3・11反原発福島行動への結集を訴えます

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0311号07/01)(2016/02/01)

3・11反原発福島行動への結集を訴えます

3・11実行委員会委員長・動労福島委員長 橋本光一
 「福島は安全だ! 復興は進んでいる!」という情報がマスコミで取り上げられる中、政府は、年間20㍉シーベルトを基準に、2017年3月までに「帰還困難区域」を除く全市町村への帰還を強制しようとしています。県の内外に避難を余儀なくされている10万人を超える人々への部分的賠償も、「自主避難」した人達に対する住宅支援も打ち切られます。ゼネコンだけが潤うアリバイ的な除染作業で、通学路などの放射性物質がいたずらにまきあげられ拡散しています。除染で出た無数のフレコンバッグの山が行き場もないまま野ざらしにされています。事故で溶け落ちた核燃料の様子は今も何も分かっていません。汚染水問題の解決が不可能で、いずれ完全な垂れ流しになることは目に見えています。150人を超える小児甲状腺がんの発症にも「放射線の影響とは考えにくい」と繰り返すのみです。これが安全・復興キャンペーンの裏に隠された福島の実態です。

 先日、福島原発事故収束作業にあたっていた原発労働者としては、はじめて白血病の発症が労災認定されました。累積線量は1年半で19・8㍉シーベルトでした。現場には動揺と怒りが充満しています。年間20㍉シーベルトを帰還の基準にすること自体が殺人的な政策であることは明らかです。
 被曝労働は、人間の生命力の発現であり人間自身をつくる生命活動でもある「労働」を根本から否定するものです。本来、労働は人間の生命活動の中心であり、生命の発現そのものです。人間は他者とともに労働し、労働をとおして他者と結びつき、あらゆる創造的な力、可能性を豊かに発展させていく。労働とは本来そういうものなのです。ところが資本主義社会では、労働者はこの最も根源的な生命の活動を資本家に売り渡す以外に生きられません。ロボットのように指図され強制され、いやなこと、屈辱的なことも我慢してやらなければならない。体を蝕む放射能に身をさらす被曝労働も「生活のために」堪え忍んでやるしかない。健康と命を削る被曝労働は非人間的な疎外された労働の究極だと言えます。
 資本主義社会のなかでは、人間と自然・資源が膨大に浪費されています。二度の世界戦争で1億8000万人が殺され、今も中東諸国などで労働者人民が殺されつづけているのです。資本主義生産のなかで、どれほど自然と人間が破壊され、資源・エネルギーや人間生命力の浪費がおこなわれていることか。そういう点では被曝労働も同様です。被曝労働拒否は人間労働を奪い返す闘いです。
 動労水戸の常磐線開通阻止・被曝労働拒否の闘いは仮設住宅の住民や原発労働者や除染労働者の支持を生み、地域の団結を作り出しています。反合理化・運転保安闘争と被曝労働拒否闘争の地平を開き、労働組合が地域ソビエト的団結の中心となって行く在り方を現実に示しています。このような運動を福島において、郡山においてもつくりあげていかなければならないと思います。
 その中で動労総連合、動労福島の位置づけは大きいものがあると感じています。
 労働者派遣法をはじめとした新自由主義的な政策は国鉄分割・民営化から始まりました。国鉄分割・民営化は、職場の、地域の、世の中すべての共同性を破壊していきました。
 今、その怒りが反原発の声と共に噴き出しています。国鉄分割・民営化によって、すべての共同性を破壊されたわけですから、破壊された共同性を取り戻すためには、国鉄(JR)の労働組合が団結して闘い、その闘いの中で発揮される労働組合的な共同性が、バラバラにされているあらゆる怒りの結集軸にもなるし、破壊された共同性に変わる新たな共同性の軸を、この福島の地につくることになると思っています。
 世界戦争が目の前に迫っているなかで社会の在り方の根本的変革が求められています。
 原発労働、除染労働は究極の非正規労働であり、「経済的徴兵」で戦争に若者が駆り出される問題とも一体です。原発事故収束作業を自分たちの手で管理運営できる労働組合の建設など、闘いは具体的に問われています。帰還強制のためのJR常磐線全線開通を「被曝労働拒否」のストライキで阻止する動労総連合の闘いがその先頭に立とうとしています。「避難・保養・医療」を掲げるふくしま共同診療所も住民の心の拠り所として信頼を集めています。こうした闘いの拠点から国際連帯も確実に広がっています。
 3・11は、原発と核をなくそう、社会を変えていこうと福島の人々が怒りを怒りとして闘う日、全世界と行動を一つにして行く日です。子どもたち、学生、親たち、仮設の住民、農民・漁民、すべての労働者の怒りと思いを一つに結集し、行動する日にしていきましょう!
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変える力はここにある! 私たちが歴史を動かす! 3・11反原発福島行動’16
 3月11日(金)正午開場 午後1時開会 午後3時デモ出発
 開成山・野外音楽堂(郡山市開成1―5 開成山公園内)
 主催 3・11反原発福島行動実行委員会