民主労総の闘いに応え、現状を変革しよう! ※11・7理念交流会の討論

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0322号05/01)(2017/01/01)

民主労総の闘いに応え、国鉄闘争を軸に、日本における労働運動の現状を変革しよう!
※11・7理念交流会の討論

 昨年11月5~12日に開催された「 11月東京ーソウル国際共同行動 」の一環で行われた11月7日理念交流会について、前号の講演に続く討論を掲載します。

【討論】

○関道利(司会) 千葉商科大学の先生で国鉄闘争全国運動呼びかけ人である金元重(キムウォンジュン)先生が通訳に加わってくれます。
 韓国、日本から提起があったので質問、意見等お願いします。
○チェホンギ(民主労総) 私も派遣労働者で日本の派遣法に関心があります。日本の派遣労働者は使用者から相当な中間搾取を受けていると聞いていますがどれくらいの搾取度合いなのか。
○山本美知子(関西合同労組) 人材派遣業者は、一般的に30%搾取しています。 
○渡辺靖正(動労千葉) JRの下請けの賃金については、一次請負、二次請負があってJR会社は草刈作業に対して1人3万円払う。線路脇の草刈作業に対して1人1日3万円を払うと言われている。一次請負が42%を取る。孫請け、ひ孫請けでまた搾取する。実際草刈をしている労働者は1日1万円です。
○カンミジュ・カンミヒ(民主労総) 委員長の講義で「正社員」という言葉が使われて「限定正社員」ともいわれたが、日本の社会では中身のイカサマさとは別に「限定正社員」という使い方を国民たちが素直に受け入れていくのか疑問もある。
○田中康宏(動労千葉) その通りで正社員というのは資本の言葉です。政権の側が「正社員改革」といって攻撃を始めたので「正社員」という言葉を使ったのです。「限定正社員」とか「正社員改革」という言葉を使い始めたのはこの2、3年のことです。労働組合だから本来なら正社員とか非正規社員とかいうことはあってはならない。いま安倍政権がやろうとしている攻撃の意味を理解してもらうためにあえて正社員という言葉を使ったことを理解していただけるでしょうか。
○カンミジュ(民主労総) 委員長の講義の中で日本の労働に関わるさまざまな法律が改悪されてきたという話があったんですが、改悪された法律が何であり、今改悪されようとしている法律がなんであるか、ポイントをもう一度確認させていただけるとありがたい。そして、就業規則の変更については日本でも韓国でも問題になっていますが、韓国は日本の法制をお手本にしているので、共通点があると思います。現在、パククネ政権下で四大労働法制改悪が進められています。その一つが就業規則の不利益変更についてです。これまでは労働組合の同意とか、労働組合がない場合には労使協議会の同意、労使協議会がない場合には労働者過半数以上の同意ということが、条件としてあった。しかし、それなしで就業規則の不利益変更が可能となるような方向に向かっています。日本の場合に、その点はどういう状況なのか。労働法は特別法だから簡単には改定できないはずなのに労働契約法のように民法と同じようになっているということなので大変気になるところです。
○田中(動労千葉) 2点目の就業規則の不利益変更のほうから話したいと思います。2007年、労働契約法の中に就業規則の一方的変更が可能になる条文が設けられました。韓国と同じように「社員の過半数代表の意見書をつければ、その改悪が合理的であると推認する」となっています。しかし大事なことは「その過半数の意見書が賛成であろうと反対であろうと、意見書さえついていれば合理的であると推認する」となっている。それで先ほどのべた千葉鉄道サービスの就業規則改悪は、それを利用して会社側は強行しようとしました。
 今まだこの点で安倍政権がまだ不十分だと思ってやろうとしていることがあります。現在の政権の前の民主党政権の時に「賃金などに関わる不利益変更については高度な合理性が必要」という通達が出された。安倍政権は「高度な合理性が必要」が邪魔で、それを「意見書さえついていれば合理的であると推認できる」と引き戻そうとしている。
 労働法制改悪については、20年余りの間に改悪された労働法制を並べていくと数十になる。例えば裁量労働制、フレックスタイム制の導入や、労働の規制改悪に関わるあらゆる分野が入っている。今やろうとしているのは解雇金銭解決制度です。不当と判断される解雇でも一定の金銭を払えば正当になるという法律です。その金銭の水準を決める法律、アメリカでも導入されている。限定正社員という職場がなくなったら解雇自由、金銭解雇の解雇自由、この2つが重なったら解雇の一切の規制はなくなる。今国会に出ている法律は残業代ゼロ法。一定の条件を満たした労働者には成果だけで労働をみるという法律。労働時間で労働を測らない法律。一番深刻なことは、労働契約法が労働基準法と分離されて制定されたことが、最大の労働法改悪だと私は思っています。これがあったから正規職も全部非正規職にしてしまうことが必要になった。
 韓国では、ゼネストでパククネの労働改悪法の上程も阻止しているし、闘いが攻撃を本当に立派に押しとどめていると思っています。日本と韓国の違いは、労働者の力。だから問題は法律の問題ではなくて労働者の力の問題だと思います。
 もう1点、今韓国で問題になっている成果主義賃金の問題とか、ゼネストの始めの頃に問題になっていた賃金ピーク制の問題です。日本では1987年国鉄分割・民営化とセットで導入されてしまった。雇用の問題が最大の問題であったために、議論すらされないまま導入された。民営化で「新規採用」という方式をとったために、新規採用された会社の就業規則は始めから賃金ピーク制であり成果主義賃金で、抵抗しようもなく導入された。
 今の韓国の仲間たちの闘いが、どれほどパククネ政権を追い詰めているか、世界中の労働者の権利を守っているのかということを僕らは本当にありがたく思っています。(拍手)

(写真 活発な質疑応答が続いた)

○パクヒョンウク(民主労総) 以前も感じましたし、今日もそうですが、動労千葉の同志たちは本当にすごいと思います。動労千葉について何が驚くべきことかといえば、昨日のような全国労働者集会を300名規模の動労千葉が主催して挙行するということ。これは韓国では考えられないし、数十年間資本と真っ向から立ち向かって労働運動してきたということも非常に驚くべきことです。
 動労千葉について尊敬すべき点と考えるのは、韓国ではよく言われるのが「労働組合は頭数だ」と。確かに労働組合、労働運動は頭数、大勢の力というのは大事だが、その反面、人数の多さに頼るというのが否定的な面もあると思います。例えば民主労総は「1人でも多くの労働者を獲得しなければいけない」と、労働運動のイデオロギー的な面ではそれを薄めてもあえて多くの人数を獲得しようという行動にでる危険性、言ってみれば野党の民主党に擦り寄っていく危険性にも表れていると思います。ですから人数が多ければいいということでもないと感じます。
 そういった意味で動労千葉の闘いは、労働組合は頭数だけではないことを知らせてくれて、改めて尊敬の念をいだく次第です。その上で、動労千葉が総資本とその下手人である政権と立ち向かっていこうとするならば総労働の結集についてやはり真剣に考えざるを得ないのではと思います。言いかえれば連合などに代わる本当の闘うナショナルセンターをどう再建あるいは復権するのかという課題について、今どのような展望をお持ちなのか、闘うナショナルセンターの復権において何が課題となるかについて率直なお考えをお聞きしたい。
○田中(動労千葉) 民主労総の人たちがそのことを教えてくれたらありがたいと思います(笑)。僕らはまだそういうことがいえる大きな運動をつくれていなくて、民主労総が80万人という大衆的にしかも原則的に闘っている姿というのは、どこの国の労働運動を見ても最先頭だと考えています。例えばゼネストということだけ見れば多くの国でゼネストが闘われている。でも社会変革をめざす労働運動を真正面から掲げてゼネストをこれだけ大衆的に闘い抜いているのは恐らく民主労総だけだと思っています。だから僕らはどうしてこうした闘いを実現できているのか皆さんから本当に心の底から教えて欲しいと思っています(拍手)。まだ全く実現はできていないが、私自身の思いからすれば、本当は一番原則的であることが一番大衆的なんだということ(そうだ)、そのことを絶対証明したいという思いでやってきました(拍手)。これはまだ実現できているわけではなくて、日本の現状の中で引き下がらずに最後の陣地をまだ守っている段階かもわからないが、どこからか必ず反撃を開始して、怒りの声をもっと大きく結び付けたいと思います。そのためにもぜひ力を貸してもらえたらと思います。今はまだ私はそれ以上のことを言うことはできないかなと思っています。(拍手)

【金先生と民主労総の人との討論がしばし続く】
○金先生 ちょっと通訳を逸脱してすみません。イジェウン前ソウル本部委員長から、「韓国では非正規職にも退職金を払います。1年以上働くと、雇用形態いかんに関わらず退職金はもらえることになっている。日本はそうでないのか」という質問です。日本では非正規職はまず退職金はないですよね。
○田中(動労千葉) 退職金がないのがほとんどです。
○エレック・スレーター(アメリカ) 私は、シカゴで10年間市営バスの運転士で闘っています。今年2月に組合運動をやったという理由でクビになりました。ところが2週間前に法廷闘争で勝利し、復帰しました(拍手)。今までの討論で、正規労働、非正規労働、規制緩和、民営化の話は、私にとって非常に興味ある話で、関心をもって聞かせていただきました。
 アメリカの状況について若干お話したいと思います。私の職場にはバスの運転士と検査修繕の労働者と合わせて600人います。そのうち150人がパートタイム労働者です。正規労働者と非正規労働者は同じ内容の仕事、運転やバスの整備をして、給料は2対1の割合です。これは資本の側が労働者に分断を持ち込むとことです。今まで話されている正規労働、非正規労働の問題、規制緩和、民営化やアウトソーシング、外注化の問題のすべては、資本家が労働者を分断するために悪辣な思想で進められている問題です。一緒に闘っていきたいと思います。
 アメリカの労働者の組織率はものすごく低く、10%くらいしか組合に入っていない。こういう状況の中でアメリカの労働者の大半は非正規労働者です。あるいは、外国から来て労働する資格がない中で働いている現状です。こういう労働者たちが一旦労働組合を作ったならば、より良い賃金、労働条件を獲得できるはずです。労働者にとっては組織化、これが力です。これが労働者が勝利する力です。この力をどう使うか、長い間いくつもの世代を経て労働者は苦闘してきました。
 私の労働組合は合同運輸労組で、20万人の組合をアメリカ本土とカナダで国境を越えて組織しています。私は組合大会の代議員として自分の支部から選ばれています。私は自分の職場だけではなく、アメリカ、カナダのいろいろな職場の労働者が直面している問題に触れることができました。20万人の組合本部は、アメリカ政府、カナダ政府の政策と非常に近い政策をもっていて、屈従している状態です。いよいよアメリカ大統領選挙です。クリントンやトランプに労働者階級の選択肢はありません。ところがアメリカの体制内的労働組合は、労働者の選択肢がないにもかかわらず民主党候補を支持するという醜態を演じ
ています。アメリカの政治情勢と韓国の政治情勢は非常に似ています。こういう時に労働者階級の選択肢はないということです。その中でアメリカの労働者階級は、韓国の労働者、日本の労働者の皆さんの闘いから多く学ぶものがあると思っています。このような全ての人に開かれている大衆的な闘いを通じて、私は皆さんの闘いに合流できています。私は皆さんと一緒になって、今労働者階級にとって何が起きているのかを私たち自身の言動で全世界に明らかにしていくことで、より良い力を世界で組織していくことが出来ると信じています(拍手)。今日までの数々の会議を経てきて、私は本当にこの世の中をどう理解するのか、どう闘うのかについて多くの教訓を得ることが出来ました。こういう資本、権力との非妥協的な対決をとおして、新しい社会の建設を絶対できると確信しています(拍手)。全世界の労働者の皆さん、共に資本家階級を打倒して新しい社会を築きましょう。
○民主労総 公務員労組から来ました。韓国では、公務員労組も教員労組も全教組も民主労総の所属ですが、かつて合法的に設立が認められていた公務員労組と教員労組は、イミョンバク政府、パククネ政府の下で設立申告書を戻されて、受付を拒否され、今は合法的な労組の資格を失っている状態です。日本においては組合の設立申告で当局に拒否されて合法的な組合として認められないという状況があるのかどうかお伺いしたいと思います。
○田中(動労千葉) 日本の場合は、韓国のように法外労組に置かれることはほぼありません。日本の労働組合法の一番いいところは、労働組合の結成は基本的規制がなくて自由です。問題は、日本の労働者は自由な組合結成の力をまだ本当の意味で活用しきっていないところです。本来なら組合結成は、企業的組合でも産業別組合でも政府管理の組合でも全部自由です。だから本当は今の連合幹部のような腐りきった状況を現場から覆すことはできるはずなんです。
 質問から離れるかもしれないが、日本の労働運動の深刻さの一端を話したい。今日本で最大の労働組合は、UAゼンセンという組合で156万人くらいの組織です。この労働組合は完全に安倍政権と一体になって企業に出向いて行き「私たちの労働組合に全員を組織すれば絶対に労働者の反乱を起こさせません」と企業と話をつけて丸ごと労働者を組織する方法で成りたってきた労働組合です。しかし深刻なのは、日本の非正規労働者を一番組織しているのもUAゼンセンです。女性労働者も一番組織している。つまり企業ぐるみで労働組合の名を使って労働者の反乱を押さえつける労働組合が、日本最大の労働組合になっている。しかももっと深刻なのは、この労働組合が憲法改悪に賛成していること。安倍政権がやった戦争法に賛成している。公式にはまだうち出されていないが「国を守らなければいけない以上徴兵制に反対するのは間違っている」とまで言っている。つまり労働組合を作ることが軸であるはずなのに、資本と安倍政権によって産業報国会のように組織されつつある。これと対決してうち破っていきたいと思ってます(拍手)。
○民主労総 非正規問題が日本でも韓国でも世界中でも問題になっているんですが、もう一つ労働問題の死角地帯の問題として、移住労働者の問題があります。日本でも相当な数の移住労働者がいると思うが、彼らの組織化とか権利保護ということについて動労千葉の取り組み、あるいは他の組合でも取り組んでいるのか。
○鎌田由子(動労千葉国際連帯委員会) 昨日の日比谷野外音楽堂にも多くの外国人労働者が結集していたのをご覧になったと思います。まだ始まったばかりですが昨日の集会にはミャンマー、ビルマ、トルコ、クルドの人たち、アフリカからはウガンダ、コンゴ、そしてフイリピン、ブラジル等、多くの人たちが結集しています。さらに動労千葉と一緒に闘っている合同一般労組全国協議会という労
働組合が全国にあります。全国の労働組合、合同労組に外国人労働者を組織して、ここを拠点に彼らの日本での生活や労働について、私たちは共に闘うことをやっています。
 そして、牛久に入管収容所があります。シリア難民がヨーロッパに続々と移動して、多くの人たちが海などで難破して殺されていますが、日本にも難民がたくさんいます。今年はすでに1万人を超すだろうという難民申請者が現れています。毎年、数千の人たちが難民申請をしていますが、難民が認められるのは10人とか20人です。牛久の収容所からいったん仮放免で釈放されますが、その人たちも働いてはいけないという誓約書を書かされて放免されています。しかし、どこからもお金は出ませんから、友人たちの援助もありますが、働かなければ日本で生きていくことはできません。ですから彼らは実力で働いて生き抜いています。合法的であろうと非合法的であろうと人間には移動する権利もあるし働く権利もある。世界の国境は労働者の力でなくさなければなりません(拍手)。難民問題、移民労働者の問題も労働組合への組織化が鍵だと思います。こういう闘いを今まだまだ始まったばかりですが実践しています。労働者には国境はありません。国際連帯で闘っていきましょう(拍手)。
○山本(関西合同労組) 「日々紹介」という新しいシステムがあります。メールで募集がある日雇いです。人材派遣会社、フルキャストは、紹介をしているだけで雇用関係はなく、団体交渉を申し入れても雇用関係がないということで突っぱねる会社です。人材派遣会社に紹介され、雇われる会社とは雇用関係がある。でも1日限りの雇用なので出勤して行って、その会社で契約書にハンコを押す。1日終わると契約関係は終わる。実際に行っているのは偽装請負している現場の会社です。そこで労働災害が起こっても、行っている現場の会社は一切責任をとらない。通勤する間に通勤災害が起こっても、この3つの会社はどこも責任をとらない。安倍政権がブレーンにしている竹中平蔵という輩が推し進めているのが「雇用の流動化」です。一つの職場で正規、非正規ということではなく、全ての現場労働者を次から次と首にし、新しい職場にグルグルグル回していく。そういうことを考えている。それに対して大変だが闘いを始めている。
 先ほどUAゼンセンの話が出ましたが、ユニオンショップ制で、雇われたら本人の意志に関係なく組合員になる。実際150万人の現場労働者は、UAゼンセンに入っていることも知らないで組合費だけとられている。現場の労働者は、戦争反対で怒っているし、UAゼンセンを現場からひっくり返したいと思っています。実際に昨日の労働者集会にもUAゼンセン傘下の労働者が参加しています(拍手)。
○金先生 民主労総から動労千葉としてナショナルセンター再建の展望という話が出ました。田中委員長はまだそういう段階にはほど遠いということでしたが、知っていただいた方がいいと思うのは、昨日の日比谷での動労神奈川とか動労新潟とか動労東京とか動労総連合のノボリがたくさん出ていました。韓国の同志たちは一体あれは何だろうと動労千葉以外の「動労○○」に疑問を持っていたようなので、ナショナルセンターの展望を語る場合に、動労総連合をどういうふうに広げていくかが大きな課題でもありますので、ごく簡単に田中委員長からお話をいただければと思います。
○田中(動労千葉) 動労千葉は動力車労働組合という全国5万人くらいの労働組合の一地方本部でした。
 私たちは千葉地方本部がそっくり分離・独立をして出来た労働組合です。その時点から僕らは「動労大改革」というスローガンを掲げて、全国の仲間たちを再組織しようという方針をもっていました。全国大会の代議員の4割くらいが僕らの支持者だったが、新組合を立ち上げようとは簡単には決断出来なくて、うまくはいっていなかった。しかし僕らが所属していた動労は、国鉄分割・民営化の時に大変な裏切り行為を働く。自民党と手を結み国鉄当局と手を結んで、国鉄分割・民営化、10万人首切り政策に賛成して、自分たちの労働組合員が生き残ることが出来れば、後はどれだけクビになり犠牲になってもいいという方針をとった。それを政府に示すために国鉄分割・民営化の前年に総評から脱退することまでやった。その渦中で、水戸や西日本、高崎の仲間たちが僕らの元に結集をしてくれた。それで人数は少ないが、動労総連合を名乗った。その運動が持続してきたが、昨年これを本格的に広げようと決断した。国鉄分割・民営化問題が、それで終わらずに究極の非正規化まで進もうとしている現状に絶対立ち向かいたいと思ったからです。この呼びかけの下に人数はまだ本当に少ないが、福島、神奈川、東京、新潟、九州、山陰の仲間、そして宮城や北海道でも全国にもう一度闘う労働組合を甦らせようという運動が始まりつつあります(拍手)。
 その運動にはもう一つ特徴があって、JR本体だけでなく、下請けで働く非正規の仲間たちが結集を始めている。僕らはこれを鉄道産業における階級的労働運動組合に育て上げたいと思っています。私たちは鉄道産業における努力ともう一つは産業の壁を越えて全国労組交流センターという組織をつくって、この下にもう一度あらゆる産業、企業を越えた職場の仲間たちを集めようと努力もしています。この両方の運動とも本当の意味で発展するのはこれからですが、この二つの運動を発展させるために全力の努力を進めたいと思っています(拍手)。
○西山直洋書記長(関西生コン支部) 日韓交流会ということで私の方から2点話したい。
 私たち生コン労組は2001年の韓国の生コン労働者のゼネストから交流が始まりました。それはなぜか。90年代に私たちを弾圧していた現太平洋セメントの大阪支店長が韓国にわたって労働者を弾圧し始めた。皆さんご存知のように双竜セメントの社長になって労働者弾圧をする。その時期から生コン労働者の特殊労働者が韓国全土に広がっていった。私たちは50年間やってますが、50年前は今の韓国と同じ現状でした。闘い続けた結果、今は特殊雇用労働者は全体の1%しかいません。そういう形が出来なくなったからこそ韓国に行って同じ形態を作り上げようという日本の資本の考えが露骨に見えた。だからこそ日韓の連帯活動がスタートした。
 もう一つは、日本では田中委員長が言っていたように労働組合を作るのに妨害はないんです。ただし動労千葉やわれわれのような労働組合に対しては徹底的に弾圧を仕掛けてくる。一つ例を言えば私たちの組合は常に弾圧されて現在の執行部約30人いるが
半分以上は「前科」もち、もちろん弾圧を受けてです(笑)。なぜこれが問題かというと、今、半数以上「前科」もちの団体については、暴力団対策法の指定で団体を解散しなくてはいけないという話になってきている。その法律は内容的には「暴力団」だが、暴力団と書いていない。われわれの弁護団は「今それが一番危ない。暴対法の適用団体にしようとしている」と。それともう一つは銀行関係、去年50周年を迎えて会館を新築して建てた。銀行は一切われわれの組合に融資しない。お金は持っているが融資しない。警察が一切カネを貸すなと全銀行に通達を出した。そういう攻撃を今闘う労組に仕掛けてきている。汚いやり方ばかりしてくる。それともう一つは年始めにでてくるであろう「共謀罪」です。この法律はすでにわれわれに適用されている。なぜかというと労働組合で団体で交渉したり、団体で行動したり、憲法で保障されているが、団体で協議をしてこれを実行しようと話をしたら逮捕できる法律。こんな法律を絶対認めない。連合は通そうと政府側についてやっている。なぜそういうことにOKしているかは、表向きテロ対策という位置づけで法律を作ると切り替えたからです。そういう汚いやり方に反対の声をあげていかないといけない。最後に、隣同士の国の労働者が一致して資本と闘う時期に来ていると思います(拍手)。
○木下浩平(港合同) 大阪市港区を中心に活動している金属機械港合同の執行委員です。私たちの組合も1970年代以降、倒産攻撃あるいは組合が出来たことで組織丸ごとの企業閉鎖という攻撃と闘い抜いてきました。いま全国金属機械という看板を背負った組合は港合同だけです。かつて国鉄分割・民営化の時に総評が解散され、連合ができた。その時に、全国金属も金属機械へと名称変更した。それが99年に全国金属機械と全金同盟という御用労組が一緒になってJAM(ジャム)という労働組合になった。この時、港合同は合併から排除された。理由は闘いすぎるからです(笑)。11月労働者集会を呼びかけている3つの組合に共通しているのは、闘って、闘って、闘い続けていることです。組織から排除されて一旦決裂を強制されたということです。こういう組合が時代に求められていると思う(拍手)。
 もう一つ、今大阪では公務員労組の公務職場への民営化と組合潰しが激しく襲い掛かっている。攻撃の中身については触れませんが、民営化も労組破壊も公務員労働者の処分攻撃も、僕は闘って止められると確信しています。大阪市の労働組合は組織率がほぼ100%で非常に強い労働組合だと僕も思ってきました。しかし4年前に労働組合潰しを公言して橋下市長が登場した時に、労働組合は真っ先に頭を下げて屈服した。その瞬間から現場の労働者に多くの攻撃が襲い掛かった。しかし労働組合執行部が闘えなかったとしても、現場の労働者が地域の民間の労働者、労働組合と団結して闘いを始めれば、この攻撃は粉
砕できた。
 私たちの組合では、官民連帯という言葉がある。公務員労働者と民間労働者が一つに団結して共通の敵に対して立ち向かっていくということです。私たちの組合が倒産攻撃と闘っている時には公務員労働者が全面的に支援してくれた。それを今私たちが公務員労働者を全面的に支えてともに民営化攻撃を粉砕する時だと思っています。
 公務員労働者と民間労働者が一つであるように正規労働者と非正規労働者も一つです。
 そして労働者に国境はないと何度も確認された。新自由主義の攻撃がますます労働者を一つにしてくれている。ともに団結をして最後まで闘っていきましょう(拍手)。
○関(司会) どうもありがとうございます。動労千葉・動労総連合と関生と港合同と民主労総とは闘って闘って闘い続けるということを最後に確認したいと思います(ヨーシ、拍手)。今年の訪韓団はいつもより多くて全国で220人が訪韓します。よろしくお願いします。

(写真 講演したチュボンヒさん)

 (文責・編集部、敬称略)

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