闘う合同一般労組 泉陽会労働組合を結成しました!

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0324号07/01)(2017/03/01)

闘う合同一般労組
社会福祉法人泉陽会労働組合を結成しました!

新井佳世子 (泉陽会労働組合委員長)

 全国で闘う仲間のみなさん。私たちは2016年9月16日に「社会福祉法人泉陽会労働組合」を結成しました。今年2月2日には結成大会を行い、来賓の方も合わせて総勢15人の方に参加していただきました。大会に向けて全国から25件のメッセージを戴きました。みなさんからのお祝いや激励を糧に闘っていきます。本当にありがとうございました!!
 泉陽会には2008年9月に「東京北部ユニオン泉陽会分会」が結成され、7年間は合同労組として活動してきました。2010年7月には訪問看護ステーションの職員が上司のパワハラ言動を改めさせたいと組合に入って闘いましたが、法人は事業所を休業(廃業)し、訪問看護師を全員雇い止め解雇しました。労働委員会も約4年間の闘いの末「棄却」。本当に悔しくて「いつかこの怒りを倍返ししてやる!!」という思いで闘ってきました。
 新たな組合結成のきっかけは、昨年3月に職員が大量退職して以降、人員が補充されず、それまで以上に過重労働となり、レクレーションやお散歩などの余暇活動ができなくなったことにあります。腰痛や体調不良で仕事を休まざるを得ない職員も後を絶たない中、職場には愚痴や不満が充満していました。分会として「こんな現状をなんとしても変えよう!」と同僚に団交準備会や報告会への参加を呼びかけたところ、半数以上の職員が参加してくれました。そして「今こそ職場に組合が必要だ」と思う仲間が集まり「社会福祉法人泉陽会労働組合」を結成したのです。
 組合結成以降は、みんなで団交に出たり、ビラの作成や配布をしたり、11月集会には組合賛同を取って参加するなど毎日が革命の連続でした。 そして結成大会に向けた準備の中で「組合結成宣言(左頁)」を作り上げる討論は、本当に感動でした。「職場を越えて繋がることの意味がわかってきた」とか「労働組合にはそんな力もあるんだ」とか「みんな単に〝行動〟しているんじゃない、闘っているんだ。だから〝闘う〟という言葉を使おう」とか「みんなと〝団結〟したいから、そこだけ大きな文字にしよう」とか……労働組合や労働者のすごさを共有しながら進んできました。だからこそ結成大会当日も、協力して運営することができたのだと思います。
 今、すべての労働においてその価値が低められ、働く喜びも誇りも奪われています。低賃金・人員不足でいつ事故が起きても不思議ではない、そのような環境で人が定着するはずがありません。福祉の仕事に就く人の中には「多くを望んではいけない」「介護の仕事だからしょうがない」と思っている人もいるかもしれませんが、私たちはこのような状態を変えるために立ち上がったのです。
 全国で闘う、とりわけ介護労働者のみなさん。私たちがやるべきことは職場や地域に一緒に闘う「仲間」を増やすことです。そしてその仲間たちと団結して、このような現状を根本から変えていきましょう!!

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社会福祉法人泉陽会労働組合結成宣言

 私たちは介護現場で働く労働者です。私たちにとっての働く喜びや誇りはご利用者の笑顔と一体です。しかし、昨年の3月に職員が大量退職して以降、人員が補充されず、それまで以上に過重労働となり、レクレーションやお散歩などの余暇活動ができなくなりました。腰痛や体調不良で仕事を休まざるを得ない職員も後を絶ちません。職場には愚痴や不満が充満し、こんな現状をなんとしても変えたいと思う仲間が集まって、2016年9月16日に「社会福祉法人泉陽会労働組合」を結成しました。
 2000年の介護保険制度の導入は介護の民営化でした。それまで行政の下で行われていた介護事業が民間に売り渡され「儲けの対象」になりました。国は少子高齢化を理由に社会保障費を大幅に削減し続け、介護報酬を年々引き下げ、特養は要介護3以上の方しか入居できなくさせました。ただでさえ高齢化や認知症が進み現場は重度化しているのに、人員配置基準は全く見直されていません。つまり、私たちの仕事は国が定める介護保険制度と密接に関係しており、同じ思いで闘っている人と一緒に国を変えるような行動を起こさなければ「自分たちの職場だけよくなることはない」ということです。
 また介護保険が始まる前には労働組合があった職場でも、民営化と同時に解体され、労働者はバラバラになりました。それ以前は公務員に準じて支給されていた賃金や一時金も、人事評価制度や成果主義の導入により、同じ資格や仕事でも賃金や待遇面で細かく分断されるようになりました。その結果、約半数が非正規雇用労働者となり、正規雇用を希望してもなかなかなれない現実があります。また、力を合わせて働くはずの労働者同士が「評価」という名の元に競い合わされ、おかしいと思うことがあっても我慢して現状を受け入れるか、嫌なら辞めるしかない…という負の連鎖が始まったのです。
 また現場では毎日のように事故が起きていますが、すべての事故の責任は金儲けを優先するあまり安全を無視して人員を増やさない会社の側にあります。しかし現実は事故の責任を労働者に押し付け、関わった労働者が不当な処分・解雇・逮捕…されているのです。
 組合は会社の責任を労働者に押し付けるあり方を絶対に許しません。昨年起きたやまゆり園事件やアミーユでの転落事故も、もし職場に会社と闘う組合があったら起こらなかったのではないかと思います。
 韓国のソウル大学病院が民営化反対でストライキに立ち上がった動画を見て「私たちもストライキやりたい!」と思いました。日本でも医療福祉労働者が続々とストライキに立ち上がっています。ストライキは、職場を動かしているのは労働者であることを示し、会社との力関係を変える、まさに革命です!!
「"命と安全を守るためのストライキ"を私たちも絶対に職場でやりたい!!!」と思っています。
 そして今、安倍政権は戦争に向かって着々と準備を進めています。医療福祉労働者は戦争が始まったら真っ先に戦場に送られ、傷ついた兵士を治療することで再び戦場に送り返さなければならない、自らの仕事を通して戦争の加担者にされてしまう存在です。私たちは命を脅かす戦争には絶対反対です。子供や孫が戦争に行かされるような社会にはしたくないのです。戦争に行くのも労働者ならば戦争を止めるのも労働者です。戦争協力拒否の国際連帯で戦争のない社会を作りだす力が労働組合にはあると思います。
 私たちは労働組合を通じてそれまでの「同僚」が「仲間」になって、苦しいことも楽しいこともみんなで共有し乗り越えていける"団結"を職場に作っていきたいと思います。「行動しても変わらないんじゃない、行動しなくちゃ変えられないんだ!!」です。泉陽会で働く多くの職員と「仲間」になって、まずは自分たちの職場から変えていきます。そして世界中で闘っているみなさんと繋がって誰もが安心して生きられる社会を目指して一緒に闘っていくことをここに宣言致します。
 2017年2月2日(木) 社会福祉法人泉陽会労働組合