闘う合同一般労組 解雇撤回を貫き 東北石けん闘争に勝利

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0320号13/01)(2016/11/01)

闘う合同一般労組
解雇撤回を貫き団結破壊を粉砕! 東北石けん闘争に勝利した!

(写真 2012年12月14日東北石けん闘争勝利総決起集会)

 7月20日、中央労働委員会は、東北石けん労組の再審査申し立てを棄却する反動命令を下しました。絶対に許せません。
 しかし、中労委命令の狙いである団結破壊を完全に打ち破っています。解雇撤回を貫き、団結を守り抜いたことで、東北石けん闘争に勝利したと自信を持って言い切れます。
 東北石けん闘争は東北石けん・佐藤吉範社長と、畑惣商店・畑文雄社長の共謀による、労働組合つぶしの東北石けん廃業・全員解雇、組合脱退者のみの畑惣商店への採用、との闘いです。東北石けん労組(のちにみやぎ連帯ユニオン・東北石けん分会)は交流センターなど地域の仲間と共に解雇撤回・職場復帰をめざし、今日まで8年間、不屈に闘ってきました。

企業買収の組合排除許さない

 東北石けん闘争は新自由主義攻撃の一形態である企業の買収における労働組合排除を許さない闘いです。
 畑惣商店・畑文雄は東北石けんの事業の継承を計画し、東北石けんの全株式を取得するかたちで事業を継承するとした基本合意書を、東北石けんとの間で2007年に締結しました。そして、08年4月、東北石けんの代表取締役に就任しました。老朽化した旧工場に代わる、最新設備を導入した新工場を、仙台市の南に位置する名取市愛島台に建設する事業を推進していたのも畑文雄でした。
 しかし、東北石けん労組の5名の労働者にとって、名取市愛島台への工場移転は大問題でした。交代制の導入などの労働条件の悪化に加え、最大の問題は1人の組合員が1時間半もの通勤を強いられ、通えないで辞めざるをえなくなる可能性が高いことでした。「一番条件の悪い仲間と団結する」をモットーとしていた東北石けん労組は新工場での労働条件についての労使協議を求め、11月26日には団体交渉を要求しました。

団交要求への解雇は最悪の不当労働行為

 それに対しての東北石けんと畑惣商店の回答が、11月29日の朝礼の場における佐藤社長による09年2月末東北石けん廃業・従業員全員解雇の解雇通告でした。団交要求をしたら解雇を通告される、という最悪の不当労働行為です。そして佐藤社長はその場で、「新工場に行けば幹部待遇を受けるだろう」と発言。同席していた佐藤きぬ子取締役も、「新工場に行きたい人はいないの」と労組脱退を促す支配・介入を行いました。
 11月29日の朝礼の場における東北石けん廃業・解雇通告までに東北石けんと畑惣商店の間で07年基本合意を解約する共同意思が形成されたか否か、それが中労委における最大の争点でした。11月は11・26の団交要求まで労使の対立が深まっていった時期でした。労組敵視・労組排除の思惑から東北石けん・畑惣商店の共謀の上で、基本合意を解約し、東北石けん廃業・解雇通告が行われたかどうか、が両社の不当労働行為を認めるか否かのもっとも重要な点だったからです。
 石けん廃業・解雇通告は両社の共謀で11・26団交要求から11・29解雇通告の間に、基本合意解約の共同意思がつくられたことは明白です。なぜなら基本合意の解約がない限り、東北石けんの廃業はできないからです。新工場建設にあたっての、東北石けんの債務2億5700万円は、畑文雄が個人で連帯保証していました。東北石けんにとっても、畑惣商店にとっても、東北石けんの廃業とは、畑惣商店が新工場を引き継ぐということでした。29日の朝礼の場における佐藤社長と佐藤取締役の発言は畑惣商店が新工場を引き継ぐことが両者の間で合意されていることを言外に示しています。
 しかし、中労委は11・29通告前の基本合意解約の共同意思の形成を否定しました。命令ではこう述べています。「(佐藤社長が)東北石けんを廃業し、全従業員を解雇するほかないと判断したうえで、畑との協議を経ることなく、自発的に同月29日の朝礼での発言をした可能性は否定しがたいところである」
 つまり、佐藤社長が自分だけの判断で東北石けん廃業を決定したといい、不当労働行為性を否定したのです。基本合意の内容に反するこんな重大なことを佐藤が一人で判断することなど絶対にありえません。しかも、佐藤社長は26日の団交要求までの間、畑文雄と頻繁に連絡を取り合っていた事実があります。そういう事実を無視して、中労委はこんな論理薄弱な詭弁をろうしているのです。

中労委を徹底的に追い詰めた

 私たちは、こんな詭弁を使わざるを得ないところまで中労委を追い込み、中労委の国家権力の代弁機関としての正体をむき出しにさせたことを、勝利感を持って確認しています。中労委闘争ではほかにも①事業の継承において、東北石けんと畑惣商店がまったくの別法人の場合であっても、不当労働行為が事情によっては成立する余地がありうると言わしめ、②地労委で、公益委員にだまされ、争点から取り下げさせられた、団交拒否、支配介入について、中労委で争点として復活させる勝利をもかちとりました。

金銭和解を拒否

 中労委は再審査過程の最後まで、何度も労組に金銭和解を勧めてきました。しかし、労組は、「金の問題ではない。労働組合が生きるか死ぬかの問題だ」と断固拒否し、中労委が反動命令を書かざるを得ないところまで追い込みました。安倍政権が進める解雇の金銭和解制度の先取りとも言うべき中労委の攻撃をはね返したのです。

鈴木委員長体制を確立

 人生をかけて、解雇撤回を貫き、労働組合を守り抜いてきた東北石けん闘争と2011年震災解雇を撤回させて以来、労組の旗を掲げ、職場闘争と団結の拡大を目的意識的に追求してきた金子前委員長の職場であったエスアイロジでの闘いはみやぎ連帯ユニオンの今日の土台をつくりあげました。みやぎ連帯ユニオンはその土台の上に、10月2日の第8回定期大会で鈴木光年委員長・青柳歩書記長の新体制を確立しました。その新体制のもとで動労みやぎ建設、T病院での分会立ち上げ、東北大非正規職3243人雇止めとの闘いを進めます。朝鮮侵略戦争を国際連帯とゼネストで阻止し、12月常磐線仙台・小高間開通阻止をかちとるため、11月国際共同行動を大成功させましょう。