2006年12月号(No.201)目次
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労働者の目 教基法改悪・共謀罪新設絶対阻止へ

日教組解体ねらう教基法改悪案を参議院で絶対に止めよう!

共謀罪を”絶対に“廃案へ

11・5労働者集会報告

・動労千葉の訪韓写真報告

不屈に闘う争議組合へご支援を!

闘う合同労組 第21回 11・5全国労働者集会に合同労組全国交流会として登場

やってられないぜ! 第16回 未履修問題で揺れる学校現場

ひめじょおん−女性部から

感動の11・5全国労働者集会報告集が出た!

労働ニュース  ●日誌

国労5・27臨大闘争弾圧刑事裁判

たたかいは進む
 ●教育基本法の改悪をとめよう! 一日共闘11・26関西集会勝ち取る
 ●本山闘争12000日出版される

訃報 佐藤芳夫氏(顧問)逝去

読者のページ

・編集後記


労働者の目

●教基法改悪・共謀罪新設絶対阻止へ!

 全国労働組合交流センター常任運営委員   小泉 義秀

 教育基本法改悪の本質は元首相・森喜朗が「日教組、自治労を壊滅できるかどうかということが次の参院選の争点だろうね」(10月30日付産経新聞)と述べているように日教組・自治労壊滅にある。教員免許更新制を導入し、闘う教育労働者の教員免許を剥奪し、その上で愛国心教育を行なってくるということだ。
  11・15の国会前集会で千葉の看護士さんが「日教組は闘う方針を出せ。何故闘う方針を出さないんだ」と叫んだのは正鵠を射たものだった。17日の国会前では日教組の組合員の中から「日教組本部はなぜ強行採決に対する闘争を組まないのか。一度も日教組の委員長が来ない」という怒りの発言が噴出している。民主党は教基法改悪に賛成で、与党案を上回る超反動的な「日本国教育基本法案」を独自に国会に提出している党なのだ。衆院強行採決のその裏で民主党は自民党に修正協議を申し入れていた事実が暴露されている。教基法改悪絶対阻止の闘いは民主党の改悪案を容認・支持している日教組本部を打倒する現場組合員の下からの闘いによってこそ切り開かれる。30万組合員が団結し、処分をも恐れずに総決起し、教育労働者を中軸とする全労働者階級の職場からの総決起をつくり出すことである。闘いによってこそ、敵の組織絶滅攻撃と対決して、職場の団結を維持できる。それが階級闘争の真実であることは、国鉄分割・民営化攻撃に対して2波のストライキで反撃し、団結を守り抜いてきた動労千葉の闘いの歴史が示している。
  4900人の結集でかちとられた11・5労働者集会は、新たな壮大な階級決戦の始まりを告げている。しかしながら我々は何故一万に至らなかったかを厳しく総括しなければならない。12・1教育基本法改悪・共謀罪絶対阻止の「首都圏緊急行動」を成功させ、12・10国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会全国集会(文京区民センター)に全力で決起しよう。衆院段階を数倍数十倍する国会前の闘いをつくり出し、教基法改悪案を廃案に追い込もう。

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●日教組解体ねらう教基法改悪案を参議院で絶対に止めよう!

 パートナー路線、民主党支持方針と決別し、闘う日教組を再生しよう

 教育労働者部会

 教育基本法改悪案の参院審議が始まった。国会前座り込みをはじめとした反対運動の力は衆院通過を16日まで阻止し、政府・与党を苦しい審議日程に追い込んでいる。しかし、教基法改悪を最優先課題と位置づける安倍政権は、会期延長をしてでも強引に今国会での成立を図ろうとしている。
  安倍政権は、教基法改悪のねらいが日教組解体にあることを隠そうともしていない。教基法改悪阻止は、安倍改憲政権が倒れるか、日教組がつぶされるかの闘いだ。日教組30万の総決起をかちとり、改悪案を必ず審議未了・廃案に追い込もう。

●一度も国会前に来ない森越委員長
  被処分者・被解雇者らの国会前での23日に及ぶ「リレーハンスト&座り込み」が闘いの拠点となって、衆院段階の闘いは大きな高揚を切り開いてきた。委員会採決に対しては1千人が、本会議採決に対しては、5千人が国会を包囲し怒りの声を叩きつけた。
  現場組合員の自主的な決起に突きあげられ、日教組本部は、主任制闘争以来30年ぶりの「非常事態宣言」を発し、10・26に1万人の国会闘争を組んだ。北教組や大分県教組は、本部の動員指示を超える大量動員で連日の座り込みに決起した。しかし、森越委員長は、10・26集会にも姿を見せず、一度たりとも国会前に姿をあらわしていない。
  参院段階の闘いの方針は、12・8緊急集会だけで、座り込みの方針も出されていない。ここに闘いの爆発に恐怖する日教組本部の正体が示されている。
  「非常事態宣言」に相応しい闘う方針を出さないのは、勤評闘争、主任制闘争の歴史を汚すものだ。組合員は、ストライキ・年休闘争による数万の国会包囲闘争の方針を待ち望んでいる。
  「改正」の世論捏造のためのやらせ発言の張本人は、文科省だ。未履修問題、いじめ問題も、教基法を無視する競争と選別の教育政策の産物だ。行政職員や校長にやらせの不正行為をさせながら、未履修問題では「国は指導助言しかできない」と責任逃れをし、教育委員会に対する指揮監督権まで要求する文科省の破廉恥な居直りを許す訳にはいかない。科目まるごとの未履修は黙認しておいて、「指導要領は法律の一部だ」として「国旗・国歌」条項を唯一の根拠に不起立教員を処分するなどデタラメもいいとこだ。
  にもかかわらず、日教組本部はこの期に及んでパートナー路線にしがみつき、文科省の責任を徹底追及しようとしていない。

●改悪教基法の具体化を競い合う民主党
  「日本国教育基本法案」を提出した民主党は、参院に教育委員会廃止法案などの関連法改正案をあわせて提出した。愛国心・宗教的情操教育だけでなく、改悪教基法の具体化を政府与党と競い合うというのだ。
  民主党案作成を主導した西岡武夫は、自民党に修正協議をもちかけ、「民主党案の誠意ある取り扱いが約束されたから」と早々と審議再開に応じた。
  「慎重審議で一致する野党共闘」は、教基法改悪の争点をおし隠す役割を果たしている。野党共闘だのみで民主党を擁護する本部の姿勢こそ、闘いの制動物だ。
  他方、マスコミは反対運動の盛り上がりを無視できなくなり、10条解体による国家の無際限の教育介入という政府案の核心点に言及し始めている。民主党が与党とじゃれあう国会審議では焦点化しなかった教基法改悪の最大の争点が、教育労働者の決起によってようやくクローズアップされてきたのだ。
  伊吹文相は、政府案にいう「不当な支配」は、「組合の介入」を念頭に置いたものだと明言した。つくる会前会長で教育再生機構の八木理事長は、「教職員組合の活動も大きく制約される」と政府案16条の狙いを語っている。
  愛国心強制も格差教育も、教育労働者の団結と抵抗を排除しなければ成り立たない。平和教育と自主編成を違法行為として弾圧することこそ、教基法改悪のねらいだ。
  闘いは、まさにこれからだ。戦争と改憲のために教育をほしいままに支配しようとする安倍政権の野望を声を大にして訴え、教基法改悪阻止を全労働者人民の課題におしあげよう。

●最高裁判決違反・憲法違反の政府案16条
  さらに徹底追及しなければならない課題が残されている。
  政府案16条は、現行法10条の「国民全体に対して直接に責任を負って」を削除し「この法律並びに他の法律の定めるところにより」としている。この立法趣旨について、文科省は、「法令にもとづく教育行政の行為は不当支配にあたらないことを明確にしたものだ」と説明してきた。伊吹文相は、22日の委員会審議では、法律はおろか、政令、大臣告示も不当な支配にあたらないと言い放った。
  しかし、学テ最高裁判決は、教育は多数決原理による政党政治に支配されてはならず、「教育内容に対する国家的介入はできるだけ抑制的でなければならない」としている。教基法10条は「教育に対する権力的介入、特に行政権力によるそれを警戒し、これに対して抑制的態度を示したもの」であり、政府の説明とはまったく逆に「教基法10条1項は、法令にもとづく教育行政機関の行為にも適用がある」と明確に判示している。この最高裁判決の趣旨に忠実に、都教委の10・23通達を「不当な支配」としてその違憲違法性を認定したのが9・21東京地裁判決だ。
  文科省は何をやっても不当な支配にならないなどというのは、最高裁判決に完全に反している。最高裁判決は、現行教基法の立法趣旨だけでなく、憲法26条や13条、23条から上記の解釈を導き出している以上、政府案が憲法違反であることも明らかだ。最高裁判決を無視して10条を解体することは、3権分立を否定するに等しい暴挙だ。
  現場組合員の処分覚悟の不起立闘争がもぎりとった9・21判決は、教基法10条の意義と政府案の違憲性を浮き彫りにした。憲法・教育基本法も体を張った闘いでこそ守られる。被処分者の闘いに続こう。

●弾圧・処分を恐れぬ決起で日教組解体攻撃をうち破ろう
  森元首相は「日教組・自治労の壊滅が参院選の争点だ」と公言している。中曽根元首相は、「国労が潰れれば総評が潰れると思ってやった」と、分割民営化を国家的不当労働行為として強行したことを自認した。分割民営化の10年後になされたこの中曾根発言に比しても、森発言は、あけすけな不当労働行為だ。
  政府・文科省は、教基法改悪案の成立を見越して、学校教育法の教育目標に愛国心や公共の精神を盛り込むなど、通常国会での関連法改正の準備を進めている。教育再生会議は、「教育の世界のガバナンスを根本的に見直す大改革」をうちあげている。改悪教基法下の免許更新制は、愛国心教育を拒否する教員を「不適格教員」として排除する首きり制度だ。
  いま、日教組は、国鉄分割民営化における国労と同様の試練に直面している。動労千葉は、全組合員が首をかけて分割民営化に2波のストライキで立ち向かい、闘う団結を守り、いまなお反合・安全運転闘争で民営化攻撃に意気軒昂と対決している。弾圧や処分を恐れず真っ向から闘えば、勝利の道が切り開かれる。闘う日教組の再生こそ、教基法改悪攻撃への最大の反撃だ。

●安倍政権を倒し、改憲攻撃を粉砕しよう
  国会審議を傍聴した人は誰しも、こんなデタラメな議論で教育基本法を変えるのは許せない、こんな政治家たちに子どもたちの未来を委ねる訳にはいかないという思いを強くしている。
  支配体制は、末期的危機を向かえ、労働者階級が社会の主人公として登場すべき時代が到来しているのだ。教育労働者の闘いに、安倍政権打倒・改憲粉砕の成否がかかっている。そして、改悪教基法に不服従を貫く力は、職場の団結と抵抗にこそある。
  いまこそ、自らの闘いで歴史を切り開こう。パートナー路線、民主党支持方針と決別し、闘う日教組を再生しよう。

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●共謀罪を“絶対に”廃案へ!

 自民党・公明党の与党は、共謀罪について、「今国会断念」の報道させ、共謀罪の重要法案リストから意図的はずしによって「共謀罪死んだフリ」を演出しつつ、一瞬にして凍結解除し、審議抜きの1時間で衆院法務委員会通過のスキを狙っている。
  臨時国会の会期末に近い、11月24日現在、法務委員会で審議すべき法案として少年法改悪案と共謀罪法案のふたつだけしか残っていないにもかかわらず、次にどの法案を審議すべき全体像を明らかにできず、結論を26日に持ち越した。異常なことだ。
  先の通常国会から共謀罪は単なる法務委員会の議案であるのではなく、国会対策委員会管理の法案となっている。与党にとってこれまで重要事項は沖縄県の知事選挙の結果と教育基本法であった。このうち19日の投票で与党が勝利した。残るは、参院に回った教育基本法改悪を成立させることで、これの障害になることは一切排除することである。
  共謀罪については、民主党、共産党、社民党それに新たに国民新党の4党が絶対反対で固まっており、審議入りすると大きな闘争に発展する。与党は、そこのところを推しはかろうとしている。
  11月22日19時57分に発信した毎日新聞の記事によると同日に開かれた法務委員会の理事会で、「早川忠孝議員(自民)が、『個人的な思い』とした上で、共謀罪法案の早期審議入りを求めた。これに対して平岡秀夫議員(民主)らは、米国が国際組織犯罪防止条約を批准した際に共謀罪に関する規定を留保したことを政府が隠していたとして、『審議の条件がととのってはいない』と反発。激しい議論になったが、与党側が『正式な提案ではない』としたため、結論は先送りされた」。
  毎日新聞の配信記事を長々と引用したのは与党の国対ペースの方針に対して、法務省や法務委員会の現場サイドは、共謀罪の審議を強行し、一瞬のうちに通過させたいとの衝動が強まっていることを示すためである。この早川忠孝は10月初旬にも「最初に審議するのは共謀罪だ。1時間で済ませる」と強調していたという。
  野党と共謀罪反対運動が弱まってスキをつくれば、一瞬のうちに絶対多数を頼みに共謀罪の審議入りを許すことになるのは明らかだ。
  11月25日現在、27日の週から共謀罪の審議入りをめぐって最終バトルが行われたが、断続的に行われた3回の理事会でも結論が出ず27日に再開となった。
  共謀罪は3年前に国会に上程されて、10国会にわたって2回の廃案、さらに継続審議の繰り返しであった。これだけ長く審議入りができなくても、依然として与党が共謀罪の成立を狙っているのは、政府として重要視しているからに他ならない。これまで成立を阻止できたのは、第1に現代版治安維持法といわれる、現代刑法思想を根底から覆す悪法であることを政府自体も認識していること。第2に、この悪法を民主党をまきこんで成立させようとしているが、民主党が拒否していること、第3は、あるゆるマスコミも取り上げ、反対運動が強まってどこも反対だらけとなっていること、第4は、水面下で世論の反対運動を背景に野党が審議を先送りさせてきたことにあると考える。
  したがって、われわれにできることは国会前での闘いの高揚を各職場や労働組合、街頭に持ち込み、一層の反対運動の強化を勝ち取ることである。

 政府・与党のマスコミ操作

 政府によるマスコミ・世論操作は、今回の教育基本法改悪をめぐって、大規模に行われたことが大きく暴露された。しかし、それにも関わらず教育基本法改悪案は衆議院で採決が強行された。これは安倍の決断による。
  あらゆる媒体の共謀罪反対論に手を焼いた政府・与党は反論にどっと出ている。共謀罪について法務省は、日弁連の徹底した国会答弁の「ウソ答弁」「スミ塗り」などの暴露に対し、一つ一つ反論している。まともに反論できるわけではないが、素早く、しつこく反論している。かってないことだ。
  また法務省の幹部はマスコミを呼びつけ、共謀罪の説明と称する圧力を加えている。気概のないマスコミは共謀罪に対する報道を抑え始めているのは明らかだ。また記者の所属する部署による違いも明らかで、政治部所属の記者による「死んだフリ」記事が目立つ。
  1999年、盗聴法に反対するマスコミの反対論が圧倒的に強まった時に、自民党の与謝野議員がマスコミの全国行脚を行い、「盗聴法と呼ぶな」と脅しまくったことがある。
  今回の教育基本法について、自民党の世耕議員が、「強行採決ではなく単独採決と呼べ」その他について要請という形で圧迫を加えた。その結果、ほとんどのマスコミは与党単独採決の表現を使っている。
  共謀罪とは直接関係ないが、政府は、NHKの国際放送では拉致事件について重点的に放送するよう命令した。まさに国営放送だ。NHKは、命令に迷惑顔をしているフリをしているが、命令の出る前から大量に報道している。他の民放もそれにならっている。

 首都圏ネットとのジョイント闘争の成功

 国会前で教育基本法改悪反対闘争をリレーハンストで闘い抜いている教育労働者(OBも含む)と、破防法・組対法反対共同行動が、ジョイントで国会前に座り込み、ハンスト支援闘争を行ってきた。国会前の第2議員会館前に両グループが肩を並べて座り闘った。折から、全国から教育労働者や多くの労働者・市民が国会前をデモ行進し、座り込んで闘った。
  共同行動がこれまでハンストで闘った経験が生かされた。「日の丸・君が代」の強制に対して身を挺して闘った教育労働者のハンストに注目と関心が高まり、全国から結集した労働者とシュプレヒコールが同時に行われた。共謀罪反対のシュプレヒコールも違和感なく叫ばれて、共謀罪反対のベースが大きく広がった。
  10月22日に、新宿の柏木公園に両者ジョイントで集まり、デモを行った。共同のシュプレヒコールが唱和された。
  11月23日には、第2回のジョイント闘争として中央区京橋プラザでジョイントで集会が開かれ、250名が結集し、日比谷公園まで元気よくデモ行進した。
  これまで闘う場、闘う方法や、異なったテーマのグループが手を組んで国会前で闘って成功したことは素晴らしいことであり、大きな教訓を残した。
  闘いはまだ半ばだ。会期延長もほのめかしながら、教育基本法改悪、共謀罪新設、防衛庁昇格その他の戦後を一変させる法案に対する闘いを地鳴りがするような闘いに発展させるために闘い抜こう。 (佐藤 陽)

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●11・5日比谷に4900人が結集―11・5労働者集会報告

 11月5日、日比谷野音において全国労働者総決起集会が開催された。韓国から、アメリカからそして日本の闘う仲間4900名が結集して国境を越えて戦争と民営化、朝鮮侵略戦争と闘うことを確認した。
  集会は、連帯のあいさつ、韓国からは民主労総ソウル本部の代表が、アメリカからはAMFA(航空整備士労組)とILWU(国際港湾倉庫労組)の代表が闘いの報告を行った。日本からは、1047名の解雇撤回に向けての報告と、「日の丸・君が代」不起立闘争の被処分者が処分撤回への決意表明を行った。
  そして、「闘う労働組合の全国ネットワークを創りあげよう。憲法―教育基本法の改悪を阻止しよう。労働者の団結で安倍政権を打倒しよう。格差拡大社会をぶっとばそう。国境を越えた労働者の国際的団結を発展させよう」の11・5アピールを全員で確認した。集会後は、全参加者が常盤橋公園までのデモを貫徹した。

大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!
改憲・戦争と民営化=労組破壊に立ち向かう労働者の国際的団結を!

 11・5全国労働者総決起集会は、動労水戸・石井副委員長の司会で正午に始まった。開会のあいさつは、全国金属機械港合同の中村副委員長が行った。

 港合同中村副委員長が開会あいさつ

 今、日本社会は、北朝鮮の核実験をめぐって戦争前夜のような状況が作り出されています。大国が核を武器にして侵略の脅威を作り出している現状の中で、共和国の核実験を批判し、国連における制裁決議を発動するのは、勝手な理論です。
  アメリカの利益にかなう国なら何をしても許し、意に反する国は徹底的に攻撃するというブッシュ政権の世界戦略と闘いましょう。
  一方、国内においては規制緩和によって労働者・国民は生活を破壊され続けています。貧富の格差が目に見えて拡大している中で、労働組合の原点である労働者の「生活と権利を守る」という運動の柱を今一度確認しあおうではありませんか。
  関西地区生コン支部は、4度にわたる逮捕攻撃を受け闘っています。動労千葉は「闘いなくして安全なし」をスローガンに闘っています。これらの闘いをわが身のものとして共闘し、いかなる弾圧や攻撃にも、労働者が闘いで連帯することを確認しようではありませんか。
  1年間の闘いを共有し、これからの1年間、職場・地域で奮闘することを願い、主催者のあいさつとします。

 連帯のあいさつ

国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会発起人代表 佐藤昭夫弁護士
  鉄建公団訴訟の原告らを除名するための臨時大会の中止を求めた組合員を公安警察に売った国労本部。組合内部のことに対して、党派による行為とでっち上げをし、1年3ヵ月も拘留し、現在まで3年半余り裁判が続けられている。
  昨年NHKのインタビューで、分割民営化当時の首相・中曽根康弘は、「総評の中心の国労をつぶす。その結果、総評も、社会党も瓦解することとなった。」と語っています。
  5・27臨大弾圧は、戦後憲法での団結権破壊の最先端を行く弾圧です。そして反対運動の分裂を図っているなど、労働者の団結権そのものへの攻撃です。再び侵略戦争をくり返してはならない。「美しい国」とは、侵略戦争に身を捨てろという、権力の言葉だ。惑わされてはならない。みなさんと一緒に闘いぬく。

憲法と人権の日弁連をめざす会代表 高山俊吉弁護士
  北朝鮮の核実験は戦争勢力の本性をさらけだしました。イラクを侵略したアメリカが北朝鮮、イランに襲いかかろうとしています。本当の戦争勢力を見誤ってはならない。改憲に向かう攻撃と共に司法改悪が進んでいます。それは、国営弁護士づくりであり、破滅的な増員による弁護士破壊、裁判員制度による司法への国民総動員です。これらの攻撃に全国の弁護士は勝利的に闘っています。私の後ろに日弁連弁護士、2万2000の4分の1、5500人の仲間がいることを報告します。
  「裁判員制度はいらない」と言う本を出版し、司法改悪が改憲、戦争と結びついていることを明らかにしました。この本は完売です。戦争反対の勢いを決定的にしましょう。

止めよう戦争への道!百万人署名運動事務局次長 小田原紀雄さん
  全国で憲法9条を変えるなというキャラバン運動を展開しました。この行動をとおして署名は20万筆になろうとしています。臨時国会は、教育基本法をめぐる山場です。共謀罪も突如強行採決状況にはいってきた。この状況のなかで闘いを担うものにとって、来年の参院選挙の結果がこの国が戦争に向かうのか、それに制動をかけるわれわれが勝利するのかの状況が刻々と迫ってきました。
  訴えたいことは、来年の参院選挙までに70万筆の署名を確実に手にしたい。改憲策動の中でわれわれがその闘いの中心に進んでいきたいと思っています。断固とした闘いをみなさんと共に勝ち抜きたいと思っています。

 連帯のあいさつの後、韓国、アメリカの代表からの決意表明が行われた。
全労働者の団結で国鉄1047名の解雇撤回をかちとろう!
「日の丸・君が代」処分をうちやぶろう!
  11月労働者集会は、韓国、アメリカ代表の発言に続いて2006年11・5アピール、カンパアピールが行われた。
1047名の解雇撤回をかちとろう
  1047名闘争勝利へ向けての発言が動労千葉争議団、国労5・27臨大闘争弾圧被告団、全金港合同より行われた。

☆動労千葉争議団 高石さん
  1047名闘争は、重大な岐路に立っている。解雇撤回を取り下げ、解決を願い出る政治決着が図られようとしている。1047名の解雇者が全員屈服することはあり得ない。労働者が生きることができない状況のなかで、1047名闘争のもつ意義はより大きくなっている。これは日本の労働者の未来をかけた闘いだ。動労千葉は、安全の危機に警鐘を鳴らし、3年前から安全運転闘争を行ってきた。その力が幕張構内事故闘争においていかんなく発揮された。どんなに困難な時でも展望は切り開かれる。解雇撤回の勝利の日まで闘い続ける。
☆5・27臨大闘争弾圧裁判被告団団長 冨田益行さん
  4党合意過程の証言など勝利的に裁判は進んでいる。裁かれるべきは国と国労本部だ。ビラ撒き、説得行動は団結権の行使だ。これに暴力行為等処罰法を適用してきた。これは共謀罪新設、教育基本法改悪に通じる弾圧だ。新しい憲法を作るために国労をつぶしたとする中曽根発言、これはまさしく不当労働行為発言だ。不当労働行為の和解策動は、救済命令をドブに捨てようとしている。中労委和解に反対して抗議闘争を行ってきた。
☆全金港合同 辻岡執行委員
  港合同が、なぜ中曽根の不当労働行為発言を問題視し、責任追及をしようとするのか? それは、これをしなければ団結権が絵に描いた餅になるからだ。団結権侵害には自ら闘わなければならない。9・15鉄建公団訴訟判決は、明確な不当労働行為を認定した。今回の中曽根発言は、この9・15判決に向けられたものであり、その狙いがあったということだ。政治的責任を問わなければならない。国民的総反撃をしなければならない。

 「日の丸・君が代」不当処分撤回へ

☆都高教 伏見忠さん
  10・23通達―校長の職務命令としてある起立斉唱、ピアノ伴奏の強制は、不当な支配であり、いかなる処分もしてはならない。かってない勝利を、9・21判決で獲得した。これは350名を越える不起立、都教職員の3%の闘いが勝利をもたらした。都側は直ちに控訴し、校長も新たな職務命令をだしてきている。何よりも教育労働者が実力で勝利をもぎ取る必要がある。国会では、愛国心を主軸にすえた教育基本法改悪を審議している。国会を包囲し、教基法改悪を阻止しよう。
☆東京教組 根津公子さん
  今春、停職3ヵ月、このまま行けば免職もあるだろう。9・21判決は本当にうれしかった。来年3月この判決にどう応えるのか。しっかり不起立をする。限りなく不起立行動に起ちあがっていく。控訴した都教委に対して、これほど良い戦術はない。それが社会的責任だと感じる。そして、10・23通達は結果的に廃棄されたものとなる。教育基本法を改悪させない。直接的反対の闘いとなる。たとえ改悪されても打ち勝っていく闘いを作っていく。私たちのための教育を作っていきたい。

 沖縄をはじめ全国の仲間が決意表明

☆沖縄行動団の決意表明
  10月8日から3日間パトリオットミサイルの搬入を阻止した。10・21配備阻止県民大会には1200名が参加した。迎撃ミサイルの配備は、抑止力ではなく侵略戦争を始めるという意味だ。沖縄県知事選のただ中に沖縄はあるが、将来を決定するからこそ本集会に来ている。米軍再編問題、名護新基地建設との対決。安倍政権の改憲攻撃を阻止し、沖縄闘争を爆発させるために闘う。

  決意表明は、連帯労組関西地区生コン支部・西山執行委員。全金本山・長谷委員長。全逓東京中郵支部集配分会・星野勝紀さん。自治労仙台市職労・神保副委員長。茨城県地域連帯労組・岩沢副委員長が行い、その後、東交、自治労、関西トランスポート、教労、学生による青年のリレートークが行われた。
  行動方針提起をス労自主の中村和憲執行委員が行い、関生支部の柳副委員長が「本集会には4900名が結集した。戦争国家へ向けて日本は突き進んでいる。それが職場や生活に出てきている。闘う者には徹底的に弾圧してくる。一見強いように見えるが実は、体制の弱さを象徴している。労働者の団結こそが社会を変革していく力だ。全力を結集して反動法案―改憲阻止を掲げて闘いぬこう」との閉会あいさつをおこない、インターナショナル合唱、君塚副委員長の団結ガンバローで終了した。
  大失業と戦争の時代に通用する新しい世代の動労千葉を創りあげよう!

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不屈に闘う争議組合へご支援を!

 政府・JRへの全面屈服である「包括和解」―「政治解決」路線を闘うJR組合員・闘争団の闘う総結集で粉砕し、国鉄1047名の解雇撤回を貫きます。
  教基法改悪をはじめ共謀罪新設、さらに憲法改悪まで突っ走っている反動安倍政権を倒すまで闘います。
  夏季に続いて冬季物販へのご支援よろしくお願いいたします。
国労小倉地区闘争団 NIPPO事業部 羽廣 憲
〒824−0241
福岡県京都郡みやこ町犀川内垣164
  TEL 0930−42−3700
  FAX 0930−42−3701

 動労千葉は11月労働者集会の成功後、教基法改悪阻止などの国会での闘いに全力をあげています。
  また07年3月のダイヤ改正時における館山運転区及び木更津支区の廃止攻撃に反撃の闘いに入っております。当該の組合員を始め動労千葉全組合員の闘いと、地域住民の闘いの結合をいっそう打ち固め、JR東日本との対決を強めていこうと考えています。
  今後とも動労千葉の物販闘争にご支援・ご協力をお願いします。
国鉄千葉動力車労働組合協販部
  TEL 043−227−7833
  FAX 043−227−8125

 「もっと票が伯仲してほしかった」―沖縄県知事選挙で沖縄労働者は「基地か雇用か」の二者択一ではなく「基地反対も雇用も」という根底的変革の願いを込めて投票しました。次の勝利をもぎ取るために沖縄バヤリース労組物販は、沖縄労働運動の戦闘的強化を目指して06年冬季物販を行っています。ご支援・ご協力をお願いします。
沖縄バヤリース労働組合 物販センター
〒901−0603
沖縄県南城死玉城字百名509
  TEL 090−2710−2008
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 8君不当解雇撤回・職場復帰を闘うス労自主年末物販闘争にご協力下さい。
  ス労自主は、1974年第二組合デッチ上げ組合分裂攻撃〜76年不当解雇〜82年解雇〜84年の大弾圧を粉砕して、地域の仲間と共に闘い続けています。
  この年末も物品販売を取り組んでいます。大きなご支援をよろしくお願い致します。
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合
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●闘う合同労組 第21回

11・5全国労働者集会に合同労組全国交流会として登場

 闘う合同労組全国交流会事務局

 11・5全国労働者集会にわたしたち全国の合同労組の仲間たちは、安倍政権の教育基本法改悪―改憲攻撃と対決する立場で全国から集まりました。
  何度も参加した先輩たちとともに初参加者も目立ちました。若い人が多いのが特徴です。
  このかん、合同労組全国交流会は着実な前進をしているといえますが、一方で「全国としてのまとまりがもっと欲しい」「一部の幹部中心の交流ではなく、一般組合員が交流運動に参加できるような工夫が必要」など課題もまたうきあがってきました。そうしたことにふまえ今年は前段独自集会から翌日の国会行動までなるべく全国交流会として行動できるように工夫しました。
  初めての前段独自集会は、直前に時間が繰り上がってしまい、参加予定で合流できない団体もありましたが、多くの団体が代表を送り大いに盛り上がりました。(前段集会の音声データを関係者にお分けしています。ご希望の方は(ibaraki@mbi.nifty.com まで御連絡下さい)。
  また今回は本集会で、合同労組からの発言をすることになった茨城県地域連帯労働組合の仲間が、新たに組合を立ち上げた委員長さんとともに登壇。全国交流会の横断幕で「パート・派遣労働者にも労働者の権利を!」と訴えました。(発言別掲)そしてこの横断幕を掲げてデモに出発。初参加者も含め、デモとデモの後の交流会も大いに盛り上がりました。

 厚生労働省に申し入れ行動

 11・5全国労働者集会・デモの熱気がさめやらぬ翌6日、たたかう合同労組全国交流会の代表団は、厚生労働省に以下の3点について申し入れを行いました。
1、 厚生労働省が国会に上程しようとしている労働契約法制については、労働基準法や労働組合法で保障された労働者の権利を侵害するものであるので、立法化をやめること。
2、 労働基準法の「改正」による、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションの導入によって、今でさえ解体されている「一日8時間労働」制が完全に有名無実化するので、導入しないこと。
3、 現行パート労働法の努力義務規定を強制力のあるものに改正するか、新たな法律の制定、及びILO条約の遵守・批准によって、全ての非正規雇用労働者の均等待遇原則を保障すること。
  前回5月の申し入れの際に私たちに尊大な態度をとり続けたY担当官は、6月に起きた審議紛糾の責任を取らされたのか現場に出てきません。代わりに出てきた担当者からは「彼は担当が変わりました」としか説明がありません。年度途中で重要法案の担当者が変わるとは「異例」といえます。
  私たちは申し入れ書を読み上げ、正式に申し入れを行い、厚生労働省前ビラまきののち国会議員会館を回り、さらにその足で国会前の教育基本法反対ハンストの隊列に合流しました。教育基本法改悪阻止の決意表明は全体を代表して関西合同労組が行いました。
  次回の厚生労働省申し入れは、政策審議会の動向を見て随時行います。今後は地域で基幹産別の仲間にも取り組みを広げてもらうのが課題です。
  振り返って、11・5−6の2日間、北海道の仲間も含めて一緒にたたたかい、たいへん内容の濃い取り組みだったと思います。
  しかし、いまだ目標とした1万人結集が実現できているわけではありません。
  私たちは、安倍政権からの攻撃の最前線に立ってたたかいつづけている、国鉄、全逓、教労、自治体の仲間たちとともに、自分たちの足下で組合組織建設をすすめ、来年こそこの壁を突破したいと強く思っています。

 11・5全国労働者集会での茨城県地域連帯労働組合からの発言

 安倍政権が進める教育基本法改悪、改憲攻撃は、戦争と規制緩和・民営化との激突としてあります。この攻撃は今、日本労働者階級に例外なく襲いかかっています。この激しい攻撃にたいして、私たちは労働者階級として一つに団結しなければ勝てません。逆にいえば、敵の激しい攻撃は全労働者階級の団結の条件を急速に形成しているのです。いまこそ私たちは、正規雇用と非正規雇用、組織労働者と未組織労働者の分断を打ち破らなくてはなりません。その団結を形成する決定的テコが地域合同労組です。
  このかん茨城県地域連帯労組では、常南交通労組による競争入札=規制緩和反対県庁前ハンガーストライキ、私鉄総連から合流したタクシー労組、警備会社における労組結成の組織化に成功してきました。規制緩和攻撃が激しい職場であればなおさら、職場にたたかう労働組合を作る以外に私たちは働き続けることができません。集会に参加された、とりわけ未組織職場で働くみなさん。すべての職場にたたかう労働組合をつくりましょう。
  規制緩和攻撃が強まる中、製造業でも生産の主力がパート・派遣などの非正規雇用労働者に移りつつあります。これに対し、連合・高木会長は「パート労働者の権利を守る」と称して、パート労働者をUIゼンセン同盟に囲い込もうと必死です。しかし、連合・高木会長こそ、改憲攻撃を推進してきた張本人ではないでしょうか。憲法が改悪され、基本的人権が奪われたなら、パート労働者や派遣労働者の権利も守られない事は明白です。連合中央が進める、分断攻撃をのりこえ、労働者階級の団結した力を作り上げましょう。
  明日、私たちは関西合同労組をはじめとした全国のたたたかう合同労組の仲間達と共に、労働契約法制に反対する厚生労働省への申し入れを行い、その足で国会前にかけつけます。
  共に闘いましょう。

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●やってられないぜ!第16回 未履修問題で揺れる学校現場

 10月24日、富山県高岡南高校で高校三年生が必修科目の世界史を履修していない事実が発覚した。その後、問題が全県に広がり、公立私立を問わず一気に全国化して、大社会問題となった。この突然の事態で、当該の生徒たちは50コマも補習を課せられ、教員たちは手当も出ない超過労働に追われ、複数の校長が首を吊らねばならなくなっている。やってられないぜ。

◆どこまで広がる未履修
  折から教育基本法改悪案の審議がつづく臨時国会でも取り上げられ、大学受験優先の高校教育の実態が問題とされ、監督不行き届きの教育委員会の責任が問われ、来春の卒業までに必要科目の履修をさせるについて、入試をひかえた受験生にどう配慮すべきかなど、新聞・テレビから井戸端会議まで、さまざまな議論が噴出してきた。その間に、隠し切れなくなった高校が各地で発覚し、全国46都道府県の628校に達し、該当する生徒は9万人を越えるまで広がった(朝日新聞11日現在集計)。さらに中学校でも未履修が発覚し、過年度分についても調査すると文科省は言っている。
  この問題について、進学先の大学側も頭をかかえている。すでに今年度の推薦入試の調査書が出されている時期であり、虚偽記載が明らかになったのをどう扱うかが問題になる。

◆発端は偶然か?
  そもそもこれは、どういう問題なのか。受験教育の問題性が露呈した、というだけでは済みそうにない。教基法臨時国会の渦中にこれが突如発覚したのは、単なる偶然か? 一気に全国化したのも偶然か? もっと詮索すれば、どうして補習がギリギリ間に合うタイミングで発覚したのか、不思議だ。また、この事件が臨時国会でどちらに有利に作用したのか、微妙である。発端となった富山の県教職員組合の方によれば、新聞への投書がきっかけだったという噂があるが、確証はないという。

◆指導要領の拘束力が鍵
  さまざまな角度から議論されているが、問題の核心は、学習指導要領の「法的拘束力」にあるというべきだろう。
  「日の丸・君が代」の強制で焦点になってきた指導要領だが、中学・高校の教育課程もこの指導要領で規定されている。それを受験に有利になるように、各学校で科目を差し替え、教育委員会には必修科目を履修しているように報告していた、というのである。愛知県の公立高校のある校長は、「教科書を使用しなかったため(未履修と)判断されたかもしれないが、授業内容で関連した部分は学んだ」と釈明している。兵庫県の私学の例では、実態どおりの報告をあげてきたのに、「一度も指摘されたことはなく…今さらとがめられるのは心外」との声も出ている。
  北海道で未履修校と教育委員会とが人事交流をしてきたことが報道され、「なれあい」が問題にされているが、まるで筋違いだ。進学校ほど出世が早く、教諭が指導主事に引き上げられて教育委員会の実務が成り立っている。明らかなのは、管理職も教職員も、教育委員会でさえも指導要領に法的拘束力があるとは認めてこなかった、ということであり、そうしてはじめて教育が成り立ってきたのだ。

◆自主編成と受験体制
  元もと学校現場には、日教組の自主編成運動によるものを含めて、二重帳簿の歴史と伝統があった。指導要領の規定より学校現場の〈教育条理〉を優先させなければならない実状が、現場にはあるのだ。現場の闘いで道徳の時間に解放教育や平和教育を組み込んだり、特別活動に割り当てるといった自主編成もあり、受験教育のために内緒で英数の授業をしてきた学校もあった。それが「戦後教育」というものだった。
  また、そもそも指導要領どおりでは、教育が成り立たない実状というものが現場にはある。例えば、分数からつまずいてきた生徒に数学を教えようとすれば、小学校の教科書に戻るしかない。でも、それは指導要領に反することになる。その他、かつての「ゆとりの時間」やそもそも実施不可能だった「必修クラブ」など、指導要領を無視してきた事例はいろいろあった。
  そのため、「日の丸・君が代」を「法的拘束力」を理由に一律強制してきた攻撃が、学校現場では異様に感じられたのだ。このとき、校長たちは「法律には従わなければならない」と言って旗歌を強制しながら、受験のために二重帳簿の時間割を平然とやらせていたのだ。

◆法に縛られた教育へ
  いま、その指導要領の拘束力が全面化しようとしている。現行教基法11条は、「この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。」とされていて、必要がなければ法律をいちいちつくることなく、実情に応じて教育すればいいとなっている。ところが、「不当な支配」の規定が逆転させられて問題になっている政府案16条で、「教育は…この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」となっていて、法律で教育を縛り上げる条文になっている。
  いまの未履修問題は、ここに直接かかわっている。だからタイミングが怪しいのだ。文部科学省と安倍政権は、指導要領の「拘束力」など、素知らぬふりをしてきた教育現場と教育行政の風土を一掃して、教育を厳格に国家統制に組み敷くいい機会だと考えているにちがいない。エリート教育と競争を煽ってきた文科省自身の責任を学校現場に転化できることにもなる。「一切の責任は文科省にあり」と追及するのは正論だが、国家統制の強化を引き出したのでは藪蛇となる。文科省は厳格に対処すると言い続け、教育委員会は、学校訪問を頻繁化させて実態掌握を強めると言っている。

◆空前の文書「偽造」事件
  しかし、厳格に対処しようとすると、とんでもないことになる。早い話、昨年度末に作成済みの指導要録や推薦入試用に発行済みの調査書について、史上空前規模の「有印虚偽公文書作成事件」が成立するのだ。学校長600余名は、刑法156条(私学は159条)違反で有罪である。文書を作成し、押印した学級担任も同罪になる。有印文書であるから、公立の場合1年以上10年以下の懲役である!仮に、調査書を受け取った大学が告発したなら、法の下の平等原則で全該当校を立件せざるをえなくなり、警察庁が頭をかかえこむことになる。
  そこはお目こぼしを受けるとしても、空前規模の懲戒処分が出されるはずだ。校長、教頭、教務主任、担任まで処分の対象になりかねず、対応する罪状を考えれば懲戒免職になってしまう! 埼玉であった調査書の成績かさ上げ事件では、2名の教員が懲戒免職と懲役1年(猶予付き)になっている。現場だけでなく、実状を知っていたにちがいない各教委の指導主事もいっぱいいる。知らなかったのなら、監督不行届で処分! さらに、過去の卒業生の卒業が有効かどうかという超難問がある。
  今に始まったことではないし、五日制実施以降のことでもない。昔の指導要領がどうだったのか知らないが、私自身、高校に上がると芸術関係の教科がなくなり、情操教育欠如のまま卒業してしまった。ひょっとして、この私も未履修だろうか?

◆加重労働が待っている
  そのうえで、現場的には、補習授業による加重労働に加えて、発行済み調査書の扱いをどうするか、去年の指導要録の書き直し、卒業生の要録の扱いなどの問題が出てくるはずだ。補習授業だって、限られた教員でこなせるか、教科書をどう揃えるか、から始まることになる。
  伊吹文相は、学校教育法43条の文相権限で、卒業生については不問にするつもりのようだが、裁判になったら通用するはずがない。自業自得の自己矛盾におちこんだ文部官僚が頭をかかえこんでいるにちがいない。
  しかし、起死回生の一手があることをお教えしよう。〈学習指導要領に法的拘束力なし〉としさえすれば、「虚偽作成」の問題を除いて、すべて氷解するのである。
(霙太)

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ひめじょおん−女性部から

        今、たたかわなくて何時たたかうのか?

                       広島労組交流センター 中四国地協女性部長 今川美恵子

 春の教育基本法改悪反対闘争が全国の労働者の闘いで勝利し、今秋の臨時国会に持ち越されてきています。教育基本法の改悪案をとおすことを最重要課題として、発足した安倍内閣。安倍は、発足前の9月1日、挑戦するかのように被爆地広島の地で「教育改革」を掲げて出馬表明しました。
  私たち、ヒロシマの教育労働者は、安倍政権のもくろみを「教え子を再び戦場に送らない」最大のたたかいとして、教育労働者が主催して9月23日ドーム前での集会を教育基本法改悪反対の新たな出発の場として設定し組合や各地区、職場でビラを配布したり個々へのオルグをしたりして闘いました。「今、たたかわなくて何時たたかうのか」と連日奮闘しています。
  教育労働者の女性部会員も「絶対に安倍を許さない!」その決意を突きつけるために、今臨時国会開始日に向けて年休を取り25日最終の飛行機で出発し、翌9月26日は朝から国会前に行きました。横断幕と上り旗を掲げて同じ思いで結集している労働者、市民、学生と共に、怒りの声をくり返し安倍政権に向かって叩きつけました。昼前からの豪雨の中も本当にはね返すほどの熱気でした。帰りの飛行機の中でも充実感とこれからのたたかいへの決意を仲間と確認し広島に帰りました。
  9月26日の闘いから、10月2日には広島市教委と広島県教委へ抗議の申し入れ行動をし、新聞・テレビなどマスコミで大変な反響がありました。10月21日朝10時から22日夕方まで、国会前のハンストに連帯するドーム前のハンストと座り込み、シール投票などを呼びかけました。
  全国の教育現場の仲間の連日国会前での座り込み決起、首都東京での「日の丸・君が代」被処分者の闘いで勝ち取った9月21日の完全勝利判決、組合の中で「改悪反対の闘いをしよう」と訴え仲間の組織化などで、日教組が「非常事態宣言」を出さざるをえなかった10月26日の日教組1万人集会へ、女性部の会員も広島県教組109名と共に2日間の時間休を取り結集しました。そして11・5全国労働者総決起集会、全国連総会の11・12集会と全国の仲間と合流しての闘いを首都東京へ新幹線で連続の闘いをしてきました。
  とりわけ、10月26日の日教組の「非常事態宣言」を発して8500名が結集しての集会は、全国の現場の教育労働者の熱い思いが感じられました。しかし、教基法改悪法案を廃案にすべき、今後の闘いの意思一致をするその最大の闘いの場に委員長の森越が不在と聞いて、私たちは止むに止まれず「森越はどこにいるのだ!」と声を張り上げ壇上に駆け上がり怒りを叩きつけました。そこでの闘いは、広島県教職員組合の組合員にも共感する声が多くありました。
  11月15日、衆議院特別委員会での強行採決、翌日の本会議での強行採決は、怒りを組織し全国の仲間と共に団結して、臨時国会での成立を阻み廃案にするさらなる闘いをしていきましょう。

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●感動の11・5全国労働者総決起集会報告集が出た!

 世界の労働者の未来はここにある。  熱いメッセージを共有しよう!

ご注文は
国鉄千葉動力車労働組合  〒260−0017  千葉市中央区要町2−8  TEL 043−222−7207
頒価500円 

 「同志のみなさん。私はあえてこの場で宣言します。われわれ労働者は国境を廃棄します。戦争に反対し、平和を守るための労働者の闘いに国境は存在しません。新自由主義に反対し、労働者・農民の生存権をかちとる闘いのために国境を廃棄します。国境をのりこえる苛烈な連帯闘争で、労働者・農民が真の主人公となる世の中をつくってゆきます」―キムチャンソプ(民主労総ソウル地域本部副本部長)
  「世界中の労働者は、組合を破壊しようとする雇用者のこの試みを打ち砕くため、一つの『こぶし』となって立ち上がらなければなりません」―ジョセフ・プリスコ(AMFAローカル9委員長)
  「いまや労働者は、ランク&ファイルの世界的な反撃の闘いをつくりだすことをもとめています。労働運動は労働者階級の名において、黄色、赤、黒、褐色、白色の労働者が、さらなる前進に向け戦闘的な国際部隊として団結していくために、草の根のランク&ファイルの陣形形成に向け努力せねばなりません」―クラレンス・トーマス(ILWUローカル10執行委員)

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●労働ニュース(06年10月16日〜11月15日)

首相「改憲は6年以内」
  安倍首相は31日、「自民党総裁としての任期は3年で、2期までしか務められない。任期中に憲法改正を目指したい」と述べ、6年内に改憲を実現させたいとの考えを表明した。改憲の具体的な目標時期を明言したのは初めて。

NHKに放送命令
  菅総務相は、10日午前、NHKの橋本元一会長を総務省に呼び、短波ラジオ国際放送の報道や解説で、北朝鮮による日本人拉致問題を重点的に扱うよう命令した。放送法は、NHK国際放送への国費投入の見返りに命令権限を総務省に与えているが、具体的な項目をあげての命令は初めてとなる。

春闘「残業是正」前面に
  連合(高木剛会長)は、19日、来年の春闘に向けた基本方針をまとめた。長時間残業を減らすための要求を前面に出し、具体策として、国際的に低い残業代の割増率が最低でも30%となるよう求める。割増率アップに対する経営者側の反発は強く、厳しい交渉を迫られる労組も出てきそうだ。

週休2日確保し導入
  労働法制改正の焦点となっている労働時間規制の見直しで、厚生労働省が新たな素案をまとめた。一定の年収以上の会社員を労働時間規制の対象から外す自律的労働時間制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)について「自由度の高い働き方にふさわしい制度」と名称を変えて導入を明記。

最低賃金 地域の基準見直しを
  最低賃金制度の見直しを進める労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の最低賃金部会が6日開かれ、学識経験者などの公益委員側が制度改正への議論のたたき台となる試案を示した。試案では都道府県別に決まっている地域別最低賃金について受給水準とのバランスを考慮することを挙げたほか、今の産業別最低賃金を廃止して新たに「職種別設定賃金を設けることなどを盛り込んだ。

雇用改革論議を再開
  労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)に厚労省が新たな論点を示すことで、来年の法整備に向けた本格的な論議が再開される。労働基準法改正で労働時間規制を緩和すると同時に、新たに労働契約法を制定し解雇トラブルに金銭解決の道を開く仕組みも検討する。ただ、労使対立の構図は変わっておらず、審議会での旧来型の議論の限界を指摘する声も出ている。

外国人労働者 雇用報告義務化
  厚生労働省は2日、これまで任意だった外国人労働者の雇用状況の報告を全企業に義務づける方針を固めた。内容も従来の人数や性別だけでなく、名前や年齢、国籍、在留資格や期限などに広げる。違反した場合は罰金を科す。外国人の不法就労や劣悪な雇用環境が問題化するなかで、企業側の責任を明確化し、雇用改善につなげるのがねらいだ。雇用対策法の改正案に盛り込み、来年の通常国会に提出する。

夕張市、職員半減へ
  来春に財政再建団体に移行する北海道夕張市の再建計画の骨格が14日、明らかになった。現在約270人いる市職員を09年3月末までに半減し、給与も07年4月から3割削減する。歳入を増やすために市の施設使用料を50%アップし、ゴミ収集も有料化する。さらに7つある小学校と4つある中学校を、10年3月までに各1校ずつにする。市民税や下水道使用料も引き上げるという。

佐賀県、07業務で市場化テスト
  佐賀県は官民による競争入札を行い業務の担い手を決める市場化テストを警察などを除くすべての業務で導入する。07年度から実際に委託を始める。総務省が8月にまとめた自治体の行政改革計画「集中改革プラン」では、全国26自治体が10年4月までの市場化テストを検討しているが、すべての業務を対象にするのは都道府県では初めて。

世界の若者失業率13%
  国際労働機関(ILO)は29日、世界の若者(15〜24歳)の雇用状況をまとめた調査報告書を発表した。この10年間に、職を必要としながらも仕事のない失業人口は7400万人から8500万人への1千万人以上増加。失業率は13・5%に達し、大人(25歳以上)の失業率の3倍も高い。世界経済が拡大する一方で若者が労働市場から締め出されている現状は、将来の経済に悪影響をおよぼす、と報告書は指摘している。

育児休業中の賃金 雇用保険で最大7割補償
  厚生労働省は会社員の育児休業取得率を引き上げるため、07年度から雇用保険に新たな支援制度を設ける方針を固めた。企業が育休をとる社員への経済的支援を手厚くした場合に雇用保険の財源で助成する仕組み。育休前賃金の4割となっている雇用保険助成額を最大7割まで引き上げ、企業による独自支援と合算して賃金の全額補償にも道を開く。企業による社員への育休支援強化を促し、仕事と育児を両立しやすい環境を整える考えだ。

パート正社員化促進
  厚生労働省は4日、正社員と非正社員の格差是正のため、企業に正社員とパート社員のバランスのとれた処遇(均衡処遇)をとることや、正社員への転換を促進するようパート労働法に明記する方針を固めた。

雇用保険 国庫負担全廃を
  財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は31日の会合で、失業手当などに充てる雇用保険の財源のうち4分の1程度を占める国庫負担について、潤沢な積立金を理由に全廃すべきだとの考えで一致した。

厚生年金のパート適用拡大 与党検討前倒し
  自民、公明両党は14日、安倍政権発足後、初めて与党年金制度改革協議会を開いた。首相が「再チャレンジ支援」の一つに位置づけているパート社員への厚生年金の適用拡大について「早期に具体的な方向付けをする必要がある」との認識で一致した。パートを多く抱える流通業界などの反発は必至。与党内には来夏の参院選を控えて消極論が強く、実現時期の調整は難航しそうだ。

偽装請負 日亜化学1600人雇用へ
  徳島県阿南市に本社のある国内最大の発光ダイオード(LED)メーカー「日亜化学工業」は10日、同社工場で働く請負労働者約1600人ほぼ全員について、勤続年数3年を超えた人から順次契約社員として直接雇用する方針を決めた。徳島労働局は昨年、同社での請負労働は実態は派遣労働で労働者派遣法違反の「偽装請負」にあたるとして、是正を指導。

 労働日誌(06年10月〜11月)

10月16日
  厚生労働省が06年の「就労条件統合調査」を発表した。派遣社員を受け入れている企業では、正社員などの常用労働者に対する派遣社員の割合が12・4%となり、98年の前回調査より6・6ポイント上昇した。

10月17日
  帝国データバンクが発表した06年度上半期(4〜9月)の企業倒産集計では、全国で4457件で前年同期比8・4%増えた。一方、負債総額は2兆5446億円で同4・3%減った。

10月18日
  厚生労働省は外国人の研修・技能実習制度のルールを守らない悪質企業に対し罰則を強化する方針を固めた。受け入れ停止を今の3年から5年程度に引き上げる。

10月25日
  日本経団連が発表した大手企業の冬のボーナスの妥結額は、好調な企業成績を反映し、前年同期比2・75%増の87万8071円だった。4年連続の増加で、2年連続で過去最高額も更新した。

10月27日
  東京都は、教職員の処分の対象となる行動に「児童・生徒へのいじめ」を加え、都立学校や各区市町村教委に通達した。いじめを処分の基準として明文化するのは全国でも例がないという。

10月29日
  国際労働機関(ILO)が世界の若者の雇用情勢に関する報告書を発表。「ニート」と呼ばれる若者が先進国の若年層の13・4%を占めるという推計を明らかに。

10月31日
  総務省は9月の完全失業率は前月比0・1ポイント上昇し4・2%。低下基調だったが3%台を前に足踏み。企業側が求める技術や経験を持っていない若者や、企業の採用が少ない地方で雇用改善が遅れているのが壁に。

11月1日
  世界最大の労連「国際労組連合(ITUC)」が1日に発足。国際自由労連(ICFTU)と国際労連(WCL)がそれぞれ解散し、統合。組合員1億8千万人。

11月6日
  独身の助成パートの3人に1人がサービス残業をしていることがUIゼンセン同盟のアンケートで分かった。

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●高嶋昭一前委員長 「見通し無しに3党声明(闘争団除名)を受け入れた」と証言

和解路線を粉砕する現場の闘いが鍵と痛感

 国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会

 10月8日に「国労5・27臨大闘争弾圧」の第66回公判が開かれ、4党合意受け入れ(01年1月)から、本件の02年5・27臨大を挟んで国労本部委員長であった高嶋昭一が証言した。高嶋は3党声明を受けて5・27臨大を召集し、闘争団の除名に走った過程を尋問され、次々と屈服を重ねた経過を認めた。闘争団の必死の闘いや、9・15判決に対しては、はぐらかしたり「軽々に発言できない」などと証言を拒んだ。政治解決路線の破産と、闘う団結を解体した過程が改めて明らかとなった。この間の本部の「新たな訴訟」の放棄、出向協定締結、労働委員会命令を投げ捨てた「包括和解」という総屈服は、「政治解決」路線の末路である。何としても国労本部を打倒する時だと実感した。

 解決案は一度も出なかった

 高嶋への尋問は主に葉山弁護人が行なった。葉山氏は5・27臨大直前の国労機関紙『国鉄新聞』を示し、高嶋が「3党声明は解決に向けてのメッセージ。解決を進めていける」と述べていることについて、「解決案が得られるとの確信があったのか」と質問した。高嶋は「断定的なものはない」と答えた。高嶋は「解決」を希望した旨を言い張ったが、実際には「解決案は一度も出なかった」「(JR復帰の)数の話はいっさいない」と認めざるを得なかった。事実経過は、一事が万事この答えしかないのである。結局、「政治解決」とは自分たちの勝手な解釈と願望で、組合員をだまして屈服を強行する方便だったのだ。
  また職場討議の時間も無しに5・27臨大を召集した問題は、「無理があったといわざるをえないがが、3党声明を受けて早期解決を求めた」と居直った。さらに弁護人が「国労の基本的意見を甘利らに述べたのか」との問いには、「記憶がない」と答え、要求さえ出さなかった事を認めた。
  さらに、鉄建公団訴訟の原告を査問にかけ処分するなど数々の敵対について、「これは闘いの放棄ではないのか」、「裁判を受ける権利(憲法32条)の侵害ではないのか」と尋問を重ねた。高嶋は、「そうは思っていない」、「国労の方針と違う(ので当然)」、「国労の方針に従っていただきたかった」と開き直り、何でも執行部に従えという傲慢な見解を展開した。鉄建公団訴訟の9・15判決(一部勝訴)が出ても、訴訟妨害を謝罪しない現在の国労本部のと態度と同であった。組合員の声を踏みにじり、原則的闘いを敵視し妨害する検察権力、JR資本と同じ立場であることを自己暴露した。

 高嶋も「機動隊導入、逮捕は知らない」

 続いて、01年1・27続開大会から始まった「機動隊導入」について尋問した。この問題はすでに、酒田(大会準備委員長)は「国労本部の専権事項」と、笹原(大会準備事務長)は「上から言われて警備会議に出席しただけ」と証言している。一体誰が要請したのか、誰も答えていない。高嶋の証言が注目された。
  機動隊導入について、高嶋は「警備は前から決まっていた。文書は出していない。警視庁には委員長就任(1・27)後にあいさつに行った。大会警備は麹町署にした」、「会場周辺の警備実態は知らない」と無責任な証言をした。本件逮捕や、逮捕の直接の契機となった鈴木ビデオの警察への提出は、「全く知らなかった」(酒田は「本部に報告した」と証言)と逃げ回った。
  結局、本部側証人の口からは、機動隊導入と組合員の警察への売り渡しを「私がやった」との証言は出なかった。3人ともそれぞれに逃げ回ったのである。こんな無責任なことがあるか。8名の組合員らを逮捕・起訴させ、1年3カ月も勾留させたにもかかわらず、当時の委員長が「知らなかった」で済まそうというのだ。この無責任さは、1047名闘争においても同じである。本部打倒を今こそ実現する時である。

 被告先頭に第2次国鉄決戦に突入を! 12・10「許さない会」全国集会に総結集を

 12月10日午後1時より、文京区民センター(東京)で、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」主催の全国集会が開かれる。この集会は、「今こそ国労再生を」をスローガンに本件裁判の弁護側立証への突入と呼応して、「第2次国鉄決戦」の戦闘宣言の場となろうとしている。弁護団や下山房夫氏の講演などで労働刑事裁判、国鉄闘争裁判としての内容が語られると同時に被告団長富田氏、動労千葉田中委員長、国労共闘吉野代表ら現に闘っている組合員が主体となり、新たな国鉄決戦への突入宣言の場となるということだ。
  機は完全に熟した。国労本部は、「11月17日までに行う」と言ってきた1047名闘争の新たな訴訟を放棄する決定をした。10月11日には、拒否し続けてきた出向協定を締結し、11月6日には労働組合法と労働委員会制度を解体する「包括和解」(救済命令をドブ捨てた)を、組合員の反対を押しつぶして強行した。完全に権力・資本の手先になったのだ。
  安倍政権の教基法改悪・日教組解体、4大産別解体攻撃と一体で、JR東日本は国労(全労組)解体、駅業務の合理化・委託(1000名出向)、運転士を駅勤務に降ろす攻撃、契約社員の大量導入、電車区などの統廃合、処分激化策動など総攻撃に出ている。このとき本部はJR体制の先兵に成りはてたのだ。朝鮮戦争突入と改憲が現実になったとき、本性をむき出しにして総転向・総屈服に走ったと言う以外にない。
  鉄建公団訴訟原告グループは、この裏切りに対しても「危惧していたことが起こった。悔しい。しかし本部批判はしない」(11・20二瓶氏)と、闘う方針を出していない。
  この労働運動を巡る大流動、再編の渦の中で、12・10集会は動労千葉労働運動を押し立てて、11・5集会派が、国労本部打倒を現実の視野に入れて闘いを開始する出発点となる。動労千葉と本件闘争、「許さない会」、職場での闘いを武器に、国鉄闘争、労働運動全体を巻き込んだ壮大な労働運動に歩を進めるのだ。
  新潮流派にとって現時点で決定的に重要な「民同労働運動のしっぽ」を切り捨て、階級的労働運動で武装し、実践に移す場になろうとしています。
  会の代表の佐藤昭夫さんは、本部打倒を誰よりも熱烈に訴えています。また、裁判の証人は、11月29日は篠崎信一前新橋支部委員長、12月20日は高橋義則国労本部元委員長、来年1月10日に酒井直昭鉄建公団訴訟団長と、重要証人が続く。原告団は、この過程の傍聴に参加するとのことだ。
  12・10集会は画期的集会になろうとしている。この集会に参加し、出発点とし、共に勝利の道を進もう。

お詫びと訂正
 前月号22pの公判日程で酒井直唱(鉄建公団訴訟原告団長)を坂井と間違ったことをお詫びして訂正します。

《公判日程・ 歴代委員長など次々に証言》
 12月20日   高橋義則(元国労委員長。7/1臨大招集)
 07年1月10日   酒井直唱(鉄建公団訴訟原告団長)
  いずれも午後1時15 分〜   東京地裁104 号法廷。 12 時35 分に傍聴券抽選

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●たたかいは進む

 ☆教育基本法の改悪をとめよう! 一日共闘11・26関西集会勝ち取る

 あいにくの小雨のなか、さまざまな潮流の25団体が大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀から結集し、大阪・扇町公園で文字どおりの関西集会として、一日共闘の集会が390名の参加で大成功を勝ちとった。
  各団体のリレートークとなった発言では、「日の丸・君が代」不起立闘争や評価システム攻撃との現場での闘いと結びつけながら、教基法改悪案の廃案めざして最後まで闘う決意にあふれるものだった。京都から参加された林功三氏は、河合隼雄を徹底弾劾され、差し違えてでも教基法攻撃と闘うと発言された。
  また、参議院段階の教基法決戦に向け、あらためて国会闘争に起ち上がることを確認し、集まった14万円余のカンパも、全国連絡会の意見広告費と、12/8日教組全国集会と「12/8年休闘争」に自費で駆けつける教育労働者等の交通費援助として活用することが確認された。
  集会後のデモは、A&Uの太鼓を先頭に、大阪、兵庫・京都・奈良・滋賀の2隊で梅田OSビルまで行進し、総括集会で全国連絡会事務局次長でもある井前氏の音頭でシュプレヒコールをあげ、この日の勝利を確認しあった。

 ☆「一人の首切りも許さない 本山闘争12000日」出版される

 12000日の非妥協的な闘いのすえ、ついに全金本山労働組合は、昨年の05年3月16日、ロックアウトを撤回させ、解雇も撤回させ32年ぶりに大衡工場へ就労を開始した。
  本山闘争開始時、若き青年であった組合員が、今では白髪まじりだが、意気は盛んだ。これから職場を根城にして、闘えば勝てると団結を固め闘う労働運動の構築に向かって全金本山労組は休むいとまもなく闘いを開始している。
  闘争勝利にあたって、全金本山労組は、闘争の歴史をつづる、「一人の首切りも許さない 本山闘争12000日」と題する本を発行した。
  本書は350ページにもわたる本だが、それでも32年間の闘いのすべてを組み込むことはできなかったであろうが、「一人の首切りも許さない」と一見なんでもないような方針だが、貫くことの筆舌につくせぬ闘いの髄がここに含まれている。全金本山労組の闘いを通じて、日本の労働運動の歴史そのものをも物語る貴重な資料となっている。
  仙台市に本社を置く中小企業での闘いでありながら、資本の資本たる闘う労働者に対して運動つぶしのまるでスーパーのようにやり口が展開されている。全金本山の労働者も大きな傷を負いつつ闘いを続けてきた。そして勝利した。その大きさは、巻末にある物資販売を取り扱った労組―団体が、北海道から九州までに広がっただけでも知ることができる。直接本山闘争に参加しなくても、間接に本山闘争を闘った労働者の数は、おそらく数百万人にもなるだろう。
  安倍政権は、戦争をする国づくりに向け、ファシストとして突進している。他方労働者は、危機感をつのらせ決起を開始している。こういう時に、本書の数ページでもひもとけばこのように闘えば勝てると闘う勇気が湧いてくる。そういう貴重な資料だ。このような資料をいま発行してくれた全金本山労組に感謝し、競って購入しよう。(佐藤 陽)

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●訃報 交流センター前代表・佐藤芳夫さん逝去

佐藤芳夫(全国労組交流センター顧問)氏 11月25日(土)午後0時55分、第二岡本総合病院(宇治市神明石塚54−14)にて逝去。 享年78歳。

【役職】
全国労組交流センター顧問、関西労組交流センター顧問
自立労働組合京都顧問
国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会・京滋呼びかけ人 など

【略歴】
1928年9月13日浅草に生まれる。
1948年石川島播磨重工に管理工として入社。
1951年中央大学専門部経済学科(二部)卒業。
1952年全造船機械労組石川島分会の執行委員、三役などの専従活動のほか、石川島播磨重工労連中央執行委員長、中立労連議長など歴任。
71年職場復帰。
86年定年退職。
89年全国労組交流センター結成。代表運営委員となる。
10年8カ月の闘病の末、06年11月25日、つれあいの定子さんにみとられながら永眠。

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●読者のページ

 ★自立労働組合福岡・新事務所、開設される!  広島連帯ユニオン・奥村

  九州・福岡の地に、たたかう合同労組の新しい拠点が生まれました。その事務所開きの宴に招かれて、全国の仲間の代表として出席してきました。以下、広島連帯ユニオンの方から報告します。
  当日は、残念なことに雨でした。しかし、福岡のたたかう仲間は続々と新事務所に結集して来ます。当日は午後から福岡の教組が中心になり7千人の大結集で教基法改悪阻止の闘いが貫徹されたそうです。交流センターの教育労働者や百万人署名運動、学生などの仲間も全力で終日闘いました。その闘いをやり抜いての新事務所開きです。いやがうえにもボルテージは上っていました。
  20人程で会場が満杯になるころ会は始まりました。最初に百万人署名の呼びかけ人の方や会員、事務局の方たちから祝辞が述べられました。この間の組織的な混乱を乗り越え、真に闘う組織として、百万人署名運動や交流センターが再確立されたことに皆さん感無量という雰囲気で、聞いている私も、感動を共にすることができました。
  「自立労組福岡は、今日をもって生まれかわる。労働運動を拡げていくことに反対して古い殻を守ろうとしていた者達は去った。青年を中心に新たな地域合同労組をつくります。全国の闘う仲間の支援・教示を受けながらがんばります」という吉田委員長の決意のあいさつに続いて、次々と新規加入した青年労働者が発言しました。3名で訪韓団に参加した仲間たちから、韓国の非正規労働者の闘い、とりわけ民主労総ソウル地域本部の闘いに感動した。その民主労総から学ばれている動労千葉はすごい!動労千葉労働運動を福岡の地で組織する」と決意が述べられると一同は興奮の渦に包まれました。さらに青年はそれぞれの言葉で、全員が抱負を語りました。
  次に、福岡交流センターの仲間からの激励が続きました。あくまでも1047人闘争を闘いぬく小倉闘争団の羽廣さんの方から、「動労千葉派として共に闘いましょう!」という熱烈な檄が飛びました。教育労働者からは、当日の7千人集会の感動や、この間の国会前闘争の報告があり、「何としても教基法改悪を阻止する! 11・5に続いて職場を組織し仲間と国会前に登場するつもりだ。自立労組福岡は断然若返った。気持ちを同じくして共に闘う」との発言がありました。
  闘う仲間からは、口々に自発的な発言がなされ、九州の皆さんが本当に生き生きと自己解放的に起ちあがられたことが、理解できました。特に直前に出された委員長と執行委員を誹謗・中傷する文書については、全く事実無根! 書いた人物の厚顔さにあきれる、との声が聞かれました。青年達は自分達を抑えてつけていた『重し』が取れて、はつらつとしていました。自立福岡がひょっとすると今、一番青年の組織率が高い、たたかう合同労組かもしれません。全国の仲間の支援で福岡のたたかう合同労組を盛り上げていこう!
  なお、全国からのメッセージは綴りにされて、回覧されました。また、メッセージを寄せた組合の名前を告げ、代表として沖縄南部一般労組のメッセージが読み上げられました。11・5横断幕も高々と会場の壁に掲げられました。

 ★11・5労働者集会に参加して…  佐藤 嘉洋

  10月末、突然、自分の勤務する事業所が来年3月で閉鎖することになった。地域の合同労組の仲間と緊急に団交を申し入れ、職場闘争の準備をしつつ、11・5に向うことになりました。その過程で、メールで関西合同労組の仲間から、親切なアドバイスを頂いたりしまた。
  「合同労組交流会の前段集会がもたれる」、ということで楽しみにしていました。時間が急きょ1時間繰り上がったこともあって、集会に間に合わない仲間が多く、前段集会は大変控えめなものでした。それでも、各地で地道な活動を闘っている仲間の発言は興味深いものでした。階級全体を見れば、合同労組が組織対象としている未組織労働者は、4「大」産別の労働者よりもはるかに多い。合同労組交流会は、もっと大胆に大風呂敷を広げてもいいように思えました。
  メールを交換すれば、何処の地域の仲間とも情報交換や議論が可能です。しかし、全国の労働者同士が実際に会う機会をつくるのは大変です。11月集会は、そういう点でも重要な場であると思いました。
  11月集会が終わり、辻川事務局長の方から、2月総会にむけ、路線的な一致の必要性が提起されています。討論は、一致していない部分を切り落とすのではなく、共同の闘いの中で一致を作り出す方向でぜひ、進めて欲しいと思います。労働者階級への信頼は、その第一歩として、現に共にたたかっている仲間を信頼して議論していく、そういう作風をまず、作り出すことからはじまると考えます。

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  読者の皆さん! 投稿をお願いします。強制するページではなく自主的に決起するところです。

◆編集後記

佐藤芳夫さんが亡くなられた。中立労連議長まで務められた労働運動の重鎮が弱小な労組交流センターの結成に参加していただき、代表として奮闘していただいた。労働学校では本当に体験をいかした講義をしていただいた。労働者として本当に鏡のような人だった。私は、自宅に労働学校の講師をお願いに行った時も気さくに了解をいただいた。偉大なる労働者佐藤芳夫さん、やすらかにお眠りください。あなたの意思は必ず私たちが引き継ぎます。(し)

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