日本機械工業労組 30年ぶり2年連続ストを貫徹
日本機械工業労組 組合員の団結で30年ぶり2年連続ストを貫徹!
日本機械工業労組(日機)は3月16日に昼休みから食い込みの30分間ストライキに決起した。「ストライキ決行!」の立看板を掲げ、スト突入集会と構内デモを100人近い労働者が敢行した。
ストライキのできる労働組合とは何か。ストライキの場面だけ切り取って「階級的」という見方は左翼空論主義である。ストライキは労働組合の団結の一表現でありその全てではない。
ストライキには指導部の決意が必要だが、指導部の決意だけで打てるものではない。特に、多数を組織する労働組合においては尚更だ。組合員の団結ぬきのストライキは活動家の自己満足であり、それは革命を希求しない体制内左翼の運動である。
日機の’16春闘ストも、ただの「ストライキ」である。しかし、その「過程」が重要なのだ。
帝国主義の世界戦争が切迫する中で、’16春闘は挙国一致の「階級協調」の道を進むのか、それとも侵略戦争を「プロレタリア革命に転化する」かが問われるものだった。「官製春闘」は政労使一体の階級協調攻撃であり「賃労働と資本」を否定し労働組合を解体するものだった。
日機もこの情勢下で’16春闘と対決しなければならなかった。それはすべての労働組合に突き付けられたものだ。新自由主義攻撃により、日機は実質的賃下げを強要されてきた。定期昇給制度や評価制度のない日機は、賃金水準を維持できる賃上げは実現できなかった。さらに賃金カットも加わり、この10年で平均賃金が3万円以上も下がっていた。東京都の製造業の平均賃金より9万円も低くなった。
震災特需で消防車の需要が増え、史上最高の売上を実現し、今年は累積赤字が解消する状況となったが、資本は「将来の不安」を理由に低額回答してきた。資本への屈服を強制し、「階級協調」を労働組合に求める攻撃だった。世界経済停滞とアベノミクス破たんによる先行き不安を理由に、大手労組は昨年の半分の賃上げで妥結していった。
しかし日機では1月春闘学習会や職場討議を通して「生活できる賃金を保障するのは会社の責任」という議論を形成し、「実力闘争で実現する」方針を作り上げていった。労働者一人ひとりの思いを要求として結実させ、闘争に転化する過程だった。だから会社の回答が「昨年を上回る」ものであっても「これでは安心して生きていけない」とストライキに決起したのだ。
スト突入集会には、産別はもちろん、精研労組や多摩連帯ユニオンが応援に駆け付けてくれ、ストライキを貫徹した。だが会社は回答を変えていない。資本の意思を体現し、全面対決状況となっている。しかし組合員は「ここで引くわけにはいかない」と闘争心を維持し会社と非和解的に闘争を続けている。組合員の階級意識こそストライキを実現した力なのである。
職場労働者と一体化し、その先頭に立つ指導部の形成ぬきにストライキができる労働組合などないのだ。30年ぶりの2年連続のストライキは、日機にとって階級的労働運動の道を進む強烈な決意の表れなのだ。
山口 弘宣(日本機械工業労組書記長)