2005年11月号(No.188)目次
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労働者の目 「許さない会」運動の強化・発展を労働ニュース
  ●郵政/連合 ●公務員など ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

・特集  労働契約法を撃つ
  ●労働者の団結を破壊する労働契約法制を許すな
  ●「労働契約法」は、こんなに危険
  ●合同労組の一掃を狙う「常設的な労使委員会制度」を阻止しよう

韓国・全国労働者大会に動労千葉が参加団派遣へ

SPOT&CRITIC 警察の裏金づくり

闘う争議組合の冬季物販にご協力を!

労働者学習シリーズ 帝国主義 第10回 社会排外主義

闘う合同労組 第12回 なんぶユニオン

再び、共謀罪の成立を阻止したぞ!

たたかいは進む   ●郵政民営化絶対阻止   ●国鉄闘争など

読者のページ 編集後記

・PhotoDocument


労働者の目

●「許さない会」運動の強化・発展を

 全国労働組合交流センター常任運営員 山川 博康

 私は、動労千葉の反合運転保安闘争と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争=「許さない会」運動が国鉄闘争を牽引する闘いであると確信している。つまり、職場におけるJR資本との闘いと弾圧との対決を不可避とする闘いが国鉄闘争を勝利するために絶対的に必要であると思っている。私の言う国鉄闘争とは国鉄分割民営化反対を貫き、分割民営化体制=JR体制を覆す闘いである。
 国労本部のいっている1047名の解雇撤回闘争は、国鉄分割民営化を容認し、JRに法的責任がないことを認め、その見返りとしての涙金とともに終結するものとしか思えない。否、闘いもしないで、政府や政権党や国土交通省にすがりついて、ただ政治解決と言ってみたところで、それは一方的な願望に終わってしまうのがおちだとも思っている。
 分割民営化体制=JR体制を覆すという目標が座っていない1047名の解雇撤回闘争は所詮そういう結果にしかならない。
 国労5・27臨大闘争弾圧は、4党合意を受け入れ、3与党声明に屈服し、鉄建公団原告団を統制処分にかけることに待ったをかけたことに対する報復弾圧である。
 まさに、1047名の解雇撤回闘争を貫徹するためには、国家権力の弾圧との対決が不可避であるとともに、国労内の屈服・反動分子との対決もまた不可避であることを示したものである。5・27弾圧粉砕闘争=「許さない会」運動は、このことを実践している闘いである。
 「許さない会」運動が1047名の解雇撤回闘争を牽引する闘いであると考えるゆえんだ。
 9・15鉄建公団訴訟判決以降の国鉄闘争を考えた時、「許さない会」運動がますます真価を発揮することが求められている。
 労組交流センター会員および読者のみなさん、「許さない会」運動の強化・発展に力を注ぎましよう。そのことが、必ずや民営化の流れを止め、国鉄闘争の勝利を引き寄せ、そして日本の労働運動の再生を展望することにつながると確信している。

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●労働ニュース(05年9月16日〜10月15日)

郵政民営化法が成立
 政府が今国会に再提出した郵政民営化法が14日の参院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。先の通常国会では自民党から22人が反対票を投じて否決されたが、衆院選での同党圧勝を受け、造反は棄権1人にとどまった。今後は11月初旬の内閣改造・自民党役員人事、政策金融、公務員制度の改革などに焦点が移る。

 首相靖国参拝は違憲
 01年から03年にかけての3度にわたる小泉純一郎首相の靖国神社参拝で精神的苦痛を受けたとして、台湾人116人を含む計188人が、国と小泉首相、靖国神社に1人あたり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が、30日、大阪高裁であった。大谷正治裁判長は、参拝が首相の職務として行われたとしたうえで、「国内外の強い批判にもかかわらず、参拝を継続しており、国が靖国神社を特別に支援している印象を与え、特定宗教を助長している」として、憲法の禁じる宗教的活動にあたると認めた。

 連合会長選、鴨氏が予想を上回る善戦
 連合の5代目会長に6日、民間最大の産業別労組UIゼンセン同盟会長の高木剛氏(62)が就任したが、対立候補の鴨桃代氏(56)が関係者の予想を大きく上回る得票で善戦した。憲法改正に積極的なゼンセンの姿勢などに加え、笹森会長の後継候補に高木氏を絞り込む際の「密室人事」への批判や、政治路線をめぐる閉塞感が一気に噴き出した形だ。

 労組との関係逆転?
 小泉首相と民主党の前原代表が5日、都内で開かれた連合の定期大会にそろって出席した。前原氏は党の「労組依存」脱却を掲げているだけに、労組とは「是々非々」でつきあう姿勢を強調。一方で首相は、労組からも自民党への支援があるとして協力を求めるなど、対照的な姿勢を見せた。

 国民年金徴収不能額10兆円
 国民年金で未納となっている保険料のうち、時効を迎え徴収不能になった額が今年度中に累計10兆円を突破する見通しとなった。抜本的な解決の道筋は依然見えず、厚生年金などに加入するサラリーマンも含め保険料を払っている人に負担がしわ寄せされている。

 定率減税07年全廃
 政府・与党は18日、所得税と個人住民税の税額を一定割合を差し引く定率減税を07年に全廃する方針を固めた。全廃による国と地方の実質増税は3・3兆円となり、財政健全化にむけた増税路線に一段と踏み出す。

 地方公務員にも政治活動制限
 小泉首相は5日、自民党の宮路和明、中谷元両副幹事長と官邸で会い、地方公務員の政治的行為を制限するための地方公務員法改正案などについて「成立を目指してしっかりやってほしい」と述べ、次期通常国会で成立させるよう指示した。

 2万7681人削減へ
 政府は4日、06〜09年度の4年間で2万7千人余りを削減する新たな「定員合理化計画」を閣議決定した。04年度末の定員から、自衛官を除く国家公務員の「10%以上削減」を明記した昨年12月の新行革大綱に基づいて総務省がまとめたもので、増員を考慮しない減員だけの計画。9月末の経済財政諮問会議で民間議員が提案した国家公務員の定員を「5%以上純減する」とした数値目標の議論の土台となる。

 公務員改革 質も議論
 公務員の数や質を巡る改革論議が加速してきた。政府は27日の経済財政諮問会議で給与や定員を巡る議論を再開する。佐藤壮郎人事院総裁は国家公務員の人事区分見直しに言及。今後の焦点に浮上してきた。身分保障を含め閉じた公務員制度を開くことが官の効率化を促し、小さな政府の実現につながる。それだけに官の反発は必至。

 外郭団体「3割削減」大阪市
 大阪市の主な外郭団体の見直しを進めてきた市監理団体評価委員会は27日、07年度までに7団体を解散、13団体を6団体に統合・再編するなどして、現在66ある団体数を22減らすよう求める提言をまとめた。市が外郭団体に出している委託料についても、07年度までに04年度比で約3割、280億円の削減を求めた。

 採用凍結5千人超削減
 ヤミ退職金・年金などの発覚で失った信頼の回復を目指す大阪市の市政改革本部(本部長・関淳一市長)は27日、87項目からなる「市政改革マニフェスト案」を発表した。06年度から5年間、新規採用を原則凍結し、5千人を超す職員を削減するほか、公共事業費などの抑制で予算規模を5年間で2250億円縮小するなどの数値目標を打ち出した。

 市場化テスト本格導入を提言
 政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は27日、今年度の重点3項目を盛り込んだ提言を決定した。公共サービスの担い手を省庁と民間が競争入札で決める市場化テスト法案について来年の通常国会提出を目指す方針を打ち出した。

 公務員にスト権検討
 自民党行政改革推進本部(衛藤征士郎本部長)は公務員制度改革に関連して、警察官や自衛官らを除く一般公務員にスト権(争議権)などの付与を検討する方向で調整に入った。引き替えに、公務員の特権的な身分保障を抜本的に見直す。民間企業と同じ条件の下で労使交渉を進め、大胆な免職や配置転換、能力主義の導入を進める狙いだ。

 5年で死者1万5千人超も
 環境省は13日、アスベスト(石綿)を原因とする中皮腫と肺がんの死亡者数が、2010年までの今後5年間で、最大約1万5千人を超えるとする初の試算をまとめた。

 企業の半数 副業禁止
 正社員が会社の業務以外の副業をもつことについて、過労や情報漏洩の防止などを理由に禁止する企業が50・4%に上り、95年の前回調査(38・6%)に比べて制限する傾向が強まっていることが1日、独立行政法人、労働政策研究・研修機構の調査で分かった。

 賃金算定「1分刻み」主流に
 流通・サービス業で従業員の勤務時間を、より正確に把握しようという動きが広がっている。日本経済新聞社が主要101社を調べたところ、4分の1に相当する26社が賃金を算定する時間単位の変更を計画している。15分や30分単位だった算定基準を1分刻みに見直す企業が多い。

 ダイエー 55店閉鎖
 今回の閉鎖で、パート5千人が失職。地元商店街の影響も大きい。

 労働日誌(05年8月〜9月)

9月16日
 派遣労働者のいる企業が全体の30%を超えることが厚生労働省の実態調査でわかた。03年の調査では約20%で、1年間で約10P伸び、急増した。

9月16日
 NHKが06年度から3年間で、全職員の1割程度、約1200人の人員削減を計画していることが分かった。

9月22日
 厚生労働省は、労災保険の加入を拒んでいる事業所で事故が起きた場合に、保険給付額の全額を事業主から徴収すると発表した。

9月22日
 ソニーは世界で1万人の人員削減や11製造拠点の削減などによりコストを2千億円減らすなどの中期経営方針を発表した。

9月25日
 自民党の中川秀直国対委員長はNHK番組で、国民投票法案について「手続き法だからそんなに長い時間をかけるべきではない」とのべ来年の通常国会で成立を目指す考えを示した。

9月27日
 経営再建中の三洋電機は、グループ全社員の15%にあたる約1万4千人の人員削減を当初目標から約1年半前倒しし、来年9月までに達成する方針を固めた。

9月28日
 民間企業に勤める人が04年1年間に受け取った一人当たりの平均給与は439万円で前年より5万1千円(1・1%)減ったことが国税庁のまとめで分かった。減少は7年連続。

9月29日
 小泉首相の靖国参拝での千葉・靖国訴訟の判決で東京高裁・浜野裁判長は私的参拝という判断を示した。

9月28日
 日本航空は、希望退職者を募集すると発表。地上職社員と客室乗務員が対象で200〜300人の応募を想定。

9月30日
 総務省が発表した8月の完全失業率は4・3%と前月比0・1P低下した。経済産業省が発表した8月の鉱工業生産指数は前月比1・2%上昇。上昇は2カ月ぶりで、指数は9月も上昇が続く見通し。

10月3日
 大手企業の冬のボーナスが平均70万7千80円と、前年比5・2%増の大幅な伸びになりそうなことが民間調査機関「労務行政研究所」のまとめで分かった。

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●国労5・27臨大闘争弾圧裁判を傍聴して

 膝げりも肘打ちも無かったことは明らか、「残像がある」との言い逃れは通用しない

  国労5・27臨大闘争弾圧 公判報告

 9月28日と10月19日に、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第46、47回公判が東京地裁104号法廷で行われた。2回の公判で、長野地本の浅川初幸が「あった」と言い張った膝げりと肘打ちは全く存在しない作り話であることが明らかになった。もはや、でっち上げ・偽証と言うしかない。同時に、こんな手口で「事件」を作り上げた権力と国労本部の追いつめられた姿も明らかである。この成果で国労本部を打倒する闘いこそ全労働者の課題となったのではないか。

 本部の敵対をはね返した鉄建公団訴訟と本件

 9月28日の公判は、冒頭に9月15日に出された鉄建公団訴訟の判決について佐藤弁護団長から意見陳述が行われた。この判決において国鉄の分割民営化時点において、組合差別の不当労働行為があったことが司法の場において認められた。当時の中曽根首相が国鉄総裁の首をすげ替えてまで強行された、国労解体、労働運動つぶしのための国家的不当労働行為が、たとえ一部であれ司法の場で認定されたことは重要なことである。しかしその救済は、名簿登載=JR復帰ではなく、採用の期待権に落とし込め1人500万円の慰謝料とした。労働処分などを受けた5名については、組合差別のために作られたJR採用基準を正しいとし、慰謝料支払いからも排除した。闘う労働者は首を切られて当然という政治的意図に貫かれている。
 最大の争点である90年の生産事業団からの解雇は、時限立法であることなどを盾に有効とし、他は時効で切り捨てた。原告らは到底納得の出来るものではない。鉄建公団は、総選挙「勝利」を背景に「ここぞとばかりに翌日に控訴し、原告も控訴した。控訴審と動労千葉、全動労、国労第2次の訴訟は、新たな本格的な争いとなるであろう。
 国労本部は本件事件の5月27日の臨時大会で、除名処分をちらつかせて「鉄建公団訴訟を止めよ」と迫り、査問委員会送致を決定し、組合権停止の処分を行った。国労本部は判決の次元ではなく、裁判を受ける権利を潰そうとしたのである。憲法に保障された権利の行使を組合の名で禁圧しようとした。このような正当な組合員としての行為を統制違反として処分した国労本部執行部の誤りは明らかである。臨時大会の開催中止を訴えた被告らの行為の正当性は、9・15判決を通してさらに明らかになった。

 浅川が証言した「池田への膝けり」は完全に粉砕された

 浅川証人への尋問は、はじめに一瀬弁護人が大会参加者が3列縦隊で出て来る以前に、池田への膝げりがあり、それを浅川と黒執が歩道から見たという膝げり暴行についての尋問を行った。以前の公判で池田は「数名から囲まれてけられた」と言っていることや、彼の実況見分調書を示し、膝げり時の周囲の人物配置などについて質問したが、浅川は膝げりの人以外の人物の位置や動作などは「わからない」、「覚えていない」、「私の記憶とちがう」などあいまいな証言を繰り返した。そこで弁護人は再度前回の公判でも用いられた杉並ビデオを基にした人物配置の写真を示して、「あなたの位置からでは、黒執、原田の二人が前をさえぎっているから見えないのではないか、ほんとうに見えたのか」と追及した。すると浅川は「その場面は私の残像の中にある」と結論として言い張った。これまでは「一瞬見えた」「ピンポイントで見えた」と言っていたが、とうとうその根拠も打ち消されて、最後には「私の中に残像として残っている」としか言えなかった。他人は浅川の残像を見ることはできない。一般的にも「残像」は権力に踊らされた目撃証人の言い逃れである。
 続けて河村弁護人が、ビデオにある池田と向かい合っている橘さんの動きに着目して尋問した。ビデオは浅川に押された橘さんが、押し返すと浅川がすぐに引き返す転換点のシーンが記録されている。浅川は「池田はけられたから引き返した」と証言してきたから、転換点は重要なポイントである。
 弁護人が「ビデオは橘さんが体を後ろにそらした体制から、切り替えて前に進んでいますね」と問うと、「そうです」と認めた。さらに「これを見てもやはりあなたはこの画面の以前に膝けりがあったと言うのか」と追求した。浅川はまともに答えることができなかった。
 膝げりが杉並ビデオの該当シーンの直前にあったとすることは、ビデオそのものからも極めて不自然である。さらに、座っていた松崎さんをけった、けられた後も池田は前進し橘さんを押したということになる。矛盾が次から次に出てくる。ここから明らかなことは、膝げり自体がなかったという事である。浅川は、なかった膝げりを、「有った、見た。残像はある」と言い張るとんでもない証人であることが明らかになったのである。

 肘打ちもなかったことは明らか  当たった所、時間、場所、何も特定出来ず

 つづいて萱野弁護人が淺川本人が受けたという暴行について2回廷にわたって尋問した。これはバス入り口付近での出来事で、鈴木勉がバスの中から撮影したビデオに一部が記録されている。検察側の主尋問で浅川は自分自身の被害について、富田さんから受けた行為を「右肩をつかまれ、はげしくゆさぶられた」、「胸ぐらをつかまれ、肘打ちされた」と言っている。弁護人はそれらを第一行為と第二行為に分類し、まず第一行為が何回あったかについて質問した。検察官調書のなかで4、5回といっていることから、ビデオの画面でここが第1回目というように時間を特定する尋問が行なわれた。
 ビデオには、富田さんたちが「闘争団を裏切るな」「バスに乗るな」と言いながら、無理にバスに乗ろうとする本部派を押しとどめている様子が写っている。本部でも乗るのをあきらめた人もいる。混乱の中で、富田さんが浅川の服をつかんでいるように見えるシーンがあるが、「はげしく揺さぶられた」というものではない。また何回目というような切れ目はない。その中には、静止画面でそこだけ見れば、いかにもパンチが当たった様にみえるが、「拳が目の前に出てきた。当たっていない」(浅川証言)映像もある。これらは闘争団を査問にかける大会開くなと要求した行動で、正当な組合活動である。
 肘打ちについては、ビデオには写っている客観的証拠はない。検事は法廷で実演して見せ、有ったかのように印象づけようとした。しかし、「肘が顔面に当たった」と言っていたのが胸などに変わり、「どこが痛かったのか」と聞かれると(顔とか胸ではなく)「あたった所」と答えるしまつであった。場所も時間も、肝心の富田さんと特定した根拠もくるくる変わり、何も確かに証言することはできなかった。誰もが、肘打ちはなかったと確信する証言であった。
 検察側はこの事件は被告らが共謀して、大会阻止のため参加者に暴力をふるったものとしているが、そもそも被告たちにとって殴たり、けったりするという発想が生まれる余地がない。大会へ行くことを自分の意思で思いとどまらせ、断念させることが目的の説得活動だから、殴たりすることはまったく意味がない。俺たちの話を聞けと言って足を止めさせるため、体や服を引っ張ることは十分ありえたし、きわめて自然なことである。この話を聞かせるための足止め行為(労働法的にはピケット権)を警察・検察は暴力行為としてデッチアゲ、無理に暴行にこじつけようとしているのであり、ビデオの画面はそのことを如実に示している。
 次回からは長野地本の久保田証人となる。経過などの尋問が行われる。ぜひ多数の傍聴をお願いしたい。
  (「許さない会」東京南部会員)

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特集  労働契約法を撃つ

●労働者の団結を破壊する労働契約法制を許すな!

 4月13日に「中間とりまとめ」を発表していた「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」は9月15日に最終報告を発表しました。厚労省はこれをもとに07年には「労働契約法案(仮称)」を国会に上程しようとしています。
 これは、「採用内定、試用期間、配置転換・出向・転籍、懲戒、解雇、退職、労働条件の変更、有期契約など、労働契約の成立から終了までの全体にわたる体系的な契約の標準的ルールを定める」ことを通して、戦後的な労働法制を根底から転覆させるものであり、改憲問題とともに労働者にとって大きな政治的争点になります。

 労働規制緩和=資本のやり放題

 まず、なぜいま「労働契約法制の整備」なのか、ということです。経済財政諮問会議の「21世紀ビジョン」(05年4月)、あるいは規制改革・民間開放推進会議の答申をうけた「規制改革民間開放推進3カ年計画」(04年3月)や「規制改革民間開放推進3カ年計画(改訂)」(05年3月)など、労働法制の規制緩和=「労働の自由化・多様化」を促進するという、政府・財界側の基本路線が前提となっています。
 国鉄分割民営化にみられるこれまでの戦後労働運動の団結権破壊と並行して、労働者派遣法の制定に象徴されるような労働の規制緩和が、狙われてきました。労働組合の組織率が20%を割っており、労働者のなかで非正規雇用労働者のしめる割合が3分の1、年収が300万円以下の労働者が膨大に生み出されており、多くの労働者が職場で無権利状態におかれているのが現状です。
 この「労働契約法制の制定」によって、労働者保護法制、すなわち国家による最低ラインの労働基準の設定ということが、事実上骨抜きにされます。この「報告」には、解雇規制の労基法からの削除、事務労働者に対する労働時間規制の撤廃などが盛り込まれています。これは歴史的に獲得された戦後の労働法制を事実上解体するものです。

 団結権、団交・ストライキの排除

 また、労働組合が団結権によって(ストライキを含みますが、それより広い意味でも)実力行使を背景に、労使交渉を進めるというあり方そのものを、この労働契約法制では徹底的に排除しています。
 これからの労働組合運動のひとつの可能性として、個人加盟型のジェネラル・ユニオンやコミュニティー・ユニオンが注目を浴びていますが、こうした労働組合のあり方そのものが存立しえなくなると危惧されています。

 労組の否定=常設の労使委員会

 最終報告の文章の一つひとつを批判すべきですが、ここでは主要なポイントだけを指摘します。
 第1に、この「労働契約法制」では、労組を解体するための産業報国会の現代的再建が目論まれています。使用者が労働条件の決定・変更について協議を行うための機関として「常設的な労使委員会」の設立を法律によって強制しようとしています。
 かつて戦前に国策によって戦争推進のための労使機関(=産業報国会)が設立させられ、これに労使協議の擬制的機能を持たせることによって、労働者がもともと組織していた労働組合が強制的に解散させられていった歴史を想起しなくてはなりません。法律によって設立を強制された労使協議機関における形だけの「労働者代表」は、労働者の意見をきちんと集約できるわけではなく、また労働組合の権利(団結権・団体交渉権・争議権)もないままに、就業規則の変更等について効力を与える役割を背負い込まされていくのです。

 金銭解決で不当解雇を容認

 第2に、「解雇の金銭解決制度」の導入です。「解雇のトラブルで職場復帰が難しくなった場合、使用者が金銭を払い雇用関係の打ち切りを可能にする制度」とされています(この最終報告発表と同じ日に、鉄建公団訴訟の一審判決があったことは、どうしても偶然とは思えません)。
 「紛争の長期化を防ぎ迅速な解決を図る」という口実のもと、不当解雇に対し、一時的に金銭を支払うことによって、労働者の解雇撤回の闘いを封殺するのが真の狙いです。
 これは、2年前の労基法改正案の中に盛り込まれていたものですが、労働者の闘いによって法案から削除されていたのに、財界の強い要求により復活しました。

 就業規則の不利益変更が容易に

 第3に、就業規則をめぐる問題です。現行の「労働基準法」では、就業規則を変更する際には、@労働者代表の意見を聞いて、A労働基準監督署に提出し、B労働者に周知すればよいことになっていますが、これは「行政または刑事上」においてのみ有効であって、「民事上」においても有効かどうかを保障するものとまでは言えません。
 労働者がこの就業規則の変更について異議があれば、労基法上の要件を満たしていたとしても、裁判上の争いにすることができ、裁判所はその就業規則の変更が合理的なものかどうかを(独自に)判断する余地があります。
 要するに、就業規則の不利益変更が有効になるかどうかは、使用者にとっては、まだ不安定なのが現状です。
 しかし、「最終報告」においては、就業規則の不利益変更について、「常設の労使委員会の絶対多数の同意」さえ取り付ければ、「その変更には合理性がある」と推定させることにより、民事上の効力を持たせることになります。
 このように労働契約法制の下では、労使委員会の多数の同意があって就業規則が変更された場合に、民事上でその効力を争うことがもっと困難になってしまいます。

 労働時間規制を撤廃

 第4に、「労働時間法制の見直し」があげられています。いわゆるホワイトカラーエグゼプション(事務労働者の労働時間規制撤廃)のことですが、労働法の歴史的蓄積を一挙に転覆させ、いわゆる「工場法」以前の状態に労働者をたたき込むものです。到底容認できるものではありません。

 労働法制の根本的転換=改憲

 以上の他に、出向・転籍、試用期間、競業避止義務などでも、一つひとつ許しがたい攻撃が労働者にかけられていますが、つまりこの労働契約法制は、戦後労働法制の根本的な[戦時的]転換です。その転換のすさまじさを前に、連合幹部ですら「このままでは容認できない」との声明を出さざるをえませんでした。
 労働法制をめぐるたたかいは、労働者総体の賃金・労働条件のみならず、労働者の社会的地位や力量をめぐる闘いに他なりません。本質的には、労働者・労働組合にとっては、反戦闘争・憲法改悪阻止闘争に匹敵する重みをもった政治的なたたかいだといえると思います(年金をはじめとする社会保障・社会福祉の問題も同様なことがいえます)。
 今、組織労働者のかなりの部分が、この労働契約法制について大きな関心を寄せています。しかし、既成指導部にはこの労働契約法制と闘うための路線も指導もありません。闘う労働運動潮流が、11月労働者集会で高揚を勝ち取り、きちんとした位置づけをもって労働法制改悪との闘いを貫徹することが求められています。
 労働契約法制のなかにあるブルジョアジーの狙いを暴き、戦闘的潮流を軸として幅広い統一戦線を地域・産別で形成することがきわめて大切になっています。
 敵の側のこの踏み込みは、ひとえに敵の危機の率直な自白である、とも言えます。戦闘的潮流が労働運動において力をつけていくことができるチャンスでもあります。共に闘い勝利しましょう。   (大石智陽)

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特集  労働契約法を撃つ

●「労働契約法」は、こんなに危険! 現在の争議案件でシュミレーションすると

 労働者を労働組合として団結させないための「労働契約法」反対の大運動を

 9月12日、厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」(座長・東大名誉教授・菅野和夫=悪名高き御用学者)は最終報告をとりまとめました。
 この「研究会報告」の内容は、これまで労働者が労働組合として団結して、血と汗を流して闘いとってきた労働者の権利を剥奪しようとするものであり、労働者が労働組合として団結させないようにするものです。
 この最終報告の前の「中間とりまとめ」では、「労働契約法制の必要性」について「労使当事者がその実情に応じて自主的に労働条件を決定することができ、かつ労働契約の内容が適正なものになるような労働契約に関する基本的なルールを示すことが必要である」と述べ、「労使自治」の名において労働基準法以下の労働条件を労働者に押しつけようとする意図を隠していません。
 また、ここでいう労使の「労」とは、労働組合のことだけを言っているのではありません。「労使委員会」という労働組合とは別の労働者代表制度をさしています。
 多くの職場で、36協定締結や就業規則に意見を述べる「労働者代表」が経営者の任命で、管理職が業務命令で役割を果たしているような現状で、「労使委員会」の権限を強めることは、労働組合の存在価値を無にして、労働者が労働組合として団結することを阻害するということです。とくに職場では少数派でも力を発揮している地域合同労組にとっては、存在の意味が無くなるということになります。
 以下、もし「労働契約法」が、研究会最終報告の内容で成立したとき、労働者はどのような状況に陥るのか、実際に関西合同労働組合で闘っている争議分会を例にしてシュミレーションしてみます。

 労働基準法違反を合法化する?!

 A分会では分会結成以来、残業手当の単価が週40時間労働になったのに週48時間労働の時のまま計算されていたのを是正させ、過去の残業手当未払い賃金を全従業員に支給させるなど、労働基準法を遵守させ、労働者の権利を回復させてきました。
 「労働契約法」が成立すれば、資本は、現行の労働者代表制度をそのまま労使委員会として立ち上げ、その労使委員会で労働条件の最低基準を定めた労働基準法以下の残業単価計算の分母を48とするということに委員の5分の4以上が賛成したとして、全従業員に強制することが出来ます。
 「労働契約法」は、労働者代表制度による労使委員会が労働条件の決定・変更をできるようにしようとしています。労働基準法が完全に空洞化してしまいます。
 就業規則の変更は重大な労働条件の変更ですが、これも労使委員会の委員の5分の4以上の賛成で、労働者がその適用を拒否できなくなってしまいます。
 また「労働契約法」では、「経営上の合理的な事情」があれば、労働契約の変更を認める制度をつくろうとしています。つまり、現在労働基準法第2条を根拠に法的には労働条件の一方的不利益変更はできませんが、それが簡単にできるようになるということです。

 首切り自由!

 B分会とC分会では、それぞれ組合結成を嫌っての解雇攻撃に対して、就労闘争と平行して、地位保全と賃金支払いの仮処分裁判や本訴を闘い、「解雇権の濫用」で解雇無効との判決を得て、それを武器に資本に毎月の賃金支払いを強制し、職場復帰の団体交渉に応じざるをえないところに追い込んでいます。
 「労働契約法」ができれば、解雇が有効か無効かの裁判で、裁判所が解雇無効の判決を出しても、資本が申立を行って解決金を支払えば、雇用が終了したものとして扱われ、職場復帰の道が閉ざされてしまいます。資本からの申立は、「労働者の職場復帰の困難と認められる特別の事情ある場合に限られる」としていますが、資本が組合当該について、他の労働者が「(当該とは)チームワークがとれない」と言っていることを理由に職場復帰を拒否しているC分会の場合、簡単に金銭解決で雇用関係終了とされるでしょう。
 また「労働契約法」では、労働者が判例として闘いとってきた「整理解雇の4要件」は法文化されません。それどころか逆に整理解雇を「使用者が講ずべき措置」を指針等を示すことで合法化しようとしています。
 さらに解雇か賃下げかを労働者に選択させる「労働条件の変更解約告知」を認めようとしています。
 有期雇用についても、雇止め解雇の有効性を強めて現在確立されている雇止め法理(「自動反復雇用は雇用期限の定めなき雇用に転化する」等)を崩壊させようとしています。

 サービス残業やらせ放題

 D分会では、過去の残業代の未払い賃金として資本に4000万円以上支払わせました。
 「労働契約法」では、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプションを参考にして労働時間規制の適用除外を大幅に拡大して残業代を支払わなくても合法としようとしています。現状ですら「サービス残業」がまかり通り、年間3万数千人の自殺者と多くの過労死を「生産」している日本において、「サービス残業」を合法化すれば、文字通りの奴隷労働社会となります。
 他にも多々問題点がありますが、以上のことだけでもいかに危険な法律であるかということがわかると思います。これでは労働争議など、まったくできなくなってしまいます。
 95年の日経連の「新時代の日本的経営」以来、非正規雇用が爆発的に増大している中で、地域合同労組を存在価値のないものにして、飢餓賃金や解雇などで苦しむ労働者が労働組合へと結集することを、なんとしても阻みたいためにも、「労働契約法」をつくろうとしていることは明らかです。
 労働組合がなめられているということでもありますが、しかし敵の攻撃は乱暴で焦りに満ちています。敵は弱点だからこそ、短兵急に事を運ぼうとしています。
 今ここで、全国の地域合同労組をはじめとしてあらゆる労働組合が、「労働契約法」反対で一致して闘いに立ちあっがったとき、奥田−小泉の戦争と民営化攻撃にたいする反転攻勢のテコとなり、労働者の階級としての団結が拡大強化することは間違いありません。
 労働者をますます奴隷におとしこめ労働組合をつぶすための「労働契約法」反対の大運動をまきおこし、成立を阻止するために共に闘いましょう。(了)  (関西合同労組 書記長 蒲牟田 宏)
 

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特集  労働契約法を撃つ

●合同労組の一掃を狙う「常設的な労使委員会制度」を阻止しよう

 「常設的な労使委員会制度」は地域合同労組(以下、合同労組と略)や少数組合が今日まで築き維持してきた運動の地平を一掃しようとする攻撃にほかなりません。その特徴は、これまで不当労働行為とされてきた、「労働組合との交渉拒否」を合法化するところに核心があります。

 奥田路線と不安定雇用

 日本経団連が目標に掲げる「1割の正規雇用と9割の非正規雇用」とは、労働者の無権利状態を雇用形態から表現したものです。この攻撃は、現在ものすごい勢いで進められています。しかしもう一方では、必ずしも労働者の反撃を制圧しきっているわけではありません。戦後日本の労働者のなかに蓄積してきた権利意識と平等意識はかなり根強いものがあります。
 たとえば労働基準監督署への相談件数はこのかん増加し続けており、公務員削減攻撃の影響もあり続々と寄せられる相談に労基署の監督官は手が回らない状況です。つまり多くの労働者が、会社から自分が受けた扱いが不当だと思っており、比較的行動力のある人たちが決心して監督署に訴えを行っているのです。そしてさらにその中から、われわれのような合同労組までたどり着く人たちがいます。資本の側からみるとこの合同労組は、連合や全労連を通じた統制が効かず、かつ労働法や労働委員会制度や裁判制度までフルに駆使して対抗してくる、たいへんやっかいな存在です。そして「常設的な労使委員会制度」はこのような合同労組を交渉の当事者から排除しようというものです。

 大量解雇に対する合同労組のたたかいの例

 例として、労働組合が組織されていない大手スーパーが会社都合による店舗閉鎖でパート労働者1000人を解雇すると仮定してみましょう。もし会社が再就職先を斡旋したり、多額の退職金を払うなどして、当該労働者がその扱いにある程度納得できるようならば、このリストラは比較的スムーズにいくかもしれません。しかし現実には、もともと経営状態が悪いから店舗閉鎖をするわけですし、ホリエモンや「ファンドの村上」のような株主が「退職者にそこまでする必要はない」と経営陣に詰め寄れば、おそらく「なみだ金」すら出さないことでしょう。
 そうなると労働者の側も「このまま泣き寝入りしてたまるか」ということになり、合同労組を頼る人が現れます。仮にここでは4人の労働者が合同労組に入り支部をつくり、会社と交渉を開始したとしましょう。
 このケースで組合が団体交渉の申し入れをすると、そもそも社内に労働組合がなかったわけですから、労組法がわかる担当者がいないということもあります。そして弁護士や労務士に相談して、労組法上この申し入れを拒否することができないことがわかると、会社はしぶしぶ団体交渉に応じることになります。交渉が始まると、労働組合がない会社の場合、判例として確定している「整理解雇の4用件」を満たさないままリストラを強行することがあり、この場合、労働者側が有利に交渉できるようになります。
 また、組合が出来たことを知ると、会社は労働者がこれ以上組合に加入することをくい止めるために、それまでの対応を変えて「心のこもった対応」を労働者にするようになることがよくあります。これもまた、労力と資金がかかり会社を圧迫します。
 そして、団体交渉が続き、ときには労働委員会・・・・などと続くと、会社は当初予定していた予算よりも多く、このリストラに金と労力を費やさなくてはなりません。会社からすれば店舗を閉鎖してやっと1000人を解雇できたとしても、その結果は会社にとって元々の計画より大きな負担をともなったものになります。
 以上のことは、「1000人のなかの4人」が頑張りきったときに十分に起こりうることなのです。もちろん私たち組合の側は過半数以上をめざして組織化を進めますが、対抗する会社の側はたとえ組合を過半数以下に押さえ込めたにしても、そこには少なからぬ労力と資金がかかります。特に経営者は争議組合が銀行に押し掛けることは、融資に影響しかねないので避けたいものです。経営者が受けるプレッシャーは決して小さいものではありません。
 視点を変えて、経営者の立場からみればどうでしょうか。資本家ににしてみれば、不採算部門はどんどん閉鎖して、採算の良い部門に資本を投下することは「当然の権利」であり、そこでは資本の移動に必要のない労働者は切り捨ての対象です。リストラ時に権利を主張する労働者は「企業間競争の足を引っ張る敵」でしかありえません。しかし、いまはこうした「労働者が企業間競争の足を引っ張る行為」が労働者の既得権として合法とされています。ここを根本から突き崩そうというのが「常設的な労使委員会制度」なのです。

 もし「常設的な労使委員会制度」が制定されると・・・

 「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書では、「常設的な労使委員会制度」について次のように書かれています。
 「労使委員会の活用の方策としては、例えば、就業規則の変更の際に、労働者の意見を適正に集約した上で労使委員会の委員の5分の4以上の多数により変更を認める決議がある場合に変更の合理性を推定することが考えられる。さらに、労使委員会に事前協議や苦情処理の機能を持たせ、それらが適正に行われた場合には、そのことが配置転換、出向、解雇等の権利濫用の判断において考慮要素となり得ることを指針等で明らかにすることが考えられる」つまり、「労使委員会の委員の5分の4以上の多数」などの一定以上が賛成すれば、就業規則の変更、配置転換、出向、解雇、などについて「合理性が推定される」ということです。この際に労働組合が排除されているのがポイントです。これまでは職場の労働条件については労使の合意(妥結)が基本になっていましたが、この「労使委員会」では労使の合意を得ずに「労使委員会の多数決」をもって「合理的」とされてしまいます。
 これを前出の大手スーパー1000名リストラの例に当てはめるとどうでしょうか。リストラをやろうとする会社はまず会社よりの労使委員を選出し5分の4以上「リストラ賛成派」を確保します。そのあとにリストラ案を発表し労使委員会で賛成決議すれば、効率よく労働者の抵抗を抑え込むことができるのです。
 もちろん、パート労働者が組合に加入して団体交渉を申し込むことはできます。「従業員からの意見はすでに十分くみ取った」として会社は労使委員会を軸に物事を進めてしまうので、これまでのように「組合を無視しては物事を進められない」ということがなくなってしまいます。
 以上、一つの例ですが「常設的な労使委員会制度」は合同労組運動にとっても死活のかかった課題です。反対運動を広げ、成立を阻止しましょう。  (茨城県地域連帯労働組合 副執行委員長 岩澤仁志)

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●韓国・全国労働者大会に動労千葉が参加団派遣へ

 青年労働者は日韓11月両労働者集会に大結集を

 動労千葉を支援する会 広沢こう志  

 来たる11月13日(日)、韓国・ソウルの光化門で「非正規職権利保障法獲得」を掲げて全国労働者大会が開かれる。民主労総はこの大会の場で、政府の非正規職法案と労使関係ロードマップ法案を阻止するためのゼネストを宣言しようとしている。今年の11月13日は民主労総結成10周年にあたり、その意味でもとても重要な大会だ。
 動労千葉はこの労働者大会に、田中康宏委員長を団長に10数名の参加団を派遣することを決定し、現在全国の仲間、とりわけ次代の労働運動を担う若い仲間に訪韓団への参加を呼びかけている。
 労働法制の全面改悪を狙うノムヒョン政権と対決し、非正規職差別撤廃―正規職化を掲げ闘う民主労総の労働者と連帯し、何よりも日本の地で11・6全国労働者集会への1万人結集を実現し、韓国労働者階級との大合流を果たそう。

 11月13日とは

 毎年全国労働者大会が開かれる11月13日は、韓国の労働者にとってとても大切な日だ。
 1970年11月13日、清渓川の零細縫製工場で働くチョンテイル氏(当時21才)が、勤労基準法の条文集を手に「われわれは機械ではない! 勤労基準法を遵守せよ! 私の死をむだにするな!」と叫んで焚身決起した。劣悪な労働条件のもとで長時間、低賃金で働かされる幼い同僚に胸を痛め労働運動に身を投じたチョン氏は、何度も改善要求を行ったが一向に聞き入れられず、この日、意を決して抗議のデモに立った。しかし警察がこれを強制解散させたため、ガソリンをかぶって我が身に火をつけ抗議したのだ。この決起が引き金となって清渓被服労組が結成され、以後、韓国の民主労組運動は、その胎動を開始した。
 95年の民主労総結成以降、毎年行われている労働者大会の基本精神は「チョンテイル烈士精神継承」だ。チョンテイル氏の母親・イソソンさんは「労働者のオモニ(母)」と慕われ、様々な闘いの場に姿を見せ労働者を励ましている。昨年の労働者大会前夜祭では、「生きて動く労働者のみなさん」と呼びかけた。今も自決決起が絶えない厳しい状況の中、仲間の死をのりこえ闘っている“息子・娘”たちへの深い愛情、そして実践主体としての労働者への限りない期待が込められた言葉だと思う。

 今年の労働者大会はどういう情勢の中で開かれるのか

 10月20日、イスホ委員長以下民主労総中央の執行部が総辞職した。首席副委員長の収賄事件をめぐって責任を問われたのだ。
 しかし、総辞職に追い込まれた背景には現執行部の本質的な問題がある。イスホ執行部は「社会的交渉」路線を掲げ04年1月に発足した。だが、「社会的交渉」路線とは労使協調路線にほかならない。
 この「社会的交渉」路線をめぐって今年1〜3月、代議員大会が3度も流会となり現在に至っている。「現場派」と呼ばれる諸勢力を中心とする「社会的交渉」反対派が激しくあらがっているのだ。
 ノムヒョン政権は、民主労総執行部の「社会的交渉」路線を逆手にとり、「労使関係先進化案(ロードマップ)」を打ちだし、労働法制―労使関係の全面解体を策している。労働者側はこれを「ストを困難に、解雇をやりやすくするもの」「使用者側の対抗権のみを強化するもの」と批判している。このロードマップで打ち出された4法案34条項の改正案は、来年2月臨時国会での上程が狙われている。
 こうした状況に対する現場労働者の危機感が、イスホ執行部を総辞職に追い込んだのだ。
 民主労総は現在、非正規職問題を真正面課題に据えている。短期間雇用、派遣や下請けなどの間接雇用、ダンプやトラック運転手、ゴルフキャディーなど、労働者でありながらも労働者性が認められていない特殊雇用―これら非正規職労働者の苦闘を正規職労働者が共有し、民主労総の旗のもとに団結する闘いが推し進められている。10月13日にはダンプ連帯がゼネストに突入した。
 一方そうした闘いの中でも、非正規職労働者の自決が相次いでいる。9月4日、現代自動車非正規職労組のリュギヒョク氏が首つり自決し、同10日には、コンクリートミキサー車の運転手であり貨物連帯の組合員であるキムドンユン氏が焚身自決した。
 今回の執行部総辞職を受けて民主労総は非常対策委を設置し、ゼネストをはじめとする下半期闘争を貫徹しようとしている。今年の労働者大会はこうした緊迫した情勢の中で開かれるのだ。
 労働者大会への動労千葉の参加団派遣は、「これまでよりも一歩進んだ、現場労働者どうしの交流を」という、コジョンファン民主労総ソウル本部長の呼びかけに応えたものだ。すでにソウル本部は、日本の11・6労働者集会に22名の参加団を派遣することを決定している。ソウル本部傘下の地下鉄労組、ソウル大病院支部労組、公務員労組、6地区協議会、律動グループの代表たちだ。

 動労千葉の闘いがつくり出した真の労働者国際連帯

 「動労千葉は日本で孤立しているから他の労組と交流したほうがいい」という内外の圧力に対しコジョンファン本部長は、「この間の交流で動労千葉との交流の正しさを確信した。動労千葉が日本で孤立しているとしたら、動労千葉を孤立させている日本の労働運動とはなんなのか」と問うている。
 ここ数年、ILWU(国際港湾倉庫労組)をはじめとするアメリカの戦闘的労働運動との交流が実現するなど、動労千葉の闘いに対する国際的な注目が集まっている。先日もイギリスRMT(鉄道海運労組)のドナヘイ委員長が機関誌のコラムで「日本の鉄道組合・ドーローチバは、この民営化の大混乱に対してシンプルなスローガン『闘いなくして安全なし』を掲げて闘うことをきっぱりと決意した。そして彼らは、政治的反対派の壁をこえてたくさんの支持を得、明らかに勝利しつつある」と書いた。
 国鉄分割・民営化と対決して2波のストを敢行し、40名の解雇者を出しながらも、その解雇者を守りぬき、組織と団結を維持し、今も政府・資本との闘いを続け、そして勝利している動労千葉の、その闘いに注目が集まっているのだ。
 組合員の団結を基礎とした日常不断の現場闘争の実践―古今東西の労働運動を見るにつけ、こうした、労働組合の原点ともいえる闘いが、いかに大変なことであるかを実感する。この実践の根底にあるものこそ〈反合理化・運転保安闘争〉の思想と路線だ。
 「戦争と民営化=労組破壊」との対決が世界の労働者の共通テーマとなっている今、職場闘争を基礎に、反戦闘争と、戦闘的労働組合の新潮流建設を呼びかけ実践している動労千葉だからこそ、世界の労働組合から熱い同志的連帯と期待が寄せられているのだ。
 労働者の仲間のみなさん。とりわけ青年労働者諸君! 日本の11・6労働者集会への1万人大結集を実現し、その力で韓国の11・13労働者大会に合流しよう。
 現在の韓国の緊迫した階級情勢を考えたとき、韓国労働者の苦闘を共有し、共に大会を成功させる立場以外での参加はありえない。
 青年労働者諸君! 12車線道路と歩道、地下街までをも埋め尽くす10万労働者の大軍に触れてほしい。非合法下の時代から地道な組織化活動をやりぬき、今この大軍団を率いている若き労働運動のリーダーたちに触れてほしい。
 動労千葉の闘いを自らの職場で実践し、小泉‐奥田をなぎ倒し、青年労働者こそが歴史の大舞台に躍り出よう。自らが主体的に決起したとき、自らが歴史を動かしていることを必ずや実感するだろう。百数十年の長きにわたり世界のプロレタリアートが果たしきれず次代に託してきたその夢を、今こそわれわれの手で実現するのだ!

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●SPOT&CRITIC 警察の裏金づくり

 警察の裏金づくりがいつから始まったのか不明だが、恐らく戦前からあったのではないか。戦後、裏金づくりで大きな事件として取りあげられたのは、キャリア組のなかでもトップの一員であった松橋忠光さんが「わが罪はつねにわが前にあり」という本を出版。世に警察の裏金づくりを自らの問題として明らかにしたことだろう。
 最近では、宮城県の浅野史郎知事が、宮城県警の裏金づくりで、証拠となる会計文書の提出を要求したが、県警は、「捜査の支障」と、「名前が分かると警察官が襲撃される」として拒否したことに対して、裏金づくりの資金源となる、「報償費」の執行を停止したことで大きく報道された。
 もうひとつは北海道新聞が03年末から北海道警察の裏金づくりを本格的に追及し、ついに北海道警察の芦刈本部長に事実を認めさせたことがある。
 警察の裏金づくりは、歴史が古いだけではなく、全国的に行われている。ちょっと指摘しただけでも、東京、群馬、愛知、愛媛、兵庫、高知、熊本などがあり、地元マスコミ、市民、弁護士などが地道な活動を行ってきた。しかし「捜査上の支障」を口実とする警察の秘密主義のために具体的な成果をあげたところは多くない。

 手口は、大胆かつ簡単

 裏金のつくり方は、国または地方自治体の予算として支給される、旅費、捜査費(国から支給)、報償費(自治体から支給される)、交際費など、さまざまな入金を毎月いったん全額を裏金としてプールする。
 この裏金としてプールするためにはニセ領収書を大量につくる。捜査協力者を仕立てるために電話帳から名前と住所、電話番号を書き移すことが多い。また接待の料理屋の名前を書く。これらの作業は一線の警察官がさせられている。
 正式の帳簿と裏金の二重帳簿をつくり、組織ナンバー2が管理する。このようなやり方が全国で共通しているので、恐らく警察庁が制度化しているのではないか。金額は合計でどの程度になるか、まったく見当もつかない。
 警察であっても、会計検査院による外部監査もあるし、当然内部監査もある。さらに問題があるとみれば、公安委員会、監査委員という制度がある。また自治体の議会と国会もある。そういうところではほとんど問題にされたこともない。「捜査上の支障」といえば、帳簿に目隠ししてもだれも文句が言えない。警察は、文字通り聖域化しており、その中で公然とさまざまな悪事を行っている。漆間警察庁長官も裏金による接待を受けていることが明らかにされたが、自らは沈黙している。
 しかも、裏金づくりが暴露され、金額を返済したり、認めたとしても、その暴露されたところ限りの事件として処理されているだけで、警察庁は「適正に処理されている」というだけで、裏金の存在を認めていない。
 裏金に対する追及は、基本的にはフリージャーナリストや地方紙や雑誌などに限られており、大手マスメディアは、せいぜい単発的に報道するだけである。元朝日新聞の記者であった落合博実氏が、最近の月刊紙で朝日新聞編集局が、落合氏の裏金づくりの記事をボツにしたことを糾弾する文章を掲載しているが、それが大手マスメディアの権力に迎合している実体を示すものだろう。
 裏金は、主としてキャリア組の餞別と接待に使われている。全国を回って昇進するキャリア組が、配転ごとに巨額の餞別を手にして成り上がっていくという腐りきった警察トップ官僚ができあがるのだ。
 「踊る大捜査線」というTV、映画がヒットするのはこの警察官僚のあり方を戯画化するためだ。
 日本の警察の実体は、キャリア組を全国に配置する国家警察であり、裏金は、その体制維持に大きな役割を果たしているのだろう。

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●闘う争議組合の冬季物販にご協力を!

 いつも動労千葉の物販にご協力いただきありがとうございます。
 9月15日の鉄建公団判決は、1047名闘争の解体を狙った許すことのできない反動判決です。
 私たちは安全の危機に対し、今も「闘いなくして安全なし」をスローガンに掲げ安全運転闘争を続けています。冬季物販にご協力をお願いします。
国鉄千葉動力車労働組合  TEL 043−227−7833 FAX 043−227−8125

 小泉政権の「郵政→公務員」への大民営化攻撃と戦争政策に真っ向から対決します。国鉄分割・民営化による首切り、許さないぞ!
 19年目の闘争団の闘いにご支援をお願いします。
国労小倉地区闘争団 日豊オルグ班  TEL 093−436−6257 FAX 093−436−6258

 一昨年8月29日、エッソ石油(現、エクソンモービル)名古屋油槽所での6名死亡火災事故の原因も責任も未だに明らかにしない会社エクソンモービルに対する責任追及は労働組合の責務だと肝に命じ、8君不当解雇撤回を基軸にス労自主闘争を貫徹していきます。
 尚一層のご支援をお願いします。
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合  TEL&FAX 06−6873−3865

「解雇撤回・三一書房闘争勝利」
05冬季物販・庄内産直米購入にご協力を!
 中労委勝利命令を受けて闘争勝利へと闘いを強化しますので、ひきつづき組合の財政基盤である庄内産直米の購入にご協力下さい。
銘  柄 白 米 七分つき 玄 米
@コシヒカリ 2,600円 2,600円 2,300円
Aササニシキ 2,400円 2,400円 2,150円
Bひとめぼれ 2,450円 2,450円 2,200円
Cはえぬき 2,400円 2,400円 2,150円
Dあきたこまち 2,400円 2,400円 2,150円
E産直ブレンド 2,150円 ― ―
●10sのご注文は、5s袋×2のお届けです。それ以上も同様。
●送料は、全国一律で、10sまでは600円、20sまでは800円。
●申込先=三一書房労働組合 文京区本郷2−11−3
     TEL 03−3812−3132 FAX 03−3812−3119

 「煮て喰らおうか、焼いて喰らおうか」―こんな普天間基地の辺野古移設攻撃に130万沖縄県民の真っ赤に焼けた怒りのマグマが動き始めています。
 この思いを知って欲しい―そのために、私たちは沖縄バャリース労組物販をお届けしています。
 この10月、地域の中では「工場法以前」のような職場で新たな労働組合が誕生しました。団結に乾杯!引き続き、沖縄バヤリース物販へのご協力を。沖縄バヤリース労働組合  TEL 090−2710−2008 FAX 098−948−1651

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労働者学習シリーズ 帝国主義 第10回 社会排外主義

 島崎光晴   しまざきみつはる   労働運動理論センター

 前回につづき、労働者学習センター主催の労働学校での講義、そこでの質問・感想、それに対する私の回答を中心に、帝国主義と現代帝国主義について考えていきます。

超過利潤で上層部買収

●講義 社会排外主義とは、これはレーニンの言い方ですけど、「ことばのうえでは社会主義、行動のうえでは排外主義」(『帝国主義論』)のことです。第1次大戦が始まると、ドイツ社会民主党を初めとして、第2インターナショナルの多くの社会主義政党が戦争に賛成した。それまでの労働者の運動では前例がない事態だった。「社会主義」を掲げていたような連中が、なぜ戦争に賛成したのか、なぜ資本家階級の側に立ったのか。この回答が帝国主義論なんです。
 なぜ社会排外主義が生まれたのか。帝国主義が「寄生的な腐朽しつつある資本主義」だからです。帝国主義は、過剰になった資本を国外に輸出します。国外に金を貸して、金利を取って、この金利で生活するような金利生活者が増えます。そうすると国全体が金利生活者国家みたいなのに変化してきちゃう。金利生活者国家というのは、それほど国外に寄生しているということです。その意味で帝国主義とは「寄生的な腐朽しつつある資本主義」と規定できます。
 資本にとって、国内よりも植民地で貸し出す方が、より儲けになります。これを超過利潤と言います。この超過利潤によって何をやっているかといったら、労働者の指導者たち、労働貴族の上層を一時的に買収できるようになるわけです。実際にも買収している。社会排外主義者というのは、そういうふうに買収された奴らなんです(ブックレット『現代の資本主義――帝国主義の7つのキーワード』51〜58n)。

●感想 社会排外主義とどう闘うのかという問題は、とても重要だと思います。先日、組合の集会で委員長に対して「労組自ら当局に合理化案を逆提案するとはなにごとか」と指弾したんです。すると、「自分はより良い市政にしたかった。不況下でリストラされた民間労働者に、現業の民間委託をして働き口を作ってやりたかった」と言う。市長と一体になっている。資本や銀行の立場で危機的な経済体制を支えようとしているわけです。革命や共産主義で帝国主義を打ち倒して労働者の解放をかちとるという思想がないところでは、すぐに戦争に賛成するというところに行ってしまう。労働者に革命を真正面から提起することの重要性を日々感じています。社会排外主義との闘いは、青年層のなかに活動家を作って、貴族と化した労組委員長に取って代わる以外にないと思う。

 今は帝国主義的労働運動

●講義 連合は80年代に結成されました。総評が解散し連合になっていった時期とは、日本がちょうどアジアに本格的に工場を作る時期でした。本質的に言って、日本帝国主義がアジア侵略をやって超過利潤を得て、それで労働貴族の一部を買収している、それが連合なんです。
 現在の連合指導部というのは、明白な帝国主義的労働運動です。もう完全に帝国主義の側と一緒にやるということで腹を決めた動きをしている。資本家階級の利害を自分の利害にしている、それが帝国主義的労働運動です。だから労働者の権利を維持するという発想なんか、さらさらないですね。一定は労働者的な要素を持って、「労働者の利益を守る」なんてペテン的に言っているとややこしいですけども、そういうのはもう基本的にないんです。だったら、労働者の団結によって連合を破産させることはできるんだ、とも言えるじゃないですか(同87〜88n)。
 連合指導部は帝国主義的労働運動ですから、レーニンの時代の社会排外主義とも違います。「ことばのうえでは社会主義」というのがないわけですから。今度、連合会長になったUIゼンセン同盟の高木は、極右改憲派で徴兵論者です。むきだしの国益主義、国家主義です。レーニンの時代に大変だったのは、「社会主義」を語りながら実際は労働者を排外主義にひきずりこんでいったことでした。ことば上の「社会主義」にだまされたわけです。労働運動にとってものすごい害悪でした。しかし、今やもうそれがなくなったのです。
 ただし一方では、ソ連スターリン主義崩壊をへて、社会主義こそ労働者の解放であるという思想が希薄化しています。「社会主義のソ連が破産した」と思っている人はたくさんいます。スターリン主義だから当然にも破産したわけなんですけども。スターリン主義を批判することで、労働者の解放は社会主義にしかないことを、うまずたゆまず主張する必要がありますよね。
 ですから、排外主義と闘い戦争に反対することと、労働者の解放思想としての社会主義を復権することを、同時に追求するということではないでしょうか。その条件は広範にあると見るべきです。連合大会・会長選での3分の1の反対票は、そうした土壌が十分にあることを示しています。

●感想 連合下の組合にいる。会社が利益をあげていないのだからと、一時金が下がるのを認める方針。そのうえ、個人差が増えるような賃金の仕組みさえOKしていく。本当に組合なのか、と思っていた。きょうの話を聞いて、今の組合指導部に労働者の団結を求めていってもムダだということがよくわかった。

●感想 自分は組合本部にいたので、「寄生的な腐朽しつつある資本主義」をまじかに見てました。闘う方針を言えば恫喝され、当局とべったりしている本部にはうんざりしたものです。やはり今の本部では戦争に突き進む、ということを確信しました。

●感想 超過利潤による組合幹部の買収は、単なる企業による“飲ませ、食わせ”というレベルではなく、戦争に向けた政策として行われているという点で、連合の果たしている役割は犯罪以外のなにものでもない。しかし、このかん、各地を回って自治体労働者や教育労働者と話をしてみると、何もやらない連合、戦争に反対しない連合、逆に改憲に賛成する連合に対して怒りが大きくなっているのは驚くほどでした。「闘うことにより勝利できる」との確信は大きくなってくると思います。

 日共の排外主義と闘う

●講義 社会排外主義との闘いという点では、むしろ全労連指導部、日本共産党スターリン主義との闘いが焦点になっていくでしょう。日本帝国主義の危機がさらに深まり、大々的な戦争に突っこんでいくとき、日本共産党スターリン主義は排外主義者の本性をむきだしにして労働者に襲いかかってくるでしょう。しかし、それは即、全労連全体を排外主義に巻きこむものではありません。逆に全労連の激しい流動と分岐を引き起こすのは確実です。全労連内でも、社会主義を復権し戦争反対を貫徹する好機がやってくるはずです。

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●闘う合同労組 第13回 なんぶ・ユニオン、結成して1年

 東京南部の地

 東京の南部は「南部工業地帯」と昔から呼ばれており、労働者の町です。この地に合同労組運動を立ちあげんものと、昨年○名で第1回大会を開きました。といっても、スタートするために名称、代表者、規約など最低限必要なことを決め、借金して確保したJR大井町駅から徒歩2分の事務所でうちあわせをした程度、いわば準備会でした。
 名称を「南部」でなく、「なんぶ」としたのは、在日外国人労働者にも読める表記を選んだというつもりだったということです。そのせいかどうか、現在では外国人労働者の組合員も加入しています。
 南部一般をはじめ、他の合同労組も活動している土地柄の中で、名もないわがユニオンの最初の取り組みはまず宣伝活動でした。労働相談のチラシを作り、街頭、地域に配布し、可能な場合は公共機関の棚などに置かせてもらうことからはじめ、事務所の窓にもデカ字で労働相談の掲示を張り出し、ある女性労働者の献身的協力でホームページを開設し、それを常に更新するよう努めています。これがそれぞれ初期の活動にむすびついています。

 争議の経験

 1月ほどで5人の女性労働者が、解雇攻撃を受けて相談に訪れ、最初の争議を経験することになったのです。解雇撤回闘争をまず念頭にうかべたのですが、当該の労働者の意向をたしかめた上で、超勤の不当な未払い分、約束していて支払われていないボーナス、会社都合の解雇なので勤続年数(長い人でも3年)と同月数分の退職金などの支払いの要求書を提出して闘争に入ることにしました。団交を重ね、当該労働者が経営側を鋭く追及し、これに耐えかねて経営側が都労委にあっせんを申請し、1月後こちらもそれに応ずることにし、そこで決着しました。結局、謝罪要求におざなりな意志表明しかしない、という問題点は残りましたが、要求については、ほぼ満額に近い成果をあげ、勝利しました。約半年の闘いでした。
 ほかに、埼玉県のある公設民営施設での解雇問題で、事務所の近所に住む人から相談を受け、なんと埼玉県に乗り込んで団交し、解雇撤回・職場復帰を勝ち取りました。当該の女性労働者と彼女を支援した友人たちとで「なんぶユニオン・埼玉支部」! が誕生しました。
 さらに、ある外国人労働者の労災問題にも取り組み、若干の成果を上げています。
 1年間の活動でこうした経験を積み、同時に11月、3月の集会でもユニオンの旗をおしたてて参加し、組合員も○○名に増え、この9月、第2回大会(実質的には最初の大会)を開催し、はじめて執行委員会を選出し、2年目の態勢を整えました。毎月の街頭労働相談、学習会なども方針化しました。
 予算も決定しました。まだまだ財政的には苦しいのです。事務所を借りている負担が大きく、執行委員に交通費さえ支給できないのが残念なところです。当分は交通費自弁でがんばろう、という確認をしました。
 まだ活動を始めて1年、とても「南部工業地帯」に根づいたとはいえない。しかし、宣伝活動と労働相談を軸として、たゆまず地道にやっていくのが飛躍への基礎なのだと思います。

 地域ユニオン運動の展望

 街頭労働相談は前年度の中途から開始しました。駅前広場に机と椅子を持ち出し、ひとりが相談員として机につき、ひとりがマイクで呼びかけ、他の数人が労働相談について説明してあるチラシを配るというスタイルです。真夏を真冬はちょっとたいへんで短時間のチラシ配布くらいでしようが、いろいる工夫して月例の行動にしていくつもりです。
 今までやってみての感じですが、まだそこから何か具体的な動きがつかめた、というふうにはなっていないのですが、リストラ、サービス残業などについてほとんどの人がわが身の問題と考えていることがはっきり分かります。非常に「受け取り」がよいのです。また、たいがいの人がチラシの表題を見て、ポケットやバッグに入れて持ち帰り、捨てるひとがほとんど見られないのです。ある機運が確実に近づいているということです。
 首相小泉は9・11総選挙で手の内の切り札を全部さらしてしまいました。もうあとはやみくもに攻撃にでるしかないのです。改憲、戦争国家化、民営化、福祉切り捨て、さらなる大リストラ、労働運動の解体、大幅な増税、どれも小泉にとって不可避で、しかもどれをとっても巨大な反撃を秘めている怪物ヒドラのような存在なのです。
 小泉の攻撃は、南部工業地帯にも容赦なく襲いかかるでしよう。我慢にも臨界点があるのです。ついに南部労働者は決起するのです。その機運がじりじりと動いているのが、現在の状況だと思われます。11・6労働者集会を一つの結節環として実現しなければならないのはそのためです。
 地域ユニオン運動は、さしあたり中小・零細企業の労働者の結集軸としての意味が大きいと思います。もちろんそれは必要なことでもあります。しかし、より規模の大きい企業の労働者、連合、全労連などの傘下の組合の下にある労働者が加わってくる可能性を否定する必要もありません。
 「御用組合」のもとで資本の攻撃を受けている労働者への、労働相談の窓口を開いておいたほうがよいと思います。実際にそのようなことが東京西部ユニオンの例ですが起こっています。そのようなケースに直面した時の対応を検討しておくことも必要だということです。

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●再び、共謀罪の成立を阻止したぞ!

 11月1日に終わる特別国会で共謀罪の成立をまたもや阻止した。小泉政権が衆院選で大勝利した力をもって、あえて短期間の特別国会で通常国会で積み残した全ての法案を「迅速処理」して一気に片付けようとした。それを阻止したことは大きな勝利である。われわれの闘い、野党の闘い、そして新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどさまざまなマスメディアの批判的報道の前に、強引に力まかせに押し通そうとした与党が屈服したのだ。
 しかし、成立を阻止したといっても、参議院を通過させなかったということである。政府与党は、衆院では採決に持ち込みたいと迅速審理を押し進めている。
 とはいえ、来年の通常国会までの間、反対運動を拡大していくことができるチャンスを手にしたのであり、共謀罪を永久に葬るためにさらに闘いを強化しよう。

 衆院でしゃにむに審理を強行

 10月17日から18日頃に成立断念と発表したのは参議院通過を断念したということで、衆院法務委員会では、審理が強行されている。10月21日に、野党の質疑が行われた。25日も審理が行われ、通常審理の行われない水曜日の26日に参考人質疑が行われ、28日に採決を行いたいと与党は言っている。
 刑法の原理を根本的に転換し、思想を裁く憲法違反のこの悪法をまた与党間の修正案を発表したまま、その扱いを明らかにせず、審理を強行している。与党の狙いは、民主党を修正協議にまきこんで、与党だけで採決を強行するという図をつくらずに、与野党が合意して成立させようとしている。また与党だけでも修正して採決するぎりぎりのところにある。与野党が修正で一致すれば参院での審理は簡単だというのである。
 前原を代表にもつ民主党であり、何が起こるか分からない混沌とした状況である。したがって、民主党が従来通り廃案方針を貫けるかどうかは10月末のわれわれの闘いにかかっている。

 与党内のほころびが拡大

 先の通常国会では、公明党の漆原議員が話し合っただけでは不十分で、準備行為が必要だ。対象となる犯罪組織の規定が必要だと発言した。また同じく公明党の富田議員は「生」の法案は反対だと発言している。この富田議員は今回副大臣になっている。
 他方、特別国会では、選挙に敗れた民主党の法務委員が13名から7名に減った。他方自民の委員数は21名に増えて、小泉チルドレンの2名の議員が入り、弁護士資格をもっているが、18日の法務委員会で法案の一部に異議があると発言した。また、別の自民党議員は、国会は立法府であり、法務省の提案を承認するだけでは立法府として検証が十分できたかという反省もある。通常国会の答弁を反省し修正がなぜ行われないのかとの発言をしている。

 共謀罪は警察に「万能」の権力を与える

 法務省の役人は国会で、労働組合、市民団体、NPO、会社などに適用しないと強調している。また対象があたかも「暴力団」や詐欺会社などのような発言をくり返している。しかし、これは真っ赤な嘘だ。
 法文によれば、団体とは2人以上、話し合う、相談する、会議で決めることが共謀であり、すでに既遂となる。いったん決めたことを取り消しても、すでに既遂であることには変わりない。自首した者には刑罰を軽くしたり、免じることができると規定している。
 また共謀罪の対象となる法律は現在619もあり、今後重罰化の政策からさらに増えることがあっても減ることはないだろう。この対象刑罰は、ほとんど通常に見聞きする罪名がたくさんあるほか、公職選挙法や著作権法違反といった法律も禁錮4年以上の法律が無差別にすべて選ばれている。
 さらにこの共謀罪と同時にサイバー犯罪条約という、欧州評議会が定めた条約にとまなう、コンピュータ内の通信情報から、通信内容にいたる情報を一網打尽にする法案部門と強制執行関係売却妨害罪の3本の法案が極めて便宜主義にくっつけられて1本の法律となっている。
 現在の刑法の原則は、犯罪の実行があり、被害があって初めて罪が生じるというもの。共謀罪は、犯罪という行為がなく、被害というものがまったく存在しないにもかかわらず、犯罪を考えたり、相談したり、会議で決めたりしただけで処罰されるというもので、現在の刑法上の原則を根底から覆すものである。現在でも、競輪などの公営ギャンブルの陰謀罪とか、実行行為がなく相談しただけで処罰される法律はあるが例外的に少数あるだけだ。共謀罪は、619の罪をつくる新たな刑事法制をつくるようなものだ。
 共謀したという事実をどのように警察は察知するかが問題だ。共謀した人のうちの仲間が警察に訴えるということ以外に規定はない。そのために警察は現在でもやっているおとり捜査や、盗聴法の拡大―室内盗聴まで準備していることは明らかである。共謀罪と関係づけると共謀罪反対論が強化されるとのおそれから、この問題は別個の問題として触れようともしない。
 何をもって共謀とするのかということについて、10月21日の法務委員会で保坂議員の質問に法務省の大林刑事局長は、「目くばせ」が共謀になると回答した。これは共謀共同正犯で現実に適用されていることだが、このような共謀が認められると、証拠などまったくないままに共謀罪が濫用されていくのは明らかだ。
 法務委員会で与野党の議員がさまざまなケースをあげて共謀罪が適用されるのかを質問したときには、大半がケース・バイ・ケースと回答しており、あいまいな回答ばかりだ。
 また法律の運用は実際には警察が行うのであって、法務省の刑事局長が国会で何を言おうと法律に何が規定しているかが問題である。法律は、いったん成立すると1人歩きし、拡大解釈されていくのはどこの国でも同じである。
 東京新聞の10月8日付けの記事によると、アメリカには、刑法の共謀罪とは別にリコ法という特別の共謀罪が定められている。この法律はマフィア組織に適用するとして制定されたが、実際には労働運動の弾圧に多く利用されている。さらにアメリカでは、共謀罪と、その対象となった罪名との刑罰が加算されて重い刑罰が下されているという。将来、日本でもそうなる可能性がある。
 共謀罪法案は、警察の自由裁量が極めて広い法律となる。警察が狙いを定めた団体(2人でも)を、どうにでも逮捕・弾圧できる自由を手にする。それは時の権力の政権から反戦団体、革命党、労働団体、市民団体、政党、宗教団体などあらゆる団体が監視・規制・弾圧の対象となる。戦前の治安維持法を上回る悪質きわまりない治安管理法である。永久に葬り去るしかない。(佐藤 陽)

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●たたかいは進む

★郵政民営化絶対阻止 写真報告

★1047名の解雇撤回!

 10月14日、社会文化会館において「1047名で全面解決を目指す10・14総決起集会」が鉄建公団訴訟原告団など先頭に支援者など962名の結集で開かれた。9・15判決から控訴審へ向かう過程で闘いを大きく広げ、1047名の解雇撤回まで闘うことを誓いあった。とりわけ3争議団・闘争団が壇上に立ち、動労千葉から高石執行委員が発言した。

★広島労働者集会が成功

 10月10日、広島市内において「戦争と民営化―労組つぶしに立ちむかう10・10広島労働者集会」が開催された。この集会は、11・6全国労働者集会の成功に向けての総決起集会として、広島連帯ユニオンと動労西日本と個人によって呼びかけられた集会実行委員会が主催して、開かれた。この集会は、若い仲間を中心に準備会と2回の実行委員会での論議を積み重ねて準備された。また、8・6ヒロシマ大行動を担った多くの人たちの賛同も得て、11・6結集運動として勝ち取られた。昨年の11月集会の報告ビデオが上映され、動労千葉のメッセージが読み上げられ、今年の11月集会のイメージが大きく打ち出された。そして、「11月集会に1万人の結集を」と題した基調報告が、広島県教組の仲間から提起された。つづいて、各産別からの決意が述べられ、「広島から1000名の隊列を!」というまとめの提起でしめくくられた。この集会でははじめて自前の「ミニミニライブ」を実施した。青年労働者によって、この集会のために結成された、「すがき」というバンドである。闘いの歌、平和の歌を4曲熱唱した。広島から11・6へいざ進撃するぞ!

★ス労自主組合結成23周年集会開く

 10月13日、都内でス労自主結成23周年集会が開かれた。首都圏の交流センターの仲間、争議団の仲間が結集し、大成功した。

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読者のページ

★大森局で35歳の職員が急死! 東京 鈴木俊夫

 8月25日午前、郵便課の総務主任が35歳という若さで急死した。職場の過重な勤務内容から推して過労死であることは明白だ。
 亡くなったSさんは若き総務主任でバリバリの働き手だった。だがこの一件は決して彼個人の問題ではない。今日の郵便局の過酷な業務実態を知るならば、誰が倒れてもおかしくないことを理解されるだろう。そのうえで、Sさんの最近の勤務状況をみてみれば、彼が肉体的にも、精神的にも限界にあったことを推察しうるはずだ。
 郵便局は夜間帯に集中した変則勤務が特徴的だ。なかでも「深夜勤」と「新夜勤」がガンであり、その廃止要求はもちろんのこと、当面の課題としては指定回数の制限が労使間の争点とされてきた。局規模により差異はあるが、大森局のような普通局では「新夜勤」(16時間勤務)主体で、この「新夜勤」が1指定(4週間分)に5、6回入るのが普通である。宿直責任者の課長代理は自分の仕事を「解放時間」にやらざるを得ないのが実状で、結局仮眠もできないという。そして課代を配置しきれない「新夜勤」の日にはSさんのような総務主任が代行させられることになるが、なぜか代役の手当はつかない。まったく割の合わない責任だけの押しつけである。この不眠の深夜長時間労働である「新夜勤」を終えると、皆一様にくたくたになって退社する。それでも定時(9時15分)で帰れるのはよい方で、業務上の不都合などで1、2時間の居残りをすることもけっこうある。こうした事故処理対応が心身におよぼすダメージは凄まじく深い。ところが管理者連中にはその苦労をいたわる気づかいが寸ぷんもないばかりか、むしろ、その当事者を犯罪者のごとく責め立てることに使命感を覚える始末なのである。彼らにとっての労働あるいは労働者の価値とは、「真っ向サービス」などといった空疎で無内容な迎合念仏=マル生スローガンを、誰よりも厚顔このうえなく絶叫しうる「考動」体質であり、そのようなことに秀でた人たちのことを指すのであろう。すなわち、そういう意味合いすらまったく知覚させない、鉄壁の感性で武装した、反労働者的な人である。
 このような予備知識を前提にしたうえで、Sさんが死に至った無念の気持ちを追想してみよう。

新夜勤翌日の休日指定は、絶対に守れ!
 Sさんは、8月に入って亡くなる25日までの間に、やはり「新夜勤」を5回勤務している。そのうち何と2回も、「新夜勤」翌日(週休または非番)を廃して出勤しているのである。さらにもう1日マル超があった。新夜勤明けの疲労は、翌日の休日1日だけでは完全に回復しきれないのが普通なのである。そこへ持ってきての廃休・マル超の連続だ、こんな無茶な勤務を続けていたらどんな屈強な人であれ、いずれくたばってしまうだろう。
 言っておくが、Sさんが好き好んでこんな勤務を申し出たわけでは断じてない。当局が進める人件費抑制政策としての職員削減の結果が、業務上の最低要員配置すらも確保できない職場実態を生み出し。休暇要員配置はおろか絶対に必要な分担そのものを埋まらなくさせてしまったことが原因なのである。その責任を管理責任者がとるでもなく、負の後始末をあくまで現場労働者に転化するやり方なのである。「分担が埋まらない」「業務が回らない」からと言えば通ると思っている。実に、無責任で、厚顔な連中なのである。そして、狡猾にも弱い立場の人や下級職制を狙って強要するのである。
 とはいっても、死んでしまってからでは遅いではないか。みな、まず最低限の休日は守ろう! それが自己防衛のための合法的な手段=権利なのだから。そして組合だ! 総分会は今回の事態を重視し、まず当局の責任を追及しよう。さらに組合上部も同罪であることを自覚させ、対応を迫ろう。2人目の死者を出さないために行動し、闘おうではないか。そうすることが、Sさんの無念の思いに応えることだと考える。

 郵政分割・民営化は賛成だが、小泉法案には反対だ、という民主党の考え方が、小泉の、わけのわからないが簡単な説明に「敗北」をしたのが、今回の選挙結果だと思う。
 郵便局現場で配達労働をしている私としては、私の加入しているJPU労組が、断固反対と言っていても、現実に、民営化攻撃に反対もせず、更には、協力している状況では「口先だけの反対」と思われてもいたしかたないだろうと思います。
 民営化反対なら民営化攻撃に反対をすべきと思う。組織としては郵政公社維持であるか、その内容は、クロネコ以上の、佐川以上の、営業第1職場になっているのである。
 「私は、受箱前で1通1通確認します」
 「私は、誤配『0』を宣言します」
 「私は、『だろう』ではなく、『かもしれない』運転をします」
 「私は、配達時には大きな声で『郵便です』と声かけをします」
 「私は、道順組立ファイルを見て道順組立をします」
 これは、南東地方の郵便局で毎日行われている、朝のミーティングのひとこまです。この文章の声を出して全員で確認するのです。
 単に声出しだけではなく、違反すれば即処分です。JPUはなにも言いません。当然だという態度です。
 こういう現実をそのままにしておいて、民営化法案反対のたたかいを、と言っても誰も信用しません。
 競争推進の労働をするのか、団結推進の労働をするのか、白黒つけろと簡単には言いませんが、中心軸だけは明らかにしておくべきだと思います。
 一つ一つ淡々とやっていくことこそが、ある日大きく花を広げることになるのです。

★欠員状況で年賀繁忙をどうするの  神奈川 全逓 桜井隆夫

 「12月上旬からゆうパックの配達応援による本務者の超勤時間数が増え、運送便の遅延による苦情申告の増大、管理者の配達応援によって生じる職場管理・勤務時間管理の不徹底など、ゆうパックのオペレーション不備による職場混乱を招き、年賀体制の準備不足や不足する労働力を結果として、不払い残業という負の労働力に消し込み、職員、非常勤職員の懸命な努力によって年末年始業務運行が、確保された」
 10月7日、「2005年度年末年始における郵便事業推進の基本方針」が、南関東支社から南関東地本に提示された。
 提示されたことに対し南関東地本は、前年度の反省点を指摘し、さらに「郵便外務を中心とする昨年の年末始繁忙期を上回る現在の欠員状況に対する後補充対策」を強く求めたということです。
 驚くべきことではありませんか。「昨年を上回る欠員状況」の中で、どうしようというのか。
 営業であれ、配達であれ、人間がいなくては何もできません。そういう状況の中で「1日6時間勤務」であった非常勤労働者を、「1日8時間勤務」に変更しました。10月1日からです。

★労働組合の再生を 東京 麻布太郎

 君が勤務している会社で「サービス残業はありませんか」そして「労働組合はありますか」労働組合がある場合「サービス残業絶滅」のためにどのような運動をしていますか?
 厚生労働省2003年度資料で次のように指摘しています。
 全国の労働基準監督署が指導して残業の割増賃金不払い(サービス残業)が発覚した会社のうち、一会社あたり合計百万円以上の支払いが指摘されたのはなんと1184社にものぼるという。
 その対象労働者は、19万4653人で、支払われた割増賃金の合計は238億7466円にものぼったといいます。
 これらの多くは、労働者やその家族からの「告発」によってなされたともいいます。
 厚生労働省は、サービス残業に対する残業手当の不払いをなくす目的で「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずるべき措置に関する基準について」(01年4月)、「賃金不払残業総合対策要綱」(03年5月)を出し、監督指導を強めるとともに労使に対する主体的な取り組みの強化を指導しています。
 しかし、サービス残業は一向に改善される見込みはありません。
 働いたら賃金を受け取る―これは常識。働かせても賃金を払わない会社、それを放置している労働組合―これも「常識」だろうか。
 労働(時間)と賃金―この関係は、資本主義の・労使関係の基本であろうと思う。
 それにもかかわらず、労働者が働いた分の賃金さえをも支払いをさせない労働組合。ましてや労使協定(三六協定)や労働基準法さえ遵守させない労働組合―特に労働組合の指導部といわれる人々は恥と思っていないのであろうか?
 会社の中で起こっている不法・不正を指摘し、闘い労働者の労働権や生存権を守っていくのが労働組合や労働運動の基礎であろうと思う。
 いまや、労働組合の指導部の多くはその原点さえ忘却し、労働者を会社と一緒になって「管理すること」に汲々としている。
 このような指導部と指導路線による労働組合の独占を許すことはできない。
 センターの皆さん、労働基準法や労働組合法を学び、武器に変え、自分の所属する職場から仲間を増やし、当たり前の労働運動の再生のために奮闘しようではありませんか。

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