時代を解く第17回 小池都政 「東京大改革」豊洲移転とオリンピック攻撃

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0320号10/01)(2016/11/01)

時代を解く 第17回
小池都政 許せぬ「東京大改革」 豊洲移転とオリンピック攻撃



 小池百合子が東京都知事となって3か月だが、都政は激震状態、築地市場の豊洲移転、オリンピックという水路からあらゆる問題が噴出している。

※東京を国家戦略特区化する

 小池は、「東京大改革」を打ち出しているが、中身は東京全体を国家戦略特区化することだ。国家戦略特区とは、あらゆる規制を取っ払い資本が自由に活動できる無法地帯を作ることだ。その核心は労働改革、資本に対して労働者の権利を保護する規制を無くし自由勝手な搾取活動を解禁することだ。
 一つは、東京都の自治体労働運動に激しく圧力をかけ、公務員労働運動の抵抗力を解体することで実現しようとしている。労働法制の全面的改悪のためにもここでぶち抜く戦略だ。小池は連合にも激しく揺さぶりをかけている。舛添と決定的に違うのはこの点にある。
 もう一つは、臨海副都心開発計画と連動した豊洲・晴海地域開発計画を2020年東京オリンピックと結びつけ、大資本、金融独占体の打ち出の小槌として開放することだ。大恐慌の深化にあえぐ資本家にとって、TPP的な全面的規制緩和の先取りの必要な事業だからだ。また、テロ対策と結合して改憲・国家緊急事態法への道を掃き清めるためにもオリンピックを活用しようとしている。小池は、豊洲問題の本当の戦犯をあいまいにしつつ、「粛清」「処分」という言葉を意識的に使いながら、東京都の職員(都の労働者)を萎縮させ上から恫喝し支配する構図を作り出しつつある。

※石原を引き継いだ小池都政

 最初の東京臨海副都心開発計画は、90年バブル崩壊で危機に瀕し、95年青島都知事誕生で後景化した。その後99年に都知事となった石原の最大の使命は、大資本のために巨大プロジェクトを再始動させることだった。オリンピック誘致と豊洲への築地市場移転はその柱となった。尊大な石原の本当の姿は資本家の金儲けの手先だった。最初は、東京ガス跡地への築地移転はありえないとしていた東京都は、石原の決断で豊洲への移転方針に切り替えた。築地跡地の開発とも重なって巨大な儲けと利権が発生した。
 石原は16年オリンピック誘致で失敗したが、20年オリンピックにも名乗りを上げた。それなしには経済危機の中で巨大開発計画が失速するからだ。3・11後の危機と混乱に乗じてこの両者を強引に結び付け、猪瀬に後を押し付けて逃げ出した。豊洲に関する犯罪行為からのトンズラだった。石原が無責任に敷いたレールの上を走る暴走行為は、猪瀬や舛添には実行できなかった。そこに、橋下的な新自由主義的手法を実行できる存在として小池が登場してきた。
 小池は「日本会議」的右翼思想で凝り固まり、平然と核武装を主張する政治家であり原発推進だ。東京都知事に目をつけたのは、ここが戦場になっているからだ。安倍の国家改造の先兵となることで首相の座を狙うことも可能と考えている。安倍の改憲・戦争攻撃と小池都政は一体。「働き方改革」の面では完全な先兵だ。安倍と小池を串刺しで打倒しよう! 豊洲移転白紙撤回! オリンピックとオリンピックを口実にした「東京大改革」を粉砕しよう!
 藤村 一行(動労千葉労働学校講師)