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帰還と被曝の強制を許さない!― 8・29いわき闘争

月刊『労働運動』34頁(0307号02/04)(2015/10/01)


帰還と被曝の強制を許さない!― 8・29いわき闘争の報告

(写真 JR水戸支社前で訴える動労水戸の青年たち)
(写真 いわき市内をデモ行進)

西納岳史(動労水戸書記)

 8月29日、いわき市・平中央公園にて「帰還と被曝の強制を許さない!8・29いわき行動」が開催されました。ストに突入した動労水戸や茨城・福島をはじめ全国から300人の仲間が参加しました。9月5日の楢葉町避難指示解除に対する怒りを訴え、常磐線全線開通阻止の闘いをさらに力強く打ち抜いていく集会となりました。
 今回の闘争は、動労水戸、いわき合同ユニオン、NAZENいわき、そして「被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘」の共催として打ち抜かれました。準備の過程で市内の仮設住宅を回り、帰還強制政策への怒りを共有して結集を呼びかけました。3・11震災と原発事故以降、動労水戸の被曝労働拒否・常磐線開通阻止の闘いやふくしま共同診療所報告会などの取り組みを構えるごとに毎回必ず仮設住宅を回り訴えてきた結果、「闘う国鉄労働者・動労水戸」の存在は仮設住宅では誰もが知るところとなっています。その圧倒的信頼が闘う原発・除染労働者との結合を生み、被曝労働の最前線に労働組合をつくる挑戦が開始されています。
 今回の集会でも、除染労働で働く仲間を過酷な搾取と被曝労働から守るために自らの首をかけて決起した労働者が初めて集会に参加し、「労働者として、人間として、当然の権利が認められる職場を実現したいという一念で闘う」と熱烈なアピールを発しました。
 今回の闘争は、動労水戸と一体で、地域に闘う労働組合の新たな拠点建設に挑戦する合同労組いわき合同ユニオンが牽引した闘いでした。原発・除染労働者を組織しつつ、青年労働者の解雇争議を機に解雇撤回署名で街頭に打って出る闘いが進んでいます。入社からわずかな期間の青年労働者に「能力不足」のレッテルを貼って一方的な解雇を強行した上に、解雇絶対反対の闘いの発展に恐怖して団交を拒否し提訴に踏み切った有機合成薬品工業株式会社(YGK)との闘いは、当該組合員が労働組合の団結にかけて絶対反対を貫き闘っていることによって敵の側の墓穴に転化しています。今年春から始まった解雇撤回街宣は、いわき駅前での街宣を軸に署名が500筆を超えました。裁判闘争支援という明快な訴えに対して、多くの街頭カンパも寄せられています。
 誰もがYGKによる提訴攻撃に驚き怒り、解雇攻撃は全く他人事ではないという共感が広がる情勢です。この解雇撤回闘争の進展が、新たな労働相談や新組合結成に結実しようとしています。集会では地元いわきの青年労働者が主催団体を代表して発言し、階級的労働運動の実践で鍛え上げられた逞しい姿を参加者に強く印象付けました。
 集会の圧巻は、全国から結集した動労総連合の仲間からの発言でした。集会冒頭には昨年10月に急逝された関西労組交流センター前代表の富田益行さんをしのぶ黙祷が行われました。その富田さんが熱望してやまなかった「動労総連合を全国に!」を体現して全国のJR職場で闘い抜いている仲間が総結集しました。
 動労千葉は、外注化・非正規職化・地方破壊・インフラ輸出という新自由主義の国策に最先頭で加担するJR東日本が、これらの攻撃と一体で被曝労働強制を進めていると弾劾し、秋の外注化阻止決戦に打って出ることを宣言しました。動労西日本は、動労総連合こそがJR労働運動の唯一勢力であると喝破、「動労総連合を全国に建設しゼネスト情勢を引き寄せよう!」とアピールしました。動労神奈川の青年は、2回の解雇攻撃を粉砕した闘いを生き生きと報告しました。動労総連合・新潟を結成した青年は、全てのJR青年労働者の現実に向き合い、闘う団結を作るために新組合を立ち上げた思いを訴えました。郡山総合車両センターの橋本光一さんは「絶対反対は行動で示す」と動労福島結成に向けた決意を明らかにしました。
 長崎闘争と川内原発反対闘争に参加した福島診療所建設委員会の佐藤幸子さんは「原発労働者が会社の命に背いてでも原発を止める決起が求められている」と提起しました。動労水戸支援共闘の小玉忠憲さんは「単なる支援を超えて、断固として動労水戸と共に闘うというスタートとしたい」と宣言。動労水戸家族からは、被曝労働を進める安倍政権と闘うアピールが発せられました。動労水戸の青年は、本日のデモでいわき運輸区の労働者に被曝労働拒否を訴えようと提起し、小竹運輸グループ労組の野澤英人副委員長は、地労委から逃亡した資本を痛烈に批判しました。「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」からは「星野文昭さんの闘いの地平が動労総連合全国建設に結実している」と確信に満ちた発言が続きました。茨城県地域連帯労組の仲間は、この間の仮設住宅オルグの経験からあらゆる分断を乗り越えて闘おうと訴えました。全学連の斎藤郁真委員長は、戦争法案粉砕・安倍政権打倒の全国大学ゼネストを実現する決意を表明しました。
 最後に、集会まとめを全国労組交流センターの辻川慎一代表が提起。「6・30最高裁判決は動労千葉の分割・民営化阻止ストの正義性を示した。国鉄決戦の前進が確実に安倍を心胆寒からしめている。いわきにおける階級的労働運動の実践はゼネストの現実性だ。全国の職場・学園・そして地域にゼネスト拠点を建設しよう!」と熱烈に訴え、動労水戸の国分勝之副委員長が「闘いの炎をいわきの人々の心に燃え移らせよう」とデモ方針を提起、いわき合同ユニオンの西納岳史書記長の団結ガンバローで市内中心部を席巻するデモに打って出ました。
 デモは、駅前大通りから踏切を渡ってJRいわき運輸区を直撃するコースです。運輸区前では動労総連合の青年がマイクを取って「被曝を拒否し共に立ち上がろう! 動労水戸に結集しよう!」と仲間に向かって声の限り訴えました。デモ後は、いわき駅南口を行きかう人々が注目する中で一日の行動を勝利的に確認し、締めくくりました。