闘う合同一般労組 大阪デリカフーズ分会の闘い

2019年7月31日

月刊『労働運動』34頁(0333号10/01)(2017/12/01)

闘う合同一般労組 大阪デリカフーズ分会の闘い

大阪デリカフーズ分会の闘いは、職場の空気を変えた

(写真 職場前で仲間にビラまき)

大阪北部ユニオン デリカフーズ分会

デリカフーズに労働組合ができた!

 大阪府茨木市にあるデリカフーズで、事故がなく安全に働ける職場に変えていくために労働組合を結成しました。このデリカフーズ闘争が、職場の空気を変えました。
 7月27日に第1回団体交渉を行いました。組合が「組合活動の権利と自由を認めること」を要求したところ、会社は「憲法と法令を守るが、組合は就業規則を守ってくれ」と言ってきました。組合は「就業規則を守ることを条件とすることは断じて認められない」と返しました。就業規則を守ることを条件とすることは団結破壊であり、組合潰しです。組合を作れば会社と闘えます。

第2回団交で明らかになったこと―スライサー事故

 第2回団交は、労災事故・安全問題で激突しました。組合が追及し、会社は以下の事実を明らかにしました。
 事故は6月16日深夜に起きました。労働者が玉ねぎを機械でスライスしている時に、野菜の出口が詰まったので、詰まりを取り除くため出口に手を突っ込み、中指に刃が当たり全治一週間の切創と診断されたのです。会社は「出口に手を突っ込むのは正規の行為ではない」と主張しました。
 しかし、スライサーについていた安全のためのセンサーは故障していたのです。当初
会社は「出口にセンサーはついていない」と断言しました。事実はセンサーはついていましたが、故障したままで作動しなかったのです。事故が起きた後も、センサーを直すどころか組合の追及に「センサーはない」とウソを言ったのです。スライサー機械の野菜出口に指切断危険マークと警告のシールが貼ってあります。組合は、「事故の原因は労働者のせいではなく、機械の故障を放置した会社にある」と暴露しました
 その後、8月13日に出荷部で事故が起きました。腰・膝骨折と肩の脱臼という重大事故です。この事故について組合の追及で会社は公表しましたが、労働者に十分な説明と対策をしていません。

組合の闘いで会社を追及

 会社は「従業員の皆様へ」という張り紙で事故や対策を説明していますが、全労働者に事故を明らかにしたり、根本的対策を取ろうとしていません。
 組合の立ち上げと2回の団交でデリカ資本にダメージを与えています。事故をめぐって、会社の安全無視が暴露され、これまで組合もなく、やりたい放題してきた会社の労働者支配を危機に追い込んだのです。
 会社は一転して第三回の団交を拒否する一方で、センサーを修理せざるをえなくなりました。団交拒否は、もはや組合を無視でき なくなり、デリカ労働者と結合する現実性を実感した会社の絶望的な攻撃です。

労組登場で職場が変わった

 会社は東京から役員や弁護士を呼び寄せ、団交の人数や時間を制限してきました。初団交は「労組=法外団体」発言と対決し、「法令を守る」と労組認知をかちとったのです。会社は悔しまぎれに「施設内ビラは許可制」「就業規則順守が条件」と発言し、団交は紛糾しました。しかし、私達は負けません。門前ビラをして流通団地労働者にも訴えようと考えました。11月まで7度の門前ビラ貫徹に会社は文句も言えません。実質、就業規則は無力化したのです。法律ではなく労働者の実力が一番強いのです。

雇用契約をめぐる攻防

 9月末雇用期限が迫り、悩みました。労組を名乗り出れば報復的な「雇い止め」を受けるかもしれません。逆に沈黙すれば終わりです。「運命の分かれ道」です。解雇とは生活の危機、労組の危機です。しかし「生活のため会社を辞める」「契約のため沈黙」とは奴隷の道です。労働者の誇りをかけて決起しました。
 10月1日は、会社再編=新会社発足の日でした。それを前に団交拒否と、雇い止め危機に緊張しました。分会集会をやろうと決断しましたが、当初「なぜ今大変な時に?」と疑問の声もありました。しかし「分岐点だから労組の姿勢を明確に」「流通団地まるごとの獲得」「職場・地域からの反撃」をやろうと集会を決断できました。9月中旬~10月は「解散・総選挙」と重なり、社会の変革も訴えて、職場・流通団地・スーパー・駅前・周辺住宅にビラをまきました。この迫力が雇用期限を実力で突きぬけ契約更新につながったのです。

10・28分会報告集会で新たな団結が拡大した!

 デリカ分会の報告集会に、職場・地域から20人の労働者が参加しました。職場・地域に改憲・戦争・労働法制解体攻撃と対決する労働組合の団結をつくろう!の声を上げました。
 「団交は?」「監視カメラに怒り」「始末書に屈辱感」と語り、「一緒にやろう」と握手しました。10・28集会によって、職場の主人公は労働者であり、仲間とつながって隠された職場の実態もつかみました。一人の周りには巨万の労働者がいると確信しました。
 戦争と職場がどうつながっているのか。職場の団結はどのようにして作るのか。切迫する朝鮮戦争をいかにして止めるのか。 参加した労働者から活発な意見が出され、労働組合の立場を明らかにすることができました。
 デリカの現実は、すべての職場の現実です。労働者はバラバラに分断されることで、安全が無視され、労働者が生きていけない生活を強制され、資本がぼろ儲けしています。分断の最たるものが戦争です。
 しかし、労働者は資本の奴隷ではありません。職場を回し、社会を動かしているのは労働者です。労働者は、団結に生き、資本と闘う誇り高き存在です。分会結成以来の闘いは職場の主人公は労働者だということを証明しました。デリカでは「有給休暇も取れない」「監視カメラは気持ち悪いぞ」という声が上がっています。労働者が団結すれば職場を変え、戦争を止め、社会を変えることができます!
 デリカ分会をさらに拡大し、流通団地の各職場に労働組合の旗を立てたいという決意を新たにしました。

★注1:デリカは茨木市の流通団地で「野菜の総合商社」を名乗る東証一部上場企業。東京や名古屋にも工場あり。24時間稼働で職種・正規非正規など様々な分断で、労働者が競争させられている。

★注2: 流通団地に中央市場やトラックターミナルがあり、労働者がたくさんいる。