■闘う合同・一般労組 8・6ヒロシマ行動へ!小竹運輸の労働者支配の根幹を撃つ闘い

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0294号08/01)(2014/09/01)

■闘う合同・一般労組 8・6ヒロシマ行動へ!

小竹運輸の労働者支配の根幹を撃つ闘い

中村 信幸 合同・一般労組全国協小竹運輸グループ労働組合委員長)

残業代を不正にごまかしてきた小竹資本

 時間外労働手当は労働基準法37条で定められていて、通常時間外労働は2割5分増。22時から朝5時の深夜割増手当は5割増と定められています。休日労働の割増は通常残業3割5分増、深夜は6割増です。しかし小竹運輸においては、残業代は深夜も通常残業も一律時給600円の割増賃金しか支払われてきませんでした。
 なぜそのような違法がまかり通ってきたかというと、固定残業代または見なし残業代があらかじめ支払われているからということでした。この残業代をごまかすために設けられているのが「労働手当」です。
 例えば私のように大型トレーラーの運転手の「労働手当」は1日4万4500円です。この労働手当は荷物を配達したら必ず付く手当です。例えば毎日15時位で仕事が終了する工場内の荷物の移動を行っていた労働者に、毎日4500円の労働手当が支払われていました。さらに、有給休暇をとると基本給5万5400円の他に必ず4500円の労働手当が付いています。有休休暇をとっても付いてくる労働手当は、所定内労働における手当だから付いているのです。しかし会社は労働手当は時間外労働に対する固定残業代と称して、時間外労働の割増賃金の支払いをごまかしてきたのです。労働手当は割増賃金の基礎額に算入される手当以外のなにものでもありません。労働手当を加算した額で未払い残業代を計算すべきなのです。

時間外労働時間を明記せず残業代をごまかす

 会社の弁護士は「固定残業代が事前に支払われている。それを超える残業をした場合は正規の割増賃金を支払います」と述べます。しかし、長距離運転をした場合は長距離手当が付くので、残業代が支払われません。それだけでなく給与明細の残業欄が空白のままになるのです。7時間残業しようが12時間残業しようがゼロとも1とも数字が入ることなく空欄のままであり、その日何時間残業したかわからないごまかしがなされ、残業代未払いが横行してきたのです。固定残業で足りない分の残業代は支払うというものの、残業時間が給与明細に記載されないシステムになっているため残業代がごまかされてきたのです。2012年11月30日、就労中に心筋梗塞の疑いで死亡した今井康司さんの損害賠償の裁判が現在も行われていて、今井さんの残業時間が問題になっています。今井さんが190時間残業していても60数時間しか残業時間がついていないのは、会社が残業代を詐取するために残業時間を記載しないできたためです。
 遺族の今井真由美さんと子供が原告になって損害賠償の裁判を行っています。小竹運輸は長距離の残業時間が空欄のままのデータで、死亡する3か月前の今井康司さんの総労働時間と残業時間を9月分245・25時間(内時間外労働時間85・25時間)、10月分281・4時間(内時間外労働時間113・40時間)、11月分217時間20分(内65・15時間)と準備書面で主張しています。しかし、チャート紙を解析して空欄になっている長距離等手当が付くことによって残業時間が記されない部分の残業時間を割り出した遺族側の準備書面の時間は以下の通りです。
 9月分労働日数24日。総労働時間314時間8分(内時間外労働時間191時間)。10月分労働日数28日。総労働時間405時間12分(内時間外労働時間253時間36分)。11月分労働日数22日。総労働時間296時間34分(内時間外労働時間183時間48分)。
 何故以上のような総労働時間と残業時間にこれだけの差が出るのかというと、会社は荷卸しのための待ち時間を休憩時間として計算し、実労働時間から差し引いているからであり、遺族側は待ち時間も車の中で拘束されているのだから労働時間として計算しているからです。時間外労働については長距離・下道手当などの場合、残業時間が給与明細に記されないシステムのために会社は実労働時間も残業時間もチャート紙を解析することなく、給与明細そのままの時間外労働を記載しているにすぎません。遺族側のデータはチャート紙をすべて解析して出された総労働時間と時間外労働時間です。

 「残業調整手当」が残業代不払いの象徴

 労働手当は本来は基本給と合算して割増賃金の計算の基礎額に算入しなければならない手当です。小竹運輸の基本給は5400円です。トレーラー運転手の労働手当は4500円です。これに諸手当を合計すると時給が1700円位になり、それの1・25倍が通常残業手当。1・5倍が深夜割増賃金です。労働手当を通常の賃金として計算し、労基法通りに割増計算をすると小竹運輸グループの労働者の未払い残業代は2年間で一人当たり少なく見積もって200万円以上になります。昨年の8月に分社化されて小竹運輸は組合員数名と車20台を残して、グループ企業に転籍させられましたが、200人からの労働者は昨年8月までは小竹運輸に在籍していたのです。200人×200万円=4億円の残業代が未払いのままなのです。裁判に訴えると付加金がつくので倍返しになり8億円の未払いということです。
 ひどいのは長距離を行った場合には残業時間の欄が空欄になり、何時間残業したかわからない仕組みになっています。長距離の場合は手当が付くため時間外労働手当と相殺されて残業代が支払われない仕組みです。しかし大阪へ行った場合は2万円の手当ですが、時間外手当をきちんと計算すると2万円どころではありません。手当で残業代をごまかしてきたにすぎません。

 未払い残業代請求の闘いへ

 小竹運輸の就業規則と賃金規定を見た社会保険労務士の人は法的に問題はないと言いました。確かに就業規則や賃金規程はそれらしく定められています。しかし、現実の支払いはそれとは違うものなのです。私たち組合員はずっとおかしいと思い建交労の専従の人にも相談をしたことがあります。しかし何もできなかったのです。今回、合同・一般全国協の仲間と賃金問題の研究会を5回にわたり行い、確信をもって闘いに入ることができました。以上報告します。