)

Photo Document

 官邸前行動 汚染水流出に怒り!

9・6東京
首相官邸・国会前において金曜行動が展開された。福島原発からの放射能汚染水の流出が止まらないなかで、労働者民衆の危機感が急激に高まっている。官邸・国会前でも、参加者が次々とマイクを握り、安倍に心の底から怒りを表明した。「再稼働反対!」「海を汚すな!」「命を守れ!」―首相官邸に向け、いつもより激しいコールが響き渡った。

 動労水戸 10・1外注化阻止のスト!

9・13茨城
動労水戸は、誘導・計画業務10・1外注化阻止を掲げて第2波ストライキに立ち上がった。木村郁夫書記長は「昨年の外注化強行から1年で、どれほど職場が混乱し、安全が破壊されたか。JR水戸支社ですら団交で『(外注化の現状は)課題がある』と言わざるをえない現実だ」と怒りをあらわにし、「今こそ声をあげよう」と職場の若い仲間に訴えた。

 「さようなら原発」大集会!

9・14東京
東京・亀戸で「さようなら原発」1000万署名市民の会が呼びかける集会・デモが行われた。落合恵子さんは「この瞬間も一日400dもの地下水が、壊れた原子力建家に流れ込んでいます。どこがアンダーコントロールですか」と断罪し、大江健三郎さんは「将来の子どもたちのために生きていくことの出来る社会を残す。それをどうしても行動に示したい」と訴えた。

| HOME | 目次 |