2005年1月号(No.178)目次
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労働者の目 この国の行方、われわれの未来

労働ニュース
  ●税金/サービス残業 ●消費者物価など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集  05年をいかに闘うか
  ●〈ランクアンドファイル〉の自信と誇りをもって、05年階級決戦へ
  ●昨秋共謀罪決戦に勝利!共謀罪を廃案に
  ●第3次安保・沖縄闘争の爆発へ 

第22回被災地反失業総行動へ集まろう

闘う合同労組 第5回 沖縄(南部)一般合同労働組合

SPOT&CRITIC  市場化テスト

私の職場から  福祉事務所

たたかいは進む   ●立川ビラまき弾圧   ●全金本山など

読者のページ

・編集後記

・PhotoDocument (2004年10月〜11月)


労働者の目

●この国の行方、われわれの未来

 全国労働組合交流センター代表運営委員
 ス労自主中央執行委員長 入江 史郎

 いつの間にか、平成と元号が変えられてから17年にもなる。そして、わが労働組合交流センターも結成17年目を迎えることとなった。まったく分相応に、常に時代に立ち向かい、よくぞ、ここまで持ちこたえてきたものだ。
 世間では、「失われた10年」と言われている時代に、われわれ全国労組交流センターは、動労千葉とわずか1000余の労働者が全国各地、各職場で孤軍奮闘しながら、国鉄分割民営化反対闘争をはじめ、PKO闘争や被災地闘争、有事立法・イラク反戦闘争と闘い続けて、ついに03年11・9〜04年11・7の日韓米労働者の国際連帯を全国金属機械港合同・全日建関西生コン支部・国鉄動労千葉3労組の呼びかけによる全国労働者総決起集会として実現した。
 しかし、04年、イラク侵略戦争は続き、わが日本の小泉自公政権による自衛隊イラク派兵が行われ、12月9日、閣議決定により派兵延長が決められた。戦後日本国憲法に先行して制定され、教育基本法とともに現憲法を体現してきた労働組合法は改正(悪)法案が、闘いにもならないままに11月2日、同9日と衆参両院でたて続きに全会一致で可決し、同10日に成立し、1月1日より施行される。
 2005年、もはや、労働者は立ち上がるしかない。繰り返されるリストラ解雇・失業、賃下げ、労働強化、サービス(?)残業、労災死の続発、増税、年金崩壊など、小泉自公政権と奥田経団連の繰り出す憲法改悪=戦争国家への道を、このまま傍観していてわれわれ労働者・国民の未来はない。
 若者たちも、必ず決起する。われわれが70年安保=ベトナム反戦=沖縄闘争を闘った時のように、それは、決してわれわれの思い通りにではない。われわれと意見を闘わし、先輩たちに、指導者たちに逆らい、刃向かい、われわれを乗り越えて小泉自公政権打倒―自衛隊イラク撤兵―改憲阻止の闘いに立ち上がってくるはずだ。
 間違いない!
 すでに、資本主義の命運は尽きているのだ。

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●労働ニュース(04年11月16日〜12月15日)

定率減税 来年度に半減
 自民、公明両党は14日、与党税制協議会を開き、国税の所得税と地方税の個人住民税の定率減税について、05年度に半減することで合意した。本来の納税額から一定割合を割り引く控除率、減税上限額(29万円)を所得にかかわらず半分にする。財務省の試算では、税や社会保険料の負担増は05年が1・1兆円、06年度はさらに2・1兆円になる。

 解雇、50社で420人
 新潟県中越地震の被災地で、地震のため勤務先を解雇された人が420人に上ることが、新潟労働局のまとめでわかった。解雇したのは、休業に追い込まれるなど地震の影響を受けた50社で、とくに観光や製造業で目立つという。同局は「解雇者はさらに増える懸念がある」としている。

 統計職員1千人超5年間で削減
 農林水産省は、統計関係職員を05年度からの5年間で1千人以上削減する案を検討している。農水省は政府全体の統計担当者の約7割を抱えており、実現すれば、その4分の1を減らすことになる。

 「心の病」休職最多3千194人
 精神性疾患のため、昨年度に病気休職した全国の公立学校教員は、前年度より507人増えて過去最多の3千194人だった。文部科学省が10日、まとめた。また、懲戒処分を受けた教員の数は、「わいせつ行為等」が155人、「体罰」が173人でいずれも過去最多だった。一方、卒業式などで「君が代」の斉唱時に起立しなかったとして東京都教委が大量処分を行い、この問題をめぐる全国の懲戒者数は前年度の約7・5倍の194人にのぼった。

 下から2ランクは定昇3カ月延伸
 都教育委員会は、公立の小中学校や高校の教師に対する人事考課制度を活用し、校長による5段階の絶対評価で下から2番目までの教師は、年に1度の普通昇給(定期昇給)を3カ月先延ばしする制度を来年度から導入する。文部科学省によると、教師に対する業績評価で、定期昇給延伸にまで踏み込むのは全国で初めて。

 元教諭を在宅起訴
 東京都板橋高校の卒業式で「国家斉唱時には着席を」と大声で発言するなどとして式の円滑な進行を妨げたとして、東京地検は3日、藤田勝久・同校元教諭(63歳)を威力業務妨害の罪で在宅起訴した。

 埼玉県教育委員へ「つくる会」前幹部へ就任要請
 埼玉県が、「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)の前副会長である高橋史朗・明星大学教授(54)に県教育委員への就任を要請していることが6日、分かった。

 国立大授業料来春値上げ
 文部科学、財務両省は14日、国立大学の年間授業料の目安となる「標準額」を来年4月、現行の52万800円から1万5千円引き上げ、53万5千800円とする方向で調整に入った。国立大は昨年4月の法人化で、各大学が自由に授業料を設定できる。

 少子化社会白書 初の発表
 内閣府は3日、少子化の原因や背景、経済への影響を分析した「少子化社会白書」を発表した。白書は、少子化の原因として晩婚化、未婚化の進展を挙げ、「皆婚社会が崩れつつある」と指摘。

 パパの育休、義務化
 群馬県太田市は来年1月1日から男性職員に対し、子供が生後1年に達する日までの間、連続1週間の育児休暇を計6回とるように義務づける。総務省公務員課によると、「すべて把握しているわけではないが、休暇を義務づけるのは聞いたことがない」という。

 残業代「付け替え」増加
 賃金不払いのサービス残業に対する労働基準監督署の是正指導が強まる中、基本給をカットしてその分を残業代に付け替える企業が目立ってきている。付け替えを容易にするパソコンの給与計算ソフトも売り出され、弁護士らは「残業代を払ったようにみせて労基署の指導逃れを図るものだ」と問題視する。

 残業代14億円未払い
 東京電力は18日、02年7月〜今年6月の2年間に本店勤務の社員約2千800人に対し、計14億4千100万円分の時間外手当の未払いがあったとの社内調査結果を公表した。

 ビックカメラ捜索
 家電量販店大手のビックカメラ(東京)が時間外賃金を払わずに従業員にサービス残業させた疑いが強まったとして、厚生労働省の東京労働局は25日、労働基準法違反容疑で同社の家宅捜索を始めた。

 残業不払いで郵政公社提訴
 日本郵政公社の日本橋郵便局(東京都中央区)に勤務する男性職員が10日、残業したのに割増賃金を支払わない「サービス残業」が常態化しているとして、今年4月から11月までの不払い賃金と付加金を合わせた計約250万円を支払うよう郵政公社に求める訴訟を東京地裁に起こした。

 時短「1800時間目標」を廃止
 厚生労働省は16日の労働政策審議会に、労働時間の短縮を企業に求める時短促進法の改正素案を示した。時短を促す政策は引き継ぐものの、働き方の多様化で実態とずれの生じている年間平均労働「1千800時間」の政府目標を廃止。

 法定雇用率 うつ病も適用対象に
 うつ病などの精神障害者の雇用促進策を検討してきた厚生労働省は13日、障害者雇用促進法改正案を固めた。従業員の1・8%を障害者とする法定雇用率の対象に精神障害者を加え、長時間働けない状態にも配慮し、週20時間以上30時間未満の短時間しか働けない場合でも0・5人として雇用率にカウントするのが柱。来年の通常国会に提出する。

 地方公務員給与各地で民間上回る
 内閣府は17日、多くの都道府県で地方公務員の給与が同地域の民間企業の給与を上回っていることを示すアンケート結果を公表した。

 消費者物価5年ぶり増
 総務省が26日発表した消費者物価指数は、10月の全国の総合指数(00年100)が前年同月比で0・5%上昇して98・8になった。前年を上回ったのは5年2カ月ぶりで、98年12月の0・6%以来の高い伸び率。

 春闘終えんを強調
 日本経団連の05年経営労働政策委員会報告の全文が明らかとなった。ベアや定期昇給については「役割を終えた」として否定するとともに業績回復の賃金の反映は一時金に留める方針を堅持。労使で経営課題の方策を検討する「春討」の重要性を述べて、あらためて春闘の終えんをを強調している。

 労働日誌(04年11月〜12月)

11月22日
 政府の規制改革・民間開放推進会議は、基本方針を発表。医療・介護・教育の3分野7項目を重点事項に位置づけ、職業紹介事業(ハローワーク)、社会保険業務の民間開放などを追加した。

11月24日
 日本経団連は、政治献金の基準となる05年の優先政策事項に「安全保障・外交政策」を盛り込むと発表した。

11月25日
 連合は、今春に続いて来春の賃金交渉でもベースアップ(ベア)の統一要求を見送る方針を正式に決めた。

11月30日
 総務省は、労働力調査結果を発表。それによると04年10月の完全失業者数は311万人(前年同月比32万人減)となり、完全失業率は、4・7%(前月比0・1上昇)となった。

11月30日
 政府は、05年度から導入する官民競争入札(市場化テスト)で、社会保険庁とハローワークの業務を対象事業とする方針を固めた。

11月30日
 自民党の郵政改革関係合同部会は「郵政公社の4分社化方針は困難」との論点整理をまとめた。

11月30日
 参院厚生労働委員会は、育児休業期間を現行より半年間延長する育児・介護休業法改正案(05年4月より施行)を可決した。

12月1日
 金属労協は、05年春闘方針を決めた。統一ベア要求を3年連続で見送り、「35歳の標準労働者」で「月額30万9千円以上」を掲げた。

12月7日
 政府は、込む員制度改革関連法案に盛り込む予定の「能力等級制」の試験的導入の方針を固めた。通常国会への法案提出を見送り、試験導入による評価基準の作成などを先行させる考え。

12月10日
 政府が作成中の新行革大綱案が明らかになった。国家公務員の定員を5年間で10%以上削減する目標を明記し、市場化テスト(官民競争入札)を推進する「市場化テスト法」(仮称)を05年中に整備するとしている。

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●事件後5カ月もたって被害届けを提出、さらなる逮捕、起訴のもとをつくる

  国労5・27臨大闘争弾圧 第32回公判

 11月29日東京地裁104号法廷において「国労5・27臨大闘争弾圧」事件の第32回公判が開かれた。今回の公判では前回に引き続き被害届を警察に提出した江田雄次が証人とし出廷した。この被害届の日付は10月17日で、臨大が開かれた5月27日から5カ月もたった後である。この被害届けの結果、さらに橘被告と小泉被告が追加逮捕され、起訴される原因となったのである。このとき東京地本の酒田とあのバスの中からのビデオ撮影をした鈴木勉が深く係っていたことが明らかになった。

 〈ビラまきはなかった〉という前回公判でのウソ証言は完全に粉砕される

 江田証人は前回の31回公判で「ビラまきはされなかった、暴力による大会開催阻止だった」と証言した。被告らが手にビラを持っていたことすら否定するとんでもない証言を行ったのである。この日の尋問ではまずこの証言が事実とまったく異なることを明らかにすることから始められた。
 萱野弁護人はこれまで何度のなく上映されている杉並ビデオの冒頭の部分を再度上映した。被告たちがビラを手にして歩道のところに立っていて、ホテルから客が出てくると道をあけて通し、国労の人々を待っている、そこへ笹原を先頭に大会役員らが一団となって向かって出て来る様子が映しだされた。弁護人から「これがそのときの事実でしょ」と証人に確認を求めたのに対して、先頭の笹原のすぐ後にいた江田は「笹原さんのかげになって見えなっかた」という。また「われわれがバスに乗ろうとするを通さないように被告たちは通路をふさいで妨害した」などとも言っていたが、ビデオに映っているビラをもった被告たちの間隔はかなり空いていてとても通行阻止を目的とするようにはまったく見えない。このような明らかな事実に対しても江田は「私にはそうは見えなかった」と言ってはばからない。弁護人からは「そんなはずはないのではないか」と厳しい追及がなされたが、裁判官は「証人がそう認識していたのだから」と証人をかばうような言い方をする。どう見ったておかしいにもかかわらず、法廷では証人のそのときの自分の主観的認識ということで通用してしまうようだ。裁判官はなぜ「それはおかしいではないか、それでは偽証になりますよ」くらのことは言えないのかと思う。
 このようなまったくけしからん江田の証言も、自分自身による検察官への調書に「横一列になってビラ束を持っている者も何人かいた」と言っていることがつきつけられ、完全に覆えされた。これに対しても江田は小さな声で「忘れました」といったので、東さんが被告席からの「おれたちはこんなことで1年3月も勾留されたんだ」という怒りの叫びを証人にたきつけた。最後に一瀬弁護人から「証人の記憶違いでしょ、訂正されますね」と念をおされて、小さな消え入るような声で「そうです」と言わざるをえなかった。江田は自分のウソが明らかになり、都合の悪い答えのときは声が急に小さくなる。裁判長から「証人はもっと大きな声で答えるように」との注意がなされた。

 江田の被害届けは10月7日の杉並ビデオ押収後に酒田、鈴木の薦めに従がって作成されたもの

 なんと彼が出した被害届けの日付は10月17日となっていている。5・27臨大から5カ月も後であり、10月7日の8名逮捕のとき押収された杉並ビデオを神田警察で見て被害届けを作成したという事実も明らかになった。これがもとでさらに2名の逮捕者が追加されたのである。
 事件現場以外での逮捕であるから、暴力行為の被害者の方からまず自分の受けた被害について被害届が提出され、それをもとに捜査がおこなわれて容疑者を特定される。これがごく当たり前の道筋であるにもかかわらず、ここではこれが完全に逆転してしまっている。ビデオに映っている状況からまず逮捕する容疑者を先に決めて、それをもとに被害届けが警察主導で作られた、このようなおぞましい情景がいま明瞭に見えてくるのである。あらかじめ描かれた、共謀による大会開催阻止のための暴力行為という酒田らが警察と協力して作ったデッチアゲのシナリオに添うかたちで江田が役割の一端を担っていった様子がこの10月17日の被害届けに明らかに顕れているのである。
 一瀬弁護人のほうから「10月7日に8人が逮捕された後に、あなたは被害届けを出したわけだが、逮捕のことはその日のうちには知っていたでしょう」と質したのに対して、江田はあきれたことに「知りません」と答えた。そこですかさず弁護人は「あなたは東京地本の執行委員として知らないわけはないでしょう、組合員が逮捕されたというニュースはとても衝撃的なことではないですか」と問い詰めたところ、憤然として「覚えていないと言っているでしょう」といったので、弁護人は「そんなふてくされた態度はないでしょう」と注意し、傍聴者もあまりにもひどい証言態度にあきれかえった。さらに一瀬弁護人のほうから「大会後の6月ごろに警察がうごいていることを東京地本ではどう認識していたか」「鈴木ビデオが警察に提出されたことを知っていたか」などの質問に対しても、江田は「聞いていない」、「忘れました」と言う。執行委員の一員でありながらなにも知らないということもおかしいし、忘れたと言うのには被告をはじめ傍聴席の皆はもっとはらだたしい思いになる、「大切なことだ、もっとまじめに思い出せ」と叫びたくなる。

 「証拠があれば警察に逮捕してもらうことができると思っていた」と警察の手をかりた弾圧を望んでいたことを暴露

 酒田がバスの中から携帯電話で警察に介入を要請していることや、鈴木勉が証拠集めのためにひそかにビデオ撮りをしていたなど、この5・27臨大闘争弾圧があらかじめ準備されていたことはこれまでの公判の中で明らかにされ、すでによく知られているが、今回の江田証言においても暴力があったとする証拠を求めていたことが明らかになった。
 弁護人からの「なんで直後に被害届けを出さず、10月になってから出すようになったのか」との質問に、江田は「以前から暴力があって、やめさせられないかと思っていたが、証拠がないのでむずかしい、鈴木さんからビデオが押収されたといわれて、神田警察署でそれを見て被害届けを書いた」とその経緯を証言した。弁護人からの「証拠があればというのはどういうものを考えていたのか」との問いに、「診断書とか写真とかビデオなどがあればと思っていた」と答えた。「それなら大会後に鈴木ビデオを見ていないのか」との問いに、またしても「おぼえていない」と言う。「それでは現在ではどうか」との問いには「10月17日に押収された杉並ビデオと一緒に警察で見たと思う」と答えたが、なんとか証拠集めができないかとしてあらかじめビデオを準備していたのだからすぐに見ているのが当然だと思われる。しかも5月27日に直後に東京地本では各自の体験を記録することはやっていないという、組合としての事実関係の調査はせず、その一方で会計監査であった石井などは喫茶店で警察の人間と会ったことを以前の公判で証言している。本部派のきわめて汚いやりかたの一端がかい間みえるのである。おそらく鈴木ビデオではあまり暴力につながるようなものは撮れていないということで一旦あきらめた江田への暴行を杉並ビデオからなんとか作り上げ、逮捕者を一人でも増やそうというまさに弾圧としての本質がみえてくるのである。
 次回公判ではさらにこの江田証人への尋問つづけられる予定である。ぜび多数の傍聴をおねがいしたい。 (「許さない会」南部会員)

 公判日程   第34回 1月13日(木)  第35回 2月8日(火)  第36回 2月23日(水)   第37回 3月16日(水)  第38回 3月29日(火)
 ★集合時間12時30分  東京地裁

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特集 05年をいかに闘うか

●〈ランクアンドファイル〉の自信と誇りをもって、05年階級決戦へ

 11・7労働者集会が切り開いた地平

 全国労働組合交流センター代表運営委員 中野 洋   

 結成15年、交流センターの存亡をかけて勝負した

 国鉄分割・民営化攻撃が強行されて89年に総評が解散して連合、全労連ができた。闘う労働運動をつぶして、労働運動から階級闘争とか労働者階級という考え方を一掃していく攻撃だった。以降、日本の労働運動は、労働条件も、権利も、労働組合の社会的影響力という点でも、後退につぐ後退を余儀なくされてきた。89年の全国労組交流センターの結成は、連合化した労働組合、労働運動を現場の労働者の手に取り戻そう、階級的な労働運動を再生させようという呼びかけだった。当時は必ずしも自覚していたわけではないが、交流センターとは、まさにランクアンドファイル運動として出発したわけだ。
 歴史的に見ると、95年に日経連「新時代の日本的経営」報告が出て、3種の神器と言われていた終身雇用制、年功賃金、企業内労働組合を解体していく攻撃が強まった。他方では自社連立政権の成立によって、戦後的な平和と民主主義も完全に解体されていくという状況のなかで、「闘う労働組合の新しい潮流」運動を動労千葉を中心にして開始した。それが3年後に、動労千葉と港合同と関西生コンの3組合が呼びかける「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」運動に発展した。04年は、新潮流運動から数えると10年目、3組合で数えると7年目の11月集会だった。
 時代は、21世紀に入って01年に9・11同時ゲリラが勃発し、03年にアメリカがイラク侵略戦争を開始する中で、われわれは国際階級闘争が大きく歴史的転換をとげたという認識をした。帝国主義がむき出しの帝国主義として登場し、消費社会のなかで生きていくことだけは許容されてた労働者人民が文字通り食っていけない状況が到来した。
 今までの延長線上では、敵の危機にかられた攻撃に対抗できないし、われわれ内部にも根強く残っていた戦後的な、55年体制的な体質と決別しないと運動も発展しない。自らの存亡をかけた変革と一大飛躍を実現できなければ、交流センター運動が解体・消滅しかねない、そういう局面に立たされていた。

 11・7が切り開いた地平

 11・7集会は、参加人員が実数で3600名、これは去年から500名多い。労組賛同は149労組で、去年は69だから2倍強となった。個人賛同も去年の225から386に増えた。数字にも表されているとおり、今までとは画然と広がりをかちとった。しかも中身を見ると、連合、全労連傘下の現場の3役クラスの活動家たちが数多く参加してる。さらに、青年労働者が顕著に増えた。30歳台以下は、全参加者の1割強で、400くらいだが、集会全体が若々しい雰囲気になったことは参加者の共通認識だと思う。発言する側と会場にいる労働者たちが一体感をもった、いままでにない感動的な集会だったし、多くの参加者がこんな感動的な集会は初めてだったといっている。ある種の義務感から運動をやっているというのではなくて、これだけ真剣に闘っている労働者が一杯いる、この道を進めば何とかなるという確信を与えたことは、非常に大きいことだ。
 ひとつは、国際連帯集会としてILWUローカル10、韓国の民主労総ソウル地区本部、動労千葉以下の日本の3組合が昨年以上に国際連帯の実を強めたということだ。戦時下のアメリカの大統領選挙でブッシュが当選し、しかも共和党が上院下院ともに多数を占める。宗教的右派、キリスト教原理主義などが台頭し、ファシズム的なイデオロギーさえ広がっている。そしてただちにファルージャへの皆殺し作戦にうって出る。そういうなかで、10月17日にMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)という運動がワシントンで1万5千人を結集し、350万の労働者の賛同を獲得して実現した。労働者は国際的に団結して、戦争と民営化攻撃に立ち向かおうという、11・7と全く同じ質の運動だ。

 

 10・17MWMの成功、11・7、そして11・14のソウルにおける民主労総の7万人集会―ゼネストがひとつながりでかちとられた。もはや資本主義―帝国主義が命脈尽きて、戦争をする以外に体制を維持できない状況の中で、労働者が「それなら俺たちに権力をよこせ」という立場にたった運動が提起されたことが、大きな成功の要因だった。
 もうひとつは、国内的には、有事法制が成立して、日本が戦争をする国家へと急速に変貌する中で、労働組合が団結して立ち上がらなきゃダメなんだという提起が非常にタイミングよくうち出されたことだ。05年の通常国会で教育基本法改悪が策動され、憲法9条改悪まで射程に入っている、他方では民営化攻撃の集大成ともいうべき骨太方針第4弾という攻撃が始まり、全逓、日教組、自治労という戦後の労働運動を支えてきた労働組合に対する解体攻撃がかけられている。
 総評解散・連合結成以降、各現場で孤立しながらも頑張り抜いてきた蓄積が11・7で大きく花開いたといえるのではないか。11・7でつくりあげた大きな成果を本当に全体のものにし、参加した3600名が、それに賛同した数万規模の労働者の中に完全に定着し、団結体として固めていけば、05年の闘いの大きな展望を切り開くことが可能だ。現場に戻れば孤立した闘いを余儀なくされるけれど、みんなが勇気と自信を持って、今までと違った角度から自分の職場を、産別を、地域を見ることができるようになったことは、画期的なことだと思う。

 国際連帯が開示した帝国主義打倒の展望

 世界最大最強の帝国主義国アメリカで、数万という規模で労働者が決起する、しかもワシントンで100万人の労働者を集めようということはよくよく考えると、革命ということではないか。それをILWUローカル10というたかが1200名の労働組合が呼びかけ、実現し始めている。口では「万国の労働者団結せよ」なんて言ってきたけれど、しょせん島国の労働運動をやってたんだと、私自身の世界観も変わった。
 今グローバリズムと言っているけれど、資本主義、帝国主義というのは世界的であり地球的である以上、労働者が国境を超えて連帯するなかでしか打倒できない。国際競争力強化を至上命題に市場分割戦が労働条件切り下げ競争として展開されている状況下では、特にアメリカと日本、アジアという最大の市場の中で最も戦闘的に闘っている韓国の民主労総と結びつくということがいかに決定的なことか。動労千葉もたかが500名くらいの小さな組合だけど、そういう観点から見ると自分たちの闘いが違ったものに見えてくる。
 交流センターの全会員が、自分たちが創り出した集会として自信と誇りをもって進むことが重要だと思う。胸を張って、自分はランクアンドファイルだ、交流センターの会員だと公然と言えるような雰囲気にしないといけない。
 03年の後半戦あたりから、自治労や教労の中で、あるいは動労千葉を先頭とした国鉄闘争の中で新たな動きが起こってきた。自治労での「21世紀宣言」をめぐる攻防とか、日教組と全教に分裂している教労戦線の中で03年12月23日に事実上の現場レベルの共同闘争が開始されるとか、明らかにある種の地殻変動が始まってきた。われわれは、それを「分岐・流動・再編・高揚」局面に入ったと言い切って、04年に2〜3月の動労千葉のストライキ闘争をうちぬいた。東京の都立高校では石原の「日の丸・君が代」の強制に対して300名近い教育労働者が組合の統制を蹴って不起立闘争に決起した。そして3・20に日比谷公園を中心に、連合結成以来初めてといっていい大統一行動が、共産党の妨害をはねのけて実現した。こういう状況をつくりだしながら11・7に向かっていった。
 11・7集会で、参加者が非常に一体感をもったのは、お偉いさんが偉そうなことのたまってそれを拝聴するような集会ではなくて、同じ闘っている仲間がしゃべる集会だったからだ。ILWUローカル10も韓国民主労総もしかり、東京の「被処分者の会」のアピール、全金本山の勝利報告、国労臨大弾圧の被告・家族会の報告、沖縄の報告、みんないま最も先端で闘っている現場労働者が発言した。
 交流センターも15年目にして、存亡の危機を大きく突破して前進する地平を築いた。全国で全産別で11・7の感想運動、総括運動、報告集会などをやって、この地平を完全に定着させるべきだと思う。

 3カ国の闘う労働組合の運命的な出会い

 アメリカでは古くからランクアンドファイル運動が続けられてきた。AFL−CIOは、ビジネス・ユニオニズムと言う、日本でいえば労資協調の労働運動に対して、労働者が組合を俺たちの手に取り戻そうと現場からたちあがっている。MWMのスローガンを見ると、世界で最も金持ちの国アメリカで4千5百万もの労働者が健康保険にも入れず、食えない低賃金で、ホームレスも倍増している、そのアメリカの富の9割以上を人口の5%の連中が持っている、こんな社会のあり方はおかしいんだと主張している。帝国主義―資本主義国であるアメリカを根底的にひっくり返さなくちゃダメなんだということが、組合大会で現場のリーダーたちの口からどんどん出てくる状況になっている。
 韓国の民主労総も来年で結成10年目、それまでは非合法下で自分たちの手で御用組合にかわる自分たちの労働組合をつくろうという運動がずっと続いてきた。いうならばこれもランクアンドファイル運動だ。われわれも、総評が国鉄分割・民営化攻撃の中で解散して連合がつくられていく状況の中で、非常に苦闘してきた。この3か国の闘いが帝国主義の危機の中でひとつの赤い糸で結ばれたということだ。
 国際連帯は、それぞれの国内で連帯の輪をどんどん広げていくという運動になっていく。アメリカでも日本での11・7の感動がただちに語られている。既成労働運動の国際連帯は、組合幹部の海外旅行のような次元を超えなかったが、本当に闘う者同士が一同に会してお互いの闘いの歴史を報告し、闘う決意を明らかにする。そういう場として11・7や10・17MWMのワシントン集会があった。戦後の労働運動の歴史の中で全くなかったような運動が始まったといっていい。

 不起立闘争の解体をねらう革マルの告訴・告発運動

 11・7の成功に最も関心を寄せているのは現場の労働者だけれど、国家権力も危機感を募らせて見ていることは間違いない。様々な形であらゆる反動的な勢力を駆りたてて、11・7の成果をぶっつぶす攻撃が始まっている。来年3月の「日の丸・君が代」不起立闘争、卒業式闘争が、05年全体を切り開く位置を持ってきている中で、革マルの「告訴・告発」運動とか天皇発言という形で大反動が生まれている。
 天皇が園遊会で「『日の丸・君が代』の強制は望ましくない」と発言するということが起こった。自発的に「君が代」を歌えということでしかないけれど、天皇にそういう発言をさせた最大の原因は3月の2百数十名の不起立闘争だ。国家権力・支配階級にとってみれば、「畏れ多くも天皇陛下にそんなことを言わせた不逞の輩を一掃する」という衝動に駆られていることははっきりしている。もともと「日の丸・君が代」闘争は、天皇制と軍国主義のシンボルである「日の丸・君が代」を拒否するという国家権力と非和解的な運動だ。足して2で割るというのは成り立たないたたかいだ。
 それが国論二分状況になっているわけだから、来年3月にむけて、立ち上がった被処分者の会を中心とする教育労働者の団結に対して公然隠然さまざまな攻撃がかかってくる。これと闘わずして、不起立闘争のいま一度の爆発はありえない。そういう状況の中で革マルが、著名な弁護士や文化人を立てて告訴・告発運動を始めた。石原や都教委の攻撃に対しては、職場の抵抗と団結の拡大、不起立闘争の全国への拡大以外にこれに対抗し勝利する道はないにもかかわらず、これに敵対し、権力の弾圧を呼び込むことを始めた。革マルは「不起立闘争は処分、弾圧を誘発する挑発行為だ」といっている。「挑発者」とは60年代に共産党が新左翼にさかんに投げかけた誹謗中傷だが、それを革マルが言っている。そう叫びながら告訴・告発運動を持ち込んでいるわけだからその本質ははっきりしている。不起立闘争をやめろということだ。
 検察が石原や横山教育長を起訴するはずもないし、政治的アドバルーンにすぎない。石原や都教委をやっつけるにはそういう手もあるんじゃないかという軽い気持ちで告発人を集めて一つの政治的な運動にしようとしている。
 実際には、告訴人・告発人が検察から呼びつけられてゴリゴリやられる。告訴しておいて検察の事情聴取を拒否するなんておかしな話だ。起訴にもちこまないというなら何のためにやるのかという話になる。国家権力に任意出頭を命じられたとき、逮捕覚悟で拒否するかどうか、頭を悩ました経験のある人もいると思う。事情聴取に対して、行きたい人はどうぞ、嫌なら拒否すればいいなどという方針は、成り立たない。
 検察は警視庁を総動員して、これを先途に、被処分者、被解雇者、予防訴訟の原告に介入しようとするだろう。告訴人に名を連ねたのはほとんど革マルだけだが、約250名の被処分者全員が事情聴取の対象にされる可能性がある。それをめぐる対応に追われて卒入学式闘争どころではなくなる。
 労働組合が弾圧覚悟でストライキやピケットで闘ってた時代は、検察・警察は労働者階級を支配するための国家の暴力装置というのは当たり前の常識だった。それがどっかに吹っ飛んで、国家権力に石原をやっつけてもらおうという安易な発想が受け入れられる土壌がある。警察は悪い奴を取り締まるところという意識を持たされてしまっている。革マルはそこをついてきている。
 革マルと対決しようとすると、共産党の連中などが「教育労働戦線に内ゲバを持ち込むな」とか言い出すかもしれないが、過激派キャンペーンは、現代のアカ攻撃であり、運動が否応なく乗り越えなければならない壁だ。これは、内ゲバなどではない。不起立闘争を貫こうとする者とつぶそうとする者との対決なのだ。
 この大反動に押され、被処分者の団結がガタガタにされたら卒入学式闘争はいかない。だから11・7の地平で勝負する。11・7でつかんだ自信と確信で、はねかえしていくことだ。この反動をうちやぶり、05年3月の教育労働者の決起を実現することによって初めて、来年の3・20イラク反戦2周年闘争や通常国会の郵政分割・民営化法案、改悪教育基本法案阻止闘争も切り開かれる。ここは勝負どころだと思っている。

 国鉄闘争をめぐる動と反動

 もうひとつは国鉄闘争であり、動−反動−動の激しいせめぎあいの渦中にある。03年の12月22日に最高裁の上告が棄却されて、現行の法体系の中ではJRの復帰の道が断たれた。そういう状況の中で1047名闘争を解体し、国鉄闘争を終わらせようという動きが出てきた。国労本部の酒田派、革同・共産党グループであり、共産党=全労連の指導部だ。これに対して1047名の団結をつくりあげて、この力でもう1回前進をかちとろうという勢力とのつばぜり合いがこの1年間続いてきた。04年の4・13集会で成功したかと思えば、国労大会を前にこれが崩されていくという攻防を繰り返しながら、12・1集会を迎えた。
 この過程で、各潮流の正体がはっきりしてきた。西日本のJR連合の森委員長が「もう1047名は日本には居場所がない、だからイラクへ行って復興支援活動やればいい」という発言をする。こともあろうに国労の西日本エリア本部の委員長がこれに飛びついて、共闘関係をつくってイラクの鉄道復興支援を正式に機関決定する。4党合意をはるかに超えた転向運動が起こってきている。行く先は国労の連合化だ。
 こうした策動に対して、国労闘争団、全動労争議団と動労千葉の争議団が一体となって1047名が団結して立ち向かわなければならない。1047名闘争解体派は「ILO勧告に基づく政治的解決を」などといいながら、鉄建公団訴訟を拒否する、あるいは妨害してきた。そして、動労千葉を排除する動きが顕在化してきた。これでは1047名ではなくなってしまう。11・26の国労・建交労主催の集会はもとより、1047名の団結をまがりなりにも主張してきた勢力が主催する12・1集会にもこうした動きが出てきた。それも共産党支配下の全労連傘下の建交労からだ。
 建交労は、多くの人たちから批判されて、全労連の内部事情だととしか言えなくなった。動労千葉は1047名の団結を維持するためには譲歩もし、3組合が登壇して3組合が団結していることを示すことが大切だという判断で屈辱的なことも甘んじて受け入れてきた。
 国鉄労働運動の中に、特に国労の中に、本当の意味での1047名団結派をつくりだす以外にこの問題を解決する道はない。そして資本と癒着するJR総連の革マル支配をうちやぶって青年労働者をわれわれが組織する闘いを一体のものとして進めることが勝利の道だ。民営化以降JRに採用された平成採といわれる青年労働者の大半は、JR総連、JR連合に加盟しているが、その獲得の闘いが始まっている。
 「ILO勧告に基づく政治解決」といっても、政府はとりあうつもりはさらさらない。全動労、建交労の鉄建公団訴訟も、地位確認を外したいわば「慰謝料請求」運動という方向で動き始めてきている。いつ1047名闘争の終結を宣言し、機関で決定する動きが出てきたもおかしくない危険な状況だが、解雇された1047名は、そんなことやれば黙っていない。去年の最高裁の上告棄却の時もこれで終わりだとはただちに言えなかった。1047名闘争の終了宣言、解体宣言を簡単にできるような状況にはない。
 国鉄闘争終結策動とのせめぎ合いが05年の冒頭から始まる。12・19集会の圧倒的成功に踏まえて1047名闘争の勝利と国労臨大闘争弾圧の無罪獲得の2本柱を本気になって進めていく。「許さない会」の会員を、特に国鉄を中心とした4大産別の中で広げていくということが重要だ。もうひとつは動労千葉や動労水戸を中心として組織拡大、平成採の獲得を実現していくことが05年の国鉄闘争の勝利のメルクマールになる。
 国鉄1047名闘争は、国鉄分割・民営化反対闘争が17年間続いているということだ。これが前進し続けることは、郵政の分割・民営化攻撃や自治労の公務員制度改悪との闘い、日教組に対する攻撃との闘いの導火線になる。教育基本法改悪も、「日の丸・君が代」を踏み絵とする首きり攻撃だし、全体が公務員労働運動解体、民営化攻撃だ。だから4大産別決戦といっている。それぞれの産別だけではなく、4大産別決戦として全労働者の課題として闘うことが重要だ。その牽引車として動労千葉や動労総連合、国労内の闘いが決定的な役割を果たしていく。

 教基法改悪・改憲阻止と第三次安保・沖縄闘争の展望

 「日の丸・君が代」攻撃に不起立闘争で対抗することは、国家権力との非和解的闘いだ。ひとり一人の教育労働者にとってみれば、処分の累積、解雇も覚悟することだし、しかも何の組合の補償もないわけだから、大変な決断がいる。しかし、それをやりぬいたとき、教基法改悪阻止も9条改憲反対闘争も大きな展望が生まれる。
 日本共産党は、憲法9条の会を私物化して大々的に宣伝している。有権者の過半数の署名を取るんだと言っているけれど、それなら、連合傘下の700万の労働者を動かすことなしに成り立たない。教育労働者を先頭に職場生産点からの決起という具体的形をとって現れた時に、改憲阻止闘争もものすごい闘いの高揚と広がりが生み出される。
 11・7集会では、イラク反戦、改憲阻止と並んで、安保・沖縄闘争をもう一度やろうとうちだした。イラク戦争をめぐって帝国主義陣営が分裂する中で、アメリカとイギリスと日本が「枢軸」を形成しつつある。イギリスの労働運動は、労働党と決別したRMT(鉄道・海運・運輸労組)をはじめ、ブレア政権を揺るがす闘いに立ち上がっている。RMTがMWMに賛同し、イギリスと日本でMWM連帯闘争が闘われたことは、米・日・英の枢軸国の足下の闘いとして大きな意義があった。
 米軍再編によって日米安保条約は極東条項をはるかに越えアジア、世界安保へと転換しようとしている。普天間でヘリ墜落事故と辺野古のボーリング調査を契機として再び沖縄の闘いが始まっている。11・7の翌日の国際会議で沖縄問題を動労千葉から提起した。アメリカ代表団は来年は沖縄に行きたいと言い始めている。
 95年の沖縄10万人集会以来、第3次安保・沖縄闘争と言ってきたが、それは日米韓の労働者の連帯が軸にすわった闘いだということがはっきりしてきた。日本の青年労働者、学生が激しく闘った60年や70年にも、アメリカで公民権運動やベトナム反戦運動に学生が立ち上がっていたが、労働組合の国際連帯は、具体的実体がなかった。日米安保はアメリカと日本の軍事同盟だから、アメリカと日本の労働者階級が本当に連帯しなければ、安保粉砕も沖縄基地撤去も実現しない。本土の労働者階級との結合とともに、アメリカの労働者階級と結合することの中に沖縄闘争の展望がある。その展望がリアルに見えてきたという意味で、11・7は、反戦闘争にとっても大きな展望をつくりだしたといえる。
 05年こそ、国際連帯と全国ネットワーク運動、その担い手としての労組交流センターの大発展の年とするために、すべての会員の大奮闘を訴えたい。  

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特集 05年をいかに闘うか

●昨秋共謀罪決戦に勝利! 共謀罪を廃案に!

 佐藤 陽

 昨年12月3日に終わった秋の臨時国会で、共謀罪の審議を一切許さず、今年の通常国会へ継続審議となった。共謀罪新設阻止の昨秋の闘いは勝利した。共謀罪は、一昨年の通常国会に上程されて以来、1回の審議もなく、たなざらしとなった。法律製造のマシーンとなった最近の国会では珍しいことだ。われわれは新設阻止から廃案に向けて、これから全力をあげて闘う。
 共謀罪を審理する衆院の法務委員会は、民主党が唯一の野党という状況下で、われわれは国会議員に対して入念な要請行動・情宣を積み重ねてきた。その上で、審理に入らせないことを最大の目標に掲げ大衆運動高揚に全力をあげてきた。
 そのために労働組合への働きかけ、イラク反戦、教基法改悪反対闘争、国鉄闘争など大小の集会へのビラ情宣・署名集め、駅頭ビラまき、独自集会・デモなどを繰り返し闘ってきた。
 その一方で国会においては、4回にわたる院内集会が実現された。10月20日から22日まで59時間にわたる台風をついてのハンスト、アメリカILWUのMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)への5名の代表団派遣と、来日したアメリカ代表団の参加を得た国会前集会を開催した。また、憲法と人権の日弁連を目指す弁護士たちとの共闘も進めてきた。
 こうした密集した闘いの積み重ねによって、国会議員の中で共謀罪についての認識が高まっていったことが実感できた。
 また、マスコミもようやく動き出し、東京新聞、サンデー毎日、毎日新聞、週刊プレイボーイなどに批判的記事が掲載され始めた。平和フォーラム人権・環境も動き始め、共謀罪反対の世論が広がりはじめた。このような中で民主党に共謀罪を対決法案とする動きがではじめ、政府・法務省側は審議入りをあきらめたとみられる。

 大衆運動の高揚が一切のカギ

 2年間も法案をたなざらしされた政府・法務省には相当ストレスがたまっており、今年の通常国会では、なにがなんでも成立をはかろうとするだろう。
 すでにイラクに派兵しており、また北朝鮮に対する新たな侵略を開始する準備を進めている政府にとって、戦時下の治安弾圧の要となる共謀罪の成立は、政府にとっては必須の課題となっている。したがって与党=自民・公明の多数の数の力で強引に押し切るか、民主党を修正案づくりに引きずり込んで成立をはかるかの方法をとるであろう。
 したがって、今国会を攻防のカギは、審議入りさせないために大衆運動を大爆発させることである。労働者の決起、表現者、文化人などあらゆる階級・階層領域で反対運動の高揚を勝ち取ることである。昨秋の闘いの高揚をベースに、その水準を飛躍的に高めていくことが重要だ。もしこの闘いに勝利すれば、共謀罪の廃案を勝ち取り、次から次へとくり出そうとする明文改憲をはじめ、治安弾圧立法の計画に打撃を与えることも可能だ。

 「人の心に手錠」をはめる共謀罪

 共謀罪は「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」という意味不明の長ったらしい法案名となっている。これは共謀罪新設、証人買収罪新設、強制執行妨害罪、インターネット管理を狙うサイバー犯罪対策などを一括して一法案としたことによる。どのひとつをとっても重要であることは事実である。
 このうち共謀罪とは、「重大犯罪の実行を合意すること」と同時に「団体の権益を維持する目的で犯罪を共謀した」とみなされる者を処罰する、というもの。
 重大犯罪とは、刑法上「長期4年以上の懲役又は禁固の犯罪」のこと。世間でよく言われる軽犯、住居侵入、脅迫、暴行、公務執行妨害、わいせつ物頒布などは対象外である。しかし窃盗、強盗、傷害、背任、逮捕監禁など合計560以上もの犯罪が対象となっている。まったく新しい刑法をつくるようなものだ。
 しかも、「共謀した」と言葉で言えば聞こえが悪いが、実体は話し合った、相談した、会議で決めた、雑談で話したことが共謀したとし犯罪とされる。しかも実行行為はまったく必要としない。また一度合意したことは取り消すことができない。人の心の中にあることを犯罪とするのだ。
 現代刑法の考え方は、行為としての犯罪があって、それに相応した罰があるというもの。ところが共謀罪では、「犯罪行為はない」「被害もない」「証拠もない」、これで犯罪となるのである。
 また、組織についての規定がない。2人以上であれば組織とされ、暴力団、会社、政党、市民団体、労働組合などなんでもかまわない。
 最大の問題は、「共謀した」という事実を取り締まり当局がどうして知ることができるかという問題だ。法案の中に、「事前に自主した者は刑を減免」と規定されている。これは、仲間割れか密告である。密告が奨励されることになる。これだけでは共謀罪の効果は限定的だ。そこで利用されるのが盗聴だ。現在の盗聴法は犯罪対象が限られ、手続きも多い。現在、権力内部で検討されているのは事前盗聴や室内盗聴だ。インターネットの盗聴だ。また、潜行捜査、おとり捜査、スパイの養成などだ。これは暗黒世界の到来だ。
 それにもかかわらず、政府・法務省は新しい捜査方法は導入しないといっている。これは正確に言えば、いまは導入しないということである。このような汚い捜査方法の導入と一緒の法案を提出すれば大反対運動が起きるからである。
 政府はなぜこのような共謀罪を何がなんでも導入しようとしているのか。一般刑法犯も対象であろうが、イラク出兵下、北朝鮮侵略情勢下、戦争に反対する勢力を集中的に弾圧するための治安弾圧を目的としたものであることは明らかだ。労働者・市民の団結を解体するのが、最大の目的だ。

 テロ防止行動計画を阻止しよう

 12月4日の各紙は、政府の「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」(本部長・細田官房長官)がまとめた「テロ未然防止に関する行動計画」に関する記事が掲載された。
 新聞によって強調点はことなるが、最初に取り上げられるのは「今後速やかに講ずべきテロの未然防止対策」16項のうち比較的着手しやすい項目で、主として入管関係の項目が多い。
 しかしこのうち16項は具体的内容が明らかにされていないが、盗聴法の拡大など新しい捜査方法を内容とすると考えられる。
 数年前から外務省、警察庁その他のいくつかの官庁で「包括的反テロ法」制定に向けた準備が行われていたが、今回の行動計画はその一部をなすものと考えられる。対決すべき今年の闘いの大きな課題となろう。

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特集 05年をいかに闘うか

第3次安保・沖縄闘争の爆発へ  ―沖縄現地報告―

 暴行を重ねるサンコーコンサルタント

 12月7日、新基地建設のためのボーリング調査用につくられた辺野古の海上やぐらで、この調査に反対して抗議していた女性が叩き落され、作業船に頭から転落し、脳震盪を起こすという事件があった。さらに12月10日には、男性一人がやはりやぐらから突き落とされて、やぐらを組んでいる単管(鉄パイプ)に頭をぶつけ、意識を失い、病院に運ばれるという事件があった。こうした暴行を受けた者の中には、私達反戦共同行動委員会の仲間もいる。
 こうした暴行が連日辺野古では行われている。このままでは死者もでかねない。こんな殺人的な暴行をくり返しているのが、防衛施設局に雇われたサンコーコンサルタント株式会社(代表取締役・俣野克巳)である。
 サンコーコンサルタントは、多くのやくざ者のダイバーを雇い、それをボーリング調査強行のための暴力団として使っている。事実このダイバーの中には公然と関西弁を話す者もおり、関西やくざを雇っているのも明らかだ。つまりこういう連中をつかって、違法な工事を強行するために目的意識的に暴行をふるっているのだ。
 一企業に人を殺す権利があるのか! 傷つける権利があるのか! サンコーコンサルタントの責任を徹底的に追及しよう! 俣野克巳は暴行と傷害、殺人未遂の責任をとれ! そしてこの暴力企業を雇っている防衛施設局を弾劾しよう!

 行き詰まるボーリング調査

 11月16日、防衛施設局は、ボーリング調査の本調査、つまり掘削調査についに入るとして、中城湾港からスパット台船やスーパーブイなどのボーリング用機材を辺野古の沖合に運んできた。スーパーブイは、その高さが沖縄県庁ほどの高さであり、こうした想像を絶する道具によって、辺野古の海に穴が掘られようとしているのだ。
 11月17日から、リーフ内での攻防が始まった。多くの作業船が繰り出し、ボーリング調査用やぐらをつくるための単管を海に放り投げようとした。それをダイバーが海中で組み立てるのだ。しかし、放り投げようとする海上にカヌーが結集する。くり返される攻防。とうとうこの日、彼らは単管を海に投げ込むことが出来なかった。
 作業のできない彼らは、作業員を増やし、同時に数箇所で作業を行うことで、カヌー隊を分散させる作戦にでた。カヌー隊は機動力で彼らの作業を次々と阻止していく。しかし1週間をかけて、彼らは4箇所のやぐらを建設し、1箇所でやぐらの足場を組んだ。
 やぐらが組まれると、カヌー隊は、今度は彼らの建てたやぐらに入り、そこで抵抗戦を闘う。そこに立てこもって、彼らがボーリング用の機材を運び込むことや、それを組み立てることを阻止するのだ。そもそもやぐら自体が20人も登ると重量制限になりそうな建物。多数いるだけでも、違法な作業を阻む力がある。
 さらに、国頭村の漁民が立ち上がった。大型漁船2隻が、その雄姿を辺野古の海上にあらわしたとき、大きな歓声が沸き起こった。ここに基地ができたら、国頭の海人も漁業なんてできなくなるという思いから、駆けつけてきたのだ。この大型漁船には、業者がやとっている作業船などたちうちできない。この大型漁船はスパット台船を取り巻き、それが作業をすることを阻みつづけた。

 撤去されたスパット台船

 防衛施設局と業者は暴力的に作業を進めようとする。サンコーコンサルタントは、だんだんその本性をあらわしてきた。やぐらで抗議する人々を力でねじふせたり、海上にたたきおとしたり、さらにひどいことには、抗議する人のカヌーを船で引っ張り、そのまま風下に流してしまったりした。
 事件が負傷者を出す情況が一般化する中で、海上保安庁も双方に自制を求める事態が何度かおこる。その度ごとに、作業が中止となる。
 しかしこうした闘いによって、2週間にわたって彼らは結局一カ所もボーリングすることができなかったのだ。
 そして12月1日、台風27号が接近した。そもそもボーリング調査は、津波や台風が起きたらひとたまりもない。この事態に直面して、沖合に停泊し、ボーリングを今か今かとやろうとしていたスパット台船が撤去されたのだ。スパット台船は、作業船に載せられ、中城港湾に帰っていった。結局この船は、何も出来なかったのだ。穴一つ掘ることもできず、ただただ2週間海上にとどまり、そして空しく帰っていった。
 座り込みの人々、カヌー隊の人々は、歓声をあげた。金城祐治さんは「名護市民投票以来の快挙だ」と喜び、ビールをふるまい、乾杯した。基地は絶対にできないと、誰もが確信した一瞬だった。

 ますます追いつめられる防衛施設局とサンコーコンサルタント

 ボーリング調査が破産していく中、防衛施設局とサンコーコンサルタントは、冒頭に書いたような殺人的な暴行をふるい、工事を強行しようとした。しかし、こんな不正義を誰が許すだろうか。
 国頭の漁民についで、宜野座や金武の漁民が立ち上がった。12月13日には、これらの漁民の漁船14隻が出動し、4カ所のやぐらに張り付き、業者も防衛施設局もまったく近づくことができなかった。命がけの闘いが、漁民を始め多くの人々の共感を支持を呼び、支援に次々とかけつけているのだ。
 那覇では防衛施設局前で抗議のハンストが闘われ、一方で県庁前座り込み行動も行われている。現地の闘いと連帯して、那覇で沖縄の政治を揺るがす行動が広がりつつある。
 そして東京での国会座り込みや大阪や京都、名古屋や福岡など、全国で連日の連帯行動が取り組まれている。全国で、現地と連帯する闘いが拡大し、それがまた現地闘争を拡大させている。この闘いは、必ずや小泉政権とブッシュ政権を揺るがす闘いとなっていくだろう。
 沖縄での現地闘争を徹底的に闘おう! そして絶対にボーリング調査を阻止しよう!
 また最大の勝利の鍵は、労働者の決起だ。11・7労働者集会で明確になったように、日米の労働者が連帯して闘えば、安保も沖縄の基地も撤去できるし、トランスフォーメーションも粉砕できるのだ。11・7の地平を引き継ぎ発展させ、国際主義を貫いて闘うことだ。各職場で、労働者を組織し、労働運動と反戦運動を結合させ、辺野古での闘いを支援していくことだ。
 新基地建設は絶対に阻止できる。1〜3月決戦に猛然と突き進もう!

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●復興なんかしてないぞ 被災者対策うち切るな!

 阪神淡路大震災10周年 第22回被災地反失業総行動へ集まろう

 関西合同労働組合兵庫支部・支部長 蒲牟田 宏

 05年1月17日で阪神淡路大震災からちょうど10年になります。
 私たちは、阪神大震災被災地での10年間の闘いでつくってきた団結したすべての力をもって、1月16日〜18日の3日間を震災10周年・被災地反失業総行動として闘います。
 ときあたかも新潟中越地震で労働者・住民に犠牲が集中し、阪神大震災とまったく同じことがくりかえされています。
 阪神大震災をなんら教訓とせず、震災対策もたてられず、倒壊した建物の下敷きとなって死亡したり、また命からがら避難しながらも「エコノミー症候群」によって死んでいく住民。さらには震災を口実にした資本による解雇攻撃。10年前の阪神大震災被災地でのできごとが「再現」されています。
 そして中越の被災地では自衛隊の活動が異常に突出し、この間のイラク派兵や有事法制の成立など、日本を戦争をする国へと転換する攻撃と一体で、被災者の弱みにつけこんで戦争体制づくりを既成事実化しようとしています。

 失業者を食い物にした国家権力・行政に対する被災者の心底からの怒り

 いま、新聞等で兵庫労働局の汚職事件が報道されています。
 震災によって全国でも一番ひどい失業の兵庫で、失業者のために国の予算として出された金を、労働局の職員が接待や自分たちの飲み食いなどに使っていたというものです。
 とくに、そのゴマかした裏金が、被災者向け失業対策であった「しごと開発事業」のうち切りのために厚生労働省から送りこまれたキャリアを高級クラブにつれていったり、そのキャリアの借家の修繕をしたりするために使われたのです。
 失業対策の責任行政の役人が、一方で震災によって失業した被災者の命づなの「しごと開発事業」をうち切って、片方で失業者のために使われる金(税金)を、自分たちの私腹をこやすために使っていました。裏金作りは長年組織ぐるみで行なわれていたことが明るみになっており、この事件は、たんなる役人による一汚職事件ではないのです。
 震災以来、「しごと開発事業」のうち切りなど、失業者にたいして見殺し政策をつづけてきた国家権力・兵庫労働局と兵庫県など行政の本質、ほんとうの正体が被災者や失業者に明確に見えたということです。
 被災者や失業者は、この事件に心底怒っています。とくに「しごと開発事業」に就労していた失業者は兵庫県や労働局に押しかけ、抗議の交渉を行ない裏金を本来の失業者対策に使え、しごと開発事業を再開しろと迫っています。
 私たちは、どこまでも腐敗した国家権力・行政にたいしての怒りを力に変えて、国・行政の棄民政策と対決する失業反対の実力行政闘争を闘います。

 震災は帝国主義による人災だ

 阪神淡路大震災によって明らかとなったのは、危機に立つ日本帝国主義の棄民政策でした。
 震災によってもっとも被害が集中したのは、帝国主義的都市政策のなかでとり残されてきた労働者居住地区・被差別部落・在日集住地域であり、主要駅前のデパートや高速道路の「復興」を最優先し、労働者住民の住宅は後回しにされたのでした。
 労働者住民は住みなれた地域からコミュニティを破壊され、バラバラに遠く離れた劣悪な住環境の仮設住宅や災害公営住宅へほうりこまれ、結果600人に達する孤独死を強制されました。こんな無残な人災をぜったいに許してはなりません。
 また震災で失業したケミカルシューズ産業などの中小零細企業の労働者は働く権利を奪われつづけました。
 また、すでに財政破綻をきたしていた神戸市と兵庫県は、震災を「千載一遇のチャンス」として国が戦争へ向かう中で、環境破壊や被災者の犠牲を全く無視したままの硬直した空港工事の継続=軍事空港の建設を強行し、戦争政策への積極的参入、「基地の街」作りへ突っ走ろうとしています。
 被災地の人々は、国・行政は労働者・住民のためにあるのではなく大企業・資本家のためにあることを初めて震災によって気づかされたのでした。
 被災地の労働者は、国・行政の「被災者・失業者は死ね」という仕うちに怒り、生きる権利と働く権利を実力で勝ちとる闘いにたち
あがりました。

 団結して闘って生きぬいてきた被災地の労働者

 がれきのなかのテントでの関西合同労働組合の労働・生活相談にはじまり、生きる糧としての失業給付を要求して結成された被災地雇用保険給付要求者組合、被災地雇用と生活要求者組合。労働者みずからの力で雇用をうみだし被災地闘争の拠点となった被災地労働者企業組合。被災失業者が国・行政からもぎりとった失業対策事業で働く労働者で結成し、県知事室突入など実力で事業うち切り反対闘争を闘いぬく、しごと開発就労者組合。被災した同和住宅・改良住宅の家賃の値上げに反対し地域の団結をつくりだしている家賃値上げ反対番町住民の会、芦原地区自治会連合。仮設住宅の住民が団結した暮らしを守る西宮市民の会、被災者対策に優先して推進される神戸空港建設に反対して闘う新空港反対東灘区住民の会。
 これらの、それぞれの要求をかかげ闘って生きぬいてきた被災地の仲間によって団結がつくられていきました。それが、被災地反失業総行動参加団体連絡会として被災地全体の団結体として結集し、対行政闘争として、これまで21回の反失業総行動を闘ってきました。

 10年を総括し新たな失業反対の闘いへ 震災10周年総行動へ結集を

 震災10周年を機に神戸市など行政が、被災者対策を全面的にうち切り、防災を口実に大資本の金儲けと戦争体制づくりを進めようとすることに真っ向から対決し、1月16日〜18日の3日間を、私たちは失業反対の闘いとして第22回被災地反失業総行動を闘います。
 1月16日の被災者・失業者が元気になる集会をかわきりに、1月17日の震災10周年当日には、これまでの枠をこえて大きな統一戦線で被災者対策うち切り反対の行政抗議行動を予定しています。
 また、兵庫県・神戸市などが誘致して神戸で行なわれる「国連世界防災会議」にたいする抗議行動を、総行動の一環として闘います。防災に名をかりて軍事都市づくりに突き進もうとする国・行政、そして「防災」によって利潤を追求する大資本に対する抗議行動を会議初日の1月18日に取り組みます。
 私たち、被災地の労働者は11月7日の全国労働者集会に結集した労働者、そして全国・世界の労働者と連帯して、阪神大震災被災地で、戦争反対を貫いて、家賃減免の継続などの生活再建と失業者への就労保障の要求を実現するまで、全国の失業者の先頭で闘います。国・行政に反乱をおこす新たな闘いに震災10周年行動を出発点としてつきすすむ決意です。
 全国の労働者の皆さん、ともに闘いましょう。第22回被災地反失業総行動に、ぜひ参加してください。

被災者対策をうち切るな! 生きる権利・働く権利を保障しろ!
        阪神淡路大震災10周年第22回被災地反失業総行動 要項

1月16日(日) 被災地反失業総行動集会 (午後1時〜  兵庫県中央労働センター・大ホール)
 (JR・阪神「元町」駅下車、北西へ徒歩10分、市営地下鉄「県庁前」駅下車、西へ徒歩5分)
1月17日(月) 新潟中越地震救援カンパ街宣行動 (午前11時30分〜   JR三宮駅南・デパート「丸井」前)
被災地団体大統一行動 (午後1時〜3時  神戸市役所前)
1月18日(火) 防災を口実にした金儲けと戦争体制作り反対  国連防災世界会議抗議行動
 (神戸市ポートアイランド・ポートピアホテル周辺 詳細未定)

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●闘う合同労組 第5回

 沖縄労働運動の新しい芽となることをめざして

 沖縄(南部)一般合同労働組合

 出発点

 沖縄(南部)一般合同労組は03年に10名の労働者で結成。出発点は拠テ田塾(約20人・学習塾)で経営者からのセクハラ被害を受けた女性講師たちの告発をきっかけにそこで働く労働者の怒りが爆発していた。その後会社が管理職を組織し敵対、労働者たちが次々と職場を追われていく中で一人踏み止まった労働者の首切りで争議に発展、沖縄バヤリース労組はこれを援助。ビラ入れポスターはり、警察の介入、夜10時からの抗議行動、裁判、劇的団交など無名の労働者たちの英雄的闘争がたたかわれ、「労働者は人間の尊厳を守るために必ず闘いに立ち上がり果敢に闘う」ことをまざまざと示した。これが沖縄合同労組の誇るべき原点だ。(詳しくは、「福木の葉っぱは今、六枚」―進学塾『津田塾』セクハラ事件。裁判と運動のまとめ・300円参照)
 この闘いを見た南部地域の労働者が「俺たちも組合をつくって闘いたい」と声をあげて沖縄合同労組結成に至った。

 情熱をもって目標は高く大きく

 沖縄合同労組は拠テ田塾と沖縄バヤリース労組の労働者がダンゴになって2つの闘争を闘うために結成した。10ヶ月後(闘争開始から2年)には和解決着で拠テ田塾の解雇を撤回させ、バヤリース労組は組合つぶしとの攻防・物販活動など組合存続闘争を積み重ねている。
 結成大会のとき1年で組合員100名、3労組結成で沖縄南部地域の労働運動センターをめざす方針を立てた。高いハードルと大きな目標を立てることは決して間違いではない。未だ道半ばだが結成大会には女性労働者(仲居さん)が結集。春闘集会には3名の青年労働者が職場の仲間とともに参加、第2回大会には職場の新規中堅労働者1名が結集。とにかく組合員は成功と失敗を繰り返しながら情熱だけを頼りに目標を目指して懸命にがんばっているところが沖縄合同労組のエネルギー源だ。

 闘いの骨格

 イラク反戦集会・普天間基地包囲行動に9名の新規労働者の参加(3〜5月)、新たな海上基地建設と闘う名護・辺野古現地闘争へ職場の新規女性労働者2名の初参加(4月〜12月)、米軍ヘリ墜落・普天間基地撤去の3万人市民大会へ1名の女性労働者の参加(9月)など沖縄闘争(反戦政治闘争)に積極的に出て行っている。職場闘争と未組織労働者の組織化、そして政治闘争の3つを実際に闘うことで沖縄合同労組の骨格が次第に形成されつつある。

 未組織の組織化と労働相談

 「もっと早く沖縄合同労組と出会っていたら良かったのに」……これは未払い残業代をもぎ取って職場をやめた仲居さんと未払い賃金を奪い返して会社を辞めた建設労働者の青年の感想である。この二人は失業し、就職口を求めて現在本土で季節・出稼ぎに出ている。「もっと早く皆さんと出会い、職場のみんなで声をあげることが出来たら自分が会社を辞める必要はなかった」と言い残して……。
 沖縄の未組織労働者の直面する問題は基地ゆえの日本一の失業とそれを背景とした劣悪な労働条件である、そして沖縄の失業労働者は季節・出稼ぎに行くのが定番コースである。したがって、沖縄合同労組の未組織労働者の組織のための労働相談の最重要の課題は失業問題であり、季節・出稼ぎ労働者の組織化でもある。

 合同労組の全国ネットワークの必要性

 沖縄から本土への季節・出稼ぎ労働者の数は10数万人を下らないと言われ、れっきとした本土における沖縄問題そのものである。沖縄の失業問題のカギを握っているのは季節・出稼ぎ労働者の決起であり、先ほど紹介したような二人の例は決して例外ではないし、戦前戦後を通して沖縄からの移民労働者や出稼ぎ労働者は数々の輝かしい労働争議の先頭に立ってきた歴史をもっている。沖縄合同労組はこうした構想をもって、そのために自らたたかいつつ全国の合同労組運動の強力なネットワーク形成を実現してゆく決意を固めている。

 第2回大会をかちとった

 沖縄合同労組は11月21日、東京東部労組の足立実氏(元執行委員長)の「なぜ労働組合か」との講演と同労組木下執行委員の自主参加という助っ人をえて気持ちも大きく第2回定期大会を成功させることができた。足立実氏からは後日の手紙で「予想していた通り、貴組合に東部労組の初期の情熱を感じ親近感を持ちました。(中略)定期大会の正しい運動方針を堅持すれば、貴組合が存在感を確立し沖縄労働運動の新しい芽になることは間違いないと思います。」との激励を寄せて頂いた。

 書記長の大会感想

 最後に沖縄合同労組書記長の第2回大会感想を紹介する。
 「3労組結成にエンジンがかからない、腰が入らないという状況を抱えていた。どこで組織を作るか、自分の所でやるという覚悟で職場の4名に呼びかけ、意外にすんなりと承諾してくれた。ひざを突き合わせて話して見て労働組合に何を求めているのかがわかった。職場に組合をつくることへの期待は高い。
 第2回大会には叩き上げの職人が参加した。彼は集団就職で東京・大阪で働き、沖縄に帰って会社倒産に直面、争議になったが上部組合の支援が得られず敗北、解雇になった。そうした経験があってこの人の労組評価は辛い。『景気の悪い会社に労組は必要ない』というもの。自分としてはバヤリース労組の例を挙げ『労組の闘いで営業譲渡を阻止し、結果的に会社を存続させることができる』という話でオルグした。
 自分としては、職場の仲間から『(会社に)これ言ってくれ』と頼まれ、足立さん言うところの活動家の代行主義を随分やっていたような反省をしている。自分としては転換して行かなくてはと思ったし、それは出来るなと確信をもった。」
 以上が沖縄合同労組からの報告です。

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●SPOT & CRITIC  市場化テスト

完全民営化のろ過装置

 「特定の行政サービスの供給について、そのための投資に対し示す価値に基づいて供給主体を公共・民間の区別なく決めていくもの」と規定されている。通常、競争入札により当該サービス主体を決定する。競争入札には、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りの4つの入札方法がある。この結果、市場化テストは民営化になじまないとされてきた企画・立案部門も含めた中核となる公共サービス分野についても民間開放しようとするところにねらいがある。市場化テストや民間委託になじまないものは、さらにエイジェンシー(独立行政法人)化やPFIといった手段による供給方法がとられている。
 市場化テストは二つの類型に大別される。
 一つは、委託先競争型と呼ばれるものである。ある公立事業体(独立行政法人、特殊法人等)の全部または一部について、その委託をうける候補先として、公と民との間で競争入札を行うもの。
 二つは、譲渡先競争型と呼ばれるものである。ある公立事業体(独立行政法人、特殊法人等)の全部または一部について、これまで当該の担い手であった公自身と、譲渡先候補である民との間で競争入札を行うものである。
 歴史的には、サッチャー政権のもとで、地方公共団体のサービス供給について強制入札が義務づけられ、これが市場化テストのリーリングケースとなった。その後、レーガン政権以降、アメリカでも特定の行政サービスの供給につき公共・民間の区別なく競争入札をおこなうこととなった。
 しばしば公務員制度改革改革に登場するコスト比較などを材料にした「官製市場」の形成である。受益者にとっても有利との論建ては、公的責任の放棄をともなう(生存権、教育権など)。そこに民間資本を導入し、資本の餌食とすることにねらいがある。連合は「協働」という表現でこれを追認した。すでにPFI、民間委託、公設民営化、指定管理者制度、NPOなどさまざまな中間形態が先行していて、それを完全民営化するための濾過装置が市場化テストといえる。都営住宅や都立病院の建て替えに民間資金を導入した結果、高い都営住宅、高額医療費が問題となっている。

公務員制度改革・改憲そのもの

 こうした市場化テストを経て民営化の結果、人件費が6割に減ったとの「中間報告」がだされているが、この実態は、雇用形態の半数が臨職、パートであり、退職金なし、福利厚生、安全衛生が損なわれている実態が浮き彫りにされている。
 いづれにしても、そこで働く職員にとっては重大な労働条件の変更が伴うことから、労働組合としては団体交渉など明確な方針をもって臨むことが必要である。
 このようなトップダウン方式による独立法人化、指定管理者制度、市場化テストには毅然とした反対の態度をとることが必要だ。あらゆる労働者の不利益に対しては原則的に拒否することが大前提だ。
 従来のNPM手法による市場化テストに加え、総合規制改革会議の報告にある官製市場の開放を旗印にするこれらの動向は、すべて現行の公務員制度改革を視野に入れたもので、そこにあらわれた転換は、実は現憲法下の公務労働の解体を通した改憲攻撃そのものだということだ。

背景にある規制緩和の動き

02年 7月23日 総合規制改革会議「中間のとりまとめ」
    10月30日 地方分権推進会議「事務事業のあり方に関する意見」
    12月30日 総合規制改革会議「規制改革の推進に関する第2次答申」
03年10月24日 地域再生本部の設置「地域再生のための今後の進め方」
    11月 経済財政諮問会議(骨太方針V)のうち「除去方法の検討」部分

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私の職場から

   弱者切り捨て社会の犠牲者と向き合う

  東京 福祉事務所 佐藤 賢一

 自治体の中で一般的に、最も異動したくない職場と言われているのが、いわゆる「生活保護の職場」である福祉事務所である。
 「福祉事務所」それが今の私の職場だ。
 いやがれる原因は、一人住まいの高齢者の死亡時の対応、少数であるが、元暴力団員の来所、何カ月も風呂に入ったことのない路上生活者などが来ることや被保護者のごく一部が時たま起こす事件との関わりなどをさして言うのだろう。

 職場実態

 実際の職場としては、「他方優先」と言う言葉に象徴されるように他の法律をもってしてどうにも生活ができないときに生活保護となるので、ケースワーカーは他の法律について知っていることが前提となっている。窓口では相談担当係が相談を受け、該当すれば保護申請を受理しケースワーカーの仕事となる。
 「厚生労働省の基準ではケースワーカー一人当たりの担当する生活保護世帯数は80世帯」と言われている。しかし現在どこの自治体においても100から120世帯を持たされたいるのが現実である。
 一般的に生活保護のケースワーカーの仕事といえば「訪問すること」であると思われがちであるが実際の仕事量からいえばそうではない。経済的な自立を求めていくため、被保護者の金銭に関する事務処理とケース記録(どのような処遇をしたか等)を書くことが主な仕事となっている。そちらにほとんどの時間が費やされるのである。たとえば、児童扶養手当・年金・さまざまな福祉手当・稼働収入・転入などの移動・死亡・出生、介護保険料の変更、老齢加算、母子加算などに変更があった場合、すべてその度に金額変更をしなくてはならない。単身者ならまだ楽だが、家族構成が多い場合はたいへんである。「訪問」すれば状況報告を書く。1時間程度のサービス残業が日常化しつつある。とりわけ「新規」で保護を開始する場合で、家族が多いときなどは「1日仕事」になり、その日の訪問などにとても行けない状態となる。そのような状態の時に、担当地区で死亡者が出たり、面接や電話による相談が続いたりするときはパニック状態になることもあり、ひどいときには精神的な症状が出て、休まざるを得ない職員も出てくる。これは全国的な傾向としてある。だが公務員攻撃の中で福祉職場が「よい」と言われることは少ない。

 ケースワーカーの仕事とは

 失業問題、家族関係の崩壊、幼児虐待、10代の結婚・離婚、絶望からのアルコール依存、高齢者単独世帯、自殺願望、自営業の破綻、病気を契機とする家族崩壊、高額の借金による自己破産などなど、自分がワーカーとして対応している被保護者がなぜそうなったのか。それぞれの生活履歴を見れば、今の社会が生み出しているとしか言いようがない。「勝ち組、負け組」という中での弱者切り捨て社会の犠牲者だということ。そうであるならば、この社会の変革を求めることこそケースワーカーの仕事ではないだろうか。

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●たたかいは進む

 

★立川反戦ビラ弾圧裁判 3人全員無罪判決

 今年の1、2月立川市内にある防衛庁の自衛隊員官舎のドアポストにイラク自衛隊派兵反対のビラを投函したことが「住居侵入」に当たるとして2月27日、不当逮捕された立川自衛隊監視テント村のメンバー3人(大西章寛さん、高田幸美さん、大洞俊之さん)に対する判決公判で、12月16日、東京地裁八王子支部の長谷川憲一裁判長は、3人全員に無罪判決をだした(求刑は懲役6月)。
 無罪判決は当然のことである。本来この件は事件性がおよそ存在しないものであり、逮捕・勾留・起訴そのものが不当きわまりない。したがって逮捕令状を発布した簡易裁判所、公訴棄却することなく7カ月も裁判を行ってきた東京地裁八王子支部も責任が問われる問題である。
 3名に対する弾圧は、当時全国各地で自衛隊官舎に対して行われていた反戦ビラのポスティングに対し、萎縮効果を狙ったものである。イラクに対する侵略戦争が行なわれて以来、反戦運動が全国各地で湧き起こった。そして、反戦運動に対して異様ともいえる刑事弾圧が連続して行われ、東京杉並区内の公衆便所への落書きも弾圧された。立川反戦ビラ弾圧も警視庁・公安部主導による弾圧の一環であることは明らかである。
 戦争する国家体制づくり、刑法の重罰化、共謀罪の新設攻撃という治安弾圧強化の動きのなかで無罪判決をかちとったことは大きな勝利である。警察・検察の取り調べに完全黙秘を貫いた当該3名、弁護団、救援会の頑張りと、不当逮捕が伝わるやいなや、学者、弁護士などの法律家、労働者、学生、市民の支援・共闘の輪が一気に拡大していったことも勝利の要因である。
 しかし、この判決も万々歳の判決とはいえない。無断で宿舎に立ち入ったことが住居侵入罪を構成する要件にあたるとしたことや、「テント村は、政治的見解を同じくする一市民団体にすぎない」としたことは、同じようなケースでも有罪に導く余地を残した判決だといえる。

 ★全金本山12・12〜13全国闘争

 全金本山労組は、12月12〜13日の両日、全国から約70名の結集を得て緊急全国闘争を行った。
 12日夜、6時30分から宮城婦人会館で全国総決起集会が開かれた。組合側から、和解交渉の作業が遅れているが、闘争勝利に向かって闘い抜く決意が表明された。また、緊急の呼びかけに全国から結集した支援の労働者が34年の闘争の結果、勝利し、解雇撤回、就労を勝ち取ることの偉大な勝利をなんとしてももぎとろうと、次々と発言した。
 13日、早朝から大衡村工場前で、折からの寒風をついて門前闘争を行った。労組、支援の労働者は、解決交渉を遅らせている本山資本に対して激しい批判を浴びせるとともに、勝利まで長期にわたってでも闘い抜く決意を表明した。

 ★旭ダイヤモンド闘争に反動判決

 11月29日、東京地裁難波孝一裁判長は、旭ダイヤモンド工業鰍ェ提訴した被解雇者Sさん、東京の中部地域労働者組合、支援の労働者1名に対する「街頭宣伝活動禁止等請求事件」で、会社側の申し立てた内容をそのまま認め、組合の行動を全面的に規制する反動的な判決を出した。
 判決によると、街頭行動を規制する範囲を会社(工場、関連施設)の入り口のドアから半径200b〜150bの範囲で禁止する。デモ行進も禁止するというもの。さらに過去1年間の組合活動への損害賠償金を200万円として、仮執行をつけた。
 昨年3月末の同じ事件での仮処分で争われた判決では、事実上会社の主張をまったく退け、高裁でその判決が確定していた。これを今回の判決では、具体的理由を示さず、全面的にひっくり返す、憲法違反ともいえる反動判決である。
 Sさんはじめ3者は控訴して闘う。

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読者のページ

 ★●身体ボロボロ金ももらえず、冗談じゃない 神奈川 全逓 桜井隆夫

 「不払い残業は犯罪です」というステッカーが組合掲示板に貼り出されています。不当に「ただ働き」をやめさせたいのであれば、ステッカーを貼り出すとともに、職場集会を開催して周知を計るとか、当局に申し入れるとか、要求を出すとか、さらには「ただ働き」をしている組合員に説得をするとかを、当然やるものだと思うのですが、全然そんなことはされていません。
 「犯罪だ」と断言しているわけですから、「加害者」と「被害者」が存在していることになります。もっと言えば「犯罪人は誰か」ということです。
 「労使関係」的に言えば、「使用者が加害者で犯罪人」ということであり、「労働者が被害者」ということになります。
 しかし現在では、「使用者と労働組合が加害者」と言ってもいいような状態が見受けられるのは悲しいことです。
 郵便局現場では、特に集配現場では、時間外労働の時「通し」といって、4時45分から5時45分まで続けて勤務していました。正確に言えば、この勤務は違法なのです。法的には、4時45分から5時まで15分の休憩時間を取り、5時から6時まで60分の時間外労働というのが適法なのです。
 「法を守らなければならない」ということで「通し超勤」ができなくなりました。ではどこかで15分の休憩を取っているかというと、ほとんどの労働者が取っていません。いや、取れないというのが現実です。
 休憩時間ですから賃金の対象時間ではありません。
 「経費は10%削減」ということが「労使合意」されています。ではどうなるかと言うと、そうです、ただ働きが増えることになります。
 全国の郵便屋さん、ただ働きをやめて超勤をしよう。

 ★「つくる会」幹部の埼玉県教育委員任命を許すな! 東京 山田和夫

 抗議声明文を掲載します。

高橋史朗氏の教育委員任命に抗議する声明文

 「新しい歴史教科書をつくる会」前副会長高橋史朗氏の埼玉県教育委員任命に抗議する
 上田清司埼玉県知事は、2004年12月20日の県議会に「新しい歴史教科書をつくる会」前副会長の高橋史朗氏を教育委員に起用することを提案し、県議会に承認されました。高橋史朗氏の教育委員任命に対して深い憂慮を持ち、反対行動をしてきた私たちは、この決定に対して強く抗議するものです。
 理由は以下の2点です。
 第一に、高橋史朗氏は10年以上にわたって「新しい歴史教科書をつくる会」の中心的な推進者であり、「新しい歴史教科書」の監修者でもあります。このような特定の教科書を推進し、監修している人物を教育委員に起用することは、教育の中立性に対して慎重な配慮をすべき行政権者としての知事の教育への介入になる恐れがあります。
 特定の教科書に関与している人物を教育委員とすることは、「教育基本法」第10条、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第13条の精神に抵触するばかりではなく、文部省初等中等教育局通知「教科書採択の在り方の改善」や埼玉県教育長通知「教科用図書採択の公正確保の徹底」に違反します。上田清司県知事による高橋史朗氏の教育委員起用の情報が新聞報道された翌日の12月7日に、高橋史朗氏は「つくる会」を退会しました。しかし、このようなその場しのぎの対応によって、特定の教科書を推進する人物及びその組織に対して利便を供与するという県知事の公共性逸脱の可能性を否定することはできません。
 さらに特別秘書の野本能伸氏が文部科学省からのコメントとして提出した文書は偽造であることが判明しました。高橋史朗氏の教育委員起用の違法性について繰り返し問いただしてきたさまざまな団体、県民に対して、明確な回答をただの一度もすることなく、事実を捏造しながらこの人事を進めた県知事及びそれを承認した県議会に対して私たちは厳重に抗議します。
 第二に、高橋史朗氏の監修した「新しい歴史教科書」の歴史観や氏の教育観」をめぐって大きな問題があります。「新しい歴史教科書」は、これまでの歴史教科書が自国の歴史を否定的に見る「自虐史観」にたっているとして、愛国心を強調し、侵略戦争の責任をあいまいにするなど、アジアのなかでの平和・共生をめざす歴史観に対する強い批判をおこなっています。
 また、高橋史朗氏は、性教育、子どもの権利条約、男女共同参画などこれまで国際的な人権条約の成果をふまえた人権教育のとりくみに対して、バッシングをくりかえすなどきわめて攻撃的に他者を批判し、自らの教育観を強調しています。こうした一方的な価値のおしつけをおこなうことは公教育の場においてあってはならないことです。教育は本来、子どもたちと教師、あるいは父母を含む学校現場の主体的な真実探求の営みとして自由と公共性が保障されるべきものです。私たちは今回の高橋史朗氏の教育委員任用によって学校教育に価値の強要がなされ、あるいは人権・男女共同参画をめざす教育実践をすすめる教師への攻撃的な批判がなされることのないよう、自由で民主的な学校づくりを強く求めます。
 高橋史朗氏の教育委員起用に対して、県民はもとより県外からも多数の抗議署名・FAX等が上田清司県知事のもとに寄せられました。私たちは今回の人事の違法性をあらゆる角度から検証し、問題提起していくとともに、今後の埼玉県教育行政の公共性と学校現場の自由が保障されるよう、多くの県民、全国の教育関係者・市民と連帯し、活動を続けていくことをここに表明します。
 2004年12月20日
 高橋史朗氏の教育委員任命に抗議する12・20行動参加者一同

 ★05年を闘おう ユニオン自立

 今年は夏の暑さと、最多の台風の上陸、師走に入っても暖かい日々が続くなど天候が不順ですが、みなさんお元気でしょうか。
 先だっての各種世論調査で初めて小泉内閣の不支持が支持を大きく上回り、イラクの自衛隊派遣延長も60%以上の人が支持していない結果が示されました。しかし、同時に北朝鮮への経済制裁に賛成と答えたひとが大多数を占め、与党も野党も経済制裁やむなしという世論世相が作り出されようとしています。排外主義の強まりに危惧を感じます。
 然林房争議は、地労委へ団交拒否の不当労働行為で第2次の申し立てを行いました。然林房はあくまでも組合と誠実に交渉し、解決しようとは考えていないようです。
 また、書記長に対する、契約更新の拒絶(雇い止め)通告は、いったん白紙にもどりましたが、会社側は謝罪はおろかあくまでも有期雇用にこだわり、いつでも首切りできる道を残しておきたいようです。争議行動通告書は出しました。進展の如何によっては地労委への申立などもしていきます。組合員及び闘う仲間の皆さんのご支援をよろしくお願いします。
 新春の旗開きは1月9日(日)午後2時から組合事務所で行います。組合員及び闘う仲間のみなさんぜひ、足をお運び下さい。
 今年最後の「南風にのせて」です。みなさんどうぞ良いお年をお迎え下さい。
(ユニオン自立機関紙 南風にのせて04・12・15より)

§読者のページに投稿を§

 会員のみなさん、読者のみなさん、読者のページに投稿をお願いします。04年読者のページは非常に困難な状況でありました。東京の関西業業などいう輩があいた穴を埋めるというとんでもない状況でした。今年05年はみなさんの生き生きした投稿でうずめましよう。
 

編集後記 ■

 新年あけましておめでとうございます。年賀状を省略させていただいておりますので、この欄で失礼します。04年は何と言ってもアメリカのランクアンドファイルに象徴される労働運動の新しい波が起こったということでしよう。私たちも連合結成に対して89年に結成した交流センターもその意味ではランクアンドファイル運動でした。ようやくにして明かりが見えてきました。本年を大飛躍の年に。(し)

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