2010年09月号(No.246)目次
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労働者の目 ●青年労働者の現状を変える新たな労働運動を! 星野 勝紀 副代表

・社保庁分限免職公開審理当事者証言で厚労省、年金機構を断固弾劾!
社会保険労働者の解雇撤回闘争を支援する会・広島事務局

・動労千葉と闘争団6人の皆さんは私の希望です 今井 誠(国労北奥羽連合分会書記長)

・自治労連の拠点・西宮市職労で国鉄全国運動掲げ、委員長選挙闘争に決起 自治体労働者部会 山本 美知子

・矛盾爆発の電電民営化、NTT労働者の怒りの爆発は不可避だ!
国鉄全国運動の力でNTT労組を打倒し、青年労働者の獲得を! 電通労働者部会 植野 定雄

■闘う合同・一般労組
合同・一般労組全国協議会結成  「4・9政治和解」情勢の中で、全国協議会は何をめざすのか
一般合同労組さいたまユニオン 執行委員長 田畑 典保

ひめじょおん−女性部から 

労働ニュース ●

読者のページ  

・●マンガ /編集後記
 

「被爆65 周年 8・6ヒロシマ大行動」に1800 人が結集(8月6日広島県立総合体育館小アリーナ)

 労働者の目

青年労働者の現状を変える新たな労働運動を! 星野 勝紀 副代表
JP労組銀座局支部

 いま、私たち青年労働者の約半数が非正規雇用を強いられています。正規職でもサービス残業、労働強化が当然のようにまかり通っています。仲間同士で競争させられ、年間3万人を越える労働者が自殺に追い込まれ、秋葉原事件やマツダ事件といった悲惨な事件が起こっています。民営化・外注化・非正規化が野放図に拡大され、社会全体が崩壊しつつあります。
 では、労働者の生活と権利を守るべき労働運動はどうなのでしょうか。労働組合のない職場が増えています。労働組合があっても、労使協調で当局・資本とまともに闘わないことが当たり前になっています。御用組合の幹部は、自分たち団塊の世代の「逃げ切り」のことだけを考え、私たちの将来などかえりみようともしません。
 4月9日、日本の労働運動の中心で多くの支援や連帯を集めて闘われてきた国鉄1047名解雇撤回の闘争の「政治和解」が成立しました。解雇の撤回どころか、雇用も年金もない金銭和解です。
 国鉄の分割・民営化は、日本における新自由主義と呼ばれ、競争原理で社会全体にローラーをかけ、労働者を徹底的に突き落としていく攻撃の始まりでした。私たち青年を取り巻く現状の出発点はここにあります。国鉄闘争は、この新自由主義に対抗する闘いであり、今日まで戦争と改憲を阻んできた力でもありました。
 今回の「政治和解」は、日本の労働運動の終焉を意味しかねない重大な事態であり、私たち青年労働者も危機感を持って受け止めなければなりません。
 解雇撤回を貫く動労千葉と「和解」拒否の国労組合員は、「国鉄闘争の火を消すな」を合い言葉に「1047名解雇撤回の新たな全国運動」を立ち上げました。ここにこそ労働運動の展望があります。
 来る11月7日正午、東京・日比谷野外音楽堂にて、全国労働者総決起集会が開催されます。今年は「国鉄1047名解雇撤回! 民営化・非正規職化を許すな!」がメインスローガンです。「労働運動の現状を変えたい」という思いを11・7日比谷野音で解き放とう!
(写真 大成功した8・5全国青年労働者集会【広島市東区民センター】)

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労働組合をめぐる死闘の時代の階級決戦として11月労働者集会の勝利を牽引しよう!
事務局長 辻川 慎一

はじめに

 今年前半は、3月4日の中野代表の逝去。そして4・9国鉄10
47名闘争解体のための「和解」攻撃の開始。これに対する6・13国鉄集会の高揚と国鉄全国運動の開始。そして、参院選で突き出された政治支配体制の危機と新自由主義の世界的な全面破綻が大恐慌として激しく進行する中で激動の闘いになりました。この中で、中野さんが生み育ててきた労働運動の全国組織として、交流センターとしても新段階を迎えています。
 このような時こそ、あらためて時代認識と路線を明確にし、方針を打ち立て、団結を総括軸にした組織的実践を貫くということに立ち戻ることが重要です。「失速」や「離脱」が、自分自身の存在と運動を現在の時代の中に打ち立てられなかったことの結果としてあり、突き詰めると路線的破産として生まれるのだということも生きた教訓としてありました。そして、時代認識という場合に純粋な客観情勢などというものはなく、時代は階級的かつ主体的にこそつかみ取っていけるということも重要な確認です。それは、まず問われているのは、他者ではなく自分自身だということも意味しています。
 6・13集会をもって開始された国鉄大運動を軸に7〜8月闘争の前進を切り開く中で、直ちに11月集会の組織化に着手する段階に入っています。09年における23年間に渡るJR体制との闘いの勝利宣言、国際連帯闘争の発展、そしてJR東日本の検修・構内外注化との闘いにおける勝利。これらへの大反動としての4・9「和解案」提示。要するに、動労千葉と私たちの階級的正義性と勝利性が明白であるために、動労千葉を除外し民主党・連合政権と4者4団体だけで国鉄闘争に終止符を打ち、終わったことにしてしまおうということです。この動きは、動労千葉と私たちへの無視・抹殺を連合や全労連、全労協傘下の労働者に強制する形で進められると同時に、いわゆる道州制―300万公務員の首切り攻撃における自治労、教労指導部のあからさまな先兵化と一体で、日本労働運動全体を日帝ブルジョアジーの危機に従属させ階級性を完全解体する動きに連動しています。戦争への道が、このようにして始まっているということでもあります。労働者階級の動向こそが一切の鍵を握っているのです。ですから、問題の核心は、労働者階級の組織化という点にあります。
 こうした情勢の中で、関西生コンと港合同が全国運動にあたって動労千葉支持を鮮明に打ち出してくれたことは、極めて重要です。労働者階級の組織化とは、労働組合の思想と路線、そして実践をめぐる攻防に他なりません。私たちの正義性と勝利性とは、労働組合運動をめぐる攻防を通じて労働者自身の考え方や行動の指針にならなければ何もなりません。ですから、まずもって闘う労働組合が、この時代の中で微動だにせず動労千葉を支持していることは、極めて大きいことです。これを受けて交流センターとして成し遂げることは、動労千葉への労働組合、職場の組織的支持を形成していく運動の中心になっていくことです。そしてこれを、「反合・運転保安」「民営化絶対反対」等の路線を貫き「団結」を総括軸とする動労千葉型運動を貫くことと一体で切り開いていくということです。こうした観点に踏まえ、11月の勝利に向けた今秋決戦の課題について考えていきます。

「大変さ」の本質は、時代の大転換にある

 資本主義の矛盾と危機が爆発的に展開し始めた時代に対して、「言葉上」、どのように激しい表現をとったかとは関係なく、その体制に依存して存在し、これまでの延長に自己を維持しようとするところに破産が生じます。私たちは、「資本主義が終わりだ」と言い続けてきました。しかし、それが現実に激しく進行し始めたとき対応できず、パニックに陥り「自分は一生懸命やってきた。こうなったのは○○の責任だ」などと自己防衛に汲々となってしまう人もいます。問題の立て方が違う。資本主義の大破産、大激動の時代に何をなすべきかが問われているのです。あえて言えば、資本主義的に泣き叫んでも、誰も助けてくれない時代に入ったのです。それは、日々金策に追われている人々にとってこそ、まさに現実なのです。
 労働者階級にとって団結と闘争に賭けていく以外にいかなる道もない時代に入っています。労働者階級大衆の意識は日々激烈に変化しています。問題は、時代を見据え、敵を見据え、今何をなすべきなのかを明確にさせることです。
 世界大恐慌情勢に対する国際帝国主義の根本打開策などないどころか、新自由主義の破局は経済のブロック化・収縮をもたらし、市場をめぐる戦争へと行き着く。帝国主義の最末期において過剰資本・過剰生産力ゆえに労働者階級大衆に矛盾が転化され、飢餓が襲いかかる過程が進行します。帝国主義資本と、さらにこれに寄生する体制内労働運動ダラ幹にとって、労働者階級の団結を解体する以外に延命の道はない。労働者階級にとっては、団結を階級的団結に発展させ、職場と社会を奪い返す以外に生き抜く展望はない。階級対立の非和解的発展の時代への突入です。
 だから和解できない者を和解させようとすれば、破産は必至です。

 腹を据え戦略的に闘っていく

 帝国主義は、その危機の深さゆえに労働者に対する攻撃を止めることができない。このことは、労働者を階級として形成していく場合に極めて重要な要素です。どのような一時的詭弁を弄しても、攻撃を止めることができない。そこに、われわれの勝利と巨大なチャンスがあります。資本の攻撃は、労働者の「自分は大丈夫ではないか」という「根拠のない希望的観測」を容赦なく打ち破っていきます。大規模な合理化、人員整理と非正規化が、大恐慌の中で、まさにグローバルに展開されていきます。われわれの現在の攻防と組織戦を、そのような明日、さらに来年を見据えたものとして展開していくことが重要なのです。巨大なリベンジのために今日の苦闘を位置づけ切ることです。つまり、一つ一つの攻防を短兵急にではなく、腹を据えて戦略的に闘っていくことが重要です。私たちは、歴史と経験に学び、未来に向けた運動をしているのですから。

 労働組合運動を通じた職場権力闘争の貫徹と青年労働者の獲得

 「労働組合は、共産主義の学校である」という言葉があります。労働者は、労働組合を通じて職場と社会の主人公として階級としての自己を形成します。ということは、労働組合をめぐる一つ一つの攻防に、職場と社会の主人公が誰なのかをめぐる、激烈な攻防があるということです。それは、反動的労働組合においても同じです。ダラ官や反動的勢力が現場労働者を資本に組み敷くための支配を貫徹するために、日常的な労働組合の運営においても現場労働者の自主性を奪い、形骸化しようとします。労働組合運営をめぐる一つ一つの攻防にどのような、思想性を貫くのかが問われます。大恐慌の時代は、労働組合をめぐる死闘の時代です。労働組合を現場労働者の手に奪還する。職場も労働組合も、その主人公は現場労働者であること、そして今日的に資本と社会の矛盾を集中して受けている青年労働者であることをはっきりさせるために労働組合運動を展開していくということです。
 その場合、青年労働者の自己解放の力は青年労働者の中にあることを信頼し抜くことが大切です。人間は、50年も生きると知恵もつき、いろんなことが見えてきます。だから青年たちの話を取ってしまい、「説教」を垂れるのが常です。しかし、新しい激動の時代の荒波を超える希望は、青年たちの瑞々しい感性と生命力にある。しかも、動労千葉を除けば、そんなに威張れるほど大したことはやっていないのだから、もうちょっと謙虚に行くべきではと常々思っています。中野さんの遺作『甦る労働組合』を、数ある文献の一つとして消費するのではなく、今こそ血肉化し、実践することが必要なのです。

国鉄闘争における核心的勝利と体制内指導部の本質

 国鉄全国運動の展開から11月集会の勝利を見据えた場合、やはり09年から10年初頭の攻防が、新自由主義攻撃の支柱としての国鉄分割・民営化体制との闘いにおける画期点を成したことを、はっきりさせるべきです。動労千葉と動労総連合、そして国労共闘が団結を守り抜き、23年間にわたる分割・民営化体制との攻防に勝利し抜き、さらにその地平から検修・構内全面外注化絶対阻止の闘いに突入する中で、4・9「和解ならざる和解」提示と、4者4団体の飛びつきがあったということです。もちろん大恐慌下の国鉄労働運動の解体攻撃が持つ、戦後階級闘争の転換をかけた歴史的大きさを見据えることが必要ですが、国家権力―JR資本―体制内労働運動指導部の破綻が突き出され、追い詰められた中での「和解劇」だという点で、それ自体本質的に破綻的で正当性のない内容なのです。

 動労千葉と動労水戸の勝利

 特に千葉と水戸の勝利という点では、労働組合として国鉄分割・民営化をめぐって資本・国家権力と「ガチンコ勝負」を展開し、組合的団結を守り勝利し抜いてきたという点において国労指導部を圧倒しています。そもそも、国労指導部を形成する日本共産党や社会主義協会派は、国鉄分割・民営化絶対反対などではありません。彼らは、合理化問題と事故問題で常にそうであったように、資本との「和解」と「落とし所」を探る点に自らの階級的役割を見いだしてきました。労働者の利益代表のような顔をして、労働者の核心的階級的利益を売り渡す。だから、彼らの本当の敵は、分割・民営化の先兵となって国労解体を推し進めた旧動労革マルではなく、労働者階級として分割・民営化絶対反対の闘いを貫いてきた動労千葉と私たちなのです。
 動労水戸は、「革命的マルクス主義」を名乗って分割・民営化の先兵になった革マルを打倒し、動労内から動労千葉に続く決起を生み出そうとしました。動労水戸地方本部内の三つの支部青年部の執行部を握り、動労青年部最後の全国大会の代議員も取っていました。ですから、少数であったわけではありません。100名近くの青年部フラクションを擁する強力な集団でした。ですから運転職場を足場にJR体制の「労働代官」たろうとした旧動労革マル・松崎一派にとって恐るべき存在だったのです。それゆえJR資本・革マルによる動労水戸への攻撃とは、運転職場からの排除―強制配転と関連事業への隔離を徹底的に推し進め、それを強制し続けることにありました。すでに他の支社ではとっくになくなっていた直営売店を、水戸支社において維持し続けて来たのは、東労組内革マル派の動労水戸に対する恐怖によるものです。
 動労水戸のJR体制との闘いの中心スローガンは「強制配転粉砕」「原職奪還」「運転職場に戻せ」でした。強制配転の連続と出口の見えない関連事業配属は、組合脱退者を優遇することとセットで、極めて厳しい組織攻防の過程でした。しかし、仲間との団結に賭け、労働者として組合所属以外の理由で一切後ろ指を指させないという組合員たちの誇りに賭けた奮闘は本当に凄かった。団結を崩されない形での闘争の長期化は、組織破壊の一点にかけたJR資本を逆に追い詰めて行ったのです。この分割・民営化という歴史的試練を越え団結している仲間たちの存在こそが、私自身の誇りなのです。

 国労指導部の発想

 ところで、「運転職場からの排除」と「動労水戸組合員以外の有資格者運転士登用」というJR資本の不当労働行為・組織破壊に対する労働委員会闘争を開始し、この闘争への支援要請を依頼した際の国労水戸委員長の返答とは「そんなことに、一体何の意味があるのか」というものです。あまりに発想と立場が違うことに唖然としました。要するに「闘争なんてくだらない自己満足だ」「うまくやることが重要なんだ」ということでしょう。彼らは、それが指導者の資質だと考えているわけです。現実の力関係とは、団結と闘争によって決まります。動労水戸は、その力関係を土台に様々な要求も勝ち取って来ました。すると彼らには「動労水戸はうまくやっている」と映るわけです。彼らにとって現場労働者との関係でなく、あくまでも資本・経営との関係がメインなのです。だから、資本・経営は、体制内指導部を使嗾しつつも、腹の中では蔑んでいます。こうした体制内指導部に対して動労千葉と水戸は脅威であると同時に本物だと認知されています。これも階級的権威なのです。
 歴史的に打ち立ててきた階級的権威を職場・地域に正しくかつ強烈に発揮すべき時が来ています。組織拡大しなければ過去の権威になってしまいます。「あいつらならやる」という期待は、実は労働者大衆だけがしているわけではないのです。期待には、キチンと応えなければなりません。

 闘争と宣伝、大運動の組織化で11月1万人結集へ

 09年から今日までの闘争の地平は、職場の不退転の実践を土台に勝ち取られています。とりわけ青年労働者の不屈の闘いが新たな時代を切り開く震源地になっていることを階級的感性をもってはっきりと確認し、支持・防衛するということです。未熟さや経験不足は、主体的実践と研鑽によって克服されていく。だから、こうしたことで青年たちが非難されるのは決定的に間違いです。理論や路線とは、労働者階級自身の主体的実践の中から生み出され、勝利の道に結実していくのです。彼らの闘争・苦闘の中に、決定的展望を見いだし、共に勝利へと突き進んでいくことで階級全体が新しい時代の展望を切り開いていくのです。
 国鉄闘争の解体策動は、第2次分割・民営化決戦(JR体制の見直しと全面外注化攻撃)を柱として、4大産別をめぐる資本―権力―体制内指導部との激突を不可避としています。それは、11月集会をめぐる激突として、その陣形破壊、組織破壊として激しく開始されています。密集した反動との激突という点でこれまでの比ではないほど政治決戦化しています。この決戦構造を正しく見据えることが重要です。11月集会の成否に、一切が絞られているのです。
 ですからこの決戦に勝利するには第1に、国鉄を基軸とした4大産別、医療、合同・一般の青年労働者の決起を何としても圧倒的に実現することです。青年労働者の圧倒的結集こそ、労働者階級大衆自身を覚醒させ、その力に目覚めさせるのです。これが11月集会の勝利の動力源です。そして第2に、もはや狭い意味での違いを強調することで自分たちの正当性を維持する小セクト的あり方から、階級的大義、大衆的正義にのっとり労働者大衆を広く、深く獲得していく内容に転換していかなければならないということです。これなしに、密集した反動に勝ち抜いていくことはできないのです。60年闘争から今日まで、私たちは、諸セクトの体制内とその破産ということを散々見てきました。大恐慌と革命の時代である以上、私たち自身のあり方においてこそ新段階に突入しなければなりません。
 そして第3に、青年をはじめとする労働者の組織化と決起の核心に労働組合運動をめぐる、深く激しい激突があるということです。労働組合をめぐる闘争を土台に11月の勝利が切り開かれます。労働者階級が、その唯一の武器としての組織をつかみ取っていく。その先頭に交流センターが立とう。様々な課題、困難は運動にはつきものです。それがあるからこそ一人一人の決起が、感動を呼ぶのです。
 しかしまた、そうした一切の苦闘が、11月の勝利なしには水泡に帰す可能性があることをはっきりさせなければなりません。政治決戦になっているということは、感動や感激だけでなく、力がなければ勝てないという容赦のない事実を突き出すのです。先制的に地団駄を踏み、11月に絶対に勝利しよう。
(写真 5850名が結集した09年11・1全国労働者総決起集会【東京・日比谷野音】)

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社保庁分限免職公開審理当事者証言で厚労省、年金機構を断固弾劾!
社会保険労働者の解雇撤回闘争を支援する会・広島事務局

(写真 平口雅明さんの人事院公開審理には全国の闘う仲間と当該・分限免職者が参加【8月10日広島市・合同庁舎】)

 社保庁の廃止による分限免職処分に対する人事院闘争が広島で闘われた。福山社会保険事務所の平口雅明さんの公開審理だ。
 審理は8月10日から12日の3日間で処分者側、請求者側、当事者の証言が連続して行われた。首切りを開き直る厚生労働省、日本年金機構(以後、機構)の幹部の証言に対して、国鉄労働者、広島市職員と被解雇者平口さんが証言を通して、徹底的に批判、弾劾をしつくした。全国から傍聴に結集した労組交流センターの仲間も一つになって怒りの声を挙げた。そして、初日夜には、全国労働者交流集会が持たれ、自治労徳島大会、11月労働者集会に向けた固い団結が勝ち取られた。
 ここでは、この度の分限免職処分の不当性・不法性について述べた最終日の当事者証言を主に紹介したい。以下、事務局の責任で平口証言を要約・補足した。

□平口雅明さんの公開審理最終日における証言(要旨)

 はじめに

 代理人の『答弁書』は全く回答になっていない。争議権も奪われ、雇用保険にも入っていない公務員が首を切られることに、全く痛みを感じていないことが一番許せない。私は、被爆地広島で生まれ育った者として労働者の立場に立ち、真実を曲げず、すべての免職者の処分撤回を求める。

 「社保庁の廃止」は公務員解雇と福祉解体が目的である

 「消えた年金問題」とは、受給資格・勤務期間に適応して年金が公平公正に支給されていないことだ。これは当然の結果である。なぜなら、保険制度は、保険料を労働者から収奪しながら、その積立金を資本に投資し、支払を極限までに抑え、さらに財政悪化を口実に保険料率を引き上げ、給付率を引き下げるのが常である。また、現場を無視した合理化による記録管理の放棄にも原因がある。国家による制度開始時より必然であり、「消した年金」と言うべきである。したがって、労働者に一切責任はない。「国民の不信」は国家と制度に対するものであり、「社保庁の廃止」で解決できるものではない。
 しかし、こうした問題を背景に、国鉄の〈ヤミ・カラキャンペーン〉と同じ〈公務員バッシング〉がなされ、処分が乱発された。組合を屈服させ、職員をバラバラにし、いったん全員を免職処分の対象とすることに対する抵抗を奪おうとした。そして、業務はそのまま継承されているのにかかわらず、不当にも525名が解雇され、3千人を超す職員が退職に追いやられた。
 「社保庁の廃止」により、公的社会福祉を民営化することは労働者の人生を金儲けの材料にすることであり、保険料の値上げ、給付額の切り下げに直結する。そもそも国の義務である生存権の保障を放棄している。

 懲戒処分者の機構採用対象からの排除は見せしめである

 一度でも懲戒処分を受けた職員については、どのような処分でも一律に名簿から除外し、あらかじめ採用の道を断ったことは、一事案に対する二重の処分であり、違法である。そもそも「年金問題」において乱発された処分は、業務の一環として行われていた行為に対するものであり、また、「ヤミ専従」とされた組合活動も当局公認の代行的業務だ。これらは何ら処分の対象になるものではない。「国民の信頼を著しく損ねたような者が、漫然と機構の職員に採用されることがあってはならない」との採用基準は、退職強要、免職処分を正当化するために設けられたものであり、さらに機構に採用された職員への恫喝である。したがって、懲戒処分を取り消し、同時に、希望者はすべて機構へ採用を行うべきである。また、このように、機構への採用には公平性・公正性があったとは言いがたく、私への不採用決定を撤回すべきである。

 「分限免職回避の十分な努力」の実態は、退職強要である

 機構設立において社保庁より正規職数を減少させ、しかも、あらかじめ民間から1000人を採用すること、非常勤職員枠を設定していることなど、社保庁職員の解雇、労働条件の切り下げを前提にしている。「回避努力」を言うならまず、この条件こそ問題にすべきである。また、私の希望する機構への採用、つまり不採用の取り消し、正規職採用拡大が最大の免職回避であったにもかかわらず、社保庁責任者はその努力を全く怠り、ただ、他職への斡旋、自主退職を押し付けるばかりであった。また、この審理を通して、私の不採用の理由が「誓約書」の未提出による添付書類の不備にあったことが明らかになったが、「提出できない理由書」を当局の要請により再添付したので、それをもって不備にはならないと考えていた。「回避努力」としての説明・説得があったとは言えない。
 機構において私の業務は継続し、しかも人手不足であるにもかかわらず、不採用にされるのは「お前は要らない人」と決め付けられたようで、極めて屈辱的である。退職勧奨にしても、自分で辞めるか免職になるかを選択しろと迫り、精神的に追い詰めるもの。また、就職斡旋は、「自分のところでは採用できないような人」を他に紹介するという社会的には非常識な行為である。

 『誓約書』の目的は差別採用と機構での労働者支配のためである

 「人事評価制度」は職員を選別し、首を切るためのものである。会話もままならず、相互不信を煽ることによって団結を破壊するのものだ。それは、休日出勤とサービス残業によって健康を損なう職員を続出させた。
 さらに、機構と全国保険協会は、労働者を選別し、いつでも解雇できる『誓約書』というカードを手にした。合理化、要員不足の中、社会保険の現場は法律通りにやっていてはとても業務を回していられない。それは広島社会保険事務局元幹部の証言でも明らかとなっているし、私が携わっていた適用促進業務においても法令に基づいた事実遡及は行っていない。だから、「違反行為を行っていません」という『誓約書』への署名は、嘘を吐かなければできないことであり、私は労働者の良心にかけて拒否した。また、「違法行為を黙認していません」とは職員を密告者として組織することでもあり、認めるわけにはいかない。6000人の職員が『誓約書』を必要としない厚生労働省への配転を希望したのもそうしたことの現われだ。『誓約書』は無効であり、その未提出による不採用の決定を撤回すべきである。

 * * *

 以上、審理で、ますます分限免職の不当性が明らかになった。国鉄全国運動と一体で社保庁闘争に勝利し、360万人公務員首切りを許さず、闘おう。

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動労千葉と闘争団6人の皆さんは私の希望です 今井 誠(国労北奥羽連合分会書記長)

 『共に闘う国労の会』の呼びかけ人の一人である国労北奥羽の今井です。私の大切な仲間であり1047名解雇撤回闘争の当該である秋田闘争団の小玉さんの最近の発言の中に「秋田に23年間草むしりをやらされ続けている……」というのがよく出て来ます。それが私です。

 全国で唯一残る「差別職場」

 1986年7月5日、国鉄「分割・民営化」のために敵側にとって、絶対必要だった組合差別・分断のための「人材活用センター」なる「隔離職場」が全国で一斉に作られ、何千もの国労組合員を中心とした人たちがそこに隔離されました。その時分会書記長だった私も当然のようにそこに隔離され、草むしりなどの「雑用」を強要されました。当時このことは結構社会問題になり、国鉄「分割・民営化」される直前の3月に「人材活用センター」の名前はなくなりました。しかし看板を変えただけで中身は同じという「隔離職場・差別職場」は「清算事業団」の発足と同時に依然として存在し続けました。「清算事業団」の仲間はその後みなさんのご存じの通り首切りという許せない事態に陥れられました。一方私はJRに採用になったものの、そうした差別職場から外されることはありませんでした。(国鉄からJRになってもそうした差別職場があることは意外と知られていないようです)
 それでもここ数年の間にそうした職場は全国からなくなりました。1カ所を除いて。
 現在私は、隔離こそされていないものの、仕事は全くこの間変わりません。草刈り・無人駅の掃除・除雪といった「雑用」だけなのです。つまり日本でただ一人,私だけがず〜っと一貫して同じような仕事の差別職場に残され続けているのです。7月5日が過ぎましたので、もう24年間が過ぎ、25年目に突入しました。この間、私の職場の「メンバー」はくるくる変わり,人数も20人以上の時期もあれば私一人だけという時期もあり、今は病気をかかえた55歳の方と二人です。
 このように差別職場に何年もいると人間どうなると思いますか?しかもたった一人ぼっちという時期もあり、そして私以外の人たちは次々入れ替わっていく……。想像できますか?
 この時心の支えになったのは解雇された仲間たち、闘争団の人たちです。こんなの大したことじゃない、首切りされた皆のことを考えたら耐えられる。そう思っていました。解雇撤回させ、そしてその後私の差別問題を解決させるんだと。ですから私と闘争団は一心同体だと思い続けてきたわけです。
 しかし、体は正直です。いくらそう思っていても体はどんどん蝕まれていきました。まず9年後に胃潰瘍で胃に穴があき入院。11年目には十二指腸潰瘍で十二指腸に大きな穴があき、また入院。ストレスです。今も通院服薬中です。そして20年経った時にはうつ病の診断が出され2カ月の病欠になりました。蝕まれた現代社会において増加の一途をたどる、かかりやすいが治りにくい病気です。復職したものの、ストレスだらけの仕事の毎日です。どうなるものかと不安なままに出勤し続けていましたが、ある出来事により昨年再び悪化し、また2カ月の病欠です。また復職したものの、現在「大変ショッキングな」ことにより今度は3カ月の診断書が出され、病欠の最中です。4年の間に3回も同じ病気で病欠してしまいました。しかも今回は今までにないほど苦しく、2カ月ほど地獄の苦しみを味わい、最近になってようやく復調して今これを書いています。
 今回の悪化に伴い、病欠は絶対避けたいと思っていました。私の仕事はJRの繁忙とは全く無縁であり、勤務も日勤で扶養手当以外全く手当がつきませんから、基本給と扶養手当だけでギリギリの生活なのですが、これまでの二度の病欠で収入が激減していたからです。しかし病気の苦しさにどうにもならなくなり、同じ病気仲間の「じたばたしながら生き延びることも人生です」というアドバイスに従い、とにかく「生きる」選択をし、主治医に正直に今の状態を話しました。結果はほぼ予想通りの「休みましょう。じっくり直しましょう」とのことで、3カ月休業の診断が下されました。仕方ありません。今回は3カ月でさらに大幅な減収になりますが、じたばたしながら生きたいと思います。4年ほど前、一番最初に病院に行って主治医に言われたのは、私の場合はいろんな悩みを抱えすぎていて、普通の人の4倍、脳を使っているそうです。さらに、最も問題なのは今置かれている職場の状況なのだそうです。20年以上差別的扱いを受け続けて、まともでいる方がおかしいということです。(つまりJRがまともじゃないということです)

 4党合意と4・9和解のどこが違うのか

 ところで今回病気悪化を引き起こした「大変ショッキングな」ことですが、それは4月9日の4者4団体による和解解決案受諾表明とその後完全和解に至ってしまったことです。
 実質金銭和解で、不当労働行為がないことになりました。JRの責任がないことになりました。誰も悪くないことになりました。中曽根が、喜んでいるとのことです。不当労働行為はあったし、当然解雇は無効で、元職復帰するというのは全く当然です。それがあんな形で終わるとは……。和解の動きは前から知っていて、わかっていたことであり、覚悟もしていたはずですが、どこかで闘争団の決起を期待していました。あんな内容の和解案をどうして許せるのか?ず〜っと、朝まで考えてしまいました。信じられないのです。
 今まで24年間耐えてきたのが無駄になり、水泡に帰してしまいました。金で解決? そんな解決で私はどうなるんですか? 私の元職に戻る根拠は? あの解雇でさえ不当労働行為でないのなら、自分の問題なんて問題外ということですよ。
 今回の和解と4党合意とどこが違うというのでしょうか。全く同じでしょう。
 2000年7月1日、4党合意の承認を決定しようとした国労大会で北海道音威子府闘争団家族会・藤保美年子さんは家族会代表として演壇で発言しました。
 「解雇を撤回するまでは、この13年間の思いを無駄にすることはできない。従って、どんなに苦しくたって政府の、JRの責任で解決するまで頑張ります!(拍手)そのことを、前もって言っておきたいと思います。国労の正しさを信じて闘ってきた私たちの14年間がどうなるのかの瀬戸際です。誰が責任とってくれるんですか! JRに責任ないということを認めてしまうと、後に何が残っているんですか? 子どもが聞いたってわかるじゃないですか。責任ない者に『なんとかJRに戻せ』、『なんとかお金を出せ』……責任ない者になんでそこまでしなくちゃならない? 責任があるから保証するんだろ! だから、JRに責任がないということを認めてはいけない」
 わかりません。4党合意と今回の4者4団体の和解の違いが。どうしてこうなってしまったのでしょうか。心が折れました。「この24年間は何だったんだ。自分の人生って何だったんだ」そうしたことが頭から全然離れなくなり、それでも1カ月ほど苦しいのを我慢して勤務を続けていました。文字通り這うようにして出勤して、ついには……そして現在に至っているというわけです。
 しかし、こうした状況の中で、今回の和解から完全に蚊帳の外に置かれた動労千葉と、国労の闘争団の6名の皆さんが解雇撤回まで闘い続けると表明して下さいました。救われたような気がしました。光を見出した思いです。動労千葉と6名の闘争団の皆さんは私の希望です。
 この闘いの正当性と意味は今私が記すまでもないでしょう。本当に重要な闘いです。私自身何もできなくて、こんなこと言えた義理ではないのですが、どうか皆さん、この闘いを勝利させて下さい。闘いへの支持と応援を是非ともお願いします。
(『共に闘う国労の会』bQ・10年8月15日発行号より転載。小見出しは編集部)

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自治労連の拠点・西宮市職労で国鉄全国運動掲げ、委員長選挙闘争に決起
自治体労働者部会 山本 美知子

(写真 自治労全国保育集会で情宣【7月30日和歌山市】)

「公立を守れ」と強労働を強制する自治労連執行部

 私の職場は、兵庫自治労連の拠点単組である西宮市職労の保育所職場です。
 西宮は昨年保育所3園の民営化を事実上無期延期に持ち込んだという成果で、日本共産党系の保育運動の世界でも有名です。しかし、実はこれは、怒りを抱く労働者を抱え込み、本当に資本・当局と激突させないためのものなのです。
 日本共産党の保育5団体で構成する運動体の幹部たちは7万5千筆の保育所民営化反対署名を集め、当局の説明会を粉砕するほどの労働者・保護者の闘いを実現しながら、この闘いの発展を恐れ、延長保育や産休明け保育など民間保育所と「ニーズ」を競わせ「予算をかけない公立改革」運動に流し込み、その一切の矛盾を現場労働者に押しつけてきました。「公立を守れ」と言って労働強化への怒りを封じ込めてきた結果、多くの仲間が、心身ともに病に倒れ、若年で辞めていきました。激しい時差勤務によって職場の団結が奪われ、支援事業の過重労働でサービス残業が横行。非正規労働者が半数になり、正規人員を求める声は「いまどき正規なんか無理!」という執行部の声で押しつぶされようとしてきました。
 そして、昨年当局は待機児解消のため3園の民営化・廃園化について延期したのと引き換えに、認定こども園=幼保一体化という新たな公立つぶしの攻撃をかけてきました。しかし、執行部は一切抵抗せず容認、今や推進の立場です。
 私が「民営化反対の旗を降ろすな!」と叫ぶと、市職労本部ニュースの毎号の半分を使って山本ウソつきのバッシングを展開するということが半年間続きました。

国鉄全国運動を掲げ、委員長選挙で79票を獲得

 私は、7・11参院選の結果を受けて翌12日、委員長に初めて立候補しました。民主党大敗、共産党惨敗の結果を見たとき、「結果がたった1票でもいい。労働者は自分たちの党を求めている。今、国鉄全国運動の旗をみんなに示さなければ!」と決断しました。「国鉄1047名解雇撤回闘争の新たな全国運動の力で、公務員全員首切り攻撃をストップしよう」を掲げて職場を回り、結果、思いも寄らぬ79票が投じられました! 投票率は上がったのに、執行部は昨年より100票も減らしました。まさしく路線的闘いの勝利です。
 本部対立選挙は十数年ぶり。本部派はオルグに来ても投票用紙の書き方しか説明しません。山本なんて数票しかとれないと高をくくっていたのでしょう。しかし、彼らは国鉄全国運動を真正面に据えた山本ビラに衝撃を受け、国鉄決戦の土俵に引きずり出されてきました。いわく、「動労千葉のビラかと見間違える内容」「自治労、国労、民主党、共産党などあらゆる団体を“打倒”対象とする孤立化路線」と連合や民主党と仲良し路線であることをあけすけに言っています。「国鉄不採用問題については当該団体の判断を尊重」(当該ではなく!)するとし、「国労兵庫地方本部の見解」を引用して「路頭に迷わない解決」「1500万円は大金」「24年間の国労の苦労も知らない西宮の一保育士がよく言えたものだ」と罵倒しています。
 しかし、この政治和解攻撃は、6000万労働者すべてにかけられた攻撃です。だから私たちすべてが「当該」です。大した支援もしてこなかった執行部が、闘争団と共に座り込んだり物販やビデオ上映会など国鉄闘争を広めてきた私に「よく言えたもんだ!」
 また、和解拒否者について「動労千葉など誰も知らない」「4名の拒否者も交流したことがないから知らない」と直接の当該さえ平然と切り捨てる。そして「ストなどしたら違法ストと断罪され組合は崩壊する」というのです。
 執行部は交渉能力があると威張っています。しかし、国鉄分割・民営化の時、当局の一方的協約破棄攻撃の前に「交渉能力」など何の役にも立ちませんでした。「55歳以上給与カット」攻撃に対して「当局を凌ぐ賃金問題の第一人者」の委員長はどうするのか。JRを見ると、西日本10%カット、東は55歳から57歳まで10%それ以降20%カット、貨物30%カット。2〜3%から始まる給与カット攻撃に体を張って闘う気などない執行部にストなんか絶対できない。西宮市職労の仲間が首切りにあっても切り捨てるのは目に見えています。

現場労働者にこそ社会を変える力がある!

 2枚目の職場ビラでは、彼らのビラに逐一反論する内容を5時間かけて作りましたが、ばっさりと破り捨て、主流派として「今どう闘うべきなのか」を据えて作り直しました。核心は、攻撃の分析や「闘わねばならない」というものではなく、「現場のみんなにこそ社会を変える力がある。それを否定する執行部をぶっとばして立ち上がろう」です。
 本庁、病院、現業、保育所、図書館、支所など民営化攻撃の激しい職場を中心に60の職場を回りました。超多忙な仕事の合間にも私の訴えに耳を傾けてくれる組合員さんが沢山いました。現業の任用替えについても現場労働者は反対していることがびんびん伝わってきました。組合員の17人に1人の「79票」は「闘う労働組合をつくりたい」という皆の決意です。選挙後、79人に向けた執行部によるウソつき攻撃が始まっていますが、墓穴を掘るだけです。闘いはこれからです。何としても全国運動の担い手をつくり出していきます。

7・30自治労全国保育集会(和歌山)で、現場の怒り噴出!

 7月30日より3日間、自治労第31回全国保育集会が、和歌山市で開かれました。
 自治労が完全な政権与党となってから初めての全国保育集会です。本部は、団結破壊の子育て新システムを積極的に推進する部隊として現場労働者を固め、先兵に変質させるためのものとしてこの集会を位置づけていました。
 私たち関西の自治労部会は、自治労徳島大会決戦の前哨戦と位置づけ、〈新自由主義にもとづく団結破壊攻撃に対して、国鉄全国運動で闘おう!〉と現場保育労働者に訴える闘いを展開しました。「新システム批判」「保育事故は当局責任! 豊中公平審闘争の訴え」「自治労批判」「全国運動をやろう」を掲げて、全国1500人の保育労働者にビラまきを行い、国鉄全国運動署名を訴えたところ、北海道から沖縄まで51筆が集まり大成功しました!
 さらに決定的なのは、翌日の分科会『保育制度について』で、本部の「新システムの推進」の説明に、沖縄をはじめ全国から疑問と怒りが続出したことです。「本部は民営化についても賛成・反対の立場を明らかにせず、こんな制度を持ってくるのはおかしい。私たちは民営化はあくまで反対だ」「一般財源化と最低基準を取引したのか」「私たち労働者はどうなるのか?」という質問に対して本部はまともに回答せず、「今の制度は残す、資格がどうなるのかはまだ決まってない、幼稚園・保育所の役割は残す」とごまかしたため、さらに参加者の中から本部批判が噴出し、拍手がわきました。ビラ入れが情勢を開いたのです。
 焦った彼らは、3日目の分科会で、本部・今井(豊中市職・保育士出身、今は本部役員。豊中の保育所民営化を推進し、深町加代子さんの保育事故処分策動に深く関与)は、質問時間さえ極小にするという追いつめられた姿をさらけ出しました。そして集会が終わってから、「勝手に質問するな」「勝手に署名活動をするな」とわめいているそうです。国鉄全国運動の正義性に打ちのめされた本部の対極で、私たちは「よし! 来たか!思う壺だ! 全国運動の土俵に引きずり出して、4・4派の屈服と裏切りを打ち砕いてやるぞ!」と闘志満々です。
 全国の仲間のみなさん! 情勢は完全に一変しています。われわれが主導権を握りしめて、断固攻勢的に闘い抜きましょう!
 11月労働者集会へ自治体職場から全国運動派1000名の決起を達成しよう!

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矛盾爆発の電電民営化、NTT労働者の怒りの爆発は不可避だ!
国鉄全国運動の力でNTT労組を打倒し、青年労働者の獲得を! 電通労働者部会 植野 定雄

 大恐慌が進展する中の参院選挙で民主党は惨敗を喫した。これは昨年の8・30に続く労働者階級の怒りの決起だ。労働者の怒りが政府与党を過半数割れに追い込み、大恐慌下で政府が何も決められないという危機を強制したのだ。
 この参院選でのNTT労組の組織内候補・石橋の獲得票数は組合員の数にも満たない15万票(組合員数17万)であった。前回の組織内候補・吉川の半数しか得票出来なかったのだ。これはNTT労組に対してNOを突き付けたものである。電電民営化から25年。この間に一体職場がどれ程激変したのか。外注化・分社化・非正規職化の攻撃が吹き荒れ文字通り「新自由主義職場」へと変貌させられてきた。しかし今や民営化は完全に破綻し、職場には溢れんばかりの怒りが渦巻いている。
 この怒りに国鉄大運動で火を点けたとき、職場は一変するであろう。電通部会はその最先頭で闘います。

矛盾爆発の電電民営化

 1985年の電電民営化後、99年の東西・長距離会社に分割されたのを頂点に次から次へとグループ会社が作られ、今やグループ会社が何社あるのか余りに多くて定かではないほどだ。同時に職場はどんどん非正規職に置き換えられていった。この25年、文字通りNTTの職場に「分割・民営化」攻撃が吹き荒れたのだ。
 その結果、現在NTTで何が起きているのか。慢性的人員不足でサービス超勤が横行し、電電ビルは深夜まで窓に煌々と明かりが点いているのが現状だ。そして繰り返し行政に摘発された結果、勤務時間外にパソコンの電源が入っていないか勤務票と連動して管理するという漫画的事態さえ起きている。
 慢性的人員不足、多忙化、分断と団結破壊の中で労働災害が次から次へと引き起され、死亡事故さえも多発している。全国大会へのビラ撒きで妨害に来た中央本部派の連中に「死亡労災が多発しているではないか」と追及したら、彼らは数メートルも引き下がった。NTT労組は会社と一体となって「労災隠し」に手を染めていることを十分承知している証拠である。
 技術系の職場では技術継承が破産している。評価されることでチーム作業時も他人には自分の技術は教えないということが当たり前のように起き、実際の作業に支障を来たすまでになっている。営業の職場は、人員不足と次々に導入される「新システム」で混乱し、連日ユーザからの苦情の嵐だ。
 広島では電柱を管理するシステムと実際の電柱の位置が違うので、人海戦術で何十万本とある電柱一本一本を地図と対照して歩くということまで起きている。北九州では、倒れることがないと分類されていたコンクリートの電柱が倒れるという事故が起きた。
 ほんの一例である、これらの事態が示していることは、民営化によってもはや職場が取り返しのつかない基礎的なところまで破綻しきっているということである。
 何よりも破綻点を形成しているのはNTT労働者、とりわけ青年労働者の「もう我慢ならない」という怒りの声が満ち溢れていることだ。

NTT労組打倒し、反合闘争の復権を

 NTTの合理化が激しく進められた最大の根拠としてNTT労組の存在がある。NTT労組は合理化に対して闘うのではなく〈「労働者は闘っても勝てない」「合理化ではなく業務改善」、だから組合の方から会社に要求をする〉と反合理化闘争をねじ曲げ、職場に敗北主義と団結破壊を強制してきた。しかし今や賃上げも、職場改善も何もできない中、職場支配力を失い、完全に空洞化しているのだ。NTT労組は完全に怒りの対象となった。それがこの参院選の結果なのだ。会社はNTT労組の職場支配力のみに頼って合理化を押し進めてきた。しかしこれからは直接、会社と労働者の怒りがぶつかり合う状況になるのである。
 「構造改革」と呼ばれる大合理化によって、NTT東西会社に働く労働者は、45才になったら「社宅定年制」で社宅を出なければならない。賃貸住宅に住んでいる労働者は住宅補助費がカットされる。そして50才になったら一旦退職を強制されて賃金を30%カットされるのだ。毎年毎年50才になった労働者が「辞表」を提出し「再雇用=転籍」を強制されているのだ。しかし「構造改革」は職場の最大の矛盾点を形成している。職場の中堅である50才の労働者がここまで痛めつけられて職場がまっとうに動くはずはない。50才を越えた労働者は一旦退職で「第2の人生」となり、その矛盾は全て青年労働者へしわ寄せされている。「構造改革」は合理化の極致であるが、最大の矛盾点でもあるのだ。
 こうした攻撃は労働者の反撃がないことを前提にしてしか成立しない。実際にこの「一旦退職」を首を覚悟で拒否し反撃したとき、会社には何の手段も残されてはいない。私が「一旦退職」を拒否したら「全国流動社員」として全国配転すると労使で恫喝してきたが、断固闘うことで配転はできずに現在まで一貫して広島にいることが何よりの証拠である。
 NTT労組は「反合理化」という言葉までも職場から追放した。だからこそ「反合闘争」の復権こそ職場に溢れる怒りをひとつに団結させることができる。NTT労組中央を打倒し青年労働者の怒りを結集し反合闘争を復権させよう。

門前ビラまきの重大性

 門前を制圧して(例え一人でも)ビラをまき続けるということは重要な職場闘争の基礎をなす。朝出勤して来る仲間に自分の主張を包み隠さず書いたビラを手渡しすることで職場に出勤してくる全ての労働者と交流することができる。週に一回のビラまきの日が「金曜日定例」であることが職場の共通認識になるのに半年間を必要とした。粘り強く闘うことでしか職場の仲間の真の信頼は勝ち取れない。
 ちょうど一年前、広島で非正規労働者としてNTTで働いていた仲間の首が切られるという攻撃があった。その時、二人で門前を制圧してビラまきを連日展開し、妨害に来た職制と組合幹部を連日追及して1カ月間闘った。今年になって職場の人から「あの闘いで職場の力関係が変えられると思って見ていたが、職場の力関係を変えるのは難しかったのか」と聞かれた。しまったと思った。あの時は「正規・非正規を貫き国鉄決戦で勝負する」ということははっきりしていたが、全体の力関係を変えよう、変えられるとは思っても見ないことであった。現在問われている全体を獲得し組合権力を取るという飛躍点が問われたのである。

勝利の展望

 動労千葉の闘いが、検修・構内業務外注化を今もなお阻止し続けている。この闘いは電通労働者のみならず全国の労働者に心からの感動と勇気を与えている。「合理化」は労働者が団結したとき阻止できることを現実の闘いで示した。この動労千葉を守り抜くことの中に電通労働者の未来もある。NTT資本との大合理化をめぐる闘いへの勝利も展望できるのである。
 同時に動労千葉破壊、国鉄1047名解体のための「和解」攻撃に対して6・13集会を感動的に闘い抜き、大恐慌・戦争の時代に労働組合を甦らせる闘いとして国鉄全国運動を開始したことは極めて重要だ。私たちにこれまでにない飛躍を求めるものであるが国鉄全国運動で青年労働者を層として獲得し勝利しよう。
 最後に、電通部会は人数こそ少ないが北海道から沖縄まで全国をまたにかけた産別部会だと自慢しておきます。しかも新自由主義の見本市みたいな職場です。だからこそ青年労働者の怒りを部会に結集したとき、正規―非正規が団結して闘ったとき、完全に職場の現実を覆すことが可能です。その可能性を具体化するものこそ国鉄全国運動です。電通労働者はその最先頭で全力で闘い抜きます。

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■闘う合同・一般労組

合同・一般労組全国協議会結成
「4・9政治和解」情勢の中で、全国協議会は何をめざすのか
一般合同労組さいたまユニオン 執行委員長 田畑 典保

 

 被爆65年を翌日に控えた8月5日、広島で全国の闘う合同一般労組が結集し、「合同・一般労組全国協議会」を結成しました。
 「4・9政治和解」情勢の中で、労組交流センターと共に闘う合同・一般労組の全国組織が結成されたことの意義は大きい。交流センター運動が全産別組織化の礎をつくりだしたと共に、合同・一般労組の全国組織の結成をもって6
000万労働者、とりわけ200
0万青年労働者を階級的労働運動の側に獲得する体制が整った。ここを出発点に、労働者階級の力で社会を変革する一大闘争に打って出よう。開始された国鉄全国運動を合同・一般労組の組織拡大の中心軸に据え、全国協議会が11月1万人結集の先頭に立って闘おう!

「4・9和解」との対決が課題

 「4・9政治和解」攻撃とは、戦後的労働運動の一切を根底から許さないという一大反革命です。それは、労働組合に「首切り・解雇攻撃と闘うことを二度と行うな」、「不当労働行為を二度と争うな」、「雇用は保障しないことを受け入れよ」と、国鉄労働者のみならず6000万労働者に宣告し、闘う労働運動を絶滅する攻撃です。国鉄分割・民営化反対闘争―1047名の解雇撤回闘争解体攻撃が、単に4者4団体の屈服というレベルではなく、「日本労働運動の重大な危機」「歴史的分岐点」としてあるということを、すべての労働者の課題として真正面から見据えよう。「4・9」をもって戦後労働運動は死滅し、今や階級的労働運動か帝国主義労働運動かの歴史的攻防過程に入ったのです。
 合同・一般労組全国協議会の結成は、この時代の要請に動労千葉派・労組交流センター派の全国の合同・一般労組が真正面から向き合い、全国の労働者に対して「階級的労働運動で闘おう」と呼びかけるためのものです。
 全国協議会は以下の4つのスローガンで闘うことを呼びかけました。
 @解雇撤回 A派遣法廃止、非正規職撤廃 B合理化反対、民営化(外注化)阻止 C闘う労働組合を甦らせよう
 新自由主義攻撃の最大の特徴は、闘う労働組合を叩きつぶし、体制内に組み込んでいく攻撃です。日本帝国主義は、国鉄・分割民営化以降20数年をかけて、膨大な非正規職を生み出し、人間を徹底的に「労働力を提供するモノ」という立場に落とし込めてきました。首切り、リストラ、賃下げ、労働組合破壊、派遣法の改悪に次ぐ改悪による製造業への派遣解禁など、非正規職化の攻撃により労働者同士の団結をことごとく破壊してきたのです。
 全国協議会のスローガンは、新自由主義と闘う世界の労働者の声と同じものです。
 アメリカで1886年5月に始まったメーデーも、ロシアにおける1905年の革命も、当時の世界の労働者のスローガンは「8時間労働制の実現」でした。全世界の労働者が「8時間労働制」を求め流血も辞さず数十年の長きにわたる闘争に決起していきました。実際には、1917年ロシア革命の勝利によって初めて8時間労働制が法制化されました。革命に恐怖した各国の帝国主義は予防反革命として1919年に国際労働機関(ILO)を設立し「工業的企業に於ける労働時間を1日8時間かつ1週48時間に制限する条約」を締結しました(日本は未批准)。全世界で吹き荒れる帝国主義、新自由主義の攻撃は、基本的に闘う労働組合をつぶし、もしくは体制内化させることで労働者の権利をロシア革命以前の状態に戻そうという攻撃です。民営化・非正規職化が当たり前のような状況にされている現在、サービス残業、女子保護規定の撤廃による女性労働者に対する夜勤労働の強制など、「8時間労働制」そのものが実質的に解体されている状況です。
 今回、全国協議会で決定されたスローガンは、全世界の労働者の統一のスローガンです。この間、動労千葉を先頭に進められてきたアメリカや韓国、ブラジル、ドイツなどの労働者との国際連帯は、労働者の課題が同じであることを突き出してきました。敵の攻撃は基本的に労働者の団結を破壊し、労働組合をつぶし、過剰資本・過剰生産力の下でいつでも「雇用調整」できる膨大な非正規職を創出することでした。そのために公的部門の民営化(外注化)を行い、労働者の非正規職化と法の「整備」を行ってきたのです。その究極の攻撃が戦争です。「4・9政治和解」攻撃の核心も、労働者の団結破壊にあるのです。

全国協議会は何をめざすのか

 4つのスローガンを実現していくためにはどうするのか?
 ひとつには、徹底して職場・地域で労働者を組織することです。動労千葉のように労働者の権利を守り、原則を曲げない労働組合を全国に(本当に全国津々浦々に)1000組織しよう。そして1000の労働組合が、労働者の団結を総括軸に本当に資本と対決し始めたら、敵の攻撃を何も恐れることはありません。4大産別で闘う労働者と結合して、民営化に反対し、正規・非正規問わず、その組織化を合同・一般労組はこれまで進めてきています。
 ふたつめに、全国協議会は、合同・一般労組であるがゆえに、一つ一つの職場だけではなく、地域を対象とした組織化に打って出る必要があります。
 全国の地区労組織が、4者4団体の裏切りの中で今瓦解状態に入っています。地域で国鉄闘争を支援することを目的に存続してきた各地の地区労が、4・9和解情勢の中で「国労」という基軸を失い崩壊過程に入っています。全労協・全国一般協議会も同じことです。
労働者の地域的な結びつきが崩壊過程に入っている今、それに代わって私たち合同・一般労組全国協議会の力でそれを甦らせようということです。
 さらにみっつめに、今の大恐慌の中で生み出されている膨大な失業者の存在です。
 失業者とは、マルクスが資本論第1巻の中で指摘している「産業予備軍」「相対的過剰人口」ということです。新自由主義の下で膨大な労働者の非正規職化が進められたと同時に、膨大な労働者が「雇用調整」という首切り攻撃の中で失業者となっています。ここと結びつくことも闘う合同・一般労組の任務として決定的です。職場のみならず地域での組織化を意識的に取り組みます。
 全国協議会はさらに、階級的労働運動の中心組合としてその地域を「面」として組織していくということです。ロシア革命の時にその中心を担った「労働者評議会」を全国各地につくりだしていく。その中心軸として屹立していくということです。
 全労協・全国一般との違いはここです。労働者が主人公の社会をつくりだすために力ある労働組合をつくりだそうということです。

国鉄全国運動こそ武器だ

 「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動要綱」の「目的と運動」の冒頭に「本会は、新自由主義攻撃への対抗軸となる新しい労働運動をつくりあげることを展望し、国鉄分割・民営化反対、1047名の解雇撤回に向けた全国的な運動を呼びかけることを目的とする」と明記されています。この運動は、「資本との非和解的激突に発展する合理化攻撃には勝てない」「非和解的対決を貫けば組織は分裂し、敗北する」という戦後労働運動の限界をのりこえる歴史的挑戦です。
 国鉄全国運動の拡大にこそ労働者階級の勝利の展望があります。この運動は職場や地域の労働者の怒りと結び付き、その階級性に根付いた労働運動を創造する飛躍をかけた闘いでもあります。全国の合同一般労組の団結のもとに国鉄全国運動を武器に、徹底的に階級的労働運動組織化の先頭に立ち、とりわけ2000万青年労働者の獲得に全力を尽くす決意です。その要こそ、11月労働者集会での1万人結集の実現です。
 合同・一般労組全国協議会は、国鉄全国運動と11月集会1万人結集の責任勢力として新たな歴史の挑戦に打って出る決意です。
 共に闘いましょう!

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ひめじょおん−女性部から

自治体職場から闘う労組女性部を甦らせよう! 事務局 山科京子

 東京女性部の自治体現場の仲間の報告を紹介します。
 今、自治体職場では、60万人の非正規雇用の労働者が働いている。職場は慢性的人員不足と偽装請負のオンパレードだ。A区職のIさんは組合の会議で「人員要求の闘い」を提案した。三役は「(人員問題で)去年妥結したばかりだから、要求はできない」の一点張り。Iさんは「人員要求」の主張をあくまで貫こうと決意している。
 また、人事評価との闘いも始まっている。昨年、B区職の保育所で働くKさんは、「課長なんかに評価されたくない!」と怒り、「自己申告」を拒否し、ビラで職場の仲間に訴えた。
 「勤務評定本人開示通知書」には〈業績考課〉〈能力考課〉〈態度考課〉の項目があり、そこに5段階評価の点数が付けられている。一人ひとりの職員の成績、貢献度、働き方が点数化され、それに基づいて昇給や一時金の額が決められる。社保庁解体時、処分歴がある「成績が悪い職員」525人が解雇されたように、分限処分=免職攻撃に使われる。人事評価との闘いは、道州制・民営化―公務員首切り攻撃との決定的闘いだ。
 8月7日の自治労女性部総会での国鉄全国運動のビラまき、東京女性部の討論などの取り組みを通して、あらためて階級的労働運動路線で闘う労組女性部建設の重要さを感じた。

自治労女性部総会方針批判

 「この10年間で平均年収70万円減となった」「人が減らされても頑張ってサービス残業をこなし、財政が厳しいからと独自賃金カットにも耐え、我慢の結果『官製ワーキングプア』が増えた」「青年労働者の中には『自分の賃金を知らない。賃金制度がわからない』の声がある」「生活実態から『当たり前の要求』を掲げて」「アンケートと国会要請行動に取り組む」―これが自治労女性部の10春闘方針だ。
 ふざけるな! 「頑張って」「賃金カットに絶えて」「国会要請行動」!? 自治労女性部本部は青年の怒り、女性たちの闘いを押しつぶそうとしている。道州制・民営化―公務員労働者360万人首切り(非正規雇用化だ!)反対の闘いを初めから放棄している。
 さらに、女性部本部は、総会スローガンに「『同一価値労働・同一賃金』の原則に基づく賃金格差是正のたたかいを強化し、労働基本権と労使対等な賃金・労働条件決定制度を確立しよう」を掲げ、「性に中立で公正な職務評価(ペイ・エクイティ)に取り組む」と、「職務評価」の導入の先頭に立っている。「臨時・非常勤職員が配置されている職場は、保育、病院、給食と女性が多く……」と、非正規雇用女性労働者の現状をわけ知り顔で語り、「同一価値労働同一賃金」「均等処遇」で賃金格差是正を叫んでいる。
 資本・当局は労働者を分断するために賃金格差を意識的に作り出すのだ。「人事評価制度」は競走・分断である。「均等」とは結局、むき出しの市場原理の中に労働者全体を叩き込むことを狙うものだ。
 「同一価値労働同一賃金」は、80年代の国鉄分割・民営化から始まった新自由主義攻撃の一つだ。日本経団連の『2010年経労委報告』での言及を見よ。戦後革命期の労働運動の闘うスローガンとなった「同一労働同一賃金(賃金差別撤廃)」要求とは全く違う「同一価値労働同一賃金」が、大恐慌情勢下、日本経団連の側から言い出されているのだ。
 重大なことは、このブルジョアジーと一体となっているのが自治労本部であり、その「左」からお先棒を担ぐ役割を果たしているのが女性部本部だということだ。
 「人事評価」反対! 非正規職撤廃! 派遣法撤廃! ギリシャの労働者のように、動労千葉のようにストライキで闘おう! 労働者の団結で勝負しよう。国鉄闘争全国運動を全職場に広げよう。・ 階級的労働運動路線で、闘う労組女性部運動を甦らせよう。

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■動労千葉労働学校で学ぼう!

 7月17日に行われた第10期労働学校基礎講座第4回(テーマ「動労千葉の反合運転保安闘争路線について」 講師 田中康宏動労千葉委員長)の受講生の感想文を紹介します。

●合同労組組合員
 闘いを続けている中で団結を組織するためには、みんなの怒りを引き出すこと。最初から方針はない。回答は必ず現場にある。組合員間の強い信頼関係があり、「俺たちがつくった俺たちの組合。仲間を裏切れない。いかにあるべきか」がすべてだと思いました。委員長が最後の方に「止められるものを止めなかったために、今のような現状になった」と話されていたのが心に残り、労働者の未来は団結の力によって明るくできるものだと確信しました。

●医療労働者
 今日の田中委員長の講演で一番印象に残ったことは、「現場の労働者の怒りと誇りを組織することが必要」というところです。怒りと誇りを組織するためには、当然のことですがまず自分が怒りと誇りをつねに持っているかどうかが問われると思いました。
 そして次に、職場で出てくる偽装請負や再雇用の問題のすべては、社会的な問題だということをおさえて本気で仲間に話すということです。
 職場の仲間の半分は30代青年労働者です。95年日経連プロジェクト報告が出され、「9割の非正規と1割の正規」という大攻撃が吹き荒れるなど、終身雇用なんて夢になり、就職氷河期のまっただ中にたたき込まれてきました。そういう中で「会社あっての労働者」「使えないやつは切って当然」という考え方が長い間青年労働者を支配してきたと思っています。一体これはなんなんだ!ということです。青年労働者をバラバラに分断して誇りを奪ってきたのは資本家であり、すべては資本主義が延命するための新自由主義への突入過程で、日本では国鉄分割・民営化として行ってきたことじゃないか!
 決定的なことは、すべての青年労働者がこの攻撃を受けながら、しかし労働者としての誇りを歯を食いしばって守ってきたということです。リーマンショック以降、新自由主義経済を土台から破壊するような金融大恐慌が起こり、そこから生まれた国家的財政破綻を全部労働者に押しつけるために、今、膨大な労働者が首を切られている。青年の怒りは充満し、さらに決定的なことは、自分という労働者がそして仲間が職場に存在しているということです。ここにあらためて今日、感動しました。でもそれだけではダメということも強く感じています。6・13で大運動をスタートさせた、この地平があるからこそ体中から飛躍しようぜ!という、例えば一方的に情勢を言うことで「オルグした」というあり方や、労働することの未熟さ。ここに気づいたからには前に進む一里塚を築いたと思っています。

●教育労働者
 「今の労働組合はあらかじめ負けている」ことや「止められるものを止めない(止めようとしない)労働組合に問題がある」など、まったくその通りだと思いました。ALT(外国語指導助手)の問題が出ていましたが、体制内は当局と一緒になって「偽装請負」にならないよう現場を「指導」しようとしています。まったく現場実態にあわないのに……です。現場の教員たちはマジメなので困っています。その「困り」を「怒り」に変え、組織することが重要だと考えています。ウチの体制内派の蓄積と物質力はほんと、大したことないのですが、それに勝てない自分も情けない。「怒り」が足りないってことでしょうか……。

●第10期労働学校日程

■基礎講座
 9月18日(土) 13:00〜
 ◆資本主義とはどういう社会か
 ◆講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)

■実践講座
 10月23日(土) 13:00〜
 ◆韓国労働運動の歴史とたたかい
 ◆講師 金元重(千葉商科大学教授)

■場所
 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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●労働ニュース(2010年7月16日〜8月15日)

世界の若者失業率、過去最高13%

 12日、国際労働機関(ILO)の報告によると、09年末時点で、世界の15歳から24歳までの若年層6億2千万人のうち8070万人が失業中であることがわかった。金融危機前の07年と比べ780万人増え、過去最高を記録した。
辞める教員 年1・2万人
 20日の報道によると、公立の小中高校と特別支援学校で中途退職する教員が全国で毎年1万2千人を超え、この5年間では6万7千人に及ぶことが、全都道府県・指定市の教育委員会への朝日新聞の調査でわかった。
ひきこもり70万人
 若者の「ひきこもり」が全国で70万人に上ると推計されることが、内閣府が23日に発表した初めての全国実態調査の結果からわかった。予備軍も155万人と推計。
新安保懇―武器輸出緩和を提起
 政府の「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が菅直人首相に提出する報告書案の全容が27日、わかった。武器輸出三原則の見直しを求めたほか、集団的自衛権の行使容認に向け、政府の憲法解釈変更を促した。
大阪府が出来高制
 27日の報道によると、大阪府が、幹部職員の定期昇給を廃止し、それを原資に、優秀な幹部職員のボーナスなどに上乗せする仕組みを検討していることがわかった。「出来高制」とも言える自治体初の取り組みで、来春の導入をめざす。
遅配「従業員の理解不足」
 郵便事業会社の「ゆうパック」で34万個以上の配達の遅れが出た問題で、郵便事業会社は30日、問題の原因や再発防止策をまとめ、総務省に報告した。報告では、従業員の理解不足で処理が遅れたことを主な原因に挙げた。
失業率悪化5・3%
 総務省は30日、6月の完全失業率が5・3%で、5月より0・1上昇したと発表した。
大阪市職トップに市長「協働」派
 現職の副執行委員長2人が激突する異例の事態となった大阪市職員最大の労働組合「大阪市職員労働組合」の執行委員長選挙は、平松市長の執行部との「協働」を掲げる比嘉一郎氏(52)が6293票で当選、執行部からの「自律」を訴える長岡雅信氏(57)は3561票だった。
偽装請負 英語助手と話せぬ先生
 4日の報道によると、英語を教える外国語指導助手(ALT)と日本人教員は授業中、会話をしてはいけないという事態が小中学校の現場で起きている。多くの教育委員会がALTを直接雇用せず、費用を抑えようと業務委託(請負)で雇っているため、偽装請負状態が発生し、労働局から是正指導を受ける自治体が相次ぐ。
民主と経団連 接近
 民主党と日本経団連は5日、政権交代後初めてのの政策対話を開いた。
最低賃金15円引き上げ
 厚労省の中央最低賃金審議会小委員会は5日、10年度の最低賃金の引き上げ目安を、全国平均で15円と決めた。最低賃金の全国平均は現在の713円から728円となる見通し。政府の目標「全国800円」には遠く及ばない。
大卒2割 就職せず
 大学を卒業したが、就職も進学もしていない「進路未定者」が、5人に1人に相当する約10万6000人にのぼることが5日、文部科学省が公表した学校基本調査の速報でわかった。
国家公務員給与1・5%減
 人事院は10日、国家公務員の10年度の月給を平均0・19%、年間のボーナスを0・2カ月分、それぞれ引き下げるよう勧告した。一般の行政職の年間給与は平均で9万4千円の減額となる。
国の借金 904兆円
 財務省が10日発表した10年6月末の国債や借入金などを合わせた「国の借金」は904兆772億円となり、900兆円を突破した。
労使調停 簡裁の機能強化
 14日の報道によると、労働局などでの「総合労働相談」の件数は09年度に114万件で過去最高を更新。こうした増加に対応するため、最高裁は簡裁での民事調停の仕組みを見直す。調停委員に労働問題に詳しい弁護士を任命し、労働紛争の解決能力を引き上げる。

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青年労働者は団結してたたかおう! OVER REV

青年労働者交流集会運動が新たな段階に
広島連帯ユニオン 有賀崇雅

 今年の8・5〜6ヒロシマ闘争は、全国のみなさんの多くの参加で大成功しました。ありがとうございました。特に今年で7回目の「オキナワとヒロシマを結ぶ全国青年労働者交流集会 in Hiroshima」の成功は8・6ヒロシマ闘争全体の勝利を決定づけ、青年労働者が8・6ヒロシマ闘争全体を牽引するものとなりました。
 成功のカギは、何といっても、大恐慌時代と対決する青年労働者の新たな労働運動が始まったことです。動労千葉の闘いに学び、動労千葉のような労働組合をつくりだしたいと、職場で必死になって闘って、一人、また一人と仲間を増やしてきた全国の仲間が、自らの闘いの中から「闘う青年部運動をつくろう」と呼びかけを発しました。青年労働者交流集会運動がついに新たな段階を迎えました。
 ひとつは、国鉄全国運動が青年労働者自身の闘いとなったことです。1987年の国鉄分割・民営化とは、その頃まだ生まれてないか、幼児だった今の青年労働者を、10年後、20年後に徹底した分断と競争で資本の食い物にして、骨までしゃぶり尽くすという、まさに青年の未来を奪い尽くすことを狙った攻撃でした。この攻撃を前に労組指導部が闘っても勝てないと屈服していく中、動労千葉は闘って団結を守り抜き、国鉄闘争は全国の労働者の闘いの結集軸となってきました。
 国鉄1047名解雇撤回闘争の「政治和解」とは、大恐慌への突入の中で、この国鉄闘争を叩きつぶし、動労千葉を孤立させ、最終的に労働運動を根絶するという攻撃です。だからこそ、新たな国鉄全国運動とは、青年労働者の置かれた、分断と競争、非正規化、低賃金と強労働という現実を覆していく闘いだということを確信を持ってつかみました。
 もうひとつは、私たちがめざす労働運動とは、反戦闘争を闘う労働運動であることをはっきりさせたことです。大恐慌下の資本家同士の熾烈な競争とつぶし合いは、国家間の対立、戦争へと必ず行き着きます。労働者への極限的な搾取と収奪は、戦争で命さえも奪うところにまで必ず行き着きます。戦争とは、一握りの資本家階級の利益のために、労働者同士が国境をはさんで対立させられ、殺し合いをさせられるという究極の分断攻撃です。しかし戦争を担わせれる労働者が労働組合に団結して闘えば、資本家たちは戦争などできません。
 私たちは5月オキナワ闘争を闘い、職場で闘う中で、労働者には戦争を阻止し、社会を変える力があることをつかんできました。そして自分たちがつくりだす新たな労働運動の中に、戦争反対の闘いを位置づけてきました。8・6ヒロシマ大行動のデモには、私たちのシュプレヒコールに応えて、多くの青年が飛び入り参加しました。「戦争反対!」「闘う労働運動をつくろう!」という呼びかけは、本当に青年の心をとらえる力があることを実感しました。
 最後に、8・5青年労働者集会は、集会を準備した地元・広島の青年労働者の団結を固めました。集会で発言した広島連帯ユニオン草津病院支部の青年は、「1年前は訳もわからず連れて来られたけど、今年はみんなの発言に心から、そうだ! と思った。知り合いも増えて、全国の仲間が檄文やカンパを寄せてくれて嬉しかった」と感想を言っています。新たな青年が、全国の仲間との団結を感じて、闘いを始めています。
 全国の青年労働者は、8・5〜6ヒロシマの感動と息吹を職場で解き放ち、闘う青年部運動をつくりだして、11・7全国労働者総決起集会の1万人大結集を実現する先頭に立とう!

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「しっかり仕事をするということが実力闘争」
反合・運転保安闘争の職場実践のために(下)  動労千葉を支援する会 樫見 一哉

前号(8月号)から続く

目次

シニア制度との闘い
「しっかり仕事をするということが実力闘争」
職場丸ごとの闘い
幕張構内事故闘争
(8月号)

「しっかり仕事をするということが実力闘争」の意味
動労千葉の職場闘争と国労協会派の現場協議制
生産過程を労働組合が支配する――職場支配権の真の意味
(本号)

「しっかり仕事をするということが実力闘争」の意味

 話は戻りますが「しっかり仕事をする」ということをめぐって、かなり議論になったので、もう少し突っ込んで展開しておきます。
 社会保険庁の労働組合が「消えた年金」問題で攻撃されたとき、「窓口でのオンライン端末の1日のキータッチは平均5000タッチ以内、最高1万タッチとする」という厚生省との協約がやり玉にあげられました。「民間じゃ通用しない」と。もちろん文章上の協約であり、実際に実行されていたわけではない。社会保険庁の労働組合の指導勢力は協会派スターリン主義ですけど、彼らはこういう権利を取ることは本当に熱心にやるんです。
 だけどその一方で、「台帳を廃棄しろ」という業務命令とは全く闘わなかった。「消えた年金」というのが社会問題になりましたけど、実は現場の労働者が勝手に原本書類を廃棄したわけじゃない。当局から「台帳を廃棄しろ」という業務命令があったんです。社会保険庁当局の犯罪であり、それに労働組合も加担した。その結果、「消えた年金」の責任は、全部現場の労働者に押しつけられ、525人の労働者が分限免職になるわけです。
 年金は労働者にとって、老後の人生にかかわる問題です。労働者として同じ労働者の人生に責任を取りきってこそ「自分の仕事に誇りを持てる」のではないでしょうか。それが「しっかり仕事をする」ことだし、それは業務命令に対する労働組合の「実力闘争」によってしかできない。やっぱり「しっかり仕事をするということが実力闘争」なんです。
 もうひとつ水道労組の民間委託の話です。水道の業務は、最も汚くてキツイ仕事から下請けに委託されていきます。しかも「汚いから」「キツイから」と言って現場の労働者自身が、積極的に下請けに委託することを要求していったという過程があるんです。だけど最も汚くてキツイ仕事を、半分の賃金でやらされる下請けの労働者はどうなるのか。「自分の仕事に誇りを持てない労働者は、団結もできない」 その通りです。汚くてキツイ仕事を下請け労働者に押しつけることで、本工労働者と下請け労働者の分断を拡大し、自分たちの団結も解体していったんです。
 危険なら危険でなくなるように、汚ければ汚くなくなるように、キツければキツくないように、具体的労働を通して実力で「奪われた労働条件を奪い返す」べきなんです。それが「しっかり仕事をする」ということです。そういう意味では、今「闘いに具体的かたちを持たせる」ということが言われているんですが、それは実は「労働に具体的かたちを持たせる」ということではないかと思うんです。
 あと日共の「聖職者」論についてです。今日の医療や教育の民営化の進展状況を見れば、日共の「聖職者」論の破産は明らかだと思います。「聖職者」論は、確かに「しっかり仕事をする」と言っているように聞こえます。しかし「実力闘争」がない。「しっかり仕事をする」ことと資本の利害は非和解です。だから「しっかり仕事をする」なら、必ず資本との激突になるはずです。逆に言えば、労働が資本との実力闘争にならないということは、実は「しっかり仕事をしていない」ということです。つまり日共の「聖職者」論は、カクマルの「働こう」運動と同じで、資本に都合の良い労働を労働者に強要するイデオロギーに過ぎないということです。
(写真 動労千葉地本の当局追及【73〜74年頃 津田沼】)

動労千葉の職場闘争と国労協会派の現場協議制

 動労千葉の労働運動と、国労の「現場協議制」とを対比すると、その特徴と違いがよく理解できます。「現場協議制」といえば、国労協会派の看板みたいなもので、戦後労働運動のひとつの到達地平のように理解されています。実際、大勢で現場長をつるし上げて、様々な権利を取っていったわけですから、戦術的には激しい闘いなのです。
 ところが動労千葉は「現場協議制というのは実力闘争ではない」と言って、「現場協議制」には反対なんです。実際に、動労千葉は「現協なんていらない。こんな協約なんか結ぶ必要ない」と言って、「現場協議制協約」は結ばなかったのです。
 「現場協議制」のどこが問題なのか? 核心的には動労千葉の布施さんなんかは「資本との闘いにならなかった。絶対反対でもなかった」と言っています。大勢で現場長をつるし上げる。これ自体は必要だと思います。労働者の自己解放の闘いにとって、職制をつるし上げるというのは、絶対に必要な最初の一歩です。しかし「現場協議制」というのは、この労働者の自己解放的決起を結局、最後は協約・協定闘争に集約してしまう。
 当時、国鉄の現場では、現協とは無関係にすごい実力闘争が闘われていました。例えば国労田町の闘いです。昔は国鉄の列車のトイレというのは、垂れ流しだった。列車走行中に垂れ流された糞尿は、霧状に飛び散って客車の下部に付着して固まってしまう。それはもう、凄いらしいです。数センチの層をなして全面にこびりついている。それを電気カッターで切り取っていく。すると乾いた糞尿が煙り状になって舞い上がって、労働者の口の中から鼻の穴から耳の穴まで、文字通り糞まみれになる。慣れないうちは食事もノドを通らない。それで当然、入浴闘争が大爆発していく。
 もし中野顧問のような指導者がいれば、もう一つの動労千葉ができていてもおかしくないような闘いを、国労田町の労働者は闘った。そうした現場の闘いは田町だけではなかったと思います。しかし結局は、民同、協会派、革同といった党派以外の解雇者は、専従から排除され、党派に国労組織を私物化される形で全ての闘いは集約されていきます。「現場協議制」もそうした闘いを「協約・協定闘争」の枠のなかに押し込めるものとしてあったわけです。
 現場の下っ端職制をつるし上げて、現場の不満の「ガスぬき」をして、最後はボス交でおしまい。これでは資本との本当の闘いにはならない。だいたい本当に悪いヤツは、現場になんかいないんですから。JRの社長は現場になんか来ないですよ。
 動労千葉は「あれで、国労、とりわけ協会派が腐った」と言うんですが。「現場協議制」の行き着いた果ては、当局による組合幹部への接待攻めです。本部役員なんかは銀座の高級クラブで1本何十万の酒をたらふく飲まされた。
 現協の最後の局面の現実というのは、ひどいもので、協会派の組合役員が接待でビール2本飲まされたと。ところが革同の幹部にはビール3本飲ませていた。それで協会派が「革同の方がビール1本多い」といって当局をつるし上げる。こんなマンガのような話です。これで資本との闘いに勝てるわけがない。
 これに対して動労千葉は「現場協議制なんていらない。こんな協約なんか結ぶ必要ない」と言って、反合・運転保安闘争路線に基づく職場実力闘争で闘ってきました。先に述べたように「しっかり仕事をすることが実力闘争」だと。具体的課題において、労働それ自体の力で「奪われた労働条件を奪い返す」ことを実現してきました。
 非常に面白い話があるんですが、実は国労協会派から見ると、動労千葉の反合・運転保安闘争は逆に「改良主義」(!)なのだそうです。恐らく先に述べたとおり、生産過程を労働組合が支配することが協会派からすると「改良主義」になるのではないでしょうか。
 なぜなら徹底的に現場の闘いに依拠しなければ、生産を労働組合が支配するということは不可能だからです。協会派スターリン主義がこの闘いをやれば、瞬く間に現場の労働者の自己解放的決起によって吹っ飛ばされてしまう。ないしは、現場をぬきにした単なる経営参画運動になってしまう。そういう意味で、協会派スターリン主義が、動労千葉の反合・運転保安闘争が「改良主義」に見えるというのは、スターリニストの節穴から見た場合には、ある意味「的を得た」感覚であり、スターリン主義の核心に迫る話なのです。
 したがって、反合・運転保安闘争を真に実践し得たとき、スターリン主義をのりこえた労働者の党を本当に生み出すことができると言えるのではないでしょうか。
(写真 06年5・18幕張事故緊急弾劾闘争)

生産過程を労働組合が支配する。職場支配権の真の意味

 生産過程を労働組合が支配する。ここに職場支配権の真の意味があります。生産過程を支配するためには、生産技術、ノウハウ、あらゆることについて労働者が資本・当局を圧倒していなければできないからです。そしてそれは可能です。なぜなら現場のことを一番良く知っているのは、現場の労働者だからです。
 よく中野顧問が「当局なんかいなくても、動労千葉だけで千葉管内の電車は動かせる」と言っていましたが、それはこういうことだと思います。「しっかり仕事をすることが実力闘争」が行き着いた先は、文字通りプロレタリア独裁能力だったということです。
 こういう話があります。昔、当局が中野顧問に「動労千葉ばかり人材を押さえちゃっている。少し回して下さい」と頼みに来た。それで「じゃあ誰が欲しいんだ。名簿を持ってきたら全部やるよ」と言ったのに、結局、みんな、職制になることを断った。
 これ自体凄い話なんですけども、中野顧問はさらにこう言っています。「労資関係というのは力関係だ。力関係には、もちろん数の問題がある。だけどそれだけじゃない。政治的な能力、その他さまざまな能力の問題がある。そういうレベルで、やはり動労千葉は当局をまだ圧倒している。」(機関誌『動労千葉29』)
 つまり職場支配権は数だけの問題ではないと。だから、たった数百の動労千葉を国策である分割・民営化でも、巨大資本のJRの総力をあげた攻撃でもつぶせない理由がここにある。生産過程を支配する力量において、動労千葉が資本を圧倒している。だからつぶせないんです。
 最後に反合・運転保安闘争の核心の問題なんですけれども、中野顧問がこう言っているんです。「労働者が本当に立ち上がるときは、どんな統制も吹っ飛ばして立ち上がっていくんだ」と。
 「労働者が本当に立ち上がる」ということの意味なんですが、結局「労働者の誇り」ということだと思うんです。労働者はみんな自分の仕事に誇りを持って働いている。ところが合理化と称して、現場から見れば全く見当はずれも甚だしい、理に合わない仕事のやり方を強要される。運転士なら安全を犠牲にした運転を強要される。それは労働者にとって「誇り」を踏みにじられることなんだと。しかも事故が起こったら責任は、現場に押しつけられる。
 そればかりか日航みたいに、墜落事故を起こして会社が傾いて、結局は倒産して労働者は解雇される。会社を倒産させた連中は、責任なんか取らずに、巨額の退職金を懐に入れてトンズラするだけ。結局、資本家には生産を組織し、社会を動かしていく能力なんかないんです。労働者こそが生産を社会的に正しく組織することができる。ここに「労働者の誇り」の根源があると思います。ここに目覚めるとき労働者は「どんな統制も吹っ飛ばして立ち上がっていく」。そしてこの生産を社会的に正しく組織する機関が労働組合です。
 ロシア革命の直後、ボルシェヴィキとソヴィエト(労働者評議会)は、生産を社会的に組織する能力を持っていなかった。唯一その能力を持っていたのが労働組合だった。それでレーニンは、労働組合を教師とし学校とし、ボルシェヴィキとソヴィエトを生徒とし、労働組合から生産の組織化を必死で学んでいきます。「労働組合は共産主義の学校である」というのはそういうことです。
 最後に『甦る労働組合』のまとめのくだりの話です。
 「われわれ労働者の側は、圧倒的にたたき上げの労働者が多い。それが労働運動を通して思ってもいなかった能力が発掘され、発揮されて、多くの人材が生み出されてくる」「労働運動に身を投じると、搾取され抑圧されている労働者が初めて『労働者が社会の主人公であり、労働者が団結したら、あいつらをぶっ倒せるんだ』と思う。この自己解放性に目覚めたときに隠れたエネルギー、能力がワーッと出てくる」「労働者が自分の能力に目覚め、『俺だってこういうことができるんだ』という自覚ができた時に、その運動は進む。そういう労働者を無数に輩出する以外に階級的労働運動は成り立たないし、革命も実現しない」
 つまり、反合・運転保安闘争というのは、「労働者の誇り」や自己解放性に目覚めた労働者を無数に輩出する。そういう、人を育て、「人材を生み出す」闘いなんです。
 だから「新しい全国運動」というのは、こういう労働者を全国で無数に輩出する闘いなんだということなんです。
 蛇足になりますが、動労千葉の古参の組合員は「中野洋という指導者は、俺たちが育てたんだ」と言うんですよね。つまり動労千葉の反合・運転保安闘争は、中野洋という指導者を生み出し育てるところまで行き着くわけです。
 だけどこれは大変なことですよね。「俺を指導者として育ててくれ」と頼んだからと言って育ててもらえるものではない。だけれども、6・13大集会をやり、新しい全国運動を始めたからには、やっぱり現場の労働者から「こいつを俺たちの指導者として育ててやろう」と思ってもらえるような活動家になりたいものです。それが共産主義者の矜持というものではないでしょうか
(写真 蜂起したペトログラードの労働者と兵士【1917年ロシア】)

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●読者のページ

私の温故知新について

 千葉労組交流センター会員 建設労働組合員 森 研一

一、「古くて新しい労働組合論」
 温故知新と表現される四字熟語は、紀元前5、6世紀の中国・春秋時代の思想家の孔子が言ったとされている一節です。
 教祖と教典を持つ教義というのは、たいがいが「ある時、師はこんなことをした」「ある日のこと弟子の質問に、こんな答え方をした」などという言行録を信者の学習重要文献にしてます。伝承するのです。
 ところで、千葉県の房総半島から東京・東部までの電車の運行や検修業務を担うJR東資本下の国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)の50有余年の闘いと「1047名解雇撤回闘争」破壊攻撃への新運動が、一体的に注目されています。
 何が新しいかというと、解雇者を守るということと、継続する大合理化攻撃との職場闘争が一体であるということです。
 何が古いかというと、そもそも労働組合とは何であり、労働運動とは何なのかを、階級的公明正大さで、復権と甦りを訴える点です。
 しかも、新自由主義・民営化攻撃の激戦場とでもいえるJR東資本下の実践と勝利が、全産業の労働者を勇気づけてます。
 動労千葉の歴史は、組合本部に公安警察官が公然と出入りし、組合機関としては右という時代からの青年部青年(50有余年前は中野さんも青年でした)たちの闘いがあったのです。
 だから、未来は青年たちのものなんです。事は、青年たちの実践から始まるのです。
 しかも、動労千葉派以外に権威をもって労働組合を語れるところがないことと、全ての大労働組合が現場の信用と信頼を失っていることや職場での合理化攻撃は不可避ですから青年たちにとってはチャンスです。
二、実証と対比をとおした実践の勝利
 故・中野顧問の『甦る労働組合』の中や、討論の中に、「自分は正しいから支持された」論はありません。「ぜんぶ組合員に見てもらい体験して判断してもらった」ことの労働者観が語られてます。
 このことが、「組合員が納得しないような方針は間違っているんだ」の自他認識です。
 動労本部役員になっていった松崎明(革マル派)らとの対決の時には、組合員の大傍聴団の面前での論争と集団暴行を体験して千葉の地方本部組合員が大方は、「革マルというのはヒデー奴らだ」と認識したのです。
 「方針」が「方針」になるためには、組合員が主人公としており、それを自覚した労組指導者がいるという関係が重要なところです。
 もちろん、動労本部からの地本ごとの分離独立した動労千葉結成以前から、72年船橋事故闘争での「運転士に事故責任はない」との立場と闘争指導による逮捕・起訴組合員の原職復帰が圧倒的な中野執行体制支持を生みだし、それは、動労千葉結成に96%がまとまるというロイヤリティー、「俺たちの組合」を示します。
 国策である分割・民営化攻撃は、動労千葉のストライキや抗議行動があっても強行されます。でも労働組合の団結は、資本との闘争を共同性としている以上、闘わなければ解体されるしかありません。逆に団結を守れれば、いつでも反撃できるのです。
三、国鉄全国運動で労働組合と職場闘争に本物の共同性を実現しよう
 人間二人以上の結びつきを組織といいます。対抗的で同志的な関係は、団結とも表現します。
 共同性論や対抗性・戦争論の理解では、共同性には、共同性の利益を守るための外部対抗性というものがあり、内部規範(内部規律)があります。
 ありとあらゆる大労組や政治党派が対立を回避したり、動労のように率先協力した対極に2波ストライキをやり抜き、その後も、25年も民営化攻撃と職場支配権で闘う程の、外部対抗性には、強力な内部規範があるということになります。
 中野さんや動労千葉的にいうと「路線と義理・人情」といわれるものです。
 「労働組合でもこの程度のことはできる」という矜持は、拠点職場の廃止という資本の攻撃に、たちまち危機を逆手にとって、当該地方での全戸署名・市民集会・新支部結成、地元出身の副委員長の市議会議員選挙立候補と当選と組合員の勝利とやりきった時の言葉です。労働組合運動で学ぶことは高く大きい。
 常々、組合員の声や顔色とむきあい、皆で団結できることを考えることの中に、対資本との党派闘争勝利の答があるのだと思います。
 国鉄全国運動で、労働組合のニューウェイヴを。

職場闘争パワーアップの場こそ「労組交流センター」だ!

医療・福祉労働者部会

 ヒロシマ大行動の前日の8月5日、医療・福祉労働者交流集会が開催されました。
 反核・平和運動を行ってきた多くの団体が、オバマ賛美をはじめ、核廃絶を核保有国にお願いして行おうという、ありえない幻想に逃亡する中で、私たち労組交流センター医療・福祉労働者部会は「核をなくすのは、私たち労働者だ!それは徹底的に職場闘争を通して形成される労働者の団結で実現する」ということを、集会を通して明確にしました。
 それぞれの職場闘争が話され、確実にみんなが前進していることを実感しました。闘わない組合執行部と激しく闘っている職場では、「自分たちこそが労働組合だ」と、現場闘争を当たり前に闘う中で多数派をめざして闘っていることや、組合執行部を握っているところでは、労働組合が職場の運営すべてに責任をとるという気概をもって闘う必要があることなどが語られました。また、労働者階級全体の闘争である〈星野闘争〉を職場にもちこんでいる報告もありました。
 そういう中で、今年1月に、闘わない執行部が組合活動を投げ出し、「それなら私が」と名乗りを上げ、革命をやりたいという看護師と、25歳の青年で執行部を引き継いだ神奈川の病院労組では、「団交をすれども、一向に勝ち取れない」という壁にぶつかっていることが話されました。残念ながらこの話が集会の最後の方で話されたために、時間がなく、この場では話し合われませんでしたが、こういう話が持ち出されることこそ「労組交流センター」です。自分の職場の苦闘を自分の職場を超えた仲間と共有し、闘いのヒントを得たり、この仲間と一緒に闘っていることに確信をもって、自分の職場闘争をパワーアップさせていく。そういう場が「労組交流センター」だからです。
 全体を通して、今までぼんやりしていた「労組交流センター」というものを、この集会参加者みんなが作りだしている、そして、ここが、社会保障解体に対して闘っていくための全医療・福祉労働者の結集軸なんだ、ということを参加者みんなが共有できた集会になったのではないかと思います。
 最後に、草津病院のNさんの不当逮捕・拘留は、医療・福祉労働者全体にかけられた攻撃であり、まず草津病院の団結が拡大していることで、反撃を開始しています。「権力は、俺たちをなめんな! パクられたぐらいでやめるような労働運動を俺たちはやってない!青年をなめんな!」という青年の怒りの声は、労組交流センター全体のものです。必ずNさんを取り返します!

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読者のページに投稿を
  読者の皆さん! 投稿をお願いします。強制するページではなく自主的に決起するところです。

編集後記

 猛暑には冷たい飲み物ではなく熱いのがいいと言いますが、熱くなる読書もオススメ。ということで面白かった何冊かを紹介。『消費税のカラクリ』 (斎藤貴男/講談社現代新書)『人を“資源”と呼んでいいのか』(吉田敏浩/現代書館)『赤いゲッベルス―ミュンツェンベルクとその時代』(星乃治彦/岩波書店)(う)

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Photo Document 2010 年7月〜 2010 年8月

7・28東京 われわれこそが国労だ!
「共に闘う国労の会」主催の国鉄闘争勝利総決起集会が文京区民センターで開かれ、325人が結集。同日からの国労大会を直撃したこの集会で、闘う国労組合員は国労の主流派に躍り出る戦闘宣言を発した。

8・9長崎 祈念式典徹底弾劾のデモを貫徹!
原爆投下から65 周年のこの日、統一実行委に結集する労働者・学生は、爆心地に近い城栄公園から、核兵器を抑止力として是認し原発を推進する菅首相の記念式典出席を徹底弾劾する戦闘的デモに立ち上がった。

8・15東京 靖国神社を許すな! 菅政権打倒!
反戦共同行動委員会は、靖国神社直近の法大キャンパス正門前の外濠公園から労学260人を結集してデモを勝ち取った。右翼、警察の敵対をはねのけ靖国神社を弾劾し、改憲と戦争に向かう菅政権打倒を訴えた。

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