■闘う合同・一般労組富山通運の5人の解雇撤回闘争が北陸ユニオンの結集力を高めている

2019年7月31日

月刊『労働運動』30頁(0288号06/01)(2014/03/01)

■闘う合同・一般労組

富山通運の5人の解雇撤回闘争が北陸ユニオンの結集力を高めている

一般合同労組・北陸ユニオン 河地弓美子
 合同一般労組・北陸ユニオンは、安倍政権の国家戦略特区構想による、解雇自由、残業代ゼロ、派遣法改悪による10割非正規化攻撃に対し、国鉄1047名解雇撤回闘争を自らの闘いと位置付けて、新10万筆署名に全力で取り組んでいます。
 そうした中で、2012年に富山通運という富山市内に本社のある運送会社で、運転助手のアルバイトをしていた副委員長が解雇攻撃を受けました。副委員長は同じく解雇されたアルバイトの同僚をオルグし、北陸ユニオンへの加入を勝ち取り、現在5人が共に解雇撤回闘争を闘っています。

勝手に「日雇いアルバイト」に

 富山通運資本は、組合からの団交要求に一度はしぶしぶ応じたものの、2度目以降は拒否。「日雇いアルバイトであり、単に就労依頼をしなくなっただけで、解雇ではない」「誰を雇うかは会社の自由。労働者にとやかく言われる筋合いではない」さらには「所長に対し『謝罪しろ』『引き継ぎが悪い』等々、6対1の多数での威圧的な抗議が行われた」と、不当解雇、不当労働行為を完全に開き直りました。
 資本は「日雇いアルバイト」だと勝手に言っていますが、雇用契約書や労働条件通知書の提示もなく、口頭でも当該に対して雇用形態が「日雇いアルバイトである」という告知はなく、タイムカードで勤務を管理して、賃金も月末締め・同日払いで一年余り継続的に雇用されていました。実態は期間の定めのない雇用であり、不当解雇であることは明らかです。
 この資本の対応は、新たな組合員の怒りに火を注ぐものとなり、職場であるJR富山貨物駅前での朝ビラを継続的に行うと同時に、富山県労働委員会にあっせん申請を行いました。
 あっせんの場で富山通運資本が労働委員を通して組合側に伝えてきたことは、「大勢で会社に押しかけてくるような〝怖い人たち〟に、今後就労依頼をする気はない。賃金3か月分で解決したい」と、明確に労働組合として組合員が団結して資本を追及した行動を理由にした解雇通告でした。
 当該を先頭に組合としては、「解雇撤回、原職復帰」以外のいかなる解決もないとはっきりさせ、あっせんは不調に終わりました。
現在は富山県労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行っています。
 富山通運資本は、東京で合同労組による争議を専門に扱っている資本側弁護士伊藤昌毅なる人物を代理人に立て、合同一般労組・全国協シフトで臨んできています。
 さらには、第二回審問で証人尋問を予定していた会社側証人の石河所長(組合員を解雇した張本人)が、審問を前にして突然退職するという事態が起こっています。
 私たちはこの労働委員会闘争を、富山通運の新たな組合員と北陸ユニオンの他の職場が異なる組合員が共に闘う中で、北陸ユニオンの組合としての団結を強化し、さらに青年労働者、非正規労働者を組合に組織していくための闘いと位置付けて闘っています。

国鉄新10万筆署名と一体で訴える

 この富山通運の解雇撤回闘争と国鉄新10万筆署名を一体のものとして訴えていく中で、街頭宣伝で青年労働者、非正規労働者との結びつきが強まってきています。
 非正規労働者Aさん(40歳、男性)との出会いも街頭でした。Aさんは、毎週金曜日富山駅前で「原発再稼働反対」と一人でシュプレヒコールをあげていました。「私は北陸ユニオンの組合員で、組合として原発に反対している」と声をかけると、Aさんは自分が非正規労働者であること、何度も派遣切りに遭い、住居も転々とし、ホームレスを体験したこともあると話し、安倍政権を倒すために何かしたいという思いを語ってくれました。
 そして、「何か協力できることはないか。どんな活動をしているか知りたい」と積極的だったので、後日会って、国鉄10万筆署名を提起するとすぐ応じてくれ、「月刊労働運動」を定期購読してくれることになりました。
さらに、富山通運解雇撤回の街頭宣伝にも参加し、ビラまきだけでなく、国鉄10万筆署名も積極的に集めています。
 彼は「今、自分たちがおかれている状況は、国鉄分割・民営化が始まりだったということを若い人に訴えていきたい」「ビラをポストに投げ込むのではなく、一人ひとりに手渡すのはとてもいい」と言っています。
 Aさんの決起は、新自由主義によって、労働者が分断され、団結が破壊され、人と人とのつながりがズタズタにされる中で、「解雇撤回」という闘いは、労働者が団結を取り戻し、人間性を回復していく闘いだということを示しています。
 Aさんや富山通運の新たな組合員の闘いは、北陸ユニオンの結集力を高めています。組合員が会議や街宣に積極的に参加するようになってきています。
 非正規労働者、青年労働者の怒りは根底的であり、連合や全労連などの言うような「救済の対象」でもなければ、資本主義社会を前提とした上での「待遇改善」で解決がつくようなものではありません。
 彼ら・彼女らは、最も激しく新自由主義の攻撃にさらされているがゆえに、ひとたび決起すれば、その闘いは「絶対反対」「階級的団結」をとことん貫くものとなるのです。まさに新自由主義は、自らの墓堀り人を生み出しているということです。
 私たちは、こうした非正規労働者、青年労働者の根底的怒りと自己解放性にとことん依拠して、職場に闘う労働組合をつくり出し、解雇撤回、非正規職撤廃を貫く闘いをさらに進めていく決意です。
 富山通運解雇撤回労働委員会闘争は、2月24日に当該の組合員2名の証人尋問を行い、次回3月31日(月)は会社側証人尋問です。石河所長の逃亡を許さず闘います。

各地の活動0288

Posted by kc-master