「月刊労働運動」 2013年/10月/01日(No.283号 p29)

(*2011/08月号〜「月刊交流センター」より改題)

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(写真 「東京高裁・難波裁判長は解雇撤回の判決を出せ!」――動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の判決(25 日)を目前に控え、 動労千葉と国鉄闘争全国運動の呼びかけた総決起集会に1100 人が集まった【9月15 日 東京・代々木公園ケヤキ並木】)

◎労働者の目 今こそ闘う労働組合を全国の職場に! 4大産別を先頭に全力で11・3日比谷へ
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審 9・25 反動判決弾劾!
「解雇撤回」の最高裁署名を新たにスタートさせ、11 月労働者集会の大成功を勝ちとろう!  動労千葉委員長 田中康宏
「解雇撤回・JR復帰」に向けた最高裁署名運動が新たにスタート!
全国労組交流センター第26 回全国運営委員会を開催
新自由主義の大崩壊が始まった! 国鉄闘争を基軸に労働者の中へ猛然と入ろう! 辻川慎一 代表運営委員・動労水戸副委員長
首都圏闘う労働組合「生きさせろ!」会議(STRIKE)を結成  東京東部ユニオン 中村 満
11・3全国労働者集会の成功のために 関西生コン支部の闘いに学び、共に闘おう!
◎9月反動うち破り11・3集会組織化の先頭にたつ  国労秋田闘争団 小玉忠憲
◎徳島刑務所包囲デモ 430 人の集団面会¢蜷ャ功!  星野暁子
◎郵政民営化絶対反対・民営郵政とそれを支えるJP労組中央打倒
 新人事・給与制度、新一般職導入絶対反対JP労組第6回定期全国大会の3割反対票を現場から再組織しよう   全逓労働者部会
◎労働組合の団結で退職強要はねのけ職場復帰かちとる  関西合同労働組合・南大阪支部
ひめじょおん−女性部から ――10 万筆署名運動の力で11・3労働者集会1万人結集を勝ちとろう!
◎元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風=@第13 回 今こそ職場に団結を! 地域に連帯を!
◎戦後労働運動史の中から 第4 回 電産型賃金 伊藤 晃 日本近代史研究者
◎地平線―反戦共同行動委員会― ふくしま共同診療所報告会に参加して
◎10・20三里塚集会に集まろう!  ◎動労千葉労働学校日程 ◎マンガ 

月刊『労働運動』(283号1-1)(2013/10/01)

■労働者の目

今こそ闘う労働組合を全国の職場に!4大産別を先頭に 全力で11・3日比谷へ

二本柳 実 常任運営委員 教育労働者部会代表

 情勢は一変している。絶対反対を掲げて闘う者が勝利する時代が到来している。今こそ私たち労組交流センターが、闘う労働組合を全国の職場につくり出す責任勢力として躍り出るときだ。
 8月の4大産別の大会での激突が示したことは、新自由主義が社会を崩壊させ、すべてが限度を超えて進められていくことに対する労働者の根源的な怒りの爆発であると同時に、民営化・外注化、非正規職化を労使一体で進めてきた連合の労働者支配の瓦解である。
 事故が頻発しているJR北海道は、レールに異常があるのに社内規定で定められた期間を過ぎても補修していなかった箇所が267ヵ所に上ることを明らかにした(9月25日現在)。「特に財政的に余裕のないJR北海道では、現場の人手不足を補うのも困難」と報じられ、国土交通省すら「異常事態」「安全を軽視する企業体質に問題がある」と言わざるを得ない危機だ。ふざけるな! これが、国家が不当労働行為の上に強行した国鉄分割・民営化の結末であり、新自由主義政策がもたらした結果なのだ。
 今日の新自由主義・民営化の破綻情勢をつくり出してきたのが、国鉄1047名解雇撤回!民営化・外注化反対、非正規職撤廃を掲げて闘い続けてきた動労千葉を先頭とする国鉄闘争だということを私たちは確信をもって訴えなければならない。
 いま、私たちは、日本階級闘争の力関係を根底的に塗り替えることができる転換点≠ノ立っている。
 今日の資本主義体制の最大の危機は、国家財政の全面的な危機だ。公務員賃金7.8%削減は序の口に過ぎない。これまで金儲けの材料にすることができなかった公的部門の全面民営化、公務員労働者の総非正規職化が狙われているのだ。
 安倍は「戦略特区」で公設民営学校の解禁を決めた。公的部門は、教育や生活保護をはじめとして生活と命にかかわる部門だ。ここに支配の最大の矛盾がある。国鉄と公務員労働者の怒りと、4割に及ぶ非正規労働者の闘いが結合することができたら、それは革命情勢だ。
 職場の情勢を変えるのは、職場に絶対反対の闘いをつくり出すことだ。交流センター会員の決起とその決起をつくり出す地域交流センターの団結の力が問われているのだ。
 公務員労働者を先頭にすべての労働者が立ちあがり、社会を変える時代がやってきた。11・3労働者集会を、階級的労働運動の拠点建設と交流センター建設の一大飛躍点として総力決起で勝ちとろう!

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月刊『労働運動』(283号2-1)(2013/10/01)

動労千葉鉄建公団訴訟控訴審 9・25反動判決弾劾!

「解雇撤回」の最高裁署名を新たにスタートさせ、11月労働者集会の大成功を勝ちとろう!

動労千葉委員長 田中康宏

 9月25日に鉄建公団訴訟の東京高裁判決が出されました。一言で言えば反動判決です。でも、不当労働行為を認めざるを得ないところまで高裁を追い込みました。ここまで追い込んだら本当に勝ちきりたい。11月集会を出発点に、新しい闘争態勢をつくっていきたいと思っています。最高裁に向けた闘いに26年間の全てをかけて闘う決意です。
 東京高裁・難波判決は、満腔の怒りを込めて弾劾しなければいけないと思っています。なぜなら、ここまで真実が明らかになりながら「解雇撤回・JR復帰」を拒否した判決です。それだけで許せないし、そのことは絶対に譲っちゃいけない。
 しかし、国鉄分割・民営化そのものの矛盾が明らかになり、敵の側も困り果てて、判決はとにかく理屈も何もない、詭弁の連続になっています。

  10万筆署名運動の力が押し込んだ判決!

 この判決は第一に、一審と同様、「国鉄当局は動労千葉組合員を不利益に取り扱う目的・動機(不当労働行為意思)のもとに、不採用基準を作成し、名簿から組合員を外したこと」を明確に認定しました。これそのものは僕は大きな意味を持っていると思います。「国鉄当局としては、当初は原告らを含む動労千葉所属の組合員を基本的には採用候補者名簿に記載する方針で同名簿の作成準備を進めていたにもかかわらず、改革労協側の姿勢に触発されるなどして、国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に所属する職員を、そのような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して、不利益に取り扱う目的・動機(不当労働行為意思)のもとに本件名簿不記載基準を策定して、原告らに対して、これに従って、JR採用候補者名簿に記載しなかった」。判決はこういうふうに明確に認定しました。
 考えてみて下さい。あの「白石事件」が起こったり、この判決の直前には最高裁は国労秋田闘争団の小玉さんの事件について全部棄却する判決を出しています。これは難波に対して「動労千葉の申し立てを全面棄却しろ」という国家の意思だったわけです。これをはね返したのは動労千葉争議団、弁護団の闘いであり、国鉄闘争全国運動をはじめとしたみなさんの不眠不休の闘いです。そうした闘いがなければこういう判決が下りるはずがない。「4・9政治和解」を弾劾して立ち上がったことは本当に正しかったと確信を持ちました。
 しかも、もう一点、難波裁判長は国労の2005年9・15判決で、本州のJR不採用問題については、「停職6ヶ月か2回以上受けている者」、この不採用基準は合理的だと言って全面棄却した裁判官なんですよ。多少救われる可能性があると判断したのは北海道と九州だけだったんです。同じ裁判長にここまで言わせた。これは普通だったら考えられないことです。裁判長も同じで事件も同じ。だけど違う判決を出さざるを得ないところに運動の力で押し込んだんです。
(写真 難波反動判決を弾劾!【9月25日 東京高裁前】)

 国鉄改革法の破たん

 しかし、それにもかかわらず、「解雇撤回・JR復帰」を否定して500万円の慰謝料のみを命ずるという極めて政治的な反動判決です。不当労働行為が認定されたときには原職復帰以外にありません。しかしそうなっていない。
 その理屈は何なのか。「採用候補者名簿に記載されることがただちに同社に採用されることを意味するものではない」。だから慰謝料なんだと。だけど現実には採用候補者名簿に載ったものは全員採用されています。その矛盾を難波裁判長自身も感じているんでしょう。「JR各社は採用候補者名簿に記載された国鉄職員を全員採用したが、これは国鉄において本件基準に照らして採用することが不相応であると判断する職員を採用候補者名簿に記載しないとする方針の下に同名簿を作成していたことを前提としたものであり、その前提が違えば全員採用していたとは限らない可能性がある」んだと言っています。
 こういうのを理屈と言いますか? 国鉄が選別していなかったらJRが選別していた可能性があるんだということです。これを合理化するためになんと言ったか。「目的・動機は不当労働行為」だ、だけど「選別の基準そのものは不当労働行為じゃないんだ」と。労働組合を潰そうという意思のもとにやったことは不当労働行為だ、だけど作られた基準そのものは不当労働行為じゃなかったんだと言ってこういう判決を出した。どういう事かというと、JRは新しい会社で採用の自由があるから、JRがやれば不当労働行為じゃなかったんだということです。だけど国鉄が選別したのは不当労働行為でしょ? だったらJRが選別しようとそれは不当労働行為じゃないですか。だから何と言ったかというと、「本件不記載がなければ一審原告らがJR東日本に採用されていたはずであるとまでは認められないものの、本件の事実関係の下では、原告らが採用された可能性は相当程度にある」。だから「慰謝料なんだ」って。
 これは本当に反動判決ですよ。ここに表れているのは「不当労働行為は否定できなくなった。だけど国鉄改革法という枠組みだけは必死に護持しなければいけない」という意図です。これは難波裁判長の自己保身だと思います。難波は白石裁判長が左遷されたことを見ています。白石は「JR東日本に採用されたと言いうる」と判決を出しました。つまり国鉄改革法の枠を越えてしまった。難波はこの判決で「自分は国鉄改革法だけは絶対に守る」ということを表明しているんです。そういう自己保身のためだけでクビを切られて26年間闘ってきた者を扱うのかということを満腔の怒りを込めて弾劾したいと思います。
 本当に詭弁と矛盾に満ちた判決です。この判決が示しているものは、国鉄分割・民営化、国鉄改革法の破たんだと思います。闘いが切り開いたものが何だったのかということから見ると、争議団、弁護団、国鉄闘争全国運動が全力を尽くして闘い取った大きな成果です。
 もう一点。難波はこの判決の中で一切逃げたことがあります。僕らが新証拠として突きつけた井手正敬の文書(2000年9月1日の懇談会「国鉄改革前後の労務政策の内幕」)、これからは一切逃げました。不採用基準は単に国鉄が作ったわけではなく、井手と葛西がJR設立委員長の斉籐英四郎のところに足繁く通って、共謀して作ったということが明らかとなりました。「不当労働行為意思」は国鉄がもっていただけではなくJRももっていたということが書かれているわけです。今回の判決の全てがひっくり返る内容です。ここでひっくり返れば労働運動の歴史は変わります。だから思い切って闘う。26年間のすべてをかけて最高裁闘争に立ち上がりたいと思います。この思いで11月集会も成功させたい。

 JR北海道で起こったことは何か

 次に、JR北海道における安全崩壊の問題です。この問題を焦点に押し上げたい。9・25判決と安全の全面崩壊、これであらためて国鉄分割・民営化の一切を問い直す。そういう闘いを展開したいと思っています。
 新聞記者が今回の問題について、国鉄分割・民営化で十分な経営基盤がない北海道を切り離した点と今回の問題の関連性を官房長官に質問したそうです。官房長官は「JR九州、
四国、貨物会社はしっかり経営されている。人命に関わる極めて重大な問題を放置していることはあり得ない。北海道だけの問題だ」と答えたそうです。JR貨物がしっかり経営されているんですか? 26年間労働者の賃金を下げ続けて今はもうどうにもならなくなっているんですよ。
 さらにもう一点許せないのは、「JR北海道には複数の労働組合があって、その活動の影響で職場内の連携不足を招いていたことが今回の事態を引き起こした」と言っていることです。
 考えてみてください。JR北海道の労組の構成比率は、7000名あまりのうちの6000名弱がJR総連です。複数労組なんて冗談じゃないですよ。責任があるとすればJR総連にあります。労働組合に責任をなすりつける事で解決が付くはずもありません。ここに事態の深刻さが表れています。

 分割・民営化の行き着いた結果

 一言で言ってこの根本原因は、国鉄分割・民営化のツケがつもりつもって、すべてが崩れ落ちようとしていることにあります。
 線路の問題については、2007年の時点で3千数百ヵ所のレールに破断しかねない傷があったと言われています。それから5〜6年たっている。もうひとつ注目しているのは、石勝線の事故があって、国土交通省の事故調査委員会の報告が出たんですけれども、そのときに車輪に40センチの剥離があったと言われています。車輪の表面が薄くはがれてガタガタになる。そういうことだって「イロハのイ」が行われていたら絶対におこらないことです。列車の車輪は定期的に検査します。40センチの傷が出るまで何もしなかったということです。
 マスコミの論調は「ずさんな管理」です。しかし、「ずさんな管理」の問題じゃないんです。そもそも線路をなおすことも、車両をなおすこともできなくなっている。こうしたことを民営化で全部切り捨てた。北海道が切り捨てたのは本州の比ではありません。1万3000人いた社員がいまは7000人ですよ。記者会見でもわかりますが、本社は線路の状況なんかつかんでいない。誰がどこで何をやっているか全くわからなくなっている。民営化の結果全てが崩壊しています。

 労組破壊・人員削減・競争・外注化が極限に

 何故こんな事が起きたのか。北海道はそもそも民営化の時点で経営が成り立つはずがなかった。四国や九州の比じゃない。政府もこれはわかっていた。だから九州、四国、北海道に経営安定基金というものを積み立てた。1兆円ですよ。そのうち6800億円が北海道に充てられた。ここから運用利益が上がる。北海道はこれでも間に合わないから線路の3分の2を剥がしたんですよ。これでも経営が成り立つはずがないんです。当初はまだ利回りが良かったから経営安定基金からの年間の運用利益は500億円あった。いまは200億円ですよ。後は全部赤字なんです。だからとにかく人を削る。人を削るから仕事が出来なくなる。出来なくなるから外注化する。しかしそれもJRが責任を逃れるだけで、外注先にはもっと人がいなくて技術もない。当たり前じゃないですか。この悪循環です。インターネットに流れている情報では、時給750円の今日入った労働者が列車をなおしているというんですよ。これは必然です。民営化の結果、ここまできたということです。
 さらに、北海道の特殊な事情として、都市と都市を結ぶ航空路線との競争があります。だから常識では考えられないようなスピードアップが起こっている。成田エクスプレスが130`なんですが、北海道では20年とか25年前の車両が130`で走っている。だからエンジンから火を噴く、列車が燃えるんです。これが民営化なんです。尼崎事故以上の現実が起きています。千葉では2005年から2006年、レール破断に対して闘争しました。そうした闘いをやっていなかったら同じ事が起きていたかも知れません。
第6章国鉄分割・民営化に決着をつけよう
 北海道の問題は単純に安全の問題だけではなくて、分割・民営化の全面的破たんの問題を問い直す大きな課題として取り組まなければならないと思っています。
 JR北海道で起こっている問題と9・25反動判決は、我々に新たな闘いの手がかりを与え、我々の闘いが敵の核心をついていることの確信をもたらし、国鉄改革法を打破して国鉄分割・民営化に決着をつけることが出来る展望を示しました。
 反動の牙城、最高裁をうち破って絶対に解雇撤回を勝ちとる、その燃えるような確信で11月集会を組織することだと思います。
(9月27日の11・3全国労働者集会第2回実行委員会での発言を編集したものです)
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 動労千葉鉄建公団訴訟控訴審判決のポイント

◇一審と同様、国鉄当局は動労千葉組合員を不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に不採用基準を策定し、名簿から外したことを明確に認定した。
◇それにもかかわらず、「解雇撤回・JR復帰」を拒否し、500万円の慰謝料のみを命ずる政治的反動判決。
◇その論理は国鉄改革法を必死に護持しようとするものであり、それゆえ矛盾に満ちている。この判決が示したものは、国鉄分割・民営化−国鉄改革法の破たん。
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 最高裁で「倍返し」! 動労千葉争議団長・高石正博

 国労の裁判では本州の解雇者を全部切り捨てた難波裁判長でさえ不当労働行為を認めざるを得なかった。どうやっても動労千葉の解雇者を切って捨てることはできなかった。「解雇はやむなし」という形になっているけれどもかなり押し込んでいる。押し込んだ力は、みんなが毎日歩いて頑張ってくれた署名運動だということを争議団のみんなが思っています。この力をゆるめずに「倍返し」で闘っていこうと思っています。
 10月から物販で全国をまわりながら、「不当労働行為が認められたんだから当然職場復帰させろ」という闘いを展開していきたいと思います。(9月27日に行われた11・3全国労働者集会第2回実行委員会での発言を編集したものです)
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 「解雇自由」は許さない! 動労千葉争議団・中村 仁

 難波裁判長は不当労働行為を認めたけれども金銭で解決する判決を出しました。最高裁でも同じ判決だったらダメだと思うんですよ。いま、資本がやろうとしている「解雇自由」ということが最高裁判決によって確定してしまうということです。正しいということになってしまう。
 だからやっぱり力でこの判決をひっくり返して、不当労働行為による解雇は撤回させなければいけないんだという判決を出させなきゃいけないと思います。労働者の団結が出来たときにこれは勝ち取れると思っています。(9・25判決公判総括集会での発言です)
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 動労千葉の闘いで千葉支社管内160`のレール交換を実現

 2004年〜05年にかけて、JR千葉支社管内でも相次いでレールの破断が見つかった。
 「闘いなくして安全なし!」−動労千葉はただちに闘いに立ち上がった。ストライキで闘い、列車の最高速度を落として運転する闘争もやり抜いた。その結果、千葉支社管内で160qものレール交換を実現させた。
 JR北海道で起きている現実は、東日本でも同じだ。JR東日本も、利益優先に突っ走り、鉄道輸送の根幹をなす線路や保安装置、電車の保守・メンテナンス業務を全面的に外注化し、検査周期を延伸してきた。分割・民営化以降26年、会社は闘う労働組合つぶしに力を注ぎ込み、鉄道会社としての使命すら忘れ、安全を切り捨ててきた。その行き着いた先に相次ぐレール破断が起こったのだ。
 安全は崩壊すべくして崩壊したと言わざるをえない。この現実を変えることが出来るのは労働組合の闘いだ。動労千葉の闘いはそのことを示している。

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月刊『労働運動』(283号3-1)(2013/10/01)

「解雇撤回・JR復帰」に向けた最高裁署名運動が新たにスタート!

4万4327筆の力で不当労働行為を東京高裁に認定させました。署名へのご協力に心よりお礼申し上げます

2013年9月27日 国鉄闘争全国運動

 国鉄1047名解雇をめぐる動労千葉の鉄建公団訴訟控訴審判決が9月25日、東京高裁において出されました。難波裁判長は、1審における不当労働行為認定を覆すことはできず、「動労千葉を含む国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に属する職員を、このような労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益に取り扱う目的、動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿不記載基準を策定し(た)」(判決文)として不当労働行為を明確に認定しました。
地裁判決に続き高裁においても不当労働行為を認めさせたのは4万4327筆の署名の力です。5万に迫る「解雇撤回・JR復帰を求める要望書」を裁判所に4度にわたって提出し、「国鉄改革の真実」を暴き出し、広く社会に訴えたことが不当労働行為を認定させた大きな力です。1047名解雇をめぐる裁判において本当に大きな前進をかちとることができました。署名をお寄せいただいた全国の仲間に心から感謝を申し上げます。
不当労働行為を明確に認定させた以上、次は解雇撤回≠フ判決をかちとるべく全力を尽くします。最高裁宛ての「解雇撤回・JR復帰」10万人署名を直ちに開始します。高裁宛署名への大きなご支援に感謝するとともに、あらためて新たな署名運動へのご協力をお願いいたします。

 

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月刊『労働運動』(283号4-1)(2013/10/01)

9月反動うち破り11・3集会組織化の先頭にたつ

国労秋田闘争団 小玉忠憲

 最高裁は9月10日、私を原告とする不当解雇の撤回を求めた鉄道運輸機構訴訟に対して上告棄却の決定をしましたが、私と家族は、国鉄分割・民営化絶対反対! JR体制打倒! 不当労働行為責任の追及と解雇撤回へ不退転の決意で闘い抜くことを、ここにあらためてキッパリと宣言します。
 このかんの訴訟経過における各裁判所の判決たるや、原告のリアルな提起に何ひとつ答えることができず、その一字一句、誰一人、何ひとつ納得させうる内容を示すことが出来ないままの「政治的作文」たる判決を下してきたに過ぎません。
 密室で策定された不採用基準では「停職6ヵ月以上または2回以上」と言うが、そのままでは旧動労革マルも不採用となるため、この基準を設定した日から「3年以内に処分を受けた者(3年前すでに革マルは分割・民営化に賛成した)」に限定しているのです。そのため、同じ基準でも国労や動労千葉の活動家は不採用になり、革マルだけは全員がJRに採用され、職場で傍若無人に資本の先兵として立ち回り、あの「浦和事件」(革マルに従わない東労組組合員を包囲暴行して退職強要)にまで行き着いたのです。
 何よりも、3人に1人はクビだと言われ、1年間に200人もが自殺に追い込まれる職場状況の中で、組合からの脱退強要等「重い非違行為を繰り返している」のは私ではなく、当局の露骨極まる不当労働行為の連続であって、その是正を求めて闘うことは労働組合活動家として全く正当であり、処分そのものが違法・無効であることは明白なのです。
 すでに私は、2010年4月9日の「政治和解」(不当労働行為はなかった、責任者はいない、謝罪もしない、訴訟を取り下げ二度と争わない、それに合意すれば金をくれてやるというもの)を拒否した時点から、全人生をかけて体制内派をうち倒し、労働組合の階級性をよみがえらせ、その団結した力で勝利をもぎ取る決断をしています。
 今回の上告棄却は、動労千葉の9・25判決を意識したことは明らかですが、なによりも、国鉄を軸とする7〜8月闘争において、4大産別における地殻変動的階級情勢を私たちがついにつくり出した地平、反原発闘争と星野闘争の大前進、10万筆署名運動の着実な広がりに支配階級が追いつめられ、それゆえの絶望的に凶暴化した反動です。
 10月中旬に国労秋田闘争団と「ともに闘う秋田の会」は、労組交流センターの仲間を先頭に新たな闘争態勢の構築と総決起に向け、集会と駅前一周〜JR秋田支社抗議のデモ行進を行います。団結の拡大と国際連帯で国鉄闘争根絶攻撃をうち破り、支配階級をして震撼せしめようではありませんか! 「国鉄1047名解雇撤回! JRの業務外注化阻止! 安倍政権の改憲・TPP・民営化・解雇自由・非正規職化の攻撃とめろ!」の旗を掲げ、青年労働者を組織して、11・3全国労働者総決起集会の大結集を勝ちとりましょう!

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月刊『労働運動』(283号5-1)(2013/10/01)

徳島刑務所包囲デモ

430人の集団面会¢蜷ャ功!

星野 暁子

 労組交流センターのみなさん、9月8日の徳島刑務所包囲デモへの参加、ありがとうございました。ともに一体で取り組めたことを本当にうれしく思っています。
 当日は雨天の予報が伝えられたにもかかわらず、曇り空でデモには最高の天気になりました。空港や徳島駅から希望バス≠ナ集まった430人は、鮎喰川河川敷で集会を持ちました。私からは「人間が人間らしく生きられる社会をつくる生き方と暁子との愛、みんなとの団結があればどんな攻撃も粉砕して世の中を変えられる」という文昭の言葉を伝え、「文昭の勝ち抜いてきた地平をみんなのものに」と訴えました。そして、猛暑の中で体を拭くのに「予算がない」と言って、洗面器一杯の水すら使わせない刑務所を弾劾しました。
 労組交流センター代表の辻川慎一さんは「労働者階級の生きるための闘いで、アメリカもイギリスもシリアへの侵略戦争を開始できないところへ追いつめられている。暁子さんと毎日毎日、この帝国主義と39年間、最先頭で闘い抜いてきたのは星野さんです。動労水戸は、フクシマの怒りと一体で、来年の3・11に向かって絶対非妥協に闘い抜く」と提起しました。
 集会の後、徳島刑務所に向かうデモに出発。「扇風機入れろ」「上の窓開けろ」「ぬれたタオルで身体を拭かせろ」「受刑者は人間だ! 人間として対応しろ」全員の必死のコールが続きました。「外注化阻止!」「沖縄とともに闘うぞ!」「フクシマとともに闘うぞ!」「怒りをひとつに闘うぞ!」も一体に叫びました。星野文昭という獄中39年になる人間を取り戻す闘いであるとともに、そのことが全労働者人民の闘いにつながることを示せたことがよかったと思います。
 デモ隊は、機動隊の妨害をはね返して、坂道を登り、刑務所正門に到着。「星野さんに会いにきたぞ!」―感極まる中、文昭の大好きな「釜山港へ帰れ」を全員で合唱しました。泣きながら歌っていた人が何人もいました。
 翌日、20人の差し入れ行動に参加した人に送られ、みんなから預かった大きな花束を持って面会しました。文昭は「すばらしい!」と喜びました。そして「みんなの声聞こえたよ。ヘリコプターが飛んでいて、聞き取りにくかったけど、30分ぐらい聞こえた。女性の透き通った声がリードして『星野さんをかえせ』と言っていた。歌も聞こえたよ。特に『トラワヨ(帰れ)』というのがはっきり聞こえた。今回は余裕を持って、ひとりひとりの顔を思い浮かべながら聞くことができた。心から一体感を感じることができたよ」と。
 獄壁を打ち破る感動的な闘いで、心をひとつにして団結をうち固めることができました。この力で11・3労働者集会、12・1星野全国集会の成功を勝ち取り、星野文昭を取り戻しましょう。
(写真 星野さんに会いに来たぞ」。徳島刑務所正門前に到着したデモ隊【9月8日】)

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月刊『労働運動』(283号6-1)(2013/10/01)

全国労組交流センター第26回全国運営委員会を開催

新自由主義の大崩壊が始まった!

国鉄闘争を基軸に労働者の中へ猛然と入ろう!

辻川慎一 代表運営委員・動労水戸副委員長

 9月7日、全国労組交流センター第26回全国運営委員会を徳島で開催しました。
 提起と討論を通して、7〜8月に起こった労働者の決起の核心、9・25判決から11・3労働者集会の闘いの重要性、そして来年3・11闘争に向かう決戦の大きさについて一致しました。以下、辻川慎一代表運営委員(動労水戸副委員長)の提起を掲載します。

 労働運動の地殻変動が起きている

 いま、世界と日本の階級闘争において、かつてない地殻変動が起きていることをつかみ取ることが重要です。
 1980年代ぐらいから続いてきた新自由主義政策が大破綻している。特にこの間の事件では、アメリカ帝国主義がシリア侵略戦争を強行することができない。これはかつてなかったことです。アメリカ社会そのものが崩壊していて、「何が戦争だ!」「もうだまされないぞ」という労働者民衆の怒りが高まっている。アメリカの議員が急に心優しくなって戦争に反対しているというんじゃないんですね。彼らが戦争に賛成したら自分たちが打倒されるという事態に入っている。このまま搾取と戦争を続けた場合に、支配階級の側が間違いなく打倒されるという局面に入っているということだと思います。
 日本階級闘争においても、動労千葉の外注化阻止闘争が爆発して、今年の4・26自治労ストにつながった。自治体労働者がもう我慢できないと立ち上がった。ストライキがやれたかやれなかったかの問題ではなく、現場労働者の反乱がついに巻き起こった。それから5・1メーデーで、動労千葉を先頭にして、ものすごい怒りでJR貨物の賃下げ攻撃を阻止した。
 そして7月の参議院選挙がありました。あの参院選で進行したことは、連合の崩壊です。連合支配の崩壊と一言で言っても、総評から連合に移った一応カッコ付き「戦闘的組合」が崩壊したということなんです。労働者階級が自分自身の力で、最大の漆黒である体制内指導部をぶっ飛ばしたということが決定的です。彼らは表面的には戦闘的装いをとりながら労働者の根本的怒りや感性を押しつぶし、闘いをカネやモノと引き替えることによって労働者の根底的決起を押さえつけてきました。国鉄分割・民営化との闘いの中で僕らがつかんだことは、体制内指導部こそが労働者の戦闘性や自己解放性を押さえつけてきたんだということです。この連中は警察権力ともつながっている。国家権力や資本とつながってそこから情報を得ること、その情報で労働者を支配してきたのが体制内指導部です。
 国鉄分割・民営化から26年、今そのことが全階級的に明らかになりはじめた。反原発闘争でも同じです。原発事故は収束していないどころか日々自然と人間を破壊している。オリンピック招致の安倍発言に福島の人たちは本当に怒っている。安倍は「東京は安全だ」と言う。じゃあ福島は危ないんだろう!ってね。オリンピックをやっている場合かって。ふざけるなってね。自分たちが引き起こしたことをなかったことにして福島を切り捨てていく。冗談じゃない。こうした労働者を立ち上がらせない構造が2013年決戦の中で明らかになったということなんです。
(写真 情勢と方針を意思一致した全国労組交流センター第26回全国運営委員会【9月7日 徳島】)

 国鉄先頭に11月集会の組織化を

 国鉄闘争においても決定的なことが起こっています。動労水戸の被曝労働拒否の闘いに郡山工場の国労の労働者が反応した。郡山の方がK544より線量が高いことはわかっている。しかし、郡山の労働者は闘いに立ち上がった。「動労水戸が2年間止めた被曝車両の検修を俺たちにやらせるのか」ってね。国労の組合員が本来持っている戦闘性や階級性に火がついた。その瞬間に国労の「学校政治」、革同だとか社民だとかの支配は関係なくなった。要するに現場組合員自身の闘いになったということです。闘いの過程で国労組合員がドンドン変わっていった。内部被曝問題についても、当局と論争している間に「この闘いは被曝を労働者に平気で強制するJRとの闘いなんだ」ということをつかんだ。いまは平成採の獲得をめぐって真剣な議論をやっています。やっぱり国労の戦闘性はすごいということをあらためて感じました。
 国労という労働組合で「学校政治」が打ち破られたことはものすごく歴史的なことなんです。各産別大会でもこれまでの執行部が否認されている。自分たちをしばっていたものを、労働者階級自身が労働組合という水路を通してぶっ飛ばしはじめた。既成指導部がもう通用しなくなったということはすごいことです。我々はまだ少数だけれども確実に敵にものすごい打撃を与えながら進んでいます。
日本労働者階級がものすごく流動化していることに対して僕たちは国鉄闘争を基軸に、全逓、自治体、教労、医療、合同労組含めてもっと労働者の中に入っていくことだと思う。9・25判決がどうなろうと、今度は最高裁に向けて署名を集め、11月集会の組織化に猛然と入ることです。

 3・11で福島の怒りを解き放とう

 そして来年3月は福島をめぐる大攻防に突入する。原発と被曝労働に絶対反対で闘う者をぶっ潰す構造に勝ちきって今年の3・11闘争を成功させました。勝ちきったところで動労水戸の闘いと国労郡山工場支部の闘いが爆発している。この切り開いた地平の上で3年目の3・11の闘いを構えたい。自分たちも常磐線の竜田延伸絶対反対・福島切り捨て絶対反対の闘いをやりたいと思います。
 きたるべき情勢に見合った勝負をできるような力をこの秋の闘いの中で獲得するということが重要です。従来の延長ではなくて、我が身の生命力をかけて、この時代に対して乗り出していくことが本当に必要じゃないかと思います。ともに頑張りましょう。

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月刊『労働運動』(283号7-1)(2013/10/01)

郵政民営化絶対反対・民営郵政とそれを支えるJP労組中央打倒

新人事・給与制度、新一般職導入絶対反対

JP労組第6回定期全国大会の3割反対票を現場から再組織しよう

全逓労働者部会

 労働者の意識の変化を見逃さない 

JP労組第6回定期全国大会において、本部方針に反対票が3割となる画期的事態となりました。この3割の反対票の背景には、現場で苦闘する全国の組合員の怒りの表れがあります。そして労働者の意識の変化があります。
 大恐慌情勢下における3・11大震災と福島原発事故、民主党・連合政権(当時)のデタラメ、自民党・安倍政権の原発再稼働政策と原発輸出、改憲策動、新自由主義政策の促進、一方で汚染水の垂れ流しの現実。こうした情勢の中で、労働者の意識の変化、流動化があります。そして、何が良くて何が悪いのか考えて行動を開始しています。
(写真 全国から駆けつけた青年労働者を先頭にJP労組大会会場を包囲するデモ【8月20日 長野市】)

 JP労組大会の3割反対の中身を見る 

 職場においてはどうか。参院選において、東京では、職場で山本太郎さんの勝利が訴えられました。職場の反応は、「さだみつではなく山本太郎だ!」でした。マスコミの「自民圧勝」の報道に意気消沈するムードは無かったし、「山本太郎よくぞ勝った!」でした。その勝利を伝える「前進」も職場で読まれました。A局では、動労千葉物販と10万筆署名を引き受けて自分の班で、断られながらも拡大してくれた仲間が登場しました。さらに、「国鉄闘争はまだやっているのか。途中で死んだ人もいるのではないか。解雇撤回は当然だ」と続々と10万筆署名に応じています。この職場の労働者の意識の変化こそ、JP労組大会3割反対票の中身であり、連合支配の崩壊の始まりであります。
(写真 大会初日朝、会場前で代議員に「新一般職に反対しましょう」と訴え、ビラやパンフを配布した)

 職場の現状を見る 

 さらに職場の現状はどうか。「郵政ビジョン2021」合理化施策の推進、人事交流、DOSS(集配業務支援システム)の導入で携帯端末に支配される毎日。圧倒的な人員不足の中で超勤が常態化しています。全国大会で、人員不足の要因として、本部は「行き過ぎた非正規職化がある」と答弁しています。ふざけるな! さらにJP労組大会直後の新人事・給与制度の当局の業研、DOSSの完全入力と業績手当はイコールと認識し始めました。(「数字を打ち込めばカネになる。仕事はやっていようがやっていまいが完全入力のほうが先だ」というように)。
 そして、JP労組本部は新一般職について、「限定正社員ではありません」と言っていますが、月給制契約社員の仲間は、「限定正社員になるために頑張ってきたわけではない。本当の正社員にしろ」という怒りもあります。

  職場の支部執行部、分会の現状 

 圧倒的多くの職場では全国大会に向けての職場集会も開催されていません。支部委員会も開催できない。分会体制が確立できていない。全国大会に向けた支部見解も現場には知らされていない。支部大会議案も組合掲示板に貼ってあるだけ。連合支配の崩壊の始まりは、職場において、組合機能の崩壊となってあらわれています。「シャワールームはカビだらけ。トイレは悪臭が漂っている」という声も聞きます。安全衛生委員会も機能してない。そもそもJP労組本部の方針は現場で闘わないことが前提になっています。すべてが事後対処方式です。当然当局の支配権は強まります。「とりあえずやらせてもらいます」が当局の決まり文句です。

 全逓部会、各地区交流センターの

団結で連合支配の崩壊をチャンスに 
 闘う支部執行部、闘う分会体制の確立がまったなしです。過密労働、労働強化のなかで、職場における日常活動を保証するものは、全逓部会の団結と地区交流センターの団結強化にあります。この団結で、全体情勢、全国大会情勢、職場の労働者の意識の現状を分析し、日々の職場の攻防の中から、新人事・給与制度、新一般職導入絶対反対の路線の深化を勝ち取ろう。こうした闘いは、支部大会攻防から始まっています。
 我々は、郵政民営化絶対反対を掲げて職場に屹立し、登場してきました。郵政民営化絶対反対の路線は、職場の七転八倒の実践をとおして現場の労働者の目の前で展開されてきて、ようやく認知され、「体制内派」の重圧から引きはがされていた仲間を迎えつつあります。多くの職場で、現在の「体制内派」は、過去に「社会主義」を標榜していたような諸党派の残党ではなく、その指導下にあった支部執行部、分会体制であります。現在の「体制内派」は、連合JP中央の指導下にあり、最後の一線は、交流センター派の排除=役員にさせないところにあります。この一線を越える闘い(現場の組織化、交流センター会員への獲得も含めて)を準備することを明確にしなくては、連合支配の崩壊を黙って見過ごすことになります。そして、我々自身が現場の労働者に打倒される位置にあるということを肝に銘じなければなりません。
 具体的方針は、日々の職場攻防の中から、職場の労働者の思いをひとつにまとめ上げて、行動にまで高めていくことであると思います。職場集会の開催は有効です。そうしたことも含めて、職場の組合員との討論が力になっていくと思います。
 全国で郵政民営化絶対反対、民営郵政とそれを支えるJP労組中央打倒を掲げて闘う拠点分会、拠点支部建設を見据えて2013年後半戦を闘いぬき、郵政非正規ユニオンの仲間ともに、11・3労働者集会に全国から職場の仲間とともに集まろう!

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月刊『労働運動』(283号8-1)(2013/10/01)

■闘う合同・一般労組

労働組合の団結で退職強要はねのけ職場復帰かちとる

関西合同労働組合・南大阪支部

 過酷な労働で退職強要

 A分会は労働相談から生まれた1人分会である。A資本は理化学機械器具、医療機械器具等の販売会社。本社は関東にあり、当該のMさんはその西日本販売部に2004年営業部次長として入社。入社まもなく西日本販売部の営業部員がMさん以外全員退職。「オーナー」と呼ばれている会長=親会社の社長とのトラブルが原因であると思われる。そこで、「出向」ではなく「兼務」という形で親会社の営業社員がA社に入ってくる。このやり方自体が大問題である。Mさん以外の営業社員はほぼ全員が親会社の社員であるという状況になってしまう。ここからMさんへの陰湿なイジメが始まっていく。 
 2007年、Mさんは血栓を患い1ヵ月入院。退院後、「営業成果が少ないから」という理由で次長から課長に降格。2008年うつ病を発症し3〜4ヵ月休職。休職を終えて職場に復帰すると、@東日本販売部への転勤、A自己退職、B親会社の商品管理部からの委託業務への配転、この3つのいずれかを選択しろと強要され、MさんはやむなくBの親会社の委託業務への配転を選択。しかし、その仕事は元の仕事とはまったく無関係の親会社の商品を取引先に運搬するトラックの運転手(商品配送業務)であった。営業部次長として入社したMさんがわずか4年でまったく別の業種であるトラック配送業務に追いやられたのである。しかも、この過程に一切、辞令なるものは出されていない。すべてパソコンへのメール1本で強行された。これは、Mさんに対する露骨な退職強要である。Mさんをいじめて退職させるためにだけ、これまで運送会社に外注してきた仕事をとりやめてMさんに押しつけたのである。
 このトラック配送業務は、過酷きわまりない労働であった。朝6時に京都の営業センターに出社し、そこで荷物を積み込み、大阪・神戸の受注先を回って次々と商品をおろし、修理品などを積み込み、京都営業所に帰社するのは19時以降である。就業規則で定められた労働時間は9時〜18時であるから、毎日4時間を超える残業だ。これに割増どころか賃金そのものが支払われていないのだ。月80時間という厚労省が示す過労死ラインを超える月がほとんどである。しかも36協定すら締結していない違法状態が長年にわたって横行してきたのである。さらに、就業規則には「残業は所属長の許可を受けなければおこなってはならない」という一文があり、自己申告し、上司の許可を得ないかぎりすべてサービス残業になるのだ。こういう過酷な労働に耐えぬき、Mさんは「絶対に辞めるものか」と頑張ってきた。うつ病治療中であるにもかかわらず、翌朝起床できないから睡眠導入剤の服薬も減らして日々の労働に従事してきたのである。

 「絶対に辞めない」闘いの勝利

 4・23−5・17−6・26−7・30と団体交渉を4回重ねた。その結果、@団交開始以降、残業割増賃金をきっちりと支払わせている。A過去の未払い賃金を組合の請求どおりの残業時間があったものとして全額支払うことを確約させた。その際、時効消滅の問題が発生するので、Mさんが組合に加入した3月30日から2年さかのぼり、2011年3月30日以降、現在にいたるまでの未払い賃金をすべて支払うということで合意した。B36協定を締結させた。C8月1日付をもって、Mさんの営業部への復帰をかちとった。
 勝利をかちとったものは何か。第1に、何よりもMさんの長年の闘いが切り拓いた勝利である。どんな過酷な労働にもパワハラにも屈することなく、病気をかかえながら文字どおり命をけずって「絶対に辞めない」と働き続けてきたことが、資本の意図を根底のところで粉砕したのである。第2に、このMさんの闘いと関西合同労組の路線ががっちりと一致・結合し、すさまじい脅威を資本に与えたことである。われわれは、Mさんからの労働相談を受け、闘いを開始するにあたり、従来の労働相談型のあり方を乗り越えたいと強く思い、それを目指して闘った。一言で言えば、絶対反対・階級的団結のわれわれの路線を労働相談型の闘いにおいて全面的に実践するということである。自分と自分の家族のためにではなく、階級のために闘うということでの一致である。実践の中でMさんが関西合同労組のこの路線をつかみ、労組活動家となっていく。そこを闘いの一切の土台にすえて目的意識をもって闘ってきた。そして、そのために関西合同労組南大阪支部だけではなく、大阪労組交流センターの同志たちが共に討論し、共に団交などを闘ったのである。

 団結の拡大で解雇攻撃と闘う

 闘いは第2ラウンドに突入している。営業に復帰させたことは、新たな攻撃でもある。Mさんを孤立させ退職に追い込む攻撃は現在進行形である。Mさんひとりだけに「朝礼に出なくていい」と命令し、定時の18時になったら上司でもなんでもない同僚に「定時ですので帰ってください。」と言わせる。Mさんに秘密裏に営業会議を行う。Mさんの営業エリアを遠く離れた和歌山にする等々の攻撃である。
 もっとも考えられるのは、A社西日本販売部の閉鎖による解雇攻撃である。西日本販売部のほとんどは親会社の社員である。西日本販売部直属の労働者はMさん以外には営業に1人、技術に1人、事務に1人計3人だけだ。この3人は親会社に吸収し、Mさんには例えば東日本販売部への転勤命令を出し、応じなければ解雇という形であろう。A社西日本販売部は、ほとんど親会社のダミーである。西日本販売部長は親会社の社員であり、A社の仕事はほとんどせず、親会社の営業に走り回っている。営業日報はパソコン入力であるが、Mさんの入力した日報は親会社の社員は見ることができても、A社の本社や西日本販売部からは見ることができない。Mさんも西日本販売部の情報にアクセスできない。まったく法人格が否認される事態にすでになっているのである。
 @現在進行している攻撃を不当労働行為として粉砕すること。A営業職場の一人一人が日々競争させられる労働のあり方を根底からひっくり返す。インチキきわまりない人事査定・評価制度を粉砕する闘いから開始する。B親会社を攻めていくという戦略的な方向性をもつこと。親会社の労働者をなんとしても獲得する。この人々はひどい例では23時までサービス残業をさせられているのだ。ここで組織拡大し、親会社をターゲットにして闘っていきたい。

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月刊『労働運動』(283号9-1)(2013/10/01)

新たな労働運動をつくりだそう!

首都圏闘う労働組合「生きさせろ!」会議(STRIKE)を結成

東京東部ユニオン 中村 満

 9月16日、首都圏で闘う労働組合の復権を目指して「首都圏闘う労働組合『生きさせろ!』会議(略称:STRIKE)」が結成されました。
 この間、「首都圏青年集会実行委員会」と、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会を中心にした「首都圏広域労働組合連絡会」が合流して、数回の学習会を持ちました。団結の拡大を総括軸にして闘っている青年と、職場に労働組合を作って資本と激突している仲間が、お互いの闘いの経験を共有することで、新たな労働運動を作っていこうという目的で、学習会が始められました。
 今回、この学習会をベースにして、東京労働組合交流センターの労働学校という性格を合わせ持ったものとして「STRIKE」が発足しました。動労千葉労働学校ともタイアップして、職場闘争の実践を通した、生きたマルクス主義を体得しようという、意欲的な取り組みです。
 資本による絶望的でデタラメな新自由主義攻撃に対して、一歩も引くことなく「絶対反対」を掲げて職場で闘うことを通して、私たちは、新自由主義攻撃は労働組合が協力しなければ一ミリも貫徹できず、労働組合が絶対反対で立ちはだかれば、そのペテン性と矛盾は一瞬にして暴かれ破産するということを、動労千葉を先頭に首都圏の無数の職場の実践の中で切り開いてきました。資本と非和解的な職場闘争を闘い抜き、組織拡大を勝ち取ることの中に労働者の未来があることをはっきりさせ、「絶対反対」の闘いを拡大するために、お互いの闘いの前進や壁、教訓を全体で共有していく必要があります。
(写真 解雇撤回! 非正規職撤廃!を掲げてデモする東京の労働者【9月15日 渋谷】)

 「STRIKE」が目指すもの

1 討論を通して明らかになったことは、いかにして団結の拡大を勝ち取るかということです。
 職場で新たに労働組合を結成して闘っている仲間。既存の体制内組合と熾烈な攻防を展開している仲間。一人で資本の攻撃と対決している仲間。それぞれの闘いが、多くの教訓に満ちています。会社に盾突く者には仕事を干して賃金を下げる、遠隔地に配転する、「追い出し部屋」に隔離するなどさまざまな攻撃がかけられます。資本は、労働者に差別・分断を持ちこむことで労働者の団結を破壊して、資本の専制支配を貫こうとします。分断攻撃をはね返して団結を維持・拡大するためには大きな努力が必要です。
 自分の職場の問題は自分ひとりだけの問題ではない、職場のみんなの問題であり、職場を越えた労働者階級全体の課題なんだというとらえ方が重要になってきます。どんな小さなことでも、それを職場の仲間を組織していく問題として位置づけ、職場全体を獲得していく運動にしていくという視点が大切です。
 職場闘争を軸にしながら、裁判や労働委員会も駆使して、資本が嫌がることを何でもやる。目的意識的にストライキを構えて、貫徹することで労働者の団結を強化し、団結を職場・地域に拡大していく。動労千葉・動労水戸の闘争報告や会議に参加した仲間からの発言で、私たちの闘いの目指すべき方向が鮮明になりました。

2 「絶対反対」を貫く闘いは、資本と非和解であり、根源にせまる闘いである以上、資本との激突、体制内組合との激突は不可避となります。「闘っても勝てない」「三十六計逃げるにしかず」と言って資本との激突を避けてきた既存の労働運動との対決になります。課題が根源的であればあるほど、闘いは非和解となります。
 新自由主義は一方に膨大な失業者と貧困を生み出し、他方に「過労死」を生み出しています。若者を非正規雇用に追いやり、貧困を強制し、やっと正社員になっても死ぬまでこき使われる。ワタミに就職した女性労働者が「だれか助けて」と手帳に書き残して自死した現実、「なんちゃって正社員」「ブラック企業」という言葉がまかり通っている現状は、なんとしても覆さなければなりません。
 その責任の一端は労働組合にもあります。労働基準法36条は、あくまで残業は例外規定であって、労働組合と協定を結んだ限りにおいて例外を認めるという条項です。ところが現実は、労働組合が月200時間という36協定を結んで平気でいたり、「過労死」を会社と一体になってもみ消しています。JR総連やJP労組のように、労働組合が率先して「限定正社員」という低賃金・無権利労働者を作り出そうとしています。あたかも労働者の立場に立っているかのように見せかけて、実は資本にはストレートに出来ないような攻撃を、資本に代わって労働者に押し付けているのが体制内労働組合です。

3 かつてエンゲルスは「イギリスにおける労働者階級の状態」の中で、自由主義段階における資本の搾取を描きました。労働者階級の寿命が縮まってしまい、労働力の再生産がままならなくなっても、資本はその価値増殖運動をやめることはありません。いま眼前で繰り広げられる新自由主義攻撃は、最末期の資本主義の断末魔のあがきにほかなりません。血塗られた「資本」という怪物は、労働者の生き血を吸って肥え太り、いま全社会の富をすべて喰らいつくそうとしています。

 労働者は「争議権」という権利があるから闘うのではありません。生きるために資本と闘うのです。昔も今も、どんなに弾圧されても労働者階級は、自らの解放をかけて闘いに起ちあがってきました。労働者階級がもつ根底性と戦闘性を、いまこそ私たちの手で復権させましょう。

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月刊『労働運動』(283号A-1)(2013/10/01)

11・3全国労働者集会の成功のために

関西生コン支部の闘いに学び、共に闘おう!

 11・3全国労働者集会の呼びかけ団体である関西生コン支部の闘いを紹介します。
 その闘いに学び、共に闘い、11・3集会の大結集を実現しましょう。

 【1】関西生コン支部の歴史と闘い

(1)生コン産業の労働者は、戦後、奴隷的な労働条件で働かされていました。365日のうち3日しか休みがない。所定労働時間が月210時間、その上に残業だけで250〜300時間もあったのです。関西生コン支部の闘いを通して、現在は年間所得が800万円、年間の休日が125日という地平を獲得しています。
(2)生コン業界は、大手セメントメーカーがあり、その下に中小零細の下請け、孫請け企業があります。関西生コン支部の労働者は、生コンを運ぶ、中小零細企業の本勤、日々雇用、傭車(自分で車を持っていて、仕事がある時に行く)の労働者です。
(3)関西生コン支部の闘いの歴史
 関西生コン支部は、1965年10月に結成されました。産業別労働組合で、5つの分会、180人でスタートし、すでに48年の歴史があります。大手セメントメーカーと非和解で闘い抜き、労働組合の団結した力で、中小企業を協同組合に組織して、大手資本に立ち向かい、勝利してきた歴史でした。
 1973年から、企業の枠を超えた集団交渉を実現し、経営者も100人前後、労働者も150〜200人のマンモス交渉をやり、ストライキも闘ってきました。最初から横断賃金、一律賃上げを要求して勝ちとり、残業も規制してきたのです。国際連帯闘争を貫き、マルクス主義を学び、権力弾圧、ヤクザとの闘いに勝利してきた労働組合です。
 1970年代に組織を拡大しました。建設・生コン業界は構造不況で、そのため反独占の産業政策を打ち出したのです。日本の産業構造は99.7%が中小企業、0.3%が大企業で、下請け、孫請けを重層支配で分断しています。だから多数を団結させていけば、少数の独占を追い込むことができるという政策です。中小企業を協同組合に結集させ、競争しない仕組みをつくるために売り手である協同組合の窓口を一本にしたのです。中小企業の協同組合と労働組合が連携して、大企業と対等取引をするシステムをつくり、産業民主化を図ったのです
 その中で、生活最低保障制度を実現させています。残業しなくても50時間は会社が保障する仕組みです。さらに、優先雇用協定を締結させています。本勤も日々雇いも労働組合が推薦する人でなければ使ってはならないという制度です。そして1973年には、背景資本に対する取り組みを行い、裁判でも闘い、大衆闘争でも追及して成果をあげています。
(4)1980年代に、関西における運動が飛躍的に発展。構造改善事業に「雇用を第一義とする」という雇用協定をつくらせたのです。350〜400人のマンモス集団交渉で、退職金、賃金、さらにセメントの値段、売り価格、投資計画まで規制するのです。当時の日経連会長の大槻文平に「資本主義の根幹に触れる運動だ」と言わせた闘いです。
 そのため、80年代に関西生コン支部に対する国家権力の総力をあげた攻撃がかけられたのです。しかし、弾圧で権力の本質が見え、仲間が鍛えられ、80〜82年のわずか2年間で2500人も組織が拡大し、3500人を超したのです。生コン業界だけでなく、タクシー、バス、トラック、清掃、ダンプなどあらゆるところに組織が拡大しました。
 この時、権力と一体となって共産党によるでっち上げ弾圧がかけられたのです。関西生コンにいた500人の共産党員のうち99%が共産党を辞めたのです。大量逮捕され、弾圧の過程で、獲得してきた制度が全部破壊されてしまったのです。
 弾圧後に再度、協同組合の組織化にも取り組みました。さらに、セメントメーカーに乗っ取られた協同組合はつぶしてしまうのです。協同組合とは、「一面共闘・一面闘争」の立場で闘ってきたからです。大企業との対決では「一面共闘」、しかし労働者として中小資本とは「一面闘争」なのです。2〜3年かけて集団交渉を再度実現してきたのです。
 さらに工場の政策淘汰方式を実現しています。自由競争をして企業が雇用保障せずにつぶれていく自然淘汰に対して、労働組合が関与権を持って、条件が整った場合は閉鎖を認めるのです。しかし個社がつぶれてもその産業に雇用責任を連帯してとらせるのです。
(5)1990年バブルが崩壊した時、関西の生コンは51社つぶれましたが、この時に2万5300円もの賃上げをかちとっています。さらに、91年は3万5000円、92年も3万5000円の賃上げをかちとっているのです。
 なぜ不況に強いのか。「不況の時は資本の力が弱まっている」という立場に立つからです。資本と労働の力とは何か。労資の力関係は相対的であるとみているからです。しかも不況になると下請け、孫請けに犠牲を転嫁してくるので、「これがチャンスで労働者が団結する条件を相手が与えてくれている」と捉えるのです。
(6)2004年に関西生コン支部は、関西の生コン業界で協同組合に入っていない中小企業への加入促進を呼びかけたのです。「対話と圧力」です。そして、04年に、セメントメーカーと建交労が一体となって関西生コン支部への弾圧をかけてきたのです。武委員長は1年2ヶ月も勾留され、その後07年までに5次に渡る弾圧があったのです。
(7)2010年7月2日から10月まで139日間の産業ゼネストを打ち抜きました。その後、組織拡大を実現し、組合員は3500人を超えるまでに拡大しています。
 社会資本産業政策協議会もつくり、中小企業と一緒になった研究会を行っています。独占禁止法違反で、セメントメーカーの値上げを認めさせない仕組みをつくり、国と公正取引委員会に要求し、2010年も11年も値上げをゼロにしたのです。
(8)2009年には一律1万5000円の賃上げをさせ、2011年は、「3・11」があり、1人当たり7000円(年間約10万円)の賃上げを勝ちとり、被災地に全額カンパしています。6月から5人ずつ現地にも行っているのです。
(写真 春闘勝利へ! ミキサー車を連ねデモする関西生コン支部)

 【2】関西生コン支部の労働運動と武建一委員長の提起(「武建一 労働者の未来を語る」より)

(1)武委員長は、徳之島に生まれ、「人の痛みを己の痛みとする」生き方、闘い方をし、マルクスを学んできた、闘う労働運動の指導者です。
(2)彼が日本労働運動の再生のために提起していることは以下のことです。@時代認識を明確にし、労働組合の確信にすること。A労働組合の基本任務は、経済闘争、政治闘争、思想闘争を三位一体で闘うこと。B労働組合の基本的性格は、大衆性と階級性の結合であり、企業主義、労働組合主義を乗り越え、社会変革運動の一翼を担うこと。C敵は帝国主義であり、彼らを孤立させる運動として、敵の中に存在する対立・矛盾に楔を打ち込む政策を確立して闘うこと。中小企業・農民・漁民・市民・学生など、すべての民衆との団結・統一戦線を形成すること。D組織形態は、企業内に留まらず、資本・権力・政党から自立した労働組合を目指すこと。E志を一つにする労働組合間の共闘を発展させ、闘う拠点を各地方・地区で作ること。闘う戦線の拠点を強固に作り出すことが必要。F未組織の組織化のために「協同センター」をつくり、宣伝活動・統一行動を定例化する。
(3)若い世代の労働者に向けて以下のように呼びかけています。@一番大事なのは、「感性を研ぎ澄ます労働運動」。A失敗と犠牲を恐れず、現状を打開する労働運動が必要。「ゼロからの発想が求められる」。いくらか労働運動をやってくると「財産」が生まれてきて守りに入ってしまう。経験は大事だが、経験に踏まえて「ゼロ」の発想から物事をなすことが重要。B若い人たちには、志を高くして、世界と日本を変え、経済・産業構造を「労働者が主人公」に変えていく運動に、喜びと誇りを持ってほしい。

【3】関西生コン支部、港合同、動労千葉は日本労働運動の最先端の闘いを切り開いています。産業別労働運動の先頭に立つ関西生コン支部に学び、共に闘いましょう。
(国鉄闘争全国運動事務局員・杉田)
(写真 大手ゼネコンを相手に生コン価格の引き上げを要求してストと出荷停止に突入【2010年】)

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今こそ闘う労働組合を全国の職場に!
国鉄1047名解雇撤回! JRの業務外注化阻止!
安倍政権の改憲・TPP・民営化・解雇自由・非正規職化攻撃をとめろ!
反原発・反失業! 全世界の労働者と団結し「生きさせろ」の大反乱を!

 11・3全国労働者集会

 11月3日(日)正午 東京・日比谷野外音楽堂 *集会後デモ

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月刊『労働運動』(283号B-1)(2013/10/01)

■ひめじょおん――女性部から

「解雇撤回・JR復帰」10万筆署名運動の力で11・3労働者集会1万人結集を勝ちとろう!

米山良江(東京東部、教育労働者部会)

 東京東部では、労組回りなどで署名運動を展開し、9月15日現在で3000筆を越えた。

 労働運動の地殻変動が始まっている

 ある清掃労組では、「4・9政治和解」をうち破って裁判闘争を継続している動労千葉が6・29判決を勝ちとったことに驚き、外注化絶対反対で闘っていることに感動して署名運動に協力してくれた。これまで物販で訪ねても素っ気なかったところだ。
 高校の分会訪問では、玄関先であっても日和らずに粘って粘って時間をかけて話し込むように心がけた。その結果、分会会議にかけて分会ぐるみで取り組んでくれる学校が出てきた。多忙な中で署名を集約するのは大変なので、取りに行く日を約束して、取り組んでもらえるようにした。
 どの公務職場も外注化・非正規職化攻撃に直面している。だから私たちの訴えに心を動かされて、対応してくれた組合員が「これは断れない」と決断して取り組んでくれているのだ。
 現場労働者は体制内組合幹部の指示で動くのではない。「上からの方針で動いてきた」従来の在り方は、新自由主義攻撃の中で吹き飛んでいる。階級的な闘いが労働者階級の心をわしづかみにする時代が始まっている。

 国鉄闘争全国運動は闘う労働組合の結集軸

 あるタクシー会社の労働組合との関係は、鈴コン支援の賛同団体になることから始まった。それで一気に信頼関係が作られた。「解雇撤回・JR復帰」を求める10万筆署名を持ち込むと、団体呼びかけに応じてくれて、直ちに100筆集めてくれた。お礼かたがた事務所を訪ねて、6・9集会で自交総連・北海道の人が発言したことを報告すると「オー」と声をあげて驚かれ、署名運動の状況を話すと、先方から「じゃあまた集めます」と言ってくれた。ここは賃下げ攻撃と闘っている真っ只中だった。
 全国運動は、確実に闘う労働組合を繋げる結集軸として発展している。

 全ての署名活動の協力者を11・3集会に組織しよう

 ある都税事務所では書記長と丸々1時間話し込むことができた。彼は組合賛同と個人署名を取り組んだ上で、再度署名をまわしてくれた。執行部の中にいろいろな党派の人がいる中で、たくさんの署名を集めるには、決断と熱意と工夫がなければ貫徹できない。彼は2度目は「暴かれた真実」のリーフレットの表紙を署名用紙の裏に印刷して回してくれたのだ。そして前回を上回る署名を集めてくれた。
 ある高校では、話を聞いて協力を約束してくれた若い分会長が「職場に周知したが、協力を得られなかった」とメモをつけて自分だけ署名した用紙を返してくれた。自分が当然やるべきと納得した署名に同僚がこたえてくれない現実に直面して、彼はきっと労働組合について考えたに違いない。彼もまた、11月労働者集会のオルグ対象だ。
 署名運動を通じて実感したことは、11月労働者集会への新たな結集の条件が大きくつくり出されているということだ。署名運動を目的意識的に使い切って、11月労働者集会の大結集を実現しよう。

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月刊『労働運動』(283号C-1)(2013/10/01)

元労働基準監督署長・大野義文の東風烈風

第13回

 今こそ職場に団結を! 地域に連帯を!

 私たちは、日本国憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」「勤労の権利」「平和のうちに生存する権利」をもって「個人として尊重」され、「法の下に平等」に生きているであろうか。
 皆さんの職場では、心当たりはないだろうか。様々な、「人間関係」や「社内いじめ」などで、「気力がなく」「イライラ」し、「ふさぎこみ」「不眠」に陥り、「息苦しい」ことはないであろうか。パワハラやいじめは、犯罪そのものだ。大の大人が平気で同僚や部下に行う。暴言を言われて平気な人はいまい。生きるための労働で、なぜ人は自殺や過労死、あるいは精神疾患に追い込まれなければならないのか。
 マクドナルドの名ばかり管理職は有名となった。残業代を支払わないがための方便・詭弁・強盗の論理としての名ばかり管理職。管理職の名前をあてがうことで、長時間労働に追い込み、残業代も支払わない、二重・三重の悪質さだ。働き人の約1900 万人が年収200 万円未満である。貧困の蔓延。
 働き人は<過労死>か<貧困>しかないのか。
 「それを言っちゃあお終いよ」とは寅さんの台詞であったか。死んだらお終いだ。しかし、現実には、死に追い込まれる人が後を絶たない。1998 年から年間3万人が自殺している日本。これを、総理大臣は「美しい国」と形容した。
 精神疾患も、彼・彼女をそういう状態に追い込んだ社会の在り方・企業の考え方・働かせ方等に原因がある。
 アリバイ的な行政は、もうお終いにしたい。「規制緩和」の悪しき例を述べてみよう。
1)1 日2時間の残業規制撤廃(女性について)。均等法導入のため、との方便であったが、なぜ男女とも2時間規制にしなかったか。(フランスは35 時間/週で1日の実労働時間は10 時間まで)。2時間規制をしておれば、これほどまでの野放し的長時間労働はなかったであろう。

2)8時間労働制の実質的否定。考え方を180 度転換した。即ち「労働時間の規制は1週間単位の規制を基本として……1日の労働時間は1週間の労働時間を各日に割り振る場合の上限として考える」(1988 年1月1日基発1号)。

3)2006 年に導入された「医師による面接指導」の要件の労働時間の長いこと。週40時間を超えた1カ月の「時間外・休日労働時間数」が、「100 時間!!」を超えた場合だと。
 働き人は団結の中でしか自由と尊厳を獲得し、生きられないことをしっかり見据えておきたい。

大野義文:1950年1月生まれ。1980.4〜2010.3退職まで、広島、山口、徳島、高知の監督署・局で勤務

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月刊『労働運動』(283号D-1)(2013/10/01)

戦後労働運動史の中から

伊藤 晃 日本近代史研究者
第4回

 電産型賃金

 電産型賃金というものについて聞いたことがあるでしょう。電気産業労働組合協議会(電力各社の組合の連合体で産業別組合を目指していた)が1946 年10 月の闘争で勝利して獲得した賃金体系のことです。これは当時、日本の賃金闘争史上画期的なものとして大きな関心を呼び、その後の日本の賃金形態に指導的な影響を与えました。
 これが関心を呼んだのは、全国労働者の切実な要求を労働運動の力で実現したものだったからです。敗戦直後の当時、労働者が食っていくのは並大抵のことではなかった。諸争議は一様に「食っていける賃金」「生活を保障しうる最低賃金」の要求を掲げます。電産型賃金はこの「生活保障給」が中心的位置を占めます。もうひとつの軸になったのが「公平性」。資格、学歴、職階、性別によって形式的権威的に賃金を決めるのではなく、年齢、家族数、勤続期間、実際的能力など、労働者が納得できる基準で公平に決めようという。戦前の身分差別への反感が強かった当時、この思想は新鮮でした。そして電産型賃金はわかりやすかった。戦時中の賃金は無数の細かい手当に基本給が埋もれてしまって、自分の賃金がなぜこれだけになるのか誰もわからない。それを整理して「自分の賃金」を把握可能なものにしたのです。
 しかし、電産型賃金は世界的には奇異に感じられたようです。そのころ世界労連(当時存在した労働組合の国際組織)の視察団が訪日しました。その報告書は「日本では賃金が労働者の能力、なされた仕事の質と量ではなく、家族数や年齢、勤続年数などで決められる。これは間違いだ」と述べています。欧米の賃金思想からすれば当然の批判で、生活給中心の電産型賃金にも疑問がもたれたはずです。
 けれども当時の社会では、先にも言った通り、生活給中心主義には理由があった。生活給(最低賃金制につながる)か、仕事の質と量に応じた賃金(同一労働同一賃金につながる)かが論争問題になるのはその後のことです。この議論について皆さんはどう考えるでしょうか。
 こんにち多くの労働者の賃金が最低の生活を支えるにも足りない水準に陥っている現実があります。その中で私たちはどういう賃金思想をうち立てるべきでしょうか。このとき忘れてはならないことがもうひとつあります。電産協は賃金決定に介入したどころか交渉過程をほとんど主導したのであったことです。賃金は資本側が勝手に決めるのであってはならない。いま私たちは、私たちの生活を支えるに足りる賃金、私たちの労働にふさわしい賃金について広く議論を始めなければなりません。どちらが賃金思想として正しいかはともかく(私は両方とも大切だと思う)、賃金は労働運動の中の議論から導き出される、労働者の誰もが納得できる社会的基準によらなければならないでしょう。このことを考える私たちに、電産型賃金はいまも大きな勇気を与えます。

伊藤 晃:1941年北海道生まれ。『無産政党と労働運動』(社会評論社)『転向と天皇制』(勁草書房)『日本労働組合評議会の歴史』(社会評論社)など著書多数。国鉄闘争全国運動呼びかけ人

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月刊『労働運動』(283号E-1)(2013/10/01)

■地平線―反戦共同行動委員会―

ふくしま共同診療所報告会に参加して

反戦共同行動委員会事務局長 北島邦彦

 9月8日、昨年12 月に開設した「ふくしま共同診療所」の報告会に参加してきました。JR福島駅前にある会場に着いた時には、150 以上はあろうと思われる座席はほぼ満席でした。福島診療所建設委員会の方に聞いたところでは、そのうち100 人を超える参加者は地元福島の人たちで、小さなお子さんを連れた診療所の患者さん家族、福島市内の医療関係者、学校や自治体関係者など、多様な人たちの参加があったとのことでした。ふくしま共同診療所が様々な妨害や誹謗中傷を受けながらも、着実に注目されて福島に根づき始めていることを確信できました。
(写真 ふくしま共同診療所報告会に160人が集まった【9月8日】)

 子どもたちの被曝の現実

 ふくしま共同診療所の松江寛人院長のレポートは衝撃的で、570 程度の症例にもとづいた報告でしたが、福島で現在進行している被曝の実態に戦慄するほかありませんでした。ふくしま共同診療所で実施している子どもたちへの甲状腺検査と、福島県が県立医科大を中心にして行なっている県民健康管理調査の甲状腺検査が、似て非なるものであることが暴露されました。県の検査では、「5ミリ以下の結節と20 ミリ以下ののう胞は問題ない」ものとして扱われて、「2次検査の必要なし」とされています。しかし、ふくしま共同診療所の検査によって明らかになったのは、県の検査でA1ないしA2=「異常なし、2次検査の必要なし」とされた子どもたちの甲状腺全体に、1ミリ以下の微小なのう胞がびっしりと発生している例が17 %も発見されています(!)。これこそ原発事故による被曝の影響ではないですか!
 この報告会で明らかにされたさらに重要な問題は、こうした福島の子どもたちの現状を、長期にわたって粘り強く詳細に追跡検査してく必要があり、がんをはじめとする疾病の早期発見が大切だということです。ところが、県の検査でA1ないしA2と判定されて「異常なし、2次検査の必要なし」とされた子どもたちについては、病気≠ナはないとしてカルテの作成もその5年間保存も法的に義務づけられてはいません。つまり、長期にわたる粘り強く詳細な追跡検査の基礎データが残されていくのかどうかさえ曖昧な現実があります。

 福島の圧殺を許さない!

 東京オリンピック招致のためのIOC総会では、安倍首相が「(原発事故による)健康問題は今までも、現在も、そして将来もまったく問題ない」と、何の根拠もない大ウソを言い放ちました。一国の首相の「国際公約」を実現するために、福島県立医科大を頂点にする体制は、ますます戦慄すべき現状を隠蔽することに全精力を注ぐだろうことは火を見るより明らかです。
 福島の怒りは大爆発しようとしています。そして、その結集拠点としてふくしま共同
診療所があります! 開設からわずか9ヶ月、ふくしま共同診療所が築きつつある地平は絶大です。「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(NAZEN)の仲間とともに、第2期建設を含めた全国的支援を結集させましょう!

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月刊『労働運動』(283号F-1)(2013/10/01)

10・20三里塚集会に集まろう!

 10・20集会はなにより、千葉地裁・多見谷裁判長が強行した7・29農地取り上げ判決を徹底弾劾し、新たに控訴審闘争にうって出る集会です。
 多見谷判決は絶対に許すことはできません。失効した土地収用法に代えて、どうして農地法で農地を収用できるのでしょうか。小作権者の同意なき農地売買などまったく論外です。数々の農地法違反を不問に付すこれらの暴挙を「国策」の名で強行したのが多見谷反動判決です。
 市東さんはただちに控訴し、新たな闘いを宣言しました。緊急3万人署名をはじめ、闘いが仮執行宣言を阻止したことは大きな勝利です。市東さん、反対同盟と共に東京高裁の闘いにうって出よう。
 「2020年東京オリンピック開催」決定弾劾! 「首都圏インフラ整備」と称する成田空港救済=三里塚闘争破壊を許すな! TPP絶対反対! 軍事空港粉砕・改憲を阻止しよう! 安倍政権を打倒する巨万の力を生み出そう!
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多見谷判決徹底弾劾! 市東さんの農地を守ろう! TPP絶対反対! 福島・沖縄の怒りとともに闘おう! 軍事空港粉砕・改憲阻止!
10・20全国総決起集会
日時:10月20日(日)正午
会場:成田市東峰 反対同盟員所有畑
主催:三里塚芝山連合空港反対同盟
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 動労千葉労働学校 第13期労働学校日程

■基礎講座
◆戦後労働運動史 第1回 戦後の反合理化闘争
10月19日(土)13:00〜
講師 伊藤 晃(日本近代史研究家・国鉄闘争全国運動よびかけ人)
 戦後労働運動の中に動労千葉の闘いを位置づけた新たな提起。『無産政党と労働運動』(社会評論社)など著書多数。

■実践講座
◆韓国民主労総の非正規職撤廃闘争
10月26日(土) 13:00〜
講師 金 元重(千葉商科大学教授・国鉄闘争全国運動よびかけ人)
 韓国民主労総の非正規職撤廃闘争の歴史とその地平を提起する。

■場所 DC会館(JR総武本線「東千葉」駅前)

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月刊『労働運動』(283号G-1)(2013/10/01)

Photo Document 2013年8月〜2013年9月

官邸前行動 汚染水流出に怒り!

9・6東京
首相官邸・国会前において金曜行動が展開された。福島原発からの放射能汚染水の流出が止まらないなかで、労働者民衆の危機感が急激に高まっている。官邸・国会前でも、参加者が次々とマイクを握り、安倍に心の底から怒りを表明した。「再稼働反対!」「海を汚すな!」「命を守れ!」―首相官邸に向け、いつもより激しいコールが響き渡った。

動労水戸 10・1外注化阻止のスト!

9・13茨城
動労水戸は、誘導・計画業務10・1外注化阻止を掲げて第2波ストライキに立ち上がった。木村郁夫書記長は「昨年の外注化強行から1年で、どれほど職場が混乱し、安全が破壊されたか。JR水戸支社ですら団交で『(外注化の現状は)課題がある』と言わざるをえない現実だ」と怒りをあらわにし、「今こそ声をあげよう」と職場の若い仲間に訴えた。

「さようなら原発」大集会!

9・14東京
東京・亀戸で「さようなら原発」1000万署名市民の会が呼びかける集会・デモが行われた。落合恵子さんは「この瞬間も一日400dもの地下水が、壊れた原子力建家に流れ込んでいます。どこがアンダーコントロールですか」と断罪し、大江健三郎さんは「将来の子どもたちのために生きていくことの出来る社会を残す。それをどうしても行動に示したい」と訴えた。

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