2005年3月号(No.180)目次
| ホーム | 月刊交流センター | 産別部会 | リンク | 連絡先 |
 

労働者の目 05年春闘をストで闘う

労働ニュース
  ●春闘 ●合理化など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集  小泉・奥田路線を撃つ
  ●ペテン的「民営化対応」に分割民営化絶対反対の闘いを!
  ●2年目の不起立闘争を闘う
  ●第175回拡大中央委員会以降の国鉄情勢 

日本経団連の改憲攻撃を許すな!

改悪労組法・労働委員会規則が本性を現し始めた!

労働者学習シリーズ 第2回 帝国主義

闘う合同労組 第7回 新潟地域一般労働組合

SPOT&CRITIC  NHK問題

たたかいは進む
  ●「日の丸・君が代」強制反対集会
  ●共謀罪

読者のページ

・PhotoDocument (2005年1月〜2月)

労働者の目

●05年春闘をストで闘う

 全国労働組合交流センター常任運営委員 (動労千葉特別執行委員) 滝口 誠

 動労千葉は、歴史的転換点としての05春闘に渾身の力をこめて、全組合員がストライキ、職場抵抗闘争に突入している。
  今春闘ストライキ決起は、改憲、戦争政策の推進―戦時体制に真正面から挑みかかる決戦である。奥田(経団連)ビジョンへの怒りの反撃である。
  日本の資本家どもの元締めである奥田は、「労基法など工場法時代の遺物、潰してしまえ」「企業に一切の自由を与えよ―労働者を食い殺す自由を与えよ」と絶叫している。ここまで言われて黙っていられるのか! 小泉・奥田の戦争と民営化、大失業攻撃は、それ以外に、もはや日本資本主義は生き延びられないどん詰まりの危機から発せられる〈悲鳴〉である。05春闘を労働者の大反乱の号砲として闘い抜き、屈服と反動を強める連合、全労連を現場から突き破り、乗り越える突破口として全力を尽くさなければならない。
  本年冒頭、全金本山の仲間は、苦節34年の闘いから、ついに偉大な勝利を握りしめた。原点を忘れず、仲間を信じて闘い続けるなら必ず勝利することを実証してくれたのである。この全金本山、動労千葉を徹底的に〈活用〉し今、春季闘争に総決起し、その中から労組交流センターの組織的大前進を実現しよう。このことは、戦時体制下のストを貫徹している動労千葉・全組合員の熱い思い、期待でもある。
  85年国鉄分割・民営化反対ストから20年、国鉄方式の〈一旦解雇・選別再雇用〉攻撃が、郵政、自治体、教労でも始まった。
  われわれのスト決起は、処分覚悟で不屈にたたかう教育労働者への連帯ストでもあり、心からの〈檄〉である。反動と重圧を一身に背負いながら教育基本法・憲法改悪を阻み、戦争協力拒否の闘いの先陣をきっている。この教育労働者を絶対に孤立させてはならない。卒入学闘争を全労働者の課題として闘いぬき、3・20イラク反戦闘争に全国から結集し、昨年をこえる大統一行動を実現し、階級的力関係を何としても変えようではありませんか。共にたたかおう。

| HOME | 目次 |


●労働ニュース(05年1月16日〜2月15日)

05年春闘幕開け
  18日の労使トップ会談で幕を開けた05年春闘は、「格差」が焦点になりそうだ。余裕ある企業には賃上げを認める姿勢に転じた経営側に対し、横並びの統一ベア要求見送りが定着した労働側は「格差是正」を前面に押し出した。中小企業やパートなど低賃金層の底上げを図る狙いだが、自動車や鉄鋼など業績好調な大企業では、一時金を中心に高水準の回答が予想される。底上げが実現しなければ、逆に格差が広がりかねない。

春闘スト、最小16件
  03年の春闘の賃上げ争議で実施された半日以上のストライキは16件で、73年に現在の集計方式になって以来最小となったことが、厚生労働省の労働争議統計調査で分かった。石油危機で物価が高騰し、大規模な統一ストを打った74年の228分の1。

労使舌戦開始
  日本経団連(奥田碩会長)と連合(笹森清会長)の首脳会談が18日、東京都内であり、05年春闘をめぐって舌戦を交わした。笹森氏は「働く者の大きな犠牲と多大な貢献がある。雇用や賃金、労働条件などへの還元に最大の意を払って欲しい」と強調。経団連の柴田昌治副会長(日本ガイシ会長)は「個別企業では賃上げもあるが、企業存続のために賃金を下げる企業もある」とかわした。経団連側は「闘う春闘は終わった」と指摘し「春討」への転換を示した。

月給総原資増額要求へ
  日産自動車労働組合(郡司典好委員長、組合委員数3万人)は25日、今春の労使交渉で、月次給与の総原資引き上げを軸にした新しい賃上げ要求案を決定した。日産は昨年4月から年功要素をなくし、個人の業務成績や能力に応じて月次給を決める新賃金制度を導入、定期昇給やベースアップの考え方がなくなった。日産労組はベアに代わる新基準を設け、好業績に見合った賃上げの獲得を目指す。

 キャノン春闘と決別
  キャノンは06年から、社員の昇給の時期を従来の毎年4月から毎年1月に変更することを明らかにした。ほとんどの日本の企業で4月に給与が上がるのは、春闘での賃上げ交渉の結果を反映してきたためだ。しかし、同社の賃金交渉は、すでに春に集中する方式から年間交渉型に変わっており、決算期に合わせる。昇給時期の見直しは、春闘方式の終焉を象徴しているともいえそうだ。

 賃上げ1・7%予想
  今春労使交渉の賃上げについて、労使双方の幹部らが、景気回復を背景に昨年の賃上げ結果を0・03上回る1・7%と予想していることが3日、人事労務関係の調査機関、労務行政研究所の調査で分かった。見通しが前年結果を上回るの8年ぶり。

 電機連合、ベア要求見送り
  電機メーカーでつくる電機連合は横浜市内で開いた中央委員会で、今春の労使交渉ではベアの統一要求を4年連続で見送ることを決めた。

 トラック4社労組、ベア要求見送り
  トラックメーカー4社の労働組合が今春の労使交渉で提出する要求内容が14日まとまった。各労組ともベア要求は見送る。

 トヨタ3年連続でベア見送り
  トヨタ自動車労働組合(5万8千人)は、ベア要求を3年連続で見送ることを正式に決定した。一方、定期昇給は、6千900円を要求する。受け入れられれば3年ぶりの定昇増となる。

 一時金要求は過去最低
  三菱自動車労働組合は、ベア要求の3年連続見送りを決めた。一時金の年間要求額についても3・0カ月(過去最低)とすることを決めた。

 NTT8社、年齢給を全廃
  NTT東西地域会社、ドコモなどNTT主要8社は06年度にも勤続年数に応じて加算する年齢給を廃止する。すでに管理職では全廃しており、対象を一般社員に広げる。扶養手当もなくし成果主義を徹底する。

 中小の統一ベア「容認できない」
  山口・日本商工会議所会頭は3日の記者会見で、連合が今春闘の中小企業労組の統一賃上げ要求で、「5千200円プラス格差是正分(ベアに相当)500円以上」を掲げていることについて、「賃上げは企業の業績によって判断すべきことで、ベアを出すの反対だ。とても容認できない」と述べた。

 統合後、6千人削減
  10月の経営統合を目指す三菱東京ファイナンシャル・グループとUFJホールディングスは統合後08年年度末までに、両グループで計6千人規模の人員削減を実施する方針を固めた。

 資生堂、希望退職1千364人
  資生堂は31日、昨年末に1千人をめどに募集した早期退職制度に、予想を上回る1千364人が応募したと発表した。同社は国内化粧品業界1位で業績そのものは堅調だが、今後の国際競争に備え「攻めのリストラ」に踏み切ったという。

 基本給6%カット
  住宅金融公庫は2日、06年度中に独立行政法人に移行するまでに現在約1千100人いる常勤職員を4%削減し、基本給を平均で6%削り込む方針を固めた。

 短期・高報酬の社員増員
  ソニーは19日、短期の成果を期待して厚遇する「契約型社員」の割合を大幅に増やす方針を明らかにした。

 松下、好調部門リストラ
  松下電器産業は25日、デジタル家電部門で早期退職者の募集を始めたことを明らかにした。約1千人が応じるものとみられ、年度内に退職する。稼ぎ頭の同部門でも一段の合理化が必要と判断した。

 JT年功型賃金を全廃
  日本たばこ産業(JT)は06年4月から、仕事の重要度によって給与が決まる新賃金制度を全社員1万3千人に導入する。一般社員に残っていた年齢給など年功型賃金を全廃。重要度の高い仕事に就かなければ給与が大きく増えない賃金体系に改める。

 地方公務員の改革急務
  日本経団連の奥田碩会長は24日の記者会見で、今年の課題の一つとして地方公務員改革を挙げた。奥田会長は「地方公務員の数が多く、給料も国家公務員より高い。地方によっては民間企業よりはるかに高いようだ。地方公務員の水準は見直さなければならないと述べた。

 フランス労働時間攻防
  先進国では最短水準といわれるフランスの「週35時間労働制」が風前の灯火だ。国際競争力をそぐとして与党が延長法案を提出した。

 労働日誌(05年1月〜2月)

1月18日
  日本経団連の「国の基本問題検討委員会」(三木繁光委員長・東京三菱銀行会長)は、憲法を改定し、9条を改め、自衛隊の保持を明示し、集団的自衛権の行使について明確にすべきだとする提言を発表した。

1月19日
  日本経団連は、教育に関する提言を発表。「現在の教育は、社会の期待に応えていない」と批判し、学校間の競争の促進、保護者や地域社会による教員に対する評価の導入と賃金等の処遇への反映、株式会社による学校設立などを盛り込んでいる。

1月20日
  帝国データバンクは、企業の倒産集計を発表。それによると、04年の企業倒産件数(負債額1千万円以上)は、1万3千837件(前年比16・8%減)となり、2年連続で減少となった。

1月21日
  小泉首相は、国会の施政方針演説で「官から民へ」を強調し、郵政民営化について「改革の本丸」であり「07年4月に郵政公社を民営化する法案」を「今国会に提出し成立を期します」と述べた。

1月26日
  野村證券金融経済研究所によると、企業の余剰資金の名目GDP(国内総生産)に占める割合は、02、03年度とも5%を超えていることがわかった。また、東証1部上場企業の05年3月通期の決算は3期連続の増益、2期連続の過去最高益の見通しが明らかとなった。一方、労働分配率は、04年を通じて60%前後でバブル崩壊後の最低水準となっている。

1月28日
  総務省は労働力調査を発表。それによると04年の平均完全失業率は、4・7%(前年比0・6低下)となった。04年12月の失業率も4・4%(前月比0・1低下)となっている。一方、人口の内、どれだけの人が実際に働いているかを示す「労働力率」は、92年の64%をピークに低下を続け、04年は60・4%となった。労働市場の縮小が続いている。特に15〜24歳の男性の労働力率は44%(前年比1・2低下)となり、下降が目立つ。

2月14日
  国際労働機関(ILO)は、世界の雇用情勢に関する年次報告を発表。それによると、04年末の失業率は6・1%(前年比0・2低下)となった。

| HOME | 目次 |


●わずか1秒たらずのことを過大に表現、これを大会阻止の ための暴行という

  国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

 2月8日東京地裁104号法廷において「国労5・27臨大闘争弾圧」事件の第35回公判が行われた。この公判から長野地本の平山芳夫が証人として出廷し、検察側からの主尋問、つづいて弁護側からの反対尋問が行われた。

 検察官の主尋問が画く架空の構図、暴行のデッチ上げ

 検察側主尋問は溝内検事が行う。羽廣さんが立ちはだかり「大会は開かせないぞ」とおどすような口調でいいながら、右手で自分の右手をつかんでねじったという。具体的には口で言いいずらいといって自分で自分の手をつかむ実演をした。また手が胸から腹のあたりにきて、バスから遠ざけるように押した、ともいう。向山さんについても「私の体をよけるようにしながら、拳で腰のあたりを突いた」という証言もした。これについて、平山は「拳でつかれてそのときは分からなかったが、後でその人物は向山被告だ」という。逮捕時点の容疑は向山被告は共謀の中心人物リーダーとして罪を問われていたはずである。この共謀は今まったく粉砕され、影をひそめてしまっている、そこであらたに、たたまた平山の近くにいた向山さんが暴行をしたことをつくり出そうとしている。押収したビデオをみたらその映像でたまたま平山の近くにいたというだけで、拳でついたのが誰なのか、またはたして拳でついたことがあったかどうかも疑わしいにもかかわらず、公判の段階になって暴行が行われたとしている。
  この検察官主尋問のなかで証人平山は自分で自分の手首を掴むという無理なジェスチャーも入れてこと細かに暴力行為なるものを説明してきた。しかし彼がバスに乗るまでに受けたという暴行という行為はビデオで見るとわずか1秒たらずの時間のできごとである。画面の右側を平山と羽廣被告とがいっしょに走るように横ぎり、隅のほうに向山被告が映っていて二人をよけるように身をかわしているのがみえる。これが検察官の尋問では被害届けを出す必要があるような暴力に作りかえられているのである。またその後に、バスの入り口に彼が立っていたとき受けたというリボンがひきちぎられた暴行もアッという間のできごととして映っている。とうてい時間的に暴行が起こるとはとうてい考えられない短い間のできごとである。これを検察官は長々と説明させているのである。
  さらに平山は被告たちの言葉として「大会は開かせないぞ」と言っていたと証言した。これは明らかに言葉を作為的に作り変えている。実際は「大会は開くな」「大会をやめろ」だったはずである。だれにでも分かるのに、「大会は開かせないぞ」という言葉には実力阻止を伴う被告たちの意志の現れが表現されており、「大会は開くな」「大会をやめろ」は、相手に自らの行動の是正ををうながす説得の言葉である。この僅かな言葉の違い、検察官による作り変えがこの事件の本質を明確に明らかにしている。はからずもこの検察側主尋問はこの事件が国労本部と検察が共同でデッチあげた暴力事件であることを明確に示しているのである。この重大な作り変え証言は、実際とは異なることを言っているのであるから明らかに偽証と考えられるが、おそらく裁判官は「証人にはそう聞こえたのだから」と言うであろう。

 何も知らずに4党合意は解雇撤回闘争の到達点と勝手な妄想を画く

 続いて弁護側から反対尋問が開始された。反対尋問の最初は大口弁護人により始められた。現在の彼の身分は長野地本で専従役員であり、今は本部書記長になった吉田の後任として、ただ一人の専従役員、副委員長だという。しかし彼は5月27日の大会での議題が何かについて、「正確には答えられない」という。そこで大口弁護人は専従のあなたは組合員に説明するために、4党合意以降の国労の方針について詳しい知識が必要なのではないのかとしたうえで、「国労は地労委で救済命令を受け、裁判では補助参加をしている。JRが労働委員会命令に従わないのは許せないと思っているか」との問いただしたのに対して、平山は「そうです」と答えた。そこで弁護人からの、「あなたはJRには法的責任があると思うか」との問いにも、「あります」という。「それなら4党合意でJRに法的責任なしを決めることはどうなのか」との問いには、「解決のためであり、闘いの到達点」という。「しかしこれは従来の方針の180度の転換ではないのか」との指摘には、「解決のための条件としてそうした」という。「4党合意が出されたとき、あなた方と深いつながりがあった北海道の美幌や紋別の闘争団は反対していた、また01年の1月に4党合意を承認する大会決定をしても、いっこうに解決には向かわなかった。大会承認直後に国労三役への意見聴取があったことは知っているか」との問いに、彼は「よくわからない」と答えた。「ここでの甘利座長の発言は知っているのか」との問いに、「知らない」と言う、「インターネットは見ていないのか」と言われたのには、「見ていない」と答えた。
  このような4党合意をめぐる動きをまったく知らないで、地本の専従役員が勤るというのはまったくの驚きである。4党合意の中心人物の甘利から「過大な期待をいだいてはならない、ゼロプラスアルファーだ」との説明を受けておきながら、国労執行部は組合員にこのことを隠し、3党声明で恫喝されて5月27日の大会を強行したのである。平山はただむやみに「大会は開く」と叫びながらビラまき、説得活動に聞く耳ももたずに対応していたのである。
  また、「3党声明は介入とは思はない」とも言う。それなら3党声明に強要されて大会を開くことの矛盾をどう説明するのか。暴力による阻止があったという彼らの主張は、大会の正当性を説明することにはまったくなっていない。この大会で決めようとした統制処分についても、ただ「本部方針に反したから」とだけ証言した。そこで佐藤弁護人からの「公正裁判に全力をあげる、これが国労の方針だったのではないのか」と指摘され、「国労規約にも、訴訟は組合員の権利と明記されているではないか」「憲法にも裁判を提訴する権利は規定されている、大会で訴訟をした組合員を処分するというのは、組合としてしてはならない決定をすることにはならないのか」と質問に対して、「常識的にはいけないこと」と答えた。それなら5月27日の臨時大会は非常識なことを決める大会だったことを認めたことになる。
  そして中核派が暴力で大会をめちゃくちゃに、とまったくデタラメな調書をつくっている。
  今回の公判の最後で被告人から証人平山に直接質問がなされた。まず橘さんが「あなたはさきほど中核派で、国労組合員とは思わなかったと言ったが、バスの入り口で、私はあなたに闘争団をうらぎることはバッチをつける資格がない、という話をしたはずだ、それでもわれわれを国労組合員とは思わなかったのか」と質したのにたいして、「当時はそう思わなかった」と答えたので「いまはどうか」というと「国労組合員と思う」と認めた。原田さんの「なぜバッチをはずしたのか」との問いに、「犠牲が大きすぎる、皆で話し合ってつけるのをやめた」と答えたので、「いまでも付けている人をどう思うか」尋ねたところ、「尊敬している」という。つづいて松崎さんが、「あなたは4党合意でJR復帰問題が解決できると思った、と言いながら甘利発言についてはなにも知らなかった、JRに法的責任なしを認めることがどれだけ重大なことかわかりますか」と問い質したのに対して、「私は会場係だった」と4党合意推進に奔走したことなど無かったかのごとくまったく無責任ないいのがれを言った。
  次回もこの平山証人への尋問が続行される予定である。ぜひ多数の傍聴をお願いしたい。  (「許さない会」東京南部会員)

| HOME | 目次 |


特集  小泉・奥田路線を撃つ

●ペテン的「民営化対応」に分割民営化絶対反対の闘いを!

 全逓労働者部会   

 2月16日第120回中央委員会に対して、私たちは、全国の仲間を結集して。中央委員会の議案書に対する情宣と抗議のデモをたたきつけました。
  これは07年、小泉内閣が掲げる郵政民営化に対する。私たちの郵政分割民営化に対する絶対反対の意志の表明であると同時に戦闘宣言でもあります。小泉内閣は今通常国会の3月にも、郵政分割民営化関連法案の上程を狙っています。これに対する中央本部の「民営化対応」は組合員をだますペテンであり、自民党郵政族と特定局長会の利権を守るための「民営化反対」と同じく組合員を売りわたしても自己保身を第1にする許し難い方針です。事業の基盤を形成することは必要と言い1万7000人削減をするという「アクションプラン・フェーズT」に続く「アクションプランフェーズU」の大合理化攻撃の内容を知っていながら、組合員にひた隠しにし、交渉経過の本部一任を取り付け、6月の全国大会での承認をさせ、07年の民営化までに徹底した人減らしを行い「事業基盤さえ確立できれば民営化は怖くない」と言う公社総裁・生田の言に従って組合員への大裏切りに走っているのです。

 郵政民営化は、国鉄分割・民営化型=大量首切り攻撃だ

 すでに、昨年の12月27日に「早期勧奨退職の見直し」による「経営効率化勧奨退職」を当局と妥結しました。「高齢者勧奨が50歳以上、効率化勧奨は効率化に伴う過員発生局所を対象に50歳以上または勤続20年以上とする」というものです。過員発生局所など実際どこにも存在しないのだ。郵便外務では大量の日常的欠員状態であるしい「過員」とされている郵便内務でも、実際は削減に削減で事故が多発年休がとれない仕事が回らないというのが現状なのです。そしてその責任はすべて現場労働者に押しつけられているのです。
  内務・外務のアウトソーシングと、徹底した非常勤化による以外どうやったら過員が発生するのだ。ふざけるなと言いたい。このことを、百も知ったうえで退職手当て問題にすり替え「JPUの求めに答えたもの」として組合員をゴマ化しているのです。
  また、立ち作業の強要をはじめとしたJPS方式による、極限的な過密労働の強制や、拘束11時間から12時間の10時間労働という、1ネット方式なども導入、さらに郵便内務も10時間2交代制勤務の導入が計画され、現在でも極限的悪労働条件にある現場労働者の命をさらにしぼり取ろうとしているのです。そしてこの効率化勧奨に従わないものは「人材活用センター」の設置とそこへ一般局への訓練と称して強制収容し実際は退職の強要を行うのである。

 小泉・奥田路線と対決し民営化法案を阻止しよう

 郵政分割民営化攻撃は小泉・奥田による『骨太方針W』と、それに続く日本経団連『05年経労委会報告』さらに新行革大綱(12月24日)で打ち出された大民営化攻撃の全面的推進です。経労委報告は『骨太方針W』をさらにエスカレートして推進する宣言です。「攻めのリストラ」=「行革の断行」といい。民主導.自立型システム、「民間開放」を推し進め、「公務員の身分・処遇が聖域に置かれてよいのか」と叫び、公務員制度の抜本的改革を進めるとしているのです。そこでは郵政民営化法案こそが大民営化法案の突破口として位置づけられ、全公務員への大民営化攻撃=労組破壊と大量首切りを強行しようとしているのです。
  小泉内閣は、昨年12月に自衛隊の駐留延長を決定しアメリカとの同盟関係をますます強化しています。米軍再編(トランスフォーメーション)により日米安保は、東アジアから中東を含む世界大的な軍事同盟として日米枢軸化をより鮮明にしています。米軍による北朝鮮・中国に対する軍事政策は日本の改憲問題と密接に結びついています。小泉内閣は、国内支配の危機を『外に向かっての侵略戦争・内に向かっての階級戦争』として郵政民営化を位置付け突破しようとしています。まさに、郵政分割民営化絶対反対は、日本の労働者階級にとって絶対に負けるわけにはいかない闘いになっています。小泉内閣は07年の民営化後10年をかけて民営化を完成させると言っています。この中に、郵政民営化の破たん性が現れています。中央本部のペテン的「民営化対応」暴露、打倒することで民営化を阻止しよう。

 78年反マル生越年闘争引き継ぎブツだめ・ストライキで闘かおう

 4・28反処分闘争は、昨年6月画期的逆転勝利判決を勝ち取った。4・28反処分闘争は全逓労働運動史上最大最高の闘いである78年反マル生越年闘争を真に引き継ぐ闘いです。本部による組合員権のはく奪・反処分闘争の放棄にもかかわらず、25年の長きにわたる裁判闘争を被免職者、そして多くの全逓労働者と闘う労働者の闘いで、ついに一審の反動判決を打ち破り逆転勝利判決を勝ちとったのです。あの江見裁判長をして「重大な瑕疵がある」といわしめ完全勝利判決を勝ちとったのだ。ブツだめ・ストライキこそ労働者にとって資本に打撃を与えるのみならず、労働者階級にとって階級意識を高める唯一の闘いなのです。動労千葉が国鉄分割民営化に反対して唯一ストライキを打ち抜き、28名の解雇者を出しながら、今もって、日本の、いや世界の労働者階級の最も先進的組合として残っているのは、このストライキの持っている階級性にほかならないです。
  わが全逓は、かつて『権利の全逓』と呼ばれてきました。しかし、本部は国鉄の分割民営化に震えあがり「国労のようにはなるな」と言い、あらゆる権利を当局に売り渡してきました。ついに郵政分割民営化の大攻撃を前にしてその裏切りと破綻性がすべての組合員の目にはっきりとわかる時がきたのです。JPUと名前を変え破産した本部にとって代わり、郵政分割民営化を絶対阻止するためにダツだめ・ストライキで闘かおう。

 「日の丸・君が代」闘争先頭に4大産別決戦で改憲阻止を

 昨年の卒・入学式での300名に及ぶ都高教の教育労働者の決起は、ファシスト石原の処分恫喝と03年10・23都教委通達に決定的な打撃を与えました。これは、「国体の護持」を旗印に天皇制右翼のテロルに屈服して、学生を戦争に動員されていった教育労働者の「戦場に教え子を送るな」という血の叫びである。11月労働者集会と2・6の集会の感動的発言を本当に自分のものとして受け止めなくてはなりません。この闘いを教育労働者だけのたたかいではなく全労働者にかけられた攻撃として共に全力で闘い抜こう。都高教7000人の不起立決起を実現して郵政民営化阻止を爆発させ、教育基本法改悪阻止、労働基準法改悪阻止を05〜06年の改憲阻止を4大産別決戦として爆発させよう。

| HOME | 目次 |


特集  小泉・奥田路線を撃つ

●2年目の不起立闘争を闘う

 「本気で闘えば、必ず仲間がついてくる」

 東京の被処分者のアピール

 交流センターの集会は初めてなのですが、討論を聞いていて、みなさん熱い思いをもっている方たちなんだと思いました。
  この1年間、被処分者が必死に闘えたのもみなさんの熱いご支援があってこそ、わがことのように共に闘ってくれたからだと感謝しています。本当にありがとうございました。
  私たちは、不起立という形で闘いを始めました。「日の丸」に向かって起立し、「君が代」を斉唱しろという職務命令が出されました。どんなことがあっても、それはできない。教育基本法が改悪されようとしているときに、これ以上、攻撃を許してしまってはいけない。そういう思いで、不起立しました。そういう仲間が2百何十人もいたということが、大きな反撃をつくりだしてきたと思ってます。

 労働組合を現場組合員の手に取り戻す

 そのなかで2つのことが分かった。ひとつは組合の本部が闘わないなかで、本気で闘っていこうとしたならば、必ず仲間がついてくる。そして闘うために組織ができあがって、仲間が新たな団結をつくりあげて、敵に向かっていけるんだという確信をもったということです。みなさんの職場、いろんな職場があると思いますが、必ずそのなかにみなさんと同じ思いを持って、絶対にこれだけは許せないという労働者の信念をもって闘っていこうという人が必ずいるはずです。組合の指導部がどんなに転ぼうとも、自分の思いをきちっと出して闘っていく。そして同じ思いの全国の仲間達がさらに大きな闘いにしていく。今この闘いが戦争への流れを阻止していることに確信を持ちました。
  だからといって既存の組織をそのままにしておかない。私の今の決意は、都高教という組合を現場組合員の手に取り戻してやろう。この闘いを盛りあげて、闘っていくことの楽しさをみんなに伝えながら、労働組合とは本当にすごい力を持っているんだ、そういう労働組合につくりかえていくというのが私の決意です。
  もう一つは、憲法改悪反対、教育基本法改悪反対の闘いとはどんな闘いなのかという実例をつくってきたと思っています。やはり労働運動の現場で、闘っていく、その闘いが労働者たちを共感させていく。仲間を増やしていくことができるんだ。逆にいえば、教育基本法改悪や憲法改悪反対というのは、労働組合のストライキの課題なんですよ。隣の韓国ではゼネストで闘っている。今、ゼネストといってもピンとこないかもしれない。でも本気で闘いに勝つんだったらゼネストをやるしかない。それを作り出すためには、血を流し、傷を負う覚悟の闘いをやらないとだめなんだ。そういうことをさし示している闘いだと思っています。
  だからこそ、教育労働者だけの闘いで勝てるわけではない。みなさん方と本当に一緒になって闘っていくということがなかったら勝てない。戦後60年、私たちが育ってきた「平和と民主主義」はががらがらと音を立てて崩れていく歴史の曲がり角です。そういう闘いをしていく以外に新しい未来をつくることができないというふうに思っています。

 スローガンより具体的な取り組みを

 私自身、不起立するかどうか、当日の朝まで迷っていました。玄関出るときに奥さんに「今回は座らざるをえない、処分されるかもしれない」と話した時に、私のハラが決まったのです。最初からすごい決意をもってやっているわけじゃない。
  卒業式の前から予防訴訟の取り組みをやっていくなかで、仲間がいるんだ、同じ思いを抱えている仲間が一杯いるんだということが自信になりました。また具体的に現場でいろんな手段で抵抗する仲間を増やそうとしてきました。なかなか座るのは無理だろう、じゃあ一緒にビラまきをやってくれ、校長にはひと言「俺はダメだ」といってくれ。
  このように格闘しながら、少しでも、同じ思い持っている人間を増やしていく。だから座っている人だけでなくて、立たざるを得ない人も含めて、闘いが起こったと私は思っています。
  ですから、不起立の数だけが闘いではない。だけど、今は不起立の数が勝負です。そういう勝負になっている。その闘いをつくるために、いま格闘しています。
  座ろうと言い切ることはなかなか大変なことなんです。唯一、そう言えるのは、被処分者です。「組合員のみなさん、俺たちと一緒の土俵に立ってくれ、一緒に闘っていこうではないか」と言えるのは私たちだけなんです。
  決意だけではダメで、それを支える体制をどれだけつくるのかが課題です。そこで、今、ホットラインを作ろうとか、悩んでいる人が相談できる体制を作ろうとか、準備しています。去年、予防訴訟の弁護団という法律家たちと出会えて、闘いの武器を一杯もらったことも重要でした。いろんなことができるという確信がもてた。
  「不起立闘争の大爆発」と言われてもピンとこないのは、そういうことなんです。具体的に何をしていくのかを常に考えていかないと、スローガンだけではダメなんです。

 闘いの主人公になった楽しさ

 国鉄分割民営化の決戦の時に、動労千葉の闘いを見ながら、もし自分の職場がそういうことになったら、「動労千葉のように闘いたい」そういう思いをもって、自分の職場でなかずとばずで闘ってきました。いま、自分が闘いの主役の場面ができている。本当にうれしく、当該冥利につきる思いです。
  大木よねさんの「今度はおらが地所と家がかかるので、おら一生けんめい頑張ります。…だから闘争が一番楽しかった。」という言葉に、私は目からうろこが落ちました。闘いは楽しいんだ。いまある不幸な状況とがっぷり四つにくんで闘っていくことはこんなに楽しいことなんだということを知りました。三里塚や動労千葉の闘いに学んで、闘っていきたいと思います。一緒に闘っていきましょう。次は、私の現場でなくて、みなさんの現場なんです。そういう思いで一緒にやっていきましょう。

 (この文章は、第12回定期全国総会での東京の被処分者のアピールを編集部の責任でまとめたものです。)

| HOME | 目次 |


特集 小泉・奥田路線を撃つ

●国労再生の正念場、今こそ国鉄1047名闘争「終結宣言」への道を断て!

 ―第175回拡大中央委員会以降の国鉄情勢―

 国労共闘全国協議会

 1月29日、国労は第175回拡大中央委員会を熱海市内で開催しました。警視庁と静岡県警に守られて開催されたこの中央委員会で、酒田・革同執行部は、いよいよ「1047名闘争終結」宣言へと激しく動き出しています。
  昨年12月、中労委事務局(厚生労働省)は、中労委に公益、労働、使用者側三者委員からなる「JRプロジェクトチーム」を立ち上げました。JR東日本における昇進差別事件の一括和解(6月)を突破口に、国鉄分割・民営化反対闘争の全面的な破壊と清算に走ろうというのです。万策尽きた酒田=革同執行部はこれに飛びつき、「JR東日本の労務政策は変わった」(宮里弁護士)「正常な労使関係の確立へ歴史的和解のときだ」(佐藤勝雄東日本エリア本部)などとして、JR東日本における全争議事件の「和解」と国鉄1047名闘争の終結=解体の道を決断しようというのです。小泉政権(小泉=奥田路線)が〈戦争と民営化〉に向かって国鉄闘争の解体と清算を図ろうと襲いかかったまさにこの時、闘争団と1047名闘争を敵に差し出し、国鉄闘争と国労の団結破壊に組するという実に許しがたい裏切り行為です。
  国鉄闘争はまさに正念場です。「国鉄1047名闘争終結宣言」を絶対に許さない闘いに猛然と突入しよう。05春闘、「日の丸・君が代」強制=教育基本法改悪阻止の闘いから、3・20イラク反戦闘争に向かって強大な統一戦線を形成し、日本労働運動の歴史的再生の道を前進しよう。
  私たちは、JR本体組合員の反合闘争・権利闘争と結合した国鉄1047名闘争の本格的な発展を実現し、国労の階級的再生のために闘います。5・27臨大闘争弾圧と闘い、「許さない会」会員獲得を軸として公判闘争に勝利しよう。

 陸海空港湾20労組の解体策す国労本部

 酒田執行部は、この拡大中央委員会の最後に「イラク戦争・占領反対、自衛隊即時撤退、憲法改悪に反対する特別決議」を提案しました。ところがこの特別決議の内容は、「自衛隊は即時撤退し、民生分野による『人道・復興支援』に切り替えることを強く求める」というものでした。これは、「イラク戦争に反対する決議」では断じてありません。逆に西日本エリア本部委員長・上村ら革同とJR西労組(JR連合)が立ち上げた「イラク鉄道復興・人道支援会議」なる侵略翼賛運動を、国労本部が積極的に推進するという決議であり、自らがその一翼を担う「陸海空港湾20労組」を公然と解体する特別決議にほかなりません。
  2月7日、「銃よりレール」と銘打った集会が大阪市内で行われました。JR西労組と国労西日本本部が昨年9月に結成した「イラク鉄道復興・人道支援会議」(議長=森正暁JR西労組委員長)が、駐日イラク大使を呼んで秘密裏に開催したものですが、この集会には、新たに加盟したJR九州労組(船津寿幸委員長)と国労九州本部(飯田信広委員長)をはじめ、国労東海本部と同四国本部の代表者もオブザーバ参加したというのです。この事実が意味するものは何か!
  その第1は、JR西日本が仕掛け、JR連合と革同上村が動き、四国と九州エリア本部のチャレンジが乗っかった「共通の利害」とは、すなわち国鉄闘争の解体、1047名闘争の清算以外にありません。JR西労組委員長森正暁が「闘争団に国内の出番はない」「イラクに行けば英雄になる」として、「イラク鉄道復興・人道支援会議」結成に行き着いた核心問題に、国鉄闘争の破壊があることは明らかです。
  第2に、イラク反戦闘争の破壊と国鉄闘争の解体は一体だということです。この中央委員会で革同は、誰一人として陸海空港湾20労組の闘いについて触れませんでした。それもそのはずです。何よりも有事法制の発動を「許さない」「従わない」という陸海空港湾20労組の反戦闘争と、「イラク鉄道復興支援運動」は絶対に相容れません。しかも「銃よりレール」というイラク鉄道復興運動のスローガン自体が、米侵略企業ハリバートンの子会社がイラク占領でぼろ儲けを続ける合い言葉だからです。3・20反戦闘争を国労の名を持って破壊するこの暴挙を、私たちは絶対に許してはなりません。
  第3には、酒田、革同、チャレンジが、ついに侵略翼賛と国益を掲げた労働運動への変質と転落を内外に明らかにする決断に立ったことを示すものです。小泉=奥田による〈戦争と民営化〉路線への屈服を象徴する「国鉄1047名闘争終結宣言」に行き着くということです。国鉄闘争の勝利と再生をかけて、3・20イラク反戦闘争に総決起しよう。

 今こそ国労再生の闘いを

 1月11日国労本部は、およそ労働組合としては異例の「建交労との協議および集会等を見合わせる」という「指示第48号」を出しました。「建交労内で、国労の一部闘争団による鉄建公団裁判を支持する『署名』が取り組まれ」「国労を誹謗・中傷する内容の文書が配布されている」としていますが、全動労争議団の鉄建公団訴訟への合流がその理由であることは明らかです。本部派革同らは「『指示第48号』はやむを得ない措置」だと、酒田やチャレンジを擁護しました。
  昨年8月と11月の2回、国労本部は建交労との共同集会を行いました。その目的は動労千葉の排除と国鉄1047名闘争陣形の破壊でしたが、いっぺんの道理もないこの策動は次々と大破産しました。だが日本共産党中央委員会と全労連一部幹部は、国労本部酒田と結びつき、チャレンジと癒着し、闘争団の闘いと存在そのものを「アキレス腱」に見立てて1047名闘争を終結せんとして、建交労への介入と抗争を繰り返しています。国鉄闘争は正念場を迎えて、一気に〈分岐・流動・再編・高揚〉過程に突入しました。
  05年〜07年の改憲に向かって、郵政民営化や教育基本法の改悪、公務員制度解体攻撃を進める小泉・奥田にとって、今絶対に越えなければならないハードルが、国鉄分割民営化反対闘争の清算です。そのためには、国鉄1047名闘争破壊と同時にJR総連革マルとの「結託体制の清算」が、どうしても避けて通れません。一昨年らいの東日本への「業務改善命令」、12・22最高裁反動判決、そして昨年の9・27鶴見駅事件判決などを経て、いまJRにおける労務政策が根底から「シフト」し始めています。その核心は、国労組織の根絶と1047名闘争の破壊攻撃の最後的な始まりです。
  ところがチャレンジと酒田・革同は、この「労務政策の転換」に飛びつき、中労委での昇進差別事件の一括和解に全面的に乗り出そうとしています。「会社側は解決金1億円を用意した」とか、「ベンディング廃止で配属問題が解決した」などという、一度として闘ったことのないエリア本部を先頭としてデマを振りまきながら、闘争団とJR組合員を必死で分断しようとしています。結局は国鉄闘争、1047名闘争の終結宣言に突き進もうとしているのです。それは間違いなく国労を解体・壊滅に追い込むものです。
  陸海港湾20労組の闘いを守り抜き、「イラク復興支援運動」を粉砕しよう。共産党や全労連一部幹部の統一戦線破壊と対決し、「闘争団排除」「過激派排除」を打ち破ろう。「5・27臨大闘争弾圧」に手を染めた酒田・革同執行部の延命を一日たりとも許してはなりません。今こそ臨大弾圧を打ち破り、国労再生と国鉄1047名闘争の勝利へ進撃しよう。

| HOME | 目次 |


●日本経団連の改憲攻撃を許すな!

 日本経団連の改憲提言

 1月18日、日本経団連「国の基本問題検討委員会」(委員長・三木繁光東京三菱銀行会長)は、「わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して〜」と題する提言を行った。この提言は、ブッシュの世界戦争への拡大のなかで、日本のブルジョアジーが生き残るために何をなすべきかを忌憚なく提起した戦略的文書である。徹底対決することが最短の改憲と戦争阻止の方途である。

 章別編成と概括

第一章「わが国を取り巻く現状と認識」

  ここでは「現行憲法や60年改定の日米安保条約、省別縦割・官主導の統治システム、または55年体制とよばれる国内政治体制…こうした歴史的枠組みの下では対応が困難になりつつある」との強烈な認識を示している。

第二章「これからの日本がめざすべき道」
  ここでは目標とされる国家像を明らかにしている。
  (1)国際社会から信頼、尊敬される国家。外交の基本戦略を構築し…紛争などの問題解決…が国の国益に沿った基本原則を明らかにしなければならない」
  (2)経済社会の繁栄と精神の豊かさを実現する国家「自由貿易体制の強化五七精神の豊かさを実現する国家を目指して…」
  (3)公正・公平で安心安全な国家「個人は国家に頼ることなく、社会や他者に対する責任や義務を全うする」

第三章「外交・安全を巡る問題」
  「外交を巡る重要問題」として、(1)日米安保同盟の重要性、(2)安全保障会議の抜本的改定、(3)東アジアの安全保障の連携強化をあげる。

第四章「憲法について」
  この章が核心部分である。
  (1)9条2項改正して自衛隊の保持と集団自衛権の行使を明記する。@自衛隊の役割の明確化(憲法9条第2項)「場当たり的な措置法ではなく、一般法として…」A集団的自衛権、「わが国の国益や国際平和の安定のために行使できる旨を、憲法上明らかにすべきである。同時に安全保障に関する基本法を策定し…」B緊急的な対応の必要性「憲法改正を待つがゆえに必要な改革が遅れるようでは本末転倒である」
  (2)96条憲法改定手続きとして国民投票法の整備する。

第五章「より民主的で効率的な統治システムの実現」
  (1)国と国民との関係、(2)政治寄付の問題、票の格差是正、(3)国民の権利と義務、(4)効率的統治システムとして、立法府、行政府、司法に関してあげてあるが、(4)では、内閣府機能の強化と省別縦割りの排除、総理大臣のリーダーシップ、公務員制度の抜本的改革、国と地方の関係…などわれわれの分析通りに本音が吐かれている。

第六章「政策別重要課題」
  5つの政策として(1)教育基問題、(2)少子化問題、(3)科学技術問題、(4)財政問題、(5)エネルギー問題があげられている。

 日本経団連の国家改造案

 この提言は、日本経団連の夏セミナーで奥田碩会長が、「わたしは改憲論者、年度内には日本経団連としての考え方を示す」として、財界が総力でつくりあげたものである。そして日本経団連の国家権力への直接介入するという新たなスタンスに立った。これまでブルジョアジーは自民党に政治を委ねて、みずからは経済活動に専念してきたという一線をとっぱらった。
  当初は改憲に関する提言を予定していたが、発表された内容はトータルで、いわば日本経団連の国家改造論ともいうべき内容となった。しかし当然で、日米安全保障問題や国家統治問題を一体的に論じない改憲論などありえない。しだがってわれわれは提言をトータルに全面的に批判し対決することが緊要である。
  とはいえやはり核心は改憲問題である。しかも極めて現実的で具体的提言である。自民党結成50周年のような記念碑的改憲論ではない。緊急かつ現実的に必要な課題としての改憲である。あえていえばすでに現実的に進行している現状への合理的追認行為としての改憲論である。短期で決着をつける道筋までも明確にしている。すなわち、第9条2項削除と96条の改憲手続きのみまず着手する。詳細は安全保障基本法(仮称)を制定する。もちろん財界は第9条2項だけを考えているわけではない。国民投票法を整備さえすれば、そしていったん第9条2項削除が通過すれば、もはや改憲は一潟千里である。いくらでも随意に代えられる。

 政・官・財・労一体の動き

 2002年2月に連合は『国の基本政策検討作業委員会』をスタートさせた。また連動して自治労は2003年「21世紀宣言」を強行突破した直後に『国の基本政策検討委員会』を発足させた。この動きは政・官・財・労が完全に一体である。
  04年自治労大会で発言した笹森会長は、「護憲を叫んでいればいいという状況では無い。連合としても憲法9条2項削除か、3項に自衛隊の海外協力を明記すればいいという意見があり参考になる。自治労もこれまでの意見を拘泥せず決着すべきだ」と連合は9条改憲の立場に移行する趣旨の発言をしている。これは日本経団連の提言と符合している。
  その自治労の『国の基本政策検討委員会』では、公然と「個別自衛権を全く認めないことについて、もはや国民的合意が得られない」との意見や、「憲法9条では個別自衛権を認めていないわけではない」「アジアの安全保障の重要性をふまえ、安全保障に関する機構を創設することが必要で、アジアの集団安全保障体制について議論を深めていかなくてはいけない」などと個別自衛権・集団的自衛権・集団的安全保障問題について改憲の土俵に入った議論がなされている(「論点整理」2005年1月中央委員会配布資料)。
  そして自治労の結論も日本経団連と同様に、安全保障基本法(仮称)を制定することにある。

 改憲阻止の闘いを

 提言は帝国主義ブルジョワジーが自己の権益から、軍事外交政策を露にさせ、それに照応する政治と国家体制の全面的な改造案を提起したのである。
  戦後60年、経団連は戦争をやれる国家の形成、東アジア経済圏を明確に意識し、軍事力をもって帝国主義的権益をつくり出そうというのである。
  侵略戦争がすでに始まり既成事実化されていく中で、労働者階級の決死の反撃が求められている。「護憲」とはそのことである。
  階級として改憲反対、大民営化阻止、公務員制度改悪反対、侵略戦争に反対に向けて全力で闘おう。

                                (自治体労働者部会 佐藤賢一)

| HOME | 目次 |


●改悪労組法・労働委員会規則が本性を現わし始めた!

スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(ス労自主)   中西 敏勝

 証人・当事者の宣誓強制

 「改正労組法」の成立(04年11月10日)に当たって、衆参両院において「証人の宣誓、公益委員の除斥、忌避については、労働委員会の裁判所化・民事訴訟化となることのないよう、その運用に十分配慮すること」との附帯決議が成され、この決議に対して尾辻厚生労働大臣は「その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります」と発言している。ところが、中労委をはじめ、各地の労働委員会での宣誓の有様は、この附帯決議を無視したものとなっている。
  中労委では、署名・押印の上、腕章を外し、(証人のみ)起立して宣誓する、さらに腕章着用での宣誓、証言を認めない。9年余の腕章禁止と腕章着用を口実とした審問・調査拒否に対する日弁連(人権擁護委員会)勧告、国際人権規約委員会勧告の後、着用での審問を行ってきたが、労組法改悪を機に証人の腕章着用を禁止してきた。
  東京では、事務局で署名・押印の上、審問廷で起立、宣誓させる、3者委員・事務局が同時に起立、申立人、被申立人、傍聴人は「成り行き任せ」で起立しなくても「進行する」としている、証人の腕章着用は前から認めていない。
  宣誓の条文は、第二十七条の八で証人は「労働委員会が証人に陳述させるときは、その証人に宣誓をさせなければならない」で、当事者は「労働委員会が当事者に陳述させるときは、その当事者に宣誓をさせることができる」と分け、手続きを第二十七条の九の項で、「民事訴訟法の準用」と定めている。
  但し、1月24日(月)の中労委、東京南部労働者組合の審問では、当事者の執行委員長の宣誓も強制されている。何のために、「させなければならない」、「させることができる」と区別したのか。
  ところで、1月になって東京都労働委員会が各労組、争議団、個人に送付してきた『証人の「宣誓」と証人費用の支払いの変更についてのお知らせ』なる文書の宣誓に関する項目は「当委員会の用意した宣誓書に署名及び押印をしていただくことになりました」となっており、起立の文言はない。根拠は、改悪労働委員会規則の第四十一条の十六「2 宣誓は、起立して厳粛に行わなければならない」と思われる。
  労働委員会規則は、労組法の改悪以前から中労委総会で決定し、公布され法律となってきた。「細かい」運用を決めるとされているが、今回の改悪は政府=厚生労働省の主導であり、随所にその改悪の意思=労働委員会制度の解体の意思が込められている。当事者の宣誓も改悪労働委員会規則の第四十一条の十六「3 会長は、証人又は宣誓が必要と認めた当事者に宣誓書を朗読させ、かつ、これに署名押印させなければならない。」となっており、「法の区別」を意味のないものにしている。

 証人費用の支払いの変更=支払い拒否

 中労委は12月20日(月)、ス労自主の調査終了後、事務局が控室にやってきて、「申立人代表者が証人採用され出頭した場合、従来は証人出頭費用の弁済を行っていたが、労働組合法の改正により、05年1月以降は弁済を行わないことになったので承知しておいてほしい」旨の通知を行ってきた。
  ス労自主はただちにその根拠を糾す文書を送ったが、2月3日現在、まだ回答はない。
  東京の『証人の「宣誓」と証人費用の支払いの変更についてのお知らせ』文書の「証人費用」に関する文言は「申立人の代表者及び被申立人の代表者並びに個人申立人等の当事者は、証人費用を受けられなくなります」である。
  ス労自主とユニオン東京合同は、「本文書記載の2項目(1 証人の宣誓、2 証人費用の支払いの変更)について疑義があるので、理由と根拠の開示を求める。」と、次の趣旨の文書を提出した。
1、「証人の宣誓」について
  労委規則制定に当たっての貴委員会は署名で足りるとの意見であったと聞いているが、それとの関係で「署名及び押印」と決めたのは何故か、その理由と根拠を明らかにすることを求める。
2、「証人費用の支払いの変更」について
  申立人の代表者にせよ、個人申立人にせよ、委員会が「証人」として採用し、出頭を命じるのであるから、出頭に係る旅費、日当等を委員会が支給するのは当然のことである。貴委員会が費用弁済をしないということは、申立人に過大な経済的負担を強制することにより、申立人は証言する機会を事実上奪われることになりかねない。『労委労協』誌05年1月号掲載の貴委員会労働者委員水谷研次氏『報告』によれば、本件「施行通達」を読み上げた事務局が絶句したとある。本件はそれほどの「激変措置」である。ついては、その「根拠」の開示を求める。
  東京ではいくつかの労組も審問に当たって、「申入書」や「意見書」を提出してこの改悪に異議を申し立てている。
  当の「施行通達」は厚生労働省が突然決定し、各労働委員会に「通達」として出し、しかし、その文書は労働者委員にも渡されていない。
  ケイワン闘争を闘っている組合として、他の被災労働者にとっても、かの悪名高き労働省「375通達」は忘れようにも忘れられない。82年12月から83年初めにかけて、全国の被災労働者800名を切り捨てた「根拠」が、内部文書にすぎない、法的根拠のない「375通達」であった。今回の「施行通達」もその類いの文書と思われるが、公開もしないとなると、その悪辣さはより深化していることになる。
  この詳しい経過は、『労委労協』誌05年1月号掲載の東京都労働委員会労働者委員水谷研次氏『報告』をぜひ読んでほしい。

 今後の闘い

 まず何よりも、改悪労組法の下での労働委員会闘争を貫徹していくことだ。そのためには、不当労働行為救済申立をしなければ始まらない。
  次に、この改悪労組法下での改悪の事実のひとつ一つに異議申立てを行っていくことだ。
  衆参厚生労働委員会委員にも事実を報告し、自分達の決めたことがどんな事態を引き起こしているか、知って貰わなければならない。

労働委員会闘争を闘っている全国の仲間の皆さんへ
  各地の改悪労組法に伴う改悪の事実をお知らせ下さい。

| HOME | 目次 |


●労働者学習シリーズ  帝国主義  第2回

 島崎光晴(しまざきみつはる)  労働運動理論センター

 前回につづき、労働者学習センター主催の労働学校での講義、そこでの質問・感想、それに対する私の回答を中心に、帝国主義と現代帝国主義について考えていきます。

 世界戦争の根っこは独占

●講義 帝国主義とは独占資本主義です。独占とは、単に独占企業を指すだけでなくて、何社かでシェア(市場占有率)を分け合っている状態なんです。これを〈市場分割〉と言います。市場を取り合い、分け合っている状態、そういう状態のことを独占と言うんです。市場を取り合って、「よこせ」「俺のものだ」「いや、俺のものだ」と奪い合って、こっちが何%、あっちが何%と一定の配分がされている分割状態、これが独占なです。
  なんでこんなことを言うのか。結論的に言いまして、この市場の奪い合いは最後は世界戦争になるんです。独占を独占企業とイメージしたんでは、帝国主義がわからなくなる。市場を奪い合って、最後の究極形態は世界戦争になるんです。独占という中にそういう性格がある(ブックレット『現代の資本主義―帝国主義の7つのキーワード』6〜8n)。
  さらに、独占の本性は力ずく、むき出しの暴力的なものです。分割状態というのは仲がいい話ではないんです。市場を取り合うというのは、他の企業を叩きつぶして、自分の力で市場を支配し、その力で他企業にいろんなものを強制するということです。アメリカのスタンダード石油が典型ですけど、ダイナマイトまで使って、自分の力で相手を組み伏せていくあり方、それが独占だということなんですよ(同8〜10n)。
  しかも、独占というのは単なる経済面の話だけではない。植民地・勢力圏を独占的に取っちゃうというのが独占なんです。市場だけでなくて世界の領土、植民地・勢力圏を独占的に奪い合おうとする。これが資本主義の独占的段階、独占資本主義ということなんです。だから各国の国内のあり方が大きく変わった、むき出しの力ずくの時代になったというだけでない。世界の編成のあり方、世界がどうなっていくのかというあり方が、19世紀の資本主義の時代と大きく変わってきたということですね(同12〜16n)。

●感想 独占資本主義(資本主義の独占的段階)はまったく誤解しておりました。今日の講義で分かったような気がします。

●感想 資本主義が独占化して帝国主義になり、そして戦争(世界戦争を含めて)が不可避になる関係がはっきり分かった。単なる経済的な対立の結果として戦争に発展するというだけでなく、独占の中に戦争に向かう本質が隠れているということが理解できた。

●感想 資本主義の独占的段階……分からない部分がまだあります。独占という根っこで世界戦争に行き着く、むき出しの奪い合いという説明が、分からない部分もひっくるめて納得できた。

●質問 独占の意味について、そこに侵略があって食い合う状況が生まれていく、というように理解した。文字通りの非和解的対立ということなのか。

●回答 今回の講義は、今まで皆さんがイメージされていた独占とはずいぶん違うのではないでしょうか。帝国主義とは、資本主義が発展して独占的段階になったことです。ここで言う独占とは、しつこく強調しますけども、各国経済での独占企業や市場の独占的分割にとどまりません。資本も国家も世界を独占しようとする、独占するために奪い合う、それが独占資本主義なのです。
  独占資本主義という言葉を聞くと、“「独占資本」の主義”であるかのように勘違いする人もいるかもしれません。そうではなく、“独占の「資本主義」”なのです。“「独占資本」の主義”という勘違いは、「独占資本」という言葉をあらかじめ知っていることからくるのではないでしょうか。しかし、レーニンは「独占資本」という用語は使っていません。スターリンすら使っていません。
  「独占資本」という言葉を最初に使い始めたのは、1950年代以降のイタリアを中心とした構造改革派の潮流です。この潮流はプロ(親)スターリン主義と呼ばれました。彼らは、“資本主義は高度に発達したから、議会を中心に変革すればよい”と、プロレタリア革命を否定しました。その“高度に発達した資本主義”を説明するのに、「独占資本」という用語、さらには国家独占資本主義という用語を振り回したわけです。
  しかし、これだけなら、それほどたいした影響はなかったかもしれません。ところが、これを日本の階級闘争の中に持ちこんだ者たちがいたのです。それが1961年の日本共産党の綱領です。そこでは「現在、日本を基本的に支配しているのは、アメリカ帝国主義と、それに従属的に同盟している日本の独占資本である」とされました。日本が帝国主義であることを否定するために、「独占資本」という構造改革派の用語を取り入れたわけです。この後、日本共産党は改良主義的に「反独占」を強調していきました。今はもうそれすら微塵も残っていませんが。
  つまり、レーニンの独占資本主義論は、日本では日本共産党スターリン主義によってねじ曲げられてきたということです。今の私たちがレーニン独占論を復権させていくことは、このようなスターリン主義の悪影響を完全に払拭する意味を持っています。

 独禁法緩和で大独占体制に

●質問 独占禁止法というのを聞いたことがありますが、今はどうなっているのでしょうか。

●回答 アメリカでは、第1次大戦以前から独占に対する規制が設けられています。スタンダード石油も政府によって分割されました。日本では第2次大戦後に独占禁止法が作られています。
  独占を一定規制する制度が作られたのは、独占が野放図になりすぎて、好き勝手にふるまったため、労働者人民からの批判をあびたのが直接のきっかけです。資本家階級は、人民の不満がもろに独占に向かい、帝国主義体制が根本から揺らぐことを恐れて、このような独占禁止法を作ったわけです。ただし、独占禁止法によって、実際に独占がなくなったのかというと、まったく違います。一定の制約が課せられただけです。帝国主義国では一貫して、大独占が経済を支配してきました。
  しかも第2次大戦後、アメリカでは何次かのM&A(買収・合併)ブームをへて、90年代には巨大独占体制に再編されていきました。スタンダード石油の分割で生まれたエクソンとモービルも、再び合併しています。
  日本では90年代後半に、制度面でも独占を強化できるようになりました。独占禁止法の第9条は、「事業支配力が過度に集中することとなる持ち株会社は、これを設立してはならない」と規定していました。持ち株会社とは、他の会社の株式を保有して、その会社の事業を支配する会社のことです。戦前の財閥の復活に歯止めをかけた条項です。憲法9条と並んで「経済の9条」とも言われてきました。しかし、これが97〜98年に改悪され、持ち株会の設立が認められるようになりました。大転換と言えるようなことでした。
  この独禁法の改定を受けて、大銀行の経営統合が相次ぎました。たとえば第一勧業銀行、富士銀行、日本勧業銀行が統合して「みずほ銀行」となりましたが、この株式は「みずほホールディグス」が持っています。ホールディグスとは、ホールディング・カンパニー=持ち株会社のことです。「親会社」と訳されることもあります。
  今では、各帝国主義国のどの産業分野も数社の巨大独占企業に集約されました。レーニンの時代よりもはるかに独占が進んだのです。そして、その巨大独占が、各国の国内市場と世界市場をめぐって激しい奪い合いをしています。自動車では、トヨタ・日産・ホンダの3社が日本国内はもちろん世界中で、日本企業同士で争いながら、米欧企業との死闘戦を繰り広げています。これこそ、新たな世界戦争を引き起こす経済的土台にほかなりません。

| HOME | 目次 |


●闘う合同労組 第7回

 中越大震災の労働相談をやりぬく

 新潟地域一般労働組合

 新潟地域一般労働組合は、中越大震災に際して事務所に11月下旬からフリーダイヤルを設置する一方で、11月27、28日小千谷避難所2カ所をかわきりに、12月18、19日の小千谷地域での労働相談を実施してきました。全組合員が労働相談ビラを小千谷市の避難所、仮設住宅、市街地、ハローワーク、長岡市の仮設住宅、長岡駅前、公共住宅、ハローワークでまいてきました。私たちは、阪神大震災における関西合同労組の闘いに学んで、労働相談を開始しましたが、非常に苦闘しているのが現実です。今までの労働相談から見えてきたものを報告します。全国のみなさんのご助言をいただければと思います。

 労働相談が少ない現実をどうみるか

 中越地方にほとんどつてもなく、新潟から車で2時間かかるという中で開始した労働相談でしたが、件数が少ないという現実は、非常にショックでした。しかしそれは私たちだけではなく、連合新潟は11月末で十数件、県労連は「思ったほどない」ということです。
  ところが、新潟労働局のまとめによれば、12月末までに労働者からの相談が1023件寄せられています。行政は、地震直後からテレビ、ラジオ、新聞と連日労働相談を宣伝してきました。連合新潟は、11月中旬に新聞折込を行ないましたが、私たち地域一般や県労連の労働相談は地震から1カ月後でした。
  中越大震災は、全村避難となった山古志村を典型として山村地域で、田中角栄の後援会「越山会」の中心地方です。小千谷での労働相談ビラくばりの時に、地元の労組活動家が「ここら辺は上の人に逆らわない人が多いから」と述べておられましたが、「保守的」という意味と思います。長く社会党の市議をやってこられた方も「よそ者を受け入れない」と言っておられます。
  労働相談が少ないという現実は、震災で解雇されているにもかかわらず、声をあげづらいこと、また阪神大震災を教訓として厚生労働省、新潟労働局、新潟県など対応も早かったことで行政に流れたのではないかと感じています。主体的に言えば、予定されていた闘いがあったとしても、私たちの取り組みの遅れをとらえ返す必要があります。しかし、行政は法的な対応にしか過ぎず、問題の本質をえぐって闘いを組織するものではなく、労働者の怒りを抑圧するものでしかありません。遅れはあったとしても、取り返すことは可能です。そもそも今後も長期不況と相まって深刻なものとなります。

 派遣、請負、パート労働者に矛盾が集中

 次に、私たちの労働相談についてですが、派遣労働者、請負労働者やパート労働者からのものです。不安定雇用形態の労働者に矛盾が集中しているということです。これまでの相談の内容は次のようなものです。
▽「連れ合いが三洋電子で働いていましたが、震災で離れた別会社に行くことになりました。もしも仕事が合わなければいつでも辞めることはできますか」
▽「私は新潟三洋電子に請負で入っていた派遣会社の労働者ですが、解雇されました。解雇予告手当は支払われないのでしょうか」
▽「三洋電子に請負で入っていた派遣会社の労働者ですが、休業手当は出ないのでしょうか。出産したばかりで大変です」
▽「地震で弁当会社が休業になりました。パートで働いていますが、休業手当は支払われないのでしょうか」
▽「パートで働いていますが、震災で人が入ってきて会社から他の人と合わないから辞めてくれと言われました。辞めたくはありません。どうしたらよいですか」
  この新潟三洋電子(三洋電機の子会社)は、小千谷市の信濃川沿いにある中越地方最大の企業で地震で大損害を受けました。80年代中期に誘致された企業で、正社員が1500人ほどで、地震後生産ラインがストップし、200人を他工場へ応援に出向かせ、他の正社員には休業手当を支払っています(組合は、電機連合)。しかし全国展開している派遣会社、地元請負会社などが、11月中旬をもって契約を解除され、450人の労働者が追い出されました。多いところで、150人が解雇されています。もちろん電機連合は本工主義であり、派遣労働者、請負労働者のことは取り組まれていません。ここから言えることは、資本家が派遣労働者やパート労働者という不安定雇用形態を拡大し、そこに犠牲をまず転嫁して震災から資本が生き延びようとしていることです。周知のように巨大独占体は95年に「新時代の日本的経営」をうち出しました。それは直接的には、不安定雇用を拡大し、長期不況と大恐慌の切迫の中で、「大競争時代」を日本の労働者全体に低賃金を強制することによって生き延びる、あるいは「安全弁」としていつでも切り捨てられるようにしてきたものです。まさに震災という形で大資本が、生き延びる手段となっていることです。私たちの労働相談にあらわれている事態は、氷山の一角に過ぎません。解雇予告手当ももらえず、雇用保険の加入期間も足りないために雇用保険の基本手当すらもらえず、寒空の中をたたき出された労働者が多いのではないかということです。パート労働者は、休業手当すらもらえず、その後の雇用もはっきりしない中にあるということです。
  連合の関係者によれば、「派遣労働者からの相談はまったくない」と言っています。その意味では、私たちの労働相談は重要な内容が含まれています(県労連が取り組んでいる労働相談も私たちと同じ問題のようです)。労働基準法、労働者派遣法がザル法であることから、なかなか勝ち取れるものはないのですが、一つひとつ丁寧に対応してきました。また組合の必要性を訴えてきました。実は、こうした派遣労働者、請負労働者の多くが青年労働者、女性労働者です。彼らに最も鋭い形で犠牲が転嫁されています。不安定雇用形態が極めて不利な立場にあることを感じています。一人ひとりが、家族含めて階級対立の現実を直感することになっていると言えます。
  もちろん派遣、請負労働者がいないところでは、正社員とて無縁ではありません。小千谷市にあるチェーンメーカーの加賀工業(誘致企業)では、工場が全壊状態で140人を一旦解雇し、半数の再雇用を強行しました(JAMが入って解雇者と再雇用者の双方に組合を結成――その後、解雇者は退職金を分割で受け取ることで妥結しています)。三洋電子では12月の余震も深刻で、504億円の損失を出しています。県や市が存続のために動いていますが、今後新たな合理化は避けられないようです。
  このような状況の中で私たちは、1月17日に新潟労働局に対して「中越大震災対策についての申し入れ」を行いました。労働基準法19条2項、20条3項の認定は慎重にやること、雇用保険の特例措置の実施、雇用調整助成金の支給日数の拡大などを申し入れました。

 震災による犠牲転嫁と闘おう

 これにふまえて今後の私たちの闘いについて、次のように考えています。
  第一は、派遣労働者、請負労働者、パート労働者の生活と権利を守るために労働相談を継続していくことです。一つは、フリーダイヤルによる労働相談を今後も継続していきます。労働相談の目的は、被災地の労働者の生活と権利を守ること、仕事と給料を守ることです。行政や商工会議所などは、「復興」や「復興事業」を叫んでいますが、地震で家が倒壊、半壊した労働者にとって仕事がなければ、「復興」などありえません。これからも震災で一旦事業は再開した企業が廃業、倒産に追い込まれる、あるいは賃下げを強いる企業も予想されます。実際に解雇はその後も続いています。労働相談ビラを定期的に入れていきます。二つは、一つひとつの労働相談を大切に相談者と共に闘っていきます。三つは、状況に応じて新潟労働局や県、市などへの行政闘争も行なっていきたいと考えています。震災との闘いは、一企業だけでは対応できず、行政を突き動かすことも必要です。重要なことは、労働相談をとおして被災地で苦しむ労働者と共に闘っていきながら、地域一般あるいは独自の地域合同労組をつくることだと思います。
  第二に、民間大産別の震災対応に注目しつつ、階級的労働運動をつくりだしていく契機としていかねばならないのではないでしょうか。
  地道な闘いですが、問題は震災をとおして未組織労働者が団結のすばらしさを知ることであり、組織労働者が労働組合を現場に取り戻していくことではないでしょうか。
  全国の地域合同労組の仲間のみなさん。私たち新潟地域一般は、今回の労働相談をとおして地域合同労組運動が地域に根ざしていくことの大切さを痛切に感じてきました。ともに地域合同労組の全国ネットワークをつくっていきたいと考えています。

| HOME | 目次 |


●SPOT & CRITIC−時評−  NHK問題

 番組への事前検閲は歴然―マスコミの屈服を狙う朝日新聞攻撃

 NHK会長が辞任に追い込まれた。混乱の一方で朝日新聞とNHKが、4年前に放映された同教育テレビのシリーズ「戦争をどう裁くか」の第2回「問われる戦時性暴力」をめぐって、メディア間バトルを繰り広げる。問題は報道と政治権力の距離。このまま放置すれば当該新聞社とNHKだけでなく、マスコミ労働者全体に政治介入の波が及びかねない深刻な問題だ。
  ことの本質は権力によるNHK番組への事前検閲であり、朝日新聞攻撃を通してマスコミ全体を萎縮、屈服させる効果を狙っている。国民の「知る権利」に答える「真実の報道」を放棄させ、有事法制や国民保護法〔実質は国民戦時動員法〕の流れを加速、かつての大本営放送、戦時協力報道への道をマスコミ内部から掃き清めさせようとするものだ。真実は闇に葬られ民衆の目、口、耳はふさがれてしまい、軍国美談を書きつらね権力におもねるだけだろう。おべんちゃら番組、報道を繰り返して何がジャーナリズムか。今日の番組、報道すべてを否定しないが、ここ一番の時真剣に考えないとしたら、それはメディア自ら存在否定であり、機能放棄につながる。

 番組改編は裁判で争われている

 発端は5年前に故松井やより氏らの尽力で開催された女性国際戦犯法廷。これを取材したNHKドキュメンタリー番組が、01年1月の放送直前に安倍晋三自民党幹事長代理、中川昭一経済産業相ら自民党議員の介入と、迎合する松尾総局長らの指示で大幅に改編、44分の番組が40分に切り縮められた。番組改変問題は女性国際戦犯法廷の当事者「戦争と女性への暴力」日本ネットワークがNHKを提訴、法廷でも争われている。松井さんが生前、新潟市で講演しこの問題に直接触れていたので、二人の政治家の介入を報じた朝日新聞報道に、彼女たちの指摘が実ったなとホッとした思いだった。当該の番組プロデューサーの職を賭した内部告発によって、とうとう真相が暴かれたのだった。
  計4分間の異常な改編。カットされ闇に葬られた部分は何だったか。@戦争責任について天皇有罪の判決シーンA米山リサ・カリフォルニア大学準教授の法廷の意義に関するコメントB中国人被害者の証言C東チモールの慰安所の紹介と被害者証言D元日本軍兵士の証言。代わりに急遽、追加取材された「売春は当時、合法行為であり慰安婦は商行為を行っていた」と女性らを侮蔑するコメントが挿入された。

 NHKと安倍・中川両氏の口裏あわせ

 中川経済産業相は当初、朝日新聞の取材に放送前日に面会した事実を認めていた。「NHKがあれこれ直すと説明し、それでもやるというから『だめだ』と言った」と放送の中止すら求めていた。ところが記事が掲載されるやいなや前言を翻した。
  安倍氏は放送前に会ったことは認めざるを得ず、朝日報道に対するコメント〔1月17日安倍晋三ニュース〕で「この模擬裁判は心ある関係者からの情報が寄せられたため事実関係を聞いた。その結果、明確に偏った内容であることがわかり私は、NHKがとりわけ求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘した」と述べている。NHKと中川氏、安倍氏は明らかに口裏を合わせている。
  政治家による事前介入は明らかであり、およそ放送前にその内容を説明に行くこと自体、報道機関として失格で論外だ。これほど同局理事者は権力と癒着、擦り寄り、感覚が麻痺していたことを露呈させた。

 マスコミ労働運動が問われている

 今後の課題として徹底した真相解明が求められる。新聞労連、日放労は真相究明の調査を始めてほしい。また告発者を孤立させず、真実の報道を守るのは新聞、放送労働者、労働組合の役目である。日放労はなぜ4年前、裁判が始まったとき関わらなかったのか。なぜ告発者からの相談に応えられなかったのか。反省を込めて労組の課題に据える必要があるだろう。メディアに働くものの輪と取り巻く受け手との共闘が必要だ。すべてを知っている現場の新聞、放送労働者よ、真実に目をつぶるな。労組を動かし職場と働く仲間を守れ。

〔新潟日報労働運動研究会・片桐 元〕

| HOME | 目次 |


●たたかいは進む

★ファシスト石原の「日の丸・君が代」強制に不起立・不服従で今春、闘うことを宣言

 2月6日、東京・一橋の日本教育会館で、都教委包囲首都圏ネットの主催で「教育基本法の改悪反対『日の丸・君が代』の強制を許さない2・6総決起集会」が開かれた。会場の大ホール満杯の950人が参加し、熱気あふれる戦闘的な集会となった。
  集会の圧巻は最後に「10・23通達」を打ち破って、都立高校・養護学校と義務制の教育労働者が断固、不起立・不服従で闘う宣言を発したことである。会場から大きな共感と連帯の拍手がわき起こり、全体の気持ちがひとつになった。
  また連帯と激励のあいさつとして、教育基本法改悪反対闘争を先頭で担っている高橋哲哉さん、三宅晶子さん、大内裕和さん、小森陽一さんの4氏が発言した。
  大内さんは不起立闘争の歴史的な意義を4点にわたって提起した。第1に、石原ファシズム体制に大打撃を与えたこと、第2に、労働者の戦争協力拒否の運動であること、第3に、教育基本法改悪反対運動を大きく力づけたこと、第4に、労働者の権利、人間の尊厳を教えてくれたこと、など闘いの意義を明らかにした。
  広島や大阪など全国の教育労働者も参加し不起立で東京の闘いと連帯する決意が表明された。最後に「日の丸・君が代」強制に抵抗する闘いを継続する決議を満場一致で確認し、今春の卒・入学式を闘う決意をうち固めた。

★全国で「日の丸・君が代」強制反対集会開かれる

★共謀罪廃案に向けダッシュ

 破防法・組対法に反対する共同行動は、共謀罪を最後的にとどめをさすために大衆運動の高揚に向けて動きだした。
  2月4日、100名の結集で決起集会を開催したほか、盗聴法の廃止を求める署名実行委員会は院内集会を開催し、国会議員、弁護士、労働者、市民のが約60名結集した。また2月9日には日弁連主催による共謀罪反対集会は、民主、社民、共産3党の国会議員、多数の弁護士など60名の結集で共謀罪廃案に向けた熱気あふれる討論が行われた。
  共謀罪新設法案は、昨年も1回も審議されることなく今年の通常国会にもちこされた。政府・与党は、今年こそ成立と昨年末、民主党などへ、一度も審議されていないにもかかわらず、修正案をつくって提案している。これは異常なことだ。しかし、今のところどこも動いていないようにみえる。政府・与党は民主党を修正協議に巻き込むか、それがダメであれば一気に多数で押し切る両構えと予想される。これを迎え撃つには大衆運動の高揚しかない。
  その第1弾として3月15日夜、自由法曹団、日本民主法律家協会、日本労働弁護団、社会文化法律センター主催による国会請願デモが行われる。
  また3月26日、戦争と治安管理に反対するシンポジウムが開催される。とりあえず3月決戦として共同行動は闘いぬく方針だ。またナショナルセンターとして初めて全労連が坂内三夫事務局長名で「共謀罪の新設に反対する」談話を2月7日に発表した。

| HOME | 目次 |


読者のページ

 ★なんだと同罪だと、ふざけるな 神奈川 全逓 桜井隆夫

  「不払い労働(正当な対価を支払わない労働)は、不正(違法)行為であるということです。そして、これは管理職側だけの問題ではなく、不正を許す側もまた同罪だということです」
  「今まで見て見ぬふりをしていたり、経営のためだとあきらめていたのであれば、意識を変えて下さい」
  少し長くなったかもしれませんが、「不払い労働の根絶に向けて」と題して、「職員のみなさんへ」配布された文の一部分です。
  「不正を許す側も同罪だ」とは、フザケルナと言いたい。
  労使関係的に言えば、使用者(管理者側)も悪いが、労働者(不正を許す側)も悪いということです。冗談ではありません。
  「勤務時間管理は管理者の責任だ」などと言いながら、それを反古にする文章といえます。
  「職員のみなさん」は、「管理職側」の人間か、それとも「不正を許す側」の人間か。明らかにここでは「職員のみなさん」は、「不正を許す側」の人間として描かれているではないか。
  「職員のみなさん」は、「不正を許す側」の人間ではなく、「管理者側」の「不正行為」によって、労働の対価である賃金を受け取っていない、受け取れない側の人間である。「不正を許す」職場状況が現実に存在していることは、事実として認めざるをえないが、「不正」に進んで自分から協力しているわけではない。
  全国的な職場の欠員状況の中で、「営業」「配達」「集荷」「コンプライアンス」等のなかで、その欠員をそのままにしておいて、「不払い労働の根絶に向けて」を声高にいう理由は何なのかなと考えれば、「労基署に駆け込むな」「裁判なんかやるな」「目安箱を活用を」と、公社のなかでうやむやにしようということではないのか。
  時あたかも「05春闘」の最中です。「不払い労働は犯罪です」というステッカーが張り出されています。「不正を許す側」は「不正」に協力しているのだから同罪というのであれば、協力してもらっている「管理者側」は、「同じ罪」ではなくもっと重い罪だとおもうのですが、ぐたぐた言わずに金を出せと言いたい。

 ★韓国映画「酔画仙」を観て 静岡・福祉・浅井

  「風の丘を越えて〜西便制」で知られる、イム・グォンテク監督の最近の作品「酔画仙」を観た。
  映画は、朝鮮王朝末期(1850年代)に実在した、チャン・スンオプという天才画家の一生を描いている。スンオプは、貧しい家に生まれながら、幼い頃より画才に恵まれ、才能を見出してくれた学者のキム・ビョンムンの支えで、あらゆる苦難を乗り越え、やがて宮廷画家にのぼりつめていく。下層社会出身ということで、ひどい差別を受けるが、彼の絵の才能はすばらしく、貴族社会をも圧倒し、酒に酔って描いた絵は、神業と見まごうばかりであった。しかし彼は、どんなに成功しようとも、心は常に貧しく生きる人々と共にあり、束縛を嫌い自由でありたいと、酒と女性を愛し非常に人間臭い人であった。宮廷画家になっても、何度も宮廷を逃げては放浪し破天荒で、苦難な時代にあっても自分の生き方を貫いた人であったと思う。
  イム監督は、自身が朝鮮戦争前後の激動と苦難の状況下の中、下働きから苦労して映画監督になり、貧しくもたくましく生き抜いてきた人々を描いてきた韓国映画の第1人者である。この映画では、韓国の文化伝統的芸術・美術を守り描き、またどんな時にあっても、自分の信じた道を生き抜く姿勢を、スンオプと監督の人生を重ね合わせ表現している。
  そして、韓流ブームの中で、日本に友好的に描く作品も出てくると思われるが、後半は歴史的配慮がきちんと描かれている。
  李朝末期は圧政と重税、宗教弾圧で民衆はたいへん苦しんでいた。その支配に対し農民が中心となり武装蜂起するという、1894年東学農民革命が起きる。この内乱情勢に乗じて、幕末から明治維新後の日本は、朝鮮に武力介入し、やがては農民軍・反日的閔氏政権を蛮行の限りに打倒侵略し、日清戦争勝利により、朝鮮半島を植民地化していくのである。
  日清戦争直後にスンオプは、55才で消息を絶っている。謎めいた彼の生涯で、彼に関する記録や、画も多く焼かれており、現存する物はわずかだそうである。日本が侵略したことにより、偉大な画家に与えた影響や、また朝鮮半島情勢と多くの民に与えた苦しみはあまりにも大きく、日本という国を現在こそきちんと見つめなくてはならないと思う。
  今、韓流ブームの中で、北朝鮮には、憎悪、韓国には片思いの相手のように愛情を注ぐというゆがんだ日本のあり方は、両国が同じ民族であるということを否定し、かつての歴史の事実を忘れ、再び侵略戦争への危険をはらんでいる。
  ラストシーンは、フィクションで、スンオプが好きな女性の作った素朴な柄のない壺に惹かれ、山奥の窯元で壺に絵を描き、満足そうな顔で炎の中へ消えていくシーンはあまりに切ない。イム監督は、スンオプの謎の死を火の中で昇華させたが、その意味は私には想像できない深いものであろうが、韓国の伝統芸術を守り抜く決意を、そして朝鮮半島に多大な影響を与えてきた日本に対して、絶対侵害してはならないものがあるんだということを訴えているように私には見えてくるのである。
*感想については「酔画仙」のパンフレット(東京・岩波ホール)などを参考にさせていただきました。

 ★労働者は肉体の限界までこき使われる 東京 三田 新

  昨年、労組法や派遣法が改悪されたが、今年は、年間1800時間という時短を促す時短促進法を改悪する法案が国会に上程される。また今年から年末にかけて、派遣法の派遣期間の延長と事務労働者の裁量労働制導入の拡大、昨年、厚生労働省がいったんひっこめた解雇の金銭解決の再提案をはじめとする労働契約制度の全面的に見直す法案の国会上程が予定されている。
  戦後に制定された労働法制が、ここ10年の間に改悪が連続的に行われてきたが、現行労働法制の考え方も含めて全面的な破壊が、労働者のさしたる抵抗もなく行われようとしている。
  現在、厚生労働省内で今通常国会提出に向けて法案が検討されているのは、1800時間の年間労働時間を掲げた時短法の全面的な解体である。
  政府によれば92年の法制定当時の年間平均労働時間は1958時間であった。しかし03年になっても1853時間に減ったものの目標に達していない。しかもこの数字はパートやアルバイトの採用拡大によるものである。リストラで人数の減った正規労働者の労働時間は逆に増えてさえいる。
  このような状況に対処するために、「働き方の多様化に対処して、全労働者一律の目標を掲げる計画は時節にあわない」として事業主ごとに取り組む、職場に新設する「労働時間等設定改善委員会」での労使協定によるものとするというのが法案の骨子だ。
  職場に労働組合があっても大半がご用組合であり、80%を超える労働者が労働組合がない現状にあって、労働時間は資本の意のままになる。
  いままでも大企業にあってもサービス残業が相次いでいる。労働者は、まさに奴隷のように働かされ、殺されていく。

| HOME | 目次 |


PhotoDocument

 

| ホーム | 月刊交流センター | 産別部会 | リンク | 連絡先 |