「月刊労働運動」 2013年/03月/01日(No.276号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題)

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(写真 「国鉄分割・民営化で不当解雇から26年/2・17労働者集会」が650人の大結集で成功。【2月17日 東京・すみだ産業会館サンライズホール】)

◎労働者の目 13 春闘で、青年労働者の怒りを爆発させよう!
国鉄闘争全国運動2・17 全国活動者交流会
国鉄闘争全国運動結成3年 6・9全国集会に大結集を
労働運動を語る 鈴コン分会闘争とは何か(下)  吉本伸幸さん、内尾 稔さん、鈴木善弘さん、花輪不二男さん
正規―非正規ひとつになって、郵政グループビジョン2021 粉砕!
2013 年春闘を3月雇い止め解雇・強制配転絶対反対で闘おう!  星野勝紀 JP労組東京銀座支部、齋藤裕介 郵政非正規ユニオン委員長
◎群馬合同労組・群馬経済新聞社分会の地労委勝利命令勝ちとる!  群馬合同労組・書記長 清水彰二
◎東京23 区 現業労働者を先頭にした「退職手当削減」反対闘争が戦闘的高揚 北島一恵 中野区職労
◎教労 非正規職化攻撃に対し、正規職労働者こそ闘おう! 非正規組合員を切り捨てる「規約改悪」絶対反対!  教育労働者部会
◎電機 職場の非正規労働者と団結し、春闘放棄=資本に完全屈服する連合―電機本部を打倒しよう! 高橋英行 常任運営委員、岩崎電気労働組合前委員長

ひめじょおん−女性部から ―女性部から 当局の破綻救済の反動判決引き出した決定的勝利!!
◎地平線―反戦共同行動委員会― 市東さん農地決戦勝利! 3・24 三里塚全国集会に大結集を!
全学連現地行動隊
◎元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風=@第6回 100 万円の札束
◎動労千葉第13 期労働学校に集まろう

読者のページ

●マンガ /編集後記 ※「Pick Up」は休載しました。

月刊『労働運動』(276号1-1)(2013/03/01)

■労働者の目

13春闘で、青年労働者の怒りを爆発させよう!

赤羽 進彦 精研労組青年部書記長、全国労組交流センター青年部長

 仕事がない、青年の半数が非正規。超低賃金で生きていけない。結婚できない。青年の死因トップが「自殺」、生きるために労働する職場で「殺される」……。
これが青年労働者の現状そのものであり、許しがたい現実なのである。青年労働者は、この許しがたい現実、日々ギリギリの現実の中で、怒りを解放されることもできずに生きているのだ。
この青年労働者のギリギリの生存と誇りと怒りを解放するために、今春闘で、青年の怒りのすべてを爆発させる先頭に立とう。
だからこそ、その中心に国鉄決戦が座るということが決定的だ。JRでの攻防こそ社会全体をめぐる最先端の攻防であり、地域・産別を越えた青年労働者の怒りで安倍と資本家を打倒するのだ。

3月闘争で安倍打倒を切りひらこう

各地区で青年集会が勝ちとられている。この現実に対する怒りの最先頭に立ち、安倍政権と日帝ブルジョアジー、そしてそれらを支える体制内労組指導部に対する怒りをたたきつけるとともに、地区の拠点職場を先頭に階級的労働組合を建設し、地域の労働組合を塗り替えよう。闘う労働運動の活動家集団として労組交流センター青年部を本格的に発展させ、連合などの体制内労組を職場から闘う労働組合に作りかえよう。
3月青年集会を先頭に3・11福島、3・24三里塚を闘い、3月闘争で安倍政権を打倒し、「外注化阻止・非正規職撤廃・解雇撤回」を掲げ、労組解体攻撃を粉砕しよう。「職場で反合理化・運転保安闘争を闘う」と「1047名解雇撤回の対高裁署名の拡大」の方針を実践的に勝ちとっていこう。
(写真 2・24橋下打倒集会に全国から720名が結集【大阪市役所前】)

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月刊『労働運動』(276号2-1)(2013/03/01)

■国鉄闘争全国運動2・17全国活動者交流会

国鉄闘争全国運動結成3年

6・9全国集会に大結集を

 国鉄分割・民営化による不当解雇から26年、2・17労働者集会が650人の結集で大成功しました。それに先立って「国鉄闘争全国運動2・17全国活動者交流会」が開催され、動労千葉、解雇撤回を貫く国労闘争団をはじめ、呼びかけ人、各地域・職場の支援する会、全国運動の運動体など全国から参加があり、約30人の方が発言をされました。国鉄闘争全国運動事務局の確認をいただいたうえで、編集部の責任で、発言者の一部の方の発言(要旨)を掲載します。

 ●呼びかけ人 伊藤晃(日本近代史研究者)

 今、日本、世界的に労働者が食えない状況が生まれております。これは資本主義にとって一番肝腎な労働力の再生産を不可能にしてしまっている。あるいは外注化で生産の場をどんどん崩壊させている。資本主義本来のあり方からすれば、大変非合理なあり方であると言わなければならない。だけども資本主義というのはこれが当たり前の姿なんです。
 今、新自由主義という形で進行していることは、資本主義の緊張がゆるんで、本来の非合理的なあり方に戻ってきたということです。そこには矛盾がある。しかし、その矛盾は、労働運動の側がきびしい批判を展開してその矛盾を露呈させないかぎり、矛盾として現実化しないんです。
 今、新自由主義に労働運動がほとんど対抗できない現実の中におります。世界的に労働運動の作り直しの段階に入ったと思います。
 もう一度、資本主義の本質を見据えて、今起こっていることは資本主義の当たり前の姿なんだと。これに対して労働運動が当たり前の姿を取り戻さないかぎり、対抗できないのだということを確認しなければなりません。
 今、日本でそういう形で運動をかろうじて始めたのは、われわれが唯一とは言わないけれども、先頭に立っていると言わなければならないでしょう。私たちの小さな運動が先頭なのだから、大変心細いものであるかもしれない。でも労働運動というのはどんな場合でも、3、4人でそこから何とかしようじゃないかと始まったわけですね。どういう時代のどの運動でもそうですよ。今、日本で私たちはそれをやっているということです。
 今日、各地の運動の報告がなされることを私はその観点から大変、期待します。相互に、経験の交流が起こって、私たちの運動がさらに拡大していくきっかけになる。今年までの前進をもっと目に見えるものにしていきたい。一緒に頑張りましょう。

 ●田中康宏(動労千葉委員長)

 国鉄闘争全国運動という新しい運動を立ち上げていただき、本当によかったと心からお礼を申し上げます。この2年半切り開いてきたものは何だったのか。この運動が何に挑戦している運動だったのかが一番大事です。
 国鉄闘争は25年間、いい面も悪い面も含めて、これだけの大規模な運動が続いてきたという意味で、ひとつの歴史的な闘いでした。そのなかで動労千葉の持つ位置はある意味独特なものでした。動労千葉は、この運動の中でかかわってきていましたから、初めから政治解決路線だったという欠点や闘争団を日本の労働運動の宝物と見ないでお荷物と見ていた点だとか、ずっと批判をしてきました。とはいっても、国鉄分割・民営化の強行、連合結成の状況のなか、全国の無数の膨大な労働者がこの闘いに希望をつないだ。解雇された当事者はこんなことで首を切られることは絶対許さないと固い決意で頑強に闘い続けた。その意味で日本の労働運動を守ってきた闘いでした。それが2010年4・9政治解決でぜんぶ闘いの旗を降ろすという状況になったわけです。この現状から新しい闘いを作れるのかどうかは簡単なことではないと思いました。日本の労働運動の歴史の中でこういう闘いがつぶれたときにちゃんと継続できたことはなかったわけです。しかし、これを作る挑戦を始めなかったら、戦後の日本の労働運動のあり方をのりこえたいという思いは達成されないわけですから、そういうことにかけて全国の仲間に支援を訴えてきたわけです。
 全国運動という新しい闘いがそのきっかけをつかんだと思っています。だから動労千葉の闘いが6・29判決まで行った。国鉄改革法を食い破ろうとしているところまでは来た。
 動労千葉と全国運動のまだまだ小さな力でここまで来たということは、この闘いを本当に初めから真正面から闘っていたら今頃国鉄分割・民営化のこんなあり方は粉砕できていたということです。これが粉砕できていれば、労働者と労働運動のあまりにひどい現実は今頃突き破れていた。労働者はそういう力を持っていた。この点だけは確信を持ちました。
 だからすべてはこれからです。もちろん大変な反動が来て、6・29判決の地平なんてつぶしにかかるでしょう。だけど、今からが本当の勝負です。これまでの闘いの組織化された力で本気になって全国の地域・職場から突き抜ける。そういう闘いの過程にしたい。
(写真 2・17集会で登壇する動労千葉と動労総連合)

  10・1外注化後の怒りと抵抗闘争

 さて二番目なんですが、動労千葉の闘いの報告です。足かけ13年間、組織の総力を尽くして闘い抜いてきた業務の外注化・非正規化をめぐる闘いが、去年の10月1日についに強行されました。職場には怒りとくやしさが渦巻いています。ではこれから先、動労千葉はどう進むのか。去年の10月から現場の組合員だけではなくて動労千葉全体が悪戦苦闘してきました。これが現実ですね。
 なぜかと言いますと、もう怒りは渦巻いていますから職場では必死になって抵抗しているんですよ。強制出向になった組合員、残された組合員。もう業務指示が出る、指示書が出るまでは絶対に仕事に就かないという形の抵抗闘争を必死になってやっているんです。でも仕事と労働者、あと管理者も含めてぜんぶそっくりこの下請け会社に持って行かれたからもう一生懸命抵抗しても実際上は仕事が回っちゃう。これが一番くやしいことなんですよ。みんなベテランの労働者です。それが業務委託でも何でもない、分社化したみたいな形で、管理者もそっくり持って行かれたから、実際上はみんな仕事が回っちゃう。本当にくやしくてくやしくて。こういう状況が起きたのが外注化でした。それと管理体制の関係ですが、職場には無責任な雰囲気が蔓延しています。つまり仕事がまっ二つに、JR本体と下請け会社になるわけですからトータルに誰も責任を持たなくなったわけです。管理者は管理業務を投げちゃって無責任な雰囲気、ある種、無法地帯化しちゃってる。これは怖いことなわけですね。今は現場がみんなベテランだから仕事が回ってますけど、こんなことやったらたちまち安全が崩壊し、取り返しがつかない事故が起きる。これが外注化なんだと思いました。それと当局との闘いを継続しなければ現場の労働者同士が対立させられる。千葉の検修部門では動労千葉が主流派ですからJRに残って業務を発注する側も動労千葉の組合員なんです。下請け会社で発注した業務をやる側も動労千葉の組合員なんです。ひとつになって当局と闘ってなかったらこれが対立させられる。こういう状況です。
 みなさんの職場も恐らく同じだと思うんです。第2ラウンドの闘いはこれを粉砕できるかどうか。それができれば、民営化・外注化、非正規化に対して労働組合が闘うことができることを本当の意味で示せる。
 この間、外注化された職場で4日間も連続して2時間も3時間も毎日議論しました。で、これに踏まえて昨日までまた3日間、職場討議をしました。この議論のなか、現場の現状と現場の労働者の知恵と力のぜんぶを結集して新しい時代の反合・運転保安闘争をこの職場の矛盾の中から作ることを決意しました。
 外注化された現実の職場の矛盾や新しい時代をちゃんと捉えたら現場の労働者が持っている力がぜんぶ発揮されて団結する。職場の組合員の話を聞いて確信した。だからこれを作ってやるという闘いは、実はもう始まってます。今日にも指名ストライキに入る緊張した状況です。具体的にどういうものができあがってくるかわからない。だけど現場の組合員の雰囲気は、ガラっと一変して、たちまち戦闘モードに戻ってきています。

  外注化粉砕の第2ラウンドへ

 現状は、とにかくひどいことが起きています。外注化した会社は車両の検査修繕なんてする力なんてまったく持っていないし、10月1日以降やってきたことは36協定も締結しないで休日勤務とか時間外労働を命じ続けてきた。こっちはずっと問題にしていた。うちは事業所では多数派を取っちゃいましたからね。動労千葉の組合員を配転しすぎたんですよ。当局は「36協定を結んでなくても超勤を命じることができると労基署から指導を受けた」と言う(笑)。これはもちろん嘘なんですよ。こっちはしめたと思って、職場討議の上で、36協定の問題で闘いの発端を切るぞと意思統一をして労基署に告発をしました。21日に職場に労基署があまりにひどいから入る。そうしたとたん向こうはバタバタ大騒ぎです。
 これを発端に何をやりたいのかってことですが、ひとつは、この外注化そのものが10何年にわたる延々とした不当労働行為だということを徹底的に追及する闘いにします。つまり何で91人中45人も動労千葉になったのかというと、外注化をするためにこの10何年間、とにかく仕事をぜんぶうちの組合員を外す。配転に次ぐ配転。配転した先は検査派出、地方の小さな検査の派出所。ここに配転をしといて検査派出がぜんぶ外注化になるわけです。組合つぶしのために配転をする。どこに配転するかと言うと、外注化する先に配転をして強制出向に駆り立てる。だから10数年にわたる外注化そのものが延々たる不当労働行為です。このことを徹底的に追及する。これが第一の課題です。
 二番目は動労千葉がこれに抵抗した結果なんですが、外注化の仕方がめちゃめちゃなものになったんですよ。つまり10何年間、団体交渉をやっていますけれども、仕業検査という業務を外注化する、構内入れ替えという業務を外注化する、派出検査という業務を外注化する。こういうことを前提にして議論をしてきたわけです。外注化した以上はその業務にJRは手を出さないというのが外注化じゃないですか。だけどこれができなくなった。どういうことかというと、動労千葉の組合員がみんなやっていて、委託した先は予備要員なんていないわけです。ストライキに入ったらぜんぶ列車が止まるんです。それで何をやったかというと、委託契約は基本契約しか結ばない。それで駅の業務、ひとつひとつの検査、入れ替えなど何十という業務を毎朝、ぜんぶいちいち発注するんですよ。なぜかというと、動労千葉がストライキに入ったときに動労千葉がストに入った業務だけは今日は発注しませんでしたという理由でJRがやるわけですよ。こんなのが外注化っていえるのかというような状況を強制しているんです。だからこれは明らかな違法行為。つまりスト権を奪うための違法行為。スト権を奪うための外注化です。こんなことがまかりとおっていいはすがない。徹底的に追及したい。
 三つめは、安全運転保安の問題です。外注化ということは、JR本体が下請け会社の労働者に指揮命令しちゃいけないわけです。だけど列車はひとつの指揮命令の下に動いてなかったら絶対に事故を起こすんです。だからJRが一元的に指揮をせざるを得ない。それをどうごまかしたかというと、厳密な指令行為であった、鉄道用語で言う〈通告〉という行為を単なる〈情報提供〉に過ぎませんとしたわけです。だからJRがやっても指揮命令していることにならないんだと。規程もぜんぶメチャメチャにしちゃった。だからこれは絶対事故が起きる。恐らく現場は36協定をめぐるめちゃくちゃな勤務の強制の追及から指名ストライキに入ってこの春闘過程で外注化を粉砕する第2ラウンドの出発点になるストライキに入る。そういう状況の出発点に今至っています。

  新しい時代の反合・運転保安闘争を

 この闘いを10何年間やってみて自分がつかみとったことをひとつだけ述べておきたいと思います。
 それは動労千葉は検査修繕部門というJRの一部門でこの闘争をしました。その中の全体から見たらごく少数派です。外注化は全業務にわたるものでこの間訴えてきたとおりです。ぜんぶ何の抵抗もなく2001年の時点から進められました。動労千葉は検査修繕部門という小さな一部門で、徹底非和解の闘いをやったわけです。だけどこれが全体の外注化や転籍をガタガタに揺さぶった。なぜかと言うと、外注化や非正規化自身の中に矛盾があるからです。例えば偽装請負という矛盾、安全が崩壊するという矛盾。雇用を一方的に破壊するという矛盾。全体の権利を僕らは守ったんだと考えてます。そうじゃなかったらNTTと同じになってますよ。もうとっくのとうに転籍されてる。これで当局をガタガタに揺さぶった。この闘争の中で各職場から小さな闘いでも始めることができれば、今の状況に抗することができると確信を持ったんですね。だから新しい時代の反合・運転保安闘争を外注化の現実に立ち向かう形でこれから職場の力を結集して作り上げていきたい。新しい時代の反合・運転保安闘争は、運転保安という問題と、当時にはなかった雇用破壊、この二つを突き破る、新しい反合理化闘争です。それができれば労働運動を作り直すきっかけがつかめるんじゃないかと考えています。

  公務員攻撃をはじめとした情勢の激変

 最後にもう一点。それは今の情勢をどう見るのかということなんですが、全部を言うつもりはないんですが、今の公務員攻撃を見据えないといけない。退職金の減額のすさまじさや、国家公務員でやった7.8%の賃金減額が全地方公務員に一律に網をかけられるようにやられる事態。これは労働者の意識が絶対に変わってきます。大阪で始まってる全面民営化もすさまじい。公共サービス研究会では公務員をなくすと言っている。例えば窓口業務なんかまでぜんぶ一括して引き受ける下請け会社を3年後には作っちゃうと。そしたら基本的に公務員はなくなります。現業というレベルじゃない。で、今年、安倍政権の下で起きることは新たな「雇用破壊元年」だと言ってます。労働者の限界と限度を超えて進む。怒りの声は渦巻いていく。だけど怒りの声が渦巻いただけでは絶望にも転化する。だけどそのときに闘う労働運動の復権の努力があったときには間違いなく歴史が動くところまできている。だからその意味で1047名闘争や外注化反対闘争が闘いの火を守ってくることができたことがどれだけ大きいのかを感じています。今年は本当に勝負になる。価値観がガラガラ変わっていく。このときに闘いの火があったら事態は動き出す。
 ひとつの地域、自分の職場、そこで3人でも5人でも小さくても運動を必死に作る。自力が必要です。これがあったら動く。歴史というのはそういうものだと伊藤さんが言われたとおりです。労働運動というのは3人から4人から始まったんだって。
 それをぜんぶつなげていく。国鉄闘争とはその血管みたいな役割を果たせばいいんだと思うんです。

 ●呼びかけ人 手嶋浩一(元国労九州本部書記長)

 結局、国鉄闘争を正確に総括したところがないと思うんです。総括できないんですね。なぜなのか。あの86年10月の国労修善寺大会、それ以前のマル生闘争から国労闘争を総括しなきゃならんと思うんですが、率直いってあの国労時代の幹部生き残りは私一人ですよ。後はみんな連合や今の国労の中におりますから、正確な総括はできないと思います。
 私は、修善寺大会後の後、ものすごくワクワクした。棚からボタ餅だろうがスト権が来た。そしたら国労は、スト権返上の協定を結んでおる。実は私が国労から解雇されたのはそれに猛反対したからです。それから組合事務所返上ですね。あれを202億円損倍で裏取引したわけです。それに猛反対した。その当時、分裂した後の国労の書記長に宮坂というのがおりましたけれども、彼とケンカになったんです。彼が「裁判で202億に負けたら国労はつぶれるやないか」と言うたからです。私は「どうしてつぶれるんですか。高裁に行くぞ、最高裁に行くぞと言いよる間、こっちの闘いがあるじゃないか」と。そしたら頭から負けて202億円を払わないかんと思っとる。そして驚くなかれ「協定を結ばんと専従が来ん。それを取らないかんしね」と言う。私は、分会・支部で国鉄の非番、公休を利用して運動をやってきた体験があったから、専従はおらんでもやれるんだと。みんな勤務を明けてから来ればいいんだと言ったら、“もうあんたとは議論にならんな”みたいな感じになった。私はもし国労本部が組合事務所やストライキ権を持ってたら25年も6年もかかるはずがなかったと今でも思ってます。
 要は今日のテーマにかかわるんですが、闘うということをもう少し具体的にしていくべきだと。どうして闘うんだということを掘り下げていかないといけないんじゃないかと思っています。

弁護士を使った団交を認めていいのか
 新たに作った労働組合の団体交渉で経営側に弁護士が入ってきている。弁護士には受任権があるんだという。案の定今度1月15日命令が出たんです。負けました。弁護士を認めないと言ったら経営者が団体交渉を拒否をしていいという形の命令です。労組法7条では「団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」は不当労働行為だとなってるじゃないですか。じゃあ弁護士が入るか入らんかでそれが正当になったらどうなっていくと思います? 団体交渉だって受任権があると言って弁護士に与えたら、私たちは団体交渉を弁護士とせないかんようになる。これは、全労働者にかかわってくる問題で、労働者として闘っていかなきゃいけないと思ってます。
 あと、労働者が闘いを起こそう、闘う労働組合を作ろう、どうして作るのかということに言及していかなければならないんじゃないかと思います。労働時間や賃金や待遇で切られようとする労働者に「なんで経営者に言わんと」と聞いたら「言いたくない、ケンカになる。言ったらにらまれる」と言いますよ。「年休はどうなってるんですか」とか聞いたら「年休って何ですか?」って言いますよ。非正規で働きよる人は年休も知らないという人が大多数です。「会社がつぶれたら元も子もない」という形にされてます。権利や人権の意識がない。そういう人たちのところに足を運んでいかないと闘いは起こって来ない。しかしそれはわからん人が悪いんじゃない。日本の歴代の政府が新自由主義社会の発展をするために労働者に教えんのです、私は国労という労働組合にいたから労働三権や労働法、労働基準法を学んでいったんです。それを私たちは克明に出していかないといかん。
 労働関係調整法7条にこう書いてあります。「争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう」と。結局、自分たちの要求を相手に認めんやったら経営が成り立たないことになるんですよと、そういうことしてもいいと書いてある。ところが労働者自身が、ストライキをしたり、使用者が困るようなことをしたら悪いと思うんですね。闘いを起こしていくときにはこういうところを突いて、そこにおる労働者にこういうのがある、こういう形でやってみないかと訴えていく。労働三権、労働三法が私たち労働者をこれだけ具体的に守っていますよ、経営者がこれだけ違反をしていますよと圧倒的多くの人たちに入れていって、経営者がどれだけ違反しているかを突きつけていかないと、労働者に闘おうや組合を作ろうやといったってなかなかいかない。そういうところから労働者に闘いを起こそう、闘う労働組合を作っていこうとやっていきましょう。

 ●小玉忠憲(1047名被解雇者、国労秋田闘争団)

 

(写真 2・17集会で発言に立つ中村仁さんをはじめとする1047名被解雇者)

2月16日は分割・民営化に伴って新会社設立委員会が設置されて、誰々は採用する、誰々は採用しないと通告した日です。私たちにとっては絶対忘れられない日です。
分割・民営化は4月1日ですが、私はその年の1月23日に2回目の停職処分を受け、4月1日を通り越して6月22日まで停職でした。主たる理由は、管理者に対する暴言行為。1回目の停職処分にもかかわらず、何ら反省していないということで停職5カ月とされました。
管理職に対する暴言行為とは何かということなんだけど、グループ作業なんですが非常に仕事は危険作業でした。秋田は電化して、電車のトロリー線には交流の2万ボルトが流れています。それに直接触って作業する。停電できないから。われわれは「停電させろ」と言うんだけど、どうしても停電できないから、そうすると2万ボルトに触って作業するんです。いまは操車場はなくなってきてますが、夜も働いていますから30bの鉄塔から明々と投光器で照明をする。それが消えると、夜でも朝でも鉄塔に上って交換しないといけないんです。巨大な電球なんですけどね。だから朝の打ち合わせは非常に重要なんだけど、そういうことは一切無視して「意識改革しろ」「意識改革しなければ新会社には採用されない」と。意識改革というのは国労から脱退しろということなんだけど、そういうハチャメチャなことを毎日毎日やる。私は分会書記長でしたから「ふざけるな、何を考えているんだ、お前は」と言った。今は仕事の安全上の打ち合わせをする時間なのに、国鉄改革法がまだ成立もしてない、国会を審議している間に無茶苦茶なことをやってくるわけです。仕事なんかどうでもいい、一列に並べて一人ひとり組合脱退を迫る。そういう毎日でした。
誤解のないようにあえて言いたいんですが、国労の現場が闘わなかったわけじゃないですよ。たった1年で懲戒免職が25人、停職処分が250人、15万数千人の処分が出ました。確かに国労本部、地方本部は、どうしようもなくて自分の身のことしか考えないんだけど、現場はスト権があろうがなかろうが、首になる覚悟で無茶苦茶闘ったんですよ。それに対する見せしめとして、秋田では私がたった一人選ばれまして、まあエースですけど(笑)、首になったということなんです。200人が自殺に追い込まれた。なんで死ななければならなかったんですか。
15日にも総合車両工場にビラまきに行ってきました。100枚あれば間に合うだろうと思ってたら甘くて、30分か40分まいたら全然足らなくなって反省して帰ってきたんですが、吸い取られるようにビラが受け取られるんですよ。明らかに状況は変わっているんですね。2月16日を私なりに迎えてきましたが、言いたいことは人生を賭けてこの闘いを貫きたい。労働組合って一体なんなんですか。
回答は、冒頭に田中委員長が提起したことにあると思います。国労がなんでつぶれてダメになったのか。やはり反合・運転保安闘争路線がないということなんですよ。解雇撤回だけを言っていればいいということではないんです。やっぱり、外注化と非正規化との闘いで、職場闘争をやる力が解雇撤回を作り出す力になるということを、動労千葉の闘いは鮮明に提起しています。私は、本当に、この動労千葉型労働運動、反合・運転保安闘争路線は、どんな産別でも、どういう職場でも通用する考え方だと思っています。これからも頑張っていきます。よろしくお願いします。

 ●中村仁(1047被解雇者、動労千葉争議団)

 われわれが生きている今の世界で資本の側に立って物事を考えるのか、労働者側に立って物事を考えるのか、これだけだと思うんですよ。われわれは国鉄分割・民営化という攻撃に国鉄労働者として闘ってきた。労働者が多くは負けてきて今こういう現状にある。だけども99%の人がひとつになって労働者の立場に立って物事を考えられるように、われわれは訴えていくことだと思うんです。そういう立場を全国の人たちと共有しながらこの社会をひっくり返せる状況をみんなで作っていくことがすごく重要だと思うんですよね。
物販も署名も裁判も大事です。結果がどうなろうと、労働者の立場になって物事をぜんぶ考えるということだと思います。
 福島の現実、東北の現実を見つめ、動労千葉でいえばJR、CTSと職場職場の闘いをひとつひとつ実践しながら、福島はじめ全国の労働者とつながるということが求められている。まだまだわれわれは少数です。だけど、福島の現実を突きつけられて、「電気も原発できたら入らないよ」って人が金曜日にあれだけ集まってきてる。このつながりを丁寧に丁寧に勝ちとることが求められている。
 そういうようにつながることでわれわれは闘えると思うし、そういう立場を私は動労千葉という組合にいさせてもらって、そしてたまたま1047名の当該になったことで学ばせてもらった。
 まだまだ自分が裁判でJRを絶対変えるんだという気概を持って闘うことによって、今、動労千葉の現場で、CTSで外注化されているけれども、われわれの仲間たちやもっと若い人たちが突きつけられている現実を「絶対にそんなことじゃねえんだよ」って言って、労働者の立場で物事を動かしてやるんだとひとりひとりに語りかけて大きな大きな力にしていきたい。

 ●呼びかけ労組 長谷武志(全金本山労組副委員長)

 

(写真 職場復帰から5年め、37年ぶりに打ち抜かれた全金本山の2009年6・11春闘ストライキ【宮城県】)

専従として副委員長でやっております。一昨年、全国運動の呼びかけ団体として組合として決定して今日を迎えております。
数年前に2・15集会があったときに、海の事故で亡くなった被解雇者の熊谷春男さんが、座っているところから「今から行って喋ってくる」と立ち上がりました。国鉄闘争をめぐって解雇者が切り捨てられようとしているとき、被解雇者の立場から本当に痛いほど自覚しているというか、危機感を持って、今俺が喋らなくちゃという思いで発言しようと立ち上がったんですね。つまり上部団体の力によって解雇者を切り捨てられる攻防というのは、私たちが何十年も味わってきた上部団体の全国金属、あるいは当時の社会党や共産党など既成の労働運動から叩き出されることをめぐる攻防と同じわけですよ。私たちは、それを突き破って、34年の解雇撤回、職場復帰を勝ちとってきました。
何度も総括をしているんですが、「一人の首切りも許さない」というスローガンを元に私たちは団結をしてきました。もっと考えますと、〈工場移転・首切り合理化・組織破壊攻撃〉との闘いであるということなんですよ。この資本の攻撃が解雇者に見せしめ解雇という形で集中した。これを労働組合として守れるのか。あるいは守ることが労働組合の当たり前の姿なんだということを34年間、われわれは労働者階級の立場で闘った、争議が始まった頃は私も労働者階級なんて言葉は知らなかったわけですけれども、闘いを通して多くの労働者が変わってきた。敵の姿がよく見えるようになってきた。そうやって普通の労働者が闘いを通して反合理化闘争、あるいは資本主義社会の現実を自分のものとして捉えられるようになった。だからこんなひどい会社に何でいつまでもこだわるのかという。親の問いかけもある。あるいは物販オルグを通して各組合に回っていくと「会社つぶれたら元も子もないじゃないですか」と言われる。でも会社は組合をつぶすためには何億でもかける。つぶすか・つぶされるかという攻防のときに、つぶれたっていいじゃないの。いやつぶすまで追いつめないと勝てないんだ。つぶす寸前までいくとあんまり金も取れないけど(笑)。いろいろ悩みながら、でもつぶす寸前まで行ったわけですよね。だからよく奇蹟的な勝利だとか、たまたま勝ったんじゃないかとか思っている人もいるかもわからないけど、それは全然間違い。その都度その都度のあらゆる反動がわれわれに押し寄せたし、それを階級的な、「一人の首切りも許さない」という言葉に労働組合のあるべき姿に団結をして闘ってきたということが、われわれの勝ちとった地平なんです。問題なのは反合闘争としてわれわれは貫いたんだと総括をすることによって職場復帰して、なおかつ職場で反合理化闘争を闘い抜くということなんですよ。

  全国運動で東北を席巻する

 今、職場の中では非正規が派遣労働者がどんどん入ってきてます。管理職の賃金を一級カットして別の社員にプラスαしますよとか、あるいは経費がかかるから暖房費を削ろうとか。いろいろなことが職場の中で起きてます。そういうことも、反合闘争を通して今の第2組合をひっくり返すんだという思いで、職場で鈴木委員長を先頭にマイクでアジって好きなようにやってます。会社は「やめろ、やめろ」と言いますけど。それを貫く。
 もうひとつは、総評、あるいは社会党が機関紙をあげてわれわれを排除したという恨みをどこで晴らすのか。自分たちは絶対に間違ったことはやってないし、労働組合として教えられたとおりのことをやっているわけだから。それを今度は地域、東北でやる。故・中野洋さんには「君たちは東北をまとめろ」とよく言われて、そのときは「そんなことできるわけないじゃん」と思いましたけど、でも最近はやれそうな気がしてきたなって。そういう情勢だと思うんですね。
 74〜75年恐慌があったときに全金宮城地本の春闘討論集会で方針がまったく出ないということがありました。現場の組合員が「職場で首切り、希望退職が出てる、倒産が吹き荒れているときに方針を言ってくれ」と言っているのになんで言わないんだって。「とにかくみんなで励まし合いましょう」ってだけだから本部の指導方針は。つまり今も同じことですよ。方針が出ないわけですよ。本山闘争の勝利に続いて宮城では東北せっけんが国鉄型の〈工場移転、首切り合理化、組織破壊攻撃〉と闘っています。同じなんですよ。せっけんも分割・民営化型の闘いで地域を回ってます。
 私どもは物販担当になって宮城県内を回ってますけど、4・9政治和解について正しかったという人は誰もいませんよね。
 本山闘争とせっけんとそれから国鉄闘争のこの3本の矢をひとつに束ねるのが全国運動だと思います。この3本の矢をひとつに束ねて東北を席巻しようねと(笑)。これからも頑張っていきたいと思います。

 ●まとめの提起 呼びかけ人

山本弘行(動労千葉を支援する会事務局長)
 今まで3回、6月集会をやっています。1回目は「国鉄闘争の火を消すな」。これはものすごい危機感でそういうスローガンを私たちは押し出しました。そして2回目は「職場から具体的な運動を作り出そう」と。具体的な運動をもって「火を消すな」を実現していこうというのが2回目でした。3回目は、「国鉄闘争の火をさらに大きくしていこう」。この2年間、関生先頭に闘いがありました。そして今日いろいろ発言がありました。外注化・非正規職化がまったく他人事じゃないことが各職場・地区から出されました。職場・地域にあった運動の壁が崩れ出しつつあるとことを確認できました。そういう状況の中で署名運動が進んでいます。これを各職場・各地域で全力で取り組もう。鈴木達夫弁護士は、社会運動にしよう、その核心的なポイントは、団結権、不当労働行為、原職回復の問題なんだと言われています。闘争団の成田さんは、解雇撤回を言うのは当たり前だと。この当たり前ということをもう一度ちゃんと心に留めて全国運動を大きく拡大していこう。
 そして最後に、私は、今日の動労千葉争議団・高石さんの物販の話が耳に残っています。2005年、2010年が上がっているんです。2005年は9・15反動判決がありました。それを全力でひっくり返そうという気持ちが表れていると思います。そして2010年は4・9反動がありました。これをひっくり返そうという表れです。もう一度ピークを作ろうじゃないですか。それを大きな、もうひとつのスローガンにして頑張っていきましょう。

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月刊『労働運動』(276号3-1)(2013/03/01)

■労働運動を語る

鈴コン分会闘争とは何か(下)

吉本伸幸さん(東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会書記長、全国労働組合交流センター常任運営委員)
内尾 稔さん(同分会長)
鈴木善弘さん(同分会会計)
花輪不二男さん(世田谷地区労顧問、鈴コン分会闘争支援・連帯共闘会議呼びかけ人代表
聞き手・構成 編集部

 ●目 次

鈴コン前史――なぜ西部ユニオンに入ったか
分会結成まで――3カ月雇用契約の壁
2009年7・5鈴コン分会結成から7・24第1回団交まで
2009年8・29順法闘争――現場からわき出た要求項目
2009年10月田口組合員解雇予告と11・4分会分裂
(前号)
田口組合員解雇撤回闘争と6人の団結――労働組合とは何か
支援共闘会議の展望――非正規の闘いで労働戦線の新たな構築を
労組の連絡会の結成と地区労の復権
非正規職撤廃は国家と真正面からケンカするスローガン
雰囲気が変わりつつある鈴コンの職場
鈴コン闘争を職場・全国で拡大し、労働組合の力で権力を取る
(本号)

(写真 「闘い抜いて職場に戻ってくるぞ!」 社前闘争【2012年1月6日】)

第1章 田口組合員解雇撤回闘争と6人の団結――労働組合とは何か
吉本 そこで6人が来て、俺と佐野さんの欠点だった、俺が言うと、佐野さんがわーっ、俺が言うと佐野さんがわーっ。こうだああだ、これに従えーっとまでは言ってないんだけど、そういうふうになるのをやめようと。
――それをやめたんですか?
吉本 やめた。
内尾 みんなが意見を言えるような。
吉本 意見を出して6人のうち一人が反対するんだったら、なんで反対があるんだと。6人が6人ぜんぶ、よし、それで行こうとなったときに、やるような分会にしていこうと。
――それは脱退問題の総括ということがあるんですか?
吉本 あるんですね。
鈴木 一人反対して、そのままじゃいけない。一人をとことん説得するなり、こっちも反論があったら全部腹の中を出してクリアにして、団結を固めようと。多数決ではなくてみんなの合意で決めようというのが方針なんです。
吉本 なんでこいつだけはこれに反対するのか。6人のうち5人はよし、行こうと言っているのに、一人が、いや、これはおかしいと言う。じゃあ、おかしいと思ったのは何だと。それをみんなで、もう一回議論して、納得したかと言ったら納得しねえ。なんで納得しねえ、わーっとやって、6人がこれでいいかといったら、納得しねえけどもまあわかったと言ったら、よしわかったな、わかったというようにやっていこうと新たに始めたんです。
田口さんから始まった解雇の問題で結局、脱退したやつらは「田口が首になった、次は俺が首になる。ああなりたくねえ」って言ったんだから。あのときCは、首を覚悟して組合を作ったはずなのに、目の前で田口さんが首を切られたら「首になるとわかっていて闘えない」と言いやがったの。
内尾 Bも同じことを言った。
吉本 そんなの違うでしょ。今、内尾さんが言ったように、首を覚悟してやったんだから、やって目の前で首を切られたら「冗談じゃねえよ」ってやるのが普通じゃないですか。そしたらやつらはコロっと掌返しちゃったの。そこで俺らは「冗談じゃねえよ。こんなことで首切られてびびっているようじゃどうするんだ」と話して、要は田口さんの解雇は許せないとそこでみんながまとまったんですよ。
4カ月があって11・4があったから今の俺ら6人があるんです。11月4日の組合つぶしで、会社と権力に組合はつぶされちゃうんです。普通あそこで終わる。未来永劫に職場から組合の「く」の字がなくなっちゃう。
でも6人が残ったのは、決してひとりの仲間を見捨てない、裏切らないという労働組合の原則を小さいなりにもやってこれたからです。これは気がついたときには国鉄1047名闘争と同じ闘いをやっていたってことなんだけども、労働組合というのは自分たちの同じ職場で原則を曲げずに、仲間を見捨てない、仲間と一緒に闘うということをやっていれば、動労千葉や関生、港合同の闘いになる。そこを鈴コンはずっと一貫してやってきた。生意気なことを言うようだけど、労働組合とは何かは、鈴コンの6人の中に凝縮されていると思うんですよ。なんで負けなかったかというとゼニカネではなかった。目の前にたとえ100万でも積まれても俺らは取らない。仲間を裏切らない。モノで交換をやる云々をやらない。それが労働組合だと思うんですよ。
内尾に腹を決めてもらって善さんもトラもお兄やんも誰かに言われたからやってるんじゃなくて、自分たちが中心、俺がやるんだという意識を持っている。それが鈴コンなんですよ。
――時間の制約があり、重要な攻防の項目だけになってしまいますが、教えて下さい。
吉本 項目だけ挙げると、〈職場の攻防と労働委員会の闘い〉〈2011年8月の田口組合員の急逝と9月ストライキ〉〈ストライキに対する懲戒処分と抗議闘争〉〈組合三役解雇と賃金仮払い決定の勝利〉という感じです。

 支援共闘会議の展望――非正規の闘いで労働戦線の新たな構築を

――さて2012年7月15日に結成された「鈴コン分会闘争支援・連帯共闘会議」の話に切り替えます。ナショナルセンターを超えてやっていくイメージはどういう形で作っていったのでしょうか。
吉本 浮間舟渡で、一昨年2011年12月に自分が首になったんだけど、その1カ月前に解雇予告が出るでしょ。それに対して北部ユニオンが毎日、浮間舟渡の駅前で、不当解雇撤回の街宣に入ってくれたんですよ。そして俺らも一緒に街宣をやろうと思ったときに、これはまずは地元、浮間舟渡の組合を回って支援要請をするのが筋だと思って回り出したんですよ。ところが回ったら、うちはどこどこの上部団体の下部組織だから本部に行ってくれと。タクシーの組合なら、自交総連だ、全自交だと、いろいろな上部団体の名前が出てくる。これはラチが開かない。花輪さんに相談したら「本部に挨拶に行こう」って。これが筋だなと。連合だろうが全労協だろうが何だろうが、行って解雇撤回・原職復帰で闘いますと言ったら「帰ってくれ」とは言わないんですよ。
花輪 非正規問題は、すでにナショナルセンターの枠を超えて、蔓延している状態で、この非正規の闘いをどうしようかといったときにナショナルセンターでは追い切れない。だからわれわれとしては地域を中心に立ち上げていくんだけれども、その枠を超えて支援共闘を考えているんだと。鈴コンの闘いに勝つことによってナショナルセンターを超えた非正規の闘いが勇気をもらって全体的な闘いになっていくことをわれわれは望んでいるんで、最初に垣根ありきという立場を取りませんと言って入っていった。だから共産党系にしろ、連合に行っても拒否はできないんですよ。若干僕の多面的な顔もあるもんだから、あいつが来たんじゃという顔はされるけれども、拒否はできない。それで人脈も少しは手伝いながら広がっていった。で、今は参加している組合の名前を出せば、あそこもですか、ここもですかという状態になって広がっています。そういう意味では最初からいきなり共闘会議の立ち上げをしないで準備期間を置いたことは大切だったんです。7月までかけて、さあ、いよいよと立ち上げた。このときにはある程度は主要8単産に挨拶をして回って、「お宅の傘下の組合もこっちの傘下の組合も垣根なく非正規雇用の労働者の闘いを支援してもらうということで回ってますから」ということで、そういう認識をずっーと持っていってもらったんですよ。それは今後の闘いでも有効だと思う。
吉本 花輪さんが言われたように、鈴木コンクリートという会社の中に東豊商事があることを聞き、そこで3カ月雇用契約という雇用形態で、善さんが21年目で、俺ももう今年で10年目に入るわけでしょ。それを聞いてみんなびっくりする。
鈴木 「5年で社員じゃないの?」みたいな。
吉本 今、有期雇用が本当に社会に蔓延している状態じゃないですか。全部9割から10割を非正規に落とそうという攻撃が25年ぐらい前、国鉄分割・民営化の頃から始まって、鈴木は東豊商事を作ってその形態でずーっと来て、やられてきてた。そこに組合を作った。それを話すと、向こうも嫌だとは言わないよね。逆に花輪さんが言われたように、ナショナルセンターの枠を超えてというけど、俺も善さんも言わなきゃいいんだけど、「労働組合ってそうじゃないじゃないですか! 解雇撤回を闘って原職復帰ってやるのが労働組合でしょ。なんで労働組合は闘わないんだ」って、支援要請に行ってるのに、ついわーっと言っちゃうのよ。したら向こうも「うーん、こいつら支援要請に来てるのに人に説教に来てるのか」と思いながら、でも「帰れ」とは言えないという。
花輪 そこがオルグのミソだと思うんですよ。逆に今、ナショナルセンターレベルで単産の中に非正規雇用の労働者がいっぱいいるんですよ。官公労もそうですよ。そういう実態を持っているから、鈴コンの訴えを受けると「うっ」と我が身の問題になるんですよ、否応なしに。それは何とかしなきゃいかんという気持ちは労働組合の幹部だったら多少は持ってる。それが今、最初に言ったナショナルセンターの枠を超えた地域共闘、地域労働運動の再構築のテーマにとって、それを全体に広げていこうという構想につながっていくのではないかと僕は考えています。そういう視点で押していこうと。じゃないと、小さくまとめられちゃうし、ある意味では落とされていく。そういう危険性をたくさん持っている。だけど、鈴コンが勝てば、ひとつのリアクションが起こる。それを期待しながら全体的には共闘会議の垣根をもっと広い視野で固めていこうと思っているんですよね。それが勝つ道でもあるとも思ってます。

(写真 7・15鈴コン支援・連帯共闘会議結成集会【2012年、東京・赤羽会館】)

  労組の連絡会の結成と地区労の復権

鈴木 あと私たちが何回か会っていく間に親しみをお互い持っていく。
――同じところに何回も行く?
鈴木 お茶を出してくれるとか座らせてくれるとか。立って待つところはまた次の後回しかって。まず優先順位、座らせてくれて喋らせてくれるといったら、まずここはクリアしてるなと。
 そこでまず判断して、そうすると情勢だとか、いや、私たちは正社員で何の不自由もなく、今ここにいるかもしれないけれども、お宅さまの子どもにしても、若者たちがダブルワーク、トリプルワークしても、結婚できない・子どもも産めないということをちょっと紐解いて訴えると、実際そうだな、大学出て一流大学出たって、就職もできないとか。そりゃ俺らみたいなブルーカラーだったらすぐ就けるかもしれないけれども、ホワイトカラーでも端っこの方に就くしかないとか、そういう現状を紐解いていくうちに、組合のことを自分で言い始める委員長や支部長の方がいるんですよ。すると、「組織拡大って言っても今の若い者は闘争にしても組合ということがわからなくて。なんか資料がないかなあ」とか聞いて来るんですよ。だって闘う後ろ姿を見せてないんだから、若い人たちだってどうやって闘っていいんだかわからないでしょ。先生にしても今、すごく忙しい。でも忙しいから闘うんでしょ。忙しくならないために闘うんでしょ。踏み込んでいくんでしょ。それを自分の危機として提起して、ある程度したら、最近は機関銃のように喋るのを一回やめるんですよ。やめて向こうから支部の状況を言ってもらうようにしている。
吉本 何度も回るんですよ。3人が三様でエリアを担当してそこを何度も回る。また来たかというぐらい。
 聞くけど、ハイハイって感じの労組もある。でもまた行く。一回ボンと響いたところは、何度もどんどん、どんどん入っていく。今やっているのが呼びかけ人を増やすこと。賛同したり団体署名とか個人署名とか送ってくれるところは、もっと深く呼びかけ人に。今10人でしょ。だからそこを増やしていこうと。
 さらに昨年12月1日の集会の成功を受けて、労組の連絡会を持とうと。定例会をやって、各労組が地域に戻るでしょ。そこからまたここに持ってくると。で、最終的な狙いはその地域・地区に地区労を作っちゃおうよと。要はいろいろな産別の中での上部団体とかもあるかもしれないけど、そこを取っ払っちゃって、各労組が中心になって地域で地区労の復権をしていく。港合同みたいに地域の上部団体を超えた仲間が労働組合としてババっと集まると。俺の狙いはそこにあるんですよ。今回の春闘に入れたのが統一要求と統一方針です。春闘で動くときには連絡会参加の各労組が中心になって、春闘抗議行動を統一項目で一緒にやる。労働組合を活性化させていく狙いがある。
 共闘会議では、労働組合を大きくしていこうと。さっき花輪さんが言われたように、ナショナルセンターの枠を超えるというのもあるんだけど、俺の狙いとしたら、もう労働組合というのは、そんな上がどうたらとか横がどうたらというより、そこにボンと集まって来て、それが本当の労働組合としてひとつの核となってさらに労働組合をわーっと大きくしていこうと。上部団体が連合だ、連合じゃダメだ、ここに来たら闘えるというのを広げて作っていきたいという狙いがあるんです。はっきりいっていまだかつてやったことがないようなことをやってみようかなという狙いが。
花輪 どういうふうに表現していいかわからないですが、闘う労働組合をつくり出そうと思ったら、いまの闘いを本工主義で闘い抜こうというのは無理だと僕はすでに思っているんです。そういう意味では一番核になる労働組合は非正規だと思うんです。というのは非正規の人たちはもう失うものがないんですよ。そこがバネになって今度は立ち上がったということになれば、かっこよくいえば支配体制を覆すぐらいの力に発展すると思うんです。それは口で言うのはたやすいけども、やるのは大変ですよ。だけど、これが成功すれば壮大な労働運動の再編、再興につながっていくだろうと私も夢を見ているし、みなさんにも夢を見てもらいたいと。
――けっこう自治労なんかの組合も賛同してるじゃないですか。国鉄分割・民営化過程までは官公労が一定中心になって支えてきて、そこがいま問題になっている構造がありますよね。そこをどうやってもう一回動かすのかなという問題意識もあるんですけども。
花輪 それは揺さぶらなきゃダメですよ、揺さぶらなきゃ。今はそういう運動のとば口ですから、それを排除したり向こうに追いやっちゃうと、こちらの基盤も危うくなりますから。現状、非正規の状況を訴えれば、これはひどいと。それは自分たちも感じてるわけですから、組織内で。だからそれは何とかしなきゃというところで今勝負してます。これが一波過ぎて進むということになれば、今言ったような労働組合の人たちもこれは今までどおりでは行かないという認識を持つはずですよ。そこが次の狙いですよ。そこまで踏み込んでいければ、かなりわれわれがリーダーシップを発揮しながら労働戦線を再構築できる。再構築というよりもわれわれの考えで新しく構築できると。そう思っていますよ。だからナショナルセンターには挨拶には行きますよ。お世話になりますと言って、頭下げたくないなと思う頭を下げながら、お願いしに行きますよ。これはいずれは変わってもらわないと仕方がない。そういうふうに思っています。
吉本 さっき言った労組連絡会に参加しているF運輸では、全部正社員なんですよ。4大産別と違って俺らは民間じゃないですか。F運輸は全部300名正社員なんですよ。ところがそこに非正規を作ろうという経営者の動きがある。でも、正社員は「今の世の中だから非正規が運転手として入ってもしようがない」とは考えてない、あそこは「冗談じゃねえや」と。正社員が非正規を作らせないんだという考え方があって、非正規自体を作らせないということで立ち上がってるんです。俺らは、非正規だって3カ月雇用契約だって組合を作ったら負けねえ、組合を作れるんだってことでやってるじゃないですか。そこが一緒になってやっているということなんです。それをやっていれば、恐らくは4大産別、教労にしたって自治労にしたって見てるから。じゃあ俺ら正社員が今やることは何だということに火を点けていける。俺らの存在で目を覚ます。運転手の正社員も非正規もいるけど、ここの組織が膨大になってきたらあんたらそれでいいのかと示していくということなんです。俺らは勝って戻る。何をやってるんだということを俺らの闘いの中から示していくということをやっていこうと。正社員がダメだというんじゃないですよ。本当に労働組合としての目を開かせる。最初は「しようがねえか。こうやって支援要請来てるんだから」って言っても、俺らの団結が広がっていけば否が応でも見て見ぬふりができなくなってくる。それができるぐらいの存在になりたいと思っています。間違いなく俺らの今の存在はくすぶり上がっていて、署名団体の一覧だって最初9月の頃はニュースの1ページで余裕だったのが、もうこんな小さい字でも収まりきれないぐらいに増えてきている。関西生コンの高さんに言わせれば、「闘いの中から成果が一歩ずつ出てきてる」と。成果が出てくると面白いものでこれがまた励みになっていくんですよ。最初は出なかったですよ。出ないけど冗談じゃねえやとやっていくうちにこれがどんどん、どんどん大きくなってきている。最初はこんなのを目に入れないようにしていても否応でも目の中に入るようになってきて、あちこちから火がたってきたら、じゃあ俺ら一体何をしてるんだと正社員の人たちや4大産別の機関の一番重要な人たちが本当に目を覚ます。それをやる存在に鈴コンがなっていく。
内尾 解雇されて1年という年月が経って、花輪さんを先頭に回らせてもらって最初は見向きもしなかった労働組合が、今は「ん」と気がつき始めてる。その次のステップに入ってきている。ああこれだと思ったときに、非正規を撤廃する、非正規をなくせという俺たちの闘いを見て、「あ、こいつら言っていたことがやっぱり正しかったんだな」と振り向いてくれたら、もう俺たちは勝ちに進んで行けるんじゃないかなと思うんですよね。

  非正規職撤廃は国家と真正面からケンカするスローガン

吉本 国と経団連は10割非正規にすると国家方針を出しているんですよ。それに対して俺らが非正規職を撤廃するということは、国家と経団連に対して冗談じゃねえってケンカを挑んでいるということなんだ。非正規職撤廃、解雇撤回、闘う労働組合を甦らせるということははっきり言っておまえらとケンカして革命をやってやるんだよと言っているんですよね。
花輪 国家権力との闘いですよね。1047名の闘いがまだ終わってはいませんけど、しかし、ああいう妥協の軌跡を歩んだでしょ。そのなかでは国労の人たちも不満に思いながらも一応長くなったからしようがないという、そういう悶々とした人たちがいっぱいいて、それに闘うという人が少し残ってという状態ですよね。だからそこでこの非正規の闘いが大きく発展していくとなればそこをふくめてまた再結集した国家権力との闘いが可能になるんじゃないかなと考えていますよ。だからこれは展望であって、今そこまで一挙にモノを行ったら何を言っているんだ、幻想だと言われるけど。
 でも一番の強みはあまりにもひどい非正規の典型的な悪い例、最悪の例が鈴コンの中にあることですよ。もろに闘ったこと、そしてそれを述べること。これ自体がオルグの最大の武器になります。これが逆に鈴コンの有利さです。僕はそう思ってます。付け加えることはあまりない。難しいこと言う必要はない。

  雰囲気が変わりつつある鈴コンの職場

――関連して昨年12月1日の集会で伊藤晃さんが発言されていたなかで、鈴コンの中で組合員を増やすことをめざして下さいと言われてましたよね。そのあたりについては今どう考えていますか?
吉本 今日も社前(での情宣)をやったんですけど、俺らは一貫して中心は職場だと思っている。で、今年13年の鈴コンの闘争の方針の最初の柱は、田口解雇撤回と解雇撤回、非正規職撤廃なんですけど、職場にもう一回突っ込もうという方針を入れてるんですよ。もうわかってんの、職場の仲間たちは。でももうひとつそれを超えられない、鈴コン分会に入ってこれないというのはあるから、そこにもうひとつ踏み込んでいく。
――入って来れないというのは何が原因だと思いますか?
吉本 首になる。吉本、内尾、善、田口みたいに首になりたくない。去年の暮れの忘年会をやったときもGさんが来てくれてはっきり言いましたよ。「共闘会議の会員にもなりたい。でもわかったら首になる、それが怖い」。給与明細も一時金のも全部見せてくれた。初めてですよ。気持ちはわかってるんですよ。でも首になりたくないという、それをどう超えるかといったらもっと社前闘争にしても俺らが闘っている姿をもっと職場の人たちにはっきり示していこうと。向こうから怖いというのを、いやそうじゃないんだと自覚して組合と一緒にやっても悔いがないと思えるぐらいに俺らが職場に突っ込んで行かなきゃと思ったんですけど。Gさんとかがもう組合に入りたいのはわかっているんですよ。「吉本と内尾と善が戻ってきたら入る」と言っている。でも、そうじゃなくて、今の状況の中で本当に労働者が「今入るよ」と言ってくるぐらいに、こっちが本当に向こうを変える。それぐらいのしつこさでもっと職場に登場していかなきゃダメだなと思ったんです。社前も最低でも月2回とか3回は出たい。職場の人たちが「一緒に組合に入るよ」と決意してくれるまでこっちが示していかないと。
――今は職場の中に足は踏み入れられないんですか?
吉本 入れないです、この3人は。
鈴木 やっぱり鈴コンの労働者は、組合に入ったら首にされるとか、もうビクついているわけですよ。でも俺らはこう決起して社前でニコニコしながら「どうだ、切りたかったら切ってみろ」とやっているわけじゃないですか。切られても、まだこいつらやってると。
 ユニオンができる前、今から25年前、一組ができて、ふざけるんじゃねえと言って頑張ったけども、御用組合ができて会社について、一組は権力につぶされた。残った二組が「お金くれ」と会社に手を出したわけですよ。そしたら会社は「何言ってるのよ。一組もないのに何なのよ」って締め付けて二組もつぶされていった。そのなかで正社員として残ってきた労働者は、冨美子社長に逆らったら怖いんだよってことをずっと植え付けられてきた。みんな脈々と、一個言ったら十個も百個も「余計なことを言うんじゃねえ」って返されて、ずっと押さえつけられていて声も出せないような状態が続いてきた。そういうのが鈴コンのなかにもう感覚として残っているから、みんな決起できなかったんですよ。
花輪 それでも僕も1年前、社前やったのはメーデーのときかな。去年の5月。それから去年の12月、今年1月と行ってみて、対応が違ってきています。最初はみなさんの目が伏せられた。それが伏せられた目が手を振るまでに変わってきている。このへんの認識はわれわれが元気でやってるぞ、まだへこたれねえぞという姿を見て、彼らも本当の労働組合を理屈ではわかっているんだけれども、今対応できない、善さんが言うような、そういう雰囲気がある。それをのりこえられるというところにはまだ行かないけれども、行かないけれども変わってきているなということはわかります。
内尾 階段にビデオカメラが設置してある。あれを避けて俺たちに会いに来るというのはあったけど、今はビデオカメラはもう関係ない。ビラを取りに来てくれたり。もうそういうような変化が起きてる。あとは、裁判とか労働委員会とかでこっちが有利なものが出れば、職場のみんなも、「やっぱり正しいことなんだ」と言って決起してくれやすくはなると思う。
花輪 頑張れば道は開けるんだということをわかってくれますよ。
内尾 今日の朝礼でトラちゃんが来たのよ。朝礼で社長の長男・雅章が「回りでわいわい騒いでるけど、そういうのは信用しないでくれ」ってまた言ったらしいよ。
吉本 また言ったの?
花輪 逆に言えばそれだけ恐れてきている。
吉本 そうです、そのとおりです。
内尾 別に悪いことしてなければ、そんなこと言う必要もないし。俺たちの影響力があるからこそ朝礼で「回りで騒いでるけど気にしないでくれ」なんてことを言う。
吉本 会社から首になりたくないなあというのは当たり前だと思うんですよ。でもそのなかで本当に本人自身が「ああ上等だ。首にするならしてみろ」と言って自分で声をあげて入ってくることです。こっちが「入れよ、入れよ」と言っているのではまだダメなんですよ。向こうからほんとそういうふうになってきて、「俺やるよ」と言うふうにしむける。
内尾 加入書を出せよって。
鈴木 なんで持ってないんだって。
吉本 それはもう一歩、俺らの踏み込み。いや見てるんだから、俺らが動いているのはわかってる。わかってるんだからもっとしつこくやっていく。労働者の自己解放、労働者の本当の腹からの目覚めさせるという。
内尾 それは回りががやがや言ったってしようがない。自分自身、俺がやるかやらないかだから。俺が組合をやめるか・やめないかのときに、腹づもりとして、1万円で働くか・働かないかと考えた。やっぱそういうときの自分の気持ちだからさ。それは回りがやいやい言ったって変わるものじゃないからさ。

 鈴コン闘争を職場・全国で拡大し、労働組合の力で権力を取る

吉本 俺は労働組合が労働者の闘う唯一の武器だと思ってるんですよ。俺は一貫して変わってないんです。だから建交労という枠を飛び出て、東京西部ユニオンという何もないようなところでも、労働組合を作って闘うというのに夢をかけて来たんです。確かに連合だと700万という最大の組織じゃないですか。労働組合はやっぱり大きくなることで力が集まってくるのは確か。でも、ただ数が多くなっていけばいいというんじゃない。根本には労働組合で権力を取って行こうというのが必要です。絶対それができると思ってるの。はっきり言えば12・1非正規職撤廃、鈴コン解雇1カ年闘争というラベルをぴょっと剥がすと、国家に対する革命なんですよ。あれをぺらっとめくると、「冗談じゃねえよ! 国家革命だ」と書いてある。それをわかってる人はあれを読めると思うんだけど、俺の考えはそうなんです。だから労働組合で力をつけて職場支配を取って最終的には国家転覆して労働組合で権力を取る。そこへ向かって労働者が集まって膨大な力にしてやっていきたい。
花輪さんが鈴コンに惚れたというのも一貫して俺が曲げないから、絶対何が何でも。その趣旨を曲げない。交流センターもそうじゃないですか。そこに労働者をボンと入れてくるような組織にしていきたいなと思っているんですよ。鈴コンが大きくなって共闘会議が大きくなっていけば、交流センターももっと大きくなっていくと思ってる。だからたった6名しかいない分会なんだけど、ここを全国に広めて、そこから鈴コンの組合みたいなのをどんどん作っていくんだという声があがったときに、そこにわーっと集中したときに、すごい労働組合になると思うんです。あくまでも労働組合で権力を取っていこうというのが俺の考えですから。労働組合にはそれができると思うんです。
(1月7日収録)

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●鈴コン分会 闘いの経過(2)

2009年12月22日 都労働委員会、不当労働行為救済申し立て
2010年     労働委員会闘争
2011年8月16日 田口守組合員急逝(享年62歳)
2011年9月14日 会社「精勤・皆勤手当廃止」一方的通告
2011年9月27日 分会全員で1日ストライキ
2011年10月中旬 不当処分(出勤停止)1週間の社前・駅前での抗議行動
2011年11月4、7、14日 分会長、会計、書記長に解雇予告
2011年11月末  東京地裁に地位保全仮処分提訴
2011年12月7〜18日 分会三役不当解雇
2011年12月22日 総決起集会に340人(東京・赤羽会館)
2012年1月〜   社前闘争・地域労組回りを本格的に開始
2012年2月3日  都労働委。会社に勧告(要望書)
2012年2月29日 東京地裁、賃金保全(仮払い)決定
2012年3月24日 支援・連帯共闘(準)が発足
2012年5月16日 東京地裁に本訴
2012年7月15日 支援・連帯共闘会議・正式結成
2012年10月3日 東京地裁、2度目の勝利決定。保全確定
2012年12月1日 解雇1カ年総決起集会に185人(東京・豊島区民センター)
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お詫びと訂正
先月号の以下の誤りをお詫びし訂正します。
17頁小見出し「2009年……と11・1分会分裂」→「2009年……と11・4分会分裂」
18頁本文右段「佐藤靖宏さん」→「佐藤靖浩さん」

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月刊『労働運動』(276号4-1)(2013/03/01)

■正規―非正規ひとつになって、郵政グループビジョン2021粉砕!2013年春闘を3月雇い止め解雇・強制配転絶対反対で闘おう!

 グループビジョン2021を粉砕しよう! 星野勝紀 JP労組東京銀座支部

 開始されている郵政グループビジョン2021

 民営郵政は、郵政民営化の破たんの中で、JR東日本「グループ経営構想X」を手本として、郵政グループビジョン2021(1871年の郵便事業の創業から数えて150周年)を昨年の10・1に発表した。このビジョンは、新人事・給与制度導入も含めて、新自由主義下の生き残りをかけた合理化推進と労働者意識の解体が柱である。そして、重要なことは、このビジョンは、2021年に始まるのではなく、すでに推進されているということだ。
 職場の現状はどうなっているか。とにかく人が足りない。交通事故・郵便事故は激増し、労働者同士のケンカもたえない。荒廃した職場の様子があちこちから聞こえてくる。なぜ、そうなるのか。新自由主義政策=民営化攻撃の矛盾の一切が、現場の労働者に転嫁され、襲いかかってきているからだ。
 郵政民営化も民営化法案が国会を通過してから始まったものではないということを捉え直したい。民営化以前から始まった人事交流=強制配転、「痛みを伴う効率化施策」=本務者の極限的な人員削減と非正規職化、それらのすべての施策が、民営化させないためにという理由で、全逓中央本部・全郵政中央本部の率先協力の下、現場には「しようがない現実」として強制されてきた。
 一方で、民営化後は、「よりよい民営化」と称して、全逓・全郵政の統合=JP労組の生産性向上路線の下、とどまることのない合理化を労働組合自らが提唱している有様だ。その象徴であったJPEX子会社化は失敗(職場の怒りで粉砕された)し、ゆうパック統合の大破綻につながり、結果として膨大な赤字になった。その責任を、当局もJP労組本部もまったく取らず、現場の労働者に押しつけてきた。ゆうパック統合直後の大混乱を「社員の不慣れのため」と言いなした当局の発言を忘れてはならない。あの言葉に、民営郵政の本音、本質があるのだ。あれを聞いて、誰もが「ふざけるな!」と心の底から思った。そこに労働者の階級性が宿っているのだ。

 労働者意識の解体攻撃と闘おう

 今年度、当局が「単クロ」=単年度黒字化を叫んでいたのには、それなりの意味がある。そこには「ふざけるな!」という現場の労働者の怒り=労働者意識の解体の狙いが一番の柱としてあったのだ。怒りがあっても「しょうがない現実」を強制して声を出させない。非正規の仲間に対するスキルのダウン=賃下げ、直接の雇い止め解雇、正社員に対するボーナスカット、たらい回しの強制配転、自爆営業を当たり前とする当局の巧みな攻撃があった。それを可能にしたのがJP労組本部の生産性向上路線だ。
 もう一度、職場の現状を見ればどうか。「15分の休息は手すき時間にとれ」「郵便体操は整列して声を出せ」〈配達前のしびれるくらい長い朝礼〉「祝日出勤は代休にしろ」「超勤はやるな」「ロッカー点検は全員対象です」。職場は、憲法も労働基準法も無視され、監獄状態だ。
 合理化と労働者意識の解体という攻撃の中で人間性さえも奪う資本の論理に対して、団結破壊に対して、根底的怒りが爆発寸前だ。怒りはあるが声に出せない。怒ることさえ許されないことに対する怒りだ。極限的人員不足の中、配達は休憩時間に食い込み、帰局すれば食堂は閉まっていて昼飯にもありつけない。その裏で、管理者連中は、休憩時間のチャイムが鳴れば、のうのうと昼飯を食って高楊枝だ。これではあまりにも惨めではないか。
 今こそ、この「しようがない現実」を強制してくる当局と、それを許すJP労組本部の二重の重圧に、全国労組交流センター・全逓部会が真正面からぶつかり、現場の声を代表して闘おう! そして現場で苦闘している全国の仲間と共に職場から闘おう!

 敵の攻撃の矛盾を突きまくろう

 郵政グループビジョン2021の中身は、2月JP労組中央委員会を経て、新人事・給与制度の導入も含めて、職場の荒廃した姿にさらに拍車をかけて推進されてくる。すべての物事をゼニ勘定に置き換え、資本の論理で労働者の背骨を叩き折ってくる。この攻撃を許せば、現場ひとりひとりが計算高い資本の奴隷になることを強制され、たえず当局の顔色を伺い、疎外された労働はさらにつまらないものになる。班も職場もバラバラになる。しかし、当局にとっては資本の奴隷となって忠誠を誓う労働者がどれだけ生まれるかが判断基準であり、仕事がどうなろうかは二の次なのだ。
 しかし、最大の矛盾は、俺たちが出勤して毎日の業務を回している限りにおいて、郵便の歯車が回っているということだ。それを当局は当たり前と高をくくっている。非正規の仲間に対する雇い止め解雇だって、解雇撤回の闘いが起きないことを前提にしてやっている。しかし、郵政非正規ユニオンを先頭に闘いが開始された瞬間に当局はグラグラだ。
 2013年春闘、3月決戦の中で、すべての闘う労働者と連帯して3・11フクシマ反原発の闘いを共に担い、日常活動の中から職場支配権を奪還する核となる仲間をつくり出し、非正規の仲間の雇い止め解雇攻撃を許さず、強制配転攻撃を許さず、当局の攻撃の矛盾を突きまくる闘いを展開しよう!

 正規−非正規の怒りの団結で、巨大郵政に風穴を開けよう 齋藤裕介 郵政非正規ユニオン委員長

 

いま日本全体の郵政事業そのものが末期的な危機を迎えています。今日の世界情勢の典型とでもいうべき法律無視、人権無視が日常化し、集配でのバイク死亡事故や構内での事故すらも当たり前の状態です。そもそも郵便事業が民営化できるはずもなく、民営化による大きな矛盾は、郵政を最悪のブラック企業に変貌させたのです。〈年賀の自爆営業〉〈ゆうパックギフト自爆〉〈超勤記録の改ざん〉〈退職強要〉〈軍隊式ミーティング・点呼〉、さらに〈「クズ、のろま」といった管理職の暴言による精神的屈辱行為〉など、職場は想像を絶する無法地帯と化しています。
労働者の首切りは、今まで表立っては行われなかったパワーハラスメントを執拗にやることによって行われ、精神崩壊させて自己都合退職に追い込むという常軌を逸した手口に変わりました。それにも耐えた者には容赦ない雇い止めや強制配転です。
昨年、非正規社員4万6千人が削減。回らなくなった職場は滞留した郵便物の山です。今度は正規社員や管理職すら動員され、みなが疲れ果て倒れていく日常になっています。
ですが、この生き地獄の中で私たち郵便労働者はあきらめたわけではありません。当局の容赦のない搾取や蹂躙から生き残った社員は強い怒りを内在させています。その怒りは、自身の雇用という保身よりも、当局に一矢報いることで散っていくことすらかまわないという決意となり、この決意を秘めた労働者が続々と出てきています。もはや仲間を蹴落とせば生き残れるという考えや、首切りリストに載らない例外はないということを知ったのです。昨年の空前の事態に行政や政府はあてにならず、メディアはいっさい関わろうとはしません。その結果、郵政民営化が失敗に終わったこと、その結果どうなったのかが誰にも伝わらない。闘って生き残るか、精神的肉体的に果てるか、この苦しい二択しかないと誰もが意識変革されたということです。
これらを食い止めるべきはずの労働組合はどうか。JP労組中央は、資本の手先となった姿を隠すこともなく、堂々と脅迫・暴力行為の黙認と推進を行っては、資本といっしょに暴利をむさぼっています。

(写真 東京都労働委員会で郵政非正規ユニオンが大工原課長らを徹底追及【2月14日】)

 労働者の団結で生き抜き、勝利する

 私たちは、正規・非正規の壁を越え、「郵政非正規ユニオン」と「全逓部会」の二つの柱が支えあいながら共闘し、劣勢の労働運動を勝利に導くために奮闘しています。
 御用組合とブラック企業と対決するために立ち上がった非正規の期間雇用社員による〈郵政非正規ユニオン〉は、結成時に参加した全員を雇い止めとされながらも闘い続けることを選び、組織は急速に拡大しています。
 〈郵政非正規ユニオン〉を叩きつぶす攻撃に対して、東京都労働委員会という場で決戦が構えられています。証人審問は第1回から2月14日の第3回の大工原尋問まで、終始、共闘労組が傍聴席を埋め尽くし、勝利と団結の叫びが響き渡っています。
 人一人は弱いもの。しかし、支えあうことが団結であり、人の強さでもあることを実感しました。資本は、人々を競争させ、最低限の生きる余地すら奪い、暴力的に支配することで延命してきました。しかし、私たち労働者は、衣食住とささやかな外食や季節ごとの家族旅行程度しか望んではいません。同じ職場の仲間を壊してでも昇りつめたいという資本家的存在が、理想の人間像ではないことに私たちは気づいています。人間本来の優しさや共同性をつかむのは、自由の真の意味や大切さを知る労働者です。仲間意識すら分断された苦境の時代にあって、階級的団結、労働者意識をもって闘う意味は大きいと思います。
 労働運動の崩壊を食い止め続けている国鉄・JRで勝利し、巨大郵政に風穴を開ける。その余波は必ず全産別、全労働者階級の新時代の産声として響き渡ります。労働運動が時代に追いつき、疾風のように駆けのぼることができるのか。労働運動の力が試されています。共に勝利し、共に勝ち名乗りをあげよう!

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月刊『労働運動』(276号5-1)(2013/03/01)

■闘う合同・一般労組

群馬合同労組・群馬経済新聞社分会の地労委勝利命令勝ちとる!

群馬合同労組・書記長 清水彰二

 

 2012年12月26日、群馬合同労組は、群馬県労働委員会において、同年1月13日に申し立てた群馬経済新聞社分会の不当労働行為申立事件について勝利命令を勝ちとった。群馬経済新聞社は「ぐんま経済新聞」という週刊の新聞を発行する会社だ。社長・専務のパワハラで体調を崩したというAさんの労働相談から始まり、2011年12月1日に過半数を超える13名の組合員の連名で組合通告と要求書を提出した。
群馬経済新聞社は従業員20人足らずの会社であるにもかかわらず、この7〜8年の間に20人以上の従業員が退職している。正社員は非正規社員に置き換えられ、労働条件は悪くなるばかりだった。おかしいと言う労働者は嫌がらせ、パワハラで退職を余儀なくされた。まさに使い捨てだ。就業規則、賃金規程などは開示されておらず、ガソリン代の計算がいつの間にか3割もカットされたり、社長・専務の勝手な「評価」でパート労働者が時給をカットされたりした。
群馬合同労組は、分会結成通告と同時に、団交を開催の上、改定作業中の新旧の就業規則と賃金規程などの附属諸規程すべてを開示するように要求した。過半数従業員の群馬合同労組への加入、分会の結成に追いつめられた会社は、就業規則は従業員にはこれから開示する、だから団交を開催する必要はない、群馬合同労組には就業規則・附属諸規程は開示しない、従業員がこれをコピーしたり「社外」の者に見せたりしたら懲戒にするという対応に出て来た。そればかりか組合員に対して早速脱退勧奨を繰り返した。

 群馬県労働委員会に不当労働行為救済の申立

 分会で協議した結果、不当労働行為の救済を求めて労働委員会に申立をしようということになり、組合員に対する脱退勧奨や威嚇の事実をあげて@組合に対する「批判、誹謗、威嚇」などの支配介入の禁止 A「陳謝」「誓約」を表明するポストノーティス(社内への文書の掲示)を求めて、申立をした。群馬合同労組としても初めての地労委への申立であった。弁護士は立てず、書記長が代理人という形での申立になった。2012年3月22日から始まり3回の調査、3回の審問(証人尋問と最終陳述)を行い結審した。命令は、「脱退勧奨を行うこと」「就業規則及び附属諸規程の開示を拒むこと」「(組合に)就業規則を渡さないよう威迫すること」を禁止し、「今後このような行為を行わないよう十分留意いたします」という文書の速やかな交付(「掲示」ではなく)を命じる勝利命令となった。会社は再審査申立を断念し、今年2月13日になってやっと証明郵便にて命令に沿った文書を組合に送付してきた。

 会社のでっち上げストーリーを粉砕

 申立に対して会社はすべての不当労働行為を否認し、パートのBさんに対して行った社長の脱退勧奨については逆に「こんな安い給料でやってられないですよ」と業務を拒否したというでっち上げを行い、全面的に争った。これは組合員の怒りに火をつけた。組合はでっち上げを粉砕するために具体的な証拠と証言を積み上げて、社長を追いつめた。命令は、最大の争点であったこのBさんへの脱退勧奨の事実について、組合側の証言は「具体的、詳細」「一貫している」と認め、社長のでっち上げストーリーを「陳述内容を変えている」「不自然」として排した。

 合同労組の団結権を否定する会社

 会社が群馬合同労組に就業規則・附属諸規程の開示を拒否したことに関して命令は明確に不当労働行為を認定した。「就業規則及び附属諸規程は、職場の労働条件や職場規律を定めたものであり、使用者が同規則等を労働者に周知すべきことはいうまでもないが、労働組合にとっても、組合員の労働条件を議題とする団体交渉など組合活動を行う上で、同規則等における労働条件の定めを知っておく必要があるといえる。とりわけ、本件では…組合にとって、新旧就業規則等は、就業規則改定による労働条件の変更を把握し、会社との団体交渉を行う上で重要な基礎資料であったことは明らかである。したがって、会社が組合の開示要求を正当な理由なくして拒むことは許されない」。ここは合同労組運動の根本に関わる。

 職場での闘いへ

 群馬県労働委員会の命令はただちに新聞社すべてにプレス発表され、毎日、東京、上毛、朝日が群馬版で報道した。昨年一年間で群馬県労働委員会への申立件数3件、命令2件。連合は自ら労働側委員を出しておきながら、全く申立もしていない。そうした中で闘う労働組合が、労働委員会闘争をも、職場の団結のために使い切っていかなければならない。
 分会では昨年1年を通して、労働委員会闘争が軸になって、一つ一つ前に進んできた。新聞製作や営業という仕事柄、新聞報道されるようなこと自体反対という声も強かった。組合員が証言台に立つことも勇気が必要だった。調査や審問に参加するために初めて有給休暇を行使した組合員もいる。変わらない会社に絶望して退職した組合員もいるし、新たに加わる仲間もいる。今会社に対して怒りを共有する分会がある。会社は全く変わらず、次の組合つぶしを虎視眈々と狙っている。労働委員会の勝利命令をステップに現場の団結と闘いで勝利したい。

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月刊『労働運動』(276号6-1)(2013/03/01)

■東京23区

現業労働者を先頭に「退職手当削減」反対闘争が戦闘的高揚

北島一恵 中野区職労

 昨年末の国家公務員の退職手当大幅削減から全国の地方自治体で総務省指導による大幅削減攻撃が今も続いている。東京23区でも1月17日に削減の基本的な考え方が示され、23日には具体的削減内容が提案された。最大400万円の削減、特に現業は、行政系の率・額でも2倍である。特区連(特別区職員労働組合連合会=23区の区職労の連合体)試算では最大21%削減だ。現業労働者の怒りは凄まじかった。「なぜ、こんな仕打ちを受けなけばならないのか。現業つぶしだ。絶対に認められない」。直ちに区長会への撤回を求める要請行動が取り組まれ、連日、学習会、各ブロック集会、各区長への要請行動等が行われ、私もその先頭で決起した。
 現業・非現業が一体となり、大幅削減と現業への提案内容の矛盾を弾劾して、2月12日には、1月18日に続く、特区連と東京清掃労組合同の総決起集会が行われた。会場の中野サンプラザには1800名を超える労働者が結集。15日早朝の清掃1時間実力行使、特区連29分時間内職場集会を背景に全力で闘う戦闘的気運がみなぎった。結果は、削減率圧縮(行政系平均削減率10%弱、現業系11%〜12%程度)をもって、15日未明に妥結され、実力行使(ストライキ)は倒された。
 現業には任用制度導入以前の期間に1級職(ヒラ職員)にもポイントを付けさせたが、成果主義を前提とした調整額である「職務・職責に応じた」ポイントが増え、何よりも大幅削減を撤回できない悔しさがある。
 が、今回の提案が労働組合つぶしとりわけ現業労働運動破壊にあったことを考えると、連日の闘いに決起した組合員には勝利感があるし、組合員の団結は強化され、闘う気運が広がっていることを重視したい。
 特に昨年の都労連29分職場集会に続き、本気で公務員労働者の間で「ストライキで闘う」ことが話題になったことは決定的だ。スト準備指令をだした区職、具体的配置を確認した区職、実質的な29分職場集会にあたる妥結内容報告集会を開催した区職もあった。「ストライキって何をやるんですか?」との青年労働者の発言をめぐって職場で議論になった区職もあった。だが「ストなんかやれない」と考えている執行委員が大半を占める区職があるのも現実だ。

 自治体労働者の爆発的決起の情勢

 安倍政権は、7月から地方交付税交付金を削減し、公務員給与7,8%削減をやろうとしている。1・31〜2・1自治労臨時全国大会では本部に対し削減絶対反対の取り組みを訴える発言が続出した。財政危機の中での地方交付税交付金削減、地方独自財政化は道州制攻撃そのものだ。そして、橋下維新の大阪丸ごと民営化攻撃による公務員全員解雇、笹子トンネル事故の張本人=猪瀬東京都知事による都営地下鉄と東京メトロの統合=民営化策動。東京23区の全窓口業務の外注化、清掃職場の外注化による死亡事故の続発。外注化の矛盾=偽装請負を塗り隠すべく「公共サービス研究会」が会合を重ねている。
 ついにストライキの爆発を本当に勝ちとるために闘う時がきた。現場の怒りを解き放つ反合理化・運転保安闘争で職場から闘おう。

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月刊『労働運動』(276号7-1)(2013/03/01)

■教労

非正規職化攻撃に対し、正規職労働者こそ闘おう!非正規組合員を切り捨てる「規約改悪」絶対反対!

教育労働者部会

『教育労働者全国通信』第37号(2月18日付)より抜粋。

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 既成の組合の大半は、非正規教員を組織していても、その活動が採用試験の対策にとどまっています。正規と非正規の壁を超えた団結を作りだしていくことが問われています。三浦半島教組では、臨時任用・非常勤・再任用の非正規組合員の権利を奪う規約改正案が提案され、役員選挙の最大の争点となっています。以下、「職場討議資料」(要旨)を掲載します。
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  中央委員のみなさん! 執行部が進めている規約改悪に絶対反対の声をあげましょう。今回の規約改悪は、「大会の審議を経て」(三教組規約38条)全組合員の秘密投票をもって規約の改廃ができるとする三教組規約をふまえない重大な“規約違反”です。しかもその内容は、非正規組合員を三教組運動から切り捨てるものです。絶対に認められません。
執行部は改正の理由を「三教組運動の根幹部分は正規教職員が担うべき」とし、分会オルグでは、非正規組合員の負担軽減∞非正規組合員を守る≠ネどという転倒した説明すらしています。しかし今回の「規約改正」でルール化されることは、非正規組合員の組合員としての基本的な権利のはく奪です。非正規職組合員を「連絡会」に一括りにし、組合内の位置を著しく低めるものです。組合費は出しても、口は出すな≠ニ言っているようなもので、活動負担の問題と全く次元が違います。
今日、人件費削減のためだけに学校現場でも非正規教職員が増やされています。しかし非正規職員も、実際の学校で仕事をするうえで正規と区別はなく、ましてや子どもたちや保護者に対する責任は同じです。それにもかかわらず、賃金や待遇はまるっきり違います。
政府や行政の人件費削減政策、労働者を使い捨てる″lえ方こそが問題です。こうした雇用の在り方そのものをなくすための労働組合の取り組みが必要です。今日の非正規職化の状況は 、以前の産休や療休の代替職員として臨任・非正規職員が入ってくるのとは根本的に違っています。国家と資本の政策として、経費削減の合理化攻撃として非正規職化・民営化が社会全体を覆っている中で、学校教育も例外ではないということです。

 青年労働者の未来をかけて闘おう

 いま必要なことは、非正規職員の怒りをもっともっと三教組運動に反映させ、正規・非正規がひとつになって、非正規雇用という雇用形態をなくすために立ちあがることです。
 非正規職化攻撃と闘うことは、むしろ正規職労働者の課題であり、青年労働者とともにたたかうべき課題です。なぜなら人件費削減≠フ徹底という非正規化の行き着く先が民間委託などの民営化であり、それは今のまま≠フ雇用が継続するとは決して考えられない青年労働者にとっては人生そのものの問題だからです。
 執行部原案を絶対に廃案にしましょう! たたかう三教組をともにつくり出しましょう!

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月刊『労働運動』(276号8-1)(2013/03/01)

■電機

高橋英行 常任運営委員、岩崎電気労働組合前委員長

 一律大幅賃上げ要求で団結して闘おう!

 電機労働者の私から、すべての労働者へ訴えます。13春闘を「賃上げ・雇用の維持」を掲げ、あらゆる職場から階級的闘いを巻き起こそう!
 連合傘下など、ほとんどの産別の執行部が、資本に屈服し、階級的な闘いを放棄してきた積み重ねにより、労働者の生活は困窮を極めています。業績不振を理由とする会社のリストラ専行、否、労働組合執行部の協力で、正規・非正規労働者の首切りが横行し、労働条件引下げは日常的に行われています。とりわけ、先行的に非正規職化を進めてきた電機、金属、自動車などの大手製造業資本は、職場丸ごと労働者を路頭に投げ出すことが特別ではない状況です。半導体のルネサスエレクトロニクス、液晶プラズマのシャープ、総合家電のパナソニックなど、電機大手資本による攻勢は怒りに堪えません。
 電機本部の春闘方針は「賃金水準の改善(引き上げ)要求を行う状況にはない」として、賃金要求を放棄し、資本に完全屈服しています。日本経団連の春闘方針、「賃上げはもちろん、定期昇給すら認めない」を前に、闘う前から降伏を宣言するものです。組合が資本と共同して労働者を押えつけるものであり、私たち労働者の怒り≠ヘマグマのごとく猛烈にたまっています。
 電機本部は春闘放棄の一方で、原発に変わる代替エネルギー源が確保できるまでは、原発を不可欠なエネルギー源と位置付け、原発即時再稼動を求めています。来る参議院選挙で、原発製造を手がける東芝の元労組副委員長の石上としおの選挙応援に全力を挙げるという許しがたい方針を掲げています。今こそ、労働者の敵、電機本部を、資本もろとも打倒すべきです。

 職場の非正規職労働者と団結しよう!

 闘う組合を取り戻すには、同じ職場で働く非正規職労働者を組合に加えること、非正規労働者と正規労働者が一緒に団結することから取り組むことが重要です。同じ職場で働く労働者でありながら、低賃金に苦しみ、雇用打ち切りに脅かされる非正規労働者、その労働条件はまさに雲泥の差と言えます。このような職場状況では、職場が一体となった闘いはできません。会社による分断をのりこえ、同じ労働者として共に集い、語り合うことから始めましょう。ただし、非正規職の労働者を仲間に迎えることは、並大抵の努力ではできません。正規労働者を信頼してもらうという難事業に組合総力で取り組む闘いを据えるのです。その先に既成執行部打倒、組合再生の道筋が見えてきます。組織の維持・拡大と団結強化に取り組み、資本と闘う組合に変革しよう!
 私たち労働者が生きていくためには、世界で巻き起こる労働者のデモ、ストライキに続き、団結して闘うほかにありません。ぜひ労働者のための労働組合を取り戻すために、今春闘の闘いに共に立ち上がりましょう。すべての労働者は団結して、一律大幅賃上げ要求を掲げ、13春闘に勝利しよう!

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月刊『労働運動』(276号9-1)(2013/03/01)

■ひめじょおん――女性部から

当局の破綻救済の反動判決引き出した決定的勝利!!

豊中市職 深町加代子

 私たちは、2月18日、大阪地裁において、保育事故処分撤回の裁判の不当判決を見事なまでに引き出した。
 この判決は当局の主張を全面的に支持するだけでなく、さらに踏み込んで当局側の主張を補強した判決である。
 具体的には、事故当時の「反射的に手があたった」という事実認定をくつがえして、裁判長が「冷静さを失っていた」というくだりをみずから創作してつけ加えて、意図的に「たたいた」に等しい事実認定をしている。
 10月10日の証人調べでは、市当局の事実の捻じ曲げに徹底的に踏み込んで追求してきた。そのため、なぜここまでして処分をしなければならなかったのかという市の狙いが明らかになってしまった。つまり、豊中市は、保育所の民営化、外注化を進めるために、たったひとりの絶対反対の労働者の存在さえも絶対許すことができない、そこから怒りと団結が拡大することを心底恐れている。だからこの処分があったということである。
またこの裁判長は、大阪地裁で争われている公務員職場の労使紛争の裁判を一手に引き受けている。川底をさらって見つかった金品を分け合って懲戒処分された大阪市の現業労働者の裁判では、仲間を密告した者を情状酌量で懲戒処分にあたらないと減免する判決を出している。
 このように、この裁判長は〈橋下市長の新自由主義攻撃は正しい。公務員の分際で労働者としての権利を主張するなどとんでもない。労働組合などつぶしてしまえ〉という階級意志をはっきり持つ存在だ。その立場を貫いて、今回の判決文は書かれている。
 そしてこの判決は、職場にも、市職執行部と豊中市と国の意思をはっきりさせるものになった。職場の仲間は怒りをあらわにしている。
 次の日、職場で裁判報告をする私にひとりの組合役員が「裁判なんかやっても意味ない。ちゃんと仕事をするべきだ」と言った。そのことに仲間は怒り、「おかしいで」と。職場内に激しい分岐がますます起こっている。今までこの裁判について声をかけてきたことがなかった、ある組合員は「私、前から思っとってんけど、所長や主任が現場を守らなければいけないのに、あんたを処分するなんておかしい。ホントは組合がこれを闘わなあかんはずやんか。これから処分が本格化する。あんたが最先頭なんやから、負けんと頑張りや」と言ってくれた。不当判決のおかげで職場の団結が拡大している。

 公立保育所全廃阻止を

 判決翌日の19日、豊中市当局によって、子ども・子育て新システムに関する説明会が行われた。会場は満杯となる。公立こども園については「国の援助は一切でなくて、自治体が10分の10出さなくてはならない。今までの予算配分ではできない」という公立保育所全廃攻撃という本音が明らかになった。
 いよいよ、すべての自治体で、公立保育所全廃をめぐる1年間の攻防に入る。
 不当判決に断固抗議し控訴するとともに、今まで作ってきた「保育処分撤回闘争賛同人会議」を「民営化・非正規職化絶対反対の闘う労働組合をつくりだす」フラクションとして、第2ステージの飛躍をかけて、組織していくつもりだ。ますます、やる気まんまんの私です。

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月刊『労働運動』(276号A-1)(2013/03/01)

■地平線―反戦共同行動委員会―

市東さん農地決戦勝利! 3・24三里塚全国集会に大結集を!

全学連現地行動隊

 2013年、三里塚闘争47年のすべてをかけた大決戦に突入しました。3・27最終弁論を目前に控えた3・24三里塚全国集会は、市東さんの農地と営農手段を実力で守り抜く決意を国家権力に叩きつける場です。
 2・18裁判の証言の最後に市東さんは「農地法を悪用して農地を奪うことなど絶対に認めるわけにいかない。私はこの地で生きる権利を勝ちとる。工業製品を売って儲けるために食糧は輸入すればいい――そんな農業切り捨てを認めるわけにはいかない。福島の原発事故、沖縄米軍基地に憤りを感じている人がたくさんいる。私はそうした人たちと気持ちは一つだ。動労千葉を先頭とする労働者との労農連帯を貫き、空港廃港まで闘う。裁判長、判決を出す前にぜひ天神峰の地に立ってもらいたい!」と訴えました。 この決意に何としても応えよう。今必要なことは、市東さんの怒りは、みんなの怒りだと裁判長に思い知らせることです。国家権力との力関係を転換させる大結集を勝ちとろう! 安倍政権のもとで進められる〈戦争と大失業〉の攻撃に対し立ち上がる福島・沖縄を先頭とした膨大な人民の怒りを市東さん決戦と結び付けよう!
 三里塚闘争は、一切の代償を求めない闘いとして、「軍事空港絶対反対」、「農地死守」、「実力闘争」の原則を貫いて空港建設という国策を阻んできました。市東さんの農地取り上げの問題は、TPPによる農業破壊攻撃の最大の象徴であると同時に、「空港に反対するな、他で暮らせ!」という国家権力と非和解的に闘うものへの弾圧という問題でもあります。この国家権力との闘いに47年間勝ち抜いてきた最大の根拠は動労千葉との労農同盟です。

 三里塚闘争と動労千葉

 故中野洋・動労千葉顧問は、ジェット燃料貨車輸送阻止闘争を振り返り「政治闘争をやめて職場に密着した合理化反対闘争とか賃上げ闘争をやればいいという論理は常にあるけれど、政治闘争をやれない奴に職場での闘争ができるのかといえばそれはできない」、「反戦闘争を闘わない限り、必ず政府の戦争政策の先兵に労働者が、あるいは労働組合がなっていかざるを得ない。中間の立場はない。階級的労働運動を志向する以上、反戦闘争は一体の存在だということが基本だ。」と述べています。また、田中康宏動労千葉委員長も、「『三里塚の農民があれだけ国家権力から弾圧を受けながら抵抗しているのを労働者として裏切ることができるか』という大義が結びついたときに、ものすごい力が発揮された。……『この闘いは自分たちのためだけにやっているんじゃない。それが俺たちの誇りだ』という感覚を持つ闘いとなった」と述べています。現場組合員の合言葉は「ゼニカネの問題じゃない」「おてんとうさまの下を胸を張って歩きたいから闘う」でした。
 闘う労働組合の結集が決定的です。3・24大結集を!!
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●3・24全国総決起集会
3月24日(日)正午 成田市天神峰 反対同盟員所有畑
主催 三里塚芝山連合空港反対同盟
※11時20分 反戦共同行動委員会・前段独自総決起集会

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月刊『労働運動』(276号B-1)(2013/03/01)

■元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風 第6回

 100万円の札束

 30年間、労働基準監督官生活をしているとさまざまなことに出会う。だからこそと言うべきか、労働基準監督官は、「面白い」職業である。監督官証票提示で、企業のトップに面会を求め、関係書類の提出を求めることもできる、大きな権限を持っている。また、「想定外」の経験も積める。
 監督官に就任して、3年以内で、監督官を辞める人間は少なからずいる。経営者からは「労働者の味方か」と言われ、労働者からは反対に「経営者の味方か」と言われるくらい、複雑な地位にあるのだ。特に、元気のよい労働者から、ガンガンやられると精神的に参ってしまうことはある。そういう時、先輩、同僚が支援(精神的支援でもよい)してくれるか否かによって、だいぶ違ってくる。
 表題の経験は、最初の勤務地広島での話である。
 監督官の仕事に事業場の臨検監督がある。事業場に赴いて、現場を見たり、帳簿類等を調査したりして、法違反を見つけ、是正を求める仕事である。このうち、申告監督が一番、しんどいと言われている。賃金不払いなど労働者の権利救済にかかわるものであり、問題が解決するまで、労働者と連絡を取りながら、事業場を監督・指導するわけであるので、特に長期化する傾向がある。その間、精神的に中途半端になりやすいのだ。特に、労働者が、元気がよければ、「解決が遅い」「労働者の思惑通りに問題解決に進まない」「きちんと労働者に経過を説明しない」等の状況であれば、お叱りを受けるのだ。しかし、往々にして監督署で元気がよくても、使用者の前ではおとなしい労働者も多い。
 賃金不払い事案での申告監督の時である。会社社長の自宅へ赴いた時だ。その時は、一人で監督に行った。広い庭園を記憶している。「労働者の賃金について、事情をお伺いに来た」と言って社長に面会を求めた。いきなり、賃金不払いなどとは言えない。労働者の言に信用が置けても、社長から聞く前に、そのような発言をすれば、「何を根拠に言うのか。ワシは支払っている」とも言いかねない場合があるのだ。
 どのような状況からそうなったか、今は思い出せないでいるが、庭園の中で、いきなり札束で顔を殴られたのだ。「金はあらあ」と言って、懐から取り出した100万円の札束。記憶は、その束の薄さである。たったこれくらいなのか、と思った。もちろん、それまで、100万円の札束など見たことはない。殴られたのであるから、公務執行妨害である。しかし、こちらから殴り返すわけにはいかない。未払いの是正を求めた上で、職場に戻った。
 21節 一回きりの人生 輝いて生きよう
 大野義文さん:1950年1月生まれ。1980.4〜2010.3退職まで、広島、山口、徳島、高知の監督署・局で勤務

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月刊『労働運動』(276号C-1)(2013/03/01)

■動労千葉第13期労働学校に集まろう

 《基礎講座カリキュラム》
◆開校式4/20(土)13:00

◆階級的団結論−労働者の生き方/講師 森尾誠(社会問題研究家) 4/20(土)13:30〜・5/18(土)13:00〜 「万国の労働者、団結せよ」は階級的団結論の核心だ。

◆どういう時代に生きているか−反原発と時代認識/講師 島崎光晴(経済問題研究家)
6/15(土)・7/20(土)各13:00〜
大恐慌と3・11情勢のなかでの新自由主義攻撃を打ち破る時代認識を提起。

◆資本主義とはどういう社会か/講師 鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授) 
8/17(土)・9/21(土)各13:00〜
大恐慌は資本主義の根本矛盾の爆発である。いまこそ体制変革が求められている。

◆戦後労働運動史 第1回・戦後の反合理化闘争 第2回・戦後労働運動史の中の動労千葉/講師 伊藤晃(日本近代史研究家)
10/19(土)・11/16(土)各13:00〜 戦後労働運動の中に動労千葉の闘いを位置づけた新たな提起。

◆労働組合と国家/講師 山崎一(社会問題研究者) 
12/21(土)・2014年1/18(土)各13:00〜 国家とは何か。労働組合の再建が求められている。

◆賃労働と資本−合理化といかに闘うか/講師 天野浩二(社会問題研究家) 2014年2/15(土)・3/15(土)各13:00〜
合理化とは何かをマルクス主義の立場から明らかにする。

◆修了式 2014年3/15(土)16:00〜
 《実践講座カリキュラム》
◆開校式5/25(土)13:00〜

◆10・1外注化攻撃と国鉄闘争全国運動/講師 長田敏之(動労千葉書記長)、増田明生4/28(土)13:30〜 動労千葉12年間の外注化阻止闘争の闘いの地平と国鉄闘争全国運動の展望。

◆反合・運転保安闘争で外注化を阻止しよう/講師 田中康宏(動労千葉委員長) 
6/22(土)13:00〜 新たな反合・運転保安闘争をいかにつくりだすか。

◆動労千葉の反合・運転保安闘争/講師 未定 8/24(土)13:00〜 

◆韓国民主労総の非正規職撤廃闘争/講師 金元重(千葉商科大学教授)
10/26(土)13:00〜 
民主労総の非正規職撤廃闘争の歴史と地平。

◆社会保障制度解体攻撃といかに闘うか/講師 山部明子(社会保障制度研究家) 12/28(土)13:00〜 社会保障制度解体―医療福祉の全面的民営化攻撃といかに闘うか。

◆改憲と裁判員制度/講師 高山俊吉(弁護士) 2014年2/22(土)13:00〜 
安倍政権の登場で強まる改憲攻撃。

◆修了式(基礎講座と共同)
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動労千葉労働学校 第12期労働学校日程

■基礎講座
 3月16日(土)13:00〜
 ◆合理化とは何か−賃労働と資本
 ◆講師 天野 浩二(社会問題研究家)
 新自由主義−合理化とは何か。どう闘うのか。労働運動の核心問題を明らかにする。
■場所  DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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月刊『労働運動』(276号D-1)(2013/03/01)

■読者のページ

●2月号『鈴コン分会闘争とは何か(上)』に感動 徳島労組交流センターA

2月の月刊労働運動。風邪でダウンしている間に、読みたいと思っていた鈴コンのインタビューを読みました。吸い込まれるようだった。
東京では、登場・即・絶対反対となってやっているんだぁ、と実感しました。
絶対反対≠ニは階級性を持ってやらないといかんということ。
今度の自分の30年ぶりの労組通告も、総評傘下の分会の復活じゃあない。ここの立場をハッキリさせるのが大事と思います。
……30年前に死んだはずの労組が、こんどは共産主義の妖怪とともに現れる。

 ●リアルな労働者職場漫画『とろける鉄工所』

 

東京 町支健一

最近、『自治労文芸』で選考委員の鎌田慧さんが投稿作品に職場小説がめっきり減ってきたということを言っていたが、もはや小説ではなく労働者職場漫画が主流である。
というわけで、漫画誌『イブニング』連載中の『とろける鉄工所』である。中小零細企業〈のろ鉄工〉を舞台に溶接工の三人(主人公で中堅の北さん、ベテランの小島さん、新人の吉っちゃん)を中心に中小企業工場労働者たちの、慢性的な長時間労働、頻発する労働災害、劣悪な作業環境などを背景にしながら労働者の日常生活が面白おかしく描かれてゆく。
しかし、この鉄工所は不況下においても仕事が毎日大量にあり、納期に追われているのは現実的にどうかとは思うし、なぜか賃金の話題が一切出てこないのはもっと不思議ではある。労働者それぞれの人生模様もありがちな設定で、元ヤクザあり、未婚の中高年あり、主人公の北さんはなんとか結婚にこぎつけたものの帰宅は毎日深夜で子供と話す時間もなしといった具合である。
鉄工所という、限られた職場の漫画であるが、そこに描かれる労働者の現状は現在の日本の労働者の典型である。特に他産業の労働者の組織対策の一参考にしてみてはいかがであろうか。内容は面白おかしく書かれてはいるが日本労働者の厳しい状況がリアルによく書かれている作品である。単行本は9巻まで発売中。

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月刊『労働運動』(276号E-1)(2013/03/01)

Photo Documennt 2013年1月〜2013年2月

 JR伯備線事故7周年弾劾! 外注化阻止!

1・19鳥取
鳥取県米子市文化ホールにおいて、JR伯備線触車死亡事故7周年弾劾・米子支社後藤総合車両所労災死亡事故2周年弾劾の国鉄集会が勝ちとられた。動労西日本、「共に闘う国労の会」を先頭に35人の闘う労働者が結集して、JR米子駅前の街頭宣伝と集会・デモを打ち抜いた。

 橋下打倒! 大幅賃下げ絶対反対!

1・31東京
自治労臨時大会初日、自治体労働者部会は、会場の千駄ヶ谷・日本青年館前に登場。大会代議員、傍聴者に、自治体丸ごと民営化・公務員大量解雇攻撃絶対反対の闘い、最大400万円に及ぶ退職手当の大幅削減と地方公務員本給の一律7・8%削減の大攻撃を粉砕する総決起態勢をつくりだそうと呼びかけた。

 千葉地裁包囲! 農地強奪攻撃粉砕!

2・18千葉
千葉地裁民事第3部で、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地裁判(行政訴訟と農地法裁判を併合)が開かれ、市東さん本人への尋問が行われた。反対同盟の呼びかけに応え、労働者・農民・学生・市民300人が全国から結集し、市東さんの「農地死守」の闘いに全力で連帯する一日行動が勝ちとられた。

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