動労水戸が外注化反対でスト決起
動労水戸が外注化反対で9・28スト決起
西納岳史(動労水戸書記)
2012年の検修・構内業務外注化(仕業検査と構内運転士)から今年10月1日で3年を迎えるのを前に、9月28日、動労水戸は「JR全面外注化絶対反対!」「全ての業務と労働者をJR本体に戻せ!」をスローガンに、水戸鉄道サービス(MTS)への出向者を中心にストライキを打ち抜きました。
前日に土浦市で開催された茨城国鉄集会は「スト決起集会」として開催され、地域の労働者や青年をはじめ多くの仲間が結集しました。その高揚を引き継いで、早朝からの勝田車両センターでの職場門前ビラで1日の闘いを開始しました。ストを知らせるビラには動労総連合の青年労働者が勢ぞろいしています。JR本体の労働者のみならず、MTSの清掃労働者も含めて大きな注目が集まりました。
外注化の矛盾と破綻は明らか
3年が経過し、外注化の矛盾と破綻はますます深まっています。JR本体とMTS間の指揮命令系統や意思疎通は分断され、重大事故に直結するトラブルが続発しています。今年2月には勝田車両センターで構内運転中の電車が脱線する事故が発生しました。事故が起ったのはかねてから事故の危険性が指摘されてきた場所であり、これまでは車両誘導の補助者を配置して作業を行ってきましたが、2013年誘導業務外注化の際にこの補助者を廃止し、検修も誘導業務も未経験の現場管理者を便宜的に立たせて業務を行ってきた結果として起きた事故でした。同時に、当日の朝になって急きょ変更になった作業内容はJR本体の作業担当者には知らされていないことが事故の一因となりました。JRとMTSが現場で共同する作業なのにそれぞれ指揮命令系統が異なるという外注化の根本的な構造が引き起こした事故です。外注化を進めてきたJRの責任逃れを断じて許すことはできません。
さらに、MTS土浦事業所では今年7月に構内運転の資格がないMTSの車両スタッフが現場管理者の「黙認」のもとで構内運転を行うという重大事件が発生しました。構内運転を行うことができる夜勤の運転スタッフが現場にいたにもかかわらず、現場管理者が的確な指示を出さなかったことが原因です。 外注化の過程で現場業務に未習熟な管理者が大量に配置された結果、安全意識の著しい低下や責任逃れが横行しています。 責任の根本は、外注化を強行し利潤追求と子会社への責任転嫁にひた走るJRとそこに群がる天下り幹部、そして絶対反対の闘いを放棄して会社の言いなりになり、あわよくば自分だけは生き残ろうとするJR東労組をはじめとする御用組合の幹部にあります。
外注化反対は未来をかけた闘い
外注化以降、動労水戸はMTSに対し20回を超える団交を行い、鉄道会社としての資質を厳しく問い続けてきました。3年間で何が変わったのか。JR本体に比べて明確に劣悪な労働条件の改善はおろか、必要な物品すらいまだに揃っていません。輸送障害、気象、臨時列車、ダイヤ改定……現場で何が起こるか、何が対策として必要なのか、ベテランの現場労働者が全て熟知しているにもかかわらず、MTSは団交での組合員の真摯な訴えをことごとく無視し、毎回、毎年のように同じトラブルを繰り返すばかり。追及されれば「改善します」の言葉だけです。
「プロパー社員(自前採用の社員)の育成」という強制出向の建前も完全に破綻しました。水戸・大子・土浦のMTS事業所ではいまだ1人のプロパーもまともに教育できず、勝田車両センターでは、通常なら数年がかりで一人前にしていくところを、外注化のスケジュールにはめこんだ詰め込み教育が進められています。事故が起これば責任は彼らも含めた現場労働者に転嫁されていく。そればかりか、業務そのものが外注化された結果、出向が解除されても労働者は戻る業務を奪われたままです。「エルダー社員(定年後再雇用者)の職場の確保」というもう一つの建前も完全に嘘とデタラメになりました。大多数の労働者は3年の出向延長を強制されています。行きつく先は子会社への転籍と、労働条件のさらなる大幅切り下げです。
検修・構内業務外注化3年の総括として、一言で言うなら「外注化は完全に破綻した」と今こそ宣言すべき時だということです。3年間の外注化・強制出向の現実と破綻のとめどない進行は、労働者の怒りの炎を何度でも燃え上がらせてきました。外注化絶対反対の闘いは、労働者の安全と生活、未来をかけた闘いです。
動労水戸支援共闘の拡大を
この日は、正午からストに突入した組合員が勝田車両センターに結集し、外注化の全面的な破綻を徹底弾劾して車両センターの労働者に熱烈に訴えました。その後は土浦駅に移動し、土浦運輸区とMTS土浦事業所の前で抗議行動を展開しました。1日の行動を、新たに動労福島を立ち上げた青年労働者や組合員家族、支援者の仲間と共に打ち抜きました。
今回のストでは、とりわけ動労水戸結成以来のJRによる組合差別を粉砕して鉄道職場に復帰した労働者が、出向解除ならば再び業務を奪われ、あるいは出向延長によって転籍も含めた労働条件の大幅な切り下げを強制される現実に怒りを叩きつけました。
闘いは終わっていません。ライフサイクル強制配転との闘いは駅外注化攻撃を両断していく闘いとして、新たに動労水戸に結集した青年労働者と共に既に臨戦態勢に入っています。
常磐線全線開通・被曝労働拒否の闘いは、福島・いわきでの原発・除染労働者の闘いと共鳴し、さらなる巨大な決起を準備しています。全国津々浦々の国鉄集会に参加した組合員は、自らが人生を賭けて動労水戸に結集し闘ってきたことの大きさを再確認し、自信と確信を組合と現場に持ち帰っています。
今こそ全国の仲間に「被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘」のさらなる拡大を訴えます。動労総連合を全国に建設し、JR体制をひっくり返そう! 外注化阻止・非正規職撤廃の闘いの最先頭に動労水戸は立つ決意です。