「月刊労働運動」 2012年/08月/01日(No.269号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題)

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「さよなら原発10万人集会」には17万人が大結集した(7月16日 東京・代々木公園)【撮影:野田雅也(JVJA)】

・ ■労働者の目
反原発闘争と一体で10・1外注化阻止へ 辻川 慎一 代表運営委員 動労水戸副委員長

・鉄建公団訴訟6・29判決と外注化阻止決戦の地平をつかみ、反転攻勢―組織拡大へ!
長田 敏之 動労千葉書記長

・橋下の公務員バッシングに、自治体・教育労働者は胸をはって闘おう!
民営化・道州制・労組破壊を許すな! 全員解雇の橋下改革絶対反対!
9月橋下打倒大集会に全国から集まろう!

・8・30〜31自治労第84回定期大会(函館)に向けて
原発推進・大増税・公務員首切りの民主党・野田政権打倒!
全国の自治体労働者は、9月橋下打倒大集会に集まろう!
佐藤 賢一 自治体労働者部会代表、江戸川区職労

・在日・滞日外国人と日本人労働者の共同闘争で「在留カード」制度を打ち砕こう!
自治体現場から在留カード制度を撃つ  山崎 浩邦 品川区職労

・日帝の核武装阻止! 青森の反核燃闘争について  間山 正茂 南部バス労働組合執行委員長

・「原発なくそう 改憲はばもう 8・15労働者・市民のつどい」に集まろう

・7・21〜22ス労自主第78回定期全国大会を開催  中村和憲 ス労自主副委員長

■闘う合同・一般労組
ゆうメイトの雇い止めを許さない  広島連帯ユニオン・郵政支部の結成とその闘い

■BOOK
非正規雇用と労働者の健康 矢野英二、井上まり子編著
労働科学研究所 2011年5月 2625円

ひめじょおん−女性部から 闘う路線を打ち立てた7・1関空全国闘争 泉州労組交流センター 中川育子

■地平線―反戦共同行動委員会ー
オスプレイ搬入を弾劾する 北島邦彦 反戦共同行動委員会事務局長

■Pick Up 2012年6月〜7月の労働運動関連情報

■読者のページ

Photo Documennt 2012年6月〜2012年7月

月刊『労働運動』(269号1-1)(2012/08/01)

■労働者の目

反原発闘争と一体で10・1外注化阻止へ

辻川 慎一 代表運営委員 動労水戸副委員長

 私の父は、坑夫だった。発破の名人だったと自慢する時の顔は、誇らしげだ。私が小学生の頃、その父と母親が固唾を飲んで深く静かにテレビを見ていたシーンを思い出す。炭鉱事故のニュースである。総資本対総労働の闘いと言われた三井三池闘争をその指導部によって敗北に導かれたあと 、60年代から70年代は炭鉱事故の続発で多くの労働者の命が奪われ、その家族を破壊した。殺された炭鉱労働者の姿とその家族の慟哭は、父と母と私の姿であったかもしれないのだ。「石炭から石油へ」を抵抗できない流れのように描き、労働者の団結と生命を破壊した資本は、今や膨大な石炭を輸入している。これを進めた人間と原発を進めた人間、そして国鉄を分割・民営化した人間は重なっている。そして、そのインチキを労働者に飲ませてきた労働運動指導部の系列も同じだ。
 動労千葉は、6・29判決をもって分割・民営化反対闘争に関わる、すべての解雇の不当性を認めさせた。外注化阻止と共にまぎれもなくここに戦後労働運動の転換がある。
 ところで、3・11郡山集会から7・16代々木公園17万人に至るかつてない反原発闘争の高揚は、戦後的支配構造の欺瞞を人びとの根底的怒りが突破し始めたことを示している。そしてそれは、職場と街頭の闘いの分離、資本との直接的闘いと政治闘争の歴史的分離の根底的突破を迫っている。また、そこで展開されてきた議会や組合役員による「代行主義」にある労働者蔑視を粉砕してくことを求めている。
 外注化阻止決戦とは、6・10国鉄全国運動と7・16を受けて戦後日本労働運動を根底から変える挑戦だ。果たして、日本労働者階級とりわけ青年が階級的に立ち上がれるのか否かをかけた決戦である。ブルジョワの金の系譜に対する、階級の歴史的系譜の死闘を労働組合をめぐり闘争するのだ。
 したがって、この闘争は日本労働者階級と大衆の命運を賭けた闘争である。三井三池を見るまでもなく、その敗北には無数の屍と慟哭が待ち、その勝利には命の根底的輝きが産み出される。したがって、国鉄を先頭にすべての産別において根底的転換に立ち上がる決戦である。自ら闘うことで被災地、そして福島を支援し抜く決戦である。

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月刊『労働運動』(269号2-1)(2012/08/01)

鉄建公団訴訟6・29判決と外注化阻止決戦の地平をつかみ、反転攻勢―組織拡大へ!

長田 敏之 動労千葉書記長

 7月22日、千葉県労働者福祉センターで開催された2012年度動労千葉を支援する会定期全国総会での提起(要旨)を掲載します。

  解雇撤回へ新たな展望を切り開く

 まず6・29鉄建公団訴訟の判決について提起します。本当に25年にも及ぶ苦闘が裁判所をここまで追い込んだということです。4・9政治決着に屈せず、国鉄闘争全国運動を立ちあげて、絶対負けない、解雇撤回まで闘うと積み上げてきた力がこういう判決を出さざるをえないところまで追い込んだということです。非常に短い言葉でこの中身を表した言葉があります。「画期的な反動判決」(笑)。これは関西生コンの高英男さんの言葉です。
 判決は、不採用基準そのものが改革労協(現JR総連)と結託した不当労働行為であったこと、そして名簿に登載されていればJR東日本に採用されていたことを認めました。4者4団体の判決では、本州で解雇された方々は、停職という不採用基準に基づいてこれは合理的だと言われて、いずれも敗訴です。ここをこじ開けたという意味では画期的です。それにもかかわらず解雇撤回をしない矛盾に満ちた判決。反動判決と言わざるを得ません。
 いずれにせよ、採用過程の差別における不当労働行為が認められたことは闘いを展開する上で一歩を切り開いたと思いますし、4者4団体の判決をのりこえたことは非常に大きいと思います。当然私たちも控訴しますし、敵の側も控訴するでしょう。これから高裁、最高裁と運びますが、解雇撤回まで勝ちきる。その原動力はわれわれ動労千葉の職場からの闘いと、この1047名闘争、国鉄闘争全国運動の飛躍の一点にかかっています。この判決を契機に全国に打って出る。4・9政治決着のなかで、国鉄闘争の火を消しちゃいけないという一点の思いで全国運動を立ち上げ、物販も継続してきたわけです。ここで負けず頑張ってきた。闘えば勝てるという展望を訴えて全国に飛び回っていただきたい。そうすれば、またさらなる飛躍が勝ちとれるし、本当に解雇撤回をつかみとることができると確信しました。
 今まで4者4団体派の側にいた方々に対しても勝利の展望を示せたと思います。そういう人たちに対しても訴えていく姿勢が必要です。新たな呼びかけ人の方の決起など、今までとは様相の異なる事態が生まれています。徹底的に反転攻勢のチャンスと捉えきってこの運動の前進を勝ちとっていきましょう。

  外注化阻止決戦の展望

 次に何と言っても外注化決戦です。今の日本の労働者の現実は、国鉄分割・民営化を契機に徹底して労働組合が破壊されて、その新自由主義攻撃の核心部分として外注化があらゆるところで強行されるなかでもたらされた。
 外注化に対して労働組合が反対するのは当たり前の話です。資本が儲けるためにやるわけです。自ら働くところが外注化され、転籍まで行き着く攻撃です。にもかかわらず、なんで日本の労働者がここまで民営化・外注化によって非正規職に落としめられて今の現実ができたのか。あらためてここを問い直す必要がある。これはもう労働組合がどういう立場をとったか、それ一点に尽きます。労働組合が労働者の立場にたって反対闘争をやればこんなことは簡単にできる話ではないわけです。それを動労千葉が証明しているわけです。外注化攻撃が提案されてすでに12年経ちます。シニア制度という問題と一体となった中身で外注化提案がされて、これを認めたらどうなるんだと議論しました。60歳定年を迎える組合員の再雇用という問題と両方を突きつけられたわけです。そのなかで腹を固めて闘ってきた。検修構内の外注化は、千葉が進まないのはもちろんのこと、全国的にも大して進まなかった。この10年で、01年に提案された部分の外注化が全国で300名程度と言われています。そういう形で止めてきた。
 外注化決戦を動労千葉は最大の課題として核心に据えて闘ってきました。組合員を強制出向に駆り立てさせないことはもとより、大きくは日本の労働者がここまで貶められた状況に対して労働組合が反撃すればここまでできるんだということをこの闘いをとおして勝利をつかんで全国に示そうと決意してきました。うちのある支部長が、この動労千葉の外注化阻止の闘いは労働者の未来をかけた崇高な闘いなんだという素晴らしいことを言いました。うちの支部長も大したもんだなと(笑)。そういうものとして組合員が捉えているということです。ここに最大の勝負をかけてきたんです。
 が、しかし、会社の側も必死です。まず昨年、京葉車両センターの構内の2日勤の外注化が6月10日に提案されました。千葉で何としたって実績をつくらなきゃいけないという一点での提案だったわけです。2009年秋に全面外注化提案がなされた際、動労千葉は偽装請負問題で追及をしました。その途端、交渉が止まった。会社も焦った。2日勤もできなくて1日勤だけこの1月に強行しましたが、全面外注化は4月1日もできなかったわけです。
 この過程で、動労千葉はもちろんですが、東労組の平成採が立ち上がったわけです。東労組は現場を嘘とデタラメでごまかしてきた。外注化されて出向に出されても帰る場所はあるんだと嘘を言ってきた。それを徹底的に暴露して実態はこうだと現場で訴えかけることを通して、平成採も「これはちょっとおかしいぞ」と一定わかったわけです。それで職場の反乱が起こった。そこで、京葉車両センターで強行したら、どんな反乱が起こるか、会社も東労組も確信が持てなかった。そういうなかで4月1日実施が頓挫した。

  敵の矛盾とJR東労組を使った策動

 そこででてきたのが大きくは東労組の革マルです。会社は、このかん明確に東労組の切り捨てのスタンスで動いてました。革マルの牙城は運転職場なんですが、ここに会社はあからさまな差別を行い始めた。今まで職場の講習室を東労組が会議とかで使っていたのを、会社がいろいろ理由を付けて貸さないとか。しかし会社も、外注化がなかなかできないなかで最後に東労組を使い切ってやろうと考えたんでしょう。そこで東労組と会社の思惑が違っても、一定の結論が出た。それが4月の後半です。あからさまな東労組排除について会社側が一定の整理をした。これは会社本体としてやったわけじゃない。運輸車両部の中でそのようなことがあったことは事実としては認めます。今後は留意します≠ニ言った。東労組もそれで関係が一定修復したと捉えて手打ちになった。そこから話がトントン拍子です。
 5月14日に東労組が申し入れをする形で事態が動き始めました。はなっからの出来レースで、会社側の修正提案を東労組が受け入れて妥結。修正提案の中身は何も変わっていない。機動班業務、そこを委託対象から外したとか、構内計画業務も全国で21カ所を外して、それ以外の部門も1年間先送りしたという中身です。にもかかわらず、この修正提案は成果だと言い出すわけです。動労総連合の交渉の中で会社は将来にわたって委託しないということではない≠ニはっきり言っているわけです。計画部門だって委託対象であることは間違いない。たんに10月1日実施から外しただけです。結局すべて丸投げ的な外注化まで行き着くことがはっきりしています。許せないことは東労組は交渉速報で年間休日の増や賃金の増だとか、ひどいのは一時金の支払いまで確認したと言っているわけです。動労総連合の交渉では、会社は、「そんな回答なんか一切していない」「どこからそんな話が出てきたんですか」と。確かに年間休日増や賃金増の問題を東労組は要求していました。でもこれは別会社の話です。それをJR東日本が言ったらあからさまな偽装請負でしょ。だからそんなことを言えるわけがない。会社は検修部門を外注化にすれば今掃除しかやっていない整備会社が一定の体力がついてそれに伴って休日増とか賃金が多少上がるということが将来的には実現するかもしれませんね≠ンたいなことを言っているだけです。一時金の支払いなんて一言も言ってない。
 6月29日には仙台支社で提案が出され、新潟、水戸でも7月に入って提案されてきています。千葉では、7月17日昼に出すなんてことが言われていたわけですが実際は出せなかった。(7月24日に87名の要員削減を提案)10月1日、全社一斉一括提案と言っていて実際はこんなバラバラ。矛盾だらけです。しかももう期間がない。10月1日に向けてギリギリの攻防線になっているとみておく必要があると思います。
 交渉の中身に触れておきますけれども、動労総連合の交渉の中で、会社は露骨な偽装請負のことを言っています。特にJR本体からの直接指示という問題では、構内入換で信号所からの通告という問題。これも作業指示に明確にあたるわけです。当初は、「連絡だ。指示や通告じゃない」と言っていたんですけれども、開き直って「JRからの通告による開通もふくめて契約になっているから問題ない」などという言い方をし出したわけです。「これを会社は違法じゃないと判断した」という。こんなことを言ったらそれこそ何でもありじゃないですか。そして9月30日まではグループ会社には技術経験はないが、10月1日に契約すれば業務委託できる体制が整うので委託できる。技術経験がある人が出向して作業ができる体制ができるので、技術経験がある会社になり、結果論として体制が整うので問題がない=Bこんな開き直り、めちゃくちゃ、偽装請負そのものです。「専門家に相談したのか」と言ったら「これはJR独自の判断です」だって。そりゃ相談できないよね、こんなの(笑)。この出向によって単なる労働力の提供でしか成り立たない業務委託は偽装請負そのものであり違法行為だということが明確になってきたと考えます。

  組織拡大を軸に10・1外注化阻止へ

 これに対して私たちはどう闘うか。仙台の提案では8月1日から出向に対する個人への説明を始めると言っています。千葉でも始まることは明らかです。その場合にはストライキに打って出る方針で臨みます。また、交渉による徹底した追及をやります。今現場からのいろいろな問題を整理して交渉の中身として準備をしています。われわれ動労千葉の組合員に出向をかける場合は、もう強制出向し
かないわけです。出向というのは一定の基準があるわけです。労働条件が低下しないとか、ちゃんと戻れる場所があるとか。今回はめちゃくちゃです。労働条件は、千葉では、千葉鉄道サービスが年間休日が本体より5日少ない。それだけで労働条件の低下です。そして戻る場所はないわけですよ。そういう点でもこうした出向は違法だと追及していきたい。さらに外注化の強制出向に対する差し止めの仮処分という形で訴訟を起こす準備を始めています。阻止に向けて考えられる、ありとあらゆる闘いをつくっていこうとやっていて、訴訟もそのひとつですけども、最大の核心は組織拡大です。
 7月19日には京葉車両センターで国労から1名組織拡大を勝ちとりました。7月14日に千葉で外注化阻止に向けた動労千葉の総決起集会を開催しましたが、その過程で会社が一番恐れていたこともそこです。勤労課が「この集会でなんかサプライズがあるんですか」って。動労千葉が組織拡大を発表するのかと非常に気にしているということです。だから組織拡大が最大の力関係になる。この外注化決戦のなかで20名を超えるぐらいの組織拡大を実現してきました。昨年、青年部を再建しました。この過程で二桁の青年部にしていきたい。
 日本の労働運動は、その歴史のなかで資本と正面切って闘い抜いて組織拡大を実現した経験がない。この現実のなかで動労千葉が外注化と真正面から立ち向かって組織拡大を始めたときに、動労千葉は本当の意味で労働運動に大きな影響を持つようになると思っています。またこの民営化・外注化による非正規職化の問題は、大きくは労働組合がこれとまともに闘えなかった歴史によるわけですが、われわれがこれを貫徹して闘い抜けば、今までの日本の労働運動のあり方をすべて覆す地平を切り開けると考えています。
 強制出向をめぐる集団訴訟の闘いもそれ自身、大きな意味を持つものです。いまだかつてこんな形で集団訴訟をやった経験は日本の労働運動の中ではないはずです。
 すべては組織拡大の実現ができるか否かにかかっています。平成採が決起してくる展望も生まれています。ここに賭けきってこの熱い夏の決戦に臨んでいきたい。
 支援する会の課題も同じです。組織拡大です。ここ一点に焦点を絞って決起していただきたい。動労千葉も職場から総決起をつくりあげていくことを決意して、私からの提起に代えさせていただきます。
(写真 動労千葉を支援する会総会【7月22日 千葉県労働者福祉センター】)

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月刊『労働運動』(269号3-1)(2012/08/01)

橋下の公務員バッシングに、自治体・教育労働者は胸をはって闘おう!

民営化・道州制・労組破壊を許すな! 全員解雇の橋下改革絶対反対!

9月橋下打倒大集会に全国から集まろう!

 9月橋下打倒大集会を呼びかけている3人の大阪の労働者からのアピールを掲載します。

 ●橋下−当局、闘わない執行部への怒りを形に!

 赤田由行 大阪市職員労働組合

 被災地で起きている現実の中に、橋下「大阪都構想」の正体が示されている

 被災地の自治体では、市町村合併や民営化により3・11以前から要員不足が蔓延してきた。そして3・11以後、「被災で財源がないから」という口実でさらに要員を削った結果、残業時間が当たり前のように100時間を超えている。要員不足による業務の遅れの中、「被災関連死」が1600人を超えても復興住宅はいまだに1%しか建設できていない。
 この「復興の遅れ」に対する怒りはすべて現場に殺到する。矛盾のすべてを現場労働者が負わされ、仙台市職員は5割が抑うつ状態に追い込まれている。そうやって病気や自主退職に追い込み、結果として業務が回らないことを口実にして民営化を強行する。
 特に福島県の自治体労働者は、政府の「安全キャンペーン」のもと、被曝対策もろくにとられず、土日も構わず駆り出され、現場では被曝に責任をとらない行政に対する住民の怒りと直面させられている。
 これが3・11のさなかに日本経団連と民主党政権が一体になって開始した「復興特区
構想」が生み出している現実だ。「産業特区」「水産特区」「医療特区」による民営化や株式会社参入、そして労働者のアジア並み賃金への引き下げを提案し、原発は再稼働しろというのだ。2万人を超える死者・行方不明者、福島原発事故により40万人が避難を強制されているときに、金もうけの算段しかしていないということだ!
 被災地の自治体で行われていることはもはや殺人に等しい。そして「復興特区構想」と「大阪都構想」はまったく一体だ。この現実を見たときに、橋下のいう「民間でできるものは民間に」「市民のために競争を」が何を意味するのか。金もうけにならないものはすべて切り捨てるということであり、そのために職員を非正規化し、奴隷のようにこき使おうということだ。
 しかし、労働者はいよいよ動き出した! 首相官邸前20万、7・16代々木公園17万の決起は、反原発を契機としたもうだまされてたまるか∞声を上げなければ殺される≠ニいう、新自由主義に対する青年労働者の怒りの爆発だ! それは野田に賛辞を送る橋下への怒りそのものであり、自治体労働者が橋下打倒の旗を鮮明にうち立てたとき、大阪中之島を埋め尽くすような青年労働者の決起が必ず始まる。
(写真 7・17さよなら原発10万人集会後のパレードに出る自治労組合員【渋谷コース】)

  体制内労働組合の屈服が橋下を支えている

 問題はただ一点、闘う労働組合の問題だ。すでに「教育基本条例」「職員基本条例」「大阪市労使関係条例」「政治的行為制限条例」などの解雇攻撃が次々と始まっている。そして地下鉄・バス、市立病院、上下水道、ゴミ収集、保育園・幼稚園の労働者は「民間に転籍」、市職員の3割弱にあたる約1万人は非公務員化という大民営化攻撃が宣言されているにもかかわらず、組合執行部から提案される闘いの方針は裁判や労働委員会提訴のみ。大阪市交通労組は最大19%、大阪市労連は現業への最大25%という大幅賃下げに屈服。現場の仲間の顔を思い浮かべたときに、一体どうしてこんなものを妥結できるのか!
 そのなかで、組合幹部のデタラメぶりが極まっている。「マイカー通勤」で停職3カ月、「喫煙」で停職1カ月と、明確に解雇を目的とした処分攻撃が吹き荒れているにもかかわらず、「職員基本条例で決まっているから仕方がない」と闘いを放棄している。
 節電攻撃による「休憩時間変更」も「節電効果は示されていない」(大阪市職幹部)のに受け入れる。「民営化は悪いことばかりじゃない。公務員にしかできないことを一生懸命やっていこう」(大阪市従幹部)などと民営化推進の立場が組合幹部から平然と表明される。こういう労働組合幹部の屈服があって初めて、橋下がのさばっているに過ぎない。

  「当たり前の労働組合」を取り戻し、橋下を打倒しよう!

 大阪市の労働者の中に闘う労働組合を復権することができれば、橋下は打倒できる!
 動労千葉のストライキは、組合の違いを超えてJR青年労働者の怒りを解き放った。そして4・1外注化を阻止し、6・29判決で国鉄分割・民営化によるJRの不当労働行為を認めさせた。さらに「10・1外注化阻止」に向け、国鉄分割・民営化以来の労働運動の後退の歴史を、すべてひっくり返す歴史的挑戦が始まっている。
 「闘っても勝てない」という連合幹部の振りまく悪しき常識に、今こそ終止符を打とう! 資本家の全重圧がかかろうとも、労働者は勝てるのだ。JRで始まったこの歴史的事態と一体で、大阪市の労働者は橋下打倒―民営化絶対反対の闘いに打って出よう!
 7月に旭川で開催された現評総会では、橋下打倒署名に自治体労働者が列をなした。現場労働者はもはや闘わない執行部に愛想を尽かし、闘う方針を求めている。この現場の当局への怒り、そして闘わない執行部への怒りを形にするのが、9月橋下打倒集会だ。
 だから勝負は「職場生産点」だ。闘わない執行部と対決し、現場から民営化絶対反対の闘いをつくりだせるかどうかだ。
 今、橋下による「入れ墨調査」に対して、自分を含めて13人がこれを拒否し、橋下の解雇攻撃を断固迎え撃とうとしている。組合執行部と職制は声を合わせて「提出することがあなたのためだ」という。嘘をつくな!  入れ墨を口実とした「配転」とは、国鉄の「人材活用センター」攻撃と同じ、典型的な解雇攻撃ではないか。入れ墨を入れているかどうかではなく、全員にかけられた攻撃ではないか! 現場は「なぜ組合は拒否方針を出さないのか」と言っているぞ!
 絶対反対で踏ん張る存在が一人でもいれば、あらゆる問題をチャンスにして、労働組合として今何をなすべきなのか、労働者全体が真剣な議論に入る。そのなかから、闘う団結は必ず生まれる。闘いは少数から始まったとしても、怒りの火は必ず全体に広がる。
 全国のみなさん。なにより自治体労働者の皆さん! 9月橋下打倒集会を決定的チャンスにし、職場に闘う団結を甦らせていこう!

 ●「君が代」処分、学校丸ごと民営化をぶっとばそう!

 沼田祐子 大阪市教職員組合

  橋下の攻撃の本性を暴き出した!

 維新の会が出した「維新八策」には「公立学校教員の非公務員化」をめざすと書いてあります。ついにこの衝撃的な文言が出てきたことで、橋下・維新の会の狙いが教育の民営化であり、教育労働者の全員解雇=非正規職化にあることが、明らかになりました。
 彼は就任当時から「簡単に解雇できないという公務員の身分保障が問題だ」と言ってきました。つまり公務員労働者を「いつでも首切り自由・賃下げ自由の状態」=非公務員化することが狙いなのです。
 「大阪都構想」=道州制は、大阪府・市の公的事業を丸ごと統廃合・民営化しようとするものです。そこで働く公務員を全員解雇し、すべて非正規職に置き換える攻撃です。水道、病院、地下鉄・市バス、ゴミ収集などと同様に保育所・幼稚園・公立学校も民営化の対象なのです。今さしあたって現業部門に民営化の矛先が向いているが、「自分たちには関係ないだろう」とか、「アメリカでの話だ」ととらえているとしたら大変な間違いだと言わざるをえません。今、大阪市で始まっていることこそ、教育の民営化に向けた攻撃そのものです。
 大資本の金儲けが最優先であり、労働者の生活や子どもたちの教育が破壊されてもかまわないというのが橋下市長の本音です。大飯原発の再稼働を認めたことでも明らかです。最初は「脱原発」などと原発反対のポーズをとって労働者の怒りをねじ曲げようとしていましたが、案の定、経済界の要求に応え、その手先としての本性を露わにせざるをえませんでした。今、首相官邸前や関西電力前には連日多くの市民、若者が原発再稼働に怒って集まり、その声は「野田政権を倒せ」「橋下やめろ」に高まっています。私たちが労働組合として本気になって闘えば、原発再稼働阻止や橋下打倒も不可能ではないことを指し示してくれています。
(写真 法曹8団体主催「橋下市長に異議あり!!」6・25集会には、ナショナルセンターの系列を超えて1200人以上が結集。現場の怒りを示した。【大阪・中之島中央公会堂】)

  処分攻撃との闘いはみんなの問題です

(写真 パレード出発! 7・17さよなら原発10万人集会【原宿コース】)

 私は3月21日の卒業式に「君が代」の起立・斉唱の職務命令に従わなかったことをもって、4月19日付で「戒告」処分を通告されました。この処分に対して、6月13日に大阪市人事委員会に不服申し立てを行いました。
この「君が代」処分攻撃は、私個人の問題にとどまらないと思います。
なぜなら、橋下は「教育の民営化」=「公立学校教員の非公務員化」のレールを実質的に走りだそうとしているからです。まずは、被処分者を今後の解雇者名簿の筆頭に載せようとしているのです。処分の矛先は「君が代」不起立だけではありません。「入れ墨」「喫煙」「マイカー通勤」「USB等の盗難や紛失」「指導力不足」「児童生徒のケガ」等、服務規律に従わないとみなした者、あるいは多忙から来る病気や事故を個人の責任にして処分しようとしています。処分の理由はなんでもいいということです。一人への処分・解雇は、全員解雇の始まりです。労働組合は組合員へのいかなる不利益をも許さず、処分攻撃と闘うべきです。
今後の人事委員会の進め方や口頭審理(公開)に、現場の仲間の声を反映させていきたいと思っています。

  学校丸ごと民営化、被災地と大阪がターゲット!

  大阪市では2014年度から、学校選択制の導入で「保護者の選別にさらして自然に統廃合をする」といっており、市立小中学校の約3分の1から4分の1を廃校にしようとしています。地域の反対を無視してでも学校を潰し更地化し、金儲けのために売り飛ばすというのです。他方、大阪市内全域から通学可能で優遇した小中一貫「スーパー特進校」を西成区やかつての「同和推進校」に設定しました。今ある町が潰され、地域社会のつながりが破壊されてもかまわないということです。橋下・維新の会は、被災地の「復興特区」と同様に大資本が喜ぶような「特区」にしようとしているのです。
 三井住友グループ系のコンサルタント会社である(株)日本総研が自治体向けに出して
いる「公立学校ブランディング事業」には、資本が教育を金儲けの道具にしようとする「方法」が本気で提案されている。「現代世代(子育て世代)の人口流出に直面している自治体」「公立学校の統廃合を抱えている自治体」というのは、まさに被災地と大阪市がターゲットであり、ビジネスチャンスとして狙われているということです。
 アメリカで05年のハリケーン・カトリーナで壊滅的打撃を受けたニューオーリンズ市では、「復興特区」として公立学校の4分の3が民営化され、7000人の教員が整理解雇されています。これを被災地と大阪から始めようとしている。橋下・維新の会は資本家の手先となって率先して「学校の民営化」を導入し、「公立学校教員の非公務員化」をやろうとしているのです。

  労働組合が絶対反対で闘えば勝てる!

 民主党も維新の会も労働組合を破壊し公務員の大量解雇を狙っていますが、その張本人
の野田政権や橋下を支えているのは民主党=「連合」組合であり日教組本部そのものです。闘う労働組合を甦らせることが絶対に必要です。労働組合が絶対反対で闘えば、現場の怒りではね返すこともできるし、橋下・維新の会を野田政権もろともぶっ飛ばすことだって可能です。今、橋下の足元でさまざまな労働者・市民・若者が反撃に立ちあがっています。原発再稼働反対の闘い・「入れ墨アンケート拒否」の市職員の反撃・八尾北医療センターの病院潰しに対する勝利判決など、橋下の新自由主義攻撃との闘いは広がってきました。
 原発再稼働への怒りと橋下改革への怒りは一つです。いずれも資本家が生き延びるために、労働者や子どもはどうなってもいいという新自由主義に対する怒りです。
 新たな革命情勢の到来の中、10・1JR全面外注化阻止決戦と一体で、9月橋下打倒の労働者集会を成功させましょう。

 5・24八尾北裁判勝利の地平を発展させ、橋下打倒へ!

 藤木好枝 八尾北医療センター労働組合 委員長

 八尾北明け渡し判決での5・24全面勝訴は、橋下、道州制の足下で勝ち取られた決定的勝利だった。なによりも労働組合のもつ力にみんなが自信と確信をもったことだ。「国や行政と闘っても勝てない」という体制内的な考えを打ち破って、おかしいものはおかしいと、絶対反対の非和解の団結を固めて闘えば必ず勝てるということを示した。
 さらに橋下は「部落解放運動拠点を2年後全廃」といって、差別をつかって労働組合・労働運動そのものを叩き潰し、階級的団結を解体一掃し、公共施設の閉鎖・解雇攻撃をかけてきているが、5・24八尾北裁判の勝利は、これを実際に打ち破り、「このように闘えば勝てる」という展望を一気に切り開いた。「どうして勝てたのか教えてほしい」と問い合わせの電話がかかってきている。

  拠点労組を軸にした階級的団結が勝敗を決めた

 八尾市との攻防は、2008年八尾北医療センターの土地建物の売却のための鑑定をめぐ
る攻防から始まった。
 2009年7月には「このままだと不法占拠になるぞ」と脅し、話し合いに引きずり込ん
で、非和解・絶対反対の旗を降ろさせる狙いを持って来たのだ。これをめぐって、労組内で「闘っても勝てないんではないか」「話し合ってわかってもらおう」という声もあった。そこで、われわれが闘っているのはどういう時代なのか,敵はすべてをつぶして更地化することしか考えていない、と何度も議論を重ね、2009年9月9日の労組大会で民営化絶対反対の特別決議を勝ちとった。この団結が勝利を決定づけた。
 振り返ってみれば、2009年2月26日の森本さんへの住宅追い出し強制執行阻止闘争を橋下による道州制攻撃としてとらえ、労組としてストライキをもって全力で闘い抜いたことが決定的だった。
 今年、岡邨支部長への二度にわたる住宅追い出し強制執行阻止闘争を勝利的に闘い、3月18日の全国闘争を闘いぬき、この闘いをとおして階級的団結の拡大だけが勝利を切り開くという確信をつかみとった。
 そのなかで道州制・更地化の手先、解放同盟大阪府連=地区協を絶対に許さないという
闘いを通して、労働者が本来持っている力を生き生きと取り戻していったのだ。
 労組が住宅闘争、解放闘争を自らの闘いとしてとらえ、いっさいに責任をとって闘って拠点労組としての飛躍を勝ちとって生まれ変わった。
 労組の絶対反対の団結を軸に、支部と一体となって何度も懇談会を開いて、地域ぐるみの団結を拡大した。それが300筆の明け渡し反対の署名となった。それらすべての闘いが、国鉄、被災地をはじめ全階級の闘いと一つになって、敵を追いつめ、裁判官に勝利判決を出させたのだ。
(写真 橋下打倒の突破口を開いた3・18八尾北・西郡集会には全国から600人が結集【3月18日 大阪・八尾市】)

  首相官邸包囲20万、代々木公園17万の怒りの決起

 反原発のうねりは原発再稼働に対する怒りと共に、失業、非正規、低賃金やさらに消費増税、沖縄へのオスプレイの配備を推し進める「野田政権を倒せ」という声だ。ついに巨大な情勢が到来した。いまこそ橋下=道州制打倒に向けて八尾北労組が旗を振り、闘う労働組合を甦らせ共にストライキで闘おう。
 野田政権は、「このままでは国が亡びる」という危機感もあらわに、国家戦略会議を
開いて「40歳定年」「雇用契約は有期を基本に」を打ち出した。10割の労働者を非正規・超低賃金化にするという提言だ。それら一切を橋下・維新の会に託して、道州制=労組破壊に絶望的に突き進んでいる。この橋下の差別分断・労組破壊を打ち破ってきたのが、非正規撤廃、外注化・更地化阻止の先頭に立ってきた、国鉄、被災地、八尾北・西郡の階級的団結の闘いだ。橋下・維新の会を倒す力を労働者階級はすでに持っているのだ。
 9月橋下打倒大集会に結集し、ともに闘いましょう。
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 【集会要項】
●橋下の公務員バッシングに、自治体・教育労働者は胸をはって闘おう!
●民営化・道州制・労組破壊を許すな! ●全員解雇の橋下改革絶対反対!
9月橋下打倒大集会(仮称)
 要項未定 ※詳細は7月28日の実行委員会を経て確定します。
 実行委員会連絡先 八尾市八尾北医療センター労働組合 藤木好枝
大阪府八尾市桂町6-18-1 TEL 072-999-3555 FAX 072-991-5693

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月刊『労働運動』(269号4-1)(2012/08/01)

8・30〜31自治労第84回定期大会(函館)に向けて

原発推進・大増税・公務員首切りの民主党・野田政権打倒!

全国の自治体労働者は、9月橋下打倒大集会に集まろう!

佐藤 賢一 自治体労働者部会代表、江戸川区職労

 5月5日、日本全国の労働者・市民の闘いの中ですべての原発が止まった。さらに大飯原発再稼働の既成事実化攻撃に対し、毎週金曜日、首相官邸前に10万、20万の市民・労働者が結集し、そのうねりは全国に拡大している。しかも労働運動が後退し、闘うナショナルセンターの姿も見えない中でだ。既成政党などあてにせず、自ら学習し、一人ひとりが主体として、やむことのない「絶対反対」の闘いが開始された。まさに怒りは根底的だ。私も個人として何度も参加もしてきたが、機動隊の規制の中、「再稼働反対」を叫びつつ集まった人々が歩道からあふれ、首相官邸前の車道を占拠するさまは、まさに老若男女の呼吸がひとつのものとしてあり感動的だった。
 そして「7・16さよなら原発10万人集会」には17万人が代々木公園に大結集した。ここではついに労働組合と闘う人々が合流し、機動隊が正面切って規制できない状態までつくり出した。被災地福島を先頭に、新自由主義に対する歴史的闘いが今ひとつ新たな段階に入ったのだ。今こそチャンスだ。誰もが自分の運動を始められる情勢が来たのだ。
(写真 自治労現業評議会総会会場前で情宣【7月19日 北海道・旭川市】)

  野田政権打倒へ

 7月6日、野田を議長とする「国家戦略会議」は雇用流動化に向けて「40歳定年制」を打ち出した。わが部会は、2009年「3・6道州制粉砕・橋下打倒集会」を皮切りに道州制・民営化、公務員労働者360万首切りに対して一早く全力で対決してきた。今回の提言は95年日経連プロジェクト報告(正規1割、非正規9割)以上の反動的内容で、全労働者の無権利・超低賃金化攻撃が狙われている。労働者階級として引くに引けない闘いだ。何が「税と社会会保障の一体改革」か。年金はなくなり、税率アップした消費税は「輸出戻し税」によってすべて大資本へ行き、労働者は医者にも行けず結婚もできず、子どももできない状態に叩き込まれ、資本だけが生き延びようとしている。まさに労働者総体が野田打倒へ総反撃を開始するときが来た。

 自治体労働者こそその先頭に起とう

 自治体労働者部会は、社会保険庁の解体=525人の分限処分の際には、全国組織として全会員が決起し、広島の平口氏を先頭に闘い、全国でのさまざまな決起を勝ちとってきた。そして、自治労本部が分限処分者525名を排除して新組合を結成したという裏切り方針をも明らかにしてきた。連合の消費増税賛成方針を容認し、この期に及んでも民主党支持を打ち出す自治労本部は圧倒的多くの現場組合員の打倒対象となった。この本部を全組合員参加の橋下打倒方針でのりこえよう。反原発闘争で多くの労働者・市民が自らの主張をプラカードにして掲げて登場しているような、創意工夫あふれる怒りの職場闘争をつくりだそう。その力で「公務員首切り・現業廃止の橋下打倒で闘おう」と訴えて8・30〜31自治労函館大会に結集しよう。

  7・19自治労現評総会(旭川) で示された現場の怒り

 7月19日、自治労現業評議会総会−組織集会(7月19〜21日)が行われた旭川市の会場に、わが部会は北海道労組交流センターと共に登場し、参加者とほぼ同数のビラ500枚をまききった。
 自治労本部の「現業アクションプラン」方針とは、「自分たちは直営で民間よりこんなことができる」という形で「市民を味方につけて守ってもらう」というやり方だ。すでに破綻は明らかだ。そもそも「直営か民間か」という経営形態を問題にするやり方がはじめから当局に屈服しているのだ。「地公法57条『単純労務』規定削除」方針もふくめて、結局は「解雇攻撃」の本質をごまかすためのものでしかない。それを自治労本部は「民営化されるのは『57条』があるからだ」だとか「民営化されるのは単組・職場の『アクションプラン』の取り組みが足りないからだ」と言ってきたのだ。本当に許せない。
 敵の攻撃の核心が民営化攻撃を通して、公務員労働運動をたたきつぶし、公務員労働者を解雇し、民営化・非正規化していくことにある以上、「絶対反対」で闘う団結をつくりだすことの中に勝利の展望があるのだ。
 「橋下打倒集会賛同署名」には、わずか15分足らずで数十名が応じてくれた。また、現業職場の独自ビラまきも行われていた。自治労組合員の怒りの現れであり、われわれの路線の巨大な展望を指し示すものだ。公務員攻撃と闘うことを訴えることで自治労傘下の労働者がつながり始めている。このような「本部の統制が効かない」闘いこそ自治労本部が最も恐れることだ。

  自治体労働者は9月橋下打倒大集会へ!

 全国の公務員労働者は怒っている。「親方日の丸」は原子力村であり銀行資本ではないか。何十兆円という金をつぎ込み、資本を延命させ、労働者・農漁民の未来を奪ってきた。野田政権を延命させることは労働者の死そのものだ。現業総会での署名の集まり方の早さは尋常ではない。新自由主義の先兵=橋下打倒にすべてを絞り切り、公務員攻撃と闘わないのは自治労本部だけであることを暴き出し、わが部会とともに起ちあがろうと訴えよう。圧倒的な賛同署名を集めて、全国から9月大阪市庁舎前大結集を実現しよう。

 10・1JR検修外注化阻止決戦へ

 6・10国鉄集会は愛媛県職・宇都宮委員長の感動的なアピールをはじめ、国鉄労働運動の新たな地平を築いた。少数であろうが勝てる。首相官邸前の闘いも少数から始まった。共通性は、現場からの闘いであり、確信と正義性と命がかかった闘いとしてあるということだ。屈服できない背水の陣を敷いた闘いは必ず巨大な闘いに発展する。
 核心は、新自由主義に対する怒りの根底性だ。動労千葉は全人民の根本的課題としてある新自由主義と対決し、この闘いに一切を賭けた。それはまさしく全労働者の根本問題であり、10・1外注化阻止決戦は画歴史的な階級決戦となった。闘う自治体労働者は、自治労大会で橋下打倒を明確にし、動労千葉と連帯し総力を挙げて9月大阪闘争を爆発させ、10・1外注化阻止闘争に全産別の同志とともに合流しよう。数万数十万の現場の怒りを組織できる飛躍を成し遂げよう。

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月刊『労働運動』(269号5-1)(2012/08/01)

在日・滞日外国人と日本人労働者の共同闘争で「在留カード」制度を打ち砕こう!

自治体現場から在留カード制度を撃つ

山崎 浩邦 品川区職労

 1980年代から指紋押捺拒否の闘いが始まり、指紋押捺撤廃運動に自治体職員として関わっていました。86〜87年に指紋拒否者に対する大量弾圧が始まりました。指紋押捺撤廃の闘いは、2000年押捺廃止になるまで反入管の闘いとして継続していきました。外国人登録法が廃止される現場に立ち会えるというのは、感慨深いです。
 今年7月9日、入管法改正(改悪)は、在日外国人・滞日外国人に対する在留管理強化と違反した場合の罰則強化(厳罰化)などが
柱です。在留資格の無い方、「在留資格なし」や観光目的で入国する「短期滞在」などオーバーステイの外国人が約8万人います。93年時には、30万人いましたからだいぶ減っています。
 7月9日以降は、外国人登録証明書を所持していても、在留資格や在留期間がない外国人は、住民基本台帳法の対象者にはならず、行政サービスの対象外者として社会から抹殺する攻撃です。公的な証明が発行されないということです。
 日本で暮らす外国人は、それぞれさまざまな理由で異国の地で生活しているわけで、不法滞在外国人イコール犯罪者というレッテルを貼って適法な外国人とそうでない外国人とに分断するのが今回の入管法改悪攻撃です。在留資格を取り消されたり、超過滞在者となった外国人は、在留カードを14日以内に法務大臣に返納しなければ罰則もあります。難民申請中の外国人には、仮滞在許可者として住民基本台帳対象者となりますが仮滞在期間の延長の許可が下りなければ住民票は消除されます。
 在留カードは、すべて地方入国管理局での作成となり、今まで市区町村でのカード更新手続きが入国管理局になり外国人にとっては、不便となります。
 新しい在留カードは、カードを見ればその外国人が就労可能かどうかは、一目瞭然でわかるし、在留期間の満了日までが有効のカードであるから不法滞在者であるか否かもすぐにわかります。
 特別永住者には、特別永住者証明書が交付されますが、今までの外国人登録証明書に記載されていた通称名は、記載されません。日本で生まれた2世、3世は日本名で生活している人が多いので身分証としては役に立ちません。また、常時携帯義務は廃止になりましたが、官憲からの提示義務はあり、現行となんら変わらないのが実態です。
 外国人は、住居地の変更の手続き(90日以内)を怠れば罰則の規定だけでなく、在留資格の取り消しもあります。入管法の在留管理とはどこに外国人が居住しているのかを管理するものです。在留カードの常時携帯義務も改正後も変わらず不携帯の場合は、20万以下の罰金、提示拒否は1年以下の懲役または20万以下の罰金と厳罰化されています。
 7月8日、外国人登録法が廃止され、9日に住民基本台帳法改正により外国人住民として住民票に記載されましたが、在留資格がない、在留期間の切れた外国人は、住民票に記載されません。現に居住する外国人を抹消するわけです。今までの行政サービスが切り捨てられるのです。入管法の附則の中で60条に仮放免許可(入管収容所に収容されていた外国人が保証金を払って出所した人)を有する外国人について、本人の同意がある場合には、その外国人について、入国管理局から市区町村に対してリストを送付することになっています。市区町村は、その資料をもとに外国人住民に対して行政サービスを図れというのです。滞日外国人支援団体は、この条項を使って滞日外国人へさまざまな権利を守る闘いを市区町村への働きかけをすることが必要だと思います。そして、現場労働者とともに新入管体制を打倒していく闘いが求められています。
 この法律は、3年後に見直すことも含むと附則の中に明示されています。在留カード撤廃の闘いを継続し、滞日外国人の生存する権利を剥奪する新入管体制を変革していきましょう。
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 「在留カード絶対反対!」法務省デモが切り開いた地平

 外登法・入管法と民族差別を撃つ全国 実行委員会

 7月9日当日、仮放免者の会が呼びかけた法務省デモは、200人以上の労働者人民が参加し、「在留カード絶対反対!」「差別をするな! 人権守れ!」「今すぐみんなにビザを出せ!」と叫んで、法務省に迫った。6月20日に続く連続的な法務省デモである。
 7月9日、在留カード制度が始まった。2009年7月に国会で成立した入管法の改悪は、新入管法を制定するに等しい大攻撃だった。それは外国人登録法を廃止し、すべてを入管法で一元管理するというもので、3年間の準備の末、7月9日から制度を開始したのだ。
 在留カードの対象になるのは、中長期滞在者外国人約170万。在日朝鮮人・中国人など特別永住者約30万については特別永住者
証明書に切り替わった。ところが難民申請者を含む非正規滞在者約8万人については、こうした制度から除外し、これまで持っていた外国人登録証を取り上げ、公的に証明するものを何一つ持てない状況になってしまった。
 在留カード制度は、研修・技能実習制度を労働力確保のための国策として推し進めていくことを柱にしたものだ。在留カードの狙いが在日・滞日外国人を正規・非正規で分断し、さらに就労資格で選別・管理する究極の新自由主義攻撃であること、だからこそ民族・国籍・国境を越えた労働者が団結して立ち上がればこの制度は粉砕できる。在日・滞日外国人と日本人労働者の共同闘争として闘われた6・20―7・9法務省デモが、その展望を大きく切り開いている。
(写真 「在留カード」粉砕!法務省デモ【6月20日、東京・霞ヶ関】)

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月刊『労働運動』(269号6-1)(2012/08/01)

日帝の核武装阻止!

青森の反核燃闘争について

間山 正茂 南部バス労働組合執行委員長

 7月22日、東京・文京区民センターで8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会主催「内部被曝を徹底糾明する 7・22反戦反核東京集会」が310名の結集で行われました。間山正茂・南部バス労組委員長の「特別報告」を掲載します。

 青森の現状を報告させていただきます。六ヶ所村というところは、「青森を止めれば原発が止まる」というぐらい、すごい核の施設になってしまいました。これはお隣の県の人に言ってもわからない。それぐらい問題視されていませんでした。昨年の3・11以降、東京電力福島第一原発の爆発事故以来、青森県がクローズアップされてきていると思います。今こそ「原発=原核燃=日帝の核武装だ」ということを言い続けて、私どもは反対闘争をしていかなければならないと思っております。

  核武装の基地・青森県六ヶ所村

 まずは青森県がどういう状況に置かれているのかを理解をしていただきたいと思います。
 六ヶ所には、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設、高レベル放射性廃棄物貯蔵施設、再処理工場、MOX燃料加工工場があります。(右頁地図参照)。MOX燃料加工工場はまだできておりませんが、本当に危険な建物が乱立をしているところであります。とりわけ危険なのは再処理工場です。これもすでにみなさんが知っているとおり、原子力発電所で使われた使用済核燃料をもう一回精製をして、ウランとプルトニウムを取り出し、発電所で使用可能な形態にする工場で、もともとは長崎型原子爆弾の製造のためのプルトニウム抽出技術を民間用に転用したものです。
 茨城県東海村の再処理工場が年間200dの処理ということに対して六ヶ所村は年間800dで、4倍もの処理能力を持っています。再処理工場とは大変危険な部分で原発1年分の放射性廃棄物、あるいはそういう死の灰がたった1日で放出される危険な代物です。すでに仏ラ・アーグや英セラフィールドの再処理工場の周辺では、小児白血病や癌が、他地域の3倍に達しています。ヨーロッパ西部の多くの国は放射能汚染を防ぐため、英、仏の再処理工場の運転を停止するよう求めています。このような状況でも六ヶ所は稼働しようと躍起となっている。これが現状です。
 再処理工場は、2006年3月31日にアクティブ試験が開始されました。その後ガラス固化体などができないなど相次ぐトラブルで18回も延期をした。その費用たるもの、当初の7600億円がもう2兆2000億円を超え、3倍以上になってしまっています。この財源はみなさんの電気料金から徴収されているということも明らかになっております。とんでもないことであろうと思います。

  六ヶ所闘争の歴史

 もともと六ヶ所村は何でこういう状況になってきたのかについてお話をしたい。1969年に新全総(新全国総合開発計画)が決定をされ、むつ小川原開発が始まりました。むつ小川原開発など初めからできないとわかっていたわけなんですが、今になって考えてみると、中曽根康弘や正力松太郎が原発を日本に受け入れるときから、すでに、むつ小川原開発が頓挫した後の貧県・辺境の青森県六ヶ所が狙われていた。そこをターゲットに核燃料サイクルを造ろうとしていたと私は考えております。どこもこういうものを受け入れる自治体はありません。貧県・辺境、お金に困っている県。今で言うと限界集落。六ヶ所が狙われたということであります。
 六ヶ所闘争はいろんな歴史があります。むつ小川原開発の時点では寺下力三郎という村長がその巨大開発を拒否していろんな闘いを進めた。さらに、みなさんも知っているとおり泊の漁場を守る会の坂井留吉さんの闘い。彼も海上調査には船を出して反対闘争をした。そのほか建設がされようとした1989年4月には全国から1万人が集まって人間の鎖で六ヶ所を包囲をした。そういう闘いもしました。残念ながら金権に負けてしまい、敗北した。一回敗北するともう見込みをつけられて何でもかんでも持ってこられた。
 今現在、日本が保有するプルトニウムは国内外合わせて45dあって、そのうち核分裂性プルトニウムは30d。国内だけだとプルトニウムは10dで、核分裂性は6.7d。そのうち六ヶ所には2.3dぐらいある。これがIAEAの現実の監査の下で保管されています。この核分裂性プルトニウムの精度をよくすれば、ナガサキの原発になります。ですから、実際に核爆弾を造る施設はまだないにしても、いつでも原子力爆弾を造れる形になっているのが現状です。

  むつ使用済み核燃料中間貯蔵施設

 次に、むつ使用済み核燃料中間貯蔵施設ですが、これは全国の原発から出た使用済み核燃料をとりあえず中間貯蔵をするための施設です。10年ぐらいの実績があるということになっているわけなんですが、おおむね50年、キャスク(樽)という使用ずみ核燃料の輸送容器に入れてコンクリートで包んで空冷で貯蔵するという施設です。しかし果たして本当にキャスクがその熱に耐えられるのかは、まだ全然わからない。なのに貯蔵をするということですからこれも大変な施設であります。ですから再処理工場もふくめ、この使用済み核燃料の中間貯蔵施設、これらを止めるということは、すべての原発を止めることに直結するんであろうと思っております。
 次に東北電力の東通原発、東京電力の東通原発。これらは停止中や計画中となっておりますが、福島の事故がなければ建設のラッシュになっていたと思います。

  世界初のフルMOX原発−大間原発

 そして極めつけは、建設中の大間原発です。これは本当に世界初です。プルサーマルではありません。もうフルMOXです。精製したウランとプルトニウムを混合した燃料を常時そこで燃やす。従来、原子力発電所は電気を発電するための発電所ということなんですが、今、もんじゅもダメ、プルサーマルもダメというなかで、唯一、この大間原発ができれば唯一ですよ、プルトニウムを処理できるということになるわけです。ですから電気を起こすんじゃなくてプルトニウムを処理するための原発だということが明確になっています。その事業主は何と今まで一度も原子力発電に携わったことのない「電源開発」という電線屋さん、電線を張る会社です。もうとんでもないことになっているわけです。
 知ってのとおり大間原発は、1984年の誘致が決まってから2008年の5月まで手をつけられませんでした。これは炉心の近くに土地を持っていた故・熊谷あさこさんが反対してその土地を手放さなかったからです。今も娘さんがそこを預かっています。大間原発が見えている中をずっと鉄線で囲まれて家があります。そこについては炉心建設の計画を変更せざるをえないという前代未聞の事態に発展しています。

  莫大な額による金権支配

 交付金などの話をさせていただきますが、大間町への交付金はこれまで68億円。青森県に対する電源三法交付金、これは2011年度、去年の評価を経て出るわけなんですが、過去最高の191億円。すごい額です。それ以外にも電力会社から何からいろんな補助金や、核燃料税、原発税などどんどん入っています。だから貧県の自治体などからすれば、もう原発が危ない、核燃が危ないというより、それで生活をしているという現状です。六ヶ所村の人口が約1万1千人。人口一人あたり、一人あたりですよ、平均収入が年間1300万円を超えます。いずれにせよ敵も用意周到で、六ヶ所・東通はもう職員が年に一回は全戸を「安全だ」と触れ回っています。だから反対だという部分があったとしても、なかなか声をあげれないでいるということがあります。

  NAZEN青森結成の決定的重要性

 そうしたなか、4月7日、私どもは「すべての原発いますぐなくそう!全国会議・青森」を結成しました。この結成は本当に意義があります。いろんな反核燃・反原発の団体がありますが、NAZENは、本当に核をなくそうと掲げて、全国に広がって統一戦線で日帝の核武装を阻止しようと結集していくわけですから、本当に重要であるだろうと思います。
 次の日には、もう何年もやっていませんでしたが、全国の方から集まっていただいて六ヶ所村内をデモしました。核燃で潤っている六ヶ所のデモでしたが、民家から手を振る人もあり、「邪魔だ」と唾を吐いていくような人たちもいました。私どもはそういう金権支配に対抗して、何としても地域住民を味方にして反対闘争を高揚させなければならないと思っております。
 6月17日には大間原発反対現地集会を200
人を超える結集で開催しました。集会の後に大間町内のデモを貫徹しました。30年ぶりと言われていますが、私の記憶では初めてのような気がします。これは本当に賭けでありました。大間町民が3・11以降、どのように思っているのか。そういうのも見たい。あるいは石を投げられるかもしれない。そういうことも見据えながらデモをしたら、意外と「大間の原発は危ない」「子どもたちを放射能から守ろう」という声がいっぱい出てきました。大間の海を挟んで向かいの北海道・函館の方が反対闘争が強いわけなんですが、今回のデモは言うならば大間町民とまさに一体となったデモであったんではないのかなと私は評価をしております。
 昨年も現地反対集会を開催しました。そういときには必ず政府などの要人が来ます。去年は民主党の岡田克也が大間に来て吹いていく。大間の町に行くまでには1本の道路しかないから、新たな避難道路を造る。そのためには大間原発はやる≠ネどと言っています。今年は自民党議員の山本一太が来て、大間原発の必要性を話していく。逆にそういうふうに注目されるということはわかっているわけですから反対闘争をきちんとしていかなければならないと思っております。
(写真 再処理工場前での全体集会で怒りを込めたシュプレヒコール【4月8日 六ヶ所村】)

  ヒロシマ・ナガサキ・フクシマの怒りとの結合を!

 私もヒロシマ・ナガサキ・フクシマ、この怒りと結合をしなければならないと思っております。原発が爆発したら、もうどうにもならないというのが原子力の世界です。だから、そうならないためには廃炉にしなければなりません。今福島に診療所を開設しようというような動きをいろんな団体でしております。ぜひご協力をお願いしたい。
 最後になりますが、原子力基本法を「改正」して「我が国の安全保障に資する」と盛り込んだ。なんで電気を作る原発が「我が国の安全保障を資する」ということに関係があるのか。ここは本当に憤りを感じます。要は核武装をするということを彼らは明確に打ち出したわけです。私たちは真っ向から対決をしなければならない。
 そして大飯原発を再稼働させておいて裏では火力発電を停めている。こんなことをやっているんです。とうてい許されるものではないでしょう。そういう隠蔽工作には本当に怒り心頭です。全国の仲間とともに原発を廃炉にする、核燃もなくする。その後に出てくるいろんな種類の課題もあろうかと思いますが、ともに闘うということをお誓い申し上げて、報告に代えさせていただきます。ありがとうございました。

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月刊『労働運動』(269号7-1)(2012/08/01)

「原発なくそう 改憲はばもう 8・15労働者・市民のつどい」に集まろう

 今年の8・15労働者・市民のつどいのメインタイトルは「原発なくそう 改憲はばもう」です。野田首相が大飯再稼働の記者会見を行ったのが6月8日、それ以来「再稼働反対」の怒りは急速に広がり、7月1日再稼働(制御棒引き抜き)後も7・16代々木公園17万人を頂点に激しく闘われています。反原発闘争の勝利に向けて8・15集会を成功させましょう。
 野田政権と自公両党は、この原発再稼働のさなか6月20日、原子力基本法附則と宇
宙機構法を改正し、いずれにも「我が国の安全保障に資する」との文言を追加しました。これは核武装と宇宙の軍事利用の宣言です。まさに原発再稼働の本質は一方では経済=資本の金儲けのためであるとともに、他方では戦争と改憲の攻撃の最先鋒として再稼働攻撃がかけられてきています。
 その起点は昨年3・11の翌日のアメリカ・オバマによる「トモダチ作戦」の発令です。嘉手納基地の米軍特殊作戦群がパラシュートで降下した仙台空港作戦、米第7艦隊の原子力空母「ロナルド・レーガン」を軸とした空母戦闘群が宮城沖に展開。艦艇19隻、人員1万8千人、航空機140機を集結させました。他方で在日米軍家族7500人を帰国させ、原子力空母「ジョージ・ワシントン」を日本海に待機させました。
 日本は、陸自15個師団・旅団の6割以上が動員され、航空機550機、艦艇50隻以上が展開しました。即応予備自衛官を初めて投入し、総数10万6000人体制をしきました。いわゆる「武力攻撃事態」における仕組みを発動して、日米の共同作戦として被災地を「戒厳令下」において制圧したのです。
 以上の「3・11」の延長に今があります。アメリカが配備を強行するオスプレイは米・海兵隊の秘密攻撃や奇襲攻撃のための侵略兵器です。その日本配備は、沖縄基地の永続化であるとともに日本全土の侵略基地化でもあり、米帝と日帝の争闘戦を激化させています。また、7・16集会の日、統合防災演習と称して陸自第1師団が迷彩服で都内を行軍し、野営し、区役所での宿泊指揮訓練を行いました。
 いわば「3・11」のショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)の攻撃として、野田政権は原発再稼働、消費大増税、復興特区、沖縄、TPPなどを含む、戦争と改憲の攻撃を次々と強行しているのです。労働組合破壊攻撃を本質とする橋下大阪市長・維新の会はその先兵です。
 今秋、関西−全国の労働者の力で橋下をぶっ叩き、野田政権を打倒し、原発再稼働と戦争・改憲の攻撃をぶっとめよう。そのカギは労組交流センターの労働者の職場からの決起と労働運動の再建にあります。ともに闘いましょう。
 (事務局 N)

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月刊『労働運動』(269号8-1)(2012/08/01)

7・21〜22ス労自主第78回定期全国大会を開催

中村和憲 ス労自主副委員長

 ス労自主第78回定期全国大会が、前日のス労自主を支える会東京総会に続いて、7月21日・鶴見潤滑油工場、22日・文京区民センターにおいて開催された。2012年度総括と2013年度方針について、ス労自主流に、議案書を読み合わせながら確認された。
 被解雇者8名、統制違反者2名を入れても総勢30名、今年で平均年齢67歳となるス労自主が、本年10月14日に結成30周年を迎える。1952年、横浜・鶴見油槽所において産声を上げたスタンダード・ヴァキューム石油労組(ス労)から数えて60年、ス労自主はそのちょうど半分の年月を数える。ス労自主は、ス労時代より二度の組合分裂、二度の刑事弾圧、三度の不当解雇をのりこえて、ス労の闘いを継承し、8君不当解雇撤回闘争を基軸に、「弾圧を武器」に反弾圧・反差別=反合=反戦・反核=二組解体闘争を闘い続けてきた。
 大会では、エクソンモービルが東燃ゼネラル石油に資産を売却し、3020億円を手に米本国に逃げ去ろうとも、また、「雇用関係がある組合員がいない」として組合室をはじめとする便宜供与を奪い去ろうとも、ス労自主として、これからもエクソンモービルそして東燃ゼネラル石油と闘い続けることが確認された。8君不当解雇撤回闘争、エクソンモービル買収合併大合理化・日本市場撤退絶対反対闘争、再雇用闘争、春闘・一時金闘争も闘い続ける。その一方で、平均年齢67歳のス労自主に残された時間はそう多くない。財政問題、組合員の加齢による体力の衰えや健康問題、家族介護の問題等、ス労自主の闘争力の低下は否定できない。それゆえに一日一日を、一つ一つの闘いを、一瞬一瞬を悔いなく闘うということだ。
 議案項目は以下の通り。*反弾圧・反差別闘争、*再雇用要求闘争、*エクソンモービル日本市場撤退反対闘争、*10年・11年・12年春闘賃上げ・一時金・労働条件改善要求及び労働協約闘争、エクソンモービル買収合併大失業攻撃反合闘争、ス労自主組織強化闘争、*各支部連・(合同)分会連の闘い、*支援・連帯・共闘、*改憲阻止闘争、*ス労自主組織、*ス労自主を取り巻く情勢とス労自主の立場、*2013年度賃上げ・一時金・労働条件改善要求及び労働協約闘争、*2012年秋闘・年末年始闘争、*決算、*予算、*統制処分、と多岐にわたっている。
 2013年度本部役員は、中央執行委員長入江史郎(64歳)、中央執行副委員長山川博康(70歳)、同中村勇(67歳)、同棚橋竹三郎(63歳)、同上村敏行(62歳)、同市野瀬まち子(62歳)、同中村和憲(62歳)、同長谷川ユキ(61歳)、中央書記長田村秀夫(63歳)、中央執行委員中西敏勝(75歳)、同内川静男(73歳)、同松田隆三(69歳)と全員が留任して、来年もやる気だ。
 来賓各位並びにメッセージをお寄せいただいた各組合・団体のみなさんに感謝します。
 また、本年10月14日(日)、ス労自主結成30周年集会を東京(会場未定)にて開催します。今から予定に入れておいてください。

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月刊『労働運動』(269号9-1)(2012/08/01)

■闘う合同・一般労組

ゆうメイトの雇い止めを許さない

広島連帯ユニオン・郵政支部の結成とその闘い

 広島連帯ユニオン・郵政支部は昨年の3月末のゆうメイトの雇い止め労働相談を契機に結成しました。その後、組織拡大も実現し、昨年退職したSさんを中心に支部の団結を固めて裁判闘争と労働委員会闘争を闘っています。
郵政の民営化とりわけJPEXの破産以降、職場はデタラメな状態になっています。赤字解消のために正規職員の大幅賃下げとゆうメイトの大量首切りがJP労組の屈服と協力の下、強行されています。仕事は極限的にまで強化され、多くの労働者が休憩さえ取れない状況になっています。自爆営業の強制、評価での分断とまさに無法地帯です。広島連帯ユニオン・郵政支部は組合内外の闘う労働者、労働組合、とりわけ郵政非正規ユニオンと固く団結し、爆発寸前の怒りに火をつける闘いの一翼を担っていきます。
郵政支部結成の契機となった相談は、広島東支店の課長が「この職場は3月末でなくなるので辞めてくれ」と言って「自主退職」で辞めさせようとしたものでした。団体交渉では「何時雇い止めが成立したのか」と組合側が問い質したことに答えることさえできないデタラメぶりでした。団体交渉を2回行なって徹底的に追求する中で当然にも雇い止めは撤回させました。三次支店では、ゆうメイトの雇い止めを行なう一方で、同時に募集するというまったく不当なことを行なって来ましたが、団交では「期間満了」の一点張り。ゆうメイトを「取り替えのできる労働力」としてしか考えていないのです。
宇品支店では「本人の口から組合員であるという確認が取れないので団交はやらない」ということで不当労働行為で係争中。現在労働委員会から早期の団体交渉実現のための和解案が示されています。広島西支店では免許証の忘れ失効に停職6カ月の超重処分を発令。高裁で「処分は不当」の完全勝利を勝ちとりました。しかし、まったく同じ案件で、今度は6日の停職処分を一事不再理の原則を破って強行してきました。これに対し再度裁判に訴え現在係争中です。コンプライアンスもなにもあったものではありません。こうした現実は職場にまっとうな労働組合がないことが引き起こしているのです。
(写真 郵政非正規ユニオンの旗を掲げてビラまき)

8・6ヒロシマから10・1外注化阻止へ

現在、日本の労働運動の実情は惨憺たるものがあります。この現実を覆す以外に勝利の展望はありません。政府は国家戦略会議の「フロンティア構想」で40才定年制、すべての労働者を有期雇用にすると打ち出しました。日経連の95年労問研報告の9割非正規化を上回るものです。大恐慌が歯止めなく進行する中で、すべての犠牲を労働者に押し付けて資本が生き残る戦略として打ち出されたものです。
動労千葉は非正規職化の手口である外注化を阻止し続けてきています。JRという日本を代表する資本が外注化を貫徹できない中で全労働者の非正規化の実現など絶対に不可能です。その突破をかけた攻撃として10月1日のJR構内業務の全面外注化の攻撃が襲いかかっているのです。連合のもとで、外注化阻止をまったく闘えず2000万の非正規職労働者がつくり出されました。これをのりこえる闘いとして、10・1外注化阻止の闘いは全労働者の共通の最大の課題です。10・1は郵便事業会社と郵便局会社が再統合される日でもあります。10・1の勝利に向かって全力で闘い抜きます。
徹底的に労働組合を解体し、職場から団結を奪い「自由に儲ける」というのが新自由主義です。その新自由主義は大量の非正規労働者を生み出し、ついに福島原発事故にまで至りました。野田政権は大恐慌と原発事故に追い詰められ、原発再稼動と消費大増税へと走っています。しかし再稼動反対、野田打倒の声が毎週金曜日、首相官邸前を10万人、20万人という巨大な数で覆いつくし、7月16日には代々木公園17万人が原発反対の声を上げました。団結を破壊され、非正規につき落された労働者の、まさに「生きさせろ!」の闘いが巨大な形で開始されたのです。
完全に流れは変わりました。こうしたなか、被爆67周年の8・6が闘われます。福島の怒りとしっかり結びつき、原発再稼動反対、野田打倒の巨万の決起を8月6日に原爆ドーム前で実現しようではありませんか。広島連帯ユニオン・郵政支部はその最先頭で闘い抜きます。共に決起しよう。

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月刊『労働運動』(269号A-1)(2012/08/01)

■BOOK

非正規雇用と労働者の健康

矢野英二、井上まり子編著

労働科学研究所 2011年5月 2625円

 「非正規雇用自体が、命にかかわっている」

  本書は、『雇用形態多様化と労働者の健康』(2008年6月刊)の第2版として昨年5月に発刊された。非正規雇用が労働者の健康・命にどのように関係しているかを科学的に解明しようとしている稀有な一書である。
 第4部―6の「外国人労働者における労災・職業病発生の実態」は少ない資料・データからその実態に迫ろうとした貴重な論文である。2008年6月に茨城県のメッキ工場で働き、心不全で死亡した31歳の外国人実習生の残業時間は100時間を超えていたという。
 偽装請負が労働者の命を奪ったニコン熊谷事業所の事件について「人間をモノとして取り扱う間接雇用が、モノでない人間の命や健康の脅威となることを如実に示している」(324頁)と非正規雇用がなぜ健康障害を引き起こし、精神障害、自殺にまで至るのかを解明しようとしている。第1版と併せての学習を薦めたい。
(小泉義秀 合同・一般労働組合全国協議会事務局長)

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月刊『労働運動』(269号B-1)(2012/08/01)

■ひめじょおん――女性部から

闘う路線を打ち立てた7・1関空全国闘争

泉州労組交流センター 中川育子

 7月1日、泉佐野市・末広公園で泉州住民の会と関西労組交流センター共催で関西新空港反対全国集会を行いました。160名で、大成功でした。
 今回大きかったことは、関空闘争を闘う路線を鮮明にしたことです。関空建設は、国鉄分割・民営化と一体の新自由主義攻撃でした。資本家が本体2兆9千億円、関連事業を合わせると数兆円の空港利権に群がるとともに、開港そのものが労働組合つぶし、外注化、非正規化の新自由主義攻撃だったと捉え返しました。橋下は関空救済を道州制推進のテコにしようとしています。
 破たんした新自由主義は、資本の延命のために関空の経営危機と自治体財政赤字の責任を、関空と市で働く労働者に転嫁し、解雇・賃下げ、外注化・非正規化として攻撃してきています。「自治体労働者と関空労働者こそ闘いの主体だ。自治体と関空に新自由主義と絶対反対で闘う労働組合、労働運動をつくることこそ関空闘争だ」とはっきりさせました。

 内から関空を食い破る

 7・1闘争の飛躍の契機になったのが、関空機内食工場を解雇され、関合労に結集したFさんの決起(4月)と職場状況の把握でした。
 私たちは最初、「関空・伊丹経営統合など必ず破産する」と軽視していましたが、Fさんの決起で、「経営統合とは、労働者への解雇、非正規化、強労働で、資本が儲けるためにやるのが本質だ」と気付きました。そして、「関空の中に労働組合を作って内から関空を食い破る」闘う路線を決断したのです。
 関空島には1万2500人の労働者が働いています(3年前は1万5千人で、2500人がリストラ)。経営危機にあえぐ関空会社は毎年入札価格を下げ、労働者の時給は10年働いてもまったく上がらない、18時間拘束16時間労働を月7〜8回(女性も)等、関空島は「労働監獄」です。機内食資本は、外国出身のFさんに「協調性がない」と退職強要し、何の説明もせず印刷した退職届にサインさせ、「契約は終わった」と実質解雇を居直っています。Fさんは「自分だけのことではない。まじめに仕事をしてきた労働者を理由なく解雇するのは許せない」と立ちあがりました。

 千代松・泉佐野市長打倒へ

 さらに、自治体労働者の獲得です。橋下・維新につながる千代松が昨年4月泉佐野市長になってから、職員給与20%カット攻撃、「こども園」攻撃、今年さらに激化し「市の名前を売る」、「震災不燃がれき受け入れ−被曝労働強制」「飼い犬税」「市の駐車場をコンビニに貸す」など、新自由主義攻撃を全面化させてきました。「泉佐野市で起きていることで関空と関係ないことは何一つない。これこそ新自由主義の命より金もうけ路線だ」と批判して「千代松を打倒しよう」と呼びかけて闘っています。
 泉佐野では、がれき受け入れ−原発再稼働反対、「こども園」反対で次々と若い女性労働者が立ち上がっています。市職員の闘いが鍵です。「職員基本条例」を進める千代松は橋下・維新と一体です。国新自由主義を打ち破る路線を持った労組交流センターが先頭に立って、自治労・自治労連傘下の労働者を組織し、9月橋下打倒、10・1外注化阻止に立ち上がる決意です。

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月刊『労働運動』(269号C-1)(2012/08/01)

■動労千葉労働学校で学ぼう!

●星野さんを救う会
 動労千葉の戦闘性がいかに形成されてきたのかを、動労千葉の分離・独立と、ジェット燃料輸送阻止闘争を軸に生≠フ話を聞けてよかった。話の中で印象に残ったのは、三里塚と国鉄を路線的にすえきったことの優位性の上で、不安や生活をかかえる組合員を獲得するための本音を聞き出し、路線的にも一つ一つ獲得し、団結をつくり出していく活動家のたえまない闘いがあったということだ。(中略)一人の100歩よりも100人が一歩を進むことの大切さということが出された。団結をいかにつくり出していったのかのカギだと思う。(後略)

●自治体労働者
 動労千葉の「闘争のすごさ」だけが世間的に思われがちですが、その背景にある団結をどう作っていくかつかみたいと思い、参加しました。
 講演では「三里塚ジェット燃料闘争」と「地本要塞化」の方針をめぐって、どういう話をしたのかがよく分かりました。
 「あそこまでやるんじゃないか」「言っていることは正しいが……」という当然出てくる組合員の意見に対して、どんな姿勢で役員が接していたのか? 「職場がどうなっているのかをよく聞くこと」「相手が話したくない時、話してほしい時」をよく考えることが基本なのでしょうか。(中略)こうした日常の団結が「全員で会館防衛」の体制だとか、「全員がストに入る体制」を作っていったのだと思う(後略)

●動労千葉組合員
 私が国鉄に就職して35年が過ぎた。動労千葉の組合員の期間も同じで、この35年の毎日が革マルとの闘いの日々であったように感じる。

●労組交流センター
 「一人が100歩進む」ということより「100人が一歩進む」ことの方が重要だ。「『100人が一歩でも前進する』という方向性を追求しなかったら団結力は生まれない」という提起は非常に重要(中略)。中野顧問は「路線と義理・人情が大事だ」と(中略)どんなに正しい路線を提起しても、現場の組合員が納得しなければ、それは正しい路線や方針ではないと、組合員が納得するまで何度も話し合いを積み重ねて、闘いを通じて路線や方針が組合員自身のものになっていくことが、労働組合として重要であるということを、今日の講義では何度も強調されていた(中略)。このあり方が30年以上ものあいだ貫かれているのが動労千葉をつくっている土台であるということ、これが動労千葉だけに限らず、これからの労働組合復権のカギになるということを強く思いました。
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第12期労働学校日程
■基礎講座
 8月18日(土) 13:00〜
 ◆資本主義とはどういう社会か
 ◆講師 鎌倉孝夫(鎌倉大学名誉教授)
■実践講座
 8月25日(土) 13:00〜
 ◆階級的労働運動再生の展望−関西地区生コン   支部の闘いの地平
 ◆講師 高英男(関西地区生コン支部副委員長)

■場所
 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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月刊『労働運動』(269号D-1)(2012/08/01)

 

■地平線―反戦共同行動委員会ー

オスプレイ搬入を弾劾する

北島邦彦 反戦共同行動委員会事務局長

 新型輸送機MV22オスプレイ12機が、7月23日に米軍岩国基地に搬入されました。現地では早朝から500人の労働者人民が基地対岸に集まり、オスプレイ陸揚げに抗議しました。反戦共同行動委員会の中国・四国の仲間たちも、この抗議行動に参加しています。また、日常的に厳戒警備が敷かれている首相官邸前でも、200人がオスプレイの沖縄配備に反対する抗議行動に起ち上がっています。原発再稼動に反対する抗議行動とともに、危機に立つ野田政権を直撃する闘いになっています。
 山口県岩国市は、筆者の生まれ故郷です。山口県はもともと保守的な政治風土をもつ地方と言ってよいと思います。民主党政権が誕生した3年前の総選挙においても、県内にある4小選挙区うち岩国地域を除く3選挙区で自民党が勝利しているほどです。現岩国市長・福田良彦氏も、空中給油機配備問題などで政府と対立した前市長を選挙で破った自民党員です。しかし、オスプレイ搬入に対する岩国市民の怒りは、当初何も問題視せず搬入を容認しようとしていた岩国市長をも揺り動かして反対の姿勢をとらせ、街ぐるみ≠フ闘いへと発展しています。
 そもそも「安全性の確認をする」などと言っている、野田首相のペテンを許してはなりません。本来的に武器には「安全性」の思想などありません。軍事的要請にいかに応えるかのみが問われており、その武器を使用する兵士の安全など二の次三の次、ましてや周辺住民の安全など想定の外です。その最たる存在がオスプレイです。
 岩国市民の怒りは、沖縄県民のオスプレイ配備反対の闘いと完全に一体であり、8・5沖縄県民大会の10万人を超えるであろう闘いにがっちり連帯する闘いを生み出しています。沖縄−本土を分断することで辛うじて成り立ってきた日米安保体制を、その根底から打ち破る闘いの始まりです。安保闘争の新たなシーンへの突入となっています。
 こうした事態が生じたのは偶然ではありません。オスプレイが安全か危険か。岩国市民・沖縄県民の問題意識は、今やこうした点にとどまっているわけではありません。こんな危険な武器を有無を言わせずに地元に押しつけ、それに抗議する地元の声をまったく聞こうとしない政府、政治のあり方に対して怒っているのです。原発再稼働に関わる政府の態度とまったく同じであり、オスプレイ反対の声と原発再稼働反対の声は同じ底流から発せられています。もうこんな政治は耐え難い! もうこんな政権は許せない!こんな社会は根本的に変えなければダメだ! 何が「国民の生活に責任がある」だ。何が「国民の生活が第一」だ。こうした怒りであるからこそ、この闘いは永続的であって、日米安保体制の打破までやむことはありません。8・5ヒロシマ−オキナワを貫く闘いに、反戦共同行動委員会は全力で決起しましょう!

※「日米安保とは何か(下)」は次号に掲載します。
(写真 米軍岩国基地へのオスプレイ搬入抗議闘争に中四国の仲間も決起【7月23日 岩国市】)

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月刊『労働運動』(269号E-1)(2012/08/01)

■Pick Up 2012年6月〜7月の労働運動関連情報

 新聞記事、ネット配信記事

●原発の炉心に「飛び込む特攻隊」「被曝要員」として使い捨てられる下請け労働者【6/6HPすくらむ】
●消費税動かした「財・労・官」 最終局面に来た社会保障と税の一体改革関連法案の成立。裏にいたのは日本経済団体連合会と日本労働組合総連合会、そして財務省だった。【6/26 HP 日経ビジネス・時事深層】
●「違法ダウンロード刑事罰化」に潜む国家権力≠フおぞましい思惑 【7/5HP 暗黒夜考】
●不安定な非正規教員に反響 教育の質に関わる悩みも【7/6東京】
●雇用流動化へ「40歳定年を」 政府が長期ビジョン【7/7日経】
●息子よ 原発作業員の母【7/7HP 福島 フクシマ FUKUSHIMA】
●正しい報道ヘリの会 7.16 さよなら原発10万人集会 空撮写真【HP fotgazet(フォトガゼット)】
●大阪維新の会のマニフェスト「維新八策」、改定案の狙いは「若者重視」にあり「最新版の八策をまとめるにあたって、橋下大阪市長がこだわり抜いたことがあります。それは『できるだけたくさんのグループがイヤがるマニフェストを作ろう』ということでした」【7/17HP週プレニュース】

 労働組合状況

●国鉄労働者1047名解雇撤回闘争における学者・文化人の支援運動 芹澤寿良【PDFで公開。5/8現代労働組合研究会HP】
●全労連の研究/地域を結節点に、産業と業種に責任を負う労働組合へ――「組織紘大強化中期計画案」を深めるために 全労連組織局長 斎藤寛生 2012.5.19付/この社会を変える展望 新しい労働運動とナショナルセンターの役割 全労連組織局長寺間誠治2010.7.3付【PDFで公開。5/19同上】
●社会保障・税一体改革関連法案の衆議院可決にあたっての談話 南雲弘行 連合事務局長【連合HP6/26】
●連合会長、民主との協力見直しも 自民党本部で講演【6/28 朝日ほか】
●ロサンゼルスでウォルマートに対する大規模デモ(6月30日)【HP レイバーネット】
●政府と日航はILO勧告を真摯に受け止め解雇問題の早期全面解決を(日本航空乗員組合、CCU声明)【航空労組連絡会HP7/5付】
●連合山口がオスプレイ反対集会 「たとえ与党でも反対」【7/16朝日】

 政府・行政当局などの資料

●国家戦略会議 第7回 フロンティア分会会【7/11首相官邸HP>国家戦略会議】

  書籍・雑誌・機関誌類資料

●「橋下『改革』対抗論――問われる公務員労働組合のゆくえ」熊沢誠【『POSSE』Vol.15/2012年6月/堀之内出版】
●「[特集]大阪維新の本質と危険性」【法と民主主義/2012年6月号】
●「継続中のJR雇用問題 無視するメディアには『教室』の審判の時」高嶋伸欣【週刊金曜日/7月13日付】
※おことわり 一部、発出時期が古い情報あり。

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月刊『労働運動』(269号F-1)(2012/08/01)

■読者のページ

 ●AAFESのパート制度導入撤回で全駐労沖縄地本が第1波スト突入

 沖縄労組交流センター

7月13日、全駐労沖縄地区本部はAAFESの再雇用労働者へのパート制度導入の撤回を求める第1波24時間ストライキに突入しました。当日は、15カ所の米軍基地ゲートにピケ隊が配置、9時からキャンプフォスター(米軍司令部)前のストライキ本部には700人以上の基地労働者が結集し、AAFES職場を完全に労働者の手によって止めました。基地労働者のなかに自分たちの持っている力への圧倒的な自信が生みだされています。
 今回のストは、ストに入った労働者と、米軍権力の年休行使(無給)を認めないという弾圧をはね返してAAFES1600人すべての基地労働者が団結を固めて闘いとった勝利です。AAFES職場は青年・女性労働者の多いところで、第1波ストの主力はこの青年・女性労働者たちです。彼ら彼女らの渾身の決起が第1波ストの勝利を確実なものにしました。
そしてなによりも今回のストの特徴は、当該のAAFESの各分会でのオルグ懇談会が積み重ねられ、現場労働者がストライキ方針を自らつくりだしたところにあります。これは2007年の「格差給・語学手当の廃止」攻撃に対する全駐労本部の全国統一ストライキとはまったく違っています。その職場(分会)の現場労働者の団結と決意がズケラン支部を動かし、全駐労沖縄地区本部はこれに突き上げられストライキ指令を出さざるを得なかったのです。ここが第1波ストライキの最大の核心点です。
AAFESの再雇用労働者のパート化は、1987年のHPT制度(時給制臨時従業員制度)導入から始まった新自由主義攻撃によって、軍事基地そのものが外注化・非正規職化されていくなかでかけられてきた攻撃です。ストに入った当該の女性労働者は「賃金が半分でどうやって生きていくのか。これを認めてしまったら、若い人たちやすべての基地職場に広がる」と発言しています。新自由主義に対する根底的な怒りです。ストライキは基地労働者の生きるための闘いです。
政府や米軍権力は、今回の第1波ストライキへの報復的な弾圧を狙っています。かつての全軍労闘争を闘った全駐労組合員は「何も恐れることはない。自分たちには140万県民がついている」と語っています。全軍労闘争を闘った労働者と青年労働者が一体となって、軍権力を剥き出しにした弾圧と対峙して、基地労働者はいま必死に闘おうとしています。この闘いは10・1JR外注化決戦とまったくひとつの闘いです。基地労働者が動けば沖縄が動く。時代は動き始めました。第2波、第3波のストライキを貫徹し、10・1JR外注化決戦に勝利しよう! そしてオスプレイ配備強行に対する8・5県民大会を全力で闘おう!
※AAFES(米陸軍・空軍エックスチェンジサービス) 食堂や売店など米軍基地内の サービス部門などの福利厚生施設のこと。

 ●7・1星野奪還・東京高裁包囲デモの地平について

 徳島労組交流センター

 「赤と黄色の旗が一緒になっ
てデモをしてるってすごいことだなあ」と7・1のデモを見て思いました。なぜ今この時代に赤と黄色が結合(=団結)したのか。この背景には、6・29の首相官邸20万人包囲行動に代表される巨万の人々の怒りの決起があります。そして、階級のリーダーが無数に生まれ始めたということです。星野文昭さんのような階級のリーダーが無数に生まれる情勢です。だからこそ、一人との団結を守る闘いが全体の団結を守り拡大するんです。これをつかんだことがわれわれの勝利です。
 次に、労働組合がなぜ星野闘争を闘うのかです。それは弾圧に対する労働組合の立場を決める闘いであると考えるからです。今で言えば国労闘争団の組合員権剥奪訴訟のように、労働者のために声を挙げる組合員は「お荷物だ」と、「邪魔者なんだ」ということを体制内労組指導部は強制しようとしています。こうした攻撃に対して反撃できるか否かが、労働組合の団結の度合と未来を決めるのです。
 もうひとつ、これは自分たちの経験ですが、「自分の産別のことで頭がいっぱいなのに、星野闘争のことなんて考える余裕はない」「自分は忙しいから、このことはあの人に任せよう」という思いとの格闘です。自分がめざしていることと真逆のことをやってはダメだと考え、この「忙しさを理由にした逃げ」と決別しなければと思いました。
 この過程を通してわかったのは、多忙化とか他の人のことを考えられないということ自体が、資本家による団結破壊の攻撃であるということでした。まさにこれが外注化攻撃につながるのです。資本家は労働者を団結させないために、合理化や賃金の差などあらゆる分断をやってくる。そして最終的には労働運動のことなんか考えられないほどにまで追い込んでいく。
 であるならば、一人の仲間を大切に思い、団結の力でもって困難なことを成し遂げていくことは、資本家に対する最高の反撃です。それを勝ちとることそのものが団結をつくり守る闘いだとつかみとりました。
 昨年の3・11以後突き出されたのは、政治家や資本家を誰も信用していないという事実です。だからこそ、司法権力が国家権力の最後の番人として登場したのです。われわれの闘いが敵をここまで追い詰めていることに確信を持ち、労働者階級や人民がひとつになって闘う時が来ました。星野さん奪還までともに闘いましょう。

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月刊『労働運動』(269号G-1)(2012/08/01)

Photo Documennt 2012年6月〜2012年7月

6・29首相官邸前に20万人!
6・29東京

「再稼働反対!」が地鳴りのように轟いた。20万人(主催者発表)の労働者人民が首相官邸前にどんどんと押し寄せ、首相官邸前は完全に占拠された。とどまることを知らない労働者人民の怒りのうねりとどこまでもひとつになって、巨大な革命的大衆行動を準備しよう。

反動判決に新たな怒りの戦闘宣言!
6・29東京

動労千葉鉄建公団訴訟において東京地裁は、争議団9人への90年4月1日の解雇を「有効」とする反動判決を出した。他方で判決は、改革労協に突き上げられて、国鉄当局が原告らを採用候補者名簿から排除しJR不採用としたことを明確に不当労働行為と認定。闘いはこれからだ。

仙台開催のNTT労組大会で訴え!
7・11宮城

7月11日から2日間、被災地の仙台で開催されたNTT労組大会の初日、全国労組交流センター電通労働者部会の仲間は、被災地フクシマから全国のNTT労働者に熱烈に訴える宣伝行動を行った。全国から集まった代議員、傍聴者の大きな注目を集めた。

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