2010年12月号(No.249)目次
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5900人が4・9「政治和解」攻撃に抗し、国鉄闘争全国運動の大発展を宣言(11 月7日 日比谷野音)

労働者の目  大恐慌の時代に対応する労働組合運動を創造する全国組織としての飛躍へ!

・「4・9政治解決」攻撃に負けず、新次元に踏み出した11月の地平から、2011年、国鉄闘争全国運動で勝負しよう 国鉄千葉動力車労働組合 執行委員長 田中 康宏

■少数でも闘いを継続すれば、大きな闘いができる
 ――10・15関西労働者総決起集会における「生コン産業ゼネスト報告」 全日建運輸連帯関西地区生コン支部副委員長 高 英男

■G20粉砕・日韓共同闘争に参加して □国労秋田闘争団 小玉 忠憲

■闘う合同・一般労組 階級的団結で闘えば、資本・権力のどんな攻撃もはねかえすことができる 関西合同労組 北大阪支部大和分会

ひめじょおん−女性部から エクソンモービルと対決し闘いぬいた11月闘争 ス労自主 長谷川ユキ

■年労働者は団結してたたかおう! OVER REV
JRでついに青年労働者の決起が始まった!
JR関連会社 松岡 要

労働ニュース ●能開機構3000人いったん全員解雇へ

■不屈に闘う争議組合へご支援を!
和解拒否の国労原告団2010年冬季物資販売へのご協力のお願い

読者のページ  

・●マンガ /編集後記
 

 労働者の目

大恐慌の時代に対応する労働組合運動を創造する全国組織としての飛躍へ!
辻川 慎一 事務局/動労水戸副委員長

 体制内「左派」指導部は、4・9和解を転換点に菅民主党政権の手先となり、民営化・外注化を進めるために現場労働者を抑圧し始めた。資本家の最後の擁護者としての本質をむき出しに労働組合の階級的変質に突き進んでいる。「戦後」的安定の化けの皮がはがれる時代の到来は、時代の矛盾が集中する青年らにとって、産みの苦しみはあれど根本的に歓迎する時代の到来だ。
 11・7集会は、この大逆流の中、動労千葉、関生の歴史的闘争と国鉄闘争全国運動を通じた3労組の団結を軸に、全参加者が国際的階級的団結を固めた。さらに100名を超える訪韓団が国家権力の妨害を突破し、G20との闘いを自らの闘いとして闘い抜き、民主労総ソウル本部との階級的団結を熱く打ち固めた。さらにAPEC闘争も戦闘的に打ち抜かれた。こうした激闘を通じて、2011年の課題も見えた。5900の結集とは、労働者階級大衆を組織する組織的力量の現状の率直な反映でもある。大恐慌の時代に対応する労働組合をめぐる戦闘的大衆的組織として交流センターを強大に建設していくこと。これなしに2011年決戦における万規模の決起と闘争は実現し得ない。組織こそが労働者階級の最大の武器だ。闘争の重要性と意義を語りながら組織建設に結びつけられない脆弱性を突破し、勝利に責任を取る組織に変わること。ここに核心がある。
 重要なことは、11月集会への過程で大恐慌下の労働組合運動の新たな階級的創造の萌芽が生まれていることだ。組織化とは、労働者階級大衆の階級的積極性と創意性との結びつきでもある。2月総会に向け、「全国運動」、外注化・民営化との闘争を通じて全国組織の本格的建設に突入しよう!

(写真 超厳戒態勢をふきとばした11・13〜14横浜APEC粉砕闘争【写真は13日】)

 

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■「4・9政治解決」攻撃に負けず、新次元に踏み出した11月の地平から、2011年、国鉄闘争全国運動で勝負しよう
国鉄千葉動力車労働組合 執行委員長 田中 康宏

 今年の11月集会はこれまでの集会とはひとつ違う次元で大きな成果を勝ち取ったと考えています。僕らの運動がこれまでとは違う、ひとつ新しい次元に踏み出した。今の時代の動きとわれわれの側との緊張関係の中、これまでの延長線上ではないところに一歩踏み出した。そういう感覚を持つことがすごい大事だと思います。
 漫然と見てると、「去年並みの結集だね。いい集会だったよね」という形で終わっちゃう。そういうことでは全然なかった。僕らはまだ勝ち切ってはいないですが、今の時代・情勢に負けない大きな基礎、土台をつくったということです。
 動労千葉自身、11・7集会後、ただちに新しい闘いに踏み出しています。これができたことも最大の総括です。

□2010年に切り開いてきたものは何か

 11・7労働者集会を総括する時に、2010年、まだ終わっていませんし、まだ年内これから二勝負ぐらいしなければならないんですが、この1年間、われわれが切り開いてきたものは何なのか。1年間通して築き上げてきたことから総括したい。
 11月集会の第1の総括は、「4・9政治和解」という歴史的攻撃に1〜3月の外注化阻止闘争の勝利の地平を土台に国鉄闘争全国運動で対決し、負けない地平をつくりだしたということです。それが5900の結果に示されています。

 1〜3月外注化決戦に勝利

 動労千葉にとっては、今年1月から3月にかけては文字通り外注化決戦でした。1月から3月に4回ストライキを構え、去年10月提案からすると5回のストライキを構えて、とにかくこの攻撃に立ち向かえなかったらこの先はないと思ったわけです。ここで中途半端なことをやって適当にごまかすなんてやったら動労千葉も終わりになると攻撃を見て感じました。労働者ごと下請け会社に放り出しちゃおうというんだから。放り出された後だって闘わないといけない。でもそこをごまかして、大変なことだと言って後から闘うなんてしたら、その時にはもう組合員の士気、団結はガタガタにされている。もう雇用・賃金すべてを破壊される土台ができてしまっている。もちろん安全も崩壊する。これは動労千葉だけにかけられた攻撃ではなくてJR東日本全体にです。だから、これに動労千葉という小さな労働組合が立ち向かえるのかということにまず突き当たります。
 これはどこの職場も同じだと思うんです。ある種の大攻撃がかけられてきて、そこであきらめちゃうというのがこれまでの既成の労働運動のあり方です。あらかじめあきらめているから、ではあきらめた中から多少いい道を探ろうというだけになる。こうなったらもう終わりだった。あきらめない。どこまで立ち向かえるかどうかわからないし、先の見通しも見えないかもわからないけれど、ここで立ち向かうと決断した。こう立った時に、外注化という攻撃は何なのか、正面から見据えなきゃいけないということに立ち至るわけです。目先のこの業務がこう外注化された、これがこうなってというだけの問題ではなくて。
 その時、結局これは労働者を非正規に突き落としたりワーキングプアにしたり、権利から何からすべてを解体し尽くしてきた核心的な攻撃だったというところに思い至り、では日本の労働組合はこれにどう立ち向かってきたのか見据えなきゃいけないということに突き当たる。
 そしたら何だ、立ち向かえなかったどころか全部手先になっていたんじゃないかって。その結果が今の労働者が置かれた現実ではないのか。だったらこれは大勝負かもわからないけれど、そのことを真正面から訴えようと。それは攻撃の本質的な部分と職場そのもの、労働者に今直接かけられている攻撃が完全にひとつになるということです。これに対して現場の団結を信頼して闘おうというのが1月から3月でした。
 だから当然敵の攻撃の弱点をつかもうと必死になります。偽装請負の問題とか。御用組合が手先にならなかったら成り立たない攻撃だとなれば、御用組合をガタガタ揺さぶればいいわけです。組織拡大です。そこに焦点を絞って全力を尽くしてやったら組合員が総決起をしてくれて、いわば予想もつかない展開で、全部止めちゃったわけです。

 4・9「政治和解」との対決

 この渦中で中野顧問が亡くなりました。動労千葉にとっては心棒です。だけどそれをのりこえられたのは、この闘争に総決起できていたからなんです。この闘争に組合員が根こそぎ総決起しなかったら「これから先、動労千葉は大丈夫なのかよ」とだけ残ることになるわけです。すべての問題を闘いの渦中でのりこえていく。「偲ぶ会」までみなさんの力の結集で立派にやって新しい出発点だという感じになったところに、4・9の国鉄1047名の「政治和解」が来たわけです。これは外注化以上に大変な問題でした。
 それから以降11月までは、これに立ち向かわないといけないという意識です。今までの発想だと、せいぜい僕らは断固反対を貫き通す。それで徹底的に孤立して終わり。これは屈服はしなくたって今までの延長線上の発想からいったらそうなるんです。そうなったら動労千葉の団結も崩れるんです。だから必死に考えに考え抜いて、こんなことができるのかとさんざん悩みましたが、ここで新しい運動を立ち上げようと決断したわけです。そういう決断をした以上は、中途半端にできないと思って必死になってとにかく呼びかけて議論をし、6月に「全国運動」が立ち上がったわけです。

□国鉄闘争全国運動が切り開いた11 月集会の新しい地平

 24年間闘われた国鉄闘争は、体制内的な人たちも含めて、労働運動をやっていた人々にとっては日本の労働運動の心棒だとみんな思っていた。それが突然折れるという状況が、労働者一人一人の意識の中にどれほどの影響を及ぼすのか。これは大変なことです。「結局ダメなんだよ」って。これをのりこえる過程が6月から11月でした。
 だからいくら必死になって奮闘したって一般的なことをやっていたら今年の11月集会は激減して当たり前でした。1万人結集は未だ実現できませんでしたが、この状況の中で去年並みに結集したということは、絶対に土台になります。全国運動そのものが奇跡的です。4・4派の連中にしてみたら敗戦処理過程ではないですか。こっちは敗戦処理なんかではないと言ったって誰も見向きもしないという状況の中で、全国に立ち上げたらこの時代に対して同じ危機感を持ってくれている人がいたわけです。なぜ呼びかけ人になった人たちがあそこまで自らの運動として必死になって呼びかけてくれるのか。われわれの力で可能性をつくりあげたんです。
 今年の11月集会が、これまで違う次元に踏み出したというのはまさにそういうことです。
(写真 11・7集会後のデモの先頭に立つ田中委員長【(東京】)

初めて明確な路線と方向性を打ち出すことができた

 では仮に「全国運動」を呼びかけていないで11月集会をやったらどういう11月集会になったか。人数は減り、集会内容もバラバラになっていた。とにかく焦りだけが前面に出て展望が見えない集会になった。
 そうではない集会になった。これはすごいことです。この道を進めばいいと明確に打ち出せた11月集会になりました。その下に5900の人たちが、ここに賭けてこの道を進もうとなったわけです。
 だから11月集会の総括の2番目はそのことです。日比谷野音に結集した多くの仲間たちが、ひとつの方向を向いてこの闘いでこの時代に立ち向かっていこうと、心の底からの一致ができた。つまり路線と方向性がものすごい明確になった。
 この1年間、各職場で困難を極めた奮闘がありました。多くはまだ壁を突き抜け切れていなかったり壁の前でどうしたらいいかわからなかったり、少し突き抜けていたりとかだと思うんですが、各職場・地域で、組織をつくろうと全力を尽くして頑張った結果の5900だった。
 そういう点で大きな基礎、土台をつくった11月集会でした。われわれだけが明るさと展望と、困難かもしれないかもこの道を行けばいいんだという確信を明確に持っている。こういう時代にそういうものを持ったこと自身が画期的なんです。

労働者と格闘する中から「時代認識と路線」が生まれる

 だからそこで思ったことは、時代認識と路線という問題をもっともっと深めなくちゃいけないということです。
 どういう意味かというと、この資本主義体制の危機の中で、時代の閉塞感の中から「領土」を旗頭にした新しいファシズム運動が生まれてきています。それどころか政府からマスコミまで含めて全部「日本固有の領土」だと言ったら誰も反対できない雰囲気が醸し出されている。「領土」ということを言い出した途端に結局は戦争に行き着く以外に解決の道はないわけです。
 こうした情勢を見る時にずっと言ってきたことは、資本主義の危機の時代に歴史的にこういうものが現れているという見方です。
 だけど時代認識という時、もっと大事だと思うことは、こういうものが労働者の意識を捉えた時に本当に反動的・反革命的な運動になるわけではないのかということです。だから大宣伝され、右翼が呼びかけるところに若者が、非常にわかりやすい論理に惹かれて、いろいろな鬱憤からはけ口みたいな形も含めて一定結集をする。つまり職場・地域で労働者の意識をこういうものが捉える瀬戸際の時に、一体何をすべきなのか。問題はそこです。
 これは4・9だって同じです。ああいう「和解」がある種の成果だとして労働者を捉えていく時に、僕らが決断することは何なのか。かつての1930年代の教訓はこれこれだと言っているところからさらにもう一歩進まないといけない。絶対に日本の労働者をこんなものに捉えさせない。捉えさせないために今決断することはこれなんだというところまで深めなかったら時代認識にならない。2010年、4・9政治和解という大反動に抗してやってきたことは、そういう決断と踏み込みで新しい次元に入ったということです。
 その結集が11月集会です。決断がそれぞれの職場で待ったなしで問われた。尖閣問題で職場の労働者だって圧倒的にはマスコミの垂れ流す情報に影響を受けている。その時にわれわれは決断しなければいけない。われわれのあり方を変えなきゃいけない。すべてにこれが問われた。そういう必死の実践をやってきた5900というのは大きい。
 時代認識と路線という場合に情勢をわーと語ることが時代認識だと勘違いしてはいけないとあらためて思います。自らが労働者と格闘する中から時代認識が生まれます。労働者との格闘にならない時代の見据え方は間違っています。この関係の中からこれから進むべき道すべてが生まれてくる。今年の11月集会に向かう過程で問われたことはそこです。いったん闘い始めた労働者は、排外主義や国家主義、体制内派の屈服的な労働運動などの本質を全部見破って、自分の中に闘う力を甦らせる存在になる。この確信が問われるところに来たと思います。
 その時に路線とは、真正面から見据えた時代認識にこういう方向で闘えばいいんだという方向性を与えるということですが、これももう一つ新しいところに踏み出しました。一般的に方向性を与えるだけではもう通用しない。時代認識と路線と具体的方針そして階級的団結論。具体的方針とは労働者を組織する具体的な闘いの方向性を示すもので、これも格闘の中からつくりだすものです。路線も反合・運転保安闘争を中心に現場との格闘の中からつくりだすものです。今までは時代認識と路線と言って、僕らが空気入って心棒さえ立っていれば何とかなった。もうそういうレベルではない。今年の11月集会で踏み出したことは時代認識と今日何をやるかまでのトータルが問われる。そういう課題が議論の俎上に上るところまで来たわけです。
 だから冒頭に言ったとおりです。僕らの闘いは今年の11月集会と2010年の闘いの中でこれまでとは違う、新しい次元に踏み出しています。これに無自覚だったら全部終わりになります。だから組織をすることなんです。ここに11月集会の総括の核心があると思います。

国際連帯の画期的前進

 今年の11月集会で大きいのは国際連帯です。この局面でも圧倒的に前進しました。これも表面的な前進だけではない。
 特に、日本と韓国・民主労総ソウル本部との関係もまったく新しい次元に入りました。民主労総全体もそうですが、ソウル本部も、この情勢の中で今までのことが通用しなくなって、新たな闘いが求められていました。理念交流をやり、国際連帯集会をやり、11月集会をやるという過程で必死で学ぼうという姿勢に心を打たれました。
 日本で11月集会派がつくりあげてきたものがそういう力を持っているということです。われわれがつくりあげてきた路線や方針、闘いの構え方、動労千葉自身が必死になって模索してきた反合・運転保安闘争路線を中心とした労働運動路線、「全国運動」の路線。これらが独りよがりではなかった。国際連帯の鏡に照らして確信が持てました。
 11月集会の翌日、スティーヴ・ゼルツァーさんが「今年の11月集会は去年までと違って進む方向が洗練されていた」と言っていました。これで行くんだという方向をついにつかんだね、みたいな感じなんです。民主労総の代表で来た主席副本部長のノミョンウさんは「これほど国鉄闘争全国運動が全国に浸透しているとは思いませんでした。びっくりしました」と。圧倒的に孤立しているだろうなと思っていたわけです。海外から見てもそういうふうに見える。だから日本の労働者を獲得できないわけはないんです。
 さらに大変なスケジュールでした。4日に三里塚反対同盟との交流会、5日に日韓理念交流、6日に国際連帯集会をやって7日に集会。1日置いて9日に韓国に行って帰ってきたら翌日、翌々日とAPEC闘争。去年だったらこんなことはできなかった。だけどこれをやり切れたのはみんなの力がひとつになったということです。これが大きい。
 方向性を見失っていてもおかしくない時代にこれだけの明確な闘いの路線・方向性をつくったということ。これが最大の成果です。本当にすべてはこれからだと思います。
 それから結論しか言えませんが、全学連を先頭にして沖縄闘争、三里塚労農連帯闘争そして階級的労働運動路線の下での反戦闘争の新たな地平を切り開いたことも決定的でした。
(写真 韓国G20粉砕闘争で固い握手をかわす田中委員長(左)と民主労総ソウル本部・ノミョンウン首席副本部長【11月11日 ソウル駅前】)

□12月ダイ改阻止、組織拡大のストライキへ ――11月集会の地平から再び職場攻防へ

 だから動労千葉は韓国から帰ってきてすぐ職場の攻防に入る、全面的に頭を切り替えようと議論をしました。それは僕自身が11月までは「全国運動」をつくることにほとんどすべてを費やしていましたから。とにかく立ち上げて軌道にのっけて今の情勢に対する対抗力になるところまでは持っていかなきゃいけないと思っていたから職場をおろそかにしてました。この延長線上では絶対に行かない。でも組合員はそのことをわかってくれていたんです。11・7集会に組合員がこの数年間で最高の結集をしました。今年は絶対に減ると思っていたんです。でも現場は大変なことに踏み出したんだということをわかっててくれたんです。
 だからなおさらのこと11月集会が終わったら直ちにリセットして、職場の状況をつぶさに聞いて闘争にできると踏んで、12月4日ダイ改でストライキを構えていこうとしています。
 これもなぜ決断できたかというと、この1年がかりで組織拡大闘争がギリギリまで煮詰まっているからなんです。フタを開けてみないとわからないですけれども、ストライキを構えてやれば動労千葉に結集してくる可能性がある。こういう土台があるから闘争も決断できたんです。
 だからひとつひとつが失敗の許されない情勢です。外注化決戦がなかったら4・9以降の運動なんてできなかった。4・9で必死になって全国運動をつくっていなかったら11月集会は成功しなかったと思います。11月集会は成功したけれどもそれでこの延長線上で行くと思った途端にすべてはダメになる。今度のストライキは、1年がかりで必死になって地を這うような形でやってきた組織拡大の成果がなければ決断できなかった。今度のストライキの渦中で、例えば組織拡大が実現できたかできないかで組合員の団結は大きく差が出てくる。つまりそれぞれの職場を軸に闘うということは、情勢との関係で、ひとつひとつに全力を尽くして失敗が許されないということです。そういう感覚を持てるかどうかが時代認識です。
 それでなおかつさらに言うと、うちの解雇者である水野さんを勝浦の市長に押し立てて闘うということになりました。これも、もう勝浦という町で「水野さんが出るしかないじゃないか」となって決まったんです。こんなことが起きる。これだって投票日が来年2月13日ですから切迫しているんです。でも11月集会が終わって、外注化が迫っている中で思い切って外注決戦を全力でやり尽くした時にこれをやる条件が生まれてくる。そういうふうに構えています。
 みなさんは職場の問題を抱えていると思いますが、今現場の労働者が元気になり、それを組織するためにはいま今日の時点では何をしたらいいのか。今日と明日ではやることはまた違ってくるはずです。そういう正しい切迫感を持って、大きくは公務員制度改革を軸にした労働者に対する全面攻撃と、戦争に向かう流れに立ち向かうものをつくりたいわけではないですか。それはひとつひとつ小さな闘いの結合です。自分の職場の攻防に、大きな、われわれが目指すもののすべてが凝縮して煮詰まっている。その時に一般的に構えていたら絶対行かない。そういう闘いに、2011年、1年間踏み出そうということです。

□「全国運動」と労働学校をひとつに労働運動の再生を

 2010年1年間の最大の総括は「全国運動」を立ち上げたことです。3000名の会員をつくり、日本の労働運動を一からつくり直す土台にする。今「全国運動」の職場とか地域の会は30を超えるぐらいです。これが200ぐらいにならなきゃいけない。網の目のようにつくる。これを結合させて真剣になって勝負をする。立ち上げたものは組織として月に1回とか集まって、問われている課題に方針を出す。
 それともうひとつ訴えたいことは、「全国運動」は明らかにこの労働学校の中から生まれてきたものです。呼びかけ人の面々を見て欲しい。ここで提起をし、みなさんと討議をしてきた過程が土台をつくっているんです。いろいろ考えてきたことが「全国運動」という具体的な形を与えられた途端にばーっと噴き出して力になった。すごいでしょ、みんな、あの呼びかけ人の人たち。一般的に支持してくれるとかではなくて力になったわけです。だから労働学校運動を全国でやらなきゃいけないと思います。労働学校が全国に立ち上げられましたけれど、どこだって2年目、3年目はきつくなってくる。だけどこの「全国運動」の組織と労働学校をひとつにすれば、労働運動再生の芽になります。「全国運動」と労働学校運動を渾然一体な形で成功させていく目的意識性を持たなければいけない。その意味で職場の闘争を重視する。
 職場闘争、物販闘争、動労千葉を支援する会―「全国運動」、そして労働学校の4つの方針を地道に1年間続けたら来年は今年の2倍集めることは不可能ではない。今年の11月集会を見て実感として思います。この1年間この方向を向いてぶれることなく実践したら絶対に不可能ではないと初めて思いました。
 全国の皆さんにあらためて御礼を申し上げ私の提起に代えます。ありがとうございました。

(11月20日、動労千葉労働学校で行われた動労千葉委員長・田中康宏代表のあいさつをまとめたものです。)

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■少数でも闘いを継続すれば、大きな闘いができる
 ――10・15関西労働者総決起集会における「生コン産業ゼネスト報告」
 全日建運輸連帯関西地区生コン支部副委員長 高 英男

11・7集会後のゼネストの状況について 関西労組交流センター

 全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)の「大幅賃上げ」を掲げた、10年春闘は、7月2日から4カ月半にも及ぶ「産別ゼネスト」として闘われてきました。生コン産業政策協議会(関生支部を含む生コン産業の労組の集まり)は、11月17日の10春闘・第10回集団交渉において、その成果を確認して「ゼネラル・ストライキ」の解除を決定しました。ここにおいて、歴史的なゼネストが、歴史的な勝利を収めたのです。
 生コン産業政策協議会と大阪・兵庫生コン経営者会との「10春闘・第10回集団交渉」では、業界再建のために労働側が求めた生コン適正価格の収受が進んだことや、その他の要求事項に対しても『小委員会』を設置して今月中に詳細決定することを労使間で確認しました。『バラセメント代表折衝』も解決の方向に向け合意。11月18日の『圧送代表折衝』でも賃上げ・一時金・福利厚生で妥結、政策課題については継続協議としたのです。
 「バラ・生コン運賃値上げの実行」「(ゼネコンの生コン買い叩きのための)ブロック対応金の7月1日からの廃止」「(ゼネコンの業界支配の元になっていた)卸協の解散」などかつてない地平を達成しました。
 労働組合が少数でも断固として闘えば、巨大な闘いができることを「産別ゼネスト」は示しました。まさに「大手資本を動かす労働者の団結の威力を発揮!!」(生コン産業政策協議会 10春闘共同ニュース速報17)です。組織率3割の労働組合が、ゼネコンや大手セメント資本を相手にして、一歩も引かず闘いぬき、業界再編の闘いをやり抜いているのです。
 労働運動の根絶・一掃を狙う「4・9」大反動を打ち破って、11・7労働者集会は勝ち取られました。動労千葉の外注化阻止、関生支部の「産別ゼネスト」の勝利を受け継いで、2011年決戦に突き進もう。
 (関西労組交流センターK)

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たとえ少数になっても「政治和解」を認めるべきではない

 まず冒頭、ストライキの報告の前に、今日関西で「国鉄闘争の火を消すな」国鉄闘争全国運動の集会を動労千葉の主催で行うにあたって、われわれ関西地区生コン支部は『新たな全国運動スタート6・13大集会』において、たとえ少数になっても国鉄におけるあの「政治和解」を認めるべきではない、その意味で勇気を持って闘いを継続するんだという国労の6名の仲間と動労千葉の仲間に対して、この闘いを断固支持すると述べたことを決意として言っておきたい。
 先程から田中委員長からわれわれのストライキが動労千葉の闘いに大きな勇気を与えているといわれて光栄に思います。うれしく思っています。逆にわれわれは、7月2日から現在まで闘いを継続していますが、この間多くの闘う労働組合や労働者や市民の方から頑張れと激励を受けてきました。この勇気がむしろわれわれのこの闘いをここまで発展させていったということも含めてお礼を申し上げます。

3カ月にわたるストライキ

 さてストライキの報告ですが、われわれの直接の相手は国鉄とは違ってちょっと叩かれたらすぐ潰れる生コン企業が相手ですから闘い方はいろいろ工夫がいるんです。われわれは彼らを相手に3カ月闘ってきました。
 元々われわれの勝ち取るところは大幅賃上げで、これを求めて闘っているわけですが、実は生コン産業は主要な資材であるセメントを独占資本のセメントメーカーから買い入れし、それを製造して売る相手はゼネコンです。いわば大手から買って大手に売る。非常に狭間の産業です。長年に渡って、高い材料を買わされて安い価格で売らされる。そういう構造にずっとあった。われわれの闘いの歴史は、こういう産業で、自分たちの雇用や労働条件を安定させるために本当に体を張って血を流しながら今の労働条件をつくってきた、そういう自負があります。
 その中で今年は、昨今の不景気、公共投資減少の影響で、生コン工場の100社近くが倒産するという危機的な状態です。そういう状況の中で中小企業は会社がつぶれるとなる場合はほとんどはまずは労働者に大きな合理化、犠牲を転嫁する。このままでは業界の大多数を占める中小零細企業は倒産し、雇用が失われ、産業自体の崩壊につながるかもしれません。深刻な事態です。崩壊させないためには、過当競争で下落した生コン価格を適正な価格に引き上げ、生コン産業に従事する、出入り業者を含めたすべての業者が適正な利潤を得ることが求められます。元々生コン支部の闘いというのは、この闘いです。
 さて、7月2日からのストライキは、大阪にある2つの協同組合があって、今われわれがストライキやっているのは主要には大阪広域協同組合です。80社が結集している企業です。もう一個、30社ほどが結集している阪神生コン協同組合があります。そしてセメントを輸送する近畿バラ輸送協同組合。ここは70社から100社ほど結集しています。現場のコンクリートをポンプで納入する圧送の企業なんです。ここが約75社ほど。この全部の企業に対して、3つの労働組合と1つの圧送の労働組合がストライキを通告しました。全部合わせて200を超える企業に対してわれわれはストライキ通告をしているんですが、ストライキ通告をした約200社の中で4つの労働組合全部足しても組織率は3割にも満たない。

少数でも正しい方針があれば大きな闘いができる

 しかし、200社に影響を及ぼすようなストライキを打てた。生コン産業だけならここまで大きなストライキはできないんですね。生コン産業とセメント輸送と圧送という周辺の関連産業でこぞって足並みを揃ってストライキを構えたからこそできた闘いです。見方を変えますと、動労千葉も先程300名ほどの労働組合で、生コン支部も生コン産業だけだと約1000名弱、一般の業種も合わせて1
500名ほどの小さな労組ですが、しっかりした闘いやしっかりした方針があれば、これだけの大きな闘いができるんだということです。このことをわれわれ自身が確信できました。少数でも正しい方針、正しい戦術でやれば大きな闘いができるということを、われわれ執行部だけではなくて今日多く結集している組合員が確信を持っています。

賃上げ「ゼロ回答」への怒り

 もうストライキは3カ月から4カ月目に入ります。要求は自らの賃上げや労働条件があるわけですが、何がもめているかというと、生コン価格の値上げを要求しています。ストが長期になっている要因はいろいろありますが、主な原因は、スーパーゼネコンがこぞって足並みを揃えて生コンの値上げを拒否したからです。まず結論を言いますと、9月27日、最後まで粘っていた竹中工務店と大林組が値上げに同意をしました。したがって協同組合で扱う全域に値上げが通った。われわれの闘いは基本的に勝利的に収束しようとしています。
 値上げはできました。だけど賃上げの回答はまだです。今日、実は経営者会との集団交渉がありました。ほとんど値上げは成功したという報告があった。しかし、本題であるわれわれ労働組合に対する回答は「ゼロ回答」です。これはもう「ふざけるな」ということです。今日の交渉については決裂、物別れになって1カ月後にもう一回交渉するとなりました。したがってこの闘いはもう後1カ月、継続をすることを今日通告しました。
 今回、われわれがストライキを打って、値上げに応じる所から順次出荷を始めて相手にするという戦術で、結果として全体が応ぜざるを得ない関係をつくったわけですけれども、製品は一回納入されているわけですね。納入したら後はひっくり返してくることは十分にありうるわけです。したがってこれに対しての警告をしながら、約束をしたのに値上げに合意できないという企業については来週から出荷を拒否する。そういう態勢で臨んで、まずしっかりと値上げをさせる。そういうことが必要であったので、1カ月継続するということです。
 もうひとつは直接労資関係のある企業がここまで負担を被りながら闘っているわれわれに対して「ゼロ回答」とは何事やと。しっかりと中小企業、協同組合側と値上げについては共同戦線で成功しましたが、ここからは、労資の間でしっかりと労働者側の要求を勝ち取る闘いです。これから本当の意味でわれわれの闘いが始まる。そういう状況にあります。

ストライキの背景

 このストライキはいろいろなところで報告をさせてもらっています。
 ひとつは、3割にも満たない組織率のわれわれの闘いが、なぜここまで影響を及ぼせるか。一個は時代状況があります。ストライキの実態を見ますと、例えば生コン支部は当初200名以上がストライキの際に各企業に監視に行きますけれども、その1工場の組合員は何十人もおりません。基本的には1〜2名です。だから、企業が労働組合なんて関係ないと考えることもありえた。だけどそれをあえて企業側はしなかった。なぜかというとわれわれが求めた闘いは、値上げの要求でしたから。企業側も今、安い生コンを運ぶよりも労働組合がガンガンやっている「値上げ」に「足並みを揃える方が良い」と闘いに共鳴と同調をしたんです。基本的に協同組合というのは事業活動を目的にしてますんで、協同組合が出荷拒否みたいなことをすると損害賠償の対象になります。しかし、自分たちが生き残るためには、労働組合の闘いに協同組合が共闘をせんとあかん、そういう背景があった。われわれの要求は単に労働者だけの要求ではありませんでした。直接われわれを雇用している相手ですから基本的には資本対労働者の関係にあるわけです。けれども、経営者の大きな観点から言うと、ゼネコン独占やセメントメーカーから収奪されている関係にあるわけですから、一面では要求が一致する。そこで懐柔をして、経営側に呼びかけを徹底しました。

6・27総決起集会の画期性

 みなさんは7月2日からのストライキを注目されていると思うんですが、実は春闘で決裂しているのは3月末です。つまり3カ月間は、企業に対して啓蒙や説得活動をやって、6月27日に2400名で『生コン関連業界危機突破6・27総決起集会』を開催したわけです。この集会そのものはものすごい画期的なものでした。何が画期的かと言うと、2400名の内訳は、1200名が労働側で、残りは経営側です。つまり半分半分。労資で経営危機突破の総決起集会です。こういう集会はたぶん日本でもそうないでしょう。このストライキの教訓は3カ月の継続だけじゃないです。前段の丁寧な経営側に対する共闘申し入れや呼びかけが成功した。これは単に生コン産業だけでやるという、そういう闘いではないと思うんです。どの産業やどの業種においても、そういった地点で自分たちのちょっと立場を変えますけれども、共通の敵や共通の相手にはしっかりと共闘を求めて闘いを挑む。そういう闘いの陣形をつくる能力を持ち、努力をすることが結果的に闘いを成功させるということになります。

闘いの継続こそ力

 一番の要因は最後になりますが、うちの組合員です。すごいと思ったことばかりです。7月2日の真夏の炎天下で工場の門前で活動していたんです。多くの組合員が日増しにどんどん真っ黒になっていく。それでも、成果が上がっていきますから身体は疲れていきますけれども意気は上がっていく。金銭的には困っているけれども、どの職場からも一人の脱落者も出ていない。この闘いがわれわれ自身を鍛えてくれている。動労千葉もそうですけれども、学習も必要ですけれども闘いの中からしかわれわれも鍛えられませんし、闘いの中でしか飛躍突破もできない。
 港合同や動労千葉と生コン支部が共通しているのは、少数であってもここまでの組織力を確保しているのは闘いを継続しているということです。動労千葉は分割民営化に反対してストライキで闘い、28名が公労法解雇されたわけでしょ。その中でも現在も闘いを継続している。港合同も田中機械も闘いを継続しているから組織力を維持できるし組合員も鍛えられる。われわれも闘うことをやめたらうちの組織も終わりです。闘いにしかわれわれの生きる道はない。中小企業のわれわれ労働者も闘い以外に道はないことをこの闘いが示している。
 だけどこれは生コン産業だけの闘いではない。動労千葉の闘いが全国各地でいろいろな共闘を生んでいるのと同じように、いろいろな産業でも共闘できる。少数でも何も恐れることはないと思う。しっかりと闘えば少数でも多数に影響を及ぼせる。このことをわれわれはこの闘いでしっかりと確信したということです。
 残念ながら今日の集会で全部値上げして賃上げも勝ち取れたというような報告をしたかったんですが、賃上げが「ゼロ回答」ですから、この闘いは勝利的に解決するであろうということを最後に報告して報告を終わります。
(写真 360人が結集した10・15関西労働者総決起集会【大阪市中央公会堂】)

(10月15日、大阪市中央公会堂で行われた「国鉄1047名解雇撤回! 職場・地域に『国鉄闘争全国運動』を広げよう!」関西労働者総決起集会での発言を編集部の責任でまとめたものです。)

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■G20粉砕・日韓共同闘争に参加して
□国労秋田闘争団 小玉 忠憲

(写真 ソウルの夜空に翻る動労西日本の旗【11月10日】/チョンテイル烈士像にて左から小玉、山田、羽廣憲の各氏【11月11日】)

 私と羽廣さんは「政治和解」を拒否した国労原告団を代表して、8日〜12日(4泊5日)の訪韓闘争に参加することができました。『共に闘う国労の会』の会報への投稿となるべく重複しないように記します。
 私たちは、9日ソウル地域本部の事務所で行われる「訪韓団歓迎会」までのあいだ、日帝統治下の施設を見学することにしました。@まず、ローソクデモの100万人が押し寄せたという朝鮮総督府があった光化門。近くに米施設があり、装甲車とマシンガンで武装したコマンドが護衛というものものしさに緊張。A次に、日本の観光コースには入ってないと言われる、日帝が設置した西大門刑務所歴史館です。少ない年で8千人台、多い年で2万数千人の政治犯を収容したと記録され、全員の写真が展示されている室や、植民地下で命をかけて闘い抜いた、数十万人の民族解放戦士を拷問した施設や独房・処刑場等がそのまま掲示されています。教員に引率された小学生2組が、義務教育の一環として見学している状況を見て、衝撃を受けました。Bそして、1919年3・1独立運動発祥の地、タプコル(パゴタ)公園と、公園内に独立運動を記した12枚のレリーフの見学。Cさらに、伊藤博文を暗殺して処刑された、弱冠32歳の韓国の英雄=安重根(アンジュングン)記念館です。D最後は、現在も民主労総の会議場として使用することがあるという、活動家をかくまったお寺=曹渓寺。

素晴らしかった「理念交流」

 10日は、歓迎式の後、9時半から17時半まで、『韓日労働者階級の国際連帯のための戦略と実践課題』と題した「理念交流」を、訪韓団全員で行いました。講義は、@「世界大恐慌情勢の下での階級的労働運動の課題」(動労千葉労働学校講師・鞍田洋氏)、A「非正規職・派遣労働者問題と闘い」(東京東部ユニオン委員長・小泉義秀氏)、B「間接雇用非正規職闘争の成果と課題」(全国不安定労働撤廃連帯・パクチュヨン氏=女性)、C「国鉄分割民営化攻撃と動労千葉の闘い」(動労千葉・田中委員長)の4本。どれもすばらしい講義で、世界大恐慌という時代認識の決定的重要性、新自由主義のもたらした非正規職との闘いは国際的課題であること、とりわけ動労千葉労働運動が切り開いてきた団結を総括軸とする路線のすごさ、偉大さをあらためてつかみ取ることができました。質疑討論では、「過剰資本ではなく過剰投資ではないか?」「(日韓で公務員の対応が異なるが)日本厚労省の発表した文書の評価を」(韓国)、「講義を聞き、自分が生きているうちに革命ができると思えるようになった」(ドイツ)、「日本公務員360万人首切りの大問題」「会社が倒産したら終わりだという考えを翻す時代認識と路線が必要」「外注化・民営化の中で正規職と非正規職がどう団結して闘うか」「国鉄闘争全国運動に展望」(日本)などが活発にかわされ、ソウル本部同志による「問題が生じたら闘争することが大事」「資本家は空気さえも私物化するだろう」「団結して闘わねばなりません」という総括に納得しました。
 11日は、チョンテイル烈士が働いていた平和市場を徒歩で見学がてら、烈士の像のある東大門のチョンテイル橋を訪ねました。橋のど真ん中の巨大な像を見て、韓国労働者階級の熱い思いに打たれました。
 日本の労働者階級の一員として歴史を学びつつ、9日からの「訪韓団歓迎会」、10日の「理念交流」と世界労働者文化祭、11日の「G20粉砕! FTA粉砕!」へ、ストライキでソウル駅前を埋め尽くした韓国労働者階級との集会・デモ行進の体験は、労働者に国境はない! 万国の労働者は団結できる! ということを心から実感できるものでした。
 11・7労働者集会に駆けつけてくれたソウルの同志たちの思いに応えるためにも、国鉄闘争を軸に、今度こそ11月集会1万人組織化の実現へ決意を新たにしています。カムサハムニダ!

動労西日本副委員長 山田 和広

 初めての海外の上に、厳戒態勢のところへ乗り込むので、ものすごく緊張した。しかし、空港では特に何もなくスムーズに通過できたのは意外だった。目立つポールを持っていったので、空港から宿泊先のホテルまで案内してくれた現地のガイドさんが、「何に使うの?」と聞いてきた。こちらが、集会とかデモ行進で使うと言うと、「ソウル市内はものすごい数の警察がいるから、G20に抗議とかすると、捕まって日本に帰れなくなるかもしれないよ」なんて言うもんだから、不安になってしまった。
 さっそく民主労総ソウル本部を訪問。しかし動労千葉が入国時に妨害を受けたため、この日は動労千葉の同志不在の食事会となった。しかも、空港で旗・ゼッケン・ポール・ハチマキなどの差し押さえがあったという。何が何でも韓国の地に動労千葉の旗印を登場させないという、韓国権力の意図は明らかだ。
 2日目は、韓日労働者理念交流会。情勢と時代認識の確認をし、非正規雇用労働者の問題、公共部門の民営化の問題など討論した。チョンテイル烈士のビデオ上映も行われた。夜は、世界労働者ロウソク文化祭に参加。日本の11・7労働者集会とは違い、歌や踊りなどのパフォーマンスが多いのが印象的だった。路線的なものがあまりなかったように感じてしまったが、文化祭というくらいだからこんなものなのかな。
 3日目は、予定されていた鉄道労組訪問が中止となり残念。でも、国労共闘の同志と一緒に東大門周辺を散策し、チョンテイル像を訪問した。ここで驚いたのは、JR総連がアリバイ的に献花をしていたことだ。JR東労組と書かれた帯が付いた花が置かれていたのですぐわかった。全く許しがたい! 午後は、ソウル駅前での集会とデモ行進に参加。ここでもびっくりしたことがある。それは、集会場で巻き寿司や餅といった食べ物を、たらいで売りに来る人。それから、デモ行進を一緒にしながら、マスクや雨合羽を売りに来る人がいたことだ。
 動労千葉の旗が奪われたので、わが動労西日本と動労水戸の幟を先頭に、稲妻や落雷もちらほらあったが、デモ行進を貫徹できた。デモの途中で韓国のKBSが私のところにいきなり取材にきたので、これも驚いてしまった。最後は権力のバリケードで阻止されたが、総括集会をきちんとやって次につなげることができてよかった。

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■闘う合同・一般労組

階級的団結で闘えば、資本・権力のどんな攻撃もはねかえすことができる
関西合同労組 北大阪支部大和分会

(写真 奪還した岡田分会長と分会員、交流センターの仲間【10月26日 神戸拘置所正門前】)

 10月26日午後3時、岡田分会長を取り戻しました。377日ぶりの奪還です。ご支援・激励、本当にありがとうございました。
 1年を超える不当勾留と「組合員同士の接触禁止」策動という敵の団結破壊攻撃を打ち破って、岡田分会長はますます元気です。分会は、連日の分会会議と弁護団会議で〈絶対無罪〉方針をあらためて確認し、10月30日の奪還祝勝会で「公訴棄却(取下げ)まで攻め続ける」と訴え、その第一歩として11・1神戸地裁行動に決起しました。
 11月1日、地裁前結集の50名の仲間たちは、直ちに抗議行動に移りました。分会は、岡田分会長を先頭に地裁4階の各刑事部に行き、「神戸地裁は無実の私を1年以上も勾留したことを謝罪し、直ちに公訴を棄却せよ」という本人申入れ書を読み上げ、それを正式文書として受理させる画期的勝利を勝ち取りました。私たちは、門前集会に合流して勝利を報告し「地裁―地検を串刺し的に弾劾包囲するデモに打って出よう! 11・7集会1万結集の力で、国鉄闘争全国運動を飛躍・発展させて労働組合を甦らせよう」と提起しました。

11・7めざして実力奪還

 10・26奪還で、11月集会には1年ぶりに分会員全員が参加し、国鉄闘争と国際連帯の前進を実感することができました。
 昨年10・14不当逮捕は公安権力の11月集会破壊攻撃でもあることから、今年も10月前半までは“越年”を覚悟せざるを得ない厳しい状況が続いていました。これを打ち破ったのは、検事のいいなりで勾留を続けている神戸地裁に対する抗議行動の積み重ねです。特に、8月に家族の保釈申請を受理させたことを突破口に、9月に本人による勾留取消請求及び準抗告を拘置所内から叩きつけ、10月12日には検事が「証拠隠滅の当事者」と名指ししてきた分会員自身による抗議申入れを担当裁判官に突きつけたこと、昨年末からの地裁門前や駅頭での抗議街宣や弁護団からの異議申し立て等と一体になって、神戸地裁をジワジワと追い詰めていったことが大きかったのです。ついに神戸地裁は、10月22日の保釈申請に対して検察に責任をなすりつける形で保釈を許可しました。「準抗告なしで検事から“しかるべく”と言ってくるとは前代未聞、しかも“組合員同士の接触禁止”なしで!」と弁護団が驚く急展開でした。獄内外を結ぶ団結力でもぎとった実力奪還です。ところが、11・1包囲デモで“公訴取下げ”を突きつけられた検事・藤川は、初公判目前の11月8日になって突然「訴因変更」を請求。これは、公安権力自身が公判の維持すら困難と自認したに等しいことです。公訴取下げまでさらに攻め続けます。

あくまでも分会が闘争主体

 10・14弾圧の目的が組合団結の破壊にあることについては、本誌2月号に投稿したので、今号では、奪還を勝ち取った地平に立って、中間的な総括視点を書きます。第1の総括視点として、まず何よりも、10・14弾圧を受けて分会の団結が圧倒的に強化されたことがあります。それは、@分会員全員が10・14弾圧を組合にかけられた攻撃として受け止めて主体的に決起したこと A眼前の敵(公安権力と地裁)と真正面から向き合うことで攻撃の全体像と本質が見えてきたこと B敵の攻撃を押し返す中で分会の長年の課題もまた突き出されてきたこと、を一歩ずつ討議して深めてきたことの結果です。特に、Bについては、10・14弾圧との攻防に入ってから鮮明になってきた課題のため容易ではありませんでしたが、不当逮捕直前の分会会議で確認していた「労働運動の力で革命を実現しよう」を命綱に、面会での10分間討議を基に毎週の分会会議を重ねてきたことが重要だったと総括しています。

階級的団結の死活性

 第2の総括視点は、階級的団結の死活性です。具体的には、奪還直後の分会会議で岡田分会長から「分会の団結の強さについては確信していたが、年末まで分会員しか面会に来なかったので、分会が孤立しているのではないかと心配していた。しかし、5・27被告団の原田さんが面会に来てくれたことで不安が一掃された」と提起された内容です。分会は、07年12月の「法的破産」以降の分会会議で、総括基軸を動労千葉を先頭とする国鉄闘争に置くことを確認して討議と取り組みを重ねてきました。そして、09年8月の5・27被告団呼びかけの国鉄集会には分会員全員が参加し、国労本部の裏切りと徹底的に闘う5・27被告団に強く共鳴しました。5・27被告団の闘いは分会の苦闘と重なるものがあったからです。
 大和分会は40年前に60人全員加入の職組として出発してから資本・権力と激しく闘ってきたものの、80年代後半からの新自由主義以降は職場内の取り組みと職場外の活動とが乖離しはじめ、95年の関西合同労組結成・加入後にはそれが分会内の対立として表面化してきました。その根本は、「組合活動は労組法の範囲内でやるのが労働運動の常識」とする体制内派との思想的対立でした。しかし、これを「労働運動と革命運動の分離・切断」問題として捉え切れなかっため、10年後に資本・権力の先兵と化した頭目を職場から叩き出したときには職場の団結はズタズタになっていました。分会は、04年の第1次倒破産攻撃を打ち返しながら職場の団結を一から作り直し、07年7月からの第2次倒破産攻撃には職場労働者全員が「一人の首切りも許さない」団結力で2カ月間の実質的無期限ストライキを闘い抜きました。この闘いに追い詰められた資本・権力は、この団結を破壊することだけを目的にして「法的破産」に逃げ込み、団結基盤である職場を奪ったのです。しかし、今でも分会を中心とする14名がこの団結を守っています。先日の分会会議では、この団結が階級的団結に発展することに対する恐怖と憎悪に基づく反動として10・14弾圧があったのであり、階級的団結への飛躍こそが10・14弾圧を根底から打ち破っていく唯一の道筋であることを、ハッキリと確認しました。

階級的団結で闘えば資本・権力のどんな攻撃も打ち破れる

 第3の総括視点は、労働者が階級的団結を強めて闘えば、新自由主義のどんな攻撃も打ち破れる、ということです。大恐慌下で危機に陥っているのは資本家階級の側であり、どんな攻撃も危機と矛盾に満ちたものだからです。私たちは、この1年間の攻防を通じて、今日の敵の攻撃が結局は団結破壊策動という脆弱なものにすぎないことを実感しました。いま、11月派を推進力とする国鉄闘争全国運動が、4・9反革命をぶっとばして飛躍的に発展しつつあり、さらに労組団結を土台に階級的団結を広げて労働組合を甦らせていけば、新自由主義を打倒して、労働者が主人公の社会を建設することが必ずできると確信しています。共に闘いましょう。

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ひめじょおん−女性部から

エクソンモービルと対決し闘いぬいた11月闘争 ス労自主 長谷川ユキ

 ス労自主は82年結成から今年で28周年を迎えました。賃金差別、配転問題、労働協約問題、名古屋油槽所における工事労働者6名死亡火災事故の責任追及、再雇用拒否との闘いなど、ス労自主が取り組んでいる闘争は山積みです。名古屋油槽所火災事故に関して、団交拒否を続ける会社に昨年3月愛知県労働委員会は「不当労働行為救済命令」を下しましたが、会社は「罰則規定がないから履行しない」と居直っています。また私たちは、賃金引き下げ攻撃と真っ向から闘い、10春闘を今も粘り強く継続しています。
 統制違反者を含めて総勢30名、平均年齢64歳超、今年8月末をもって職場に常駐するのは鶴見潤滑油製造工場(横浜市)で働いているス労自主唯一の再雇用労働者・棚橋竹三郎副委員長1人だけ、財政的にも破綻寸前、大ピンチのス労自主ですが、これからも資本主義の権化=石油メジャー・エクソンモービルと闘い続けるための決意を固めています。こうした決意の下、10・25エッソ石油OB・OG会(恵寿友会)闘争、結成28周年集会―11・7労働者集会―G20粉砕訪韓闘争―11・13〜14APEC粉砕闘争を組合員一丸となって闘いぬきました。

10・25八城(エッソ石油元社長)弾劾闘争勝利

 74年二組デッチ上げ、76刑事弾圧でス労=ス労自主を潰そうとした当時の社長・八城政基がエッソ石油OB・OG会(恵寿友会)で講演するという。「ス労自主鏑木組合員は思想的に問題があるので職場復帰させる考えはない」と差別・排除して、京五ス労とだけ和解交渉し職場復帰させ、「長年の組合問題を解決した」などとマスコミに喋り、裁判・労働委員会の証人も逃げまくっている八城を弾劾して、ホテルニューオオタニ前街宣を闘った。恵寿友会会長が「憂慮と自粛」を求めるメールを会員に送って宣伝効果は抜群。懇親会会場内では元労務課長がス労自主組合員のテーブルに張り付き、八城は乾杯の挨拶もそこそこに自席には一度も戻らず、「ご高齢(82歳)のためお帰りになりました」(元労務課長)。八城には逃げられたが、11・7労働者集会チケットを二組デッチ上げ首謀者らに売りつける成果もありました。
 当日夜の「ス労自主結成28周年11月闘争総決起集会」には、動労千葉山口執行委員、「動労千葉を支援する会」山本事務局長、国労闘争団成田さん、「日の丸・君が代」不起立闘争を闘う河原井純子さん、全学連坂野委員長代行をはじめ地域の闘う仲間の参加を得ました。

11・7労働者集会のあらたな地平、楽しかった訪韓闘争

 4・9政治和解=動労千葉解体―戦後労働運動圧殺攻撃を許さず国鉄闘争全国運動で闘う路線を明確に打ち出した勝利の結果が5900名の結集です。私たちは自信と確信を持って闘おう! 珍道中のス労自主訪韓闘争については、ス労自主ホームページ・ビラをご覧ください。

ついにその時がきた!

 10月1日付『読売新聞』で「エクソン国内GS撤退」と報道され、エクソンモービルの日本石油市場からの撤退がいよいよ現実のものとなりました。職場の労働者の組織化に取り組み、何が何でも8君不当解雇撤回を実現する決意です。

 

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■動労千葉労働学校で学ぼう!

 10月23日に行われた第10期労働学校実践講座第4回(テーマ「韓国労働運動の歴史とたたかい」講師 金元重千葉商科大学教授)の受講生の感想文を紹介します。

●国交労

 ビデオを観て日本の状況とあまりに違うのでびっくりしました。講義では日本の方が先に労働者派遣を認めたので、韓国の方々は、それを学習しているとおっしゃっておられました。しかし今や日本の方が学習すべきです。
 正規職と非正規職を職場において労働者同士に対立の構図をつくり、資本は労働者を陰でコントロールしている様子は、観ていて本当に腹立たしい、悔しい気持ちになりますね。(後略)
●医療労働者

 韓国の97年通貨危機に際し、IMF管理体制下で「労働市場柔軟化のための労働法改正」として整理解雇制の導入とレジュメに書かれているのを見て、本当に資本と国家の本質そのものであり、これに対して激しい怒りを覚えます。
 「労働市場柔軟化」って、資本が好きな時に好きなだけ好きなように労働者を雇う自由ということですね。そして非正規職も増えていく。これに対する闘いとして、DVDを見て、やはり労働者は分断されるのか、団結するのかということが常に問われると思いました。
 最後に付けられている資料を見て、考えさせられたのは、日本は戦争をおこし負けて、その結果の革命情勢を押さえ込む形で労働者に権利が付与され、各種保険もあるのに、韓国では全くそうはならずに、医療保険、年金、雇用保険もずっと最近になってつくられているということです。複雑な気持ちになると同時に、ますます労働者は国境を越えて資本主義社会を終わらせるために団結しなければならないと思いました。

●合同労組組合員

 韓国の闘いがなぜあそこまで激しく闘われるのかについて、よく分かっていなかったが、漠然とそこまで劣悪なのだろうとは思っていたが、日本と三重苦そのものは同じだが、やはり劣悪さにおいてははるかに劣悪なのだろう、ということが本日垣間見られた。さらに身分差別・社会差別問題もあいまって生きていけない状況は日本よりはるかに厳しいというように思った。
 非正規化がコストの問題だけでなく、新自由主義を推し進める重要なひとつの分断・労組破壊の重要な役割・戦略であることがあらためてはっきりしたと思う。(中略)
 非正規の組織化が今自分がやっている合同・一般労組の課題だが、まだうまく行っていない。ポイントは、やはり正規と非正規がひとつとなった団結体。闘う労働運動の組織が力強く登場することが、どうしても必要だと思うが、そこまでが地道な組織化が必要となっている。どう考えても韓国の非正規の闘いの方が圧倒的に日本を先行しているが、民主労総の存在がやはり大きいとしか思えない。11月が1万を実現するしかないとしても、もう少しきめ細かく分析して、合同一般の具体的なあり方を考えていかねばならないと思う。
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●第10期労働学校日程
■基礎講座
 12月18日(土)13:00〜
 ◆国家について
 ◆講師 山崎 一(社会問題研究者)

■実践講座
 12月25日(土)13:00〜
 ◆社会保障制度改悪との闘い
 ◆講師 山部明子(社会保障制度研究家)

■場所
 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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■年労働者は団結してたたかおう!
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JRでついに青年労働者の決起が始まった! JR関連会社 松岡 要
■ 私は、JRの関連会社で仕事をしています。私が一番訴えたいことは、ついにJR職場とその外注職場で、当局、東労組の労働者支配の破綻が始まり、青年労働者の人生をかけた決起が始まろうとしているということです。
 このかん、和解を拒否して闘う闘争団を支援する署名を平成採にお願いすると、これが結構してくれるんです。しかも青年と討論になるんです。また、私が職場で助役とやり合ったりすると、周りの青年たちがすごく注目しています。また、あるJRの組合では、不当な人事攻撃がかけられたことに対して、私たちとつながりのある青年が「会社と闘う」と言い出しました。平成採の仲間が「JRと闘う」なんてことを言い始めて決起し始めているんです。そしてついに外注職場からも1047名解雇撤回を掲げた国鉄集会に参加する労働者が出てきています。
 国鉄分割・民営化というのは、労働者を立ち上がらせない攻撃だと思います。だけれど、今始まっているのは、その分割・民営化によってつくられたJR職場や、あるいはさらに外注化によってつくられた、下請け・孫請け職場、そういう現場から労働者が決起しているということです。だからこれを本当に「堤防決壊」にまですることができるかどうかが決戦だと思います。
 なぜこんな決起が生まれているのかというと、やはり、職場に怒りがあるってことです。JRは今、各グループ会社に「20%コストダウンしろ」と言ってきています。ふざけるんじゃない!って話です。わざわざJR東日本本社から地方に役員が派遣され、「コストダウンをやれ」と指導しに来ている。そういう中で、職場の働き方がものすごく変えられてきて、「この作業は○分で終わらせろ」「トラックの運転は○時までに帰ってこい」といった感じで強制されています。だけど何か事故があれば全部労働者の責任にされているんです。
 では、労働組合はどうかと言えば、幹部連中は「社員にもっと仕事をさせるのが労働組合だ」と。こんなふざけたことを言っているんです。そうやって労働者を立ち上がらせないようにと必死になって押さえ込んでいます。そういう現実に対していま、怒りの決起が始まっているんだと思います。
 私は、JR職場と外注職場からの決起を、特に青年の決起を、本当につくり出したいと思っています。どこでもそうだと思いますが、下請けや孫請けの労働者が、JRに対して声を上げるのはやっぱり大変なことです。でも今、声が上がりはじめているし、それを目に見える大きなうねりにしたいと思います。そして、JR職場と外注化された職場から、「1047名解雇撤回! 外注化阻止! 非正規職撤廃!」の声を上げていきたいと思います。
 11・7労働者集会には、全国からJR会社や国労本部、東労組の幹部連中の妨害や恫喝をはねのけての多くのJR平成採の青年労働者が結集しました。闘いはいよいよこれからです。
 12月、動労千葉の青年を先頭に検修外注化阻止決戦へ! JR職場から青年労働者の総反乱をつくりだそう!

(写真 JRの青年労働者を先頭に11・7集会が大成功)

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●労働ニュース(2010年10月16日〜11月15日)

能開機構3000人いったん全員解雇へ

 政府は12日、厚生労働省所管の独立行政法人「雇用・能力開発機構」(能開機構)の廃止法案を閣議決定した。職員約3000人は全員解雇し、独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」があらためて採用する。いったん全員を解雇するのは旧国鉄の分割民営化と旧社会保険庁の廃止時しか例のない措置で、昨年11月に長妻昭前厚労相が決定した。
46都道府県で年収ダウン
 47都道府県人事委員会の10年給与改定勧告が18日、出そろった。月給は39都道府県が引き下げを打ち出し、期末・勤勉手当(ボーナス)は長野、鳥取以外の45都道府県で減額勧告。勧告通り実施されると、平均年収は鳥取を除く46都道府県で2年連続マイナスとなる。
民自一致、参院憲法審査会始動へ 民主、自民両党は19日の参院国会対策委員長会談で、休眠状態となっている参院憲法審査会の始動に向け、審査会の運営方法を定める「規程」を制定し、委員を選任する方針で一致した。
英、財政再建で公務員49万人削減
 英国のオズボーン財務相は20日、一般歳出を2011〜14年度に計810億ポンド(約10・3兆円)を削減し、公務員を約49万人(全体の約8%相当)減らすことを盛り込んだ財政に関する報告書「歳出再評価」を議会で発表した。
非正規労働者の賃上げを重視
 連合は21日、派遣やパートなどの非正規労働者の賃金について、「正社員以上の引き上げ幅を求めていく」とした2011年の春闘の基本構想を正式にまとめた。
武器輸出3原則、緩和方針で一致 政府が年末に策定する「防衛計画の大綱(防衛大綱)」について検討している民主党の外交・安全保障調査会(中川正春会長)は22日、役員会を開き、原則としてすべての武器や関連技術の輸出を禁じる「武器輸出3原則」を緩和する方針で一致した。
非正規教員、7人に1人
 23日の報道によると、各地の公立小中学校で、常勤講師や非常勤講師が増え、昨年は約10万5千人と全体の15・1%を占めたことが文部科学省の調査でわかった。この7年間で約3万7千人増え、「非正規教員」が7人に1人を超えるまでになっている。
「関西広域連合」年内発足へ
 大阪府議会は27日、関西を中心とした2府5県が設立を目指す「関西広域連合」の規約を賛成多数で可決した。全国初の広域連合が総務相の許可を得て12月初めにも発足する見通し。
9月失業率5・0%
 総務省が29日発表した9月の完全失業率(季節調整値)は、前月より0・1ポイント低下の5・0%となり、3カ月連続で改善した。
アフガンに自衛官派遣検討
 政府は6日、アフガニスタン復興支援のため、自衛隊の医官と看護官10人程度を年内にも現地に派遣する方向で検討に入った。
与那国島に陸自200人配備へ
 防衛省は8日、陸上自衛隊に「沿岸監視隊」(仮称)を新設し、警戒・監視態勢を強化する方針を固めた。日本最西端の与那国島(沖縄県)への配備が最有力に。
非正規8438人を正社員登用
 日本郵政グループは10日、非正規社員を正社員に登用する試験で、8438人が最終合格したと発表した。12月1日付で正社員にする。
国の借金、過去最高909兆円
 財務省は10日、国債に政府短期証券などを加えた「国の借金」が9月末時点で908兆8617億円に達し、過去最高を更新したと発表した。
幼保一体化、幼稚園存続案提示へ 13日の報道によると、幼稚園と保育所を統合する幼保一体化構想で、内閣府が検討している素案が明らかになった。当初は幼稚園と保育所の制度廃止を前提に、すべて「こども園」(仮称)に統合する案を打ち出したが、反発が強いため幼稚園などを存続させる案も浮上している。
日航 整理解雇250人
 会社更生手続き中の日本航空は15日、パイロットと客室乗務員を対象に、雇用契約を一方的に打ち切る「整理解雇」を実施すると発表した。対象は休職者を含め最大250人で、12月にも解雇する。

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■青年労働者を先頭に、大阪府知事・橋下、大阪市長・平松打倒の階級決戦へ!
関西労組交流センター自治労部会、教労部会

「国鉄改革」をわめく橋下

 「『大阪維新とは、国鉄改革と同じスケールの改革を日本国でもやろう、そのためにはまず大阪から変えよう、日本国を各地域に“分割”し、自主独立経営していこうという運動です」(大阪府特別顧問・上山信一『大阪維新』2010年9月)
 支配階級の危機もここにきわまった。四半世紀を過ぎて完全に破綻している「国鉄改革」、これを全国でやろうというのだ。革命によって打倒される以外にない。国鉄闘争は4・9反革命を迎え撃ち、11・7労働者集会の勝利を切り開いた。橋下の絶望的凶暴化を、「国鉄改革」もろともふみしだき、ぶっとばそう!
(写真 首切りを競い合う橋下徹大阪府知事【右】と平松邦夫大阪市長を打倒しよう!)

外注化・民営化攻撃としての権限移譲

 橋下は、2010年度から3年間で86の事務の市町村への移譲を始める(「大阪版特例市構想」)。行政責任を放棄し、人員削減を強行し、関西州推進とそのための府市解体(大阪都構想)に突進しようというのだ。
 権限移譲とは、対象が市町村であれ民間であれ、外注化・民営化攻撃そのものだ。
 市町村は、財源も人員もないまま業務増を押しつけられ、合理化・民営化を強要される。2066件にもおよぶ膨大な引き継ぎ作業によって、労働者の心身の疲労と怒りは限界に達している。

教員採用、非正規が正規を上回る

 大阪府教委の2010年度新規採用は、非正規職が2003人で、正規職1215人を大きく上回った。府教委は「正規の先生を雇ってしまったら、将来子どもの数が減ったときに、解雇するわけにはいかないので、非常勤講師を雇っている」などと首切り要員大量確保を開き直っている。教育現場でも極限的強労働が強要され、怒りが高まっている。

賃下げ・賃金格差拡大による団結破壊が「改革の柱」

 外注化・労働強化・非正規化のなか、9月に橋下は、賃下げ・賃金制度改悪を提案した。
 13年続く昇級延伸・賃金カットに加えて、@3年間の月額賃金カット(3・5〜9・5%)、一時金4%カット A級減らし、ワタリ・一律昇格全廃、現給保障廃止(降格降級は約3600人、現給保障廃止は1万4000人以上。4級主任で賃下げ月額5万4000円以上に加えて賃金カットで月7万以上)B現業独自給与表新設 C次長級以上管理職給与に定額制導入というものだ。賃下げと差別賃金の全面化だ。
 「10年以上改革を続けても恒常的に財源不足が続くのはなぜなのか」(財政構造改革プランの冒頭)。財政危機の理由は人件費などではないからだ! 橋下は、赤字だろうが黒字だろうが、賃下げ・賃金格差を徹底することで団結を解体し、道州制攻撃の全面化をたくらんでいる。労働組合の反撃を圧殺・分断し、「団結ではなく競争」を煽りたてている。
 「がんばった職員が報われ、やる気を引き出す」「府民の理解と支持を得る」「多様な人材の登用によって、組織のエネルギーを引き出す」ための「府における公務員制度改革」、その中軸に「給与制度改革」が置かれている。
 体制内指導部は「よき労使慣行」を泣訴(連合・府労連)したり、自らの闘いもないまま「府民との共同」(全労連・府労組連)にすがろうとするだけだ。秋年闘争では現場労働者の闘志が意気軒昂とまきおこっている。

橋下を踏みしだき、2012年攻防に突入を

 橋下は、「来春統一地方選『大阪維新の会』大量立候補で大阪市解体をおしすすめ、大阪都をつくる」「大阪都職員数は700人(現在の1割以下)」などとぶちあげている。たとえ議会がどれだけ反動化しても、それは階級決戦を引き寄せ、ますます労働者支配が崩壊していくだけだ。
 橋下に連なる極右新党が参院選で軒並み惨敗し、自民党や民主党との野合結託もきしみ、「外敵」を大阪市・平松市長に据えている。同じ穴のムジナを攻めるしかない橋下の脆弱性を攻め立てよう。
 支配階級の危機を革命に転化するために団結して闘う労働者こそが、橋下にトドメを刺す。2012年攻防に先制的に突入しよう。

「平松市長とともに、橋下の 大阪市解体と闘う」という大阪市職

 自治体労働者・教育労働者の総決起で橋下打倒に突き進むべきこのときに、大阪市職本部派(自治労徳永委員長直系グループ)は「橋下知事の大阪市解体に対して、平松市長と一体で闘わなくてはならない。これまで以上の労使一体化が必要」と踏み切った。動揺と批判が噴出し役選は本部分裂選挙となった。徳永直系グループが勝利すると、平松は8月中下旬にかけて「1万人削減」方針をマスコミに公表した。両派ともこれにまったく抗議をしない。彼らはとっくに平松から1万人削減を告げられており、組合員に隠したまま、その屈服度合いについて言い争っていただけなのだ。
 平松のように労働組合を屈服させてとりこもうとあがくのか、橋下のように組合敵視をつらぬいて屈服をせまろうとあがくか。どちらがより支配階級の意思を実現できるのかの首切り・賃下げ・民営化・組合つぶしの競争だ。闘う団結こそが労働者の回答だ。

1万人首切りのための非正規化と「不祥事」処分

 大阪市は2010年度から、生活保護と保育所に任期付職員を大量導入した。低賃金・非正規の労働者を増大させつつ、7月には「不祥事根絶プログラム」を打ち出した。削減数が1万人に届くまで、次々と「不祥事」を仕立てあげ、密告をけしかけて、処分乱発と解雇を進めている。1万人首切りとの激突は完全に開始された。
 「市職本部を批判していいんだ」「徹底的に批判すべきなんだ」という気運がまきおこっている。9月の市職大会は、修正案が7本提出され、終了予定時刻を大幅に超えて激論が続いた。闘う代議員は「1万人削減絶対反対」方針を打ち立てるべきと本部に攻め寄った。12月にはユース部三役選が闘われる。
 関西労組交流センターは、青年を先頭に、橋下・平松打倒の巨大な反乱へ全力で闘う。

 

 

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不屈に闘う争議組合へご支援を!
和解拒否の国労原告団2010年冬季物資販売へのご協力のお願い

 みなさまの日頃からのご奮闘に敬意を表します。
 さる6月13日、国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)が呼びかけ、「国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回」を掲げた新たな全国運動がスタートしました。この国鉄闘争全国運動は、4月9日に強行された国鉄1047名解雇撤回闘争の「政治和解」に抗し、国鉄闘争を軸にした労働運動の再生をめざすものです。今回の「和解」は、動労千葉を排除した上に、国労つぶしを目的とした国家的不当労働行為への謝罪も解雇撤回もありません。それだけでなく、「すべての訴訟を取り下げること」「不当労働行為と雇用の存在を二度と争わないこと」「雇用については保証できないこと」の3条件を労働組合に機関決定させるという、国鉄闘争の徹底した解体を目的としたものであり、絶対に認められません。
 国労本部がこの「和解」を受け入れたことは、国鉄分割・民営化を正当なものとして認め、23年間の闘いを自ら否定するものです。私たちは新たにスタートした全国運動のもと、「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会」を結成し、国労の中から闘いを開始しました。和解を拒否して闘う羽廣憲さん(小倉闘争団)、小玉忠憲さん(秋田闘争団)、成田昭雄さん(旭川闘争団)、石ア義徳さん(鳥栖闘争団)の4名は、この闘いの先頭に立ち、裁判闘争を継続しています。
 「不当労働行為を行った政府、JR資本を絶対に許さずどこまでも闘い抜く」(羽廣さん)、「『解雇撤回』を貫き、青年の未来のためにも闘う」(成田さん)。和解を拒否して闘う4名の原告団は、「解雇撤回」を貫き、人生をかけ、労働者の未来のために闘っています。
 国鉄分割・民営化反対闘争はこれからが正念場です。「政治和解」以降、JRは鉄道のあらゆる業務を外注化する施策を推し進めようとしています。菅政権は、教育や医療をはじめ、公共サービス部門のすべてを民営化し、数百万人の公務員労働者を解雇して、非正規雇用に突き落とそうとしています。これと一体で釣魚台(尖閣諸島)問題では、洪水のように排外主義があおられ、それが改憲・戦争、安保と沖縄基地の強化への衝動となって噴き出そうとしています。
 国鉄1047名解雇撤回闘争は、こうした大失業や戦争への動きに対し、労働者の団結軸となって闘われてきた偉大な闘いです。私たちは「国鉄闘争の火を消すな」という一念で1047名解雇撤回闘争の勝利に向けて闘います。
 新たな闘いのスタートにあわせて、この度「国鉄104
7名解雇撤回・原職復帰」を掲げて取り組んできた国労小倉闘争団NIPPO物販を、「政治和解」を拒否して闘う国労原告団物販へと発展させて闘うこととなりました。みなさまの変わらぬご支援とご協力をよろしくお願い致します。和解を拒否して闘う4名の国労原告団の生活と闘いを支える「2010年冬季物資販売」へのご協力をよろしくお願い致します。

2010年11月
国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会
(東京都台東区元浅草2-4-10 5階)

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●動労千葉冬季物販へのご協力のお願い
 国鉄闘争全国運動の力で「4・9政治和解」をはね返し、動労千葉は1047名解雇撤回へむけて闘います。4・1外注化実施阻止の勝利を引き継ぎ、12月ダイ改阻止のストライキに立ち上がります。11月集会の大結集の力で、全国運動の発展を実現しましょう。動労千葉冬季物販のご協力を訴えます。

国鉄千葉動力車労働組合 協販部
  TEL 043-227-7833 FAX 043-227-8125

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●ス労自主の年末物販にご協力を
 ス労自主から2010年年末物販闘争支援のお願いです。多国籍企業エクソンモービル「日本撤退」がいよいよ現実のものになろうとしています。8君不当解雇撤回闘争を基軸としたス労自主闘争の勝利は、地域共闘の前進なくして勝ち取ることはできません。現職組合員が再雇用の一人だけとなった今、物品販売闘争とス労自主を支える会闘争はス労自主の生命線です。
 「あきたこまち」の委託販売も始めました。全国の組合員が心をこめて集めた品物をお届けします。熱いご支援を心からお願いします。

スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合
大阪府豊中市新千里東町1-2-8 モービル石油内 TEL&FAX 06-6873-3865

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●沖縄バヤリース労組10冬物販
 沖縄バヤリース労組2010年冬季物販は、「国鉄闘争と沖縄闘争を大合流させよう!」を合い言葉にして、2011年2月10日までの間行います。何かとお忙しい時節ですが、ご支援・ご協力をお願い致します。

沖縄バヤリース労働組合
執行委員長 柿本 博人
沖縄南城市玉城字百名509 TEL 090-2710-2008  FAX 098-948-1651

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●読者のページ

●エンゲルス『住宅問題』を読んで 長崎労組交流センター(準)菊地孝夫

 最近、エンゲルスの論文『住宅問題』を読み返しました。資本主義の危機の中で、ブルジョアジーや体制内派がさまざまな「社会改良」運動や「救済運動」を行い、この社会を延命させようとしています。パリコミューンの経験の上に書かれたこの論文は、そのような運動に対するマルクス主義の立場からの基本的視点を与えてくれます。
 「大都市の住民の90%以上が自分のものとよべる場所をもっていないという事実ほどに、ほめそやされた今世紀の全文化にたいする恐るべき嘲笑はない……道徳生活と家族生活の真の中心点である家と炉辺は、社会の渦巻にまきこまれつつある……―現代のプロレタリアは事実上宙に浮いている」と、当時の無政府主義者は主張しました。“昔の人の方が、家を持ち家族団欒で生活ができ、今の労働者よりもはるかに良かった”という主張。今でも、“ホームレスや「ネットカフェ難民」は、昔の農民より悲惨だ”という主張があります。しかしエンゲルスは、これを「反動的哀歌」だと弾劾します。“家や土地を持たないプロレタリアートだからこそ、革命ができるのだ! 土地や家を奪うことで、革命の主体である労働者階級が生み出されたのだ。ここが重要なのだ。土地や家から切り離された労働者階級の誕生と存在こそが重要なのだ。その労働者階級が存在しなかった時代を賛美し、そこから「住宅問題」の解決を考えるプチブル的な立場は反動的だ”と批判しているのです。なぜならプロレタリアートによってしか、革命はできないし、問題を解決できないからです。
 「現代の革命的なプロレタリアートの階級をつくりだすためには、昔の労働者をまだ土地に結びつけていた臍の緒が断ち切られることが、絶対に必要であった」「資本主義的生産が大規模に実施されて以来、労働者の物質的状態が全体とした悪化したことを疑うのは、ブルジョアだけである。だが、だからといってわれわれは、……農村の小工業(など)……を、あこがれの目で回顧すべきであろうか? その反対である。……いっさいの伝来の鎖から解放され、大都市に駆り集められたプロレタリアートがはじめて、いっさいの階級搾取といっさいの階級支配をなくす社会的大改造をなしとげることができる」
 また無政府主義者は、資本主義的生産様式のままで、労働者に住宅を保障できる社会改良政策をあれこれ夢想し、すべての労働者が持ち家を持てるようにすることで「住宅問題」を解決しようとします。エンゲルスはその政策の非現実性と非科学性、そして反動性を具体的に批判しています。またブルジョアジーの住宅保障政策については、「労働者が家屋を手に入れれば…その結果、彼らはそのプロレタリアとしての性格をも失って、やはり家持ちであった彼らの祖先と同様の、従順で卑屈な人間にもう一度なるだろうと期待しているのである」と、それが労働者の階級性の解体政策であることを指摘しているのです。これは今の民主党や救済主義者の住宅政策にも直接通じる批判そのものです。
 最後にエンゲルスは、この論文を次のような言葉で結んでいます。
 「資本主義的生産様式がつづくかぎりは、住宅問題にせよ、労働者の運命に関係のある他のどんな社会問題にせよ、それを個別的に解決しようとするのは、愚かしいことである。そうではなく、その解決は、資本主義的生産様式を廃止し、労働者階級自身がすべての生活手段と労働手段を取得することにある」
 労働者が権力を取る(革命)以外に、住宅問題も、労働者に関するもろもろの問題も解決しないことを、エンゲルスはパリコミューンの経験を踏まえて訴えているのです。

●希望者全員を正社員で登用せよ! 全逓労働者部会

 前郵政担当大臣の亀井が「10万人正社員化」という大ペテンを打ち出し、8月に実施された非常勤労働者の「正社員登用試験」の合格者数について、郵政当局はさる11月10日、8438人と発表しました。
 今回の登用試験は「採用予定枠」も隠す異様さでした。非常勤労働者は郵政全体で約21万人ですが、当局が勝手な条件をつけ、応募者数は3万4千人まで削られました。最終合格者はさらにそこから7割以上(!)も削られたのです。「正社員化」のエサと雇い止めの恫喝で現場を黙らせ、違法な自爆営業の強要やパワハラによる人員削減など様々な合理化を続けてきたあげくの許しがたい数字です。
 日本郵政は何と「ふさわしくない人は落とした結果の数字だ」との趣旨のコメントを新聞に出しました(11・10付『朝日』)。ふざけるな! と言いたい。
 非常勤の仲間は正社員と同じ仕事をして、時給換算で正社員の3分の1の低賃金を強要され、年金も健康保険もありません。何より彼らは3カ月や半年ごとに解雇される脅威にさらされている。労働基準法もへったくれもありません。
 その彼らが、いまや郵便労働の現場の半分以上を支えているのです。彼らを抜きに郵便事業は一秒も成り立たたない。その汗水流した労働が生み出した利益の全額を懐に入れている郵政当局が、その彼らを「ふさわしくない人」だと言い放った。とうてい許すことはできません。
 また今回、当局は試験の採点を全て「外部の業者」に委託していました。「いったい誰が、どういう基準で受験者の7割以上を落としたのかさっぱり不明だ」という声が爆発しています。
 結局、「10万人正社員化」は、自民党政権を倒した労働者の怒りの大きさをペテン的に籠絡し、最終的に民営化による様々な合理化を貫くための方便だったのです。そして今回当局は、正社員登用のかぎりないゼロ化に全力をあげたのです。
 7・1ゆうパック再統合の破綻を受けて、今年の年繁体制に向けて当局は何を進めているか? 今回の「正社員登用」の徹底的削減と、第2のJPEX攻撃とも言うべき集配業務そのものの外注化の再始動です。
 怒りは職場に満ちています。集配業務の外部委託反対! 希望者全員を正社員で登用せよ!
 腐った御用組合幹部の支配を下から突き崩し、労働組合を現場労働者の手に取り戻そう!

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  読者の皆さん! 投稿をお願いします。強制するページではなく自主的に決起するところです。

編集後記

 最近気になった数字。『三池を守る会』60年全国で約1千、『労働情報』79年1万2千部、幼保職員数55万5419人(う)

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10・28 大阪 パナソニック茨木工場でストライキ貫徹!

パナソニック連帯労働組合は、茨木事業所(薄型テレビ組み立て)で解雇撤回をかかげてストライキに突入。請負会社パスコが担当する組み立て・梱包工程のセル3で組合員がストライキを宣言し、労組と支援が門前を制圧して、ストライキへの合流を訴えた。

10・30 東京 狭山第3次再審闘争勝利!

台風の中、部落解放同盟東日本共闘会議は品川の南部労政会館に86名が結集して狭山集会を開催した。1974年10・31寺尾判決から36年、第3次再審にかける石川さんと連帯し必ず勝利をもぎとる決意を打ち固めた。

11・14 東京 子ども・子育て新システム絶対反対!

全国労組交流センターは、日比谷野外音楽堂で開かれて保育大集会参加者に、「子ども・子育て新システム絶対反対、穂息民営化阻止」の大宣伝を行った。全国4800人の保育・教育労働者が次々と署名に応じた。

 

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